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特開2024-132480表示システム、路面起伏推定装置及び表示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132480
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】表示システム、路面起伏推定装置及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/13 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G08G1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043255
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 文人
(72)【発明者】
【氏名】森 俊也
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181EE02
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】路面の起伏をより精度よく推定できる表示システム等を提供する。
【解決手段】表示システム1は、路面起伏推定装置10と、推定された路面の起伏に基づいて、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定する表示態様決定装置20と、決定された重畳位置にコンテンツを重畳させて表示する表示装置30とを備える。路面起伏推定装置10は、移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を取得する路面起伏算出部12と、路面起伏情報取得部によって取得された複数の路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する判定部(路面起伏補正部13)と、複数の路面起伏情報のうち所定の条件を満たすと判定された1以上の路面起伏情報に基づいて、路面の起伏を推定する推定部(路面起伏補正部13)とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面起伏推定部と、
前記路面起伏推定部によって推定された路面の起伏に基づいて、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定する重畳位置決定部と、
前記重畳位置決定部によって決定された前記重畳位置に前記コンテンツを重畳させて表示する表示部と、を備え、
前記路面起伏推定部は、
移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の前記路面の起伏を示す路面起伏情報を取得する路面起伏情報取得部と、
前記路面起伏情報取得部によって取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
複数の前記路面起伏情報のうち前記判定部によって前記所定の条件を満たすと判定された1以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定する推定部と、を有する、
表示システム。
【請求項2】
前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、
前記所定の条件は、前記相対位置が所定の閾値範囲内であるという条件である、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記所定の条件は、複数の前記路面起伏情報の数が所定数以上あるという条件である、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、
前記相対位置は、前記移動体の自車線の幅方向における現在位置を基準とした場合の前記幅方向の位置を含み、
前記判定部は、複数の前記相対位置が所定数以上あるか否かを判定し、前記所定数以上ではないと判定した場合、さらに複数の前記相対位置のそれぞれに対して、所定の閾値範囲内であるか否かを判定し、
前記推定部は、前記所定の閾値範囲内である1以上の第1相対位置と、前記所定の閾値範囲外である1以上の第2相対位置に対して所定の処理が施された1以上の処理後の第2相対位置とに基づいて、前記路面の起伏を推定する、
請求項3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記所定の処理は、前記1以上の第2相対位置に対して所定の減算量だけオフセットするという処理である、
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、
前記所定の条件は、複数の前記相対位置の変化量が所定の閾値範囲内であるという条件である、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項7】
前記判定部は、連続する3つ以上の前記相対位置における一の前記相対位置と他の2以上の前記相対位置それぞれとの変化量を、前記3つ以上の前記相対位置のそれぞれに対して算出し、
前記所定の条件は、さらに前記所定の閾値範囲外となる回数が所定回数未満であるという条件を含む、
請求項6に記載の表示システム。
【請求項8】
前記判定部は、複数の前記相対位置のそれぞれに基づいて1次近似曲線を算出し、
前記所定の条件は、前記1次近似曲線からの変化量が前記所定の閾値範囲内であるという条件である、
請求項6に記載の表示システム。
【請求項9】
前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、
前記所定の条件は、前記路面の起伏の推定に用いられる前記相対位置が、現時点の複数の第1相対位置と、過去に推定された複数の第2相対位置とに基づいて平滑化された位置であるという条件である、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項10】
前記複数の第2相対位置は、過去の第1時点に推定された位置であり、
前記所定の条件は、前記路面の起伏の推定に用いられる前記相対位置が、前記複数の第1相対位置と、前記複数の第2相対位置と、過去の第2時点に推定された複数の第3相対位置とに基づいて平滑化された位置であるという条件である、
請求項9に記載の表示システム。
【請求項11】
前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、
前記所定の条件は、現時点の複数の第1相対位置と、過去に推定された複数の第2相対位置との差分が所定の閾値範囲内であるという条件である、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項12】
前記相対位置は、前記移動体の高さ方向における現在位置を基準とした場合の前記高さ方向の位置を含み、
前記所定の閾値範囲は、許容される道路勾配に基づいて決定される範囲である、
請求項2、6~8、11のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項13】
前記相対位置は、前記移動体の自車線の幅方向における現在位置を基準とした場合の前記幅方向の位置を含み、
前記所定の閾値範囲は、前記自車線の道路幅に基づいて決定される範囲である、
請求項2、6~8、11のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項14】
前記相対位置は、前記移動体の進行方向における現在位置を基準とした場合の前記進行方向の位置を含み、
前記所定の閾値範囲は、前記撮像部の性能に基づいて決定される範囲である、
請求項2、6~8、11のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項15】
移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を取得する路面起伏情報取得部と、
前記路面起伏情報取得部によって取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
複数の前記路面起伏情報のうち前記判定部によって前記所定の条件を満たすと判定された1以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定する推定部と、を備える、
路面起伏推定装置。
【請求項16】
移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を取得し、
取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定し、
複数の前記路面起伏情報のうち前記所定の条件を満たすと判定された1つ以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定し、
推定された前記路面の起伏に基づいて、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定し、
決定された前記重畳位置に前記コンテンツを重畳させて表示する、
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システム、路面起伏推定装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の前方の路面の起伏に応じて、コンテンツを前方の対象物に重畳させて表示することが検討されている。例えば、特許文献1には、カメラによって撮像された車両周辺の画像を用いて前方の対象物の実空間での3次元位置(3次元情報)を算出し、移動体の前方の路面の起伏を推定する技術が開示されている。また、特許文献2には、路面の起伏を活用して、コンテンツを前方の対象物に重畳させて表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6138293号公報
【特許文献2】特開2019-51734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテンツを適切な位置に重畳させて表示するためには、路面の起伏がより精度よく推定されることが望まれる。しかしながら、特許文献1及び2に開示されている技術は、路面の起伏を精度よく推定することに対して改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、路面の起伏をより精度よく推定することができる表示システム、路面起伏推定装置及び表示方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示システムは、路面起伏推定部と、前記路面起伏推定部によって推定された路面の起伏に基づいて、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定する重畳位置決定部と、前記重畳位置決定部によって決定された前記重畳位置に前記コンテンツを重畳させて表示する表示部と、を備え、前記路面起伏推定部は、移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の前記路面の起伏を示す路面起伏情報を取得する路面起伏情報取得部と、前記路面起伏情報取得部によって取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、複数の前記路面起伏情報のうち前記判定部によって前記所定の条件を満たすと判定された1以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定する推定部と、を有する。
【0007】
本開示の一態様に係る路面起伏推定装置は、移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を取得する路面起伏情報取得部と、前記路面起伏情報取得部によって取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、複数の前記路面起伏情報のうち前記判定部によって前記所定の条件を満たすと判定された1以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定する推定部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る表示方法は、移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を取得し、取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定し、複数の前記路面起伏情報のうち前記所定の条件を満たすと判定された1つ以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定し、推定された前記路面の起伏に基づいて、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定し、決定された前記重畳位置に前記コンテンツを重畳させて表示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、路面の起伏をより精度よく推定することができる表示システム等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る表示システムの機能構成を示すブロック図である。
図2A図2Aは、実施の形態に係る第1条件を説明するための第1図である。
図2B図2Bは、実施の形態に係る第1条件を説明するための第2図である。
図3A図3Aは、実施の形態に係る第2条件を説明するための第1図である。
図3B図3Bは、実施の形態に係る第2条件を説明するための第2図である。
図4A図4Aは、実施の形態に係る第3条件を説明するための第1図である。
図4B図4Bは、実施の形態に係る第3条件を説明するための第2図である。
図5図5は、実施の形態に係る第4条件を説明するための図である。
図6図6は、実施の形態に係る第5条件を説明するための図である。
図7図7は、実施の形態に係る第6条件を説明するための図である。
図8図8は、実施の形態に係る第7条件を説明するための図である。
図9図9は、実施の形態に係る表示システムの動作を示すフローチャートである。
図10図10は、図9に示すステップS50の詳細を示すフローチャートである。
図11図11は、実施の形態に係る条件を組み合わせて路面起伏情報を除外する例を説明するための図である。
図12図12は、実施の形態の変形例に係る閾値の第1例を示す図である。
図13図13は、実施の形態の変形例に係る閾値の第2例を示す図である。
図14図14は、実施の形態の変形例に係る閾値の第3例を示す図である。
図15図15は、実施の形態の変形例に係る閾値の第4例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った経緯)
本開示の実施の形態等の説明に先立ち、本開示に至った経緯について説明する。
【0012】
背景技術で記載した通り、カメラによって撮像された車両周辺の画像を用いて、移動体の前方の路面の起伏を推定する技術がある。そのような技術では、画像の品質(解像度、コントラストなど)が悪かったり、走行中の動的な車両姿勢変動(車両振動、車線変更、ハンドル操舵等)があると、3次元位置算出時のノイズとなり、路面の起伏を精度よく推定できない恐れがある。特許文献1及び2には、画像の品質及びノイズを考慮して画像から路面の起伏を推定する技術は開示されていない。
【0013】
そこで、本願発明者らは、画像の品質が悪い又はノイズが存在する場合であっても画像から路面の起伏を精度よく推定することができる表示システム等について鋭意検討し、以下に示す表示システム等を創案した。
【0014】
本開示の第1態様に係る表示システムは、路面起伏推定部と、前記路面起伏推定部によって推定された路面の起伏に基づいて、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定する重畳位置決定部と、前記重畳位置決定部によって決定された前記重畳位置に前記コンテンツを重畳させて表示する表示部と、を備え、前記路面起伏推定部は、移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の前記路面の起伏を示す路面起伏情報を取得する路面起伏情報取得部と、前記路面起伏情報取得部によって取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、複数の前記路面起伏情報のうち前記判定部によって前記所定の条件を満たすと判定された1以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定する推定部と、を有する。
【0015】
これにより、所定の条件を満たす1以上の路面起伏情報に基づいて路面の起伏が推定されるので、例えば、画像の品質又はノイズの影響等により、画像から路面起伏情報を推定する3次元復元処理に失敗している路面起伏情報を除外することができる。つまり、路面の起伏を推定する際の精度を低下させる要因となる路面起伏情報を除外することができる。よって、表示システムは、路面の起伏をより精度よく推定することができる。これは、表示システムがコンテンツを表示する際に、コンテンツの重畳位置がズレてしまい、情報が誤認識される、又は、ユーザが違和感を感じることを抑制することにつながる。
【0016】
また、例えば、本開示の第2態様に係る表示システムは、第1態様に係る表示システムであって、前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、前記所定の条件は、前記相対位置が所定の閾値範囲内であるという条件であってもよい。
【0017】
これにより、所定の閾値範囲外である相対位置を除外して路面の起伏を推定することができるので、路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0018】
また、例えば、本開示の第3態様に係る表示システムは、第1態様又は第2態様に係る表示システムであって、前記所定の条件は、複数の前記路面起伏情報の数が所定数以上あるという条件であってもよい。
【0019】
これにより、所定数以上の路面起伏情報を用いて路面の起伏を推定することができるので、路面起伏情報の数が少ない場合に比べて路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0020】
また、例えば、本開示の第4態様に係る表示システムは、第3態様に係る表示システムであって、前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、前記相対位置は、前記移動体の自車線の幅方向における現在位置を基準とした場合の前記幅方向の位置を含み、前記判定部は、複数の前記相対位置が所定数以上あるか否かを判定し、前記所定数以上ではないと判定した場合、さらに複数の前記相対位置のそれぞれに対して、所定の閾値範囲内であるか否かを判定し、前記推定部は、前記所定の閾値範囲内である1以上の第1相対位置と、前記所定の閾値範囲外である1以上の第2相対位置に対して所定の処理が施された1以上の処理後の第2相対位置とに基づいて、前記路面の起伏を推定してもよい。
【0021】
これにより、路面の起伏を推定するための相対位置のデータ数が少ない場合に、所定の閾値範囲外の相対位置のデータを用いて路面の起伏を推定するための相対位置のデータ数を増やすことができる。よって、路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0022】
また、例えば、本開示の第5態様に係る表示システムは、第4態様に係る表示システムであって、前記所定の処理は、前記1以上の第2相対位置に対して所定の減算量だけオフセットするという処理であってもよい。
【0023】
これにより、所定の閾値範囲外の相対位置がガードレールなどの道路より上方に位置し、路面と平行に設置される物体の対象位置を、路面の起伏を推定するための相対位置として用いることができる。
【0024】
また、例えば、本開示の第6態様に係る表示システムは、第1態様~第5態様のいずれかに係る表示システムであって、前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、前記所定の条件は、複数の前記相対位置の変化量が所定の閾値範囲内であるという条件であってもよい。
【0025】
これにより、変化量が所定の閾値範囲外である相対位置を除外して路面の起伏を推定することができるので、路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0026】
また、例えば、本開示の第7態様に係る表示システムは、第6態様に係る表示システムであって、前記判定部は、連続する3つ以上の前記相対位置における一の前記相対位置と他の2以上の前記相対位置それぞれとの変化量を、前記3つ以上の前記相対位置のそれぞれに対して算出し、前記所定の条件は、さらに前記所定の閾値範囲外となる回数が所定回数未満であるという条件を含んでもよい。また、例えば、本開示の第8態様に係る表示システムは、第6態様に係る表示システムであって、前記判定部は、複数の前記相対位置のそれぞれに基づいて1次近似曲線を算出し、前記所定の条件は、前記1次近似曲線からの変化量が前記所定の閾値範囲内であるという条件であってもよい。
【0027】
これにより、近い距離で相対位置が大きく異なるのは3次元復元処理の精度が低い可能性があるので、そのような相対位置を除外することで、路面の起伏の推定精度を向上させることができる。
【0028】
また、例えば、本開示の第9態様に係る表示システムは、第1態様~第8態様のいずれかに係る表示システムであって、前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、前記所定の条件は、前記路面の起伏の推定に用いられる前記相対位置が、現時点の複数の第1相対位置と、過去に推定された複数の第2相対位置とに基づいて平滑化された位置であるという条件であってもよい。
【0029】
これにより、現時点及び過去の同じ位置の相対位置を平滑化するので、どちらかが精度の低いデータであっても、その影響を抑制することができる。よって、路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0030】
また、例えば、本開示の第10態様に係る表示システムは、第9態様に係る表示システムであって、前記複数の第2相対位置は、過去の第1時点に推定された位置であり、前記所定の条件は、前記路面の起伏の推定に用いられる前記相対位置が、前記複数の第1相対位置と、前記複数の第2相対位置と、過去の第2時点に推定された複数の第3相対位置とに基づいて平滑化された位置であるという条件であってもよい。
【0031】
これにより、複数の過去の相対位置を用いるので、平滑化効果を向上させることができる。よって、路面の起伏をさらに精度よく推定することができる。
【0032】
また、例えば、本開示の第11態様に係る表示システムは、第1態様~第10態様のいずれかに係る表示システムであって、前記路面起伏情報は、前記移動体から見た、前記撮像部の撮像範囲に存在する物体の相対位置を含み、前記所定の条件は、現時点の複数の第1相対位置と、過去に推定された複数の第2相対位置との差分が所定の閾値範囲内であるという条件であってもよい。
【0033】
これにより、現時点及び過去の相対位置の差分が所定の閾値範囲外である相対位置を除外して路面の起伏を推定することができるので、路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0034】
また、例えば、本開示の第12態様に係る表示システムは、第2態様、第6態様~第8態様、第11態様のいずれかに係る表示システムであって、前記相対位置は、前記移動体の高さ方向における現在位置を基準とした場合の前記高さ方向の位置を含み、前記所定の閾値範囲は、許容される道路勾配に基づいて決定される範囲であってもよい。
【0035】
これにより、道路構造上あり得ない路面起伏情報を除外することができるので、路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0036】
また、例えば、本開示の第13態様に係る表示システムは、第2態様、第6態様~第8態様、第11態様のいずれかに係る表示システムであって、前記相対位置は、前記移動体の自車線の幅方向における現在位置を基準とした場合の前記幅方向の位置を含み、前記所定の閾値範囲は、前記自車線の道路幅に基づいて決定される範囲であってもよい。
【0037】
これにより、自車線の外部の対象物の起伏を示す情報を除外することができるので、幅方向の起伏をより精度よく推定することができる。
【0038】
また、例えば、本開示の第14態様に係る表示システムは、第2態様、第6態様~第8態様、第11態様のいずれかに係る表示システムであって、前記相対位置は、前記移動体の進行方向における現在位置を基準とした場合の前記進行方向の位置を含み、前記所定の閾値範囲は、前記撮像部の性能に基づいて決定される範囲であってもよい。
【0039】
これにより、撮像部の性能が低くなる範囲又は撮像可能範囲外の路面起伏情報を除外することができるので、路面の起伏をより精度よく推定することができる。
【0040】
また、本開示の第15態様に係る路面起伏推定装置は、移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を取得する路面起伏情報取得部と、前記路面起伏情報取得部によって取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、複数の前記路面起伏情報のうち前記判定部によって前記所定の条件を満たすと判定された1以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定する推定部と、を備える。また、本開示の第16態様に係る表示方法は、移動体に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部によって撮像された複数の画像に基づいて算出された、地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を取得し、取得された複数の前記路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定し、複数の前記路面起伏情報のうち前記所定の条件を満たすと判定された1つ以上の路面起伏情報に基づいて、前記路面の起伏を推定し、推定された前記路面の起伏に基づいて、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定し、決定された前記重畳位置に前記コンテンツを重畳させて表示する。
【0041】
これにより、上記の表示システムと同様の効果を奏する。
【0042】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0043】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0044】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0045】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0046】
また、本明細書において、同一、平行、垂直などの要素間の関係性を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0047】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0048】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る表示システムについて、図1図11を参照しながら説明する。
【0049】
[1.表示システムの構成]
まず、本実施の形態に係る表示システムの構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る表示システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0050】
図1に示すように、表示システム1は、移動体(例えば、図4A等に示す移動体100)に搭載されている撮像部(例えば、図4A等に示す撮像部110)によって撮像された画像に基づいて決定された移動体の前景の重畳位置にコンテンツ(例えば、図形等)を重畳させて表示させるシステムである。例えば、移動体100は、人を乗せて移動できる乗り物であり、移動体100に乗っている人に対してコンテンツを前方の対象物に重畳して表示させる。例えば、移動体100は、車両であり、対象物は、前方の車両、歩行者、路面、道路標示等である。表示システム1は、路面起伏推定装置10と、表示態様決定装置20と、表示装置30とを備える。
【0051】
路面起伏推定装置10は、移動体100の前方を撮像した画像に基づいて、移動体100の前方の路面の起伏を推定する。路面起伏推定装置10は、画像取得部11と、路面起伏算出部12と、路面起伏補正部13とを有する。路面起伏推定装置10は、路面起伏推定部の一例である。
【0052】
画像取得部11は、移動体100に搭載されて繰り返し撮像を行う撮像部110によって撮像された複数の画像を取得する。例えば、画像取得部11は、撮像部110が画像を撮像する度に当該画像を取得することによって、複数の画像を取得する。例えば、撮像部110は、移動体100の前方を撮像できるように移動体100に搭載されており、移動体100の前方を繰り返し撮像する。例えば、撮像部110は、所定の時間間隔で繰り返し撮像を行い、複数の画像は、所定の時間間隔で移動体100の前方の様子を示す。例えば、撮像部110は、移動体100が走行する自車線の道路幅以上の範囲を撮像可能である。また、例えば、撮像部110は、移動体100の前方の所定範囲(例えば、5m~50m等)を撮像可能である。例えば、撮像部110は、カメラ、LIDAR等である。
【0053】
路面起伏算出部12は、複数の画像に基づいて、前方の地点毎の路面の起伏を示す路面起伏情報を算出することで当該路面起伏情報を取得する。路面起伏算出部12は、複数の画像に基づいて路面起伏情報を推定するとも言える。路面起伏算出部12は、複数の画像に基づいて、現時点の移動体位置からみた路面の起伏の相対位置を含む路面起伏情報を算出する。相対位置は、移動体100から見た、撮像部110の撮像範囲に存在する物体(路面以外の物体)の相対位置も含む。なお、複数の画像に基づいて路面起伏情報を算出することを、3次元復元処理とも記載する。
【0054】
なお、路面起伏算出部12が実行する3次元復元処理の手法は特に限定されず、既知のいかなる手法が用いられてもよい。例えば、特許文献1に開示されている手法が用いられてもよい。路面起伏算出部12は、路面起伏情報取得部の一例である。
【0055】
ここで、路面起伏情報について、図2Aを参照しながら説明する。図2Aは、本実施の形態に係る第1条件を説明するための第1図である。
【0056】
図2Aの(a)は、路面起伏算出部12が推定した路面の起伏を示す図である。図2Aの(a)の横軸は、移動体100の現在位置を基準として、前方の位置(奥行)を示し、縦軸は、移動体100の現在位置を基準として、高さ方向の位置(垂直)を示す。図2Aの(a)は、路面起伏補正部13により所定の条件を満たさない路面起伏情報が除外される前の推定結果を示す。
【0057】
図2Aの(a)に示す塗り潰し無しの丸(○)は、路面起伏情報(具体的には、相対位置)の一例であり、路面起伏算出部12が算出した奥行地点毎の垂直方向の値(相対高さ)の全てを示しており、実線は、奥行地点毎の垂直方向の値の全てを用いた場合の路面起伏推定結果を示しており、一点鎖線は、路面起伏の真値(現実の路面起伏)を示しており、塗り潰し有りの丸(●)は、移動体100の現在位置(移動体位置)を示している。また、破線枠は、路面起伏補正部13によって所定の条件を満たさないと判定され、除外される路面起伏情報を示す図である。
【0058】
このように、路面起伏算出部12は、移動体100の前方の地点毎の路面の起伏を算出する。
【0059】
路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が算出した路面の起伏を補正する。路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が算出した路面起伏情報のそれぞれが所定の条件を満たすか否かを判定する。路面起伏補正部13は、判定部として機能する。また、路面起伏補正部13は、所定の条件を満たすと判定された1つ以上の路面起伏情報に基づいて、路面の起伏を推定する。路面起伏補正部13は、推定部としても機能する。
【0060】
このように、本実施の形態に係る路面起伏推定装置10は、複数の路面起伏情報の全てを用いて路面の起伏を推定するのではなく、所定の条件を満たすものを用いて路面の起伏を推定する。
【0061】
ここで所定の条件について、図2A図9を参照しながら説明する。まず、所定の条件が移動体位置からみた路面の起伏の相対位置が所定の閾値範囲内であるという条件である場合について、図2A及び図2Bを参照しながら説明する。図2Bは、本実施の形態に係る第1条件を説明するための第2図である。
【0062】
相対位置は、垂直方向、奥行方向及び水平方向の3つがある。図2Aを用いて垂直方向の閾値(垂直閾値)及び奥行方向の閾値(奥行閾値)について説明し、図2Bを用いて水平方向の閾値(水平閾値)について説明する。垂直閾値、奥行閾値及び水平閾値は、予め設定され、記憶部(図示しない)に記憶されている。なお、以下では、3つのそれぞれの閾値範囲を満たす路面起伏情報を用いる例を説明するが、少なくとも1つの閾値範囲を満たす路面起伏情報を用いて路面起伏が推定されてもよい。水平方向は、移動体100が走行する道路の幅方向であり、奥行方向は、例えば、移動体100の進行方向である。
【0063】
路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が算出した地点毎の路面起伏情報のうち所定の閾値範囲外の路面起伏情報を除外し、除外されなかった1以上の路面起伏情報に基づいて、路面の起伏を推定する。このように、所定の条件を満たす路面起伏情報に基づいて路面の起伏を推定し直すことを本明細書では補正とも記載する。
【0064】
垂直閾値は、道路構造上、許容される道路勾配に基づいて設定される値であり、図2Aの例では±1mである。奥行閾値は、撮像部110の性能に基づいて設定される値であり、図2Aの例では5m以上50m以下(5m~50m以内)である。路面起伏補正部13は、複数の路面起伏情報から、垂直方向が±1m外であり、かつ、奥行方向が5m未満又は50mより大きい路面起伏情報を除外する。なお、垂直閾値及び奥行閾値はこれに限定されない。
【0065】
図2Aの(b)は、図2Aの(a)から破線枠で囲まれた3つの路面起伏情報を除外して推定した路面の起伏を示す。図2Aの(a)に比べて、路面起伏の真値に近い路面の起伏が推定されていることがわかる。
【0066】
図2Bは、移動体100から前方を見た図である。水平閾値は、移動体100が走行する道路の道路幅に基づいて設定される値であり、図2Bの例では±2mである。水平閾値は、移動体100の現在位置と地図情報とに基づいて動的に設定されてもよいし、固定値であってもよい。なお、水平閾値はこれに限定されない。
【0067】
図2Bの(a)は、路面起伏補正部13により所定の条件を満たさない路面起伏情報の除外前の推定結果を示し、図2Bの(b)は、路面起伏補正部13により所定の条件を満たさない路面起伏情報の除外後の推定結果を示す。
【0068】
図2Bの(a)に示すように、路面起伏補正部13は、複数の路面起伏情報から、水平方向が±2m外(例えば、垂直方向が±1m外であり、かつ、水平方向が±2m外)の路面起伏情報を除外する。
【0069】
図2Bの(b)は、図2Bの(a)から破線枠で囲まれた3つの路面起伏情報を除外して推定した路面の起伏を示す。図2Bの(a)に比べて、真値に近い路面の起伏が推定されていることがわかる。
【0070】
このように、路面起伏推定装置10は、3次元復元処理に失敗した(例えば、ノイズを含む)路面起伏情報を除外するので、路面の起伏をより正確に推定することが可能となる。
【0071】
次に、所定の条件が路面起伏情報の数が所定数以上であるという条件である場合について、図3A及び図3Bを参照しながら説明する。図3Aは、本実施の形態に係る第2条件を説明するための第1図である。図3Bは、本実施の形態に係る第2条件を説明するための第2図である。図3Aでは、路面起伏算出部12により推定される路面起伏情報を示し、図3Bでは、路面起伏補正部13の処理を示す。
【0072】
なお、路面起伏情報の数が所定数以上とは、路面起伏算出部12により推定された路面起伏情報の数(除外前の路面起伏情報の数)が所定数以上であることであってもよいし、図2A及び図2Bにおいて除外された後の1以上の路面起伏情報の数(除外後の路面起伏情報の数)が所定数以上であることであってもよい。以下では、図2A及び図2Bにおいて除外された後の1以上の路面起伏情報の数(除外後の路面起伏情報の数)が所定数以上である場合について説明する。
【0073】
図3Aの(a)は、路面起伏算出部12により推定された路面起伏情報を、水平閾値内外を識別して示す図であり、図3Aの(b)は、移動体100から前方を見た図である。
【0074】
図3Aの(a)及び(b)に示すように、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12により推定された路面起伏情報が水平閾値を満たすか否かを判定する。図3Aの(a)の例では、水平閾値内の路面起伏情報を塗り潰し無し丸(○)で示しており、水平閾値外の路面起伏情報を塗り潰し無し四角(□)で示している。なお、水平閾値外の路面起伏情報は、水平位置が所定範囲内(例えば、2~2.5mの範囲等)の水平方向の位置が近い路面起伏情報であってもよい。水平閾値は、所定の閾値範囲の一例である。
【0075】
路面起伏補正部13は、水平閾値を満たす路面起伏情報の数が所定数以上であるか否かを判定し、所定数以上ではない場合に以下に示す処理を実行する。
【0076】
図3Bの(a)は、水平閾値外の路面起伏情報を所定の値オフセットすることを説明するための図であり、図3Bの(b)は、オフセット後の路面起伏情報と水平閾値内の路面起伏情報とから路面の起伏を推定した結果を示す。
【0077】
水平閾値外の路面起伏情報は、路面ではなく、ガードレール、防音壁など、道路の外側に配置され、道路と平行して設けられる(路面の起伏に沿って設けられる)構造物である可能性がある。例えば、水平閾値外の路面起伏情報が示す起伏は、路面と同様の起伏を有するものと考えられる。そこで、路面起伏補正部13は、水平閾値を満たす路面起伏情報の数が所定数未満であると判定した場合、水平閾値外の路面起伏情報も用いて路面の起伏を推定する。一旦除去された水平閾値外の路面起伏情報を復活させるとも言える。
【0078】
図3Bの(a)に示すように、路面起伏補正部13は、水平閾値外の路面起伏情報に対して、所定の値をオフセットする(図3Bの(a)に示す下向きの矢印を参照)。ここでのオフセットは、1以上の路面起伏情報(例えば、相対位置)に対して所定の値(所定の減算量)だけオフセットするという処理である。つまり、オフセットは、垂直方向の値を、例えば一律減算するという処理である。
【0079】
所定の値は、例えば、水平閾値外の路面起伏情報のうち最も移動体100に近い位置の路面起伏情報と、路面の起伏の推定結果(実線)との垂直方向の差分であってもよい。また、所定の値は、構造物の種類毎に予め設定されており、記憶部に記憶されていてもよいし、固定値が設定されていてもよい。構造物の種類は、撮像部110が撮像した画像の画像解析により取得可能である。図3Bの(a)の例では、オフセット値が1mである例について示している。オフセットすることは、所定の処理の一例である。
【0080】
図3Bの(b)に示すように、路面起伏補正部13は、水平閾値内の路面起伏情報と、オフセットされた水平閾値外の路面起伏情報とから路面の起伏を推定する。路面起伏補正部13は、所定の閾値範囲内である1以上の第1相対位置と、所定の閾値範囲外である1以上の第2相対位置に対してオフセットされた1以上の処理後の第2相対位置とに基づいて、路面の起伏を推定するとも言える。
【0081】
なお、路面起伏補正部13は、水平閾値外の路面起伏情報から推定された路面の起伏と、水平閾値内の路面起伏情報から推定された路面の起伏とが類似(例えば、所定範囲内)の形状を有するか否かを判定し、類似の形状を有する場合に、水平閾値内の路面起伏情報と、オフセットされた水平閾値外の路面起伏情報とから路面の起伏を推定すると判定してもよい。
【0082】
次に、所定の条件が、移動体位置からみた各地点の路面の起伏の相対位置の変化量が所定の閾値範囲内であるという条件である場合について、図4A及び図4Bを参照しながら説明する。図4Aは、本実施の形態に係る第3条件を説明するための第1図である。図4Bは、本実施の形態に係る第3条件を説明するための第2図である。図4Aでは、除外前後における路面の起伏の推定結果を示しており、図4Bは、除外される地点の判定結果の一例を示す図である。なお、相対位置は、垂直方向、奥行方向及び水平方向の3つの位置があるが、以下では、垂直方向の相対位置について説明する。
【0083】
図4Aの(a)は、路面起伏算出部12により地点a~hの8地点の垂直値(相対高さ)が推定された例を示している。この場合、路面起伏補正部13は、隣接3地点の垂直差(路面高さの差)が閾値外となるか否かを判定し、判定結果に基づいて除外する地点を決定する。
【0084】
図4Bに示すように、路面起伏補正部13は、連続する3つの相対位置における一の相対位置(例えば、地点aの相対位置)と他の2以上の相対位置(例えば、地点b及びcの相対位置)それぞれとの変化量を、3つ以上の相対位置(例えば、地点a、b、cの相対位置)のそれぞれに対して算出する。路面起伏補正部13は、例えば、隣接3点の垂直差のうち閾値外と判定される回数が相対的に多い地点を除外する地点として決定してもよい。図4Bでは、閾値を0.5mとしている。地点aを基準とした場合、地点bが閾値外となり、地点bを基準とした場合、地点a及びcが閾値外となり、地点cを基準とした場合、地点bが閾値外となる。この場合、路面起伏補正部13は、閾値外となる回数が2回と他より多い地点bを除外する地点であると判定する。なお、地点の数などにより閾値外と判定される回数の閾値が設定されていてもよい。つまり、所定の条件は、さらに所定の閾値範囲外となる回数が所定回数未満であるという条件を含んでいてもよい。
【0085】
図4Aの(b)に示すように、路面起伏補正部13は、地点b及びfの2点が除外された路面起伏情報を用いて路面の起伏を推定する。
【0086】
次に、所定の条件が、移動体位置からみた各地点の路面起伏の相対位置の変化量が所定の閾値範囲内である場合の他の例について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る第4条件を説明するための図である。図5では、所定の条件が、路面起伏情報に基づいて算出した1次近似曲線からの変化量が所定の閾値範囲内であるという条件である場合について説明する。ここでの路面起伏情報は、路面起伏算出部12が算出した路面起伏情報(除外又は平滑化されていない路面起伏情報)である。
【0087】
図5の(a)は、路面起伏算出部12により地点a~hの8地点の垂直値が推定され、当該8地点の垂直値から1次近似曲線(実線の直線)が算出された例を示している。路面起伏補正部13は、1次近似曲線を算出し、算出した1次近似曲線との差が所定の閾値範囲内であるか否かにより、除外するか否かを判定する。路面起伏補正部13は、1次近似曲線との差が所定の閾値範囲内であると判定した場合、当該地点の垂直値を残し、1次近似曲線との差が所定の閾値範囲外であると判定した場合、当該地点の垂直値を除外すると判定する。なお、1次近似曲線は、路面起伏補正部13により算出される。
【0088】
路面起伏補正部13は、1次近似曲線との差が閾値外と判定された地点を除外する地点であると判定する。
【0089】
図5の(b)に示すように、路面起伏補正部13は、1次近似曲線を基準とした閾値判定により、地点b及びfを閾値外と判定し、地点b及びfの2点が除外された路面起伏情報を用いて路面の起伏を推定する。図5の(b)では、閾値を0.5mとしている。
【0090】
次に、所定の条件が、路面の起伏の推定に用いられる相対位置が、現時点及び1以上の過去に算出された同一位置における相対位置を用いて平滑化された位置であるという条件である場合について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態に係る第5条件を説明するための図である。図7は、本実施の形態に係る第6条件を説明するための図である。図6は、過去の1時点の移動体位置を用いる例を示しており、図7は、過去の複数時点(2時点)の移動体位置を用いる例を示している。図6及び図7では、垂直方向の路面の起伏の推定について説明するが、水平方向の路面の起伏の推定についても同様のことが言える。
【0091】
図6の(a)は、現在及び過去の路面起伏情報を示す図であり、図6の(b)は、現在及び過去の同一地点における路面起伏情報が平滑化された後の路面起伏情報を示す図である。図6の(a)では、過去の移動体100の位置を塗り潰し有り四角(■)で示し、過去の路面起伏情報を潰し無し四角(□)で示している。
【0092】
図6の(a)及び(b)に示すように、路面起伏補正部13は、過去の移動体100の位置から推定した路面起伏情報と現在の移動体100の位置から推定した路面起伏情報とを平滑化する。本実施の形態では、路面起伏補正部13は、現在と過去との同一地点における相対位置の平均値を算出する。平均値は、重み付け平均により算出されてもよい。なお、同一地点とは、奥行方向及び水平方向の位置が全く同じ地点に加えて、最も近い地点又は所定の範囲内の地点も含まれる。
【0093】
路面起伏補正部13は、複数の路面起伏情報のうち、平滑化されている1以上の路面起伏情報を、所定の条件を満たす路面起伏情報であると判定する。
【0094】
図7の(a)は、現在及び過去2時点の路面起伏情報を示す図であり、図7の(b)は、現在及び過去2時点の同一地点における路面起伏情報が平滑化された後の路面起伏情報を示す図である。図7の(a)では、過去の第1時点(過去1)の移動体100の位置を塗り潰し有り四角(■)で示し、過去の第1時点の路面起伏情報を潰し無し四角(□)で示している。また、図7の(a)では、過去の第2時点(過去2)の移動体100の位置を塗り潰し有り三角(▲)で示し、過去の第2時点の路面起伏情報を潰し無し三角(△)で示している。過去の第1時点及び第2時点は、互いに異なる時点であり、時間的に連続する時点であってもよい。
【0095】
図7の(a)及び(b)に示すように、路面起伏補正部13は、過去2時点のそれぞれでの移動体100の位置から推定した過去2時点それぞれの路面起伏情報と現在の移動体100の位置から推定した路面起伏情報とを平滑化する。本実施の形態では、路面起伏補正部13は、現在と過去2時点のそれぞれとの同一地点における相対位置の平均値を算出する。平均値は、重み付け平均により算出されてもよい。
【0096】
なお、過去の時点の数は、3以上であってもよい。また、現在の路面起伏情報に用いる過去の路面起伏情報は、最も過去の路面起伏情報であっても現在の移動体100の位置に対して後方10m以下の位置で取得された路面起伏情報である。
【0097】
次に、所定の条件が、過去の移動体位置から推定した路面起伏と、現在の移動体100の位置から推定した路面起伏との差分が所定の閾値範囲内であることである場合について、図8を参照しながら説明する。図8は、本実施の形態に係る第7条件を説明するための図である。
【0098】
図8の(a)は、現在及び過去において推定された路面起伏情報を示す図である。
【0099】
図8の(b)は、現在及び過去において推定された路面起伏情報の同一地点の差分を示す図である。図8の(b)では、現在の路面起伏情報から過去の路面起伏情報を引いた結果を示している。路面起伏補正部13は、起伏の差が所定の閾値範囲内であるか否かを複数の地点のそれぞれで判定し、起伏の差が所定の閾値範囲内である路面起伏情報を抽出する。図8の(b)の例では、4箇所が除外された結果である。
【0100】
図8の(c)は、抽出する路面起伏情報に基づいて、路面の起伏が推定された結果を示す。
【0101】
上記のように、路面起伏補正部13は、上記の複数の条件のうち少なくとも1つを用いて路面の起伏を推定する。路面起伏補正部13は、例えば、複数の条件のうち2以上の条件の組み合わせを用いて路面の起伏を推定してもよい。
【0102】
図1を再び参照して、表示態様決定装置20は、路面起伏推定装置10によって推定された移動体100の路面の起伏に基づいて、表示態様の一例として、前景に重畳して表示させるコンテンツの重畳位置を決定する。例えば、表示態様決定装置20は、コンテンツに関するデータ(HUD(Head-Up Display)表示用データ)を表示システム1の外部から取得し、コンテンツの重畳位置を決定する。表示態様決定装置20は、移動体100の前方が上り坂である場合にはコンテンツを表示装置30における平坦時と比べて上方に表示させ、移動体100の前方が下り坂である場合にはコンテンツを表示装置30における平坦時と比べて下方に表示させる。表示態様決定装置20は、重畳位置決定部の一例である。
【0103】
なお、表示態様決定装置20は、コンテンツの重畳位置に加えて、コンテンツの形状などを決定してもよい。
【0104】
表示装置30は、表示態様決定装置20によって決定された重畳位置にコンテンツを重畳させて表示する。表示装置30は、例えば、移動体100に搭載されるヘッドアップディスプレイ等であり、画像(例えば、数字、文字及び矢印などの図形を含む視覚情報)として当該車両を操作する運転者等のユーザに対して視認させる装置である。特に、ヘッドアップディスプレイは、例えば、車両のコックピットの前方に設置されるウインドシールド(フロントガラス)やコンバイナを表示媒体として、当該ウインドシールド等に画像を投影して反射させることによって、画像を虚像としてユーザに視認させる。この際、ウインドシールドやコンバイナが透光性を有することにより、車両の外側から入射する光は、ウインドシールド越しに見える景色として虚像とともにユーザに視認される。このように、表示装置30は、前景にコンテンツを重畳して表示させる。
【0105】
なお、表示装置30は、ヘッドアップディスプレイに限定されず、例えば、ユーザが装着するAR(Augmented Reality)グラス等であってもよい。
【0106】
[2.表示システムの動作]
続いて、上記のように構成される表示システム1における動作について、図9図11を参照しながら説明する。図9は、本実施の形態に係る表示システム1の動作(表示方法)を示すフローチャートである。
【0107】
図9に示すように、移動体100が移動を開始する(S10)と、画像取得部11は、撮像部110が撮像した移動体100の前方の画像を取得する(S20)。
【0108】
次に、路面起伏算出部12は、画像に基づいて、移動体100の前方の路面の3次元復元処理を実行する(S30)。路面起伏算出部12は、画像に基づいて、図2A等に示す地点毎の相対位置を含む路面起伏情報を算出し、算出した路面起伏情報(データ)を蓄積する(S40)。路面起伏算出部12は、算出した路面起伏情報を記憶部(図示しない)に記憶する。
【0109】
次に、路面起伏算出部12は、路面起伏の条件判定を実行する(S50)。路面起伏算出部12は、路面の起伏を推定するために用いる所定の条件又は所定の条件の組み合わせを決定する。
【0110】
図10は、図9に示すステップS50の詳細を示すフローチャートである。
【0111】
図10に示すように、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数に基づいて、第1条件の処理を実行するか否かを判定する(S51a)。路面起伏補正部13は、例えば、路面起伏情報の数が第1所定数以上ある場合、第1条件の処理を実行すると判定し(S51aでYes)、路面起伏情報の数が第1所定数以上ない場合、第1条件の処理を実行しないと判定する(S51aでNo)。ステップS51aでYesの場合、ステップS51bに進み、ステップS51aでNoの場合、ステップS52aに進む。ここでの路面起伏情報の数は、路面起伏算出部12が算出した路面起伏情報の数、つまり所定の範囲内外の両方を含む路面起伏情報の数である。
【0112】
ステップS51bにおいて、路面起伏補正部13は、図2A及び図2Bに示すように、水平方向、垂直方向及び奥行方向それぞれに対して、閾値範囲内であるか否かを判定し、閾値範囲外の路面起伏情報を除外する。
【0113】
次に、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数に基づいて、第2条件の処理を実行するか否かを判定する(S52a)。路面起伏補正部13は、例えば、路面起伏情報の数が第2所定数以上ある場合、第2条件の処理を実行すると判定し(S52aでYes)、路面起伏情報の数が第2所定数以上ない場合、第2条件の処理を実行しないと判定する(S52aでNo)。ステップS52aでYesの場合、ステップS52bに進み、ステップS52aでNoの場合、ステップS53aに進む。ここでの路面起伏情報の数は、所定の範囲内と判定された路面起伏情報の数である。なお、第2所定数は、第1所定数と同数であってもよいし、第1所定数より多くてもよいし、第1所定数より少なくてもよい。
【0114】
ステップS52bにおいて、路面起伏補正部13は、図3A及び図3Bに示すように、水平方向の位置が所定の閾値範囲外である路面起伏情報の高さ方向(垂直方向)の位置に対して所定の値をオフセットして、路面の起伏の推定に用いる路面起伏情報の数を増やす処理を実行する。路面起伏補正部13は、例えば、路面起伏情報の数が第2所定数以上となるように、路面起伏情報の数を増やす処理を実行する。
【0115】
次に、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数に基づいて、第3条件の処理を実行するか否かを判定する(S53a)。路面起伏補正部13は、例えば、移動体100に対して近距離の路面起伏情報の数が第3所定数以上ある場合、第3条件の処理を実行すると判定し(S53aでYes)、移動体100に対して近距離の路面起伏情報の数が第3所定数以上ない場合、第3条件の処理を実行しないと判定する(S53aでNo)。ステップS53aでYesの場合、ステップS53bに進み、ステップS53aでNoの場合、ステップS54に進む。
【0116】
ステップS53bにおいて、路面起伏補正部13は、図4A及び図4Bに示すように、隣接する3点の路面起伏情報の差が所定の閾値範囲内であるか否かを判定し、所定の閾値範囲外となる回数が所定回数以上である路面起伏情報を除外する。
【0117】
次に、路面起伏補正部13は、路面の3次元情報を蓄積する(S54)。路面起伏補正部13は、路面の3次元情報として、図2A等に示す除外前の路面起伏情報を記憶部に記憶してもよいし、図2B等に示す除外後の路面起伏情報を記憶部に記憶してもよい。
【0118】
次に、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数に基づいて、第4条件の処理を実行するか否かを判定する(S55a)。路面起伏補正部13は、例えば、路面起伏情報の数が第4所定数以上ある場合、第4条件の処理を実行すると判定し(S55aでYes)、路面起伏情報の数が第4所定数以上ない場合、第4条件の処理を実行しないと判定する(S55aでNo)。ステップS55aでYesの場合、ステップS55bに進み、ステップS55aでNoの場合、ステップS56aに進む。ここでの路面起伏情報の数は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数である。なお、第4所定数は、第1所定数~第3所定数のいずれかと同数であってもよいし、異なる数であってもよい。
【0119】
ステップS55bにおいて、路面起伏補正部13は、図5に示すように、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報に基づいて1次近似曲線を算出し、1次近似曲線を基準とした場合に複数の路面起伏情報のそれぞれが所定の閾値範囲内であるか否かを判定し、所定の閾値範囲外の路面起伏情報を除外する。
【0120】
次に、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数に基づいて、第5条件の処理を実行するか否かを判定する(S56a)。路面起伏補正部13は、例えば、路面起伏情報の数が第5所定数以上ある場合、第5条件の処理を実行すると判定し(S56aでYes)、路面起伏情報の数が第5所定数以上ない場合、第5条件の処理を実行しないと判定する(S56aでNo)。ステップS56aでYesの場合、ステップS56bに進み、ステップS56aでNoの場合、ステップS57aに進む。ここでの路面起伏情報の数は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数である。なお、第5所定数は、第1所定数~第4所定数のいずれかと同数であってもよいし、異なる数であってもよい。
【0121】
ステップS56bにおいて、路面起伏補正部13は、図6に示すように、路面起伏算出部12が現在推定した路面起伏情報(図6の(a)に示す現在の移動体位置から推定した結果)と、路面起伏算出部12が過去に推定した路面起伏情報(図6の(a)に示す過去の移動体位置から推定した結果)とを平滑した値(図6の(b)を参照)を算出する。ここで用いられる2つの路面起伏情報は、除外、平滑化などの処理が実行される前の路面起伏情報(例えば、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報)である。
【0122】
次に、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数に基づいて、第6条件の処理を実行するか否かを判定する(S57a)。路面起伏補正部13は、例えば、路面起伏情報の数が第6所定数以上ある場合、第6条件の処理を実行すると判定し(S57aでYes)、路面起伏情報の数が第6所定数以上ない場合、第6条件の処理を実行しないと判定する(S57aでNo)。ステップS57aでYesの場合、ステップS57bに進み、ステップS57aでNoの場合、ステップS58aに進む。ここでの路面起伏情報の数は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数である。なお、第6所定数は、第1所定数~第5所定数のいずれか(例えば、第5所定数)と同数であってもよいし、異なる数であってもよい。
【0123】
ステップS57bにおいて、路面起伏補正部13は、図7に示すように、路面起伏算出部12が現在推定した路面起伏情報(図7の(a)に示す「現在の移動体位置から推定した結果」)と、路面起伏算出部12が過去の第1時点に推定した路面起伏情報(図7の(a)に示す「過去1の移動体位置から推定した結果」)と、路面起伏算出部12が過去の第2時点に推定した路面起伏情報(図7の(a)に示す「過去2の移動体位置から推定した結果」)とを平滑した値(図7の(b)参照)を算出する。ここで用いられる3つの路面起伏情報は、除外、平滑化などの処理が実行される前の路面起伏情報(例えば、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報)である。
【0124】
次に、路面起伏補正部13は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数に基づいて、第7条件の処理を実行するか否かを判定する(S58a)。路面起伏補正部13は、例えば、路面起伏情報の数が第7所定数以上ある場合、第7条件の処理を実行すると判定し(S58aでYes)、路面起伏情報の数が第7所定数以上ない場合、第7条件の処理を実行しないと判定する(S58aでNo)。ステップS58aでYesの場合、ステップS58bに進み、ステップS58aでNoの場合、ステップS50の処理を終了する。ここでの路面起伏情報の数は、路面起伏算出部12が推定した路面起伏情報の数である。なお、第7所定数は、第1所定数~第6所定数のいずれかと同数であってもよいし、異なる数であってもよい。
【0125】
ステップS58bにおいて、路面起伏補正部13は、図8に示すように、路面起伏算出部12が現在推定した路面起伏情報(図8の(a)に示す「現在の移動体位置から推定した結果」)と、路面起伏算出部12が過去に推定した路面起伏情報(図8の(a)に示す「過去の移動体位置から推定した結果」)との差を対応する地点毎に算出し、算出した差が所定の閾値範囲内であるか否かを判定し、所定の閾値範囲外の路面起伏情報を除外する。
【0126】
図9を再び参照して、路面起伏補正部13は、ステップS50の処理により推定された路面起伏情報に基づいて、路面起伏を推定するか否かを判定する(S60)。路面起伏補正部13は、例えば、第5条件~第7条件のいずれかを実行する場合、必要数の過去の路面起伏情報が記憶されているか否かに基づいて、ステップS60の判定を実行する。路面起伏補正部13は、必要数の過去の路面起伏情報が記憶されている場合に路面起伏を推定すると判定し(S60でYes)、ステップS70に進み、必要数の過去の路面起伏情報が記憶されていない場合に路面起伏を推定しないと判定し(S60でNo)、ステップS20に戻りステップS20以降の処理を継続する。
【0127】
なお、第5条件~第7条件のいずれかを実行されない場合、ステップS60の判定処理は省略されてもよい。
【0128】
次に、路面起伏補正部13は、ステップS50の処理により推定された路面起伏情報に基づいて、路面起伏を推定する(S70)。例えば、ステップS50において、ステップS51a~S53a及びステップS55a~S56aがNoと判定され、かつ、ステップS57a及びS58aがYesと判定された場合の路面起伏の推定について、図11を参照しながら説明する。図11は、本実施の形態に係る条件を組み合わせて路面起伏情報を除外する例を説明するための図である。
【0129】
図11の(a)は、路面起伏算出部12が現在推定した路面起伏情報(図11の(a)に示す「現在の移動体位置から推定した結果」:実線)と、路面起伏算出部12が過去の第1時点及び第2時点に推定した路面起伏情報を平滑化(例えば、平均化)した路面起伏情報(図11の(a)に示す「過去1及び2を平滑した結果」:破線)とを示す。路面起伏補正部13は、過去の第1時点及び第2時点に推定した路面起伏情報を平滑化する。
【0130】
図11の(b)は、現在推定した路面起伏情報と平滑化された過去の路面起伏情報との差の計算結果を示す。同一位置(例えば、奥行方向の同一位置)における2つの路面起伏情報の差を取ることで、図11の(b)に示す差が取得される。
【0131】
図11の(c)は、路面起伏補正部13による路面の起伏の推定結果を示す。路面起伏補正部13は、図11の(b)に示す差のうち所定の閾値範囲内の差(破線枠がない差)のみを用いて、路面の起伏を推定する。例えば、路面起伏補正部13は、図11に示すように、閾値(凸側)より差が大きい及び閾値(凹側)より差が小さい路面起伏情報の差を除外し、除外されなかった路面起伏情報を用いて路面の起伏を推定する。路面起伏補正部13は、推定した路面の起伏を表示態様決定装置20に出力する。
【0132】
図9を再び参照して、次に、表示態様決定装置20は、外部から取得したコンテンツ(表示用データ)の表示態様を決定する(S80)。表示態様決定装置20は、少なくとも推定した路面の起伏に基づいて、コンテンツの重畳位置(表示装置30における表示位置)を決定する。表示態様決定装置20は、決定したコンテンツの表示態様を表示装置30に出力する。
【0133】
次に、表示装置30は、表示態様決定装置20が決定した表示態様でコンテンツを表示する(S90)。本実施の形態では、表示装置30は、表示態様決定装置20が決定した重畳位置にコンテンツを表示する。路面起伏推定装置10は、上記の通り所定の条件を満たす路面起伏情報を用いて路面の起伏を推定するので、路面の起伏を正確に推定可能である。これにより、コンテンツの重畳位置も正確に決定することができるので、路面の起伏の推定精度が低い等によりコンテンツの重畳位置がずれてしまい、情報を誤認識させる、又は、ユーザが違和感を感じることなどを抑制することができる。
【0134】
(実施の形態の変形例)
以下では、実施の形態の変形例として、各種閾値の他の例について図12図15を参照しながら説明する。図12図15は、実施の形態の変形例に係る閾値の各例を示す図である。
【0135】
図12及び図13に示すように、垂直方向の閾値は、奥行方向に進むほど大きな値(つまり、広範囲)になってもよい。垂直方向の閾値は、図12に示すように階段状であってもよいし、図13に示すように放射状であってもよい。なお、水平方向の閾値も同様に奥行方向に進むほど大きな値となってもよい。
【0136】
図14に示すように、垂直方向の閾値は、閾値(凸側)と閾値(凹側)とで異なる値であってもよい。例えば、高さがより高い閾値(凸側)は、高さがより低い閾値(凹側)より大きな値となる。ユーザは、下方(凹側)の起伏の推定が正確にできていない場合、上方(凸側)の起伏の推定が正確にできていない場合に比べて、表示装置30で重畳された表示に違和感を感じやすい。図14のように、閾値(凹側)を閾値(凸側)より小さくすることで、ユーザが違和感を感じることを効果的に抑制することができる。
【0137】
図15に示すように、図12と同様、起伏の差(例えば、垂直値の差)に対する閾値も奥行方向に進むほど大きくなってもよい。図15では、奥行方向に進むにつれ階段状に閾値が大きくなる例を示しているが、奥行方向に進むにつれ放射状(例えば、図13を参照)に閾値が大きくなってもよい。
【0138】
(その他の実施の形態)
以上、一つまたは複数の態様に係る表示システム等について、実施の形態等に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態等に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
【0139】
例えば、上記実施の形態等では、図10に示す判定ステップが実行される例について説明したが、これに限定されない。道路シーン(例えば、車速など)と、第1条件から第7条件のどの条件を用いるかとが対応付けられたテーブルを記憶部が予め記憶しており、路面起伏補正部は、現時点の道路シーンと、テーブルとから処理を実行する条件を決定してもよい。
【0140】
また、上記実施の形態等における路面起伏推定装置は、単独の装置として実現されてもよい。また、路面起伏推定装置は、移動体に搭載されていることに限定されず、移動体から遠隔に配置されてもよい。
【0141】
また、上記実施の形態等において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0142】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が他のステップと同時(並列)に実行されてもよいし、上記ステップの一部は実行されなくてもよい。
【0143】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0144】
また、上記実施の形態等に係る表示システムは、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。表示システムが複数の装置によって実現される場合、当該表示システムが有する各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。表示システムが複数の装置で実現される場合、当該複数の装置間の通信方法は、特に限定されず、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。また、装置間では、無線通信および有線通信が組み合わされてもよい。
【0145】
また、上記実施の形態等で説明した各構成要素は、ソフトウェアとして実現されても良いし、典型的には、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路(専用のプログラムを実行する汎用回路)または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)又は、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0146】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0147】
また、本開示の一態様は、図9及び図10のいずれかに示される表示方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0148】
また、例えば、プログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布又は流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本開示は、コンテンツを前景に重畳して表示する表示システム等に有用である。
【符号の説明】
【0150】
1 表示システム
10 路面起伏推定装置(路面起伏推定部)
11 画像取得部
12 路面起伏算出部(路面起伏情報取得部)
13 路面起伏補正部(判定部、推定部)
20 表示態様決定装置(重畳位置決定部)
30 表示装置(表示部)
100 移動体
110 撮像部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15