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特開2024-132530組立式容器の製造方法及び組立式容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132530
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】組立式容器の製造方法及び組立式容器
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/74 20170101AFI20240920BHJP
   B65D 5/20 20060101ALI20240920BHJP
   B65D 5/56 20060101ALI20240920BHJP
   B29C 51/16 20060101ALI20240920BHJP
   B31B 100/00 20170101ALN20240920BHJP
   B31B 110/30 20170101ALN20240920BHJP
   B31B 120/40 20170101ALN20240920BHJP
【FI】
B31B50/74
B65D5/20 B
B65D5/20 C
B65D5/56 A
B29C51/16
B31B100:00
B31B110:30
B31B120:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043331
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】成田 廣大
(72)【発明者】
【氏名】久保田 文也
(72)【発明者】
【氏名】石原 謙一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 謙次
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝
【テーマコード(参考)】
3E060
3E075
4F208
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB18
3E060BC01
3E060CG12
3E060DA18
3E060DA23
3E060EA13
3E075AA07
3E075BA05
3E075BA19
3E075BA22
3E075BB02
3E075CA01
3E075DE22
3E075GA05
4F208AD06
4F208AD08
4F208AG03
4F208AG07
4F208AG24
4F208AH58
4F208AK07
4F208MA03
4F208MB11
4F208MC01
4F208MH06
(57)【要約】
【課題】容器本体の収容部からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能な組立式容器を提供する。
【解決手段】実施形態における組立式容器の製造方法は、熱板620側に樹脂フィルム3を吸引して突起部31を形成する被覆工程を備える。被覆工程は、収容部12から外側に向かう方向に沿う断面が三角形状に切り欠かれた熱板620の成形部622により、樹脂製フィルム3の段差を横断する突起部形成領域を吸引し、その後に成形部622よりも小さな吸引力で受け型610により突起部形成領域を吸引する吸引工程と、受け型610により吸引した状態で成形部622の吸引を停止することにより、先端部からフランジ部に対して立ち上がる基端部まで樹脂製フィルム3同士を互いに貼り合わされた突起部31を形成する停止工程と、を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクシートの底面から複数の側面を立ち上げて形成される収容部と、これら複数の側面の上部が折り返されて前記収容部の外側に向けて延設されたフランジ部と、を有する容器本体と、前記容器本体の内面に被覆される樹脂製フィルムと、を備える組立式容器の製造方法であって、
前記フランジ部は、前記ブランクシートの折返片同士を重なり合うように貼り合わせられて形成された段差を有し、
熱板成形機の熱板に対向して設けられた受け型に前記容器本体を配置するとともに、前記容器本体と前記熱板との間に前記樹脂製フィルムを配置する配置工程と、
前記樹脂製フィルムを前記熱板側に吸引して前記段差の上方に前記段差を横断する突起部を形成するとともに、前記容器本体の内面に前記樹脂製フィルムを被覆する被覆工程と、を備え、
前記被覆工程は、
前記収容部から外側に向かう方向に沿う断面が三角形状に切り欠かれた前記熱板の成形部により、前記樹脂製フィルムの前記段差を横断する突起部形成領域を吸引し、その後に前記成形部よりも小さな吸引力で前記受け型により前記突起部形成領域を吸引する吸引工程と、
前記受け型により吸引した状態で前記成形部の吸引を停止することにより、先端部から前記フランジ部に対して立ち上がる基端部まで前記樹脂製フィルム同士を互いに貼り合わされた前記突起部を形成する停止工程と、を有すること
を特徴とする組立式容器の製造方法。
【請求項2】
前記被覆工程では、前記熱板成形機により前記樹脂製フィルムを加熱するとともに前記樹脂製フィルムを前記熱板側に吸引すること
を特徴とする請求項1記載の組立式容器の製造方法。
【請求項3】
前記被覆工程の後に、前記樹脂製フィルムの上面に、前記段差を横断するように前記トップシールを貼着する貼着工程を更に備え、
前記貼着工程では、
前記トップシールを貼着する際に、前記トップシールに沿うように前記収容部側又は前記収容部の外側の何れか一方に前記突起部を倒し、前記樹脂製フィルムにおける前記フランジ部に貼り付けられた部分と、前記突起部とにより、3層に折り重ねられた積層部を前記樹脂製フィルムに形成すること
を特徴とする請求項1記載の組立式容器の製造方法。
【請求項4】
前記成形部は、前記収容部から外側に向かう方向に沿う断面が二等辺三角形状に切り欠かれること
を特徴とする請求項1記載の組立式容器の製造方法。
【請求項5】
ブランクシートの底面から複数の側面を立ち上げて形成される収容部と、これら複数の側面の上部が折り返されて前記収容部の外側に向けて延設されたフランジ部と、を有した容器本体と、前記容器本体の内面に被覆された樹脂製フィルムと、を備える組立式容器であって、
前記フランジ部は、組み立て後に前記ブランクシートの折返片同士が重なり合うように貼り合わせられて形成された段差を有し、
前記樹脂製フィルムは、前記段差の上方に前記段差を横断する突起部を有し、
前記突起部は、先端部から前記フランジ部に対して立ち上がる基端部まで前記樹脂製フィルム同士が互いに貼り合わされて形成されること
を特徴とする組立式容器。
【請求項6】
前記樹脂製フィルムの上面に貼着されるトップシールを更に備え、
前記トップシールは、前記樹脂製フィルムの上面に前記段差を横断するように貼着され、
前記突起部は、前記トップシールに沿って前記収容部側又は前記収容部の外側の何れか一方に倒れて配置され、
前記樹脂製フィルムは、前記フランジ部に貼り付けられる部分と、前記突起部とにより、3層に折り重ねられた積層部が形成されること
を特徴とする請求項5記載の組立式容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組立式容器の製造方法、及び組立式容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上端にフランジ部を有するトレー状の容器本体を、例えば紙を主原料とするブランクシートから組み立てた組立式紙容器が知られている。この組立式紙容器には、フランジ部の上面を含む容器本体の内面に、樹脂性を有する熱可塑性の樹脂製フィルムを貼り付けたものがある(特許文献1,2等参照)。この樹脂製フィルム付きの組立式紙容器は、樹脂性を有することから、主に食品等を収容するトレーやボールとして利用されている。
【0003】
また、組立式紙容器は、プラスチック容器と比較して、例えば、環境中で生じる二次マイクロプラスチックの発生等を抑制でき、環境に配慮できる製品である。さらに、樹脂製フィルムは、容器本体から剥がすことも可能であり、樹脂製フィルムと紙製の容器本体との分別も可能であり、樹脂製フィルム及び容器本体のそれぞれのリサイクルも可能である。これらの利点から、組立式紙容器に、例えばMAP(Modified Atmosphere Packaging)を適用し、食品等の包装容器及び食品等の保存容器としての利用も期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-293334号公報
【特許文献2】特開2019-172339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の組立式紙容器の容器本体には、その成形上、フランジ部の上面に、ブランクシートの端面どうしが近接して生じた隙間ができる。現状、この隙間は、フランジ部の上面を含む容器本体の内面を樹脂製フィルムで被覆しても、完全に埋めることは難しい。さらに、樹脂製フィルムは薄く、この樹脂製フィルムを、例えば真空圧空により、フランジ部の上面を含む容器本体の内面に被覆した場合、樹脂製フィルムは、隙間の中に吸引されるため、この樹脂製フィルムだけで、隙間を塞ぐことは難しい。
【0006】
また、容器本体の収容部の中の空気を、食品に適した食品ガスに置換して包装する包装方法が開発されている(例えばMAP)。このような包装方法を、樹脂製フィルム付きの組立式紙容器に適用した場合、トップシールが、フランジ部の上面上の樹脂製フィルムに貼着される。しかし、トップシールも薄いため、トップシールを樹脂製フィルムに貼着したとしても、樹脂製フィルムの上面とトップシールの下面との間に、隙間に沿った空洞ができてしまう。すなわち、トップシールをもってしても、空洞を完全に塞ぐことは難しい。しかも、空洞は、両端が開放されている。そのため、容器本体の収容部は、この空洞を介して、容器本体の外に通じてしまう。
【0007】
また、容器本体のフランジには、ブランクシートの折返片同士を重なり合うように貼り合わせて形成された段差を有する場合がある。この段差にトップシールをした場合、段差に沿って空洞ができるおそれがある。そこで、図に示すように、段差の上方に、この段差を横断するように樹脂製フィルムによりフランジに対して立ち上がる中空状の突起を形成し、この中空状の突起をトップシールによって押し潰すことで空洞を防ぐことも考えられる。
【0008】
図21を用いて中空状の突起を形成する手順を説明する。図21(a)に示すように、熱板成形機の下型910に容器本体を載置してフランジ913の上面に樹脂製フィルム93を配置し、樹脂製フィルム93を構成する樹脂の少なくとも1種類以上の樹脂融点以上に加熱された熱板成形機の熱板920(上型)により樹脂製フィルム3の上面側を真空に吸引する。熱板920で吸引することにより、熱板920の内面に沿って樹脂製フィルム3が変形される。そして、図21(b)に示すように、熱板成形機の下型910により樹脂製フィルム3の下面側を真空に吸引する。これにより、図示しない容器本体の収容部に、樹脂製フィルム3の被覆できる。その後、図21(c)に示すように、熱板920により吸引した状態で、下型910による吸引を停止する。そして、図21(d)に示すように、熱板920による吸引を停止する。そして、図21(e)に示すように、熱板920を上昇させ、中空状の突起931を熱板920から離型する。これにより、フランジ913に中空状の突起931が形成される。そして、加熱された状態の突起931が外気に晒されて自然冷却される。このため、図21(f)に示すように、自然冷却に伴って中空状の突起931が冷結晶化して自由収縮することになる。その結果、中空状の突起931に厚さの不均一や高低差が生じたりする等の賦形不良が生じるおそれがある。
【0009】
このような賦形不良が生じた中空状の突起をトップシールにより押し潰したとき、トップシールと中空状の突起との間に、空洞が生じてしまうおそれがある。更には、突起が中空状であることから、ランダムに潰れてしまい、空洞が生じてしまうおそれがある。その結果、この空洞を介して、収容部から収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しが発生してしまうおそれがある。
【0010】
以上のことから、樹脂製フィルム付きの組立式容器には、トップシールで収容部を被覆したとしても、空洞を介して、収容部から収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しが発生してしまうおそれがある。
【0011】
そこで本発明は、上述した問題点を鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、容器本体の収容部からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能な組立式容器の製造方法、及び組立紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る組立式容器の製造方法は、ブランクシートの底面から複数の側面を立ち上げて形成される収容部と、これら複数の側面の上部が折り返されて前記収容部の外側に向けて延設されたフランジ部と、を有する容器本体と、前記容器本体の内面に被覆される樹脂製フィルムと、を備える組立式容器の製造方法であって、前記フランジ部は、前記ブランクシートの折返片同士を重なり合うように貼り合わせられて形成された段差を有し、熱板成形機の熱板に対向して設けられた受け型に前記容器本体を配置するとともに、前記容器本体と前記熱板との間に前記樹脂製フィルムを配置する配置工程と、前記樹脂フィルムを前記熱板側に吸引して前記段差の上方に前記段差を横断する突起部を形成するとともに、前記容器本体の内面に前記樹脂製フィルムを被覆する被覆工程と、を備え、前記被覆工程は、前記収容部から外側に向かう方向に沿う断面が三角形状に切り欠かれた前記熱板の成形部により、前記樹脂製フィルムの前記段差を横断する突起部形成領域を吸引し、その後に前記成形部よりも小さな吸引力で前記受け型により前記突起部形成領域を吸引する吸引工程と、前記受け型により吸引した状態で前記成形部の吸引を停止することにより、先端部から前記フランジ部に対して立ち上がる基端部まで前記樹脂製フィルム同士を互いに貼り合わされた前記突起部を形成する停止工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る組立式容器は、ブランクシートの底面から複数の側面を立ち上げて形成される収容部と、これら複数の側面の上部が折り返されて前記収容部の外側に向けて延設されたフランジ部と、を有した容器本体と、前記容器本体の内面に被覆された樹脂製フィルムと、を備える組立式容器であって、前記フランジ部は、組み立て後に前記ブランクシートの折返片同士が重なり合うように貼り合わせられて形成された段差を有し、前記樹脂製フィルムは、前記段差の上方に前記段差を横断する突起部を有し、前記突起部は、先端部から前記フランジ部に対して立ち上がる基端部まで前記樹脂製フィルム同士が互いに貼り合わされて形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述した構成からなる本発明によれば、容器本体の収容部からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能な組立式容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、第1実施形態に係る組立式容器を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)の組立式容器を示す側面図であり、図1(c)は、図1(a)の組立式容器を示す斜視図である。
図2図2は、図1の組立式容器に用いられるブランクシートを示す展開図である。
図3図3は、図1におけるA-A線矢視部分の拡大断面図であって、突起部の一例を示す模式断面図である。
図4図4は、図1の組立式容器の収容部を、トップシールで被覆した態様を示す平面図である。
図5図5は、図4の組立式容器において、トップシールにより突起部を倒して形成した積層部周辺の断面図である。
図6図6は、熱板成形機の一例を示す模式図である。
図7図7は、組立式容器の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図8図8(a)及び図8(b)は、組立式容器の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、組立式容器の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、組立式容器の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、組立式容器の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る組立式容器の製造システムの一例を示す模式図である。
図13図13は、第1実施形態に係る組立式容器を示す平面図である。
図14図14は、実験例1~3の突起部を示す写真である。
図15図15は、実験例4~5の突起部を示す写真である。
図16図16(a)は、実験例6の突起部を示す写真であり、図16(b)は、実験例7の突起部を示す写真である。
図17図17は、実施例4の成形部を説明する図である。
図18図18(a)は、実験例8の突起部を示す写真であり、図18(b)は、実験例9の突起部を示す写真である。
図19図19(a)は、実験例10の突起部を示す写真であり、図19(b)は、実験例11の突起部を示す写真である。
図20図20(a)及び図20(b)は、成形部の頂部の頂角と樹脂製フィルムとの関係を説明する図である。
図21図21(a)~図21(f)は、中空状の突起を形成する手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用して例示した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る組立式容器1は、図1(a)~図1(c)に示すように、容器本体11と、容器本体11の内面に被覆された樹脂製フィルム3と、を備える。
【0018】
容器本体11は、収容部12と、フランジ部13と、を有する。そして、この容器本体11は、図2に示した例えば紙を主材料とする1枚のブランクシート2から組み立てられている。図2において、点線は「谷折り」を示し、一点鎖線は「山折り」を示す。谷折り線及び山折り線は、例えば、ミシン目、ハーフカット、罫線等からなっている。また、ブランクシート2内の実線は「切込み」を示す。ブランクシート2に「谷折り」及び「山折り」を施すとともに、折返片13a,13b同士がそれぞれ重なり合うように貼り合わせることで、容器本体11が構成される。ブランクシート2は、紙を主材料とするもののほか、通気性を有する周知のブランクシートを用いることができる。
【0019】
収容部12は、この実施形態では、底面121から立ち上がる8つの側面122を有するものとした。なお、収容部12は、側面122が3つ以上あれば構成することができる。
【0020】
フランジ部13は、それぞれの側面122の上端部と連続しているとともに、収容部12の外側に向かう方向に延設されている。このフランジ部13の上面131には、組み立て後にブランクシート2の折返片13a,13b同士がそれぞれ重なり合うように貼り合わせられて形成される段差22を有する。段差22は、収容部12側から収容部12の外側に向けて延びて形成される。段差22は、フランジ部13の四隅に2つずつある。
【0021】
樹脂製フィルム3は、フランジ部13の上面131を含む容器本体11の内面に被覆されている。樹脂製フィルム3は、容器本体11のフランジ部13の上面131に被覆される部分において、段差22の上方に、段差22を横断する突起部31を有する。この実施形態の組立式容器1では、段差22は8つあり、それぞれの段差22に対して、突起部31が形成されている。なお、突起部31は、1つの段差22に対して、複数設けて実施してもよい。
【0022】
突起部31は、図3に一例を示すように、先端部31aからフランジ部13に対して立ち上がる基端部31bまで樹脂製フィルム3同士が互いに貼り合わされて形成される。
【0023】
容器本体11の内面への被覆に好適で、且つ、突起部31を成形可能な樹脂製フィルム3に用いられる樹脂の例としては、熱可塑性樹脂である、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンやその変性樹脂(接着樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブテン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。樹脂製フィルム3は、上記材料いずれかの単一フィルムであってもよく、上記材料を複数混合したフィルムであってもよい。また、樹脂製フィルム3は、単層のフィルムであってもよく、複数の層を積層した積層フィルムであってもよい。
【0024】
次に、上記した態様から、収容部12をトップシール4で被覆した態様の組立式容器1について説明する。
【0025】
組立式容器1は、図4に示すように、トップシール4で収容部12を被覆することにより、食品等の収容物を包装して収容することができる。トップシール4は、フランジ部13の上面131上の樹脂製フィルム3に貼着される。これにより、トップシール4は、収容部12を被覆する。この実施形態では、トップシール4は、フランジ部13の上面131の上方において、段差22を横断して、突起部31を収容部12側又は収容部12の外側の何れか一方に倒しつつ樹脂製フィルム3に貼着される。トップシール4を樹脂製フィルム3に貼着する際、トップシール4は、点線で示した押圧領域32において、押圧機により加熱しながら押圧される。この実施形態では、突起部31は、突起部31の全体が押圧領域32の幅の中に収まるように設計されている。これにより、突起部31は、押圧機によって、確実に押し倒すことができる。
【0026】
トップシール4は、樹脂製フィルム3の上面に段差22を横断するように貼着される。トップシール4は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンやその変性樹脂(接着樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブテン、ポリビニルアルコール等がシール層として用いられる。
【0027】
図5に示すように、突起部31は、トップシール4に沿って収容部12側又は収容部12の外側の何れか一方に倒れて配置される。樹脂製フィルム3は、フランジ部13に貼り付けられる部分と、突起部31とにより、3層に折り重ねられた積層部33が形成される。また、突起部31は、内部に空間が全く又はほとんど形成されないため、トップシール4を貼着した際に突起部31が倒れる方向を、収容部12側又は収容部12の外側の何れか一つの方向にコントロールできる。
【0028】
<熱板成形機600>
次に、図6を用いて、第1実施形態に係る組立式容器1の製造に用いられる熱板成形機600について説明する。
【0029】
熱板成形機600は、図6に示すように、組立式容器1を製造に用いられる製造装置である。熱板成形機600は、樹脂製フィルム3を、フランジ部13付きの容器本体11に被覆するとともに、被覆する際に、突起部31を樹脂製フィルム3に成形することができる。熱板成形機600は、受け型610と、熱板620と、を備える。なお、熱板成形機600は、トリミング機能を有してもよい。
【0030】
(受け型610)
受け型610は、容器本体11が載置されて収容される。受け型610は、熱板620の下方に配置される。受け型610は、例えば25℃程度の温度に設定される。受け型610は、樹脂製フィルム3を容器本体11に向かう方向に吸引できる。容器本体11の収容部12が載置される第1載置部611と、容器本体11のフランジ部13が載置される第2載置部612と、を有する。
【0031】
第1載置部611は、図示しない真空ポンプに接続され、収容部12の下方側を吸引できる。第1載置部611は、第2載置部612は、図示しない真空ポンプに接続され、フランジ部13の下方側を吸引できる。
【0032】
(熱板620)
熱板620は、例えば受け型610の上方に対向して配置され、上下動して開閉可能である。熱板620は、例えば170℃~190℃程度の樹脂製フィルム3が変形可能な程度の温度に加熱される。熱板620は、図示しない真空ポンプに接続され、樹脂製フィルム3を容器本体11から引き離す方向に真空に吸引できる。また、熱板620は、樹脂製フィルム3を容器本体11に向かう方向に空気を送気できる。熱板620は、第1載置部611に対向する対向部621と、第2載置部612に対向する成形部622と、樹脂製フィルム3を切断するためのカッター部623と、を有する。
【0033】
対向部621は、図示しない真空ポンプに接続され、樹脂製フィルム3の上方側を真空に吸引できる。また、対向部621は、樹脂製フィルム3の上方側に、圧縮された空気を送気できる。対向部621は、下面側がドーム状の凹面で形成される。これにより、加熱された対向部621が樹脂製フィルム3を吸引したとき、樹脂製フィルム3が対向部621の下面に貼り付いて加熱され、樹脂製フィルム3を均一に伸ばすことができる。このため、対向部621から空気を送気した際に、収容部12に満遍なく樹脂製フィルム3を被覆できる。
【0034】
成形部622は、図示しない真空ポンプに接続され、フランジ部13上の樹脂製フィルム3の突起部形成領域を真空に吸引できる。成形部622は、収容部12から外側に向かう方向に沿う断面が三角形状に切り欠かれる。断面が三角形状に形成されることにより、突起を形成するために樹脂製フィルム3を吸引したとき、吸引できる樹脂量を増やすことができる。このため、形成した突起により段差22を埋めるのに必要な樹脂量を確保することができる。
【0035】
成形部622は、三角形状に切り欠かれた頂部から成形部622の内部の空間に空気を取り入れることができる。成形部622は、収容部12から外側に向かう方向に沿う断面が二等辺三角形状に切り欠かれることが好ましい。これにより、樹脂製フィルム3同士を互いに貼り合わせて突起部31を形成するとき、突起部31の先端部31aを挟んで両側の樹脂製フィルム3の樹脂量を均一にすることができる。
【0036】
成形部622は、二等辺三角形状に切り欠かれた頂部の頂角θが好ましくは45°以下である。これにより、頂角θが64°以上の場合と比べて、熱板620を離型して突起部31を形成するとき、突起部31の中心線の偏りを抑制できる。このため、突起部31を設計された位置に形成し易くなる。成形部622は二等辺三角形が好ましいが、三角形状であれば突起部31の形成は可能である。
【0037】
カッター部623は、熱板620に設けられ、樹脂製フィルム3を切断する。
【0038】
なお、図6に示す熱板成形機600では、受け型610の上方に熱板620が対向する例について説明した。このほか、熱板成形機600としては受け型610の下方に熱板620が対向するものであってもよいし、受け型610と熱板620とが左右方向で対向するものであってもよい。
【0039】
<組立式容器の製造方法の一例>
次に、図7図11を用いて、組立式容器の製造方法の一例について説明する。組立式容器の製造方法は、例えばブランクシート切断工程S10と、製函工程S20と、配置工程S30と、被覆工程S40と、収容物収容工程S50と、貼着工程S60と、トリミング工程S70と、を備える。
【0040】
(ブランクシート切断工程S10)
先ず、組立式容器の製造方法では、上述のブランクシート2を切断形成するブランクシート切断工程S10を行い、ブランクシート2を製造する。
【0041】
(製函工程S20)
次に、組立式容器の製造方法では、ブランクシート切断工程S10で切り出して製造したブランクシート2から容器本体11を組み立てる製函工程S20を行う。容器本体11は、ブランクシート2の底面121から複数の側面122を立ち上げて形成される収容部12と、これら複数の側面122の上部が折り返されて収容部12の外側に向けて延設されたフランジ部13と、を有する。フランジ部13は、ブランクシート2の折返片同士を重なり合うように貼り合わせられて形成された段差22を有する。
【0042】
(配置工程S30)
次に、組立式容器の製造方法では、図8(a)に示すように、熱板成形機600の熱板620の下方に設けられた受け型610に容器本体11を配置するとともに、容器本体11と熱板620との間に樹脂製フィルム3を配置する配置工程S30を行う。
【0043】
(被覆工程S40)
次に、組立式容器の製造方法では、図8(b)~図11(b)に示すように、熱板成形機600により樹脂製フィルム3を加熱するとともに熱板620側に樹脂製フィルム3を吸引して段差22の上方に段差22を横断する突起部31を形成するとともに、容器本体11の内面に樹脂製フィルム3を被覆する被覆工程S40を行う。被覆工程S40は、吸引工程S41と、停止工程S42と、を有する。図8図11における点線矢印は、熱板成形機600による吸引を示す。以下の例では、樹脂製フィルム3の加熱は、吸引工程S41において行う。本発明では、樹脂製フィルム3の加熱は、吸引工程S41以前に行われればよい。例えば配置工程S30において、容器本体11と熱板620との間に配置する前に、事前に樹脂製フィルム3を加熱し、その後に吸引工程S41を行ってもよい。
【0044】
吸引工程S41では、収容部12から外側に向かう方向に沿う断面が三角形状に切り欠かれた熱板620の成形部622により、樹脂製フィルム3の段差22を横断する突起部形成領域の上面側を吸引し、その後に成形部622よりも小さな吸引力で受け型610により突起部形成領域の下面側を吸引する。
【0045】
詳細には、吸引工程S41は、図8(b)に示すように、加熱された熱板620の対向部621と成形部622とにより、樹脂製フィルム3の上方側を吸引する。対向部621が樹脂製フィルム3を吸引することにより、加熱された樹脂製フィルム3が対向部621に貼り付いて均一に伸ばすことができる。また、成形部622が樹脂製フィルム3を吸引することにより、樹脂製フィルム3の突起部形成領域の上面は、成形部622に貼り付けられる。
【0046】
そして、吸引工程S41は、図9(a)に示すように、熱板620を受け型610に向けて下降させ、熱板620を型閉する。これにより、熱板620の成形部622と受け型610の第2載置部612とで樹脂製フィルム3を押さえる。そして、吸引工程S41は、カッター部623を下降させ、熱板620の外側の樹脂製フィルム3を切断する。
【0047】
そして、吸引工程S41は、図9(b)に示すように、対向部621の吸引を停止するとともに、受け型610の第1載置部611と第2載置部612とにより樹脂製フィルム3の下面側を吸引する。例えばブランクシート2が紙を主体とする場合等には空気透過性を有することから、受け型610により容器本体11の下方側を吸引することで、樹脂製フィルム3の下面側を吸引できる。なお、例えばブランクシート2が空気透過性を有しない場合には、ブランクシート2に予め開口部を設けてもよい。この場合、受け型610により容器本体11の下方側を吸引することで、形成したこの開口部を介して樹脂製フィルム3の下面側を吸引できる。
【0048】
吸引工程S41は、対向部621の吸引を停止するとともに、受け型610の第1載置部611と第2載置部612とにより樹脂製フィルム3の下面側を吸引することにより、対向部621に貼り付いていた樹脂製フィルム3が、対向部621から離型される。また、第2載置部612は、成形部622の吸引力よりも小さな吸引力で吸引する。これにより、成形部622に貼り付いた樹脂製フィルム3は、そのままの状態で維持される。
【0049】
そして、吸引工程S41は、図10(a)に示すように、対向部621により圧縮した空気を樹脂製フィルム3の上面側に送気する。これにより、樹脂製フィルム3を収容部12に被覆することができる。
【0050】
次に、停止工程S42を行う。停止工程S42では、受け型610により吸引した状態で成形部622の吸引を停止し、その後に受け型610の吸引を停止することにより、先端部31aからフランジ部13に対して立ち上がる基端部31bまで樹脂製フィルム3同士を互いに貼り合わされた突起部31を形成する。
【0051】
詳細には、停止工程S42は、図10(b)に示すように、熱板620の対向部621による送気と、成形部622による吸引と、を停止する。成形部622による吸引を停止することにより、成形部622の三角形状に形成された頂部から外気が取り入れられる。このとき、受け型610の第2載置部612は、樹脂製フィルム3を吸引した状態である。これにより、成形部622に貼り付いていた樹脂製フィルム3が成形部622から離型し、成形部622の三角形頂部から取り入れた外気で冷却される。
【0052】
樹脂製フィルム3が成形部622から離型する際、図11(a)に示すように、成形部622の切り欠かれた三角形状の頂部を起点として突起部31の先端部31aが形成され、先端部31aから突起部31の基端部31bまで樹脂製フィルム3が互いに貼り合わせられる。これにより、停止工程S42は、先端部31aからフランジ部13に対して立ち上がる基端部31bまで樹脂製フィルム3同士を互いに貼り合わされた突起部31を形成する。突起部31は、先端部31aから基端部31bまで樹脂製フィルム3同士が貼り合わせて形成されるため、従来のように中空状にならず、突起部31の内部には空間が全く又はほとんど形成されない。また、突起部31は既に離型され、成形部622の三角形状頂部から取り入れた外気で十分冷却されているため、熱板620を開いた後の自然冷却に伴って突起部31が冷結晶化して自由収縮するのを防止できる。その結果、突起部31に厚さの不均一や高低差が生じたりする等の賦形不良が生じるのを防止できる。そして、停止工程S42は、受け型610の吸引を停止する。
【0053】
その後、停止工程S42は、図11(b)に示すように、熱板620を上昇させ、開型する。
【0054】
(収容物収容工程S50)
次に、組立式容器の製造方法では、被覆工程S40で製造されたトップシール4が貼着されていない状態の組立式容器1の収容部12内に、食品等の収容物を収容する収容物収容工程S50を行う。
【0055】
(貼着工程S60)
次に、組立式容器の製造方法では、収容物収容工程S50で収容部12内に食品等の収容物が収容された状態の組立式容器1のフランジ部13の上面に被覆された樹脂製フィルム3に、フランジ部13の上面の上方において、突起部31を収容部12側又は収容部12の外側の何れか一方に倒しつつ、段差22を横断するように、押圧機を用いて、トップシール4を貼着する貼着工程S60を行う。
【0056】
貼着工程S60では、トップシール4を貼着する際に、トップシール4に沿うように収容部12側又は収容部12の外側の何れか一方に突起部31を倒し、樹脂製フィルム3におけるフランジ部13に貼り付けられた部分と、突起部31とにより、3層に折り重ねられた積層部33を樹脂製フィルム3に形成する。これにより、積層部33を段差22に埋設できる。このため、収容部12に収容した収容物の夾雑を防止できる。
【0057】
(トリミング工程S70)
最後に、組立式容器1周囲の余分な樹脂製フィルム3を取り除くトリミングをするトリミング工程S70を行うことで、組立式容器1が製造され、この実施形態に係る組立式容器1の製造方法が完了する。
【0058】
次に、図12を用いて、組立式容器の製造システム700について説明する。
【0059】
製造システム700は、送給ローラー710に巻かれた樹脂製フィルム3を巻取りローラー720で巻取りながら、フランジ部13付きの容器本体11に、樹脂製フィルム3を被覆する。
【0060】
図12に示すように、製造システム700は、送給ローラー710と、巻取りローラー720と、熱板成形機600と、を備えている。熱板成形機600は、樹脂製フィルム3をトリミングするトリミング機能を有する。
【0061】
送給ローラー710には、1巻の帯状の樹脂製フィルム3が取り付けられる。
【0062】
巻取りローラー720には、帯状の樹脂製フィルム3の一端が取り付けられ、帯状の樹脂製フィルム3を巻き取る。帯状の樹脂製フィルム3は、送給ローラー710から巻取りローラー720へ向かって進む。
【0063】
熱板成形機600は、送給ローラー710と巻取りローラー720との間に配置される。
【0064】
熱板成形機600で製造された組立式容器1は、熱板成形機600の有するトリミング機能により帯状の樹脂製フィルム3から組立式容器1が離脱される。
【0065】
このように、組立式容器の製造システム700は、熱板成形機600を備える。したがって、この製造システム700によれば、組立式容器1を製造することが可能である。しかも、この製造システム700によれば、組立式容器1を、帯状の樹脂製フィルム3から連続して製造することができる。
【0066】
本実施形態によれば、被覆工程S40は、熱板620の成形部622により、樹脂製フィルム3の段差22を横断する突起部形成領域の上面側を吸引し、その後に成形部622よりも小さな吸引力で受け型610により突起部形成領域の下面側を吸引する吸引工程S41と、受け型610により吸引した状態で成形部622の吸引を停止することにより、先端部31aからフランジ部13に対して立ち上がる基端部31bまで樹脂製フィルム3同士を互いに貼り合わされた突起部31を形成する停止工程S42と、を有する。
【0067】
これにより、突起部31は、従来のように中空状にならず、突起部31の内部には空間が全く又はほとんど形成されない。また、突起部31は既に離型、成形部622の三角形状頂部から取り入れた外気で十分冷却されているため、型開後の自然冷却に伴って突起部31が冷結晶化して自由収縮するのを防止できる。その結果、突起部31に厚さの不均一や高低差が生じたりする等の賦形不良が生じるのを防止できる。したがって、突起部31にトップシール4を貼着したとき、突起部31とトップシール4との間の空洞を抑制でき、容器本体11の収容部12からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【0068】
また、突起部31は、従来のように中空状にならず、突起部31の内部には空間が全く又はほとんど形成されないため、組立式容器1をスタックした場合や輸送した場合などに突起部31が変形しにくくなる。このため、突起部31の品質が確保され、組立式容器1の取り扱いが容易となる。
【0069】
本実施形態によれば、被覆工程S40の後に、樹脂製フィルム3の上面に、段差22を横断するようにトップシール4を貼着する貼着工程S60を更に備え、貼着工程S60では、トップシール4を貼着する際に、トップシール4に沿うように収容部12側又は収容部12の外側の何れか一方に突起部31を倒し、樹脂製フィルム3におけるフランジ部13に貼り付けられた部分と、突起部31とにより、3層に折り重ねられた積層部33を樹脂製フィルム3に形成する。これにより、積層部33が段差22に埋設できる。このため、容器本体11の収容部12からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【0070】
本実施形態によれば、成形部622は、収容部12から外側に向かう方向に沿う断面が二等辺三角形状に切り欠かれ、成形部622の頂角は、45°未満である。これにより、頂角θが64°以上の場合と比べて、成形部622から離型して突起部31を形成するとき、成形部622の中心線からの位置ずれを抑制できる。このため、突起部31を設計された位置に形成し易くなる。
【0071】
本実施形態によれば、突起部31は、先端部31aからフランジ部13に対して立ち上がる基端部31bまで樹脂製フィルム3同士が互いに貼り合わされて形成される。
【0072】
これにより、突起部31は、従来のように中空状にならず、突起部31の内部には空間が全く又はほとんど形成されない。また、突起部31は既に離型され、成形部622の三角形状頂部から取り入れた外気で十分冷却されているため、熱板620を開けた後の自然冷却に伴って突起部31が冷結晶化して自由収縮するのを防止できる。その結果、突起部31に厚さの不均一や高低差が生じたりする等の賦形不良が生じるのを防止できる。したがって、突起部31にトップシール4を貼着したとき、突起部31とトップシール4との間の空洞を抑制でき、容器本体11の収容部12からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【0073】
本実施形態によれば、樹脂製フィルム3は、フランジ部13に貼り付けられる部分と、突起部31とにより、3層に折り重ねられた積層部33が形成される。これにより、積層部33を段差22に埋設できる。このため、容器本体11の収容部12からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【0074】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る組立式容器1は、図13に示すように、それぞれの段差22に対して、1つに繋がった突起部31が形成されている。すなわち、突起部31は、収容部12の全周を囲うようにフランジ部13に配置される。この場合であっても、上記した作用効果を発揮できる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【実施例0076】
実施例1では、樹脂製フィルムによる突起部の断面をマイクロスコープにて観察した。実験例1は、図21で説明した手順により形成した突起部である。実験例2及び実験例3は、本発明における組立式容器の製造方法により形成した突起部である。実験例2は、容器本体の収容部の全周を囲うように突起部を形成したものである。実験例3は、容器本体のフランジ部に形成された段差の部分に突起部を形成したものである。
【0077】
図14に示すように、実験例1では、樹脂製フィルム同士が互いに貼り合わされていない突起部が形成され、中空状であることが確認された。これに対し、実験例2及び実験例3では、突起部の先端部から基端部まで樹脂製フィルムが互いに貼り合わせられて形成される。このため、実験例1と異なり、内部には空間がほとんど形成されないことが確認された。
【実施例0078】
実施例2では、フランジ部の段差に樹脂製フィルムによる突起部を形成し、突起部にトップシールを貼着した供試体を作製し、段差からの漏れ出しを確認した。漏れ出しの確認は、エージレスシールチェックスプレーの噴霧により、漏れ出し確認の試験を行った。実験例4及び実験例5は、本発明における組立式容器の製造方法により形成した突起部である。実験例4は、容器本体の収容部の全周を囲うように突起部を形成したものである。実験例5は、容器本体のフランジ部に形成された段差の部分に突起部を形成したものである。
【0079】
図15に示すように、実験例4及び実験例5では、フランジ部に形成した段差からの漏れ出しが確認されなかった。実験例4及び実験例5では、先端部からフランジ部に対して立ち上がる基端部まで樹脂製フィルム同士を互いに貼り合わされた突起部を有する。このため、突起部とトップシールとの間の空洞を抑制でき、容器本体の収容部からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【0080】
また、フランジ部に貼り付けられる部分と、突起部とにより、3層に折り重ねられた積層部が樹脂製フィルムに形成される。これにより、積層部を段差に埋設できる。このため、容器本体の収容部からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【実施例0081】
実施例3では、フランジ部の段差に樹脂製フィルムによる突起部を形成し、突起部にトップシールを貼着した供試体を作製し、突起部の断面をマイクロスコープにて観察した。実験例6は、図21で説明した手順により形成した突起部である。実験例7は、本発明における組立式容器の製造方法により形成した突起部である。
【0082】
図16(a)に示すように、実験例6では、中空状の突起部をトップシールにより押し潰したとき、突起部がランダムに潰れてしまい、トップシールと中空状の突起との間に空間が生じた。これに対し、図16(b)に示すように、実験例7では、先端部からフランジ部に対して立ち上がる基端部まで樹脂製フィルム同士を互いに貼り合わされた突起部を有する。このため、突起部とトップシールとの間の空洞を抑制でき、容器本体の収容部からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【0083】
また、フランジ部に貼り付けられる部分と、突起部とにより、3層に折り重ねられた積層部が樹脂製フィルムに形成される。これにより、積層部を段差に埋設できる。このため、容器本体の収容部からの収容物の漏れ出し又は収容物の滲み出しを抑制することが可能となる。
【実施例0084】
実施例4では、熱板成形機の熱板の成形部の形状を異ならせて突起部を形成した供試体を作製し、突起部をマイクロスコープにて観察した。図17に示すように、成形部の頂部における頂角θを異ならせた。表1に、実施例4の概要と結果を示す。また、図18(a)は、実験例8の突起部を示す写真であり、図18(b)は、実験例9の突起部を示す写真である。図19(a)は、実験例10の突起部を示す写真であり、図19(b)は、実験例11の突起部を示す写真である。図18及び図19における点線部は、突起部の設計位置を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
実験例8では、頂角θが64°であり、実験例9では頂角θが102°である。その結果、表1及び図18に示すように、突起部の設計位置とずれた位置に突起部が形成された。これは、図20(a)に示すように、頂角θが大きい場合には、成形部から離型した際に、樹脂製フィルムが片側に寄りやすく三角形状の成形部の頂部を通る中心線Cからのずれが大きくなったと考えられる。なお、図20における太い点線は、成形部から離型後の樹脂製フィルムを模式的に示し、図20における細い点線は、太い点線よりも後の時点の離型後の樹脂製フィルムを模式的に示す。
【0087】
実験例10では、頂角θが45°であり、実験例11では頂角θが23°である。その結果、表1及び図19に示すように、突起部の設計位置と実際に形成された突起部の位置にずれが生じなかった。これは、図20(b)に示すように、頂角θが小さい場合には、成形部から離型した際に、樹脂製フィルムが片側に寄りにくく三角形状の成形部の頂部を通る中心線Cからのずれが小さくなったと考えられる。
【0088】
以上から、成形部の頂角θは、好ましくは45°以下である。これにより、頂角θが64°以上の場合と比べて、熱板を離型して突起部を形成するとき、突起部の中心線の偏りを抑制できる。このため、突起部を設計された位置に形成し易くなると考えられる。
【実施例0089】
実施例5では、段差に突起部にトップシールを貼着した組立式容器のピール強度と封緘強度と、を測定した。実験例12は、図21で説明した手順により形成した突起部である。実験例13及び実験例14は、本発明における組立式容器の製造方法により形成した突起部である。実験例13は、容器本体の収容部の全周を囲うように突起部を形成したものである。実験例14は、容器本体のフランジ部に形成された段差の部分に突起部を形成したものである。
【0090】
ピール強度は、容器本体11に貼着したトップシール4にメカニカルフォースゲージを取り付け、45°の角度でトップシールを開封する方向へメカニカルフォースゲージを引っ張り、容器本体11とトップシール4が剥離する強度を測定した。封緘強度は、シールテスターを用いて容器本体11内に空気を封入し、容器本体11に貼着したトップシール4が開封する圧力を測定した。シール条件は、170℃-0.1MPa-1.0secとした。供試体は、それぞれ3体(N=3)作製した。表2に、実験例5の結果を示す。表2の結果は、3体の供試体の平均値を示す。
【0091】
【表2】
【0092】
実験例13は、実験例12と比べて、ピール強度と封緘強度が大きくなった。実験例14は、実験例12と比べて、ピール強度が大きくなり、封緘強度は同じとなった。
【符号の説明】
【0093】
1 :組立式容器
11 :容器本体
12 :収容部
13 :フランジ部
13a :折返片
13b :折返片
121 :底面
122 :側面
131 :上面
2 :ブランクシート
22 :段差
3 :樹脂製フィルム
31 :突起部
31a :先端部
31b :基端部
32 :押圧領域
33 :積層部
4 :トップシール
600 :熱板成形機
610 :受け型
611 :第1載置部
612 :第2載置部
620 :熱板
621 :対向部
622 :成形部
623 :カッター部
700 :製造システム
710 :送給ローラー
720 :巻取りローラー
S10 :ブランクシート切断工程
S20 :製函工程
S30 :配置工程
S40 :被覆工程
S41 :吸引工程
S42 :停止工程
S50 :収容物収容工程
S60 :貼着工程
S70 :トリミング工程
θ :頂角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21