(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132533
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】屋外経路誘導システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/17 20200101AFI20240920BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240920BHJP
H05B 47/185 20200101ALI20240920BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20240920BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20240920BHJP
【FI】
H05B47/17
H05B47/16
H05B47/185
H05B47/11
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043336
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】武内 芳夫
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA06
3K273PA08
3K273QA25
3K273QA36
3K273RA17
3K273SA04
3K273SA05
3K273SA32
3K273SA37
3K273SA48
3K273SA60
3K273TA12
3K273TA13
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA32
3K273TA40
3K273TA42
3K273TA47
3K273TA53
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA80
3K273UA02
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA25
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、避難誘導以外にも利用可能として普及率の向上を図ることである。
【解決手段】屋外経路誘導システムX1は、人が通行する場所に設置される複数の照明装置1と、複数の照明装置1を制御する制御装置2と、を備える。制御装置2は、場所を照明するための通常制御モード、及び場所を通って所定の目的地まで誘導するための誘導制御モード、を含む複数の制御モードを選択して実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が通行する場所に設置される複数の照明装置と、
前記複数の照明装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記場所を照明するための通常制御モード、及び前記場所を通って所定の目的地まで誘導するための誘導制御モード、を含む複数の制御モードを選択して実行する、
屋外経路誘導システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記通常制御モードの実行中は、所定の時間帯に前記複数の照明装置を連続して点灯させ、
前記誘導制御モードの実行中は、前記複数の照明装置のうちで、所定の目的地までの経路に設置されている、複数の前記照明装置を点灯させる、
請求項1記載の屋外経路誘導システム。
【請求項3】
前記誘導制御モードを実行中の前記制御装置は、複数の前記照明装置を点滅走行させる、
請求項2記載の屋外経路誘導システム。
【請求項4】
前記制御装置は、一つ以上の前記目的地と、前記目的地ごとの複数の前記経路と、を記憶し、
前記制御装置は、災害の発生時に前記誘導制御モードを実行する場合、前記複数の照明装置のうちで、前記災害の発生場所を通らない一つ以上の前記経路に設置されている、複数の前記照明装置を制御する、
請求項2又は3記載の屋外経路誘導システム。
【請求項5】
前記複数の照明装置のうちの少なくとも1台の照明装置は、周囲の明るさを検出する明るさセンサを有し、前記明るさセンサが検出する前記周囲の明るさがしきい値未満のときに点灯し、前記周囲の明るさが前記しきい値以上のときに消灯する、
請求項1-3のいずれか1項に記載の屋外経路誘導システム。
【請求項6】
前記制御装置は、通信媒体を介して前記複数の照明装置と通信可能であり、
前記複数の照明装置は、前記通信媒体を介して前記制御装置から受信する制御コマンドに応じて制御される、
請求項1-3のいずれか1項に記載の屋外経路誘導システム。
【請求項7】
前記複数の照明装置は、
前記場所に照明光を照射する光源部と、
前記光源部に電力を供給する電源部と、
前記通信媒体を介して前記制御装置と通信する通信部と、
を有する、
請求項6記載の屋外経路誘導システム。
【請求項8】
前記複数の照明装置は、常用照明を行う第1の照明装置と、常用照明と非常時用照明を切り替えて行う第2の照明装置と、をそれぞれ1台以上含み、
前記第1の照明装置及び前記第2の照明装置は、外部電源から供給される常用電力で前記電源部及び前記通信部を動作させ、
前記第2の照明装置は、前記常用電力で充電される蓄電池を有し、
前記第2の照明装置が有する前記電源部は、前記常用電力の供給停止時に、前記蓄電池から放電する非常用電力で前記光源部を動作させる、
請求項7記載の屋外経路誘導システム。
【請求項9】
前記電源部は、電源線を介して外部電源から前記電力が供給され、
前記通信部は、前記電源線を前記通信媒体として通信を行う、
請求項7記載の屋外経路誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋外経路誘導システムに関し、より詳細には、屋外において不特定の人を所定の経路を通って目的地に誘導する屋外経路誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の避難誘導システムを例示する。特許文献1記載の避難誘導システム(以下、従来例という。)は、避難経路に沿って複数設置された案内サイン、方向指示サイン、路面サインといった誘導サインを備える。従来例は、災害発生時に、誘導サインの設置場所から避難場所までの避難経路を複数の誘導サインにより明示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例における誘導サインは、避難誘導のための専用の機器であり、災害が発生していない正常時に別の役割を果たすことが難しい。そのため、上記従来例のような避難誘導システムの普及率が上がらないという課題がある。
【0005】
本開示の目的は、避難誘導以外にも利用可能として普及率の向上を図ることができる屋外経路誘導システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る屋外経路誘導システムは、人が通行する場所に設置される複数の照明装置と、前記複数の照明装置を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記場所を照明するための通常制御モード、及び前記場所を通って所定の目的地まで誘導するための誘導制御モード、を含む複数の制御モードを選択して実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の屋外経路誘導システムは、避難誘導以外にも利用可能として普及率の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る屋外経路誘導システムのシステム構成図である。
【
図2】
図2は、同上の屋外経路誘導システムにおける第1の照明装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の第1の照明装置の外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の屋外経路誘導システムにおける第2の照明装置のブロック図である。
【
図5】
図5は、同上の第2の照明装置の外観斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の屋外経路誘導システムにおける制御装置のブロック図である。
【
図7】
図7は、同上の屋外経路誘導システムが運用される土地のマップである。
【
図8】
図8は、同上の屋外経路誘導システムにおける照明装置の設置間隔を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、同上の屋外経路誘導システムの第4の動作状態の動作説明図である。
【
図10】
図10は、同上の屋外経路誘導システムの第4の動作状態の別の動作説明図である。
【
図11】
図11は、同上の屋外経路誘導システムの第4の動作状態の更に別の動作説明図である。
【
図12】
図12は、同上の屋外経路誘導システムの第4の動作状態の更にまた別の動作説明図である。
【
図13】
図13は、同上の屋外経路誘導システムの動作状態の遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る屋外経路誘導システムX1について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(1)概要
実施形態に係る屋外経路誘導システムX1は、人が通行する場所に設置される複数の照明装置1と、複数の照明装置1を制御する制御装置2と、を備える(
図1参照)。本実施形態において、「人が通行する場所」は、歩道を含む道路のほか、公園及び広場のように日常的に人が通行可能な場所を意味する。
【0011】
照明装置1は、道路灯、街路灯、防犯灯(第1の照明装置1A)、保安灯(第2の照明装置1B)などの屋外で使用される照明装置(外灯)を含む。道路灯は、主に車両が通行する道路を照明する用途に用いられる。街路灯は、主に人(歩行者)及び自転車などの軽車両が通行する市街地の道路又は公園などを照明する用途に用いられる。防犯灯及び保安灯は、主に人が通行する道路の安全を確保するための照明を行うことを目的としている。特に、保安灯は、蓄電池を備え、停電時において人の通行に必要な最小限以上の明るさを確保することを目的としている。ただし、ここに列挙した照明装置は一例であり、屋外に設置されて人が通行する場所を照明する照明装置であれば、種類・外観などは特に問わない。
【0012】
制御装置2は、主として夜間に場所を照明するための通常制御モード、及び場所を通って所定の目的地まで人を誘導するための誘導制御モード、を含む複数の制御モードを選択して実行する。制御装置2は、それぞれの制御モードを実行し、各制御モードに対応した照明を実現するように複数の照明装置1を制御する。例えば、制御装置2は、定期的に(例えば、毎日18時)に通常制御モードを実行して照明装置1を短時間だけ点灯させる。また、制御装置2は、土砂災害、河川の氾濫、津波などの災害が発生したとき、あるいは、発生する危険性が高いとき、誘導制御モードを実行して複数の照明装置1に避難誘導を行わせる。ただし、制御装置2は、災害発生時に限らず、例えば、何らかのイベントに参加する多数の人を、公共交通機関からイベント会場まで誘導する場合に誘導制御モードを実行しても構わない。
【0013】
しかして、実施形態に係る屋外経路誘導システムX1は、平常時には道路などの人の通行が可能な場所を照明する複数の照明装置1を用いて、災害発生時に安全な場所まで人を誘導できる。その結果、実施形態に係る屋外経路誘導システムX1は、避難誘導以外にも利用可能として普及率の向上を図ることができる。
【0014】
(2)詳細
実施形態に係る屋外経路誘導システムX1(以下、屋外経路誘導システムX1と略す。)は、
図1に示すように、複数の照明装置1と、これら複数の照明装置1を制御する制御装置2と、を備える。複数の照明装置1は、商用の電力系統P1から電源線W1を介して交流電力が供給される。なお、本実施形態における照明装置1は、第1の照明装置1Aと第2の照明装置1Bを含む。ただし、照明装置1は、3種類以上の照明装置を含んでも構わない。
【0015】
(2-1)第1の照明装置
第1の照明装置1Aは、いわゆる防犯灯である。第1の照明装置1Aは、
図2に示すように、照明光を照射する光源部10と、光源部10に電力を供給する電源部11と、通信媒体を介して制御装置2と通信する通信部12と、を有する。また、第1の照明装置1Aは、周囲の明るさを検出する明るさセンサ13を更に有する。ただし、第1の照明装置1Aは明るさセンサ13を有していなくても構わない。
【0016】
光源部10は、複数個のLEDを電気的に直列接続したLEDアレイを有する。複数個のLEDは、それぞれ照明用白色LEDである。ただし、光源部10は、LEDに代えて、有機エレクトロルミネッセンス素子、レーザーダイオード、あるいは蛍光ランプなどの放電ランプを有しても構わない。また、複数個のLEDは、光色の異なる複数種類のLED、例えば、赤色LED、緑色LED、青色LED及び白色LEDの4色のLEDを1個乃至複数個ずつ含んでいても構わない。
【0017】
電源部11は、例えば、力率改善回路と、降圧チョッパ回路と、電源制御回路と、を有する。力率改善回路は、電力系統P1から入力される交流電圧を、交流電圧のピーク値よりも高い電圧値を有する直流電圧に変換する。降圧チョッパ回路は、力率改善回路から出力される直流電圧を降圧して光源部10に供給する。電源制御回路は、降圧チョッパ回路を構成する半導体スイッチング素子をスイッチング制御して光源部10に流す電流を定電流化する。ただし、上述した電源部11の回路構成は一例であって、交流電力を直流電力に変換し、かつ、直流の出力電流を調整(定電流化)できれば、他の回路構成であっても構わない。
【0018】
通信部12は、通信媒体を介して制御装置2と通信可能である。通信部12は、電源線W1の導体を通信媒体とした電力線搬送通信を行う。通信部12は、電力線搬送通信用のモデムICを有することが好ましい。この種の電力線搬送通信用のモデムICは、主に電力線搬送通信の物理層を処理するDSP(Digital Signal Processor)コア、上位層(データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層など)のプロトコルを処理するMCU(Micro Control Unit)コア、プロトコルなどを記憶するメモリなどを備える。通信部12には固有のアドレスが割り当てられる。ただし、通信部12は、専用の通信線を通信媒体とした有線通信を行ってもよいし、電波を通信媒体とした無線通信を行っても構わない。
【0019】
明るさセンサ13は、例えば、一定の電圧が印加されるフォトダイオードと、フォトダイオードに電気的に直列接続された抵抗器と、比較器と、を有する。フォトダイオードは、入射光量が多いほど多くの直流電流を抵抗器に流す。抵抗器は、フォトダイオードを介して供給される直流電流を直流電圧に変換する。比較器は、抵抗器の両端電圧をしきい値と比較し、入射光量(周囲の明るさ)に比例した両端電圧がしきい値未満のときに電源部11の電源制御回路に点灯信号を出力し、両端電圧がしきい値以上のときは点灯信号を出力しない。ただし、明るさセンサ13は、フォトダイオードの代わりに、フォトトランジスタ又は太陽電池などを有しても構わない。
【0020】
電源制御回路は、明るさセンサ13から点灯信号が入力されているときに降圧チョッパ回路を動作させて光源部10を点灯する。また、電源制御回路は、明るさセンサ13から点灯信号が入力されていないときに降圧チョッパ回路を停止させて光源部10を消灯する。
【0021】
第1の照明装置1Aは、
図3に示すように、地面に立てられる支柱50(電力柱又は鋼管ポール)、若しくは建物の外壁などに取り付けられる。ただし、第1の照明装置1Aは防犯灯に限定されず、例えば、道路灯や街路灯、あるいはローポールライトなどの地面に立てて設置される照明器具、地中に埋め込まれる地中埋込型の照明器具などであっても構わない。
【0022】
第1の照明装置1Aは、本体15、グローブ16、アーム17などを有する。本体15は、合成樹脂により、下面が開口した長尺の矩形箱状に形成される。ただし、本体15は、アルミダイカスト又は鋼板などの金属で形成されても構わない。光源部10、電源部11、通信部12及び明るさセンサ13は、本体15内に収容される。なお、明るさセンサ13は、本体15の先端(上端)の近くに配置される。
【0023】
グローブ16は、透光性を有する合成樹脂(例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂など)により、半円筒状に形成される。グローブ16は、長手方向の一端部(
図3における上端部)に一対のヒンジ部160が設けられる。一対のヒンジ部160は、半円筒状に形成され、本体15の長手方向の一端部(
図3における上端部)に設けられる一対の軸に引っ掛けられる。つまり、グローブ16は、本体15の下面開口を塞ぐ閉位置(
図3参照)と、本体15の下面開口を開放する開位置との間で回転可能に本体15に取り付けられる。
【0024】
アーム17は、固定部171を有する。固定部171は、長尺の矩形平板状に形成される固定板1710と、固定板1710の長手方向に沿った両端縁から厚み方向に立ち上がる一対の側壁1711とを有する。一対の側壁1711はそれぞれ、側壁1711の長手方向(上下方向)に沿った長穴1712を有する。
【0025】
アーム17の固定部171は、一対の側壁1711の長穴1712に挿通される取付バンド51を用いて支柱50に取り付けられる。ただし、アーム17の固定部171は、取付バンド51を用いて支柱50に取り付けられた取付金具に取り付けられても構わない。
【0026】
(2-2)第2の照明装置
第2の照明装置1Bは、いわゆる防犯灯と保安灯(屋外用非常灯)を組み合わせた照明装置である。第2の照明装置1Bは、
図4に示すように、常用照明を行う常用光源部10Aと、常用光源部10Aに電力を供給する常用電源部11Aと、通信媒体を介して制御装置2と通信する通信部12と、を有する。また、第2の照明装置1Bは、非常時用照明を行う非常用光源部10Bと、非常用光源部10Bに電力を供給する非常用電源部11Bと、周囲の明るさを検出する二つの明るさセンサ13A、13Bと、蓄電池14と、を更に有する。ただし、常用光源部10A、常用電源部11A、通信部12、及び二つの明るさセンサ13A、13Bの構成は、第1の照明装置1Aにおける光源部10、電源部11、通信部12及び明るさセンサ13と共通であるので説明を省略する。なお、第2の照明装置1Bは明るさセンサ13A、13Bを有していなくても構わない。
【0027】
非常用光源部10Bは、少なくとも1個の照明用白色LEDを有する。ただし、非常用光源部10Bは、LEDに代えて、有機エレクトロルミネッセンス素子、レーザーダイオード、あるいは蛍光ランプなどの放電ランプを有しても構わない。
【0028】
蓄電池14は、例えば、ニッケル水素電池である。ただし、蓄電池14は、リチウムイオン電池であっても構わない。蓄電池14は、図示しない充電回路によって充電される。充電回路は、電力系統P1から電源線W1を介して供給される電力(常用電力)によって蓄電池14を充電する。
【0029】
非常用電源部11Bは、例えば、定電流回路と、電源制御回路と、を有する。定電流回路は、蓄電池14から放電される直流電流を定電流化して非常用光源部10Bに供給する。
【0030】
電源制御回路は、電源線W1に印加される電圧を監視する。電源制御回路は、電源線W1に電圧が印加されていない、すなわち、電力系統P1が停電していると判断し、かつ、明るさセンサ13Bから点灯信号が入力されているときに定電流回路を動作させて非常用光源部10Bを点灯させる。また、電源制御回路は、電力系統P1が停電していないと判断するか、あるいは、停電していると判断しても明るさセンサ13Bから点灯信号が入力されていないときは定電流回路を動作させずに非常用光源部10Bを消灯させる。
【0031】
なお、非常用光源部10Bの電源制御回路は、通信部12で受信する点検開始コマンド(後述する)を受け取ると、強制的に蓄電池14に放電させて非常用光源部10Bを点灯させる。
【0032】
第2の照明装置1Bは、第1の照明装置1Aと同様に、地面に立てられる支柱50、若しくは建物の外壁などに取り付けられる(
図5参照)。
【0033】
第2の照明装置1Bは、常用照明ユニット1BAと、非常時用照明ユニット1BBと、を有する。常用照明ユニット1BAは、第1の照明装置1Aと共通の構成、すなわち、本体15、グローブ16、アーム17などを有する。本体15は、常用光源部10A、常用電源部11A、通信部12及び明るさセンサ13Aを収容する。
【0034】
非常時用照明ユニット1BBは、アルミダイカスト製のケース18と、ケース18の下面に取り付けられたカバー19と、を有する。ケース18は、下面が傾斜した箱状に形成され、非常用光源部10B、非常用電源部11B、明るさセンサ13B、及び蓄電池14を収容する。ケース18の下面から非常用光源部10Bが露出している。ケース18の下面は、透光性を有する材料(例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びガラスなど)で半円筒状に形成されたカバー19に覆われる。また、ケース18の側面に採光用の窓180が設けられている。明るさセンサ13Bは、窓180を通して入光する外光によって周囲の明るさを検出する。
【0035】
ケース18は、取付バンド51を用いて、直接又は取付金具を介して支柱50に取り付けられる(
図5参照)。また、ケース18の前面に、常用照明ユニット1BAのアーム17が固定される。
【0036】
(2-3)制御装置
制御装置2は、
図6に示すように、制御部20と、通信モジュール21と、記憶部22と、電源回路23と、を有する。
【0037】
制御部20は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部20としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0038】
通信モジュール21は、電源線W1の導体を通信媒体とした電力線搬送通信を行う。通信モジュール21は、照明装置1の通信部12と同様に電力線搬送通信用のモデムICを有することが好ましい。
【0039】
記憶部22は、フラッシュメモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリを有する。ただし、記憶部22は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどの記憶装置を有しても構わない。記憶部22は、複数の照明装置1の識別符号(アドレス)、各照明装置1の種別、複数の照明装置1が設置された場所の地図、各照明装置1の地図上の位置、誘導制御モードで使用される一つ以上の経路(避難経路及び誘導経路)などを含む、多種多様のデータを記憶する。記憶部22は、制御部20からアクセス可能であり、制御部20によってデータの読み出し及び書き込みが行われる。
【0040】
電源回路23は、制御部20及び通信モジュール21の動作用の電源(制御電源)を供給する。電源回路23は、電源線W1を介して電力系統P1から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路を有する。
【0041】
ここで、制御部20は、外部の入力装置4からコマンドデータを受け付けることができる。入力装置4は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、押釦スイッチなどの入力デバイスを有する。入力装置4は、それらの入力デバイスから入力する操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応するコマンドデータを制御装置2の制御部20に出力する。ただし、入力装置4は、キーボード、マウス、ディスプレイなどを含むコンピュータシステムであっても構わない。
【0042】
(2-4)照明装置の設置
複数の照明装置1は、
図7に示すように、人が通行する場所、例えば、自宅から学校までの通学路、自宅から鉄道の最寄り駅までの通勤路などの生活道路に設置される。
図7は、屋外経路誘導システムX1が運用される土地の地図(マップM1)を示している。マップM1の中心には学校H1が存在している。この学校H1は、災害発生時の住民の避難場所に指定されている。学校H1の北東方面には、氾濫の可能性がある河川V1が存在する。また、学校H1の北西方面には、土砂災害の可能性がある丘陵地帯が存在する。さらに、学校H1の南東方面には、高潮及び津波の可能性がある海岸が存在する。つまり、
図7のマップM1で示す土地は、河川V1の氾濫による水害、丘陵地帯における土砂災害、高潮及び津波による災害などが発生する危険を有している。
【0043】
ここで、説明を簡単にするため、学校H1を中心とする半径300mの円内の範囲を、避難誘導の対象区域とする。また、以下の説明において、対象区域内に存在する主要な道路(災害発生時に避難場所の学校H1までの避難路になり得る道路)を、第1道路R1から第8道路R8と呼ぶ。第1道路R1から第4道路R4は、南北に延びる道路である。第1道路R1、第2道路R2、第3道路R3及び第4道路R4は、西から東へ順番に並んでいる。第5道路R5から第8道路R8は、東西に延びる道路である。第5道路R5、第6道路R6、第7道路R7及び第8道路R8は、北から南へ順番に並んでいる。なお、学校H1は、第2道路R2、第3道路R3、第6道路R6に面している。また、
図7においては、第1の照明装置1Aを丸(○)の記号で表し、第2の照明装置1Bを四角(□)の記号で表す。
【0044】
第1の照明装置1Aと第2の照明装置1Bは、以下のような規則に従って設置されることが望ましい。
【0045】
常用照明によって必要照度が確保できる照明装置1の間隔をL1[m]とし、非常時用照明によって必要照度が確保できる照明装置1の間隔をL2[m]とする(
図8参照)。なお、常用照明による必要照度(平均水平面照度)は、5ルクス~3ルクス程度、非常時用照明による必要照度(最低地表面照度)は、0.1ルクスと言われている。
【0046】
例えば、L2<L1であった場合、常用照明と非常時用照明を行う第2の照明装置1BをL2以下の間隔で設置することが好ましい。
【0047】
また、L1≦L2、かつ、L1≦L2<2×L1であった場合、第2の照明装置1BをL1以下の間隔で設置することが好ましい。
【0048】
さらに、L1≦L2、かつ、n×L1≦L2<(n+1)×L1であった場合(nは正の整数)、常用照明を行う照明装置(第1の照明装置1A又は第2の照明装置1B)をL1の間隔で設置し、かつ、非常時用照明を行う第2の照明装置1Bを(n-1)台ごとに設置することが好ましい。例えば、L1=16m、L2=32mとすれば、n=2で上記条件を満たすので、第1の照明装置1Aと第2の照明装置1BをL1の間隔で交互に並ぶように設置すればよい(
図8参照)。しかして、
図7に示すマップM1においては、第1の照明装置1A(丸の記号)と第2の照明装置1B(四角の記号)が交互に並ぶように設置されている。ただし、避難場所である学校H1の周囲の道路(第3道路R3、第6道路R6、第8道路R8など)においては、非常時用照明を行う第2の照明装置1Bの間隔をL2よりも狭くすることが好ましい。
【0049】
(2-5)制御装置の設置
制御装置2は、すべての照明装置1との通信が良好に行える場所に設置されることが好ましい。例えば、制御装置2は、避難場所に指定されている学校H1に設置されることが好ましい。あるいは、制御装置2は、避難誘導の対象区域を行政区画に含む行政機関の施設(都道府県庁、市役所、役場など)に設置されても構わない。
【0050】
(2-6)屋外経路誘導システムの動作説明
(2-6-1)屋外経路誘導システムの動作状態
屋外経路誘導システムX1は、以下の8種類の動作状態を有する。
【0051】
第1の動作状態は、各照明装置1が明るさセンサ13、13Aの検出結果に応じて点灯する動作状態である。したがって、第1の動作状態は、制御装置2による制御動作に含まれない。
【0052】
第2の動作状態は、あらかじめ決められたスケジュールに従って、すべての照明装置1を一時的に点灯させる動作状態である。第2の動作状態は、定期的に(例えば、毎日18時)に制御装置2が通常制御モードを実行することで各照明装置1を点灯させる動作状態である。ただし、第2の動作状態において、制御装置2は、通常制御モードとともに、あるいは通常制御モードに代えて、誘導制御モードを実行しても構わない。
【0053】
第3の動作状態は、制御装置2が点検を行う動作状態である。制御装置2による点検は、制御装置2がすべての照明装置1を正常に制御可能か否かを確認する作業である。ただし、実施形態における点検は、制御装置2が行う点検(以下、総合点検と呼ぶ場合がある。)と、各照明装置1で行う点検(以下、機能点検と呼ぶ場合がある。)と、を含む。機能点検は、第1の照明装置1Aと第2の照明装置1Bが正常に常用照明を行うことができるか否かを確認する作業と、第2の照明装置1Bが正常に非常時用照明を行うことができるか否かを確認する作業と、を含む。なお、各照明装置1における機能点検は、点検作業を行う作業者によって定期的(例えば、半年又は1年に1回)に行われることが望ましい。例えば、第2の照明装置1Bの非常用電源部11Bは、通信部12で受信する点検開始コマンドを受け取ると、強制的に蓄電池14に放電させて非常用光源部10Bを点灯させる。ただし、第2の照明装置1Bの非常時用照明に関する点検については、点検後の蓄電池14の充電時間を考慮して、年数回の点検時期を設定し、点検時期ごとに数台から数十台ずつに分けて行うことが好ましい。
【0054】
第4の動作状態は、入力装置4から入力される災害情報に基づいて、制御装置2が誘導制御モードを実行して各照明装置1を制御する動作状態である。災害情報は、例えば、自治体から発令される避難指示又は高齢者等避難などの情報を含む。自治体は、気象庁から発せられる防災気象情報、すなわち、警戒レベル4に相当する土砂災害警戒情報、氾濫危険情報、高潮特別警報、高潮警報、及び警戒レベル3に相当する大雨警報、洪水警報、氾濫警戒情報などに基づき、避難指示(警戒レベル4)又は高齢者等避難(警戒レベル3)を発令する。すなわち、屋外経路誘導システムX1は、夜間又は自然光の不足によって十分な明るさが得られない状況において避難指示又は高齢者等避難が発令された場合に、制御装置2に誘導制御モードを実行させて各照明装置1を制御することにより、第4の動作状態に移行する。なお、入力装置4による災害情報の入力は、例えば、自治体の職員が手動で行ってもよいし、自治体が管理するサーバが自動で行っても構わない。
【0055】
誘導制御モードを実行する制御装置2の制御部20は、記憶部22から避難経路の情報を読み出す。避難経路の情報には、当該避難経路に設置されている複数の照明装置1の識別符号が含まれている。制御部20は、読み出した避難経路の情報から、当該避難経路に設置されている複数の照明装置1の識別符号を取得し、取得した複数の照明装置1の識別符号を宛先のアドレスとする制御コマンドを通信モジュール21から送信させる。
【0056】
屋外経路誘導システムX1が備える複数の照明装置1のうち、宛先のアドレスが自己の識別符号に一致する複数の照明装置1、すなわち、選出された避難経路に設置された複数の照明装置1が制御コマンドに応じて光源部10及び常用光源部10Aを点滅させる。その結果、避難経路に設置されている複数の照明装置1の光が、避難場所(学校H1)に向かって走行するように点滅する(
図9の矢印参照)。ゆえに、屋外経路誘導システムX1は、避難経路に設置されている複数の照明装置1の光を走行するように点滅(以下、点滅走行と呼ぶ。)させることにより、避難誘導の対象者(対象区域内の住人及び住人以外の滞在者など)を避難場所(学校H1)まで誘導できる。なお、屋外経路誘導システムX1は、対象区域の自治体が作成した災害予測地図(ハザードマップ)に記載されている避難経路を、制御装置2の記憶部22に記憶する複数の避難経路に採用することが望ましい。
【0057】
第5の動作状態は、第4の動作状態と同様に、入力装置4から入力される災害情報に基づいて、制御装置2が誘導制御モードを実行して各照明装置1を制御する動作状態である。ただし、屋外経路誘導システムX1は、対象区域内で災害の発生が確認された場合(警戒レベル5に相当する場合)に第4の動作状態から第5の動作状態へ移行する(
図13参照)。
【0058】
例えば、対象区域内で災害が発生している区域があった場合、災害が発生している区域(以下、災害発生区域K1と呼ぶ。)を通らずに対象者を避難場所(学校H1)まで誘導する必要がある。したがって、制御装置2の記憶部22は、災害発生区域K1を通らない避難経路を記憶しておくことが好ましい(
図10-
図12参照)。なお、
図10は、災害発生区域K1に高潮災害又は津波災害が発生している場合の避難経路を示し、
図11は、災害発生区域K1に土砂災害が発生している場合の避難経路を示している。また、
図12は、災害発生区域K1に河川V1の氾濫(洪水災害)が発生している場合の避難経路を示している。
【0059】
制御装置2の制御部20は、災害発生区域K1を通らない避難経路を記憶部22から読出すとともに読み出した避難経路の情報から、当該避難経路に設置されている複数の照明装置1の識別符号を取得する。制御部20は、取得した複数の照明装置1の識別符号を宛先のアドレスとする制御コマンドを通信モジュール21から送信させ、選出された避難経路に設置された複数の照明装置1の光源部10及び常用光源部10Aの光を、災害発生区域K1を通らずに避難場所(学校H1)に向かって点滅走行させる(
図10-
図12の矢印参照)。その結果、屋外経路誘導システムX1は、災害発生区域K1を通らずに避難場所(学校H1)まで対象者を誘導できる。
【0060】
第6の動作状態は、屋外経路誘導システムX1の管理権限を持つ者(例えば、自治体の職員など)が入力装置4から所定のコマンドデータを入力した場合の動作状態である。
【0061】
例えば、制御装置2の制御部20又は通信モジュール21が誤動作した場合、あるいは動作しなかった場合、制御部20又は通信モジュール21を強制的に停止させる、あるいは、再起動させる必要がある。このような場合、屋外経路誘導システムX1は、入力装置4から強制停止のコマンドデータが入力されると、制御装置2の制御部20又は通信モジュール21を強制的に停止させる。また、屋外経路誘導システムX1は、入力装置4から再起動のコマンドデータが入力されれば、制御装置2の制御部20又は通信モジュール21を再起動させる。
【0062】
あるいは、対象区域の道路が工事等によって通行が制限されている場合又は通行が禁止されている場合、当該道路を含む避難経路が使用できない可能性がある。この場合、管理権限を持つ者が入力装置4を操作し、通行可能な別の避難経路の情報を新たに入力することが好ましい。制御装置2の制御部20は、入力装置4から入力される新たな避難経路の情報を記憶部22に書き込む。
【0063】
第7の動作状態は、電力系統P1からの給電が停止(停電)した場合の動作状態である。電力系統P1が停電した場合、制御装置2、各第1の照明装置1A及び各第2の照明装置1Bの常用照明ユニット1BAは動作不可となる。一方、各第2の照明装置1Bの非常時用照明ユニット1BBは、蓄電池14から放電される直流電力により、非常用電源部11Bが非常用光源部10Bを点灯させて非常時用照明を行う。なお、非常時用照明ユニット1BBによる非常時用照明においては、避難時の安全確保を優先するため、点滅による避難誘導は行わないことが好ましい。
【0064】
第8の動作状態は、各照明装置1が明るさセンサ13、13Aの検出結果に応じて消灯する動作状態である。したがって、第8の動作状態は、第1の動作状態と同様に制御装置2による制御動作に含まれない。
【0065】
なお、屋外経路誘導システムX1は、上述した第1から第8の動作状態に昇順の優先順位を設定している。つまり、最も優先順位が高い動作状態は第8の動作状態であり、最も優先順位が低い動作状態は第1の動作状態である。
【0066】
図13は屋外経路誘導システムX1の動作状態の遷移図を示している。平常時(災害発生及びその危険がなく、かつ、電力系統P1の停電も発生していないとき)の夜間は、屋外経路誘導システムX1の動作状態は第1の動作状態であり、平常時の昼間は、屋外経路誘導システムX1の動作状態は第8の動作状態である。また、屋外経路誘導システムX1は、例えば、平常時の昼間から夜間に移行した直後に第1の動作状態から第2の動作状態に遷移する。屋外経路誘導システムX1の制御装置2は、第2の動作状態において誘導制御モードを実行しても構わない。なお、制御装置2が誘導制御モードを実行する際、防災行政無線を利用して、屋外経路誘導システムX1の避難誘導のための動作などを対象者にアナウンスすることで対象者への周知を図ることが好ましい。また、屋外経路誘導システムX1は、第2の動作状態、第3の動作状態及び第6の動作状態から第8の動作状態に直接遷移せず、第1又は第7の動作状態を経由して第8の動作状態に遷移する。
【0067】
災害時(災害が発生しているとき又はその危険が高く、かつ、電力系統P1の停電が発生していないとき)の夜間及び自然光により十分な明るさが得られないときは、屋外経路誘導システムX1の動作状態は、第1-第3のいずれの動作状態であっても第4又は第5の動作状態に遷移する。そして、災害発生の危険がなくなると、屋外経路誘導システムX1の動作状態は第4又は第5の動作状態から第1又は第8の動作状態に遷移する。また、停電が発生した場合、屋外経路誘導システムX1は、第1-第5のいずれの動作状態であっても第7の動作状態に遷移する。なお、電力系統P1が復電した場合、屋外経路誘導システムX1は、平常時の夜間であれば第7の動作状態から第1の動作状態に遷移し、災害時の夜間であれば第4又は第5の動作状態に遷移する。
【0068】
(2-6-2)屋外経路誘導システムの他の動作状態
屋外経路誘導システムX1は、上述した8種類の動作状態以外の動作状態を有しても構わない。例えば、何らかのイベントが開催される場合に、鉄道・バスなどの公共交通機関を利用して訪れるイベント参加者を、屋外経路誘導システムX1によってイベントの開催場所及び開催場所から公共交通機関まで誘導する動作状態が考えられる。
【0069】
あるいは、各照明装置1の光源部10及び常用光源部10Aから複数の光色の光を放射できる場合において、屋外経路誘導システムX1は、各照明装置1の光色を調整(調光)するように制御装置2に各照明装置1を制御させて光による演出を行っても構わない。なお、演出を行う動作状態の優先順位は、第2の動作状態の優先順位よりも高く、かつ、第3の動作状態の優先順位よりも低く設定されることが好ましい。
【0070】
また、複数の照明装置1(第1の照明装置1Aと第2の照明装置1B)は、必ずしも等間隔に設置されなくてもよい。例えば、真っすぐな道路に設置される照明装置1の間隔を相対的に広げても構わない。あるいは、交差点の近傍に設置される照明装置1の間隔を相対的に狭めても構わない。
【0071】
(3)実施形態の利点
上述のように屋外経路誘導システムX1は、人が通行する場所(第1道路R1-第8道路R8)に設置される複数の照明装置1と、複数の照明装置1を制御する制御装置2と、を備える。制御装置2は、場所を照明するための通常制御モード、及び場所を通って所定の目的地(例えば、避難場所である学校H1)まで誘導するための誘導制御モード、を含む複数の制御モードを選択して実行する。
【0072】
ここで、従来例における誘導サインは、避難誘導のための専用の機器であり、災害が発生していない平常時に別の役割を果たすことが難しい。一方、屋外経路誘導システムX1は、平常時には道路などの人の通行が可能な場所を照明する複数の照明装置1を用いて、災害発生時に安全な場所まで人を誘導できる。つまり、屋外経路誘導システムX1は、災害発生時だけでなく、平常時にも人が通行する場所を照明するという役割を果たすことができる。その結果、屋外経路誘導システムX1は、避難誘導以外にも利用可能として普及率の向上を図ることができる。
【0073】
また、制御装置2は、通常制御モードの実行中は、所定の時間帯に複数の照明装置1を連続して点灯させ(第1の動作状態)、誘導制御モードの実行中は、複数の照明装置1のうちで、所定の目的地までの経路に設置されている、複数の照明装置1を点灯させる(第4の動作状態)。しかして、屋外経路誘導システムX1は、複数の照明装置1から放射される光を用いて、対象者を目的地(学校H1)まで誘導できる。その結果、屋外経路誘導システムX1は、対象者を安全かつ迅速に目的地まで誘導できる。なお、屋外経路誘導システムX1は、対象者を目的地(学校H1)まで誘導する際、誘導制御モードを実行中の制御装置2に複数の照明装置1を点滅走行させるので、対象者を更に安全かつ迅速に目的地まで誘導できる。
【0074】
ここで、制御装置2は、通信媒体を介して複数の照明装置1と通信可能であり、複数の照明装置1は、通信媒体を介して制御装置2から受信する制御コマンドに応じて制御される。しかして、屋外経路誘導システムX1は、制御装置2によって複数の照明装置1を遠隔から制御するので、制御装置2の設置場所の自由度を高めて普及率の更なる向上を図ることができる。
【0075】
また、複数の照明装置1は、通信媒体を介して制御装置2と通信する通信部12を有する。そのため、屋外経路誘導システムX1は、各照明装置1と別に通信用の機器を設置する必要がないので、普及率の更なる向上を図ることができる。なお、通信部12は、電源部11が電力系統P1から給電される電源線W1を通信媒体として通信を行う。そのため、屋外経路誘導システムX1は、専用の通信線を通信媒体とする場合に比べて、省配線化を図ることができる。その結果、屋外経路誘導システムX1は、普及率の更なる向上を図ることができる。
【0076】
さらに、複数の照明装置1は、常用照明を行う第1の照明装置1Aと、常用照明と非常時用照明を切り替えて行う第2の照明装置1Bと、をそれぞれ1台以上含む。第1の照明装置1Aは、外部電源(電力系統P1)から供給される常用電力で電源部11及び通信部12を動作させる。第2の照明装置1Bは、常用電力で充電される蓄電池14を有する。第2の照明装置1Bが有する非常用電源部11Bは、常用電力の供給停止時に、蓄電池14から放電する非常用電力で非常用光源部10Bを動作(点灯)させる。
【0077】
しかして、屋外経路誘導システムX1は、電力系統P1の停電時に第2の照明装置1Bが常用照明から非常時用照明に切り換わるので、夜間における避難の安全性の向上を図ることができる。
【0078】
また、制御装置2は、一つ以上の目的地(避難場所(学校H1))と、目的地ごとの複数の経路(避難経路)と、を記憶部22に記憶している。そして、制御装置2は、災害の発生時に誘導制御モードを実行する場合、複数の照明装置1のうちで、災害の発生場所(災害発生区域K1)を通らない一つ以上の経路(避難経路)に設置されている、複数の照明装置1を制御する(
図10-
図12参照)。しかして、屋外経路誘導システムX1は、対象者が災害の発生場所(災害発生区域K1)に立ち入ることを抑制し、対象者を更に安全に目的地(避難場所)まで誘導できる。
【0079】
ところで、屋外経路誘導システムX1において、第1の照明装置1Aと第2の照明装置1Bはいずれも明るさセンサ13、13A、13Bを有している。そして、第1の照明装置1Aと第2の照明装置1Bはそれぞれ、明るさセンサ13、13A、13Bが検出する周囲の明るさがしきい値未満のときに点灯し、周囲の明るさがしきい値以上のときに消灯する。つまり、屋外経路誘導システムX1は、制御装置2の制御によらず、周囲の明るさに応じて複数の照明装置1(第1の照明装置1Aと第2の照明装置1B)の点灯・消灯を自動的に切り替えるので、省エネルギ化を図ることができる。
【0080】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、人が通行する場所に設置される複数の照明装置(1)と、複数の照明装置(1)を制御する制御装置(2)と、を備える。制御装置(2)は、場所を照明するための通常制御モード、及び場所を通って所定の目的地まで誘導するための誘導制御モード、を含む複数の制御モードを選択して実行する。
【0081】
第1の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、平常時には道路などの人の通行が可能な場所を照明する複数の照明装置(1)を用いて、災害発生時に安全な場所まで人を誘導できる。その結果、第1の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、避難誘導以外にも利用可能として普及率の向上を図ることができる。
【0082】
本開示の第2の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、制御装置(2)は、通常制御モードの実行中は、所定の時間帯に複数の照明装置(1)を連続して点灯させることが好ましい。制御装置(2)は、誘導制御モードの実行中は、複数の照明装置(1)のうちで、所定の目的地までの経路に設置されている、複数の照明装置(1)を点灯させることが好ましい。
【0083】
第2の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、対象者を安全かつ迅速に目的地まで誘導できる。
【0084】
本開示の第3の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、誘導制御モードを実行中の制御装置(2)は、複数の照明装置(1)を点滅走行させることが好ましい。
【0085】
第3の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、対象者を更に安全かつ迅速に目的地まで誘導できる。
【0086】
本開示の第4の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第2又は第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、制御装置(2)は、一つ以上の目的地と、目的地ごとの複数の経路と、を記憶することが好ましい。制御装置(2)は、災害の発生時に誘導制御モードを実行する場合、複数の照明装置のうちで、災害の発生場所を通らない一つ以上の経路に設置されている、複数の照明装置を制御することが好ましい。
【0087】
第4の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、対象者が災害の発生場所(災害発生区域K1)に立ち入ることを抑制し、対象者を更に安全に目的地(避難場所)まで誘導できる。
【0088】
本開示の第5の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、複数の照明装置(1)のうちの少なくとも1台の照明装置(1)は、周囲の明るさを検出する明るさセンサ(13、13A、13B)を有することが好ましい。少なくとも1台の照明装置(1)は、明るさセンサ(13、13A、13B)が検出する周囲の明るさがしきい値未満のときに点灯し、周囲の明るさがしきい値以上のときに消灯することが好ましい。
【0089】
第5の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、制御装置(2)の制御によらず、周囲の明るさに応じて複数の照明装置(1)の点灯・消灯を自動的に切り替えるので、省エネルギ化を図ることができる。
【0090】
本開示の第6の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、制御装置(2)は、通信媒体を介して複数の照明装置(1)と通信可能であることが好ましい。複数の照明装置(1)は、通信媒体を介して制御装置(2)から受信する制御コマンドに応じて制御されることが好ましい。
【0091】
第6の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、制御装置(2)によって複数の照明装置(1)を遠隔から制御するので、制御装置(2)の設置場所の自由度を高めて普及率の更なる向上を図ることができる。
【0092】
本開示の第7の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、複数の照明装置(1)は、場所に照明光を照射する光源部(10)と、光源部(10)に電力を供給する電源部(11)と、通信媒体を介して制御装置(2)と通信する通信部(12)と、を有することが好ましい。
【0093】
第7の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、各照明装置(1)と別に通信用の機器を設置する必要がないので、普及率の更なる向上を図ることができる。
【0094】
本開示の第8の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第7の態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、複数の照明装置(1)は、常用照明を行う第1の照明装置(1A)と、常用照明と非常時用照明を切り替えて行う第2の照明装置(1B)と、をそれぞれ1台以上含むことが好ましい。第1の照明装置(1A)は、外部電源(電力系統P1)から供給される常用電力で電源部(11)及び通信部(12)を動作させることが好ましい。第2の照明装置(1B)は、常用電力で充電される蓄電池(14)を有することが好ましい。第2の照明装置(1B)が有する電源部(非常用電源部11B)は、常用電力の供給停止時に、蓄電池(14)から放電する非常用電力で光源部(非常用光源部10B)を動作させることが好ましい。
【0095】
第8の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、外部電力の停電時に第2の照明装置(1B)が常用照明から非常時用照明に切り換わるので、夜間における避難の安全性の向上を図ることができる。
【0096】
本開示の第9の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、第7又は第8の態様との組合せにより実現され得る。第9の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)において、電源部(11)は、電源線(W1)を介して外部電源から電力が供給されることが好ましい。通信部(12)は、電源線(W1)を通信媒体として通信を行うことが好ましい。
【0097】
第9の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、専用の通信線を通信媒体とする場合に比べて、省配線化を図ることができる。その結果、第9の態様に係る屋外経路誘導システム(X1)は、普及率の更なる向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0098】
X1 屋外経路誘導システム
P1 電力系統(外部電源)
W1 電源線
K1 災害発生区域(災害の発生場所)
1 照明装置
1A 第1の照明装置(照明装置)
1B 第2の照明装置(照明装置)
2 制御装置
10 光源部
10A 常用光源部(光源部)
10B 非常用光源部(光源部)
11 電源部
11A 常用電源部(電源部)
11B 非常用電源部(電源部)
12 通信部
13、13A、13B 明るさセンサ
14 蓄電池