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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132474
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/20 20060101AFI20240920BHJP
   A41D 1/04 20060101ALI20240920BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A41D27/20 L
A41D1/04 C
A41D1/04 D
A41D27/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043245
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】594137960
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】渡▲邉▼ 賢史
(72)【発明者】
【氏名】▲花▼田 未奈美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 怜太
【テーマコード(参考)】
3B031
3B035
【Fターム(参考)】
3B031AA01
3B031AB13
3B031AC03
3B035AA03
3B035AA19
3B035AB09
3B035AB11
3B035AB12
3B035AC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着用感の低下を抑制することができる、衣服を提供する。
【解決手段】衣服10Aは、衣服本体と、収容部14と、連結部16と、を有する。衣服本体は、前身頃24Aと、後身頃26と、を有する。収容部14は、後身頃26に設けられている。連結部16は、衣服本体に対し左右にそれぞれ設けられた帯状の部材であって、長手方向の両端にそれぞれ第1端部52と第2端部54とを有する。第1端部52は、収容部14の下側で後身頃26に固定され、第2端部54は、第1端部52より衣服本体の前方かつ上方で衣服本体に固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服本体と、収容部と、連結部と、を有する衣服であって、
前記衣服本体は、前身頃と、後身頃と、を有し、
前記収容部は、前記後身頃に設けられており、
前記連結部は、前記衣服本体に対し左右にそれぞれ設けられた帯状の部材であって、長手方向の両端にそれぞれ第1端部と第2端部とを有し、
前記第1端部は、前記収容部の下側で前記後身頃に固定され、
前記第2端部は、前記第1端部より前記衣服本体の上方で前記衣服本体に固定されている、衣服。
【請求項2】
前記連結部は、前記長手方向の長さを調節可能な調節機構を有する、請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記第2端部は、前記前身頃に固定されている、請求項1に記載の衣服。
【請求項4】
前記調節機構は、前記連結部の長手方向の中央より前記第2端部に近い側に設けられている、請求項2に記載の衣服。
【請求項5】
前記衣服本体の襟は、立襟である、請求項1または2に記載の衣服。
【請求項6】
前記衣服本体は、前記前身頃及び前記後身頃の内側に設けられた裏地を有し、
前記連結部は、前記前身頃及び前記後身頃と前記裏地との間に設けられ、
前記裏地は、厚さ方向に貫通した操作窓を有し、
前記調節機構が前記操作窓から露出している、請求項4に記載の衣服。
【請求項7】
前記連結部は、前記衣服本体の内側に設けられ、
前記前身頃は、外側に開口した操作窓を有し、
前記調節機構が前記操作窓から露出している、請求項4に記載の衣服。
【請求項8】
前記前身頃は、ポケットを有し、
前記操作窓は、前記ポケット内に設けられている、請求項7に記載の衣服。
【請求項9】
前記第2端部は、前記第1端部より前記衣服本体の前方で前記衣服本体に固定されている、請求項1に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
収容部を備えた衣服として、特許文献1は、ベストと当該ベストに設けられたリュックサックとを備えたベスト式リュックサックを開示している。上記ベストは、ベストを着用者の体にしっかり着用させるためのベルトまたはボタンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-262731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のベスト式リュックサックは、着用者の腹回りに配置されたベルトを着用者の前側で連結することによって、着用者の体にベストを密着させる。したがって、上記特許文献1のベスト式リュックサックは、ベルトによって胴回りを締め付けることになるので、着用者の着用感を低下させてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、着用感の低下を抑制することができる、衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の衣服は、衣服本体と、収容部と、連結部と、を有する衣服であって、前記衣服本体は、前身頃と、後身頃と、を有し、前記収容部は、前記後身頃に設けられており、前記連結部は、前記衣服本体に対し左右にそれぞれ設けられた帯状の部材であって、長手方向の両端にそれぞれ第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部は、前記収容部の下側で前記後身頃に固定され、前記第2端部は、前記第1端部より前記衣服本体の上方で前記衣服本体に固定されている、衣服である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、着用感の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る衣服を示す正面図である。
図2】一実施形態に係る衣服を示す背面図である。
図3図2におけるIII-III線に沿った部分端面図である。
図4】一実施形態に係る衣服の裏返した状態の正面図である。
図5図4におけるVI-VI線に沿った部分端面図である。
図6】一実施形態に係る使用状態(1)を示す左側面図である。
図7】一実施形態に係る使用状態(2)を示す左側面図である。
図8】変形例(1)に係る衣服を示す正面図である。
図9図8におけるIX-IX線に沿った部分端面図である。
図10】変形例(2)に係る衣服を示す正面図である。
図11図11におけるXI-XI線に沿った部分端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
衣服本体と、収容部と、連結部と、を有する衣服であって、
前記衣服本体は、前身頃と、後身頃と、を有し、
前記収容部は、前記後身頃に設けられており、
前記連結部は、前記衣服本体に対し左右にそれぞれ設けられた帯状の部材であって、長手方向の両端にそれぞれ第1端部と第2端部とを有し、
前記第1端部は、前記収容部の下側で前記後身頃に固定され、
前記第2端部は、前記第1端部より前記衣服本体の上方で前記衣服本体に固定されている、衣服。
【0010】
(効果)
衣服は、収容部に荷物を収容した状態で着用者に着用されると、荷物の重さによって後身頃を下方へ押し下げる力が作用する。連結部は、収容部の下側の後身頃を着用者の背中に密着させることによって、後身頃が下方へずれることを抑制する。衣服は、後身頃が下方へずれることを抑制することによって、衣服本体が着用者の体からずれにくい。
連結部は、第1端部より衣服本体の上方で衣服本体に第2端部が固定されているので、着用者の胴回りを締め付けない。
したがって、衣服は、着用者の胴回りを締め付けずに収容部を有する後身頃を着用者の体に密着させることによって、着用感の低下を抑制することができる。
【0011】
[態様2]
前記連結部は、前記長手方向の長さを調節可能な調節機構を有する、態様1に記載の衣服。
(効果)
衣服は、連結部の長手方向の長さを着用者の体に合わせて調節することができるので、衣服本体が着用者の体からよりずれにくい。したがって衣服は、収容部を着用者の体により確実に密着させることができる。
【0012】
[態様3]
前記第2端部は、前記前身頃に固定されている、態様1又は2に記載の衣服。
(効果)
連結部は、第1端部が後身頃に固定され、第2端部が前身頃に固定されているので、長手方向の長さがより長い。衣服は、連結部がより長いことによって、着用者の体に合わせて調節しやすい。したがって衣服は、収容部を着用者の体により確実に密着させることができる。
【0013】
[態様4]
前記調節機構は、前記連結部の長手方向の中央より前記第2端部に近い側に設けられている、態様2に記載の衣服。
(効果)
調節機構は、第2端部に近い側に設けられていることによって着用者が連結部の長さを調節しやすい。したがって、衣服は、収容部を着用者の体により容易に密着させることができる。
【0014】
[態様5]
前記衣服本体の襟は、立襟である、態様1~4のいずれか1つに記載の衣服。
(効果)
衣服は、連結部を備えることによって収容部を着用者の体に密着させ、後身頃が下方へずれることを抑制する。同様に衣服は、前身頃が着用者の後方へずれることも抑制する。したがって、衣服本体の襟が立襟であっても前身頃が着用者の体からずれにくいので、立襟と着用者の首の位置関係もずれにくい。結果として、衣服は、着用感の低下を抑制することができる。
【0015】
[態様6]
前記衣服本体は、前記前身頃及び前記後身頃の内側に設けられた裏地を有し、
前記連結部は、前記前身頃及び前記後身頃と前記裏地との間に設けられ、
前記裏地は、厚さ方向に貫通した操作窓を有し、
前記調節機構が前記操作窓から露出している、態様4に記載の衣服。
【0016】
(効果)
衣服は、裏地を有することによって第1端部を後身頃と裏地の間に隠し、着用時に第1端部が着用者の体に直接触れることを防ぐ。したがって、衣服は、第1部が着用者の体に直接触れることによる違和感を与えることがないので、着用感を向上することができる。
また、衣服は、操作窓を通じて露出した調節機構を着用者が操作することができる。
【0017】
[態様7]
前記連結部は、前記衣服本体の内側に設けられ、
前記前身頃は、外側に開口した操作窓を有し、
前記調節機構が前記操作窓から露出している、態様4に記載の衣服。
(効果)
衣服は、前身頃の操作窓から調節機構が露出しているので、前身頃を閉じた状態で調節機構を着用者が操作することができる。
【0018】
[態様8]
前記前身頃は、ポケットを有し、
前記操作窓は、前記ポケット内に設けられている、態様7に記載の衣服。
(効果)
衣服は、操作窓がポケット内に設けられているので、調節機構が衣服本体の外側に露出しない。着用者は、ポケットを通じて調節機構を操作できる。また衣服ポケットは、調節機構を隠しつつ小物を収容することができるので、デザインに与える影響を抑えつつ、機能を付加することができる。
【0019】
[態様9]
前記第2端部は、前記第1端部より前記衣服本体の前方で前記衣服本体に固定されている、態様1~8のいずれか1つに記載の衣服。
(効果)
第2端部が第1端部より衣服本体の前方で衣服本体に固定されているので、衣服は、後身頃を着用者の背中により密着させやすい。
【0020】
(全体構成)
以下、図面を参照して本発明の一実施形態についてより詳細に説明する。図1は一実施形態に係る衣服を示す正面図、図2は一実施形態に係る衣服を示す背面図、図3図2におけるIII-III線に沿った部分端面図、図4は一実施形態に係る衣服の裏返した状態の正面図、図5図4におけるVI-VI線に沿った部分端面図、図6及び図7はそれぞれ一実施形態に係る使用状態を示す左側面図である。
【0021】
図1に示す衣服10Aは、互いに直交する丈方向L及び左右方向Hを有する。丈方向Lは、衣服10Aを着用者が着用したときの、着用者の丈の方向であり、鉛直方向と同義である。左右方向Hは、丈方向Lと直交する方向であり、水平方向と同義である。衣服10Aは、着用者の頭部に向かう向き及び側をそれぞれ丈方向Lの上向き及び上側とし、着用者の足部に向かう向き及び側をそれぞれ丈方向Lの下向き及び下側とする。また、着用者から見て右へ向かう向き及び側をそれぞれ左右方向Hの右向き及び右側とし、着用者から見て左へ向う向き及び側をそれぞれ左右方向Hの左向き及び左側とする。さらに、衣服10Aは、着用者の身体に近い側を内側とし、着用者の身体に遠い側を外側とする。また、前、前面及び(腹側)、並びに、背面及び背(背側)は、着用者を基準とする。
【0022】
また、ある基準に「沿う」とは、ある基準に対して±45°未満の範囲の方向に沿うことを含むものとする。ある部材等のある方向の端部とは、その部材のその方向の端縁から、その部材等のその方向での全体の長さの1/5(好ましくは1/10)以下の長さの範囲をいう。
【0023】
本明細書において、接続とは、固定の一形態であり、物と物とが接続していることを意味し、接合はその下位概念である。接続は、物同士が一体である場合を含む。接合は、分離している物と物とを繋ぎ合わせて一体化することを意味する。本明細書において接合は、縫合による場合に限らず、接着剤を用いる場合、及び熱融着による場合を含み、生地に合わせて適宜選択される。
【0024】
衣服10Aは、上衣である場合と、上衣と下衣とを一体に備える外衣である場合とを含む。図1に示す衣服10Aは、上衣である。衣服10Aは、衣服本体12と、収容部14(図2)と、連結部16(図4)とを有する。衣服本体12は、襟ぐり18と、袖ぐり20とを有する。衣服本体12は、襟ぐり18に襟を有してもよいし、襟を有していなくともよい。図1に示す衣服10Aは、襟ぐり18に襟22が一体的に設けられている。襟22の形状は、特に限定されないが、図1に示す襟22は、立襟である。襟を有しない場合、襟ぐり18は、下方にくぼんだU字状またはV字状でもよい。衣服本体12は、袖ぐり20に、それぞれ右袖及び左袖を有してもよいし、右袖及び左袖を有していなくともよい。図1に示す衣服本体12は、右袖及び左袖を有していない、ベストである。
【0025】
衣服本体12は、生地で形成されている。生地を構成する繊維は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド繊維のような合成繊維、アセテート繊維のような半合成繊維、綿、麻及び羊毛のような天然繊維を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。本実施形態における生地の形態としては特に限定されず、織物、編物、不織布等、目的に応じていずれの形態でも使用できる。本実施形態の生地は、ラミネーションやコーティング等により防水性が付与されていてもよい。生地は、撥水加工によって撥水性が付与されていてもよい。
【0026】
衣服本体12は、前身頃24Aと、後身頃26と、を一体的に有する。前身頃24Aは、左右方向Hの中心に開閉部28を備えてもよい。図1に示す衣服本体12は、開閉部28を開くことによって、右半部と左半部とに分離可能である。開閉部28は、スライドファスナを適用でき、前身頃24Aの裾13から襟22を含む丈方向Lの全域にわたって設けられている。スライドファスナは、図示しないが、一対のテープ状部材と、これらのテープ状部材の長手の端縁部に相互に向き合うようにそれぞれ配設された、一対のエレメント列と、これらの一対のエレメント列を開閉するスライダー部とを備えている。
【0027】
図2に示すように、後身頃26は、収容部14が一体に設けられている。収容部14は、後身頃26の左右方向Hの中央に配置されており、後身頃26の外表面に開閉可能な開口部32を有する。開口部32は、丈方向Lまたは左右方向Hに沿って延在する切込みである。図2に示す開口部32は、丈方向Lに沿って延在する切込みであって、第2開閉部34が設けられている。図2は、第2開閉部34によって閉じた状態の開口部32を示している。第2開閉部34は、上記開閉部28と同様のスライドファスナを適用してもよいし、面ファスナまたはボタンを適用してもよい。
【0028】
収容部14は、線状の外縁部36によって外縁が画定されている。外縁部36は、丈方向Lに沿って延在し収容部14の左右方向Hの外縁をそれぞれ画定する側方外縁部38と、左右方向Hに沿って延在し収容部14の下方の外縁を画定する下方外縁部40とを有する。収容部14の上方の外縁は、襟ぐり18によって画定されている。
【0029】
衣服10Aは、後身頃26に、摘み部42を有してもよい。摘み部42は、開口部32の上方の端部に設けられている。摘み部42は、襟ぐり18において襟22と後身頃26の間に挟み込まれて接続されている。摘み部42は、後身頃26と同じ生地で形成することができる。摘み部42の下辺43は、左右方向Hの中央が下方に凸となる形状を有する。
【0030】
図3に示すように、後身頃26は、後表地44と、後表地44の内側に配置された後袋布部46とを有する。後袋布部46は、後身頃26と同じ生地で形成することができる。後袋布部46は、図3の場合、後身頃26の厚さ方向に配置された1枚の生地であり、外縁が後表地に接合することによって袋状に形成されている。収容部14は、後表地44に後袋布部46を接続することによって形成されている。収容部14は、後表地44と後袋布部46との間に荷物を収容するための空間49を有する。外縁部36は、背面から見て後表地44と後袋布部46とを環状に接続することによって形成される(図2)。開口部32は、後表地44に形成されている。後身頃26は、後袋布部46に対し内側に、裏地としての後裏地48を有してもよい。
図3に示す後袋布部46は、後身頃26の厚さ方向に配置された1枚の生地で形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、後袋布部46は、後身頃26の厚さ方向に配置された2枚の生地で形成してもよく、互いに外縁を接続することによって袋状に形成してもよい。
【0031】
図4は、裏返した状態の衣服10Aの正面図であり、裏返した状態の前身頃24Aが示されている。前身頃24Aは、操作窓50を有し、当該操作窓50から連結部16の一部が露出している。連結部16は、後身頃26の下方と前身頃24Aの間の距離を一定以下となるように保持する。連結部16は、後身頃26の下方を前身頃24Aに引き寄せる機能を有してもよい。連結部16は、衣服本体12に対し左右にそれぞれ設けられた帯状の部材である。図4に示す連結部16は、ベルトである。連結部16は、アクリルテープ、革、コットン、ナイロン、ポリエステルなどの素材を用いることができる。
【0032】
連結部16は、長手方向の両端にそれぞれ第1端部52と第2端部54とを有する。第1端部52は、収容部14の下側で後身頃26の内側に接続されている。第1端部52が後身頃26に接続される位置は、収容部14の丈方向Lの中央から下方であるのが好ましく、収容部14の丈方向Lの中央と下方外縁部40との間でもよいし、下方外縁部40と裾13との間であってもよい。本実施形態の場合、第1端部52は、第1端部52の丈方向Lの一部が下方外縁部40に重複する位置で後身頃26に接続されている。
【0033】
第2端部54は、第1端部52より衣服本体12の前方かつ上方で衣服本体12の内側に接続されている。図4に示す連結部16の第2端部54は、前身頃24Aの丈方向Lの中央より上方の位置に接続されている。第2端部54は、着用者の胸部に対応する位置で前身頃24Aに接続されてもよい。
【0034】
連結部16は、第1端部52が接続された後身頃26と第2端部54が接続された前身頃24Aとの間の距離を所定の長さに維持する。連結部16は、調節機構を有してもよい。調節機構は、連結部の長手方向の長さを調節し、例えば長手方向に伸縮可能な素材、例えばゴム紐を用いてもよいし、公知の長さ調節機構を用いてもよい。調節機構は、連結部の長手方向の中央より第2端部側に近い側に設けられるのが好ましい。
【0035】
図4に示す連結部16は、自由端側部56と、固定端側部58と、調節機構としての調節環60とを有する。自由端側部56は上記第1端部52と、第1端部52と反対側の自由端部62とを有する。自由端側部56は、第1端部52が後身頃26に接続されているとともに、第1端部52と反対側が調節環60に掛け回され、自由端部62が調節環60から引き出されている。固定端側部58は上記第2端部54を有する。
【0036】
図5に示すように、固定端側部58は、調節環60に掛け回され第2端部54が前身頃24Aに接続されている。前身頃24Aは、前表地64Aを有する。前身頃24Aは、前表地64Aに対し内側に配置された裏地としての前裏地66をさらに有してもよい。本実施形態の場合、前裏地66は、操作窓50を有する。操作窓50は、前裏地66を厚さ方向に貫通している。調節環60は、操作窓50から衣服本体12の内側へ露出している。
【0037】
操作窓50は、上縁部68と、下縁部70と、中布部72と、を有する。上縁部68は、操作窓50の上方の端部に設けられ、第2端部54とともに前裏地66に接続されている。下縁部70は、操作窓50の下方の端部に設けられ、前裏地66に接続されている。具体的には、図5に示す上縁部68及び下縁部70は、それぞれ前裏地66に縫合によって接続されている。上縁部68及び下縁部70のそれぞれの先端の縁69,71は、操作窓50の内縁51より操作窓50の内側へそれぞれ突出している。中布部72は、操作窓50の外側をふさぐように配置される。中布部72は、上端部73が上縁部68とともに前裏地66に接続されている。中布部72は、下端部74が丈方向に貫通した挿通穴76を有しつつ下縁部70とともに前裏地66に接続されている。中布部72は、左右方向Hの端部がそれぞれ前裏地66に接続されている。具体的には、図5に示す中布部72は、前裏地に縫合によって接続されている。
【0038】
連結部16の自由端側部56は、自由端部62が調節環60に掛け回されて操作窓50から引き出されており、自由端部62と反対側が挿通穴76に挿入され前表地64Aと前裏地66との間を通って、第1端部52において後身頃26に接続されている。
【0039】
(作用及び効果)
衣服10Aは、開口部32を開き、収容部14の空間49内に荷物を入れた後、開口部32を閉じることによって、荷物を収容することができる。着用者は、袖ぐり20にそれぞれ右腕及び左腕を通し、羽織ることによって衣服10Aを着用する。図6に示すように、着用者Pが、収容部14に荷物を収容した状態の衣服10Aを着用すると、荷物の重さによって後身頃26を下方へ押し下げる力が衣服10Aに作用する。連結部16の自由端部62を引っ張り、第1端部52と第2端部54の間の連結部16の長さを短くすると、収容部14の下側の後身頃26が引き上げられ、図7に示すように、後身頃26の特に下方が着用者の背中に密着する。このように連結部16によって第1端部52と第2端部54との間の距離を所定の長さに維持することによって、衣服10Aを、収容部14に荷物を収容していない場合の着用者に対する位置に近づけることができる。すなわち、衣服10Aは、荷物を収容した状態において後身頃26が下方へずれることを抑制する。このように衣服10Aは、衣服本体12が着用者Pの身体からずれにくい。
【0040】
連結部16の第2端部54は、前身頃24Aの内側に接続されているので、着用者Pの胴回りを締め付けない。したがって、衣服10Aは、着用者Pの胴回りを締め付けずに収容部14を有する後身頃26を着用者Pの体に密着させることによって、着用感の低下を抑制することができる。
連結部16は、衣服本体12の内側に設けられているので、衣服本体12の外側に露出しない。したがって衣服は、連結部16が外観に与える影響を抑制することができる。
連結部16は、調節環60を有することによって、第1端部52と第2端部54との間の距離を所定の長さに調節することができる。したがって、衣服10Aは、着用者Pの体の大きさ、収容部14に収容する荷物の大きさ、及び荷物の重さに合わせて、連結部16の長手方向の長さを調節することができるので、衣服本体12が着用者Pの体からよりずれにくい。
【0041】
第2端部54は、着用者Pの胸部に対応する位置に設けられていることによって、着用者Pが衣服10Aを着用した状態で調節機構を操作しやすい。
【0042】
連結部16は、第1端部52が後身頃26に接続され、第2端部54が前身頃24Aに接続されているので、第1端部52と第2端部54との間の距離をより長くすることができる。すなわち、連結部16は、長さを調節する自由度が高い。したがって、衣服10Aは、着用者Pの体に合わせて連結部16を調節しやすい。
【0043】
衣服本体12は、後身頃26が下方へずれることが抑制されるので、前身頃24Aが後方へずれることが抑制される。したがって、襟22が立襟である場合でも、衣服10Aは、前身頃24Aが着用者Pの体からずれにくいので、襟22と着用者Pの首の位置関係もずれにくい。結果として、衣服10Aは、着用感の低下を抑制することができる。
【0044】
衣服10Aは、裏地を有することによって、第1端部52を後裏地48と後表地44の間に隠し、着用時に第1端部52が着用者Pの体に直接触れることを防ぐ。したがって、衣服10Aは、第1端部52が着用者Pの体に直接触れることによる違和感を与えることがないので、着用感を向上することができる。
【0045】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態の場合、操作窓は、前裏地に設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。衣服の変形例(1)について、上記実施形態と同様の構成について同様の符号を付した図8及び図9を参照して説明する。図8は、変形例(1)に係る衣服10Bを示す正面図、図9図8におけるIX-IX線に沿った部分端面図である。
図8に示す衣服10Bは、前身頃24Bに操作窓50を有する。操作窓50は、前身頃24Bの外側に向かって開口している。図9に示すように、前身頃24Bは、前表地64Bを有する。前表地64Bは、操作窓50が設けられている。操作窓50は、上縁部68と、下縁部70と、中布部72と、を有する。上縁部68は、操作窓50の上方の端部に設けられ、第2端部54とともに前表地64Bに接続されている。下縁部70は、操作窓50の下方の端部に設けられ、前表地64Bに接続されている。中布部72は、上端部73が上縁部68とともに前表地64Bに接続されている。中布部72は、下端部74が丈方向Lに貫通した挿通穴76を有し、下縁部70とともに前表地64Bに接続されている。前身頃24Bは、前裏地66を有してもよい。
連結部16の自由端側部56は、自由端部62が調節環60に掛け回されて操作窓50から引き出されており、自由端側部56と反対側が挿通穴76に挿入され、前表地64Bと前裏地66との間を通って、第1端部52において後身頃26に接続されている。
変形例(1)に係る衣服10Bは、操作窓50が前身頃24Bの外側に向かって開口しており、当該操作窓50から調節機構としての調節環60が露出している。したがって衣服10Bを着用した着用者は、前身頃24Bの開閉部28を閉じた状態で調節機構を操作することができる。
図8に示す衣服10Bは、前身頃24Bに開閉部28を含むが、本変形例(1)はこれに限らない。衣服10Bは前身頃24Bに開閉部28を有しなくともよいし、前身頃と後身頃との間である脇下に開閉部を有してもよい。
【0046】
衣服の変形例(2)について、図8及び図9と同様の符号を付した図10及び図11を参照して説明する。図10は、変形例(2)に係る衣服10Cを示す正面図、図11図10におけるXI-XI線に沿った部分端面図である。
図10に示す衣服10Cは、前身頃24Cにポケット78と、操作窓50とを有する。ポケット78は、前身頃24Cの左右にそれぞれ設けられている。ポケット78は、前身頃24Cの外側に開口79を有する。図10に示す衣服10Cは、開口79を開閉可能とする第3開閉部80を有している。操作窓50は、ポケット78内に設けられている。図11に示すように、前身頃24Cは、前表地64Cと、前袋布部82とを有する。前表地64Cは、上記開口79が形成されている。前袋布部82は、前表地64Cに接続されている。前袋布部82は空間83を有する。前袋布部82は、前表地64Cと同様の生地で形成してもよいし、異なる生地で形成してもよい。前袋布部82は、前身頃24Cの厚さ方向に配置された2枚の前袋布85,86で形成されている。前袋布85,86は、厚さ方向の互いに対向する面の間に空間を有し、上端部と下端部が外環部84において互いに接続されている。前袋布85,86は、左右方向Hにおける外側の端部が第3開閉部80とともに前表地64Cに接続され、中心側の端部が開閉部28とともに前表地64Cに接続されている。前袋布部82は、操作窓50(挿通穴76ともいう)が設けられている。操作窓50は、上縁部68と、下縁部70と、を有する。上縁部68は、第2端部54とともに操作窓50の上方の端部で前袋布部82に接続されている。下縁部70は、操作窓50の下方の端部で前袋布部82に接続されている。前身頃24Cは、前裏地66を有してもよい。
連結部16の自由端側部56は、自由端部62が調節環60に掛け回されて操作窓50から引き出されており、自由端側部56と反対側が挿通穴76に挿入され、前表地64Cと前裏地66との間を通って、第1端部52において後身頃26に接続されている。
変形例(2)に係る衣服10Cは、前身頃24Cの外側に設けられた開口79を有するポケット78に操作窓50が設けられており、当該操作窓50から調節機構が露出している。したがって衣服10Cを着用した着用者は、前身頃の開閉部28を閉じた状態で、開口79を通じてポケット80内で調節機構を操作することができる。さらに変形例(2)に係る衣服10Cは、操作窓50がポケット78内に設けられていることによって、操作窓50及び操作窓50から露出した調節機構を衣服10Cの外部から隠すことができる。
図10に示す衣服10Cは、前身頃24Cに開閉部を含むが、本変形例(2)はこれに限らない。衣服10Cは前身頃24Cに開閉部を有しなくともよいし、前身頃と後身頃との間である脇下に開閉部を有してもよい。
図10に示す衣服10Cは、前袋布部82が2枚の前袋布85,86で形成される場合について説明したが、本変形例(2)はこれに限らず、前袋布部は、1枚の前袋布85で形成してもよい。
【0047】
上記実施形態の場合、衣服本体12は、前裏地66及び後裏地48を有する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。衣服本体12は、前裏地66及び後裏地48を有していなくてもよいし、どちらか一方を有してもよい。
【0048】
調節機構は、連結部16の長手方向の中央より第2端部54に近い側に設けられる場合について説明したが、本発明はこれに限らない。調節機構は、連結部16の長手方向の中央または中央より第1端部52に近い側に設けてもよい。
【0049】
上記実施形態の場合、操作窓50は前身頃24A、24B、24Cに設けられる場合について説明したが、本発明はこれに限らない。操作窓50は、調節機構の位置に対応した位置に設ければよく、後身頃26に設けてもよい。操作窓50は、後身頃26の後表地44または後裏地48に設けてもよい。
【0050】
上記実施形態の場合、連結部16は調節機構を有する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、連結部16は長手方向の両端である第1端部52と第2端部54の間の長さが所定の長さであるベルトでもよい。すなわち衣服は、所定の長さを有するベルトの第1端部を収容部の下側で前記後身頃の内側に接続し、第2端部を第1端部より衣服本体の前方かつ上方で衣服本体の内側に接続してもよい。この場合、所定の長さとは、収容部に荷物を収容した状態で上位を着用した場合に、着用者の身体に後身頃が密着し得る長さをいう。
【0051】
上記実施形態の場合、連結部16は、衣服本体12の内側に設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、衣服本体12の外側に設けてもよい。すなわち、連結部16の第1端部52は収容部14の下側で後身頃26の外側に接続され、連結部16の第2端部54は第1端部52より衣服本体12の前方かつ上方で衣服本体12の外側に接続されてもよい。
【0052】
上記実施形態の場合、第2端部54は前身頃24A、24B、24Cに接続されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第2端部54は、第1端部52より衣服本体12の前方かつ上方であれば、後身頃26に接続されていてもよい。具体的には、第2端部54は、前身頃に近い後身頃の肩部分、及び前身頃に近い後身頃の脇の下部分に接続されてもよい。
【0053】
上記実施形態の場合、第2端部54は、第1端部52より衣服本体12の前方かつ上方に接続されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第2端部54は、第1端部52より衣服本体12の上方、例えば後身頃の肩と前身頃の肩とを合わせる肩合わせ部と第1端部52との間に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10A、10B 衣服
12 衣服本体
13 裾
14 収容部
16 連結部
18 襟ぐり
20 袖ぐり
22 立襟
24A、24B 前身頃
26 後身頃
28 開閉部
32 開口部
34 第2開閉部
36 外縁部
38 側方外縁部
40 下方外縁部
42 摘み部
43 下辺
44 後表地
46 後袋布部
48 後裏地
49 空間
50 操作窓
51 内縁
52 第1端部
54 第2端部
56 自由端側部
58 固定端側部
60 調節環
62 自由端部
64A、64B、64C 前表地
66 前裏地
68 上縁部
69 縁
70 下縁部
71 縁
72 中布部
73 上端部
74 下端部
76 挿通穴
78 ポケット
79 開口
80 第3開閉部
82 前袋布部
83 空間
84 外環部
図1
図2
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