(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132514
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】車両位置情報補正装置、車両位置情報補正プログラム、及び車両位置情報補正方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240920BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20240920BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240920BHJP
G01S 19/40 20100101ALI20240920BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G01C21/28
G08G1/13
G01S19/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043309
(22)【出願日】2023-03-17
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和哉
(72)【発明者】
【氏名】江口 誠
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB33
2F129BB66
2F129DD13
2F129DD20
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF05
5H181MC04
5H181MC12
5H181MC27
5J062AA06
5J062AA09
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5J062CC07
5J062DD24
5J062EE00
5J062FF01
5J062FF02
(57)【要約】
【課題】車両の測位情報を補正することを可能とする。
【解決手段】車両位置情報補正装置1は、複数の車両に設置されたGPSセンサからの測位情報及びGPSセンサの精度情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報を含む走行情報と、を取得する車両情報取得部110と、第1の車両が停止状態と判定された際に、第1の車両の所定距離内に存在し、停止状態にある複数の第2の車両であって、第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い複数の第2の車両を測定車両として選択する車両選択部111と、第1の車両の測位情報が複数の測定車両の測位情報に対して現実的か否かを判定する補正情報を算出する補正情報算出部112と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両の停止判定情報を含む走行情報と、を取得する車両情報取得部と、
GPSセンサの精度情報が所定の精度以下となる第1の車両が前記停止判定情報により、停止状態と判定された際に、前記第1の車両の所定距離内に存在し、前記第1の車両とは異なる停止状態にある第2の車両が複数存在し、さらに前記複数の第2の車両から、前記第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が前記第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い車両が複数存在する場合、前記複数の車両を測定車両として選択する車両選択部と、
前記第1の車両の位置情報が前記複数の測定車両の位置情報に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する補正情報を算出する補正情報算出部と、
を備えることを特徴とする車両位置情報補正装置。
【請求項2】
前記第1の車両は車両間の距離を測定する車両間距離測定部を備え、
前記補正情報算出部はさらに、
前記車両間距離測定部による前記第1の車両と前記複数の測定車両との測定された距離を取得し、前記複数の測定車両の位置情報と前記複数の測定車両との距離とから前記第1の車両の前記位置情報を補正するための補正情報を算出することを特徴とする、請求項1に記載の車両位置情報補正装置。
【請求項3】
前記車両間距離測定部は、撮像装置に基づいて撮像された画像により前記第1の車両と前記測定車両との距離を測定することを特徴とする請求項2に記載の車両位置情報補正装置。
【請求項4】
前記車両間距離測定部は、近距離無線装置に基づいて電波強度により前記第1の車両と前記測定車両との距離を測定することを特徴とする請求項2記載の車両位置情報補正装置。
【請求項5】
前記停止判定情報は、前記車両の速度情報、パーキングセンサ情報、タイヤ状態情報(速度・回転)のいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1乃至4記載の車両位置情報補正装置。
【請求項6】
車両位置情報を補正するためにコンピュータを、
複数の車両に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両の停止判定情報を含む走行情報と、を取得する車両情報取得部、
GPSセンサの精度情報が所定の精度以下となる第1の車両が前記停止判定情報により停止状態と判定された際に、前記第1の車両の所定距離内に存在し、前記第1の車両とは異なる停止状態にある第2の車両が複数存在し、さらに前記複数の第2の車両から、前記第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が前記第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い車両が複数存在する場合、前記複数の車両を測定車両として選択する車両選択部、
前記第1の車両の位置情報が前記複数の測定車両の位置情報に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する補正情報を算出する補正情報算出部、
として機能させることを特徴とする車両位置情報補正プログラム。
【請求項7】
コンピュータにより実行される車両位置情報補正方法であって、
複数の車両に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両の停止判定情報を含む走行情報と、を取得する車両情報取得ステップと、
GPSセンサの精度情報が所定の精度以下となる第1の車両が前記停止判定情報により停止状態と判定された際に、前記第1の車両の所定距離内に存在し、前記第1の車両とは異なる停止状態にある第2の車両が複数存在し、さらに前記複数の第2の車両から、前記第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が前記第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い車両が複数存在する場合、前記複数の車両を測定車両として選択する車両選択ステップと、
前記第1の車両の位置情報が前記複数の測定車両の位置情報に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する補正情報を算出する補正情報算出ステップと、
を備えることを特徴とする車両位置情報補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自己位置情報を収集して、車両をプローブとして活用する場合に、車両の自己位置情報を、周囲の停車車両の自己位置情報及び相対位置情報により、より存在確立の高い自己位置情報に補正する車両位置情報補正装置、車両位置情報補正プログラム、及び車両位置情報補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載しているGPSセンサで当該車両の位置情報やタイムスタンプを含む測位情報を取得することができ、車両をプローブとして活用することで、交通状況の分析、道路インフラ評価、周辺評価に活用することがなされている。GPSセンサの精度は世代により精度が大きく変化しており、最新のGPSセンサは、精度が向上しており、最新のGPSセンサで取得される車両の位置情報は高精度化されていると考えられる。しかしながら、耐久消費財として10年以上利用できる車両では様々な精度のGPSセンサが搭載されている状態になっており、プローブ情報として活用する場合に、様々な精度のGPSセンサによる位置情報が混在している状態と判断される。なお、GPS情報以外に、加速度センサやジャイロセンサ、またWIFI-DirectやBluetoothによる推定を利用した自己位置推定方法もあるが、この場合においても、これらの値を補助的に適用しているに過ぎず、GPS情報による位置情報に対する依存度が高いことから、自己位置情報の高精度化が望まれている。
この点、特許文献1には、車両位置情報を、当該車両位置付近に設置された固定物(例えば、信号機)から測定される位置測定結果で修正する方法が開示されている。また、特許文献2には、道路付近の所定の位置に、同一周期の信号を送信する送信機30、40、50等を備え、車載機20は、送信機30、40、50から送信された信号の到達時間差、送信機30、40、50までの距離に基づいて、送信機30、40、50が送信する信号の周期の同期ずれを算出し、その後、自車が走行を続け、任意の走行地点で、送信機30、40、50から送信された信号の到達時間差、算出した同期ずれ及び送信機30、40、50の位置情報に基づいて、自車位置を特定する技術が開示されている。
しかしながら、いずれの場合であっても、走行する車両の走行位置に応じて、道路上にインフラ整備が必要になり、コストがかかることが課題となっている。このため、道路上に通信機を設ける等のインフラ整備をすることなく、車両の搭載するGPSセンサの精度が低い場合であっても、車両の位置情報を補正することを可能とする装置、方法等が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-153184号公報
【特許文献2】特開2008-216231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両をプローブとして活用する場合に、道路上に通信機を設ける等のインフラ整備をすることなく、車両の搭載するGPSセンサの精度が低い場合であっても、当該車両の自己位置情報を補正することを可能とする装置、方法等が望まれている。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、車両のGPSセンサの精度が低いときでも、他車のGPSセンサ情報を用いて、当該車両の測位情報(位置情報)が例えば他車の位置と重なっている等、有り得ない位置情報になっていないか、判定することで当該車両位置の補正が必要か否かを判定することを可能とする車両位置情報補正装置、車両位置情報補正プログラム、及び車両位置情報補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の車両位置情報補正装置(例えば、後述の車両位置情報補正装置1)は、
複数の車両に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両の停止判定情報を含む走行情報と、を取得する車両情報取得部(例えば、後述の車両情報取得部110)と、
GPSセンサの精度情報が所定の精度以下となる第1の車両が前記停止判定情報により、停止状態と判定された際に、前記第1の車両の所定距離内に存在し、前記第1の車両とは異なる停止状態にある第2の車両が複数存在し、さらに前記複数の第2の車両から、前記第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が前記第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い車両が複数存在する場合、前記複数の車両を測定車両として選択する車両選択部(例えば、後述の車両選択部111)と、
前記第1の車両の位置情報が前記複数の測定車両の位置情報に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する補正情報を算出する補正情報算出部(例えば、後述の補正情報算出部112)と、を備える。
【0007】
上記(1)によれば、第1の車両のGPSセンサの精度が低いときでも、前記GPSセンサの精度情報よりも高いGPSセンサを備える前記複数の第2の車両のGPSセンサ情報を用いて、第1の車両の測位情報(位置情報)が複数の第2の車両の位置と重なっている等、現実的でないことを示す所定の条件をみたすか否かを判定することで第1の車両の位置情報の補正が必要か否かを判定することが可能となる。
【0008】
(2) 上記(1)に記載の車両位置情報補正装置(例えば、後述の車両位置情報補正装置1)において、
前記第1の車両は車両間の距離を測定する車両間距離測定部(例えば、後述の車両間距離測定部215)を備え、
前記補正情報算出部(例えば、後述の補正情報算出部112)はさらに、
前記車両間距離測定部による前記第1の車両と前記複数の測定車両との測定された距離を取得し、前記複数の測定車両の位置情報と前記複数の測定車両との距離とから前記第1の車両の前記位置情報を補正するための補正情報を算出するようにしてもよい。
【0009】
上記(2)によれば、自車のGPSセンサの精度が低いときでも、他車のGPSセンサ情報を用いて、自車の測位情報を補正するための補正情報を作成することが可能となる。
【0010】
(3) 上記(2)に記載の車両位置情報補正装置(例えば、後述の車両位置情報補正装置1)において、
前記車両間距離測定部(例えば、後述の車両間距離測定部215)は撮像装置に基づいて撮像された画像により前記第1の車両と前記測定車両との距離を測定するようにしてもよい。
【0011】
上記(3)によれば、上記(2)の車両位置情報補正装置と同様の効果を奏する。
【0012】
(4) 上記(2)に記載の車両位置情報補正装置(例えば、後述の車両位置情報補正装置1)において、
前記車両間距離測定部(例えば、後述の車両間距離測定部215)は近距離無線装置に基づいて電波強度により前記第1の車両と前記測定車両との距離を測定するようにしてもよい。
【0013】
上記(4)によれば、上記(2)の車両位置情報補正装置と同様の効果を奏する。
【0014】
(5) 上記(1)から(4)のいずれかに記載の車両位置情報補正装置(例えば、後述の車両位置情報補正装置1)において、前記停止判定情報は、前記車両の速度情報、パーキングセンサ情報、タイヤ状態情報(速度・回転)のいずれか1つを含むようにしてもよい。
【0015】
(6)本発明の車両位置情報補正プログラムは、車両位置情報を補正するためにコンピュータを、
複数の車両に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両の停止判定情報を含む走行情報と、を取得する車両情報取得部(例えば、後述の車両情報取得部110)、
GPSセンサの精度情報が所定の精度以下となる第1の車両が前記停止判定情報により停止状態と判定された際に、前記第1の車両の所定距離内に存在し、前記第1の車両とは異なる停止状態にある第2の車両が複数存在し、さらに前記複数の第2の車両から、前記第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が前記第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い車両が複数存在する場合、前記複数の車両を測定車両として選択する車両選択部(例えば、後述の車両選択部111)、
前記第1の車両の位置情報が前記複数の測定車両の位置情報に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する補正情報を算出する補正情報算出部(例えば、後述の補正情報算出部112)、
として機能させる。
【0016】
上記(6)のプログラムによれば、上記(1)の車両位置情報補正装置と同様の効果を奏する。
【0017】
(7)本発明の車両位置情報補正方法は、コンピュータにより実行される車両位置情報補正方法であって、
複数の車両に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両の停止判定情報を含む走行情報と、を取得する車両情報取得ステップと、
GPSセンサの精度情報が所定の精度以下となる第1の車両が前記停止判定情報により停止状態と判定された際に、前記第1の車両の所定距離内に存在し、前記第1の車両とは異なる停止状態にある第2の車両が複数存在し、さらに前記複数の第2の車両から、前記第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が前記第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い車両が複数存在する場合、前記複数の車両を測定車両として選択する車両選択ステップと、
前記第1の車両の位置情報が前記複数の測定車両の位置情報に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する補正情報を算出する補正情報算出ステップと、
を備える。
【0018】
上記(7)の方法によれば、上記(1)の車両位置情報補正装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1の車両のGPSセンサの精度が低いときでも、前記GPSセンサの精度情報よりも高いGPSセンサを備える前記複数の第2の車両のGPSセンサ情報を用いて、第1の車両の測位情報(位置情報)が複数の第2の車両の位置と重なっている等、現実的でないことを示す所定の条件をみたすか否かを判定することで第1の車両の位置情報の補正が必要か否かを判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態である、車両位置情報補正システムの基本的構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態における車両の備える機能ブロックを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態における車両位置情報補正装置の基本的構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態における第1の車両の測位情報を補正するための位置情報及び時刻情報を算出する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態である、車両位置情報補正システムの変形例に係る基本的構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態における車両位置情報補正装置の変形例に係る基本的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、車両位置情報補正システム100の基本的構成を示す。車両位置情報補正システム100は、車両位置情報補正装置1と、車両2と、FCD(Floating Car Data)データベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3と、通信網60と、を備える。
【0022】
ここで、テレマティクス技術に基づいて、車両2はコネクテッドカーであって、例えば当該車両2の車両メーカが運用するコネクテッドシステム(図示せず)と通信可能となっており、各車両の車両ID、各車両2に設置されたGPSセンサからの位置情報(緯度、経度)、タイムスタンプ(日時時刻情報)、当該GPSセンサの精度情報を含む測位情報、車両の少なくとも走行速度情報、車輪速度情報、アクセル開度、パーキングブレーキ情報等のいずれかを含む停止判定情報、及び停止判定情報を含む走行情報を、通信網60を介してFCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3に送信するように構成されている。GPSセンサの精度情報としては、例えばDOP(Dillution of precision:精度低下率)、GPSの世代情報(例えば、準天頂を受けることができる)、及びGPSロストを含むようにしてもよい。
以下、車両2に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両の停止判定情報を含む走行情報を「車両情報」ともいう。
また、車両2は、他の車両との距離を測定する車両間距離測定部を備え、例えば停車又は駐車中の他の車両との距離を測定し、測定された車両間距離測定情報を車両情報に含めてFCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3に送信するようにしてもよい。ここで、車両間距離測定部は、例えばステレオカメラ等の撮像装置により撮像された画像に基づいて車両間距離を算出するようにしてもよい。また、車車間通信V2V(Vehicle-to-Vehicle)等により電波を送信して電波強度により車両間距離を算出するようにしてもよい。
そうすることで、車両2は、車両情報とともに、例えば、当該車両2が停止状態にある場合に、停止状態にある他の車両との車両間距離情報をFCD(Floating Car Data)データベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3に送信するようにしてもよい。FCD(Floating Car Data)データベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3は、車両2から受信した車両情報とともに停止状態にある他の車両との車両間距離情報を車両IDに紐づけて記憶するようにしてもよい。
【0023】
車両位置情報補正装置1は、例えばユーザから指定された所定期間及び/又は所定地域において、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3を検索及び/又は照会することで、複数の車両2に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報及び当該GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、複数の車両2が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、を取得し、停止判定情報により、GPSセンサの精度情報が所定の精度以下となる第1の車両が停止状態と判定された際に、当該第1の車両の所定距離内に存在し、停止状態にある当該第1の車両とは異なる第2の車両が複数存在し、さらに複数の第2の車両から、第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い車両が複数存在する場合、当該複数の車両を測定車両として選択し、第1の車両の位置情報が、選択された他の複数の測定車両の位置情報に対して所定の条件を満たすか否かを判定する。
このように、車両位置情報補正装置1は、第1の車両のGPSセンサの精度が低いときでも、当該GPSセンサの精度情報よりも高いGPSセンサを備える他の複数の測定車両のGPSセンサ情報を用いて、第1の車両の測位情報(位置情報)が複数の測定車両の位置と重なっている等、現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定することで第1の車両の位置情報の補正が必要か否かを判定することが可能となる。
以下、特に断らない限り、「停止状態にある」とは、車両2から送信される車両情報に含まれる停止判定情報(例えば、車両の速度情報、パーキングセンサ情報、タイヤ状態情報(速度・回転)のいずれか1つを含む走行情報)により、走行中に停止状態と判定される状態を意味する。
以上、本実施形態1におけるシステム構成の概要を説明した。
次に車両2の備える本願発明の特長となる機能部について簡単に説明する。
図2に車両2の本願発明の特長となる機能ブロック図を示す。
【0024】
前述したように、車両2はコネクテッドカーであって、GPSセンサ26を備え、少なくともGPSセンサ26で計測した当該車両2の位置情報、時刻情報、当該GPSセンサ26の精度情報を含む測位情報、当該車両2が停止状態か移動中か測定する停止判定情報、及び停止判定情報を含む走行情報、並びに車両2が停止状態にある場合に、停止状態にある他の車両との車両間距離情報を、例えばFCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3に送信する車両情報送信部211を備える。
【0025】
GPSセンサ26の精度情報としては、例えばDOP(dilution of precision:精度低下率)、GPSの世代情報、GPSロスト、衛星の数等が例示される。ここでDOPとは、GPS測位精度の劣化の程度を表す数値で、小さいほど精度が高いことを示す値であって、例えばGPS衛星の位置によって左右され、また上空にGPS衛星が万遍なく配置されていると、精度が高くなる数値となる精度情報を意味する。また、GPSの世代情報として、例えば準天頂衛星システム(みちびき)を利用し、位置情報を高精度に測位することができる場合、精度が高いと判定するようにしてもよい。また、GPSの捕捉数が低下し、ロストしてしまったGPSロスト状態を精度情報(精度ゼロ)として判定するようにしてもよい。
後述する車両位置情報補正装置1は、複数の車両2間において、GPS精度情報の低い車両2、及びGPS精度情報の高い車両2を判定することができる。
【0026】
停止判定情報としては、例えば車両2の車輪回転情報、速度情報、パーキングブレーキ作動情報等が例示される。後述する車両位置情報補正装置1は、車両2の車両情報に含まれる停止判定情報により、当該車両2が停止状態か、移動中かを判定することができる。
【0027】
また、車両2は、他の車両との車両間距離及び方向を測定する車両間距離測定部215を備えるようにしてもよい。車両間距離測定部215として、深度情報を計測可能な撮像装置(例えばステレオカメラ等)、及び/又は電波強度により他の車両との距離を計測する近距離無線通信装置等が測定装置27として例示される。近距離無線通信装置としては、前述したように例えば電波強度に基づいて車両間距離及び方向を測定するようにしてもよい。なお、車両間距離測定部215として、深度情報を計測可能な撮像装置を適用する場合、停止状態にある他の車両の大きさをさらに推定するようにしてもよい。
車両2は、車両間距離測定部215により測定される停止状態にある複数の車両2間の車両間距離を、車両情報送信部211を介してFCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3に送信するようにしてもよい。
そうすることで、後述する車両位置情報補正装置1は、停止状態にある複数の車両2間において、GPS精度情報の低い第1の車両2とGPS精度情報の高い複数の第2の車両2との車両間距離を取得することができる。
以上、車両2について説明した。次に車両位置情報補正装置1について説明する。
【0028】
図3に、車両位置情報補正装置1の基本的構成を示す。車両位置情報補正装置1が備える機能ブロックについて
図3のブロック図を参照して説明をする。
【0029】
図3に示すように、車両位置情報補正装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、入力部15と、を含んで構成される。
【0030】
制御部11は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、車両位置情報補正装置1を構成する各部の制御を行う。制御部11の詳細については、後述する。
【0031】
記憶部12は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラムや、車両情報取得処理、車両選択処理、補正情報算出処理等を行うためのプログラムといった各プログラム、さらにその他、地図情報等の種々の情報が記憶される。さらに、記憶部12は、地図情報記憶部121と、補正情報記憶部124と、を備える。また、記憶部12は、さらに車両情報記憶部122、及び測定車両記憶部123を備えるようにしてもよい。
【0032】
地図情報記憶部121は、地図情報、緯度経度情報、道路リンク情報等が格納されている。また、地図情報には、例えば道路及び道路地図等の背景を表示するための表示用地図データ、ノード(例えば道路の交差点、屈曲点、端点等)の位置情報及びその種別情報、各ノード間を結ぶ経路であるリンクの位置情報及びその種別情報、全てのリンクのコスト情報(例えば距離、所要時間等)に関するリンクコストデータ等を含む道路ネットワークデータ等を含むようにしてもよい。
【0033】
車両情報記憶部122は、後述する車両情報取得部110により取得される、所定地域(例えば県、市町村等)及び所定期間内(例えば指定された期間)に収集された、少なくとも、複数の車両2に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報、及びGPSセンサの精度情報を含む測位情報と、複数の車両が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、停止判定情報を含む走行情報と、を含む車両情報であって、GPSセンサの精度情報の低い車両2(第1の車両)の車両情報、及び当該車両2(第1の車両)の停止状態にあるときに、当該車両2(第1の車両)とは異なる他の車両2であって、当該車両2(第1の車両)の所定距離内に存在し、かつ当該時刻に停止状態にある複数の車両2(第2の車両)の車両情報を記憶するようにしてもよい。
【0034】
測定車両記憶部123は、車両情報記憶部122に記憶される第1の車両に対して、後述する車両選択部111により、当該第1の車両の所定距離内に存在し、停止状態にある複数の第2の車両であって、さらに当該複数の第2の車両から、当該第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い複数の第2の車両を測定車両として選択できた場合、第1の車両の車両情報と、測定車両として選択された複数の測定車両の車両情報と、を記憶するようにしてもよい。
【0035】
補正情報記憶部124は、後述する補正情報算出部112により、測定車両記憶部123に記憶された第1の車両と、複数の測定車両について、第1の車両の位置情報が、複数の測定車両の位置情報に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かが判定された補正情報(判定情報)を第1の車両の車両IDを含む第1の車両情報と、複数の第2の車両の車両IDを含む第2の車両情報と、を対応づけて記憶する。
また、補正情報記憶部124には、後述する補正情報算出部112により、複数の測定車両の位置情報と複数の測定車両との距離とから算出される、第1の車両の位置情報を補正するための補正情報を、第1の車両の車両IDを含む第1の車両情報と、複数の第2の車両の車両IDを含む(測定車両としての)第2の車両情報と、を対応づけて記憶するようにしてもよい。
以上、記憶部12について説明した。
なお、個人情報保護の観点から、車両情報記憶部122、測定車両記憶部123、補正情報記憶部124には車両IDを乱数に置き換えるようにするようにしてもよい。
【0036】
通信部13は、DSP等を有し、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)の規格や、Wi-Fi(登録商標)といった規格に準拠して、通信網60を介して他の装置(例えば、前述したサーバ等)との間の無線通信や有線通信を実現する。なお、通信網60は、インターネットや携帯電話網といったネットワークや、これらを組合せたネットワークにより実現される。また、ネットワークの一部に、LAN(Local Area Network)が含まれていてもよい。
【0037】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部14は、制御部11からの指示を受けて画像を表示する。
入力部15は、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部14の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置(図示を省略する)等で構成される。
【0038】
次に、制御部11の詳細について説明をする。制御部11はCPU、RAM、ROM、及びI/O等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部12から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部12から情報を読み出し、RAM及び記憶部12に対して情報の書き込みを行い、通信部13と信号の授受を行う。そして、このようにして、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより本実施形態における処理は実現される。
【0039】
制御部11は、前述したように機能ブロックとして、車両情報取得部110と、車両選択部111と、補正情報算出部112と、を備える。
【0040】
車両情報取得部110は、例えばユーザから指定された所定期間及び/又は所定地域において、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3を、例えば時刻順に検索及び/又は照会することで、複数の車両2に設置されたGPSセンサからの位置情報、時刻情報、及び前記GPSセンサの精度情報を含む測位情報と、前記複数の車両2が停止状態か移動中か測定する停止判定情報と、前記複数の車両2の停止判定情報を含む走行情報と、を含む車両情報から、時刻順にGPSセンサの精度情報の低い車両2(第1の車両)の車両情報を取得するとともに、併せて当該車両2(第1の車両)の停止状態にあるときに、当該車両2(第1の車両)とは異なる他の車両2であって、当該車両2(第1の車両)の所定距離内に存在し、かつ当該時刻に停止状態にある車両2(第2の車両)の車両情報を取得する。なお、車両情報取得部110は、第1の車両が停止状態において測定された第1の車両と複数の第2の車両との車両間距離(及び方向)をFCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3から取得するようにしてもよい。
第2の車両を複数取得できない場合、車両情報取得部110は、時刻順に次の検索及び/又は照会を行い、GPSセンサの精度情報の低い車両2(第1の車両)の車両情報を検索及び/又は照会する。車両情報取得部110は、このようにして取得した第1の車両及び複数の第2の車両の車両情報等を時刻情報とともに、車両選択部111に出力する。なお、車両情報取得部110は、記憶部12(車両情報記憶部122)に記憶するようにしてもよい。そうすることで、車両情報取得部110は、時刻順に第1の車両及び複数の第2の車両の車両情報等を出力し、車両選択部111は、記憶部12(車両情報記憶部122)を介して、時刻順に第1の車両及び複数の第2の車両の車両情報等を入力することができる。そうすることで、例えば車両情報取得部110と車両選択部111とは、互いに並列的に処理することができる。
なお、車両情報取得部110は、例えばユーザから指定されるGPSセンサの精度情報の低い車両2を第1の車両として、当該第1の車両の車両情報を時刻順に取得するとともに、併せて当該第1の車両の停止状態にあるときに、当該第1の車両とは異なる第2の車両であって、第1の車両の所定距離内に存在し、当該時刻に停止状態にある第2の車両の車両情報を取得するようにしてもよい。そうすることで、後述する補正情報算出部112は、予め指定されたGPSセンサの精度情報の低い車両2の測位情報を重点的に、時刻順に順次補正することができる。
【0041】
車両選択部111は、車両情報取得部110により時刻順に取得された当該第1の車両の所定距離内に存在し、停止状態にある複数の第2の車両から、当該第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い複数の第2の車両を測定車両として選択する。なお、車両選択部111は、第1の車両が停止状態において測定された第1の車両と選択した測定車両との車両間距離(及び方向)をFCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3から取得するようにしてもよい。
車両選択部111は、複数の測定車両を選択できない場合(すなわち、GPSセンサの精度情報が第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い第2の車両がゼロ又は多くても1台しか存在しない場合)、車両情報取得部110により時刻順に例えば次に取得される、第1の車両及び複数の第2の車両の車両情報を入力するようにしてもよい。
車両選択部111は、このようにして選択した第1の車両及び複数の測定車両の車両情報等を時刻情報とともに、補正情報算出部112に出力する。なお、車両選択部111は、記憶部12(測定車両記憶部123)に記憶するようにしてもよい。そうすることで、車両選択部111は、時刻順に第1の車両及び複数の測定車両の車両情報を出力し、補正情報算出部112は、記憶部12(測定車両記憶部123)を介して、時刻順に第1の車両及び複数の測定車両の車両情報を入力することができる。そうすることで、例えば車両選択部111と補正情報算出部112とは、互いに並列的に処理することができる。
【0042】
補正情報算出部112は、車両選択部111により取得された第1の車両及び複数の測定車両の車両情報等に基づいて当該第1の車両の測位情報(位置情報)が車両選択部111により選択された複数の測定車両の測位情報(位置情報)に対して現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する補正情報を算出する。
補正情報算出部112は、第1の車両の測位情報(位置情報)と、複数の測定車両ごとの測位情報(位置情報)と、が現実的でないことを示す所定の条件を満たす否かを判定することで、第1の車両の測位情報(位置情報)と、複数の測定車両のうち少なくとも1台の測位情報(位置情報)と、が現実的でない場合、補正する必要があることを算出するようにしてもよい。
現実的でないことを示す所定の条件については、第1の車両の測位情報(位置情報)と第2の車両(測定車両)の測位情報(位置情報)とが重なっている場合、現実的な位置関係にないと判定することができる。
また、例えば測定車両の大きさが、例えば第1の車両の測位情報(位置情報)に少なくとも一部重なる場合、現実的な位置関係にないと判定することができる。
【0043】
補正情報算出部112は、第1の車両の測位情報(位置情報)が車両選択部111により選択された複数の測定車両の測位情報(位置情報)に対して現実的でないと判定した場合、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3を検索又は照会することで、第1の車両の備える車両間距離測定部215により、第1の車両が停止状態において測定された第1の車両と複数の各測定車両との測定距離(及び方向)を取得し、第1の車両と複数の各測定車両との測定距離(及び方向)に基づいて、第1の車両の測位情報(位置情報)を補正するための補正情報を算出するようにしてもよい。
補正情報算出部112は、このようにして算出した第1の車両の測位情報(位置情報)を補正するための補正情報(位置情報と時刻情報)を第1の車両の車両IDに紐づけて記憶部12(補正情報記憶部124)に記憶するようにしてもよい。これにより、例えば、車両の自己位置情報をプローブ情報として、例えば分析装置(図示せず)により交通状況の分析、道路インフラ評価、周辺評価に活用する場合に、当該分析装置は、補正情報記憶部124に記憶された補正情報に基づいて、車両の位置情報を補正することができる。そうすることで、分析装置(図示せず)は、より精度の高い分析、評価結果を得ることができる。
【0044】
ここで、第1の車両の備える車両間距離測定部215が第1の車両と複数の各測定車両との測定距離(及び方向)を測定する方法について簡単に説明する。
先ず、第1の車両の備える車両間距離測定部215が測定装置27として例えば撮像装置(ステレオカメラ)を利用する構成であって、第1の車両が停止状態の際に、第1の車両の前方に停止状態にある複数の第2の車両であって、当該第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い複数の第2の車両である測定車両であった場合について説明する。
補正情報算出部112は、第1の車両が停止状態になる前の進行方向を当該第1の車両の停止判定情報を含む走行情報により推定することができる。そうすることで、補正情報算出部112は、第1の車両が停止状態の際に、第1の車両の前方にある第2の車両である測定車両を特定することができる。
そうすることで、補正情報算出部112は、特定された複数の測定車両の測位情報(位置情報)と、第1の車両と当該測定車両との測定距離と、複数の停止状態にある測定車両が第1の車両の前方に位置することを利用する(三角測量)ことにより、第1の車両に搭載されたGPSセンサによる測位情報(位置情報)を補正するための補正位置情報を算出するようにしてもよい。
【0045】
同様に、第1の車両の備える車両間距離測定部215が、測定装置27として例えば車車間通信V2V(Vehicle-to-Vehicle)により電波を送信して電波強度により車両間距離を測定する場合においても、第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い複数の第2の車両である測定車両が第1の車両の周辺に停止状態にある場合、車両間距離測定部215は、第1の車両と、停止状態にある各測定車両との測定距離、及び第1の車両に対する各測定車両の方向を特定することができる。
そうすることで、補正情報算出部112は、第1の車両と、停止状態にある各測定車両との測定距離、及び第1の車両に対する各測定車両の方向に基づいて、第1の車両の位置情報を算出することができる。
具体的には、停止状態にある測定車両iとの車両間距離をDiとした場合、第1の車両は、測定車両iの位置情報を中心とする半径Diとする円周Ci上に位置すると考えられる。そうすると、測定車両iの位置情報を中心とする半径Diとする円周Ciと測定車両jの位置情報を中心とする半径Djとする円周Cjとが交わる2つの交点のうちいずれかが第1の車両の位置情報に相当すると考えられる。補正情報算出部112は、第1の車両と測定車両i及び測定車両jとの方向を利用することで、2つの交点のうち適切な方向となる交点を第1の車両の位置情報として判定するようにしてもよい。
【0046】
以上のように、補正情報算出部112は、精度情報の低いGPSセンサにより取得される第1の車両の測位情報(位置情報)を、第1の車両の周辺で停止状態にある精度情報の高いGPSセンサを備える第2の車両である測定車両の測位情報(位置情報)に基づいて、第1の車両の補正された位置情報及び時刻情報を算出することができる。
以上、本実施形態として例示した車両位置情報補正装置1の各機能部の構成について説明した。
【0047】
次に、
図4に記載したフローチャートを参照して、本実施形態の動作について説明する。
図4は、例えばユーザから指定されたGPS精度情報の低い第1の車両について、所定期間内において、停止状態になったときの第1の車両の測位情報(位置情報)を補正するための位置情報及び時刻情報を算出する動作を示すフローチャートである。ここでは、車両位置情報補正装置1(車両情報取得部110)は、所定期間内において、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3を時刻順に検索及び/又は照会することで、ユーザにより指定された、GPS精度情報の低い第1の車両の停止状態となる測位情報、停止判定情報、及び走行情報を取得する処理を例示する。
【0048】
図4を参照すると、ステップS10において、車両位置情報補正装置1(車両情報取得部110)は、所定期間内において、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3を時刻順に検索及び/又は照会することで、ユーザにより指定された、GPS精度情報の低い第1の車両の停止状態となる測位情報、停止判定情報、及び走行情報を取得する。
ステップ11において、第1の車両の停止状態となる測位情報、停止判定情報、及び走行情報を取得できた場合、ステップS12に移る。所定期間内において、当該時刻以降に第1の車両の停止状態となる測位情報、停止判定情報、及び走行情報を取得できない場合、当該第1の車両の測位情報の補正情報算出処理を終了する。
【0049】
ステップS12において、車両位置情報補正装置1(車両選択部111)は、第1の車両が停止状態にあると判定された際に、第1の車両の所定距離内に存在し、停止状態にある複数の第2の車両が存在するか否かを判定する。存在しない場合、当該時刻以降の時刻を対象として、ステップS10に移る。存在する場合、ステップS13に移る。
【0050】
ステップS13において、停止状態にある複数の第2の車両から、当該第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が、第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い複数の第2の車両(測定車両)を選択できるか否かを判定する。選択できない場合、当該時刻以降の時刻を対象として、ステップS10に移る。選択できる場合、ステップS14に移る。
【0051】
ステップS14において、車両位置情報補正装置1(補正情報算出部112)は、第1の車両の測位情報(位置情報)と、複数の測定車両ごとの測位情報(位置情報)と、が現実的でないことを示す所定の条件を満たすか否かを判定する。現実的でないことを示す所定の条件を満たさない場合、当該時刻以降の時刻を対象時刻として、ステップS10に移る。現実的でないことを示す所定の条件を満たす場合、ステップS15に移る。
【0052】
ステップS15において、車両位置情報補正装置1(補正情報算出部112)は、第1の車両が停止状態において測定された第1の車両と複数の各測定車両との車両間測定距離(及び方向)を取得する。
【0053】
ステップS16において、車両位置情報補正装置1(補正情報算出部112)は、第1の車両と複数の各測定車両との測定距離(及び方向)に基づいて、第1の車両の位置情報を補正するための補正情報を算出する。
【0054】
ステップS17において、車両位置情報補正装置1(補正情報算出部112)は、第1の車両の測位情報(位置情報)を補正するための補正情報(位置情報と時刻情報)を第1の車両の車両IDに紐づけて補正情報記憶部124に記憶する。その後、当該時刻以降の時刻を対象時刻として、ステップS10に移る。
【0055】
以上により、車両位置情報補正装置1が、例えばユーザにより指定されたGPS精度情報の低い第1の車両について、当該第1の車両が停止状態になったときの当該第1の車両の測位情報(位置情報)を補正するための補正情報(位置情報及び時刻情報)を算出する動作について説明した。
これにより、車両位置情報補正装置1は、車両のGPSセンサの精度が低いときでも、他車のGPSセンサ情報を用いて、当該車両の測位情報が例えば他車の位置と重なっている等、現実的でない位置情報になっていないか、判定することができる。さらに、車両位置情報補正装置1は、当該車両の測位情報(位置情報)を補正するための補正情報(位置情報と時刻情報)を算出することができる。
【0056】
なお、以上の処理フローにおいて、GPS精度情報の低い複数個の第1の車両を車両IDにより指定するようにしてもよい。その場合、例えば、車両IDごとに、上記処理を行い、例えばi番目の第1の車両のすべての補正情報が作成された場合に、(i+1)番目の第1の車両について補正情報を作成するようにしてもよい。
また、以上の処理フローを実行する前に、車両位置情報補正装置1は、所定地域及び所定期間内において記憶されたすべての車両について、GPS精度情報の低い車両を予め抽出することで、抽出されたすべての車両に対して、上述したように、車両IDごとに順番に補正情報を作成するようにしてもよい。
【0057】
各機器のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のナビゲーションシステムに含まれる各機器のそれぞれが協働することにより行なわれるナビゲーション方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0058】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0060】
<変形例1>
前述した第1の実施形態では、車両位置情報補正装置1(補正情報算出部112)は、第1の車両の位置情報と、測定車両の位置情報と、が現実的でないことを示す所定の条件を満たす場合に、第1の車両の測位情報の補正情報を算出するようにしたが、これに限られない。
第1の車両の位置情報と、測定車両の位置情報と、が現実的でないことを示す所定の条件を満たさない場合においても、車両位置情報補正装置1(補正情報算出部112)は、第1の車両の測位情報の補正情報を算出するようにしてもよい。そうすることで、GPSセンサの精度が低い第1の車両について、より正確な位置情報を作成することができる。
【0061】
<変形例2>
前述した車両位置情報補正システム100において、車両位置情報補正装置1は例えばユーザから指定された所定期間及び/又は所定地域において、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3を検索及び/又は照会することで、車両情報を取得する構成としたがこれに限られない。
図5は、車両位置情報補正システムの変形例である車両位置情報補正システム100Aに係る基本的構成を示す図である。
図5に示すように、車両位置情報補正装置1Aは、各車両2から当該車両2の測位情報、停止判定情報、及び走行情報を受信するようにしてもよい。
図6は、車両位置情報補正装置1の変形例である車両位置情報補正装置1Aに係る基本的構成を示す図である。車両位置情報補正装置1Aは、
図6に示すように、制御部11の機能ブロックとして、車両情報受信部115を備え、各車両2から受信した測位情報、停止判定情報、及び走行情報を例えば車両走行情報記憶部125に記憶するようにしてもよい。
そうすることで、車両情報取得部110Aは、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)3に替えて、車両走行情報記憶部125に記憶された車両情報を検索又は照会することで、車両情報を取得する構成にしてもよい。
【0062】
<変形例3>
変形例2に記載の車両位置情報補正装置1Aにおいて車両2から測位情報、停止判定情報、及び走行情報を受信した際に、GPSセンサの精度が低い第1の車両2を特定し、位置情報の補正対象車両に設定するようにしてもよい。
さらに、車両位置情報補正装置1Aは、当該第1の車両が停止状態にあると判定された際に、当該第1の車両の所定距離内に存在し、停止状態にある複数の第2の車両であって、第2の車両に設置されたGPSセンサの精度情報が当該第1の車両に設置されたGPSセンサの精度情報よりも高い複数の第2の車両を測定車両として選択するようにしてもよい。そうすることで、車両位置情報補正装置1Aは、当該第1の車両と複数の各測定車両との測定された距離を取得し、当該第1の車両の位置情報を補正するための補正情報を算出するようにしてもよい。
こうすることで、車両位置情報補正装置1Aは、第1の車両の停止状態にあるときの位置情報を受信すると同時に補正することが可能となる。
【0063】
<変形例4>
上述の実施形態では、車両位置情報補正装置1を1つのサーバ装置等により実現すると説明したが、車両位置情報補正装置1の各機能を、適宜複数のサーバ装置に分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、車両位置情報補正装置1の各機能を実現してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 車両位置情報補正装置
1A 車両位置情報補正装置
11 制御部
110 車両情報取得部
110A 車両情報取得部
111 車両選択部
112 補正情報算出部
115 車両情報受信部
12 記憶部
121 地図情報記憶部
122 車両情報記憶部
123 測定車両記憶部
124 補正情報記憶部
125 車両走行情報記憶部
13 通信部
14 表示部
15 入力部
2 車両
21 制御部
211 車両情報送信部
215 車両間距離測定部
27 測定装置
3 FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)
60 通信網