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特開2024-132424包装用容器および包装用容器へのレーザマーキング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132424
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】包装用容器および包装用容器へのレーザマーキング方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/20 20060101AFI20240920BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D65/20
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043176
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】浅野 悦男
(72)【発明者】
【氏名】竹山 陽一
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AC33
3E086AD23
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA33
3E086BA35
3E086BB21
3E086BB22
3E086BB41
3E086BB61
3E086BB63
3E086CA01
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】包装用容器に付されるラベルを削減しつつ、各情報を鮮明に表示することが可能にすることができる。
【解決手段】包装用容器10は、樹脂シート20によって形成された包装用容器である。樹脂シート20は、少なくとも一部に二酸化チタンを含有するコア層21と、コア層21において、二酸化チタンに対して炭酸ガスレーザ61が照射されて黒色にレーザマーキングされたマーキング部50と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートによって形成された包装用容器であって、
前記樹脂シートは、
少なくとも一部に二酸化チタンを含有するコア層と、
前記コア層において、前記二酸化チタンに対して炭酸ガスレーザが照射されて黒色にレーザマーキングされたマーキング部と、
を備えた、包装用容器。
【請求項2】
前記コア層は、前記二酸化チタンを3.0質量%~5.0質量%の濃度で含有し、かつ、ブルーイング剤を0.0025質量%~0.0080質量%の濃度で含有している、請求項1に記載された包装用容器。
【請求項3】
前記樹脂シートは、前記コア層に積層され、前記二酸化チタンを含有しない透明な樹脂によって形成されたスキン層を有し、
前記樹脂シートの全体厚みに対する前記コア層の厚みの割合は、60%以上かつ99%以下である、請求項1に記載された包装用容器。
【請求項4】
前記マーキング部は、黒色にレーザマーキングされた製造年月日、賞味期限、消費期限または製造番号である、請求項1から3までの何れか1つに記載された包装用容器。
【請求項5】
少なくとも一部に二酸化チタンを含有するコア層を備えた樹脂シートによって形成された包装用容器に対して、前記コア層に含有された前記二酸化チタンに炭酸ガスレーザを照射して、黒色にレーザマーキングされたマーキング部を形成する、包装用容器へのレーザマーキング方法。
【請求項6】
前記樹脂シートは、前記コア層に積層され、前記二酸化チタンを含有しない透明な樹脂によって形成されたスキン層を有し、
前記樹脂シートの全体厚みに対する前記コア層の厚みの割合は、60%以上かつ99%以下であり、
前記スキン層側から前記コア層に前記炭酸ガスレーザを照射して前記マーキング部を形成する、請求項5に記載された包装用容器へのレーザマーキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器および包装用容器へのレーザマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、食品を収容する食品用容器が開示されている。この食品用容器は、樹脂製である。食品用容器は、食品を収容する容器本体部と、容器本体部の開口部と嵌合する合成樹脂シートから成る蓋体部と、を備えた蓋嵌合容器である。蓋体部には、レーザ光線の照射によって、複数の排気長孔が形成されている。排気長孔は、容器本体部内に収容された食品から発生する蒸気を外部に排出するための孔である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6495356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような食品用容器には、例えば食品の製造年月日、消費期限(または賞味期限)などの食品情報が記載されたラベルが付されていることがあり得る。しかしながら、近年の環境問題を背景に、上記のラベルを削減することが進められている。上記のラベルを削減した場合であっても、上記食品情報は、食品用容器に表示されることが好ましく、更には表面の平滑性を保ちつつ、より鮮明に表示されることが好ましい。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、包装用容器に付されるラベルを削減しつつ、各情報を鮮明に表示することが可能な包装用容器および包装用容器へのレーザマーキング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装用容器は、樹脂シートによって形成された包装用容器である。前記樹脂シートは、少なくとも一部に二酸化チタンを含有するコア層と、前記コア層において、前記二酸化チタンに対して炭酸ガスレーザが照射されて黒色にレーザマーキングされたマーキング部と、を備えている。
【0007】
前記包装用容器によれば、コア層のうち二酸化チタンが含有された部分は白色であり、炭酸ガスレーザを照射してレーザマーキングされたマーキング部は黒色になる。これにより、白黒のコントラストが鮮明になるため、マーキング部による表示を識別し易くすることができる。また、従来では包装用容器にラベルを付していたが、例えばラベルに印字された情報などを、レーザマーキングによって形成されたマーキング部に含ませることで、包装用容器に付されたラベルを削減することができる。その結果、ラベルに使用される材料の消費量を削減することができる。
【0008】
本発明の好ましい一態様によれば、前記コア層は、前記二酸化チタンを3.0質量%~5.0質量%の濃度で含有し、かつ、ブルーイング剤を0.0025質量%~0.0080質量%の濃度で含有している。
【0009】
上記態様によれば、ブルーイング剤は、樹脂の黄色味を抑える添加剤である。よって、コア層にブルーイング剤を含有させることで、コア層の黄色味を抑えることができ、より白色性に優れたコア層を実現することができる。したがって、白黒のコントラストをより鮮明にすることができるため、マーキング部による表示をより識別し易くすることができる。
【0010】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記樹脂シートは、前記コア層に積層され、前記二酸化チタンを含有しない透明な樹脂によって形成されたスキン層を有する。前記樹脂シートの全体厚みに対する前記コア層の厚みの割合は、60%以上かつ99%以下である。
【0011】
上記態様によれば、透明な樹脂によって形成されたスキン層は薄い。そのため、炭酸ガスレーザを照射してレーザマーキングを行う際、薄い透明なスキン層は透過されてコア層にマーキング部が形成されることになる。よって、包装用容器の表面上にマーキング部が形成されず、スキン層で被覆されるため、包装用容器の表面の平滑性を保つことができる。
【0012】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記マーキング部は、黒色にレーザマーキングされた製造年月日、賞味期限、消費期限または製造番号である。
【0013】
上記態様によれば、炭酸ガスによるレーザマーキングによって、製造年月日、賞味期限、消費期限または製造番号を黒色で包装用容器に印字することができる。
【0014】
本発明に係る包装用容器へのレーザマーキング方法では、少なくとも一部に二酸化チタンを含有するコア層を備えた樹脂シートによって形成された包装用容器に対して、前記コア層に含有された前記二酸化チタンに炭酸ガスレーザを照射して、黒色にレーザマーキングされたマーキング部を形成する。
【0015】
前記の包装用容器へのレーザマーキング方法によれば、コア層に含有された二酸化チタンに炭酸ガスレーザを照射するという方法で、黒色にレーザマーキングされたマーキング部を包装用容器に形成することができる。よって、上述の包装用容器と同様の効果を得ることができる。
【0016】
本発明の好ましい一態様によれば、前記樹脂シートは、前記コア層に積層され、前記二酸化チタンを含有しない透明な樹脂によって形成されたスキン層を有している。前記樹脂シートの全体厚みに対する前記コア層の厚みの割合は、60%以上かつ99%以下である。前記包装用容器へのレーザマーキング方法では、前記スキン層側から前記コア層に前記炭酸ガスレーザを照射して前記マーキング部を形成する。
【0017】
上記態様によれば、透明な樹脂によって形成されたスキン層は薄い。そのため、炭酸ガスによるレーザマーキングを行う際、薄い透明なスキン層を透過させてコア層にマーキング部を形成することができる。よって、包装用容器の表面上にマーキング部が形成されず、スキン層で被覆されるため、包装用容器の表面の平滑性を保つことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、包装用容器に付されるラベルを削減しつつ、各情報を鮮明に表示することが可能な包装用容器および包装用容器へのレーザマーキング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る包装用容器を示す斜視図である。
図2】包装用容器を形成する樹脂シートの断面図である。
図3】マーキング部の一例を示す図である。
図4】マーキング部の他の一例を示す図である。
図5】レーザ照射装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に関する一実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る包装用容器10を示す斜視図である。図2は、包装用容器10を形成する樹脂シート20の断面図である。包装用容器10は、例えば食品が収容される容器である。包装用容器10は、加熱される容器であってもよい。ここでは、例えば包装用容器10は、食品を収容した状態で電子レンジに入れられて加熱される容器である。ただし、包装用容器10は、食品が収容される容器に限定されないし、電子レンジによって加熱される容器に限定されない。図1に示すように、包装用容器10は、容器体11と、蓋体15とを備えている。包装用容器10、すなわち容器体11および蓋体15は、樹脂シート20(図2参照)によって形成されている。包装用容器10は、樹脂シート20によって形成されたものであれば、その種類、用途および形状などは特に限定されるものではない。
【0022】
樹脂シート20は、ポリエステルによって形成されたシートであり、いわゆるポリエステルシートである。例えば樹脂シート20は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう。)によって形成されている。ただし、樹脂シート20を形成する材料は、PETに限定されず、例えばポリ乳酸(以下、PLAともいう。)であってもよい。PLAは、トウモロコシ、芋、サトウキビ、ビートなどの農産物を原料とする生分解性プラスチックの一種である。
【0023】
図2に示すように、樹脂シート20は、複数の層から形成されている。なお、樹脂シート20を形成する層の数は特に限定されない。以下では、3つの層によって形成された樹脂シート20について説明する。
【0024】
本実施形態では、樹脂シート20は、コア層21と、スキン層22(ここでは、2つのスキン層22)とを備えている。樹脂シート20は、コア層21とスキン層22とが積層されたシートである。
【0025】
コア層21は、ポリエステル(例えばPET)を含有する層である。コア層21に含有されるポリエステルは、再生ポリエステルであってもよいし、バージンポリエステルであってもよい。再生ポリエステルとは、例えば市場から回収した使用済みのポリエステル品(例えばPETボトルやPETトレイなど)から得られる使用済みのポリエステルからなるものである。再生ポリエステルとは再利用されたポリエステルのことである。バージンポリエステルとは、再生ポリエステルを含まないポリエステルのことであり、未利用の(言い換えると、再利用されていない)ポリエステルのことである。バージンポリエステルは新材である。
【0026】
本実施形態では、コア層21は、いわゆるレーザ吸収剤を含有している。レーザ吸収剤とは、後述の炭酸ガスレーザが照射されることで変色(例えば黒色に変化)するものである。ここでは、レーザ吸収剤として、二酸化チタン(すなわち酸化チタン)が含有されている。二酸化チタンは、炭酸ガスレーザが照射されることによって、周囲の樹脂と反応して加熱することにより炭化し、黒色に変色することが考えられる。なお、本実施形態では、二酸化チタンに炭酸ガスレーザが照射されてレーザマーキングされることによって、後述のマーキング部50(図1参照)が形成される。コア層21に含有される二酸化チタンは、主にマーキング部50を形成するために使用されるものである。そのため、二酸化チタンは、コア層21の少なくとも一部に含有されていればよく、例えばマーキング部50を形成するコア層21の部分に少なくとも含有されていればよい。言い換えると、マーキング部50を形成しないコア層21の部分には、二酸化チタンが含有されていてもよいし、含有されていなくてもよい。もちろん、コア層21の全体に二酸化チタンが含まれていてもよい。
【0027】
なお、レーザ吸収剤の一例である二酸化チタンの種類は特に限定されない。二酸化チタンとして、例えばアナターゼ型とルチル型が挙げられる。ルチル型の二酸化チタンは、熱安定性、着色力および隠蔽性の観点から優れている。そのため、本実施形態では、二酸化チタンとしてルチル型であることが好ましい。また、二酸化チタンとして、結晶構造が異なる2種類以上の二酸化チタンが用いられてもよい。例えば二酸化チタンとして、ルチル型とアナターゼ型の両方の二酸化チタンが用いられてもよい。なお、結晶構造が異なる二酸化チタンを2種類以上用いる場合には、一方の二酸化チタン粒を中核とし、これを適宜の方法によって他方の二酸化チタン粒で被覆した形態の二酸化チタンを用いてもよい。
【0028】
なお、本実施形態では、レーザ吸収剤として二酸化チタンがコア層21に含まれているが、レーザ吸収剤は、二酸化チタンに限定されない。例えばレーザ吸収剤として、二酸化ケイ素(SiO2)などのケイ素化合物、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素材料、雲母などの層状ケイ酸塩、酸化鉄、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、スズ、亜鉛、銀、チタン、アンチモン、マンガン、鉄、ニッケル、クロムなどの金属粉または金属の酸化物、水酸化物、硫化物、硫酸塩およびリン酸塩、レーザ吸収(無機または)有機色素または金属酸化物被覆フレーク、顔料や各種着色剤が挙げられる。これらのレーザ吸収剤は、樹脂組成物中に1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。
【0029】
レーザ吸収剤としての二酸化チタンは、白色着色料であり得る。そのため、コア層21のうち、少なくとも二酸化チタンが含有された部分は白色で構成されている。例えばコア層21の全体に二酸化チタンが含有されている場合には、コア層21の全体が白色で構成されている。
【0030】
本実施形態では、コア層21には、ブルーイング剤が含有されている。ブルーインク剤とは、樹脂(例えば透明樹脂)の黄色味を抑える添加剤のことである。このように二酸化チタンが含有されたコア層21は、白色の層になるが、ブルーイング剤を更に含有させることで、黄色味を抑えることができ、より白色性に優れたコア層21にすることができる。ブルーイング剤として、例えば無機系および有機系のブルーイング剤が挙げられる。無機系のブルーイング剤として、無機系の染料および顔料、例えば群青(ウルトラマリン青)、紺青(プロシア青(フェロシアン化鉄カリ))、およびコバルトブルーなどが挙げられる。また、有機系のブルーイング剤として、有機系の染料および顔料、例えばフタロシアニン系化合物、モノアゾ系化合物、ジアゾ系化合物、トリアリルメタン系化合物、および縮合多環系化合物(例えばインジゴ系化合物、アントラキノン系化合物)などが挙げられる。本実施形態では、ブルーイング剤として、好ましくは無機系のブルーイング剤であり、より好ましくは群青である。
【0031】
本実施形態では、コア層21中の二酸化チタンの濃度は3.0質量%以上であり、かつ、ブルーイング剤の濃度は0.0025質量%以上であることが好ましい。ここでは、コア層21に含有される二酸化チタンの濃度は、例えば3.0質量%~5.0質量%である。また、コア層21に含まれるブルーイング剤の濃度は、例えば0.0025質量%~0.0080質量%である。
【0032】
なお、二酸化チタンおよびブルーイング剤の粒径は特に限定されない。二酸化チタンの粒径として、好ましくは0.25μm以上である。二酸化チタンの粒径が上記範囲であることによって、ブルーイング剤の濃度変化に対する樹脂シート20の色彩値(例えばb*値)の変動を小さくすることができる。その結果、樹脂シート20の色ブレを抑制し、色合いを安定化させることができる。ブルーイング剤の粒径は、例えば0.3μm~2.0μmである。なお、ここでの粒径は、マイクロトラック法により測定された粒径である。
【0033】
なお、コア層21には、成形性を著しく損なわない範囲において、樹脂シート20や包装用容器10を作製する際に発生する耳ロスや、スケルトンなどの製造工程内ロス(端材)が含まれてもよい。
【0034】
スキン層22は、レーザ吸収剤(ここでは、二酸化チタン)を含有しない層であり、透明な樹脂によって形成された層である。ここでは、スキン層22は、透明なポリエステル(例えばPET)によって形成された層である。本実施形態では、スキン層22に含まれるポリエステルは、上述のバージンポリエステルであり、未利用のポリエステルである。バージンポリエステルは、トウモロコシ、芋、サトウキビ、ビートなどの植物由来の原料を使用して作製されたバイオマス由来のポリエステルであってもよい。バージンポリエステルには、いわゆる石油由来のポリエステルが含まれてもよい。
【0035】
なお、スキン層22には、透明性や機能性を著しく損なわない範囲において、必要に応じてポリエステル(例えばPET)以外の他の成分が含まれていてもよい。当該他の成分として、例えば公知の樹脂シートに使用されている添加剤(例えば難燃材、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防雲剤、滑剤(例えば滑剤MB(マスターバッチ)、アンチブロッキング剤、流動性改質剤、可塑剤、分散剤、および抗菌剤など)が挙げられる。
【0036】
本実施形態では、図2に示すように、スキン層22は、コア層21の両面に積層されている。ここでは、スキン層22は、コア層21の幅広な面の両面(図2では上面および下面)に設けられている。ここでは、スキン層22の数は2つである。コア層21は、2つのスキン層22によって挟まれている。なお、スキン層22の数は1つであり、コア層21の片面にのみスキン層22が設けられてもよい。また、スキン層22は省略されてもよい。
【0037】
また、1つのコア層21は、単層であってもよいし、多層であり、複数の層(ここでは複数のコア層)が積層されて形成されてもよい。同様に、1つのスキン層22は、単層であってもよいし、多層であり、複数の層(ここでは複数のスキン層)が積層されて形成されてもよい。
【0038】
本実施形態では、樹脂シート20の具体的な形状は特に限定されず、必要に応じて適宜に決定することができる。なお、ここでいう「シート」には、フィルム状も含まれるものとする。樹脂シート20の厚みは、例えば0.1mm~5.0mm、または、0.2mm~3mm程度である。ここで、樹脂シート20の厚みとは、コア層21とスキン層22とを合わせた全体の厚みのことである。本実施形態では、コア層21とスキン層22のうち、コア層21の方がスキン層22よりも厚みが大きい。例えば樹脂シート20の全体厚みに対する、コア層21の厚みの割合は、60%以上かつ99%以下であり、好ましくは70%以上かつ99%以下、特に好ましくは80%以上かつ99%以下である。ここでは、スキン層22を構成する透明の樹脂は、他の波長のガスレーザと異なり、炭酸ガスレーザを照射させると、ほとんど吸収してしまい溶融するおそれがあるが、厚みを薄くすればするほど透過させることができると考えられる。これにより、薄いスキン層22を有する樹脂シート20または包装用容器10に炭酸ガスレーザを照射することで、表面の平滑性に優れたマーキング部50の形成を期待することができる。ここでは、例えばコア層21とスキン層22の厚みの比率は、コア層:スキン層=92:8である。2つのスキン層22の厚みは、同じであるが、異なっていてもよい。
【0039】
樹脂シート20は、押出成形の後、二軸延伸させて形成されたシートである。樹脂シート20を二軸延伸することで薄肉に形成することができる。樹脂シート20に対する二軸延伸は、同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。
【0040】
以上、本実施形態に係る樹脂シート20について説明した。本実施形態では、図1に示すように、樹脂シート20を成形(例えば熱成形または真空成形)することで、包装用容器10が作製される。包装用容器10は、上述のように容器体11と、蓋体15とを備えている。容器体11および蓋体15は、樹脂シート20によって形成されている。
【0041】
容器体11は、上方に開口した容器状のものである。図1に示すように、容器体11は、底部12と側壁部13とを有している。底部12は、容器体11の底の部分を構成している。側壁部13は、底部12から立ち上っている。側壁部13は、例えば平面視における底部12の端(例えば周端)から上方に向かって延びている。側壁部13は、平面視において底部12を囲むように配置されている。なお、側壁部13は、底部12に対して垂直方向に延びていてもよいし、底部12に対して斜め上方に延びたものであってもよい。言い換えると、側壁部13は、底部12から上方に離れるにしたがって、底部12の外方に向かうように傾斜していてもよい。底部12および側壁部13は、平らな面を有していてもよいし、剛性を高めるために凸部または凹部(図示せず)が設けられてもよい。ここで、底部12と側壁部13とに囲まれた空間に、食品などが収容される。
【0042】
本実施形態では、底部12は円形状である。ただし、底部12の形状は特に限定されず、容器体11の形状も特に限定されるものではない。ここでは、容器体11には、側壁部13の上縁によって、側壁部13に囲まれた容器開口(図示せず)が形成されている。当該容器開口は、上方に向かって開口している。
【0043】
図1に示すように、蓋体15は、容器体11に装着可能なものである。ここでは、蓋体15は、容器体11の容器開口を開閉自在に容器体11に装着される。蓋体15は、容器体11の側壁部13の上端に装着されることによって、容器開口を閉鎖する。なお、本実施形態では、蓋体15は容器体11と別体であるが、蓋体15の一部が容器体11と連結していてもよい。本実施形態では、蓋体15は、天面部16と嵌合部17とを備えている。
【0044】
天面部16は、蓋体15の天面の部分を構成している。天面部16は、蓋体15を容器体11に装着したときにおいて、底部12と対向している。例えば蓋体15が容器体11に装着されたとき、天面部16は、底部12と平行になるように配置されている。
【0045】
嵌合部17は、蓋体15が容器体11に装着されたとき、容器体11に嵌合するものである。本実施形態では、嵌合部17は、容器体11の側壁部13の上端部に嵌合可能なものである。嵌合部17は、平面視における天面部16の端(例えば周端)に設けられている。嵌合部17は、平面視において天面部16を囲むようにして設けられている。嵌合部17は、蓋体15が容器体11に装着されている状態において、側壁部13の上端部に対応した位置に配置されている。なお、嵌合部17の具体的な構成は特に限定されない。嵌合部17には、例えば容器体11の側壁部13の上端部に嵌め込まれる凹部(図示せず)が設けられてもよい。当該凹部は、平面視において天面部16を囲むように設けられており、嵌合部17の底面から上方凹むように形成されている。
【0046】
本実施形態では、蓋体15の天面部16には、開口弁18が形成されている。開口弁18は、気体または液体が出入りする弁である。上述のように、本実施形態では、包装用容器10は、食品を収容した状態で電子レンジに入れられて加熱される容器である。包装用容器10が加熱されるとき、食品が温められることで蒸気(例えば水蒸気)が発生する。蓋体15の開口弁18は、食品が温められることで発生する蒸気が包装用容器10の外部に排出されるときに通過する弁である。なお、天面部16に形成される開口弁18の数、および、位置は特に限定されない。本実施形態では、蓋体15の天面部16に形成される開口弁18の数は2つである。また、開口弁18は、天面部16の中央部分に形成されている。
【0047】
なお、開口弁18の構成は特に限定されない。ここでは、開口弁18は、天面部16に形成された通過孔19aと、通過孔19aを開閉可能な弁体19bとを有している。気体や液体は通過孔19aを通過する。弁体19bは、天面部16と繋がっている。本実施形態では、弁体19bは、天面部16に切り込みを入れられることで形成される。天面部16における切り込みを入れられた部分が通過孔19aとなり、かつ、弁体19bとなる。ここでは、例えばレーザ(例えば炭酸ガスレーザ)が天面部16に照射されることで切り込みを入れることができ、その結果、通過孔19aと弁体19bが形成される。弁体19bは、通過孔19aと合致する形状である。弁体19bは、樹脂シート20によって形成されている。通過孔19aおよび弁体19bの形状は特に限定されないが、例えばU字状である。
【0048】
なお、弁体19bは省略されてもよく、複数の通過孔19aのみが蓋体15に形成されてもよい。この場合、通過孔19aは、常時開口された状態になる。この場合、通過孔19aは、小さい方が好ましく、より多くの通過孔19aが蓋体15に形成されているとよい。
【0049】
図示は省略するが、包装用容器10は、容器体11と蓋体15以外に、中皿を備えていてもよい。中皿は、容器体11と蓋体15との間に配置されるものである。例えば中皿は、容器体11の容器開口を閉鎖するように容器体11の上端部に載せられる。そして、中皿が容器体11に載せられた状態で、蓋体15は容器体11に装着される。例えば包装用容器10に食品の一例としてラーメンを収容する場合、容器体11にはスープなどが入れられ、上記の中皿には麺や具材などが入れられる。
【0050】
本実施形態では、図1に示すように、包装用容器10は、マーキング部50を備えている。マーキング部50は、コア層21において、二酸化チタンに対して黒色にレーザマーキングされることで形成されるものである。ここでは、包装用容器10のコア層21に対して炭酸ガスレーザを照射する。このとき、炭酸ガスレーザに照射された二酸化チタンが炭化して黒色に変色する。レーザが照射されることによって二酸化チタンなどのレーザ吸収剤が変色することを、レーザマーキングという。レーザマーキングによって、コア層21に対して刻印、印字、加工などが施される。このように、レーザマーキングによって刻印、印字、加工などが施されたコア層21の部分をマーキング部50という。
【0051】
マーキング部50は、例えば黒色の数字などを含む文字によって構成されている。ここで、マーキング部50を構成する具体的な文字は特に限定されない。図3図4は、マーキング部50の一例を示す図である。図3は、蓋体15の天面部16の一部を示す平面図である。図4は、容器体11の底部12の一部を示す底面図である。例えばマーキング部50は、黒色にレーザマーキングされた製造年月日51(図3参照)、賞味期限または消費期限52(図3参照)、製造番号53(図4参照)などである。製造年月日51は、包装用容器10に収容される食品が製造または加工された年月日のことである。賞味期限または消費期限52のうち、賞味期限は、包装用容器10に収容される食品の品質を保つことができる期限のことであり、消費期限は、包装用容器10に収容される食品を安全に食べれる期限のことである。製造番号53は、包装用容器10を作製した際に付される包装用容器10に対する固有の番号のことであり、ロット番号などが含まれる。製造番号53によって、包装用容器10がいつどこで誰によって作製されたかを特定することができる。
【0052】
なお、マーキング部50が形成される包装用容器10の位置は特に限定されない。マーキング部50は、包装用容器10の容器体11に形成されてもよいし、蓋体15や上記の中皿(図示せず)に形成されてもよい。図3に示すように、例えばマーキング部50の製造年月日51、および、賞味期限または消費期限52は、蓋体15の天面部16に形成されている。ただし、製造年月日51、および、賞味期限または消費期限52は、容器体11に形成されてもよく、例えば底部12または側壁部13に形成されてもよい。さらに製造年月日51、および、賞味期限または消費期限52は、容器体11と蓋体15の両方に形成することが可能であり、上述の中皿に形成することが可能である。図4に示すように、例えばマーキング部50の製造番号53は、容器体11の底部12に形成されている。ただし、製造番号53は、容器体11の側壁部13に形成されていてもよく、蓋体15に形成されていてもよい。さらに製造番号53は、容器体11と蓋体15の両方に形成されていてもよいし、上述の中皿に形成されていてもよい。
【0053】
次に、本実施形態に係る樹脂シート20を作製する一例について説明する。ここでは樹脂シート20を作製するにあたり、原料として、バージンポリエステル、滑剤MB(マスターバッチ)、白着色MBを用意する。ここでは、コア層21およびスキン層22で使用されるポリエステルとして、バージンポリエステルを用いることとする。本実施形態では、バージンポリエステルとして、中国 Zhejiang Wankai New Materials Co.,Ltd製の「WK811」を使用する。このバージンポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が70度であり、IV値は、0.80dl/gである。ここでのIV値は、JIS K7367-5に準拠して、溶媒として、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(重量比3/1)の混合溶媒を用いて測定されることができる。
【0054】
滑剤MBとして、例えば東洋紡績株式会社製の「RE555」を使用する。この滑剤MBは、極限粘度IV値が0.62dl/gのポリエステル樹脂に、平均粒子径が2.4μmの球状シリカ7000ppmを重合時に混合した微粒子を含有するポリエステル樹脂を含んでいる。また、白着色MBとして、例えば日弘ビックス株式会社製の試作品を使用する。この白着色MBには、粒径0.25μmのルチル型の二酸化チタン60%、および、粒径0.3μm~2.0μmのブルーイング剤(群青)0.05%~0.15%を含んでいる。
【0055】
ここでは、94質量%のバージンポリエステルと、6質量%の滑剤MBを混合し、スキン層形成用混合物を調製する。次に、バージンポリエステルと白着色MBを混合し、コア層形成用混合物を調製する。コア層形成用混合物において、バージンポリエステルは92質量%~95質量%であり、白着色MBの添加量は5質量%~8質量%である。
【0056】
その後、株式会社プラスチック工学研究所製の型式「SBIN-42-S2-30-L」の二軸押出機を使用して、押出成形を行う。ここでは、上記のスキン層形成用混合物とコア層形成用混合物とを上記二軸押出機に供給し、温度280℃で溶融混錬押出しを行うことで、厚みが0.4mm程度の樹脂シート20を作製することができる。このときの樹脂シート20は、スキン層22、コア層21、スキン層22の順に積層された層であり、スキン層22、コア層21、スキン層22の厚みの比率は、スキン層:コア層:スキン層=4:92:4である。また、このときの樹脂シート20のコア層21における二酸化チタンの濃度は例えば3.0%~4.8%であり、ブルーイング剤の濃度は例えば0.0025%~0.0080%である。またコア層21に含まれるバージンポリエステルには、押出成形時に発生する工程ロス(端材)や再生ポリエステルが含まれてもよい。
【0057】
このようにして作製された樹脂シート20に対して、熱成形または真空成形することで、図1に示すような容器体11または蓋体15を含む包装用容器10を作製することができる。
【0058】
次に、本実施形態に係る包装用容器10へのレーザマーキング方法について説明する。図5は、レーザ照射装置60を示す模式図である。本実施形態では、図5に示すレーザ照射装置60を使用して、包装用容器10にレーザマーキングを施して、マーキング部50を形成する。レーザ照射装置60は、炭酸ガスレーザ(言い換えるとCOレーザ)61を包装用容器10の樹脂シート20に照射する装置である。図5に示すように、レーザ照射装置60は、照射部62を備えている。この照射部62から炭酸ガスレーザ61が発せられて樹脂シート20(詳しくはコア層21)に照射される。
【0059】
本実施形態では、包装用容器10において、マーキング部50を形成したいコア層21の部分に向かって、レーザ照射装置60の照射部62から炭酸ガスレーザ61を照射する。このとき、コア層21に含有されたレーザ吸収剤である二酸化チタンに対して炭酸ガスレーザ61が照射され、二酸化チタンが炭化されて黒色に変色する。このことによって、黒色にレーザマーキングされたマーキング部50が形成される。ここでは、コア層21に対する炭酸ガスレーザ61の照射位置を適宜移動させることで、レーザマーキングによって文字が形成されてマーキング部50となる。
【0060】
本実施形態では、マーキング部50として製造年月日51(図3参照)、もしくは、賞味期限または消費期限52(図3参照)をレーザマーキングによってコア層21に形成する場合には、例えば蓋体15の天面部16に向かって、照射部62から炭酸ガスレーザ61を照射して、二酸化チタンを炭化させて黒色に変色させる。このことによって、黒色の製造年月日51、もしくは、黒色の賞味期限または消費期限52を天面部16に印字することができる。
【0061】
例えばマーキング部50して製造番号53(図4参照)をレーザマーキングによってコア層21に形成する場合には、例えば容器体11の底部12に向かって、照射部62から炭酸ガスレーザ61を照射して、二酸化チタンを炭化させて黒色に変化させる。このことによって、黒色の製造番号53を底部12に印字することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、図5に示すように、包装用容器10を形成する樹脂シート20では、コア層21の両面にスキン層22が積層されている。よって、レーザ照射装置60の照射部62から炭酸ガスレーザ61を照射する際、スキン層22側からコア層21に炭酸ガスレーザ61を照射することになる。このとき、炭酸ガスレーザ61は、透明なスキン層22が変色および変形しないようにスキン層22を薄くしているため、透過してコア層21に達し、かつ、コア層21において二酸化チタンを炭化させて黒色に変色させる程度の強度であることが好ましい。このことによって、スキン層22が変色および変形せずに、コア層21にレーザマーキングを施して、マーキング部50を形成することができる。
【0063】
ここでは、レーザ照射装置60の一例として、ビデオジェット・エックスライト株式会社製の型式:3640のCOレーザ装置を使用することができる。この型式:3640のCOレーザ装置では、最大出力が60W、最高印字速度が2,100字/秒、最高ライン対応速度が15m/秒であり、レーザ波長オプションとして、10.6μm、10.2μm、9.3μmを指定することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、レーザ照射装置60を使用して蓋体15に炭酸ガスレーザ61を照射することで、蓋体15に通過孔19a(図1参照)を形成することができる。よって、蓋体15に通過孔19aを形成する工程と、レーザマーキングによってマーキング部50を形成する工程とを、レーザ照射装置60を使用して、炭酸ガスレーザ61の強度を適宜変更させながら、1つの工程でまとめて実施することができる。
【0065】
以上、本実施形態では、図1に示すように、包装用容器10は、樹脂シート20によって形成された包装用容器である。図2に示すように、樹脂シート20は、少なくとも一部に二酸化チタンを含有するコア層21と、コア層21において、二酸化チタンに対して炭酸ガスレーザ61(図5参照)が照射されて黒色にレーザマーキングされたマーキング部50(図1参照)とを備えている。このことによって、コア層21のうち二酸化チタンが含有された部分は白色であり、炭酸ガスレーザを照射してレーザマーキングされたマーキング部50は黒色になる。そのため、白黒のコントラストが鮮明になるため、マーキング部50による表示を識別し易くすることができる。また、従来では包装用容器10にラベルを付していたが、ラベルに印字された情報などを、レーザマーキングによって形成されたマーキング部50に含ませることで、包装用容器10に付されたラベルを削減することができる。その結果、ラベルに使用される材料の消費量を削減することができる。
【0066】
本実施形態に係る包装用容器10へのレーザマーキング方法では、少なくとも一部に二酸化チタンを含有するコア層21を備えた樹脂シート20によって形成された包装用容器10に対して、コア層21に含有された二酸化チタンに炭酸ガスレーザ61を照射して、黒色にレーザマーキングされたマーキング部50を形成する。このことによって、コア層21に含有された二酸化チタンに炭酸ガスレーザ61を照射するという方法で、黒色にレーザマーキングされたマーキング部50を包装用容器10に形成することができる。
【0067】
本実施形態では、コア層21には、二酸化チタンを3.0質量%~5.0質量%の濃度で含有し、かつ、ブルーイング剤を0.0025質量%~0.0080質量%の濃度で含有している。ブルーイング剤は、樹脂の黄色味を抑える添加剤である。よって、コア層21にブルーイング剤を含有させることで、コア層21の黄色味を抑えることができ、より白色性に優れたコア層21を実現することができる。したがって、白黒のコントラストをより鮮明にすることができるため、マーキング部50による表示をより識別し易くすることができる。
【0068】
本実施形態では、図2に示すように、樹脂シート20は、コア層21に積層され、二酸化チタンを含有しない透明な樹脂によって形成されたスキン層22を有している。樹脂シート20の全体厚みに対するコア層21の厚みの割合は、60%以上かつ99%以下である。包装用容器10へのレーザマーキング方法では、図5に示すように、スキン層22側からコア層21に炭酸ガスレーザ61を照射してマーキング部50を形成する。ここでは、レーザマーキングを行う際、スキン層22を透過させてコア層21にマーキング部50が形成されることになる。よって、包装用容器10の表面上にマーキング部50が形成されず、マーキング部50がスキン層22で被覆されるため、包装用容器10の表面の平滑性を保つことができる。
【0069】
本実施形態では、マーキング部50は、黒色にレーザマーキングされた製造年月日51(図3参照)、賞味期限または消費期限52(図3参照)、もしくは、製造番号53(図4参照)である。このことによって、炭酸ガスによるレーザマーキングによって、製造年月日51、賞味期限または消費期限52、もしくは、製造番号53を黒色で包装用容器10に印字することができる。
【0070】
例えば従来では、包装用容器10に対して製造番号53は印字されておらず、包装用容器10毎の個体管理は行われていなかった。従来では、複数の包装用容器10が1つの集合体として段ボールや袋などに入れられており、集合体の単位で製造番号を付けており、集合体毎に管理を行っていた。しかしながら、本実施形態では、レーザマーキングによって製造番号53を包装用容器10に印字することができる。よって、包装用容器10毎に個体管理をすることができる。したがって、包装用容器10毎に、いつどこで誰が作製した容器かを確認することができ、かつ、追跡することを可能にすることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、包装用容器10は、容器体11と蓋体15とを備えており、容器体11と蓋体15とは、樹脂シート20によって形成されていた。しかしながら、容器体11と蓋体15の何れかは省略されてもよい。また、容器体11と蓋体15の何れか一方は、樹脂シート20によって形成され、容器体11と蓋体15の何れか他方は、樹脂シート20以外のシートによって形成されてもよい。「樹脂シート20以外のシート」とは、例えば二酸化チタンやブルーイング剤が含有されていない透明な樹脂シートである。
【符号の説明】
【0072】
10 包装用容器
11 容器体
12 底部
13 側壁部
15 蓋体
16 天面部
19a 通過孔
20 樹脂シート
21 コア層
22 スキン層
50 マーキング部
51 製造年月日
52 賞味期限または消費期限
53 製造番号
60 レーザ照射装置
61 炭酸ガスレーザ
62 照射部
図1
図2
図3
図4
図5