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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132534
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20240920BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240920BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20240920BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240920BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240920BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240920BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240920BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240920BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21S2/00 230
F21S8/04 130
F21V23/04 500
F21V23/00 160
F21V19/00 150
F21V19/00 170
H01Q1/22 Z
F21Y103:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043337
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 幹也
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭平
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
5J047
【Fターム(参考)】
3K013AA06
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K014AA01
3K014GA03
5J047AA03
5J047AB08
5J047EF05
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、無線通信性能の低下を抑制することである。
【解決手段】照明器具A1は、光源モジュール20と、通信ユニット3と、支持部材21と、係止部品26と、を備える。通信ユニット3は、アンテナを有し、アンテナを介して電波の送信及び受信の少なくとも一方を行う。支持部材21は、底板210の下面210Aの側で光源モジュール20を支持するとともに底板210の上面210Bの側に通信ユニット3を配置している。係止部品26は、導電性を有し、底板210の上面210Bの側に配置される。支持部材21は、導電性を有する材料で形成され、かつ、底板210の下面210Aから上面210Bに貫通する開口部218を有している。係止部品26は、開口部218の少なくとも一部と重なり、かつ、支持部材21における開口部218の周縁部2180と接触しないように配置される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
アンテナを有し、前記アンテナを介して電波の送信及び受信の少なくとも一方を行う無線通信部と、
第1面及び前記第1面と反対の第2面を有し、前記第1面の側で前記光源を支持するとともに前記第2面の側に前記無線通信部を配置した支持部材と、
導電性を有し、前記第2面の側に配置される部品と、
を備え、
前記支持部材は、導電性を有する材料で形成され、かつ、前記第1面から前記第2面に貫通する開口部を有し、
前記部品は、前記第2面と対向する方向から見て前記開口部の少なくとも一部と重なり、かつ、前記支持部材における前記開口部の周縁部と接触しないように配置される、
照明器具。
【請求項2】
前記支持部材の前記第1面及び前記第2面は、長尺状に形成され、
前記開口部は、前記支持部材の長手方向に沿った長穴状に形成され、
前記部品は、前記開口部の短手方向における前記開口部の両側で前記支持部材と接触する、
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記部品は、前記第2面と対向する方向から見て前記開口部の一部と重なる、
請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項4】
電気絶縁性を有する材料でシート状に形成され、前記開口部を塞ぐシート部材を更に備える、
請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項5】
前記光源は、基板と、前記基板の表面に設けられる一つ以上の発光素子と、を有する、
請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項6】
前記基板は、前記発光素子に給電するための導体が形成された導体領域を前記表面に有し、
前記無線通信部は、前記表面と対向する方向から見て前記導体領域と重なる位置に前記アンテナを配置し、
前記支持部材は、前記表面と対向する方向から見て前記導体領域と重ならない位置に、前記開口部を有する、
請求項5記載の照明器具。
【請求項7】
前記基板は、前記導体が形成されていない非導体領域を前記表面に更に有し、
前記支持部材は、前記表面と対向する方向から見て前記非導体領域と重なる位置に前記開口部を有する、
請求項6記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳細には、無線通信が可能な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明器具を例示する。特許文献1記載の照明器具(以下、従来例という。)は、光源ユニットと、光源ユニットの一部を収容する収容凹部を有した器具本体と、を備える。
【0003】
光源ユニットは、光源基板と、アンテナを有する無線部と、上面側に無線部が配される支持体と、を備える。支持体は、金属板状であり、下面側に光源基板が重なるように配される。また、支持体には、開口が設けられており、開口から光源基板の上面が露出する。開口から露出する光源基板の上面には、配線パタンが形成されている。
【0004】
従来例では、金属製の支持体に設けられた開口を通して無線部のアンテナで電波を受信可能とすることにより、無線通信性能の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-71508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例では、開口から露出する光源基板の上面に導体(配線パタン)が存在するため、開口を通過する電波が導体によって減衰し、無線通信性能が低下する可能性がある。
【0007】
本開示の目的は、無線通信性能の低下を抑制できる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る照明器具は、光源と、無線通信部と、支持部材と、部品と、を備える。前記無線通信部は、アンテナを有し、前記アンテナを介して電波の送信及び受信の少なくとも一方を行う。前記支持部材は、第1面及び前記第1面と反対の第2面を有し、前記第1面の側で前記光源を支持するとともに前記第2面の側に前記無線通信部を配置している。前記部品は、導電性を有し、前記第2面の側に配置される。前記支持部材は、導電性を有する材料で形成され、かつ、前記第1面から前記第2面に貫通する開口部を有している。前記部品は、前記第2面と対向する方向から見て前記開口部の少なくとも一部と重なり、かつ、前記支持部材における前記開口部の周縁部と接触しないように配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の照明器具は、無線通信性能の低下を抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る照明器具の斜視図である。
図2図2は、同上の照明器具の分解斜視図である。
図3図3は、同上の照明器具の断面図である。
図4図4Aは、同上の照明器具における光源ユニットの要部の下面図である。図4Bは、同上の照明器具における光源ユニットの要部の上面図である。
図5図5は、同上の照明器具における器具本体の一部省略した正面図である。
図6図6は、同上の照明器具における器具本体の一部省略した別の正面図である。
図7図7は、同上の照明器具における電源装置及び通信ユニットの回路ブロック図である。
図8図8は、同上の照明器具における光源ユニットの平面図である。
図9図9Aは、同上の照明器具における通信ユニットの斜め上方から見た斜視図である。図9Bは、同上の照明器具における通信ユニットの斜め下方から見た斜視図である。
図10図10は、同上の照明器具における通信ユニットの分解斜視図である。
図11図11は、同上の照明器具における通信ユニットのケースカバーを省略した平面図である。
図12図12は、同上の照明器具における光源ユニットの要部の斜視図である。
図13図13は、同上の照明器具の変形例1における光源ユニットの要部の下面図である。
図14図14は、同上の照明器具の変形例2における光源ユニットの要部の断面斜視図である。
図15図15は、同上の照明器具の変形例3における光源ユニットの要部の断面図である。
図16図16は、同上の照明器具の変形例4の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
実施形態に係る照明器具A1は、光源(光源モジュール20)と、無線通信部(通信ユニット3)と、支持部材21と、部品と、を備える(図4A及び図4B参照)。
【0013】
通信ユニット3は、アンテナ31を有し、アンテナ31を介して電波の送信及び受信の少なくとも一方を行う(図7及び図10参照)。
【0014】
支持部材21は、第1面(底板210の下面210A)及び第1面と反対の第2面(底板210の上面210B)を有する。支持部材21は、第1面の側で光源モジュール20を支持するとともに第2面の側に通信ユニット3を配置している(図4A及び図4B参照)。ただし、図4Bにおいては、後述する通信ユニット3のケース33の図示を省略している。
【0015】
部品は、導電性を有し、第2面の側に配置される。実施形態における部品は、後述するように器具本体1に光源ユニット2を仮づりするためのひもを係止する係止部品26である。ただし、部品は、係止部品26に限定されない。
【0016】
支持部材21は、導電性を有する材料で形成され、かつ、第1面から第2面に貫通する開口部218を有する(図4A及び図4B参照)。支持部材21を形成する導電性の材料は、例えば、金属である。
【0017】
係止部品26は、第2面と対向する方向から見て開口部218の少なくとも一部と重なる。さらに、係止部品26は、支持部材21における開口部218の周縁部2180と接触しないように配置される。
【0018】
ここで、支持部材21の開口部218は、いわゆるスロットアンテナとして機能し得る。つまり、支持部材21の開口部218(実際は開口部218とその周縁部2180)は、通信ユニット3のアンテナ31と電磁的に結合し、アンテナ31から放射される電波を外部に放射するとともに、外部から到来する電波をアンテナ31に向けて放射する。
【0019】
しかしながら、実施形態に係る照明器具A1において、底板210の上面210Bと対向する方向から見て開口部218の少なくとも一部と重なるように係止部品26が配置されている(図4B参照)。係止部品26は、導体(金属)で形成されているため、底板210の上面210Bにおける開口部218の周縁部2180と係止部品26が接触(導通)すると、開口部218がスロットアンテナとして機能するための長さ寸法が見掛け上短くなる。その結果、開口部218がスロットアンテナとして機能しなくなるか、あるいは機能しても無線通信性能が低下する可能性がある。
【0020】
そこで、実施形態に係る照明器具A1は、底板210の上面210Bにおける開口部218の周縁部2180と接触しないように係止部品26を配置している(図4B及び図12参照)。ゆえに、実施形態に係る照明器具A1は、底板210の上面210Bにおける開口部218の周縁部2180と接触しないように係止部品26を配置することにより、開口部218の見掛け上の長さが短くなることを防ぐことができる。その結果、実施形態に係る照明器具A1は、従来例と比較して、無線通信性能の低下を抑制できる。
【0021】
(2)詳細
実施形態に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す。)は、図1図3に示すように、光源ユニット2と、器具本体1と、通信ユニット3と、電源ユニット4と、を備える。
【0022】
照明器具A1は、例えば、オフィスビルの執務室の天井などに直付けされる。ただし、照明器具A1が設置される場所は、執務室の天井に限定されず、執務室及び執務室以外の居室などの壁面又は床面でも構わない。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図2において矢印で示す上下、前後及び左右の各方向を照明器具A1の上下、前後及び左右の各方向と規定する。
【0023】
(2-1)器具本体
器具本体1は、長尺の長方形状に形成された主部10と、主部10の長手方向(左右方向)に沿った両端(前端及び後端)から下向きに突出する一対の側部11と、を有する(図2及び図3参照)。一対の側部11は、それぞれ長尺の長方形状に形成される。なお、主部10と一対の側部11は、長尺の金属板が曲げ加工されることによって、一体かつ角とい状に形成されている。
【0024】
主部10は、二つの電源穴111、二つの取付穴112、及び二つの引掛穴113を有する(図2参照)。これら3種類の穴(電源穴111、取付穴112、引掛穴113)はいずれも、厚み方向(上下方向)に主部10を貫通している。なお、主部10における二つの取付穴112の周囲部分は、それぞれ主部10の上面から上向きに突出しただ円錐台状に形成されている。
【0025】
また、主部10の上面には、複数の突部110が主部10の長手方向に沿って間隔を空けて並ぶように設けられている(図3参照)。これら複数の突部110は、それぞれ半球状に形成されて上向きに突出している。これら複数の突部110は、器具本体1が設置面S1に取り付けられた状態において、その先端を設置面S1に接触させることによって、設置面S1と主部10の間に隙間G1を形成する(図3参照)。
【0026】
電源穴111は、主部10の長手方向(左右方向)の両端に一つずつ設けられる(図2参照)。各電源穴111は、円形である。また、各電源穴111には、ブッシングが嵌め込まれている。ブッシングは、合成樹脂材料によって円筒形状に形成されている。例えば、左端の電源穴111には、商用の電力系統などの外部電源P1(図7参照)又は他の照明器具から送り配線される電源ケーブルC1が挿通される。一方、右端の電源穴111には、別の照明器具に送り配線するための電源ケーブルC2が挿通される。なお、以下の説明において、電源ケーブルC1を第1の電源ケーブルC1、電源ケーブルC2を第2の電源ケーブルC2と呼ぶ場合がある。
【0027】
ここで、主部10の下面において、電源穴111よりも長手方向の中央寄りの両端に、第1の端子台14Aと第2の端子台14Bが一つずつ取り付けられる(図2参照)。ただし、第1の端子台14Aと第2の端子台14Bは、同一構造の端子台である。
【0028】
第1の端子台14Aの1次側端子に第1の電源ケーブルC1が電気的に接続される(図5参照)また、第2の端子台14Bの1次側端子に第2の電源ケーブルC2が電気的に接続される(図6参照)。
【0029】
第1の端子台14Aの2次側端子の正極に接続された電線15Aと、第2の端子台14Bの2次側端子に接続された電線15Bと、プラグコネクタ150に接続された電線15Cとが、閉端接続子151Aによって結線される(図5及び図6参照)。
【0030】
第1の端子台14Aの2次側端子の負極に接続された電線15Dと、第2の端子台14Bの2次側端子の負極に接続された電線15Eと、プラグコネクタ150に接続された電線15Fとが、閉端接続子151Bによって結線される(図5及び図6参照)。また、第2の端子台14Bに接続される2本の電線15B、15Eは、絶縁チューブ154に挿通される(図5及び図6参照)。なお、図5では、二つの閉端接続子151A、151Bを器具本体1からはみ出して記載しているが、実際は器具本体1の一対の側部11の間に収容される。
【0031】
プラグコネクタ150に接続された接地線15Gが圧着端子153を介して主部10と接続される。なお、プラグコネクタ150に接続された2本の電線15C、15Fと接地線15Gは、絶縁チューブ152に挿通される(図5参照)。
【0032】
二つの取付穴112は、主部10における第1の端子台14Aの右隣と第2の端子台14Bの左隣に一つずつ設けられる(図2参照)。これら二つの取付穴112には、設置面S1から突出するつりボルトB1が1本ずつ挿通される(図2参照)。そして、取付穴112に挿通されたつりボルトB1にナットN1が締め付けられることにより、器具本体1が設置面S1に固定される。
【0033】
二つの引掛穴113はそれぞれ、二つの取付穴112よりも中央寄りに設けられただるま穴である(図2参照)。これら二つの引掛穴113には、光源ユニット2を仮づりするための2本のひも(不図示)の先端が差し込まれて引っ掛けられる。
【0034】
(2-2)取付ばね
器具本体1は、二つの取付ばね12を有する。二つの取付ばね12はそれぞれ、光源ユニット2を器具本体1に取り付ける役割を担っている。なお、取付ばね12は、主部10における第1の端子台14Aとそれに隣接する取付穴112の間、及び第2の端子台14Bとそれに隣接する取付穴112の間に一つずつ設けられる(図2参照)。各取付ばね12は、帯板状の金属板が曲げ加工されることによってU字状に形成されている。これら二つの取付ばね12は、ねじ止めによって主部10に固定される。そして、各取付ばね12は、器具本体1の短手方向(前後方向)に沿って変形(たわみ)可能である。
【0035】
(2-3)光源ユニット
光源ユニット2は、光源モジュール20、支持部材21、カバー22、電源ユニット4、通信ユニット3、及び一対のエンド部材23を備える(図2参照)。
【0036】
(2-3-1)光源モジュール
光源モジュール20は、二つの基板200と、各基板200の表面200A(下面)に実装された複数の発光素子(LED201)と、各基板200に一つずつ設けられた接続部材24と、を有している(図2参照)。各基板200は、長尺の長方形状に形成されている。各基板200の表面200Aには、複数のLED201に給電するための導体が形成されている。導体は、基板200の表面200Aにおける短手方向の中央に形成されている。なお、以下の説明では、基板200の表面200Aにおいて給電用の導体が形成されている領域を導体領域200Bと表記する(図4A参照)。また、基板200の表面200Aにおいて給電用の導体が形成されていない領域を非導体領域200Cと表記する(図4A参照)。非導体領域200Cは、基板200の短手方向において導体領域200Bの両側に配置されている。なお、二つの基板200の導体は、各基板200の長手方向の端部に実装されたコネクタを介して接続されている。
【0037】
複数のLED201は、例えば、電球色の照明用白色LEDと、昼光色の照明用白色LEDと、を含む。複数のLED201は、異なる発光色のLED201が基板200の長手方向に沿って交互に一列に並ぶように配置される。なお、複数のLED201は、同色の照明用白色LEDのみで構成されてもよいし、3色以上の照明用白色LEDを含んでもよい。あるいは、複数のLED201は、白色以外の発光色、例えば、赤色、緑色、青色などの発光色を有するLEDを含んでも構わない。
【0038】
接続部材24は、後述する電源装置40と光源モジュール20を電気的に接続する部材であって、右側の基板200の右端と、左側の基板200の左端にそれぞれ一つずつ設けられている(図2参照)。各接続部材24は、基板200に実装されるレセプタクルコネクタと、プラグコネクタと、を有する。レセプタクルコネクタは、基板200の表面200Aに形成されている導体に電気的に接続される。また、レセプタクルコネクタは、各基板200に設けられた貫通穴に挿通されて基板200の上面から上向きに突出している。各プラグコネクタは、出力線を介して電源装置40と電気的に接続される。そして、プラグコネクタがレセプタクルコネクタと電気的かつ機械的に接続されることにより、光源モジュール20(LED201)が電源装置40と電気的に接続される。
【0039】
(2-3-2)電源ユニット
電源ユニット4は、プリント回路で構成された電源装置40と、電源装置40を収容する電源ケース41と、を備える(図2及び図8参照)。
【0040】
図7に電源装置40の回路構成を示す。電源装置40は、電力変換回路400、第1定電流回路401、第2定電流回路402、制御回路403などを備える。
【0041】
電力変換回路400は、例えば、ダイオードブリッジのような整流回路、昇圧チョッパ回路(力率改善回路)などを有する。電力変換回路400は、外部電源P1から供給される交流電力を直流電力に変換する。外部電源P1は、例えば、商用の電力系統であり、実効値100V又は200Vの交流電圧・交流電流を供給する。ただし、電力変換回路400は、昇圧チョッパ回路に代えて、降圧チョッパ回路、昇降圧チョッパ回路、フライバックコンバータなどの力率改善機能を有するスイッチング電源回路を備えてもよい。
【0042】
第1定電流回路401及び第2定電流回路402は、例えば、降圧チョッパ回路(バックコンバータ)を有する。第1定電流回路401は、電力変換回路400から出力される直流電圧を降圧して光源モジュール20の電球色のLED201に印加し、かつ、光源モジュール20の電球色のLED201に流れる直流電流を調整する。また、第2定電流回路402は、電力変換回路400から出力される直流電圧を降圧して光源モジュール20の昼光色のLED201に印加し、かつ、光源モジュール20の昼光色のLED201に流れる直流電流を調整する。ただし、第1定電流回路401及び第2定電流回路402は、降圧チョッパ回路に代えて、種々のチョッパ回路、シリーズレギュレータなどを備えてもよい。
【0043】
第1定電流回路401の正極の出力端子は、出力線L11を介して右側の接続部材24(プラグコネクタ)と接続され、第1定電流回路401の負極の出力端子は、出力線L12を介して左側の接続部材24(プラグコネクタ)と接続される(図8参照)。第2定電流回路402の正極の出力端子は、出力線L21を介して右側の接続部材24(プラグコネクタ)と接続され、第2定電流回路402の負極の出力端子は、出力線L22を介して左側の接続部材24(プラグコネクタ)と接続される(図8参照)。
【0044】
制御回路403は、例えば、マイクロコントローラを有する。制御回路403は、第1定電流回路401から光源モジュール20の電球色のLED201に供給される直流電流を目標値に一致させるように、第1定電流回路401の降圧チョッパ回路を制御する。また、制御回路403は、第2定電流回路402から光源モジュール20の昼光色のLED201に供給される直流電流を目標値に一致させるように、第2定電流回路402の降圧チョッパ回路を制御する。なお、制御回路403は、後述する通信ユニット3から受け取る制御信号に応じて、光源モジュール20の電球色及び昼光色のそれぞれのLED201に供給する直流電流の各目標値を個別に変更する。
【0045】
電源ケース41は、金属板により、下面が開口した長尺の箱状に形成されている。電源ケース41は、電源装置40を構成するプリント回路板を収容する。電源ケース41の長手方向の一端(左端)から一対の電線43が引き出されている。一対の電線43は、レセプタクルコネクタ44と接続される(図8参照)。レセプタクルコネクタ44は、プラグコネクタ150と接続される。つまり、電源装置40は、プラグコネクタ150、レセプタクルコネクタ44及び一対の電線43を介して外部電源P1と電気的に接続される。なお、電源ケース41の開口した下面は、電気絶縁性を有する絶縁シートによって覆われる。
【0046】
また、電源ケース41の底部410に複数の電線保持部411が設けられる(図8参照)。これらの電線保持部411は、底部410から切り起こされることでL字状に形成される。これらの電線保持部411は、電源ケース41の長手方向(左右方向)に沿って間隔をあけて並んでいる。これらの電線保持部411は、第1定電流回路401の負極の出力線L12及び第2定電流回路402の負極の出力線L22を保持する(図8参照)。
【0047】
電源ユニット4は、電源ケース41の下面を支持部材21に対向させて光源ユニット2の支持部材21の上面にねじ止めして取り付けられる(図8参照)。ただし、電源ケース41の支持部材21に対する固定方法はねじ止めに限定されず、例えば、かしめなどの適宜の固定方法が採用可能である。また、支持部材21に取り付けられた状態において、電源ケース41の開口(下面)が支持部材21で塞がれる。
【0048】
(2-3-3)支持部材
支持部材21は、長尺の板状に形成された底板210と、底板210の長手方向(左右方向)に沿った一対の側端(前端及び後端)から上向きに起立する一対の側板211とを有している(図2及び図3参照)。一対の側板211は、長尺の長方形状に形成されている。
【0049】
また、支持部材21は、位置決め片212、係止片213、一対のカバー取付片214、一対の突起部215、及び一対の引掛部216を有している(図3参照)。
【0050】
位置決め片212は、底板210の下面における後端部から下向きに突出する角柱状に形成されている。係止片213は、底板210の下面における前端部から下向きに突出するL字状に形成されている。位置決め片212及び係止片213はそれぞれ、底板210の長手方向に沿って互いに並行するように底板210の長手方向の全長に渡って形成されている。係止片213と底板210の間の隙間に、光源モジュール20の基板200が差し込まれ、係止片213に基板200が係止される(図3参照)。そして、位置決め片212により、底板210の前後方向において基板200が位置決めされる。基板200は、複数本のねじ217によって底板210にねじ止めされる(図4A参照)。
【0051】
一対のカバー取付片214はそれぞれ、L字状に形成され、かつ、底板210の長手方向に沿った各側端から下向きに突出している。各カバー取付片214には、後述するようにカバー22の一対の取付部222が引っ掛けられる。
【0052】
一対の引掛部216はそれぞれ、一対の側板211の内側面において、上下方向のほぼ中央から、各側板211の長手方向の全長に渡って内向きに突出している。ただし、各引掛部216の先端部分は、下向きに折れ曲がっている(図3参照)。これら一対の引掛部216は、器具本体1に取り付けられた二つの取付ばね12のそれぞれの先端部分に引っ掛かる。
【0053】
一対の突起部215はそれぞれ、一対の側板211の内側面における下端部分から、各側板211の長手方向の全長に渡って内向きに突出している。なお、底板210、一対の側板211、位置決め片212、係止片213、一対のカバー取付片214、一対の突起部215、及び一対の引掛部216は、アルミ合金などの金属材料が押出成形されることで一体に形成される。
【0054】
また、支持部材21の底板210において、各基板200の接続部材24と上下方向に対向する位置に貫通穴が設けられている。接続部材24は、底板210の貫通穴を通して底板210の上方に突出する。なお、支持部材21は、貫通穴の上方を覆って接続部材24を保護する保護カバー25を有する(図4B及び図8参照)。保護カバー25は、接続部材24に接続される電線(出力線)に不要な外力が加わって接続部材24及び電線に不具合が生じることを防いでいる。
【0055】
さらに、支持部材21は、一対の係止部品26を有する(図8参照)。係止部品26は、後述する仮づり用のひもを係止するための部品である。係止部品26は、主片260と、一対の側片261A、261Bと、引掛片262と、固定片263と、を有する(図4B及び図12参照)。主片260は、L字形の平板状に形成される。主片260は、だるま穴状の一対の引掛穴265を有する。一方の側片261Aは、長方形の平板状に形成されて主片260の長手方向(左右方向)の一端(左端)から下向きに突出する。他方の側片261Bは、側片261Aよりも短い長方形の平板状に形成されて主片260の長手方向の他端(右端)における短手方向の一端から下向きに突出する(図12参照)。固定片263は、主片260の長手方向から見てL字状に形成され、主片260の短手方向の一端から下向きに突出する。固定片263には円形の穴が貫通している。引掛片262は、主片260の長手方向から見てV字状に形成され、主片260の短手方向の他端から下向きに突出する(図12参照)。
【0056】
係止部品26は、引掛片262を片側の側板211の突起部215に引っ掛け、固定片263の穴に挿通した固定ねじ266を底板210のねじ穴にねじ込むことで支持部材21に取り付けられる(図4B及び図12参照)。なお、係止部品26は、開口部218の短手方向(前後方向)における開口部218の両側で支持部材21と接触する(図4B及び図12参照)。これにより、照明器具A1は、支持部材21に対する係止部品26のがたつきを抑制できる。
【0057】
ここで、底板210は、底板210の厚み方向(上下方向)に貫通する開口部218を有する(図3及び図4B参照)。開口部218は、底板210の厚み方向から見て、長尺の長円形状に形成されている(図4B参照)。なお、開口部218の長手方向は、底板210の長手方向(左右方向)に一致している。しかして、照明器具A1は、開口部218を、底板210(支持部材21)の長手方向に沿った長円形状(長穴状)に形成することにより、開口部218の長さを容易に調整できる。
【0058】
(2-3-4)カバー
カバー22は、前壁220と、一対の側壁221と、一対の取付部222とを有する(図2及び図3参照)。前壁220は、長尺の長方形状に形成されている。一対の側壁221はそれぞれ、長尺の長方形状に形成され、前壁220の長手方向に沿った両端(前端及び後端)から上向きに突出している。一対の取付部222はそれぞれ、長尺のU字状に形成され、各側壁221の上端から、側壁221の長手方向の全長に渡って内向きに突出している。ここで、前壁220、一対の側壁221及び一対の取付部222は、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂などの透光性を有する合成樹脂の押出成形によって一体に形成されることが好ましい。なお、カバー22は、光源モジュール20から放射される光を拡散させるため、合成樹脂材料に充填材(フィラー)が混合されて乳白色に形成されることが好ましい。
【0059】
カバー22は、支持部材21の一対のカバー取付片214のそれぞれに、一対の取付部222を一つずつ引っ掛けることにより、支持部材21に取り付けられる(図3参照)。支持部材21に取り付けられたカバー22は、底板210の下面に取り付けられた光源モジュール20を覆っている。
【0060】
(2-3-5)エンド部材
エンド部材23は、カバー22の長手方向の端を塞ぐカバーエンド部230と、支持部材21の長手方向の端を塞ぐエンドキャップ部231と、エンド部材23を支持部材21に取り付けるための取付具232と、を有している(図2参照)。
【0061】
エンド部材23は、取付具232が支持部材21にねじ止めされることで支持部材21に取り付けられる。二つのエンド部材23がそれぞれ支持部材21に取り付けられることにより、カバー22の長手方向両端の開口と支持部材21の長手方向両端の開口が閉じられる(図1参照)。
【0062】
(2-3-6)通信ユニット
通信ユニット3は、無線回路30と、アンテナ31と、無線回路30及びアンテナ31が形成された回路基板32と、回路基板32を収容するケース33と、を有する(図3及び図7図11参照)。
【0063】
回路基板32は、4角形の絶縁基板に配線用の導体が印刷されたプリント配線板からなる(図10参照)。つまり、無線回路30は、マイクロコントローラを内蔵した無線通信モジュールIC300を含むプリント回路で構成されている(図7及び図10参照)。なお、回路基板32の形状は4角形に限定されず、4角形以外の多角形、円形、などの種々の形状を含む。
【0064】
アンテナ31は、電磁波(例えば、920MHz帯又は2.4GHz帯の電波)を空間に発射し、かつ、空間より電磁波を受け取るように構成される。アンテナ31は、例えば、回路基板32に印刷された導体で形成された、いわゆるパターンアンテナである(図10参照)。アンテナ31は、回路基板32の表面の一端部(下部)においてL字状に形成されている。しかして、照明器具A1は、アンテナ31と無線回路30を同じ回路基板32に形成することにより、通信ユニット3の小型化を図ることができる。ただし、アンテナ31はパターンアンテナに限定されず、パッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)、チップアンテナ、ロッドアンテナ、フィルムアンテナなどでも構わない。
【0065】
無線回路30は、アンテナ31で受け取る電波から無線信号を取り出し、当該無線信号から制御情報(制御指令)を取得する。さらに、無線回路30は、当該制御情報を調光信号に変換し、変換した調光信号を電源装置40の制御回路403に伝送する。なお、無線回路30は、無線信号の受信だけでなく、無線信号の送信も可能である。例えば、無線回路30は、BLE(Bluetooth(登録商標)low energy)の通信規格に準拠した無線通信を行う。無線回路30は、他の照明器具A1に搭載された通信ユニット3から送信される無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる制御情報等を含む無線信号を、更に別の照明器具A1に搭載された通信ユニット3に送信(中継)することもできる。
【0066】
回路基板32にはコネクタ34が実装されている(図10参照)。コネクタ34は、電源装置40から無線回路30に給電するための一対の給電線341及び調光信号を伝送するための一対の信号線342に接続される(図11参照)。
【0067】
電源装置40は、通信ユニット3から信号線342を介して受け取る調光信号に応じて、制御回路403から光源モジュール20に供給される直流電流の目標値を変更することによって、光源モジュール20を点滅(点灯と消灯の切替え)、調光及び調色する。
【0068】
ケース33は、ケースボディ33Aとケースカバー33Bを有する(図9A図11参照)。以下の説明においては、特に断りのない限り、図9Aに矢印で示す上下、左右、前後の各方向をケース33(通信ユニット3)の上下、左右、前後の各方向と規定する。
【0069】
ケースボディ33Aは、一面(下面)が開放された箱状の合成樹脂成形体で構成される(図10及び図11参照)。ケースボディ33Aの左側面の上端から取付部330が突出している。取付部330は、上面が開口した長方形の箱状に形成されている(図9B参照)。取付部330の底面(下面)における長手方向(前後方向)の両端に丸穴331が一つずつ設けられている。
【0070】
また、ケースボディ33Aの前面及び後面に、下端が開放された凹所332がそれぞれ一つずつ設けられている(図9B参照)。各凹所332の底面上部に突起333が設けられている。突起333は、下から上に向かって凹所332の底面から離れる向きに傾斜した3角柱状に形成されている。
【0071】
さらに、ケースボディ33Aの左右両側の内側面に、回路基板32の左右の両端部を挟み込んで支持する支持部334が設けられている(図11参照)。支持部334は、上下方向を長手方向とする溝を有し、回路基板32の端部が溝に挿通されることで回路基板32を起立した状態で支持する(図11参照)。
【0072】
ケースボディ33Aは、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料からなる合成樹脂成形体として構成される。ただし、ケースボディ33Aは、金属を含む、合成樹脂以外の材料で形成されてもよいし、金属と合成樹脂のハイブリッド材料で形成されても構わない。
【0073】
ケースカバー33Bは、平板状のカバー本体335と、一対の組立脚336と、を有する(図10参照)。ただし、カバー本体335と一対の組立脚336は、合成樹脂の成形体として一体に形成される。一対の組立脚336は、逆U字状に形成されてカバー本体335の前端及び後端からそれぞれ上向きに突出する(図10参照)。
【0074】
ケースカバー33Bは、回路基板32を収容したケースボディ33Aの下面に取り付けられる。すなわち、ケースカバー33Bの二つの組立脚336がケースボディ33Aの一対の凹所332にケースボディ33Aの下から挿入され、各組立脚336の上端が各突起333の傾斜面に乗り上げながら外側にたわむ。そして、各組立脚336の上部が各突起333を乗り越えると、各組立脚336が各突起333に引掛かることでケースカバー33Bがケースボディ33Aに固定される(図9A及び図9B参照)。
【0075】
ここで、ケース33の左側面に電線挿通穴337が設けられている(図9B及び図11参照)。電線挿通穴337は、回路基板32のコネクタ34と電気的に接続された給電線341及び信号線342が挿通される。
【0076】
(2-3-7)支持部材に対する電源ユニット及び通信ユニットの取付工程
次に、支持部材21に対する電源ユニット4及び通信ユニット3の取付工程を説明する。
【0077】
まず、電源ユニット4の電源ケース41の右端に通信ユニット3のケース33が取り付けられる。具体的には、ケース33の取付部330が電源ケース41の右端の上面に載置され、取付部330の二つの丸穴331に1本ずつ挿入されるねじが電源ケース41のねじ穴にねじ込まれる。つまり、ケース33は、取付部330が電源ケース41にねじ止めされることによって電源ケース41に取り付けられる。ただし、電源ユニット4に通信ユニット3が取り付けられる前に、回路基板32に実装されているコネクタ34によって通信ユニット3と電源ユニット4が電気的に接続されることが好ましい。
【0078】
続いて、支持部材21の底板210の上面中央において、電源ケース41が底板210にねじ止めされることによって、電源ユニット4が支持部材21に取り付けられる。このとき、電源ケース41の開放された面(下面)が底板210で閉塞される。
【0079】
以上の手順で電源ユニット4及び通信ユニット3が支持部材21に取り付けられる。ただし、通信ユニット3は、支持部材21に電源ユニット4が取り付けられた後に電源ユニット4に取り付けられても構わない。
【0080】
(2-3-8)照明器具の施工手順
次に、照明器具A1を天井(設置面S1)に取り付ける施工作業の手順を説明する。
【0081】
施工作業を行う作業者は、天井(設置面S1)から室内に引き出された第1の電源ケーブルC1及び第2の電源ケーブルC2を器具本体1の二つの電源穴111に一つずつ挿通する。そして、作業者は、天井(設置面S1)から突出する2本のつりボルトB1を器具本体1の二つの取付穴112に1本ずつ挿通し、各つりボルトB1にナットN1を締め付けて器具本体1を天井(設置面S1)に取り付ける(図2参照)。それから、作業者は、第1の電源ケーブルC1を第1の端子台14Aの1次側端子に接続し、かつ、第2の電源ケーブルC2を第2の端子台14Bの1次側端子に接続する。
【0082】
続いて、作業者は、一対の係止部品26の引掛穴265にそれぞれ一端を引っ掛けた2本のひもの先端を、器具本体1の二つの引掛穴113に1本ずつ引っ掛けることにより、光源ユニット2を2本のひもで器具本体1に仮づりする。この状態で、作業者は、電源ユニット4のレセプタクルコネクタ44を器具本体1のプラグコネクタ150と接続する。
【0083】
そして、作業者は、仮づり状態の光源ユニット2を両手で支えながら器具本体1に近付け、器具本体1の取付ばね12を支持部材21の一対の側板211の間に挿入する。すると、一対の側板211の間に挿入された取付ばね12の先端部分が各側板211の内側面の引掛部216に引っ掛かる(図3参照)。その結果、光源ユニット2は、二つの取付ばね12によって器具本体1に取り付けられる。なお、作業者が光源ユニット2を下向きに引っ張れば、取付ばね12の先端部分が引掛部216から外れるので、光源ユニット2を器具本体1から取り外すことができる。
【0084】
以上の手順で照明器具A1の施工作業が完了する。
【0085】
(2-4)実施形態に係る照明器具の特徴
照明器具A1において、支持部材21の開口部218は、スロットアンテナとして機能し得る。つまり、支持部材21の開口部218(実際は開口部218とその周縁部2180)は、通信ユニット3のアンテナ31と電磁的に結合し、アンテナ31から放射される電波を外部に放射するとともに、外部から到来する電波をアンテナ31に向けて放射する。なお、開口部218をスロットアンテナとして機能させるため、開口部218の長手方向の寸法(長さ寸法L1)は、通信ユニット3が通信媒体として使用する電波の波長の4分の1以上であって、3分の2以下であることが望ましく、その中でも2分の1程度が最も望ましい。例えば、通信ユニット3が2.4GHz帯の電波を通信媒体に使用する場合、その波長は約120mmであるので、開口部218の長さ寸法L1は、120mm÷4=30mm以上かつ60mm以下が望ましい。また、開口部218の短手方向の寸法(幅寸法D1)は、数mm程度、例えば、1mm~5mm程度が好ましい。
【0086】
ここで、照明器具A1は、基板200の表面200Aと対向する方向から見て、基板200の導体領域200Bと重ならない位置、具体的には、基板200の非導体領域200Cと重なる位置に開口部218を設けている(図4A参照)。そのため、照明器具A1は、開口部218をスロットアンテナとして機能させることができ、かつ、基板200の導体領域200Bによる電波の減衰の低減を図ることができる。その結果、照明器具A1は、従来例と比較して、無線通信性能の低下を抑制できる。
【0087】
さらに、照明器具A1は、基板200の表面200Aと対向する方向から見て、基板200の導体領域200Bと重なる位置に通信ユニット3のアンテナ31(回路基板32)を配置している(図4B参照)。つまり、照明器具A1は、基板200の表面200Aと対向する方向から見て基板200の外にアンテナ31を配置する場合に比べて、支持部材21の側板211と基板200との距離を近付けつつ電波の減衰の低減を図ることができる。
【0088】
ところで、照明器具A1において、底板210の上面210Bと対向する方向から見て開口部218の少なくとも一部と重なるように係止部品26が配置されている(図4B参照)。係止部品26は、導体(金属)で形成されているため、底板210の上面210Bにおける開口部218の周縁部2180と係止部品26が接触(導通)すると、開口部218がスロットアンテナとして機能するための長さ寸法L1が見掛け上短くなる。その結果、開口部218がスロットアンテナとして機能しなくなるか、あるいは機能しても無線通信性能が低下する可能性がある。
【0089】
そこで、照明器具A1は、底板210の上面210Bにおける開口部218の周縁部2180と接触しないように係止部品26を配置している(図4B及び図12参照)。つまり、照明器具A1は、係止部品26の側片261Bを主片260の短手方向の長さよりも短縮することにより、係止部品26(側片261B)を周縁部2180と接触させないようにしている。なお、開口部218の周縁部2180とは、開口部218の短手方向の両側にあって短絡した場合に開口部218のスロットアンテナとしての機能を著しく阻害する可能性のある部分である。例えば、本実施形態における周縁部2180は、開口部218の長手方向に沿った縁から、開口部218の幅寸法D1の2分の1以内の領域である(図4A参照)。ただし、周縁部2180は、開口部218の幅寸法D1の2分の1以内の領域に限定されず、通信ユニット3で使用する電波の周波数、支持部材21(底板210)の材質・厚み、通信ユニット3に必要とされる受信感度等の条件に応じて決まる。
【0090】
しかして、照明器具A1は、底板210の上面210Bにおける開口部218の周縁部2180と接触しないように係止部品26を配置することにより、開口部218の見掛け上の長さが短くなることを防ぎ、無線通信性能の更なる向上を図ることができる。ただし、開口部218の見掛け上の長さを短くし得る部品は、係止部品26に限られない。例えば、電源ユニット4の電源ケース41も開口部218の見掛け上の長さを短くし得る部品になる場合がある。また、電源ケース41以外にも、器具本体1に光源ユニット2を取り付けるための取付金具、器具本体1に対して光源ユニット2を取り付けるための取付金具、器具本体1に対して光源ユニット2の取付位置を規制する部品などが部品に該当する。なお、部品は、底板210の上面210Bと対向する方向(上下方向)から見て開口部218と重ならないことが望ましいが、開口部218の一部と重なっても構わない(図4B参照)。つまり、照明器具A1は、部品を開口部218全体と重ねる場合に比べて、部品を開口部218の一部とだけ重ねることで無線通信性能の低下を抑制できる。
【0091】
また、照明器具A1は、回路基板32の表面320に形成される導体でアンテナ31を形成し、底板210の上面210Bに対して表面320を傾けるように回路基板32を配置している(図3参照)。具体的には、照明器具A1は、回路基板32の表面320の法線方向と底板210の上面210Bの法線方向が略直交するように、回路基板32を傾けている(図3参照)。ただし、回路基板32を傾ける角度は直角に限定されない。
【0092】
しかして、照明器具A1は、表面320にアンテナ31を形成した回路基板32を、底板210の上面210Bに対して傾けることにより、底板210の短手方向において回路基板32(通信ユニット3)が専有するスペースを減らすことができる。また、回路基板32の表面320にアンテナ31が形成された場合、アンテナ31から送信される電波の強度及びアンテナ31で受信される電波の感度は、回路基板32の厚み方向が相対的に高くなる。したがって、照明器具A1は、基板200の表面200Aと対向する方向から見て、基板200の導体領域200Bと重なる位置にアンテナ31(通信ユニット3)を配置することにより、アンテナ31と開口部218を電磁的に結合しやすくできる。その結果、照明器具A1は、通信ユニット3の無線通信性能の更なる向上を図ることができる。
【0093】
ところで、照明器具A1は、基板200の表面200Aと対向する方向(上下方向)から見て、基板200の短手方向において開口部218とアンテナ31(回路基板32)を重ねている(図4B参照)。ただし、開口部218とアンテナ31は、基板200の短手方向において、少なくとも一部が重なっていればよい。
【0094】
しかして、照明器具A1は、基板200の短手方向から見て開口部218の少なくとも一部をアンテナ31(回路基板32)と重ねることによって、開口部218のスロットアンテナとしての機能を向上し、無線通信性能の更なる向上を図ることができる。
【0095】
(3)実施形態に係る照明器具の変形例
次に、実施形態に係る照明器具A1の変形例を説明する。ただし、以下に説明する変形例の照明器具A1の基本構成は、実施形態に係る照明器具A1の基本構成と共通である。したがって、実施形態に係る照明器具A1の基本構成と共通する構成及び実質的に共通する構成については、同一の符号を付して図示及び説明を適宜省略する。なお、以下の説明において「実質的に共通する構成」とは、形状・大きさなどは多少相違しているが機能は共通している構成を意味する。
【0096】
(3-1)変形例1
変形例1の照明器具A1は、光源モジュール20の基板200の非導体領域200Cに凹所202(切欠)を設けている(図13参照)。さらに、変形例1の照明器具A1は、基板200の表面200Aと対向する方向(上下方向)から見て、底板210の開口部218を凹所202と重ねている。
【0097】
変形例1の照明器具A1は、開口部218を塞ぐ絶縁物(基板200)をなくすことにより、無線通信性能の更なる向上を図ることができる。
【0098】
(3-2)変形例2
変形例2の照明器具A1は、底板210の上面210Bにおいて、開口部218を塞ぐシート部材27を備えている(図14参照)。シート部材27は、電気絶縁性を有する材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの合成樹脂材料によってシート状に形成されることが好ましい。
【0099】
しかして、変形例2の照明器具A1は、電気絶縁性を有する材料で形成されたシート部材27で開口部218を塞ぐことにより、無線通信性能の低下を抑制しつつ開口部218を通してカバー22の内部空間に異物(虫及び塵埃など)が侵入することを抑制できる。特に、変形例2の照明器具A1は、変形例1の照明器具A1との組合せにおいて有効である。
【0100】
(3-3)変形例3
変形例3の照明器具A1は、アンテナ31を形成した回路基板32の表面320を、底板210の上面210Bと対向させるように通信ユニット3を配置する(図15参照)。なお、図15においては、通信ユニット3のケース33の図示を省略している。また、変形例3の照明器具A1においても、基板200の表面200Aと対向する方向(上下方向)から見て、基板200の導体領域200Bと重なる位置にアンテナ31を配置している(図10及び図15参照)。
【0101】
しかして、変形例3の照明器具A1は、アンテナ31を形成した回路基板32の表面320を、底板210の上面210Bと対向させるように通信ユニット3を配置することにより、無線通信性能の更なる向上を図ることができる。
【0102】
(3-4)変形例4
変形例4の照明器具A1は、実施形態の照明器具A1に対して、その全長(長手方向の長さ)を約4分の3に短縮した点に特徴がある(図16参照)。
【0103】
具体的には、器具本体1、支持部材21、及びカバー22の全長をそれぞれ約4分の3に短縮している。また、光源モジュール20の二つの基板200のうち、片方(図16における右側)の基板200の長さを、もう片方(図16における左側)の基板200の長さの半分にしている。
【0104】
変形例4の照明器具A1は、全長を短縮したことにより、設置場所の自由度の拡大を図ることができる。
【0105】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明器具(A1)は、光源(光源モジュール20)と、無線通信部(通信ユニット3)と、支持部材(21)と、部品(係止部品26)と、を備える。無線通信部は、アンテナ(31)を有し、アンテナ(31)を介して電波の送信及び受信の少なくとも一方を行う。支持部材(21)は、第1面(底板210の下面210A)及び第1面と反対の第2面(底板210の上面210B)を有し、第1面の側で光源を支持するとともに第2面の側に無線通信部を配置している。部品は、導電性を有し、第2面の側に配置される。支持部材(21)は、導電性を有する材料で形成され、かつ、第1面から第2面に貫通する開口部(218)を有している。部品は、第2面と対向する方向から見て開口部(218)の少なくとも一部と重なり、かつ、支持部材(21)における開口部(218)の周縁部(2180)と接触しないように配置される。
【0106】
第1の態様に係る照明器具(A1)は、周縁部(2180)と接触しないように部品を配置することにより、開口部(218)の見掛け上の長さが短くなることを防ぐことができる。その結果、第1の態様に係る照明器具A1は、従来例と比較して、無線通信性能の低下を抑制できる。
【0107】
本開示の第2の態様に係る照明器具(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明器具(A1)において、支持部材(21)の第1面及び第2面は、長尺状に形成されることが好ましい。開口部(218)は、支持部材(21)の長手方向に沿った長穴状に形成されることが好ましい。部品は、開口部(218)の短手方向における開口部(218)の両側で支持部材(21)と接触することが好ましい。
【0108】
第2の態様に係る照明器具(A1)は、支持部材(21)に対する部品のがたつきを抑制できる。
【0109】
本開示の第3の態様に係る照明器具(A1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明器具(A1)において、部品は、第2面と対向する方向から見て開口部(218)の一部と重なることが好ましい。
【0110】
第3の態様に係る照明器具(A1)は、部品を開口部(218)全体と重ねる場合に比べて、部品を開口部(218)の一部とだけ重ねることで無線通信性能の低下を抑制できる。
【0111】
本開示の第4の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第3のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明器具(A1)は、電気絶縁性を有する材料でシート状に形成され、開口部(218)を塞ぐシート部材(27)を更に備えることが好ましい。
【0112】
第4の態様に係る照明器具(A1)は、無線通信性能の低下を抑制しつつ開口部(218)を通して異物(虫及び塵埃など)が侵入することを抑制できる。
【0113】
本開示の第5の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明器具(A1)において、光源は、基板(200)と、基板(200)の表面(200A)に設けられる一つ以上の発光素子(LED201)と、を有することが好ましい。
【0114】
第5の態様に係る照明器具(A1)は、光源の薄型化を図ることができる。
【0115】
本開示の第6の態様に係る照明器具(A1)は、第5の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明器具(A1)において、基板(200)は、発光素子に給電するための導体が形成された導体領域(200B)を表面(200A)に有することが好ましい。無線通信部は、表面(200A)と対向する方向から見て導体領域(200B)と重なる位置にアンテナ(31)を配置することが好ましい。支持部材(21)は、表面(200A)と対向する方向から見て導体領域(200B)と重ならない位置に、開口部(218)を有することが好ましい。
【0116】
第6の態様に係る照明器具(A1)は、基板(200)の導体領域(200B)による電波の減衰の低減を図ることができる。その結果、第6の態様に係る照明器具A1は、従来例と比較して、無線通信性能の更なる向上を図ることができる。
【0117】
本開示の第7の態様に係る照明器具(A1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明器具(A1)において、基板(200)は、導体が形成されていない非導体領域(200C)を表面(200A)に更に有することが好ましい。支持部材(21)は、表面(200A)と対向する方向から見て非導体領域(200C)と重なる位置に開口部(218)を有することが好ましい。
【0118】
第7の態様に係る照明器具(A1)は、基板(200)の表面(200A)と対向する方向から見て基板(200)の外にアンテナ(31)を配置する場合に比べて、支持部材(21)と基板(200)との距離を近付けつつ電波の減衰の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0119】
A1 照明器具
3 通信ユニット(無線通信部)
20 光源モジュール(光源)
21 支持部材
26 係止部品(部品)
27 シート部材
30 無線回路
31 アンテナ
32 回路基板
200 基板
200A 基板の表面
200B 導体領域
200C 非導体領域
201 LED(発光素子)
210A 底板の下面(第1面)
210B 底板の上面(第2面)
218 開口部
2180 周縁部
図1
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