(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132428
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】車両用照明装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/52 20060101AFI20240920BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60Q1/52
F21L4/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043180
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】槌谷 裕志
(72)【発明者】
【氏名】忍田 圭
(72)【発明者】
【氏名】田古里 眞嘉
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 達也
(72)【発明者】
【氏名】奥山 晴子
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA16
3K339AA22
3K339AA25
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3K339MB01
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3K339MC35
3K339MC36
3K339MC48
3K339MC49
3K339MC53
3K339MC56
3K339MC58
3K339MC65
3K339MC74
3K339MC76
(57)【要約】
【課題】運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができ、車両や歩行者に対する交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与できる車両用照明装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】認識部2によって歩行者が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ検出部3によって運転者が歩行者を認識していると検出された場合、エクステリアライト5を第1点灯及び第1消灯のいずれかの状態とし、認識部2によって歩行者が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ検出部3によって運転者が歩行者を認識していないと検出された場合、エクステリアライト5を第2点灯及び第2消灯のいずれかの状態とし、第1点灯の状態と第2点灯の状態とは異なるとともに、第1消灯の状態と第2消灯の状態とは異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行経路に存在する可能性のある相手を認識する認識部と、
前記車両の運転者が前記相手を認識したことを検出する検出部と、
前記車両の外装領域のうち、前記相手が視認できる位置に設けられ、点灯及び消灯するエクステリアライトと、
を備え、
前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していると検出された場合、前記エクステリアライトを第1点灯及び第1消灯のいずれかの状態とし、
前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していないと検出された場合、前記エクステリアライトを第2点灯及び第2消灯のいずれかの状態とし、
前記第1点灯の状態と前記第2点灯の状態とは異なるとともに、前記第1消灯の状態と前記第2消灯の状態とは異なる、
ことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記エクステリアライトは前記車両の外縁に沿って複数設けられ、
前記第1点灯及び前記第1消灯のいずれかの状態では、前記エクステリアライトの一部が他の前記エクステリアライトと異なる状態としながら前記運転者の視線の移動に応じて移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記エクステリアライトにおける前記第2点灯の状態は、前記車両が走行状態であるか停止状態であるかに基づいて点灯状態が異なる、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記車両の車室内に設けられたリスクインジケータを備え、
前記リスクインジケータは、前記認識部によって前記相手を認識した場合、前記運転者と前記相手とを結ぶ直線上にリスクマークを表示する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記エクステリアライトは、前記運転者の視線方向に前記リスクマークが存在する場合、前記第1点灯の状態となる、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用照明装置。
【請求項6】
車両の進行経路に存在する可能性のある相手を認識する認識部と、
前記車両の運転者が前記相手を認識したことを検出する検出部と、
点灯及び消灯し、前記車両における前記相手が視認可能な位置に光を照射するライトと、
を備え、
前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していると検出された場合、前記ライトを第1点灯の状態の光を照射し、
前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していないと検出された場合、前記ライトを第2点灯の状態の光を照射し、
前記第1点灯の状態と前記第2点灯の状態とは異なる
ことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
前記ライトは、前記車両と前記相手が交差する位置の路面に光を照射する、
ことを特徴とする請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
前記ライトは、前記車両の外装領域のうち、前記相手が視認できる位置に光を照射する、
ことを特徴とする請求項6記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用照明装置及び照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の車体前後に設けられた方向指示器以外の灯体は、夜間における前方の視界を確保したり、後続車両に自身の位置を知らせたりするために用いられる。近年、車両や歩行者の安全をさらに確保するために、上述のような燈体に、従来の役割に加え歩行者等への報知機能を持たせる技術が提案されている。
例えば、自動運転モードで走行している車両が歩行者を認識していることを歩行者に対して提示可能な車両用照明装置(車両用照明システム)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、車両の前方から視認可能なコミュニケーションランプと、車両が歩行者を検出した場合にコミュニケーションランプの照明状態を変化させる照明制御装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、車両そのものが相手(歩行者)を認識しているか否かを相手に報知するものの、運転者が相手を認識しているか否かを反映させることはできない。このため、運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができず、車両や相手に対する交通の安全性を確保するために改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、運転者と相手の間でコミュニケーションを取ることができ、車両や相手に対する交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与できる車両用照明装置及び照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る車両用照明装置(例えば、実施形態の車両用照明装置1)は、車両(例えば、実施形態の車両100、他の車両102、自動二輪車103)の進行経路に存在する可能性のある相手(例えば、実施形態の歩行者H)を認識する認識部(例えば、実施形態の認識部2)と、前記車両の運転者が前記相手を認識したことを検出する検出部(例えば、実施形態の検出部3)と、前記車両の外装領域のうち、前記相手が視認できる位置に設けられ、点灯及び消灯するエクステリアライト(例えば、実施形態のエクステリアライト5、グリルライト6、状態表示ライト14a,14b)と、を備え、前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していると検出された場合、前記エクステリアライトを第1点灯及び第1消灯のいずれかの状態とし、前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していないと検出された場合、前記エクステリアライトを第2点灯及び第2消灯のいずれかの状態とし、前記第1点灯の状態と前記第2点灯の状態とは異なるとともに、前記第1消灯の状態と前記第2消灯の状態とは異なる。
【0007】
このように構成することで、エクステリアライトを介して運転者が相手を認識しているか否について、相手に報知することができる。このように車両用照明装置は、運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができ、車両や相手に対する交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【0008】
(2)上記構成において、前記エクステリアライトは前記車両の外縁に沿って複数設けられ、前記第1点灯及び前記第1消灯のいずれかの状態では、前記エクステリアライトの一部が他の前記エクステリアライトと異なる状態としながら前記運転者の視線の移動に応じて移動してもよい。
【0009】
このように構成することで、運転者の視線の動向を、より詳細に相手に報知できる。このため、運転者と相手との間でより緊密なコミュニケーションを取ることができる。
【0010】
(3)上記構成において、前記エクステリアライトにおける前記第2点灯の状態は、前記車両が走行状態であるか停止状態であるかに基づいて点灯状態が異なってもよい。
【0011】
このように構成することで、相手に警告でき、相手の注意を促すことができる。
【0012】
(4)上記構成において、前記車両の車室内に設けられたリスクインジケータ(例えば、実施形態のリスクインジケータ7,105)を備え、前記リスクインジケータは、前記認識部によって前記相手を認識した場合、前記運転者と前記相手とを結ぶ直線上にリスクマーク(例えば、実施形態のリスクマークL1,L2)を表示してもよい。
【0013】
このように構成することで、運転者に相手の認識を促すことができる。
【0014】
(5)上記構成において、前記エクステリアライトは、前記運転者の視線方向に前記リスクマークが存在する場合、前記第1点灯の状態となってもよい。
【0015】
このように構成することで、運転者と相手との間でのコミュニケーションをより正確に取ることができる。
【0016】
(6)本発明に係る照明装置(例えば、実施形態の照明装置50)は、車両の進行経路に存在する可能性のある相手を認識する認識部と、前記車両の運転者が前記相手を認識したことを検出する検出部と、点灯及び消灯し、前記車両における前記相手が視認可能な位置に光を照射するライト(例えば、実施形態のライト50a)と、を備え、前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していると検出された場合、前記ライトを第1点灯の状態の光を照射し、前記認識部によって前記相手が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ前記検出部によって前記運転者が前記相手を認識していないと検出された場合、前記ライトを第2点灯の状態の光を照射し、前記第1点灯の状態と前記第2点灯の状態とは異なる。
【0017】
このように構成することで、車両自体にライトを設けなくても運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができる。例えば、交差点の相手の目線上にライトを設け、相手に運転者の認識状態を報知することができる。このように照明装置は、運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができ、車両や相手に対する交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【0018】
(7)上記構成において、前記ライトは、前記車両と前記相手が交差する位置(例えば、実施形態のポイントP)の路面に光を照射してもよい。
【0019】
このように構成することで、確実に相手に運転者の認識状態を報知することができる。
【0020】
(8)上記構成において、前記ライトは、前記車両の外装領域のうち、前記相手が視認できる位置に光を照射してもよい。
【0021】
このように構成することで、車両自体にエクステリアライトを設けなくても運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両用照明装置及び照明装置は、運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができ、車両や相手に対する交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態における車両用照明装置のブロック図である
【
図2】本発明の実施形態における車両の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態における車室の運転席から前方をみた斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるグリルライトの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態における交差点上の車両の様子を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態における交差点上の車両の車室から前方をみた斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態におけるグリルライトの表示方法の一例を示す説明図であり、(a)から(d)は状態毎の表示を示している。
【
図8】本発明の実施形態におけるエクステリアライト、グリルライト及びヘッドライトの動作制御を説明するフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態における横断歩道上の車両の車室から前方をみた斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態におけるエクステリアライト及びヘッドライトの表示方法の一例を示す説明図である。
【
図11】本発明の実施形態におけるエクステリアライト及びヘッドライトの表示方法の一例を示す説明図である。
【
図12】本発明の実施形態におけるエクステリアライト及びヘッドライトの表示方法の一例を示す説明図である。
【
図13】本発明の実施形態におけるエクステリアライト及びヘッドライトの表示方法の一例を示す説明図である。
【
図14】本発明の実施形態における交差点上の車両及び歩行者の様子の一例を示す斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態における自動二輪車の運転者が前方をみた斜視図である。
【
図16】本発明の実施形態における自動二輪車の運転者が前方をみた斜視図である。
【
図17】本発明の実施形態における自動二輪車の一例を前方からみた正面図である。
【
図18】本発明の実施形態における車両や自動二輪車の各ライトの表示タイミングを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
<車両用照明装置>
図1は、車両用照明装置1のブロック図である。
図2は、車両用照明装置1を搭載した車両100(自車両)の斜視図である。
車両用照明装置1は、V2X(Vehicle-to-Everything)等の車両用通信技術を利用して車両100の運転者と他の車両(四輪車や自動二輪車)102,103(
図5参照)や歩行者H(
図9参照)との間で通信を行う装置である。以下の図面では、方向を分かりやすくするために、必要に応じて車両100の前方を矢印FRで示す。車両100の上方を矢印UPで示す。車両100の前方を向いた状態での左方を矢印LHで示す。
【0026】
図1、
図2に示すように、車両用照明装置1は、例えば交差点I(
図5参照)等に進入する他の車両102,103や歩行者Hを認識する認識部2と、車両100に設けられた検出部3、制御部4、エクステリアライト5、ヘッドライト11a,11b、グリルライト6、及びリスクインジケータ7と、を備える。
【0027】
認識部2は、衛星通信や地上通信によって他の車両102,103や歩行者Hを認識できるものでよく、例えば認識部2は、歩行者Hの携帯端末と通信したり、車両に設けられる位置情報センサと通信したりすることにより、歩行者Hや他の車両102,103と通信を行い、歩行者Hや他の車両102,103の位置を認識する。また、認識部2は車両100に設けられていてもよく、例えば認識部2は、車外の映像を撮像する車載カメラや車外の情報を取得する車載ミリ波レーダや車載赤外線センサが取得した映像や情報に基づいて歩行者Hや他の車両102,103の位置を認識してもよい。認識部2により認識された情報は、信号として車両100の制御部4に出力される。
【0028】
また、認識部2は、車両100の前方に歩行者Hが存在する場合、車載カメラや車載赤外線センサによりその歩行者Hの視線や瞳孔の状態を検出することも可能である。例えば歩行者Hの視線検出には、赤外線を歩行者Hの角膜で反射させてユーザの視線方向を検出する角膜反射法や、角膜と強膜との光に対する反射率の差を利用するリンバストラッキング法、眼球の映像をカメラで撮像して画像処理により視線を検出する画像解析法等がある。
【0029】
車両100の検出部3は、車両100の車室101内に設けられている。検出部3は、図示しない運転者の視線や瞳孔、発汗、心拍数などを検出する。
【0030】
例えば運転者の視線検出には、赤外線を運転者の角膜で反射させてユーザの視線方向を検出する角膜反射法や、角膜と強膜との光に対する反射率の差を利用するリンバストラッキング法、眼球の映像をカメラで撮像して画像処理により視線を検出する画像解析法等がある。検出部3により検出された情報は、信号として制御部4に出力される。
例えば運転者の発汗、心拍数を検出する場合、ハンドルにセンサを設けたり、運転者の手首等に取り付け可能なセンサを利用したりする。これらセンサを用いて運転者の発汗、心拍数を検出する。
【0031】
制御部4は、認識部2及び検出部3から入力された信号や車両100の運転状況に基づいて、さまざまな状況を判断する。制御部4は、それぞれの状況に応じてエクステリアライト5、ヘッドライト11a,11b、グリルライト6、及びリスクインジケータ7の動作制御を行う。
【0032】
エクステリアライト5は、車両100の外装領域(車体表面)のうち、前部の左右で歩行者Hが認識できる位置に設けられている。具体的には、エクステリアライト5は、ボンネットフード8とフロントフェンダ9との境界に沿って複数設けられている。換言すれば、エクステリアライト5は車両100の外縁に沿って複数設けられている。エクステリアライト5は、制御部4によって動作制御されることにより、状況に応じて点灯状態が変化する(詳細は後述する)。
【0033】
ヘッドライト11a,11bは、車両100の前部における車幅方向の両側に配置されている。各ヘッドライト11a,11bは、ヘッドライト本体13a,13bと、ヘッドライト本体13a,13bの周囲を取り囲む複数の状態表示ライト14a,14bと、により構成されている。ヘッドライト本体13a,13bは、夜間時等に前方を照射するライトである。複数の状態表示ライト14a,14bは、前方からみて円環状に配置されている。状態表示ライト14a,14bは、方向指示器として機能する他、制御部4によって動作制御されることにより、状況に応じて表示方法が変化する(詳細は後述する)。
【0034】
グリルライト6は、車両100の前部を構成するフロントグリル10に設けられている。グリルライト6は、左右のヘッドライト11a,11bの間に、車幅方向に長い所定の領域に、複数設けられている。このため、グリルライト6の点灯表示方法として、複数の表示方法を得ることができる。グリルライト6は、制御部4によって動作制御されることにより、状況に応じて表示方法が変化する(詳細は後述する)。
【0035】
図3は、車室101の運転席から前方をみた斜視図である。詳細は後述するが、
図3は、後述する交差点I上に車両100が進入した状態を示している。
図3に示すように、リスクインジケータ7は、ダッシュボード12上に車幅方向に長く設けられている。リスクインジケータ7は、制御部4によって動作制御されることにより、状況に応じて点灯状態が変化する(詳細は後述する)。
【0036】
<車両用照明装置の動作>
次に、車両用照明装置1の動作について説明する。
まず、グリルライト6の動作について説明する。
【0037】
<グリルライトの動作>
図4は、グリルライト6の動作制御を説明するフローチャートである。
図4に示すように、まず、制御部4は車両100の図示しないイグニッションスイッチがONか否かの判断を行う(ステップST100)。
【0038】
ステップST100における判断が「No」、つまり、イグニッションスイッチがOFFの場合、グリルライト6の動作は終了する。
一方、ステップST100における判断が「Yes」、つまり、イグニッションスイッチがONの場合、制御部4は車両100の車速が0[km/h]であるか否か、つまり、車両100が停止しているか否かの判断を行う(ステップST101)。
【0039】
ステップST101における判断が「Yes」、つまり、車両100が停止している場合、制御部4は車両100が発進したか否かの判断を行う(ステップST102)。ステップST102における判断は、運転者がブレーキから足を離したか否か、又はアクセルを踏んだか否かにより行われる。
ステップST102における判断が「Yes」、つまり、車両100が発進した場合、制御部4は交通事故リスクが高いか否かの判断を行う(ステップST103)。
【0040】
ここで、交通事故リスクが高いか否かの判断方法について説明する。
図5は、交差点Iを例えば右折しようとしている車両100の様子を示す斜視図である。
図5に示すように、車両100が交差点Iを右折しようとしていて、前方には、複数(
図5では2台)の他の車両(四輪車)102が停止しているとする。また、車両100の前方には、他の車両102に隠れるようにしてこの車両以外の他の車両(例えば自動二輪車。以下自動二輪車とする)103が交差点Iに向かって進行しているとする。このような場合、車両100や自動二輪車103が互いを認識できずに進行していくと、交差点I上で衝突の可能性がある(
図5におけるポイントP参照)。
【0041】
ところで、このような状況において、車両100の制御部4には、認識部2によって認識された自動二輪車103の位置情報が信号として出力されている。制御部4は、認識部2から出力された信号に基づいて、
図3に示すように、リスクインジケータ7の一部にリスクマークL1を点灯させる(インジケータ点灯状態)。リスクマークL1は、運転者と自動二輪車103とを結ぶ直線上である。
図3に示す時点では、運転者からは他の車両102により死角となり自動二輪車103を直接視認できていない。
【0042】
一方この時点において、検出部3では運転者の視線を検出している。この検出結果を、信号として制御部4に出力している。制御部4は、検出部3で検出された運転者の視線が、インジケータ点灯状態によるリスクマークL1に向いているか否かの判断を行う。インジケータ点灯状態によるリスクマークL1に運転者の視線が向いている場合、制御部4によって運転者が自動二輪車103を認識(視認)していると判断される。この場合、運転者が自動二輪車103を認識しており、交通事故リスクが低いと判断される。
【0043】
図6は、交差点I上に車両100が進入した状態において車室101の運転席から前方をみた斜視図である。
図6は
図3に対応しており、
図3の時点よりも僅かに時間が進んだ状態を示している。
図6に示すように、引き続き自動二輪車103が進行すると、インジケータ点灯状態によるリスクマークL1も移動する。すなわち、このリスクマークL1は、常に運転者と自動二輪車103とを結ぶ直線上に位置する。リスクマークL1の移動に応じて運転者の視線が移動していると判断された場合、引き続き交通事故リスクが低いと判断される。
これに対し、リスクマークL1に運転者の視線が向いていない場合、制御部4によって運転者が自動二輪車103を視認していないと判断される。この場合、運転者が自動二輪車103を認識しておらず、交通事故リスクが高いと判断される。
【0044】
なお、運転者が自動二輪車103を認識しているか否かの判断は、リスクマークL1に運転者の視線が向いているか否かの判断に限られない。検出部3によって検出された運転者の瞳孔、発汗状態、心拍数等に基づいて、運転者が自動二輪車103を認識しているか否かの判断を行ってもよい。
【0045】
図4に戻り、ステップST103における判断が「Yes」、つまり、交通事故リスクが高いと判断された場合、グリルライト6を点灯させる。この際の点灯表示方法は発進表示となる(ステップST104)。この後、制御部4は再びステップST100の判断を行う。グリルライト6の点灯表示の一例については、後述する。
一方、ステップST103における判断が「No」、つまり、交通事故リスクが低いと判断された場合、グリルライト6は消灯している(ステップST105)。この後、制御部4は再びステップST100の判断を行う。
【0046】
一方、ステップST101における判断が「No」、つまり、車両100が走行している場合、又はステップST102における判断が「No」、つまり、車両100が依然として停止している場合、制御部4は車両100の車速が30[km/h]未満であるか否かの判断を行う(ステップST106)。
ステップST106における判断が「Yes」、つまり、車速が30[km/h]未満である場合、制御部4は車両100が減速時であるか否かの判断を行う(ステップST107)。
【0047】
ステップST107における判断が「Yes」、つまり、車両100が減速時である場合、グリルライト6は消灯している(ステップST105)。
一方、ステップST107における判断が「No」、つまり、車両100が減速していない場合、グリルライト6を点灯させる。この際の点灯表示方法は車速に基づいてグリルライト6の表示領域を変化させる領域可変表示となる(ステップST108)。この後、制御部4は再びステップST100の判断を行う。グリルライト6の領域可変表示の一例については、後述する。
【0048】
一方、ステップST106における判断が「No」、つまり、車速が30[km/h]以上である場合、グリルライト6を点灯させる。この際の点灯表示方法は走行中の一定表示となる(ステップST109)。この後、制御部4は再びステップST100の判断を行う。
【0049】
<グリルライトの表示方法の一例>
次に、
図7に基づいて、グリルライト6の表示方法の一例について説明する。
図7は、グリルライト6の表示方法の一例を示す説明図であり、(a)から(d)は状態毎の表示を示している。
例えば
図7(a)は、グリルライト6が消灯している状態を示している。これに対し、
図7(b)に示すように、グリルライト6の点灯表示方法が発進表示となると、グリルライト6の表示領域全体が点灯する。この場合、グリルライト6を点滅させたりアニメーションさせたりしてもよい。
【0050】
例えば
図7(c)に示すように、グリルライト6の点灯表示方法が領域可変表示の場合、低速走行では、グリルライト6の表示領域を小さくする。これに対し、例えば
図7(c)に示すように、域可変表示において高速走行では、グリルライト6の表示領域を低速走行の場合と比較して大きくする。
グリルライト6の点灯色は、例えば白色である。しかしながらこれに限られるものではなく、点灯色をさまざまな色彩とすることができる。
【0051】
<エクステリアライト、グリルライト及びヘッドライトの動作>
次に、エクステリアライト5、グリルライト6及びヘッドライト11a,11bのライト全体の動作について説明する。以下では、一例として
図5に示すように交差点Iに進入した車両100が右折を開始し、横断歩道Cを横切ろうと横断歩道Cに接近した場合を想定して説明する。
図8は、ライト全体(エクステリアライト5、グリルライト6及びヘッドライト11a,11b)の動作制御を説明するフローチャートである。
【0052】
図8に示すように、横断歩道Cに車両100が接近すると(ステップST200)、この時点では、エクステリアライト5、グリルライト6及びヘッドライト11a,11bは消灯している(ステップST201)。
続いて、制御部4は運転者が歩行者Hを認識しているか否かの判断を行う(ステップST210)とともに、歩行者Hが車両100を認識しているか否かの判断を行う(ステップST220)。
【0053】
ここで、運転者が歩行者Hを認識しているか否かの判断方法、及び歩行者Hが車両100を認識しているか否かの判断方法について説明する。
まず、運転者が歩行者Hを認識しているか否かの判断方法について説明する。
図9は、横断歩道Cに車両100が接近した状態において車室101の運転席から前方をみた斜視図である。
図9は、
図3及び
図6に対応しており、
図6の時点よりもさらに所定時間だけ経過した状態を示している。
【0054】
運転者が歩行者Hを認識しているか否かの判断方法は、基本的には前述した交通事故リスクが高いか否かの判断方法と同様である。
すなわち、
図9に示すように、車両100の制御部4には、認識部2によって認識された歩行者Hの位置情報が信号として出力されている。制御部4は、認識部2から出力された信号に基づいて、リスクインジケータ7の一部にリスクマークL1を点灯させる(インジケータ点灯状態)。リスクマークL1は、運転者と歩行者Hとを結ぶ直線上である。
【0055】
この時点において、検出部3では運転者の視線を検出している。この検出結果を、信号として制御部4に出力している。制御部4は、検出部3で検出された運転者の視線が、インジケータ点灯状態によるリスクマークL1に向いているか否かの判断を行う。インジケータ点灯状態によるリスクマークL1に運転者の視線が向いている場合、制御部4によって運転者が歩行者Hを認識(視認)していると判断される。
【0056】
これに対し、リスクマークL1に運転者の視線が向いていない場合、制御部4によって運転者が歩行者Hを認識していないと判断される。なお、運転者が歩行者Hを認識しているか否かの判断は、リスクマークL1に運転者の視線が向いているか否かの判断に限られない。検出部3によって検出された運転者の瞳孔、発汗状態、心拍数に基づいて、運転者が歩行者Hを認識しているか否かの判断を行ってもよい。
【0057】
次に、歩行者Hが車両100を認識しているか否かの判断方法について説明する。
この場合、検出部3によって歩行者Hの視線を検出する。車両100に歩行者Hの視線が向いている場合、制御部4によって歩行者Hが車両100を認識していると判断される。これに対し、車両100に歩行者Hの視線が向いていない場合、制御部4によって歩行者Hが車両100を認識していないと判断される。
なお、歩行者Hが車両100を認識しているか否かの判断は、検出部3によって歩行者Hの視線を検出する場合に限られない。認識部2によって歩行者Hの視線を検出するようにしてもよい。
【0058】
図8に戻り、ステップST210における判断が「Yes」、つまり、運転者が歩行者Hを認識している場合、全てのエクステリアライト5が点灯される(ステップST211;以下、第1点灯という場合がある)。この時点では、グリルライト6及びヘッドライト11a,11bは消灯している。エクステリアライト5の点灯色は、例えば緑色である。しかしながらこれに限られるものではなく、エクステリアライト5の点灯色はさまざまな色彩とすることができる。
【0059】
続いて、制御部4は歩行者Hが車両100を認識しているか否かの判断を行う(ステップST212)。
ステップST212における判断が「Yes」、つまり、歩行者Hが車両100を認識している場合、制御部4は運転者と歩行者Hとが互いを認識していると判断する。そして、エクステリアライト5の一部が他のエクステリアライト5と異なる点灯状態としながら運転者の視線の移動に応じて移動する。換言すれば、エクステリアライト5の一部が他のエクステリアライト5と異なる点灯状態としながら歩行者Hの位置と認識範囲に合わせて移動する(ステップST213)。
【0060】
このとき、ヘッドライト11a,11bも運転者の視線の移動に応じて移動する。換言すれば、ヘッドライト11a,11bは歩行者Hの位置と認識範囲に合わせて点灯する。グリルライト6は消灯したままである。
【0061】
<エクステリアライト及びヘッドライト表示方法の一例>
次に、
図10から
図13に基づいて、ステップST213におけるエクステリアライト5及びヘッドライト11a,11bの表示方法の一例について説明する。
図10から
図13は、状態毎のエクステリアライト5及びヘッドライト11a,11bの表示方法の一例を示す説明図である。
図10から
図13は
図2に対応している。以下では、一例として車両100が右折して横断歩道Cを横切ろうとしているとき、歩行者Hが横断歩道Cを車両100の進行方向の右方から左方に渡っている場合を想定して説明する。換言すれば、車両100の進行経路に歩行者Hが立ち入ろうとしている場合を想定して説明する。
図10から
図13は、このような状況を経時的に順に示している。
【0062】
図10に示すように、車両100の右前方に歩行者Hが歩行しており、運転者の視線が歩行者Hを向いていると、複数のエクステリアライト5のうち、運転者の視線に対応する一部が他のエクステリアライト5と異なる点灯色で点灯する。例えば、ステップST211の第1点灯の状態で全てのエクステリアライト5が緑色に点灯しているのに対し、ステップST213では一部のエクステリアライト5が白色に点灯する。この時点では、全てのエクステリアライト5のうち、一部が例えば白色に点灯する。
【0063】
続いて、
図11に示すように、歩行者Hが歩き進み、車両100の前方に歩行者Hが移動すると(
図11における矢印Y1参照)、歩行者Hに追随するように運転者の視線が移動する。すると、これに応じてエクステリアライト5の一部(例えば白色に点灯している箇所)が前方に少しずつ移動する(
図11における矢印Y2参照)。
続いて、
図12に示すように、さらに歩行者Hが歩き進み、車両100の前方を歩行者Hが横切ろうとする。このとき、ヘッドライト11a,11bの複数の状態表示ライト14a,14bうち、運転者の視線に対応する右側の一部が点灯する。
【0064】
続いて、
図13に示すように、さらに歩行者Hが歩き進み、車両100の前方において、歩行者Hが右方から左方へと移動すると、歩行者Hに追随するように運転者の視線が移動する。すると、これに応じてヘッドライト11a,11bの複数の状態表示ライト14a,14bうち、運転者の視線に対応する側の一部が点灯する。この後、車両100の前方を歩行者Hが通り過ぎると、エクステリアライト5及び状態表示ライト14a,14bが消灯する。
【0065】
図8に戻り、ステップST210における判断が「No」、つまり、運転者が歩行者Hを認識していない場合、車両100が発進しているか否か(車両100の挙動)の判断を行う(ステップST214)。
ステップST214における判断が「Yes」、つまり、車両100が発進した場合、歩行者Hが横断歩道Cを歩行中に運転者が歩行者Hに気が付かずに横断歩道Cを横切ろうとする可能性が高い。このような状況を
図14に示す。
【0066】
図14は、歩行者Hが横断歩道Cを歩行中に運転者が歩行者Hに気が付かずに横断歩道Cを横切ろうとしている状態を示す説明図である。
図8、
図14に示すように、ステップST214における判断が「Yes」の場合、歩行者Hが見える側(
図14の場合、右側)のエクステリアライト5が早点滅する(
図8におけるステップST215;以下、第2点灯という場合がある)。また、このときのエクステリアライト5は、赤色で点灯する。グリルライト6も早点滅する。ヘッドライト11a,11bの状態表示ライト14a,14bは消灯している。
【0067】
このように第2点灯の状態を、第1点灯の状態とは異ならせ、歩行者Hに車両100が進行してくる(横断歩道Cを横切る)可能性があることを報知する。第2点灯の状態は、第1点灯の状態と異なればよい。歩行者Hに対して報知することができればよい。例えば、エクステリアライト5を早点滅とせずに、色彩だけを第1点灯の状態と異ならせてもよい。グリルライト6も同様であり、早点滅に代えて通常走行時と異なる色彩で点灯させてもよい。ヘッドライト11a,11bの状態表示ライト14a,14bを例えば早点滅させてもよい。
【0068】
一方、
図8に示すように、ステップST214における判断が「No」、つまり、車両100が停止している場合、再びステップST210の判断を行う。このとき、エクステリアライト5、グリルライト6、及びヘッドライト11a,11bは消灯している。このように、第2点灯の状態は、車両100が走行状態であるか(発進しているか)停止状態であるかに基づいて点灯状態が異なる。本実施形態では、エクステリアライト5、グリルライト6、及びヘッドライト11a,11bのそれぞれについて、第1点灯の状態と第2点灯の状態とを異ならせている。しかしながらこれに限られるものではなく、第1点灯の状態と第2点灯の状態とで少なくともエクステリアライト5の点灯状態を異ならせればよい。
【0069】
一方、ステップST212における判断が「No」、つまり、歩行者Hが車両100を認識していない場合、制御部4は運転者と歩行者Hとが互いを認識していないと判断する。このような場合も車両100が発進しているか否か(車両100の挙動)の判断を行う(ステップST216)。
ステップST216における判断が「Yes」、つまり、車両100が発進した場合、ステップST215に進む。
これに対し、ステップST216における判断が「No」、つまり、車両100が停止している場合、ステップST211に進む。
【0070】
一方、ステップST220における判断が「Yes」、つまり、歩行者Hが車両100を認識している場合、エクステリアライト5、グリルライト6、及びヘッドライト11a,11bの状態表示ライト14a,14bは、全て消灯している(ステップST221)。
続いて、制御部4は運転者が歩行者Hを認識しているか否かの判断を行う(ステップST222)。
【0071】
ステップST222における判断が「Yes」、つまり、運転者が歩行者Hを認識している場合、ステップST215に進む。
一方、ステップST220における判断が「No」、つまり、歩行者Hが車両100を認識していない場合、車両100が発進しているか否か(車両100の挙動)の判断を行う(ステップST223)。
【0072】
ステップST223における判断が「Yes」、つまり、車両100が発進した場合、ステップST215に進む。
これに対し、ステップST223における判断が「No」、つまり、車両100が停止している場合、再びステップST220の判断を行う。
【0073】
一方、ステップST222における判断が「No」、つまり、運転者が歩行者Hを認識していない場合、制御部4は運転者と歩行者Hとが互いを認識していないと判断する。このような場合も車両100が発進しているか否か(車両100の挙動)の判断を行う(ステップST224)。
ステップST224における判断が「Yes」、つまり、車両100が発進した場合、ステップST215に進む。
これに対し、ステップST224における判断が「No」、つまり、車両100が停止している場合、ステップST221に進む。
【0074】
<車両と他の車両との相互間でのグリルライトやリスクインジケータの動作>
上述では、車両100のグリルライト6における表示方法の一例や車両100と歩行者Hとの間においてエクステリアライト5、グリルライト6、リスクインジケータ7及びヘッドライト11a,11bの表示方法の一例について説明した。しかしながら、車両同士の間でも同様の方法で双方の車両に上述のエクステリアライト5、グリルライト6、リスクインジケータ7及びヘッドライト11a,11bと同様の動作を行わせることが可能である。以下では、車両100と他の車両として自動二輪車103との間におけるエクステリアライト5、グリルライト6及びリスクインジケータ7の表示方法について説明する。
【0075】
図15は、自動二輪車103の運転者が前方をみた斜視図である。
図15は、一例として前述の
図5の状態を自動二輪車103からみた状態を示している。
図15に示すように、自動二輪車103のリスクインジケータ105は、例えば運転者が装着しているヘルメット104の開口縁104aのうち、下部に設けられている。リスクインジケータ105は、ヘルメット104の開口縁104aにおいて左右の全体に渡って設けられている。
【0076】
図15では、自動二輪車103の図示しない制御部は、認識部2から出力された信号に基づいて、リスクインジケータ105の一部にリスクマークL2を点灯させている(インジケータ点灯状態)。リスクマークL2は、運転者と車両100とを結ぶ直線上である。
【0077】
図16は、自動二輪車103の運転者が前方をみた斜視図であり、
図15の時点よりも所定時間だけ経過した状態を示している。
例えば
図16に示すように、自動二輪車103の進行中、車両100の運転者が自動二輪車103を認識していないと判断された場合、車両100が右折を開始する可能性がある。この場合、リスクインジケータ105を全体に渡って点灯する。これにより、自動二輪車103の運転者に車両100が進行してくる(車両100が右折を開始する)可能性があることを報知する。
【0078】
リスクインジケータ105は、運転者に報知されたことを認識できるものであればよい。例えばリスクインジケータ105を早点滅させてもよいし、リスクインジケータ105の点灯色を変化させてもよい。
【0079】
次に、
図17、
図18に基づいて、車両100と他の車両として自動二輪車103との間におけるエクステリアライト5及びリスクインジケータ7の具体的な表示タイミングについて説明する。
図17は、自動二輪車103の一例を前方からみた正面図である。
図17は、自動二輪車103の前面に設けられたエクステリアライト51,52(上部エクステリアライト51、下部エクステリアライト52)の一例を示している。
【0080】
図17に示すように、例えば自動二輪車103の前面には、上部エクステリアライト51及び下部エクステリアライト52が設けられている。上部エクステリアライト51は、例えばバックミラー53のフロントハウジング53aに設けられている。下部エクステリアライト52は、例えばフロントカバー54の前面に設けられている。各エクステリアライト51,52の具体的な表示例については後述する。
【0081】
図18は、車両100と自動二輪車103との間におけるエクステリアライト5,51,52、グリルライト6及びリスクインジケータ7,105の具体的な表示タイミングを示す表である。以下の説明では、車両100と他の車両(自動二輪車103)との区別を簡単にするために、車両100を四輪と称し、自動二輪車103を二輪と称する。
【0082】
図18に示すように、例えば以下の4つの状況を判断し、四輪のグリルライト6及びリスクインジケータ7の表示(四輪側表示)と二輪のエクステリアライト51,52及びリスクインジケータ105の表示(二輪側表示)とを変化させる。4つの状況とは以下の通りである。
(1)四輪が二輪を認識しているか否か。
(2)二輪が四輪を認識しているか否か。
(3)四輪が発進するか否か(停止している)。
(4)二輪が止まろうとしているか否か(止まらない)。
【0083】
例えば、四輪が二輪車を認識しており、二輪が四輪を認識していない場合で、かつ四輪が発進しているとともに二輪が止まらない場合(
図18に示す表の最上段の場合)、四輪側表示と二輪側表示とはそれぞれ以下の通りである。すなわち、四輪側表示では、グリルライト6を消灯から点滅に変化させるとともに、リスクインジケータ7を点灯させる。一方、二輪側表示では、エクステリアライト51,52を点灯から点滅に変化させるとともに、リスクインジケータ105を点灯させる。
【0084】
二輪のエクステリアライト51,52のうち、例えば下部エクステリアライト52の第1点灯の状態における点灯色を緑色とし、第2点灯の状態における点灯色を赤色としてもよい。二輪の第1点灯の状態及び第2点灯の状態の考え方は、上述の四輪の第1点灯の状態及び第2点灯の状態の考え方と同様である。二輪のエクステリアライト51,52のうち、例えば上部エクステリアライト51は、下部エクステリアライト52と同様に点灯させてもよいし、色彩を異ならせてもよい。さらに、第1点灯の状態は通常の点灯し、第2点灯の状態は高速点滅としてもよい。
このように、様々な状況に応じて、四輪側表示と二輪側表示とを異ならせることにより、相互のコミュニケーションが可能になる。
【0085】
<照明装置>
次に、
図5に基づいて、上述の車両100や自動二輪車103等とは別に設けられた照明装置50について説明する。
図5に示すように、例えば、例えば交差点I等に歩行者Hが視認可能で車両用照明装置1と同様の機能を有する照明装置50を設けてもよい。以下、照明装置50の具体的な動作の一例について説明する。
【0086】
すなわち、車両100や自動二輪車103の検出部3の情報(運転者の情報)は外部の図示しない照明装置50の制御部に送信される。車両100の運転者が自動二輪車103を視認しており、かつ停止している場合、照明装置50に設けられたライト50aは、路面上に第1出射パターンL3を照射する。第1出射光パターンL3は、例えば車両100からポイントPに至るまで延びるような出射光パターンである。第1出射光パターンL3の色彩は、例えば緑色である。
【0087】
また、照明装置50は、自動二輪車103の運転者が車両100を認識(視認)している。通常、交差点Iでは直進が優先な場合が多い。このような場合において、自動二輪車103が交差点Iを通過する場合、照明装置50のライト50aは、路面上に第2出射パターンL4を照射する。第2出射パターンL4は、例えば自動二輪車103からポイントPに至るまで延びるような出射光パターンである。第2出射光パターンL4の色彩は、例えば黄色である。さらに、照明装置50のライト50aは、ポイントPを例えば緑色の円で照射する。これらの照射は、照明装置50における第1点灯の状態に相当する。
【0088】
これに対し、照明装置50における第2点灯の状態は、以下の通りである。すなわち、車両100が自動二輪車103の存在を認識(視認)していなく、停止する様子がない場合、照明装置50のライト50aは、第1出射光パターンL4及びポイントPを例えば赤色で照射する。
【0089】
このように、上述の車両用照明装置1は、認識部2と、検出部3と、エクステリアライト5と、を備える。認識部2によって相手(歩行者H、自動二輪車103の運転者等)が進行経路に存在する可能性があると認識された場合で、かつ検出部3によって運転者が相手を視認していると検出された場合、エクステリアライト5が第1点灯の状態となる。これに対し、認識部2によって相手が進行経路に存在する(立ち入る)可能性があると認識された場合で、かつ検出部3によって運転者が相手を視認していないと検出された場合、エクステリアライト5が第2点灯の状態となる。このため、エクステリアライト5を介して運転者が相手を認識しているか否について、相手に報知することができる。よって、車両用照明装置1は、運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができ、車両100や相手に対する交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【0090】
エクステリアライト5は、車両100の外縁に沿って複数設けられている。第1点灯の状態では、エクステリアライト5の一部が他のエクステリアライト5と異なる状態としながら運転者の視線の移動に応じて移動している。このため、運転者の視線の動向を、より詳細に相手に報知できる。よって、運転者と相手との間でより緊密なコミュニケーションを取ることができる。
【0091】
エクステリアライト5における第2点灯の状態は、車両100が走行状態であるか(発進しているか)停止状態であるかに基づいて点灯状態が異なっている。このため、相手に警告でき、相手の注意を促すことができる。
車両100の車室101内には、リスクインジケータ7が設けられている。リスクインジケータ7は、認識部2によって相手を認識した場合、運転者と相手とを結ぶ直線上にリスクマークL1を表示している。このため、運転者に相手の視認を促すことができる。
【0092】
エクステリアライト5は、運転者の視線方向にリスクマークL1が存在する場合、第1点灯の状態となっている。このため、運転者と相手との間でのコミュニケーションをより正確に取ることができる。
【0093】
照明装置50のライト50aは、ポイントPを照射したり、その他路上に照射したりする。このため、確実に相手に運転者の認識状態を報知することができ、運転者と相手との間でのコミュニケーションを正確に取ることができる。
【0094】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0095】
例えば上述の実施形態では、第1点灯の状態や第2点灯の状態とすることにより、運転者と相手との間でコミュニケーションを取る場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第1点灯の状態や第2点灯の状態に代わって、第1消灯の状態や第2消灯の状態としてもよい。第1消灯の状態とは、例えば、通常運転においてエクステリアライト5を全点灯の状態とし、上述の第1点灯の条件でエクステリアライト5の一部又は全部を消灯させる状態をいう。また、第2消灯の状態とは、エクステリアライト5を全点灯の状態からエクステリアライト5の一部又は全部を消灯させる状態をいう。この際、第1消灯の状態と第2消灯の状態とを異ならせる。
【0096】
上述の実施形態では、照明装置50は第1点灯の状態と第2点灯の状態の光を路面に向けて照射した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば、車両100の外装領域のうち、相手が視認できる位置(例えば車両100のエクステリアライト5が設けられている位置)に向けて光を照射してもよい。このように構成することで、車両100自体にエクステリアライト5を設けなくても運転者と相手との間でコミュニケーションを取ることができる。
【0097】
上述の実施形態では、車両100に、エクステリアライト5、グリルライト6、及び状態表示ライト14a,14bをそれぞれ別々に設け、それぞれ別表示で点灯させる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、1つのライトに第1点灯の状態と第2点灯の状態とを表示させる機能を集約してもよい。このような場合、例えばグリルライト6や状態表示ライト14a,14bやエクステリアライト5と同義となる。
【0098】
上述の実施形態では、車両100のリスクインジケータ7は、ダッシュボード12上に車幅方向に長く設けられている場合について説明した。ヘルメット104のリスクインジケータ105は、開口縁104aにおいて左右の全体に渡って設けられている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、運転者の視線上にリスクマークL1,L2が点灯可能なようにリスクインジケータ7,105を設ければよい。
【0099】
上述の実施形態では、車両100のエクステリアライト5は、ボンネットフード8とフロントフェンダ9との境界に沿って複数設けられている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、エクステリアライト5は、車両100の外装領域(車体表面)のうち、前部の左右で歩行者Hが認識できる位置に設けられていればよい。エクステリアライト5が車両100の外縁に沿うとは、ボンネットフード8とフロントフェンダ9との境界に限られるものではない。車両100の外縁とは、外装領域のうち稜線に近似する箇所である。車両100の外装領域のうちできるだけ稜線となっている箇所に沿って複数のエクステリアライト5を配置することにより、歩行者H等に運転者の意志(視線の動き)を反映させやすくできる。
【0100】
第1点灯の状態や第2の点灯状態は上述の実施形態に限られるものではなく、さまざまな表示方法を採用できる。アニメーション等を利用した表示方法も可能である。第1点灯の状態と第2点灯の状態とが異なっていればよい。
【符号の説明】
【0101】
1…車両用照明装置
2…認識部
3…検出部
4…制御部
5…エクステリアライト
6…グリルライト(エクステリアライト)
7…リスクインジケータ
11a,11b…ヘッドライト(エクステリアライト)
50…照明装置
50a…ライト
100…車両
102…他の車両(車両)
103…他の車両、自動二輪車(車両)
H…歩行者
L1,L2…リスクマーク
P…ポイント(車両と相手が交差する位置)