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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132455
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652J
H01L29/78 652P
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 657D
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043221
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】田中 克久
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
(57)【要約】
【課題】寄生ダイオード動作時における破壊を抑制可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、ゲート電極と、第2導電形の第4半導体領域と、第2導電形の第5半導体領域と、第2導電形の第6半導体領域と、第2導電形の第7半導体領域と、第2導電形の第8半導体領域と、第2電極と、第3電極と、を備える。第4半導体領域は、第2半導体領域及びゲート電極の周りに設けられている。第4半導体領域、第5半導体領域、及び第6半導体領域は、互いに離れている。第4半導体領域、第7半導体領域、及び第8半導体領域は、互いに離れている。第3電極は、第8半導体領域の上に絶縁層を介して設けられている。第3電極は、第2電極から離れており、ゲート電極と電気的に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域であって、第1部分と、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第1部分の周りに設けられた第2部分と、を含む、前記第1半導体領域と、
前記第1部分の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1方向に垂直な第2方向において、ゲート絶縁層を介して前記第2半導体領域と対面するゲート電極と、
前記第1部分の上において、前記第1面に沿って前記第2半導体領域及び前記ゲート電極の周りに設けられ、下端が前記第2半導体領域の下端よりも深くに位置する第2導電形の第4半導体領域と、
前記第1面に沿って前記第4半導体領域の一部の周りに設けられ、前記第2部分の上に位置する第2導電形の第5半導体領域と、
前記第4半導体領域の前記一部と前記第5半導体領域との間に設けられ、前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域から離れた第2導電形の第6半導体領域と、
前記第1面に沿って前記第4半導体領域の別の一部の周りに設けられ、前記第5半導体領域よりも上方に位置し、前記第5半導体領域から離れた第2導電形の第7半導体領域と、
前記第4半導体領域の前記別の一部と前記第7半導体領域との間に設けられ、前記第4半導体領域、前記第6半導体領域、及び前記第7半導体領域から離れた第2導電形の第8半導体領域と、
前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記第4半導体領域の上に設けられた第2電極と、
前記第8半導体領域の上に絶縁層を介して設けられ、前記第2電極から離れ、前記ゲート電極と電気的に接続された第3電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第3電極は、
前記第2方向に延びる部分を含む配線部と、
前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向における長さが、前記第2方向に延びる前記部分よりも長いパッド部と、
を含み、
前記第8半導体領域は、前記パッド部及び前記配線部の下に位置する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離、及び前記第5半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離は、それぞれ、1μm以上5μm以下である、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第4半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第4半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第6半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、の和以下であり、
前記第5半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第5半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第6半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の前記距離と、の和以下である、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第4半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離、及び前記第7半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離は、それぞれ、1μm以上5μm以下である、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第4半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第4半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第8半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、の和以下であり、
前記第7半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第7半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第8半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の前記距離と、の和以下である、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第7半導体領域と前記第8半導体領域との間に設けられた第2導電形の第9半導体領域をさらに備え、
前記第9半導体領域は、前記第7半導体領域及び前記第8半導体領域から離れ、
前記第2電極の一部は、前記第9半導体領域の上に設けられた、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1乃至第8半導体領域は、炭化珪素を含む、請求項1又は2に記載の半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。MOSFETは、寄生ダイオードを内蔵している。寄生ダイオードの動作について、半導体装置の破壊を抑制できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-113633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、寄生ダイオード動作時における破壊を抑制可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、ゲート電極と、第2導電形の第4半導体領域と、第2導電形の第5半導体領域と、第2導電形の第6半導体領域と、第2導電形の第7半導体領域と、第2導電形の第8半導体領域と、第2電極と、第3電極と、を備える。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられている。前記第1半導体領域は、第1部分と、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第1部分の周りに設けられた第2部分と、を含む。前記第2半導体領域は、前記第1部分の上に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の上に設けられている。前記ゲート電極は、前記第1方向に垂直な第2方向において、ゲート絶縁層を介して前記第2半導体領域と対面する。前記第4半導体領域は、前記第1部分の上において、前記第1面に沿って前記第2半導体領域及び前記ゲート電極の周りに設けられている。前記第4半導体領域の下端は、前記第2半導体領域の下端よりも深くに位置する。前記第5半導体領域は、前記第1面に沿って前記第4半導体領域の一部の周りに設けられ、前記第2部分の上に位置する。前記第6半導体領域は、前記第4半導体領域の前記一部と前記第5半導体領域との間に設けられ、前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域から離れている。前記第7半導体領域は、前記第1面に沿って前記第4半導体領域の別の一部の周りに設けられ、前記第5半導体領域よりも上方に位置する。前記第7半導体領域は、前記第5半導体領域から離れている。前記第8半導体領域は、前記第4半導体領域の前記別の一部と前記第7半導体領域との間に設けられている。前記第8半導体領域は、前記第4半導体領域、前記第6半導体領域、及び前記第7半導体領域から離れている。前記第2電極は、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記第4半導体領域の上に設けられている。前記第3電極は、前記第8半導体領域の上に絶縁層を介して設けられている。前記第3電極は、前記第2電極から離れており、前記ゲート電極と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、図1のIII-III断面図である。
図4図4は、実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図5図5は、参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図6図6は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図7図7は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
図8図8は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
図9図9は、図7及び図8のIX-IX断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明において、n、n及びp、pの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、nはnよりもn形の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn形の不純物濃度が相対的に低いことを示す。pはpよりもp形の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp形の不純物濃度が相対的に低いことを示す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。図2は、図1のII-II断面図である。図3は、図1のIII-III断面図である。
実施形態に係る半導体装置は、MOSFETである。図1図3に示すように、実施形態に係る半導体装置100は、n形ドリフト領域1、p形ベース領域2、n形ソース領域3、p形半導体領域4、p形リサーフ領域5、p形緩和領域6、p形リサーフ領域7、p形緩和領域8、n形ドレイン領域10、p形半導体領域11、n形チャネルストッパ領域12、ゲート電極20、絶縁層25、第1電極31、第2電極32、及び第3電極33を備える。
【0009】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。第1電極31からn形ドリフト領域1に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する二方向をX方向(第3方向)及びY方向(第2方向)とする。また、説明のために、第1電極31からn形ドリフト領域1に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、第1電極31とn形ドリフト領域1との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0010】
図1に示すように、第2電極32及び第3電極33は、半導体装置100の上面に設けられている。第2電極32と第3電極33は、互いに離れている。半導体装置100の上面の外周は、絶縁層25によって覆われている。
【0011】
第3電極33は、パッド部33a及び配線部33bを含む。図1では、パッド部33a及び配線部33bが、二点鎖線で示されている。パッド部33aには、外部の端子が接続される。配線部33bは、第2電極32の周囲又は第2電極32の一部同士の間に設けられている。各配線部33bは、Y方向に延びる部分を含む。第2電極32は、X方向において、配線部33b同士の間に位置する。パッド部33aのX方向における長さは、配線部33bのY方向に延びる部分のX方向における長さよりも長い。
【0012】
図2及び図3に示すように、第1電極31は、半導体装置100の下面に設けられている。n形ドレイン領域10は、第1電極31の上に設けられ、第1電極31と電気的に接続されている。
【0013】
形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域10の上に設けられている。n形ドリフト領域1のn形不純物濃度は、n形ドレイン領域10のn形不純物濃度よりも低い。n形ドリフト領域1は、第1部分1a及び第2部分1bを含む。第2部分1bは、X-Y面(第1面)に沿って、第1部分1aの周りに設けられている。第1部分1aは、半導体装置100の中央部に位置し、オン状態のときに主として電流が流れる領域である。第2部分1bは、半導体装置100の外周部に位置し、半導体装置100がオフ状態のときに空乏層が広がる領域である。
【0014】
p形ベース領域2は、第1部分1aの上に設けられている。n形ソース領域3は、p形ベース領域2の上に設けられている。p形ベース領域2は、Y方向においてn形ソース領域3と並ぶコンタクト部2aを含む。図2及び図3では、コンタクト部2aが、二点鎖線で示されている。コンタクト部2aのp形不純物濃度は、p形ベース領域2の他の部分のp形不純物濃度よりも高い。ゲート電極20は、Y方向において、ゲート絶縁層21を介してp形ベース領域2と対面している。
【0015】
形半導体領域4は、第1部分1aの上に設けられ、X-Y面に沿って、p形ベース領域2、n形ソース領域3、及びゲート電極20の周りに位置する。p形半導体領域4の下端は、p形ベース領域2の下端及びゲート電極20の下端よりも下方に位置する。p形半導体領域4の上部には、コンタクト部4aが設けられている。図2及び図3では、コンタクト部4aが、二点鎖線で示されている。コンタクト部4aのp形不純物濃度は、p形半導体領域4の他の部分のp形不純物濃度よりも高い。
【0016】
p形リサーフ領域5は、X-Y面に沿ってp形半導体領域4の下部の周りに設けられ、第2部分1bの上に位置している。p形リサーフ領域5は、p形半導体領域4から離れている。p形緩和領域6は、p形半導体領域4とp形リサーフ領域5との間に設けられ、p形半導体領域4及びp形リサーフ領域5から離れている。
【0017】
形緩和領域6のp形不純物濃度は、p形リサーフ領域5のp形不純物濃度よりも高い。p形リサーフ領域5は、半導体装置100の中央から外周に向かう方向において、p形不純物濃度の勾配を有していても良い。p形緩和領域6のp形不純物濃度は、p形半導体領域4の下部のp形不純物濃度と同じでも良いし、それよりも低くても良い。
【0018】
p形リサーフ領域7は、X-Y面に沿ってp形半導体領域4の上部(コンタクト部4a)の周りに設けられ、p形半導体領域4から離れている。p形緩和領域8は、p形半導体領域4とp形リサーフ領域7との間に設けられ、p形半導体領域4及びp形リサーフ領域7から離れている。また、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8は、p形リサーフ領域5及びp形緩和領域6よりも上方に位置し、p形リサーフ領域5及びp形緩和領域6から離れている。p形半導体領域4、p形リサーフ領域5、p形緩和領域6、p形リサーフ領域7、及びp形緩和領域8のそれぞれの間には、n形ドリフト領域1の一部が存在する。
【0019】
p形リサーフ領域7は、半導体装置100の中央から外周に向かう方向において、p形不純物濃度の勾配を有していても良い。p形緩和領域8のp形不純物濃度は、p形リサーフ領域7の内周側のp形不純物濃度と同じでも良いし、それよりも高くても良い。p形緩和領域8のp形不純物濃度は、p形半導体領域4のp形不純物濃度よりも低い。
【0020】
形半導体領域11は、Z方向において、第1部分1aとゲート電極20との間に設けられている。n形チャネルストッパ領域12は、X-Y面に沿って、p形リサーフ領域7の周囲に設けられている。n形チャネルストッパ領域12は、p形リサーフ領域7から離れ、半導体装置100の外周に沿って位置する。n形チャネルストッパ領域12のn形不純物濃度は、n形ドリフト領域1のn形不純物濃度よりも高い。
【0021】
第2電極32は、p形ベース領域2、n形ソース領域3、p形半導体領域4、及びゲート電極20の上に設けられている。第2電極32は、コンタクト部2a、n形ソース領域3、及びコンタクト部4aと接しており、p形ベース領域2、n形ソース領域3、及びp形半導体領域4と電気的に接続されている。ゲート電極20と第2電極32との間には絶縁層25が位置し、ゲート電極20と第2電極32は、互いに電気的に分離されている。
【0022】
第3電極33のパッド部33a及び配線部33bは、p形緩和領域8の上に、絶縁層25を介して設けられている。図示したように、パッド部33a及び配線部33bのそれぞれは、半導体層33s及び金属層33mを含んでも良い。金属層33mは、半導体層33sの上に設けられている。
【0023】
図4は、実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。図4は、図2及び図3のIV-IV断面図に相当する。なお、図4では、n形ソース領域3及びゲート絶縁層21が省略されている。
図2及び図4に示すように、p形ベース領域2、n形ソース領域3、ゲート電極20のそれぞれは、第1部分1aの上において、Y方向に複数設けられている。各p形ベース領域2、各n形ソース領域3、及び各ゲート電極20は、X方向に延びている。各ゲート電極20のX方向における端部は、配線部33bの半導体層33sと繋がっている。これにより、第3電極33は、複数のゲート電極20は電気的に接続されている。
【0024】
図1図4の対比から分かるように、複数のp形ベース領域2は、第2電極32の下に位置する。p形半導体領域4は、第2電極32の外周部分の下に位置する。p形緩和領域8は、第3電極33のパッド部33a及び配線部33bの下に位置する。p形リサーフ領域7は、p形半導体領域4及びp形緩和領域8の周囲に位置する。
【0025】
半導体装置100の動作を説明する。
第2電極32に対して第1電極31に正の電圧が印加された状態で、ゲート電極20に閾値以上の電圧が印加される。これにより、p形ベース領域2にチャネル(反転層)が形成され、半導体装置100がオン状態となる。電子は、第2電極32からチャネルを通ってn形ドリフト領域1へ流れ、第1電極31に向けて移動する。これにより、半導体装置100に電流が流れる。ゲート電極20に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2のチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0026】
半導体装置100がオフ状態に切り替わると、n形ドリフト領域1とp形ベース領域2との間、n形ドリフト領域1とp形半導体領域4との間などのpnから、空乏層が広がる。空乏層は、pn接合からZ方向に広がるとともに、半導体装置100の外周に向けても広がる。このとき、p形半導体領域4の下端の角部では、電界強度が高くなり易い。p形緩和領域6をp形半導体領域4の周りに設けることで、当該角部近傍における電界強度を緩和できる。また、p形リサーフ領域5をp形緩和領域6の周りに設けることで、p形緩和領域6下端の角部近傍の電界強度を緩和できる。局所的な電界強度の増大を抑制することで、半導体装置100の耐圧を向上させることができる。
【0027】
p形緩和領域8は、半導体領域と第3電極33との間の電界強度を緩和するために設けられる。p形緩和領域8が設けられていないと、第3電極33は、絶縁層25を介してn形ドリフト領域1と直接的に対面する。この場合、n形ドリフト領域1と第3電極33との間の電位差により、絶縁層25が破壊されうる。p形緩和領域8を設けることで、絶縁層25の絶縁破壊を抑制できる。また、p形リサーフ領域7が設けられることで、p形緩和領域8下端の角部近傍の電界強度を緩和できる。これにより、半導体装置100の耐圧を向上させることができる。
【0028】
また、半導体装置100は、n形ドリフト領域1のn形半導体領域と、p形ベース領域2及びp形半導体領域4などのp形半導体領域と、からなる寄生ダイオードを含む。例えば、複数の半導体装置100によって、ブリッジ回路が構成される。1つの半導体装置100がオン状態からオフ状態に切り替わると、ブリッジ回路のインダクタンス成分により、別の半導体装置100の第2電極32に電圧が加わる。これにより、当該別の半導体装置100において、寄生ダイオードが動作し、別の半導体装置100に電流が流れる。
【0029】
各構成要素の材料の一例を説明する。
形ドリフト領域1、p形ベース領域2、n形ソース領域3、p形半導体領域4、p形リサーフ領域5、p形緩和領域6、p形リサーフ領域7、p形緩和領域8、n形ドレイン領域10、p形半導体領域11、n形チャネルストッパ領域12は、半導体材料として、炭化シリコンを含む。半導体材料として、シリコン、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素が用いられても良い。n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
【0030】
ゲート電極20及び半導体層33sは、ポリシリコンなどの導電材料を含む。ポリシリコンには、n形不純物又はp形不純物が添加されても良い。ゲート絶縁層21及び絶縁層25は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの絶縁材料を含む。第1電極31、第2電極32、及び金属層33mは、チタン、アルミニウムなどの金属を含む。
【0031】
図5は、参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図5に示す半導体装置100rでは、半導体装置100と比べると、p形リサーフ領域5、p形緩和領域6、p形リサーフ領域7、及びp形緩和領域8に代えて、p形リサーフ領域5r、p形緩和領域6r、p形リサーフ領域7r、及びp形緩和領域8rが設けられている。p形半導体領域4、p形リサーフ領域5r、及びp形緩和領域6rは、互いに繋がっている。また、p形半導体領域4、p形リサーフ領域7r、及びp形緩和領域8rは、互いに繋がっている。このため、半導体装置100rでは、p形半導体領域4、p形リサーフ領域5r、p形緩和領域6r、p形リサーフ領域7r、p形緩和領域8rのそれぞれの電位は、実質的に同じとなる。p形リサーフ領域5r、p形緩和領域6r、p形リサーフ領域7r、及びp形緩和領域8rを設けることで、半導体装置100rの耐圧を向上させることができる。
【0032】
実施形態の利点を説明する。
半導体装置100rでは、p形ベース領域2、p形半導体領域4、p形リサーフ領域5r、p形緩和領域6r、p形リサーフ領域7r、及びp形緩和領域8rが、寄生ダイオードのアノードとして機能する。アノードの領域の面積が広いため、寄生ダイオードが動作した際、広い範囲で電流が流れる。特に、p形リサーフ領域5r及びp形緩和領域6rは、p形リサーフ領域7r及びp形緩和領域8rよりも深い位置にあり、より第1電極31に近い。また、p形リサーフ領域5rのX-Y面における面積は、p形半導体領域4のX-Y面における面積よりも大きい。寄生ダイオードの動作時、p形リサーフ領域5rに特に大きな電流が流れる。p形リサーフ領域5r及びp形緩和領域6rに流れた電流は、p形半導体領域4を通り、第2電極32へ流れる。このとき、経路の一部に電流が集中し、半導体装置100rが破壊される可能性がある。
【0033】
実施形態に係る半導体装置100では、p形半導体領域4、p形リサーフ領域5、及びp形緩和領域6が、互いに離れている。半導体装置100の寄生ダイオードの動作時、p形リサーフ領域5及びp形緩和領域6をアノードとして含む寄生ダイオードは、p形半導体領域4をアノードとして含む寄生ダイオードよりも遅れて動作する。例えば、半導体装置100の通常の使用態様においては、p形リサーフ領域5及びp形緩和領域6を含む寄生ダイオードが動作せず、p形リサーフ領域5及びp形緩和領域6には電流が流れない。このため、p形リサーフ領域5及びp形緩和領域6からp形半導体領域4へ、大きな電流が流れることを抑制できる。
【0034】
一方で、p形リサーフ領域5及びp形緩和領域6がアノードとして機能せず、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8がp形半導体領域4と繋がっている場合、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8に大きな電流が流れる。この結果、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8から第2電極32への経路において電流が集中し、半導体装置100が破壊される可能性がある。このため、半導体装置100では、p形半導体領域4、p形リサーフ領域7、及びp形緩和領域8も、互いに離れている。すなわち、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8をアノードとして含む寄生ダイオードも、p形半導体領域4をアノードとして含む寄生ダイオードよりも遅れて動作する。半導体装置100の通常の使用態様においては、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8を含む寄生ダイオードが動作しない。これにより、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8からp形半導体領域4へ、大きな電流が流れることを抑制できる。
【0035】
また、p形半導体領域4、p形リサーフ領域5、及びp形緩和領域6が互いに離れている場合でも、これらの半導体領域を互いに近接させることで、p形リサーフ領域5の電位及びp形緩和領域6の電位の変動を抑制できる。p形リサーフ領域5の電位及びp形緩和領域6の電位が、浮遊状態となり難い。p形緩和領域6により、p形半導体領域4の下端近傍における電界強度を緩和できる。また、p形リサーフ領域5により、p形緩和領域6の下端近傍における電界強度を緩和できる。この結果、半導体装置100の耐圧の低下を抑制できる。
【0036】
同様に、p形半導体領域4、p形リサーフ領域7、及びp形緩和領域8を互いに近接させることで、p形リサーフ領域7の電位及びp形緩和領域8の電位の変動を抑制できる。これにより、p形緩和領域8により、絶縁層25における電界強度を緩和できる。また、p形リサーフ領域7により、p形緩和領域8の下端近傍における電界強度を緩和できる。この結果、半導体装置100の耐圧の低下を抑制できる。
【0037】
実施形態によれば、半導体装置100の耐圧の低下を抑制しつつ、寄生ダイオードの動作時における半導体装置100の破壊を抑制できる。
【0038】
半導体装置100の耐圧の低下をさらに抑制するために、p形半導体領域4とp形緩和領域6との間の距離D1、p形緩和領域6とp形リサーフ領域5との間の距離D2、p形半導体領域4とp形緩和領域8との間の距離D3、及びp形緩和領域8とp形リサーフ領域7との間の距離D4は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。距離D1~D4は、図2に示されている。
【0039】
距離D1が1μm以上5μm以下であると、p形半導体領域4とp形緩和領域6との間のn形ドリフト領域1の領域を、空乏化できる。空乏層を介して、p形緩和領域6がp形半導体領域4と電気的に接続される。これにより、p形緩和領域6の電位の変動を抑制でき、p形緩和領域6の電位をより安定させることができる。同様に、距離D2~D4のそれぞれが1μm以上5μm以下であると、p形緩和領域6、p形リサーフ領域7、及びp形緩和領域8の電位をより安定させることができる。
【0040】
他の観点からは、距離D1が、n形ドリフト領域1とp形半導体領域4とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、n形ドリフト領域1とp形緩和領域6とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、の和と同じか、それよりも短いことが好ましい。距離D1が当該和以下である場合、p形半導体領域4とp形緩和領域6との間のn形ドリフト領域1の領域が空乏化する。空乏層を介して、p形緩和領域6がp形半導体領域4と電気的に接続される。これにより、p形緩和領域6の電位の変動を抑制でき、p形緩和領域6の電位をより安定させることができる。
【0041】
同様に、距離D2は、n形ドリフト領域1とp形緩和領域6とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、n形ドリフト領域1とp形リサーフ領域5とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、の和と同じか、それよりも短いことが好ましい。距離D3は、n形ドリフト領域1とp形半導体領域4とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、n形ドリフト領域1とp形緩和領域8とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、の和と同じか、それよりも短いことが好ましい。距離D4は、n形ドリフト領域1とp形緩和領域8とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、n形ドリフト領域1とp形リサーフ領域7とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、の和と同じか、それよりも短いことが好ましい。
【0042】
本発明の実施形態は、特に、各半導体領域が炭化珪素を含む、いわゆるSiCデバイスに好適である。SiCデバイスでは、より大きな電流を流すことができ、また、耐圧をより高めることができる。オン状態で半導体装置に大電流が流れる場合、寄生ダイオードの動作時に流れる電流も大きくなる傾向にある。このため、寄生ダイオードの動作時に、より半導体装置が破壊され易くなる。実施形態によれば、オン状態で半導体装置100に大電流が流される場合でも、寄生ダイオードの動作時に半導体装置100を流れる電流を低減できる。
【0043】
(第1変形例)
図6は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図6に示す半導体装置110では、p形リサーフ領域5に代えて、p形ガードリング領域5aが設けられている。また、p形リサーフ領域7に代えて、p形ガードリング領域7aが設けられている。
【0044】
p形ガードリング領域5aは、X-Y面に沿ってp形緩和領域6の周りに設けられている。また、第1部分1aから第2部分1bに向かう方向において、複数のp形ガードリング領域5aが設けられている。複数のp形ガードリング領域5aは、p形緩和領域6から離れており、且つ互いに離れている。
【0045】
p形ガードリング領域7aは、X-Y面に沿ってp形緩和領域8の周りに設けられている。また、第1部分1aから第2部分1bに向かう方向において、複数のp形ガードリング領域7aが設けられている。複数のp形ガードリング領域7aは、p形緩和領域8及びn形チャネルストッパ領域12から離れており、且つ互いに離れている。
【0046】
複数のp形ガードリング領域5aを設けることで、p形緩和領域6下端の角部近傍の電界強度を緩和できる。また、複数のp形ガードリング領域7aを設けることで、p形緩和領域8下端の角部近傍の電界強度を緩和できる。第1変形例によれば、上述した実施形態と同様に、半導体装置110の耐圧の低下を抑制しつつ、寄生ダイオードの動作時における半導体装置110の破壊を抑制できる。
【0047】
(第2変形例)
図7及び図8は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す平面図である。図9は、図7及び図8のIX-IX断面図である。図7では、第3電極33の配線部33bが破線で示されている。図8では、n形ソース領域3及びゲート絶縁層21が省略されている。図8は、図9のVIII-VIII断面図に相当する。
第2変形例に係る半導体装置120では、図7に示すように、第3電極33の配線部33bが、第2電極32の下に設けられている。図9に示すように、配線部33bは、半導体層33sのみから構成され、金属層33mを含んでいない。
【0048】
また、図8及び図9に示すように、半導体装置120は、半導体装置100と比べて、p形半導体領域9をさらに含む。p形半導体領域9は、p形リサーフ領域7とp形緩和領域8との間に設けられ、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8から離れている。
【0049】
形半導体領域9のp形不純物濃度は、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8のそれぞれのp形不純物濃度よりも高い。p形半導体領域9の上部には、コンタクト部9aが設けられている。コンタクト部9aは、二点鎖線で示されている。コンタクト部9aのp形不純物濃度は、p形半導体領域9の他の部分のp形不純物濃度よりも高い。
【0050】
第2電極32の一部は、p形半導体領域9の上に設けられる。第2電極32は、コンタクト部9aと接しており、p形半導体領域9と電気的に接続されている。
【0051】
半導体装置120における寄生ダイオードの動作時、p形ベース領域2、p形半導体領域4、及びp形半導体領域9がアノードとして機能する。p形半導体領域9は、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8から離れている。このため、第2変形例に係る半導体装置120によれば、半導体装置100と同様に、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8から第2電極32へ、大電流が流れることを抑制できる。
【0052】
さらに、半導体装置120によれば、p形緩和領域8が、p形半導体領域4とp形半導体領域9との間に位置する。半導体装置100に比べて、p形緩和領域8の電位をより安定させることができる。このため、絶縁層25の絶縁破壊をさらに抑制できる。
【0053】
p形緩和領域8とp形半導体領域9との間の距離D5、及びp形半導体領域9とp形リサーフ領域7との間の距離D6は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。距離D5及びD6は、図9に示されている。距離D5及びD6のそれぞれが1μm以上5μm以下であると、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8の電位をより安定させることができる。
【0054】
他の観点からは、距離D5が、n形ドリフト領域1とp形緩和領域8とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、n形ドリフト領域1とp形半導体領域9とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、の和と同じか、それよりも短いことが好ましい。距離D6は、n形ドリフト領域1とp形半導体領域9とのpn接合の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、n形ドリフト領域1とp形リサーフ領域7との間の内蔵電位によって広がる空乏層の距離と、の和と同じか、それよりも短いことが好ましい。これらの距離の関係によれば、p形リサーフ領域7及びp形緩和領域8の電位を、より安定させることができる。
【0055】
本発明の実施形態は、以下の構成を含む。
(構成1)
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域であって、第1部分と、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第1部分の周りに設けられた第2部分と、を含む、前記第1半導体領域と、
前記第1部分の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1方向に垂直な第2方向において、ゲート絶縁層を介して前記第2半導体領域と対面するゲート電極と、
前記第1部分の上において、前記第1面に沿って前記第2半導体領域及び前記ゲート電極の周りに設けられ、下端が前記第2半導体領域の下端よりも深くに位置する第2導電形の第4半導体領域と、
前記第1面に沿って前記第4半導体領域の一部の周りに設けられ、前記第2部分の上に位置する第2導電形の第5半導体領域と、
前記第4半導体領域の前記一部と前記第5半導体領域との間に設けられ、前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域から離れた第2導電形の第6半導体領域と、
前記第1面に沿って前記第4半導体領域の別の一部の周りに設けられ、前記第5半導体領域よりも上方に位置し、前記第5半導体領域から離れた第2導電形の第7半導体領域と、
前記第4半導体領域の前記別の一部と前記第7半導体領域との間に設けられ、前記第4半導体領域、前記第6半導体領域、及び前記第7半導体領域から離れた第2導電形の第8半導体領域と、
前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記第4半導体領域の上に設けられた第2電極と、
前記第8半導体領域の上に絶縁層を介して設けられ、前記第2電極から離れ、前記ゲート電極と電気的に接続された第3電極と、
を備えた半導体装置。
(構成2)
前記第3電極は、
前記第2方向に延びる部分を含む配線部と、
前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向における長さが、前記第2方向に延びる前記部分よりも長いパッド部と、
を含み、
前記第8半導体領域は、前記パッド部及び前記配線部の下に位置する、構成1に記載の半導体装置。
(構成3)
前記第4半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離、及び前記第5半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離は、それぞれ、1μm以上5μm以下である、構成1又は2に記載の半導体装置。
(構成4)
前記第4半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第4半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第6半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、の和以下であり、
前記第5半導体領域と前記第6半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第5半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第6半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の前記距離と、の和以下である、構成1又は2に記載の半導体装置。
(構成5)
前記第4半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離、及び前記第7半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離は、それぞれ、1μm以上5μm以下である、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成6)
前記第4半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第4半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第8半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、の和以下であり、
前記第7半導体領域と前記第8半導体領域との間の距離は、前記第1半導体領域と前記第7半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の距離と、前記第1半導体領域と前記第8半導体領域とのpn接合の内蔵電圧によって広がる空乏層の前記距離と、の和以下である、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成7)
前記第7半導体領域と前記第8半導体領域との間に設けられた第2導電形の第9半導体領域をさらに備え、
前記第9半導体領域は、前記第7半導体領域及び前記第8半導体領域から離れ、
前記第2電極の一部は、前記第9半導体領域の上に設けられた、構成1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成8)
前記第1乃至第8半導体領域は、炭化珪素を含む、構成1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0056】
以上で説明した各実施形態によれば、寄生ダイオード動作時における半導体装置の破壊を抑制することができる。
【0057】
各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、SCM(走査型静電容量顕微鏡)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいものとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)により測定することが可能である。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
1:n形ドリフト領域、 1a:第1部分、 1b:第2部分、 2:p形ベース領域、 2a:コンタクト部、 3:n形ソース領域、 4:p形半導体領域、 4a:コンタクト部、 5,5r:p形リサーフ領域、 5a:p形ガードリング領域、 6,6r:p形緩和領域、 7,7r:p形リサーフ領域、 7a:p形ガードリング領域、 8,8r:p形緩和領域、 9:p形半導体領域、 9a:コンタクト部、 10:n形ドレイン領域、 11:p形半導体領域、 12:n形チャネルストッパ領域、 20:ゲート電極、 21:ゲート絶縁層、 25:絶縁層、 31:第1電極、 32:第2電極、 33:第3電極、 33a:パッド部、 33b:配線部、 33m:金属層、 33s:半導体層、 100,100r,110,120:半導体装置、 D1~D6:距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9