(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132552
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】無線充電装置、機械式駐車装置、及び無線充電方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20240920BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20240920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240920BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240920BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/18 606Z
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043364
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一成
(72)【発明者】
【氏名】岡村 幸英
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両のみを搬送装置から格納部へ移動させる機械式駐車装置であっても格納する車両に無線充電を行なえる、無線充電装置、機械式駐車装置、及び無線充電方法を提供する。
【解決手段】無線充電装置60は、搬送装置30の伸縮に応じて送電部62を格納部から退避させる送電側アーム64を備える。無線充電装置60は、駐車室パレット50へ向かって搬送装置30が伸長している場合に、送電側アーム64が送電部62を退避位置へ移動させる。一方で、搬送装置30が駐車室パレット50から収縮する場合に、送電側アーム64が送電部62を送電可能位置へ移動させる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置が伸長することで前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置の無線充電装置であって、
前記格納部に対応して設けられ、格納した前記車両の受電部へ無線で送電を行う送電部と、
前記格納部から退避した第1位置と前記格納部に載置された前記車両へ送電を行う第2位置との間で前記送電部を移動させる移動部と、
を備え、
前記格納部へ向かって前記搬送装置が伸長している場合に、前記移動部が前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる、
無線充電装置。
【請求項2】
前記搬送装置が前記格納部から収縮する場合に、前記移動部が前記送電部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる、請求項1に記載に無線充電装置。
【請求項3】
前記搬送装置と前記移動部とが接触することで、前記移動部が収縮して前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させ、
前記搬送装置と前記移動部との接触が解消することで、前記移動部が伸長して前記送電部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる、
請求項1又は請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項4】
前記移動部は、各々長さの異なる第1部材、第2部材、第3部材、及び第4部材が4節リンク機構によって回動可能に接続され、
前記第1部材は、最も長く、
前記第2部材は、2番目に長く、前記第1部材に対向し、
第3部材は、3番目に長く、前記第1部材及び前記第2部材が接続され、かつ前記移動部を支持する支持部に固定され、
第4部材は、4番目に長く、前記第3部材に延伸方向で交差するように前記第1部材及び前記第2部材に接続され、かつ前記送電部が設けられる、
請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項5】
前記移動部は、定滑車に掛け回されたロープの一端が接続され、
前記ロープの他端は、錘が接続される、
請求項4に記載の無線充電装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記送電部が前記第2位置よりも上方へ移動することを規制する規制部を備える、請求項1又は請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項7】
前記車両が入庫する場合、
前記所定階に移動した前記搬送装置が前記車両を載置して前記格納部に向かって伸長し、
伸長した前記搬送装置が下がって前記車両を前記格納部へ移動させると共に、前記搬送装置が前記移動部を上方から押し下げることで、前記移動部が収縮して前記送電部が前記第1位置に移動し、
前記格納部よりも下方に移動した前記搬送装置が収縮することで、前記移動部が伸長して前記送電部が前記第2位置に移動する、
請求項1又は請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項8】
前記車両が出庫する場合、
前記格納部の下側へ前記搬送装置が伸長すると共に、前記搬送装置が前記移動部に接触することで、前記移動部が収縮して前記送電部が前記第1位置に移動し、
前記搬送装置が前記格納部よりも上方へ移動することで、前記車両が前記格納部から前記搬送装置に移動すると共に、前記移動部が伸長して前記送電部が前記第2位置に移動する、
請求項1又は請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項9】
前記搬送装置が前記車両を前記格納部に移動して前記搬送装置が所定位置に戻った後に、前記送電部が前記車両に送電を行う、請求項1又は請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項10】
前記格納部は、
前記車両の両側面に対して平行方向に延伸する一対の本体部材と、
前記車両の各車輪を前記車両の前後方向で支持するために、前記本体部材に対して直交方向に設けられる複数の車輪支持部材と、
を備え、
前記搬送装置は、前記車両を載置して前記格納部まで移動する載置部に前記車輪支持部材が上下方向に通過する間隙が形成される、
請求項1又は請求項2に記載の無線充電装置。
【請求項11】
上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置が伸長することで前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置であって、
前記格納部に対応して設けられ、格納した前記車両の受電部へ無線で送電を行う送電部と、
前記格納部から退避した第1位置と前記格納部に載置された前記車両へ送電を行う第2位置との間で前記送電部を移動させる移動部と、
を備え、
前記格納部へ向かって前記搬送装置が伸長している場合に、前記移動部が前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる、
機械式駐車装置。
【請求項12】
上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置が伸長することで前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置の無線充電方法であって、
前記格納部には、
前記格納部に対応して設けられ、格納した前記車両の受電部へ無線で送電を行う送電部と、
前記格納部から退避した第1位置と前記格納部に載置された前記車両へ送電を行う第2位置との間で前記送電部を移動させる移動部と、
が備えられ、
前記格納部へ向かって前記搬送装置が伸長している場合に、前記移動部が前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる第1工程と、
前記移動部が前記送電部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる第2工程と、
前記格納部に載置された前記車両に対して、前記第2位置に移動した前記送電部が無線充電を行う第3工程と、
を有する無線充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線充電装置、機械式駐車装置、及び無線充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、入庫した車両に充電を行う充電装置を備える機械式駐車装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の機械式駐車装置では、車両を格納部まで搬送する搬送装置に設けられている配置部に充電ボックスが接続されている。この充電ボックスには、車両の充電ケーブルが接続される。そして、搬送装置から格納部へ車両を移動させることで格納部に設けられている充電ボックス受け部と充電ボックスとが接続し、充電ボックスと配置部とが非接続となる。これにより、充電ボックスが搬送装置から外れて格納部に残り、充電ボックスを介して入庫車両の充電が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、無線充電による電気自動車への充電方法としては、一般的に、電気自動車の底部に受電部が設けられており、受電部に対向するように送電部が各種設備に設けられる。
【0006】
特許文献1のような機械式駐車装置では、搬送装置から車両のみを格納部へ移動させる。このため、格納部に送電部を設けようとしても、搬送装置から格納部へ車両を移動させる過程において、搬送装置と送電部とが干渉して適切な位置に送電部が設けられない。
【0007】
そこで本発明は、車両のみを搬送装置から格納部へ移動させる機械式駐車装置であっても格納する車両に無線充電を行なえる、無線充電装置、機械式駐車装置、及び無線充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態の無線充電装置は、上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置が伸長することで前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置の無線充電装置であって、前記格納部に対応して設けられ、格納した前記車両の受電部へ無線で送電を行う送電部と、前記格納部から退避した第1位置と前記格納部に載置された前記車両へ送電を行う第2位置との間で前記送電部を移動させる移動部と、を備え、前記格納部へ向かって前記搬送装置が伸長している場合に、前記移動部が前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる。
【0009】
本構成によれば、車両へ無線充電を行う送電部が車両の格納部に設けられる。送電部は、移動部によって第1位置と第2位置との間で移動する。第1位置は、格納部において車両が載置されるパレットよりも下側であり、第1位置に送電部が位置している場合には、無線充電を行なえない。第2位置は、車両へ送電を行う高さであり、例えば、上記パレットの上面よりも若干高い位置である。
【0010】
格納部へ向かって搬送装置が伸長している場合、すなわち、車両が搬送装置と格納部との間を移動する場合には、送電部は移動部によって前記第2位置から第1位置に移動する。これにより、車両の入庫又は出庫時に、搬送装置と送電部とが干渉することを防止できる。
【0011】
従って、本構成は、車両のみを搬送装置から格納部へ移動させる機械式駐車装置であっても格納する車両に無線充電を行なえる。
【0012】
本構成によれば、前記搬送装置が前記格納部から収縮する場合に、前記移動部が前記送電部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させてもよい。本構成によれば、移動部の動きに連動して、送電部が第1位置と第2位置の間を移動する。
【0013】
本発明の無線充電装置において、前記搬送装置と前記移動部とが接触することで、前記移動部が収縮して前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させ、前記搬送装置と前記移動部との接触が解消することで、前記移動部が伸長して前記送電部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させてもよい。
【0014】
本構成によれば、搬送装置が伸縮することで移動部が伸縮して送電部を第1位置と第2位置との間で上下移動させる。従って、本構成は、エネルギーを消費することなく、送電部を上下移動できる。
【0015】
本発明の無線充電装置において、前記移動部は、各々長さの異なる第1部材、第2部材、第3部材、及び第4部材が4節リンク機構によって回動可能に接続され、前記第1部材は、最も長く、前記第2部材は、2番目に長く、前記第1部材に対向し、第3部材は、3番目に長く、前記第1部材及び前記第2部材が接続され、かつ前記移動部を支持する支持部に固定され、第4部材は、4番目に長く、前記第3部材に延伸方向で交差するように前記第1部材及び前記第2部材に接続され、かつ前記送電部が設けられてもよい。
【0016】
本構成は、エネルギーを消費することなく、簡易な構成で送電部を上下移動できる。
【0017】
本発明の無線充電装置において、前記移動部は、定滑車に掛け回されたロープの一端が接続され、前記ロープの他端は、錘が接続されてもよい。本構成は、エネルギーを消費することなく、収縮した移動部を伸長させて送電部を第1位置から第2位置へ移動できる。
【0018】
本発明の無線充電装置において、前記移動部は、前記送電部が前記第2位置よりも上方へ移動することを規制する規制部を備えてもよい。本構成は、格納した車両と送電部とが干渉することを防止できる。
【0019】
本発明の無線充電装置において、前記車両が入庫する場合、前記所定階に移動した前記搬送装置が前記車両を載置して前記格納部に向かって伸長し、伸長した前記搬送装置が下がって前記車両を前記格納部へ移動させると共に、前記搬送装置が前記移動部を上方から押し下げることで、前記移動部が収縮して前記送電部が前記第1位置に移動し、前記格納部よりも下方に移動した前記搬送装置が収縮することで、前記移動部が伸長して前記送電部が前記第2位置に移動する。
【0020】
本構成によれば、車両を載置した搬送装置が伸長して移動部を押し下げることで送電部が退避し、格納部に車両が移動した後に搬送装置が収縮することで送電部が車両に送電を可能な位置に移動する。従って、本構成は、エネルギーを消費することなく、送電部を搬送装置から退避させて車両を入庫できる。
【0021】
本発明の無線充電装置において、前記車両が出庫する場合、前記格納部の下側へ前記搬送装置が伸長すると共に、前記搬送装置が前記移動部に接触することで、前記移動部が収縮して前記送電部が前記第1位置に移動し、前記搬送装置が前記格納部よりも上方へ移動することで、前記車両が前記格納部から前記搬送装置に移動すると共に、前記移動部が伸長して前記送電部が前記第2位置に移動してもよい。
【0022】
本構成によれば、搬送装置が格納部に向かって伸長することで送電部が第1位置に移動する。そして、搬送装置が上方へ移動することで格納部から搬送装置へ車両が移動すると共に、送電部が第2位置に移動する。従って、本構成は、エネルギーを消費することなく、送電部を搬送装置から退避させて車両を出庫できる。
【0023】
本発明の無線充電装置において、前記搬送装置が前記車両を前記格納部に移動して前記搬送装置が所定位置に戻った後に、前記送電部が前記車両に送電を行ってもよい。本構成は、車両への無線充電を安全性高く行なえる。
【0024】
本発明の無線充電装置において、前記格納部は、前記車両の両側面に対して平行方向に延伸する一対の本体部材と、前記車両の各車輪を前記車両の前後方向で支持するために、前記本体部材に対して直交方向に設けられる複数の車輪支持部材と、を備え、前記搬送装置は、前記車両を載置して前記格納部まで移動する載置部に前記車輪支持部材が上下方向に通過する間隙が形成されてもよい。本構成によれば、所謂、くし歯式の機械式駐車装置であっても格納する車両に無線充電を行なえる。
【0025】
本発明の一実施形態の機械式駐車装置は、上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置が伸長することで前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置であって、前記格納部に対応して設けられ、格納した前記車両の受電部へ無線で送電を行う送電部と、前記格納部から退避した第1位置と前記格納部に載置された前記車両へ送電を行う第2位置との間で前記送電部を移動させる移動部と、を備え、前記格納部へ向かって前記搬送装置が伸長している場合に、前記移動部が前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる。
【0026】
本発明の一実施形態の無線充電方法は、上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置が伸長することで前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置の無線充電方法であって、前記格納部には、前記格納部に対応して設けられ、格納した前記車両の受電部へ無線で送電を行う送電部と、前記格納部から退避した第1位置と前記格納部に載置された前記車両へ送電を行う第2位置との間で前記送電部を移動させる移動部と、が備えられ、前記格納部へ向かって前記搬送装置が伸長している場合に、前記移動部が前記送電部を前記第2位置から前記第1位置へ移動させる第1工程と、前記移動部が前記送電部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる第2工程と、前記格納部に載置された前記車両に対して、前記第2位置に移動した前記送電部が無線充電を行う第3工程と、を有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、車両のみを搬送装置から格納部へ移動させる機械式駐車装置であっても格納する車両に無線充電を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本実施形態の駐車場の透視斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の駐車場の正面方向の断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の入出庫室の上面概略図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の搬送装置の上面概略図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の搬送装置の伸長状態を示す上面概略図である。
【
図6】
図6は、駐車室パレット及びスライド部の上面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の搬送装置から駐車室パレットへの車両の格納工程を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の無線充電装置の上面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の無線充電装置の側面図であり、(A)は送電部が送電可能位置にある場合であり、(B)は送電部が退避位置にある場合である。
【
図10】
図10は、本実施形態の無線充電EVの入庫時における無線充電装置の伸縮を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の無線充電EVの出庫時における無線充電装置の伸縮を示す図である。
【
図12】
図12は、第1変形例の無線充電装置の概略構成図である。
【
図13】
図13は、第4変形例の無線充電装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0030】
図1及び
図2を参照して、本実施形態の機械式駐車場(以下「駐車場」という。)10の概略構成を説明する。
図1は、本実施形態の駐車場10の透視斜視図である。
図2は、本実施形態の駐車場10の正面方向の断面図である。
【0031】
本実施形態の駐車場10は、車両12を格納する複数の格納部14を備える躯体16が地下に埋設される地下駐車場である。なお、本実施形態の駐車場10に格納される車両12は特に限定されないが、電気自動車(EV:Electric Vehicle)や充電可能なハイブリッド自動車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)が最も適している。なお、電気自動車には無線(ワイヤレス)により充電可能な電気自動車(以下、「無線充電EV」という。)が含まれる。このため、本実施形態の駐車場10には、無線充電EVに充電を行う無線充電装置が備えられる。無線充電装置の詳細は後述する。なお、以下の説明における、車両12とは、無線充電EV等も含む。
【0032】
また、駐車場10は、ホイールベースの長さが特定の長さとされた一定の規格の自動車のみを格納するように設計されてもよい。このように設計することで、駐車場10全体や駐車場10を構成する内部機械装置の部品数を低減し、簡素化できる。
【0033】
図1に示すように、駐車場10は、地上から地下にかけて筒状に形成された躯体16は、複数の杭を円形に並べて打設することで全体として円筒状に形成されている。
図1,2の例では、格納部14が5層とされているが、これに限らず、格納部14は複数層であればよい。また、躯体16は、杭を打設することで形成されるだけでなく、コンクリートや鉄骨を用いて形成されてもよい。
【0034】
躯体16の地上レベルの開口には、蓋板18が被せられている。蓋板18の上には、円筒状の躯体16の中央に建屋20が設けられている。建屋20には、車両12が入場又は出場する車両入出口22が設けられ、その内部は入出庫室24(
図3参照)となっている。
【0035】
躯体16の内部には、車両12を載置させる搬送装置30が備えられ、蓋板18には、搬送装置30に対応する位置に開口が形成されている。このため、建屋20は、少なくとも蓋板18の開口を囲うように配置される。車両12の乗員は、入庫時に車両12を運転して建屋20へ進入させ、建屋20内に位置している搬送装置30に駐車をして降車する。また、出庫時には、建屋20内に位置している搬送装置30に載置されている車両12に乗員が乗り込み運転をして建屋20から退出する。
【0036】
搬送装置30は、車両12が載置されて昇降路29内を上下移動する。昇降路29は、躯体16の中央領域において搬送装置30が上下移動するための空間である。搬送装置30は、昇降路29の周りに放射状に設けられている複数の格納部14との間で車両12の受け渡しを行う。
【0037】
すなわち、駐車場10は、車両12の入庫時には、上下移動する搬送装置30によって車両12を所定階まで搬送し、所定階に設けられた所定の格納部14へ搬送装置30から車両12を移動させて格納する。一方、車両12の出庫時に駐車場10は、出庫させる車両12が格納されている格納部14まで搬送装置30を移動させ、格納部14から搬送装置30へ車両12を移動させる。そして、搬送装置30は、車両12を建屋20まで搬送する。
【0038】
なお、搬送装置30は、任意の方向に回転可能とされ、出庫のために格納部14から建屋20まで移動させた車両12の正面を車両入出口22に向けることができる。また、車両12が格納される格納部14は、車両12を入庫させる際に、従来既知の方法によって決定される。
【0039】
次に搬送装置30の詳細について
図3から
図5を参照して説明する。
図3は入出庫室24の上面概略図であり、
図4は搬送装置30の上面概略図であり、
図5は搬送装置30の伸長状態を示す上面概略図である。
【0040】
入出庫室24には、上述のように搬送装置30が配置され、
図3の矢印方向から車両12が入室し、搬送装置30に車両12が載置される。なお、
図3において斜線でハッチングされた領域は蓋板18に対応しており、斜線でハッチングされた領域以外が搬送装置30であり、上下移動を行う。
【0041】
また、入室した車両12の前面と対向する位置にある入出庫室24内の壁には、モニタ31が設置される。モニタ31には、入出庫室24内に設置されたカメラで撮影された車両12の正確な位置や、前輪の嵌まり込み(後述)の成否や、それに伴う前進・後退の指示が表示される。
【0042】
搬送装置30は、車両12が載置される本体部32、及び乗員が車両12に乗降する領域であるデッキ部34を備える。本体部32はデッキ部34を介して、支持部材35(
図4参照)に支持され、支持部材35にワイヤー(不図示)が取り付けられる。ワイヤーの他端にはカウンターウェイトが取り付けられ、これにより搬送装置30は上下移動する。
【0043】
図5に示されるように搬送装置30の本体部32は、スライド部36とターンデッキ部38とを備える。ターンデッキ部38は、本体部32を回転させる機構を備え、その上面にスライド部36が設けられる。
【0044】
スライド部36は、車両12が載置され、ターンデッキ部38から
図5の矢印方向に移動する。このスライド部36の移動により、搬送装置30は伸長し、格納部14への車両12の移動及び格納部14からの車両12の移動を行う。
【0045】
スライド部36は、車両12の前輪が載置される領域に間隙(以下「スリット」という。)40Aが形成され、後輪が載置される領域に間隙(以下「スリット」という。)40Bが形成される。スライド部36は、2つのスリット40Bの間隔よりも2つのスリット40Aの間隔のほうが広く設定されている。また、車両12の前輪が載置される2つのスリット40Aの間の部分は、スライド部36の他の部分よりも一段低く窪んだ凹形状になっている。この窪みに車両12の前輪が嵌まり込むことでスライド部36における車両12の移動が制限され、車両12がスライド部36から落下することを防止する。このため、車両12の乗員は、入出庫室24内に配置された搬送装置30に対して、スライド部36の窪みに前輪が嵌り込むように車両12を載置する。なお、以下の説明では、スリット40Aとスリット40Bとを区別しない場合には、単にスリット40という。また、一つの車輪に対応するスリット40の数は、少なくとも2つであり、例えば一つの車輪に対して3つ以上のスリット40が形成されてもよい。
【0046】
また、車両12の乗員がスライド部36の窪みに前輪が嵌まり込んだことの確認のため、スリット40Aの近傍(窪み部分の両端など)にタイヤ検知センサを設けても良い。これにより、前輪が嵌まり込んでいるか否かをセンサで検知し、嵌まり込んでいない場合には音声や画像で車両12の乗員にアナウンスすることで、車両12の落下などの事故を確実に防ぐことができる。
【0047】
次に
図6,7を参照して、本実施形態の搬送装置30から駐車室パレット50への車両12の格納について説明する。駐車室パレット50は、格納部14の各々に設けられており、一台ずつ車両12が載置可能とされる、所謂、くし歯式のパレットである。
【0048】
本実施形態の駐車室パレット50は、
図6(A)に示されるように、一対の本体部材52と複数の車輪支持部材54A,54Bとで形成される。
【0049】
一対の本体部材52は、車両12の両側面に対して平行方向に延伸し、一端が駐車場10の内壁に接合される。なお、本実施形態の本体部材52は、
図6(A)における右側の端部が駐車場10の内壁に接合される。
【0050】
複数の車輪支持部材54A,54Bは、車両12の各車輪を車両12の前後方向で支持するために、本体部材52に対して直交方向に設けられる。車輪支持部材54Aは、スライド部36のスリット40Aに対応した間隙で設けられ、車両12の前輪に対応する。また、車輪支持部材54Bは、スライド部36のスリット40Bに対応した間隙で設けられ、車両12の後輪に対応する。以下の説明では、車輪支持部材54Aと車輪支持部材54Bとを区別しない場合には、単に車輪支持部材54という。
【0051】
なお、車輪支持部材54は、本体部材52に対して付け替えが可能とされてもよい。例えば、駐車室パレット50をホイールベースのより長い車両12、ホイールベースのより短い車両12に対応させるために本体部材52に対する車輪支持部材54の取付位置が適宜変更可能とされてもよい。
【0052】
次に、搬送装置30から駐車室パレット50への車両12の格納工程について説明する。搬送装置30が車両12を格納する所定階まで移動すると、車両12が載置されたスライド部36が格納部14の駐車室パレット50に向かって移動(伸長)する(
図7(A))。
【0053】
スライド部36は、スリット40と車輪支持部材54とが合致する位置まで移動すると伸長が停止する(
図7(B))。
【0054】
スライド部36の伸長が停止すると、搬送装置30が下方向へ移動する(
図7(C))。このとき、駐車室パレット50の車輪支持部材54が、スライド部36のスリット40を通過する。
【0055】
搬送装置30の下方向への移動に伴いスライド部36が駐車室パレット50よりも下側に位置すると、スライド部36から駐車室パレット50へ車両12が移動することとなる(
図7(D))。
【0056】
その後、スライド部36がターンデッキ部38へ戻るために収縮し(
図7(E))、搬送装置30から格納部14への車両12の移動が完了する(
図7(F))。車両12の移動が完了すると、搬送装置30は入出庫室24に戻るが、これに限らず、搬送装置30は、出庫待ちとなっている車両12が格納されている格納階へ移動してもよい。
【0057】
なお、出庫のために格納部14から搬送装置30へ車両12を移動させる場合には、搬送装置30は、
図7(A)から
図7(F)の動作とは逆の動作を行う。
【0058】
次に、
図8~11を参照して、本実施形態の駐車場10における無線充電装置60について説明する。
【0059】
ここで、本実施形態のように、搬送装置30が伸縮して搬送装置30から車両12のみを格納部14(駐車室パレット50)へ移動させる駐車場10では、格納部14に無線充電EVを無線充電するための送電部を設けることが難しかった。搬送装置30から格納部14へ車両12を移動させる過程において、搬送装置30と送電部とが干渉して適切な位置に送電部が設けられないためである。
【0060】
そこで、本実施形態の無線充電装置60は、
図8,9に示されるように、送電部62を格納部14の駐車室パレット50から退避させる送電側アーム64を備える。なお、
図8は、駐車室パレット50と無線充電装置60との上面図であり、無線充電装置60は駐車室パレット50の下側に配置される。
【0061】
送電部62は、格納部14の駐車室パレット50に対応して設けられ、格納した無線充電EV12A(
図10等参照)の受電部へ無線で送電を行う。なお、無線充電EV12Aの受電部は、車体の底面の所定位置に設けられる。
【0062】
送電側アーム64は、駐車室パレット50から退避した第1位置と、駐車室パレット50に載置された無線充電EV12Aへ送電を行う第2位置との間で送電部62を移動させる。以下の説明では、第1位置を退避位置といい、第2位置を送電可能位置という。
【0063】
なお、送電部62が送電可能位置にある場合であっても、送電部62が常に送電を行うのではなく、少なくとも無線充電EV12が駐車室パレット50に載置されている場合にのみ送電を行う。例えば、駐車室パレット50に無線充電EV50が載置され、かつ送電部62に送電開始信号が入力された場合に送電部62は送電を行い、送電終了信号が入力された場合に送電部62は送電を終了する。
【0064】
図9は、本実施形態の無線充電装置60の側面図である。
図9(A)は送電部62が送電可能位置にある場合であり、
図9(B)は送電部62が退避位置にある場合である。送電可能位置は、無線充電EV12Aへ送電を行う高さである。送電可能位置は、例えば、駐車室パレット50の上面よりも若干高い位置であり、無線充電EV12Aが備える受電部に対して最も効率良く充電が可能な高さである。退避位置は、駐車室パレット50よりも下側であり、退避位置に送電部62が位置している場合には、無線充電を行なえない。
【0065】
そして、本実施形態の無線充電装置60は、駐車室パレット50へ向かって搬送装置30が伸長している場合に、送電側アーム64が送電部62を送電可能位置から退避位置へ移動させる。一方で、搬送装置30が駐車室パレット50から収縮する場合に、送電側アーム64が送電部62を退避位置から送電可能位置へ移動させる。このように、本実施形態の無線充電装置60は、送電側アーム64の動きに連動して、送電部62が送電可能位置と退避位置との間を移動する。
【0066】
駐車室パレット50へ向かって搬送装置30が伸長している場合、すなわち、無線充電EV12Aが搬送装置30と駐車室パレット50との間を移動する場合には、送電部62は送電側アーム64によって退避位置に移動する。これにより、無線充電EV12Aの入庫又は出庫時に、搬送装置30と送電部62とが干渉することを防止できる。
【0067】
また、搬送装置30が駐車室パレット50から収縮する場合、すなわち、搬送装置30と駐車室パレット50との間の無線充電EV12Aの移動後には、送電部62は送電側アーム64によって送電可能位置に移動する。これにより、入庫した無線充電EV12Aに対して送電部62を介した無線充電が可能となる。
【0068】
従って、本実施形態の無線充電装置60は、無線充電EV12Aのみを搬送装置30から駐車室パレット50へ移動させる駐車場10であっても格納する無線充電EV12Aに無線充電を行なえる。
【0069】
次に、本実施形態の無線充電装置60が備える送電側アーム64の構成について説明する。
【0070】
まず、本実施形態の無線充電装置60は、駐車室パレット50へ向かって伸長する搬送装置30と送電側アーム64とが接触することで、送電側アーム64が収縮して送電部62を送電可能位置から退避位置へ移動させる。そして、搬送装置30と送電側アーム64との接触が解消することで、送電側アーム64が伸長して送電部62を退避位置から送電可能位置へ移動させる。
【0071】
このように、本実施形態の無線充電装置60は、搬送装置30が伸縮することで送電側アーム64が伸縮して送電部62を退避位置と送電可能位置との間で上下移動させる。従って、本実施形態の無線充電装置60は、エネルギーを消費することなく、送電部62を上下移動できる。
【0072】
本実施形態の送電側アーム64は、各々長さの異なる第1部材64A、第2部材64B、第3部材64C、及び第4部材64Dが4節リンク機構によって回動可能に接続される。
【0073】
第1部材64Aは、最も長く、第2部材64Bに対して上方となるように配置される。第2部材64Bは、2番目に長く、第1部材64Aに対向する。
【0074】
第3部材64Cは、3番目に長く、第1部材64A及び第2部材64Bが接続され、かつ送電側アーム64を支持する支持部である床面16Aに固定される。第1部材64A及び第2部材64Bは、第3部材64Cに対して斜め上方に向かうように接続される。
【0075】
第4部材64Dは、4番目に長く、第3部材64Cに延伸方向で交差するように第1部材64A及び第2部材64Bに接続され、かつ送電部62が設けられる。なお、本実施形態では、第2部材64Bと第4部材64Dとは、略垂直となるように配置される。送電部62は、送電部62の一辺と第4部材64Dの一辺とが接合することで、第4部材64Dに設けられる。
【0076】
なお、送電側アーム64は、入庫する無線充電EV12Aの後方に第3部材64Cが位置し、無線充電EV12Aの前方に送電部62が位置するように、床面16Aに配置される。
【0077】
このような構成の送電側アーム64は、伸長すると、第3部材64Cに対して斜め上方に送電部62が位置することとなる。そして、送電側アーム64は、第3部材64Cの端部を回転軸として、第1部材64A及び第2部材64Bが床面16Aに対して略平行となるように回動することで収縮する。このように4節リンク機能を有する送電側アーム64は、搬送装置30によって力が与えられて伸縮することで、送電部62を退避位置と送電可能位置との間で移動させる。
【0078】
また、
図10,11を参照して後述するように、無線充電EV12Aの入庫時には、搬送装置30のスライド部36が送電側アーム64を上方から押し下げることで、送電側アーム64を収縮させる。このため、スライド部36と無線充電装置60とが接触する箇所にローラ70が設けられる(
図8参照)。本実施形態のローラ70の設置個所は、一例として、送電部62における第4部材64D側である。
【0079】
また、送電側アーム64は、定滑車72、ロープ74、及び錘76によって構成される伸長機構71を備える。送電側アーム64は、定滑車72に掛け回されたロープ74の一端が接続され、ロープ74の他端は、錘76が接続される。定滑車72は、例えば、上方の駐車室パレット50の下部に設けられる。伸長機構71は、送電側アーム64の左右に一対設けられてもよいし、一方にのみ設けられてもよい。
【0080】
これにより、搬送装置30によって送電側アーム64が伸縮して送電部62が退避位置となった後に、搬送装置30と送電側アーム64とが接触しなくなると、錘76が下方へ移動して送電側アーム64が伸長し、送電部62が送電可能位置となる。従って、無線充電装置60は、エネルギーを消費することなく、収縮した送電側アーム64を伸長させて送電部62を退避位置から送電可能位置へ移動できる。
【0081】
なお、本実施形態の伸長機構68は、錘76の作用によって送電側アーム64が伸長するが、これに限らず、バネやゴム等の弾性体の付勢力によって送電側アーム64が伸長するとしてもよい。
【0082】
送電側アーム64は、送電部62が送電可能位置よりも上方へ移動することを規制する規制部であるストッパ部78を備える。本実施形態のストッパ部78は、一例として、第1部材64Aの長軸方向の略中央近辺において、長軸方向に直交する棒状部材として設けられる。ストッパ部78は、送電側アーム64が伸長すると本体部材52と接触することで、送電側アーム64がそれ以上伸長することを規制する。これにより、格納した無線充電EV12Aと送電部62とが干渉することが防止される。
【0083】
次に、
図10を参照して、無線充電EV12Aが入庫する場合について説明する。
【0084】
まず、無線充電EV12Aを載置した搬送装置30が無線充電EV12Aを格納する所定階に移動する(
図10(A))。
【0085】
所定階に移動した搬送装置30が無線充電EV12Aを載置したスライド部36を駐車室パレット50に向かって伸長する(
図10(B))。
【0086】
スライド部36を伸長した搬送装置30が下がって無線充電EV12Aをスライド部36から駐車室パレット50へ移動させると共に、搬送装置30が送電側アーム64を上方から押し下げる(
図10(C))。これにより、送電側アーム64が収縮して送電部62が退避位置に移動する。
【0087】
駐車室パレット50よりも下方に移動した搬送装置30が収縮することで、伸長機構71の作用によって送電側アーム64が伸長して送電部62が送電可能位置に移動する(
図10(D))。
【0088】
なお、駐車室パレット50は、車輪支持部材54Aの間隔が車輪支持部材54Bの間隔よりも広い。このため、駐車室パレット50に載置された無線充電EV12Aは、前方に若干傾斜して駐車室パレット50に載置される。すなわち、駐車室パレット50に載置された無線充電EV12Aの受電部は、前方に若干傾斜することとなる。これに対して、本実施形態の無線充電装置60の送電部62は送電可能位置にある場合に、受電部の傾斜角度と同じ角度となるように全体が傾斜する。これにより、受電部と送電部62とが平行となり、効率良く無線充電ができる。
【0089】
図10に示すように、無線充電EV12Aを載置した搬送装置30が伸長して送電側アーム64を押し下げることで送電部62が退避する。そして、駐車室パレット50に無線充電EV12Aが移動した後に搬送装置30が収縮することで、送電部62が無線充電EV12Aに送電を可能な位置に移動する。従って、本実施形態の駐車場10は、エネルギーを消費することなく、搬送装置30の動作に連動して送電部62を搬送装置30から退避させ、無線充電EV12Aを入庫できる。
【0090】
また、本実施形態の駐車場10は、搬送装置30が無線充電EV12Aを駐車室パレット50に移動して搬送装置30が所定位置に戻った後に、送電部62が無線充電EV12Aに送電を行う。なお、所定位置とは、例えば、建屋20である。これにより、駐車場10は、無線充電EV12Aへの無線充電を安全性高く行なえる。
【0091】
次に、
図11を参照して、無線充電EV12Aが出庫する場合について説明する。
【0092】
まず、搬送装置30が無線充電EV12Aを格納する所定階に移動し搬送装置30のスライド部36が伸長する(
図11(A))。なお、送電部62による無線充電は、すくなくとも出庫指示が行われると停止している。
【0093】
駐車室パレット50の下側へ搬送装置30のスライド部36が伸長すると共に、搬送装置30が送電側アーム64に接触することで、送電側アーム64が収縮して送電部62が退避位置に移動する(
図11(B))。
【0094】
搬送装置30が駐車室パレット50よりも上方へ移動することで、無線充電EV12Aが駐車室パレット50から搬送装置30のスライド部36に移動すると共に、送電側アーム64が伸長機構71の作用により伸長して送電部62が充電可能位置に移動する(
図11(C))。
【0095】
無線充電EV12Aを載置したスライド部36が収縮し、搬送装置30が建屋20に移動する(
図11(D))。
【0096】
図11に示すように、搬送装置30が駐車室パレット50に向かって伸長することで送電部62が退避位置に移動する。そして、搬送装置30が上方へ移動することで駐車室パレット50から搬送装置30へ無線充電EV12Aが移動すると共に、送電部62が送電可能位置に移動する。従って、本実施形態の駐車場10は、エネルギーを消費することなく、搬送装置30の動作に連動して送電部62を搬送装置30から退避させ、無線充電EV12Aを出庫できる。
【0097】
(第1変形例)
上記実施形態の無線充電装置60は、駐車場10の床面16A、すなわち、最下層の駐車室パレット50に設けられるが、無線充電装置60は最下層よりも上層の駐車室パレット50に設けられてもよい。この場合、無線充電装置60は、
図12に示されるように、駐車場10の内壁面16Bに対して垂直に設けられた梁16Cの上面に設置される。
【0098】
(第2変形例)
上記実施形態の無線充電装置60では、送電部62を上下移動させる移動部として4節リンク機構を有する送電側アーム64としたが、移動部は、バネやゴム等の弾性体によって送電部62を退避位置と送電可能位置との間で上下移動させてもよい。
【0099】
(第3変形例)
移動部は、外力によって伸縮するのではなく、電動又は油圧モータによって伸縮して送電部62を退避位置と送電可能位置との間で上下移動させてもよい。本変形例では、モータは搬送装置30の動きに同期して移動部を伸縮させ、退避位置と送電可能位置との間で送電部62を上下移動させる。すなわち、搬送装置30のスライド部36が伸長する場合に、モータが送電部62を退避位置に移動させる。また、搬送装置30のスライド部36が収縮する場合に、モータが送電部62を送電可能位置に移動させる。
【0100】
(第4変形例)
本変形例は、
図13に示すように、送電部62を90°に回動可能とする。すなわち、送電部62が略水平となる位置が送電可能位置であり、送電部62が90°下側に回動した位置が退避位置である。送電部62の送電可能位置と退避位置との回動は、例えば、モータ等によって搬送装置30の動きに同期して行われる。すなわち、この変形例では、モータが移動部となる。
【0101】
また、送電部62の退避位置には電動制御ラッチ錠が設けられると共に、送電部62にはバネやゴム等の弾性体により常に上向きのトルクが発生するようにしてもよい。これにより、送電部62が退避位置にある場合に、電動制御ラッチ錠が開くことで、上記弾性体の反力によって送電部62は退避位置から送電可能位置に回動する。一方、搬送装置30が伸長して送電部62を押すことで、送電部62は送電可能位置から退避位置に回動する。すなわち、この変形例では、上記弾性体及び電動制御ラッチ錠が移動部となる。
【0102】
また、送電部62の退避位置を送電可能位置よりも下方とするのではなく、送電可能位置よりも上方としてもよい。
【0103】
(第5変形例)
送電部62を退避位置と送電可能位置とに移動させる他の構造として、例えば、送電部62とは反対方向に錘(カウンターウェイト)を設け、外力によってシーソーのように送電部62を上下移動させることで、送電部62を退避位置と送電可能位置との間で移動させてもよい。
【0104】
また、例えば、送電部62を無線充電EV12Aの前後方向に水平移動させることで、送電部62を退避位置と送電可能位置との間で移動させてもよい。
【0105】
また、例えば、直線方向に加えられた外力を回転方向に変換する機構によって、送電部62を退避位置と送電可能位置との間で移動させてもよい。
【0106】
また、例えば、退避位置と送電可能位置とが駐車室パレット50に対して左右に位置し、送電部62が左右移動することで退避位置と送電可能位置との間で移動してもよい。
【0107】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0108】
本実施形態では、駐車場10を躯体16が地下に埋設される地下駐車場とする形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。駐車場10は、躯体16が地上に配置されてもよい。この形態の場合、入出庫室24は躯体16の最下層に配置される。また、躯体16は一部の下層が地下に埋設される形態とされてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 駐輪場
12A 無線充電EV(車両)
14 格納部
30 搬送装置
60 無線充電装置
62 送電部
64 送電側アーム(移動部)