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特開2024-132449半導体製造装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132449
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043213
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】水田 吉郎
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA52
5F131BA53
5F131BB03
5F131CA07
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131EB01
5F131EB56
5F131EC42
5F131EC63
5F131GA03
5F131KB02
5F131KB56
(57)【要約】
【課題】基板同士を好適に貼り合わせることが可能な半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体製造装置は、第1基板または第2基板の反り量の値を計測する反り量計測部を備える。前記装置はさらに、前記反り量の値に基づいて、前記第1基板と前記第2基板との間のギャップの値を決定するギャップ決定部を備える。前記装置はさらに、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる前に、前記ギャップを前記決定された値に制御する貼合制御部を備える。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板または第2基板の反り量の値を計測する反り量計測部と、
前記反り量の値に基づいて、前記第1基板と前記第2基板との間のギャップの値を決定するギャップ決定部と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる前に、前記ギャップを前記決定された値に制御する貼合制御部と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
前記ギャップ決定部は、事前に定められた前記反り量と前記ギャップとの関係式を用いることで、前記反り量の値に基づいて、前記ギャップの値を決定する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記ギャップ決定部は、前記反り量の増加に伴い前記ギャップが減少するように、前記ギャップの値を決定する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記ギャップ決定部は、前記第1基板の中心部と前記第2基板の中心部との間の前記ギャップの値を決定する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記ギャップの値に基づいて、前記第1基板または前記第2基板を押圧する押圧力の値を決定する押圧力決定部をさらに備え、
前記貼合制御部は、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる際に、前記押圧力を前記決定された値に制御する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記押圧力決定部は、前記第1基板または前記第2基板の中心部を押圧する押圧力の値を決定する、請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記押圧力決定部は、前記第1基板を押圧する前記押圧力の値を決定し、前記反り量計測部は、前記第1基板の前記反り量の値を計測する、請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記貼合制御部により制御されて、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる貼合部をさらに備える、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記貼合部は、前記第1基板を吸引する吸引部と、前記第1基板を前記押圧力により押圧する押圧部とを備える、請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記貼合部は、前記第1基板を保持するチャックを支持する第1支持部と、前記第2基板を保持するチャックを支持する第2支持部とを備え、
前記ギャップは、前記貼合制御部が前記第1支持部または前記第2支持部を制御することで、前記決定された値に制御される、請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
第1基板または第2基板の反り量の値を計測し、
前記反り量の値に基づいて、前記第1基板と前記第2基板との間のギャップの値を決定し、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる前に、前記ギャップを前記決定された値に制御する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ギャップの値は、事前に定められた前記反り量と前記ギャップとの関係式を用いることで、前記反り量の値に基づいて決定される、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ギャップの値は、前記反り量の増加に伴い前記ギャップが減少するように決定される、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ギャップの値に基づいて、前記第1基板または前記第2基板を押圧する押圧力の値を決定することをさらに含み、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる際に、前記押圧力は、前記決定された値に制御される、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記ギャップを前記決定された値に制御しつつ、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせることをさらに含む、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1基板または前記第2基板を露光する前に、前記第1基板または前記第2基板の露光位置を補正することが可能な量である位置補正量の値を決定し、
前記第1基板または前記第2基板を露光する際に、前記位置補正量を前記決定された値に制御する、
ことをさらに含み、
前記第1基板または前記第2基板が露光された後に、前記第1基板と前記第2基板とが貼り合わされる、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記ギャップの値は、事前に定められた前記反り量と前記ギャップとの関係式を用いることで、前記反り量の値に基づいて決定され、
前記反り量と前記ギャップとの関係式は、前記反り量と前記位置補正量との関係式と、前記ギャップと前記位置補正量との関係式とに基づいて作成される、
請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記反り量と前記位置補正量との関係式と、前記ギャップと前記位置補正量との関係式は、実際に露光および貼合を行うことで作成される、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記位置補正量は、多項式回帰の係数である、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記位置補正量は、Zernike多項式の係数である、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板同士を貼り合わせる際、少なくともいずれかの基板に反りがあると、基板同士を好適に貼り合わせることができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許出願WO2020/045148号公報
【特許文献2】特許第6407803号公報
【特許文献3】特許第6640546号公報
【特許文献4】特表2016-526299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板同士を好適に貼り合わせることが可能な半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体製造装置は、第1基板または第2基板の反り量の値を計測する反り量計測部を備える。前記装置はさらに、前記反り量の値に基づいて、前記第1基板と前記第2基板との間のギャップの値を決定するギャップ決定部を備える。前記装置はさらに、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる前に、前記ギャップを前記決定された値に制御する貼合制御部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図2】第1実施形態の貼合装置の構成を示す平面図である。
図3】第1実施形態の処理ブロック25の構成を示す断面図である。
図4】第1実施形態の上チャック51等の構成を示す断面図である。
図5】第1実施形態の下チャック52等の構成を示す断面図である。
図6】第1実施形態の貼合装置の動作を示す断面図である。
図7】第1実施形態の上ウェハ1の加工方法を示す断面図である。
図8】第1実施形態の露光装置の構成を示す斜視図である。
図9】第1実施形態の露光補正について説明するための平面図である。
図10】第1実施形態の露光補正について説明するための断面図である。
図11】第1実施形態の露光補正について説明するための平面図である。
図12】比較例の露光および貼合の流れを示す模式図である。
図13】比較例の貼合の詳細を説明するための断面図である。
図14】比較例の露光および貼合の流れを示す模式図である。
図15】第1実施形態の貼合の詳細を説明するための断面図である。
図16】第1実施形態の貼合補正について説明するためのグラフである。
図17】第1実施形態の貼合補正について説明するためのグラフである。
図18】第1実施形態の露光および貼合の流れを示す模式図である。
図19】第1実施形態の貼合補正について説明するための表である。
図20】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図21】第1実施形態の制御部30の機能構成を示すブロック図である。
図22】第1実施形態の変形例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図22において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
(1)貼合
図1は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0009】
本実施形態の半導体装置は、図1(a)に示す上ウェハ1と、図1(b)に示す下ウェハ2とを貼り合わせることで製造される。上ウェハ1および下ウェハ2の一方は、第1基板の例であり、上ウェハ1および下ウェハ2の他方は、第2基板の例である。例えば、上ウェハ1が第1基板の例となっており、下ウェハ2が第2基板の例となっている。図1(c)は、互いに貼り合わされた上ウェハ1および下ウェハ2を含む貼合済ウェハ3を示している。貼合済ウェハ3はその後、複数のチップ(半導体装置)へとダイシングされる。
【0010】
図1(a)~図1(c)は、互いに垂直なX方向、Y方向、およびZ方向を示している。この明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0011】
上ウェハ1は、図1(a)に示すように、ウェハ1aと、ウェハ1a上に形成された層間絶縁膜1bと、層間絶縁膜1b内に形成された複数の金属パッド1cとを備えている。ウェハ1aは例えば、Si(シリコン)ウェハなどの半導体ウェハである。層間絶縁膜1bは例えば、SiO膜(シリコン酸化膜)やSiN膜(シリコン窒化膜)などを含む積層絶縁膜である。層間絶縁膜1bは、メモリセルアレイやトランジスタなどの種々のデバイスを含んでいてもよいし、配線層やプラグ層などの種々の導電層を含んでいてもよい。金属パッド1cは例えば、Cu(銅)層などを含む金属層である。
【0012】
下ウェハ2は、図1(b)に示すように、ウェハ2aと、ウェハ2a上に形成された層間絶縁膜2bと、層間絶縁膜2b内に形成された複数の金属パッド2cとを備えている。ウェハ2a、層間絶縁膜2b、金属パッド2cの材料や構造はそれぞれ、ウェハ1a、層間絶縁膜1b、金属パッド1cの材料や構造と同様である。例えば、上ウェハ1は、メモリセルアレイを備えており、下ウェハ2は、このメモリセルアレイを制御するトランジスタを備えている。
【0013】
貼合済ウェハ3は、図1(c)に示すように、下ウェハ2と、下ウェハ2上に配置された上ウェハ1とを含んでいる。図1(c)に示す上ウェハ1の向きは、図1(a)に示す上ウェハ1の向きとは逆になっている。図1(c)では、層間絶縁膜1bの下面が、層間絶縁膜2bの上面に接着されており、各金属パッド1cの下面が、対応する金属パッド2cの上面に接合されている。
【0014】
本実施形態の半導体装置を製造する際、ウェハ1a上に形成されるパターンの倍率と、ウェハ2a上に形成されるパターンの倍率とが同じにならない場合がある。例えば、金属パッド1cの倍率と、金属パッド2cの倍率とが同じにならない場合がある。この場合、各金属パッド1cが、対応する金属パッド2cと適切に接合されないおそれがあり、接合箇所の高抵抗化や断線などの接合不良が生じるおそれがある。
【0015】
そこで、本実施形態の半導体装置を製造する際には、上ウェハ1と下ウェハ2との倍率差を補正するために、上ウェハ1または下ウェハ2を保持するチャックを変形させてもよい。この場合、このチャックを変形させた状態で、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。これにより、各金属パッド1cを、対応する金属パッド2cと適切に接合することが可能となる。例えば、0~10ppm程度の合わせずれを補正することが可能となる。倍率差の補正のさらなる詳細については、後述する。
【0016】
図2は、第1実施形態の貼合装置の構成を示す平面図である。本実施形態では、この貼合装置が、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。この貼合装置は、半導体製造装置の例である。
【0017】
本実施形態の貼合装置は、図2に示すように、ウェハ搬送部10と、ウェハ処理部20と、制御部30とを備えている。ウェハ搬送部10は、上ウェハ1や下ウェハ2を貼合装置の筐体の外部から内部に搬入したり、貼合済ウェハ3を貼合装置の筐体の内部から外部に搬出したりする。ウェハ処理部20は、上ウェハ1、下ウェハ2、および貼合済ウェハ3を処理し、例えば、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。制御部30は、貼合装置の種々の動作を制御し、例えば、ウェハ搬送部10による各ウェハの搬送や、ウェハ処理部20による各ウェハの処理を制御する。
【0018】
ウェハ搬送部10は、各ウェハが載置される載置部11と、各ウェハを搬送する搬送部12とを備えている。載置部11は、複数の載置台11aを備えている。搬送部12は、搬送路12aと、搬送ロボット12bとを備えている。
【0019】
載置台11aは、上ウェハ1が収容されているカセット4や、下ウェハ2が収容されているカセット5や、貼合済ウェハ6を収容するためのカセット6を載置するために使用される。図2に示す2つのカセット6は、正常な貼合済ウェハ3を収容するためのカセット6と、異常な貼合済ウェハ3を収容するためのカセット6である。
【0020】
搬送路12aは、X方向に延びている。搬送ロボット12bは、搬送路12a上を±X方向に移動することや、搬送路12a上でZ方向の周りの±θ方向に回転することが可能である。搬送ロボット12bは、-Y方向に位置する載置台11aと、+Y方向に位置するウェハ処理部20との間で、各ウェハを搬送することができる。これにより、各ウェハを筐体の内部に搬入したり、各ウェハを筐体の外部に搬出したりすることができる。
【0021】
ウェハ処理部20は、各ウェハを搬送する搬送ブロック21と、各ウェハを処理する処理ブロック22、23、24、25とを備えている。搬送ブロック21は、搬送ロボット21aを備えている。
【0022】
搬送ブロック21内の搬送ロボット21aは、ウェハ搬送部10と処理ブロック22~25との間で、各ウェハを搬送することができる。処理ブロック22は、上ウェハ1や下ウェハ2や貼合済ウェハ3を±Z方向に移動させる。処理ブロック23は、上ウェハ1や下ウェハ2の表面を改質する。処理ブロック24は、上ウェハ1や下ウェハ2の表面を親水化する。処理ブロック25は、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。
【0023】
図3は、第1実施形態の処理ブロック25の構成を示す断面図である。
【0024】
処理ブロック25は、処理ブロック25の内壁25aで隔てられた搬送領域40と貼合領域50とを備えている。搬送領域40と貼合領域50は、内壁25aに設けられた出入口25bで連通されている。搬送領域40は、処理ブロック25の内部と外部との間で、各ウェハを搬送するための領域である。貼合領域50は、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせるための領域である。貼合領域50は、貼合部の例である。
【0025】
搬送領域40は、搬送モジュール41と、位置調整モジュール42と、反転モジュール43とを備えている。位置調整モジュール42は、基台42aと、検出部42bとを備えている。反転モジュール43は、保持アーム43aと、複数の保持部材43bと、駆動部43cと、支柱43dとを備えている。
【0026】
搬送モジュール41は、各ウェハをX方向、Y方向、Z方向などに搬送する。具体的には、搬送モジュール41は、上ウェハ1や下ウェハ2を貼合領域50の外部から内部に搬入したり、貼合済ウェハ3を貼合領域50の内部から外部に搬出したりする。
【0027】
位置調整モジュール42は、各ウェハのノッチの向きを調整する。具体的には、位置調整モジュール42は、基台42aによりウェハを支持し、検出部42bにより基台42a上のウェハのノッチの位置を検出し、ノッチの検出位置に応じて基台42aによりウェハを回転させる。これにより、ノッチの向きが調整される。
【0028】
反転モジュール43は、上ウェハ1の向きを反転させる。具体的には、反転モジュール43は、保持アーム43a上の保持部材43bにより上ウェハ1を保持し、保持アーム43aにより上ウェハ1の向きを反転させる。保持アーム43aは、駆動部43cを介して支柱43dにより支持されており、駆動部43cにより駆動される。これにより、上ウェハ1の向きが反転される。例えば、反転前の上ウェハ1の金属パッド1cが+Z方向を向いている場合、反転後の上ウェハ1の金属パッド1cは-Z方向を向くことになる。
【0029】
貼合領域50は、上チャック51と、下チャック52と、上チャック支持部53と、下チャック移動部54と、Y方向に延びる2本のレール55と、下チャック移動部56と、X方向に延びる2本のレール57と、載置台58とを備えている。上チャック支持部53は、上部撮像部53aと、支持部材53bと、複数の支柱53cと、ストライカ53dとを備えている。下チャック移動部54は、下部撮像部54aを備えている。上チャック支持部53は、第1支持部の例である。下チャック移動部54、レール55、下チャック移動部56、レール57、および載置台58は、第2支持部の例である。ストライカ53dは、押圧部の例である。
【0030】
上チャック51は、上チャック支持部53により支持されており、上ウェハ1を上側から保持する。上チャック支持部53は、処理ブロック25の容器の天井面に設けられており、上チャック51を上側から支持している。具体的には、上チャック支持部53は、上チャック51を支持部材53bにより支持しており、支持部材53bを支柱53cにより支持している。上部撮像部53aは、支持部材53bに設けられており、下ウェハ2を撮像する。これにより、下ウェハ2の状態を検出することができる。ストライカ53dは、支持部材53bに設けられており、上ウェハ1を押圧する。これにより、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせることができる。
【0031】
下チャック52は、下チャック移動部54、レール55、下チャック移動部56、レール57、および載置台58により支持されており、下ウェハ2を下側から保持する。下チャック移動部54、レール55、下チャック移動部56、レール57、および載置台58は、処理ブロック25の容器の床面に設けられており、下チャック52を下側から支持している。下チャック移動部54は、下チャック移動部56に設けられたレール55上を移動することで、下チャック52を±Y方向に移動させることができる。下チャック移動部56は、載置台58に設けられたレール57上を移動することで、下チャック52を±X方向に移動させることができる。さらに、下チャック移動部54は、±Z方向に移動することや、Z方向に平行な軸の周りを回転することで、下チャック52を昇降させたり回転させたりすることができる。これにより、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップを増減させることができる。下部撮像部54aは、下チャック移動部54に設けられており、上ウェハ1を撮像する。これにより、上ウェハ1の状態を検出することができる。
【0032】
図4は、第1実施形態の上チャック51等の構成を示す断面図である。
【0033】
図4に示すように、本実施形態の貼合領域50はさらに、貫通孔61と、複数の吸引管62と、複数の吸引管63と、アクチュエータ64と、シリンダ65と、真空ポンプ66と、真空ポンプ67とを備えている。
【0034】
貫通孔61は、上チャック51および支持部材53bを貫通している。アクチュエータ64とシリンダ65は、上ウェハ1を押圧するストライカ53dを構成している。具体的には、シリンダ65は、支持部材53b上に設けられている。アクチュエータ64は、シリンダ65内に設けられた上部と、貫通孔61内に設けられた下部とを含んでいる。アクチュエータ64の上部が、シリンダ65内で上下移動すると、アクチュエータ64の下部も、貫通孔61内で上下移動する。その結果、アクチュエータ64の下部が、上チャック51により保持されている上ウェハ1を押圧する。本実施形態のストライカ53dは、不図示のレギュレータから供給される空気により駆動される。
【0035】
吸引管62、63は、上チャック51を貫通しており、上ウェハ1を吸引するために使用される。本実施形態の上チャック51は、上ウェハ1を吸引管62、63から吸引することで、上ウェハ1を保持する。真空ポンプ66、67はそれぞれ、吸引管62、63に接続されており、上ウェハ1を吸引管62、63から真空引きする。上ウェハ1は、この真空引きの作用により保持される。本実施形態の貼合領域50は、真空ポンプ66と真空ポンプ67とを、互いに独立に駆動することができる。吸引管62、63と真空ポンプ66、67は、吸引部の例である。
【0036】
本実施形態の貼合領域50は、吸引管62、63から上ウェハ1へと上向きの力を作用させることができ、アクチュエータ64(ストライカ53d)から上ウェハ1へと下向きの力を作用させることができる。これらの力のさらなる詳細については、後述する。
【0037】
図5は、第1実施形態の下チャック52等の構成を示す断面図である。
【0038】
図5(a)および図5(b)は、同じ下チャック52が異なる状態となっている状況を示している。以下、図5(a)を参照して、下チャック52の詳細について説明する。この説明の中で、図5(b)も適宜参照する。
【0039】
本実施形態の下チャック52は、図5(a)に示すように、基台71と、載置部72と、測定部73と、複数の吸引管74と、通気孔75とを備えている。また、本実施形態の貼合領域50はさらに、下チャック52用の構成要素として、真空ポンプ76と、変形部77とを備えている。変形部77は、切替バルブ77aと、レギュレータ77bと、真空ポンプ77cとを備えている。
【0040】
基台71は、下ウェハ2が載置される載置部72を下側から支持している。基板71と載置部72との間には、空間Sが存在する。載置部72は、平面視において下ウェハ2の直径以上の直径を有している。図5(a)に示すように、載置部72の厚さは、載置部72の中心部に近づくほど厚くなっており、載置部72の中心部から遠ざかるほど薄くなっている。載置部72は例えば、セラミック材料で形成されている。
【0041】
載置部72は、図5(a)および図5(b)に示すように変形することができる。本実施形態の貼合領域50は、載置部72を変形させることで、載置部72上に載置された下ウェハ2を変形させることができる。これにより、上ウェハ1と下ウェハ2との倍率差を補正することが可能となる。本実施形態の貼合領域50は、載置部72により下ウェハ2を変形させた状態で、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせることで、金属パッド1cと金属パッド2cとの合わせずれを補正することができる。図5(a)に示す載置部72は、平坦な上面を有しており、その結果、下ウェハ2の形状も平坦となっている。図5(b)に示す載置部72は、上に凸な形状に湾曲した上面を有しており、その結果、下ウェハ2の形状も、上に凸な形状に湾曲している。
【0042】
測定部73は、基台71の中心部に設けられており、載置部72の変位量(変形量)を測定する。吸引管74は、基台71と載置部72とを貫通しており、下ウェハ2を吸引するために使用される。本実施形態の下チャック52は、下ウェハ2を吸引管74から吸引することで、下ウェハ2を保持する。真空ポンプ76は、吸引管74に接続されており、下ウェハ2を吸引管74から真空引きする。下ウェハ2は、この真空引きの作用により保持される。
【0043】
通気孔75は、基台71を貫通しており、空間Sへの給気や空間Sからの排気を行うために使用される。変形部77は、空間Sへの給気や空間Sからの排気により、載置部72を変形させる。具体的には、変形部77は、レギュレータ77bにより空間Sへの給気を行い、真空ポンプ77cにより空間Sからの排気を行う。給気と排気との切替は、切替バルブ77aにより行う。
【0044】
図6は、第1実施形態の貼合装置の動作を示す断面図である。図6(a)~図6(d)は、上チャック51により保持されている上ウェハ1と、下チャック52により保持されている下ウェハ2とを貼り合わせる様子を示している。
【0045】
図6(a)は、貼り合わせを開始する前の上ウェハ1および下ウェハ2を示している。図6(a)は、吸引管62(図4)から上ウェハ1に作用する吸引力Faと、吸引管63(図4)から上ウェハ1に作用する吸引力Fbとを示している。この時点では、ストライカ53dは上ウェハ1に接しておらず、ストライカ53dから上ウェハ1に押圧力は作用していない。
【0046】
図6(a)はさらに、貼り合わせを開始する前の上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGを示している。本実施形態のギャップGは、上ウェハ1の下面と下ウェハ2の上面との間の距離に相当する。図6(a)に示すギャップGは、上ウェハ1の中心部と下ウェハ2の中心部との間の距離となっている。上ウェハ1の中心部は、上ウェハ1の中心軸上の箇所であり、下ウェハ2の中心部は、下ウェハ2の中心軸上の箇所である。
【0047】
なお、図6(a)に示す下ウェハ2は、載置部72により変形されていてもよい。下ウェハ2を変形させた状態で貼り合わせを行うことで、上ウェハ1と下ウェハ2との倍率差を補正することが可能となる。
【0048】
上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際には、真空ポンプ66(図4)を停止して、吸引管62からの真空引きを停止する。その後、吸引管63により上ウェハ1を吸引しながら、ストライカ53dにより上ウェハ1を押圧する(図6(b))。本実施形態では、ストライカ53dが、上ウェハ1の中心部を下ウェハ2の中心部に対して押圧し、吸引管63が、上ウェハ1の中心部以外の箇所を吸引する。そのため、上ウェハ1と下ウェハ2との貼り合わせは、上ウェハ1および下ウェハ2の中心部から外周部へと進展していく。すなわち、上ウェハ1と下ウェハ2との接触領域が、上ウェハ1および下ウェハ2の中心部から外周部へと拡がっていく。
【0049】
貼り合わせの進展は、その後に止まる。これを、ウェイト状態と呼ぶ。図6(b)は、ウェイト状態の上ウェハ1および下ウェハ2を示している。
【0050】
本実施形態の貼合装置は、貼り合わせがウェイト状態に達すると、ストライカ53dにより上ウェハ1を押圧した状態で、真空ポンプ67(図4)を停止して、吸引管63からの真空引きを停止する。その結果、上ウェハ1が下ウェハ2に落下することにより、上ウェハ1と下ウェハ2との貼り合わせがさらに進展していく(図6(c))。
【0051】
このようにして、上ウェハ1と下ウェハ2との貼り合わせが、上ウェハ1および下ウェハ2の端部まで進展し、貼り合わせが終了する(図6(d))。図6(d)は、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせることで得られた貼合済ウェハ3を示している。
【0052】
ここで、本実施形態の制御部30(図2)の動作について説明する。
【0053】
制御部30は、貼り合わせを開始する前に、上ウェハ1の反り量の値を計測する。そして、制御部30は、反り量の値に基づいて、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGの値を決定し、ギャップGの値に基づいて、ストライカ53dの押圧力の値を決定する。
【0054】
制御部30は、貼り合わせを開始する前に、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGを、上記決定された値に制御する。そして、制御部30は、貼合領域50の動作を制御することにより、図6(a)~図6(d)に示すように、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。この貼り合わせの間、制御部30は、ストライカ53dの押圧力を、上記決定された値に制御する。また、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGは、貼り合わせが開始される時点(図6(a)に示す時点)で、上記決定された値に設定される。
【0055】
本実施形態によれば、ギャップGおよび押圧力をこれらの値に制御することにより、上ウェハ1と下ウェハ2とを好適に貼り合わせることが可能となる。このような効果のさらなる詳細については、後述する。
【0056】
(2)露光および貼合(露光補正)
図7は、第1実施形態の上ウェハ1の加工方法を示す断面図である。
【0057】
まず、ウェハ1a上に層間絶縁膜1bを形成し、層間絶縁膜1b上にレジスト層7を形成する(図7(a))。次に、リソグラフィおよびエッチングにより、レジスト層7をパターニングする(図7(b))。その結果、レジスト層7内に複数の凹部H1が形成される。
【0058】
次に、レジスト層7をマスクとして用いたエッチングにより、レジスト層7のパターンを層間絶縁膜1bに転写する(図7(c))。その結果、レジスト層7内に複数の凹部H2が形成される。
【0059】
次に、レジスト層7を除去した後、これらの凹部H2内に複数の金属パッド1cを形成する(図7(d))。これらの金属パッド1cは例えば、これらの金属パッド1cの材料となる金属層を層間絶縁膜1b上に形成し、金属層の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化することで形成される。
【0060】
このようにして、図1(a)に示す上ウェハ1が製造される。なお、図1(b)に示す下ウェハ2も、図7(a)~図7(d)に示す工程により製造可能である。
【0061】
図8は、第1実施形態の露光装置の構成を示す斜視図である。本実施形態では、上ウェハ1や下ウェハ2を加工する際の露光が、この露光装置により行われる。例えば、図7(b)に示す工程のリソグラフィは、この露光装置により行われる。
【0062】
本実施形態の露光装置は、図8に示すように、照明光学系81と、テーブル82と、投影レンズ83と、ステージ84と、X軸干渉計85と、Y軸干渉計86と、オフアクシス顕微鏡87と、制御部88とを備えている。図8はさらに、テーブル82上に載置されたレチクル8と、ステージ84上に載置された上ウェハ1とを示している。上ウェハ1の代わりに下ウェハ2が、ステージ84上に載置されてもよい。
【0063】
照明光学系81は、上ウェハ1を露光するための光を発生させる。テーブル82上のレチクル8には、照明光学系81からの光が照射される。テーブル82は、レチクル8を移動させることで、レチクル8を光で走査することができる。レチクル8を透過した光は、投影レンズ83を介して、ステージ84上の上ウェハ2に入射する。このようにして、上ウェハ2が露光される。X軸干渉計85、Y軸干渉計86、およびオフアクシス顕微鏡87は、露光の様子を観測するために使用される。本実施形態の露光装置の動作は、制御部88により制御される。
【0064】
図9は、第1実施形態の露光補正について説明するための平面図である。
【0065】
図9(a)は、上ウェハ1の複数のショット領域9を示している。上ウェハ1を露光する際には、個々のショット領域9ごとに露光が行われる。本実施形態の露光装置は、ショット領域9を露光する際に、図9(b)~図9(d)に示すように、ショット領域9をショット領域9’に変更する露光補正を行うことができる。図9(b)に示す露光補正は、ショット領域9をショット領域9’へとシフトさせている。図9(c)に示す露光補正は、ショット領域9をショット領域9’へと拡大(または縮小)させている。図9(d)に示す露光補正は、ショット領域9をショット領域9’へと回転させている。本実施形態によれば、例えば、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際の位置ずれを、このような露光補正により低減することが可能となる。
【0066】
図10は、第1実施形態の露光補正について説明するための断面図である。
【0067】
図10(a)は、互いに貼り合わされた上ウェハ1および下ウェハ2を示している。上ウェハ1は、ウェハ1aと、層間絶縁膜1bと、金属パッド1cと、配線層1dとを含んでいる。金属パッド1cは、配線層1dの下面に形成されている。下ウェハ2は、ウェハ2aと、層間絶縁膜2bと、金属パッド2cと、配線層2dとを含んでいる。金属パッド2cは、配線層2dの上面に形成されている。これは、図10(b)でも同様である。
【0068】
図10(a)は、露光補正を行わなかった場合の上ウェハ1および下ウェハ2を示している。図10(a)では、金属パッド1cが、金属パッド2cと接合されるはずなのに、金属パッド2cと接合されていない。すなわち、金属パッド1cと金属パッド2cとの位置ずれが生じている。
【0069】
図10(b)は、露光補正を行った場合の上ウェハ1および下ウェハ2を示している。図10(b)の金属パッド1cは、図7(b)に示す工程のリソグラフィの際に露光補正を行って形成されている。よって、図10(b)の金属パッド1cの位置は、図10(a)の金属パッド1cの位置と異なっている。その結果、図10(b)では、金属パッド1cが、金属パッド2cと接合されている。このように、本実施形態によれば、金属パッド1cと金属パッド2cとの位置ずれを、露光補正により低減することができる。
【0070】
図11は、第1実施形態の露光補正について説明するための平面図である。
【0071】
図11は、図9(a)と同様に、上ウェハ1の複数のショット領域9を示している。図11に示す矢印は、上ウェハ1の理想的なショット領域9と実際のショット領域9との位置ずれを示している。理想的なショット領域9とは、例えば、実際のショット領域9の下層に位置するショット領域に対応する。また、矢印の大小は、位置ずれ量の大小を表す。図11は、露光OL(オーバーレイ)マップとも呼ばれる。一方、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際の位置ずれに関するマップは、貼合OLマップと呼ばれる。各々のOLマップにおいて、位置ずれ量が相対的に小さい状態を「良好」、位置ずれ量が相対的に大きい状態を「悪化」と呼ぶことができる。
【0072】
一般的な露光補正は、上ウェハ1の理想的なショット領域9と実際のショット領域9との位置ずれを低減するように行われる。すなわち、一般的な露光補正は、図11に示す矢印が平均的に小さくなるように行われる。一方、本実施形態の露光補正は、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際の位置ずれ量を低減するように行われる。よって、本実施形態の露光補正は、矢印が平均的に小さくなるように行われる必要はなく、むしろ矢印が平均的に大きくなるように行われてもよい。これにより、上ウェハ1の理想的なショット領域9と実際のショット領域9との位置ずれ量が拡大しても、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際の位置ずれ量を低減することが可能となる。別言すると、露光OLマップは悪化しても、貼合OLマップは良好にすることが可能となる。上述の図10は、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際の位置ずれ量が低減した例を示している。
【0073】
(3)比較例
図12は、比較例の露光および貼合の流れを示す模式図である。
【0074】
本比較例においては、1対の上ウェハ1および下ウェハ2から複数の半導体装置を製造する。以下、このような対を「ウェハ対」と呼ぶ。図12は、先行ロットのウェハ対から複数の半導体装置を製造し、その後に、後行ロットのウェハ対から複数の半導体装置を製造するフローを示している。
【0075】
まず、先行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する。この際、上ウェハ1および下ウェハ2の露光は、図8の露光装置を用いて行われる。例えば、上ウェハ1の金属パッド1cや、下ウェハ2の金属パッド2cを形成する際の露光は、この露光装置を用いて行われる。この露光は、上ウェハ1の露光OLマップも、下ウェハ2の露光OLマップも良好になるように行われる。
【0076】
次に、先行ロットの上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。この際、上ウェハ1と下ウェハ2との貼合は、図2の貼合装置を用いて行われる。先行ロットの露光は、上述のように、上ウェハ1の露光OLマップも、下ウェハ2の露光OLマップも良好になるように行われるが、これが、先行ロットの貼合OLマップを悪化させる場合がある。例えば、図10(a)に示すように、金属パッド1cと金属パッド2cとの位置ずれが生じる場合がある。
【0077】
そこで、後行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する際には、先行ロットの貼合OLマップに基づいて、後行ロットの露光補正を行う。例えば、後行ロットの貼合OLマップが良好になるように、後行ロットの上ウェハ1の露光補正を行う。この場合、後行ロットの露光は、上ウェハ1の露光OLマップが悪化し、下ウェハ2の露光OLマップが良好になるように行われる。これにより、後行ロットの貼合OLマップを良好にすることが可能となる。例えば、図10(b)に示すように、金属パッド1cと金属パッド2cとの位置ずれを低減することが可能となる。
【0078】
後行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する際、上ウェハ1および下ウェハ2の露光は、図8の露光装置を用いて行われる。この際、上述のように、先行ロットの貼合OLマップに基づいて、後行ロットの露光補正が行われる。また、後行ロットの上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際、上ウェハ1と下ウェハ2との貼合は、図2の貼合装置を用いて行われる。本比較例によれば、後行ロットの露光補正により、後行ロットの貼合OLマップを良好にすることが可能となる。
【0079】
図13は、比較例の貼合の詳細を説明するための断面図である。
【0080】
図13(a)~図13(e)は、5対の上ウェハ1および下ウェハ2を示している。図13(a)の上ウェハ1は、上に凸な形状となるように大きく反っている。図13(b)の上ウェハ1は、上に凸な形状となるように小さく反っている。図13(c)の上ウェハ1は、反っていない。図13(d)の上ウェハ1は、下に凸な形状となるように小さく反っている。図13(e)の上ウェハ1は、下に凸な形状となるように大きく反っている。なお、下ウェハ2は、図13(a)~図13(e)のいずれにおいても反っていない。
【0081】
図13(a)、図13(b)、図13(d)、および図13(e)の各々は、上ウェハ1の反り量Wを示している。ここでは、反り量Wの大きさは、上ウェハ1のエッジに対する上ウェハ1の最大突出量となっている。例えば、図13(a)では、上ウェハ1の中心部が上ウェハ1のエッジに対し+Z方向に最も突出しており、反り量Wは、上ウェハ1の中心部のZ座標と上ウェハ1のエッジのZ座標との差となっている。これは、図13(b)、図13(d)、および図13(e)でも同様である。反り量Wの値は、図13(a)および図13(b)では負となり、図13(c)ではゼロとなり、図13(d)および図13(e)では正となるように規定される。よって、図13(a)~図13(e)においては、図13(a)の反り量Wが最も小さく、図13(e)の反り量Wが最も大きい。また、反り量Wの大きさ(絶対値)は、図13(a)および図13(e)で大きくなり、図13(b)および図13(d)で小さくなる。
【0082】
上ウェハ1および下ウェハ2の貼合OLマップは、上ウェハ1の反り量Wに応じて変化する。理由は、図6(b)に示す貼合工程において、上チャック51から上ウェハ1に作用する応力が、上ウェハ1の反り量Wに応じて変化するからである。
【0083】
図14は、比較例の露光および貼合の流れを示す模式図である。
【0084】
図14は、図12と同様に、先行ロットのウェハ対から複数の半導体装置を製造し、その後に、後行ロットのウェハ対から複数の半導体装置を製造するフローを示している。
【0085】
まず、先行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する。この際、上ウェハ1および下ウェハ2の露光は、上ウェハ1の露光OLマップも、下ウェハ2の露光OLマップも良好になるように行われる。
【0086】
次に、先行ロットの上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。先行ロットの露光は、上述のように、上ウェハ1の露光OLマップも、下ウェハ2の露光OLマップも良好になるように行われるが、これが、先行ロットの貼合OLマップを悪化させる場合がある。
【0087】
そこで、後行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する際には、先行ロットの貼合OLマップに基づいて、後行ロットの上ウェハ1の露光補正を行う。この場合、後行ロットの露光は、上ウェハ1の露光OLマップが悪化し、下ウェハ2の露光OLマップが良好になるように行われる。これにより、後行ロットの貼合OLマップを良好にすることが可能となる。
【0088】
この場合、先行ロットの上ウェハ1の反り量Wが問題となる。図14は、先行ロットの上ウェハ1の例として、反り量Wが負、ゼロ、および正の上ウェハ1を示している。例えば、先行ロットの上ウェハ1の反り量Wがゼロの場合には、後行ロットの上ウェハ1の露光補正は、反り量Wがゼロの上ウェハ1に適したものとなる。よって、後行ロットの上ウェハ1の反り量Wがゼロの場合には、後行ロットの上ウェハ1の露光補正により、後行ロットの貼合OLマップが良好になる。しかしながら、後行ロットの上ウェハ1の反り量Wがゼロでない場合には、後行ロットの上ウェハ1の露光補正により、後行ロットの貼合OLマップが良好にならないおそれがある。
【0089】
そこで、本実施形態では、後行ウェハに対し露光補正だけでなく貼合補正を行う。これにより、上ウェハ1の反り量Wの問題に対処することが可能となる。本実施形態の貼合補正は、図6の説明箇所で説明したように、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGの値を制御することで行われる。貼合補正のさらなる詳細については、後述する。
【0090】
(4)貼合補正
図15は、第1実施形態の貼合の詳細を説明するための断面図である。
【0091】
図15(a)~図15(e)は、図13(a)~図13(e)と同様に、5対の上ウェハ1および下ウェハ2を示している。図15(a)の上ウェハ1は、上に凸な形状となるように大きく反っている。図15(b)の上ウェハ1は、上に凸な形状となるように小さく反っている。図15(c)の上ウェハ1は、反っていない。図15(d)の上ウェハ1は、下に凸な形状となるように小さく反っている。図15(e)の上ウェハ1は、下に凸な形状となるように大きく反っている。なお、下ウェハ2は、図15(a)~図15(e)のいずれにおいても反っていない。
【0092】
図15(a)~図15(e)の各々はさらに、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGを示している。本実施形態のギャップGは、上ウェハ1の中心部と下ウェハ2の中心部との間の距離となっている。本実施形態の貼合補正は、このギャップGの値を制御することで行われる。
【0093】
図16は、第1実施形態の貼合補正について説明するためのグラフである。
【0094】
図16(a)において、横軸は、上ウェハ1の反り量Wを示しており、縦軸は、上ウェハ1および下ウェハ2の貼合OLマップの3σ値を示している。ここで、σは、貼合OLマップにおける矢印のX成分(またはY成分)の標準偏差を表す。また、3σ値は、貼合OLマップにおける矢印に関し、X成分(またはY成分)のバラツキを表す。本実施形態では、反り量Wが大きくなるほど、貼合OLマップの3σ値が大きくなる。よって、反り量Wが大きくなると貼合OLマップが悪化し、反り量Wが小さくなると貼合OLマップが良好になる。
【0095】
図16(b)において、横軸は、貼合開始前の上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGを示しており(図6(a)参照)、縦軸は、上ウェハ1および下ウェハ2の貼合OLマップの3σ値を示している。本実施形態では、ギャップGが大きくなるほど、貼合OLマップの3σ値が大きくなる。よって、ギャップGが大きくなると貼合OLマップが悪化し、ギャップGが小さくなると貼合OLマップが良好になる。
【0096】
図17は、第1実施形態の貼合補正について説明するためのグラフである。
【0097】
図17(a)において、横軸は、上ウェハ1の反り量Wを示しており、縦軸は、貼合開始前の上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGを示している。本実施形態の貼合補正は、図17(a)に示すように行われる。すなわち、本実施形態の貼合補正は、反り量Wが大きくなるほど、ギャップGが小さくなるように行われる。図17(a)では、反り量Wの増加に伴いギャップGが減少している。
【0098】
図17(b)は、図17(a)に示す貼合補正を行った場合の反り量Wと3σ値との関係を示している。この場合、上ウェハ1の反り量Wが変動しても、上ウェハ1および下ウェハ2の貼合OLマップの3σ値は一定となる。よって、本実施形態によれば、図17(a)に示す貼合補正を行うことで、反り量Wが貼合OLマップに影響を与えることを抑制することが可能となる。これにより、上ウェハ1が反っている場合にも、貼合OLマップを良好にすることが可能となる。
【0099】
図18は、第1実施形態の露光および貼合の流れを示す模式図である。
【0100】
図18は、図12および図14と同様に、先行ロットのウェハ対から複数の半導体装置を製造し、その後に、後行ロットのウェハ対から複数の半導体装置を製造するフローを示している。
【0101】
まず、先行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する。この際、上ウェハ1および下ウェハ2の露光は、図8の露光装置を用いて行われる。例えば、上ウェハ1の金属パッド1cや、下ウェハ2の金属パッド2cを形成する際の露光は、この露光装置を用いて行われる。この露光は、上ウェハ1の露光OLマップも、下ウェハ2の露光OLマップも良好になるように行われる。
【0102】
次に、先行ロットの上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる。この際、上ウェハ1と下ウェハ2との貼合は、図2の貼合装置を用いて行われる。先行ロットの露光は、上述のように、上ウェハ1の露光OLマップも、下ウェハ2の露光OLマップも良好になるように行われるが、これが、先行ロットの貼合OLマップを悪化させる場合がある。例えば、図10(a)に示すように、金属パッド1cと金属パッド2cとの位置ずれが生じる場合がある。
【0103】
そこで、後行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する際には、先行ロットの貼合OLマップに基づいて、後行ロットの露光補正を行う。例えば、後行ロットの貼合OLマップが良好になるように、後行ロットの上ウェハ1の露光補正を行う。この場合、後行ロットの露光は、上ウェハ1の露光OLマップが悪化し、下ウェハ2の露光OLマップが良好になるように行われる。これにより、後行ロットの貼合OLマップを良好にすることが可能となる。例えば、図10(b)に示すように、金属パッド1cと金属パッド2cとの位置ずれを低減することが可能となる。
【0104】
この場合、先行ロットの上ウェハ1の反り量Wが問題となる。図18は、先行ロットの上ウェハ1の例として、反り量Wが負、ゼロ、および正の上ウェハ1を示している。例えば、先行ロットの上ウェハ1の反り量Wがゼロの場合には、後行ロットの上ウェハ1の露光補正は、反り量Wがゼロの上ウェハ1に適したものとなる。よって、後行ロットの上ウェハ1の反り量Wがゼロの場合には、後行ロットの上ウェハ1の露光補正により、後行ロットの貼合OLマップが良好になる。しかしながら、後行ロットの上ウェハ1の反り量Wがゼロでない場合には、後行ロットの上ウェハ1の露光補正により、後行ロットの貼合OLマップが良好にならないおそれがある。
【0105】
そこで、後行ロットの上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際には、後行ロットの上ウェハ1の反り量Wに基づいて、後行ロットの貼合補正を行う。例えば、反り量Wが大きくなるほど上述のギャップGが小さくなるように、後行ロットの貼合補正を行う。これにより、後行ロットの上ウェハ1が反っている場合にも、後行ロットの貼合OLマップを良好にすることが可能となる。
【0106】
後行ロットの上ウェハ1および下ウェハ2を製造する際、上ウェハ1および下ウェハ2の露光は、図8の露光装置を用いて行われる。この際、上述のように、先行ロットの貼合OLマップに基づいて、後行ロットの露光補正が行われる。また、後行ロットの上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際、上ウェハ1と下ウェハ2との貼合は、図2の貼合装置を用いて行われる。この際、上述のように、後行ロットの上ウェハ1の反り量Wに基づいて、後行ロットの貼合補正が行われる。本実施形態によれば、後行ロットの露光補正および貼合補正により、後行ロットの上ウェハ1が反っている場合にも、後行ロットの貼合OLマップを良好にすることが可能となる。
【0107】
なお、本実施形態の露光補正は、後行ロットのすべてのウェハ対に対し、共通の内容で行われる。理由は、露光補正に用いる先行ロットの貼合OLマップが、後行ロットのすべてのウェハ対に共通だからである。一方、本実施形態の貼合補正は、後行ロットのこれらのウェハ対に対し、個別の内容で行われる。理由は、後行ロットの上ウェハ1の反り量Wが、後行ロットのウェハ対ごとに異なるからである。ただし、本実施形態の反り量WとギャップGとの関係式は、後行ロットのすべてのウェハ対に共通である。この関係式は例えば、図17(a)の形で与えられる。この関係式の詳細については、後述する。
【0108】
図19は、第1実施形態の貼合補正について説明するための表である。
【0109】
図19は、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる際に、上ウェハ1の反り量Wが所定の値となっており、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGが所定の値に設定された場合の貼合OLマップの3σ値を示している。例えば、反り量Wが-40μmとなっており、ギャップGが60μmに設定された場合には、3σ値は70nmとなる。
【0110】
図19に示す3σ値は、センター条件下で100nmとなっている。具体的には、図19に示す3σ値は、反り量Wが-20μmとなっており、ギャップGが100μmに設定された場合に、100nmとなっている。
【0111】
本実施形態の貼合補正は、3σ値が100nmとなるように行われる。例えば、反り量Wが-40μmである場合には、ギャップGが120μmに設定される。図19では、3σ値が100nmとなる欄が、太線で示されている。これらの欄は、図17(a)に示す直線と対応している。
【0112】
図20は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0113】
図20(a)は、先行ロットの露光および貼合に関するフローを示している。この露光および貼合は、図8の露光装置および図2の貼合装置を用いて行われる。
【0114】
まず、複数のウェハ1aから複数の上ウェハ1を製造する。この際、各ウェハ1aの上方に複数の金属パッド1cを形成する場合などに、露光装置を用いた露光が行われる(ステップS11)。本実施形態では、これらの上ウェハ1が、互いに異なる反り量Wを有するように製造される。各上ウェハ1は、もともとのウェハ1aの反りに起因して反っていてもよいし、金属パッド1cの影響で反ることになってもよい。これは、各下ウェハ2についても同様である。
【0115】
次に、複数のウェハ2aから複数の下ウェハ2を製造する。この際、各ウェハ2aの上方に複数の金属パッド2cを形成する場合などに、露光装置を用いた露光が行われる(ステップS12)。本実施形態では、これらの下ウェハ2が、同じ反り量を有するように製造される。
【0116】
次に、これらの上ウェハ1および下ウェハ2をウェハ対ごとに貼合装置により貼り合わせて、複数の貼合済ウェハ3を製造する(ステップS13)。この場合、貼合開始前の上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGは、すべてのウェハ対で同じ値に設定される。
【0117】
次に、これらの貼合済ウェハ3の貼合OLを計測する(ステップS14)。次に、これらの貼合済ウェハ3の貼合OLの計測データから、多項式回帰の所定の係数の値(K値)を抽出する(ステップS15)。例えば、多項式回帰の2つの係数K17、K18の値が抽出される。次に、これらの貼合済ウェハ3内の上ウェハ1の反り量Wと、これらの貼合済ウェハ3から抽出されたK値とを用いて、K値と反り量Wとの関係式を作成する(ステップS16)。ステップS14~S16の処理は、センサやコンピュータなどの装置が自動的に行ってもよい。このように、本実施形態のK値と反り量Wとの関係式は、実際に露光および貼合を行うことで作成される。
【0118】
後述する後行ロットのフロー(図20(d))では、上ウェハ1を露光する前に、上ウェハ1の露光位置を補正することが可能な量である位置補正量の値を決定する。位置補正量の例は、多項式回帰の係数(例えばK17、K18)である。本実施形態では、この上ウェハ1に関する多項式回帰の係数の値を補正することで、この上ウェハ1の露光位置を補正することが可能である。そして、上ウェハ1を露光する際に、位置補正量を上記決定された値に制御する。このようにして、上ウェハ1の露光補正が行われる。
【0119】
なお、位置補正量として使用する多項式回帰の係数の個数は、1つ以上のいくつでもよい。また、位置補正量は、多項式回帰の係数以外でもよく、例えば、Zernike多項式の1つ以上の係数でもよい。なお、多項式回帰やZernike多項式の係数は、上ウェハ1の露光位置を補正するのに使用可能なだけでなく、上ウェハ1の下ウェハ2に対する貼合位置を補正するのにも使用可能である。
【0120】
図20(b)は、先行ロットの露光および貼合に関する別のフローを示している。この露光および貼合は、図8の露光装置および図2の貼合装置を用いて行われる。
【0121】
まず、複数の上ウェハ1および複数の下ウェハ2を製造し、これらの上ウェハ1および下ウェハ2をウェハ対ごとに貼合装置により貼り合わせて、複数の貼合済ウェハ3を製造する(ステップS21)。この場合、貼合開始前の上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGは、ウェハ対ごとに異なる値に設定される。また、これらの上ウェハ1は、同じ反り量Wを有するように製造される。同様に、これらの下ウェハ2は、同じ反り量を有するように製造される。
【0122】
次に、これらの貼合済ウェハ3の貼合OLを計測する(ステップS21)。次に、これらの貼合済ウェハ3の貼合OLの計測データから、多項式回帰の所定の係数の値(K値)を抽出する(ステップS22)。例えば、多項式回帰の2つの係数K17、K18の値が抽出される。次に、これらの貼合済ウェハ3に関する上述のギャップGと、これらの貼合済ウェハ3から抽出されたK値とを用いて、K値とギャップGとの関係式を作成する(ステップS23)。ステップS22~S24の処理は、センサやコンピュータなどの装置が自動的に行ってもよい。このように、本実施形態のK値とギャップGとの関係式は、実際に露光および貼合を行うことで作成される。
【0123】
図20(c)は、先行ロットに基づいて、後行ロットのレシピを設定するフローを示している。
【0124】
まず、ステップS16で作成されたK値と反り量Wとの関係式と、ステップS24で作成されたK値とギャップGとの関係式とを用いて、反り量WとギャップGとの関係表を作成する(ステップS31)。その結果、図19に示すような表が作成される。
【0125】
次に、関係表のセンター条件をレシピに設定する(ステップS32)。センター条件については、図19を参照して説明した通りである。
【0126】
次に、関係表およびセンター条件に基づいて、反り量WとギャップGとの関係式を作成する(ステップS33)。この関係式は例えば、図19にて太線で示すように、反り量WおよびギャップGがこの関係式を満たすと、3σ値が100nmとなるように作成される。本実施形態によれば、事前に定められたこの関係式を用いることで、貼合補正を行うことが可能となる。ステップS31~S33の処理は、人間が手動で行ってもよいし、コンピュータなどの装置が自動的に行ってもよい。
【0127】
図20(d)は、後行ロットの露光および貼合に関するフローを示している。この露光および貼合は、図8の露光装置および図2の貼合装置を用いて行われる。
【0128】
まず、ウェハ1aから上ウェハ1を製造する。この際、ウェハ1aの上方に複数の金属パッド1cを形成する場合などに、露光装置を用いた露光が行われる(ステップS41)。この露光時には、先行ロットの貼合OLマップに基づいて、露光補正が行われる。この露光補正は例えば、図18を参照して説明したような態様で行われる。また、この露光補正は例えば、露光装置内の制御部88により制御される。
【0129】
次に、ウェハ2aから下ウェハ2を製造する。この際、ウェハ2aの上方に複数の金属パッド2cを形成する場合などに、露光装置を用いた露光が行われる(ステップS42)。
【0130】
次に、上ウェハ1の反り量Wの値を計測する(ステップS43)。反り量Wの値の計測は例えば、制御部30による制御の下、貼合装置により行われる。
【0131】
次に、ステップS33で作成された関係式に基づいて、ステップS43で計測された反り量Wの値から、ギャップGの値を算出する(ステップS44)。ギャップGの値の算出は例えば、制御部30により行われる。この場合、上記の関係式は、貼合装置のストレージ内に事前に保存されていてもよいし、貼合装置が通信可能な装置のストレージ内に事前に保存されていてもよい。
【0132】
次に、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼合装置により貼り合わせて、貼合済ウェハ3を製造する(ステップS45)。この際、貼合開始前の上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGは、ステップS44で算出された値に設定される。このようにして、上ウェハ1の反り量Wに基づいて、貼合補正が行われる。この貼合補正は例えば、制御部30により制御される。
【0133】
図21は、第1実施形態の制御部30の機能構成を示すブロック図である。
【0134】
制御部30は、図21に示すように、関係式管理部91と、反り量計測部92と、ギャップ決定部93と、押圧力決定部94と、貼合制御部95とを備えている。これらの機能ブロック(91~95)の各々は、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアにより実現されてもよい。
【0135】
関係式管理部91は、反り量WとギャップGとの関係式を管理する。関係式管理部91は、ステップS44が行われる前に、この関係式をストレージから取得する。このストレージは、貼合装置内に設けられていてもよいし、貼合装置が通信可能な装置内に設けられていてもよい。
【0136】
反り量計測部92は、ステップS43にて上ウェハ1の反り量Wの値を計測する。例えば、反り量計測部92は、貼合装置内に設けられた計測装置を制御することで、上ウェハ1の反り量Wの値を計測する。
【0137】
ギャップ決定部93は、ステップS44にて、反り量Wの値に基づいて、ギャップGの値を決定する。例えば、ギャップ決定部93は、関係式管理部91により管理されている関係式に基づいて、反り量計測部92により計測された反り量Wの値から、ギャップGの値を算出する。
【0138】
押圧力決定部94は、ステップS45が行われる前に、ギャップGの値に基づいて、ストライカ53dにより上ウェハ1を押圧する押圧力の値を決定する。例えば、ギャップGの増加に伴い押圧力が増加するように、押圧力の値が決定される。この場合、ギャップ決定部93により決定されたギャップGの値が小さい場合には、押圧力の値を小さな値に決定する。一方、ギャップ決定部93により決定されたギャップGの値が大きい場合には、押圧力の値を大きな値に決定する。本実施形態によれば、このように押圧力の値を決定することで、上ウェハ1を好適な押圧力で押圧することが可能となる。
【0139】
貼合制御部95は、ステップS45にて貼合や貼合補正を制御する。例えば、貼合制御部95は、貼合開始前に、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGを、ギャップ決定部93により決定された値に制御する。また、貼合制御部95は、貼合時にストライカ53dにより上ウェハ1を押圧する押圧力を、押圧力決定部94により決定された値に制御する。これにより、貼合や貼合補正を好適に行うことが可能となる。
【0140】
これらの機能ブロックは例えば、制御部30内のプロセッサにこれらの処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現される。この場合、制御部30は、このプログラムがインストールされたコンピュータ読取可能な記録媒体を備えている。このプログラムの全体または一部は、ネットワークから当該記録媒体にダウンロードされてもよい。
【0141】
図22は、第1実施形態の変形例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0142】
図22は、ギャップGの例として、ギャップG1とギャップG2とを示している。ギャップG1は、上ウェハ1の中心部と下ウェハ2の中心部との間のギャップである。ギャップG2は、上ウェハ1の中心部以外の箇所と下ウェハ2の中心部以外の箇所との間のギャップである。このように、本実施形態のギャップGは、上ウェハ1および下ウェハ2の中心部で規定してもよいし、上ウェハ1および下ウェハ2の中心部以外の箇所で規定してもよい。
【0143】
以上のように、本実施形態の制御部30は、上ウェハ1の反り量Wの値に基づいて、上ウェハ1と下ウェハ2との間のギャップGの値を決定し、上ウェハ1と下ウェハ2とを貼り合わせる前に、ギャップGを上記決定された値に制御する。よって、本実施形態によれば、上ウェハ1に反りがある場合でも、上ウェハ1と下ウェハ2とを好適に貼り合わせることが可能となる。例えば、上ウェハ1の露光補正を行う場合に上ウェハ1に反りがある場合でも、上ウェハ1および下ウェハ2の貼合補正により好適な貼合を実現することが可能となる。
【0144】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0145】
1:上ウェハ、1a:ウェハ、1b:層間絶縁膜、1c:金属パッド、1d:配線層、
2:下ウェハ、2a:ウェハ、2b:層間絶縁膜、2c:金属パッド、2d:配線層、
3:貼合済ウェハ、4:カセット、5:カセット、6:カセット、
7:レジスト層、8:レチクル、9:ショット領域、9’:ショット領域、
10:ウェハ搬送部、11:載置部、11a:載置台、
12:搬送部、12a:搬送路、12b:搬送ロボット、
20:ウェハ処理部、21:搬送ブロック、21a:搬送ロボット、
22:処理ブロック、23:処理ブロック、24:処理ブロック、
25:処理ブロック、25a:内壁、25b:出入口、30:制御部、
40:搬送領域、41:搬送モジュール、42:位置調整モジュール、
42a:基台、42b:検出部、43:反転モジュール、
43a:保持アーム、43b:保持部材、43c:駆動部、43d:支柱、
50:貼合領域、51:上チャック、52:下チャック、53:上チャック支持部、
53a:上部撮像部、53b:支持部材、53c:支柱、53d:ストライカ、
54:下チャック移動部、54a:下部撮像部、55:レール、
56:下チャック移動部、57:レール、58:載置台、
61:貫通孔、62:吸引管、63:吸引管、64:アクチュエータ、
65:シリンダ、66:真空ポンプ、67:真空ポンプ、
71:基台、72:載置部、73:測定部、74:吸引管、
75:通気孔、76:真空ポンプ、77:変形部、
77a:切替バルブ、77b:レギュレータ、77c:真空ポンプ、
81:照明光学系、82:テーブル、83:投影レンズ、84:ステージ、
85:X軸干渉計、86:Y軸干渉計、87:オフアクシス顕微鏡、88:制御部、
91:関係式管理部、92:反り量計測部、93:ギャップ決定部、
94:押圧力決定部、95:貼合制御部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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