(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132496
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20240920BHJP
【FI】
H04W28/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043283
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小畑 晴香
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 寿久
(72)【発明者】
【氏名】荒井 甲
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】通信状況に応じてリソースを適切に割り当てることができる通信装置、通信システム及び通信方法を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る通信装置は、無線通信を行う基地局と基地局に接続されるリソース割当装置を具備する。リソース割当装置は、データ送信のためのリソース割当要求を基地局から受信し、データ送信のデータ量と下りチャネルの受信品質からデータ送信に必要な通信ブロック数を求め、通信ブロック数に応じて複数のリソース割当アルゴリズムの中から1つのリソース割当アルゴリズムを選択し、1つのリソース割当アルゴリズムに基づいてデータ送信のためのリソースを割り当て、リソースを基地局へ通知する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に対して無線通信を行う基地局と、
前記基地局に接続されるリソース割当装置と、を具備し、
前記リソース割当装置は、
前記端末へのデータ送信のためのリソース割当要求を前記基地局から受信し、
前記データ送信のデータ量と、前記端末の受信品質と、から、前記データ送信に必要な通信ブロック数を求め、
前記通信ブロック数に応じて、複数のリソース割当アルゴリズムの中から1つのリソース割当アルゴリズムを選択し、
前記1つのリソース割当アルゴリズムに基づいて、前記データ送信のためのリソースを割り当て、
前記リソースを前記基地局へ通知する、通信装置。
【請求項2】
前記複数のリソース割当アルゴリズムは、
第1探索範囲の第1アルゴリズムと、
前記第1探索範囲より狭い第2探索範囲の第2アルゴリズムと、を含む、請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2アルゴリズムは、局所探索法に基づく、請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記リソースは、時間、周波数、空間、電力、符号、軌道角運動量の中の少なくとも一つである、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記リソース割当装置が求める前記通信ブロック数は、前記データ量が多い程多く、前記受信品質が高品質である程少ない、請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
前記リソース割当装置は、前記データ量と前記受信品質を前記基地局から受信する、請求項1記載の通信装置。
【請求項7】
前記リソース割当装置は、固定時間内に前記リソースを前記基地局へ通知する、請求項1記載の通信装置。
【請求項8】
前記リソース割当装置は、前記固定時間に応じて前記1つのリソース割当アルゴリズムの実行時間を制限する、請求項7記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1に記載の通信装置と、
前記基地局と、
前記端末と、を具備する通信システム。
【請求項10】
端末に対して無線通信を行う基地局と、
前記基地局に接続されるリソース割当装置と、を具備する通信装置の通信方法であって、
前記端末へのデータ送信のためのリソース割当要求を前記基地局から受信し、
前記データ送信のデータ量と、前記端末への下りチャネルの受信品質と、から、前記データ送信に必要な通信ブロック数を求め、
前記通信ブロック数に応じて、複数のリソース割当アルゴリズムの中から1つのリソース割当アルゴリズムを選択し、
前記1つのリソース割当アルゴリズムに基づいて、前記データ送信のためのリソースを割り当て、
前記リソースを前記基地局へ通知する、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信装置、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは、多数の端末が同時にデータを通信する。無線通信システムは、端末に通信のためのリソースを割り当てるリソース割当装置を備える。リソース割当装置は、データを通信したい複数の端末にリソースを割り当てる。各端末は、割当られたリソースを使ってデータを通信する。
【0003】
多数の端末が通信したいデータ量は、端末毎に異なる。通信したいデータの発生頻度も端末毎に異なる。リソース割当装置は、これらの状況を考慮してリソースを割り当てることが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、通信状況に応じてリソースを適切に割り当てることができる通信装置、通信システム及び通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る通信装置は、端末に対して無線通信を行う基地局と、前記基地局に接続されるリソース割当装置と、を具備する。前記リソース割当装置は、前記端末へのデータ送信のためのリソース割当要求を前記基地局から受信し、前記データ送信のデータ量と、前記端末への下りチャネルの受信品質と、から、前記データ送信に必要な通信ブロック数を求め、前記通信ブロック数に応じて、複数のリソース割当アルゴリズムの中から1つのリソース割当アルゴリズムを選択し、前記1つのリソース割当アルゴリズムに基づいて、前記データ送信のためのリソースを割り当て、前記リソースを前記基地局へ通知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る通信システムの一例を説明するための図。
【
図2】実施形態に係る制御装置の一例を説明するための図。
【
図3】実施形態に係る第1割当決定部と第2割当決定部の一例を説明するための図。
【
図4】第5世代移動通信システムの変調信号のフレーム構成の一例を説明するための図。
【
図5】実施形態に係るリソースブロックの第1の配置例を説明するための図。
【
図6】実施形態に係るリソースブロックの第2の配置例を説明するための図。
【
図7】実施形態に係るリソースブロックの第3の配置例を説明するための図。
【
図8】実施形態に係るリソースブロックの構成例とミニスロットの割当例を説明するための図。
【
図9】リソースブロックグループ内のリソースブロックの数の一例を説明するための図。
【
図10】Type0のリソース割当の一例を説明するための図。
【
図11】各端末が1つのサブバンドのみ使用する場合の実施形態に係る割当の一例を説明するための図。
【
図12】CQIと伝送効率の一例を説明するための図。
【
図13】各端末が複数のサブバンドを使用する場合の実施形態に係る割当の一例を説明するための図。
【
図14】実施形態に係る、伝送に必要な通信ブロックの数の例を説明するための図。
【
図15】実施形態に係る、端末が複数のサブバンドを使用するか否かの推定の第2例を説明するための図。
【
図16】実施形態に係る割当処理のタイミングを説明するための図。
【
図17】第1時刻と第2時刻の第1設定例を説明するための図。
【
図18】第1時刻と第2時刻の第2設定例を説明するための図。
【
図19】実施形態に係る制御装置の処理の一例を説明するためのフローチャート。
【
図20】実施形態に係る制御装置の処理の一例を説明するためのフローチャート。
【
図21】実施形態に係る割当情報の記述形式の一例を説明するための図。
【
図22】実施形態に係る割当情報の形式の一例を説明するための図。
【
図23】第1変形例に係る通信システムの一例を説明するための図。
【
図24】第2変形例に係る通信システムの一例を説明するための図。
【
図25】第3変形例に係る通信システムの一例を説明するための図。
【
図26】第4変形例に係る通信システムの一例を説明するための図。
【
図27】第5変形例に係る通信システムの一例を説明するための図。
【
図28】割当決定装置の構成に関する変形例を説明するための図。
【
図29】割当決定装置の構成に関する他の変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の説明は、実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、以下に説明する構成要素の構造、形状、配置、材質等に限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各要素のサイズ、厚み、平面寸法、又は形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、互いの寸法の関係や比率が異なる要素が含まれることもある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して重複する説明を省略する場合もある。いくつかの要素に複数の呼称を付す場合があるが、これら呼称の例はあくまで例示であり、これらの要素に他の呼称を付すことを否定するものではない。また、複数の呼称が付されていない要素についても、他の呼称を付すことを否定するものではない。なお、以下の説明において、「接続」は直接接続のみならず、他の要素を介した接続も含む場合もある。
【0009】
通信システムとしては、IEEE802.11規格の無線LANや、Third Generation Partnership Project(3GPP)(登録商標)において規格化されている第3世代移動通信システム(3G方式)、第4世代移動通信システム(4G方式又はLTE-Advanced)、第5世代移動通信システム(5G方式)等がある。実施形態の通信システム10として、5G移動通信システムを説明する。通信システム10として、3GPPにおいて規格化が検討されている第6世代移動通信システム(6G方式)を用いてもよい。
【0010】
5G方式では、高速大容量、低遅延、多数同時接続、高信頼性、公平性等の多種多様な要求を持つサービスが混在することが想定されている。これらの多種多様な要求を満たすためには、効率的なリソースの有効利用が重要になる。
【0011】
リソースは、周波数、時間、空間(MIMO)、電力、符号、軌道角運動量の中の少なくとも1つである。通信システムは、端末にリソースを割り当てる割当装置を備える。割当装置は、リソース割当処理を非常に短い時間で実行することが要求されている。
【0012】
5G方式は、直交周波数分割多重(OFDM)変調により変調された変調信号を用いて、端末と基地局との間で無線通信が行なわれる。5G方式で用いられる変調信号は、Mixed-numerology方式を採用し、サブキャリア間隔を変更可能な信号である。5G方式は、所定個(例えば14個)のOFDMシンボルを含むスロットと呼ばれる単位を定めている。従って、Mixed-numerology方式を採用する5G方式の変調信号は、スロットの時間長を変更できる。
【0013】
5G方式は、リソースエレメント(Resource Element:RE)と呼ばれる単位を定めている。リソースエレメントは、1つのサブキャリアと1つのOFDMシンボルから構成される。複数のリソースエレメントのそれぞれは、サブキャリア位置とシンボル位置により特定される。サブキャリア位置は、変調信号における周波数方向の位置を示す。シンボル位置は、変調信号における時間方向の位置を示す。複数のリソースエレメント(例えば、12本のサブキャリア×14個のOFDMシンボル=168個のリソースエレメント)が1つのリソースブロック(Resource Block:RB)を構成する。また、5G方式は、複数のリソースブロックを束ねたリソースブロックグループ(Resource Block Group:RBG)と呼ばれる単位も定めている。
【0014】
5G方式は、Massive MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)方式が用いる。Massive MIMO方式では、送信及び受信の双方において複数のアンテナが利用される。
【0015】
図1は、実施形態に係る通信システム10の一例を説明するための図である。通信システム10は、コアネットワーク30、基地局40、及び割当決定装置50を備える。
図1は、単一の基地局40を含む通信システム10を示す。通信システム10は、複数の基地局40を含んでもよい。
【0016】
コアネットワーク30は、5G方式における基幹通信網である。コアネットワーク30は、基地局40と他のネットワークの間のパケット通信又は複数の基地局40間のパケット通信を中継する。
【0017】
基地局40は、少なくとも1つの端末20-1、20-2、…20-nを収容する。nは、1以上の正整数である。少なくとも1つの端末20-1、20-2、…20-nは基地局40に接続される。端末20-1、20-2、…20-nを区別しない場合、端末20-1、20-2、…20-nの各々は端末20と称される。
【0018】
端末20は、無線通信機能を有する情報処理装置であってもよい。端末20は、アンテナを備える。端末20には、固有の識別番号が付与される。端末20は、5G方式で定められた変調信号を無線通信により基地局40と送受信する。端末20は、ユーザにより所有される。端末20は、ユーザにより持ち運びが可能であってもよいし、特定の場所に設置されていてもよい。
【0019】
基地局40は、通信装置42と制御装置44を含む。通信装置42は、端末20とコアネットワーク30に接続される。通信装置42はコアネットワーク30に信号線を介して接続されてもよい。
【0020】
基地局40は、5G方式に従った変調信号を少なくとも1つの端末20と無線通信により送受信する。基地局40は、少なくとも1つの端末20とコアネットワーク30との間のパケット通信を中継する。
【0021】
通信装置42は、制御装置44による制御に従って、5G方式の変調信号を少なくとも1つの端末20と無線通信により送受信する。通信装置42は、アンテナを備える。通信装置42は、各端末20へ送信されるデータを格納するバッファ46を備える。
【0022】
制御装置44は、割当決定装置50に接続される。制御装置44は、少なくとも1つの端末20及び通信装置42における変調信号の送受信を制御する。制御装置44は、少なくとも1つの端末20にリソースを割り当てる割り当て処理を割当決定装置50に実行させる。ここでは、リソースの割当単位(最小単位)は、変調信号に含まれる少なくとも1つの通信ブロックと称される。少なくとも1つの通信ブロックは、変調信号における周波数方向の位置と時間方向の位置により特定される。通信ブロックは、リソースブロックグループ、リソースブロック、又はリソースエレメント、複数のリソースエレメントを束ねたものであってもよい。端末20は、割り当てられた通信ブロックを使用してデータを送受信する。
【0023】
割当決定装置50は、端末20に、リソースブロックグループを割り当ててもよい(言い換えると、リソースブロックグループを通信ブロックとする)し、リソースブロックを割り当ててもよい(言い換えると、リソースブロックを通信ブロックとする)し、リソースブロック内の何れかのリソースエレメントを割り当ててもよい(言い換えると、リソースエレメントを通信ブロックとする)。
【0024】
基地局40の近傍に配置される割当決定装置50は、Mobile Edge Computing(MEC)サーバとも称される。割当決定装置50は、基地局40内に配置されてもよい。割当決定装置50は、コアネットワーク30に接続されてもよい。コアネットワーク30に接続される割当決定装置50は、リモートサーバとも称される。割当決定装置50は、制御装置44に接続される。
【0025】
割当決定装置50は、割当処理において、変調信号に含まれる少なくとも1つの通信ブロックに対してサブキャリア間隔を指定してもよい。割当決定装置50は、割当処理において、少なくとも1つの通信ブロックに含まれるデータに対して、直交変調方式、送信電力、又は符号化率を指定してもよい。割当決定装置50は、割当処理において、端末にMassive MIMO方式において用いる伝搬チャネル行列を指定してもよい。また、割当決定装置はOAM(Orbital Angular Momentum)のモードを決定してもよい。
【0026】
制御装置44は、割当処理をする前に、割当要求を割当決定装置50に出力する。無線システムでは、所定の固定時間内にリソース割当を行う必要がある。固定時間の例は、スケジューリング(割当処理)時間の最小単位である1スロットである。固定時間は時刻で表されてもよい。割当決定装置50は、割当要求を受信してから1スロット時間以内にリソース割当結果を表す割当情報を制御装置44に出力する。割当決定装置50は、割当処理の実行時間の上限値を1スロット時間としても良い。なお、固定時間は、複数スロットであってもよい。
【0027】
割当決定装置50は、2つの割当決定部(第1割当決定部52と第2割当決定部54)を備える。第1割当決定部52と第2割当決定部54は、互いに異なる探索範囲を有するアルゴリズムに基づく。第1割当決定部52のアルゴリズムの探索範囲は、第2割当決定部54のアルゴリズムより広い。このため、第1割当結果を求める演算時間は長くなり、1スロット時間内に最終的な第1割当結果が求められない場合がある。この場合、第1割当結果として出力される解は無い。第1割当決定部52は、取り得る全ての割当結果の組合せを全探索してもよい。第1割当決定部52は、機械学習を用いて割当結果を求めてもよい。第1割当決定部52は、量子コンピューティングなどを利用して割当結果を求めてもよい。第2割当決定部54は、端末20一台ずつシーケンシャルにリソースの割当てを行う。この場合、組み合わせ問題にならないので、何らかの制約を満たした割当てが行なわれる。ただし、先に割当てを行う端末に高い評価となるリソースが割当てられると、後に割当てを行う端末は選択が無く、後に割当てを行う端末には低い評価となるリソースしか割り当てることができない。そのため、全部の端末20の割当結果の評価は低くなることがある。第2割当決定部54がリソースを割り当てる端末20の順番は、端末20の識別情報の順番、過去の送信データ量、チャネル使用状況、遅延要求、バッファの送信データ量等から決めてもよい。
【0028】
制御装置44は、後述する情報に基づいて第1割当決定部52か第2割当決定部54を選択し、選択した第1割当決定部52か第2割当決定部54に割当要求を送信する。
【0029】
制御装置44は、選択した割当決定部から割当結果を示す割当情報を受信する。基地局40は、割当情報を端末20へ通知する。端末20は、割当情報に従って通信装置42と通信する。なお、第1割当結果として出力される解は無い場合には、制御装置44は、選択した割当決定部から割当結果を示す割当情報を受信しない。
【0030】
図2は、制御装置44の一例を説明するための図である。制御装置44は、CPU60、ストレージ62、メモリ64、及びサーバI/F部70を含む。ストレージ62は、CPU60が実行するアプリケーションを記憶する。アプリケーションの一例は、リソース割当プログラム74である。ストレージ62の例は、ハードディスク、SSDである。CPU60は、ストレージ62からアプリケーションを読み出し、アプリケーションをメモリ64に書き込み、メモリ64に記憶されているアプリケーションを実行する。メモリ64の例は、DRAM、SRAMである。CPU60は、リソース割当プログラム74を実行することにより、リソース割当モジュール72として機能する。サーバI/F部70は、割当決定装置50との通信を行う。制御装置44は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Feild Programmable Gate Array)のような回路によって構成されてもよい。
【0031】
図3は、第1割当決定部52と第2割当決定部54の一例を説明するための図である。第1割当決定部52と第2割当決定部54の各々は、CPU80、ストレージ82、メモリ84、及び基地局I/F部86を含む。ストレージ82は、CPU80が実行するアプリケーションを記憶する。アプリケーションの一例は、割当決定プログラム90である。ストレージ82の例は、ハードディスク、SSDである。CPU80は、ストレージ82からアプリケーションを読み出し、アプリケーションをメモリ84に書き込み、メモリ84に記憶されているアプリケーションを実行する。メモリ84の例は、DRAM、SRAMである。CPU80は、割当決定プログラム90を実行することにより、割当決定モジュール88として機能する。基地局I/F部86は、制御装置44との通信を行う。第1割当決定部52と第2割当決定部54は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Feild Programmable Gate Array)のような回路によって構成されてもよい。
【0032】
図4は、5G方式の変調信号のフレーム構成の一例を説明するための図である。
【0033】
5G方式は、予め定められた時間長のフレームを定める。フレームの時間長は、10m秒である。1つのフレームは、それぞれが予め定められた時間長の10個のサブフレームを含む。サブフレームの時間長は、1m秒である。
【0034】
5G方式は、サブキャリア間隔として、15kHz(μ=0)、30kHz(μ=1)、60kHz(μ=2)、120kHz(μ=3)、及び240kHz(μ=5)の5種類を定める。μは、サブキャリア間隔を識別する値である。
【0035】
5G方式は、スロットと呼ばれる単位を定める。スロットは、14個のOFDMシンボルから構成される。OFDMシンボルは、サブキャリア間隔によって時間長が異なる。従って、スロットの時間長は、サブキャリア間隔によって異なる。
【0036】
1つのサブフレームは、少なくとも1つのスロットを含む。サブキャリア間隔が15kHzに設定されている場合、1つのサブフレームは、1つのスロットを含む。サブキャリア間隔が30kHzに設定されている場合、1つのサブフレームは、2個のスロットを含む。サブキャリア間隔が60kHzに設定されている場合、1つのサブフレームは、4個のスロットを含む。サブキャリア間隔が120kHzに設定されている場合、1つのサブフレームは、8個のスロットを含む。サブキャリア間隔が240kHzに設定されている場合、1つのサブフレームは、16個のスロットを含む。
【0037】
サブキャリア間隔が狭いほど、スロットの時間長が長くなり、マルチパスに対して強いが、遅延量が大きい。例えば、サブキャリア間隔が15kHzである場合、スロットの時間長が1m秒となり、マルチパスに対して強いが、遅延量が大きくなる。サブキャリア間隔が広いほど、スロットの時間長が短くなり、遅延量は短いが、ISI(Inter Symbol Interference)の影響を受けやすい。例えば、サブキャリア間隔が240kHzである場合、スロットの時間長が0.0625m秒となり、遅延量は短いが、ISIの影響を受けやすくなる。
【0038】
端末20が低速で移動しており、許容遅延時間が大きいデータを送受信する場合、制御装置44は、サブキャリア間隔が狭いリソースブロックを端末20に割り当ててもよい。制御装置44は、サブキャリア間隔が狭いリソースブロックに含まれるリソースエレメントを端末20に割り当ててもよい。
【0039】
端末20が高速で移動しており、許容遅延時間が短いデータを送受信する場合、制御装置44は、サブキャリア間隔が広いリソースブロックを端末20に割り当ててもよい。制御装置44は、サブキャリア間隔が広いリソースブロックに含まれるリソースエレメントを端末20に割り当ててもよい。
【0040】
これにより、5G方式は、4G方式と比較して、広いサブキャリアを使用することができ、スロット時間が短くなる。
【0041】
図5は、リソースブロック(RB)の第1の配置例を説明するための図である。リソースブロックは、時間方向に1つのスロット(14個のOFDMシンボル)、及び周波数方向に所定本(例えば12本)のサブキャリアにより構成される。
【0042】
5G方式の変調信号では、複数個のリソースブロックが1つのリソースブロックグループにまとめられる。例えば、5G方式の変調信号では、100MHz幅の帯域を利用する場合、1つのサブフレームに17個のリソースブロックグループを含む。
【0043】
例えば、1つのサブフレームに16個のリソースブロックが含まれる場合、16個のリソースブロックは、1つのスロット(14個のOFDMシンボル)、及び192本(12×16)のサブキャリアにより構成される。
【0044】
制御装置44は、
図5に示すように、帯域の全ての領域のリソースブロックのサブキャリア間隔に、最も広い15kHz(μ=0)のサブキャリア間隔を割り当ててもよい。この場合、制御装置44は、全ての端末20に対して、許容遅延時間が大きいが、マルチパスに強いデータを送受信させることができる。
【0045】
図6は、リソースブロック(RB)の第2の配置例を説明するための図である。制御装置44は、
図6に示すように、帯域の全ての領域のリソースブロックのサブキャリア間隔に、最も狭い240kHz(μ=4)のサブキャリア間隔を割り当ててもよい。この場合、制御装置44は、少なくとも1つの端末20の全てに対して、許容遅延時間が短いデータを送受信させることができる。
【0046】
図7は、リソースブロック(RB)の第3の配置例を説明するための図である。制御装置44は、
図7に示すように、帯域を2つの領域に分割し、一方の領域のリソースブロックのサブキャリア間隔を最も広い15kHz(μ=0)のサブキャリア間隔を割り当て、他方の領域のリソースブロックのサブキャリア間隔に60kHz(μ=2)のサブキャリア間隔を割り当ててもよい。この場合、制御装置44は、許容遅延時間が大きいが、高い品質を要求するデータを送受信する端末20と、高い品質を要求できないが、許容遅延時間が短いデータを送受信する端末20とを、サブフレーム内に混在させてデータを送受信させることができる。
【0047】
制御装置44は、帯域をこのように複数の領域に分割して、複数の領域のリソースブロックそれぞれのサブキャリア間隔に異なるサブキャリア間隔を割り当てることができる。これにより、制御装置44は、各端末20に適切なサブキャリア間隔のリソースブロックを割り当てることができ、この結果、端末20のそれぞれの要求を満たすことができる。
【0048】
図8は、リソースブロックの構成例とミニスロットの割当例を説明するための図である。
【0049】
1つのリソースブロックは、例えば、時間方向に14個のOFDMシンボルと、周波数方向に12本のサブキャリアを含む。1つのリソースブロックは、168個(12本×14個)のリソースエレメントを含む。168個のリソースエレメントのそれぞれは、サブキャリア位置とシンボル位置により特定可能である。
【0050】
5G方式では、ミニスロット(mini-slot)と呼ばれる単位が定義される。ミニスロットとは、連続するΗ個のOFDMシンボルと、1つのサブキャリアとにより構成される、Ηは、2以上の整数、例えば、2、4、7、又は14である。制御装置44は、リソースブロック内における任意のリソースエレメントをミニスロットの単位で端末20に割り当てることが可能である。
【0051】
例えば、制御装置44は、ミニスロット単位でリソースエレメントを端末に割り当てるとともに、ミニスロットを含むリソースブロックのサブキャリア間隔に最も狭い240kHz(μ=4)のサブキャリア間隔を割り当てることにより、リソースエレメントが割り当てられた端末20に超低遅延を要求するデータを送受信させることができる。
【0052】
上述したように、基地局40は、割当情報を端末20へ通知する。5Gでは、基地局40は、基地局から端末へのPhysical Downlink Control Channel(PDCCH)に含まれるDownlink Control Information(DCI)を用いて割当情報を通知する。DCIを用いて通知可能な通信ブロックの時間方向の位置と周波数方向の位置には制限がある。割当決定装置50は、通信ブロック(時間方向の位置、周波数方向の位置)を自由に割り当てることはできない。割当決定装置50が割り当て可能な通信ブロックは、DCIを用いて通知可能な範囲の通信ブロックである。
【0053】
5Gでは、基地局から端末へのダウンリンク通信の周波数方向のリソース割当には、Type0およびType1と呼ばれる2つの割当方法が規定されている。
【0054】
Type0では、リソースブロックグループ(RGB)単位でリソース割当てが行なわれる。
図9は、RBG内のリソースブロック(RB)の数の一例を説明するための図である。リソースブロックグループ内のリソースブロックの数は、帯域幅部分(Bandwidth Part Size)とconfigurationタイプによって異なる。帯域幅部分は、或る帯域、例えば200MHzを100MHzずつに分け、100MHzの帯域を2つのグループに夫々割り当てる場合の、自分のグループの帯域幅である。configuratioタイプは、Radio Resource Control(RRC)メッセージによって予め決定される。帯域が固定されると、リソースブロックグループの数が変わり、割り当てられる周波数が変わる。
【0055】
DCIは、Physical Downlink Shared Channel (PDSCH)でデータを伝送するリソースブロックグループの番号を示すビットマップを指定する。端末(ユーザ)は、このビットマップに基づき、どのリソースブロックグループが自分宛のデータを送信するかを認識することができ、このリソースブロックグループで送信されたデータを受信する。
【0056】
Type0の割当方法では、ビットマップによりリソースブロックグループ番号が指定されるので、リソースブロックグループ番号は連続している必要はない。非連続なリソースブロックグループを割り当てることができる。そのため、自由度が高いリソース割当、例えば通信品質が良いリソースブロックグループのみを端末に割り当てることができる。ただし、ビットマップでリソースブロックグループ番号を指定することは、指定するための制御情報量が多い。
【0057】
図10は、Type0のリソース割当の一例を説明するための図である。1つのリソースブロックグループ(RBG)は4つのリソースブロック(RB)を含む。RBG#0は、RB#32-#35を含む。DCIに含まれる周波数割り当て部のビットマップのビット値が“1”の場合、リソースブロックグループは端末に割当てられる。ビット値が“0”の場合、リソースブロックグループは割り当てられない。DCIに含まれるリソース割り当て部はRBG#0~RBG#7に対応するビットマップであり、ユーザ1の端末1(UE1)のリソース割り当て部のビットマップが“01100110”であり、ユーザ2の端末2(UE2)のビットマップが“10011001”である場合、RBG#1、RBG#2、RBG#5、RBG#6がUE1に割り当てられ、RBG#0、RBG#3、RBG#4、RBG#7がUE2に割当てられる。
図10の斜線は端末に割り当てられないリソースブロックを示す。
【0058】
Type1では、リソースは1つ以上の連続するリソースブロックに割当てられる。リソース割当領域は、特定の帯域幅部分内のリソースブロックの開始位置および連続するリソースブロックの数によって定義される。リソースブロックの開始位置と連続するリソースブロックの数は、Resource Indication Value(RIV)と呼ばれる特定の単一の値に変換されて、端末20へ通知される。
【0059】
時間方向の割り当て通知は、ODFMシンボルの開始位置と通信に使用するシンボル数をStart and Length Indication Value(SLIV)という値に変換して、SLIVを通知する。一つのDCIでは、時間方向の割り当ては一つであるため、周波数方向に複数チャネルを割り当てる場合は、すべてのチャネルでシンボルの開始位置と使用シンボル数が同じになる必要がある。
【0060】
以上説明したDCIのフォーマットに起因し、Type0の割当方法を実施する場合、周波数方向では非連続なリソースブロックを割当てることができる。しかし、時間方向では、連続的なリソースブロックを割当てる必要がある。
【0061】
上述したように、割当決定装置50は、第1割当決定部52と第2割当決定部54を含む。第1割当決定部52のアルゴリズムは、第2割当決定部54のアルゴリズムよりも探索範囲が広い。第1割当決定部52のアルゴリズムは、全探索、量子コンピューティングを用いた最適化、シミュレーテッド分岐マシンに基づく。第2割当決定部54のアルゴリズムは、局所探索法に基づく。
【0062】
制御装置44は、基地局40から端末20へ送信されるデータ量とダウンリンクのサブバンド毎の受信品質に応じて、第1割当決定部52と第2割当決定部54のいずれを使うかを決定する。
【0063】
5Gでは、端末20はサブバンド毎の下りチャネルの受信品質を測定し、測定結果を表すCQI(Channel Quality Indicator)を基地局40に送信する。制御装置44は、CQIに基づいて、サブバンド毎のチャネルの品質を知ることができる。CQIが高いサブバンドは、多くの通信ブロックを通信することができる。品質の高いサブバンド(CQIが高いサブバンド)が端末20に割当てられる場合、データ通信に必要な通信ブロック数は少ない。
【0064】
制御装置44は、バッファ46に格納されている各端末へ送信するデータ量に応じて、複数のサブバンドを各端末20に割り当ててもよい。複数のサブバンドが端末20に割り当てられる場合、データ通信に必要な通信ブロック数は多い。
【0065】
各端末に1つのサブバンドのみ割り当てる場合、探索範囲の狭い割当アルゴリズムを用いる第2割当決定部54が良解を得ることができる。各端末に複数のサブバンドを割り当てる場合、探索範囲の狭い割当アルゴリズムを用いる第2割当決定部54は、良解を得ることができない。したがって、各端末に1つのサブバンドのみ割り当てる場合、制御装置44は第2割当決定部54を選択し、第2割当決定部54に割当要求を送信してもよい。各端末に複数のサブバンドを割り当てる場合、制御装置44は、探索範囲の広い割当アルゴリズムを用いる第1割当決定部52を選択し、第1割当決定部52に割当要求を送信してもよい。良解とは、「全端末が使用する通信ブロックの総数が少ない」、「全端末の通信遅延時間の平均値が短い(なるべく時間的に早い通信ブロックを使用する)」、「最も遅く通信が完了する端末の通信完了時刻が早い」、「全端末の伝送効率又はスループットが高い」、「全端末の最悪遅延時間が短い」、「端末間の公平性が高い」、「遅延達成率が高い」等で定義できる。
【0066】
図11は、各端末が1つのサブバンドのみ使用する場合の割当の一例を説明するための図である。横軸はサブバンド(周波数方向)、縦軸はOFDMシンボル(時間方向)を示す。以下では、説明の簡略化のため、最初と最後のOFDMシンボルは制御情報の通信のために使用され、残りの12OFDMシンボルはデータ通信のために使用される例を説明する。端末UE1には、サブバンド#0の3つのOFDMシンボル2-4が割り当てられる。端末UE5には、サブバンド#4の8個のOFDMシンボル2-9が割り当てられる。
【0067】
各端末へ送信するデータが少なく、各端末が1つのサブバンドのみ使用する場合、制御装置44は、任意の手法で各端末にサブバンドを割り当てる。その後、制御装置44は、第2割当決定部54に割当処理を実行させ、探索範囲が狭い割当和リゴリズムにより解を更新し、良解を探す。局所探索法として良く知られる2opt法では、2つの端末を選択し、2つの端末に割り当てたサブバンドの入れ替えを試みる。入れ替えの結果、通信ブロック数が減少する場合、入れ替えを実行し、通信ブロック数が減少しない場合、入れ替えしない。他の2つの端末を選択して、固定時間内で上記を繰り返す。繰り返すことにより解が良解に近づく可能性が高い。
【0068】
図12は、CQIと伝送効率の一例を説明するための図である。例えばCQIが15のサブバンドの伝送効率(=5.5547)はCQIが10のサブバンドの伝送効率(=2.7305)の約2倍である。伝送効率は、1サブキャリアで送信できるビット数である。例えば、CQIが15の場合、6ビット(64QAM)×レート(948/1024)=5.5547である。サブバンドの入れ替えにより、CQIが10のサブバンドを使っていた端末がCQIが15のサブバンドを使用するようになると、使用する通信ブロック数は約半分になる。サブバンドの入れ替えにより2つの端末が使用する通信ブロック数が減少する場合、入れ替えを行い、減少しない場合、入れ替えを行わない。
【0069】
各端末が1つのサブバンドのみ使用する場合、巡回セールスマン問題で知られるように、単純な入れ替えの繰り返しにより、割当決定装置50は良解を得ることができる。このように各端末が1つのサブバンドのみ使用する場合、割当決定装置50が演算量の少ない局所探索法を用いると、演算コストや消費電力を削減できる。さらに、固定時間内に解を出す要求がある場合、局所探索法の方が、広範囲な探索法よりも良解を得ることができる場合もある。
【0070】
図13は、各端末が複数のサブバンドを使用する場合の割当の一例を説明するための図である。横軸はサブバンド(周波数方向)、縦軸はOFDMシンボル(時間方向)を示す。端末UE1には、サブバンド#0の8個のOFDMシンボル2-9とサブバンド#1の8個のOFDMシンボル2-9が割り当てられる。端末UE9には、サブバンド#13の4個のOFDMシンボル2-5が割り当てられる。
【0071】
図13に示すように、各端末が複数のサブバンドを使用する場合、自端末が使用しているサブバンド数と入れ替え先の端末が使用しているサブバンド数が等しくないと、サブバンドの単純な入れ替えはできない。この場合、割当決定装置50は、局所探索法をそのまま応用することができない。そのため、各端末が複数のサブバンドを用いる場合、サブバンドの入れ替えが十分に行われず、サブバンドの入れ替えの繰り返しによる改善効果が小さくなるため、良解を得ることができない。このような場合は、制御装置44は、より広範囲な探索アルゴリズムを用いることが望ましく、第1割当決定部52に割当要求を送信してもよい。
【0072】
端末が複数のサブバンドを使用するかどうかは、実際の割当が行なわれないと厳密には判断できない。しかし、端末へ送信したいデータ量と各端末の下りチャネルの受信品質から、端末が複数のサブバンドを使用するか否かの推定は可能である。
【0073】
図14は、伝送に必要な通信ブロックの数の例を説明するための図である。
図14は、各端末(各ユーザ)にデータを伝送する際、伝送に必要な通信ブロックの目標ブロック数をサブバンド毎に示す。横軸はサブバンド(周波数方向)、縦軸はユーザ番号(Radio Network Temporaly Indicator:RNTI)を示す。制御装置44は、端末へ送信したいデータ量とCQIから目標ブロック数を計算できる。目標ブロック数は、伝送したいビット数÷1ブロックで送れるビット数である。ただし、1ブロックで送れるビット数は、伝送効率と、1ブロックに含まれるサブキャリア数で決まる。
【0074】
端末毎のサブバンド毎の目標ブロック数の最小値の最大値が閾値より大きい場合(例えば、12)、制御装置44は、端末は複数のサブバンドを用いると判断する。なお、制御装置44は、各端末の処理の順番を決めて、端末毎に複数のサブバンドを用いるか否かの判定を行い、1つの端末が複数のサブバンドを用いると判断すると、全ての端末が複数のサブバンドを用いると判断してもよい。
【0075】
制御装置44は、端末20からの割当要求を受信すると、データ量とチャネルの受信品質に基づいて、全ての端末が単数のサブバンドを用いるのか、複数のサブバンドを用いるのかを判断し、判断結果に基づいて、割当決定装置50の第1割当決定部52、第2割当決定部54のどちらに割当要求を送信するかを決定する。
【0076】
制御装置44は、外部のRIC(RAN Intelligent controller)に接続されていてもよい。その場合、RICはデータ量とチャネルの受信品質に基づいて、第1割当決定部52、第2割当決定部54のどちらを使うかを判断する。RICがORN-interfaceを介して制御装置44に判断結果を通知する。
【0077】
端末の受信チャネルのCQIの変動がなく、定期的に同じデータサイズのデータが発生し、一定サイズのデータが端末に伝送される環境下において、各端末が一つのサブバンドを使用しており、局所探索法で割当てが行われている場合を想定する。さらに、送信されるデータのサイズが大きく、複数のサブバンドを使用する一台の端末が基地局40に追加的に接続された場合を想定する。割当アルゴリズムが切り替えられない場合、後から追加された一台以外の端末では、割当の変化はほとんどないと予想される。しかし、アルゴリズムが切り替えられる場合、全ての端末で割当が変化すると予想される。
【0078】
図15は、端末が複数のサブバンドを使用するか否かの推定の第2例を説明するための図である。
図15は、制御装置44が無線通信品質の1指標であるSINR(Signal to Interference plus Noise Power Ratio)を基準に各端末にサブバンドを割り当てた結果の一例を示す。端末UE1、UE2、UE5、UE6、UE8、UE9は、1つのサブバンドのみ使用するが、端末UE3、端末UE4、端末UE7、端末UE10は、複数のサブバンドを使用する。このように1つの端末でも複数のサブバンドを使用する場合、全ての端末が複数のサブバンドを使用すると判断してもよい。
【0079】
制御装置44から割当要求が送信された第1割当決定部52又は第2割当決定部54がリソース割当を行う。リソース割当を実行した第1割当決定部52又は第2割当決定部54が割当結果を示す割当情報を制御装置4へ送信する。制御装置44は、割当情報を端末20へ送信する。端末20は割当情報に基づいたリソースを用いて基地局40からのデータを受信する。
【0080】
図16は、割当処理のタイミングを説明するための図である。制御装置44は、割当処理の実行に先立って、第1時刻t1における割当対象となる端末(割当対象端末と称される)を少なくとも1つの端末20から選択する。第2時刻t2は、第1時刻t1よりも後の時刻である。第2時刻t2は、第2時刻t2以降の通信ブロックを割当対象端末に割り当てる割当処理を開始する時刻である。
【0081】
制御装置44は、第1時刻t1から第2時刻t2までの間に、第1時刻t1における割当対象端末に、第2時刻t2以降のどの通信ブロックを割り当てるかを決定する。
【0082】
制御装置44は、第1割当決定部52又は第2割当決定部54に対して割当要求を送信し、第2時刻t2までに第1割当決定部52又は第2割当決定部54から割当情報を取得する。
【0083】
制御装置44は、割当情報に基づくリソース割当処理を第2時刻t2において開始する。制御装置44は、リソース割当処理が完了した第3時刻t3から第4時刻t4において、端末20と通信装置42に対して割当処理結果に従って変調信号を送受信させる(無線通信)。あるいは、制御装置44は、第2時刻t2以前に割当処理を開始して、端末20と通信装置42に対して割当処理結果に従って変調信号を送受信させてもよい。
【0084】
図17は、第1時刻t1と第2時刻t2の第1設定例を説明するための図である。
【0085】
第1時刻t1と第2時刻t2は、スケジューリングにより予め定められた時刻である。制御装置44が所定個のサブフレーム毎に割当処理を実行する場合、第1時刻t1は、割当処理の対象となる所定個のサブフレームよりも前の時刻である。第1時刻t1は、サブフレームの開始時刻であってもよいし、サブフレームの開始時刻から所定時間前または後にずれた時刻であってもよい。制御装置44が所定個のサブフレーム毎に割当処理を実行する場合、第2時刻t2は、割当対象の所定個のサブフレームの開始時刻であってもよいし、対象の所定個のサブフレームの開始時刻より前の時刻であってもよい。制御装置44は、スロット毎に割当処理を実行してもよい。その場合、第1時刻t1と第2時刻t2との差は1スロットである。
【0086】
第1時刻t1と第2時刻t2は、サブフレームとは非同期の時刻であってもよい。例えば、第1時刻t1と第2時刻t2は、所定イベントが発生したことにより設定される時刻であってもよい。制御装置44は、通信装置42にダウンリンクデータが所定量以上蓄積された時刻、または、送受信の割当の予約要求が所定量以上蓄積された時刻を、第1時刻t1であると判定してもよい。
【0087】
所定イベントが発生した時刻を第1時刻t1に設定した場合、制御装置44は、第1時刻t1から所定時間後の時刻を第2時刻t2に設定してもよい。所定イベントが発生した時刻を第1時刻t1に設定した場合、制御装置44は、第1時刻t1の直後のサブフレームの開始時刻、または、第1時刻t1の直後のサブフレームの開始時刻の所定時間前の時刻を第2時刻t2に設定してもよい。
【0088】
図18は、第1時刻t1と第2時刻t2の第2設定例を説明するための図である。
【0089】
制御装置44は、ミニスロットの単位で、リソースエレメントをデータ送受信する端末20に割り当てることができる。この場合、制御装置44は、第1時刻t1と第2時刻t2との差を、OFDMシンボルの最小の時間長に設定してもよい。OFDMシンボルの最小の時間長は、サブキャリア間隔が最も狭い240kHz(μ=4)の場合のOFDMシンボルの時間長である。
【0090】
制御装置44は、第1時刻t1と第2時刻t2との差を変化させてもよい。制御装置44は、割当対象端末により送受信されるデータの許容遅延時間に応じて、第2時刻t2を決定してもよい。例えば、制御装置44は、許容遅延時間が短いほど、第1時刻t1と第2時刻t2との差を短くしてもよい。これにより、制御装置44は、許容遅延時間が短いデータほど、早い時刻にデータを送受信させることができる。
【0091】
図19と
図20は、制御装置44の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0092】
制御装置44は、第1時刻t1と第2時刻t2を決定する(S102)。第1時刻t1は、リソース割当決定処理を開始する時刻である。第1時刻t1は、予めスケジューリングされた時刻であってもよい。第1時刻t1は、リソース割当を開始する所定イベントの発生時刻であってもよい。第2時刻t2は、リソース割当決定処理により決定された割当結果に基づいて割当処理を開始するタイミングである。
【0093】
制御装置44は、現在時刻が第1時刻t1であるか否かを判定する(S104)。
【0094】
現在時刻が第1時刻t1ではない場合(S104:NO)、制御装置44は、S104の判定処理を再度実行する。
【0095】
現在時刻が第1時刻t1である場合(S104:YES)、制御装置44は、第1時刻t1における割当対象となる少なくとも1つの端末20を選択する(S106)。第1時刻t1における割当対象端末20は、基地局40に無線接続された少なくとも1つの端末20の全てであってもよいし、少なくとも1つの端末20の一部であってもよい。
【0096】
割当対象のいくつかの選択例を説明する。
【0097】
1回の割当処理において、割当可能な端末20の最大数が予め定められている場合、制御装置44は、最大数を超えない範囲の数の少なくとも1つの端末20を割当対象として選択してもよい。
【0098】
第1時刻t1において、ダウンリンクデータが通信装置42に記憶されている場合、制御装置44は、通信装置42に記憶されているダウンリンクデータの送信先の端末20を割当対象として優先して選択してもよい。
【0099】
第1時刻t1においてリソース割当の予約要求が通信装置42に記憶されている場合、制御装置44は、通信装置42に記憶されている予約要求を送信した端末20を割当対象として優先して選択してもよい。
【0100】
第1時刻t1において、許容遅延時間が予め定められた時間以下であるダウンリンクデータが通信装置42に記憶されている場合、制御装置44は、許容遅延時間が予め定められた時間以下であるダウンリンクデータの送信先の端末20を割当対象として優先して選択してもよい。
【0101】
第1時刻t1において、許容遅延時間が予め定められた時間以下であるデータを送受信するためのリソース割当の予約要求が通信装置42に記憶されている場合、制御装置44は、許容遅延時間が予め定められた時間以下であるデータを送受信する端末20を、割当対象として優先して選択してもよい。
【0102】
制御装置44は、変調信号における割当範囲を決定する(S108)。割当範囲は、予め定められた複数本のサブキャリアと第2時刻t2より後の時刻における予め定められた複数個のOFDMシンボルとにより構成される範囲である。所定個のサブフレーム毎に割当処理を実行する場合、制御装置44は、割当範囲を、変調信号に含まれる全てのサブキャリアと第2時刻t2より後の所定個のサブフレームに含まれる複数のOFDMシンボルとから構成される範囲としてもよい。
【0103】
割当範囲は、割当処理毎に変更されてもよい。制御装置44は、割当対象端末20の個数に応じて割当範囲を変更してもよい。割当対象が予め定められた時間以下の許容遅延時間のデータを送受信する端末20を含む場合、制御装置44は、割当範囲を、第2時刻t2の直後の第1数のOFDMシンボルを含む範囲としてもよい。割当対象が予め定められた時間以下の許容遅延時間のデータを送受信する端末20を含まない場合、制御装置44は、割当範囲を、第2時刻t2の直後の第1数よりも大きい第2数のOFDMシンボルを含む範囲としてもよい。これにより、制御装置44は、予め定められた時間以下の許容遅延時間のデータをより早い時刻に送受信させることができる。
【0104】
制御装置44は、割当範囲に含まれるデータを送受信する端末20に割当済みの通信ブロックの識別情報を取得する(S110)。通信ブロックとして、リソースブロックまたはリソースエレメントが選択された場合、制御装置44は、割当範囲に含まれるデータを送受信する端末20に既に割当済みのリソースブロックの識別情報と割当済みのリソースエレメントの識別情報を取得する。
【0105】
制御装置44は、割当範囲に含まれる割当済みの通信ブロックを除く少なくとも1つの通信ブロックを割当可能通信ブロックとして決定する(S112)。通信ブロックとして、リソースブロックまたはリソースエレメントが選択された場合、制御装置44は、割当範囲に含まれる割当済みリソースブロックを除く少なくとも1つのリソースブロックを割当可能リソースブロックとして決定し、割当範囲に含まれる割当済みリソースエレメントを除く少なくとも1つのリソースエレメントを割当可能リソースエレメントとして決定する。
【0106】
制御装置44は、割当対象端末20から送信されるCQIを受信する(S202)。
【0107】
制御装置44は、割当対象端末20へ送信されるデータのサイズをバッファ46から取得する(S204)。
【0108】
制御装置44は、割当対象端末20へデータを送信するために必要な通信ブロックの目標ブロック数を計算する(S206)。
【0109】
制御装置44は、サブバンド毎の目標ブロック数の最小値が閾値以上であるか否かを判定する(S208)。
【0110】
制御装置44は、サブバンド毎の目標ブロック数の最小値が閾値以上であると判定した場合(S208のイエス)、割当対象端末20は複数のサブバンドを使用すると判断し、第1割当決定部52に割当要求を送信する(S210)。
【0111】
制御装置44は、サブバンド毎の目標ブロック数の最小値が閾値以上ではないと判定した場合(S208のノー)、割当対象端末20は1つのサブバンドを使用すると判断し、第2割当決定部54に割当要求を送信する(S212)。
【0112】
制御装置44は、第1割当決定部52又は第2割当決定部54から割当情報を受信する(S214)。
【0113】
制御装置44は、割当情報に基づいて割当処理を実行する(S216)。この後、制御装置44は、少なくとも1つの端末20と通信装置42に対して割当処理に従って変調信号を送受信させる。
【0114】
以上の処理が実行されることにより、通信装置42は、割当範囲において、割当処理において割当られた端末20とデータを送受信することができる。
【0115】
図21は、割当情報の記述形式の一例を説明するための図である。
【0116】
割当情報は、割当対象の端末20が、割当範囲に含まれるどの通信ブロック、例えばリソースブロックグループを使ってデータを送信または受信するかを示す。割当範囲に含まれる少なくとも1つのリソースブロックグループの中の一部は、何れの端末20にも割当られなくてもよい。
【0117】
割当情報の一例は、割当範囲内の少なくとも1つの通信ブロックを表すマトリクス状に並べられた複数の箱により表される。マトリクス状に並べられた複数の箱の行方向又は列方向の一方の位置は、サブキャリアの位置により特定される。マトリクス状に並べられた複数の箱の行方向又は列方向の他方の位置は、OFDMシンボルの位置により特定される。
図21は、(12サブキャリア×16)×14OFDMが1リソースブロックグループを構成し、17リソースブロックグループが割当範囲である場合の記述形式を示す。
【0118】
このような記述形式の割当情報は、複数の箱のそれぞれに、割当対象端末20の中の何れを対応させるかを解く問題の解である。
【0119】
第1割当決定部52と第2割当決定部54は、ニューラルネットワーク等の機械学習モデルを予め学習させておくことにより、割当情報を求めることができる。例えば、第1割当決定部52と第2割当決定部54の設計者は、割当対象端末20の識別情報、少なくとも1つの割当可能通信ブロックの識別情報、及び割当対象端末の参照情報を含む入力情報を与えた時に割当情報を出力するニューラルネットワークを作成する。設計者は、作成したニューラルネットワークを、過去の入力情報と理想解とを含む教師データに基づき学習させる。第1割当決定部52と第2割当決定部54は、このように作成された機械学習モデルを用いることにより、割当対象端末20の識別情報、少なくとも1つの割当可能通信ブロックの識別情報、及び割当対象端末の参照情報に基づき、割当情報を生成することができる。
【0120】
第1割当決定部52と第2割当決定部54は、複数の2値変数を含む2次関数を目的関数とするQUBO問題を解くことによっても、割当情報を生成することができる。この場合、目的関数である2次関数は、割当対象端末20に一対一に対応する少なくとも1つの2値変数を、マトリクスを構成する複数の箱に対応する個数分含む。さらに、2次関数は、制約条件を表す2値変数をさらに含んでもよい。
【0121】
第1割当決定部52と第2割当決定部54の設計者は、割当対象端末の識別情報、少なくとも1つの割当可能通信ブロックの識別情報、及び割当対象端末の参照情報に基づき、最小化した場合の解が、予め設定された条件により近い割当情報が得られる2次関数を作成する。第1割当決定部52と第2割当決定部54の設計者は、割当対象端末の識別情報、少なくとも1つの割当可能通信ブロックの識別情報、及び割当対象端末の参照情報に基づき、このような2次関数を生成する定式化アルゴリズムを作成する。
【0122】
第1割当決定部52と第2割当決定部54は、このように作成された定式化アルゴリズムを用いることにより、割当対象端末の識別情報、少なくとも1つの割当可能通信ブロックの識別情報、及び割当対象端末の参照情報に基づき、目的関数である2次関数を生成する。第1割当決定部52と第2割当決定部54は、生成した2次関数をQUBOソルバーに与えて、2次関数の解を算出させる。第1割当決定部52と第2割当決定部54は、QUBOソルバーにより算出された2次関数の解に基づき、割当情報を生成する。
【0123】
第1割当決定部52と第2割当決定部54は、例えば、割当対象の端末に対して割当順位を決定し、決定した順位に従ってマトリクス状に並べられた複数の箱に端末を対応させることにより割当情報を生成してもよい。この場合、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、送受信するデータ量の少ない順に端末に順位を付けてもよいし、許容遅延時間が短い順に順位を付けてもよいし、過去に送受信したデータ量が少ない順に端末に順位を付けてもよい。
【0124】
第1割当決定部52により生成された第1割当情報と第2割当決定部54により生成された第2割当情報の形式は同一である。
図22は、第1割当決定部52により生成された第1割当情報又は第2割当決定部54により生成された第2割当情報の形式の一例を説明するための図である。
図22に示されている“A”~“H”は、リソースエレメントが割当られた端末20のユーザを識別する情報である。
【0125】
参照情報は、割当対象端末20における送受信データの許容遅延時間を含んでもよい。この場合、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、許容遅延時間が短い端末を、許容遅延時間が長い端末よりも早い時刻において送受信が完了するリソースエレメントに割り当てるように、第1割当情報と第2割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いる。具体的には、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、許容遅延時間が短い端末を、許容遅延時間が長い端末よりも時間的に早いOFDMシンボルのリソースエレメントに割り当てるように、第1割当情報と第2割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いる。例えば、参照情報は、ユーザAの端末20はユーザDの端末20よりも送受信するデータの許容遅延時間が短いことを表しているとする。この場合、機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いることにより、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、
図22に示すように、ユーザDの端末20に割り当てたリソースブロックよりも時間的に早いリソースブロックをユーザAの端末20に割り当てることができる。
【0126】
第1割当決定部52と第2割当決定部54は、許容遅延時間内に無線通信可能な端末が多くなるように、割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いてもよい。
【0127】
参照情報は、割当対象端末における過去に送受信されたデータの単位時間当たりのデータ量又は将来予測される単位時間当たりのデータ量を含んでもよい。この場合、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、単位時間当たりのデータの送受信量を満たす端末が多くなるように、割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いてもよい。また、この場合、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、過去に送受信されたデータの単位時間当たりのデータ量又は将来予測される単位時間当たりのデータ量が閾値を超える端末について、単位時間当たりのデータの送受信量を満たすように、割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いてもよい。第1割当決定部52と第2割当決定部54は、全部の端末について単位時間当たりのデータの送受信量が最大となるように、割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いてもよい。
【0128】
参照情報は、割当対象端末における過去に送受信されたデータの通信品質を含んでもよい。この場合、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、過去に送受信されたデータの通信品質の高い端末に、通信品質の低い端末よりも高い符号化率または高い直交変調方式を割り当てるように、割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いてもよい。
【0129】
具体的には、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、過去に送受信されたデータの通信品質の高い端末に、通信品質の低い端末に割り当てたリソースブロックよりもサブキャリア間隔が広いリソースブロックに含まれるリソースエレメントを割り当てるように、割当情報を生成する機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いる。例えば、参照情報は、ユーザCの端末20は、ユーザBの端末20よりも通信品質が高いことを表しているとする。この場合、機械学習モデルまたは定式化アルゴリズムを用いることにより、第1割当決定部52と第2割当決定部54は、
図22に示すように、ユーザCの端末20に、ユーザBの端末20に割り当てたサブキャリアの本数よりも多い本数のサブキャリアを割り当てることができる。
【0130】
以下、割当決定装置50の配置に関する通信システムの変形例を説明する。
【0131】
図23は、第1変形例に係る通信システム10aの一例を説明するための図である。通信システム10aは、基地局40a、40bを含む。端末20aが基地局40aに接続される。端末20bが基地局40bに接続される。割当決定装置202が基地局40a、40bに接続される。割当決定装置202は、
図1に示す割当決定装置(MECサーバ)50に対応する。
【0132】
割当決定装置202は、複数の基地局40a、40bから割当要求を受け付ける。割当決定装置202は、割当要求を受け取ったことに応じて割当情報を生成し、生成した割当情報を、割当要求を送信した基地局40a、40bに返信する。
【0133】
図24は、第2変形例に係る通信システム10bの一例を説明するための図である。通信システム10bは、基地局40a、40b、40cを含む。端末20aが基地局40aに接続される。端末20bが基地局40bに接続される。端末20cが基地局40cに接続される。割当決定装置204がコアネットワーク30に接続される。割当決定装置204は、
図1に示す割当決定装置50に対応する。割当決定装置204は、リモートサーバとも称される。
【0134】
割当決定装置204は、複数の基地局40a、40b、40cからコアネットワーク30を介して割当要求を受け付ける。割当決定装置204は、割当要求を受け取ったことに応じて割当情報を生成し、生成した割当情報を、割当要求を送信した基地局40a、40b、40cにコアネットワーク30を介して返信する。
【0135】
図25は、第3変形例に係る通信システム10cの一例を説明するための図である。通信システム10cは、中継装置206を備える。中継装置206は、基地局40とコアネットワーク30の間の情報の送受信を中継する。割当決定装置208が中継装置206に接続される。割当決定装置208は、
図1に示す割当決定装置50に対応する。中継装置206は、基地局40と割当決定装置208の間の情報の送受信を中継する。中継装置206は、割当情報を生成するために必要となる割当対象端末の参照情報の一部をコアネットワーク30から取得する。基地局40は、割当要求を中継装置206を介して割当決定装置208に出力する。中継装置206は、割当要求を受け取ったことに応じて、割当対象端末の参照情報に含める一部の情報をコアネットワーク30から取得し、取得した情報を割当要求に含め、割当決定装置208に転送する。割当決定装置208は、割当要求を受け取ったことに応じて割当情報を生成し、生成した割当情報を中継装置206を介して、基地局40に返信する。
【0136】
図26は、第4変形例に係る通信システム10dの一例を説明するための図である。通信システム10dは、中継装置212を備える。中継装置212は、基地局40a、40bのそれぞれと割当決定装置214の間の情報の送受信を中継する。基地局40aは端末20aに接続される。基地局40bは端末20bに接続される。基地局40a、40bのそれぞれは、割当要求を中継装置212を介して割当決定装置214に出力する。割当決定装置214は、割当要求を受け取ったことに応じて割当情報を生成し、生成した割当情報を割当要求を出力した基地局40a、40bに中継装置212を介して返信する。
【0137】
図27は、第5変形例に係る通信システム10eの一例を説明するための図である。通信システム10eは、複数の中継装置212a、212bを備える。通信システム10eは、複数の中継装置212a、212bに一対一に対応した複数の割当決定装置214a、214bを備える。中継装置212aは、対応する複数の基地局40a、40bのそれぞれと、対応する割当決定装置214aの間の情報の送受信を中継する。中継装置212bは、対応する複数の基地局40c、40dのそれぞれと、対応する割当決定装置214bの間の情報の送受信を中継する。複数の基地局40a、40bのそれぞれは、割当要求を、対応する中継装置212aを介して、対応する割当決定装置214aに出力する。複数の基地局40c、40dのそれぞれは、割当要求を、対応する中継装置212bを介して、対応する割当決定装置214bに出力する。割当決定装置214aは、割当要求を受け取ったことに応じて割当情報を生成し、生成した割当情報を、対応する中継装置212aを介して、割当要求を出力した基地局40a、40bに返信する。割当決定装置214bは、割当要求を受け取ったことに応じて割当情報を生成し、生成した割当情報を、対応する中継装置212bを介して、割当要求を出力した基地局40c、40dに返信する。
【0138】
図28は、割当決定装置50の構成に関する変形例を説明するための図である。
図1では、2つの割当決定部52、54を備える割当決定装置50が説明された。
図23は、3つの割当決定部224、226,228を備える割当決定装置222を示す。第1割当決定部224、第2割当決定部226、及び第3割当決定部228は、互いに異なる割当決定処理を行う。第1割当決定部224は、第1割当結果を求める。第2割当決定部226は、第2割当結果を求める。第3割当決定部228は、第3割当結果を求める。第1割当決定部224、第2割当決定部226、及び第3割当決定部228は、別々の装置として実装されてもよいし、同じ装置の中に実装されてもよい。
【0139】
図29は、割当決定装置50の構成に関する他の変形例を説明するための図である。
図1では、全ての端末に対して共通の割当決定装置50が使用される。複数の端末20のそれぞれは通信に対する要求が異なる場合がある。通信に対する要求が異なると、割当決定装置の割当決定処理も異なる。例えば、複数の端末20は、高速大容量の通信を行いたい端末、低遅延の通信を行いたい端末、及び多数同時接続を可能としたい端末を含むことがある。複数の端末20が、通信に対する要求に応じて、複数の端末グループに分類される。各端末グループに適した割当決定装置が使用される。
【0140】
3つの割当決定装置230、240、250が基地局40に接続される。高速大容量の通信を行いたい端末はEnhanced Mobile Broadband(eMBB)端末と称される。低遅延の通信を行いたい端末はUltra Reliable Low Latency Communication(URLLC)端末と称される。多数同時接続を可能としたい端末はMassive Machine Type Communiation(mMTC)端末と称される。
【0141】
第1割当決定装置230は、第1割当決定部232と第2割当決定部234を含む。第1割当決定部232と第2割当決定部234は、eMBB端末用の割当ポリシーに従った割当決定処理を行う。
【0142】
第2割当決定装置240は、第1割当決定部242と第2割当決定部244を含む。第1割当決定部242と第2割当決定部244は、URLLC端末用の割当ポリシーに従った割当決定処理を行う。
【0143】
第3割当決定装置250は、第1割当決定部252と第2割当決定部254を含む。第1割当決定部252と第2割当決定部254は、mMTC端末用の割当ポリシーに従った割当決定処理を行う。
【0144】
制御装置44は、第1割当決定装置230、第2割当決定装置240、及び第3割当決定装置250に対して所定の順番で割当要求を順番に送信する。
【0145】
例えば、URLLC端末は、遅延時間の要求が厳しいため、遅延時間内、又は1スロット内にできる限り全てのデータを送信できるようにリソースを割当ることが望ましい。そのため、制御装置44は、先ず第2割当決定装置240に割当要求を送信してもよい。制御装置44は、リソース割当に必要な情報、例えば端末のデータ量、許容遅延時間、チャネル情報等も第2割当決定装置240へ通知する。第2割当決定装置240は、制御装置44から割当要求を受け取ると、第1固定時間が経過するまでに割当情報を制御装置44へ返送する。
【0146】
第2割当決定装置240が従うURLLC端末に対するリソース割り当てのポリシーの例は、1スロットを構成する14個のOFDMシンボルの中の後半の7シンボルを割り当てない、使用する最も後ろのシンボルがなるべく前側になる、URLLC端末のユーザの平均の遅延時間が最も短くなるである。第2割当決定装置240は、このポリシーに基づいて、全探索、機械学習、QUBO問題のソルバーなどで実際の割当を決定してもよい。第2割当決定装置240は、第1固定時間が短い場合、最適解の探索範囲を狭くする、より簡単に計算できるアルゴリズムを利用するなど、割当アルゴリズムを変更してもよい。第2割当決定装置240は、第1固定時間が長い場合、最適な組み合わせを全探索するなど探索範囲が広いアルゴリズムを利用してもよい。
【0147】
制御装置44は、第2割当決定装置240の次に第1割当決定装置230に割当要求を送信してもよい。第2割当決定装置240は、URLLC端末に割り当てた通信ブロック情報の情報を、制御装置44を介して、又は直接に、第1割当決定装置230へ通知する。制御装置44は、リソース割当に必要な情報、例えば端末のデータ量、許容遅延時間、チャネル情報等も第1割当決定装置230へ通知する。第1割当決定装置230は、URLLC端末に割り当てた通信ブロック以外の通信ブロックをeMBB端末に割り当てる。第1割当決定装置230は、制御装置44から割当要求を受け取ると、第2固定時間が経過するまでに割当情報を制御装置44へ返送する。
【0148】
第1割当決定装置230が従うeMMB端末に対するリソース割り当てのポリシーの例は、ラウンドロビン、マックススループット、プロポーショナルフェアネスである。第1割当決定装置230は、このポリシーに基づいて、全探索、機械学習、QUBO問題を解くソルバーなどで実際の割当を決定してもよい。第1割当決定装置230は、第2固定時間が短い場合、探索範囲の広いアルゴリズム用い、第2固定時間が長い場合、探索範囲の広いアルゴリズムを用いてもよい。eMBB端末は、遅延要求が厳しくないため、遅延時間内、又は1スロット内に全てのデータを送信する必要はなく、次のスロットに持ち越してもよい。
【0149】
制御装置44は、第1割当決定装置230の次に第3割当決定装置250に割当要求を送信してもよい。第1割当決定装置230は、eMBB端末に割り当てた通信ブロック情報の情報を、制御装置44を介して、又は直接に、第3割当決定装置250へ通知する。第3割当決定装置250は、URLLC端末とeMBB端末に割り当てた通信ブロック以外の通信ブロックをmMTC端末に割り当てる。制御装置44は、リソース割当に必要な情報、例えば端末のデータ量、許容遅延時間、チャネル情報等も第3割当決定装置250へ通知する。第3割当決定装置250は、制御装置44から割当要求を受け取ると、第3固定時間が経過するまでに割当情報を制御装置44へ返送する。
【0150】
第1固定時間、第2固定時間、及び第3固定時間の割合は、各端末グループのユーザ数、データ量、チャネル状況等に依存する。例えば、第1の端末グループのユーザ数が増加した場合は、第1固定時間を長くし。第2固定時間と第3固定時間を短くしてもよい。
【0151】
第1固定時間と第2固定時間と第3固定時間の和は、スロット長に準ずる時間である。
【0152】
第1割当決定装置230、第2割当決定装置240、及び第3割当決定装置250の各々は、
図28に示した割当決定装置222と同様に、3つの割当決定部を含んでもよい。
【0153】
制御装置44が割当要求を送信する順番は、上記で説明した第2割当決定装置240、第1割当決定装置230、第3割当決定装置250の順番に限らず、他の順番でもよい。
【0154】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0155】
20…端末、30…コアネットワーク、40…基地局、42…通信装置、44…制御装置、50…割当決定装置、52,54…割当決定部