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  • 特開-歯刺激用器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132560
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】歯刺激用器具
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61C19/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043373
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】523055237
【氏名又は名称】株式会社ココマハロアシヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】播磨 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】播磨 明子
(72)【発明者】
【氏名】山口 順也
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052AA20
4C052MM10
(57)【要約】
【課題】使用者が手にもって操作するだけで簡単、気軽に使用することもでき、主として歯の側面や縁に振動を与えて刺激することで、身体の各部や筋肉と関係している脳に刺激を与えることができ、これによって歯の食いしばりの改善や除去、身体の各部における種々の症状を緩和、改善できる歯刺激用器具の提供を課題とする。
【解決手段】歯30に振動を与えて歯30を刺激する歯刺激用器具1であって、手で持って操作するための把持部10と、把持部10と連結される歯接触部20とを備え、歯接触部20が、所定長さを有する棒状部材で形成されるネック21部と、ネック部21の先端の所定位置に取り付けられるヘッド部22とで構成されると共に、ヘッド部22は、一面が多角形の多面体又は球体で構成され、且つ幅が3mm~5mm程度の大きさである歯刺激用器具である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯に振動を与えて歯を刺激する歯刺激用器具であって、手で持って操作するための把持部と、前記把持部と連結される歯接触部とを備え、前記歯接触部が、所定長さを有する棒状部材で形成されるネック部と、前記ネック部の先端の所定位置に取り付けられるヘッド部とで構成されると共に、前記ヘッド部は、一面が多角形の多面体又は球体で構成され、且つ幅が3mm~5mm程度の大きさであることを特徴とする歯刺激用器具。
【請求項2】
ネック部は、末端側から先端側に向かって径が細くなると共に、先端から所定領域が軸線に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の歯刺激用器具。
【請求項3】
ネック部は、断面が正六角形又は正八角形で構成されると共に、傾斜している所定領域における内側の面の先端にヘッド部を取り付けてあり、ヘッド部は、正多面体で構成されることを特徴とする請求項2に記載の歯刺激用器具。
【請求項4】
ネック部は、把持部に対して着脱自在であると共に、把持部が電気振動又は音波振動を発生させる振動機構を備えるものであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の歯刺激用器具。
【請求項5】
ヘッド部の最表面にダイヤモンド被覆層を備えることを特徴とする請求項4に記載の歯刺激用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯に振動を与えて歯を刺激する歯刺激用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
無意識のうちに行う食いしばりに悩む人は多くいる。このような食いしばりを継続的に行うと、歯に大きな負担がかかり、歯を損傷させることとなる。そこで、従来から食いしばり防止具としてマウスピースが用いられている。このようなマウスピースは、装着することで食いしばりによって歯にかかる負担を軽減させることができ、歯の損傷を抑制することができるというものである。
このようなマウスピースを示す従来技術として、例えば、下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-206790号公報
【特許文献2】特許第3066415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、歯ぎしり防止具に関する技術で、お湯につけて各自に適した形状に成形して使用することができ、誰でも家庭や旅行先において簡単に食いしばりを防止することができるというメリットがある。
しかしながら、上記特許文献1のマウスピースでは、食いしばりを行うこと自体を抑制するという根本的な課題を解決することができないという問題があった。また、マウスピースを噛むことが癖となって歯の損傷を逆に促進させてしまう場合があるという問題もあった。よって、食いしばりを根本的、意識的に止めさせることができる技術の開発が望まれている。
一方、身体の各種症状を緩和、改善するために、歯と密接に関連する三叉神経に着目し、歯に刺激を与えることで三叉神経を介して大脳を刺激し、身体の各種症状を緩和、改善するという従来技術もあった。このような従来技術を示すものとして、上記特許文献2がある。
上記特許文献2は、治療装置に関する技術で、歯に装着した歯装着体の各刺激伝達素子によって、歯を部位選択的に刺激することにより、自立神経系、特に交換神経系及び副交感神経系を刺激して、身体を緊張させたり、リラックスさせたりすることができるというメリットがある。また、歯根膜を介して三叉神経に刺激を伝達させ、大脳を刺激することで脳内物質量並びに脳機能を増大させることができるというメリットがある。
しかしながら、上記特許文献1に示す技術においては、歯に装着可能とした歯装着体に、歯に刺激を与えるための刺激伝達素子を複数設けることで治療装置が形成されているものであることから、装置が複雑化、大型化すると共に、使用者が手に持って操作するだけで簡単、気軽に使用することができないという問題があった。更に、歯装着体に上下顎用歯牙当接面を形成し、同上下顎用歯牙当接面に刺激伝達素子の上下部を露出させる構成であることから、歯の咬合面に刺激を与えることができるものの、歯の側面や歯の縁に刺激を効果的に与えることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記従来における問題点を解決し、使用者が手にもって操作するだけで簡単、気軽に使用することが可能で、主として歯の側面や縁に振動を与えて刺激することで、身体の各部や筋肉と関係している脳に刺激を与えることができると共に、潜在意識にも働きかけることができ、これによって歯の食いしばりの改善や除去ができ、また身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の症状を緩和、改善でき、更に身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の炎症や痛みの防止もできる歯刺激用器具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の歯刺激用器具は、歯に振動を与えて歯を刺激する歯刺激用器具であって、手で持って操作するための把持部と、前記把持部と連結される歯接触部とを備え、前記歯接触部が、所定長さを有する棒状部材で形成されるネック部と、前記ネック部の先端の所定位置に取り付けられるヘッド部とで構成されると共に、前記ヘッド部は、一面が多角形の多面体又は球体で構成され、且つ幅が3mm~5mm程度の大きさであることを第1の特徴としている。
また、本発明の歯刺激用器具は、上記第1の特徴に加えて、ネック部は、末端側から先端側に向かって径が細くなると共に、先端から所定領域が軸線に対して傾斜していることを第2の特徴としている。
また、本発明の歯刺激用器具は、上記第2の特徴に加えて、ネック部は、断面が正六角形又は正八角形で構成されると共に、傾斜している所定領域における内側の面の先端にヘッド部を取り付けてあり、ヘッド部は、正多面体で構成されることを第3の特徴としている。
また、本発明の歯刺激用器具は、上記第1~第3の何れか1つの特徴に加えて、ネック部は、把持部に対して着脱自在であると共に、把持部が電気振動又は音波振動を発生させる振動機構を備えるものであることを第4の特徴としている。
また、本発明の歯刺激用器具は、上記第4の特徴に加えて、ヘッド部の最表面にダイヤモンド被覆層を備えることを第5の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記第1の特徴による歯刺激用器具によれば、使用者が手にもって操作するだけで簡単、気軽に使用することが可能で、主として歯の側面や縁に振動を与えて刺激することで、身体の各部や筋肉と関係している脳に刺激を与えることができると共に、潜在意識にも働きかけることができ、これによって歯の食いしばりの改善や除去ができ、また身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の症状を緩和、改善でき、更に身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の炎症や痛みの防止もできる。
【0008】
また、上記第2の特徴による歯刺激用器具によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、口腔内に入れ易く、舌側面に当接させ易い歯刺激用器具とすることができる。
【0009】
また、上記第3の特徴による歯刺激用器具によれば、上記第2の特徴による作用効果に加えて、ネック部の断面を正六角形又は正八角形とすることで、正六角形又は正八角形の辺の部分(いわゆるエッジの部分)で歯の縁を効果的に刺激することができる。また、傾斜している所定領域における内側の面の先端にヘッド部を取り付けてあることで、舌側面や歯ぐきにヘッド部を当接させ易くなり、舌側面や歯ぐきに一段と効果的に刺激を与えることが可能な歯刺激用器具とすることができる。更に、ヘッド部の形状を正多面体で構成することで、正多面体の辺の部分(いわゆるエッジの部分)、頂点の部分、面の部分で歯の側面や縁、歯ぐきに一段と効果的に刺激を与えることができる歯刺激用器具とすることができる。
【0010】
また、上記第4の特徴による歯刺激用器具によれば、上記第1~第3の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、使用者が手にもって操作するだけで簡単、気軽に歯や歯ぐきに振動を与えて刺激することが可能な歯刺激用器具とすることができる。また、歯科医や歯科衛生士が使用する場合においては、患者毎に歯接触部を容易に取り換えて使用することができ、衛生的で作業効率の良い歯刺激用器具とすることができる。
【0011】
また、上記第5の特徴による歯刺激用器具によれば、上記第4の特徴による作用効果に加えて、ヘッド部の最表面にダイヤモンド被覆層を備える構成とすることで、一段と確実に歯や歯ぐきに振動を与えることが可能な歯刺激用器具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る歯刺激用器具を示す全体正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る歯刺激用器具における歯接触部を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図3】本発明の実施形態に係る歯刺激用器具における歯接触部を示す図で、(a)は左側面図、(b)は平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る歯刺激用器具における歯接触部と口腔内の下方側を示す図で、(a)は歯接触部の斜視図、(b)は口腔内の下方側の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態に係る歯刺激用器具を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではない。
【0014】
本発明の実施形態に係る歯刺激用器具1は、使用者が手にもって操作するだけで簡単、気軽に使用することが可能で、主として図4(b)に示す歯30の側面(舌側面31、頬側面32)や縁33、歯ぐき34に振動を与えて刺激することで、身体の各部や筋肉と関係している脳に刺激を与えることができると共に、潜在意識にも働きかけることができ、これによって歯の食いしばりの改善や除去ができ、また身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の症状を緩和、改善でき、更に身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の炎症や痛みの防止もできるものである。
この歯刺激用器具1は、図1に示すように、把持部10と、歯接触部20とで構成される。
【0015】
前記把持部10は、歯刺激用器具1を手で持って操作するためのものである。
本実施形態においては、樹脂素材で形成されると共に、内部に音波振動を発生する音波振動機構を備え、スイッチ11によって振動を開始、停止させることができる構造を備えるもの(汎用されている音波歯ブラシの把持部と同様の構造を備えるもの)を用いる構成としてある。また、図示していないが、把持部10の先端には、音波振動を歯接触部20に伝達させるためのシャフト部(汎用されている音波歯ブラシのシャフト部と同様のもの)を備え、このシャフト部に歯接触部20を着脱自在に取り付ける構造となっている。
勿論、把持部10の構成はこのような構成に限るものではなく適宜変更可能である。例えば、内部に電気振動を発生する電気振動機構(汎用されている電動歯ブラシが備える電気振動機構と同様のもの)を備えるものであってもよいし、振動を発生させる振動機構を内部に備えないものであってもよい。しかしながら、使用時の利便性や効果の大小を考慮すれば、音波振動を発生させる音波振動機構を内部に備えるものを用いることが望ましく、音波振動の振動数は、31,000回/分(516Hz~517Hz)程度のものを用いることが望ましい。
【0016】
前記歯接触部20は、歯30と当接して歯30に振動を与えて刺激するためのものである。
この歯接触部20は、図1図4(a)に示すように、ネック部21とヘッド部22とで構成される。
【0017】
前記ネック部21は、所定長さを有する棒状部材で形成され、主としてヘッド部22を取り付けるための土台となるものである。また、把持部10で発生される音波振動をヘッド部22に伝達すると共に、図3(a)に示す先端領域Sにおいては、歯30に当接させて歯を刺激する刺激部としても機能するものである。
本実施形態においては、図3(b)に簡略化して示すように、ネック部21の構造として、断面が正六角形でエッジ21a、当接面21bを備えると共に、図3(a)に示す末端領域Mから中央領域Cを経て先端領域Sに向かって径が細くなる構造としてある。更に、図3(a)に示すように、先端領域Sを二点鎖線で示す軸線に対して傾斜させる構成としてある。
【0018】
更に、図1図3に示すように、末端領域Mには、ネック部21の外面を水平方向に所定長さ膨出させてなる凸部21cを所定の間隔を空けて上下に2つ設ける構成としてある。この凸部21cは、歯接触部20を把持部10に着脱させる際の持ち手となるものである。なお本実施形態においては、図1図3に示すように、ネック部21の内側の面には凸部21cを設けない構成としてある。ここで、「内側」とは、図3(a)に黒塗り矢印で示す先端領域Sが傾斜している側を内側とし、先端領域Sが傾斜している側とは反対側を外側とするものである。
また、図4(a)に示すように、ネック部21の末端側には、把持部10の図示しないシャフト部を嵌合させるための把持部挿入用孔21dを設けてある。なお、図示していないが、把持部挿入用孔21dの内部の形状は、シャフト部を確実に嵌合させてシャフト部の振動を適切に受けることができるもの(使用時に問題が生じないもの)であれば、シャフト部の形状に合わせて適宜変更可能である。
なお、図3(a)に示す末端領域Mの長さRは2cm程度で太さは10mm程度、中央領域Cの長さQは1.5cm程度で太さは6mm程度、先端領域Sの長さは1.5cm程度で太さは5mm程度とすることが望ましい。
また、このネック部21を形成する素材としては、ABS樹脂など、汎用されている音波歯ブラシにおける本発明のネック部21に当たる部分に使用されている素材と同様のものを用いることが望ましい。しかしながら、歯30と当接することになる先端領域Sにおいては、最表面にダイヤモンド被覆層を設ける構成としてもよい。
【0019】
前記ヘッド部22は、ネック部21の先端の所定領域に取り付けられて歯30に振動を与えて刺激するためのものである。
本実施形態においては、図1図4に一部を示すように、エッジ22a、当接面22bを備える正多面体である正十二面体(一面が正五角形)でヘッド部22を形成する構成としてある。
また、図3(a)に示すように、ネック部21の傾斜している先端領域Sにおける内側の面の先端にヘッド部22を取り付ける構成としてある。言い換えれば、ネック部21の先端領域Sの軸心から偏心させた位置にヘッド部22を設ける構成としてある。
なお、ヘッド部22の幅(ヘッド部22の大きさ)は、3mm~5mm程度とすることが望ましい。
【0020】
勿論、ヘッド部22の構成はこのような構成に限るものではなく適宜変更可能である。例えば正四面体(一面が正三角形)、正六面体(一面が正方形)、正八面体(一面が正三角形)、正二十面体(一面が三角形)でヘッド部22を形成する構成としてもよいし、正多面体ではない一面が多角形の多面体でヘッド部22を形成する構成としてもよいし、球体でヘッド部22を形成する構成としてもよい。しかしながら、歯30に与える効果を考慮すれば、好適には、正十二面体でヘッド部22を形成する構成とすることが望ましい。
また、正十二面体の向きや配置位置も本実施形態の構成に限るものではなく、適宜変更可能である。例えば、傾斜している先端領域Sの内側の面や外側の面ではなく、先端領域Sにつづく先(先端領域Sの軸心上)にヘッド部22を取り付ける構成としてもよい。
【0021】
なお、ヘッド部22を形成する素材としては、ネック部21と同じ素材を用いることが望ましいが、これに限らずネック部21と異なる素材を用いる構成としてもよい。ネック部21と同じ素材を用いる場合においては、例えば、射出成形よりネック部21とヘッド部22とを一体成形することができる。
更に、ヘッド部22の最表面にダイヤモンド被覆層を設ける構成としてもよい。
【0022】
次に、図4(b)を参照しつつ、このような構成からなる本発明の実施形態に係る歯刺激用器具1の使用方法を説明する。
なお、以下の説明においては、図4(b)を用いて口腔内の下方側の歯や歯ぐきに対して使用する場合の使用方法を説明するが、口腔内の上方側の歯や歯ぐきに対して使用する場合も下記と同様の使用方法となる。
歯30の舌側面31の縁33(上側の辺縁)、頬側面32の縁33(上側の辺縁)に対しては、把持部10のスイッチ11をオンにし、ネック部21の先端領域Sのエッジ21a或いは当接面21bを使用して振動を与えて刺激する。より具体的には、舌側面31の縁33、頬側面32の縁33に対して、先端領域Sのエッジ21a或いは当接面21bを当接させた状態で手前側から奥側へ、奥側から手前側へ往復移動させる(往復移動はこの逆でもよい)。この動作を目的の歯に対して1回~数回繰り返す。
また、歯30の舌側面31、頬側面32、歯ぐき34に対しては、把持部10のスイッチ11をオンにし、図3に示すヘッド部22のエッジ22a、当接面22b、頂点22cを使用して振動を与えて刺激する。より具体的には、舌側面31、頬側面32に対して、エッジ22a、当接面22b、頂点22cの少なくとも一つを当接させた状態で下側から上側へ移動させる。この動作を目的の歯に対して1回~数回繰り返す。また、歯ぐき34に対して、エッジ22a、当接面22b、頂点22cの少なくとも一つを当接させた状態で手前側から奥側へ、奥側から手前側へ往復移動させる(往復移動はこの逆でもよい)。この動作を目的の歯ぐきに対して1回~数回繰り返す。
【0023】
このような構成からなる本発明の実施形態に係る歯刺激用器具1は、以下の効果を奏する。
【0024】
手で持って操作するための把持部10と、把持部10と連結される歯接触部20とを備え、歯接触部20が、所定長さを有する棒状部材で形成されるネック部21と、ネック部21の先端の所定位置に取り付けられるヘッド部22とで構成されると共に、ヘッド部22は、幅(大きさ)が3mm~5mm程度の正十二面体で構成されることで、使用者が手に持って操作するだけで簡単、気軽に歯30の側面(舌側面31、頬側面32)や縁33、歯ぐき34に振動を与えて刺激することができる。これによって、三叉神経を介して身体の各部や筋肉と関係している脳に刺激を与えることができると共に、潜在意識にも働きかけることができ、これによって歯の食いしばりの改善や除去ができ、また身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の症状を緩和、改善でき、更に身体の各部や内臓、脳の各部、神経部分における種々の炎症や痛みの防止もできる歯刺激用器具1とすることができる。
また、ヘッド部22の幅(大きさ)を3mm~5mm程度とすることで、目的の歯30や目的の歯ぐき34以外の余分な部分にヘッド部22が当接することを効果的に防止でき、これによって目的の歯30や目的の歯ぐき34に容易且つ確実に振動を付与可能な歯刺激用器具1とすることができる。
【0025】
また、ネック部21の構成として、末端側から先端側に向かって径が細くなると共に、先端から所定領域(先端領域S)が軸線に対して傾斜している構成とすることで、口腔内に入れ易く、舌側面31や舌側面31側の歯ぐき34に当接させ易い歯刺激用器具1とすることができる。
また、ネック部21に凸部21cを設けることで、歯接触部20の着脱時に作業性の良い歯刺激用器具1とすることができる。
【0026】
また、ネック部21の断面を正六角形とすることで、正六角形の辺の部分であるエッジ21aで歯30の縁33を効果的に刺激することができる。また、傾斜している先端領域Sにおける内側の面の先端にヘッド部22を取り付けてあることで、舌側面31や歯ぐき34にヘッド部22を一段と当接させ易くなり、一段と効果的に刺激を与えることが可能な歯刺激用器具1とすることができる。更に、ヘッド部22の形状を正十二面体で構成することで、正十二面体の辺の部分であるエッジ22a、当接面22b、頂点22cで歯30の側面や縁33、歯ぐき34に一段と効果的に刺激を与えることができる歯刺激用器具1とすることができる。つまり、歯30の側面や縁33、歯ぐき34に対する当接範囲(当接面積)が異なる三種類のエッジ22a、当接面22b、頂点22cを用いてバリエーションの異なる刺激を歯30の側面や縁33、歯ぐき34に与えることができる。加えて、ヘッド部22の形状を正十二面体とすることで、ヘッド部22の向きを変えて歯30や歯ぐき34に刺激を与える場合においても、正十二面体における異なる面のエッジ22a、当接面22b、頂点22cでも等しい刺激を与えることができる或いは与え易い歯刺激用器具1とすることができる。これによって、万人にとって一段と容易に使用可能な歯刺激用器具1とすることができる。このような効果は、使用者が歯科医や歯科衛生士ではなく、歯30や歯ぐき34に関する専門的な知識を持ち合わせていない、いわゆる一般人が使用者となる場合において特に有効なものである。
【0027】
また、ネック部21は、把持部10に対して着脱自在であると共に、把持部10が音波振動を発生させる振動機構を備えるものであることで、使用者が手に持って操作するだけで簡単、気軽に歯30や歯ぐき34に振動を与えて刺激することが可能な歯刺激用器具1とすることができる。従って、家庭に一台置いておくだけで、簡単、気軽に歯の食いしばりの改善や除去ができると共に、健康の維持、増進を図ることができる。また、歯科医や歯科衛生士が使用する場合においては、患者毎に歯接触部20を容易に取り換えて使用することができ、衛生的で作業効率の良い歯刺激用器具1とすることができる。
【0028】
また、ヘッド部22の最表面やネック部21の先端領域Sの最表面にダイヤモンド被覆層を備える構成とすれば、ヘッド部22や先端領域Sの硬度を高めることができ、これによって一段と確実に歯30や歯ぐき34に振動を与えることが可能な歯刺激用器具1とすることができる。
【0029】
なお、既述した本発明の実施形態における歯刺激用器具1の使用方法においては、歯30の舌側面31の縁33、頬側面32の縁33に対して歯刺激用器具1を使用する場合は、先端領域Sのエッジ21a或いは当接面21bを当接させた状態で手前側から奥側へ、奥側から手前側へ往復移動させる使用方法としたが、必ずしもこのような使用方法に限らず、手前側から奥側への一方向或いは奥側から手前側への一方向だけ移動させるような使用方法としてもよい。
同様に、既述した本発明の実施形態における歯刺激用器具1の使用方法においては、歯ぐき34に対して歯刺激用器具1を使用する場合は、エッジ22a、当接面22b、頂点22cの少なくとも一つを当接させた状態で手前側から奥側へ、奥側から手前側へ往復移動させる使用方法としたが、必ずしもこのような使用方法に限らず、手前側から奥側への一方向或いは奥側から手前側への一方向だけ移動させるような使用方法としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、使用者が操作するだけで簡単、気軽に使用することができ、主として歯の側面や縁に振動を与えて刺激することで、身体の各部や筋肉と関係している脳に刺激を与えることができ、これによって歯の食いしばりの改善や除去、身体の各部における種々の症状を改善できることから、歯刺激用器具の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0031】
1 歯刺激用器具
10 把持部
11 スイッチ
20 歯接触部
21 ネック部
21a エッジ
21b 当接面
21c 凸部
21d 把持部挿入用孔
22 ヘッド部
22a エッジ
22b 当接面
22c 頂点
30 歯
31 舌側面
32 頬側面
33 縁
34 歯ぐき
C 中央領域
M 末端領域
P 長さ
Q 長さ
R 長さ
S 先端領域
図1
図2
図3
図4