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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132574
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】発光装置、及び測距システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240920BHJP
   G01S 7/484 20060101ALI20240920BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20240920BHJP
   F21S 2/00 20160101ALN20240920BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240920BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/484
G01S7/497
F21S2/00 350
F21S2/00 330
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043402
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】加戸 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊平
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AB01
5J084AB07
5J084AC02
5J084AC03
5J084AC04
5J084AC06
5J084AC07
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA40
5J084BA50
5J084BB01
5J084BB24
5J084BB26
5J084BB28
5J084BB40
5J084CA11
5J084CA31
5J084CA32
5J084CA70
5J084DA01
5J084DA09
5J084EA29
(57)【要約】
【課題】本開示では、より安全性を増加可能な発光装置、及び測距システムが提供される
【解決手段】本開示によれば、レーザ光源と、レーザ光源から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、レンズから入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げた光束を出射する拡散板と、を、備える、発光装置が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
前記レンズから入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げた光束を出射する拡散板と、
を、備える、発光装置。
【請求項2】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げる拡散板と、
前記拡散板から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
を、備える、発光装置。
【請求項3】
前記拡散板から100ミリメートルの位置で前記光軸に直交する面において、前記レーザ光源から出射された光束のレーザパワーが、規定値以下になるように、前記レーザ光源の出力が制御される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記拡散板から出射する光束の第1広がり角が、前記拡散板がない場合に前記レンズから出射する光束の第2広がり角の2倍以下となるように、構成される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記拡散板のピッチサイズが1ミリメートル未満である、請求項3に記載の発光装置。
【請求項6】
前記拡散板は、レンズアレイである、請求項3に記載の発光装置。
【請求項7】
前記拡散板のピッチサイズが1ミリメートル以上10ミリメートル未満である、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記レーザ光源は、発光面に2次元状に配置される複数のレーザ発光素子で構成され、
前記複数のレーザ発光素子の発光位置で、拡散板から出射する光束の向きが変更される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
出射端に開口部を有する遮蔽板であって、開口部の中心部を前記光軸が通過する遮蔽板を、更に備える、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記開口部の全範囲を光束が通過するように、複数のレーザ発光素子の発光が制御される、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記遮蔽板を通過する光束の幅をYとし、前記遮蔽板の出射面から前記開口部までの前記光軸に沿った距離をL10とし、拡散板から出射する光束の向きの前記光軸に対する最大角度をφとし、前記開口部の光軸に直交する方向の長さをXとする場合に、Y/2>L10×tan(φ)+X/2なる関係を有する、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記開口部から出射された光束のレーザパワーが、規定値以下になるように、前記レーザ光源の出力が制御される、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
発光装置と、
前記発光装置を制御する全体制御部と、
前記発光装置が出射された光束の反射光を受光する測距装置と
を備える測距システムであって、
前記発光装置は、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
前記レンズから入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げた前記光束を出射する拡散板と、
を有する、測距システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、及び測距システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体(対象物)までの距離をToF(Time of Flight)に基づいて計測する測距システムが一般に知られている。TOFには、一般に、直接TOF(dTOF)と間接TOF(iTOF)とがある。直接ToFは、レーザ光源のレーザ光をレンズを介してパルス光として発射し、パルス光それぞれが照射された物体からの反射光をSPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ばれる受光素子でフォトンを検出する。
【0003】
これにより発生したキャリアを、アバランシェ増倍を用いて電気信号パルスに変換して、これをTDC(Time to Digital Converter)に入力することで反射光の到来時刻を計測し、物体までの距離を算出する技術である。一方、間接ToFは、受光素子からパルス光を発射し、物体からの反射光により発生した電荷の検出及びその蓄積量が光の到来タイミングに依存して変化する半導体素子構造を利用して、光の飛行時間を計測する。
【0004】
また、レーザ光源の使用については、人体、目に対する安全性の観点から安全規格が設けられている。人体に影響がないように、測距システムから投射された光のレーザクラスを安全基準のクラス1とすることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-96620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、レーザ光源の発光面が小さい場合には、目の網膜にできる光源像も小さくなり、目に損傷を与えやすくなってしまう。また、発光面にむらがあると、レーザ強度の強い領域と、弱い領域ができてしまい、強い領域の照射が目に損傷を与えやすくなってしまう。
【0007】
そこで、本開示では、より安全性を増加可能な発光装置、及び測距システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
前記レンズから入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げた光束を出射する拡散板と、
を、備える、発光装置が提供される。
【0009】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げる拡散板と、
前記拡散板から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
を、備えてもよい。
【0010】
前記拡散板から100ミリメートルの位置で前記光軸に直交する面において、前記レーザ光源から出射された光束のレーザパワーが、規定値以下になるように、前記レーザ光源の出力が制御されてもよい。
【0011】
前記拡散板から出射する光束の第1広がり角が、前記拡散板がない場合に前記レンズから出射する光束の第2広がり角の2倍以下となるように、構成されてもよい。
【0012】
前記拡散板のピッチサイズが1ミリメートル未満であってもよい。
【0013】
前記拡散板は、レンズアレイであってもよい。
【0014】
前記拡散板のピッチサイズが1ミリメートル以上10ミリメートル未満であってもよい。
【0015】
前記レーザ光源は、発光面に2次元状に配置される複数のレーザ発光素子で構成され、
前記複数のレーザ発光素子の発光位置で、拡散板から出射する光束の向きが変更されてもよい。
【0016】
出射端に開口部を有する遮蔽板であって、開口部の中心部を前記光軸が通過する遮蔽板を、更に備えてもよい。
【0017】
前記開口部の全範囲を光束が通過するように、複数のレーザ発光素子の発光が制御されてもよい。
【0018】
前記遮蔽板を通過する光束の幅をYとし、前記遮蔽板の出射面から前記開口部までの前記光軸に沿った距離をL10とし、拡散板から出射する光束の向きの前記光軸に対する最大角度をφとし、前記開口部の光軸に直交する方向の長さをXとする場合に、Y/2>L10×tan(φ)+X/2なる関係を有してもよい。
【0019】
前記開口部から出射された光束のレーザパワーが、規定値以下になるように、前記レーザ光源の出力が制御されてもよい。
【0020】
上記の課題を解決するために、本開示によれば
発光装置と、
前記発光装置を制御する全体制御部と、
前記発光装置が出射された光束の反射光を受光する測距装置と
を備える測距システムであって、
前記発光装置は、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
前記レンズから入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げた前記光束を出射する拡散板と、
を有する、測距システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本技術の一実施形態における測距システムの構成の一例を示すブロック図。
図2】光学システムの概略構成を示す図。
図3】フラッシュ型の光学システムの例を示す図。
図4】光装置の詳細な構成例を示す図
図5】発光装置の構成例を示す図。
図6】本実施形態に係る光束と、比較例に係る光束とを、模式的に重ねて表示した図。
図7】光軸に対する広がり角と強度との関係を示す図。
図8】本実施形態に係る別の発光装置の詳細な構成例を示す図。
図9】第2実施形態に係る発光装置の構成例を示す図。
図10】レーザ光源の発光面に配置されるレーザ発光素子の配置例を示す図。
図11】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
図12】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、発光装置、及び測距システムの実施形態について説明する。以下では、発光装置、及び測距システムの主要な構成部分を中心に説明するが、発光装置、及び測距システムには、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本開示の実施形態に係る測距システム1の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、測距システム1は、発光装置10と測距装置20と全体制御部30と受光部光学系40とを備える。測距システム1は、光源とToFセンサとを備えるセンサシステムであり、光を射出するとともに、対象物50により反射された反射光を検出するように構成される。ここで、対象物50は測距システム1の画角内に存在する1以上の物体であってよい。
【0024】
発光装置10は、全体制御部30からの指示に基づいて、対象物50に向かってレーザ光(照射光)L0を射出するように構成される。発光装置10は、全体制御部30からの指示に基づいて、発光および非発光を交互に繰り返す発光動作を行うことにより所定の発光周期でレーザ光L0を射出する。なお、発光装置10の詳細は、後述する。
【0025】
受光部光学系40は、測距装置20の受光面において像を結像させるレンズを含んで構成される。この受光部光学系40には、発光装置10から射出され、対象物50により反射された光パルス(反射光パルスL1)が入射するようになっている。
【0026】
測距装置20は、図1に示すように、画素アレイ100と、測距処理部110と、測距制御部120と、駆動回路130と、発光タイミング制御部140と、制御部150と、クロック生成部160と、出力部170とを備える。測距装置20は、全体制御部30からの指示に基づいて、反射光パルスL1を検出するように構成される。そして、測距装置20は、検出結果に基づいて距離画像を生成し、生成した距離画像の画像データを出力部170より距離情報D1として出力する。
【0027】
これら、画素アレイ100と、測距処理部110と、測距制御部120と、駆動回路130と、発光タイミング制御部140と、制御部150と、クロック生成部160と、出力部170とは、1つの半導体チップ上に配置することができる。また一方で、測距装置20は第1の半導体チップと第2の半導体チップとを積層した構成としてもよい。この場合、例えば画素アレイ100の一部の(光電変換部1001)を第1の半導体チップ上に配置し、測距装置に含まれる他の部分を第2の半導体チップ上に配置する構成が考えられる。
【0028】
図1において、全体制御部30は、例えば予め組み込まれるプログラムに従い、測距システム1全体の動作を制御する。また、全体制御部30は、外部から供給される外部制御信号に応じた制御を実行することもできる。一方、制御部150は、全体制御部30からの指示に従い、測距装置20全体の動作を制御する。
【0029】
クロック生成部160は、外部から供給される基準クロック信号に基づき、測距装置20内で用いられる1以上のクロック信号を生成する。発光タイミング制御部140は、全体制御部30から供給される発光トリガ信号に従い、発光タイミングを示す発光制御信号を生成する。発光制御信号は、発光装置10に供給されるとともに、測距処理部110に供給される。測距制御部120は、制御部150からの指示に基づいて、測距処理部110の動作を制御することにより、画素アレイ100の各画素1000から出力される検出信号に基づく距離情報の生成を測距処理部110に実行させる。
【0030】
画素アレイ100は、マトリックス状に配置された複数の画素1000を備える。画素1000は、光を検出することにより、検出した光の光量に応じた検出信号PLSを生成
するように構成される。本実施形態では、画素アレイ100の全部又は一部を使用して、反射光L1を検出する。画素アレイ100における使用する領域は、レーザ光L0全体が反射光L1として反射
された場合に画素アレイ100に結像される反射光L1の像と同じ、スキャン方向と垂直な方向(図面中、上下方向。以下、垂直方向ともいう)に長い矩形であってよい。ただし、これに限定されず、画素アレイ100に結像される反射光L1の像よりも大きな領域や小さな領域など、種々変形されてよい。
【0031】
駆動回路130は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどを含み、画素アレイ100の各画素1000を、全画素同時や列単位等で駆動する。そこで、駆動回路130は、少なくとも、画素アレイ100内の選択列における各画素1000に、後述するクエンチ電圧V_QCHを印加する回路と、選択列における各画素1000に、後述する選択制御電圧V_SELを印加する回路とを含む。そして、駆動回路130は、読出し対象の列に対応する画素駆動線LDに選択制御電圧V_SELを印加することで、フォトンの入射を検出するために用いる画素1000を列単位で選択する。
【0032】
画素アレイ100から出力された検出信号は、測距処理部110に供給される。測距処理部110は、TDC部111と、ヒストグラム生成部112と、信号処理部113とを備える。
【0033】
各画素1000から読み出された検出信号PLSは、TDC部111に供給される。ここで、検出信号は、画素アレイ100における例えば画素列ごとに、所定のサンプリング周期で読み出され、TDC部111に供給される。
【0034】
TDC部111は、基準とするタイミング(例えば、発光タイミング制御部140から発光制御信号が入力されたタイミング)から画素アレイ100から供給された検出信号PLSが入力されるまでの時間差を計測し、計測された時間差を示すデジタル情報を生成する。すなわち、TDC部111は、発光制御信号と検出信号PLSとに基づき、光源部10から光が出射してその光が対象物50で反射して各画素1000に入射するまでの飛行時間を示す時間情報を生成する。
【0035】
ヒストグラム生成部112は、TDC部111により生成された時間情報に基づいてヒストグラムを生成する。ここで、ヒストグラム生成部112は、時間情報を、測距制御部120により設定された単位時間dに基づき計数し、ヒストグラムを生成する。単位時間dとは、例えば、ヒストグラムにおける1つのビンに割り当てられた時間幅であってよい。また、単位時間dは、例えば、画素アレイ100の各画素1000から検出信号を読み出すサンプリング周期と同じ時間幅であってもよい。
【0036】
信号処理部113は、ヒストグラム生成部により生成されたヒストグラムのデータに基づき、所定の演算処理を行い、例えば、距離情報を算出する。信号処理部113は、例えば、ヒストグラムのデータに基づき、当該ヒストグラムの曲線近似を作成する。信号処理部113は、このヒストグラムが近似された曲線のピークを検出し、検出されたピークに基づき、対象物50までの距離Dを求めることができる。
【0037】
測距処理部110から出力される距離情報は出力部170に供給される。出力部170はインターフェース部とも呼ばれ、測距処理部から供給された距離情報を、出力データとして外部に出力する。出力部170としては、例えば、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)を適用することができる。
【0038】
全体制御部30は、発光装置10および測距装置20に制御信号を供給し、これらの動作
を制御することにより、測距システム1の動作を制御するように構成される。
【0039】
[光学システム]
図2は、本実施形態に係る測距システム1の光学システムの概略構成を示す図である。図2では、測距装置20の画角を水平方向に走査する、いわゆるスキャン型の光学システムを例示する。
【0040】
図2に示すように、測距システム1は、光学システムとして、光源11と、レンズ12と、ハーフミラー13と、ポリゴンミラー14と、受光レンズ15と、画素アレイ100とを備える。光源11、レンズ12、ハーフミラー13及びポリゴンミラー14は、例えば、図1における発光装置10に含まれる。また、受光レンズ15は図1における受光部光学系40に含まれる。なお、ハーフミラー13及びポリゴンミラー14は、光源部10と受光部光学系40とで共有されてよい。
【0041】
図2に示す構成において、光源11から出射したレーザ光L0は、レンズ12により、断面の強度スペクトルが垂直方向に長い矩形の平行の光束B10に変換され、その後、ハーフミラー13に入射する。ハーフミラー13は、入射したレーザ光L0の一部を反射する。ハーフミラー13で反射したレーザ光L0は、ポリゴンミラー14に入射する。ポリゴンミラー14は、例えば、全体制御部30からの制御に基づいて動作する駆動部16により、所定の回転軸を振動中心として水平方向に振動する。これにより、ポリゴンミラー14で反射したレーザ光L0の画角SRが測距範囲ARを水平方向に往復走査するように、レーザ光L0が水平走査される。なお、駆動部16には、MEMS(Micro Electro Mechanical System)やマイクロモーター等を用いることができる。
【0042】
ポリゴンミラー14で反射したレーザ光L0は、測距範囲AR内に存在する対象物50で反射し、反射光L1としてポリゴンミラー14に入射する。ポリゴンミラー14に入射した反射光L1の一部は、ハーフミラー13を透過して受光レンズ15に入射し、それにより、画素アレイ100における特定の領域に結像される。なお、特定の領域は、画素アレイ100の全体であってもよいし、一部であってもよい。また、特定の領域は、例えば、特許請求の範囲における第1の領域に相当する領域であってもよい。
【0043】
図3は、フラッシュ型の光学システムの例を示す図である。図2ではスキャン型の光学系を例示したが、これに限定されず、例えば、図3に示すように、測距システム1の画角が固定された、いわゆるフラッシュ型の光学システムとすることも可能である。この場合、図3に示すように、光源11と、レンズ12と、集光レンズ18と、画素アレイ100とを備える。光源11から出射されたレーザ光は、レンズ12を介することで必要十分な広がり角の光束B10に変換されて、測距範囲AR全体に照射される。測距範囲AR内に存在する対象物50で反射したレーザ光L0は、反射光L1として、集光レンズ18を介して画素アレイ100に入射する。このように、一度の発光で測距範囲AR全体を測定することが可能なフラッシュ型の測距システム1では、測距範囲AR内を走査するための駆動部16やハーフミラー13と、ポリゴンミラー14とを必要としておらず、そのため、スキャン型の測距システム1と比較して、光学システムが小規模で済むという利点がある。
【0044】
[発光装置]
図4は、本実施形態に係る発光装置10の詳細な構成例を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る発光装置10は、レーザ光源11と、レンズ12と、拡散板19とを備える。図4では、更に光軸Op10と、光束B10と、レーザパワー測定面M10a,bを図示している。なお、レーザパワー測定面M10a,bは、安全規格に関する測定面であり、詳細につては、後述する。
【0045】
レーザ光源11は、面光源として、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)を適用することが可能である。レーザ光源11は、VCSELに限定されず、半導体励起固体レーザなどでもよい。光軸Op10は、レーザ光源11の発光面に直交し、レーザ光源11の中心部を通過する。
【0046】
レンズ12は、例えば複数のレンズの組み合わせで構成される。例えば、レンズ12は、レーザ光源11の発するレーザ光の光束を光軸Op10に対して広げるように作用する。これにより、レーザ光源11からの射出光は、レンズ12で均等に広げられ、拡散板19に光が投射される。これにより、測定範囲を広げることが可能となる。このように、一般に測距システム1では、レンズ12は、照射野(FOI)を広げるように構成される。なお、複数のレンズの組み合わせは、任意の組み合わせでよく、凸レンズ、凹レンズなどを組み合わせることが可能である。また、レンズ12は、単一のレンズで構成されてもよい。
【0047】
拡散板19は、レンズ12を介して入射した光を例えば等方向に拡散する。拡散板19は、例えばピッチサイズが1ミリメートル未満である拡散板である。レーザ光源11からの射出光は、拡散板19に当たると、ピッチサイズが1ミリメートル未満の拡散部材により一定の広がり角で拡散される。これにより、拡散板の照射面ではそれらの光は重なりあい、照明ムラが解消され、均一な光束B10として射出される。すなわち、拡散板19は、入射した光束の強度分布をより均一化して出射する。
【0048】
また、拡散板19を、例えばピッチサイズが数ミリメートルクラスの所謂レンズアレイを用いることも可能である。例えば、拡散板19を、ピッチサイズが1ミリメートル以上10ミリメートル未満ピッチである。ピッチサイズは、測定対象や、測定距離に応じて選択することが可能である。
【0049】
図5は、比較例としての発光装置10aの構成例を示す図である。発光装置10aは、従来の一般的な発光装置の例である。すなわち、比較例としての発光装置10aは、本実施形態に係る発光装置10から拡散板19を除いた構成である。レンズ12は、レーザ光源11の発するレーザ光の光束を光軸Op10に対して広げるように作用し、光束B10aとして射出する。
【0050】
図6は、本実施形態に係る発光装置10の光束B10と、比較例に係る発光装置10aの光束B10aを、模式的に重ねて表示した図である。図6では、更に位置P10を図示している。
【0051】
図7は、図6の位置P10の位置における光束B10と、光束B10aとの光軸Op10に対する広がり角と強度との関係を示す図である。横軸は広がり角を示し、縦軸は強度を示す。広がり角0度が光軸Op10に対応する。レンズ12のみを用いる場合の広がり角がYであり、レンズ12、及び拡散板19を用いる場合の広がり角がXである。
【0052】
図7に示すように、本実施形態に係る発光装置10の光束B10は、拡散板19により、同じ位置P10において、比較例に係る発光装置10aよりも広がり角が大きくなる。すなわち、仮に人が、光軸側から発光装置10のレーザ光源11側をのぞいた場合に、目の網膜に照射される光束B10の範囲は、光束B10aよりも広くなる。このため、本実施形態に係る発光装置10は、比較例に係る発光装置10aよりも、目に損傷をあたえないレーザ光源11のレーザ出力の上限を大きくすることができる。
【0053】
拡散板19は、例えば0.5°~80°の範囲などで拡がり角をもたせることが可能である。一方で、目的とする照射野(FOI)を実現するために、拡散板19で、拡がり角をより大きく広げると、それに合わせた受光レンズの設計が必要となり、コスト上昇、及びレンズ大型化などの問題が生じる恐れがある。そこで、本実施形態では、図7に示すように、Y≧X/2が成り立つ範囲に、拡散板19による広がり角に対する寄与を限定する。これにより、コスト上昇、及びレンズ大型化が抑制される。すなわち、Yを第1広がり角とし、Xを第2広がり角とする場合に、第1広がり角が第2広がり角の2倍以下となるように構成される。
【0054】
ここで、図4,5を再び参照し、安全基準のクラス1のレーザパワー測定面M10、M10aについて説明する。安全基準のクラス1では、レーザ光源の発光面から100ミリメートル以上離れた位置における測定面でのレーザパワーの測定値をもとにレーザクラスの判定が実施される。一方で、拡散板を有する光学系の場合には、安全基準のクラス1では、拡散板の照射面から100ミリメートル以上離れた位置における測定面でのレーザパワーの測定値をもとにレーザクラスの判定が実施される
【0055】
このような規定にあてはめた場合、本実施形態に係る発光装置10では、拡散板19を用いるので、拡散板19を有する光学系の場合に該当する。この場合、図4に示すように、拡散板19の照射面から距離L10(100mm以上)であるレーザパワー測定面M10でのレーザパワーの測定値をもとにレーザクラスの判定が実施される。
【0056】
一方で、比較例に係る発光装置10aでは、このような規定にあてはめた場合、図4、5に示すように、レーザ光源11の発光面から距離L10(100mm以上)であるレーザパワー測定面M10aでのレーザパワーの測定値をもとにレーザクラスの判定が実施される。これらからわかるように、本実施形態に係る発光装置10では、レーザパワー測定面M10がレーザ光源11の発光面からより遠くなることで光量も低くなり、レーザクラス1の判定を得やすくすることが可能となる。換言すると、安全基準のクラス1の範囲内でレーザ光源11の出力をより高くすることが可能となる。
【0057】
図8は、本実施形態に係る別の発光装置10bの詳細な構成例を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係る発光装置10bは、レーザ光源11と、拡散板19と、レンズ12と、を備える。図4に示す、発光装置10aとは、拡散板19を、レーザ光源11と、レンズ12との間に配置する点で相違する。
【0058】
拡散板19は、レーザ光源11の出射面よりも、レンズ12の入射端側に近づけて配置される。拡散板19が、レーザ光源11の出射面側に近いと、拡散板19で広がった光が更に広がった状態で、レンズ12し、レンズ12が大型化してしまう。これに対して、本実施形態に係る拡散板19は、レーザ光源11の出射面よりも、レンズ12の入射端側に近づけて配置されるので、レンズ12の大型化が抑制される。
【0059】
また、本実施形態に係る発光装置10bの場合も、拡散板19の照射面から距離L10(100mm以上)であるレーザパワー測定面M10bでのレーザパワーの測定値をもとにレーザクラスの判定が実施される。これにより、本実施形態に係る発光装置10bでは、レーザパワー測定面M10bがLD発光位置から遠くなることで光量も低くなり、レーザクラス1の判定を得やすくすることが可能となる。換言すると、安全基準のクラス1の範囲内でレーザ光源11の出力をより高くすることが可能となる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に測距システム1では、発光装置10が、レーザ光源11の光をレンズ12と、拡散板19とを用いて、照射することとした。拡散板19を用いることにより、発光装置10の照射する光束B10の分布強度をより均一にすると共に、光束B10を光軸Op10に対してより広げることが可能となる。これにより、安全性を増加させることが可能となり、安全基準のクラス1の範囲内でレーザ光源11の出力をより高くすることが可能となる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る測距システム1は、発光装置10cにおけるレーザ光源11の光束をレンズ12と拡散板19とで広げ、レーザ光源11の発光素子の発光位置を変えても、絞りの開口部を光束が通過するように構成する点で第1実施形態に係る測距システム1と相違する。以下では、第1実施形態に係る測距システム1と相違する点を説明する。
【0062】
図9は、第2実施形態に係る発光装置10cの構成例を示す図である。図9では、光軸Op10の向きがZ軸方向であり、X軸、Y軸は、Z軸に直交する。図9(a)は、光束が、光軸Op10よりもφ度の角度でX軸側の向きに照射されている例を示す図である。図9(b)は、光束が、光軸Op10の向きに照射されている例を示す図である。
【0063】
図9に示すように、発光装置10cは、レーザ光源11と、レンズ12と、拡散板19と、遮蔽板sh10とを備える。遮蔽板sh10は、発光装置10cの出射側の端部に配置される。遮蔽板sh10の開口部Ap10は、例えば一辺がXミリの正方形である。例えばXは7ミリメートル(mm)である。この開口部Ap10の中心部を光軸Op10が通過する。
【0064】
図10は、レーザ光源11の発光面に配置されるレーザ発光素子S11の配置例を示す図である。図10(a)は、発光面の中心部を、発光面に直交するように光軸Op10が通過する。複数のレーザ発光素子S11は、発光面に2次元の格子状に配置される。これらの複数のレーザ発光素子S11は、全体制御部30(図1参照)により、発光制御される。全体制御部30の制御により、複数のレーザ発光素子S11の発光位置が制御されることにより、開口部Ap10から出射する光束の向きは、光軸Op10に対して、変更される。レーザ発光素子S11の端部を発光し、開口部Ap10から出射する光束の向きの光軸Op10に対する最大角度をφとする。
【0065】
再び図9を参照すると、レンズ12と、拡散板19とで広げられた光束B10が拡散板19を通過するときの幅W10は、Yミリメートル(mm)とする。拡散板19の出射面から開口部Ap10の長さをL10ミリメートル(mm)とする。このとき、(1)式の関係を有するように構成される。
【数1】
【0066】
例えばL10が100ミリメートル(mm)である場合、安全基準のクラス1でのレーザパワー測定面は、開口部Ap10となる。図9に示すように、光学系が(1)式の関係を有すると、仮に全体制御部30、或いはレーザ光源11が故障し、レーザ光源11の発光面の光軸部のレーザ発光素子S11が光り続けたとしても、開口部Ap10に入る光量は通常時と故障時で同じになる。このため、故障時でも危険度は変わらず、安全基準のクラス1の範囲内でレーザ光源11の出力を維持可能となる。
【0067】
以上説明したように、第2実施形態に係る発光装置10cは、発光装置10cの出射側の端部に開口部Ap10を有する遮蔽板sh10を配置する。そして、(1)式で示すように、レンズ12と、拡散板19とで広げられた光束B10が常に開口部Ap10を通過するように光学系を構成し、レーザ発光素子S11を制御する。これにより、開口部Ap10を通過する光量は、開口部Ap10から出射する光束の向きによらず、一定値となる。このため、全体制御部30、或いはレーザ光源11が故障し、レーザ光源11の発光面の光軸部のレーザ発光素子S11が光り続けたとしても、開口部Ap10に入る光量は、故障時でも通常時より大きくなることがないように構成される。特に、拡散板19の出射面と、開口部Ap10までの距離を100ミリメートルとすると、故障時も安全基準のクラス1の範囲内でレーザ光源11の出力を維持可能となる。
【0068】
<<応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される部として実現されてもよい。
【0069】
図11は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図11に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0070】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の部を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の部又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図11では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0071】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する部の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生部、駆動力を車輪に伝送するための駆動力伝送機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動部等の制御部として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御部としての機能を有してもよい。
【0072】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング部又はブレーキ部等を制御する。
【0073】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種部の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ部、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御部として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック部、パワーウィンドウ部、ランプ等を制御する。
【0074】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ部から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ部に備えられた冷却部等の制御を行う。
【0075】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0076】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ部及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)部のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし部として備えられてもよいし、複数のセンサないし部が統合された部として備えられてもよい。
【0077】
ここで、図12は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910、7912、7914、7916、7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912、7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0078】
なお、図12には、それぞれの撮像部7910、7912、7914、7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b、cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912、7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910、7912、7914、7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0079】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920、7922、7924、7926、7928、7930は、例えば超音波センサ又はレーダ部であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920、7926、7930は、例えばLIDAR部であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0080】
図11に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ部又はLIDAR部である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0081】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0082】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0083】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る部によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール部であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル部の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0084】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0085】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0086】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、例えば、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0087】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0088】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0089】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インターフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション部を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0090】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインターフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0091】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生部、ステアリング機構又は制動部の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生部、ステアリング機構又は制動部等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0092】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を生成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0093】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力部へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図11の例では、出力部として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力部は、これらの部以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の部であってもよい。出力部が表示部の場合、表示部は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力部が音声出力部の場合、音声出力部は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0094】
なお、図11に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は部が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0095】
なお、図1を用いて説明した本実施形態に係る測距システム1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0096】
以上説明した車両制御システム7000において、図1を用いて説明した本実施形態に係る測距システム1は、図11に示した応用例の統合制御ユニット7600に適用することができる。例えば、測距システム1は、撮像部7410に相当する。
【0097】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
【0098】
(1)
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
前記レンズから入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げた光束を出射する拡散板と、
を、備える、発光装置。
【0099】
(2)
レーザ光源と、
前記レーザ光源から入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げる拡散板と、
前記拡散板から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
を、備える、発光装置。
【0100】
(3)
前記拡散板から100ミリメートルの位置で前記光軸に直交する面において、前記レーザ光源から出射された光束のレーザパワーが、規定値以下になるように、前記レーザ光源の出力が制御される、(1)又は(2)に記載の発光装置。
【0101】
(4)
前記拡散板から出射する光束の第1広がり角が、前記拡散板がない場合に前記レンズから出射する光束の第2広がり角の2倍以下となるように、構成される、(1)に記載の発光装置。
【0102】
(5)
前記拡散板のピッチサイズが1ミリメートル未満である、(3)に記載の発光装置。
【0103】
(6)
前記拡散板は、レンズアレイである、(3)に記載の発光装置。
【0104】
(7)
前記拡散板のピッチサイズが1ミリメートル以上10ミリメートル未満である、(6)に記載の発光装置。
【0105】
(8)
前記レーザ光源は、発光面に2次元状に配置される複数のレーザ発光素子で構成され、
前記複数のレーザ発光素子の発光位置で、拡散板から出射する光束の向きが変更される、(1)に記載の発光装置。
【0106】
(9)
出射端に開口部を有する遮蔽板であって、開口部の中心部を前記光軸が通過する遮蔽板を、更に備える、(8)に記載の発光装置。
【0107】
(10)
前記開口部の全範囲を光束が通過するように、複数のレーザ発光素子の発光が制御される、(9)に記載の発光装置。
【0108】
(11)
前記遮蔽板を通過する光束の幅をYとし、前記遮蔽板の出射面から前記開口部までの前記光軸に沿った距離をL10とし、拡散板から出射する光束の向きの前記光軸に対する最大角度をφとし、前記開口部の光軸に直交する方向の長さをXとする場合に、Y/2>L10×tan(φ)+X/2なる関係を有する、(10)に記載の発光装置。
【0109】
(12)
前記開口部から出射された光束のレーザパワーが、規定値以下になるように、前記レーザ光源の出力が制御される、(11)に記載の発光装置。
【0110】
(13)
発光装置と、
前記発光装置を制御する全体制御部と、
前記発光装置が出射された光束の反射光を受光する測距装置と
を備える測距システムであって、
前記発光装置は、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射された光束を光軸に対して広げるレンズと、
前記レンズから入射した光束の強度分布をより均一化し、且つ光軸に対して広げた前記光束を出射する拡散板と、
を有する、測距システム。
【0111】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1:測距システム、10、10a、10c:発光装置、11:レーザ光源、12:レンズ、19:拡散板、20:測距装置、30:全体制御部、Ap10:開口部、sh10:遮蔽板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12