(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132481
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/02 20060101AFI20240920BHJP
F25D 23/12 20060101ALI20240920BHJP
F25D 17/02 20060101ALI20240920BHJP
A23L 3/365 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F25D11/02 L
F25D23/12 U
F25D17/02 302
A23L3/365
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043256
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】倉谷 利治
【テーマコード(参考)】
3L045
4B022
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA05
3L045CA06
3L045FA02
3L045NA21
3L045PA04
4B022LB04
4B022LQ04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有効収納スペースの減少を抑制しながら食品の解凍が可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】駆動筐体6と、駆動筐体6と着脱可能であり製氷皿へ供給する液体を蓄える給液用筐体と、解凍すべき食品Gを収容するとともに液体を蓄える解凍用筐体4と、駆動筐体6、給液用筐体または解凍用筐体4内に配置され、給液用筐体内の液体を製氷皿へ供給する給液ポンプ60及び解凍用筐体4内の液体を循環させる循環ポンプ30と、少なくとも解凍用筐体4内の液体を加熱する加熱部材20と、を備え、駆動筐体6に給液用筐体が取り付けられているとき、給液ポンプとして機能するポンプにより給液用筐体内の液体が製氷皿に供給され、駆動筐体6に解凍用筐体4が取り付けられているとき、加熱部材20により所定の温度となり循環ポンプとして機能するポンプにより流動した液体によって食品Gが解凍される冷蔵庫を提供する。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内に固定された駆動筐体と、
前記駆動筐体と着脱可能であり、製氷皿へ供給する液体を蓄える給液用筐体と、
前記給液用筐体の代わりに前記駆動筐体と着脱可能であり、解凍すべき食品を収容するとともに液体を蓄える解凍用筐体と、
前記駆動筐体、前記給液用筐体または前記解凍用筐体内に配置され、前記給液用筐体内の液体を前記製氷皿へ供給する給液ポンプ及び前記解凍用筐体内の液体を循環させる循環ポンプとして機能する少なくとも1つのポンプと、
少なくとも前記解凍用筐体内の液体を加熱する加熱部材と、
を備え、
前記駆動筐体に前記給液用筐体が取り付けられているとき、前記給液ポンプとして機能する前記ポンプにより前記給液用筐体内の液体が前記製氷皿に供給され、
前記駆動筐体に前記解凍用筐体が取り付けられているとき、前記加熱部材により所定の温度となり前記循環ポンプとして機能する前記ポンプにより流動した液体によって前記食品が解凍されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記ポンプが、前記給液ポンプとして機能する給液専用ポンプと、前記循環ポンプとして機能する循環専用ポンプとで構成され、
ポンプ本体及び駆動部を含む前記給液専用ポンプが前記駆動筐体内に配置され、前記給液専用ポンプと接続する吸込配管が前記給液用筐体内に配置され、
前記循環専用ポンプの駆動部が前記駆動筐体内に配置され、前記循環専用ポンプのポンプ本体が前記解凍用筐体内に配置され、前記循環専用ポンプの前記駆動部及び前記ポンプ本体がマグネットカップリングで接続されて前記ポンプ本体が駆動されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記ポンプが、前記給液ポンプとして機能するとともに、前記循環ポンプとしても機能する給液循環兼用ポンプで構成され、
前記給液循環兼用ポンプの駆動部が前記駆動筐体内に配置され、前記給液循環兼用ポンプのポンプ本体が前記解凍用筐体内に配置され、前記給液循環兼用ポンプの前記駆動部及び前記ポンプ本体がマグネットカップリングで接続されて前記ポンプ本体が駆動され、
前記駆動筐体に前記給液用筐体が取り付けられているとき、前記給液循環兼用ポンプの前記ポンプ本体の吸込口から吸い込まれた前記給液用筐体内の液体が、前記ポンプ本体の吐出側から前記駆動筐体に配置された配管を介して前記製氷皿へ供給され、
前記駆動筐体に前記解凍用筐体が取り付けられているとき、前記給液循環兼用ポンプの前記ポンプ本体の吸込口から吸い込まれた前記解凍用筐体内の液体が、前記ポンプ本体の吐出側から前記解凍用筐体内に配置された配管を介して再び前記解凍用筐体内に戻されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記循環ポンプとして機能するポンプの吐出口に接続されたポンプ出側配管の出側端部の給液口は、平面視で前記循環ポンプの吸込口から離間した位置に配置され、
前記給液口から前記吸込口へ流れる液体の流路に前記食品が配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記解凍用筐体の外面に金属製のシート状の伝熱促進部材が貼り付けられ、前記伝熱促進部材の外面にシート状の前記加熱部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記解凍用筐体の底面に、平面視で所定の間隔をあけて一定の方向に延びる複数の凸部材が形成され、前前記底面より高い前記凸部材の上面で前記食品を支持し、隣接する前記凸部材の間の前記食品の下面と前記底面との間の領域に液体が流れることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記給液用筐体及び前記解凍用筐体が冷蔵室内に配置されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍した食品を解凍する機能を有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品等を冷凍保存することにより、長期間保存することができる。しかし、冷凍状態の食品を解凍するのには、多くの手間や時間がかかる。これに対処するため、ヒータを用いて冷凍状態の食品を解凍する解凍室を備えた冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冷凍状態の食品を解凍するのは、ごく限られたタイミングのみである。特許文献1に記載の冷蔵庫のように、大きなスペースを常設の解凍室として用いる場合には、冷蔵庫として用いる有効収納スペースが減少する問題が生じる。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、有効収納スペースの減少を抑制しながら食品の解凍が可能な冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、
庫内に固定された駆動筐体と、
前記駆動筐体と着脱可能であり、製氷皿へ供給する液体を蓄える給液用筐体と、
前記給液用筐体の代わりに前記駆動筐体と着脱可能であり、解凍すべき食品を収容するとともに液体を蓄える解凍用筐体と、
前記駆動筐体、前記給液用筐体または前記解凍用筐体内に配置され、前記給液用筐体内の液体を前記製氷皿へ供給する給液ポンプ及び前記解凍用筐体内の液体を循環させる循環ポンプとして機能する少なくとも1つのポンプと、
少なくとも前記解凍用筐体内の液体を加熱する加熱部材と、
を備え、
前記駆動筐体に前記給液用筐体が取り付けられているとき、前記給液ポンプとして機能する前記ポンプにより前記給液用筐体内の液体が前記製氷皿に供給され、
前記駆動筐体に前記解凍用筐体が取り付けられているとき、前記加熱部材により所定の温度となり前記循環ポンプとして機能する前記ポンプにより流動した液体によって前記食品が解凍される冷蔵庫である。
【0007】
本態様によれば、例えば、通常、給液用筐体を駆動筐体に取り付けて製氷皿への給液を行い、食品の解凍を行うときにのみ、給液用筐体を取り外して、代わりに解凍用筐体を駆動筐体に取り付けて解凍を行うことができる。また、冬季において製氷を行う必要がない場合には、給液用筐体の代わりに解凍用筐体を常設しておくこともできる。これにより、解凍用の専用スペースを要せず、有効収納スペースの減少を抑えることができる。本態様では、少なくとも1つのポンプが、駆動筐体、給液用筐体または解凍用筐体内に配置されているが、ポンプのポンプ本体及び駆動部の両方が1つの筐体に配置されている場合もあり得るし、ポンプ本体及び駆動部がそれぞれ異なる筐体に配置されている場合もあり得る。
【0008】
以上のように、本態様においては、有効収納スペースの減少を抑制しながら食品の解凍が可能な冷蔵庫を提供することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記ポンプが、前記給液ポンプとして機能する給液専用ポンプと、前記循環ポンプとして機能する循環専用ポンプとで構成され、
ポンプ本体及び駆動部を含む前記給液専用ポンプが前記駆動筐体内に配置され、前記給液専用ポンプと接続する吸込配管が前記給液用筐体内に配置され、
前記循環専用ポンプの駆動部が前記駆動筐体内に配置され、前記循環専用ポンプのポンプ本体が前記解凍用筐体内に配置され、前記循環専用ポンプの前記駆動部及び前記ポンプ本体がマグネットカップリングで接続されて前記ポンプ本体が駆動され冷蔵庫である。
【0010】
本態様においては、本体及び駆動部を含む給液専用ポンプが駆動筐体内に配置されているので、着脱を行う給液用筐体を軽量でシンプルな構造を有するものとすることができる。また、循環専用ポンプの駆動部が駆動筐体内に配置され、循環専用ポンプの本体のみが解凍用筐体内に配置されているので、着脱を行う解凍用筐体に駆動用の電気部品や配線を設ける必要がなく、解凍用筐体をシンプルな構造のものとすることができる。更にマグネットカップシングを用いることにより、液体漏れ防止のシール機構等を有さずに、確実に循環専用ポンプを稼働させることができる。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様において、
前記ポンプが、前記給液ポンプとして機能するとともに、前記循環ポンプとしても機能する給液循環兼用ポンプで構成され、
前記給液循環兼用ポンプの駆動部が前記駆動筐体内に配置され、前記給液循環兼用ポンプのポンプ本体が前記解凍用筐体内に配置され、前記給液循環兼用ポンプの前記駆動部及び前記ポンプ本体がマグネットカップリングで接続されて前記ポンプ本体が駆動され、
前記駆動筐体に前記給液用筐体が取り付けられているとき、前記給液循環兼用ポンプの前記ポンプ本体の吸込口から吸い込まれた前記給液用筐体内の液体が、前記ポンプ本体の吐出側から前記駆動筐体に配置された配管を介して前記製氷皿へ供給され、
前記駆動筐体に前記解凍用筐体が取り付けられているとき、前記給液循環兼用ポンプの前記ポンプ本体の吸込口から吸い込まれた前記解凍用筐体内の液体が、前記ポンプ本体の吐出側から前記解凍用筐体内に配置された配管を介して再び前記解凍用筐体内に戻される冷蔵庫である。
【0012】
本態様によれば、ポンプ本体から吐出される液体を製氷皿側に流すか、筐体に戻すかの切り替えにより、1つの給液循環兼用ポンプを給液ポンプ及び循環ポンプとして機能させることができる。これに伴い、筐体を給液用筐体及び解凍用筐体として機能させることができる。これにより、機能的でコンパクトな給液・解凍機構が実現できる。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3の何れかの態様において、
前記循環ポンプの吐出口に接続されたポンプ出側配管の出側端部の給液口は、平面視で前記循環ポンプの吸込口から離間した位置に配置され、
前記給液口から前記吸込口へ流れる液体の流路に前記食品が配置される冷蔵庫である。
【0014】
本態様によれば、循環ポンプの吸込口から吸い込まれた液体は、ポンプ出側配管の給液口から、蓄液領域内の液体へ流出し、蓄液領域内を流れて、再び循環ポンプの吸込口に吸い込まれる。これを繰り返すことにより液体が循環する。食品が、給液口から吸込口へ流れる液体の流路に配置されているので、循環する液体の流れにより食品を効率的に解凍することができる。
【0015】
また、本発明の第5の態様は、第1から第4の何れかの態様において、
前記解凍用筐体の外面に金属製のシート状の伝熱促進部材が貼り付けられ、前記伝熱促進部材の外面にシート状の前記加熱部材が取り付けられている冷蔵庫である。
【0016】
本態様によれば、解凍用筐体と加熱部材との間に金属製の伝熱促進部材が配置されているので、加熱部材で生じた熱をムラなく効率的に解凍用筐体に伝え、延いては蓄液領域内の液体に伝えることができる。これにより、蓄液領域内の液体を均一に効率的に加熱することができる。
【0017】
また、本発明の第6の態様は、第1から第5の何れかの態様において、
前記解凍用筐体の底面に、平面視で所定の間隔をあけて一定の方向に延びる複数の凸部材が形成され、前前記底面より高い前記凸部材の上面で前記食品を支持し、隣接する前記凸部材の間の前記食品の下面と前記底面との間の領域に液体が流れる冷蔵庫である。
【0018】
本態様によれば、食品が、加熱部材が取り付けられた解凍用筐体の底面に接しないので、解凍時の加熱ムラが生じるのを防ぐことができる。更に、隣接する凸部材の間の食品の下面と解凍用筐体の底面との間の領域に液体を流すことができるので、食品の上方や側方に加えて、下方にも液体を流して、食品に全周から熱を加えて効率的に解凍できる。
【0019】
また、本発明の第7の態様は、第1から第6の何れかの態様において、
前記給液用筐体及び前記解凍用筐体が冷蔵室内に配置される冷蔵庫である。
【0020】
本態様によれば、給液用筐体が冷蔵室内に配置されるので、給液用筐体内の液体を凍結させることなく製氷皿に供給することができる。これとともに、解凍用筐体が冷蔵室内に配置されるので、解凍された食品が配置された解凍用筐体内の液体の温度を、引き続き適切な冷蔵温度に保つことができるので、食品の品質を保ったまま保存することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明では、有効収納スペースの減少を抑制しながら食品の解凍が可能な冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図である。
【
図2A】
図1に示す給液用筐体及び駆動筐体を模式的に示す側面断面図であって、給液用筐体が駆動筐体から外された状態を示す図である。
【
図2B】
図1に示す給液用筐体及び駆動筐体を模式的に示す側面断面図であって、給液用筐体が駆動筐体に取り付けられ給液を行っている状態を示す図である。
【
図3A】
図1に示す解凍用筐体及び駆動筐体を模式的に示す側面断面図であって、解凍用筐体が駆動筐体から外された状態を示す図である。
【
図3B】
図1に示す解凍用筐体及び駆動筐体を模式的に示す側面断面図であって、解凍用筐体が駆動筐体に取り付けられ解凍を行っている状態を示す図である。
【
図4】循環ポンプのポンプ本体と駆動部とを繋ぐマグネットカップリングの構造を模式的に示す側面断面図である。
【
図5】
図3Bの断面A-Aを示す模式的な斜視図である。
【
図6】
図1に示す冷蔵庫の制御システムの一例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図であって、給液用筐体が駆動筐体に取り付けられ給液を行っている状態を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図であって、解凍用筐体が駆動筐体に取り付けられ解凍を行っている状態を示す図である。
【
図9A】本発明の第3の実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図であって、三方弁の切り替えにより給液を行っている状態を示す図である。
【
図9B】本発明の第3の実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図であって、三方弁の切り替えにより解凍を行っている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。以下の記載及び図面では、冷蔵庫が平面に設置された場合を想定して、上下方向を示してある。図面では、液体の流れを破線の矢印で模式的に示している。
【0024】
(本発明の第1の実施形態に係る冷蔵庫)
はじめに、
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る冷蔵庫100の概要を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る冷蔵庫100を模式的示す側面断面図である。
【0025】
本実施形態に係る冷蔵庫100は、冷凍室102及び冷蔵室104を備える。断熱材を有する仕切板122を介して、下側に冷凍室102が配置され、上側に冷蔵室104が配置されている。冷凍室102及び冷蔵室104の後ろ側の冷却流路120に、蒸発器106やファン108が配置されている。蒸発器106は、圧縮機110により冷媒が循環する冷却サイクルによって冷却される。
【0026】
ファン108により庫内の気体が流動し、冷凍室ダンパ112を開にすることにより、蒸発器106を通過して冷却された気体が冷凍室102に流入する。冷蔵室ダンパ114を開にすることにより、蒸発器106を通過して冷却された気体が冷蔵室104に流入する。これにより、冷凍室102内を最適温度(例えば-18℃~-20℃)とし、冷蔵室104内を最適温度(例えば2℃~6℃)にすることができる。
【0027】
本実施形態に係る冷蔵100では、冷蔵室104内の仕切板122の上面に駆動筐体6が取り付けられている。駆動筐体6は、冷蔵室104内の後側(奥側)に配置され、その前側の領域に、給液用筐体50または解凍用筐体4が配置される。給液用筐体50または解凍用筐体4は、駆動筐体6に着脱可能な状態で取り付けられる。また、駆動筐体6の前側の仕切板122の上面には、シート状の加熱部材20が取り付けられている。つまり、給液用筐体50または解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられたとき、給液用筐体50または解凍用筐体4の下面が加熱部材20に接するようになる。
【0028】
図1では、駆動筐体6に給液用筐体50が取り付けられている状態を示す。駆動筐体6に給液用筐体50が取り付けられているときには、給液用筐体50内に蓄えられた液体を冷凍室102内に配置された製氷皿80に供給することができる。
【0029】
一方、
図1の矢印で模式的に示すように、給液用筐体50を取り外して、代わりに解凍用筐体4を駆動筐体6が取り付けることができる。解凍用筐体4には、解凍すべき食品Gを収容するとともに液体が蓄えられている。駆動筐体6に解凍用筐体4が取り付けられているときには、解凍用筐体4に蓄えられた液体が下側から加熱部材20で加熱され、加熱されて所定の温度となった液体が解凍用筐体4内を循環し、これによって食品Gが解凍される。
【0030】
次に、
図2Aから
図3Bを参照しながら、本実施形態に係る冷蔵庫100に備えられた駆動筐体6、給液用筐体50及び解凍用筐体4の説明を行う。
【0031】
図2A及び
図2Bは、
図1に示す給液用筐体50及び駆動筐体6を模式的に示す側面断面図であって、
図2Aは、給液用筐体50が駆動筐体6から外された状態を示す図であり、
図2Bは、給液用筐体50が駆動筐体6に取り付けられ給液を行っている状態を示す図である。
図3A及び
図3Bは、
図1に示す解凍用筐体4及び駆動筐体6を模式的に示す側面断面図であって、
図3Aは、解凍用筐体4が駆動筐体6から外された状態を示す図であり、
図3Bは、解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられ解凍を行っている状態を示す図である。
【0032】
(駆動筐体)
上記のように、駆動筐体6は、冷蔵室104内の後側(奥側)の仕切板122の上面に取り付けられている。また、駆動筐体6の前側の仕切板122の上面には、シート状の加熱部材20が取り付けられている。
【0033】
駆動筐体6の上部には、挿入部6Aが形成されている。例えば、
図2Aに示すように、給液用筐体50を駆動筐体6に取り付けるとき、挿入部6Aが給液用筐体50に設けられたガイド孔に挿入される。これにより、給液用筐体50を駆動筐体6側に押し込むとき、同時に位置決めを行うことができる。このとき、後述するように、給液用筐体50に取り付けられた吸込配管70の挿入部72が、駆動筐体6内に配置された給液ポンプ60の入側配管62に設けられたコネクタ64と接続するようになっている。
【0034】
給液用筐体50の当接面50Bと駆動筐体6の当接面4Bとが当接したとき、例えば、スナップ係合機構により、給液用筐体50及び駆動筐体6を固定することができる。その場合には、給液用筐体50を前方に引く、またはスナップ係合機構の係合部を押圧操作することにより、給液用筐体50及び駆動筐体6の係合を解除し、給液用筐体50を駆動筐体6から容易に取り外すことができる。
【0035】
解凍用筐体4にも、給液用筐体50と同様な構造のガイド孔を有する。解凍用筐体4を駆動筐体6に取り付けるとき、挿入部6Aが解凍用筐体4に設けられたガイド孔に挿入される。これにより、解凍用筐体4を駆動筐体6側に押し込むとき、同時に位置決めを行うことができる。解凍用筐体4の当接面4Bと駆動筐体6の当接面4Bとが当接したとき、給液用筐体50と同様なスナップ係合機構により、解凍用筐体4及び駆動筐体6が固定される。
【0036】
解凍用筐体4を前方に引くまたはスナップ係合機構の係合部を押圧操作することにより、解凍用筐体4及び駆動筐体6の係合を解除できる。よって、解凍用筐体4を手前に引き出して、解凍用筐体4を容易に駆動筐体6から取り外すことができる。
【0037】
駆動筐体6の内部の上側には、主に駆動部とポンプ本体から構成された給液ポンプ60が配置されている。給液ポンプ60の駆動部は、冷蔵庫100の電源部から電力が供給される。給液ポンプ60の吸込口には入側配管62が接続され、入側配管62の先端部にはコネクタ64が接続されている。一方、給液ポンプ60の吐出口に出側配管66が接続されている。出側配管66は給液ポンプ60の吐出口から後方に延び、更に下向きに延びて、仕切板122を貫通して、冷凍室102内にまで延びている。出側配管66の端部は、製氷皿80の上方で開口している。
【0038】
一方、駆動筐体6の内部の下側には、電動モータである循環ポンプ30の駆動部34が配置されている。駆動部34の駆動軸には、マグネットカップリング36の駆動部側部分36Bが取り付けられている。後述するように、解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられたとき、駆動部34の駆動軸と、解凍用筐体4に配置されたポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸とが同軸上に並ぶように配置されている。駆動部34は、冷蔵庫100の電源部から電力が供給される。
【0039】
(給液用筐体)
給液用筐体50は、略直方体の形状を有し、上面が開口している。ただし詳細な形状としては、持ち手を有する、または湾曲した面を有する等、任意の形状を採用することができる。給液用筐体50の内部が見えるように、透光性を有する樹脂材料で給液用筐体50を形成するのが好ましい。上面の開口は、蓋50Aで覆われている。給液用筐体50の内部に、製氷皿80へ供給する液体を蓄えるようになっている。給液用筐体50で蓄える液体としては、製氷するための任意の液体が含まれ、水道水、ミネラルウオータ、その他の飲料水を例示することができる。使用者は、給液用筐体50を駆動筐体6から取り外して、冷蔵庫100の庫外へ持ち出し、給液用筐体50に液体を充填することができる。
【0040】
給液用筐体50の内部には、吸込配管70が取り付けられており、吸込配管70の下方の端部70Aは、給液用筐体50の底面の近傍に開口している。給液用筐体50に液体を充填したとき、吸込配管70の下方の端部70Aがこの液体の中に開口するようになっている。吸込配管70は、給液用筐体50の下方の端部70Aから上方に延び、更に略水平方向に後方に延びて、他方の端部領域が挿入部72となっている。給液用筐体50を駆動筐体6に取り付けたとき、吸込配管70の挿入部72が、駆動筐体6に配置された給液ポンプ60の入側配管62の先端部に取り付けられたコネクタ64の中に挿入されるようになっている。これにより、液密な状態で、吸込配管70と入側配管62とが接続される。
【0041】
よって、
図2Bの破線の矢印で示すように、給液ポンプ60を稼働させると、給液用筐体50内に蓄えられた液体が下方の端部70Aから吸引され、吸込配管70、コネクタ64、入側配管62を経て、給液ポンプ60の吸引口に吸い込まれる。給液ポンプ60から吐出された液体は、出側配管66を経て、上方から製氷皿80へ注ぎ込まれる。なお、図面では、上下に延びた出側配管66から製氷皿80に液体が注がれているが、出側配管66が上から下に延び、更に前側に延びて、冷凍室102の内の図示した位置よりも前側の位置で、製氷皿80に液体を注ぐ場合もあり得る。
【0042】
給液用筐体50は、冷蔵室104内に配置されるので、給液用筐体50内の液体を凍結させることなく製氷皿80に供給することができる。
【0043】
(解凍用筐体)
解凍用筐体4も、略直方体の形状を有し、上面が開口している。ただし詳細な形状については、持ち手を有する、または湾曲した面を有する等、任意の形状を採用することができる。解凍用筐体4の内部が見えるように、透光性を有する樹脂材料で解凍用筐体4を形成するのが好ましい。上面の開口は、蓋4Aで覆われている。
【0044】
解凍用筐体4の内部の下方には、液体を蓄える蓄液領域10が配置されている。蓄液領域10内に蓄えられた液体の中に解凍を行う食品Gが配置される。解凍を行う食品Gとして、冷凍肉、冷凍、冷凍野菜、冷凍果物等の冷凍生鮮食品を例示できる。冷凍生鮮食品が何も覆われずに、蓄液領域10内の液体中に配置される場合もあり得るし、冷凍生鮮食品がラップで覆われた状態や、冷凍生鮮食品が樹脂製袋に収納されている状態で、液体中に配置される場合もあり得る。つまり、包装のないまたは包装部材で覆われた冷凍された食品Gが蓄液領域10内の液体の中に配置されている。
【0045】
蓄液領域10に蓄える液体は、食品Gを解凍するために用いるものであり、水道水を例示することができる。使用者は、解凍用筐体4を駆動筐体6から取り外して、冷蔵庫100の庫外へ持ち出し、解凍用筐体4の蓄液領域10に水道水を充填することができる。蓄液領域10に水道水を充填した後、蓄えた水道水の中に食品Gを浸して、再び、解凍用筐体4を冷蔵室104内の駆動筐体6に取り付ける。蓄液領域10に充填する液体は、冷凍された食品を解凍するのに適した液体であれば、水道水以外の任意の液体を用いることができる。
【0046】
解凍用筐体4の内部には、更に、蓄液領域10に蓄えられた液体を循環させる循環ポンプ30のポンプ本体32が配置されている。ポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸に、マグネットカップリング36の円板状のポンプ本体側部分36Aが取り付けられている。後述するように、ポンプ本体32のインペラ32Aが、マグネットカップリング36を介して駆動筐体6に配置された駆動部34により駆動される。循環ポンプ30として、低コストでメンテナンス性に優れた非容積式ポンプを用いるのが好ましい。更に詳細には、渦巻ポンプをはじめとする遠心ポンプや、軸流ポンプをはじめとするプロペラポンプを採用することができる。
【0047】
ポンプ本体32は蓄液領域10内に位置し、吸込口32Bが蓄液領域10に蓄えられた液体の中に開口している。ポンプ本体32の吐出口には、ポンプ出側配管38が接続されている。ポンプ出側配管38は、ポンプ本体32の吐出口から蓄液領域10に蓄えられた液体の液面より上方まで延び、その後水平方向に延び、少し下方に曲がって終端している。少し下方に曲がって終端したポンプ出側配管38の出側端部に、給液口38Aが設けられている。
【0048】
給液口38Aは、平面視で、蓄液領域10の循環ポンプ30が配置された側の端部と反対側の端部近傍に配置されている。つまり、ポンプ出側配管38の給液口38Aは、循環ポンプ30の吸込口32Bから離間した位置に配置されている。後述するように、蓄液領域10内の液体は加熱部材20で加熱され、解凍を行う食品Gは、給液口38Aから吸込口32Bへ流れる液体の流路に配置される。食品Gが液体の流れの中に配置されるのであれば、平面視で、食品Gが循環ポンプ30の吸込口32Bと給液口38Aとの間に配置される場合もあり得るし、吸込口32Bと給液口38Aとの間には配置されない場合もあり得る。
【0049】
吸込口32Bからポンプ本体32に吸い込まれた液体は、ポンプ出側配管38内を流れて、給液口38Aから蓄液領域10内の液体の液面に向けて流下する。蓄液領域10内に流下した液体は、ポンプ本体32の吸込口32B側に流れて、再び吸込口32Bからポンプ本体32に吸い込まれる。これにより、蓄液領域10内の液体が循環する。
【0050】
本実施形態では、食品Gを、循環ポンプ30(ポンプ本体32)により循環する液体の流れの中に配置できる。食品Gを液体で解凍する場合、液体が流動する場合には、停止している場合に比べて、液体と食品Gとの間の熱伝達率を向上させることができる。特に、液面より上方の給液口38Aから液面に向けて液体が流下するので、液体の流動を促進させて、熱伝達率の向上を図ることができる。
【0051】
本実施形態では、蓄液領域10に蓄えられた液体の液面より上方に位置するポンプ出側配管38の給液口38Aから、液体が液面に向かって流下するようになっているが、これに限られるものではない。ポンプ出側配管38の給液口38Aが、蓄液領域10内の液体の中に開口している場合もあり得る。この場合でも、給液口38Aから吸込口32Bへ流れる液体の流路に食品Gを配置することにより、循環する液体の流れの中に食品Gを配置できる。
【0052】
このように、給液口38Aから吸込口32Bへ流れる液体の流路に食品Gが配置されているので、循環する液体の流れにより食品Gを効率的に解凍することができる。
【0053】
<マグネットカップリング>
次に、
図4を参照しながら、マグネットカップリング36について、更に詳細に説明する。
図4は、解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられて、マグネットカップリング36のポンプ本体側部分36A及び駆動部側部分36Bが駆動伝達状態になっていることころを示す。ポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸に取り付けられたマネットカップリング36のポンプ本体側部分36Aは磁性を有する。駆動部34の駆動軸に取り付けられたマグネットカップリング36の駆動部側部分36Bは、ポンプ本体側部分36AとSN逆の極性の磁性を有する。これにより、ポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸には、ポンプ本体側部分36A及び駆動部側部分36Bの間の磁力により、駆動部34の駆動力が非接触な状態で伝達される。
【0054】
図4に示す状態から、解凍用筐体4を、略水平に駆動筐体6から離間する方向(図面で左側)に移動させることにより、解凍用筐体4を駆動筐体6から取り外すとともに、マグネットカップリング36を構成するポンプ本体側部分36Aと駆動部側部分36Bとを離間させることができる。一方、取り外された解凍用筐体4を、略水平に駆動筐体6に近接する方向(図面で右側)に移動させることにより、解凍用筐体4を駆動筐体6に取り付けるとともに、マグネットカップリング36を駆動伝達状態に配置することができる。
【0055】
<加熱部材>
蓄液領域10内の液体は食品Gに接触したとき、食品Gに融解熱を与えるので温度が低下する。そのまま液体の循環を継続すると、液体の温度が低下していき、解凍の効率が低下する。本実施形態の冷蔵庫100では、仕切板122の上面に蓄液領域10内の液体を加熱する加熱部材20が取り付けられている。加熱部材20の発熱部材としては、コードヒータ、ペルチェ素子、PCT(Positive Temperature Coefficient)ヒータを例示できる。本実施形態に係る加熱部材20は、シート状に形成されている。
【0056】
特に、本実施形態では、解凍用筐体4の外面(下面)にシート状の金属製の伝熱促進部材22が取り付けられ、伝熱促進部材22の外面にシート状の加熱部材20が取り付けられている。伝熱促進部材22は、アルミニウム、アルミ合金をはじめとする熱伝導率の高い金属で形成するのが好ましい。
【0057】
仮に、解凍用筐体4の外面に加熱部材20が直接接する場合には、高い密着性が得られず、熱抵抗が増大する。そこで、解凍用筐体4及び加熱部材20の間に伝熱促進部材22を配置することにより、各部材の密着性を高めて、境界での熱抵抗を低下できる。更に、コードヒータ等による加熱部材20の場合、平面視において加熱部材20の領域によって温度ムラが生じる。このため、解凍用筐体4の外面に加熱部材20が直接接する場合、解凍用筐体4も温度ムラが生じて均一な加熱が困難となる。そこで、解凍用筐体4及び加熱部材20の間に伝熱促進部材22を配置することにより、高い熱伝導率を有する伝熱促進部材22で平面視における温度分布が一様になって、温度ムラが解消され、均一な加熱が実現できる。これにより、加熱部材20の熱を効率的に解凍用筐体4に伝えることができるとともに、均一な加熱が実現できる。なお、より密着性を高めるため、押し付け機構等を用いて、加熱部材20を解凍用筐体4側に押しつけるように固定することが好ましい。
【0058】
このように、本実施形態によれば、解凍用筐体4と加熱部材20との間に金属製の伝熱促進部材22が配置されているので、加熱部材20で生じた熱をムラなく効率的に解凍用筐体4に伝え、延いては蓄液領域10内の液体に伝えることができる。これにより、蓄液領域内の液体を均一に効率的に加熱することができる。
【0059】
解凍用筐体4の蓄液領域10には、温度センサ40が配置されている。温度センサ40で測定した蓄液領域10内の液体の温度に基づいて、加熱部材20のオンオフ、加熱の強さを制御するようになっている。温度センサ40からの信号を送信する信号線等の端子C1が、解凍用筐体4の当接面4Bに配置されている。解凍用筐体4を駆動筐体6に取り付けると、解凍用筐体4の当接面4Bに配置された端子C1が、冷蔵庫100と電気的に繋がった駆動筐体6の当接面6Bに配置された端子C2と接続される。これにより、温度センサ40が測定した温度データが冷蔵庫100の制御部に送信され、制御部は、液体の温度に基づいて、加熱部材20に供給する電力を制御することができる。
【0060】
加熱部材20は、解凍用筐体4だけでなく、給液用筐体50内の液体を加熱するのに用いることもできる。例えば、冷蔵室104の温度が下がって、給液用筐体50内の液体が凍結しかかっているときに、給液用筐体50内の液体を加熱して、確実に給液ポンプ60で給液用筐体50内の液体を製氷皿80に供給できるようにすることができる。
【0061】
また、給液用筐体50内の液体を加熱する必要性が小さい場合には、解凍用筐体4に加熱部材20を取り付けることもできる。加熱部材20を解凍用筐体4に取り付ける場合、解凍用筐体4の下面だけでなく、側面を含むその他の任意の面に加熱部材20を取り付けることができるし、複数の面に加熱部材20を取り付けることもできる。更に、解凍用筐体4の外面にシート状の加熱部材20を取り付けるのではなく、例えば、棒状のヒータを蓄液領域10内の液体の中に配置して、直接、液体を加熱することもできる。その他の任意の方法で液体を加熱することができる。
【0062】
<複数の凸部材>
食品Gを蓄液領域10内の液体の中に入れたとき、食品Gは、重力で解凍用筐体4の底面に接するように沈下する。その場合、特に、加熱部材20に接触する領域では温度が上がるので、食品Gの解凍ムラが生じる虞がある。そこで、本実施形態に係る冷蔵庫100では、食品Gが解凍用筐体4の底面4Cに直接当たらないようにするための支え形状を設けている。
【0063】
支え形状の具体例を、
図5を参照しながら説明する。
図5は、
図3Bの断面A-Aを示す模式的な斜視図である。本実施形態に係る解凍用筐体4では、
図5に示すように、平面視で、解凍用筐体4の底面4Cに所定の間隔をあけて一定の方向に延びる複数の凸部材12が形成されている。解凍用筐体4の底面4Cより高い凸部材12の上面で、食品Gを支持することができる。
【0064】
凸部材12が延びる方向は、ポンプ出側配管38の給液口38Aから循環ポンプ30の吸込口32B側に流れる液体の流れに沿った方向が好ましい。
図5の点線の矢印で模式的に示すように、隣接する凸部材12の間の食品Gの下面と底面4Cとの間の領域に液体が流れるようになっている。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、食品Gが、加熱部材20が取り付けられた解凍用筐体4の底面4Cに接しないので、解凍時の加熱ムラが生じるのを防ぐことができる。更に、隣接する凸部材12の間の食品Gの下面と解凍用筐体4の底面4Cとの間の領域に液体を流すことができるので、食品Gの上方や側方に加えて、下方にも液体を流して、食品Gに全周から熱を加えて効率的に解凍できる。
【0066】
本実施形態に係る冷蔵庫100では、解凍用筐体4が冷蔵室104内に配置されている。よって、解凍された食品Gが配置された蓄液領域10内の液体の温度を、引き続き適切な冷蔵温度に保つことができるので、食品Gの品質を保ったまま保存することができる。
【0067】
(冷蔵庫の制御システム)
次に、
図6を参照しながら、本実施形態に係る冷蔵庫100の制御システムについて説明する。
図6は、
図1に示す冷蔵庫の制御システムの一例を示すブロック図である。図示した制御部130は、冷蔵庫100の制御装置の一部を構成し、冷凍室102や冷蔵室104の冷却を行うため、圧縮機110、ファン108等を制御する。
【0068】
また、給液用筐体50が駆動筐体6に取り付けられたとき、制御部130は、給液ポンプ60の駆動部に電流を流して、給液用筐体50内に液体が蓄えられているか否かの空検知を行う。電流値により給液ポンプ60の負荷が軽く、給液用筐体50に十分な液体が存在しないと判断したときは、制御部130は、給液ポンプ60の駆動部への電力供給を停止し、表示装置等にエラー表示を行う。
【0069】
電流値により給液用筐体50に十分な液体が存在すると判断したときには、制御部130が給液ポンプ60の駆動を継続することにより、給液用筐体50内の液体を製氷皿80に供給することができる。給液ポンプ60の駆動は、例えば、回転機構で製氷皿80を回転させて、製氷皿80の脱氷を行った後や、所定時間経過ごとに行うことができる。
【0070】
仮に、給液用筐体50が駆動筐体6に取り付けられていないとき、例えば、給液用筐体50の代わりに解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられているときに、給液ポンプ60を駆動すると、給液ポンプ60の駆動部の電流値で無負荷であると判別できる。よって、制御部130は、給液ポンプ60の駆動を停止して、表示装置にエラー表示等を行うことができる。
【0071】
逆に、解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられるときには、解凍用筐体4側の端子C1と駆動筐体6側の端子C2とが電気的に接続される。制御部130は、端子C1,C2の電気的接続が確認できたときに、循環ポンプ30の駆動部34を駆動して、蓄液領域10内の液体の循環のオンオフ切替や、液体の循環速度の変更を行うことができる。また、温度センサ40からの測定温度に基づいて、加熱部材20の制御を行って、加熱部材20の稼働のオンオフ切替や、加熱部材20による加熱量の変更を行うことができる。
【0072】
制御部130による、解凍用筐体4側の端子C1及び駆動筐体6側の端子C2の接続の可否かの判別は、検出端子から検出信号を発信する方法、端子間抵抗の変化を検出する方法をはじめとする任意の方法を採用できる。制御部130は、解凍用筐体4側の端子C1及び駆動筐体6側の端子C2の接続が確認されとき、操作パネルからの解凍開始の操作信号に基づいて、解凍のための制御を行う。
【0073】
解凍用筐体4側の端子C1と駆動筐体6側の端子C2の電気的接続の有無が判別できるので、仮に、解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられていないとき、例えば、解凍用筐体4の代わりに給液用筐体50が駆動筐体6に取り付けられているときに、操作パネルの操作で解凍開始の操作信号が送信されたとしても、制御部130は、循環ポンプ30の駆動部34を駆動しないように制御することができる。
【0074】
また、仮に、制御部130が循環ポンプ30の駆動部34を駆動した場合であっても、電流値により駆動部34の負荷が軽く無負荷であると判別できるので、駆動部34の駆動を停止して、表示装置にエラー表示等を行うこともできる。
【0075】
(給液用筐体を用いた製氷皿への給液方法)
次に、本実施形態に係る給液用筐体50を用いて製氷皿80への給液する方法を説明する。
まず、冷蔵室104の前方の扉をあけて、給液用筐体50または解凍用筐体4と駆動筐体6とを固定していたスナップ係合を外して、給液用筐体50または解凍用筐体4を引き出す。これにより、給液用筐体50または解凍用筐体4を容易に庫外へ取り出すことができる。
【0076】
次に、庫外において、給液用筐体50の上部の蓋50Aを取り外す、または蓋50Aに設けられた開閉蓋をあけて、上部の開口から給液用筐体50へ液体を注ぎ入れる。給液用筐体50へ所定量の液体が蓄えられた後、蓋50Aを閉じる、または蓋50Aに設けられた開閉蓋を閉じる。そして、冷蔵室104の前方の扉を開けて、給液用筐体50を押し込んで駆動筐体6に取り付ける。給液用筐体50を押し込んでいくと、給液用筐体50に設けられたガイド孔に駆動筐体6の挿入部6Aが挿入され、位置決めが行なわれながら、給液用筐体50の当接面50Bが駆動筐体6の当接面4Bに当接する。このとき、スナップ係合機構により、給液用筐体50及び駆動筐体6が固定される。同時に、給液用筐体50に取り付けられたれた吸込配管70の挿入部72が、駆動筐体6に配置された給液ポンプ60の入側配管62に設けられたコネクタ64と接続するようになっている。
【0077】
この状態で、制御部130が給液ポンプ60の駆動部を駆動すると、給液用筐体50内に蓄えられた液体が、吸込配管70、コネクタ64、入側配管62、給液ポンプ60及び出側配管66を経て、製氷皿80へ供給される。
【0078】
(解凍装置を用いた食品の解凍方法)
次に、本実施形態に係る解凍用筐体4を用いて食品Gを解凍する方法を説明する。
まず、冷蔵室104の前方の扉をあけて、給液用筐体50または解凍用筐体4及び駆動筐体6を固定していたスナップ係合を外して、給液用筐体50または解凍用筐体4を引き出す。これにより、給液用筐体50または解凍用筐体4を容易に庫外へ取り出すことができる。
【0079】
次に、庫外において、解凍用筐体4の上部の蓋4Aを取り外して、上部の開口から解凍用筐体4の蓄液領域10へ液体として水道水を注ぎ入れる。蓄液領域10へ所定量の液体が蓄えられた後、包装部材で覆われた冷凍された食品Gを、蓄液領域10に蓄えられた液体の中に入れ、蓋4Aを閉じる。そして、冷蔵室104の前方の扉を開けて、解凍用筐体4を押し込んで駆動筐体6に取り付ける。
【0080】
解凍用筐体4を押し込んでいくと、解凍用筐体4に設けられたガイド孔に駆動筐体6の挿入部6Aが挿入され、位置決めが行なわれながら、解凍用筐体4の当接面4Bが駆動筐体6の当接面4Bに当接する。このとき、スナップ係合機構により、解凍用筐体4及び駆動筐体6が固定される。この状態で、マグネットカップリング36が駆動伝達状態となり、解凍用筐体4側の端子C1と駆動筐体6側の端子C2が電気的に接続された状態となる。冷蔵庫100の制御部130は、解凍用筐体4側の端子C1と駆動筐体6側の端子C2が電気的に接続されていることを確認する。
【0081】
使用者が冷蔵庫100の操作パネルを操作して、解凍開始の信号を送信すると、冷蔵庫100の制御部130は、循環ポンプ30の駆動部34に電力を供給して駆動を開始する。これにより、蓄液領域10に内の液体が循環する。そして、温度センサ40による測定温度に基づいて、液体の温度が5℃以上10℃以下の範囲となるように加熱部材20の給電を制御する。
【0082】
液体の温度が5℃未満となると、解凍速度が低下する。一方、液体の温度が20℃以上となると、解凍した食品のドリップ量が増え品質低下の問題が生じる。本実施形態に係る冷蔵庫100では、常に5℃以上10℃以下の温度範囲の液体を循環させることにより、解凍する食品Gの品質を保持しながら、短時間に効率的に解凍を行うことができる。
【0083】
短時間に解凍を行う場合には、液体の温度を10℃近傍、例えば、8℃以上10℃以下の範囲内に制御するのが好ましい。一方、食品Gの鮮度を重視する場合には、液体の温度を5℃近傍、例えば、5℃以上7℃以下の範囲内に制御するのが好ましい。これに合わせて、循環ポンプ30の吐出量も調整することもできる。
【0084】
加熱部材20や循環ポンプ30の制御で、蓄液領域10内の液体の温度や液体の流れる速度を調整することにより、所望の解凍速度に調整することができる。例えば、操作パネルを用いて、「急速解凍15分」、「通常1時間」、「よりおいしく解凍4時間」といった複数の解凍パターンの中から、所望の解凍パターンを選択できるようにすることもできる。また、解凍が終了すると、解凍完了をブザーやランプ、音声等で報知する、または使用者の携帯端末に報知することもできる。
【0085】
制御部130は、設定の時間が経過すると、循環ポンプ30及び加熱部材20への給電を停止して、解凍処理を終了し、所定の報知処理を行う。解凍用筐体4は、冷蔵室104内に配置されている。冷蔵室104の温度は2℃~6℃程度なので、蓄液領域10内の液体の温度(例えば、5℃~10℃)も同様に維持される、よって、解凍された食品Gを、品質を保ったまま保存することができる。
【0086】
解凍処理の制御は、時間で管理する場合に限られず、例えば、温度センサ40による測定温度に基づいて制御することもできる。食品Gの解凍が終わると、液体が奪われる融解熱量が減少するので、液体の温度が上昇する傾向を示す。よって、液体の温度上昇の勾配が所定の閾値を越えたとき、解凍処理を終了するように制御することもできる。更に、食品Gの表面温度を直接計測する赤外線センサを備えて、食品Gの表面温度に基づいて、解凍処理を終了する制御を行うこともできる。
【0087】
一方、様々な試験や経験で、食品Gの品質を保ちながら解凍可能な液体の温度や液体の流れる速度が把握できている場合には、よりシンプルな制御もあり得る。蓄液領域10内の液体の温度を測定する温度センサ40を備えず、解凍開始時に加熱部材20及び循環ポンプ30をオンにし、所定の時間が経過したときに、加熱部材20及び循環ポンプ30をオフにして解凍を終了する制御もあり得る。
【0088】
解凍用筐体4を用いた食品Gの解凍においては、蓄液領域10内の液体の中に配置された食品Gが、直接または包装部材を介して、加熱部材20により加熱され循環ポンプ30により流動した蓄液領域10内の液体との間の熱伝達で解凍される。食品Gを解凍するため、食品Gの周囲の液体の温度は低下するが、液体は流動しているので、温度が下がった液体が食品Gの周囲に留まることなく、加熱部材20で加熱された液体を食品Gの周囲に供給できる。循環ポンプ30により液体が循環しているので、多量の液体を使うことなく、液体の流れにより食品Gとの間の熱伝達を促進できる。
【0089】
よって、シンプルな構造ながら、短時間に解凍を行うことができる。更に、加熱部材20により適切に加熱を行って、液体の温度を常に解凍に適した温度(例えば、5℃~10℃)に保つことができるので、解凍時に食品Gのドリップの発生を抑制して品質を保つことができる。これにより、食品Gの品質を保ちながら短時間に解凍が可能なシンプルな構造の解凍装置を提供できる。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、例えば、通常、給液用筐体50を駆動筐体6に取り付けて製氷皿80への給液を行い、食品Gの解凍を行うときにのみ、給液用筐体50を取り外して、代わりに解凍用筐体4を駆動筐体6に取り付けて解凍を行うことができる。また、冬季において製氷を行う必要がない場合には、給液用筐体50の代わりに解凍用筐体4を常設しておくこともできる。これにより、解凍用の専用スペースを要せず、有効収納スペースの減少を抑えることができる。よって、有効収納スペースの減少を抑制しながら食品Gの解凍が可能な冷蔵庫100を提供することができる。
【0091】
更に、第1の実施形態においては、ポンプ本体及び駆動部を含む給液ポンプ60が駆動筐体6内に配置されているので、着脱を行う給液用筐体50を軽量でシンプルな構造を有するものとすることができる。一方、循環ポンプ30の駆動部34が駆動筐体6内に配置され、循環ポンプ30のポンプ本体32のみが解凍用筐体4内に配置されているので、着脱を行う解凍用筐体4に駆動用の電気部品や配線を設ける必要がなく、解凍用筐体4をシンプルな構造のものとすることができる。更にマグネットカップシング36を用いることにより、液体漏れ防止のシール機構等を有さずに、確実に循環ポンプ30を稼働させることができる。
【0092】
また、給液用筐体50が冷蔵室104内に配置されるので、給液用筐体50内の液体を凍結させることなく製氷皿80に供給することができる。これとともに、解凍用筐体4が冷蔵室104内に配置されるので、解凍された食品Gが配置された解凍用筐体4内の液体の温度を、引き続き適切な冷蔵温度に保つことができるので、食品Gの品質を保ったまま保存することができる。
【0093】
(本発明の第2の実施形態に係る冷蔵庫)
次に、
図7及び
図8を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る冷蔵庫100の概要を説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る冷蔵庫100を模式的示す側面断面図であって、給液用筐体50が駆動筐体6に取り付けられ給液を行っている状態を示す図である。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る冷蔵庫100を模式的示す側面断面図であって、解凍用筐体4が駆動筐体6に取り付けられ解凍を行っている状態を示す図である。
【0094】
上記の第1の実施形態では、給液ポンプ60及び循環ポンプ30の2つのポンプが備えられているが、第2の実施形態では、駆動筐体6内の給液ポンプ60が存在せず、1つの給液循環ポンプ30’が、給液ポンプとしても、循環ポンプとしても機能する点で異なる。つまり、上記の第1の実施形態に係る給液ポンプ60は「給液専用ポンプ」であり、循環ポンプ30は「循環専用ポンプ」である。一方、第2の実施形態及び後述する第3の実施形態に係る給液循環ポンプ30’は「給液循環兼用ポンプ」である。第1から第3の実施形態に係るポンプを総称すれば、「給液ポンプ及び循環ポンプとして機能する少なくとも1つのポンプ」と称することができる。
【0095】
給液循環ポンプ30’は、ポンプ本体32’が給液用または解凍用の筐体50,4内に配置され、駆動部34’が駆動筐体6内に配置され、両者がマグネットカップリング36により非接触で連結されている。給液循環ポンプ30’が給液ポンプとして機能するとき、筐体を給液用筐体50として用いることができ、給液循環ポンプ30’が循環ポンプとして機能するとき、筐体を解凍用筐体4として用いることができる。
【0096】
図7に示すような給液を行う場合には、マグネットカップリング36を介して駆動される給液用筐体50内のポンプ本体32’の吐出口に、配管71が接続されている。配管71の先端の挿入部73が、駆動筐体6内に配置された給液配管63に設けられたコネクタ65と接続するようになっている。これにより、図の点線の矢印に示すように、駆動筐体6内に蓄えられた液体が、吸込口32B’からポンプ本体32’に吸い込まれ、ポンプ本体32’の吐出口から配管71及び給液配管63内を流れて、製氷皿80に供給される。
【0097】
図8に示すような解凍を行う場合には、マグネットカップリング36を介して駆動される解凍用筐体4内のポンプ本体32’の吐出口に、ポンプ出側配管39が接続されている。ポンプ出側配管39の先端の給液口39Aは、平面視で、蓄液領域10の給液循環ポンプ30’が配置された側の端部と反対側の端部近傍に配置されている。これにより、図の点線の矢印に示すように、解凍用筐体4の蓄液領域10に蓄えられた液体が、吸込口32B’からポンプ本体32’に吸い込まれ、ポンプ本体32’の吐出口からポンプ出側配管39内を流れて、給液口39Aから再び蓄液領域10内へ戻る。このとき、解凍を行う食品Gを、給液口39Aから吸込口32B’へ流れる液体の流路に配置することにより、循環する液体の流れにより食品Gを効率的に解凍することができる。
【0098】
給液用筐体50や解凍用筐体4を駆動筐体6と着脱させる機構は、上記の第1の実施形態と同様であるので、更に詳細な説明は省略する。
【0099】
第2の実施形態では、ポンプ本体32’の吐出口に配管71が接続された給液用筐体50と、
ポンプ本体32’の吐出口にポンプ出側配管39が接続された解凍用筐体4とを個別に備えることができる。更に、解凍用及び給液用を兼用した1つの筐体を備え、筐体内に配置されたポンプ本体32’の吐出口に接続する配管を付け替えることにより、筐体を解凍用筐体4及び給液用筐体50として用いることもできる。つまり、ポンプ本体32’の吐出口に配管71を接続することにより、筐体を給液用筐体50として機能させ、ポンプ本体32’の吐出口にポンプ出側配管39を接続することにより、筐体を解凍用筐体4として機能させることができる。
【0100】
(本発明の第3の実施形態に係る冷蔵庫)
次に、
図9A及び
図9Bを参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る冷蔵庫100の概要を説明する。
図9Aは、本発明の第3の実施形態に係る冷蔵庫100を模式的示す側面断面図であって、三方弁74の切り替えにより給液を行っている状態を示す図である。
図9Bは、本発明の第3の実施形態に係る冷蔵庫100を模式的示す側面断面図であって、三方弁74の切り替えにより解凍を行っている状態を示す図である。
【0101】
上記の第2の実施形態では、マグネットカップリング36を介して駆動されるポンプ本体32’の吐出口に接続される配管を付け替えて、給液及び解凍を切り換えていたが、第3の実施形態では、予め給液用及び解凍用の配管71,39は取り付けられており、弁の切り替えで、給液及び解凍を切り換える点で異なる。
【0102】
第3の実施形態では、マグネットカップリング36を介して駆動されるポンプ本体32’の吐出口に接続された配管71の途中から、ポンプ出側配管39が分岐して横方向に延びている。配管71及びポンプ出側配管39の接続点には、三方弁74が取り付けられている。この三方弁74の切り替えにより、ポンプ本体32’の吐出口と配管71の挿入部73側(製氷皿80側)とが連通し、ポンプ本体32’の吐出口とポンプ出側配管39とが遮断された給液モードと、ポンプ本体32’の吐出口とポンプ出側配管39とが連通し、ポンプ本体32’の吐出口と配管71の挿入部73側(製氷皿80側)とが遮断された解凍モードとに切り替えることができる。
【0103】
給液モードでは、給液循環ポンプ30’を駆動させることにより、給液用筐体50(4)内の液体を製氷皿80に供給することができる。解凍モードでは、給液循環ポンプ30’を駆動させることにより、解凍用筐体4(50)内の液体を循環させて、食品Gの解凍を行うことができる。第3の実施形態では、例えば、給液モードを採用しているときに、急に食品Gの解凍が必要となったとき、加熱部材20を稼働させ、三方弁74を解凍モードに切り替えることにより、速やかに食品Gを解凍することもできる。
【0104】
本実施形態では、モードの切り替えを行うのに三方弁74を用いているが、これに限られるものではない。例えば、配管71の挿入部73側及びポンプ出側配管39のそれぞれに開閉弁を設けることもできるし、その他の任意の切替手段を用いてモードを切り替えることができる。
【0105】
以上のように、本発明の第2及び第3の実施形態に係る冷蔵庫100では、給液用筐体50または解凍用筐体4として機能する筐体の中に配置されたポンプ本体32’が、マグネットカップリング36を介して、駆動筐体6内に配置された駆動部34’により駆動され、筐体が給液用筐体50として機能するとき、ポンプ本体32’の吸込口32B’から吸い込まれた筐体50内の液体が、ポンプ本体32’の吐出側から駆動筐体6に配置された配管63を介して製氷皿80へ供給され、筐体が解凍用筐体4として機能するとき、ポンプ本体32’の吸込口32B’から吸い込まれた筐体4内の液体が、ポンプ本体32’の吐出側から筐体4内に配置された配管39を介して再び筐体4内に戻されるようになっている。
【0106】
第2及び第3の実施形態では、ポンプ本体32’から吐出される液体を製氷皿80側に流すか、筐体4に戻すかの切り替えにより、1つのポンプ30’を給液ポンプ及び循環ポンプとして機能させることができる。これに伴い、筐体を給液用筐体50及び解凍用筐体4として機能させることができる。これにより、機能的でコンパクトな給液・解凍機構が実現できる。
【0107】
以上のように、上記の第1から第3の実施形態を含む本発明の実施形態に係る冷蔵庫100は、庫内に固定された駆動筐体6と、駆動筐体6と着脱可能であり、製氷皿80へ供給する液体を蓄える給液用筐体50と、給液用筐体50の代わりに駆動筐体6と着脱可能であり、解凍すべき食品Gを収容するとともに液体を蓄える解凍用筐体4と、駆動筐体6、給液用筐体50または解凍用筐体4内に配置され、給液用筐体50内の液体を製氷皿80へ供給する給液ポンプ及び解凍用筐体4内の液体を循環させる循環ポンプとして機能する少なくとも1つのポンプ30,30’,60と、少なくとも解凍用筐体4内の液体を加熱する加熱部材20と、を備え、駆動筐体6に給液用筐体50が取り付けられているとき、給液ポンプとして機能するポンプ30’,60により給液用筐体50内の液体が製氷皿80に供給され、駆動筐体6に解凍用筐体4が取り付けられているとき、加熱部材20により所定の温度となり循環ポンプとして機能するポンプ30,30’により流動した液体によって食品Gが解凍される。
【0108】
これにより、有効収納スペースの減少を抑制しながら食品Gの解凍が可能な冷蔵庫100を提供することができる。
【0109】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0110】
4 解凍用筐体
4A 蓋
4B 当接面
4C 底面
6 駆動筐体
6A 挿入部
6B 当接面
10 蓄液領域
12 凸部材
20 加熱部材
22 伝熱促進部材
30 循環ポンプ
30’ 給液循環ポンプ
32 ポンプ本体
32’ ポンプ本体
32A インペラ
32B 吸込口
32B’ 吸込口
34 駆動部
34’ 駆動部
36 マグネットカップリング
36A ポンプ本体側部分
36B 駆動部側部分
38 ポンプ出側配管
38A 給液口
39 ポンプ出側配管
39A 給液口
40 温度センサ
50 給液用筐体
50A 蓋
60 給液ポンプ
62 入側配管
63 給液配管
64 コネクタ
65 コネクタ
66 出側配管
70 吸込配管
71 配管
70A 下方の端部
72 挿入部
73 挿入部
74 三方弁
80 製氷皿
100 冷蔵庫
102 冷凍室
104 冷蔵室
106 蒸発器
108 ファン
110 圧縮機
112 冷凍室ダンパ
114 冷蔵室ダンパ
120 冷却流路
122 仕切板
130 制御部
G 食品
C1,C2 端子