(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132479
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】サンドイッチパネル、及び耐火間仕切壁とその施工方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/36 20060101AFI20240920BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240920BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20240920BHJP
E04C 2/38 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04C2/36 G
E04B1/94 V
E04B2/74 501D
E04C2/38 S
E04B2/74 551E
E04B1/94 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043254
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】000149136
【氏名又は名称】日本インシュレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 優斗
(72)【発明者】
【氏名】堀 正人
(72)【発明者】
【氏名】久保木 智絵
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001EA01
2E001FA07
2E001GA12
2E001GA42
2E001GA63
2E001GA87
2E001HA03
2E001HA21
2E001HB02
2E001HC14
2E001JA28
2E001KA05
2E001LA01
2E001LA07
2E162BA02
2E162BB03
2E162CA05
2E162CA16
2E162CA21
2E162CB05
2E162CB08
2E162CC01
2E162CC07
2E162CE10
2E162GA02
2E162GA03
2E162GB07
(57)【要約】
【課題】耐火性と断熱性、及び製作性に優れたサンドイッチパネルと、耐火性と断熱性、及び施工性に優れた耐火間仕切壁とその施工方法を提供すること。
【解決手段】サンドイッチパネル70は、中空セル11を備え、一対の広幅面12と一対の縦小口13と一対の横小口14とを備えている芯材10、横方向の幅が芯材10よりも大きい複数の耐火面材21,31が横目地23,33を介して縦方向に並べられて形成され、芯材10の一対の広幅面12にそれぞれ当接される一対の耐火面材ユニット40、一対の縦小口13と一対の耐火面材21,31とにより形成される側方隙間45に挿入されて縦方向に延びる一対の鋼製の縦桟15、芯材10と耐火面材ユニット40との間における横目地23,33に対応する位置に配設されて横方向に延びる板状の横桟50を有し、耐火面材21,31が縦桟15と横桟50に対して軸状の固定部材60により固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空セルを備え、一対の広幅面と、縦方向に延びる一対の縦小口と、横方向に延びる一対の横小口とを備えている、芯材と、
横方向の幅が前記芯材よりも大きい複数の耐火面材が横目地を介して縦方向に並べられて形成され、前記芯材の前記一対の広幅面にそれぞれ当接される、一対の耐火面材ユニットと、
前記一対の縦小口と、前記一対の耐火面材とにより形成される側方隙間に挿入され、縦方向に延びる、一対の鋼製の縦桟と、
前記芯材と前記耐火面材ユニットとの間における前記横目地に対応する位置に配設され、横方向に延びる板状の横桟と、を有し、
前記耐火面材が、前記縦桟と前記横桟に対して、軸状の固定部材により固定されていることを特徴とする、サンドイッチパネル。
【請求項2】
前記耐火面材ユニットが、前記芯材側にある内張り耐火面材ユニットと、前記内張り耐火面材ユニットに積層される外張り耐火面材ユニットとを備え、
前記内張り耐火面材ユニットは、前記耐火面材に含まれる複数の内張り耐火面材により形成され、複数の前記内張り耐火面材の間には、前記横目地に含まれる内側横目地が介在し、
前記外張り耐火面材ユニットは、前記耐火面材に含まれる複数の外張り耐火面材により形成され、複数の前記外張り耐火面材の間には、前記横目地に含まれる外側横目地が介在し、
前記芯材と前記内張り耐火面材ユニットとの間における前記内側横目地と前記外側横目地のそれぞれに対応する位置に、前記横桟が配設され、
前記内張り耐火面材と前記外張り耐火面材が、前記縦桟と前記横桟に対して、前記固定部材により固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のサンドイッチパネル。
【請求項3】
前記横桟が、当接する前記耐火面材に対して無機系接着剤を介して固定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項4】
前記横桟が鋼板であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項5】
前記縦桟が溝形鋼により形成され、
前記溝形鋼の開口が前記芯材に対向するようにして前記側方隙間に挿入されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項6】
前記中空セルは、その長手方向に直交する断面形状がハニカム状を呈し、前記長手方向が前記一対の広幅面を繋ぐ方向に設定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項7】
前記中空セルの内部に、無機系発泡材が充填されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項8】
前記内張り耐火面材が、ケイ酸カルシウム板であり、
前記外張り耐火面材が、石膏ボードであることを特徴とする、請求項2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項9】
前記一対の耐火面材と前記縦桟とにより、縦方向に延びる繋ぎ用隙間が形成され、
複数の請求項1又は2に記載のサンドイッチパネルが横方向に並べられ、双方の前記繋ぎ用隙間に対して嵌め込まれているパネル継手材を介して、双方の前記サンドイッチパネルが接合されることにより形成されることを特徴とする、耐火間仕切壁。
【請求項10】
施工現場以外の場所でサンドイッチパネルとパネル継手材を製作する、製作工程と、
施工現場において、複数のサンドイッチパネルを前記パネル継手材を介して接合することにより、耐火間仕切壁を施工する、施工工程とを有し、
前記製作工程では、
前記サンドイッチパネルが、
複数の中空セルを備え、一対の広幅面と、縦方向に延びる一対の縦小口と、横方向に延びる一対の横小口とを備えている、芯材と、
横方向の幅が前記芯材よりも大きい複数の耐火面材が横目地を介して縦方向に並べられて形成され、前記芯材の前記一対の広幅面にそれぞれ当接される、一対の耐火面材ユニットと、
前記一対の縦小口と、前記一対の耐火面材とにより形成される側方隙間に挿入され、縦方向に延びる、一対の鋼製の縦桟と、
前記芯材と前記耐火面材ユニットとの間における前記横目地に対応する位置に配設され、横方向に延びる板状の横桟と、を有し、
前記縦桟と前記横桟に対して、前記耐火面材を軸状の固定部材によって固定することにより前記サンドイッチパネルを製作することを特徴とする、耐火間仕切壁の施工方法。
【請求項11】
前記施工工程において、
前記耐火面材ユニットの表面に表面材を取り付けることを特徴とする、請求項10に記載の耐火間仕切壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネル、及び耐火間仕切壁とその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機系断熱材により形成される芯材の一対の広幅面が、一対の耐火面材にて挟持されているサンドイッチパネルは、パネル一式が工場生産され、コンクリートやALC(軽量気泡コンクリート、Autoclaved light weight concrete)等からなる面材に比べて軽量であることから、従来の建物の現場組み立て式の乾式耐火間仕切壁の代替として適用されることにより、現場施工時の省力化と工期短縮を可能にした部材である。このサンドイッチパネルは、上記する軽量性の他にも、芯材により奏される断熱性(空間保温性)や耐火面材により奏される耐火性、さらには、製造時における二酸化炭素の排出量縮減による環境影響負荷低減性といった様々な効果を有している。
【0003】
ここで、特許文献1には、表面材と裏面材との間に、接着剤層を介してハニカム芯材が一体に介在されている耐火複合パネルが提案されている。この耐火複合パネルは、ハニカム芯材を不燃化するとともに、接着剤層をシート材に含浸させた構造とし、ハニカム芯材の少なくとも両面材端部側の一方には、難燃フォーム、高熱下で発泡炭化層を形成する不燃未発泡層が順に積層一体化されている。ここで、接着剤層は、表面材や裏面材等の広幅面に均一に塗布されるとし、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂といった有機系接着剤が適用されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される耐火複合パネル(上記サンドイッチパネルに相当)によれば、ハニカム芯材を適用することにより、軽量化を図り、強度を高めることができるとしている。しかしながら、パネルの内部に、有機系接着剤からなる接着剤層が面状に広がっていることから、火災時におけるサンドイッチパネルの燃焼拡大が促進され、初期の耐火性能を確保できないことが懸念される。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、耐火性と断熱性、及び製作性に優れたサンドイッチパネルと、耐火性と断熱性、及び施工性に優れた耐火間仕切壁とその施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明によるサンドイッチパネルの一態様は、
複数の中空セルを備え、一対の広幅面と、縦方向に延びる一対の縦小口と、横方向に延びる一対の横小口とを備えている、芯材と、
横方向の幅が前記芯材よりも大きい複数の耐火面材が横目地を介して縦方向に並べられて形成され、前記芯材の前記一対の広幅面にそれぞれ当接される、一対の耐火面材ユニットと、
前記一対の縦小口と、前記一対の耐火面材とにより形成される側方隙間に挿入され、縦方向に延びる、一対の鋼製の縦桟と、
前記芯材と前記耐火面材ユニットとの間における前記横目地に対応する位置に配設され、横方向に延びる板状の横桟と、を有し、
前記耐火面材が、前記縦桟と前記横桟に対して、軸状の固定部材により固定されていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、複数の中空セルを備えている芯材の一対の広幅面にそれぞれ、複数の耐火面材が横目地を介して縦方向に並べられて形成されている、一対の耐火面材ユニットが配設され、芯材の一対の縦小口の側方隙間において縦方向に延びる一対の鋼製の縦桟が配設され、芯材と耐火面材ユニットとの間における横目地に対応する位置に板状の横桟が配設されている構成において、耐火面材が縦桟と横桟に対して軸状の固定部材により固定されていることにより、面状に広がる有機系接着剤からなる接着剤層を介して耐火面材が接着されていないことから、この接着剤層に起因する火災時におけるサンドイッチパネルの燃焼拡大が防止され、耐火性に優れたサンドイッチパネルが形成される。さらに、複数の中空セルを備えている芯材の一対の広幅面に、一対の耐火面材が配設され、芯材の一対の縦小口に一対の縦桟が配設されている構成であることから、可及的に軽量であって製作性に優れ、さらに断熱性に優れたサンドイッチパネルとなる。
【0009】
ここで、芯材の備える「複数の中空セル」とは、多数の中空セルが相互に隣接している構造のことを意味しており、中空セルの輪郭形状は、四角形(正四角形を含む)や六角形(正六角形を含む)、八角形(正八角形を含む)、もしくはこれらの組合せ等を例示できる。また、「軸状の固定部材」には、ビスや釘、ボルト(ラグスクリューボルトを含む)、ステープル等が含まれる。
【0010】
また、本発明によるサンドイッチパネルの他の態様において、
前記耐火面材ユニットが、前記芯材側にある内張り耐火面材ユニットと、前記内張り耐火面材ユニットに積層される外張り耐火面材ユニットとを備え、
前記内張り耐火面材ユニットは、前記耐火面材に含まれる複数の内張り耐火面材により形成され、複数の前記内張り耐火面材の間には、前記横目地に含まれる内側横目地が介在し、
前記外張り耐火面材ユニットは、前記耐火面材に含まれる複数の外張り耐火面材により形成され、複数の前記外張り耐火面材の間には、前記横目地に含まれる外側横目地が介在し、
前記芯材と前記内張り耐火面材ユニットとの間における前記内側横目地と前記外側横目地のそれぞれに対応する位置に、前記横桟が配設され、
前記内張り耐火面材と前記外張り耐火面材が、前記縦桟と前記横桟に対して、前記固定部材により固定されていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、耐火面材ユニットが、複数の内張り耐火面材からなる内張り耐火面材ユニットと、複数の外張り耐火面材からなる外張り耐火面材ユニットが積層された重ね張り構造を有していることにより、より一層耐火性に優れたサンドイッチパネルとなる。さらに、内張り耐火面材ユニットを構成する内側横目地と、外張り耐火面材ユニットを構成する外側横目地の双方に対応する位置にそれぞれ横桟が配設されていることにより、内側横目地と外側横目地を介して火災時の熱風等が火災側から非火災側へ広がることを抑制できる。
【0012】
また、本発明によるサンドイッチパネルの他の態様において、
前記横桟が、当接する前記耐火面材に対して無機系接着剤を介して固定されていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、横桟が、当接する耐火面材に対して無機系接着剤を介して固定されていることにより、耐火面材に対する横桟の固定が、耐火性を有する無機系接着剤にて図られることから、使用する接着剤によるサンドイッチパネルの燃焼拡大を防止できる。ここで、無機系接着剤は有機系接着剤に比べて接着性や耐久性が一般に低いことから、無機系接着剤を介した横桟の耐火面材に対する固定は仮固定として位置付けてよく、横桟も軸状の固定部材にて芯材や耐火面材に対して固定(本固定)される。
【0014】
ここで、無機系接着剤としては、水ガラス接着剤を例示できる。この水ガラスは、ケイ酸ナトリウムの高濃度水溶液であり、耐熱性の高い接着剤である。
【0015】
また、本発明によるサンドイッチパネルの他の態様において、
前記横桟が鋼板であることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、内側横目地や外側横目地に対応する位置に配設されている横桟が鋼板であることにより、横目地における熱風の遮蔽性をより一層高めることができ、より一層耐火性に優れたサンドイッチパネルとなる。
【0017】
また、本発明によるサンドイッチパネルの他の態様において、
前記縦桟が溝形鋼により形成され、
前記溝形鋼の開口が前記芯材に対向するようにして前記側方隙間に挿入されていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、縦桟が溝形鋼により形成され、溝形鋼の開口が芯材に対向するようにして側方隙間に挿入されていることにより、火災時の熱で溝形鋼が膨張変形した場合でも、この変形代を溝形鋼の開口と芯材の縦小口との間の空間にて吸収することができ、膨張した溝形鋼によって火災側にある耐火面材が引っ張られて大きく変形することを抑制できる。さらに、溝形鋼の有する一対のフランジが、耐火面材や横桟を軸状の固定部材にて固定する部位となることから、芯材を挟む一対の溝形鋼に対して、芯材の一対の広幅面に配設される一対の耐火面材ユニットを強固に固定することができる。
【0019】
また、本発明によるサンドイッチパネルの他の態様において、
前記中空セルは、その長手方向に直交する断面形状がハニカム状を呈し、前記長手方向が前記一対の広幅面を繋ぐ方向に設定されていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、中空セルの長手方向に直交する断面形状がハニカム状(六角形)を呈し、中空セルの長手方向が一対の広幅面を繋ぐ方向に設定されていることにより、断熱性を備えつつ、剛性の高い芯材が形成され、このことによって剛性の高いサンドイッチパネルを形成できる。
【0021】
また、本発明によるサンドイッチパネルの他の態様において、
前記中空セルの内部に、無機系発泡材が充填されていることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、中空セルの内部に無機系発泡材が充填されていることにより、遮音性と断熱性のより一層高いサンドイッチパネルを形成できる。
【0023】
また、本発明によるサンドイッチパネルの他の態様において、
前記内張り耐火面材が、ケイ酸カルシウム板であり、
前記外張り耐火面材が、石膏ボードであることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、内張り耐火面材として、火災時の加熱後に温度を速やかに降下させる効果を奏するケイ酸カルシウム板を適用し、外張り耐火面材として、火災時の加熱によって水分(結晶水)を放出して耐火面材の温度上昇を抑制する効果を奏する石膏ボードが適用されることにより、より一層耐火性の高いサンドイッチパネルを形成できる。
【0025】
また、本発明による耐火間仕切壁の一態様は、
前記一対の耐火面材と前記縦桟とにより、縦方向に延びる繋ぎ用隙間が形成され、
複数の前記サンドイッチパネルが横方向に並べられ、双方の前記繋ぎ用隙間に対して嵌め込まれているパネル継手材を介して、双方の前記サンドイッチパネルが接合されることにより形成されることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、横方向に隣接する2つのサンドイッチパネルのそれぞれの繋ぎ用隙間に嵌め込まれているパネル継手材を介して、双方のサンドイッチパネルが接合されることによって形成されることから、高い接合強度を備えた間仕切壁を容易な施工性の下で施工することができる。
【0027】
また、本発明による耐火間仕切壁の施工方法の一態様は、
施工現場以外の場所でサンドイッチパネルとパネル継手材を製作する、製作工程と、
施工現場において、複数のサンドイッチパネルを前記パネル継手材を介して接合することにより、耐火間仕切壁を施工する、施工工程とを有し、
前記製作工程では、
前記サンドイッチパネルが、
複数の中空セルを備え、一対の広幅面と、縦方向に延びる一対の縦小口と、横方向に延びる一対の横小口とを備えている、芯材と、
横方向の幅が前記芯材よりも大きい複数の耐火面材が横目地を介して縦方向に並べられて形成され、前記芯材の前記一対の広幅面にそれぞれ当接される、一対の耐火面材ユニットと、
前記一対の縦小口と、前記一対の耐火面材とにより形成される側方隙間に挿入され、縦方向に延びる、一対の鋼製の縦桟と、
前記芯材と前記耐火面材ユニットとの間における前記横目地に対応する位置に配設され、横方向に延びる板状の横桟と、を有し、
前記縦桟と前記横桟に対して、前記耐火面材を軸状の固定部材によって固定することにより前記サンドイッチパネルを製作することを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、施工現場以外の場所である工場等においては、軽量で耐火性に優れたサンドイッチパネルを効率的に製作することができ、施工現場においては、現場搬送されてきた複数のサンドイッチパネルを横方向に並べ、複数のサンドイッチパネルをパネル継手材を介して接合することにより、耐火間仕切壁を効率的に施工することができる。ここで、施工現場では、例えば1階の床スラブと1階の天井スラブ、2階以上の上階の床スラブと天井スラブに対してそれぞれ、下方ランナーと上方ランナーが取り付けられ、双方のランナーに耐火間仕切壁の上端と下端が嵌め込まれて固定されることにより、各階において各居室を区切る耐火間仕切壁の施工が行われる。
【0029】
また、本発明による耐火間仕切壁の施工方法の他の態様は、
前記施工工程において、
前記耐火面材ユニットの表面に表面材を取り付けることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、施工工程において耐火面材ユニットの表面に対して、様々なニーズに応じた表面材(もしくは表面化粧材)を取り付けることにより、耐火間仕切壁に対して外観意匠性を付与でき、あるいは、耐火間仕切壁の耐火性をより一層高めることができる。ここで、表面材には、例えば建築基準法上の内装制限に準拠される要求性能を満足する材料が適用される。
【発明の効果】
【0031】
以上の説明から理解できるように、本発明のサンドイッチパネル、及び耐火間仕切壁とその施工方法によれば、耐火性と断熱性、及び製作性に優れたサンドイッチパネルと、耐火性と断熱性、及び施工性に優れた耐火間仕切壁とその施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施形態に係る耐火間仕切壁の施工方法のうち、サンドイッチパネルを製作する製作工程の一例を示す斜視図である。
【
図2A】
図1のII部の拡大図であって、中空セルの一例の平面図である。
【
図2B】
図1のII部の拡大図であって、中空セルの他の例の平面図である。
【
図3A】
図1に対応する図であって、耐火面材ユニットにおける横桟の設置位置の他の例を示す図である。
【
図3B】
図1に対応する図であって、耐火面材ユニットにおける横桟の設置位置のさらに他の例を示す図である。
【
図4】
図1に続いて、製作工程の一例を説明する斜視図であって、実施形態に係るサンドイッチパネルの一例をともに示す図である。
【
図5】実施形態に係る耐火間仕切壁の施工方法における施工工程の一例を説明する斜視図である。
【
図6】
図5に続いて、施工工程の一例を説明する斜視図である。
【
図7】
図6に続いて、施工工程の一例を説明する斜視図であって、実施形態に係る耐火間仕切壁の一例をともに示す図である。
【
図8】床スラブと天井スラブに対して、実施形態に係る耐火間仕切壁が取り付けられている状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施形態に係るサンドイッチパネル、及び耐火間仕切壁とその施工方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0034】
[実施形態に係るサンドイッチパネル、及び耐火間仕切壁とその施工方法]
図1乃至
図8を参照して、実施形態に係るサンドイッチパネル、及び耐火間仕切壁とその施工方法の一例について説明する。ここで、
図1は、実施形態に係る耐火間仕切壁の施工方法のうち、サンドイッチパネルを製作する製作工程の一例を示す斜視図であり、
図2Aと
図2Bはいずれも、
図1のII部の拡大図であって、中空セルの一例の平面図であり、
図3Aと
図3Bはいずれも、
図1に対応する図であって、耐火面材ユニットにおける横桟の設置位置の他の例を示す図である。また、
図4は、
図1に続いて、製作工程の一例を説明する斜視図であって、実施形態に係るサンドイッチパネルの一例をともに示す図である。さらに、
図5乃至
図7は順に、実施形態に係る耐火間仕切壁の施工方法における施工工程の一例を説明する斜視図であり、
図7はさらに、実施形態に係る耐火間仕切壁の一例をともに示す図である。また、
図8は、床スラブと天井スラブに対して、実施形態に係る耐火間仕切壁が取り付けられている状態を示す縦断面図である。
【0035】
耐火間仕切壁の施工方法は、施工現場以外の場所である、例えば工場においてサンドイッチパネル70(
図4参照)とパネル継手材80(
図5参照)を製作する、製作工程と、施工現場において、複数のサンドイッチパネル70をパネル継手材80を介して接合することにより、耐火間仕切壁100(
図7及び
図8参照)を施工する、施工工程とを有する。
【0036】
まず、
図1乃至
図4を参照して、工場等においてサンドイッチパネル70を製作する製作工程について説明する。
【0037】
サンドイッチパネル70は、正面視矩形で板状の芯材10の一対の広幅面12に対して、耐火面材ユニット40を取り付けることにより製作する。ここで、
図1には、芯材10の一方の広幅面12に対して、耐火面材ユニット40を取り付ける方法を説明しており、他方の広幅面12(紙面前方側の広幅面12)へ取り付けられる耐火面材ユニット40の図示を省略しているが、他方の広幅面12にも同様の方法で耐火面材ユニット40が取り付けられることになる。
【0038】
芯材10は、
図2Aの拡大図に示すように複数の中空セル11を備えた構造を有し、一対の広幅面12と、縦方向に延びる一対の縦小口13と、横方向に延びる一対の横小口14とを備えている。
【0039】
芯材10には、断熱性を有し、耐火性(もしくは防火性)の有無は必須ではない。芯材10は、例えば、不燃紙やダンボール、アルミニウム材、セラミックス材等の様々な素材が適用できる。
図2Aに示す中空セル11は、その長手方向に直交する断面形状がハニカム状を呈していることから、芯材10をハニカム材と称することもできる。
【0040】
例えば、不燃紙やアルミニウム材、セラミックス材にて芯材10が形成されている場合は、芯材10はさらに耐火性を有することになる。芯材10の厚みt5は、例えば、15mm乃至50mm程度の範囲に設定できる。ここで、中空セル11の断面形状は、図示例のハニカム状の他にも、四角形や八角形等、その他の多角形が適用されてもよいし、多角形以外の形態が適用されてもよい。例えば、
図2Bに示すように、芯材10は、複数の相互に平行に並ぶ平板11aに対して複数の波板11bが接着等されることにより、滑らかな山型を呈する複数の中空セル11Aが、その山を交互に上下反転させながら並ぶ形態等であってもよい。尚、以下の説明では、芯材10がハニカム状の中空セル11を有する形態であるとして説明する。
【0041】
芯材10の中空セル11の長手方向に直交する断面形状がハニカム状を呈し、中空セル11の長手方向が一対の広幅面12を繋ぐ方向に設定されていることにより、空気の対流を防ぐことによって断熱性を向上させることができ、曲げ強度が高く、平面的な耐圧力性も高い高剛性の芯材10となる。ここで、芯材10は、一対の広幅面の一方もしくは双方に対して、不図示の板材が取り付けられてもよく、この板材によって芯材全体の曲げ強度をより一層高めることができる。
【0042】
芯材10が複数の中空セル11によって構成されていることから、芯材10の体積の例えば9割以上が空気(図示例のハニカム状の構成では、91%乃至95%程度)であるため、サンドイッチパネル70の軽量化に繋がる。
【0043】
尚、従来の断熱材として使用されてきたロックウールからなる芯材に比べて、複数の中空セル11を備えた芯材10では、ロックウールと同程度の熱伝導率を有しながら、その製造時における二酸化炭素の排出量を可及的に低減することができ、環境影響負荷低減性も高くなる。
【0044】
ここで、図示を省略するが、中空セル11の内部に無機系発泡材が充填されてもよく、この形態によれば、遮音性と断熱性のより一層高いサンドイッチパネル70の形成に繋がる。
【0045】
芯材10の一対の縦小口13の側方には、一対の鋼製の縦桟15が配設される。ここで、縦桟15は溝形鋼により形成され、溝形鋼の開口16が芯材10の縦小口13に対向するように配設されている。この構成により、芯材10の縦小口13と溝形鋼15とによって空間17が形成される。
【0046】
尚、縦桟15は、溝形鋼以外にも、角形鋼管やH形鋼等の他の形鋼材であってもよいが、図示例の溝形鋼15を、その開口16が芯材10に対向するように配設して空間17を形成することにより、火災時の熱で縦桟15が膨張変形した場合でも、この変形代を空間17にて吸収することができ、膨張した溝形鋼15によって火災側にある耐火面材が引っ張られて大きく変形することを抑制できる。
【0047】
耐火面材ユニット40は、芯材10側にある内張り耐火面材ユニット20と、内張り耐火面材ユニット20に積層される外張り耐火面材ユニット30とを備えている。
【0048】
内張り耐火面材ユニット20は、複数(図示例は3枚)の内張り耐火面材21(耐火面材の一例)により形成され、複数の内張り耐火面材21の間には、内側横目地23(横目地の一例)が介在している。ここで、内張り耐火面材21の厚みt6は、例えば7mm乃至40mm程度の範囲にある。
【0049】
一方、外張り耐火面材ユニット30は、複数(図示例は3枚)の外張り耐火面材31により形成され、複数の外張り耐火面材31の間には、外側横目地33(横目地の他の例)が介在している。ここで、外張り耐火面材31の厚みt6は、例えば7mm乃至40mm程度の範囲にある。
【0050】
そして、内張り耐火面材ユニット20における芯材10に対向する広幅面のうち、内側横目地23に対応する位置と、内張り耐火面材21の高さ方向の中央位置にはそれぞれ、鋼板により形成される横桟50A,50Bが、無機系接着剤55を介して接着されている。
【0051】
さらに、内張り耐火面材ユニット20における芯材10に対向する広幅面のうち、外張り耐火面材31の外側横目地33に対応する位置と、外張り耐火面材31の高さ方向の中央位置にはそれぞれ、鋼板により形成される横桟50C,50Dが、無機系接着剤55を介して接着されている。
【0052】
そして、図示例では、内張り耐火面材ユニット20における芯材10に対向する広幅面において、横桟50A,50B、50C,50Dが、高さ方向に等間隔t2'で配置されている。
【0053】
ここで、各横桟50の長手方向の長さは、左右にある縦桟15の内側の横方向の長さt3'(芯材10の横方向の長さ)に設定されている。そのため、芯材10に対して内張り耐火面材ユニット20が取り付けられた際に、各横桟50は、芯材10の広幅面12の対応領域を変形させながら芯材10の内部に埋め込まれることになる。
【0054】
このように、内張り耐火面材ユニット20の広幅面のうち、内側横目地23と外側横目地33のそれぞれに対応する位置と、さらに、内張り耐火面材21と外張り耐火面材31のそれぞれの高さ方向の中央位置において、複数の横桟50が無機系接着剤55を介して固定されていることにより、耐火面材21に対する横桟50の固定が、耐火性を有する無機系接着剤55にて図られることから、使用する接着剤によるサンドイッチパネル70の燃焼拡大を防止できる。
【0055】
ここで、無機系接着剤55は、有機系接着剤に比べて接着性や耐久性が一般に低いことから、無機系接着剤55を介した横桟50の耐火面材21,31に対する固定はあくまでも仮固定であり、横桟50も耐火面材ユニット20,30と同様にビス60(軸状の固定部材の一例で、
図4参照)にて芯材10や縦桟15等に対して本固定されることになる。
【0056】
ここで、無機系接着剤には、ケイ酸ナトリウムの高濃度水溶液であって耐熱性の高い、水ガラス接着剤を適用できる。
【0057】
また、横桟50には、厚み0.8mm程度の鋼板を適用できる。尚、図示を省略するが、横桟50(鋼板)は、横目地23,33に対応する位置や、内張り耐火面材21と外張り耐火面材31のそれぞれの高さ方向の中央位置の他にも、耐火面材ユニット20,30を補強する補強鋼板としてさらに他の場所に設置されてもよい。
【0058】
さらに、図示例では、内張り耐火面材21と外張り耐火面材31の縦方向の長さが、いずれも4×t2'で同じであるが、双方の縦方向の長さが異なる場合は、双方に対応する横桟の間隔も異なってよい。
【0059】
複数の横桟50の設置位置(設置態様)は、
図1に示す例の他に、
図3Aと
図3Bに示す設置位置であってもよい。
【0060】
まず、
図3Aに示す横桟50の設置態様は、内張り耐火面材ユニット20における外張り耐火面材31に対向する広幅面のうち、内側横目地23に対応する位置と、内張り耐火面材21の高さ方向の中央位置にそれぞれ横桟50A,50Bが設置され、外張り耐火面材ユニット30における内張り耐火面材21に対向する広幅面のうち、外側横目地33に対応する位置と、外張り耐火面材31の高さ方向の中央位置にそれぞれ横桟50C,50Dが設置されている。
【0061】
内張り耐火面材ユニット20と外張り耐火面材ユニット30が組み付けられた際に、双方の間に、横桟50A,50B、50C,50Dが、高さ方向に等間隔t2'で配置されることになる。
【0062】
ここで、図示を省略するが、
図3Aに示す設置態様以外にも、内張り耐火面材ユニット20における外張り耐火面材31に対向する広幅面において、横桟50A,50B、50C,50Dが高さ方向に等間隔t2'で設置されてもよいし、外張り耐火面材ユニット30における内張り耐火面材21に対向する広幅面において、横桟50A,50B、50C,50Dが高さ方向に等間隔t2'で設置されてもよい。
【0063】
さらに、
図3Bに示す横桟50の設置位置(設置態様)は、内張り耐火面材ユニット20における芯材10に対向する広幅面のうち、内側横目地23に対応する位置と、内張り耐火面材21の高さ方向の中央位置にそれぞれ横桟50A,50Bが設置され、外張り耐火面材ユニット30における内張り耐火面材21に対向する広幅面のうち、外側横目地33に対応する位置と、外張り耐火面材31の高さ方向の中央位置にそれぞれ横桟50C,50Dが設置されている。
【0064】
ここで、図示を省略するが、
図3Bに示す設置態様以外にも、内張り耐火面材ユニット20における外張り耐火面材31に対向する広幅面において、横桟50A,50Bが設置され、内張り耐火面材ユニット20における芯材10に対向する広幅面において、横桟50C,50Dが設置されてもよい。
【0065】
内側横目地23と外側横目地33の高さ位置は相互にずれており、従って、双方の横目地23,33を塞ぐ鋼板50は高さ方向で相互にずれている。このように、双方の横目地23,33が高さ方向でずれていることにより、火災時に耐火面材21,31が収縮した際や剥がれる際に、燃焼ガスがサンドイッチパネル70の内部へ漏れることを抑制できる。
【0066】
耐火面材ユニット20,30の縦方向の長さt2は芯材10の縦方向の長さt1と同じである一方、耐火面材ユニット20,30の横方向の長さt4は芯材10の横方向の長さt3よりも長く設定されている。
【0067】
この構成により、
図4に示すように、芯材10の一対の広幅面12に対して一対の耐火面材ユニット40が取り付けられた状態のサンドイッチパネル70においては、一対の耐火面材ユニット40と縦桟15とにより、縦方向に延びる繋ぎ用隙間48が形成される。ここで、
図4には、芯材10の縦小口13と一対の耐火面材ユニット40とにより側方隙間45が形成され、この側方隙間45に縦方向に延びる縦桟15が配設され、縦桟15の側方に繋ぎ用隙間48が形成されている構成が示されている。
【0068】
内張り耐火面材21と外張り耐火面材31には、防火材料としての不燃性能を有し、蓄熱作用が小さく、放冷効果の大きな素材が適用されるのが好ましい。そのような素材として、例えば、インシュレーションボードやセルローズファイバーボード、木毛セメント板などの木質系ボード、石膏ボード、石膏板、繊維混入石膏板、ケイ酸カルシウム板などの無機系ボード等が挙げられる。各耐火面材の厚みは、例えば7mm乃至50mmの範囲に設定できる。
【0069】
上記する様々な素材の組合せの中で、例えば、内張り耐火面材21をケイ酸カルシウム板により形成し、外張り耐火面材31を石膏ボードにより形成する。この構成によれば、内張り耐火面材21として、火災時の加熱後に温度を速やかに降下させる効果を奏するケイ酸カルシウム板を適用し、外張り耐火面材31として、火災時の加熱によって水分(結晶水)を放出して耐火面材31の温度上昇を抑制する効果を奏する石膏ボードが適用されることにより、より一層耐火性の高いサンドイッチパネル70の形成に寄与する。
【0070】
図4に示すように、芯材10の一対の広幅面12に対して一対の耐火面材ユニット40を当接させ、点線で示す溝形鋼15に対応する投影エリアや鋼板50に対応する投影エリアにおいて、複数のビス60(軸状の固定部材の一例)を打ち込むことにより、芯材10とその左右にある一対の縦桟15,これらを挟持する一対の耐火面材ユニット40が一体とされて、サンドイッチパネル70が製作される(以上、製作工程)。
【0071】
このように、図示する製作工程によれば、可及的に軽量であり、断熱性と耐火性に優れたサンドイッチパネル70を効率的に製作することができる。また、サンドイッチパネル70は、製作時の二酸化炭素の排出量をゼロに近づけることができ、製作時の省力化を図ることができ、再生可能な素材にて製作されることから、脱炭素を実現する循環型社会に対応する、次世代型サンドイッチパネル(NEXT SWP(Sandwich panel))と称することができる。
【0072】
次に、
図5乃至
図8を参照して、施工現場において耐火間仕切壁100を施工する施工工程について説明する。
【0073】
工場等で製作されたサンドイッチパネル70と、サンドイッチパネル70同士を繋ぐパネル継手材80(
図5参照)は、施工現場に搬送される。
【0074】
ここで、パネル継手材80は、補強用の鋼板81の一対の広幅面を一対の強化石膏ボード82が挟持した構成を有しており、この構成により、高剛性でかつ耐火性に優れたパネル継手材となる。
【0075】
施工現場では、
図5に示すように、複数(図示例は3つ)のサンドイッチパネル70を横方向に並べ、隣接するサンドイッチパネル70の備える双方の繋ぎ用隙間48にパネル継手材80をX1方向に嵌め込んで接合することにより、
図6に示すように耐火間仕切壁の中間体100'が施工される。
【0076】
ここで、パネル継手材80を介したサンドイッチパネル70同士の接続においては、双方の繋ぎ用隙間48に対するパネル継手材80の嵌め込みのみで十分な接合強度が得られることから、パネル継手材80を嵌め込んだ後に別途ビス等を打ち込む施工は不要であるが、このようなビス等の打ち込みを行ってもよい。
【0077】
また、隣接するサンドイッチパネル70の耐火面材ユニット40の端部間にも若干の隙間が生じ得るが、ここには、例えば生体溶解性繊維ペーパーにより形成される、間詰め材85を介在させる。
【0078】
次に、
図7に示すように、耐火間仕切壁の中間体100'の一対の広幅面に対して表面材90を取り付けることにより、耐火間仕切壁100が施工される。
【0079】
ここで、表面材90には、建築基準法上の内装制限に準拠される要求性能を満足する様々な材料がそのニーズに応じて適用される。表面材90としては、例えば、木質系材料やセラミックス系化粧材(窯業系)、カラー鋼板、ガルバニウム鋼板、アルミニウム板、壁紙等が挙げられ、優れた外観意匠性を付与できる。
【0080】
耐火間仕切壁100は、より具体的には、
図8に示すように、任意階における天井スラブS1と床スラブS2との間に建て込まれ、天井スラブS1と床スラブS2のそれぞれに固定されている上方ランナーR1と下方ランナーR2に対して固定されることにより、各居室を区切る態様で施工される(以上、施工工程)。この耐火間仕切壁100は、防・耐火区画の建物における間仕切壁に好適となる。
【0081】
このように、図示する施工工程によれば、現場搬送されてきた複数のサンドイッチパネル70を横方向に並べ、複数のサンドイッチパネル70をパネル継手材80を介して接合することにより、耐火性に優れた耐火間仕切壁100を効率的に施工することができる。
【0082】
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0083】
10:芯材
11:中空セル
12:広幅面
13:縦小口
14:横小口
15:縦桟(溝形鋼)
16:開口
17:空間
20:内張り耐火面材ユニット(耐火面材ユニット)
21:内張り耐火面材(耐火面材)
23:内側横目地(横目地)
30:外張り耐火面材ユニット(耐火面材ユニット)
31:外張り耐火面材(耐火面材)
33:外側横目地(横目地)
40:耐火面材ユニット
45:側方隙間
48:繋ぎ用隙間
50:横桟(鋼板)
55:無機系接着剤
60:軸状の固定部材(ビス)
70:サンドイッチパネル
80:パネル継手材
81:鋼板
82:強化石膏ボード
85:間詰め材
100:耐火間仕切壁
100':耐火間仕切壁の中間体
101:上端
102:下端
S1:天井スラブ
S2:床スラブ
R1:上方ランナー
R2:下方ランナー