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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132421
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス、及びプロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240920BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20240920BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240920BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240920BHJP
   H01B 7/282 20060101ALI20240920BHJP
   H01R 13/58 20060101ALI20240920BHJP
   H01R 13/516 20060101ALI20240920BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G3/32
H01B7/00 301
H01B7/00 306
H01B7/18 G
H01B7/282
H01R13/58
H01R13/516
B60R16/02 623V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043172
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】彦田 直紀
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
5G309
5G313
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FC02
5E087JJ05
5E087JJ09
5E087LL03
5E087LL12
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR06
5E087RR12
5G309AA09
5G309AA10
5G309FA05
5G313AA10
5G313AB01
5G313AC09
5G313AE01
5G313EA09
5G313FA01
5G313FC04
5G313FD07
5G357DA01
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DE03
5G357DE08
5G357DF10
5G357DG01
5G357DG04
5G363AA07
5G363AA12
5G363BA02
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】コネクタの後端部に電線から大きな力が加わることを抑制可能としたワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス11は、コネクタ付き電線12とプロテクタ13とを備える。プロテクタ13は、第1カバー21と結束バンド23とを有する。第1カバー21は、第1取付部24から後方向X1に延びる第1後延部25と、電線15の湾曲している部位の外径側と接触するように延びる第1湾曲部26とを有し、結束バンド23は、電線15がコネクタ14から後方向X1に延びるように、第1後延部25と電線15とを結束する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと前記コネクタから後方向に導出された電線とを有するコネクタ付き電線と、
前記コネクタに取り付けられる取付部と前記電線に接触することで該電線を前記後方向と異なる引き出し方向に向かうように湾曲させる湾曲部とを有するプロテクタと、を備え、
前記プロテクタは、第1カバーと結束バンドとを有し、
前記第1カバーは、前記取付部の少なくとも一部を構成する第1取付部と、前記第1取付部から前記後方向に延びる第1後延部と、前記第1後延部から前記電線の湾曲している部位の外径側と接触するように延びて前記湾曲部の少なくとも一部を構成する第1湾曲部とを有し、
前記結束バンドは、前記電線が前記コネクタから前記後方向に延びるように、前記第1後延部と前記電線とを結束する、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記プロテクタは、第2カバーを有し、
前記第2カバーは、前記取付部の一部を構成する第2取付部と、前記第2取付部から前記後方向に延びて前記第1後延部と共に前記電線が前記コネクタから前記後方向に延びるように前記電線の経路を規制する第2後延部と、前記第2後延部から前記電線の湾曲している部位の内径側に沿って延びて前記湾曲部の一部を構成する第2湾曲部とを有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第1カバーは、前記結束バンドを通すためのバンド用孔を有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記電線は複数並設され、
前記結束バンドは、前記電線毎に設けられている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記電線は複数並設され、
前記結束バンドは、前記複数の電線に対して1つ設けられるとともに、1つで前記複数の電線と前記第1後延部とを結束する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記コネクタは、前記電線の端部を収容するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの後端部で前記コネクタハウジングと前記電線との間に介在される止水ゴムとを有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
コネクタと前記コネクタから後方向に導出された電線とを有するコネクタ付き電線における前記コネクタに取り付けられる取付部と前記電線に接触することで該電線を前記後方向と異なる引き出し方向に向かうように湾曲させる湾曲部とを有するプロテクタであって、
第1カバーと結束バンドとを有し、
前記第1カバーは、前記取付部の少なくとも一部を構成する第1取付部と、前記第1取付部から前記後方向に延びる第1後延部と、前記第1後延部から前記電線の湾曲している部位の外径側と接触するように延びて前記湾曲部の少なくとも一部を構成する第1湾曲部とを有し、
前記結束バンドは、前記電線が前記コネクタから前記後方向に延びるように前記第1後延部と前記電線とを結束する、
プロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネス、及びプロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、コネクタ付き電線と、プロテクタとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。コネクタ付き電線は、コネクタとコネクタから後方向に導出された電線とを有する。プロテクタは、コネクタに取り付けられる取付部と電線に接触することで該電線を後方向と異なる引き出し方向に向かうように湾曲させる湾曲部とを有する。プロテクタは、コネクタの後方で電線が急激に曲げられることを抑制可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-210966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなワイヤハーネスでは、コネクタの後端部とプロテクタとの間に大きな空間が有るため、電線がコネクタの後端部から後方向の斜め方向に延びることが許容されていた。よって、特に電線が高電圧用の太物である場合など、コネクタの後端部に電線から大きな力が加わってしまう虞があった。このことは、例えば、コネクタのコネクタハウジングと電線との間に介在される止水ゴムを変形させる原因となり、ひいてはコネクタの止水性を悪化させる原因となる。
【0005】
本開示の目的は、コネクタの後端部に電線から大きな力が加わることを抑制可能としたワイヤハーネス、及びプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、コネクタと前記コネクタから後方向に導出された電線とを有するコネクタ付き電線と、前記コネクタに取り付けられる取付部と前記電線に接触することで該電線を前記後方向と異なる引き出し方向に向かうように湾曲させる湾曲部とを有するプロテクタと、を備え、前記プロテクタは、第1カバーと結束バンドとを有し、前記第1カバーは、前記取付部の少なくとも一部を構成する第1取付部と、前記第1取付部から前記後方向に延びる第1後延部と、前記第1後延部から前記電線の湾曲している部位の外径側と接触するように延びて前記湾曲部の少なくとも一部を構成する第1湾曲部とを有し、前記結束バンドは、前記電線が前記コネクタから前記後方向に延びるように、前記第1後延部と前記電線とを結束する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネス、及びプロテクタによれば、コネクタの後端部に電線から大きな力が加わることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態におけるワイヤハーネスの斜視図である。
図2図2は、一実施形態におけるワイヤハーネスの分解斜視図である。
図3図3は、図1の3-3線に沿った断面図である。
図4図4は、図1の4-4線に沿った断面図である。
図5図5は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部分解斜視図である。
図6図6は、別例におけるワイヤハーネスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]コネクタと前記コネクタから後方向に導出された電線とを有するコネクタ付き電線と、前記コネクタに取り付けられる取付部と前記電線に接触することで該電線を前記後方向と異なる引き出し方向に向かうように湾曲させる湾曲部とを有するプロテクタと、を備え、前記プロテクタは、第1カバーと結束バンドとを有し、前記第1カバーは、前記取付部の少なくとも一部を構成する第1取付部と、前記第1取付部から前記後方向に延びる第1後延部と、前記第1後延部から前記電線の湾曲している部位の外径側と接触するように延びて前記湾曲部の少なくとも一部を構成する第1湾曲部とを有し、前記結束バンドは、前記電線が前記コネクタから前記後方向に延びるように、前記第1後延部と前記電線とを結束する。
【0010】
同構成によれば、結束バンドによって、電線がコネクタから後方向に延びるように、第1後延部と電線とが結束される。よって、電線をがたつきなくコネクタから後方向に向かわせることができる。よって、コネクタの後端部に電線から大きな力が加わってしまうことを良好に抑制できる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記プロテクタは、第2カバーを有し、前記第2カバーは、前記取付部の一部を構成する第2取付部と、前記第2取付部から前記後方向に延びて前記第1後延部と共に前記電線が前記コネクタから前記後方向に延びるように前記電線の経路を規制する第2後延部と、前記第2後延部から前記電線の湾曲している部位の内径側に沿って延びて前記湾曲部の一部を構成する第2湾曲部とを有していてもよい。
【0012】
同構成によれば、第1後延部及び第2後延部によって、電線がコネクタから後方向に延びるように電線の経路が規制される。よって、例えば、結束バンドが緩んだとしても、コネクタの後端部に電線から大きな力が加わってしまうことを抑制できる。また、第2カバーによって、電線の湾曲している部位の内径側も保護される。
【0013】
[3]上記[1]または上記[2]において、前記第1カバーは、前記結束バンドを通すためのバンド用孔を有していてもよい。
同構成によれば、第1カバーは、結束バンドを通すためのバンド用孔を有するため、結束バンドの位置ずれを防止しつつ第1後延部と電線とを好適に結束できる。
【0014】
[4]上記[1]から上記[3]のいずれか1つにおいて、前記電線は複数並設され、前記結束バンドは、前記電線毎に設けられていてもよい。
同構成によれば、結束バンドは、電線毎に設けられているため、電線の各々を第1後延部と強固に結束できる。
【0015】
[5]上記[1]から上記[3]のいずれか1つにおいて、前記電線は複数並設され、前記結束バンドは、前記複数の電線に対して1つ設けられるとともに、1つで前記複数の前記電線と前記第1後延部とを結束してもよい。
【0016】
同構成によれば、結束バンドは、1つで複数の電線と第1後延部とを結束するため、例えば、電線毎に設けられている場合に比べて、部品点数を低減できる。
[6]上記[1]から上記[5]のいずれか1つにおいて、前記コネクタは、前記電線の端部を収容するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの後端部で前記コネクタハウジングと前記電線との間に介在される止水ゴムとを有していてもよい。
【0017】
同構成によれば、コネクタは、コネクタハウジングの後端部でコネクタハウジングと電線との間に介在される止水ゴムを有するものであるため、コネクタの後端部における止水ゴムに電線から大きな力が加わってしまうことを抑制できる。よって、止水ゴムの変形を抑えることができ、ひいてはコネクタの止水性を良好に確保することができる。
【0018】
本開示のプロテクタは、
[7]コネクタと前記コネクタから後方向に導出された電線とを有するコネクタ付き電線における前記コネクタに取り付けられる取付部と前記電線に接触することで該電線を前記後方向と異なる引き出し方向に向かうように湾曲させる湾曲部とを有するプロテクタであって、第1カバーと結束バンドとを有し、前記第1カバーは、前記取付部の少なくとも一部を構成する第1取付部と、前記第1取付部から前記後方向に延びる第1後延部と、前記第1後延部から前記電線の湾曲している部位の外径側と接触するように延びて前記湾曲部の少なくとも一部を構成する第1湾曲部とを有し、前記結束バンドは、前記電線が前記コネクタから前記後方向に延びるように前記第1後延部と前記電線とを結束する。
【0019】
同構成によれば、結束バンドによって、電線がコネクタから後方向に延びるように、第1後延部と電線とが結束される。よって、電線をがたつきなくコネクタから後方向に向かわせることができる。よって、コネクタの後端部に電線から大きな力が加わってしまうことを良好に抑制できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネス11の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
(ワイヤハーネス11の構成)
図1及び図2に示すように、ワイヤハーネス11は、コネクタ付き電線12と、プロテクタ13とを備える。ワイヤハーネス11は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等に設置されたインバータや高圧バッテリ等の電気機器同士を電気的に接続する高電圧用の部品である。なお、図中には、第1軸線Xと、第1軸線Xと直交する第2軸線Yと、第1軸線Xと第2軸線Yとに直交する第3軸線Zとを図示している。また、図中には、第1軸線Xに沿った前後方向の一方向である後方向X1と、第2軸線Yに沿った上下方向の一方向である引き出し方向Y1とを図示している。
【0022】
(コネクタ付き電線12の構成)
図1及び図2に示すように、コネクタ付き電線12は、コネクタ14と、コネクタ14から後方向X1に導出された2本の電線15とを有する。
【0023】
図3及び図4に示すように、電線15は、芯線15aと、該芯線15aの外周を覆う絶縁被覆15bとを有する被覆電線である。芯線15aとしては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。芯線15aの材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。絶縁被覆15bは、例えば、芯線15aの外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆15bは、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。電線15の横断面形状は円形である。
【0024】
図3に示すように、コネクタ14は、コネクタハウジング16と、止水ゴム17とを有する。コネクタハウジング16は、樹脂材料により構成されている。コネクタハウジング16は、2本の電線15の端部を収容しつつ保持する。止水ゴム17は、コネクタハウジング16の後端部でコネクタハウジング16と電線15との間に介在されることで、外部からコネクタハウジング16の内部への液体の浸入を阻止する。なお、コネクタハウジング16は、芯線15aに接続される図示しない接続端子等も保持する。そして、コネクタ14は、図示しない外部コネクタと嵌合可能に構成され、外部コネクタが嵌合された状態で、外部コネクタの端子に接続端子が接続される。
【0025】
(プロテクタ13の構成)
図1及び図3に示すように、プロテクタ13は、コネクタ14に取り付けられる取付部18と電線15に接触することで該電線15を後方向X1と異なる引き出し方向Y1に向かうように湾曲させる湾曲部19とを有する。
【0026】
詳しくは、図1から図5に示すように、プロテクタ13は、第1カバー21と第2カバー22と結束バンド23とを有する。本実施形態では、結束バンド23は、電線15毎に設けられるものであり、プロテクタ13は、2つの結束バンド23を有する。
【0027】
(第1カバー21の構成)
図3に示すように、第1カバー21は、第1取付部24と、第1後延部25と、第1湾曲部26とを有する。第1カバー21は、樹脂材料により構成されている。第1取付部24は、取付部18の一部を構成している。第1取付部24は、コネクタハウジング16の後端部の外周の半分を覆うように形成され、その周方向の両端部に係止爪24a(図2参照)を有する。
【0028】
第1後延部25は、第1取付部24から後方向X1に延びる。第1後延部25は、電線15の数と同じ数である2つの第1後延凹部25a(図4参照)を有する。第1後延凹部25aの横断面形状は、円弧形状を有する。
【0029】
第1湾曲部26は、第1後延部25から電線15の湾曲している部位の外径側と接触するように延びて湾曲部19の一部を構成している。第1湾曲部26は、電線15の数と同じ数である2つの第1湾曲凹部26aを有する。第1湾曲凹部26aの横断面形状は、円弧形状を有する。第1後延凹部25a及び第1湾曲凹部26aには、電線15の少なくとも一部が収容されることになる。
【0030】
また、図5に示すように、第1湾曲部26における第1先端部26bは、被係合部としての被係合溝26cを有する。被係合溝26cは、第1湾曲部26の先端まで引き出し方向Y1に沿って延びている。本実施形態の被係合溝26cは、第1先端部26bにおいて電線15の並設方向(第3軸線Zに沿った幅方向)の両側に設けられている。詳しくは、被係合溝26cは、第1先端部26bにおいて電線15の並設方向(第3軸線Zに沿った幅方向)の両側だけでなく、電線15の各々を挟む位置に設けられている。言い換えると、被係合溝26cは、第1湾曲凹部26a毎であって電線15毎に一対設けられており、第1先端部26bに合計4つ設けられている。
【0031】
また、図4に示すように、第1カバー21は、結束バンド23を通すためのバンド用孔27を有する。バンド用孔27は、第1後延部25において上下方向に貫通している。バンド用孔27は、第1後延凹部25a毎であって電線15毎に一対設けられており、第1後延部25に合計4つ設けられている。
【0032】
(第2カバー22の構成)
図3に示すように、第2カバー22は、第2取付部28と、第2後延部29と、第2湾曲部30とを有する。第2カバー22は、樹脂材料により構成されている。第2取付部28は、取付部18の一部を構成している。第2取付部28は、コネクタハウジング16の後端部の外周の半分を覆うように形成され、その周方向の両端部に係止片28a(図2参照)を有する。第2取付部28は、第1取付部24と共にコネクタハウジング16の後端部の全周を覆うように、係止片28aが係止爪24aに係止される。これにより、第1取付部24及び第2取付部28によって構成される取付部18は、コネクタハウジング16の後端部を挟み込むことによってコネクタ14に取り付けられる。
【0033】
第2後延部29は、第2取付部28から後方向X1に延びる。第2後延部29は、電線15の数と同じ数である2つの第2後延凹部29aを有する。第2後延凹部29aの横断面形状は、円弧形状を有する。第2後延部29は、第1後延部25と共に電線15がコネクタ14から後方向X1に延びるように電線15の経路を規制する。すなわち、第1後延部25の第1後延凹部25aと第2後延部29の第2後延凹部29aは、電線15を囲みつつ後方向X1に延びることによって、電線15がコネクタ14から後方向X1に真っ直ぐ延びるように電線15の経路を規制する。
【0034】
第2湾曲部30は、第2後延部29から電線15の湾曲している部位の内径側に沿って延びて湾曲部19の一部を構成している。第2湾曲部30は、電線15の数と同じ数である2つの第2湾曲凹部30aを有する。第2湾曲凹部30aの横断面形状は、円弧形状を有する。第2後延凹部29a及び第2湾曲凹部30aには、電線15の少なくとも一部が収容されることになる。第1湾曲部26及び第2湾曲部30によって構成される湾曲部19は、電線15を囲みつつ湾曲して電線15に接触することで該電線15を引き出し方向Y1に向かうように湾曲させる。
【0035】
また、図5に示すように、第2湾曲部30における第2先端部30bは、係合部としての係合凸部30cを有する。係合凸部30cは、第2湾曲部30の先端まで引き出し方向Y1に沿って延びている。本実施形態の係合凸部30cは、第2先端部30bにおいて電線15の並設方向(第3軸線Zに沿った幅方向)の両側に設けられている。詳しくは、係合凸部30cは、第2先端部30bにおいて電線15の並設方向(第3軸線Zに沿った幅方向)の両側だけでなく、電線15の各々を挟む位置に設けられている。言い換えると、係合凸部30cは、第2湾曲凹部30a毎であって電線15毎に一対設けられており、第2先端部30bに合計4つ設けられている。係合凸部30cは、第1カバー21に対して第2カバー22が上方に相対移動されることにより、被係合溝26cに嵌まる。これにより、係合凸部30cは被係合溝26cと前後方向に係合する。係合凸部30cは、被係合溝26cと係合することにより、第1先端部26bの後方向X1に向かう変形を抑制する。すなわち、第1先端部26bは、湾曲している電線15から後方向X1に向かう大きな力を受ける虞があるが、係合凸部30cが被係合溝26cと係合することにより、第1先端部26bの後方向X1に向かう変形が抑制される。また、第1先端部26bと第2先端部30bとは前後方向に離間して開いてしまうことが抑制される。
【0036】
(結束バンド23の構成)
図3及び図4に示すように、結束バンド23は、電線15がコネクタ14から後方向X1に延びるように、第1カバー21の第1後延部25と電線15とを結束する。詳しくは、結束バンド23は、可撓性を有する柔軟な帯状部23aと、帯状部23aの長さ方向の端部に設けられているロック部23bとを有する。ロック部23bは、帯状部23aが通された状態で、その通す方向の反対方向である抜き方向への帯状部23aの移動を規制して、帯状部23aをロックするものである。結束バンド23は、帯状部23aが2つのバンド用孔27に通されつつ第1後延部25と電線15とを覆った状態でロック部23bに通されることで、第1後延部25と電線15とを結束する。結束バンド23は、電線15毎に設けられ、電線15の各々を第1後延部25と結束する。これにより、電線15は、第1後延部25の第1後延凹部25aに密着される。すなわち、電線15は、第1後延凹部25aと第2後延凹部29aとの間で僅かな隙間を有して介在されるが、第1後延凹部25aと密着するように位置決めされる。これにより、電線15はがたつきなく後方向X1に向かって真っ直ぐ延びた状態が維持される。
【0037】
次に、上記のように構成されるワイヤハーネス11の製造方法とその作用について説明する。ワイヤハーネス11の製造方法は、第1カバー21に第2カバー22を組み付ける前に、結束バンド23によって第1後延部25と電線15とを結束する結束工程と、結束工程の後、第1カバー21に第2カバー22を組み付ける組み付け工程を備える。
【0038】
このように、結束バンド23によって第1後延部25と電線15とを先に結束することで、第1カバー21への第2カバー22の組み付けが容易となる。すなわち、電線15が結束バンド23によって第1後延部25と結束されていない状態では、電線15は第1カバー21の第1後延凹部25aから浮くように配置されて第2カバー22の組み付けの抵抗となる虞がある。これに対して、電線15が結束バンド23によって第1後延部25と結束されている状態では、電線15が第1後延凹部25aと接触していることで、第2カバー22の組み付けの抵抗とならないため、第1カバー21への第2カバー22の組み付け性が向上する。このようにコネクタ付き電線12にプロテクタ13が取り付けられることにより、電線15はコネクタ14からまず後方向X1に延び、その後、湾曲されて引き出し方向Y1に引き出される。
【0039】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)プロテクタ13は、結束バンド23を有する。そして、結束バンド23によって、電線15がコネクタ14から後方向X1に延びるように、第1後延部25と電線15とが結束される。よって、電線15をがたつきなくコネクタ14から後方向X1に向かわせることができる。よって、コネクタ14の後端部に電線15から大きな力が加わってしまうことを良好に抑制できる。また、例えば、プロテクタ13の内部で電線15の振動を抑えることができる。
【0040】
コネクタ14は、コネクタハウジング16の後端部でコネクタハウジング16と電線15との間に介在される止水ゴム17を有するものであるため、コネクタ14の後端部における止水ゴム17に電線15から大きな力が加わってしまうことを抑制できる。よって、止水ゴム17の変形を抑えることができ、ひいてはコネクタ14の止水性を良好に確保することができる。
【0041】
(2)プロテクタ13は、第2カバー22を有する。そして、第1後延部25及び第2後延部29によって、電線15がコネクタ14から後方向X1に延びるように電線15の経路が規制される。よって、例えば、結束バンド23が緩んだとしても、コネクタ14の後端部に電線15から大きな力が加わってしまうことを抑制できる。また、第2カバー22によって、電線15の湾曲している部位の内径側も保護される。また、第2カバー22を有する構成においては、結束バンド23によって第1後延部25と電線15とを先に結束することで、第1カバー21への第2カバー22の組み付けが容易となる。すなわち、結束バンド23は、第2カバー22の組み付け性を向上させる役割を果たす。
【0042】
(3)第1カバー21は、結束バンド23を通すためのバンド用孔27を有するため、結束バンド23の位置ずれを防止しつつ第1後延部25と電線15とを好適に結束できる。
【0043】
(4)結束バンド23は、電線15毎に設けられているため、電線15の各々を第1後延部25と強固に結束できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
・上記実施形態では、結束バンド23は、電線15毎に設けられているとしたが、これに限定されず、結束バンド23は、1つで複数の電線15と第1後延部25とを結束するようにしてもよい。
【0045】
例えば、図6に示すように、結束バンド23は、2つの電線15に対して1つ設けられるとともに、1つで2つの電線15と第1後延部25とを結束するようにしてもよい。この例の結束バンド23は、帯状部23aが4つ全てのバンド用孔27に通されつつ第1後延部25と2つの電線15とを覆った状態でロック部23bに通されることで、第1後延部25と2つの電線15とを結束する。このようにすると、結束バンド23が電線15毎に設けられている場合に比べて、部品点数を低減できる。
【0046】
・上記実施形態では、被係合部及び係合部は、引き出し方向Y1に沿って延びる被係合溝26c及び係合凸部30cであるとしたが、これに限定されず、例えば、被係合孔及び被係合孔に引っ掛かる係合爪等に変更してもよい。また、逆に、係合部が係合溝で、被係合部が被係合凸部であってもよい。
【0047】
・上記実施形態では、被係合溝26c及び係合凸部30cは、第1先端部26b及び第2先端部30bにおいて複数の電線15の並設方向の両側だけでなく、電線15の各々を挟む位置に設けられるとしたが、これに限定されず、位置や数を変更してもよい。例えば、被係合溝26c及び係合凸部30cは、第1先端部26b及び第2先端部30bにおいて複数の電線15の並設方向の両側にのみ設けられているように変更してもよい。また、例えば、被係合溝26c及び係合凸部30cは、第1先端部26b及び第2先端部30bにおいて複数の電線15の並設方向の中間部にのみ設けられているように変更してもよい。
【0048】
・上記実施形態では、プロテクタ13は第2カバー22を有するとしたが、これに限定されず、第2カバー22を有していなくてもよい。なお、この場合、第1カバー21の第1取付部24は、第2取付部28に関わらず単独でコネクタ14に取り付け可能な構成に変更する必要がある。
【0049】
・上記実施形態では、第1湾曲部26における第1先端部26bは被係合溝26cを有し、第2湾曲部30における第2先端部30bは係合凸部30cを有するとしたが、これに限定されず、被係合溝26c及び係合凸部30cを有していなくてもよい。
【0050】
・上記実施形態では、第1カバー21は、結束バンド23を通すためのバンド用孔27を有するとしたが、これに限定されず、バンド用孔27を有していない構成としてもよい。この場合、例えば、結束バンド23は、バンド用孔27を通さずに、第1カバー21の全体と電線15とを結束するようにしてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、コネクタ14は、コネクタハウジング16と電線15との間に介在される止水ゴム17を有するものであるとしたが、これに限定されず、止水ゴム17を有していない構成としてもよい。このようにしても、コネクタ14の後端部に電線15から大きな力が加わってしまうことを抑制できることで、例えば、コネクタハウジング16の破損等を抑制できる。
【0052】
・上記実施形態では、電線15の延びる後方向X1と引き出し方向Y1とは直交する方向であるとしたが、これに限定されず、引き出し方向Y1は、後方向X1と異なる方向であればよい。
【0053】
・上記実施形態では、コネクタ付き電線12は、2本の電線15を有するとしたが、これに限定されず、1本の電線15のみを有する構成としてもよいし、3本以上の電線15を有する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
11 ワイヤハーネス
12 コネクタ付き電線
13 プロテクタ
14 コネクタ
15 電線
15a 芯線
15b 絶縁被覆
16 コネクタハウジング
17 止水ゴム
18 取付部
19 湾曲部
21 第1カバー
22 第2カバー
23 結束バンド
23a 帯状部
23b ロック部
24 第1取付部
24a 係止爪
25 第1後延部
25a 第1後延凹部
26 第1湾曲部
26a 第1湾曲凹部
26b 第1先端部
26c 被係合溝
27 バンド用孔
28 第2取付部
28a 係止片
29 第2後延部
29a 第2後延凹部
30 第2湾曲部
30a 第2湾曲凹部
30b 第2先端部
30c 係合凸部
X 第1軸線
X1 後方向
Y 第2軸線
Y1 引き出し方向
Z 第3軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6