(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132405
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】作業機械における交換部品の固定構造、及び、当該固定構造のためのロック部材
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E02F9/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043151
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】亀氏 陽介
(72)【発明者】
【氏名】塚田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】上田 匡邦
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015JA04
(57)【要約】
【課題】ロック部材の再利用が可能であると共に、ロック部材の係合を容易に判断することができる作業機械における交換部品の固定構造、及び、ロック部材を提供する。
【解決手段】固定構造は、取付部と、ピン部材と、ロック部材とを備える。交換部品は、取付部に取り付けられる。取付部は、ピン孔を含む。ピン部材は、ピン孔に配置される。ロック部材は、ピン部材に係合し、ピン部材を抜け止めする。ロック部材は、開口と、溝部と、保持部と、抵抗部とを含む。溝部は、開口から延びており、ピン部材に係合する。保持部は、溝部に設けられ、ピン部材が抜けないように保持する。抵抗部は、溝部において開口と保持部との間に設けられる。抵抗部は、ピン部材への係合時にピン部材に接触して手応えを与える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械において交換部品を着脱可能に固定するための固定構造であって、
ピン孔を含み、前記交換部品が取り付けられる取付部と、
前記ピン孔に配置されるピン部材と、
前記ピン部材に係合し、前記ピン部材を抜け止めするロック部材と、
を備え、
前記ロック部材は、
開口と、
前記開口から延びており、前記ピン部材に係合する溝部と、
前記溝部に設けられ、前記ピン部材が抜けないように保持する保持部と、
前記溝部において前記開口と前記保持部との間に設けられ、前記ピン部材への係合時に前記ピン部材に接触して手応えを与える抵抗部と、
を含む、
固定構造。
【請求項2】
前記溝部は、
前記ピン部材に係合する湾曲部と、
前記開口から前記湾曲部へ向かって延びる内側部と、
前記湾曲部と前記内側部との間に配置され、前記湾曲部よりも内側へ膨出した膨出部と、
をさらに含む、
請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記保持部は、前記膨出部に設けられる、
請求項2に記載の固定構造。
【請求項4】
前記保持部は、前記溝部において互いに反対側に配置される一対の第1突起を含み、
前記抵抗部は、前記溝部において互いに反対側に配置される一対の第2突起を含む、
請求項1に記載の固定構造。
【請求項5】
前記一対の第2突起の間の幅は、前記一対の第1突起の間の幅よりも狭い、
請求項4に記載の固定構造。
【請求項6】
前記ピン部材は、前記ロック部材に係合されるピン溝を含み、
前記一対の第2突起の間の幅は、前記ピン溝の外径よりも小さい、
請求項4に記載の固定構造。
【請求項7】
作業機械において交換部品を着脱可能に固定するピン部材に係合して抜け止めするロック部材であって、
開口と、
前記開口から延びており、前記ピン部材に係合する溝部と、
前記溝部に設けられ、前記ピン部材が抜けないように保持する保持部と、
前記溝部において前記開口と前記保持部との間に設けられ、前記ピン部材への係合時に前記ピン部材に接触して手応えを与える抵抗部と、
を備えるロック部材。
【請求項8】
前記溝部は、
前記ピン部材に係合する湾曲部と、
前記開口から前記湾曲部へ向かって延びる内側部と、
前記湾曲部と前記内側部との間に配置され、前記湾曲部よりも内側へ膨出した膨出部と、
を含む、
請求項7に記載のロック部材。
【請求項9】
前記保持部は、前記膨出部に設けられる、
請求項8に記載のロック部材。
【請求項10】
前記保持部は、前記溝部において互いに反対側に配置される一対の第1突起を含み、
前記抵抗部は、前記溝部において互いに反対側に配置される一対の第2突起を含む、
請求項7に記載のロック部材。
【請求項11】
前記一対の第2突起の間の幅は、前記一対の第1突起の間の幅よりも狭い、
請求項10に記載のロック部材。
【請求項12】
前記ピン部材は、前記ロック部材に係合されるピン溝を含み、
前記一対の第2突起の間の幅は、前記ピン溝の外径よりも小さい、
請求項10に記載のロック部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械における交換部品の固定構造、及び、当該固定構造のためのロック部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械において交換部品を取り付けるための固定構造が知られている。例えば、特許文献1では、バケット用ツースをツースアダプタに取り付けるための固定構造が開示されている。この固定構造は、ピン部材とロック部材とを含む。ツースとツースアダプタには、それぞれピン孔が設けられており、ピン部材は、ツースとツースアダプタとのピン孔に挿入される。ロック部材は、ピン部材に係合することで、ピン部材を抜け止めする。
【0003】
ロック部材は、ピン部材に係合するU字状の溝部を有する。溝部の内面には、ピン部材を保持するための保持部が設けられている。保持部は、溝部において互いに反対側に配置される一対の突起を含む。ロック部材をピン部材に係合させる際、ピン部材は、保持部を乗り越えて、溝部を押し広げるようにロック部材を変形させることで、溝部に係合する。それにより、作業者は、ピン部材が保持部を乗り越えることによる手応えを感じることで、ロック部材がピン部材に係合したことを判断することができる。また、ロック部材がピン部材に係合した後は、ロック部材が元の形状に戻る。それにより、保持部によって、ロック部材がピン部材に係合した状態に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の固定構造では、作業機械の使用により、保持部が摩耗することがある。保持部が摩耗すると、ロック部材をピン部材から取り外した後、再度、ロック部材をピン部に係合させる場合に、当初の係合時と同等の手応えを得ることができない。従って、作業者は、ロック部材がピン部材に係合したことを判断することが困難になる。そのため、ピン部材から取り外されたロック部材を再利用することができず、交換部品の取り換えのたびに、新品のロック部材が必要となる。本発明の目的は、ロック部材の再利用が可能であると共に、ロック部材の係合を容易に判断することができる作業機械における交換部品の固定構造、及び、ロック部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る固定構造は、作業機械において交換部品を着脱可能に固定するための固定構造である。当該固定構造は、取付部と、ピン部材と、ロック部材とを備える。交換部品は、取付部に取り付けられる。取付部は、ピン孔を含む。ピン部材は、ピン孔に配置される。ロック部材は、ピン部材に係合し、ピン部材を抜け止めする。ロック部材は、開口と、溝部と、保持部と、抵抗部とを含む。溝部は、開口から延びており、ピン部材に係合する。保持部は、溝部に設けられ、ピン部材が抜けないように保持する。抵抗部は、溝部において開口と保持部との間に設けられる。抵抗部は、ピン部材への係合時にピン部材に接触して手応えを与える。
【0007】
本発明の他の態様に係るロック部材は、作業機械において交換部品を着脱可能に固定するピン部材に係合して抜け止めする。ロック部材は、開口と、溝部と、保持部と、抵抗部とを含む。溝部は、開口から延びており、ピン部材に係合する。保持部は、溝部に設けられ、ピン部材が抜けないように保持する。抵抗部は、溝部において開口と保持部との間に設けられる。抵抗部は、ピン部材への係合時にピン部材に接触して手応えを与える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ピン部材が抜けないように保持する保持部とは別に、係合時に作業者に手応えを与えるための抵抗部が設けられる。それにより、ロック部材の再利用時に、保持部が摩耗していても、作業者は、新品のロック部材と略同等の手応えを得ることができる。それにより、ロック部材の係合を容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】固定構造の
図1におけるV-V断面図である。
【
図6A】ツースをツースアダプタに固定する作業を示す図である。
【
図6B】ツースをツースアダプタに固定する作業を示す図である。
【
図9】第1変形例に係るロック部材を示す図である。
【
図10】第2変形例に係るロック部材を示す図である。
【
図11】第3変形例に係るロック部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態に係る作業機械における交換部品の固定構造について説明する。
図1は、実施形態に係る固定構造1の斜視図である。
図2は、固定構造1の分解斜視図である。
図1及び
図2に示すように、固定構造1は、ツースアダプタ3と、ツース4と、ピン部材5と、ロック部材6とを備える。本実施形態において、固定構造1は、油圧ショベルのバケット2にツース4を固定するための構造である。すなわち、本実施形態において、ツース4は、交換部品に相当する。
【0011】
ツースアダプタ3は、バケット2に固定される。ツース4は、ツースアダプタ3に取り付けられる。ツース4は、ツースアダプタ3を介して、バケット2に取り付けられる。ツース4は、バケット2の使用により摩耗する。摩耗が進んだツース4は、バケット2から取り外され、新たなツース4に取り換えられる。
【0012】
図2に示すように、ツースアダプタ3は、固定部11と取付部12とを含む。固定部11は、バケット2に固定される。例えば、固定部11は、バケット2に溶接により固定される。固定部11は、第1固定部13と第2固定部14とを含む。第1固定部13と第2固定部14とは互いに離れて配置される。バケット2は、第1固定部13と第2固定部14との間に配置される。
【0013】
取付部12は、先細りの形状を有する。第1固定部13と第2固定部14とは、取付部12から、基端側へ向かって突出している。取付部12は、第1ピン孔15を含む。第1ピン孔15は、左右方向に取付部12を貫通している。ツース4は、先細りの形状を有する。ツース4は、先端部16と基端部17とを含む。なお、先端側とは、ツース4の基端部17から先端部16に向かう方向を意味する。基端側とは、ツース4の先端部16から基端部17に向かう方向を意味する。左右方向は、ツース4の基端部17から先端部16に向かう方向に垂直な方向を意味し、バケット2の左右方向に相当する。
【0014】
図3は、ツース4を基端側から見た斜視図である。
図3に示すように、ツース4の基端部17は、凹部18を含む。凹部18は、先端側へ向かって凹んだ形状を有する。ツースアダプタ3の取付部12は、凹部18内に配置される。凹部18は、第1内側面21と第2内側面22とを含む。第1内側面21には、第1ガイド溝23が設けられる。第1ガイド溝23は、ツース4の基端部17から先端側へ向かって延びている。第2内側面22には、第2ガイド溝24が設けられる。第2ガイド溝24は、ツース4の基端部17から先端側へ向かって延びている。ツース4は、第2ピン孔25,26を含む。第2ピン孔25,26は、ツース4を貫通している。第2ピン孔25は、第1ガイド溝23内に設けられる。第2ピン孔26は、第2ガイド溝24に設けられる。
【0015】
ピン部材5は、第1ピン孔15、及び、第2ピン孔25,26内に配置される。ピン部材5は、ツース4とツースアダプタ3とに係合することで、ツース4とツースアダプタ3とを互いに固定する。ピン部材5は、環状のピン溝27を含む。ピン溝27は、ピン部材5の外周面28から凹んだ形状を有する。
【0016】
ロック部材6は、ピン部材5に係合することで、第1ピン孔15、及び、第2ピン孔25,26内に配置されたピン部材5を抜け止めする。ロック部材6は、ピン部材5のピン溝27に係合する。ロック部材6は、例えばマンガン鋼などの鋼材で形成される。ロック部材6は、屈曲した板状の形状を有する。
図4は、ロック部材6を示す図である。
図4に示すように、ロック部材6は、係合部31と、押圧部32と、連結部33とを含む。係合部31は、ピン部材5に係合する。係合部31は、U字状の溝部34と、開口35とを含む。ピン部材5のピン溝27が溝部34内に配置されることで、係合部31はピン部材5に係合する。溝部34は、開口35に連通している。
【0017】
押圧部32は、連結部33に対して屈曲した形状を有する。押圧部32は、ロック部材6をピン部材5に係合させる際に、治具によって押される部分である。連結部33は、係合部31と押圧部32との間に配置される。連結部33は、係合部31と押圧部32とを連結する。ロック部材6は、連結部33において括れた形状を有する。係合部31と連結部33とは、面一の板状の形状を有する。
【0018】
図5は、固定構造1の
図1におけるV-V断面図である。
図5に示すように、ロック部材6は、ツースアダプタ3の取付部12と、ツース4の第1内側面21との間の隙間に挿入され、ツース4内においてピン部材5に係合する。押圧部32は、ツース4の基端部17の後方に位置しており、外部に露出している。
【0019】
次に、ツース4をツースアダプタ3に固定する作業について説明する。まず、
図6Aに示すように、ツース4がツースアダプタ3の取付部12に被せられることで、ツースアダプタ3の取付部12が、ツース4の凹部18内に配置される。そして、ピン部材5が、ツースアダプタ3の第1ピン孔15とツース4の第2ピン孔25,26内に挿入される。次に、
図6Bに示すように、ロック部材6が、第1ガイド溝23内に挿入される。そして、作業者は、治具により、ロック部材6の押圧部32を先端側に向けて押す。それにより、ロック部材6が第1ガイド溝23に沿ってスライドし、
図5に示すように、係合部31がピン部材5に係合する。
【0020】
なお、上記の説明では、ロック部材6が第1ガイド溝23に挿入される場合について説明した。しかし、ロック部材6は、第2ガイド溝24に挿入されてもよい。すなわち、ロック部材6は、ツースアダプタ3の取付部12と、ツース4の第2内側面22との間の隙間に挿入されてもよい。
【0021】
次に、ロック部材6の構造について詳細に説明する。以下の説明では、押圧部32から係合部31に向かう方向を前方、その反対を後方と呼ぶ。また、各図面上において前後方向に垂直な方向を左右方向と呼ぶ。
図7は、ロック部材6の拡大図である。
図7に示すように、溝部34は、前方に向かって開口している。溝部34は、湾曲部41と、第1膨出部42と、第2膨出部43と、第1内側部44と、第2内側部45とを含む。湾曲部41と、第1膨出部42と、第2膨出部43とは、ピン部材5に係合する。
【0022】
湾曲部41は、円弧状の形状を有する。湾曲部41は、ピン溝27よりも大きな内径を有する。第1膨出部42と第2膨出部43とは、左右に互いに離れて配置されている。第1膨出部42と第2膨出部43とは、湾曲部41よりも内側へ膨出している。第1膨出部42は、第1内側部44と湾曲部41との間に位置する。第2膨出部43は、第2内側部45と湾曲部41との間に位置する。
【0023】
図7において二点鎖線は、係合位置に位置するピン部材5を示している。ピン部材5は、係合位置において溝部34に係合する。
図7において、ピン部材5の軸線方向においてピン部材5とロック部材6とが重なる部分にハッチングが付されている。
図7に示すように、第1膨出部42と第2膨出部43とによって、ピン部材5とロック部材6とが重なる部分の面積が増大する。それにより、ピン部材5の軸線方向への脱落が強固に抑えられる。
【0024】
図7に示すように、第1内側部44と第2内側部45とは、左右に互いに離れて配置されている。第1内側部44は、溝部34の右側に位置し、第2内側部45は、溝部34の左側に位置する。第1内側部44は、第1膨出部42から前方へ延びている。第1内側部44は、前方、且つ、左右方向における外方へ向かって、前後方向に対して傾斜している。第2内側部45は、第2膨出部43から前方へ延びている。第2内側部45は、前方、且つ、左右方向における外方へ向かって、前後方向に対して傾斜している。第1内側部44と第2内側部45との間隔は、前方に向かって拡大している。
【0025】
係合部31は、保持部46と抵抗部47とを含む。保持部46と抵抗部47とは、溝部34の内面に設けられている。保持部46は、ピン部材5が抜けないように保持する。保持部46は、溝部34において互いに左右方向において反対側に配置される一対の第1突起48,49を含む。一対の第1突起48,49は、溝部34の内側へ向かって突出している。詳細には、第1突起48は、第1膨出部42に設けられている。第1突起49は、第2膨出部43に設けられている。
【0026】
図8は、係合部31の拡大図である。
図8に示すように、保持部46は、ピン部材5が係合位置から抜けないように、ピン溝27においてピン部材5に接触してピン部材5を保持する。なお、
図8において二点鎖線で示すピン部材5は、ピン部材5のピン溝27の位置を示している。
【0027】
抵抗部47は、保持部46と開口35との間に配置される。抵抗部47は、ピン部材5への係合時にピン部材5に接触して手応えを与える。
図7に示すように、抵抗部47は、溝部34において互いに左右方向において反対側に配置される一対の第2突起51,52を含む。一対の第2突起51,52は、溝部34の内側へ向かって突出している。第2突起51は、第1内側部44に設けられている。第2突起52は、第2内側部45に設けられている。一対の第2突起51,52の間の幅は、一対の第1突起48,49の間の幅よりも狭い。一対の第2突起51,52の間の幅は、ピン溝27の外径よりも狭い。
【0028】
図8において、一点鎖線で示される5’は、係合前のピン部材5の位置を示している。抵抗部47は、ロック部材6の係合時に、ピン部材5が係合位置に到達する前に、ピン部材5に接触することで抵抗力を生じさせるように設けられる。すなわち、ピン部材5は、開口35から溝部34内に入る。そして、ピン部材5は、抵抗部47を通るときに、抵抗部47を押し広げる。それにより、ロック部材6が、弾性変形し、その反力により、抵抗力を生じさせる。それにより、抵抗部47は、ロック部材6のピン部材5への係合時に、手応えを与える。また、ピン部材5が係合位置に位置している状態では、抵抗部47は、ピン部材5と接触しない。
【0029】
以上説明した本実施形態に係る固定構造1によれば、ピン部材5が抜けないように保持する保持部46とは別に、係合時に手応えを与えるための抵抗部47が設けられる。それにより、ロック部材6の再利用時に、保持部46が摩耗していても、新品のロック部材6と略同等の手応えを得ることができる。それにより、ロック部材6の係合を容易に判断することができる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0031】
作業機械は、油圧ショベルに限らず、ブルドーザ、ホイールローダ、或いはグレーダなどの他の機械であってもよい。交換部品は、ツース4に限らず、リップシュラウド、サイドシュラウド、或いはリッパ-ポイントなどの他の部品であってもよい。
【0032】
ロック部材6の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、
図9は、第1変形例に係るロック部材6の拡大図である。
図9に示すように、膨出部は省略されてもよい。保持部46と抵抗部47とは、突起に限らず、溝部34に設けられたアール形状61の一部であってもよい。すなわち、保持部46と抵抗部47とは、溝部34に設けられたアール形状61によって、互いに離れて配置されてもよい。
【0033】
図10は、第2変形例に係るロック部材6の拡大図である。
図10に示すように、保持部46と抵抗部47との間に直線部62が設けられてもよい。すなわち、保持部46と抵抗部47とは、溝部34に設けられた直線部62によって、互いに離れて配置されてもよい。
【0034】
図11は、第3変形例に係るロック部材6の拡大図である。
図11に示すように、第1内側部44と第2内側部45とは、直線状の形状に限らず、屈曲した形状であってもよい。すなわち、第1内側部44は、第1傾斜面63と第2傾斜面64とを含んでもよい。第2傾斜面64は、第1傾斜面63から前方に延びていてもよい。前後方向に対する第2傾斜面64の傾斜角度は、第1傾斜面63の傾斜角度よりも大きくてもよい。図示を省略するが、第2内側部45は、第1内側部44と対称な形状を有してもよい。なお、
図9~
図11では、ロック部材6の右側の部分のみが示されているが、各変形例のロック部材6の左側の部分は、
図9~
図11に示す右側の部分と対称な形状を有している。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、ロック部材の再利用が可能であると共に、ロック部材の係合を容易に判断することができる作業機械における交換部品の固定構造、及び、ロック部材が提供される。
【符号の説明】
【0036】
1:固定構造
4:ツース(交換部品)
5:ピン部材
6:ロック部材
12:取付部
15:第1ピン孔
34:溝部
35:開口
41:湾曲部
42:第1膨出部
44:第1内側部
45:第2内側部
46:保持部
47:抵抗部
48,49:第1突起
51,52:第2突起