(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132515
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】コンテンツ提示器具及びコンテンツ提示器具用シート
(51)【国際特許分類】
G09F 11/08 20060101AFI20240920BHJP
A63H 33/22 20060101ALI20240920BHJP
A63H 33/38 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G09F11/08
A63H33/22 J
A63H33/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043310
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】513186291
【氏名又は名称】渡辺 京子
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雅則
【テーマコード(参考)】
2C150
5C095
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150BA43
2C150BA48
2C150DC03
2C150DC08
2C150DC21
2C150FB12
2C150FB33
2C150FB43
2C150FB45
2C150FB47
2C150FD02
5C095AA21
5C095BA06
5C095BA13
5C095CC06
5C095EE21
(57)【要約】
【課題】可搬性に優れ、コンテンツを入れ替えることのできるコンテンツ提示器具を提供する。
【解決手段】コンテンツ提示器具は、広げると上下に正方形の第1開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になる第1シート体と、広げると上下に正方形の第2開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になる第2シート体と、一端が第1シート体に、他端が第2シート体に固定され、正方形の辺に沿う方向において正方形の辺のn倍(nは、n≧2を満たす整数)に相当する長さを有し、第2シート体に第1方向に巻き付けられた第3シート体と、開口に垂直な方向から見たときに、一端が第1シート体の第1側面に固定され、当該第1シート体の第1側面から第1方向と逆向きの第2方向に巻き付けられ、他端が第2シート体の第1側面に固定され、当該固定された部分を除き正方形の辺のn倍に相当する長さを有する第1帯を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広げると上下に正方形の第1開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になる第1シート体と、
広げると上下に正方形の第2開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になり、第1シート体と同じサイズの第2シート体と、
前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に、他端が前記第2シート体に固定され、前記正方形の辺に沿う方向において前記正方形の辺のn倍(nは、n≧2を満たす整数)に相当する長さを有し、前記第2シート体に第1方向に巻き付けられた第3シート体と、
前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体の第1側面に固定され、当該第1シート体の第1側面から前記第1方向と逆向きの第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体の第1側面に固定され、当該固定された部分を除き前記正方形の辺のn倍に相当する長さを有する第1帯と、
前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に固定され、前記第1シート体に前記第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体に固定された第2帯と
を有するコンテンツ提示器具。
【請求項2】
前記第2帯は、
前記第1開口から垂直な方向から見たときに、前記第1帯と同じ長さを有し、
前記第1シート体の前記第1側面および前記第2シート体の第1側面に固定される
請求項1に記載のコンテンツ提示器具。
【請求項3】
前記第1シート体、前記第2シート体、及び前記第3シート体が、一枚のシート部材により形成される
請求項1に記載のコンテンツ提示器具。
【請求項4】
前記第1開口に挿入される第1筒体と、
前記第2開口に挿入される第2筒体と
を有する請求項1に記載のコンテンツ提示器具。
【請求項5】
前記第1開口の少なくとも一部を塞ぐ第1蓋体と、
前記第2開口の少なくとも一部を塞ぐ第2蓋体と
を有する請求項1に記載のコンテンツ提示器具。
【請求項6】
前記第1シート体を支持する第1芯材と、
前記第2シート体を支持する第2芯材と
を有する請求項1に記載のコンテンツ提示器具。
【請求項7】
広げると上下に正方形の第1開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になる第1シート体と、
広げると上下に正方形の第2開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になり、第1シート体と同じサイズの第2シート体と、
前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に、他端が前記第2シート体に固定され、前記正方形の辺に沿う方向において前記正方形の辺のn倍(nは、n≧2を満たす整数)に相当する長さを有し、前記第2シート体に第1方向に巻き付けられた第3シート体と、
前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体の第1側面に固定され、当該第1シート体の第1側面から前記第1方向と逆向きの第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体の第1側面に固定され、当該固定された部分を除き前記正方形の辺のn倍に相当する長さを有する第1帯と、
前記第1開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に固定され、前記第1シート体に前記第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体に固定された第2帯と
を有するコンテンツ提示器具用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚コンテンツを提示するコンテンツ提示器具に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚コンテンツを提示する器具が知られている。特許文献1には、シート交換型のコンテンツ提示器具が記載されている。特許文献2には、視覚コンテンツを提示するコンテンツ提示器具の一種である回転式絵本が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-43433号公報
【特許文献2】特開2017-165081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンテンツ提示器具は、ほぼ直方体形状の支持体を有しており、この支持体の体積により運搬の際などに支障となることがあった。特許文献2に記載の回転式絵本においては、第1のシート10が支持体に固定されており、決まったコンテンツを楽しむことしかできないという問題があった。
【0005】
これに対し本発明は、可搬性に優れ、コンテンツを入れ替えることのできるコンテンツ提示器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、広げると上下に正方形の第1開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になる第1シート体と、広げると上下に正方形の第2開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になり、第1シート体と同じサイズの第2シート体と、前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に、他端が前記第2シート体に固定され、前記正方形の辺に沿う方向において前記正方形の辺のn倍(nは、n≧2を満たす整数)に相当する長さを有し、前記第2シート体に第1方向に巻き付けられた第3シート体と、前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体の第1側面に固定され、当該第1シート体の第1側面から前記第1方向と逆向きの第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体の第1側面に固定され、当該固定された部分を除き前記正方形の辺のn倍に相当する長さを有する第1帯と、前記第1開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に固定され、前記第1シート体に前記第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体に固定された第2帯とを有するコンテンツ提示器具を提供する。
【0007】
前記第2帯は、前記第1開口から垂直な方向から見たときに、前記第1帯と同じ長さを有し、前記第1シート体の前記第1側面および前記第2シートの第1側面に固定されてもよい。
【0008】
前記第1シート体、前記第2シート体、及び前記第3シート体が、一枚のシート部材により形成されてもよい。
【0009】
このコンテンツ提示器具は、前記第1開口に挿入される第1筒体と、前記第2開口に挿入される第2筒体とを有してもよい。
【0010】
このコンテンツ提示器具は、前記第1開口の少なくとも一部を塞ぐ第1蓋体と、前記第2開口の少なくとも一部を塞ぐ第2蓋体とを有してもよい。
【0011】
このコンテンツ提示器具は、前記第1シート体を支持する第1芯材と、前記第2シート体を支持する第2芯材とを有してもよい。
【0012】
本開示の別の一態様は、広げると上下に正方形の第1開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になる第1シート体と、広げると上下に正方形の第2開口を有する直方体となり、折りたたむと平坦になり、第1シート体と同じサイズの第2シート体と、前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に、他端が前記第2シート体に固定され、前記正方形の辺に沿う方向において前記正方形の辺のn倍(nは、n≧2を満たす整数)に相当する長さを有し、前記第2シート体に第1方向に巻き付けられた第3シート体と、前記第1開口及び前記第2開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体の第1側面に固定され、当該第1シート体の第1側面から前記第1方向と逆向きの第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体の第1側面に固定され、当該固定された部分を除き前記正方形の辺のn倍に相当する長さを有する第1帯と、前記第1開口に垂直な方向から見たときに、一端が前記第1シート体に固定され、前記第1シート体に前記第2方向に巻き付けられ、他端が前記第2シート体に固定された第2帯とを有するコンテンツ提示器具用シートを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、可搬性に優れ、コンテンツを入れ替えることのできるコンテンツ提示器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係るコンテンツ提示器具1の外観を例示する図
【
図2】第1シート体110を広げた状態及び折りたたんだ状態を例示する図
【
図3】コンテンツ提示器具1のより詳細な構造を例示する分解図
【
図6A】シート体100の表面の展開図を例示する図。
【
図6B】シート体100の裏面の展開図を例示する図。
【
図7A】使用状態におけるシート体100と第1帯200との位置関係を例示する模式図。
【
図7B】使用状態におけるシート体100と第1帯200との位置関係を例示する模式図。
【
図7C】使用状態におけるシート体100と第1帯200との位置関係を例示する模式図。
【
図7D】使用状態におけるシート体100と第1帯200との位置関係を例示する模式図。
【
図8A】別の例におけるシート体100の展開図を例示する図。
【
図8B】さらに別の例におけるシート体100の展開図を例示する図。
【
図10】第1筒体51、第1芯材71、及び第1蓋体61の一体化構造を例示する図。
【
図11】第1筒体51、第1芯材71、及び第1蓋体61の一体化構造の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.構成
図1は、一実施形態に係るコンテンツ提示器具1の外観を例示する図である。コンテンツ提示器具1は、コンテンツシート10(コンテンツ提示器具用シートの一例)に形成された視覚コンテンツを相手(例えば視聴者、聴衆、又は観客。以下単に「視聴者」という。)に提示するための器具である。なお、ここでいう視聴者に、使用者自身は含まれない。視覚コンテンツとは、視覚を通して認知できるコンテンツをいい、例えば、絵、図、写真、模様、文字列、又はこれらのうち少なくとも2種の組み合わせをいう。一例において、視覚コンテンツは、子供向けの物語を表した一組の絵である。すなわち、コンテンツ提示器具1は、絵本又は玩具として用いることができる。なお、
図1及び以降の図面では説明を簡単にするため、コンテンツ(例えば絵)そのものを図示する代わりに「1L」、「1R」等の符号を図示する。コンテンツシート10は、シート体100、第1帯200、及び第2帯300を有する。シート体100は、第1シート体110、第2シート体120、第3シート体130を有する。なお第3シート体130は、後述するようにコンテンツの進行状況に応じて第1シート体110及び第2シート体120との位置関係が変わるので、
図1においては提示を省略している。第1シート体110及び第2シート体120は、第3シート体130、第1帯200、及び第2帯300により、相対的に回転可能な状態で固定される。第1シート体110及び第2シート体120は、第3シート体130、第1帯200、及び第2帯300により、互いの少なくとも一部が接した状態を保ったまま回転する。使用者が第1シート体及び第2シート体を回転させることにより、正面に現れる面が変わる。使用者及び視聴者は、こうしてコンテンツが進行していく様子を楽しむことができる。なお、コンテンツシート10は、ブランク(白紙)の状態で使用者に譲渡され、使用者が自身で絵又は文字をコンテンツシート10に書き込んだり貼り付けたりしてもよい。
図1では、紙面の上下方向をコンテンツ提示器具1の上下方向、紙面の左右方向をコンテンツ提示器具1の左右方向と定義する。以降の図でも、この定義に基づく方向を併せて図示する。なお、この方向は説明のためのものであって、コンテンツ提示器具1を使用する際の向きをこの向きに限定する趣旨ではない。使用者は、コンテンツ提示器具1を
図1の状態から90°回転し、第1シート体110と第2シート体120とが上下に並ぶ状態でコンテンツ提示器具1を使用してもよい。
【0016】
本実施形態において、第1シート体110、第2シート体120、第3シート体130、第1帯200、及び第2帯300は、折りたたみ可能な構造及び材料で形成される。一例において、これらの部材は、紙、樹脂、金属、又は木材で形成される。このうち、重量及び強度の観点から、これらの部材、特に紙又は樹脂で形成されることが好ましい。これらは全て同じ材料で形成されてもよいし、一部が異なる材料で形成されてもよい。例えば、第1帯200及び第2帯300は、第1シート体110、第2シート体120、及び第3シート体130よりも薄い材料で形成されてもよい。
【0017】
図2は、第1シート体110を広げた状態及び折りたたんだ状態を例示する図である。実際には第1帯200及び第2帯300が存在するが、ここでは第1帯200及び第2帯300は図示を省略している。
図2(A)は広げた状態の第1シート体110を、
図2(B)は折りたたんだ状態の第1シート体110を、それぞれ示す。第1シート体110は、それぞれ、広げると上下に正方形の開口を有する直方体(すなわち直方体の筒)となり、折りたたむとほぼ平坦となる。第1シート体110上部の開口が、第1開口の一例である。第2シート体120も同様の構造を有する。第2シート体120上部の開口が、第2開口の一例である。
【0018】
なお本稿で第1シート体110を「折りたたむ」とは、変形する部材においてその部材を収容する直方体の体積が使用状態よりも小さい状態(好ましくは最小)となる状態に変形することをいい、「広げる」とは、その部材を使用状態に変形することをいう。第1シート体110以外の部材についても同様である。
【0019】
後述の様に第1シート体110及び第2シート体120は連結されるが、それぞれ折りたたむことができる。第1シート体110及び第2シート体120をいずれも折りたたんだ状態で、コンテンツシート10は全体としてほぼ平坦となる。
【0020】
図3は、コンテンツ提示器具1のより詳細な構造を例示する分解図である。なおここでは図面を簡単にするため、第2シート体120及び第2シート体120に挿入される又は取り付けられる部材は図示を省略している。コンテンツ提示器具1を搬送する際、第1シート体110及び第2シート体120は折りたたまれる。コンテンツ提示器具1を使用する際(すなわちコンテンツを閲覧する際)、第1シート体110及び第2シート体120は広げられる。コンテンツ提示器具1を使用する際の形状を安定させるため、コンテンツ提示器具1は、第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61、第2蓋体62、第1芯材71、及び第2芯材72を有する。
【0021】
第1筒体51及び第2筒体52は、底辺及び上辺が開口した、直方体の筒の形状を有する。第1筒体51及び第2筒体52は、同じ形状及びサイズを有する。第1筒体51は、広げた状態の第1シート体110の、開口に挿入される。第2筒体52は、広げた状態の第2シート体120の、開口に挿入される。
【0022】
第1芯材71は、羽根711、羽根712、羽根713、及び羽根714の4枚の羽根が放射状に延びた形状を有する。羽根711は、第1シート体110の縦方向に沿って見ると長方形を有する。他の羽根も同様である。第1芯材71は、第1筒体51の開口に挿入される。第1芯材71は、第1筒体51の開口の対角線を羽根711~714で支持するように挿入される。第2芯材72も同様に、4枚の羽根が第2筒体の開口に挿入され、4枚の羽根で開口の対角線を支持する。
【0023】
図4は、第1芯材71の構造を例示する図である。この例において、第1芯材71は、2枚の板材718及び板材719を組み合わせた構造を有する。板材718及び板材719は、それぞれ、ほぼ長方形の形状を有する。ここで「板材」とは、形状が板状である部材を意味し、その材料は木材に限定されない。板材718及び板材719は、さらに、1つの短辺の中点から長辺に沿って長辺方向の中点まで延びるスリットを有する。これらのスリットを互いにかみ合わせることにより十字又はX字形状の芯材が形成される。なおこのスリットの幅及び板材の材料を適切に設計することにより、第1芯材71を折りたたみ可能な構造とすることもできる。板材718及び板材719のスリットをかみ合わせた後に、このかみ合わせ部分に粘着テープなどが貼り付けられてもよい。これにより、第1芯材71の形状がより安定する。第2芯材72も同様である。
【0024】
再び
図3を参照する。第1蓋体61は、直方体の箱を、上面に平行な断面で切った形状を有する。この例において、第1蓋体61は、第1筒体51の内側に入りこみ(又ははめ込まれ)、内側から第1筒体51を支持するが、第1シート体110には外側から被さらないようにして、第1シート体110の開口を塞ぐ(すなわち第1筒体51の開口を塞ぐ)。すなわちこの状態で、開口に垂直な視点(すなわち第1シート体110の上面の中心から垂直な方向に延びる軸上にある視点)から見たとき、第1蓋体の面積は第1シート体110の開口の面積よりも狭い。第2蓋体62も、同様に第2シート体120の開口を塞ぐ(すなわち第2筒体52の開口を塞ぐ)。なお、図示は省略するが、第1筒体51及び第2筒体52の下側の開口も、蓋で塞がれる。
【0025】
なお、第1蓋体61は、側面に相当する部分に折り目を設け、折りたたみ可能な構造を有していてもよい。第2蓋体62も同様である。
【0026】
このように蓋体で筒体の開口を塞ぐことにより、第1筒体51及び第2筒体52が補強される。すなわち、第1筒体51及び第2筒体52が折りたたみ可能な構造を有している場合において、コンテンツ提示器具1の使用中に第1筒体51及び第2筒体52が折りたたまれてしまう(すなわちつぶれてしまう)可能性を低減することができる。
【0027】
第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61、第2蓋体62、第1芯材71、及び第2芯材72は、例えば、紙、樹脂、金属、又は木材で形成される。このうち、重量及び強度の観点から、これらの部材は、特に紙又は樹脂で形成されることが好ましい。これらの部材はすべて同じ材料で形成される必要はなく、一部の部材が他の部材とは異なる材料で形成されてもよい。例えば、第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61、及び第2蓋体62が紙で、第1芯材71及び第2芯材72が樹脂で、それぞれ形成されてもよい。
【0028】
一例において、第1筒体51及び第2筒体52として、ほぼ四角柱形状(上から見て正方形)の紙製飲料容器(いわゆる牛乳パック)の上部と底部を切り落としたものを用いてもよい。このように、広く流通しているものを活用することにより、より容易にコンテンツ提示器具1を組み立てることができる。
【0029】
図5は、シート体100の外観を例示する図である。ここでは、第1帯200及び第2帯300を外し、シート体100を展開した状態を図示する。シート体100は、第1シート体110、第2シート体120、及び第3シート体130を有する。第1シート体110は、上部及び底部に開口を有する直方体(又は四角柱)の形状を有する。第2シート体120は、第1シート体110と同じ形状を有する。第1シート体は、4つの側面111を有する。第2シート体は、4つの側面121を有する。
図5では、第1シート体110及び第2シート体120のそれぞれの上部にある開口119及び開口129が示されている(下部の開口はこの角度では側面に隠れて見えない)。開口119及び開口129は、上から見たときに正方形の形状を有する。
【0030】
一例において、第1シート体110について、もともと1枚のシート部材から側面111を4面分と、接合用の貼りしろ(図示略)とを切り出し、貼りしろを貼り付けることによって筒が形成される。第2シート体120についても同様である。
【0031】
第3シート体130は、上又は正面から見たときに、一端(
図5の例では左端)が第1シート体110に、他端(
図5の例では右端)が第2シート体120に連結される。第3シート体は、第1シート体110とは2つの側面111の間の辺112において、第2シート体120とは2つの側面121の間の辺122において、それぞれ固定される。ここで、「第3シート体130が辺112に固定される」とは、第3シート体130が第1シート体110と一体として形成されること、又は第1シート体とは分離した別の部材として形成された第3シート体が辺112に接合されることを意味する。なお、第3シート体130は、辺112を軸として折り曲げ可能である。第3シート体130と辺122との関係についても同様である。
【0032】
第3シート体130は、上又は正面から見たときに、開口119(又は開口129)の辺に沿う方向において、開口119の正方形の一辺のn倍(nはn≧2を満たす整数)に相当する長さを有する。「正方形の一辺のn倍に相当する長さ」とは、一辺のn倍に等しい長さ又は1辺のn倍にマージンを加えた長さをいう。マージンは、第3シート体130の厚み、及び第3シート体130を第1シート体110又は第2シート体120に巻き付ける際の巻き付けのきつさ等を考慮して設計される。第3シート体130は、第1シート体110及び第2シート体120に巻き付けて使用されるので、第3シート体130の厚み及び第1シート体110又は第2シート体120との隙間を無視すると、理論的には、第3シート体130の長さは開口119の正方形の一辺の長さのちょうどn倍である。
図5は、n=4の例を示している。
図5において、第3シート体130の二点鎖線は、第3シート体130を第1シート体110又は第2シート体120に巻き付ける際の折り目を示す。すなわち、
図5の例では、第3シート体130は、側面111(又は側面121)の4面分の長さ(すなわち幅)を有する。第3シート体130において、第1シート体110又は第2シート体120に巻き付けた状態で側面111又は側面121に重ねられる、折り目で区分される1つの領域を面131という。第3シート体130は、表と裏と両面が利用される可能性があるので、面131の裏の面を面132という。第3シート体130は、n面分の面131及びn面分の面132を有する。この例ではn=4なので、第3シート体130は、4つの面131を有する。
【0033】
一例において、シート体を製造する際には、まず第1シート体110及び第2シート体120の筒構造が形成される。次に、第1シート体110及び第2シート体120の表面にスペーサ(一例としては飲料パック程度のサイズの筒体に対しては厚さ2~3mm程度。スペーサの好適な厚さは、筒体及びシート体のサイズに依存する)を貼り付け、このスペーサの上から第3シート体130を巻き付ける。第3シート体130を巻き付けた後で、このスペーサは外される。第1帯200及び第2帯300についても同様である。なお、帯とシート体の凸部とが第1シート体110及び第2シート体120の一方と他方とに並んだ配置が視聴者に見えることがあるので、第1帯200及び第2帯300は、第1シート体110及び第2シート体120の凸部と同じ色又は同系色であることが好ましい。
【0034】
図6Aは、シート体100の展開図を例示する図である。ここでは、第1シート体110の貼りしろ及び第2シート体120の貼りしろ(いずれも図示略)を切り落とし、平面に展開した展開図が示される。シート体100はシート形状を有するので、裏表がある。便宜的に
図6Aを表面という。2点鎖線は、いずれも折り目を示す。この例において、シート体110は、側面111を4面分、側面121を4面分、面131をn面分に相当するサイズを有する。
【0035】
シート体100のうち、第3シート体130に相当する領域は、高さ方向の長さが第1シート体110及び第2シート体120よりも短く、上下において凹部133及び凹部134、すなわち凹んだ形状を有する。凹部133及び凹部134の高さdは、第1帯200及び第2帯300の幅wよりも長い。凹部133及び凹部134は、第1帯200及び第2帯300と第3シート体130とが干渉するのを避けるために設けられている。
【0036】
シート体100を構成する各面を区別するため、
図6Aにおいては表面を構成する12の領域に符号が付されている。
図6Aのうち、第1シート体110及び第3シート体130の領域は、使用時に表に露出する可能性がある面となる。第2シート体120の領域は、貼りしろを貼って組み立てた際に筒の内側にくる面であり、使用時に表には露出しない。領域110(側面111となる面)には右から順に「1L」、「2L」、「3L」、及び「4L」の符号が付されている。領域130の面131には右から順に「5L」、「6L」、「7L」、及び「8L」の符号が付されている。領域120(筒の内面となる面)には右から順に「WLi」、「SLi」、「ELi」、及び「NLi」の符号が付されている。
【0037】
図6Bは、シート体100の展開図の裏面を例示する図である。
図6Bは、
図6Aの展開図を裏返した状態を示す。
図6Aの左下にあるドット(●)と
図6Bの右下にあるドット(●)とは同じ位置を示している。
図6Bにおいても、
図6Aと同様に面に符号を付している。
図6Bのうち、第2シート体120及び第3シート体130の領域は、使用時に表に露出する可能性がある面となる。第1シート体110の領域は、貼りしろを貼って組み立てた際に筒の内側にくる面であり、使用時に表には露出しない。領域130(面132となる面)には左から順に「1R」、「2R」、「3R」、及び「4R」の符号が付されている。領域120(側面121となる面)には左から順に「5R」、「6R」、「7R」、「8R」の符号が付されている。領域110(筒の内面となる面)には右から順に「WRi」、「SRi」、「ERi」、及び「NRi」の符号が付されている。
【0038】
以下では、これらの記号で面を参照する。例えば、面6Lというと、シート体100の展開図における表面のうち、右から2番目の面131のことをいう。面2Rというと、シート体100の展開図における裏面のうち、左から2番目の面132のことをいう。
図6A及び
図6Bから分かるように、面6Lの裏が面2Rである。
【0039】
図6A及び
図6Bには、第1帯200及び第2帯300も図示されている。この例において、第1帯200及び第2帯300は同じサイズを有する。第1帯200は、固定部210、固定部220、及び自由部230を有する。固定部210及び固定部220は、シート体100に固定される部分である。詳細には、固定部210はその裏面が第2シート体120に固定される部分であり、固定部220はその表面が第1シート体110に固定される部分である。自由部230は、シート体100に固定されない部分である。自由部230について、開口に垂直な方向にある視点から見たときの長さ(
図6A及び
図6Bの左右方向の長さ)は、開口119の正方形の一辺のn倍に相当する長さを有する。このnは、第3シート体130の長さにおけるnと同じである。第1帯200と第3シート体130とでnは同じであるが、マージンは異なっていてもよい。すなわち、自由部230の横方向の長さと第3シート体130の横方向の長さとは、そのマージンの長さの差により異なっていてもよい。
図6A及び
図6Bの例ではn=4である。
【0040】
なお、固定部210及び固定部220は、
図6A及び
図6Bでは左右方向の長さが開口119の正方形の一辺に相当する長さとなっているが、これはあくまで例示である。固定部210及び固定部220はシート体100に固定するための領域であるので、その機能を果たせるのであればその長さはこの例に限定されない。固定部210及び固定部220の左右方向の長さは、開口119の正方形の一辺よりも短くてもよいし、長くてもよい。固定部210及び固定部220の左右方向の長さが開口119の正方形の一辺より長い場合は、固定部210及び固定部220は、それぞれシート体100の複数の側面にわたって固定される。さらに、固定部210の長さと固定部220の長さとは異なっていてもよい。以上で説明した事項は、第2帯300についても同様である。
【0041】
図7Aは、使用状態におけるシート体100と第1帯200との位置関係を例示する模式図である。この例において第2帯300は第1帯200が固定される面と同じ面においてシート体100に固定され、同じ向きに巻き付けられるので説明を省略する。
図7Aは、コンテンツシート10を上から見た、面と面との接続関係を模式的に示す。
図7Aにおいて白抜きの四角形で描かれているのは、シート体100のそれぞれの面である。細い実線は両端の面が接続されていることを示す。この細い実線は単に面と面との接続関係を示しているだけであり、面と面との間に面よりも薄い部材が挿入されていることを意味するものではない。また、図においてこの細い実線の長さに意味はなく、単に見やすい長さで描かれている。各面の法線方向にはその面の符号が記されている。また、太い実線は第1帯200を示す。
図7Aにおいては、紙面下側に第1シート体110が、上側に第2シート体120が、それぞれ位置する。この例では、使用者は紙面右側からコンテンツ提示器具1を操作する。視聴者は、紙面左側からコンテンツ提示器具を見る。コンテンツ提示器具1のうち、視聴者に見えている面がある方向を「前」という。
【0042】
第1シート体110において、面1L、面2L、面3L、及び面4Lが、この順番で時計回りに配置される。第2シート体120において、面5R、面6R、面7R、及び面8Rが、この順番で反時計回りに配置される。
【0043】
第3シート体130は、第1シート体110側の一端が面1Lと面4Lとの間の辺に固定され、第2シート体120側の他端が面5Rと面8Rとの間の辺に固定される。
図7Aの状態において、第3シート体130は、第2シート体120に対し、時計回り(第1方向の一例)に巻き付けられる。
【0044】
第1帯200は、表面における右端が第2シート体120の面8Rの上部に、裏面における右端が第1シート体110の面1L(第1側面の一例)の上部に、それぞれ固定される。このように、高さ方向の位置が凹部133と重なる位置において第1帯200がシート体100に固定されるのは、第1帯200が第3シート体130と干渉しないようにするためである。第1帯200とシート体100との固定は、例えば、接着剤による接着又は熱圧着による。
図6A及び
図6Bにおいては、固定される部分同士に同じハッチングが付されている。
図7Aにおいて、第1帯200とシート体100との間の破線は、破線を付された面同士が固定されることを示す。第1帯200は、面1Lから反時計回り(第1方向と逆の第2方向の一例)に、第1シート体110に巻き付けられる。
【0045】
この例において、使用者は、第1シート体110を反時計回りに、第2シート体120を時計回りに回転して使用する。この回転方向がコンテンツ進行の順方向である。逆に、第1シート体110を時計回りに、第2シート体120を反時計回りに回転する方向がコンテンツ進行の逆方向である。
図7Aは、コンテンツ提示器具1を逆方向にいっぱいまで回転させ、コンテンツシート10を初期状態にした、いわば「巻き戻した」状態を示す。この状態で、視聴者(すなわちコンテンツの提示を受ける者)には面3R及び面3Lが見えている。第1帯200は、第2シート体120に固定されている面を除いては、すべて第1シート体110に巻き付けられている。第3シート体130は、すべて第2シート体120に巻き付けられている。
【0046】
図7Bは、
図7Aの状態からコンテンツを1ステップ進行させた状態を例示する図である。詳細には、
図7Bは、
図7Aの状態から第1シート体110を反時計回りに90°、第2シート体120を時計回りに90°、それぞれ回転した状態を示す。この状態で、視聴者には面4R及び面4Lが見えている。
【0047】
図7Cは、
図7Bの状態からコンテンツを1ステップ進行させた状態を例示する図である。詳細には、
図7Cは、
図7Bの状態から第1シート体110を反時計回りに90°、第2シート体120を時計回りに90°、それぞれ回転した状態を示す。この状態で、視聴者には面5R及び面5Lが見えている。
【0048】
図7Dは、
図7Cの状態からコンテンツを3ステップ進行させた状態を例示する図である。詳細には、
図7Cは、
図7Bの状態から第1シート体110を反時計回りに270°、第2シート体120を時計回りに270°、それぞれ回転した状態を示す。
図7Dは、コンテンツ提示器具1を順方向にいっぱいまで回転させ、コンテンツシート10を最終状態にした、いわば「巻き切った」状態を示す。この状態で、視聴者には面8R及び面8Lが見えている。第1帯200は、第1シート体110に固定されている面を除いては、すべて第2シート体120に巻き付けられている。第3シート体130は、すべて第1シート体110に巻き付けられている。
【0049】
この例では、コンテンツ提示器具1は、面3R及び面3Lを提示する状態から面8R及び面8Lを提示する状態まで、6通りの組み合わせの面を提示することができる。コンテンツ提示器具1が提示することのできる面の数は、第3シート体130の長さすなわち面の数によって設計できる。上述の例のようにn=4の場合、6面のコンテンツを提示することができる。
【0050】
図8A及び
図8Bは、それぞれ、n=6及びn=3の例を示す。
図8Aの例では8面のコンテンツを、
図8Bの例では5面のコンテンツを、それぞれ提示することができる。第3シート体130の長さすなわち提示できるコンテンツの面数は自由に設計できるが、第1シート体110及び第2シート体は4つの側面を有しており、側面の数以上の面のコンテンツが現れる意外性がこのコンテンツ提示器具1の面白さの一つの要素であるので、n≧3であることが好ましい。
【0051】
これらの例から分かるように、第1シート体110及び第2シート体120をそれぞれ一定の方向に回転させた場合、コンテンツ提示器具1が視聴者に提示できるコンテンツの面数は最大でn+2面である。
【0052】
なおここでは、上から見て第1シート体110を反時計回りに、第2シート体120を時計回りに、それぞれ回転させて画面を遷移させる例を説明したが、コンテンツ進行の順方向はこの例に限定されない。使用者は、第1シート体110を時計回りに、第2シート体120を反時計回りに回転する方向を順方向して使用してもよい。この場合、視聴者は
図7Aの後方向(紙面の右側)からコンテンツ提示器具1を見る。このとき、視聴者からは、面1Lが左に、面1Rが右に見える。この状態から第1シート体110を時計回りに90°、第2シート体120を反時計回りに90°回転すると、
図7Bの状態になり、視聴者からは、面2Lが左に、面2Rが右に見える。こうしてコンテンツを進行させていくと、視聴者には面6L及び面6Rが見えた状態でコンテンツが終了する。使用者は、この向きを順方向としてコンテンツ提示器具1を使用してもよい。
【0053】
2.使用方法
一例において、コンテンツ提示器具1は、コンテンツシート10、第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61、第2蓋体62、第1芯材71、及び第2芯材72が分解され、それぞれ折りたたまれた状態で流通又は持ち運ばれる。使用者は、これらの部材を用いてコンテンツ提示器具1を組み立てる。
【0054】
例えば、使用者は、まず第1筒体51及び第2筒体52を広げる。さらに使用者は、コンテンツシート10を広げる(すなわち第1シート体110及び第2シート体120をそれぞれ広げる)。使用者は、第1シート体110の開口に第1筒体51を、第2シート体120の開口に第2筒体52を、それぞれ挿入する。
【0055】
次に、使用者は、第1芯材71及び第2芯材72を広げる。使用者は、第1筒体51及び第2筒体52の開口から、それぞれ、第1芯材71及び第2芯材72を挿入する。さらに、使用者は、第1蓋体61及び第2蓋体62をそれぞれ広げる。使用者は、第1シート体110の上部開口に第1蓋体61を、第2シート体120の上部開口に第2蓋体62を、それぞれはめ込む。
【0056】
以上により、コンテンツ提示器具1は、分解された部材毎に折りたたまれた、流通又は持ち運びに適した状態から使用状態に組み立てられる。1つのコンテンツシート10には1つのコンテンツ、例えば、1つの物語しか記載されない。しかし、異なるコンテンツが記載された複数のコンテンツシート10を用意することにより、使用者は、所望のコンテンツが記載されたコンテンツシート10を選んでコンテンツ提示器具1を組み立てることができる。他のコンテンツを楽しみたくなったときは、使用者は、コンテンツ提示器具1からコンテンツシート10を外し、別のコンテンツシート10に第1筒体51及び第2筒体52を挿入する。
【0057】
図9は、コンテンツの遷移を例示する図である。まず、使用者は、第1シート体110及び第2シート体120を相対的に回転させ、視聴者から見て面3Rが左に、面3Lが右に位置する状態にする(
図9(1))。例えばここでは、視聴者から見て第1シート体110が右側、第2シート体120が左側に位置する。これが最初の状態である。この状態から、使用者は、第1シート体110及び第2シート体120を自分から見て内側に閉じるように回転させ、視聴者から見て面4Rが左に、面4Lが右に位置する状態にする(
図9(2))。以下同様に第1シート体110及び第2シート体120を回転させ、
図9(3)、
図9(4)、
図9(5)、
図9(6)の順で正面に現れるコンテンツを遷移させる。なお、一例において第1帯200及び第2帯300にはコンテンツは記載されないので、コンテンツを記載することのできる(又は描くことのできる)領域は、シート体130の高さ分である。
【0058】
なお使用者は、コンテンツを順方向に進行させ巻き切ったところでコンテンツ提示器具1の全体を、上下に延びる回転軸の周りにそのまま180°回転させてもよい。
図6A及び
図6Bに示したコンテンツシート10を用いると、コンテンツを順方向に進行させ巻き切ったとき(ここまでが「行き」すなわち順転)に面8R及び8Lが視聴者には見えている状態であるが、180°回転させると、視聴者には面6L及び面6Rが見える。コンテンツ提示器具1の全体を180°回転させると、視聴者から見て第1シート体110が左、第2シート体120が右に位置するので、面6Lが左、面6Rが右である。ここから、第1シート体110を反時計回りに、第2シート体120を時計回りに、それぞれ90°回転させる(ここからが「帰り」すなわち反転)と、視聴者には面5L及び面5Rが見える。さらに第1シート体110を反時計回りに、第2シート体120を時計回りに、それぞれ90°回転させると、視聴者には面4L及び面4Rが見える。こうして最終的には、視聴者に面1L及び面1Rが見える状態で終了する。コンテンツ提示器具1は、行き6面及び帰り6面の計12面を提示できる。行きと帰りで、一部の面は計2度、しかも左右が入れ替わって見えるが、面に描かれるコンテンツを工夫することにより、物語として成立させることが可能である。この例では、順転のみでは使用されない面(面1L、面1R、面2L、及び面2R)も利用できるので画面数が倍増し、意外性又は不思議な感覚がさらに増すという効果がある。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、様々なコンテンツを入れ替えて楽しめ、かつ持ち運びに便利なコンテンツ提示器具を提供することができる。
【0060】
3.変形例
本発明は上述の実施形態において例示したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する事項のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0061】
実施形態では、コンテンツシート10が一枚のシート材から形成される例を説明したが、コンテンツシート10は複数のシート材を接合することにより形成されてもよい。この場合において、第1シート体110及び第2シート体120と、第3シート体130とは、それぞれ異なる材料で形成されてもよい。例えば第1シート体110及び第2シート体120は使用者が保持する部分になり、使用中はその形状が変わらないが、第3シート体130は、コンテンツの進行状況によって、第1シート体110又は第2シート体120に巻き付く向きが変わる。この特性を考慮し、第1シート体110及び第2シート体120は、第3シート体130よりも固い又は厚い材料で形成されてもよい。
【0062】
実施形態では、第1帯200と第2帯300とが、同じ面でシート体100に固定される例を説明したが、第1帯200と第2帯300とは、回転を阻害しない範囲で、異なる面においてシート体100に固定されてもよい。ただし、シート体110及びシート体120の回転の安定性を向上させるためには、第1帯200と第2帯300とが同じ面でシート体100に固定される方が好ましい。
【0063】
コンテンツ提示器具1は、販売又は流通の際、各部材が個別に提供されてもよい。例えば、コンテンツシート10と他の部材(第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61、第2蓋体62、第1芯材71、及び第2芯材72)とは、別個に提供されてもよい。コンテンツシート10が単体で販売又は流通することにより、既に他の部材を持っている使用者は、所望のコンテンツシート10だけを新たに入手すれば、所望のコンテンツが記載されたコンテンツ提示器具1を得ることができる。
【0064】
第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61及び第2蓋体62、並びに第1芯材71及び第2芯材72の少なくとも一部は省略されてもよい。例えば、コンテンツ提示器具1は、第1芯材71及び第2芯材72を有するが第1蓋体61及び第2蓋体62を有さなくてもよい。あるいは、コンテンツ提示器具1は、第1蓋体61及び第2蓋体62を有するが第1芯材71及び第2芯材72を有さなくてもよい。さらにあるいは、コンテンツ提示器具1は、第1筒体51及び第2筒体52の下面を塞ぐ蓋体を有さなくてもよい。
【0065】
第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61、第2蓋体62、第1芯材71、及び第2芯材72の各々の形状及び構造は、実施形態において例示したものに限定されない。例えば、これらの部材の少なくとも一部は、折りたたみできない構造を有していてもよい。第1筒体51、第2筒体52、第1芯材71、及び第2芯材72は、実施形態で例示したような板材をベースとした構造ではなく、厚紙、樹脂、又は金属で形成されたフレーム(又は骨組み)をベースとした構造を有していてもよい。
【0066】
例えば第1芯材71及び第2芯材72は、それぞれ、折りたたみできない中空又は中実の直方体形状を有していてもよい。折りたたみできない直方体形状を有することにより、第1芯材71及び第2芯材72の形状安定性がより高まる。この場合、第1筒体51、第2筒体52、第1蓋体61、及び第2蓋体62は省略されてもよい。あるいは、第1蓋体61は第1芯材71と一体化された構造を有してもよい。同様に第2蓋体62は第2芯材72と一体化された構造を有していてもよい。またこの場合、開口部への出し入れの際にコンテンツシート10を破損しないよう、中空又は中実の直方体形の角にアールを持たせてもよい。
【0067】
第1筒体51、第1蓋体61、及び第1芯材71は、それぞれ単独の独立した部材として提供されるものに限定されない。これらの部材の一部は、他の部材又はコンテンツシート10と一体化されてもよい。例えば、第1蓋体61と第1芯材71とが一体化されてもよい。あるいは、第1筒体51と第1蓋体61とが一体化されてもよい。さらにあるいは、第1筒体51と第1芯材71とが一体化されてもよい。さらにあるいは、コンテンツシート10、第1筒体51、及び第2筒体52が一体化されてもよい。これらが一体化された部材は、折りたたみ可能な構造を有してもよいし、使用状態のまま折りたたみできない構造を有してもよい。第2筒体52、第2蓋体62、及び第2芯材72についても同様である。ここでいう「一体化」とは、単一の部材で形成された構造とすること、及び複数の部材で形成されるが通常の使用状態においてユーザが分解することはない構造とすること、の双方を含む概念である。
【0068】
第1蓋体61及び第2蓋体62は、筒体51及び筒体52を内側から支持する構造のものに限定されない。例えば、第1蓋体61は、第1シート体110の上から、第1シート体110ごと第1筒体51をカバーする構造を有してもよい。第2蓋体62についても同様である。この場合、第1蓋体61及び第2蓋体62と干渉しないよう、第1帯200は、上面から余白を空けた位置に貼り付けられる。下面の蓋体についても同様である。あるいは、第1蓋体61及び第2蓋体62は、第1筒体51及び第2筒体52をそれぞれカバーし、コンテンツシート10はカバーしないサイズを有してもよい。例えば第1蓋体61は、第1シート体110と第1筒体51との間の隙間にはめ込まれてもよい。この場合、使用者は、第1芯材71を挿入して第1蓋体61で蓋をした状態の第1筒体51を、第1シート体110の開口に挿入する。この場合の蓋体61及び蓋体62は、第1シート体110と第1筒体51との間の隙間にはめ込まれるので、開口119及び開口129を完全に覆っていない状態であるが、蓋体61及び蓋体62は、第1シート体110及び第2シート体120が潰れるのを抑制できるのであれば、開口119及び開口129の少なくとも一部を覆うものであればよい。
【0069】
図10は、第1筒体51、第1芯材71、及び第1蓋体61を一体化した構造を例示する図である。なおここでは、図面を簡単にするため第1蓋体61は図示を省略している。また、図(a)及び(b)では第1筒体51を構成する各側面の間が離れているように図示しているが、実際にはこれらの面は接合されている。
【0070】
図10(a)及び(b)は、第1筒体51を上から見た図である。
図10(a)は第1筒体51を折りたたんだ状態を、
図10(b)は第1筒体51を開いた状態を、それぞれ示す。
図10(a)は、図面を見やすくするため完全には折りたたまれておらず、少し開いた状態の第1筒体51を示している。この例において第1芯材71は、第1筒体51の1つの対角線を支持する板材の形状を有する。第1芯材71は一端(
図10(a)及び(b)では右端)が第1筒体51に固定(例えばテープなどを用い可変状態で固定)されており、他端は第1筒体51には固定されていない。第1筒体51の内面の一部と第1芯材71の一部とは、弾性部材91に固定されている。弾性部材91は、例えばゴム又はバネである。
図10(a)及び(b)において弾性部材91は太い実線で表されるが、ドット(●)を付した位置において第1筒体51の内面の一部及び第1芯材71に固定される。第1筒体51には、これらの固定部分を結ぶ方向(図の左右方向)に対角線を縮める力が働き、第1芯材71がストッパーとなって筒体51の形状をほぼ正方形に保つ。第1芯材71は、弾性部材91が引っ張る力に打ち勝って第1筒体51の形状を保つために必要な剛性を有する。このため、第1芯材71は、第1筒体51よりも剛性の高い材料で形成されることが好ましい。
【0071】
図10(c)は、第1筒体51を開いた状態を示す斜視図である。第1芯材71は第1筒体51の全高に相当する高さを有している必要はなく、この例では第1筒体51の全高よりも短い高さを有している。
図10(a)のように折りたたんだ状態にすれば薄くでき、ケースへの収納も容易である。なお、第1蓋体61はどのような構造でもよいが、一例において第1蓋体61は2片の布又はフィルムで形成される。第1蓋体61の1片はほぼ直角二等辺三角形の形状を有する。1片の直角の位置が、第1芯材71が支持する対角線を形成する、第1筒体51の頂点と対応する位置に固定される。1片の等しい2辺が、第1筒体51のこの直角を挟む2辺に固定される。第1蓋体61のもう1片は、第1芯材71が支持する対角線を形成する、第1筒体51のもう1つの頂点と対応する位置に固定される。「ほぼ直角二等辺三角形」と記載したのは、直角二等辺三角形よりも、直角と対向する辺が外側に膨らんだ形状を有し、第1筒体51を開いた状態では、2片のこの膨らんだ部分が重なりあって開口を閉じる。第1筒体51を折りたたんだとき、第1蓋体61は折り癖にそって第1筒体51の内部に収納されるが、布など柔らかい材料で形成されているので第1芯材71とは干渉しない。
【0072】
図11は、第1筒体51、第1芯材71、及び第1蓋体61を一体化した構造の別の例を示す図である。
図11は、
図10の構造のバリエーションである。この例において、第1芯材71は、縦方向に延びる2枚の板材を蝶番(例えば、平蝶番又はピアノ蝶番)により接合し、この接合部分をまたぐ弾性部材(例えば帯ゴム)を2枚の板材に、好ましくは両面に固定した構造を有する。このような構造を採用することにより、第1芯材71を(上から見て)凸方向及び凹方向のどちらにも折りたたむことができる。また、弾性部材が元の状態に復元する力により2枚の板材が直列し、正方形の対角線を支持する構造を形成する。なお、折り曲げ可かつ対角線を支持する形状に復元する構造であれば、蝶番及び帯ゴムを用いた構造とは別の構造が採用されてもよい。これにより、第1芯材71を第1筒体51に固定した状態で第1芯材71を第1筒体51と一緒に(凸方向又は凹方向に)折り曲げることができ、コンテンツシート10の開口119への挿入が容易になる。なお第1芯材71は、2枚の板材を蝶番で接合する代わりに、第1芯材71自体を蝶番のような折りたたみ可の構造にしてもよい。また、第1芯材71を構成する板材の数は2枚に限定されず、3枚以上の板材により第1芯材71が構成されてもよい。
【0073】
図11は、第1筒体51を折りたたんだ状態を、正面から見た図を示している。第1芯材71は、第1筒体51を折りたたんだ状態で第1筒体51の2つの側面の間の辺(
図11の中心で縦方向に延びる辺)と同じ位置で折り曲げることができる。この折り目の一方側の長辺は長さL1、他方側の短辺は長さL2である。第1芯材71は第1筒体51を広げた状態で開口となる正方形の対角線(長さLd)を支持するので、L1+L2=Ldである。また、長辺の長さL1は正方形の一辺の長さLsとほぼ等しい。この構造を採用することにより、第1芯材71を第1筒体51と一緒に折り曲げることができるので、第1シート体110の開口に挿入しやすい。
【0074】
いずれの構造を採用するにしても、第1芯材71は、コンテンツ提示器具1が使用されるときに第1筒体51の形状を保つのに十分な剛性を有している必要があり、その観点で構造、寸法、及び材料が設計される。
図10及び
図11の例では、後述するケースからの出し入れの際に組み立て及び収納が容易にできるという利便性がある。
【0075】
コンテンツシート10は、他の部材とは別に、単体で流通されてもよい。この場合において、コンテンツシート10は、折りたたまれ、ケースに収容された状態で流通してもよい。このケースは、例えば、ハードカバー本のブックケース、アナログレコードのジャケット、又はCDケースのような形状を有する。あるいは、コンテンツシート10は、折りたたまれた状態で結束して袋に入れた状態で流通されてもよい。また、コンテンツ提示器具1も、第1筒体等の部品を折りたたみ、コンテンツシート10と一緒にケース又は箱などに入れた状態で流通してもよい。
【0076】
コンテンツ提示器具1を組み立てる手順は、実施形態で説明した例に限定されない。最終的にコンテンツ提示器具1を組み立てることができるものであれば、各部品はどのような手順で組み立てられてもよい。
【0077】
コンテンツ提示器具1の用途は、実施形態において説明した絵本及び玩具に限定されない。コンテンツ提示器具1は、第1筒体51及び/又は第2筒体52の内部に物品を収納する各種容器(例えば筆立て又は小物入れなど)として用いられてもよい。また、シート体100の各面に絵を描くのではなく透明フィルムの袋(又はフォルダ)を貼り付け、使用者がカードを入れ替えられる構造としてもよい。あるいは、コンテンツ提示器具1は、いわゆるノベルティグッズとして頒布されてもよい。この場合において、第1帯200及び第2帯300に企業のロゴなどが記載されてもよい。
【0078】
第1シート体110及び第2シート体120を広げた形状は、正四角柱に限定されない。第1シート体110及び第2シート体120は、正三角柱又は正五角柱など、正四角柱以外の正多角柱形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…コンテンツ提示器具、10…コンテンツシート、51…第1筒体、52…第2筒体、61…第1蓋体、62…第2蓋体、71…第1芯材、72…第2芯材、91…弾性部材、100…シート体、110…第1シート体、120…第2シート体、130…第3シート体、200…第1帯、210…固定部、220…固定部、230…自由部、300…第1帯、310…固定部、320…固定部、330…自由部、711…羽根、712…羽根、713…羽根、714…羽根、718…板材、719…板材