(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132555
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】フレキシャおよびディスク装置用サスペンション
(51)【国際特許分類】
G11B 21/21 20060101AFI20240920BHJP
G11B 5/60 20060101ALI20240920BHJP
G11B 21/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B5/60 P
G11B21/10 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043367
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】田澤 亮一
(72)【発明者】
【氏名】丁 嘱
(57)【要約】
【課題】 信頼性を向上させることが可能なフレキシャを提供する。
【解決手段】 フレキシャは、第1メタルベースと、前記第1メタルベースに重なる配線部と、を有する。前記フレキシャは、前記第1メタルベースを有する本体部と、アクチュエータと電気的に接続される端子部と、前記本体部と前記端子部とをつなぎ、前記第1メタルベースを有しない接続部と、を有する。前記配線部は、前記本体部、前記接続部および前記端子部にわたり形成され、前記第1メタルベースに向かい合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するベース絶縁層と、前記第2面に設けられた導体層と、前記導体層を覆うカバー絶縁層と、を有する。前記カバー絶縁層は、前記接続部に設けられた第1カバー部分を有し、前記ベース絶縁層は、前記接続部に設けられ、前記第1カバー部分の厚さよりも小さい厚さを有する第1ベース部分を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メタルベースと、前記第1メタルベースに重なる配線部と、を有するフレキシャであって、
前記第1メタルベースを有する本体部と、
アクチュエータと電気的に接続される端子部と、
前記本体部と前記端子部とをつなぎ、前記第1メタルベースを有しない接続部と、を有し、
前記配線部は、
前記本体部、前記接続部および前記端子部にわたり形成され、前記第1メタルベースに向かい合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するベース絶縁層と、
前記第2面に設けられた導体層と、
前記導体層を覆うカバー絶縁層と、を有し、
前記カバー絶縁層は、前記接続部に設けられた第1カバー部分を有し、
前記ベース絶縁層は、前記接続部に設けられ、前記第1カバー部分の厚さよりも小さい厚さを有する第1ベース部分を有する、
フレキシャ。
【請求項2】
前記ベース絶縁層は、前記本体部に設けられ、前記第1ベース部分の厚さよりも大きい厚さを有する第2ベース部分を有する、
請求項1に記載のフレキシャ。
【請求項3】
前記ベース絶縁層は、前記端子部に設けられ、前記第1ベース部分の厚さよりも大きい厚さを有する第3ベース部分を有する、
請求項2に記載のフレキシャ。
【請求項4】
前記カバー絶縁層は、前記本体部、前記接続部および前記端子部に形成された第1層と、前記接続部に形成され、前記第1層に重ねられた第2層と、を有する、
請求項1に記載のフレキシャ。
【請求項5】
前記カバー絶縁層は、前記本体部に設けられ、前記第1カバー部分の厚さよりも大きい厚さを有する第2カバー部分を有する、
請求項1に記載のフレキシャ。
【請求項6】
前記カバー絶縁層は、前記端子部に設けられ、前記第1カバー部分の厚さよりも大きい厚さを有する第3カバー部分を有する、
請求項5に記載のフレキシャ。
【請求項7】
ロードビームと、
前記ロードビームに重なる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレキシャと、
前記端子部と電気的に接続されるアクチュエータと、を備える、
ディスク装置用サスペンション。
【請求項8】
接着部材をさらに備え、
前記アクチュエータは、前記第1面に向かい合う電極を有し、
前記接着部材は、前記電極と前記端子部に位置する前記導体層とを電気的に接続する、
請求項7に記載のディスク装置用サスペンション。
【請求項9】
前記フレキシャは、前記端子部に位置する前記ベース絶縁層と前記電極との間に位置する第2メタルベースをさらに有し、
前記第2メタルベースおよび前記端子部に位置する前記ベース絶縁層には、前記電極と前記導体層とをつなぐ貫通孔が形成されている、
請求項8に記載のディスク装置用サスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシャおよびディスク装置用サスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどの情報処理装置には、ディスク装置が使用されている。ディスク装置は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスク、ピボット軸を中心に旋回するキャリッジなどを含んでいる。キャリッジのアームにディスク装置用サスペンションが設けられている。ディスク装置用サスペンションは、ベースプレート、ロードビーム、ロードビームに沿って配置されたフレキシャなどを備えている。
【0003】
フレキシャの先端付近に形成されたジンバル部には、スライダが設けられている。スライダには、ディスクに記録されたデータの読取りや書込みのアクセスを行なうための素子が設けられている。ディスクの記録密度を大きくするには、ディスクの記録面に対して磁気ヘッドをさらに高速かつ高精度に位置決めできるようにすることが必要である。
【0004】
磁気ヘッドの位置決め精度向上を目的として、ポジショニング用モータ(ボイスコイルモータ)とベースプレート側に搭載されたアクチュエータとを併用するDSA(Dual Stage Actuator)サスペンション、さらに磁気ヘッド側にアクチュエータが搭載されたTSA(Triple Stage Actuator)サスペンションが知られている。
【0005】
従来、アクチュエータへの給電に関しては、様々な提案がなされている。特許文献1には、例えば、アクチュエータとして機能する圧電素子への電気的接続構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1を踏まえても、圧電素子とフレキシャとの接続に関しては、未だに種々の改善の余地がある。そこで、本発明は、信頼性を向上させることが可能なフレキシャおよびディスク装置用サスペンションを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係るフレキシャは、第1メタルベースと、前記第1メタルベースに重なる配線部と、を有する。前記フレキシャは、前記第1メタルベースを有する本体部と、アクチュエータと電気的に接続される端子部と、前記本体部と前記端子部とをつなぎ、前記第1メタルベースを有しない接続部と、を有する。
【0009】
前記配線部は、前記本体部、前記接続部および前記端子部にわたり形成され、前記第1メタルベースに向かい合う第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するベース絶縁層と、前記第2面に設けられた導体層と、前記導体層を覆うカバー絶縁層と、を有する。前記カバー絶縁層は、前記接続部に設けられた第1カバー部分を有し、前記ベース絶縁層は、前記接続部に設けられ、前記第1カバー部分の厚さよりも小さい厚さを有する第1ベース部分を有する。
【0010】
前記ベース絶縁層は、前記本体部に設けられ、前記第1ベース部分の厚さよりも大きい厚さを有する第2ベース部分を有してもよい。前記ベース絶縁層は、前記端子部に設けられ、前記第1ベース部分の厚さよりも大きい厚さを有する第3ベース部分を有してもよい。
【0011】
前記カバー絶縁層は、前記本体部、前記接続部および前記端子部に形成された第1層と、前記接続部に形成され、前記第1層に重ねられた第2層と、を有してもよい。前記カバー絶縁層は、前記本体部に設けられ、前記第1カバー部分の厚さよりも大きい厚さを有する第2カバー部分を有してもよい。前記カバー絶縁層は、前記端子部に設けられ、前記第1カバー部分の厚さよりも大きい厚さを有する第3カバー部分を有してもよい。
【0012】
一実施形態に係るディスク装置用サスペンションは、ロードビームと、前記ロードビームに重なる、前記フレキシャと、前記端子部と電気的に接続されるアクチュエータと、を備える。
【0013】
前記ディスク装置用サスペンションは、接着部材をさらに備えてもよく、前記アクチュエータは、前記第1面に向かい合う電極を有してもよく、前記接着部材は、前記電極と前記端子部に位置する前記導体層とを電気的に接続してもよい。
【0014】
前記フレキシャは、前記端子部に位置する前記ベース絶縁層と前記電極との間に位置する第2メタルベースをさらに有してもよく、前記第2メタルベースおよび前記端子部に位置する前記ベース絶縁層には、前記電極と前記導体層とをつなぐ貫通孔が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、信頼性を向上させることが可能なフレキシャおよびディスク装置用サスペンションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、ディスク装置の一例を示す概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、ディスク装置の一部を示す概略的な断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るサスペンションの概略的な平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るサスペンションの概略的な平面図である。
【
図5】
図5は、
図3におけるV部に位置するフレキシャを示す概略的な部分拡大図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すVI-VI線に沿うフレキシャの概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示すVII-VII線に沿うフレキシャの概略的な断面図である。
【
図8】
図8は、比較例に係るフレキシャの接続部を示す概略的な断面図である。
【
図9】
図9は、比較例に係るフレキシャの接続部を示す概略的な断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係るフレキシャの概略的な断面図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係るフレキシャの接続部を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状などを実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合がある。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、ディスク装置(HDD)1の一例を示す概略的な斜視図である。ディスク装置1は、
図1に示す例において、ケース2と、スピンドル3を中心に回転する複数の磁気ディスク(これ以降、単にディスク4と称す)と、ピボット軸5を中心に旋回可能なキャリッジ6と、キャリッジ6を駆動するためのポジショニング用モータ(ボイスコイルモータ)7と、を備える。ケース2は、図示しない蓋によって密閉される。
【0019】
図2は、ディスク装置1の一部を示す概略的な断面図である。キャリッジ6には、複数(例えば、3つ)のアーム8が設けられる。複数のアーム8の先端部には、ディスク装置用サスペンション(これ以降、単にサスペンション10と称す)がそれぞれ取り付けられる。サスペンション10の先端部には、磁気ヘッドを構成するスライダ11が設けられる。ディスク4が高速で回転すると、ディスク4とスライダ11との間に空気が流入することによって、エアベアリングが形成される。
【0020】
ポジショニング用モータ7によってキャリッジ6が旋回すると、サスペンション10がディスク4の径方向に移動することにより、スライダ11がディスク4の所望トラックまで移動する。スライダ11の先端部には、例えばMR素子のように磁気信号と電気信号とを変換可能な素子が設けられる。この素子によって、ディスク4に対するデータの書込みあるいは読取りのアクセスが行なわれる。
【0021】
図3および
図4は、本実施形態に係るサスペンション10の概略的な平面図である。
図5は、
図3におけるV部に位置するフレキシャを示す概略的な部分拡大図である。
図4においては、
図3と反対の方向にサスペンション10を見ている。本実施形態においては、サスペンション10の一例として、TSAタイプのサスペンションを開示する。サスペンション10は、ベースプレート20と、ロードビーム30と、フレキシャ40と、を備えている。
【0022】
ベースプレート20、ロードビーム30およびフレキシャ40は、いずれもサスペンション10の長手方向に延びている。以下、サスペンション10、ベースプレート20、ロードビーム30、およびフレキシャ40の長手方向を第1方向Xと定義する。第1方向Xにおいて、ベースプレート20を基準として、スライダ11が搭載される側を先端側と呼ぶ場合がある。
【0023】
第1方向Xと交差(例えば、直交)する方向をサスペンション10、ベースプレート20、ロードビーム30、およびフレキシャ40などの第2方向Yと定義する。第1方向Xおよび第2方向Yと交差(例えば、直交)する方向をサスペンション10、ベースプレート20、ロードビーム30、およびフレキシャ40などの第3方向Zと定義する。
【0024】
第3方向Zの一方を上または上方と称し、第3方向Zの他方を下または下方と称する場合がある。以下、第3方向Zに沿う長さを厚さと呼ぶ場合がある。さらに、ロードビーム30の先端近傍に円弧状の矢印で示すように、スウェイ方向S(
図3に示す)を定義する。
【0025】
ベースプレート20は、アーム8(
図2に示す)と接続される。ベースプレート20は、例えばステンレス鋼などの金属材料によって形成することができる。ベースプレート20の厚さは、例えば100μm以下であるが、この例に限られない。
【0026】
ベースプレート20は、円形状のボス部21を有している。ベースプレート20は、ボス部21を介して、アーム8に取り付けられる。ベースプレート20は、
図4に示すように、開口23,25をさらに有している。開口23,25は、ベースプレート20を貫通している。
【0027】
ロードビーム30は、ステンレス鋼などの金属材料によって形成することができる。ロードビーム30の厚さは、ベースプレート20の厚さよりも小さい。ロードビーム30の厚さは、例えば20~80μmであるが、この例に限られない。
【0028】
ロードビーム30は、先端(
図3,
図4中左側)に向けて先細りな形状を有する。ロードビーム30は、ばね部31を介してベースプレート20に弾性的に支持される。ロードビーム30は、例えばレーザを用いたスポット溶接によりベースプレート20に固定される。ロードビーム30は、フレキシャ40が配置される面33Aと、面33Aの反対側の面33Bと、を有している。
【0029】
ロードビーム30は、ベースプレート20と重なる部分を有している。この部分には、開口35,37が形成されている。開口35は、第2方向Yに間隔をおいて開口37と並んでいる。開口35,37は、面33Aと面33Bとを貫通している。
【0030】
第3方向Zにおいて、開口35は開口23に重ねられ、開口37は開口25に重ねられている。開口35,37および開口23,25によって、アクチュエータ搭載部15A,15Bが形成されている。
【0031】
フレキシャ40は、ベースプレート20およびロードビーム30に沿って配置される。フレキシャ40の一部は、ロードビーム30に重なっている。フレキシャ40は、例えばレーザを用いたスポット溶接によりベースプレート20およびロードビーム30に固定される。
【0032】
フレキシャ40は、例えば薄いステンレス鋼の板からなるメタルベース41(第1メタルベース)と、メタルベースに重ねられた配線部50と、を有している。メタルベース41の厚さは、ロードビーム30の厚さよりも小さい。メタルベース41の厚さは、例えば15~20μmである。メタルベース41は、ロードビーム30の面33Aに重ねられている。
【0033】
フレキシャ40は、
図3,
図5に示すように、本体部F1と、端子部F2A,F2Bと、本体部F1と端子部F2Aとをつなぐ接続部F3と、を有している。本体部F1は、先端部40aと、ベースプレート20の後方(
図3,
図4中右側)に向けて延びるテール部40bと、を含んでいる。
【0034】
本体部F1の先端部40aには、磁気ヘッドを構成するスライダ11が設けられる。
図3に示す例においては、搭載されるスライダ11を破線にて示している。端子部F2A,F2Bは、アクチュエータとそれぞれ電気的に接続される。端子部F2Aは開口35と重なり、端子部F2Bは開口37と重なるように位置している。接続部F3は、本体部F1から開口35に向けて延び、本体部F1と端子部F2Aとをつないでいる。
【0035】
サスペンション10は、圧電素子61A,61Bと、圧電素子63A,63Bと、をさらに備えている。本実施形態において、圧電素子61A,61B,63A,63Bは、アクチュエータの一例である。圧電素子61A,61B,63A,63Bは、それぞれ、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)などの圧電体からなる。
【0036】
圧電素子61A,61B,63A,63Bに電圧を印加すると、印加された電圧に応じて圧電体が伸縮するため、サスペンション10の先端側をスウェイ方向Sに微小量移動させることができる。
【0037】
圧電素子61A,61Bは、第2方向Yにおいて、スライダ11の両側に配置されている。圧電素子61A,61Bは、例えば、フレキシャ40のスライダ11が搭載される面の反対側の面に配置されてもよい。
【0038】
圧電素子63A,63Bは、アクチュエータ搭載部15A,15Bにそれぞれ設けられている。具体的には、圧電素子63A,63Bは、開口23,25にそれぞれ収容される。圧電素子63A,63Bは、接着部材81によって、ロードビーム30の面33Bに固定されている。
図4においては、接着部材81にドットを付している。接着部材81は、例えばエポキシ樹脂などの電気絶縁性の樹脂接着材である。
【0039】
圧電素子63Aは端子部F2Aと電気的に接続され、圧電素子63Bは端子部F2Bと電気的に接続される。圧電素子63A,63Bは、第3方向Zの一方側の面(面33Bに向かい合う面)に設けられた電極65と、第3方向Zの他方側の面に設けられた電極67と、を有している。
【0040】
電極65,67は、例えばスパッタリングあるいはめっきなどによって平坦な形状の電極面をなしている。圧電素子63A,63Bの電極65は、開口35,37からそれぞれ露出している。
【0041】
電極65は、端子部F2A,F2Bを介して、フレキシャ40の配線部50と電気的に接続されている。電極67は、接着部材82によって、グランド側であるベースプレート20と電気的に接続されている。
図4においては、接着部材82にドットを付している。接着部材82は、例えば、銀ペーストなどの導電性接着剤によって形成することができる。
【0042】
続いて、フレキシャ40の接続部F3に適用可能な構造の一例について説明する。
【0043】
図6は、
図5に示すVI-VI線に沿うフレキシャ40の概略的な断面図である。
図7は、
図5に示すVII-VII線に沿うフレキシャ40の概略的な断面図である。
図6においてはフレキシャ40を第2方向Yに沿って見て、
図7においてはフレキシャ40を第1方向Xに沿って見ている。
【0044】
フレキシャ40は、上述の通り、メタルベース41および配線部50を有している。メタルベース41は、
図7に示すように、ロードビーム30の面33Aに向かい合う面43Aと、面43Aの反対側の面43Bと、を有している。本体部F1はメタルベース41を有しているが、接続部F3はメタルベース41を有していない。
【0045】
配線部50は、ベース絶縁層51と、導体層53と、カバー絶縁層55と、を有している。ベース絶縁層51およびカバー絶縁層55は、例えばポリイミドなどの電気絶縁性の樹脂材料によって形成することができる。
【0046】
導体層53は、銅などの高導電率の金属材料によって形成することができる。導体層53は、例えば、塗工、メッキによるアディティブ法(例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法)などによって形成される。
【0047】
導体層53は、本体部F1において、テール部40bに位置する接続端子(図示しない)から先端部40aにわたり形成されている。導体層53は、例えば、複数の配線を有している。
【0048】
複数の配線は、例えば読取り用の配線および書込み用の配線を含んでいる。これらの読取り用の配線および書込み用の配線は、スライダ11とそれぞれ接続される。複数の配線の一部である、圧電素子63A,63Bへの給電用の配線は、本体部F1から分岐し、端子部F2A,F2Bまで延びている。
【0049】
ベース絶縁層51は、
図7に示すように、本体部F1、接続部F3および端子部F2Aにわたり形成されている。ベース絶縁層51は、メタルベース41の面43Bに向かい合う面52A(第1面)と、面52Aの反対側の面52B(第2面)と、を有している。
【0050】
ベース絶縁層51は、本体部F1に設けられたベース部分511(第2ベース部分)と、接続部F3に設けられたベース部分512(第1ベース部分)と、端子部F2Aに設けられたベース部分513(第3ベース部分)と、を有している。ベース部分511、ベース部分512およびベース部分513は、一体的に形成されている。
【0051】
ベース部分512は、
図6に示す例において、第1方向Xに一様な厚さを有している。ベース部分512は、
図7に示す例において、第2方向Yに一様な厚さを有している。
【0052】
ベース部分512の厚さT12(
図7に示す)は、ベース部分511の厚さT11(
図7に示す)およびベース部分513の厚さT13(
図7に示す)よりも小さい。言い換えると、ベース部分511,513は、ベース部分512よりも大きい厚さT11,13を有している。
【0053】
ベース部分511の厚さT11は、例えば、ベース部分513の厚さT13と等しい。なお、ベース部分511の厚さT11は、ベース部分513の厚さT13と異なってもよい。
【0054】
ベース部分511およびベース部分513の厚さT11,T13は、例えば、7μmから12μmである。ベース部分511およびベース部分513の厚さT11,T13は、一例では、10μmである。
【0055】
ベース部分512の厚さT12は、例えば、3μmから7μmである。ベース部分512の厚さT12は、一例では、5μmである。ベース部分512の厚さT12は、一例では、ベース部分511およびベース部分513の厚さT11,T13の半分である。
【0056】
ベース絶縁層51のベース部分512は、一例では、諧調マスクを用いた露光工程を経て形成される。例えば、ポジ型の感光性ポリイミドの場合、ベース部分512に相当する範囲の露光量を調整することによって、当該部分が現像によって除去され、ベース部分512の厚さT12を他の部分よりも小さくすることができる。
【0057】
この場合、ベース部分512に位置する面52Bは、ベース部分511およびベース部分513に位置する面52Bよりも下方(ロードビーム30の側)に位置している。
【0058】
図7に示すように、接続部F3にはメタルベース41が設けられていないため、ベース部分512に位置する面52Aとロードビーム30の面33Aとの間には、空気層が形成される。
【0059】
導体層53は、面52Bに設けられ、ベース部分511,512,513に重なっている。導体層53は、
図7に示す例において、一様な厚さを有している。導体層53の厚さは、例えば、5μmから12μmであり、一例では、6μmである。
【0060】
カバー絶縁層55は、ベース絶縁層51および導体層53を覆っている。言い換えると、導体層53は、ベース絶縁層51とカバー絶縁層55との間に位置している。カバー絶縁層55の一部は、
図6に示す例において、ベース絶縁層51を覆っている。言い換えると、カバー絶縁層55の一部は、面52Bと接している。
【0061】
カバー絶縁層55は、本体部F1に設けられたカバー部分551(第2カバー部分)と、接続部F3に設けられたカバー部分552(第1カバー部分)と、端子部F2Aに設けられたカバー部分553(第3カバー部分)と、を有している。接続部F3において、ベース部分512、導体層53およびカバー部分552は、この順で積層されている。
【0062】
カバー部分552の厚さT52(
図7に示す)は、カバー部分551の厚さT51(
図7に示す)およびカバー部分553の厚さT53(
図7に示す)よりも大きい。言い換えると、カバー部分551,553は、カバー部分552よりも大きい厚さT51,53を有している。ここで、カバー部分552の厚さとは、一例では、カバー部分552のうち、導体層53と重なる部分の厚さに相当する。
【0063】
カバー部分551の厚さT51は、例えば、カバー部分553の厚さT53と等しい。なお、カバー部分551の厚さT51は、カバー部分553の厚さT53と異なってもよい。
【0064】
カバー部分552は、例えば、複数の層によって形成されている。これにより、カバー部分552の厚さT52は、ベース部分512の厚さT12よりも大きくなっている。カバー絶縁層55は、第1層71と、第1層71に重ねられた第2層73と、を有する。第1層71および第2層73は、ポリイミドによってそれぞれ形成されている。
【0065】
第1層71は、本体部F1、接続部F3および端子部F2Aにわたり形成されている。第1層71は、導体層53に向かい合う面72Aと、面72Aの反対側の面72Bと、を有している。
【0066】
第2層73は、接続部F3に形成されている。第2層73は、面72Bに向かい合う面74Aと、面74Aの反対側の面74Bと、を有している。面74Bは、
図7に示す例において、カバー部分551およびカバー部分553に位置する第1層71の面72Bよりも下方に位置している。
【0067】
カバー部分552の厚さT52は、第1層71の厚さT71(
図7に示す)と第2層73の厚さT73(
図7に示す)との和に相当する。第2層73の厚さT73は、例えば、第1層71の厚さT71よりも大きい。
【0068】
第1層71の厚さT71は、例えば、3μmから7μmである。第1層71の厚さT71は、一例では、4μmである。第2層73の厚さT73は、例えば、4μmから8μmである。第2層73の厚さT73は、一例では、5μmである。
【0069】
なお、第2層73の厚さT73は、第1層71の厚さT71よりも小さくてもよいし、第1層71の厚さT71と等しくてもよい。第2層73の厚さT71は、例えば、ベース部分512の厚さT12よりも小さい。
【0070】
ベース絶縁層51との観点において、接続部F3におけるベース絶縁層51の厚さは、接続部F3におけるカバー絶縁層55の厚さよりも小さい。具体的には、ベース部分512の厚さT12は、カバー部分552の厚さT52よりも小さい。導体層53との観点において、例えば、ベース部分512の厚さT12は導体層53の厚さよりも小さく、カバー部分552の厚さT52は導体層53の厚さよりも大きい。
【0071】
ベース部分512は、接続部F3の変形量を調整するための調整部として機能する薄肉部を構成する。カバー部分552は、接続部F3の変形量を調整するための調整部として機能する厚肉部を構成する。
【0072】
フレキシャ40は、端子部F2Aにおいて、メタルベース45(第2メタルベース)をさらに有している。メタルベース45は、ベース部分513に位置する面52Aに配置されている。メタルベース45は、例えば、第3方向Zに見て、円形状を有している。メタルベース45は、
図7に示すように、ベース部分513に位置する面52Aに向かい合う面47Aと、面47Aの反対側の面47Bと、を有している。メタルベース45は、図示されていないが、端子部F2Bにも設けられている。
【0073】
圧電素子63Aとの観点において、メタルベース45は、ベース部分513と圧電素子63Aの電極65との間に設けられている。言い換えると、電極65は、
図7に示すように、メタルベース45を挟んで、面52Aに向かい合っている。メタルベース45は、メタルベース41と同様、ステンレス鋼などの金属材料によって形成することができる。
【0074】
端子部F2Aには、メタルベース45およびベース部分513を第3方向Zに貫通する貫通孔H1が形成されている。貫通孔H1は導体層53には形成されていないため、導体層53は貫通孔H1に露出している。言い換えると、貫通孔H1は、電極65と導体層53とをつないでいる。
【0075】
サスペンション10は、接着部材83をさらに備えている。接着部材83は、電極65と端子部F2Aに位置する導体層53とを電気的に接続する。接着部材83は、例えば、銀ペーストなどの導電性接着剤によって形成することができる。
【0076】
接着部材83は、メタルベース45と電極65との間だけでなく、貫通孔H1にも位置している。これにより、電極65と端子部F2Aの導体層53とが電気的に接続され、フレキシャ40から圧電素子63Aへ給電を行うことができる。接着部材83は、端子部F2Bと圧電素子63Bとの接続にも用いられている。
【0077】
ここで、比較例に係るフレキシャ400について説明する。
【0078】
図8および
図9は、比較例に係るフレキシャ400の接続部を示す概略的な断面図である。
図8においてはフレキシャ400の接続部F3を第2方向Yに沿って見て、
図9においてはフレキシャ400の接続部F3およびその近傍を第1方向Xに沿って見ている。
【0079】
フレキシャ400は、メタルベース41および配線部50を有している。配線部50は、ベース絶縁層51、導体層53およびカバー絶縁層55を有している。
【0080】
比較例においては、ベース絶縁層51は、本体部F1、接続部F3および端子部F2Aにわたり一様な厚さT510(
図9に示す)を有している。言い換えると、接続部F3におけるベース絶縁層の厚さT510は、本実施形態におけるベース部分512の厚さT12(
図7に示す)よりも大きい。
【0081】
比較例においては、カバー絶縁層55は、本体部F1、接続部F3および端子部F2Aにわたり一様な厚さT550(
図9に示す)を有している。カバー絶縁層55は、本実施形態におけるカバー絶縁層55の第2層73に相当する層を有していない。
【0082】
言い換えると、接続部F3におけるカバー絶縁層55の厚さT550は、本実施形態におけるカバー部分552の厚さ52(
図7に示す)よりも小さい。比較例においては、接続部F3におけるベース絶縁層51の厚さT510は、接続部F3におけるカバー絶縁層55の厚さT550よりも大きい。
【0083】
導電性接着剤を紫外線(UV)や熱によって硬化させる工程において、接続される端子部F2Aの周囲では、湿度が変化する。ベース絶縁層51およびカバー絶縁層55はポリイミドで形成されているため、周囲の湿度の変化によって、吸湿膨張し、変形する場合がある。
【0084】
接続部F3にはメタルベース41が設けられていないため、ベース絶縁層51およびカバー絶縁層55は、接続部F3において変形しやすい。比較例であるフレキシャ400では、接続部F3において、ベース絶縁層51の厚さT510がカバー絶縁層55の厚さT550よりも大きい。
【0085】
このため、ベース絶縁層51およびカバー絶縁層55が吸湿膨張すると、端子部F2Aが圧電素子63Aから離れる方向(
図9における上方)に向けて、接続部F3が変形しやすい。このように接続部F3が変形することによって、端子部F2Aと圧電素子63Aの電極65との間隔は大きくなる。
【0086】
このような間隔の拡大は、端子部F2Aと電極65との電気的な接続における信頼性が低下する原因となり得る。これは、導電性接着剤の硬化前後、硬化中などに発生し得る。
【0087】
以上のように構成されたフレキシャ40において、接続部F3におけるベース絶縁層51の厚さは、接続部F3におけるカバー絶縁層55の厚さよりも小さい。具体的には、ベース部分512の厚さT12は、カバー部分552の厚さT52よりも小さい。
【0088】
これにより、ベース絶縁層51およびカバー絶縁層55が周囲の湿度が変化により吸湿膨張した場合であっても、端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65から離れる方向に接続部F3が変形しにくくなる。言い換えると、本実施形態に係るフレキシャ40であれば、接続部F3の変形量(反り量)を調整することができる。
【0089】
端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65から離れる方向に変形しにくくなることで、接着部材83を介して、端子部F2Aの導体層53と電極65とを安定的に接続することができる。その結果、本実施形態であれば、信頼性を向上させることが可能なフレキシャ40およびサスペンション10を提供することができる。
【0090】
本実施形態において、フレキシャ40の接続部F3は、端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65に向かう方向へ変形しやすくなる。言い換えると、端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65から離れる方向への接続部F3における応力の発生を軽減することができる。端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65に近づくため、フレキシャ40およびサスペンション10の信頼性を向上させることが可能となる。
【0091】
本実施形態であれば、端子部F2Aと電極65との間隔を調整することができる。具体的には、メタルベース45と圧電素子63Aの電極65との間に所望の隙間を形成することができる。これにより、当該隙間に対して、導電性接着剤を適切に設けることが可能となる。言い換えると、導電性接着剤が必要以上にメタルベース45の周囲にはみ出したり、引けが発生したりしにくい。
【0092】
本実施形態では、ベース部分511およびベース部分513の厚さT11,T13は、ベース部分512の厚さT12よりも大きい。ベース部分511およびベース部分513は、メタルベース41およびメタルベース45と重なる部分であるため、この部分においては絶縁耐圧を確保することができる。
【0093】
本実施形態では、カバー部分551の厚さT51は、カバー部分552の厚さT52よりも小さい。例えば、本体部F1に位置するジンバル部90(
図3に示す)におけるフレキシャ40の剛性は、小さいほうが好ましい。
【0094】
フレキシャ40の全体において、カバー絶縁層55の厚さを大きくすると、ジンバル部90の近傍におけるフレキシャ40の剛性は大きくなる。これにより、アクチュエータによってジンバル部90を制御しにくくなる恐れがある。
【0095】
本実施形態では、カバー部分551の厚さT51がカバー部分552の厚さT52よりも小さいため、ジンバル部90の制御に対する影響を抑制することができ、サスペンション10の信頼性を向上させることが可能である。すなわち、本実施形態であれば、サスペンション10の特性に影響を抑制しつつ、接続部F3の変形量を調整することができる。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0096】
本実施形態において、他の例として、ベース部分512の厚さT12がベース部分511の厚さT11およびベース部分513の厚さT13よりも小さく、カバー絶縁層55が本体部F1、接続部F3および端子部F2Aにわたり一様な厚さを有してもよい。
【0097】
本実施形態において、さらに他の例として、カバー部分552の厚さT52がカバー部分551の厚さT51およびカバー部分553の厚さT53よりも大きく、ベース絶縁層51が本体部F1、接続部F3および端子部F2Aにわたり一様な厚さを有してもよい。
【0098】
接続部F3において、ベース絶縁層51の厚さを小さくする範囲およびカバー絶縁層55の厚さを大きくする範囲は、サスペンション10の種類に応じて適宜調整することができる。例えば、これらの範囲の形状、幅、長さなどは、サスペンション10の種類に応じて調整することができる。
【0099】
本実施形態において、カバー絶縁層55を2つの層によって形成することでカバー部分552の厚さT52を大きくする例を開示するが、カバー絶縁層55を1つの層で形成することによってカバー部分552の厚さT52を大きくしてもよいし、カバー絶縁層55を3つ以上の層で形成することによってカバー部分552の厚さT52を大きくしてもよい。
【0100】
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
【0101】
[第2実施形態]
図10は、本実施形態に係るフレキシャ40Aの概略的な断面図である。
図10においては、フレキシャ40Aの接続部F3を第2方向Yに沿って見ている。
【0102】
ベース部分512は、
図10に示すように、導体層53と重なる第1部分P1と、第1方向Xにおいて、第1部分P1の両側に位置する第2部分P2A,P2Bと、を有する。第2部分P2A,P2Bは、導体層53と重なっていない。第2部分P2A、第1部分P1および第2部分P2Bは、第1方向Xに並んでいる。第1部分P1の厚さT120は、第2部分P2A,P2Bの厚さT130よりも小さい。
【0103】
カバー絶縁層55の第1層71は、ベース絶縁層51の全体に重ねられている。カバー絶縁層55の第2層73は、第1層71を挟んで、導体層53と重なるように重ねられている。第1部分P1の厚さT120は、
図10に示すように、カバー部分552の厚さT52よりも小さい。
【0104】
続いて、ベース絶縁層51およびカバー絶縁層55が吸湿膨張した場合における変形の解析結果について説明する。
【0105】
図11および
図12は、解析結果を示す図である。
図11では本実施形態に係るフレキシャ40Aの解析結果を示し、
図12では比較例に係るフレキシャ400(
図8,9に示す)の解析結果を示す図である。
【0106】
解析における条件は、以下の通りである。
フレキシャ40Aにおいて、第1部分P1の厚さT120は、5μmであり、カバー絶縁層の第1層71の厚さT71は4μmであり、第2層73の厚さT73は、5μmである。比較例であるフレキシャ400において、ベース絶縁層51の厚さT510は、10μmであり、カバー絶縁層の厚さT550は、4μmである。導体層53は、フレキシャ40A,400において、それぞれ6μmである。
【0107】
図11および
図12においては、横軸が本体部F1からの位置(mm)を示し、縦軸が第3方向Zにおける位置(mm)を示す。縦軸の数値が大きいほど、圧電素子63Aの電極65から離れ、縦軸の数値が小さいほど、圧電素子63Aの電極65に近づいている。
【0108】
図11および
図12においては、吸湿膨張前を破線で示し、吸湿膨張後を実線で示す。ここでは、ベース絶縁層51およびカバー絶縁層55が湿度を80%を吸収した場合の解析結果を示す。
【0109】
フレキシャ40Aでは、
図11に示すように、本体部F1から離れるに従い、第3方向Zにおける位置が小さくなることが確認された。言い換えると、吸湿膨張後に端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65に近づくように接続部F3が変形することが確認された。
【0110】
一方、フレキシャ400では、
図12に示すように、本体部F1から離れるに従い、第3方向Zにおける位置が大きくなることが確認された。言い換えると、吸湿膨張後に端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65から離れるように接続部F3が変形することが確認された。
【0111】
このように、解析結果において、本実施形態に係るフレキシャ40Aであれば、吸湿膨張後に端子部F2Aが圧電素子63Aの電極65に近づくように接続部F3が変形することが確認された。
【0112】
ここでは、本実施形態におけるフレキシャ40Aの解析結果を示したが、第1実施形態におけるフレキシャ40であっても、本実施形態と同様の効果を示す結果を得ることができる。すなわち、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
[第3実施形態]
図13は、本実施形態に係るフレキシャ40Bの接続部を示す概略的な断面図である。本実施形態においては、ベース絶縁層51のベース部分512をポリイミドエッチングによって形成している。この場合、ベース部分512に位置する面52Aは、ベース部分511およびベース部分513に位置する面52Aよりも上方に位置している。
【0114】
カバー部分552の第2層73の面74Bは、
図13に示す例において、カバー部分551およびカバー部分553に位置する第1層71の面72Bよりも上方に位置している。
【0115】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。ベース絶縁層51は、ポリイミドエッチングと第1実施形態において説明した諧調マスクとを組み合わせることによって形成してもよい。ベース絶縁層51は、上述の各実施形態において説明した方法以外の方法によって形成してもよい。
【0116】
以上の実施形態にて開示した発明を実施するにあたっては、ベースプレート、ロードビーム、フレキシャの形状などの具体的な態様をはじめとして、ディスク装置用サスペンションを構成する各要素の具体的な態様を種々に変更できる。
【0117】
上述の各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削減してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【0118】
なお、ベース絶縁層51のベース部分512は、第2方向Yにおいて、カバー絶縁層55のカバー部分552よりも厚さが小さい部分を複数有してもよい。同様に、カバー絶縁層55のカバー部分552は、第2方向Yにおいて、ベース絶縁層51のベース部分512よりも厚さが大きい部分を複数有してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…ディスク装置、10…サスペンション、20…ベースプレート、30…ロードビーム、40…フレキシャ、41…メタルベース、50…配線部、51…ベース絶縁層、511,512,513…ベース部分、52A,52B…面、53…導体層、55…カバー絶縁層、551,552,553…カバー部分、63A…圧電素子、65…電極、83…接着部材、F1…本体部、F2A…端子部、F3…接続部、H1…貫通孔。