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2024-132446施工計画のシミュレーション方法、及び、シミュレーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132446
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】施工計画のシミュレーション方法、及び、シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240920BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043206
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】余喜多 仁
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】施工現場に応じた適切な給電方式を判定するための施工計画のシミュレーション方法、及び、シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】シミュレーション方法は、施工現場における複数の電動作業機械を用いた施工計画のシミュレーション方法である。当該シミュレーション方法は、施工現場における施工量を示す施工量データを取得することと、複数の電動作業機械のそれぞれの電費を含む作業機械データを取得することと、施工量データと作業機械データとに基づいて、施工現場における複数の電動作業機械の必要総電力量を算出することと、複数の電動作業機械を充電するための互いに異なる種類の複数の給電方式から、必要総電力量に基づいて、給電方式を判定すること、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場における複数の電動作業機械を用いた施工計画のシミュレーション方法であって、
前記施工現場における施工量を示す施工量データを取得することと、
前記複数の電動作業機械のそれぞれの電費を含む作業機械データを取得することと、
前記施工量データと前記作業機械データとに基づいて、前記施工現場における前記複数の電動作業機械の必要総電力量を算出することと、
前記複数の電動作業機械を充電するための互いに異なる種類の複数の給電方式から、前記必要総電力量に基づいて、給電方式を判定すること、
を備える方法。
【請求項2】
前記複数の給電方式は、電力網に接続される仮設電源を前記施工現場に設置し、前記仮設電源により前記複数の電動作業機械を充電することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の給電方式は、充電された可搬蓄電池を前記施工現場に搬送して、前記可搬蓄電池により前記複数の電動作業機械を充電することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の給電方式は、可搬発電機を前記施工現場に搬送して、前記可搬発電機により前記複数の電動作業機械を充電することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の電動作業機械は、着脱可能なバッテリを含み、
前記複数の給電方式は、前記バッテリの交換を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記必要総電力量に対する前記複数の給電方式のそれぞれのコストを算出し、
前記複数の給電方式のそれぞれのコストに基づいて、前記給電方式を判定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の電動作業機械のそれぞれの前記必要電力量と前記電費とに基づいて、前記複数の電動作業機械のそれぞれへの給電のタイミングを決定することをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
施工現場における複数の電動作業機械を用いた施工計画のシミュレーションシステムであって、
前記施工現場における施工量を示す施工量データを取得する第1データ取得部と、
前記複数の電動作業機械のそれぞれの電費を含む作業機械データを取得する第2データ取得部と、
前記施工量データと前記作業機械データとに基づいて、前記施工現場における前記複数の電動作業機械の必要総電力量を算出する電力算出部と、
前記複数の電動作業機械を充電するための互いに異なる種類の複数の給電方式から、前記必要総電力量に基づいて、給電方式を判定する給電判定部と、
を備えるシミュレーションシステム。
【請求項9】
前記複数の給電方式は、電力網に接続される仮設電源を前記施工現場に設置し、前記仮設電源により前記複数の電動作業機械を充電することを含む、
請求項8に記載のシミュレーションシステム。
【請求項10】
前記複数の給電方式は、充電された可搬蓄電池を前記施工現場に搬送して、前記可搬蓄電池により前記複数の電動作業機械を充電することを含む、
請求項8に記載のシミュレーションシステム。
【請求項11】
前記複数の給電方式は、可搬発電機を前記施工現場に搬送して、前記可搬発電機により前記複数の電動作業機械を充電することを含む、
請求項8に記載のシミュレーションシステム。
【請求項12】
前記複数の電動作業機械は、着脱可能なバッテリを含み、
前記複数の給電方式は、前記バッテリの交換を含む、
請求項8に記載のシミュレーションシステム。
【請求項13】
前記給電判定部は、
前記必要総電力量に対する前記複数の給電方式のそれぞれのコストを算出し、
前記複数の給電方式のそれぞれのコストに基づいて、前記給電方式を判定する、
請求項8に記載のシミュレーションシステム。
【請求項14】
前記給電判定部は、前記複数の電動作業機械のそれぞれの前記必要電力量と前記電費とに基づいて、前記複数の電動作業機械のそれぞれへの給電のタイミングを決定する、
請求項8に記載のシミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施工計画のシミュレーション方法、及び、シミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、施工現場において、電動作業機械が用いられるようになっている。施工現場において電動作業機械によって効率よく作業を行うためには、施工現場において電動作業機械を充電することが望まれる。そのため、例えば特許文献1では、充電設備で充電された充電済み被牽引車を、運搬車両によって施工現場まで牽引し、被牽引車によって電動作業機械に給電することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-084633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、施工現場において多数の電動作業機械が稼働する場合には、十分な給電設備が必要となる。そのため、上述のような被牽引車による給電では、電力が不足する可能性がある。また、電力網に接続される仮設電源が施工現場に新設される場合は、大きなコストがかかる。そのため、施工現場に応じた電動作業機械への適切な給電方式が求められる。本開示の目的は、施工現場に応じた適切な給電方式を判定するための施工計画のシミュレーション方法、及び、シミュレーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るシミュレーション方法は、施工現場における複数の電動作業機械を用いた施工計画のシミュレーション方法である。当該シミュレーション方法は、施工現場における施工量を示す施工量データを取得することと、複数の電動作業機械のそれぞれの電費を含む作業機械データを取得することと、施工量データと作業機械データとに基づいて、施工現場における複数の電動作業機械の必要総電力量を算出することと、複数の電動作業機械を充電するための互いに異なる種類の複数の給電方式から、必要総電力量に基づいて、給電方式を判定すること、を備える。
【0006】
本開示の他の態様に係るシミュレーションシステムは、施工現場における複数の電動作業機械を用いた施工計画のシミュレーションシステムである。当該シミュレーションシステムは、第1データ取得部と、第2データ取得部と、電力算出部と、給電判定部とを備える。第1データ取得部は、施工現場における施工量を示す施工量データを取得する。第2データ取得部は、複数の電動作業機械のそれぞれの電費を含む作業機械データを取得する。電力算出部は、施工量データと作業機械データとに基づいて、施工現場における複数の電動作業機械の必要総電力量を算出する。給電判定部は、複数の電動作業機械を充電するための互いに異なる種類の複数の給電方式から、必要総電力量に基づいて、給電方式を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、施工現場における複数の電動作業機械の必要総電力量に基づいて、給電方式が決定される。それにより、施工現場に応じた適切な給電方式を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るシミュレーションシステムの構成を示す図である。
図2】施工現場と作業機械との一例を示す図である。
図3】施工計画のシミュレーションの処理を示すフローチャートである。
図4】施工現場の現況地形と設計地形との一例を示す図である。
図5】施工計画のシミュレーションの設定画面の一例を示す図である。
図6】作業機械の予想稼働状況を示す稼働状況データの一例を示す図である。
図7】「仮設電源」による給電方式を示す図である。
図8】「可搬蓄電池」による給電方式を示す図である。
図9】「可搬発電機」による給電方式を示す図である。
図10】「バッテリ交換」による給電方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図1は、実施形態に係るシミュレーションシステム1の構成を示す図である。シミュレーションシステム1は、図2に示すように、施工現場100における複数の作業機械M1-M3を用いた施工計画のシミュレーションを行う。
【0010】
作業機械M1-M3は、施工現場100において作業を行う。作業機械M1-M3は、土砂を押土又は掘削を実施可能な建設機械、及び/又は、土砂を運搬可能な運搬車両を含む。建設機械は、例えばショベル、及び/又は、ブルドーザを含む。運搬車両は、ダンプトラックを含む。なお、建設機械は、ホイールローダやモータグレーダであってもよい。なお、作業機械M1-M3は、複数の電動作業機械の一例である。複数の電動作業機械の数は3つに限らない。複数の電動作業機械の数は、3つより多くてもよく、3つより少なくてもよい。
【0011】
図1に示すように、シミュレーションシステム1は、サーバーコンピュータ2を備える。サーバーコンピュータ2は、プロセッサ11と、記憶装置12と、通信装置13とを含む。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、施工計画のシミュレーションのための処理を実行する。記憶装置12は、ROM(Read Only Memory)又はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリとを含む。記憶装置12は、HDD(Hard Disc Drive)、或いは、SSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置12は、施工計画のシミュレーションのためのプログラム及びデータを記憶している。プロセッサ11は、プログラム及びデータに従い、施工計画のシミュレーションのための処理を実行する。
【0012】
通信装置13は、サーバーコンピュータ2の外部の機器との通信を行う。通信装置13は、インターネットなどの通信網9を介して、外部のクライアントコンピュータ3と接続される。クライアントコンピュータ3の構成は、サーバーコンピュータ2と同様である。クライアントコンピュータ3は、入力装置4及び出力装置5と接続されている。
【0013】
入力装置4は、ユーザによって操作可能である。入力装置4は、ユーザによる操作に応じた入力データを生成する。入力装置4で生成された入力データは、クライアントコンピュータ3からサーバーコンピュータ2に送信される。入力装置4は、例えばタッチスクリーンを含む。入力装置4は、キーボードを含んでもよい。入力装置4は、マウスなどのポインティングデバイスを含んでもよい。出力装置5は、例えばディスプレイであり、クライアントコンピュータ3からの出力信号に応じた画像を表示する。出力装置5は、或いはプリンターであってもよい。
【0014】
次に、プロセッサ11によって実行される施工計画のシミュレーションの処理について説明する。図1に示すように、プロセッサ11は、第1データ取得部14と、第2データ取得部15と、シミュレーション部16と、電力算出部17と、給電判定部18と、出力制御部19とを含む。第1データ取得部14と、第2データ取得部15と、シミュレーション部16と、電力算出部17と、給電判定部18と、出力制御部19は、それぞれプロセッサ11によって実現される。図3は、施工計画のシミュレーションの処理を示すフローチャートである。
【0015】
図3に示すように、ステップS101で、第1データ取得部14は、施工量データを取得する。施工量データは、施工現場100における施工量を示す。施工量データは、クライアントコンピュータ3からサーバーコンピュータ2に送信される。例えば、施工量データは、現況地形データと設計地形データとを含む。
【0016】
図4に示すように、現況地形データは、施工現場100の現況地形101を示す。現況地形データは、現況地形101の形状を示す3次元地形データである。現況地形データは、例えば、無人飛行体に搭載されたカメラによって取得される。或いは、現況地形データは、施工現場100の作業機械に搭載されたステレオカメラ、或いはLIDAR(Light Detection And Ranging)装置などの計測機器によって取得されてもよい。
【0017】
設計地形データは、施工現場100の設計地形102を示す。設計地形データは、設計地形102の形状を示す3次元地形データである。設計地形データは、例えば、施工会社において作成される。図4に示すように、設計地形102は、互いに区画された複数の作業エリア103,104を含む。作業エリア103,104は、作業機械による作業が行われるエリアを示す。
【0018】
作業エリア103,104は、第1エリア103と第2エリア104とを含む。設計地形102は、互いに区画された3つ以上のエリアを含んでもよい。例えば、第1エリア103は、後述する切土エリアである。切土エリアは、施工現場100において土砂の掘削を行う範囲を示す。例えば、第2エリア104は、盛土エリアである。盛土エリアは、施工現場100において盛土を行う範囲を示す。
【0019】
ステップS102で、第2データ取得部15は、作業機械データを取得する。作業機械データは、施工現場100の各作業エリア103,104に割り当てられる作業機械を示す。図5は、施工計画のシミュレーションの設定画面20の一例を示す図である。出力制御部19は、出力装置5に設定画面20を表示させるための出力信号を生成し、クライアントコンピュータ3に送信する。出力装置5は、サーバーコンピュータ2からの出力信号に応じて、設定画面20を表示する。クライアントコンピュータ3のオペレータは、入力装置4を用いて、設定画面20において、施工計画のシミュレーションの設定を入力する。
【0020】
図5に示すように、設定画面20は、工種エリアリスト21と、作業機械リスト22と、割当リスト23とを含む。工種エリアリスト21は、施工現場100に含まれる作業エリア103,104の一覧を示す。例えば、図5に示すように、工種エリアリスト21は、「切土エリアA」と「盛土エリアB」とを含む。オペレータは、作業機械の割り当てを行う作業エリアを、工種エリアリスト21から選択する。
【0021】
作業機械リスト22は、各作業エリアに割り当て可能な作業機械の一覧を示す。作業機械リスト22は、作業機械の識別番号(ID)と、型番と、施工能力とを含む。識別番号は、各作業機械に割り当てられた固有の番号である。型番は、作業機械の種類を示す。施工能力は、単位時間当たりの作業量を示す。例えば、ショベルの施工能力は、単位時間当たりの積込量、切土量、或いは、盛土量であってもよい。或いは、ショベルの施工能力は、バケットの容量に基づいて決定されてもよい。ブルドーザの施工能力は、単位時間当たりの押土量、或いは盛土量であってもよい。ブルドーザの施工能力は、ブレードのサイズに基づいて決定されてもよい。ダンプトラックの施工能力は、単位時間当たりの運搬量であってもよい。
【0022】
オペレータは、設定画面20において、作業機械リスト22に含まれる作業機械から、各作業エリアに割り当てる作業機械を決定する。割当リスト23は、各作業エリアに割り当てられた作業機械の一覧を示す。オペレータは、各作業エリアに割り当てられた作業機械による施工内容を指定する。施工内容は、例えば「掘削」、或いは「盛土」などの作業機械によって実行される作業の内容を示す。
【0023】
例えば、図5に得示すように、切土エリアAには、ID「101」のショベルAとID「102」のショベルBとが割り当てられており、これらのショベルA,Bの施工内容として「掘削」が設定されている。
【0024】
また、図4に示すように、オペレータは、施工現場100において、ダンプトラックの走行経路30を設定することができる。例えば、オペレータは、施工現場100を示す画面上において、スタート地点31と、目標地点32と、スタート地点31と目標地点32とを結ぶ経路33とを指定する。以上のように設定画面20において設定された内容は、作業機械データとして、クライアントコンピュータ3からサーバーコンピュータ2に送信される。
【0025】
ステップS103では、シミュレーション部16は、施工量データと作業機械データとに基づいて、施工計画のシミュレーションを行う。施工計画のシミュレーション結果は、作業機械の予想稼働状況を含む。シミュレーション部16は、施工量データから施工量を算出する。例えば、シミュレーション部16は、現況地形101と設計地形102との差分から、施工量を算出する。施工量は、例えば土の体積で示される。シミュレーション部16は、施工量と作業機械データとに基づいて、作業機械の予想稼働状況を算出する。
【0026】
図6は、作業機械の予想稼働状況を示す稼働状況データ40の一例を示す図である。図6に示すように、稼働状況データ40は、各作業エリアに割り当てられた作業機械の予想稼働状況を示す。稼働状況データ40は、各作業機械の一日における稼働時間41を含む。稼働時間41は、例えばグラフ化して示される。稼働状況データ40は、各作業機械の稼働率42を含む。稼働率42は、例えば、各作業機械の一日の稼働時間のうち実際に動作している時間の割合を示す。稼働状況データ40は、各作業機械の施工量43を含む。施工量43は、例えば、各作業機械が一日に作業した土の体積で示される。
【0027】
なお、施工計画のシミュレーション結果は、施工に要する期間及びコストを含んでもよい。例えば、シミュレーション部16は、施工量43と、各作業機械の施工能力と、稼働率42とに基づいて、施工に要する期間を算出する。シミュレーション部16は、作業機械の使用料、及び、燃料費と、施工に要する期間とに基づいて、施工に要するコストを算出する。
【0028】
ステップS104では、電力算出部17は、施工の期間内の日々の必要総電力量を算出する。例えば図7に示すように、作業機械M1は、バッテリB1を含む。作業機械M1は、バッテリB1の電力によって駆動される。他の作業機械も、作業機械M1と同様に、バッテリの電力によって駆動される。上述した作業機械データは、各作業エリアに割り当てられた複数の作業機械のそれぞれの電費を含む。電費は、作業機械の単位時間当たりの消費電力を示す。或いは、電費は、作業機械の単位作業量当たりの消費電力を示してもよい。電力算出部17は、施工量43データと作業機械データとに基づいて、施工現場100における複数の作業機械の必要総電力量を算出する。
【0029】
ステップS105では、給電判定部18は、複数の作業機械を充電するための最適な給電方式と給電のタイミングとを判定する。給電判定部18は、複数の作業機械を充電するための互いに異なる種類の複数の給電方式から、必要総電力量に基づいて、最適な給電方式と給電のタイミングとを判定する。
【0030】
複数の給電方式は、「仮設電源」と、「可搬蓄電池」と、「可搬発電機」と、「バッテリ交換」とによる給電方式を含む。「仮設電源」による給電方式は、図7に示すように、仮設電源51を施工現場100に設置し、仮設電源51により複数の作業機械を充電することである。仮設電源51は、電力網6に接続され、変圧設備を含む。仮設電源51は、充電器52を介して作業機械M1に接続される。
【0031】
「可搬蓄電池」による給電方式は、図8に示すように、充電された可搬蓄電池53を施工現場100に搬送して、可搬蓄電池53により複数の作業機械を充電することである。可搬蓄電池53は、例えば施工現場100から離れた充電設備を備える充電拠点にて充電された後、施工現場100に搬送される。
【0032】
「可搬発電機」による給電方式は、図9に示すように、可搬発電機54を施工現場100に搬送して、可搬発電機54により複数の作業機械を充電することである。可搬発電機54は、車両55に搭載されてもよい。或いは、可搬発電機54は、車両55から降ろされて施工現場100に備え付けられてもよい。「可搬蓄電池53」についても同様に、車両55に搭載されてもよく、或いは車両55から降ろされて施工現場100に備え付けられてもよい。
【0033】
「バッテリ交換」による給電方式は、図10に示すように、充電済みのバッテリB2を施工現場100に搬送して、作業機械M1の使用済みのバッテリB1と交換することである。充電済みのバッテリB2は、例えば施工現場100から離れた充電設備を備える充電拠点にて充電された後、施工現場100に搬送される。
【0034】
給電判定部18は、必要総電力量に対する複数の給電方式のそれぞれのコストを算出する。例えば、「仮設電源」による給電方式のコストは、仮設電源51の設置費用と使用料、及び、必要総電力量に対する電気料金に基づいて算出される。「可搬蓄電池」による給電方式のコストは、可搬蓄電池53の搬送費用、使用料、及び、必要総電力量に対する電気料金に基づいて算出される。「可搬発電機」による給電方式のコストは、可搬発電機54の搬送費用、使用料、及び、必要総電力量に対する電気料金に基づいて算出される。「バッテリ交換」による給電方式のコストは、交換用のバッテリの搬送費用、使用料、及び、必要総電力量に対する電気料金に基づいて算出される。
【0035】
給電判定部18は、複数の給電方式のそれぞれのコストに基づいて、最適な給電方式を判定する。例えば、給電判定部18は、複数の給電方式のうち、コストの最も安いものを、最適な給電方式として決定する。また、給電判定部18は、電動作業機械の日々の必要電力量と電費とに基づいて、各電動作業機械への最適な給電のタイミングを決定する。
【0036】
出力制御部19は、施工計画のシミュレーション結果を示すシミュレーションデータを出力する。出力制御部19は、シミュレーションデータをクライアントコンピュータ3に送信する。シミュレーションデータは、上述した稼働状況データ40を含む。出力装置5は、稼働状況データ40を示す稼働状況画面を表示する。シミュレーションデータは、最適な給電方式を含む。出力装置5は、最適な給電方式と給電のタイミングとを示す給電提案画面を表示する。給電提案画面は、例えば、給電日、給電対象の機械(ID、或いは型番)、給電方式を含む。給電提案は、必要電力量、及び、コストを含んでもよい。この給電提案画面により、いつ、どの給電設備を、どこの電動作業機械に手配すればよいか、どの程度のコストとなるかを容易に認識することができる。
【0037】
以上説明した本実施形態に係るシミュレーションシステム1では、施工現場100における複数の作業機械の必要総電力量に基づいて、最適な給電方式が決定される。それにより、施工現場100に応じた適切な給電方式を判定することができる。例えば、仮設電源51の設置には、電力網6を管理する電力会社への申請を要するなどの理由により、長い時間がかかることがある。しかし、本実施形態に係るシミュレーションシステム1によれば、仮設電源51の設置の要否を、事前に判定することができる。それにより、施工の着工前に、仮設電源51の設置を手配することが容易になる。また、各電動作業機械に最適な給電のタイミングが決定されることで、給電設備の手配時期を容易に決定することができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
上述したサーバーコンピュータ2による処理は、クライアントコンピュータ3において実行されてもよい。上述したサーバーコンピュータ2による処理は、複数のコンピュータに分散して実行されてもよい。給電方式は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、施工計画のシミュレーション方法、及び、シミュレーションシステムによって、施工現場に応じた適切な給電方式が判定される。
【符号の説明】
【0041】
14:第1データ取得部
15:第2データ取得部
17:電力算出部
18:給電判定部
51:仮設電源
53:可搬蓄電池
54:可搬発電機
B1,B2:バッテリ
M1-M3:電動作業機械
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10