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特開2024-132538リアクトルコア、リアクトル、リアクトルコアの製造方法
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  • 特開-リアクトルコア、リアクトル、リアクトルコアの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132538
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】リアクトルコア、リアクトル、リアクトルコアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/24 20060101AFI20240920BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20240920BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20240920BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01F27/24 K
H01F27/245 150
H01F41/02 B
H01F37/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043341
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 石南
(72)【発明者】
【氏名】小松 滉弥
【テーマコード(参考)】
5E062
【Fターム(参考)】
5E062AC02
(57)【要約】
【課題】生産性が低下することを抑制する。
【解決手段】リアクトルコアは、第一方向に延びて第二方向に離間して設けられ互いに近づく方向に突出する凸部を第一方向の中央部に有した二つの内側コア部と、第二方向に延びて内側コア部の端面間に渡ってそれぞれ配置された二つの外側コア部と、を備え、二つの外側コア部は、一定幅及び一定厚さを有し第二方向に延びる第一電磁鋼板を第一方向及び第二方向に交差する第三方向に積層してなり、二つの内側コア部は、それぞれ第一電磁鋼板と同一の一定幅及び一定厚さを有する第二電磁鋼板を第三方向に積層してなる積層体を第一方向に複数並べて備え、凸部は、第一方向を前記第二電磁鋼板の幅方向とした積層体からなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に延びて前記第一方向の両側に第一端面及び第二端面を有するとともに、前記第一方向と交差する第二方向に離間して設けられ、互いに近づく方向に突出する凸部を前記第一方向の中央部に有した二つの内側コア部と、
前記第二方向に延びて、前記第二方向で隣り合う前記第一端面の間、及び前記第二方向で隣り合う前記第二端面の間に渡ってそれぞれ配置された二つの外側コア部と、を備え、
二つの前記外側コア部は、一定幅及び一定厚さを有し前記第二方向に延びる第一電磁鋼板を前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向に積層してなり、
二つの前記内側コア部は、それぞれ、前記第一電磁鋼板と同一の一定幅及び一定厚さを有する第二電磁鋼板を前記第三方向に積層してなる積層体を、前記第一方向に複数並べて備え、
前記凸部は、前記第一方向を前記第二電磁鋼板の幅方向とした前記積層体からなる
リアクトルコア。
【請求項2】
前記内側コア部は、
前記外側コア部と前記第一方向で隣接する二つの第一内側コア部と、
前記第一方向で隣り合う二つの前記第一内側コア部に挟まれるように配置され前記凸部を有した第二内側コア部と、を備え、
前記第二内側コア部は、
前記凸部と、
前記第一内側コア部と前記第一方向で隣接すると共に、前記凸部を前記第一方向から挟み込むように配置された二つの前記積層体としての第一ブロックと、
前記凸部及び前記第一ブロックの前記第二方向外側に隣接し、前記第一方向で隣り合う二つの前記第一内側コア部の間に渡って設けられる第二ブロックと、を備える
請求項1に記載のリアクトルコア。
【請求項3】
前記第一ブロック及び前記第二ブロックは、前記第二方向を前記第二電磁鋼板の幅方向としている
請求項2に記載のリアクトルコア。
【請求項4】
前記第一内側コア部は、前記第一方向を前記第二電磁鋼板の幅方向としている
請求項3に記載のリアクトルコア。
【請求項5】
前記第一内側コア部は、前記第一方向に並んだ複数の前記積層体からなり、
前記第一内側コア部の前記第一方向で隣り合う前記積層体の間、前記第一方向で隣り合う前記第一内側コア部と前記第二内側コア部との間の、少なくとも一方に隙間を形成するギャップ材を備える。
請求項4に記載のリアクトルコア。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のリアクトルコアと、
前記リアクトルコアの前記内側コア部周りに筒状に巻回されたコイルと、
を備えるリアクトル。
【請求項7】
前記コイルは、
前記二つの前記内側コア部に分割巻きされた第一コイル部と、
前記二つの前記内側コア部のうち前記第一コイル部とは前記第一方向で離間した位置に分割巻きされた第二コイル部とを備え、
前記内側コア部は、
前記第一方向における前記第一コイル部と前記第二コイル部との間の位置に前記凸部を備える
請求項6に記載のリアクトル。
【請求項8】
請求項1から5の何れか一項に記載のリアクトルコアの製造方法であって、
同一幅、同一厚さの電磁鋼板が巻き回されたコアリボン材から、複数の板材を切り出す切出し工程と、
前記板材を積層して前記内側コア部と前記外側コア部とをそれぞれ形成する積層工程と、
前記内側コア部及び前記外側コア部を備えた環状のリアクトルコアを組み立てる組立工程と、
を含み、
前記切出し工程では、
前記内側コア部の前記凸部を構成する前記板材として、二つの前記凸部同士のギャップの大きさに応じた長さの前記板材を切り出す
リアクトルコアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトルコア、リアクトル、リアクトルコアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車に搭載されるリアクトルが記載されている。この特許文献1のリアクトルは、いわゆる磁気結合型リアクトルであって、環状コアの磁束飽和を抑制するために、互いの発生する磁束の方向が異なるように複数の連結コイルを環状コアに装着している。
【0003】
上記のような磁気結合型リアクトルでは、連結コイル間に漏れ磁束が広がる。この漏れ磁束は、コイルを透過して渦電流損失を発生させ、コイルを異常発熱させてしまう。そのため、特許文献1では、U字形コアの端部にそれぞれ挟まれるようにI字形コアを二つ設けている。これらI字形コアは、環状コアの内側に向かって互いに対向するように突出する二つの凸部を形成している。このような凸部を形成することで、上記漏れ磁束は、二つの凸部のギャップを通るようになり、コイルに透過する漏れ磁束を低減可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-066720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されているようなリアクトルコアでは、圧粉コア材を用いる場合があるが、金型を必要とするため、生産量が少ない場合にはコスト増加してしまう。その一方で、電磁鋼板を積層してリアクトルコアを作成する方法が知られている。このような電磁鋼板を用いてリアクトルコアを作成する場合、所定幅のコアリボン材から切り出して積層することになる。しかしながら、特許文献1では、それぞれ形状の異なるU字型のコアとI字形のコアとを作成する必要があるため、幅の異なる複数のコアリボン材を用意する必要があり、生産性が低下するという課題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、生産性が低下することを抑制することができるリアクトルコア、リアクトル、リアクトルコアの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るリアクトルコアは、第一方向に延びて前記第一方向の両側に第一端面及び第二端面を有するとともに、前記第一方向と交差する第二方向に離間して設けられ、互いに近づく方向に突出する凸部を前記第一方向の中央部に有した二つの内側コア部と、前記第二方向に延びて、前記第二方向で隣り合う前記第一端面の間、及び前記第二方向で隣り合う前記第二端面の間に渡ってそれぞれ配置された二つの外側コア部と、を備え、二つの前記外側コア部は、一定幅及び一定厚さを有し前記第二方向に延びる第一電磁鋼板を前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向に積層してなり、二つの前記内側コア部は、それぞれ、前記第一電磁鋼板と同一の一定幅及び一定厚さを有する第二電磁鋼板を前記第三方向に積層してなる積層体を、前記第一方向に複数並べて備え、前記凸部は、前記第一方向を前記第二電磁鋼板の幅方向とした前記積層体からなる。
【0008】
本発明の一態様に係るリアクトルは、上記リアクトルコアと、前記リアクトルコアの前記内側コア部周りに筒状に巻回されたコイルと、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係るリアクトルコアの製造方法は、リアクトルコアの製造方法であって、同一幅、同一厚さの電磁鋼板が巻き回されたコアリボン材から、複数の板材を切り出す切出し工程と、前記板材を積層して前記内側コア部と前記外側コア部とをそれぞれ形成する積層工程と、前記内側コア部及び前記外側コア部を備えた環状のリアクトルコアを組み立てる組立工程と、を含む。前記切出し工程では、前記内側コア部の前記凸部を構成する前記板材として、二つの前記凸部同士のギャップの大きさに応じた長さの前記板材を切り出す。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、生産性が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る昇圧回路の回路図である。
図2】本開示の一実施形態に係るリアクトルの斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係るリアクトルコアの平面図である。
図4】本開示の一実施形態に係るリアクトルコアの製造方法のフローチャートである。
図5】本開示の一実施形態に係るコアリボン材の斜視図である。
図6】本開示の一実施形態の変形例に係る第二内側コア部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図1図4を参照して詳細に説明する。
<昇圧回路>
図1に示すように、本実施形態のリアクトル10は、インターリーブ方式の昇圧回路100に用いられる磁気結合型リアクトルである。本実施形態の昇圧回路100は、例えば、ハイブリッド油圧ショベル等に搭載された電動機を駆動するインバーターに内蔵されて、キャパシタ等の端子電圧V1をインバーターで必要な電圧V2まで昇圧する。
【0013】
昇圧回路100は、入力端子Ti1,Ti2間に設けられた平滑コンデンサ11Aと、出力端子To1,To2間に設けられた平滑コンデンサ11Bと、多相化(本実施形態では二相化)された昇圧チョッパ回路14と、を備えている。これら二相の昇圧チョッパ回路14は、ハイサイドアーム15とローサイドアーム16とをそれぞれ構成するスイッチング素子12及び還流ダイオード13と、これらハイサイドアーム15のスイッチング素子12とローサイドアーム16のスイッチング素子12との間に接続されたリアクトル10とにより構成されている。これら二相の昇圧チョッパ回路14は、互いの位相をずらして駆動される。
【0014】
<リアクトル>
図2は、本開示の一実施形態に係るリアクトルの斜視図である。図3は、本開示の一実施形態に係るリアクトルコアの平面図である。
図2に示すように、リアクトル10は、二相の昇圧チョッパ回路14で用いる第一コイル部21及び第二コイル部22と、閉磁路を形成する一つのリアクトルコア23とを備えている。リアクトルコア23は、これら第一コイル部21と第二コイル部22とを磁気結合させている。これら第一コイル部21と第二コイル部22とは、互いの磁束を打ち消すように(図3中、磁束の向きの例を矢印で示す)リアクトルコア23に対して巻き回されている。
【0015】
<リアクトルコア>
図2図3に示すように、リアクトルコア23は、二つの内側コア部24と、二つの外側コア部25とを備えている。リアクトルコア23は、複数の電磁鋼板を積層した複数の積層体26により形成されている。以下の説明においては、第一方向を「Dx」、第一方向Dxと交差する第二方向を「Dy」とする。第一方向Dx及び第二方向Dyに交差する第三方向を「Dz」とする。
【0016】
リアクトルコア23は、上記した二つの内側コア部24と二つの外側コア部25とによって環状を成している。二つの内側コア部24は、それぞれ第一方向Dxに延びている。これら二つの内側コア部24は、第一方向Dxの両側に、第一端面24taと第二端面24tbとを備えている。これら二つの内側コア部24は、第一方向Dxと交差する第二方向Dyに離間して配置されている。二つの外側コア部25は、第二方向Dyに延びている。これら二つの外側コア部25は、第一方向Dxに離間して配置されている。二つの外側コア部25のうち一方の外側コア部25は、第二方向Dyで隣り合う内側コア部24の第一端面24taの間に渡って配置され、二つの外側コア部25のうち他方の外側コア部25は、第二方向Dyで隣り合う内側コア部24の第二端面24tbの間に渡って配置されている。本実施形態におけるリアクトルコア23では、内側コア部24の第三方向Dzの寸法と外側コア部25の第三方向Dzの寸法とが、同一となっている(図2参照)。
【0017】
<外側コア部>
外側コア部25は、第三方向Dzに複数積層された第一電磁鋼板27により形成されている。第一電磁鋼板27は、一定の幅Lw(例えば、20mm~50mm程度)及び一定の厚さLt(例えば、0.05mm~0.5mm程度)を有した電磁鋼板であり、第二方向Dyに延びている。言い換えれば、第一電磁鋼板27は、第一方向Dxを幅方向、第二方向Dyを長さ方向、第三方向Dzを厚さ方向とした平面視長方形の帯状をなしている。本実施形態では、第二方向Dyの長さが同一の二つの外側コア部25を例示しているが、二つの外側コア部25の長さは同一に限られない。
【0018】
<内側コア部>
図3に示すように、内側コア部24は、複数の積層体26と、複数のギャップ材28とを有している。本実施形態の内側コア部24は、内側コア部24一つ当たり四つのギャップ材28を有している場合を例示している。内側コア部24を構成する積層体26は、第三方向Dzに積層された第二電磁鋼板29(図2参照)からなる。第二電磁鋼板29は、上述した第一電磁鋼板27と同一の幅Lw及び厚さLtを有した電磁鋼板である。言い換えれば、第二電磁鋼板29は、長さだけが第一電磁鋼板27と異なり、第一電磁鋼板27と同じ、一定の幅Lw及び一定の厚さLtを有している。
【0019】
内側コア部24は、二つの第一内側コア部31と、第二内側コア部32と、をそれぞれ備えている。本実施形態の内側コア部24は、二つの第一内側コア部31と、一つの第二内側コア部32と、を備えている。
【0020】
第一内側コア部31は、外側コア部25と第一方向Dxで隣接している。第一内側コア部31は、第一方向Dxを第二電磁鋼板29の幅方向としている。本実施形態では、一つの第一内側コア部31が、二つの積層体26により構成されている場合を例示している。これら二つの積層体26は、第二方向Dyに延びる同一の直方体形状をなしている。つまり、これら二つの積層体26は、第一方向Dxに並んで互いに平行に配置されている。これら二つの積層体26の第二電磁鋼板29の幅方向は、第一方向Dxと一致し、これら二つの積層体26の第二電磁鋼板29の長さ方向は、第二方向Dyと一致している。
【0021】
第二内側コア部32は、凸部33と、第一ブロック34と、第二ブロック35と、を備えている。本実施形態の第二内側コア部32は、一つの凸部33と、二つの第一ブロック34と、一つの第二ブロック35とを備えている。なお、図3中、第一電磁鋼板27の幅方向と、第二電磁鋼板29の幅方向とを、それぞれ両端に矢印のついた両矢印線で示している。
【0022】
凸部33は、第一方向Dxにおける内側コア部24の中央部(図3中、一点鎖線で示す)に配置されている。凸部33は、第二方向Dyに離間して配置された二つの内側コア部24から、互いに近づく方向、言い換えれば、二つの内側コア部24間の空間に突出するように設けられている。凸部33は、第一方向Dxを第二電磁鋼板29の幅方向とした積層体26により構成されている。本実施形態では、一つの凸部33が一つの積層体26により形成されている。また、本実施形態における二つの凸部33の互いに対向する面は、平行な平面とされている。
【0023】
第一ブロック34は、第一内側コア部31と第一方向Dxで隣接する。本実施形態では、一つの第一ブロック34が一つの積層体26によって形成されている。第一ブロック34は、凸部33を第一方向Dxから挟み込むように配置されている。本実施形態の二つの第一ブロック34は、第一方向Dxで隣り合う第一内側コア部31の上記中央部に近い側の面から上記中央部に向かって延びている。より具体的には、二つの第一ブロック34は、上記複数のギャップ材28のうち、第一方向Dxの中央部に最も近いギャップ材28から、第一方向Dxの中央部に向かって延びて、凸部33を第一方向Dxの両側から挟み込んでいる。本実施形態の第一ブロック34は、第二方向Dyを第二電磁鋼板29の幅方向とした積層体26により構成されている。
【0024】
第二ブロック35は、凸部33及び第一ブロック34の第二方向Dyの外側に隣接して配置される。言い換えれば、第二ブロック35には、第二方向Dyにおける凸部33の突出する方向とは反対を向く凸部33の面及び第一ブロック34の面がそれぞれ接している。第二ブロック35は、第一方向Dxで隣り合う二つの第一内側コア部31の間に渡って設けられている。つまり、第二ブロック35の第一方向Dxの長さは、第一方向Dxにおける第一ブロック34二つ分の長さと、凸部33一つ分の長さとの和と等しい。第二ブロック35は、第二方向Dyを第二電磁鋼板29の幅方向とした積層体26により構成されている。
【0025】
ギャップ材28は、第一内側コア部31を形成する複数の積層体26同士の間と、第一方向Dxで隣り合う第一内側コア部31と第二内側コア部32との間との、少なくとも一方に隙間を形成する合成樹脂等からなる部材である。本実施形態のギャップ材は、第一内側コア部31を形成する複数の積層体26同士の間と、第一方向Dxで隣り合う第一内側コア部31と第二内側コア部32との間との両方に挟まれて、複数の積層体26同士の間と、第一内側コア部31と第二内側コア部32との間とにそれぞれ隙間を形成している。なお、ギャップ材28を設ける場所、形状、個数、隙間の大きさは、上記に限られるものではなく、適宜設定すればよい。
【0026】
<コイル>
図2図3に示すように、第一コイル部21と第二コイル部22とは、銅線等の線材をソレノイド状に巻回して形成されている。第一コイル部21と第二コイル部22とは、リアクトルコア23に分割巻きされている。
【0027】
本実施形態の第一コイル部21は、直列接続された二つの第一分割コイル部21A,21Bを有している。本実施形態の第一分割コイル部21A,21Bは、それぞれ第一方向Dxで第一内側コア部31と第二内側コア部32とに渡るように巻き回されている。同様に、本実施形態の第二コイル部22は、直列接続された二つの第二分割コイル部22A,22Bを有している。本実施形態の第二分割コイル部22A,22Bは、それぞれ第一方向Dxで第一内側コア部31と第二内側コア部32とに渡るように巻き回されている。
【0028】
第一コイル部21の二つの第一分割コイル部21A,21Bの巻き線の巻き方向は、二つの第一分割コイル部21A,21Bにより発生するリアクトルコア23の閉磁路における磁束の向きが同一となる方向とされている。同様に、第二コイル部22の二つの第二分割コイル部22A,22Bの巻き線の巻き方向は、これら二つの第二分割コイル部22A,22Bにより発生するリアクトルコア23の閉磁路における磁束の向きが同一となる方向とされている。一方で、第一分割コイル部21A,21Bにより発生する磁束と、第二分割コイル部22A,22Bにより発生する磁束とが互いに打ち消し合うように、第一分割コイル部21A,21Bの巻き線の巻き方向と、第二分割コイル部22A,22Bの巻き線の巻き方向とは、反対向きになっている。
【0029】
ここで、本実施形態では、第一コイル部21の巻き数と、第二コイル部22の巻き数とは、同一とされている。さらに、二つの第一分割コイル部21A,21Bの巻き数は、互いに同一とされており、二つの第二分割コイル部22A,22Bの巻き数は、互いに同一とされている。
【0030】
第一コイル部21と第二コイル部22とは、第一方向Dxに離間して配置されている。つまり、第一方向Dxで隣り合う第一分割コイル部21Aと第二分割コイル部22Aとは、第一方向Dxに離間しており、第一方向Dxで隣り合う第一分割コイル部21Bと第二分割コイル部22Bとは、第一方向Dxに離間している。本実施形態では、第一分割コイル部21Aと第二分割コイル部22Aとの間の距離は、第一分割コイル部21Bと第二分割コイル部22Bとの間の距離と同一に設定されている場合を例示している。
【0031】
本実施形態では、第一方向Dxにおける第一分割コイル部21Aと第二分割コイル部22Aとの距離は、第一方向Dxにおける凸部33の寸法よりも僅かに大きい。同様に、第一方向Dxにおける第一分割コイル部21Bと第二分割コイル部22Bとの距離は、第一方向Dxにおける凸部33の寸法よりも僅かに大きい。そして、第一コイル部21と第二コイル部22とは、何れも凸部33と接触していない。本実施形態では、第一方向Dxにおける第一コイル部21と凸部33との間の距離L1、及び、第二コイル部22と凸部33との間の距離L2は、何れも第一方向Dxにおける凸部33の幅Lwよりも小さい。なお、距離L1,L2は、幅Lwの半分よりも小さくしてもよい。さらに、距離L1,L2は、第一コイル部21及び第二コイル部22の巻き線の太さと同等にしてもよい。
【0032】
<リアクトルコアの製造方法>
次に、上述したリアクトルコアの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図4は、本開示の一実施形態に係るリアクトルコアの製造方法のフローチャートである。図5は、本開示の一実施形態に係るコアリボン材を示す斜視図である。
本実施形態におけるリアクトルコアの製造方法は、切出し工程S10と、積層工程S20と、組立工程S30と、を含んでいる。
【0033】
切出し工程S10では、図5に示すような一定の幅Lw、一定の厚さLtの電磁鋼板が巻き回されたコアリボン材200から、複数の板材を切り出す。コアリボン材200は、同一のコアリボン材200から切り出してもよいし、同一の幅Lw及び同一の厚さLtの電磁鋼板が巻き回された異なるコアリボン材200から切り出してもよい。
【0034】
切出し工程S10では、外側コア部25の長さ寸法を有した複数の板材を切り出すとともに、内側コア部24の各積層体26で必要な長さ寸法を有した複数の板材を切り出す。ここで、切出し工程S10により切り出す板材の枚数は、板材の厚さが決定している場合、例えば、内側コア部24及び外側コア部25の第三方向Dzの寸法により決まる。
【0035】
切出し工程S10では、内側コア部24の凸部33を構成する板材として、二つの凸部33同士のギャップの大きさに応じた長さの板材を切り出している。ここで、磁気結合型リアクトルの結合度は、凸部33同士のギャップが小さいほど漏れ磁束が増加するため低下する。そして、結合度の低下により、磁気結合による直流磁束相殺効果が薄れて、磁気飽和し易くなってしまう。その一方で、凸部33同士のギャップが大きいほど、コイルに鎖交する漏れ磁束が増加してコイルの発熱につながる。そのため、凸部33同士のギャップは、狭すぎたり広すぎたりしないよう、磁気結合型リアクトルを適用する回路に応じて適切なギャップに設定される。
【0036】
切出し工程S10では、内側コア部24の各積層体26を構成する板材として、第一ブロック34用の板材と第二ブロック35用の板材とを切り出している。具体的には、まず、第一方向Dxにおけるコイルと凸部33との距離が適切な距離となるように、第一ブロック34の第一方向Dxの長さと、第二ブロック35の第一方向Dxの長さとをそれぞれ設定する。そして、それぞれ第一ブロック34用の板材と第二ブロック35用の板材とを切り出す。
【0037】
積層工程S20では、切出し工程S10で切り出した板材を積層して、内側コア部24と外側コア部25とをそれぞれ形成する。具体的には、外側コア部25用の板材を積層して外側コア部25を形成する。さらに、内側コア部24の凸部33用の板材を積層して凸部33を形成し、第一ブロック34用の板材を積層して第一ブロック34を形成し、第二ブロック35用の板材を積層して第二ブロック35を形成する。例えば、外側コア部25及び内側コア部24の第三方向Dzの寸法を30mmから50mmとし、板材を0.1mm厚とした場合、この積層工程S20では、300枚から500枚程度の板材を積層する。積層される板材は、互いに接着により固定するようにしてもよいが、例えば、板材を位置決め可能な樹脂ボビン等を使用する場合などには、板材同士の接着を省略することもできる。なお、板材を積層する高さや、板材を積層する枚数は、上記高さや枚数に限られない。
【0038】
組立工程S30では、内側コア部24及び外側コア部25を備えた環状のリアクトルコア23を組み立てる。具体的には、積層工程S20により板材を積層することで形成された各積層体26を、図3に示すリアクトルコア23のように環状に配置して固定する。なお、この組立工程S30における固定方法としては、積層体26同士の接着や、樹脂ボビン等による位置決めを例示できる。
【0039】
<作用効果>
以上のように、本実施形態のリアクトルコア23では、第一方向Dxに延びて第一方向Dxの両側に第一端面24ta及び第二端面24tbを有するとともに、第二方向Dyに離間して設けられ、互いに近づく方向に突出する凸部33を第一方向Dxの中央部に有した二つの内側コア部24と、第二方向Dyに延びて、二つの第一端面24taの間、及び二つの第二端面24tbの間に渡ってそれぞれ配置された二つの外側コア部25と、を備えている。そして、これら二つの外側コア部25は、一定の幅Lw及び一定の厚さLtを有し第二方向Dyに延びる第一電磁鋼板27を第三方向Dzに積層して構成されている。さらに、二つの内側コア部24は、それぞれ、第一電磁鋼板27と同一の一定の幅Lw及び一定の厚さLtを有する第二電磁鋼板29を第三方向Dzに積層してなる積層体26を、第一方向Dxに複数並べて備えている。また、凸部33は、第一方向Dxを第二電磁鋼板29の幅方向とした積層体26により構成されている。そのため、内側コア部24と外側コア部25とを全て同一の一定幅Lw及び同一の一定厚さLtを有したコアリボン材200を用いて作成することが可能となる。さらに、このようなコアリボン材200の長さ方向と、凸部33の突出する方向とを一致させることができるため、凸部33同士のギャップの大きさを容易に変更することが可能となる。したがって、リアクトルコア23の生産性低下を抑制することが可能となる。
【0040】
本実施形態では、更に、内側コア部24が、外側コア部25と第一方向Dxで隣接する二つの第一内側コア部31と、第一方向Dxで隣り合う二つの第一内側コア部31に挟まれるように配置された第二内側コア部32と、を備えている。そして、第二内側コア部32が、凸部33と、凸部33を第一方向Dxから挟み込むように配置された二つの第一ブロック34と、凸部33及び第一ブロック34の第二方向Dy外側に隣接し、第一方向Dxで隣り合う二つの第一内側コア部31の間に渡って設けられる第二ブロック35と、を備えている。そのため、第一方向Dxの両側から第一ブロック34によって凸部33を位置決めできると共に、第二方向Dy外側から第二ブロック35によって凸部33を位置決めできる。したがって、凸部33を容易に位置決めすることが可能となる。
【0041】
本実施形態では、更に、第一ブロック34及び第二ブロック35が第二方向Dyを第二電磁鋼板29の幅方向としている。そのため、第一ブロック34及び第二ブロック35の第一方向Dxの長さを容易に変更することが可能となる。
【0042】
本実施形態では、更に、第一内側コア部31が、第一方向Dxを第二電磁鋼板29の幅方向としている。そのため、第一内側コア部31の第一方向Dxの寸法がコアリボン材200の幅寸法となるため、第一内側コア部31の第一方向Dxにおける寸法のバラつきを抑制できる。したがって、外側コア部25に対して容易に第一内側コア部31を位置決めすることができる。
【0043】
本実施形態では、更に、第一内側コア部31が、第一方向Dxに並んだ複数の積層体26からなり、第一方向Dxで隣り合う積層体26の間、第一方向Dxで隣り合う第一内側コア部31と第二内側コア部32との間にギャップ材28を備えている。このようにすることで、ギャップ材28を分散配置できるため、リアクトルコア23の磁気特性を低下させずにリアクトルコア23が磁気飽和することを防止できる。
【0044】
本実施形態のリアクトル10は、上記リアクトルコア23と、リアクトルコア23の内側コア部24周りに筒状に巻回された第一コイル部21及び第二コイル部22、を備えている。このように構成することで、リアクトルコア23の漏れ磁束が第一コイル部21及び第二コイル部22に鎖交することを抑制できる。したがって、第一コイル部21及び第二コイル部22の誘導加熱を低減して低損失化及び低温度化することができるため、より高い出力にも適用可能となる。
【0045】
本実施形態のリアクトルコア23の製造方法は、同一幅Lw、同一厚さLtの電磁鋼板が巻き回されたコアリボン材200から、複数の板材を切り出す切出し工程S10と、板材を積層して内側コア部24と外側コア部25とをそれぞれ形成する積層工程S20と、内側コア部24及び外側コア部25を備えた環状のリアクトルコア23を組み立てる組立工程S30とを含んでいる。さらに、切出し工程S10では、内側コア部24の凸部33を構成する板材として、二つの凸部33同士のギャップの大きさに応じた長さの板材を切り出している。したがって、幅の異なる複数のコアリボン材200を用意する必要が無くなるとともに、凸部33同士のギャップの大きさを容易に変更することが可能となる。
【0046】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0047】
上記実施形態では、本発明をハイブリッド油圧ショベルの昇圧回路100に適用した例について説明したが、他の昇圧回路に適用してもよい。
【0048】
上記実施形態では、第二内側コア部32が第一ブロック34と第二ブロック35とを備える場合について説明した。しかし、第二内側コア部32は、上記実施形態の構成に限られない。図6は、本開示の一実施形態の変形例に係る第二内側コア部の平面図である。例えば、第一方向Dxにおける凸部33の位置を微調整する必要が無い場合には、図6に示す変形例の第二内側コア部132のように、何れも第二電磁鋼板29の幅方向が第一方向Dxと一致する、凸部133と、複数のブロック135とを設け、これら複数のブロック135により凸部133を第一方向Dxから挟み込むようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、ギャップ材28を備える場合について説明したが、ギャップ材28は、必要に応じて設ければよい。
【符号の説明】
【0050】
10…リアクトル 11A,11B…平滑コンデンサ 12…スイッチング素子 13…還流ダイオード 14…昇圧チョッパ回路 15…ハイサイドアーム 16…ローサイドアーム 21…第一コイル部 21A,21B…第一分割コイル部 22…第二コイル部 22A,22B…第二分割コイル部 23…リアクトルコア 24…内側コア部 24ta,24tb…端面 25…外側コア部 26…積層体 27…第一電磁鋼板 28…ギャップ材 29…第二電磁鋼板 31…第一内側コア部 32,132…第二内側コア部 33,133…凸部 34…第一ブロック 35…第二ブロック 135…ブロック 100…昇圧回路 200…コアリボン材 Ti1,Ti2…入力端子 To1,To2…出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6