(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132564
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240920BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/58 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043382
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青田 正司
【テーマコード(参考)】
4M104
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB14
4M104BB17
4M104BB30
4M104BB32
4M104CC05
4M104DD03
4M104DD04
4M104EE03
4M104EE09
4M104EE16
4M104EE17
4M104FF07
4M104FF08
4M104GG09
4M104HH20
5F140BA01
5F140BD11
5F140BF05
5F140BF06
5F140BF10
5F140BF42
5F140BG04
5F140BG09
5F140BG11
5F140BG12
5F140BG14
5F140BG49
5F140BG52
5F140BH15
5F140BH35
5F140BJ27
5F140BK05
5F140BK14
5F140CC03
5F140CE07
(57)【要約】
【課題】ゲート電極の形成不良を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、ゲート電極と、ゲート電極の側壁を覆う酸化層と、酸化層を介してゲート電極の側壁を覆う窒化層と、を備え、ゲート電極は、下端部よりも上端部の幅が広い導電層の単体であり、酸化層は、ゲート電極の下端部を覆う部分において、ゲート電極の上端部を覆う部分よりも厚い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁を覆う酸化層と、
前記酸化層を介して前記ゲート電極の側壁を覆う窒化層と、を備え、
前記ゲート電極は、
下端部よりも上端部の幅が広い導電層の単体であり、
前記酸化層は、
前記ゲート電極の下端部を覆う部分において、前記ゲート電極の上端部を覆う部分よりも厚い、
半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート電極は、
第1の幅を有する第1の領域と、
前記第1の領域の上方に位置し、前記第1の幅より広い第2の幅を有する第2の領域と、を含み、
前記第1の領域から前記第2の領域へと至る側壁部分に段差を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記酸化層は、
前記第1の領域の側壁部分に設けられた第1の酸化層と、
前記第2の領域の側壁部分に設けられ、少なくとも前記第1の酸化層よりも第1の導電型の不純物を多く含有する第2の酸化層と、を含む、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極の側壁は、
上方へ向かって広がっていくテーパ形状を少なくとも一部に有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記酸化層は、
前記ゲート電極のテーパ部分の下端部を覆う部分から上端部を覆う部分へ向かって含有量が低下していく第1の導電型の不純物を含む、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1の導電型の不純物の含有量が異なる第1及び第2の半導体層をこの順に基板上に形成し、
前記基板の面に沿う第1の方向に延びるライン状に、前記第1及び第2の半導体層を加工し、
ライン状に加工された前記第1及び第2の半導体層の延伸方向と交差する第2の方向の両側の側壁を、前記不純物の含有量に応じた酸化速度で酸化して、前記第1の半導体層の側壁を覆う第1の酸化層と、前記第2の半導体層の側壁を覆う第2の酸化層とを形成し、
酸化処理後の前記第1及び第2の半導体層の側壁を覆う窒化層を形成し、
前記第1及び第2の半導体層を除去して、前記窒化層で挟まれた領域に空隙を形成し、
前記空隙に導電層を充填してゲート電極を形成する、
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の半導体層における前記不純物の含有量を前記第2の半導体層よりも高め、あるいは、前記第2の半導体層には前記不純物を添加せず、前記第1の半導体層の酸化速度を前記第2の半導体層よりも高めて、酸化後の前記第1の半導体層の前記第2の方向の幅を、酸化後の前記第2の半導体層の前記第2の方向の幅よりも狭くする、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の半導体層における前記不純物の含有量を前記第2の半導体層よりも低くし、あるいは、前記第1の半導体層には前記不純物を添加せず、前記第1の半導体層の酸化速度を前記第2の半導体層よりも低くして、酸化後の前記第1の半導体層の前記第2の方向の幅を、酸化後の前記第2の半導体層の前記第2の方向の幅よりも広くする、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
酸化後の前記第1の半導体層を含む前記第1の酸化層の前記第2の方向の幅を、酸化後の前記第2の半導体層を含む前記第2の酸化層の前記第2の方向の幅よりも狭くする、
請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の半導体層を除去するとともに、前記第1及び第2の酸化層を除去する、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSトランジスタ等を含む半導体装置では、リプレースメント技術を用いてゲート電極が形成される場合がある。リプレースメント技術によれば、ポリシリコン層等の犠牲層で形成した仮の電極構造を位置決めに用いて基板中に不純物を拡散させる。その後、この電極構造を覆う窒化層等を形成して犠牲層を除去し、窒化層内に生じた空隙に金属層等の導電層を充填してゲート電極を形成する。
【0003】
しかしながら、空隙内に犠牲層残りが生じたり、空隙内への導電層の充填が不完全となってボイドが生じたりといった、ゲート電極の形成不良が発生してしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0214987号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0269644号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、ゲート電極の形成不良を抑制することができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、ゲート電極と、前記ゲート電極の側壁を覆う酸化層と、前記酸化層を介して前記ゲート電極の側壁を覆う窒化層と、を備え、前記ゲート電極は、下端部よりも上端部の幅が広い導電層の単体であり、前記酸化層は、前記ゲート電極の下端部を覆う部分において、前記ゲート電極の上端部を覆う部分よりも厚い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
【
図2】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図3】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【
図4】比較例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
【
図5】実施形態1にかかる半導体装置の製造方法に用いられる酸化処理により形成される酸化シリコン層の厚さと不純物の濃度との関係を示すグラフ。
【
図6】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
【
図7】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
【
図8】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の構成の他の例を示す断面図。
【
図9】実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の構成の更に他の例を示す断面図。
【
図10】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
【
図11】実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
【
図12】実施形態2にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
【
図13】実施形態2にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0010】
(半導体装置の構成)
図1は、実施形態1にかかる半導体装置100の構成の一例を示す断面図である。なお、本明細書において、後述するトランジスタ10等が形成される基板110の面を上面とし、トランジスタ10のゲート電極150に接続されるコンタクトCGの延伸方向において、ゲート電極150との接続端が半導体装置1の下方側であるものとする。
【0011】
また、以下の図面において、X方向およびY方向はいずれも基板110の上面に沿う方向であり、互いに直交している。また、本明細書において、以下に述べるゲート電極150の延伸方向を第1の方向とも呼ぶことがある。第1の方向は、例えばY方向に沿う方向である。また、本明細書において、ゲート電極150の延伸方向と交差するゲート長Lに沿う方向を第2の方向とも呼ぶことがある。第2の方向は、例えばX方向に沿う方向である。
【0012】
図1に示すように、半導体装置100は、基板110上に設けられた、トランジスタ10、層間絶縁層160、及びコンタクトCG.CSを備える。
【0013】
基板110は、例えばシリコン基板等の半導体基板である。基板110におけるトランジスタ10の形成領域には、所定の導電型の不純物が拡散され、ソース/ドレイン領域112を形成している。トランジスタ10直下の領域を含め、ソース/ドレイン領域112の外縁部に、ソース/ドレイン領域112よりも不純物の濃度が高いハロー(Halo)領域113が形成されていてもよい。
【0014】
基板110上には、ソース/ドレイン領域112の一部領域と上下方向に重なり合うように、トランジスタ10が設けられている。トランジスタ10は、ゲート電極150、ゲート絶縁層120、及びスペーサ層131,132,140を備える。ただし、ソース/ドレイン領域112及びハロー領域113をトランジスタ10の構成に含めてもよい。
【0015】
ゲート電極150は、例えばチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、及びチタンアルミニウム(AlTi)の少なくともいずれかを含む金属層である。
【0016】
ゲート電極150は、基板110の上面に沿って所定方向に基板110上を延びるライン状に構成されている。ゲート電極150の延伸方向と交差する方向において、ゲート電極150の上端部の幅は、ゲート電極150の下端部の幅よりも広い。なお、ゲート電極150の延伸方向と交差する方向におけるゲート電極150の下端部の幅をゲート長Lとも呼ぶ。ゲート電極150の下端部は、両端部においてそれぞれ、ソース/ドレイン領域112の一部領域と上下方向に重なり合っている。
【0017】
ゲート電極150は、より具体的には、ゲート長Lに沿う方向に第1の幅としての所定幅を有し、下端部から所定の高さ位置に至る下部領域150aと、下部領域150aの幅よりも総じて広い第2の幅としての所定幅を有し、下部領域150aの上端部からゲート電極150の上端部に至る上部領域150bと、を含む。第1の領域としての下部領域150aと、第2の領域としての上部領域150bとの境界部分では、ゲート電極150の幅は不連続に変化する。これにより、ゲート電極150は、下部領域150aと上部領域150bとの境界部分の側壁に段差を有する。
【0018】
ゲート絶縁層120は、例えば酸化ハフニウム、及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれかを含むHigh-k絶縁層である。ゲート絶縁層120は、ゲート電極150の側壁および下端部を覆っている。すなわち、ゲート電極150は、ゲート絶縁層120を介して基板110上に設けられている。
【0019】
このように、トランジスタ10は、例えばHigh-k絶縁層のゲート絶縁層を備えるメタルゲート構造を有している。
【0020】
酸化層としてのスペーサ層131,132は、例えば酸化シリコン層等であって、スペーサ層131,132のうちスペーサ層131は、所定の導電型の不純物を含んでいる。不純物としては、ボロン等のP型の不純物、または、ホウ素およびヒ素等のN型の不純物のいずれであってもよく、これらの不純物の少なくとも1つであってよい。
【0021】
第1の酸化層としてのスペーサ層131は、ゲート電極150の下部領域150a部分の側壁を所定の厚さで覆っている。第2の酸化層としてのスペーサ層132は、スペーサ層131よりも薄く、ゲート電極150の上部領域150b部分の側壁を覆っている。ゲート長Lに沿う方向において、ゲート電極150を含めたスペーサ層131の幅は、ゲート電極150を含めたスペーサ層132の幅よりも総じて広い。
【0022】
窒化層としてのスペーサ層140は、窒化シリコン層等であり、スペーサ層131,132を介してゲート電極150の側壁を覆っている。スペーサ層140が、窒化シリコン層の他、酸窒化シリコン層等の異種層を含む多層構造を有していてもよい。
【0023】
層間絶縁層160は、例えば酸化シリコン層等であって、基板110上に設けられたトランジスタ10の全体を覆う。層間絶縁層160は、充分な厚さでトランジスタ10を覆うことで、平坦な上面を有している。層間絶縁層160の形成後、上面が平坦化されていてもよい。
【0024】
コンタクトCG,CSは、それぞれトランジスタ10の各部に接続される。コンタクトCGは、層間絶縁層160を貫通して、トランジスタ10のゲート電極150の上端部に接続されている。コンタクトCSは、層間絶縁層160を貫通して、基板110の表面のソース/ドレイン領域112にそれぞれ接続されている。ソース/ドレイン領域112の表面に図示しないサリサイド層が設けられることにより、コンタクトCSがこれらのサリサイド層を介してソース/ドレイン領域112に接続されていてもよい。
【0025】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図2及び
図3を用いて、実施形態1の半導体装置1の製造方法について説明する。
図2及び
図3は、実施形態にかかる半導体装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。
【0026】
図2(a)に示すように、シリコン基板等の基板110の上方に、犠牲層171,172及びキャップ層180をこの順に形成する。第1の半導体層としての犠牲層171は、例えば所定の導電型の不純物を含むポリシリコン層等である。第2の半導体層としての犠牲層172は、例えば不可避不純物を除き、不純物が添加されないノンドープのポリシリコン層等である。キャップ層180は、例えば窒化シリコン層等である。
【0027】
犠牲層171に添加する不純物としては、ボロン等のP型の不純物、または、ホウ素およびヒ素等のN型の不純物のいずれであってもよく、これらの不純物の少なくとも1つであってよい。このような不純物を添加しつつ、ポリシリコン層等を成膜することで、所定の含有量で不純物を含む犠牲層171が得られる。このとき、犠牲層171中の不純物の濃度としては、例えば1×1019atoms/cm3以上であることが好ましい。
【0028】
これらの犠牲層171,172及びキャップ層180は、基板110の上面に沿って所定方向に基板110上を延びるライン状に加工されている。このような犠牲層171,172及びキャップ層180は、基板110の全面を覆うこれらの層を形成した後、レジストパターン等を介してこれらの層を、RIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングにより加工することで得られる。
【0029】
RIE等の異方性エッチングを用いることで、これらの犠牲層171,172の延伸方向と交差する方向における幅が、上端部から下端部に向かって広がっていくテーパ形状、または、上端部と下端部とで略等しいストレート形状となった犠牲層171,172が得られる。
【0030】
図2(b)に示すように、酸素等の酸化雰囲気中でアニール処理を行うことにより、犠牲層171,172の側壁部分を酸化させる。このとき、所定の導電型の不純物を含む犠牲層171は、ノンドープのポリシリコン層等である犠牲層172よりも高い酸化速度で酸化される。一方、犠牲層172の上面は、キャップ層180で覆われているため、上記酸化処理を受けない。
【0031】
これにより、犠牲層171,172の側壁表面から、それぞれ所定深さまで酸化が進行し、未酸化の犠牲層171,172のそれぞれの側壁を覆う酸化シリコン層等のスペーサ層131,132が形成される。つまり、これらのスペーサ層131,132は、犠牲層171,172の側壁が酸化されて形成された層である。
【0032】
上述のように、犠牲層171の酸化速度は比較的高いため、これらの犠牲層171,172の延伸方向と交差する方向において、未酸化の状態で残った犠牲層171の幅は、未酸化の状態で残った犠牲層172の幅よりも狭い。また、犠牲層171の側壁を覆うスペーサ層131は、犠牲層172の側壁を覆うスペーサ層132よりも厚い。
【0033】
また、スペーサ層131,132は、酸化による体積膨張を起こしている。このため、犠牲層171,172の延伸方向と交差する方向において、未酸化の犠牲層171を含めたスペーサ層131の幅は、酸化処理前の犠牲層171の幅よりも広くなっている。同様に、未酸化の犠牲層172を含めたスペーサ層132の幅は、酸化処理前の犠牲層172の幅よりも広くなっている。
【0034】
更に、未酸化の犠牲層171を含めたスペーサ層131の幅は、未酸化の犠牲層172を含めたスペーサ層132の幅よりも広くなる。これらの幅は、スペーサ層131とスペーサ層132との界面の高さ位置で例えば不連続に変化し、スペーサ層131とスペーサ層132との界面の高さ位置には段差が生じている。
【0035】
図2(c)に示すように、基板110の上面に所定の導電型の不純物を注入し、熱によって拡散させる。このとき、犠牲層171,172、スペーサ層131,132、及びキャップ層180によって、これらの構成の直下の基板110には不純物が拡散されない。これにより、犠牲層171,172の形成位置に対して、セルフアライメント方式で不純物の拡散位置が調整されて、基板110の表面にソース/ドレイン領域112が形成される。
【0036】
この後、以下に示すように、基板110にハロー領域113を形成してもよい。
【0037】
図2(d)に示すように、ハロー領域113を形成する際は、犠牲層171,172、スペーサ層131,132、及びキャップ層180の形成位置の基板110に対し、不純物のイオンを斜交させて注入し、熱拡散させる。このとき、ソース/ドレイン領域112自体も、犠牲層171,172の下方領域に若干延伸してもよい。これにより、ソース/ドレイン領域112の外縁部に、ソース/ドレイン領域112よりも不純物の濃度が高いハロー領域113が形成される。
【0038】
このように、基板110に不純物の斜交イオンを注入してハロー領域113を形成する際、犠牲層171,172の側壁を覆うスペーサ層131,132を、後にゲート電極150直下となる領域を避けて不純物を注入させるためのオフセットスペーサとして機能させることができる。
【0039】
図2(e)に示すように、スペーサ層131,132を介して、犠牲層171,172の側壁を覆う窒化シリコン層等のスペーサ層140を形成する。スペーサ層140は、直接的にキャップ層180の側壁をも覆う。
【0040】
図2(f)に示すように、犠牲層171,172、スペーサ層131,132,140、及びキャップ層180の全体を覆う層間絶縁層160を形成する。
【0041】
図2(g)に示すように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等によって、キャップ層180が除去されるまで層間絶縁層160の表面を研磨する。
【0042】
より詳細には、キャップ層180をストッパ層として、キャップ層180の上面に到達するまで層間絶縁層160を研磨する。その後、キャップ層180が除去されるまで、追加の研磨処理を行う。これにより、スペーサ層132,140に挟まれた犠牲層172が、層間絶縁層160の上面に露出する。
【0043】
このように、キャップ層180は、上述の
図2(b)の酸化処理では、犠牲層172の上面の酸化を抑制する酸化抑制層として機能し、
図2(g)の研磨処理ではストッパ層として機能する。
【0044】
図2(h)に示すように、層間絶縁層160の上面に露出した犠牲層172、及び犠牲層172の下層の犠牲層171を順次除去する。これらの犠牲層171,172は、例えばポリシリコン層等を溶解させる薬液を用いたウェットエッチング等により除去することが可能である。これにより、スペーサ層132,140に挟まれた領域に空隙150gが形成される。この空隙150gは、除去された未酸化部分の犠牲層171,172の形状に対応して、上端部側の幅が下端部側の幅より広く、上端部と下端部との間に段差を有している。
【0045】
図3(a)に示すように、スペーサ層132,140に挟まれた空隙150g内の底面および側壁に、Hihg-k絶縁層等のゲート絶縁層120を形成する。ゲート絶縁層120は略均一な厚さで形成されるため、ゲート絶縁層120を形成した後も、上端部側の幅が下端部側の幅より広く、上端部と下端部との間に段差を有する上記の空隙150gの形状が維持される。
【0046】
図3(b)に示すように、ゲート絶縁層120の更に内側の空隙150g内に、所定の金属層を充填してゲート電極150を形成する。ゲート電極150は、空隙150gの形状に対応する形状に形成される。すなわち、ゲート電極150は、所定幅を有する下部領域150aと、下部領域150aより幅の広い上部領域150bとを含み、これらの下部領域150a及び上部領域150bの界面の高さ位置の側壁に段差を有することとなる。
【0047】
また、これにより、ゲート電極150とゲート絶縁層120とを備えるトランジスタ10が形成される。
【0048】
図3(c)に示すように、露出したゲート電極150等を覆うよう、層間絶縁層160を充分な厚さに積み増しする。このとき、層間絶縁層160の上面をCMP法等により平坦化してもよい。
【0049】
図3(d)に示すように、層間絶縁層160を貫通し、トランジスタ10のゲート電極150、及びソース/ドレイン領域112にそれぞれ到達する複数のコンタクトホールCLg,CLsを形成する。
【0050】
図3(e)に示すように、コンタクトホールCLg,CLs内に導電層を充填して、ゲート電極150に接続されるコンタクトCG、及びソース/ドレイン領域112にそれぞれ接続されるコンタクトCSを形成する。
【0051】
以上により、実施形態1の半導体装置100が製造される。
【0052】
(比較例)
ゲート絶縁層としてHigh-k絶縁層を用いたメタルゲート構造のトランジスタを備える半導体装置が知られている。High-k絶縁層のような誘電率が比較的高い絶縁層を用いることで、ゲート絶縁層を厚く形成して、トランジスタのリーク電流を抑制することができる。
【0053】
High-k絶縁層は、熱による変性を受けやすいため、ソース/ドレイン領域の形成時には、犠牲層を用いた電極構造によりセルフアライメント方式で不純物を基板に注入して熱拡散させる手法が採られる場合がある。しかしながら、犠牲層を金属層等の導電層に置き換えてゲート電極を形成する際に、ゲート電極の形成不良が生じてしまう場合がある。以下の
図4にゲート電極に発生する形成不良の例を示す。
【0054】
図4は、比較例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0055】
図4(a)に示すように、ポリシリコン層等の犠牲層170xと、窒化シリコン層等のキャップ層180xとをこの順に基板110x上に形成する。犠牲層170xは、不純物が添加されないノンドープのポリシリコン層等である。
【0056】
犠牲層170xとキャップ層180xとはライン状に加工されている。このとき、犠牲層170xは、上端部から下端部に向かって幅が広くなるテーパ形状、すなわち、順テーパ形状、またはストレート形状に形成されることが一般的である。
【0057】
図4(b)に示すように、犠牲層170x及びキャップ層180xを用いたセルフアライメント方式で、基板110xに不純物を注入してソース/ドレイン領域112x、及びハロー領域113xを形成する。
【0058】
図4(c)に示すように、犠牲層170xとキャップ層180xとの側壁を覆う窒化シリコン層等のスペーサ層140xを形成する。更に、これらの構成を覆う層間絶縁層160xを形成する。
【0059】
図4(d)に示すように、CMP法等により、キャップ層180xをストッパ層として層間絶縁層160xを研磨し、更に追加研磨によってキャップ層180xを除去する。これにより、層間絶縁層160xの上面に、犠牲層170xの上端部が露出する。
【0060】
この後、犠牲層170xを除去してゲート電極150xを形成する。以下の
図4(e)及び
図4(f)は、ゲート電極150xの形成時に生じうる形成不良の例をそれぞれ示している。
【0061】
図4(e)に示すように、層間絶縁層160xの上面に露出した犠牲層170xを、ウェットエッチング等により除去する。しかしながら、犠牲層170xの上端部の幅は、下端部の幅以下となっている。このため、犠牲層170x下端部の幅方向両端部まで薬液が到達し難く、
図4(e)に示す例では、犠牲層170xが除去されて生じた空隙150gの底面両端部に、犠牲層170xの除去残りが生じている。
【0062】
図4(f)に示すように、犠牲層170x除去後の空隙150gxの底面および側壁にゲート絶縁層120xを形成し、更に、金属層を充填してゲート電極150xを形成する。しかしながら、犠牲層170xの上記形状のため、犠牲層170x下端部の幅方向両端部まで金属層等の原料ガスが到達し難く、
図4(f)に示す例では、空隙150gx内に金属層が充分に充填されず、ゲート電極150x下端部の幅方向両端部にボイド150vが発生している。
【0063】
このように、犠牲層170xの除去残りが発生し、またはゲート電極150xにボイド150vが含まれていると、ゲート電極150x下端部の幅が狭くなり、所望のゲート長が得られない可能性がある。
【0064】
そこで、犠牲層170xをライン状に加工する際に、犠牲層170xを、上端部から下端部に向かって幅が狭くなるテーパ形状、すなわち、逆テーパ形状に形成することも考えられる。しかしながら、犠牲層170xを逆テーパ形状にするためには、例えばRIEにおける反応性を高めて、犠牲層170xの側壁にサイドエッチングを発生させるなど、犠牲層170xにおける加工寸法の制御性が悪化してしまう恐れがある。
【0065】
また、基板110xに不純物を注入してソース/ドレイン領域112x等を形成する際、不純物の透過を抑制するため、犠牲層170xの厚さを確保しなければならない。このようなアスペクト比の高いライン状の形状加工においては、犠牲層170xは、よりいっそう下端部が広がったテーパ形状となりやすい。
【0066】
実施形態1の半導体装置100の製造方法によれば、犠牲層171における不純物の含有量を高め、また、犠牲層172には不純物を添加せず、犠牲層171の酸化速度を犠牲層172よりも高めて、酸化後の犠牲層171の延伸方向と交差する方向の幅を、酸化後の犠牲層172の幅よりも狭くする。
【0067】
上述のように、例えばポリシリコン層等の犠牲層171,172は、不純物の含有量が高くなるほど酸化速度が高まる。したがって、不純物の含有量が異なり、略等しい幅を有する犠牲層171,172を同一条件下で酸化すると、未酸化となって残る犠牲層171,172の幅を異ならせることができる。一例として、不純物の含有量と酸化速度との関係を
図5に示す。
【0068】
図5は、実施形態1にかかる半導体装置100の製造方法に用いられる酸化処理により形成される酸化シリコン層の厚さと不純物の濃度との関係を示すグラフである。
【0069】
図5(a)は、N型不純物として、リン(P)がドープされたシリコン層の酸化により形成される酸化シリコン層の厚さを示すグラフである。
図5(b)は、P型不純物として、フッ化ホウ素の分子イオン(BF
2)がドープされたシリコン層の酸化により形成される酸化シリコン層の厚さを示すグラフである。
【0070】
また、
図5(a)(b)の横軸は、シリコン層に注入する際のそれぞれの不純物の濃度(atoms/cm
2)であり、縦軸は、それぞれのシリコン層の酸化によって形成される酸化シリコン層の厚さ(nm)である。
【0071】
図5(a)(b)に示すように、N型不純物、P型不純物ともに、シリコン層に注入される不純物の濃度が高まるほどシリコン層の酸化速度が高まり、シリコン層から形成される酸化シリコン層の厚さが増大する。
【0072】
不純物添加のこのような特性を利用した上記構成により、上層の犠牲層172が下層の犠牲層171よりも広い幅を有することとなり、例えば犠牲層171,172が除去された後の空隙150gの底面両端部に犠牲層171の除去残りが発生したり、ゲート電極150下端部の幅方向両端部にボイドが発生したりすることが抑制される。
【0073】
犠牲層の単一層を逆テーパ形状に形成する場合と異なり、個々の犠牲層171,172自体は、順テーパ形状またはストレート形状に形成することができるため、加工寸法の制御性を向上させることも可能である。
【0074】
よって、ゲート電極150の形成不良を抑制し、所望のゲート長Lにゲート電極150を形成することができる。
【0075】
また、上記のように、犠牲層171,172の側壁を酸化することで、例えば犠牲層171,172をライン状に加工する際に、犠牲層171,172の側壁に生じうるLER(Line Edge Roughness)が、未酸化部分の犠牲層171,172の側壁において軽減されることが期待できる。これにより、未酸化部分の犠牲層171,172を鋳型として形成されるゲート電極150の側壁を平坦化できると考えられる。
【0076】
また、犠牲層171,172の酸化深度を異ならせることで、未酸化のまま残る犠牲層171,172の幅を制御することができる。したがって、例えば犠牲層171,172のライン幅を、当初は広く形成しておき、犠牲層171,172の酸化深度の調整により、未酸化の犠牲層171,172を細線化することも可能である。よって、高アスペクト比の精密なエッチング加工等を行うことなく、ゲート電極150を細線化することが容易となる。
【0077】
実施形態1の半導体装置100によれば、上記製造方法により、ゲート電極150の幅が下端部よりも上端部で広く、スペーサ層131が、ゲート電極150の下端部を覆う部分においてゲート電極150の上端部覆う部分よりも厚いトランジスタ10が得られる。
【0078】
実施形態1の半導体装置100によれば、上記製造方法により、ゲート電極150の下部領域150aの側壁部分に設けられたスペーサ層131と、ゲート電極150の上部領域150bの側壁部分に設けられ、少なくともスペーサ層131よりも所定の導電型の不純物を多く含有するスペーサ層132層と、を含む。
【0079】
例えば上述の比較例の製造方法等では、不純物の斜交イオンを注入してハロー領域を形成する際には、犠牲層170xの側壁に酸化シリコン層等のオフセットスペーサを形成し、ゲート電極150xの直下の領域に不純物が注入されてしまうことを抑制している。すなわち、比較例の製造方法では、オフセットスペーサを形成する処理が必要となるほか、オフセットスペーサの成形時に基板110x上に凹凸が生じてしまう場合がある。このような基板110xの凹凸は経路抵抗上昇等の原因となって、トランジスタの特性が不安定になり得る。
【0080】
実施形態1のスペーサ層131,132は、上述のように、例えば基板110にハロー領域113を形成する前に犠牲層171,172の側壁に形成される。したがって、オフセットスペーサを別途形成しなくとも、これらのスペーサ層131,132をオフセットスペーサとしてハロー領域113を形成することが可能である。よって、半導体装置100の製造プロセスを簡素化することができ、また、オフセットスペーサ成形時の基板110の凹凸も解消するため、経路抵抗上昇等を抑制してトランジスタ10の特性をいっそう安定させることができる。
【0081】
なお、上述の実施形態1では、所定の導電型の不純物を含む犠牲層171と、ノンドープのポリシリコン層等である犠牲層172とを用いて、ゲート電極150の上記形状を得ることとした。しかし、下層の犠牲層171における酸化速度が、上層の犠牲層172における酸化速度より高ければ、上層の犠牲層172も不純物を含有していてよい。例えば同種の不純物を犠牲層171,172に添加する場合であれば、犠牲層171の不純物濃度を犠牲層172の不純物濃度より高めることで、犠牲層171,172の酸化速度を上記のように調整することができる。
【0082】
(変形例1)
次に、
図6~
図9を用いて、実施形態1の変形例1の半導体装置101~103について説明する。変形例1の半導体装置101~103においては、ゲート電極151~153が少なくとも一部にテーパ形状を有している点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0083】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態1の半導体装置100と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0084】
図6は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置101の構成の一例を示す断面図である。
【0085】
図6に示すように、変形例1の半導体装置101が備えるトランジスタ11は、ゲート電極151、ゲート絶縁層121、及びスペーサ層131~133,140を有している。ただし、ソース/ドレイン領域112及びハロー領域113をトランジスタ11の構成に含めてもよい。
【0086】
ゲート電極151は、例えば上述の実施形態1のゲート電極150と同様の材質を含む金属層であり、基板110の上面に沿って所定方向に基板110上を延びるライン状に構成されている。ゲート電極151の延伸方向と交差するゲート長Lに沿う方向において、ゲート電極151の上端部の幅は、ゲート電極151の下端部の幅よりも広い。ゲート電極151の上端部と下端部との間の幅は、上方から下方へと小さくなるテーパ形状となっている。
【0087】
ゲート電極151は、より具体的には、上述の実施形態1のゲート電極150と同様、下部領域151aと上部領域151bとを含む。ただし、上部領域151bは、上述の実施形態1の上部領域150bよりも薄く形成されている。下部領域151aの厚さは、例えば上述の実施形態1の下部領域150aの厚さと略等しくともよい。
【0088】
これらの下部領域150aと上部領域150bとの間には、下部領域150a側から上部領域150b側へと、ゲート長Lに沿う方向の幅が広がっていく中間領域151cが挿入されている。中間領域151cの上端部の幅は上部領域150bの幅と略等しく、中間領域151cの下端部の幅は下部領域150aの幅と略等しくなっていることが好ましい。これにより、ゲート電極151の幅は、例えば下端部から上端部に亘って連続的に変化していく。
【0089】
ゲート絶縁層121は、例えば上述の実施形態1のゲート絶縁層120と同様、High-k絶縁層等であり、ゲート電極151の側壁および下端部を覆っている。
【0090】
スペーサ層131は、上述の実施形態1と同様、所定の導電型の不純物を含み、ゲート電極151の下部領域151aの側壁部分を所定の厚さで覆っている。スペーサ層132は、上述の実施形態1と同様、スペーサ層131よりも薄く、ゲート電極151の上部領域151bの側壁部分を覆っている。スペーサ層132は、不可避不純物を除き、不純物を含有していない。あるいは、スペーサ層132が、スペーサ層131よりも低い含有量で不純物を含んでいてもよい。
【0091】
スペーサ層133は、下方から上方へと厚さを減じながら、ゲート電極151の中間領域151cの側壁部分を覆っている。スペーサ層133は、上端部において、スペーサ層132の厚さと略等しい厚さを有し、下端部において、スペーサ層131の厚さと略等しい厚さを有していることが好ましい。
【0092】
また、スペーサ層133は、下方から上方へと含有量が減少していく所定の導電型の不純物を含んでいる。スペーサ層133の不純物は、スペーサ層133の上端部でスペーサ層132における不純物の含有量と略等しい含有量となっていることが好ましい。つまり、スペーサ層132に不純物が含有されない場合、スペーサ層133の上端部における不可避不純物以外の不純物の含有量は略ゼロとなっていることが好ましい。また、スペーサ層133の下端部において、不純物の含有量が、スペーサ層131における不純物の含有量と略等しくなっていることが好ましい。
【0093】
このようなトランジスタ11を備える半導体装置101の製造方法について以下に説明する。
【0094】
図7は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置101の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0095】
図7(a)に示すように、シリコン基板等の基板110の上方に、犠牲層171,173,172及びキャップ層180をこの順に形成してライン状に加工する。キャップ層180は、上述の実施形態1と同様、例えば窒化シリコン層等である。
【0096】
犠牲層171は、上述の実施形態1と同様、例えば所定の導電型の不純物を含むポリシリコン層等である。犠牲層172は、上述の実施形態1と同様、例えば不可避不純物を除き、不純物が添加されない領域である。ただし、犠牲層172が、犠牲層171における不純物の添加量未満の不純物を含んでいてもよい。
【0097】
犠牲層173は、犠牲層171における不純物の添加量以下の不純物を含み、その不純物の添加量は下方から上方に向かって減少していく。犠牲層173における不純物の添加量は、下端部では犠牲層171における不純物の添加量と略等しく、上端部では犠牲層172における不純物の添加量と略等しいことが好ましい。つまり、犠牲層172に不純物が添加されていない場合には、犠牲層173上端部における不純物の添加量をゼロとすることができる。
【0098】
このような犠牲層173は、以下のように形成することができる。まず、犠牲層171における不純物の添加量以下の添加量で不純物を添加しつつ、犠牲層171上にポリシリコン層を形成していく。このとき、ポリシリコン層の厚さが増していくとともに不純物の添加量を減少させていく。犠牲層172に不純物が添加されていない場合には、その後、不純物の添加を停止して、ポリシリコン層の成膜を終了する。
【0099】
図7(b)に示すように、酸素等の酸化雰囲気中でアニール処理を行うことにより、犠牲層171~173の側壁部分を酸化させる。このとき、犠牲層171の酸化速度は、犠牲層172の酸化速度よりも高い。犠牲層173の酸化速度は、犠牲層171の酸化速度以下である。また、犠牲層173の酸化速度は、下端部から上端部へ向かうほど低下する。
【0100】
これにより、未酸化の犠牲層171,172のそれぞれの側壁を覆う酸化シリコン層等のスペーサ層131,132が形成される。スペーサ層131は未酸化の犠牲層171の側壁を覆い、スペーサ層132は未酸化の犠牲層172の側壁を覆う。また、スペーサ層133は未酸化の犠牲層173の側壁を覆う。
【0101】
これらの犠牲層171~173の延伸方向と交差する方向において、未酸化の状態で残った犠牲層171の幅は、未酸化の状態で残った犠牲層172の幅よりも狭い。また、犠牲層171の側壁を覆うスペーサ層131は、犠牲層172の側壁を覆うスペーサ層132よりも厚い。
【0102】
また、犠牲層171~173の延伸方向と交差する方向において、未酸化の状態で残った犠牲層173の幅は未酸化の状態で残った犠牲層171の幅以上であり、その幅が上方へ向かって更に増していく。
【0103】
このとき、犠牲層173の下端部において、上述のように、例えば不純物を犠牲層171における不純物の添加量と略等しい添加量としておくことで、未酸化の犠牲層173の下端部を、未酸化の犠牲層171の幅と略等しい幅とすることができる。また、犠牲層173の上端部において、上述のように、例えば不純物を犠牲層172における不純物の添加量と略等しい添加量としておくことで、未酸化の犠牲層173の上端部を、未酸化の犠牲層172の幅と略等しい幅とすることができる。
【0104】
未酸化の犠牲層173の状態に対応して、犠牲層173の側壁部分を覆うスペーサ層133の厚さも、下端部から上端部へと向かって減じていく。
【0105】
このとき、犠牲層173の下端部において、上述のように、例えば不純物を犠牲層171における不純物の添加量と略等しい添加量としておくことで、スペーサ層133の下端部が、犠牲層171の側壁を覆うスペーサ層131の幅と略等しい幅となる。また、犠牲層173の上端部において、上述のように、例えば不純物を犠牲層172における不純物の添加量と略等しい添加量としておくことで、スペーサ層133の上端部が、犠牲層172の側壁を覆うスペーサ層132の幅と略等しい幅となる。
【0106】
これにより、未酸化の犠牲層171~173の延伸方向と交差する方向の幅が連続的に変化し、側壁に段差を有さない未酸化の犠牲層171~173を形成することができる。
【0107】
また、変形例1においても、未酸化の犠牲層171を含めたスペーサ層131の幅、未酸化の犠牲層172を含めたスペーサ層132の幅、及び未酸化の犠牲層173を含めたスペーサ層133の幅は、酸化時の体積膨張によって、それぞれ、酸化処理前の犠牲層171の幅、犠牲層172の幅、及び犠牲層173の幅よりも広くなっている。
【0108】
以上のことから、未酸化の犠牲層171を含めたスペーサ層131の幅は、未酸化の犠牲層172を含めたスペーサ層132の幅よりも広くなる。また、未酸化の犠牲層173を含めたスペーサ層133の幅は、下端部から上端部に向かって減少していく。
【0109】
図7(c)に示すように、上述の実施形態1と同様、犠牲層171~173、スペーサ層131~133、及びキャップ層180を用いたセルフアライメント方式で、基板110にソース/ドレイン領域112を形成する。その後、ハロー領域113を形成してもよい。
【0110】
図7(d)に示すように、上述の実施形態1と同様、スペーサ層131~133を介して犠牲層171~173の側壁を覆う窒化シリコン層等のスペーサ層140を形成し、更に、これらの構成全体を覆う層間絶縁層160を形成する。
【0111】
図7(e)に示すように、上述の実施形態1と同様、CMP法等により、キャップ層180をストッパ層として層間絶縁層160を研磨して、更に追加研磨によりキャップ層180を除去する。これにより、犠牲層172が層間絶縁層160の上面から露出する。
【0112】
図7(f)に示すように、上述の実施形態1と同様、ウェットエッチング等により、犠牲層172,173,171を順次除去する。これにより、スペーサ層131~133,140に挟まれた空隙151gが形成される。
【0113】
図7(g)に示すように、上述の実施形態1と同様、空隙151gの底面および側壁を覆うHigh-k絶縁層等のゲート絶縁層121を形成する。
【0114】
図7(h)に示すように、上述の実施形態1と同様、空隙151g内に金属層を充填してゲート電極151を形成する。
【0115】
以上により、変形例1の半導体装置101が製造される。
【0116】
なお、上述の
図6及び
図7の例では、上述の実施形態1の例より犠牲層172を薄く形成し、不純物の添加量を層厚方向に異ならせた犠牲層173を犠牲層172の下層に挿入することとした。しかし、犠牲層171~173の層厚は適宜異ならせることができる。その場合の例を
図8に示す。
【0117】
図8は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置102の構成の他の例を示す断面図である。
【0118】
図8に示すように、変形例1の半導体装置102が備えるトランジスタ12は、ゲート電極152、ゲート絶縁層122、及びスペーサ層131~133,140を有している。ただし、ソース/ドレイン領域112及びハロー領域113をトランジスタ12の構成に含めてもよい。
【0119】
ゲート電極152は、例えば上述の実施形態1のゲート電極150と同様の材質を含む金属層であり、基板110の上面に沿って所定方向に基板110上を延びるライン状に構成されている。ゲート電極152は、上述の変形例1のゲート電極151と同様、上部領域152b、中間領域152c、及び下部領域152aを含んでおり、変形例1のゲート電極151と類似する形状を有する。
【0120】
ただし、ゲート電極152の下部領域152aは、上述の変形例1のゲート電極151の下部領域152aよりも薄く形成されている。一方、ゲート電極152の中間領域152cは、上述の変形例1のゲート電極151の中間領域152cよりも厚く形成されている。つまり、ゲート電極152は、上述の変形例1のゲート電極151よりも、テーパ形状となった部分が占める割合が高い。
【0121】
このようなゲート電極152は、例えば上述の変形例1の
図7と同様の手法で形成することができる。このとき、最下層の犠牲層171の層厚を、変形例1の例よりも薄く形成し、その分、中間部分の犠牲層173を厚く形成することができる。
【0122】
また、上述の
図6~
図8の例では、不純物の添加量をそれぞれ一定に維持した犠牲層171,172を形成することとした。しかし、下端部から上端部まで不純物の添加量を異ならせた犠牲層173のみを形成してもよい。その場合の例を
図9に示す。
【0123】
図9は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置103の構成の更に他の例を示す断面図である。
【0124】
図9に示すように、変形例1の半導体装置103が備えるトランジスタ13は、ゲート電極153、ゲート絶縁層123、及びスペーサ層133,140を有している。ただし、ソース/ドレイン領域112及びハロー領域113をトランジスタ13の構成に含めてもよい。
【0125】
ゲート電極153は、例えば上述の実施形態1のゲート電極150と同様の材質を含む金属層であり、基板110の上面に沿って所定方向に基板110上を延びるライン状に構成されている。ゲート電極153は、上述の変形例1のゲート電極151,152とは異なり、下端部から上端部に向かってゲート長Lに沿う方向の幅が広がっていくテーパ形状を全体に亘って有している。
【0126】
このようなゲート電極153は、例えば上述の変形例1の
図7に示す犠牲層173を全体に亘って形成することで得られる。
【0127】
変形例1の半導体装置101~103の製造方法によれば、犠牲層173の厚さ方向において、犠牲層172側へ向かって不純物の含有量を犠牲層172における不純物の含有量に近づけていく。また、犠牲層173の厚さ方向において、犠牲層171から遠ざかるにつれて不純物の含有量を犠牲層171における不純物の含有量から異ならせていく。
【0128】
これらの処理の少なくともいずれかを行うことにより、未酸化の犠牲層171~173及び犠牲層171~173除去後の空隙が、少なくとも一部にテーパ形状を有することとなる。したがって、例えば空隙の底面両端部に犠牲層171の除去残りが発生したり、ゲート電極151下端部の幅方向両端部にボイドが発生したりすることがいっそう抑制される。
【0129】
よって、ゲート電極151~153の形成不良を抑制し、所望のゲート長Lにゲート電極151~153を形成することがいっそう容易となる。
【0130】
変形例1の半導体装置101~103によれば、上記製造方法により、ゲート電極151~153の側壁が、上方へ向かって広がっていくテーパ形状を少なくとも一部に有するトランジスタ11が得られる。
【0131】
変形例1の半導体装置101~103、及びそれらの製造方法によれば、上述の実施形態1の半導体装置100及びその製造方法と同様の効果を奏する。
【0132】
(変形例2)
次に、
図10及び
図11を用いて、実施形態1の変形例2の半導体装置104について説明する。変形例3の半導体装置104においては、トランジスタ14がスペーサ層131,132等を有さない点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0133】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態1の半導体装置100と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0134】
図10は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置104の構成の一例を示す断面図である。
【0135】
図10に示すように、変形例2の半導体装置104が備えるトランジスタ14は、ゲート電極150の側壁にスペーサ層131,132を有さない。すなわち、トランジスタ14のスペーサ層140は、スペーサ層131,132を介することなく、ゲート絶縁層120を介してゲート電極150の側壁を覆っている。それ以外のトランジスタ14の構成は、上述の実施形態1のトランジスタ10と同様である。
【0136】
このようなトランジスタ14を備える半導体装置104の製造方法について以下に説明する。
【0137】
図11は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置104の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。変形例2の半導体装置104の製造方法においても、例えば上述の実施形態1の
図2(a)~
図2(d)と同様の処理が行われる。
【0138】
図11(a)は、上述の実施形態1の
図2(d)の処理が終了した後の状態を示している。すなわち、基板110の上方には、犠牲層171,172及びキャップ層180がこの順に形成され、犠牲層171,172の一部が酸化されて、これらの側壁にそれぞれスペーサ層131,132が形成されている。また、基板110には、ソース/ドレイン領域112及びハロー領域113が形成済みである。
【0139】
図11(b)に示すように、例えばウェットエッチング等により、犠牲層171,172の側壁を覆うスペーサ層131,132を除去する。
【0140】
図11(c)に示すように、スペーサ層131,132が除去された犠牲層171,172の側壁を直接覆うスペーサ層140を形成し、更に、これらの構成全体を覆う層間絶縁層160を形成する。
【0141】
図11(d)に示すように、CMP法等により、キャップ層180をストッパ層として層間絶縁層160を研磨し、更に、追加研磨によりキャップ層180を除去する。これにより、層間絶縁層160の上面に犠牲層172が露出する。
【0142】
図11(e)に示すように、ウェットエッチング等により、犠牲層172,171を順次除去して、スペーサ層140で挟まれた空隙150gを形成する。スペーサ層131,132を介さずに犠牲層171,172の側壁に形成されたスペーサ層140は、犠牲層171,172の形状に対応する形状を内側に有している。このため、犠牲層171,172の形状に対応して、層間絶縁層160の上面の開放端が底面より広い幅を有する空隙150gが得られる。
【0143】
図11(f)に示すように、空隙150gの底面および側壁を覆うHigh-k絶縁層等のゲート絶縁層120を形成する。
【0144】
図11(g)に示すように、更に空隙150g内に金属層を充填して、上端部の幅が下端部の幅より広いゲート電極150を形成する。
【0145】
以上により、変形例2の半導体装置104が製造される。
【0146】
変形例2の半導体装置104の製造方法によれば、スペーサ層140を形成する前にスペーサ層131,132を除去する。このような製造方法によっても、上述の実施形態1の半導体装置100及びその製造方法と同様の効果を奏する。
【0147】
なお、スペーサ層140を形成する前にスペーサ層131,132を除去する変形例2の製造方法は、上述の変形例1の半導体装置101~103の製造方法に適用することも可能である。
【0148】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。上述の実施形態1及び変形例1,2においては、犠牲層171,172の形状に対応させてゲート電極150~153を形成する。実施形態2においては、犠牲層171,172に加えてスペーサ層131,132まで含めた形状に対応させてゲート電極を形成する点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0149】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態1の半導体装置100と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0150】
(半導体装置の構成)
図12は、実施形態2にかかる半導体装置200の構成の一例を示す断面図である。
【0151】
図12に示すように、実施形態2の半導体装置200が備えるトランジスタ20は、ゲート電極250、ゲート絶縁層220、スペーサ層140を備える。ただし、ソース/ドレイン領域112及びハロー領域113をトランジスタ20の構成に含めてもよい。
【0152】
ゲート電極250は、例えば上述の実施形態1のゲート電極150と同様の材質を含む金属層であり、基板110の上面に沿って所定方向に基板110上を延びるライン状に構成されている。ゲート電極250の延伸方向と交差するゲート長Lに沿う方向において、ゲート電極250の上端部の幅は、ゲート電極250の下端部の幅よりも広い。
【0153】
ゲート電極250は、より具体的には、ゲート長Lに沿う方向に所定幅を有し、下端部から所定の高さ位置に至る下部領域250aと、下部領域250aの幅よりも総じて広い幅を有し、下部領域250aの上部位置からゲート電極250の上端部に至る上部領域250bと、を含む。下部領域250aと上部領域250bとの境界部分では、ゲート電極250の幅は不連続に変化する。これにより、ゲート電極250は、下部領域250aと上部領域250bとの境界部分の側壁に段差を有する。
【0154】
このように、実施形態2のゲート電極250は、上述の実施形態1のゲート電極150と類似する形状を有している。
図12の例では、ゲート電極250は全体的に、上述の実施形態1のゲート電極150の幅より広い幅を有しているが、ゲート電極250が実施形態1のゲート電極150と等しい幅に形成されていてもよい。
【0155】
ゲート絶縁層220は、例えば上述の実施形態1のゲート絶縁層120と同様、High-k絶縁層等であり、ゲート電極250の側壁および下端部を覆っている。また、スペーサ層140は、ゲート絶縁層220を介してゲート電極250の側壁を覆っている。
【0156】
以上のように、実施形態2のトランジスタ20は、全体として、上述の実施形態1の変形例2のトランジスタ14と類似の構成を備えている。しかし、実施形態2のトランジスタ20は、上述の実施形態1の変形例2とは異なる手法で製造される。
【0157】
(半導体装置の製造方法)
図13は、実施形態2にかかる半導体装置200の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0158】
図13(a)に示すように、実施形態2の半導体装置200の製造方法では、犠牲層171,172の形成順を入れ替える。すなわち、シリコン基板等の基板110の上方に、犠牲層172,171及びキャップ層180をこの順に形成してライン状に加工する。
【0159】
第1の半導体層としての犠牲層172は、上述の実施形態1と同様、例えばノンドープのポリシリコン層等である。第2の半導体層としての犠牲層171は、上述の実施形態1と同様、例えば所定の導電型の不純物が添加されたポリシリコン層等である。キャップ層180は、上述の実施形態1と同様、例えば窒化シリコン層等である。
【0160】
図13(b)に示すように、酸素等の酸化雰囲気中でアニール処理を行うことにより、犠牲層171.172の側壁部分を酸化させる。これにより、未酸化の犠牲層171,172のそれぞれの側壁を覆う酸化シリコン層等のスペーサ層131,132が形成される。
【0161】
このとき、犠牲層171の酸化速度は、犠牲層172の酸化速度よりも高い。したがって、これらの犠牲層171,172の延伸方向と交差する方向において、未酸化の状態で残った犠牲層171の幅は、未酸化の状態で残った犠牲層172の幅よりも狭い。また、犠牲層171の側壁を覆う第2の酸化層としてのスペーサ層131は、犠牲層172の側壁を覆う第1の酸化層としてのスペーサ層132よりも厚い。
【0162】
また、実施形態2においても、未酸化の犠牲層171を含めたスペーサ層131の幅、及び未酸化の犠牲層172を含めたスペーサ層132の幅は、酸化時の体積膨張によって、それぞれ、酸化処理前の犠牲層171の幅、及び犠牲層172の幅よりも広くなっている。
【0163】
以上のことから、犠牲層172の上層側に形成され、未酸化の犠牲層171を含めたスペーサ層131の幅は、基板110に近い側に形成され、未酸化の犠牲層172を含めたスペーサ層132の幅よりも広くなる。
【0164】
図13(c)に示すように、上述の実施形態1と同様、犠牲層171,172、スペーサ層131,132、及びキャップ層180を用いたセルフアライメント方式で、基板110にソース/ドレイン領域112を形成する。その後、ハロー領域113を形成してもよい。
【0165】
図13(d)に示すように、上述の実施形態1と同様、スペーサ層131,132を介して犠牲層171,172の側壁を覆う窒化シリコン層等のスペーサ層140を形成し、更に、これらの構成全体を覆う層間絶縁層160を形成する。
【0166】
図13(e)に示すように、上述の実施形態1と同様、CMP法等により、キャップ層180をストッパ層として層間絶縁層160を研磨して、更に追加研磨によりキャップ層180を除去する。これにより、犠牲層171及びスペーサ層131が層間絶縁層160の上面から露出する。
【0167】
図13(f)に示すように、ウェットエッチング等により、犠牲層171,172を順次除去する。また、犠牲層171,172を除去する薬液とは異なる薬液を用いたウェットエッチング等により、スペーサ層131,132を順次除去する。これにより、スペーサ層140に挟まれた空隙250gが形成される。
【0168】
スペーサ層131,132を介して犠牲層171,172の側壁に形成されたスペーサ層140は、犠牲層171,172を含めたスペーサ層131,132の形状に対応する形状を内側に有している。このため、犠牲層171,172を含めたスペーサ層131,132の形状に対応して、層間絶縁層160の上面の開放端が底面より広い幅を有する空隙250gが得られる。
【0169】
図13(g)に示すように、空隙250gの底面および側壁を覆うHigh-k絶縁層等のゲート絶縁層220を形成する。
【0170】
図13(h)に示すように、更に空隙250g内に金属層を充填して、上端部の幅が下端部の幅より広いゲート電極250を形成する。
【0171】
以上により、実施形態2の半導体装置200が製造される。
【0172】
実施形態2の半導体装置200の製造方法によれば、基板110寄りの犠牲層172には不純物を添加せず、犠牲層172の酸化速度を上層の犠牲層171よりも低くして、酸化後の犠牲層172の延伸方向と交差する方向の幅を、酸化後の犠牲層171の幅よりも広くする。また、酸化処理後の犠牲層171,172の側壁を覆うスペーサ層140を形成し、犠牲層171,172を除去するとともに、スペーサ層131,132を除去する。このような製造方法によっても、上述の実施形態1の半導体装置100及びその製造方法と同様の効果を奏する。
【0173】
なお、上述の実施形態2では、ノンドープのポリシリコン層等である犠牲層172を下層に形成し、所定の導電型の不純物を含む犠牲層171を上層に形成して、ゲート電極250の上記形状を得ることとした。しかし、実施形態2の製造方法においても、下層側の犠牲層172も、上層側の犠牲層171未満の添加量の不純物が添加されていてもよい。
【0174】
また、不純物の添加量の多い犠牲層171を、ノンドープまたは不純物の添加量の少ない犠牲層172の上層とし、スペーサ層140形成後に、犠牲層171,172とともにスペーサ層131,132を除去する実施形態2の製造方法は、上述の変形例1の半導体装置101~103の製造方法に適用することも可能である。
【0175】
この場合、下方から上方に向かって不純物の添加量が減少していく犠牲層を形成し、その犠牲層の側壁部分に形成される酸化シリコン層等のスペーサ層を含めた幅が、下方から上方に向かって広がっていくテーパ形状を少なくとも一部に有する構成を形成することができる。
【0176】
[その他の実施形態]
上述の実施形態1,2及び変形例1,2では、例えばポリシリコン層の犠牲層171~173を用いることとした。しかし、犠牲層にアモルファスシリコン層等、ポリシリコン層以外の材質を有する層を用いてもよい。
【0177】
上述の実施形態1,2及び変形例1,2では、犠牲層171~173の形成時に不純物を添加することとした。しかし、犠牲層171~173に不純物を含有させる手法はこれに限られない。例えば、ノンドープのポリシリコン層等を形成した後、イオン注入等によって、不純物を犠牲層に含有させてもよい。
【0178】
このとき、イオンの加速エネルギの調整、及びその後のアニール処理等によって、犠牲層の深さ方向の不純物の含有量を略均一に制御したり、あるいは、上方から下方へ向かって不純物の含有量が減じていくように制御したりすることが可能である。
【0179】
[付記]
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0180】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
ゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁を覆う酸化層と、
前記酸化層を介して前記ゲート電極の側壁を覆う窒化層と、を備え、
前記ゲート電極は、
下端部よりも上端部の幅が広い導電層の単体であり、
前記酸化層は、
前記ゲート電極の下端部を覆う部分において、前記ゲート電極の上端部を覆う部分よりも厚い、
半導体装置が提供される。
【0181】
(付記2)
上記の付記1の半導体装置において、
前記ゲート電極の側壁は、
上方へ向かって広がっていくテーパ形状を少なくとも一部に有する。
【0182】
(付記3)
上記の付記2の半導体装置において、
前記酸化層は、
前記ゲート電極のテーパ部分の下端部を覆う部分から上端部を覆う部分へ向かって薄くなっていく。
【0183】
(付記4)
上記の付記1の半導体装置において、
前記ゲート電極の下端部を覆うとともに、前記ゲート電極の側壁と前記酸化層との間に設けられたゲート絶縁層を更に備える。
【0184】
(付記5)
上記の付記4の半導体装置において、
前記ゲート電極は金属層であり、
前記ゲート絶縁層はHigh-k絶縁層である。
【0185】
(付記6)
上記の付記5の半導体装置において、
前記ゲート電極は、
チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ランタン、アルミニウム、及びチタンアルミニウムの少なくともいずれかを含む。
【0186】
(付記7)
上記の付記5の半導体装置において、
前記ゲート絶縁層は、
酸化ハフニウム、及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれかを含む。
【0187】
(付記8)
本発明の他の態様によれば、
第1の導電型の不純物の含有量が異なる第1及び第2の半導体層をこの順に基板上に形成し、
前記基板の面に沿う第1の方向に延びるライン状に、前記第1及び第2の半導体層を加工し、
ライン状に加工された前記第1及び第2の半導体層の延伸方向と交差する第2の方向の両側の側壁を、前記不純物の含有量に応じた酸化速度で酸化して、前記第1の半導体層の側壁を覆う第1の酸化層と、前記第2の半導体層の側壁を覆う第2の酸化層とを形成し、
酸化処理後の前記第1及び第2の半導体層の側壁を覆う窒化層を形成し、
前記第1及び第2の半導体層を除去して、前記窒化層で挟まれた領域に空隙を形成し、
前記空隙に導電層を充填してゲート電極を形成する、
半導体装置の製造方法が提供される。
【0188】
(付記9)
上記の付記8の半導体装置の製造方法において、
前記第1の半導体層の厚さ方向において、前記第2の半導体層側へ向かって前記不純物の含有量を前記第2の半導体層における前記不純物の含有量に近づけていくこと、及び、
前記第2の半導体層の厚さ方向において、前記第1の半導体層から遠ざかるにつれて前記不純物の含有量を前記第1の半導体層における前記不純物の含有量から異ならせていくこと、の少なくともいずれかを行う。
【0189】
(付記10)
上記の付記8の半導体装置の製造方法において、
前記第1の半導体層における前記不純物の含有量を前記第2の半導体層よりも高め、あるいは、前記第2の半導体層には前記不純物を添加せず、前記第1の半導体層の酸化速度を前記第2の半導体層よりも高めて、酸化後の前記第1の半導体層の前記第2の方向の幅を、酸化後の前記第2の半導体層の前記第2の方向の幅よりも狭くする。
【0190】
(付記11)
上記の付記10の半導体装置の製造方法において、
酸化後の前記第1及び第2の半導体層の形状に対応する形状の前記空隙を形成し、
前記第2の方向において、第1の幅を下端部に有し、前記第1の幅より広い第2の幅を上端部に有する前記ゲート電極を形成する。
【0191】
(付記12)
上記の付記10の半導体装置の製造方法において、
前記第1及び第2の酸化層を介して前記第1及び第2の半導体層の側壁に前記窒化層を形成する。
【0192】
(付記13)
上記の付記10の半導体装置の製造方法において、
前記窒化層を形成する前に前記第1及び第2の酸化層を除去する。
【0193】
(付記14)
上記の付記8の半導体装置の製造方法において、
前記第1の半導体層における前記不純物の含有量を前記第2の半導体層よりも低くし、あるいは、前記第1の半導体層には前記不純物を添加せず、前記第1の半導体層の酸化速度を前記第2の半導体層よりも低くして、酸化後の前記第1の半導体層の前記第2の方向の幅を、酸化後の前記第2の半導体層の前記第2の方向の幅よりも広くする。
【0194】
(付記15)
上記の付記14の半導体装置の製造方法において、
酸化後の前記第1の半導体層を含む前記第1の酸化層の前記第2の方向の幅を、酸化後の前記第2の半導体層を含む前記第2の酸化層の前記第2の方向の幅よりも狭くする。
【0195】
(付記16)
上記の付記15の半導体装置の製造方法において、
前記第1及び第2の半導体層を除去するとともに、前記第1及び第2の酸化層を除去する。
【0196】
(付記17)
上記の付記16の半導体装置の製造方法において、
酸化後の前記第1及び第2の半導体層を含む前記第1及び第2の酸化層の形状に対応する形状の前記空隙を形成し、
前記第2の方向において、第3の幅を下端部に有し、前記第3の幅より広い第4の幅を上端部に有する前記ゲート電極を形成する。
【0197】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0198】
10~14,20…トランジスタ、120~123,220…ゲート絶縁層、131~133,140…スペーサ層、150~153,250…ゲート電極、150a~152a,250a…下部領域、150b~152b,250b…上部領域、151c,152c…中間領域、160…層間絶縁層、171~173…犠牲層、180…キャップ層、CG、CS…コンタクト。