(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132492
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H03H 5/02 20060101AFI20240920BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240920BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H03H5/02
H01F17/00 D
H01F27/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043276
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 敬悟
(72)【発明者】
【氏名】芦田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】工藤 美沙子
(72)【発明者】
【氏名】小山 達哉
(72)【発明者】
【氏名】小松 亮介
(72)【発明者】
【氏名】立松 雅大
【テーマコード(参考)】
5E070
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB06
5E070CB13
5E070CB17
5J024AA01
5J024BA04
5J024CA01
5J024DA04
5J024DA25
(57)【要約】
【課題】素体の大型化を抑制しつつ、Q値の向上が図れる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、複数の絶縁層を積層して形成されている素体2と、素体2内に配置されている共振器9と、を備え、共振器9は、複数の絶縁層の積層方向に延在している第一導体11及び第二導体12と、第一導体11及び第二導体12を電気的に接続しているインダクタ導体13,14と、を有し、第一導体11及び第二導体12のうちの少なくとも一つの導体において、当該導体を積層方向からから見たときに、一方向の第一長さL1が、一方向に直交する他方向の第二長さL2よりも長く、積層方向から見たときに、第一導体11及び第二導体12が並んでいる方向と一方向とが直交している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層を積層して形成されている素体と、
前記素体内に配置されている共振器と、を備え、
前記共振器は、
複数の前記絶縁層の積層方向に延在している二つの導体と、
二つの前記導体を電気的に接続している接続導体と、を有し、
二つの前記導体のうちの少なくとも一つの前記導体において、当該導体を前記積層方向から見たときに、一方向の第一長さが、前記一方向に直交する他方向の第二長さよりも長く、
前記積層方向から見たときに、二つの前記導体が並んでいる方向と前記一方向とが直交している、電子部品。
【請求項2】
前記導体の側面には、複数の窪みが設けられており、
複数の前記窪みは、前記他方向において対向して配置されていると共に前記積層方向に延在している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
二つの前記導体のそれぞれは、前記第一長さが前記第二長さよりも長い、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記素体は、
第一方向において互いに対向している一対の端面と、
第二方向において互いに対向している一対の主面と、
第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有し、
前記素体の前記第一方向における長さは、前記第二方向における長さ及び前記第三方向における長さよりも長く、
前記導体の前記第一長さは、前記第一方向における長さであり、
前記導体の前記第二長さは、前記第三方向における長さである、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記接続導体は、前記第二方向に延在している、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
二つの前記導体の間に、複数の前記接続導体が接続されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、複数の絶縁層が積層されて形成されている素体と、素体内に配置されている共振器と、を備えている(たとえば、特許文献1参照)。共振器は、複数の絶縁層の積層方向に沿って延在している二つの導体と、二つの導体を電気的に接続している接続導体と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の共振器において、Q値の向上の観点からは、上記導体の抵抗値を低くすることが望まれる。導体の抵抗値を低くするためには、導体の断面積(径)を大きくすることが必要となる。しかしながら、素体の大きさを維持しつつ導体の断面積を大きくすると、二つの導体と接続導体とによって形成される空間(開口)が狭くなり得る。この場合、導体の周囲に磁束が発生する領域が小さくなるため、導体の周囲に磁界が形成され難くなる。これにより、電子部品では、二つの導体及び接続導体によって構成されるインダクタの見かけの体積が減少し、Q値が低下し得る。一方で、電子部品において、導体の断面積を大きくしつつ、二つの導体と接続導体とによって形成される空間を確保しようとすると、素体を大きくさせざるを得ない。
【0005】
本発明の一側面は、素体の大型化を抑制しつつ、Q値の向上が図れる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る電子部品は、複数の絶縁層を積層して形成されている素体と、素体内に配置されている共振器と、を備え、共振器は、複数の絶縁層の積層方向に延在している二つの導体と、二つの導体を電気的に接続している接続導体と、を有し、二つの導体のうちの少なくとも一つの導体において、当該導体を積層方向から見たときに、一方向の第一長さが、一方向に直交する他方向の第二長さよりも長く、積層方向から見たときに、二つの導体が並んでいる方向と一方向とが直交している。
【0007】
本発明の一側面に係る電子部品では、二つの導体のうちの少なくとも一つの導体において、当該導体を積層方向から見たときに、一方向の第一長さが、一方向に直交する他方向の第二長さよりも長い。この構成では、導体の断面積を大きくすることができるため、導体の抵抗値を低くすることができ、Q値の向上が図れる。また、電子部品では、積層方向から見たときに、二つの導体が並んでいる方向と上記一方向とが直交している。これにより、電子部品では、導体の断面積を大きくした場合であっても、素体を大型化することなく、二つの導体と接続導体とによって形成される空間を確保できる。そのため、電子部品では、磁束が発生する領域を確保でき、導体の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品では、導体及び接続導体を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができ、Q値の向上が図れる。以上にように、電子部品では、素体の大型化を抑制しつつ、Q値の向上が図れる。
【0008】
(2)上記(1)の電子部品において、導体の側面には、複数の窪みが設けられており、複数の窪みは、他方向において対向して配置されていると共に積層方向に延在していてもよい。この構成では、導体と接続導体との接合強度の向上を図ることができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の電子部品において、二つの導体のそれぞれは、第一長さが第二長さよりも長くてもよい。この構成では、二つの導体の断面積を大きくすることができるため、二つの導体の抵抗値を低くすることができる。したがって、電子部品では、Q値の向上がより一層図れる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つの電子部品において、素体は、第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有し、素体の第一方向における長さは、第二方向における長さ及び第三方向における長さよりも長く、導体の第一長さは、第一方向における長さであり、導体の第二長さは、第三方向における長さであってもよい。この構成では、導体の延在方向(一方向)が素体の長手方向(第一方向)に沿うように導体が素体内に配置され、接続導体が素体の短手方向(第三方向)に沿うように配置される。そのため、電子部品では、導体の延在方向が素体の短手方向(第三方向)に沿うように配置される場合に比べて、素体内の限られたスペース内に多くの(複数の)共振器を配置することができる。したがって、電子部品の上記構成では、素体内に共振器を複数配置する場合において、素体内のスペースを有効に利用することができる(空間効率を高めることができる)。
【0011】
(5)上記(4)の電子部品において、接続導体は、第二方向に延在していてもよい。この構成では、導体の延在方向(一方向)が素体の長手方向(第一方向)に沿う構成において、接続導体の長さを確保することができる。そのため、電子部品では、素体内において二つの導体及び接続導体によって形成される空間を大きくすることができる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)の電子部品において、二つの導体の間に、複数の接続導体が接続されていてもよい。このように、複数の接続導体を備える構成では、複数の接続導体を増減させることにより、インダクタンスの調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、素体の大型化を抑制しつつ、Q値の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
【
図8】
図8は、第二実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
【
図14】
図14は、第三実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5及び
図6を参照して、第一実施形態に係る電子部品を説明する。
図1は、第一実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
図2は、
図1に示す電子部品の透過斜視図である。
図3は、
図1に示す電子部品の側面図である。
図4は、
図1に示す電子部品の端面図である。
図5は、
図1に示す電子部品を上から見た図である。
図6は、
図1に示す電子部品を下から見た図である。
図1~
図6に示されるように、電子部品1は、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8と、共振器9と、を備えている。
図1~
図6では、素体2を二点鎖線で示している。
【0017】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、外面として、一対の端面2a,2bと、一対の主面2c,2dと、一対の側面2e,2fと、を有している。端面2a,2bは、互いに対向している。主面2c,2dは、互いに対向している。側面2e,2fは、互いに対向している。以下では、端面2a,2bの対向方向を第一方向D1、主面2c,2dの対向方向を第二方向D2、及び、側面2e,2fの対向方向を第三方向D3とする。第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は互いに略直交している。
【0018】
端面2a,2bは、主面2c,2dを連結するように第二方向D2に延在している。端面2a,2bは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。主面2c,2dは、端面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。主面2c,2dは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。側面2e,2fは、端面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。側面2e,2fは、主面2c,2dを連結するように第二方向D2にも延在している。
【0019】
主面2dは、実装面であり、たとえば電子部品1を図示しない他の電子機器(たとえば、回路基材、又は積層電子部品)に実装する際、他の電子機器と対向する面である。端面2a,2bは、実装面(すなわち主面2d)から連続する面である。
【0020】
素体2の第一方向D1における長さは、素体2の第二方向D2における長さ及び素体2の第三方向D3における長さよりも長い。素体2の第二方向D2における長さは、素体2の第三方向D3における長さよりも短い。すなわち、本実施形態では、端面2a,2b、主面2c,2d及び側面2e,2fは、長方形状を呈している。素体2の第二方向D2における長さは、素体2の第三方向D3における長さと同等であってもよいし、素体2の第三方向D3における長さよりも長くてもよい。
【0021】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0022】
素体2は、複数の素体層(絶縁層)(図示省略)が第二方向D2において積層されてなる。つまり、素体2の積層方向は、第二方向D2である。実際の素体2では、複数の素体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されていてもよいし、層間の境界が視認できるように一体化されていてもよい。
【0023】
素体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。誘電体材料は、たとえば、BaTiO3系材料、Ba(Ti,Zr)O3系材料、(Ba,Ca)TiO3系材料、ガラス材料、又はアルミナ材料から選択された少なくとも1つを含んでいる。
【0024】
図6に示されるように、第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8のそれぞれは、素体2に設けられている。第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8のそれぞれは、素体2の主面2dに配置されている。第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8のそれぞれは、長方形状(矩形状)を呈している。第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8のそれぞれは、各辺が第一方向D1又は第三方向D3に沿うように配置されている。第五端子電極7及び第六端子電極8の第三方向D3の長さは、第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6の第三方向D3の長さよりも長い。
【0025】
第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5及び第四端子電極6は、主面2dの中央寄りの位置に配置されている。第一端子電極3と第二端子電極4とは、第一方向D1において互いに離間して配置されている。第三端子電極5と第四端子電極6とは、第一方向D1において互いに離間して配置されている。第一端子電極3と第三端子電極5とは、第三方向D3において互いに離間して配置されている。第二端子電極4と第四端子電極6とは、第三方向D3において互いに離間して配置されている。
【0026】
第五端子電極7は、主面2dにおいて端面2a寄りの位置に配置されている。第六端子電極8は、主面2dにおいて端面2b寄りの位置に配置されている。第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5及び第四端子電極6は、第一方向D1において、第五端子電極7と第六端子電極8との間に配置されている。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8は、主面2dよりも突出している。すなわち、本実施形態では、第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8のそれぞれの表面は、主面2dと面一ではない。第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8は、導電材料(たとえば、Cu)により構成されている。
【0028】
第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8のそれぞれには、電解めっき又は無電解めっきが施されることにより、たとえばNi、Sn、Auなどを含むめっき層(図示省略)が設けられてもよい。めっき層は、たとえばNiを含み第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8を覆うNiめっき膜と、Auを含み、Niめっき膜を覆うAuめっき膜と、を有していてもよい。
【0029】
共振器9は、グラウンド導体10と、第一導体11と、第二導体12と、インダクタ導体(接続導体)13と、インダクタ導体(接続導体)14と、キャパシタパット15と、備えている。
【0030】
グラウンド導体10は、素体2の主面2d側に配置されている。グラウンド導体10は、第二方向D2から見て、略H字形状を呈している。グラウンド導体10は、第三端子電極5と電気的に接続されている。グラウンド導体10と第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5及び第四端子電極6とは、それぞれ接続導体16によって電気的に接続されている。
【0031】
第一導体11は、第二方向D2に沿って延在している。第一導体11は、複数のビア導体によって構成され得る。第一導体11は、素体2の第一方向D1の中央寄りの位置において、素体2の側面2e寄りの位置に配置されている。第一導体11は、第二方向D2から見て、第一端子電極3と重なる位置に配置されている。第一導体11は、第一端部11Aと、第二端部11Bと、を有している。第一導体11の第一端部11Aは、インダクタ導体13に接続されている。第一導体11の第二端部11Bは、グラウンド導体10に接続されている。
【0032】
第二導体12は、第二方向D2に沿って延在している。第二導体12は、複数のビア導体によって構成され得る。第二導体12は、素体2の第一方向D1の中央寄りの位置において、素体2の側面2f寄りの位置に配置されている。第二導体12は、第二方向D2から見て、第三端子電極5と重なる位置に配置されている。第二導体12は、第三方向D3において、第一導体11と対向する位置に配置されている。第一導体11と第二導体12とは、第三方向D3において互いに離間して配置されている。第二導体12は、第一端部12Aと、第二端部12Bと、を有している。第二導体12の第一端部12Aは、インダクタ導体13に接続されている。第二導体12の第二端部12Bは、キャパシタパット15に接続されている。
【0033】
図7は、導体(第一導体11、第二導体12)の断面構成を示す図である。
図7に示す第一導体11及び第二導体12の断面は、第一方向D1及び第三方向D3に沿った平面の断面である。
図7に示されるように、第一導体11及び第二導体12は、同じ形状を呈している。第一導体11及び第二導体12は、第二方向D2から見たときに、第一方向D1(一方向)の第一長さL1が第三方向D3(他方向)の第二長さL2よりも長い(L1>L2)。第一導体11及び第二導体12は、第一長さL1が第一方向D1に沿い、第二長さL2が第三方向D3に沿うように配置されている。すなわち、第一導体11及び第二導体12の延在方向は、第一導体11と第二導体12とが並んでいる方向(第三方向D3)に直交している。直交とは、略直交を含むものであり、例えば±3°程度の範囲を含み得る。
【0034】
本実施形態では、第一導体11及び第二導体12は、三つの円が重なった形状を呈している。具体的には、第一導体11及び第二導体12は、隣り合う一対の円のそれぞれの一部が重なった形状を呈している。例えば、隣り合う二つの円は、一方の円の外周が他方の円の中心を通るように重なっている。第一導体11及び第二導体12の側面11S,12Sは、湾曲面で構成されている。第一導体11及び第二導体12の側面11S,12Sには、複数の窪み11C,12Cが設けられている。窪み11C,12Cは、第二方向D2に延在している。窪み11C,12Cは、第一方向D1において、所定の間隔をあけて配置されている。窪み11C,12Cは、第三方向D3において、対向する位置に配置されている。
【0035】
図1~
図5に示されるように、インダクタ導体13は、インダクタを構成している。本実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、インダクタ導体13は、第一部分13Aと、第二部分13Bと、第三部分13Cと、を有している。第一部分13A、第二部分13B及び第三部分13Cは、一体に形成されている。第一部分13A、第二部分13B及び第三部分13Cは、所定の幅を有している。
【0036】
第一部分13Aは、第二方向D2に沿って直線状に延在している。第二部分13Bは、第一部分13Aの側面2e側の端部に接続されている。第二部分13Bは、湾曲している。第三部分13Cは、第一部分13Aの側面2f側の端部に接続されている。第三部分13Cは、湾曲している。インダクタ導体13は、第一導体11の第一端部11Aと第二導体12の第一端部12Aとにわたって架設されている。具体的には、インダクタ導体13の第二部分13Bが第一導体11の第一端部11Aに接続され、インダクタ導体13の第三部分13Cが第二導体12の第一端部12Aに接続されている。インダクタ導体13は、第一導体11と第二導体12とを電気的に接続している。
【0037】
インダクタ導体14は、インダクタを構成している。本実施形態では、インダクタ導体14は、第一部分14Aと、第二部分14Bと、第三部分14Cと、を有している。第一部分14A、第二部分14B及び第三部分14Cは、一体に形成されている。第一部分14A、第二部分14B及び第三部分14Cは、所定の幅を有している。
【0038】
インダクタ導体14は、インダクタ導体13と同じ形状を呈している。第一部分14Aは、第二方向D2に沿って直線状に延在している。第二部分14Bは、第一部分14Aの側面2e側の端部に接続されている。第二部分14Bは、湾曲している。第三部分14Cは、第一部分14Aの側面2f側の端部に接続されている。インダクタ導体14は、インダクタ導体13と第一方向D1において対向して配置されている。
【0039】
インダクタ導体14の第二部分14Bは、インダクタ導体13の第二部分13Bと接続導体17によって電気的に接続されている。インダクタ導体14の第三部分14Cは、インダクタ導体13の第三部分13Cと接続導体18によって電気的に接続されている。インダクタ導体14は、第一導体11と第二導体12とを電気的に接続している。
【0040】
キャパシタパット15は、第二方向D2から見て、略L字形状を呈している。キャパシタパット15は、グラウンド導体10と共にキャパシタを構成している。キャパシタパット15は、第二導体12の第二端部12Bに接続されている。キャパシタパット15は、グラウンド導体10と第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1では、第一導体11及び第二導体12のそれぞれは、第二方向D2から見たときに、第一方向D1の第一長さL1が、第三方向D3の第二長さL2よりも長い。この構成では、第一導体11及び第二導体12の断面積を大きくすることができるため、第一導体11及び第二導体12の抵抗値を低くすることができ、Q値の向上が図れる。また、電子部品1では、第二方向D2から見たときに、第一導体11及び第二導体12が並んでいる第三方向D3と第一導体11及び第二導体12の延在方向(第一方向D1)とが直交している。これにより、電子部品1では、第一導体11及び第二導体12の断面積を大きくした場合であっても、素体2を大型化することなく、第一導体11及び第二導体12とインダクタ導体13,14とによって形成される空間を確保できる。そのため、電子部品1では、磁束が発生する領域を確保でき、第一導体11及び第二導体12の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品1では、第一導体11及び第二導体12及びインダクタ導体13,14を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができ、Q値の向上が図れる。以上にように、電子部品1では、素体2の大型化を抑制しつつ、Q値の向上が図れる。
【0042】
本実施形態に係る電子部品1では、第一導体11及び第二導体12の側面11S,12Sには、複数の窪み11C,12Cが設けられている。複数の窪み11C,12Cは、第三方向D3において対向して配置されていると共に第二方向D2に延在している。この構成では、第一導体11及び第二導体12とインダクタ導体13との接合強度の向上を図ることができる。
【0043】
[第二実施形態]
続いて、
図8、
図9、
図10、
図11及び
図12を参照して、第二実施形態に係る電子部品を説明する。
図8は、第二実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
図9は、
図8に示す電子部品の透過斜視図である。
図10は、
図8に示す電子部品の側面図である。
図11は、
図8に示す電子部品の端面図である。
図12は、
図8に示す電子部品を上から見た図である。
図8~
図12に示されるように、電子部品1Aは、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8と、共振器19と、を備えている。
図8~
図12では、素体2を二点鎖線で示している。
【0044】
共振器19は、グラウンド導体10と、第一導体11と、第二導体12と、第三導体20と、第四導体21と、インダクタ導体13と、インダクタ導体14と、インダクタ導体(接続導体)22と、インダクタ導体(接続導体)23と、キャパシタパット15と、キャパシタパット24と、備えている。
【0045】
共振器19は、第一共振器19Aと、第二共振器19Bと、を含んでいる。第一共振器19Aは、第一導体11、第二導体12、インダクタ導体13、インダクタ導体14及びキャパシタパット15を含んで構成されている。第二共振器19Bは、第三導体20、第四導体21、インダクタ導体22、インダクタ導体23及びキャパシタパット24を含んで構成されている。
【0046】
第三導体20は、第二方向D2に沿って延在している。第三導体20は、複数のビア導体によって構成され得る。第三導体20は、素体2の第一方向D1の中央寄りの位置において、素体2の側面2e寄りの位置に配置されている。第三導体20は、第二方向D2から見て、第二端子電極4と重なる位置に配置されている。第三導体20は、第一導体11よりも素体2の端面2b側に配置されている。すなわち、第一導体11は、第三導体20よりも素体2の端面2a側に配置されている。第三導体20は、第一方向D1において、第一導体11と対向する位置に配置されている。第三導体20と第一導体11とは、第一方向D1において互いに離間して配置されている。
【0047】
第三導体20は、第一端部20Aと、第二端部20Bと、を有している。第三導体20の第一端部20Aは、インダクタ導体22に接続されている。第三導体20の第二端部20Bは、グラウンド導体10に接続されている。
【0048】
第四導体21は、第二方向D2に沿って延在している。第四導体21は、複数のビア導体によって構成され得る。第四導体21は、素体2の第一方向D1の中央寄りの位置において、素体2の側面2f寄りの位置に配置されている。第四導体21は、第二方向D2から見て、第四端子電極6と重なる位置に配置されている。第四導体21は、第二導体12よりも素体2の端面2b側に配置されている。すなわち、第二導体12は、第四導体21よりも素体2の端面2a側に配置されている。第四導体21は、第一方向D1において、第二導体12と対向する位置に配置されている。第四導体21と第二導体12とは、第一方向D1において互いに離間して配置されている。第四導体21は、第三方向D3において、第三導体20と対向する位置に配置されている。第四導体21と第三導体20とは、第三方向D3において互いに離間して配置されている。
【0049】
第四導体21は、第一端部21Aと、第二端部21Bと、を有している。第四導体21の第一端部21Aは、インダクタ導体22に接続されている。第四導体21の第二端部21Bは、キャパシタパット24に接続されている。
【0050】
図13は、導体(第三導体20、第四導体21)の断面構成を示す図である。
図13に示す第三導体20及び第四導体21の断面は、第一方向D1及び第三方向D3に沿った平面の断面である。
図13に示されるように、第三導体20及び第四導体21は、同じ形状を呈している。第三導体20及び第四導体21は、第二方向D2から見たときに、第一方向D1の第一長さL1が第三方向D3の第二長さL2よりも長い(L1>L2)。第三導体20及び第四導体21は、第一長さL1が第一方向D1に沿い、第二長さL2が第三方向D3に沿うように配置されている。すなわち、第三導体20及び第四導体21の延在方向は、第三導体20と第四導体21とが並んでいる方向(第三方向D3)に直交している。直交とは、略直交を含むものであり、例えば±3°程度の範囲を含み得る。
【0051】
第三導体20及び第四導体21は、三つの円が重なった形状を呈している。具体的には、第三導体20及び第四導体21は、隣り合う一対の円のそれぞれの一部が重なった形状を呈している。例えば、隣り合う二つの円は、一方の円の外周が他方の円の中心を通るように重なっている。第三導体20及び第四導体21の側面20S,21Sは、湾曲面で構成されている。第三導体20及び第四導体21の側面20S,21Sには、複数の窪み20C,21Cが設けられている。窪み20C,21Cは、第二方向D2に延在している。窪み20C,21Cは、第一方向D1において、所定の間隔をあけて配置されている。窪み20C,21Cは、第三方向D3において、対向する位置に配置されている。
【0052】
図8~
図12に示されるように、インダクタ導体22は、インダクタを構成している。本実施形態では、
図8及び
図9に示されるように、インダクタ導体22は、第一部分22Aと、第二部分22Bと、第三部分22Cと、を有している。第一部分22A、第二部分22B及び第三部分22Cは、一体に形成されている。第一部分22A、第二部分22B及び第三部分22Cは、所定の幅を有している。
【0053】
第一部分22Aは、第二方向D2に沿って直線状に延在している。第二部分22Bは、第一部分22Aの側面2e側の端部に接続されている。第二部分22Bは、湾曲している。第三部分22Cは、第一部分22Aの側面2f側の端部に接続されている。第三部分22Cは、湾曲している。インダクタ導体22は、第二方向D2から見て、インダクタ導体13と線対称に配置されている。
【0054】
インダクタ導体22は、第三導体20の第一端部20Aと第四導体21の第一端部21Aとにわたって架設されている。具体的には、インダクタ導体22の第二部分22Bが第三導体20の第一端部20Aに接続され、インダクタ導体22の第三部分22Cが第四導体21の第一端部21Aに接続されている。インダクタ導体22は、第三導体20と第四導体21とを電気的に接続している。
【0055】
インダクタ導体23は、インダクタを構成している。本実施形態では、インダクタ導体23は、第一部分23Aと、第二部分23Bと、第三部分23Cと、を有している。第一部分23A、第二部分23B及び第三部分23Cは、一体に形成されている。第一部分14A、第二部分23B及び第三部分23Cは、所定の幅を有している。
【0056】
インダクタ導体23は、インダクタ導体22と同じ形状を呈している。第一部分23Aは、第二方向D2に沿って直線状に延在している。第二部分23Bは、第一部分23Aの側面2e側の端部に接続されている。第二部分23Bは、湾曲している。第三部分23Cは、第一部分23Aの側面2f側の端部に接続されている。インダクタ導体23は、インダクタ導体22と第一方向D1において対向して配置されている。インダクタ導体23は、第二方向D2から見て、インダクタ導体14と線対称に配置されている。
【0057】
インダクタ導体23の第二部分23Bは、インダクタ導体22の第二部分22Bと接続導体25によって電気的に接続されている。インダクタ導体23の第三部分23Cは、インダクタ導体22の第三部分22Cと接続導体26によって電気的に接続されている。インダクタ導体23は、第三導体20と第四導体21とを電気的に接続している。
【0058】
キャパシタパット24は、第二方向D2から見て、略L字形状を呈している。キャパシタパット24は、グラウンド導体10と共にキャパシタを構成している。キャパシタパット24は、第四導体21の第二端部21Bに接続されている。キャパシタパット24は、グラウンド導体10と第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。キャパシタパット24は、第二方向D2から見て、キャパシタパット15と線対称に配置されている。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Aでは、第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21のそれぞれは、第二方向D2から見たときに、第一方向D1の第一長さL1が、第三方向D3の第二長さL2よりも長い。この構成では、第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21の断面積を大きくすることができるため、第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21の抵抗値を低くすることができ、Q値の向上が図れる。
【0060】
また、電子部品1Aでは、第二方向D2から見たときに、第一導体11及び第二導体12、第三導体20及び第四導体21が並んでいる第三方向D3と第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21の延在方向(第一方向D1)とが直交している。これにより、電子部品1Aでは、第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21の断面積を大きくした場合であっても、素体2を大型化することなく、第一導体11及び第二導体12とインダクタ導体13,14、第三導体20及び第四導体21とインダクタ導体22,23とによって形成される空間を確保できる。そのため、電子部品1Aでは、磁束が発生する領域を確保でき、第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品1Aでは、第一導体11及び第二導体12及びインダクタ導体13,14を含んで構成されるインダクタ、及び、第三導体20及び第四導体21とインダクタ導体22,23を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができ、Q値の向上が図れる。以上にように、電子部品1Aでは、素体2の大型化を抑制しつつ、Q値の向上が図れる。
【0061】
本実施形態に係る電子部品1Aでは、素体2は、第一方向D1において互いに対向している一対の端面2a,2bと、第二方向D2において互いに対向している一対の主面2c,2dと、第三方向D3において互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。素体2の第一方向D1における長さは、第二方向D2における長さ及び第三方向D3における長さよりも長い。第一導体11及び第二導体12の第一長さL1並びに第三導体20及び第四導体21の第一長さL1は、第一方向D1における長さであり、第一導体11及び第二導体12の第二長さL2並びに第三導体20及び第四導体21の第二長さL2は、第三方向D3における長さである。
【0062】
この構成では、第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21の延在方向が素体2の長手方向(第一方向D1)に沿うように第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21が素体2内に配置され、インダクタ導体13,14,22,23が素体2の短手方向(第三方向D3)に沿うように配置される。そのため、電子部品1Aでは、第一導体11、第二導体12、第三導体20及び第四導体21の延在方向が素体2の短手方向(第三方向D3)に沿うように配置される場合に比べて、素体2内の限られたスペース内に多くの(複数の)共振器19を配置することができる。したがって、電子部品1Aの上記構成では、素体2内に共振器19を複数配置する場合において、素体2内のスペースを有効に利用することができる(空間効率を高めることができる)。
【0063】
[第三実施形態]
続いて、
図14、
図15、
図16、
図17及び
図18を参照して、第三実施形態に係る電子部品を説明する。
図14は、第三実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
図15は、
図14に示す電子部品の透過斜視図である。
図16は、
図14に示す電子部品の側面図である。
図17は、
図14に示す電子部品の端面図である。
図18は、
図14に示す電子部品を上から見た図である。
図14~
図18に示されるように、電子部品1Bは、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4、第三端子電極5、第四端子電極6、第五端子電極7及び第六端子電極8と、共振器30と、を備えている。
図14~
図18では、素体2を二点鎖線で示している。
【0064】
共振器30は、グラウンド導体10と、第一導体11と、第二導体12と、第三導体31と、第四導体32と、インダクタ導体(接続導体)33と、インダクタ導体(接続導体)34と、インダクタ導体35と、キャパシタパット15と、備えている。
【0065】
第一導体11の第一端部11Aは、インダクタ導体33に接続されている。第一導体11の第二端部11Bは、グラウンド導体10に接続されている。第二導体12の第一端部12Aは、インダクタ導体34に接続されている。第二導体12の第二端部12Bは、キャパシタパット15に接続されている。
【0066】
第三導体31は、第二方向D2に沿って延在している。第三導体20は、複数のビア導体によって構成され得る。第三導体20は、素体2の第一方向D1の中央寄りの位置において、素体2の側面2e寄りの位置に配置されている。第三導体31は、第一導体11よりも素体2の端面2b側に配置されている。すなわち、第一導体11は、第三導体31よりも素体2の端面2a側に配置されている。第三導体31は、第一方向D1において、第一導体11と対向する位置に配置されている。第三導体31と第一導体11とは、第一方向D1において互いに離間して配置されている。
【0067】
第三導体31は、第一端部31Aと、第二端部31Bと、を有している。第三導体31の第一端部31Aは、インダクタ導体33に接続されている。第三導体31の第二端部31Bは、インダクタ導体35に接続されている。
【0068】
第四導体32は、第二方向D2に沿って延在している。第四導体32は、複数のビア導体によって構成され得る。第四導体32は、素体2の第一方向D1の中央寄りの位置において、素体2の側面2f寄りの位置に配置されている。第四導体32は、第二導体12よりも素体2の端面2b側に配置されている。すなわち、第二導体12は、第四導体32よりも素体2の端面2a側に配置されている。第四導体32は、第一方向D1において、第二導体12と対向する位置に配置されている。第四導体32と第二導体12とは、第一方向D1において互いに離間して配置されている。第四導体32は、第三方向D3において、第三導体31と対向する位置に配置されている。第四導体32と第三導体31とは、第三方向D3において互いに離間して配置されている。
【0069】
第四導体32は、第一端部32Aと、第二端部32Bと、を有している。第四導体32の第一端部32Aは、インダクタ導体34に接続されている。第四導体32の第二端部32Bは、インダクタ導体35に接続されている。
【0070】
図19は、導体(第三導体31、第四導体32)の断面構成を示す図である。
図19に示す第三導体31及び第四導体32の断面は、第一方向D1及び第三方向D3に沿った平面の断面である。
図19に示されるように、第三導体31及び第四導体32は、同じ形状を呈している。第三導体31及び第四導体32は、第二方向D2から見たときに、第一方向D1の第一長さL1が第三方向D3の第二長さL2よりも長い(L1>L2)。第三導体31及び第四導体32は、第一長さL1が第一方向D1に沿い、第二長さL2が第三方向D3に沿うように配置されている。すなわち、第三導体31及び第四導体32の延在方向は、第三導体31と第四導体32とが並んでいる方向(第三方向D3)に直交している。直交とは、略直交を含むものであり、例えば±3°程度の範囲を含み得る。
【0071】
第三導体31及び第四導体32は、三つの円が重なった形状を呈している。具体的には、第三導体31及び第四導体32は、隣り合う一対の円のそれぞれの一部が重なった形状を呈している。例えば、隣り合う二つの円は、一方の円の外周が他方の円の中心を通るように重なっている。第三導体31及び第四導体32の側面31S,32Sは、湾曲面で構成されている。第三導体31及び第四導体32の側面31S,32Sには、複数の窪み31C,32Cが設けられている。窪み31C,32Cは、第二方向D2に延在している。窪み31C,32Cは、第一方向D1において、所定の間隔をあけて配置されている。窪み31C,32Cは、第三方向D3において、対向する位置に配置されている。
【0072】
図14~
図18に示されるように、インダクタ導体33は、インダクタを構成している。インダクタ導体33は、所定の幅を有している。インダクタ導体33は、第一方向D1に沿って直線状に延在している。インダクタ導体33は、第一導体11の第一端部11Aと第三導体31の第一端部31Aとにわたって架設されている。インダクタ導体33は、第一導体11と第三導体31とを電気的に接続している。
【0073】
インダクタ導体34は、インダクタを構成している。インダクタ導体34は、所定の幅を有している。インダクタ導体34は、インダクタ導体33と同じ形状を呈している。インダクタ導体34は、第一方向D1に沿って直線状に延在している。インダクタ導体34は、第二導体12の第一端部12Aと第四導体32の第一端部32Aとにわたって架設されている。インダクタ導体34は、第二導体12と第四導体32とを電気的に接続している。
【0074】
インダクタ導体35は、インダクタを構成している。インダクタ導体35は、所定の幅を有している。インダクタ導体35は、直線状に延在している。インダクタ導体35は、第三導体31の第二端部31Bと第四導体32の第二端部32Bとにわたって配置されている。インダクタ導体35は、第三導体31と第四導体32とを電気的に接続している。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Bでは、第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32のそれぞれは、第二方向D2から見たときに、第一方向D1の第一長さL1が、第三方向D3の第二長さL2よりも長い。この構成では、第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32の断面積を大きくすることができるため、第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32の抵抗値を低くすることができ、Q値の向上が図れる。
【0076】
また、電子部品1Bでは、第二方向D2から見たときに、第一導体11及び第二導体12、第三導体31及び第四導体32が並んでいる第三方向D3と第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32の延在方向(第一方向D1)とが直交している。これにより、電子部品1Bでは、第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32の断面積を大きくした場合であっても、素体2を大型化することなく、第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32とインダクタ導体33,34,35とによって形成される空間を確保できる。そのため、電子部品1Bでは、磁束が発生する領域を確保でき、第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品1Bでは、第一導体11、第二導体12、第三導体31及び第四導体32及びインダクタ導体33,34,35を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができ、Q値の向上が図れる。以上にように、電子部品1Bでは、素体2の大型化を抑制しつつ、Q値の向上が図れる。
【0077】
本実施形態に係る電子部品1Bは、共振器30は、複数のインダクタ導体33,34,35が接続されている。このように、共振器30では、複数のインダクタ導体を増減させることにより、インダクタンスの調整を行うことができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0079】
上記第一実施形態では、第一導体11及び第二導体12のそれぞれが、第二方向D2から見たときに、第一方向D1の第一長さL1が第三方向D3の第二長さL2よりも長い(L1>L2)形態を一例に説明した。しかし、第一導体11及び第二導体12の少なくとも一方が、第二方向D2から見たときに、第一方向D1の第一長さL1が第三方向D3の第二長さL2よりも長ければよい。第二実施形態の第三導体20及び第四導体21、第三実施形態の第三導体31及び第四導体32についても、同様である。
【0080】
上記実施形態では、第一導体11、第二導体12、第三導体20,31及び第四導体21,32が、三つの円が重なった形状を呈しており、窪み11C,12C,20C,21C,31C,32Cを有する形態を一例に説明した。しかし、第一導体11、第二導体12、第三導体20,31及び第四導体21,32の形状はこれに限定されない。第一導体11、第二導体12、第三導体20,31及び第四導体21,32は、たとえば、長方形状、楕円形状などであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1A,1B…電子部品、2…素体、2a,2b…端面、2c,2d…主面、2e,2f…側面、9,19,30…共振器、11…第一導体、12…第二導体、11C,12C,20C,21C,31C,32C…窪み、13,14,22,23,33,34…インダクタ導体(接続導体)、20,31…第三導体、21,32…第四導体、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、L1…第一長さ、L2…第二長さ。