(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132539
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理装置および見積方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043342
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】西野 圭太
(72)【発明者】
【氏名】伊名波 孝公
(72)【発明者】
【氏名】金川 大祐
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】利便性の高いメンテナンスパックの提供を支援する技術を提供する。
【解決手段】管理装置16は、サービスステーションのSS端末14から入力された見積対象の車両12に関する属性情報を受け付ける。管理装置16は、上記車両12に関する属性情報に基づいて、将来時点で上記車両12に適用すべきメンテナンス項目を決定し、決定したメンテナンス項目を含むメンテナンスパックを設定する。管理装置16は、設定したメンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から入力された見積対象の車両に関する属性情報を受け付ける受付部と、
前記属性情報に基づいて、将来時点で前記車両に適用すべきメンテナンス項目を決定し、決定したメンテナンス項目を含むメンテナンスパックを設定するメンテナンスパック設定部と、
前記メンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成する見積生成部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記車両に関する属性情報は、前記車両の運転者に関する情報を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記メンテナンスパック設定部は、前記車両の今回の車検から次の車検の前までに完了するメンテナンス項目のみを前記メンテナンスパックに含める、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記見積生成部は、前記メンテナンスパックの費用を分割払いにする場合の単位期間ごとの支払金額を含む見積情報を生成する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
更新部をさらに備え、
前記メンテナンスパック設定部は、前記属性情報の値と前記メンテナンス項目とを関連付けた基準にしたがって、将来時点で前記車両に適用すべきメンテナンス項目を決定し、
前記更新部は、前記メンテナンスパックを利用した車両の整備状況に基づいて、前記基準を更新する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
外部装置から入力された見積対象の車両に関する属性情報を受け付けるステップと、
前記属性情報に基づいて、将来時点で前記車両に適用すべきメンテナンス項目を決定し、決定したメンテナンス項目を含むメンテナンスパックを設定するステップと、
前記メンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成するステップと、
をコンピュータが実行する見積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に情報処理装置および見積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、(1)車両の車載機器で取得された車両情報と、車両の走行履歴に関連する環境情報とを車両ごとに収集し蓄積し、(2)蓄積された車両情報と環境情報とに基づいて、車両ごとにメンテナンスの必要性についての予測診断を行い、(3)予測診断の結果に基づいて、メンテナンスの内容と時期とを含むメンテナンス予測情報を車両ごとに生成し、(4)複数の車両についてのメンテナンス予測情報に基づいて、整備事業者がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要を予測する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動車販売店や自動車用品店において、車両のメンテナンスパックが販売されている。一般的なメンテナンスパックは、車検の費用や、半年ごとの定期点検の費用等を一括で前払い購入する必要があり、都度支払いよりも安価にメンテナンスサービスを提供するものである。また、メンテナンスパックは、点検項目や交換部品等の内容が予め定められていた。本発明者は、車両ごとの状況に応じた内容のメンテナンスパックを提供することでメンテナンスパックの利便性を向上できると考えた。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、利便性の高いメンテナンスパックの提供を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の情報処理装置は、外部装置から入力された見積対象の車両に関する属性情報を受け付ける受付部と、属性情報に基づいて、将来時点で車両に適用すべきメンテナンス項目を決定し、決定したメンテナンス項目を含むメンテナンスパックを設定するメンテナンスパック設定部と、メンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成する見積生成部とを備える。
【0007】
本開示の別の態様は、見積方法である。この方法は、外部装置から入力された見積対象の車両に関する属性情報を受け付けるステップと、属性情報に基づいて、将来時点で車両に適用すべきメンテナンス項目を決定し、決定したメンテナンス項目を含むメンテナンスパックを設定するステップと、メンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成するステップとをコンピュータが実行する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、利便性の高いメンテナンスパックの提供を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例の情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の管理装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図3】
図1の管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)は、一般的なメンテナンスパックの費用支払いを模式的に示す図であり、
図7(b)は、実施例のメンテナンスパックの費用支払いを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがコンピュータプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、コンピュータプログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC、LSI等)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的な記録媒体に記録される。コンピュータプログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0012】
以下、本開示の技術を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0013】
まず、実施例の概要を説明する。従来、自動車販売店や自動車用品店で販売されるメンテナンスパックは、車検(自動車検査登録制度に基づく検査)や半年ごとの定期点検における点検作業や整備作業、交換される部品等にかかる費用を一括の前払いにて購入する必要があった。メンテナンスパックの費用は、点検の都度支払いよりも安価に設定されるが、次回の車検の費用まで含むものが一般的であり、ある程度の金額になっていた。また、従来のメンテナンスパックは、点検項目や交換部品等の内容が予め定められていた。
【0014】
実施例の情報処理システムは、利便性の高いメンテナンスパックの提供を支援する。実施例の情報処理システムの主な特徴を3つ挙げる。
(1)実施例の情報処理システムは、事前に把握された顧客の自動車の状況に応じたメンテナンス項目を含むメンテナンスパックを動的に設定する。
(2)実施例の情報処理システムは、今回の車検から次回車検前までに完了するメンテナンス項目のみを含むメンテナンスパックを設定する。
(3)実施例の情報処理システムは、メンテナンスパックの費用の分割払いを支援する。
【0015】
図1は、実施例の情報処理システム10の構成を示す。情報処理システム10は、SS端末14と管理装置16を備える。SS端末14は、サービスステーション(SS)に設置されたコンピュータ(情報処理装置)である。SS端末14は、例えば、PC、タブレット端末、スマートフォンであってもよい。管理装置16は、メンテナンスパックの見積情報を生成するコンピュータ(情報処理装置)である。SS端末14と管理装置16は、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網18を介して通信する。実際には、情報処理システム10は、複数のサービスステーションに設置された複数のSS端末14を備え、複数のSS端末14が管理装置16と通信する。
【0016】
実施例のサービスステーションは、複数の車両12(
図1では車両12a、車両12b、車両12c)に対する車検や定期点検、部品交換等のサービスを販売し、提供する店舗である。サービスステーションは、車両のエネルギー源(例えば燃料)を商品として販売する店舗を兼ねてよい。サービスステーションは、給油所、水素ステーション、充電スタンドの役割を兼ねてもよい。例えば、管理装置16は、石油製品の輸入、生成、販売を行う石油卸売業者の装置であってもよい。この場合に、サービスステーションは、石油卸売業者と特約販売契約を結んだ特約店であってもよい。
【0017】
図2は、
図1の管理装置16の機能ブロックを示すブロック図である。管理装置16は、制御部20、記憶部22、通信部24を備える。制御部20は、見積情報の生成に関する各種データ処理を実行する。記憶部22は、制御部20により参照または更新されるデータを記憶する。通信部24は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部20は、通信部24を介してSS端末14とデータを送受信する。
【0018】
記憶部22は、顧客情報記憶部30、車両情報記憶部32、見積基準記憶部34、メンテナンスパック情報記憶部36、見積情報記憶部38を含む。顧客情報記憶部30は、車検やメンテナンスパックを購入する顧客に関する顧客情報を記憶する。実施例での顧客は、車検やメンテナンスの対象となる車両12の運転者とする。実施例での顧客情報は、顧客ID、車両ID、顧客が所持する免許証の色、免許取得からの経過時間を含む。顧客情報はさらに、顧客の生年月日、性別、住所、連絡先等を含んでもよい。
【0019】
車両情報記憶部32は、車検やメンテナンスの対象となる車両12に関する車両情報を記憶する。実施例での車両情報は、車両ID、顧客ID、車両12の耐久性、月間走行距離、年式、車種を含む。車両12の耐久性は、車両の車種によって定められる所定の数値情報である。なお、耐久値は簡単のため、国産車(耐久性が相対的に高い)か、外車(耐久性が相対的に低い)かを示す情報としてもよい。車両情報は、製造メーカー名や型式等、他の情報をさらに含んでもよい。
【0020】
見積基準記憶部34は、定期点検時に車両12に必要となるメンテナンス項目を見積もるための基準となるデータ(以下「見積基準」とも呼ぶ。)を記憶する。見積基準は、見積対象の車両12に関する属性情報からメンテナンス項目を導出するためのアルゴリズムを実装したデータである。実施例の見積基準は、見積対象の車両12に関する属性情報の値と、メンテナンス項目とを関連付けたデータである。見積基準の形式に制限はない。例えば、見積基準は、表形式のデータであってもよく、計算式、関数またはプログラムとして実装されてもよい。見積対象の車両12に関する属性情報は、上述の顧客情報(言い換えれば車両12の運転者に関する情報)と車両情報とを含む。
【0021】
メンテナンスパック情報記憶部36は、後述のメンテナンスパック設定部42により生成されたメンテナンスパックの情報を記憶する。見積情報記憶部38は、後述の見積生成部44により生成された見積情報を記憶する。
【0022】
制御部20は、管理装置16のプロセッサ(CPU等)により実現される。制御部20は、対象情報受付部40、メンテナンスパック設定部42、見積生成部44、見積出力部46、整備情報取得部48、基準更新部50を含む。
【0023】
制御部20内の複数の機能ブロックの機能は、コンピュータプログラム(ここでは「見積支援プログラム」とも呼ぶ。)に実装されてもよい。見積支援プログラムは、記録媒体に格納され、記録媒体から管理装置16のストレージにインストールされてもよい。または、見積支援プログラムは、ネットワークを介してダウンロードされて管理装置16のストレージにインストールされてもよい。管理装置16のプロセッサは、見積支援プログラムをメインメモリに読み込み実行することにより、上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0024】
対象情報受付部40は、外部装置(実施例ではSS端末14)から入力された見積対象の車両12(以下「対象車両」とも呼ぶ。)に関する属性情報を受け付ける。対象車両に関する属性情報は、既述の顧客情報と車両情報とを含む。
【0025】
メンテナンスパック設定部42は、対象車両に関する属性情報と、見積基準記憶部34に記憶された見積基準とに基づいて、将来時点で対象車両に適用すべきメンテナンス項目を決定する。言い換えれば、メンテナンスパック設定部42は、将来の点検時に対象車両に施すべきメンテナンス項目を決定する。メンテナンスパック設定部42は、決定したメンテナンス項目を含むメンテナンスパックを設定する。実施例では、メンテナンスパック設定部42は、決定したメンテナンス項目を含むメンテナンスパックの情報を生成してメンテナンスパック情報記憶部36に格納する。
【0026】
見積生成部44は、メンテナンスパック設定部42により設定されたメンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成する。見積生成部44は、生成した見積情報を見積情報記憶部38に格納する。見積出力部46は、見積生成部44により生成された見積情報を外部装置(実施例ではSS端末14)に出力する。
【0027】
整備情報取得部48は、SS端末14から送信された、メンテナンスパックを利用した車両の整備状況に関する情報を取得する。基準更新部50は、整備情報取得部48により取得されたメンテナンスパックを利用した車両の整備状況に基づいて、見積基準記憶部34に記憶された見積基準を更新する。
【0028】
以上の構成による情報処理システム10の動作を説明する。
顧客は、サービスステーションに車両12を持ち込み、サービスステーションの従業員に車検およびメンテナンスパックの見積を依頼する。サービスステーションの従業員は、見積対象の車両12(対象車両)の状態や車検証情報等を確認して、対象車両に関する属性情報(顧客情報と車両情報を含む)をSS端末14に入力する。SS端末14は、対象車両に関する属性情報を管理装置16へ送信する。
【0029】
図3は、
図1の管理装置16の動作を示すフローチャートである。管理装置16は、
図3に示す処理を繰り返し実行する。
【0030】
管理装置16の対象情報受付部40は、SS端末14から送信された対象車両に関する属性情報を受け付ける。対象情報受付部40は、対象車両に関する属性情報に含まれる顧客情報を顧客情報記憶部30に格納し、その属性情報に含まれる車両情報を車両情報記憶部32に格納する。
【0031】
対象車両に関する属性情報が受け付けられると(S10のY)、管理装置16のメンテナンスパック設定部42は、見積基準記憶部34に記憶された予め定められた見積基準と、対象車両に関する属性情報とにしたがって、将来時点で対象車両に適用すべき1つ以上のメンテナンス項目を決定する。メンテナンスパック設定部42は、決定した1つ以上のメンテナンス項目を含むメンテナンスパック情報をメンテナンスパック情報記憶部36に格納する(S11)。
【0032】
図4は、見積基準の例を示す。例えば、車両情報の項目「月間走行距離」の値が「3000Km以上」である場合、メンテナンスパック設定部42は、メンテナンス項目「オイル交換」をメンテナンスパックに追加する。また、車両情報の項目「年式」の値が「10年以上前」である場合、メンテナンスパック設定部42は、メンテナンス項目「消耗品交換」をメンテナンスパックに追加する。また、顧客情報の項目「免許証の色」の値が「グリーンまたはブルー」である場合、メンテナンスパック設定部42は、メンテナンス項目「外装部品交換」をメンテナンスパックに追加する。
【0033】
図5も、見積基準の例を示す。
図5の見積基準は、複数種類の属性項目の組み合わせと、メンテナンス項目とを関連付けたデータである。例えば、車両情報の項目「年式」の値が「10年以上前」、かつ、車両情報の項目「耐久性」の値が所定の閾値以下の場合(すなわち耐久性が相対的に低い場合)、メンテナンスパック設定部42は、メンテナンス項目「消耗品交換」において交換する消耗品の点数を標準より増加させるように設定する。一方、車両情報の項目「年式」の値が「10年未満」、かつ、車両情報の項目「耐久性」の値が所定の閾値を超えている場合(すなわち耐久性が相対的に高い場合)、メンテナンスパック設定部42は、メンテナンス項目「消耗品交換」において交換する消耗品の点数を標準の点数にするよう設定する。なお、「耐久値」の値が「外車」を示しているか、「国産車」を示しているかによって、消耗品の点数を定めてもよい。
【0034】
図6も、見積基準の例を示す。
図6の見積基準も、複数種類の属性項目の組み合わせと、メンテナンス項目とを関連付けたデータである。例えば、顧客情報の項目「免許証の色」の値が「ゴールド」、かつ、車両情報の項目「月間走行距離」の値が「3000Km未満」であれば、メンテナンスパック設定部42は、通常の整備項目として予め定められたメンテナンス項目のみをメンテナンスパックに設定する。また、顧客情報の項目「免許証の色」の値が「グリーンまたはブルー」、かつ、車両情報の項目「月間走行距離」の値が「3000Km未満」であれば、メンテナンスパック設定部42は、通常の整備項目に加えて、メンテナンス項目「外装品交換」をメンテナンスパックに設定する。
【0035】
また、顧客情報の項目「免許証の色」の値が「ゴールド」、かつ、車両情報の項目「月間走行距離」の値が「3000Km以上」であれば、メンテナンスパック設定部42は、通常の整備項目に加えて、メンテナンス項目「オイル交換」をメンテナンスパックに設定する。また、顧客情報の項目「免許証の色」の値が「グリーンまたはブルー」、かつ、車両情報の項目「月間走行距離」の値が「3000Km以上」であれば、メンテナンスパック設定部42は、通常の整備項目に加えて、メンテナンス項目「外装品交換」および「オイル交換」をメンテナンスパックに設定する。なお、メンテナンス項目は本実施例に挙げたもののみではなく、外装品の追加等、実施者の必要に応じて、適宜変更を行ってもよい。
【0036】
また、メンテナンスパック設定部42は、対象車両の今回の車検の後から次の車検の前までに完了するメンテナンス項目のみを見積対象のメンテナンスパックに含める。メンテナンスパック設定部42は、次の車検の後に実施される定期点検等でのメンテナンス項目を見積対象のメンテナンスパックから除外する。
【0037】
図3に戻り、管理装置16の見積生成部44は、S11で生成されたメンテナンスパックの情報を参照し、対象車両に施される1つ以上のメンテナンス項目に基づいて、メンテナンスパックの費用を導出する。例えば、見積生成部44は、複数のメンテナンス項目それぞれの費用を示す情報を保持してもよい。見積生成部44は、対象車両に施される1つ以上のメンテナンス項目それぞれの費用を合計することによりメンテナンスパックの費用を導出してもよい。また、見積生成部44は、対象車両の車種に応じて、使用する消耗品の種類を決定し、消耗品の種類に基づいて、メンテナンスパックの費用を導出してもよい。見積生成部44は、メンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成して、生成した見積情報を見積情報記憶部38に格納する(S12)。
【0038】
また、見積生成部44は、メンテナンスパックの費用を分割払いにする場合の単位期間ごとの支払金額を含む見積情報を作成する。分割払いの期間は、今回の車検から次回の車検前までの2年間以内であってもよく、単位期間は1か月であってもよい。例えば、20回(20か月)の分割払いとする場合、見積生成部44は、今回の車検費用とメンテナンスパック費用の合計額の20分の1に所定の金利を付加した金額を月々の支払額(定額)として見積情報に含めてもよい。ここでの金利は、クレジットカードを用いた分割払い時の金利(一般的には14%~18%)より低く、例えば10%以下である。
【0039】
図7(a)は、一般的なメンテナンスパックの費用支払いを模式的に示し、
図7(b)は、実施例のメンテナンスパックの費用支払いを模式的に示す。
図7(b)では、今回の車検費用とメンテナンスパック費用の合計額を分割払いとする例を示している。
図7(a)に示すように、従来の一般的なメンテナンスパックは、定期点検の費用および次回の車検の費用を一括で前払いする必要があり、顧客の負担が大きかった。
図7(b)に示すように、実施例のメンテナンスパックは、次回車検の費用を含まず、かつ、低金利での分割払いが可能であるため、顧客の負担を低減できる。また、次回車検時に自家用車をカーリースに切り替えることも容易になる。
【0040】
なお、見積生成部44は、メンテナンスパック設定部42により決定された1つ以上のメンテナンス項目を示す情報を見積情報に含めてもよい。また、見積生成部44は、公知の手法により今回の車検の費用を導出し、今回の車検の費用を見積情報に含めてもよい。すなわち、見積生成部44は、今回の車検の費用と、メンテナンスパックの費用と、メンテナンスパックに含まれるメンテナンス項目の情報とを含む見積情報を生成してもよい。
【0041】
図3に戻り、管理装置16の見積出力部46は、S12で生成された見積情報をSS端末14へ送信する(S13)。サービスステーションの従業員は、車検の費用に加えて、顧客向けにカスタマイズされたメンテナンスパックの費用を含む見積情報を顧客に提示する。管理装置16が、対象車両に関する属性情報を受け付けなければ(S10のN)、S11~S13の処理をスキップする。
【0042】
実施例の管理装置16によると、見積対象の車両12に関する属性情報(例えば顧客情報および車両情報)に最適化されたメンテナンスパックを設定し、そのメンテナンスパックの費用を含む見積情報を生成することができる。また、実施例のメンテナンスパックは、次回車検の前までに完了するメンテナンス項目のみ含み、次回車検およびそれ以後の定期点検は含まない。これにより、次回車検時に自家用車をカーリースに切り替える等、車両代替の選択を促進できる。
【0043】
次に、見積基準の更新処理を説明する。
メンテナンスパックを購入した顧客は、その後の定期点検時に車両12(対象車両)をサービスステーションに持ち込む。サービスステーションでは、対象車両に対して、メンテナンスパックに設定されたメンテナンス項目の整備(通常整備)が行われる。また、サービスステーションでは、対象車両に対して、メンテナンスパックには未設定の追加整備が行われることもある。追加整備が発生する要因は、対象車両の車種や年式、利用方法、走行距離を含む。対象車両に対して追加整備が行われた場合、サービスステーションのSS端末14は、サービスステーションの従業員が入力した顧客ID、車両ID、追加整備の内容(メンテナンス項目)を示す情報(以下「追加整備情報」とも呼ぶ。)を管理装置16へ送信する。
【0044】
管理装置16の整備情報取得部48は、SS端末14から送信された追加整備情報を受け付ける。追加整備情報が受け付けられた場合(S14のY)、管理装置16の基準更新部50は、追加整備情報が示す、メンテナンスパックに未設定の追加整備の内容に基づいて、見積基準記憶部34に記憶された見積基準を更新する(S15)。追加整備情報が受け付けられなければ(S14のN)、S15の処理をスキップする。
【0045】
S15において、基準更新部50は、顧客情報記憶部30を参照して、追加整備情報が示す顧客IDに紐付く顧客情報を特定してもよい。また、基準更新部50は、車両情報記憶部32を参照して、追加整備情報が示す車両IDに紐付く車両情報を特定してもよい。基準更新部50は、見積基準記憶部34を参照して、特定した顧客情報の属性項目値に対応するメンテナンス項目を定めた見積基準と、特定した車両情報の属性項目値に対応するメンテナンス項目を定めた見積基準とを特定してもよい。基準更新部50は、特定した見積基準に、追加整備の内容を新たなメンテナンス項目として追加してもよい。
【0046】
例えば、対象車両の月間走行距離が3000Km以上であったとする。また、元の見積基準は、
図4に示すように、月間走行距離3000Km以上の場合にオイル交換をメンテナンスパックに含めるよう定められていたとする。そして、定期点検時、対象車両のタイヤが摩耗していたため、追加整備としてタイヤ交換が実施されたこととする。この場合、SS端末14から管理装置16に、追加整備としてタイヤ交換が実施されたことが通知される。管理装置16の基準更新部50は、月間走行距離3000Km以上の場合にオイル交換に加えてタイヤ交換を実施するように見積基準を更新する。実施例の管理装置16によると、点検時の追加整備状況に基づいて、見積基準の精度や妥当性を逐次向上させることができる。
【0047】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0048】
変形例を説明する。上記実施例では、サービスステーションのSS端末14から管理装置16へ、見積対象の車両12に関する属性情報(顧客情報+車両情報)が送信された。変形例として、顧客(見積対象の車両12の運転者)の情報端末から管理装置16へ、上記属性情報の少なくとも一部が送信されてもよい。および/または、見積対象の車両12のOBD(On Board Diagnostics)ポートに接続され、車両12の診断情報を読み出す検査装置から管理装置16へ、上記属性情報の少なくとも一部が送信されてもよい。管理装置16の対象情報受付部40は、SS端末14、顧客の情報端末、検査装置のうち少なくとも1つから上記属性情報を取得してもよい。
【0049】
別の変形例を説明する。上記実施例では複数のメンテナンス項目を含むフルメンテナンスに関するパックを開示したが、実施者の必要に応じて、メンテナンスパック項目の種類、数は変更してもよい。例えば、車検に加え、オイルの交換を行うのみの上記実施例と比較して簡素なメンテナンスパックに本発明を適用してもよい。
【0050】
さらに別の変形例を説明する。上記実施例では今回の車検費用も含めて分割費用の算出を行う例を開示したが、今回の車検費用は含めずに分割費用の算出を行ってもよい。また、支払いの開始時期について、実施者の必要に応じて、適宜変更を行ってもよい。例えば、今回の車検の際に1回目の支払いを行うものとしてとして分割費用の設定を行う場合に限らず、今回の車検の翌月に1回目の支払いを行うものとしてとして分割費用の設定を行ってもよい。
【0051】
さらに別の変形例を説明する。上記実施例の管理装置16の機能は、複数の装置に分散して実装されてもよい。そして、それら複数の装置が互いに通信し、システムとして連携することによって、上記実施例の管理装置16と同様の処理を実行してもよい。
【0052】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0053】
10 情報処理システム、 12 車両、 16 管理装置、 40 対象情報受付部、 42 メンテナンスパック設定部、 44 見積生成部、 46 見積出力部、 50 基準更新部。