IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図1
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図2
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図3
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図4
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図5
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図6
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図7
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図8
  • -物品把持装置及び物品計量システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132531
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】物品把持装置及び物品計量システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043333
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】中 亮介
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
(72)【発明者】
【氏名】西辻 悟史
(72)【発明者】
【氏名】北條 正晃
(72)【発明者】
【氏名】立川 聡
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS02
3C707DS06
3C707ES04
3C707ES05
3C707ES06
3C707ET03
3C707EU02
3C707EV05
3C707HS27
3C707KS09
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】物品の把持時又は落下時に所望の動作を実現できる物品把持装置及び物品計量システムを提供する。
【解決手段】物品把持装置1は、3つ以上の把持爪33により物品を把持する把持部30と、容器50を把持部30に対して相対移動させる容器駆動部54と、容器駆動部54を制御し、把持部30及び容器50の少なくとも一方を移動させ、把持部30により物品を把持する把持状態及び把持した物品を排出する排出状態を切り替える第1制御部71と、を備える。把持爪33の先端部36の少なくとも一部の直径Bが、中間部35の直径Aとは異なる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に格納される物品群から物品を把持する物品把持装置であって、
前記容器よりも高い位置に配置され、ベース部に取り付けられた3つ以上の把持爪により前記物品を把持する少なくとも1つの把持部と、
前記把持部及び前記容器の少なくとも一方を他方に対して相対移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御し、前記把持部及び前記容器の少なくとも一方を移動させ、前記把持部により前記物品を把持する把持状態及び把持した前記物品を排出する排出状態を切り替える制御部と、を備え、
前記把持爪は、前記ベース部に取り付けられた基端部と、前記基端部から下方に向けて延びる中間部と、前記中間部から下方に向けて延び、鉛直方向に交差する方向へ曲がる先端部とを有し、
前記先端部の少なくとも一部の直径が、前記中間部の直径とは異なる、物品把持装置。
【請求項2】
前記先端部の前記少なくとも一部の直径は、前記中間部の直径よりも大きい、請求項1に記載の物品把持装置。
【請求項3】
前記先端部の前記少なくとも一部の直径は、前記中間部の直径よりも小さい、請求項1に記載の物品把持装置。
【請求項4】
前記先端部の前記少なくとも一部の直径は、前記中間部の下端からの距離に応じて徐々に変化する、請求項2又は3に記載の物品把持装置。
【請求項5】
前記先端部の中心線が水平面となす角度は40度より大きく90度より小さい、請求項1~3の何れか一項に記載の物品把持装置。
【請求項6】
前記把持部によって把持された物品の重量値を取得する重量取得部を更に備える、請求項1~3の何れか一項に記載の物品把持装置。
【請求項7】
請求項6に記載の物品把持装置と、
前記物品把持装置の複数の前記把持部が前記物品を把持している際、前記重量取得部が取得した前記把持部のそれぞれが把持する前記物品の前記重量値を用いた組合せ計算を行い、当該組合せ計算の結果に基づいて所定の前記把持部における前記物品の把持を解除させて前記物品を排出させる第2制御部と、を備える物品計量システム。
【請求項8】
前記第2制御部は、前記組合せ計算の結果のうち重量値が小さい前記把持部から順に前記物品を排出させる制御を行う、請求項7に記載の物品計量システム。
【請求項9】
前記第2制御部は、複数の前記把持部が把持した前記物品の平均重量と、把持目標との差に基づき、前記駆動部の移動量を調整する、請求項7に記載の物品計量システム。
【請求項10】
前記第2制御部は、前記把持部により前記物品が排出された後に前記重量取得部によって取得された重量に基づき排出不良を検知する、請求項7に記載の物品計量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品把持装置及び物品計量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレー等に収容された食品等の物品を把持する物品把持装置が知られている。例えば特許文献1に記載されたロボットハンドは、ベースに取り付けられて同期回転駆動される3つ以上の指リンクを有する。各指リンクは、中心軸に対して傾斜して延びる先端部を含む。これらの指リンクが同期回転駆動されることにより、指リンクの状態は、先端部が互いに離れる第1状態と、先端部が中心軸に沿う方向から見て重なると共にその先端部が物品を下方から支える第2状態とに変わる。特許文献2には、把持器の3本の把持爪によって物品を把持し、把持された物品の重量値を計量器によって計量する物品計量装置が記載されている。この装置では、各把持器において把持された物品の重量値を利用して組合せ計算及び組合せ計量が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-118999号公報
【特許文献2】特開2021-148621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されたロボットハンドは、中心軸に対して傾斜する先端部を有するが、指リンクについては、一定の円形断面をもった棒状部材が適用されること以外には特に検討されていない。本発明者らは、把持される物品の種類によっては、把持時、又は落下時において所望の動作が実現されない傾向があることを発見した。
【0005】
本発明は、物品の把持時又は落下時に所望の動作を実現できる物品把持装置及び物品計量システムを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、容器に格納される物品群から物品を把持する物品把持装置であって、容器よりも高い位置に配置され、ベース部に取り付けられた3つ以上の把持爪により物品を把持する少なくとも1つの把持部と、把持部及び容器の少なくとも一方を他方に対して相対移動させる駆動部と、駆動部を制御し、把持部及び容器の少なくとも一方を移動させ、把持部により物品を把持する把持状態及び把持した物品を排出する排出状態を切り替える制御部と、を備え、把持爪は、ベース部に取り付けられた基端部と、基端部から下方に向けて延びる中間部と、中間部から下方に向けて延び、鉛直方向に交差する方向へ曲がる先端部とを有し、先端部の少なくとも一部の直径が、中間部の直径とは異なる。
【0007】
この物品把持装置によれば、制御部によって、把持部及び容器の少なくとも一方が移動させられ、3つ以上の把持爪が物品へ挿入される。把持部が把持状態になることで、中間部により物品が挟まれると共に、先端部により物品が支持される。物品には、先端が尖っている場合に先端部が刺さりやすい物品、又は破損しやすい物品等がある。或いは、先端部の表面に対して滑りにくく、落下しにくい物品等がある。把持爪のそれぞれにおいて、先端部の少なくとも一部の直径が中間部の直径とは異なるため、先端部の形状を適宜に設定することで上記したような不具合を招きにくくなる。これにより、把持時、又は落下時において所望の動作を実現できる。
【0008】
(2)上記(1)の物品把持装置において、先端部の少なくとも一部の直径は、中間部の直径よりも大きくてもよい。この場合、比較的薄い物品を把持しても太い先端は物品に刺さりにくいため、把持を解除したときの物品の残留が防止される。
【0009】
(3)上記(1)の物品把持装置において、先端部の少なくとも一部の直径は、中間部の直径よりも小さくてもよい。この場合、細い先端は物品の間隙に容易に挿し込まれるため、物品を確実に把持できる。少量の物品でも、確実に把持できる。また把持を解除したときに物品が滑り落ちやすい。
【0010】
(4)上記(2)又は(3)の物品把持装置において、先端部の少なくとも一部の直径は、中間部の下端からの距離に応じて徐々に変化してもよい。この場合、把持を解除したときに物品がスムーズに滑り落ちる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)の何れか1つの物品把持装置において、先端部の中心線が水平面となす角度は40度より大きく90度より小さくてもよい。この場合、把持を解除したときに物品がスムーズに滑り落ちる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)の何れか1つの物品把持装置が把持部によって把持された物品の重量値を取得する重量取得部を更に備えてもよい。
【0013】
(7)本発明の別の態様に係る物品計量システムは、上記(6)の物品把持装置と、物品把持装置の複数の把持部が物品を把持している際、重量取得部が取得した把持部のそれぞれが把持する物品の重量値を用いた組合せ計算を行い、当該組合せ計算の結果に基づいて所定の把持部における物品の把持を解除させて物品を排出させる第2制御部と、を備える。この場合、把持爪における把持を解除したときの物品の残留が防止され、計量誤差を低減できる。
【0014】
(8)上記(7)の物品計量システムにおいて、第2制御部は、組合せ計算の結果のうち重量値が小さい把持部から順に物品を排出させる制御を行ってもよい。この場合、物品の把持を解除する前に物品が落下してしまう早期落下が生じた場合でも、計量精度を所望の範囲内に収めることができる。
【0015】
(9)上記(7)又は(8)の物品計量システムにおいて、第2制御部は、複数の把持部が把持した物品の平均重量と、把持目標との差に基づき、駆動部の移動量を調整してもよい。この場合、把持部に所望量の物品を把持させたい場合に、実際の把持量が多かったり少なかったりすることに応じて、駆動部の移動量が調整され、把持爪の挿入量が調整される。これにより、物品の把持量を容易に調整することができる。
【0016】
(10)上記(7)~(9)の何れか1つの物品計量システムにおいて、第2制御部は、把持部により物品が排出された後に重量取得部によって取得された重量に基づき排出不良を検知してもよい。この場合、物品の重量を後段の装置で検知するよりも前に、第2制御部によって排出不良が検知される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、把持時、又は落下時において所望の動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る物品把持装置及び物品計量システムの正面図である。
図2図2は、物品把持装置及び物品計量システムの各部及び制御部の機能構成を示すブロック図である。
図3図3(a)は排出状態にある把持爪を示す正面図、図3(b)は把持爪の先端部を拡大して示す正面図、図3(c)は図3(a)の底面図である。
図4図4(a)は把持状態にある把持爪を示す正面図、図4(b)は把持爪の先端部を拡大して示す正面図、図4(c)は図4(a)の底面図である。
図5図5は、物品の重量値に応じた排出順序の一例を説明する図である。
図6図6は、排出不良の検出方法を説明する図である。
図7図7(a)は排出状態にある変形例に係る把持爪を示す正面図、図7(b)は把持爪の先端部を拡大して示す正面図、図7(c)は図7(a)の底面図である。
図8図8(a)は把持状態にある変形例に係る把持爪を示す正面図、図8(b)は把持爪の先端部を拡大して示す正面図、図8(c)は図8(a)の底面図である。
図9図9(a)は把持状態にある比較例に係る把持爪を示す正面図、図9(b)は把持爪の先端部を拡大して示す正面図、図9(c)は図9(a)の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
まず図1及び図2を参照して、本実施形態に係る物品計量システムSについて説明する。図1に示される物品計量システムSは、一部の物品の重量(質量)が目標重量の範囲内となるように、一部の物品を容器50から取り出し、当該物品を外部に排出する。すなわち物品計量システムSは、物品群Xから所定の目標重量の物品を移動させる計量システムである。物品計量システムSによって排出される物品は、例えば、物品計量システムSの後工程で袋に包装されたり、或いは、別の容器に収容されたりして、商品として出荷される。物品は、例えば、麺類、肉類等の食品等である。
【0021】
物品計量システムSは、容器50に格納される物品群Xから物品を把持する物品把持装置1を備える。物品把持装置1は、それぞれ複数の把持部30を有する2つのロボットハンド(把持ユニット)15と、ロボットハンド15を水平方向に移動させる2つのハンド駆動部10と、物品群Xが載置される容器(載置部)50と、容器50を鉛直方向及び水平方向にそれぞれ移動させる容器駆動部54とを備える。ロボットハンド15、ハンド駆動部10、及び容器駆動部54は、例えば直方体状の本体フレーム121に取り付けられている。また物品把持装置1は、ロボットハンド15の各部、ハンド駆動部10、及び容器駆動部54をそれぞれ制御する第1制御部71を備える。
【0022】
物品計量システムSでは、例えば同一の構成を備える一対のロボットハンド15が、左右に並設されている。以下の説明において、図1の正面視左側に配置されたロボットハンド15は第1ロボットハンド15Aと称されることがあり、正面視右側に配置されたロボットハンド15は第2ロボットハンド15Bと称されることがある。ただし、共通する構成及び機能を説明するときには、単にロボットハンド15という名称が用いられる。
【0023】
ロボットハンド15において、例えば、左右方向に並ぶ4つの把持部30が、前後方向(図1の紙面垂直方向)に4列並べられている。このように、左右方向に並ぶ把持部30の個数をM、前後方向に並ぶ把持部30の個数をN(M,Nは何れも自然数)とすると、ロボットハンド15は、(M×N)個の把持部30が格子点の位置に配列された構成を有する。
【0024】
図2に示されるように、各把持部30は、例えば複数の把持爪(把持部材)33を有しており、把持爪33を閉じることで物品を把持する。各把持部30は、複数の把持爪33を駆動する把持部材駆動機構31を含む。把持部材駆動機構31は、例えば、モータ又は流体圧を駆動源として、把持爪33を駆動する。
【0025】
ロボットハンド15は、各把持部30に把持された物品の重量値を計量する複数の計量器40を有する。すなわち、16個((M×N)個)の把持部30に対して、16個((M×N)個)の計量器40が設けられている。
【0026】
各計量器40は、計量器40の筐体内に収納されたセンサ部(図示せず)と、重量取得部41とを含んでいる。センサ部は、例えば、力センサと加速度センサとを含む。力センサとして、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。加速度センサは、例えば、歪みゲージ式ロードセルや、MEMS型の小型加速度センサが採用される。重量取得部41は、センサ部で計測される力に基づいて、把持部30が把持している物品の重量値を取得する。なお、計量器40は、把持部30の移動時に計測される力に基づいて物品の重量を計量する方式に限定されるものではない。
【0027】
物品計量システムSでは、同一の構成を備える2つのハンド駆動部10のそれぞれが、第1ロボットハンド15A及び第2ロボットハンド15Bに対応して設けられている。以下の説明において、図1の正面視左側に配置されて第1ロボットハンド15Aを移動させるハンド駆動部10は第1ハンド駆動部10Aと称されることがあり、正面視右側に配置されて第2ロボットハンド15Bを移動させるハンド駆動部10は第2ハンド駆動部10Bと称されることがある。ただし、共通する構成及び機能を説明するときには、単にハンド駆動部10という名称が用いられる。
【0028】
ハンド駆動部10は、2本の平行に延びるフレーム12と、ロボットハンド15をフレーム12に沿って水平移動させる。ハンド駆動部10は、ロボットハンド15を保持するブロック11を前方又は後方に移動させることができる。ハンド駆動部10は、例えば、ブロック11を移動させるサーボモータ、エアシリンダ等を有する。
【0029】
容器50は、物品群Xが載置される部材である。水平移動および鉛直移動する保持部52に、容器50が保持又は載置されている。容器50は、例えば容器駆動部54により、第1ロボットハンド15Aの下方に位置する第1位置P1と、第2ロボットハンド15Bの下方に位置する第2位置P2との間を移動可能である。容器50が第1位置P1に位置する場合、容器50を上方に移動させて第1ロボットハンド15Aの把持部30に近づけることで、当該把持部30が容器50内の物品群Xから物品を把持可能である。
【0030】
容器50の内部に収容される物品群Xの量が減少すると、人又は機械によって、内部の物品群Xの量が減少した容器50が、新たな(物品群Xが多く収容されている)容器50と交換される。
【0031】
容器駆動部54は、モータ、流体圧を駆動源として、容器50を上下方向(鉛直方向)及び左右方向(水平方向)に移動させる。容器駆動部54は、駆動ボックス55と、駆動ボックス55に設けられた平行な2本の第1軸L1及び第2軸L2を中心にそれぞれ揺動可能な第1メインアーム部56A及び第2メインアーム部56Bと、それらの先端にそれぞれ回動可能に連結された第1サブアーム部57A及び第2サブアーム部57Bとを有する。第1サブアーム部57Aの先端及び第2サブアーム部57Bの先端はそれぞれ保持部52の後端に回動可能に連結されている。第1メインアーム部56A及び第2メインアーム部56Bは、それぞれ、駆動ボックス55に収容された別個のモータによって任意の方向を向くように揺動する。容器駆動部54は、これらの構成により2軸パラレルリンク機構を有している。
【0032】
第1制御部71の制御により、保持部52は水平な姿勢を維持しつつ、第1位置P1、第1位置P1よりも第1ロボットハンド15Aに近接した位置、第2位置P2、第2位置P2よりも第2ロボットハンド15Bに近接した位置に移動自在である。なお、上記構成に限られず、容器駆動部54が、保持部52を左右方向に移動させる左右移動機構と、保持部52を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構とを有してもよい。そのような2軸駆動機構によっても、容器50の位置を調整自在である。
【0033】
容器駆動部54は、保持部52及び容器50を上昇させることで、ロボットハンド15に容器50及び物品群Xを近接させる。保持部52及び容器50を下降させることで、ロボットハンド15から容器50及び物品群Xを離隔させる。容器駆動部54は、容器50に収容された(載置された)物品群Xに把持爪33を挿入させ、物品を把持した把持爪33を容器50から離す。
【0034】
物品計量システムSは、2つの排出シュート60を備えている。例えば同一の大きさ及び形状を有する2つの排出シュート60が、左右に並設されている。以下の説明において、図1の正面視左側に配置された排出シュート60は第1排出シュート60Aと称されることがあり、正面視右側に配置された排出シュート60は第2排出シュート60Bと称されることがある。ただし、共通する構成及び機能を説明するときには、単に、排出シュート60という名称が用いられる。
【0035】
排出シュート60は漏斗状の部材である。排出シュート60は、ロボットハンド15の下方に配置される。具体的には、第1ロボットハンド15Aの下方に第1排出シュート60Aが配置され、第2ロボットハンド15Bの下方に第2排出シュート60Bが配置される。第1ロボットハンド15Aと第1排出シュート60Aとの間に容器50の第1位置P1が位置し、第2ロボットハンド15Bと第2排出シュート60Bとの間に容器50の第2位置P2が位置する。
【0036】
第1排出シュート60Aは、容器50が第2位置P2に位置する時に、第1ロボットハンド15Aの把持部30が把持を解除して排出する(落下させる)物品を受けて物品計量システムSの外部に排出する。同様に、第2排出シュート60Bは、容器50が第1位置P1に位置する時に、第2ロボットハンド15Bの把持部30が把持を解除して排出する(落下させる)物品を受けて物品計量システムSの外部に排出する。
【0037】
制御部70は、把持部材駆動機構31、容器駆動部54などの物品把持装置1の各種構成の動作の制御を実施する。制御部70は、計量器40が計量した物品の重量値を利用した組合せ計算等を実施する。制御部70は、CPU等のプロセッサ、ROMおよびRAM等のメモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。
【0038】
物品計量システムSは、当該システムにおける各部の動作を統括して制御する制御部70を備える。制御部70は、物品把持装置1における物品の把持及び排出に係る制御を行う第1制御部71と、物品の計量及び移動に係る制御を行う第2制御部72とを有する。制御部70は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、ハンド駆動部10、把持部材駆動機構31、容器駆動部54等の物品計量システムSの各種構成の動作の制御や、計量器40が計量した物品の重量値を利用した組合せ計算等を行う。
【0039】
第1制御部71は、把持部30により物品を把持する把持状態、及び、把持した物品を排出する排出状態を切り替える。第1制御部71は、駆動制御部73を含む。駆動制御部73は、ハンド駆動部10および容器50を移動させ、把持部30と容器50とを近づける。駆動制御部73は、把持部材駆動機構31を制御して把持部30を把持状態にさせ、容器50に載置された物品群Xの物品の一部を、各把持部30の把持爪33に把持させる。駆動制御部73は、把持部材駆動機構31を制御して把持部30を排出状態にさせ、物品の把持を解除することによって、物品を排出シュート60内に排出させる(落下させる)。
【0040】
各計量器40は、その計量器40に対応する把持部30が把持する物品の重量値を取得する。第2制御部72は、組合せ計量部74と、排出順序決定部75と、移動量調整部76と、排出不良検出部77とを含む。
【0041】
組合せ計量部74は、把持部30の把持する物品の重量値に基づいて組合せ計算を行う。組合せ計算は、把持部30のそれぞれが把持する物品の重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量となる重量値の組合せを見つける処理である。組合せ計量部74は、まず各重量値を取得する。続いて、組合せ計量部74は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量となる重量値の組合せに対応する把持部30を選択する。組合せ計量部74は、駆動制御部73と協働し、選択した把持部30の把持を解除して物品を排出する制御を実施する。駆動制御部73は、排出シュート60の上方で把持部30による物品の把持を解除することによって、物品を排出シュート60内に落下させる。
【0042】
目標重量は、目標となる重量値(目標重量、又は理想重量)を含む一定の重量範囲であり、予め設定される。例えば、目標重量の範囲下限は目標重量の90%、もしくは95%であり、目標重量の範囲上限は目標重量の110%、もしくは105%である。
【0043】
排出順序決定部75は、駆動制御部73と協働し、組合せ計算の結果のうち重量値が小さい把持部30から順に物品を排出させる制御を行う。図5は、物品の重量値に応じた排出順序の一例を説明する図である。図5に示されるように、範囲下限WLと範囲上限WHとの間に収まる3つの組合せ計算の結果があるとする。各把持部30に物品が把持された状態では、時間が経過すればするほど、各把持部30における物品の意図しない落下量が多くなり得る。物品の意図しない落下とは、把持状態の把持部30からの物品の落下であり、「早期落下」とも言える。
【0044】
排出順序決定部75は、まず範囲下限WLにもっとも近い重量値を有する把持部30において把持を解除させ、物品を排出させる。この1番目の排出では、目標重量となる重量値の組合せに対応する把持部30以外の把持部30かの早期落下の量が比較的多くなるため、実際に排出される物品の量は、組合せ計算の結果より若干増加し得る。次の2番目の排出では、目標重量となる重量値の組合せに対応する把持部30が排出状態になるまでに発生させた不足落下の量と、それ以外の把持部30からの早期落下の量とが近くなり、実際に排出される物品の量は、組合せ計算の結果に近くなる。最後の3番目の排出では、目標重量となる重量値の組合せに対応する把持部30が排出状態になるまでに発生させた不足落下の量が比較的多くなるため、実際に排出される物品の量は、組合せ計算の結果より若干減少し得る。このように、物品の把持を解除する前に物品が落下してしまう早期落下が生じた場合でも、計量精度を所望の範囲内に収めることができる。
【0045】
排出不良検出部77は、把持部30により物品が排出された後に、重量取得部41によって取得された重量に基づき、排出不良を検出する。図6は、排出不良の検出方法を説明する図である。図6では、説明を容易にするために、意図的に目標範囲から外れて排出不良と判断される例が示されている。また、組合せ計算の考え方は除外して、単一の把持部30のみを例に挙げて説明している。図6に示される「計量範囲」は上記の目標範囲と同じ意味である。範囲下限が50gであり範囲上限が55gであると仮定する。ステップS1-1では、把持部30が把持した物品の重量値は52gである。ステップS1-2において、把持部30が排出状態とされ、物品が落下する。その後、重量取得部41において、3gとの重量値が取得される。排出不良検出部77は、52gから3gを差し引き、49gの物品が落下したと認識し、排出不良を検出する。
【0046】
ステップS1-2では、3gの物品が把持爪33に付着した状態で、ゼロ点調整が行われる。ステップS2-1では、把持部30が把持した物品の重量値は53g(付着分も考慮すると実際には56g)である。ステップS2-2において、把持部30が排出状態とされ、物品が落下する。その後、重量取得部41において、-3gとの重量値が取得される。これは、付着分も落下したとき、ゼロ点取得時よりも3g軽くなるためである。排出不良検出部77は、53gに3gを加え、56gの物品が落下したと認識し、排出不良を検出する。排出不良検出部77によるこのような制御により、物品の重量を後段の装置で検出するよりも前に、排出不良検出部77によって排出不良が検知される。
【0047】
以上のとおり、本実施形態の物品計量システムSにおいて、第2制御部72は、物品把持装置1の複数の把持部30が物品を把持している際、重量取得部41が取得した、把持部30のそれぞれが把持する物品の重量値を用いた組合せ計算を行い、当該組合せ計算の結果に基づいて所定の把持部30における物品の把持を解除させて物品を排出させる。その間、条件が満たされた場合には、排出不良検出部77によって排出不良が検出される。
【0048】
図1に示されるように、保持部52の可動領域の上方には、前後方向(図1の紙面垂直方向)に並べられた複数のセンサ9が設けられている。本実施形態では、把持部30の当該方向における列数(上記N。具体的には4列)に対応させて、4つのセンサ9が取り付けられている。4つのセンサ9は、例えば本体フレーム121に固定されており、鉛直下方に向けて光を照射すると共に物品群Xの表面で反射した反射光を検知する。これにより、各センサ9は、容器50内の物品群Xにおける把持爪33の差し込み方向(上下方向)の物品高さ(物品群Xの高さ)を検知する。
【0049】
図1及び図7に示されるように、各センサ9は、第1ロボットハンド15A及び第2ロボットハンド15Bの間の中央位置において投受光を行う。各センサ9は、容器駆動部54によって保持部52及び容器50が第1位置P1と第2位置P2との間を移動させられる途中において、左右方向における把持部30の位置及び個数(上記M。具体的には4つ)に対応する回数、物品の高さを検知する。これにより、第1位置P1から第2位置P2へ、又は第2位置P2から第1位置P1へと容器50が移動する(通過する)毎に、容器50内の左右方向及び前後方向に格子状に分布する16点(複数の把持部30の平面的な配置に対応する複数点)についての高さ検知信号が出力される。
【0050】
駆動制御部73及び移動量調整部76は、複数のセンサ9と電気的に(又は通信可能に)接続されている。移動量調整部76は、各センサ9の検知結果に基づいて、各把持部30における物品群Xに対する把持爪33の挿入量及び開き角を算出する。移動量調整部76は、各センサ9からの高さ検知信号を入力すると、容器50及び物品群Xの上下方向の位置を設定し、それに応じた各把持部30における挿入量を算出する。移動量調整部76は、更に、記憶している対応関係を参照し、各把持部30における挿入量に対応した把持爪33の開き角を算出する。移動量調整部76は、駆動制御部73と協働し、第1ロボットハンド15A及び第2ロボットハンド15Bの何れか(物品を把持すべき何れか一方)に対し、算出した挿入量及び開き角が実現されるよう、把持動作を制御する。
【0051】
また移動量調整部76は、センサ9の検知結果に基づいて算出した挿入量に所定の補正値を加えることで、挿入量を調整する。移動量調整部76は、重量取得部41から、複数の把持部30が把持した物品の平均重量を取得する。移動量調整部76は、上記目標重量に対応する各把持部30における把持目標を記憶している。把持目標は、組合せ計算が好適に実施されるよう、目標重量に対して所定の割合に設定される。移動量調整部76は、取得した平均重量と、把持目標との差に基づき、駆動制御部73と協働して容器駆動部54による容器50の移動量を調整する。移動量調整部76によれば、把持部30に所望量の物品を把持させたい場合に、実際の把持量が多かったり少なかったりすることに応じて、容器駆動部54の移動量が調整され、把持爪の挿入量が調整される。これにより、物品の把持量を容易に調整することができる。
【0052】
続いて、図3(a)~図3(c)及び図4(a)~図4(c)を参照して、把持部30の構成について詳細に説明する。把持爪33では、図3(a)に示されるように、棒状部材の先端に、物品を引っ掛けることができるように内側へ屈曲させた爪(後述する先端部36)が形成されている。各把持部30は、3つ以上(例えば、6つ)の把持爪33を有している。図3(c)に示されるように、各把持部30を下側から視たとき、複数の把持爪33は周方向に並べて配置されている。また複数の把持爪33は、周方向に概ね等間隔に並べて配置されている。棒状部材すなわち把持爪33の材質は、例えばステンレス、アルミニウム、又は鉄等である。
【0053】
把持部材駆動機構31は、互いに離れた状態(排出状態)にある把持爪33を、径方向内向きに動かして互いに近づいた状態にすることによって、複数の把持爪33の間に物品を挟み込んで物品を把持する。把持部30は、互いに近づいた状態(把持状態)にある把持爪33を、把持部材駆動機構31によって径方向外向きに動かして互いに離れた状態にすることによって、物品の把持を解除する。把持部材駆動機構31は、図示しないモータ及びギア機構を含み、6つの把持爪33を同期回転駆動する。6つの把持爪33は、基端部34を基軸に同じ回転方向に同じ回転角度回転される。
【0054】
各把持爪33は、筒状又はブロック状の筐体であるベース部32と、ベース部32に取り付けられた基端部34と、基端部34の下端から下方に向けて延びる中間部35と、中間部35の下端から下方に向けて延びる先端部36とを有する。基端部34は、鉛直方向に延びる直線部34aと、直線部34aに対して交差する方向へ曲がって直線状に延びる傾斜部34bとを含む。中間部35は、例えば、鉛直方向に直線状に延びる。中間部35の直径は、一定である。先端部36は、中間部35に対して交差する方向へ曲がって延びる。先端部36の周面は、例えば、中間部35との間に段差を形成することなく中間部35の周面に滑らかに連続する。6つの把持爪33が把持状態にあるとき、6つの中間部35により、物品が挟持される。それと同時に、6つの先端部36により、物品が支持される。
【0055】
図3(b)に示されるように、先端部36の直径は、下方に向かうにつれてテーパ状に拡大する。言い換えれば、先端部36は、円錐台形状を呈する。先端部36の直径は、中間部35の下端からの距離に応じて徐々に拡大(変化)する。先端部36の下端部の直径Bは、中間部35の直径Aよりも大きい。先端部36の下端部の直径Bは、例えば、4mmより大きく10mmより小さい。先端部36の何れの部分においても、先端部36の直径は中間部35の直径Aよりも大きい。
【0056】
また、先端部36の中心線Lが水平面Hとなす角度Cが40度より大きく90度より小さい。この角度Cは、上記範囲内において適宜に設定されてよい。角度Cは、60度より大きく90度より小さくてもよく、60度より大きく80度より小さくてもよい。先端部36の上傾斜面36aが水平面Hとなす角度Dは、40度より大きく60度より小さい。上傾斜面36aの角度Dは、物品が滑りやすい食品等である場合には、上記範囲の下限値付近から選択されるのがよく、物品が滑りにくい食品等である場合には、上記範囲の上限値付近から選択されるのがよい。このように、把持爪33では、先端部36の少なくとも一部の直径が、中間部35の直径とは異なる。本明細書において、中間部35の直径が一定である場合には、中間部35の何れの部分において直径が定義されてもよい(同じである)。中間部35の直径が一定でない場合には、例えば、直径は、各部の平均値で定義されてもよいし、中間部35の下端部の一箇所の直径をもって定義されてもよい。
【0057】
互いに近づけられ(閉じられ)把持状態となった6つの把持爪33は、図4(b)及び図4(c)に示されるように、先端部36の下端同士が接触し、その中央部には間隙が形成されている。なお、実際に物品を把持する際には、例えば、ステッピングモータ及びエンコーダを含むサーボモータにより、所定の把持力(最大把持能力よりも小さい把持力)が発揮されたときに回転駆動が停止される。その場合には、先端部36の下端同士は必ずしも接触しない。
【0058】
この物品把持装置1によれば、第1制御部71によって、容器50が移動させられ、6つの把持爪33が物品へ挿入される。把持部30が把持状態になることで、中間部35により物品が挟まれると共に、先端部36により物品が支持される。物品には、先端が尖っている場合に先端部が刺さりやすい物品、又は破損しやすい物品等がある。或いは、先端部の表面に対して滑りにくく、落下しにくい物品等がある。図9(a)~図9(c)に示される従来の把持部300では、把持爪33Xは、一定の直径を有する棒状部材からなり、中間部35Xの直径と先端部36Xの直径は等しかった。この場合には、先端部36Xから物品に対して高い圧力がかかる傾向にあった。本実施形態の把持部30では、把持爪33のそれぞれにおいて、先端部36の少なくとも一部の直径が中間部35の直径とは異なるため、先端部36の形状を適宜に設定することで上記したような不具合を招きにくくなる。これにより、把持時、又は落下時において所望の動作を実現できる。また、物品計量システムSによれば、把持爪33における把持を解除したときの物品の残留が防止され、計量誤差を低減できる。
【0059】
先端部36の少なくとも一部の直径は、中間部35の直径よりも大きい。これにより、比較的薄い物品を把持しても太い先端は物品に刺さりにくいため、把持を解除したときの物品の残留が防止される。
【0060】
先端部36の少なくとも一部の直径は、中間部35の下端からの距離に応じて徐々に変化する。これにより、把持を解除したときに物品がスムーズに滑り落ちる。
【0061】
先端部36の中心線Lが水平面Hとなす角度Cは40度より大きく90度より小さい。これにより、把持を解除したときに物品がスムーズに滑り落ちる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、図7(a)~図7(c)に示されるように、先端部36の直径が、下方に向かうにつれてテーパ状に縮小する把持爪33Aを有する把持部30Aが採用されてもよい。この場合、先端部36は、逆円錐形状を呈する。先端部36の直径は、中間部35の下端からの距離に応じて徐々に縮小(変化)する。先端部36の下端部の直径Bは、中間部35の直径Aよりも小さい。先端部36の何れの部分においても、先端部36の直径は中間部35の直径Aよりも小さい。
【0063】
また、先端部36の中心線Lが水平面Hとなす角度Cが40度より大きく90度より小さい。この角度Cは、上記範囲内において適宜に設定されてよい。把持爪33Aにおいても、先端部36の少なくとも一部の直径が、中間部35の直径とは異なる。互いに近づけられ(閉じられ)把持状態となった6つの把持爪33Aは、図8(b)及び図8(c)に示されるように、先端部36の下端同士が接触するが、その中央部には間隙はほとんど形成されない。把持部30Aにおいても、実際に物品を把持する際には、サーボモータにより所定の把持力(最大把持能力よりも小さい把持力)が発揮されたときに回転駆動が停止される。その場合には、先端部36の下端同士は必ずしも接触しない。
【0064】
把持部30Aを備えた物品把持装置によっても、把持爪33のそれぞれにおいて、先端部36の少なくとも一部の直径が中間部35の直径とは異なるため、先端部36の形状を適宜に設定することで上記したような不具合を招きにくくなる。これにより、把持時、又は落下時において所望の動作を実現できる。また、物品計量システムSによれば、把持爪33における把持を解除したときの物品の残留が防止され、計量誤差を低減できる。
【0065】
先端部36の少なくとも一部の直径は、中間部35の直径よりも小さい。これにより、細い先端は物品の間隙に容易に挿し込まれるため、物品を確実に把持できる。少量の物品でも、確実に把持できる。また把持を解除したときに物品が滑り落ちやすい。
【0066】
また、上記実施形態では、容器50(保持部52)を移動させてロボットハンド15に近接させることで、ロボットハンド15が物品を把持する構成について例示した。しかしこの構成とは違って、ロボットハンド15又は把持部30を移動(例えば下降)させて容器50に近接させることで、ロボットハンド15又は把持部30が物品を把持する構成を採ってもよい。その場合、ロボットハンド15又は把持部30に、適宜の公知の移動機構が設けられる。ロボットハンド15又は把持部30を移動(例えば上昇)させることで、物品を把持した把持爪33を容器50から離すことができる。
【0067】
上記実施形態では、2つの排出シュートを用いたが、これに限定されるものではなく、第1ロボットハンド15Aおよび第2ロボットハンド15Bが1つの排出シュートを共有してもよい。その場合、1つの排出シュートの上部開口は、平面視において第1位置P1及び第2位置P2の全体を包含する大きさ及び位置に設定される。また、排出シュートを使用せず、ロボットハンド15から落下した物品を直接外部に排出してもよい。
【0068】
ロボットハンドによる物品の移載は、「把持の解除(排出)」とそれに伴う「排出シュートへの物品の落下」に限られない。物品を把持したロボットハンドが、水平方向又は鉛直方向に移動して別の容器、別のホッパ、又はコンベア等の搬送装置に物品を移載してもよい。
【0069】
ロボットハンドが、1つのみの把持部を有してもよい。物品群Xの高さを検知するセンサは、省略されてもよい。
【0070】
把持爪33及び把持爪33Aにおいて、先端部36の構成(角度、長さ、及び直径)は適宜に変更されてよい。先端部36に円筒部37(直径が一定の部分)が設けられてもよい。中間部35及び先端部36が長手方向に不均一な直径を有してもよい。
【0071】
各把持部30が、3つ、4つ、又は5つの把持爪33を有してもよい。各把持爪が、6つ以上(例えば、6本~10本等)の把持爪33を有してもよい。本数が増えることで、大きな重量の物品を把持し、組合せ計量することができる。
【0072】
物品移動システムが、組合せ計量を行わなくてもよい。物品移動システムにおいて、把持部により把持された物品の重量を算出する重量算出部が設けられず、物品が移載された後にその重量が算出されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…物品把持装置、10…ハンド駆動部、30…把持部、31…把持部材駆動機構、32…ベース部、33…把持爪、34…基端部、35…中間部、36…先端部、54…容器駆動部(駆動部)、71…第1制御部(制御部)、72…第2制御部、A…(中間部の)直径、B…(先端部の)直径、C…角度、H…水平面、L…中心線、S…物品計量システム、X…物品群。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9