IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-磁気ディスク装置 図1
  • 特開-磁気ディスク装置 図2
  • 特開-磁気ディスク装置 図3
  • 特開-磁気ディスク装置 図4
  • 特開-磁気ディスク装置 図5
  • 特開-磁気ディスク装置 図6
  • 特開-磁気ディスク装置 図7
  • 特開-磁気ディスク装置 図8
  • 特開-磁気ディスク装置 図9
  • 特開-磁気ディスク装置 図10
  • 特開-磁気ディスク装置 図11
  • 特開-磁気ディスク装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132586
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】磁気ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/596 20060101AFI20240920BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20240920BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G11B5/596
G11B21/10 F
G11B21/10 W
G11B5/09 361F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043420
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 仁志
(72)【発明者】
【氏名】武田 弘之
(57)【要約】
【課題】容量の減少を抑制できる磁気ディスク装置を提供すること。
【解決手段】磁気ディスク装置のコントローラは、ライト動作において第1ノーマルサーボセクタに記録されたサーボデータからサーボマークの検出が失敗した場合、ライト動作を停止する。そして、コントローラは、第1ノーマルサーボセクタのすぐ前のショートサーボセクタである第1ショートサーボセクタに記録されたサーボデータに対してサーボマークを含むサーボデータの復調を行い、第1ノーマルサーボセクタのすぐ後のデータ領域からライト動作を再開する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボマークと、円周方向に沿ったライト/リード方向における前記サーボマークの後ろに記録されたバーストパターンと、を含んだサーボデータが記録された複数の第1サーボセクタが円周方向に間隔を空けて配置され、それぞれは円周方向に隣り合う2つの第1サーボセクタの間に設けられた複数のデータ領域を備え、前記複数の第1サーボセクタは複数の第2サーボセクタと複数の第3サーボセクタとを含み、前記複数の第2サーボセクタのうちの隣り合う2つの第2サーボセクタの間には前記複数の第3サーボセクタのうちのM個(ただしMは1以上の整数)の第3サーボセクタが配置された、磁気ディスクと、
磁気ヘッドと、
前記複数の第2サーボセクタのそれぞれに記録された前記サーボデータに対して第1復調を実行し、かつ前記複数の第3サーボセクタのそれぞれに記録された前記サーボデータに対して第2復調を実行しながら、前記磁気ヘッドによって前記複数のデータ領域に対するデータのライトを実行し、前記第1復調は前記サーボマークの検出および前記バーストパターンを復調する動作であり、前記第2復調は前記サーボマークの検出を行わずに前記バーストパターンを復調する動作であり、
前記複数の第2サーボセクタのうちのひとつである第4サーボセクタに記録された前記サーボデータに対する前記第1復調において前記サーボマークの検出が失敗した場合、
前記データのライトを停止し、
前記複数の第3サーボセクタのうちの前記ライト/リード方向における前記第4サーボセクタのすぐ前の第3サーボセクタである第5サーボセクタに記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行し、
前記第5サーボセクタに記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行した後に前記磁気ヘッドが前記第4サーボセクタに到達したとき、前記複数のデータ領域のうちの前記第4サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域から前記データのライトを開始する、
コントローラと、
を備える磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第4サーボセクタに記録された前記サーボデータに対する前記第1復調において前記サーボマークの検出が失敗した場合、前記複数の第3サーボセクタのうちの前記ライト/リード方向における前記第4サーボセクタの後ろの第3サーボセクタである第6サーボセクタに記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行する、
請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第4サーボセクタのすぐ後ろの前記データ領域から前記データのライトを開始した後、前記磁気ヘッドが前記複数の第1サーボセクタのうちの前記ライト/リード方向における前記第5サーボセクタからM+1個後ろの第1サーボセクタである第7サーボセクタを通過した際に前記データのライトを再び停止し、
前記第7サーボセクタに記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行し、前記複数のデータ領域のうちの前記第7サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域から前記データのライトを再び開始する、
コントローラと、
請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
連続して前記サーボマークを検出できなかった回数をカウントし、カウント値がMを超えた場合、前記データのライトを停止し、
前記カウント値がM+1になったときに前記磁気ヘッドが通過した第1サーボセクタである第8サーボセクタが前記複数の第2サーボセクタのうちの一である場合には、前記複数の第3サーボセクタのうちの前記ライト/リード方向における前記第8サーボセクタのすぐ前の第3サーボセクタである第9サーボセクタに記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行し、前記第9サーボセクタに記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行した後に前記磁気ヘッドが前記第8サーボセクタに到達したとき、前記複数のデータ領域のうちの前記第8サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域から前記データのライトを開始し、
前記第8サーボセクタが前記複数の第3サーボセクタのうちの一である場合には、前記第8サーボセクタに記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行し、前記複数のデータ領域のうちの前記第8サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域から前記データのライトを開始する、
請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
サーボマークと、円周方向に沿ったライト/リード方向における前記サーボマークの後ろに記録されたバーストパターンと、を含んだサーボデータが記録された複数の第1サーボセクタが円周方向に間隔を空けて配置され、それぞれは円周方向に隣り合う2つの第1サーボセクタの間に設けられた複数のデータ領域を備え、前記複数の第1サーボセクタは複数の第2サーボセクタと複数の第3サーボセクタとを含み、前記複数の第2サーボセクタのうちの隣り合う2つの第2サーボセクタの間には前記複数の第3サーボセクタのうちのM個(ただしMは1以上の整数)の第3サーボセクタが配置された、磁気ディスクと、
磁気ヘッドと、
前記複数の第2サーボセクタのそれぞれに記録された前記サーボデータに対して第1復調を実行し、かつ前記複数の第3サーボセクタのそれぞれに記録された前記サーボデータに対して第2復調を実行しながら、前記磁気ヘッドによって前記複数のデータ領域に対するデータのライトを実行し、前記第1復調は前記サーボマークの検出および前記バーストパターンを復調する動作であり、前記第2復調は前記サーボマークの検出を行わずに前記バーストパターンを復調する動作であり、
前記複数のデータ領域に対するデータのライトのリトライの際には、前記複数の第3サーボセクタの一に記録された前記サーボデータに対して前記第1復調を実行する、
コントローラと、
を備える磁気ディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置が備える磁気ディスクにはサーボセクタが円周方向に間隔を空けて配置される。各サーボセクタにはサーボマークおよびバーストパターンを含むサーボデータが記録される。サーボマークは、サーボデータの復調タイミングの調整の基準とされるデータである。バーストパターンは、トラックセンタからの磁気ヘッドの位置のオフセット量を検出するためのデータである。
【0003】
近年は、通常のサーボセクタ(以降、ノーマルサーボセクタと表記する)とショートサーボセクタとを有する磁気ディスク装置が検討されている。そのような磁気ディスク装置は、ショートサーボセクタにおいては、他のサーボセクタ(例えばノーマルサーボセクタ)におけるサーボマークの検出タイミングに基づき、バーストパターンの復調を行う。よって、当該他のサーボセクタにおいて当該他のサーボセクタにおいてサーボマークの検出が失敗した場合、そのショートサーボセクタに後続するデータ領域でのデータのライトが不可となり、これによって磁気ディスク装置の容量の減少が起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6282159号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの実施形態は、容量の減少を抑制できる磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、磁気ディスク装置は、磁気ディスクと、磁気ヘッドと、コントローラと、を備える。磁気ディスクには、サーボデータが記録された複数の第1サーボセクタが円周方向に間隔を空けて配置されている。サーボデータは、サーボマークと、円周方向に沿ったライト/リード方向におけるサーボマークの後ろに記録されたバーストパターンと、を含む。磁気ディスクは、それぞれは円周方向に隣り合う2つの第1サーボセクタの間に設けられた複数のデータ領域を備える。複数の第1サーボセクタは複数の第2サーボセクタと複数の第3サーボセクタとを含む。複数の第2サーボセクタのうちの隣り合う2つの第2サーボセクタの間には複数の第3サーボセクタのうちのM個(ただしMは1以上の整数)の第3サーボセクタが配置されている。コントローラは、複数の第2サーボセクタのそれぞれに記録された前記サーボデータに対して第1復調を実行し、かつ前記複数の第3サーボセクタのそれぞれに記録された前記サーボデータに対して第2復調を実行しながら、磁気ヘッドによって複数のデータ領域に対するデータのライトを実行する。第1復調はサーボマークの検出およびバーストパターンを復調する動作である。第2復調はサーボマークの検出を行わずにバーストパターンを復調する動作である。複数の第2サーボセクタのうちのひとつである第4サーボセクタに記録されたサーボデータに対する第1復調においてサーボマークの検出が失敗した場合、コントローラは、以下のように動作する。即ち、コントローラは、データのライトを停止する。コントローラは、複数の第3サーボセクタのうちのライト/リード方向における第4サーボセクタのすぐ前の第3サーボセクタである第5サーボセクタに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行する。コントローラは、第5サーボセクタに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行した後に磁気ヘッドが第4サーボセクタに到達したとき、複数のデータ領域のうちの第4サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域からデータのライトを開始する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の磁気ディスク装置の構成の一例を示す模式的な図である。
図2図2は、実施形態の磁気ディスクの構成の一例を示す模式的な図である。
図3図3は、実施形態のリードヘッドおよびライトヘッドの間の位置関係の一例を説明するための図である。
図4図4は、実施形態のノーマルサーボセクタの構成の一例一例を示す図である。
図5図5は、実施形態のショートサーボセクタの構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態のNSVリードモードを説明するための模式的な図である。
図7図7は、連続してサーボマークを検出できなかった回数の実施形態の管理方法の一例を説明するための図である。
図8図8は、何れのノーマルサーボセクタにおいてもサーボマークの検出が成功するケースにおける実施形態のコントローラによるライト動作の制御の一例を説明するための図である。
図9図9は、或るノーマルサーボセクタにおいてサーボマークの検出が失敗するケースにおける実施形態のコントローラによるライト動作の一例を説明するための図である。
図10図10は、或るノーマルサーボセクタにおいてサーボマークの検出が失敗するケースにおける実施形態のコントローラによるライト動作の一例を説明するための図である。
図11図11は、実施形態のコントローラによるSMエラーカウンタを操作する動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態のコントローラによるライト動作の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる磁気ディスク装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態の磁気ディスク装置1の構成の一例を示す模式的な図である。
【0010】
磁気ディスク装置1は、ホスト2に接続される。磁気ディスク装置1は、ホスト2から、ライトコマンドやリードコマンドなどを受信することができる。
【0011】
磁気ディスク装置1は、表面に磁性層が形成された磁気ディスク11を備える。磁気ディスク装置1は、アクセスコマンドに応じて磁気ディスク11にデータをライトしたり磁気ディスク11からデータをリードしたりする。
【0012】
データのライトおよびリードは、磁気ヘッド22を用いて実行される。具体的には、磁気ディスク装置1は、磁気ディスク11のほかに、スピンドルモータ12、ランプ(ramp)13、アクチュエータアーム15、ボイスコイルモータ(VCM)16、モータドライバIC(Integrated Circuit)21、磁気ヘッド22、ハードディスクコントローラ(HDC)23、ヘッドIC24、リードライトチャネル(RWC)25、プロセッサ26、RAM27、FROM(Flash Read Only Memory)28、およびバッファメモリ29を備える。
【0013】
磁気ディスク11は、同軸に取り付けられたスピンドルモータ12により、所定の回転速度で回転される。スピンドルモータ12は、モータドライバIC21により駆動される。
【0014】
プロセッサ26はモータドライバIC21を介して、スピンドルモータ12の回転およびVCM16の回転を制御する。
【0015】
磁気ヘッド22は、それに備わるライトヘッド22wおよびリードヘッド22rにより、磁気ディスク11に対してデータのライトおよびデータのリードを行う。また、磁気ヘッド22は、アクチュエータアーム15の先端に取り付けられている。磁気ヘッド22は、モータドライバIC21によって駆動されるVCM16により、磁気ディスク11の半径方向に移動される。なお、磁気ヘッド22に備わるライトヘッド22wおよびリードヘッド22rのいずれか一方、またはその両方は、それぞれ単一の磁気ヘッド22に対して複数設けられても良い。
【0016】
磁気ディスク11の回転が停止しているときなどは、磁気ヘッド22は、ランプ13上に移動される。ランプ13は、磁気ヘッド22を、磁気ディスク11から離間した位置で保持するように構成されている。
【0017】
ヘッドIC24は、リード動作時に、磁気ヘッド22が磁気ディスク11からリードした信号を増幅して出力し、RWC25に供給する。また、ヘッドIC24は、ライト動作時に、RWC25から供給されたライト対象のデータに対応した信号を増幅して、磁気ヘッド22に供給する。
【0018】
HDC23は、I/F バスを介してホスト2との間で行われるデータの送受信の制御、バッファメモリ29の制御、および読み出されたデータの誤り訂正処理などを行う。
【0019】
バッファメモリ29は、ホスト2との間で送受信されるデータのバッファとして用いられる。例えば、バッファメモリ29は、ライト対象のデータ、または磁気ディスク11からリードされたデータ、を一時記憶するために用いられる。
【0020】
バッファメモリ29は、例えば、高速な動作が可能な揮発性メモリによって構成される。バッファメモリ29を構成するメモリの種類は、特定の種類に限定されない。バッファメモリ29は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、またはこれらの組み合わせによって構成され得る。なお、バッファメモリ29は、任意の不揮発性メモリによって構成されてもよい。
【0021】
RWC25は、HDC23から供給されるライト対象のデータを変調してヘッドIC24に供給する。また、RWC25は、磁気ディスク11からリードされヘッドIC24から供給された信号を復調してデジタルデータとしてHDC23へ出力する。
【0022】
プロセッサ26は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ26には、RAM27、FROM(Flash Read Only Memory)28、およびバッファメモリ29が接続されている。
【0023】
FROM28は、不揮発性メモリの一種である。FROM28には、ファームウェア(プログラムデータ)および各種の動作パラメータなどが格納される。なお、ファームウェアは、磁気ディスク11に格納されてもよい。
【0024】
RAM27は、例えばDRAM、SRAM、またはこれらの組み合わせによって構成される。RAM27は、プロセッサ26によって動作用のメモリとして使用される。RAM27は、ファームウェアがロードされる領域、および各種の管理データが一時記憶される領域として使用される。
【0025】
プロセッサ26は、FROM28または磁気ディスク11に格納されているファームウェアに従って、この磁気ディスク装置1の全体的な制御を行う。例えば、プロセッサ26は、ファームウェアをFROM28または磁気ディスク11からRAM27にロードし、ロードされたファームウェアに従って、モータドライバIC21、ヘッドIC24、RWC25、HDC23などの制御を実行する。
【0026】
なお、HDC23、RWC25、およびプロセッサ26を含む構成は、コントローラ30と見なすこともできる。コントローラ30は、これらのほかに、他の要素(例えばRAM27、FROM28、またはバッファメモリ29など)を含んでいてもよい。
【0027】
また、ファームウェアプログラムは磁気ディスク11に格納されていてもよい。また、プロセッサ26の機能の一部または全部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0028】
図2は、実施形態の磁気ディスク11の構成の一例を示す模式的な図である。なお、本図には、磁気ディスク11の回転方向の一例が示されている。磁気ヘッド22は、磁気ディスク11の回転によって磁気ディスク11に対して相対移動する。したがって、ライト/リード方向、即ち円周方向に沿った磁気ヘッド22によってデータがライトまたはリードされる方向は、磁気ディスク11の回転方向の逆向きである。
【0029】
磁気ディスク11には、製造工程において、例えばサーボライタによって、またはセルフサーボライト(SSW)によって、磁気ヘッド22の位置決めに使用されるサーボデータがライトされる。図2によれば、サーボデータがライトされたサーボ領域の配置の一例として半径方向に放射状にかつ円周方向に所定の間隔を空けて配置された複数のサーボ領域SVが描画されている。円周方向に連続する2つのサーボ領域SVの間は、データがライトされるデータ領域DAとして使用される。
【0030】
複数のサーボ領域SVは、複数のノーマルサーボ領域NSVと、複数のショートサーボ領域SSVとを含む。円周方向に隣り合う2つのノーマルサーボ領域NSVの間に、M個(ただしMは1以上の整数)のショートサーボ領域SSVが配置される。図2に示された例によれば、ノーマルサーボ領域NSVとショートサーボ領域SSVとが円周方向に交互に配置されている。
【0031】
磁気ディスク11の半径方向には、同心円の複数のトラック41が設定される。データ領域DAには、各トラック41に沿って複数のデータセクタが連続的に形成される。サーボ領域SVにライトされたサーボデータは、目標とされるトラック41上に磁気ヘッド22のリードヘッド22rまたはライトヘッド22wを位置決めするために使用される。目標とされるトラック41上にリードヘッド22rまたはライトヘッド22wが位置決めされた状態で、目標とされるデータセクタにユーザデータのライトまたはリードが実行される。
【0032】
以降、トラック41上においてノーマルサーボ領域NSVによって区分される領域を、ノーマルサーボセクタNSVと表記する。トラック41上においてショートサーボ領域SSVによって区分される領域を、ショートサーボセクタSSVと表記する。また、ノーマルサーボセクタNSVおよびショートサーボセクタSSVを、サーボセクタSVと総称する。また、各サーボセクタSVは、トラック41内でユニークな番号であるサーボセクタ番号で識別される。サーボセクタ番号がx(ただしxは0以上の整数)であるサーボセクタSVを、サーボセクタSV#xと表記する場合がある。
【0033】
なお、サーボセクタSVは第1サーボセクタの一例である。ノーマルサーボセクタNSVは第2サーボセクタの一例である。ショートサーボセクタSSVは第3サーボセクタの一例である。
【0034】
図3は、実施形態のリードヘッド22rおよびライトヘッド22wの間の位置関係の一例を説明するための図である。本図に示される例によれば、リードヘッド22rおよびライトヘッド22wは、アクチュエータアーム15が延びる方向に配列されている。そして、リードヘッド22rは、ライトヘッド22wよりもアクチュエータアーム15の回転軸に近い側に配置されている。そして、磁気ヘッド22が或るデータトラック上に位置決めされている状態においては、ライトヘッド22wは、リードヘッド22rに遅れて磁気ディスク11に対して相対移動する。
【0035】
つまり、磁気ディスク11の円周方向において、リードヘッド22rとライトヘッド22wとの間にギャップが存在し、かつ、ライトヘッド22wは、磁気ディスク11に対しにリードヘッド22rにギャップ分だけ遅れるように相対移動する。リードヘッド22rとライトヘッド22wとの間の円周方向のギャップの長さは、リードライトギャップ長と表記される。
【0036】
なお、リードライトギャップ長は、磁気ヘッド22のスキュー角に応じて変動する。そして、磁気ヘッド22のスキュー角は、磁気ヘッド22の半径位置に応じて変動する。つまり、リードライトギャップ長は、半径位置に応じて変動する。
【0037】
ライト動作においては、リードヘッド22rによるサーボ領域SVからのサーボデータをリードと、ライトヘッド22wによるデータ領域DAに対するデータのライトと、が時分割で実行される。しかしながら、ライトヘッド22wはリードライトギャップ長だけリードヘッド22rよりも遅れて磁気ディスク11の円周方向に移動するため、データのライトが不可能な領域が円周方向におけるサーボセクタSVのすぐ前のデータ領域DAに生じる場合がある。このようなデータのライトが不可能な領域は、本明細書において、ライト不可範囲(unwritable range)と表記される。
【0038】
磁気ディスク11内のライト不可範囲の合計容量を出来るだけ少なくするために、コントローラ30は、ライト動作の際には、ショートサーボセクタSSVのうちの前部分(front part)に記録されたサーボデータのリードは行なわない。
【0039】
コントローラ30は、ライト動作において、リードヘッド22rがショートサーボセクタSSV上に至っても、リードヘッド22rがショートサーボセクタSSVのうちの後ろ部分(rear part)に到達するまでデータのライトを行うことが可能であるので、ショートサーボセクタSSVのすぐ前のデータ領域DAに存在するライト不可範囲の長さを抑制できる。その結果、磁気ディスク11内のライト不可範囲の合計容量を抑制できる。
【0040】
なお、ショートサーボセクタSSVの前部分に記録されたサーボデータは、シーク動作またはリード動作においてはリードされてもよい。リード動作は、データ領域DAからデータをリードする動作である。
【0041】
図4は、実施形態のノーマルサーボセクタNSVの構成の一例一例を示す図である。
【0042】
なお、以降では、ライト/リード方向に沿って第1領域と第2領域とがあり、かつ第1領域は第2領域よりも先に磁気ヘッドが通過するような位置関係がある場合、第1領域の位置は第2領域の前と定義する。また、第2領域の位置は第1領域の後ろと定義する。また、第2領域が複数ある場合において、複数の第2領域のうちの第1領域の次に磁気ヘッドが通過する第2領域を、第1領域のすぐ後ろの第2領域ということとする。また、第1領域が複数ある場合において、複数の第1領域のうちの第2領域の直前に磁気ヘッドが通過する第1領域を、第2領域のすぐ前の第1領域ということとする。
【0043】
図4に示される例では、ノーマルサーボセクタNSVには、プリアンブルが記録されたプリアンブル領域PA、サーボマークが記録されたサーボマーク領域SM、グレイコードが記録されたグレイコード領域GC、第1バーストパターンが記録されたバースト領域BP#1、第2バーストパターンが記録されたバースト領域BP#2、およびポストコードが記録されたポストコード領域PCが、この順番でライト/リード方向に配置されている。
【0044】
プリアンブルは、円周方向に周期的に変化する単一の周期のパターンデータである。プリアンブルは、リードヘッド22rによりリードしたサーボ波形をサーボクロックに基づいてRWC25にサンプリングデータとして取り込む時において、サンプリングデータの振幅、位相および周波数の調整に使用される。
【0045】
サーボマークは、サーボデータの復調タイミングを調整するためのパターンデータである。コントローラ30は、サーボマークの検出タイミングに基づき、以降の各種サーボデータの復調タイミングを判断する。
【0046】
グレイコードは、磁気ディスク11に設けられた各トラック41を識別するためのシリンダアドレスと、トラック41上の各サーボセクタSVを識別するための番号であるサーボセクタ番号とを含む。
【0047】
第1バーストパターンおよび第2バーストパターンは、グレイコードに含まれるトラック番号が示すトラック41のトラックセンタからの位置ずれ量を検出するために使用されるパターンデータである。グレイコードに含まれるシリンダアドレスは半径位置の情報のうちの整数値に相当すると仮定すると、半径位置の情報のうちの小数点以下の情報は第1バーストパターンおよび第2バーストパターンを復調することによって得られる。コントローラ30は、グレイコード、第1バーストパターン、および第2バーストパターンを復調することによって得られる磁気ヘッド22の現在位置の計算値に基づいて、磁気ヘッド22の位置決め制御を実行する。
【0048】
図4には、さらに、サーボゲートの波形の一例が図示されている。なお、本図に図示されるサーボゲートの波形は、ライト動作の際の波形を示している。
【0049】
サーボゲートは、プロセッサ26がRWC25に送信する信号であって、サーボデータの復調が許可されている期間を表す信号である。図4に示される例では、サーボゲートが“H”レベルであることは、サーボデータの復調が許可されていることを表し、サーボゲートが“L”レベルであることは、サーボデータの復調が許可されていないことを表す。RWC25は、サーボゲートが“H”レベルである期間にリードヘッド22rによってリードされた信号に対し、復調を実行する。
【0050】
具体的には、RWC25は、サーボマークが検出されたタイミングを基準として、グレイコードを復調するタイミング、第1バーストパターンを復調するタイミング、第2バーストパターンを復調するタイミング、およびポストコードを復調するタイミングのそれぞれを判断して、それぞれのサーボデータを復調する。これらのサーボデータの復調は、サーボゲートが“H”レベルである期間に実行される。
【0051】
なお、前述されたように、ライトヘッド22wは、リードライトギャップ長だけリードヘッド22rよりも遅れて磁気ディスク11の円周方向に移動する。そして、リードヘッド22rがサーボゲートが“H”レベルである期間には、ライトヘッド22wを介したデータのライトは禁止される。よって、図4に示されるように、ノーマルサーボセクタNSVのすぐ前のデータ領域DAに、ライト不可範囲が生じる。
【0052】
以降、サーボゲートを“L”レベルから“H”レベルに遷移させることを、サーボゲートを開ける、と表記する。サーボゲートを“H”レベルから“L”レベルに遷移させることを、サーボゲートを閉じる、と表記する。
【0053】
図5は、実施形態のショートサーボセクタSSVの構成の一例を示す図である。本図には、サーボゲートの波形の一例が図示されている。本図に図示されるサーボゲートの波形は、ライト動作の際の波形を示している。
【0054】
ショートサーボセクタSSVには、プリアンブルが記録されたプリアンブル領域PA、サーボマークが記録されたサーボマーク領域SM、グレイコードが記録されたグレイコード領域GC、第1バーストパターンが記録されたバースト領域BP#1、および第2バーストパターンが記録されたバースト領域BP#2がこの順番でライト/リード方向に配置されている。つまり、図5に示される例では、ショートサーボセクタSSVは、図4に例示されるノーマルサーボセクタNSVからポストコード領域PCを省略した構成を有する。
【0055】
なお、ショートサーボセクタSSVは、補助的なパターンデータが記録された領域をバースト領域BP#2の後ろに備えていてもよい。ショートサーボセクタSSVが備える各領域の円周方向における長さは、ノーマルサーボセクタNSVが備える同名の領域の長さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0056】
ライト動作においてリードヘッド22rがショートサーボセクタSSVを通過する際には、プロセッサ26は、例えば、リードヘッド22rがバースト領域BP#1の先頭に至る予め設定されたタイミングにサーボゲートを開け、リードヘッド22rがバースト領域BP#2の末尾に至る予め設定されたタイミングにサーボゲートを閉じる。よって、このサーボゲートの波形により、磁気ヘッド22がショートサーボセクタSSVのうちの前部分、つまり図5に示される例ではプリアンブル領域PA、サーボマーク領域SM、およびグレイコード領域GC、を通過する期間にはサーボデータのリードが禁止される。
【0057】
そして、図5に示す例では、プリアンブル領域PAの先頭からバースト領域BP#1の先頭までの長さは、リードライトギャップ長よりも長くされている。よって、コントローラ30は、ショートサーボセクタSSVのすぐ前のデータ領域DAに対し、ショートサーボセクタSSVの先頭の近くまでデータをライトすることが可能である。つまり、ショートサーボセクタSSVのすぐ前のデータ領域DAにライト不可範囲が生じることが抑制されている。
【0058】
ライト動作時において図5に示されたパターンでサーボゲートが開閉された場合、コントローラ30は、ショートサーボセクタSSVにおいてサーボマークの検出を行わない。よって、コントローラ30は、ショートサーボセクタSSVの前のサーボセクタSV(例えばノーマルサーボセクタNSV)においてサーボマークが検出されたタイミングに基づいて、ショートサーボセクタSSVにおける第1バーストパターンを復調するタイミングおよび第2バーストパターンを復調するタイミングを判断する。
【0059】
ここで、実施形態と比較される技術について説明する。実施形態と比較される技術を比較例と表記する。比較例によれば、ライト動作において、或るノーマルサーボセクタNSV(第1のノーマルサーボセクタNSVと表記する)においてサーボマークの検出を所定回数繰り返しても成功しなかった場合、コントローラは、第1のノーマルサーボセクタNSVと第1のノーマルサーボセクタNSVのすぐ後ろのノーマルサーボセクタNSV(第2のノーマルサーボセクタNSVと表記する)との間の区間は全て欠陥領域(defected area)として記憶する。そして、コントローラは、欠陥領域へのライトを禁止する。つまり、磁気ディスクが円周方向に2つのノーマルサーボセクタNSVの間にM(ただしMは1以上の整数)個のショートサーボセクタSSVが配置されて構成される磁気ディスク装置では、M+1個のサーボセクタSVの分の区間が欠陥領域となり、データのライトが可能な領域が大きく減少する。換言すると、磁気ディスク装置の容量が減少する。
【0060】
これに対し、実施形態によれば、コントローラ30は、第1のノーマルサーボセクタNSVにおいてサーボマークの検出が成功しなかった場合、第1のノーマルサーボセクタNSVのすぐ前のショートサーボセクタSSVおよび第1のノーマルサーボセクタNSVの後ろに配置されたショートサーボセクタSSVに対し、ノーマルサーボセクタNSVに対するサーボデータのリードと同様のモードで、サーボデータのリードを実行することができる。これによって、第1のノーマルサーボセクタNSVにおいてサーボマークの検出が成功しなかったことに起因する欠陥領域の発生を防止し、磁気ディスク装置1の容量の減少を抑制する。
【0061】
以降、ショートサーボセクタSSVに対する、ノーマルサーボセクタNSVに対するサーボデータのリードと同様のサーボデータのリードのモードを、NSVリードモード、と表記する。
【0062】
図6は、実施形態のNSVリードモードを説明するための模式的な図である。
【0063】
NSVリードモードでは、プロセッサ26は、例えば、リードヘッド22rがプリアンブル領域PAの先頭に至る予め設定されたタイミングにサーボゲートを開け、リードヘッド22rがバースト領域BP#2の末尾に至る予め設定されたタイミングにサーボゲートを閉じる。
【0064】
よって、RWC25は、ショートサーボセクタSSVのうちの前部分、つまりプリアンブル領域PA、サーボマーク領域SM、およびグレイコード領域GC、を通過する期間に、それぞれの領域に記録されたサーボデータの復調を行う。つまり、NSVリードモードでは、コントローラ30は、ショートサーボセクタSSVにおいてもサーボマークの検出を行う。
【0065】
なお、図4および図6に例示されたサーボゲートの波形に従ったサーボデータの復調動作は、第1復調の一例である。図5に例示されたサーボゲートの波形に従ったサーボデータの復調動作は、第2復調の一例である。
【0066】
位置決め精度の信頼性を維持するために、コントローラ30は、連続してサーボマークを検出できなかった回数をカウントし、カウント値がしきい値を超えた場合にはライト動作を停止してリトライするよう、構成されている。そして、ショートサーボセクタSSVのすぐ後ろのデータ領域DAへのライトが許容されるために、上記しきい値は、円周方向に隣り合う2つのノーマルサーボセクタNSVの間に配置されるショートサーボセクタSSVの数であるMとされる。例えば、図2に示される例では、しきい値として「1」が設定される。
【0067】
図7は、連続してサーボマークを検出できなかった回数の実施形態の管理方法の一例を説明するための図である。本図に示す例では、RAM27にSMエラーカウンタ271が格納されている。コントローラ30は、サーボマークの検出の失敗が起きた時、SMエラーカウンタ271を「1」だけインクリメントする。コントローラ30は、サーボマークの検出が成功した時、SMエラーカウンタ271を「0」にリセットする。
【0068】
続いて、実施形態のコントローラ30によるライト動作の制御の具体例を説明する。
【0069】
図8は、何れのノーマルサーボセクタNSVにおいてもサーボマークの検出が成功するケースにおける実施形態のコントローラ30によるライト動作の制御の一例を説明するための図である。
【0070】
図8には、或るトラック41のうちのサーボセクタSV#N~サーボセクタSV#N+4までの区間の複数のデータセクタDSが図示されている。サーボセクタSV#N、サーボセクタSV#N+2、およびサーボセクタSV#N+4はノーマルサーボセクタNSVである。サーボセクタSV#N+1、およびサーボセクタSV#N+1はショートサーボセクタSSVである。複数のデータセクタDSは、データセクタDS#L~DS#L+6を含む。トラック41の上には、サーボゲートの波形が重ねて描画されている。
【0071】
さらに、サーボセクタSV毎にサーボマークの検出の結果とSMエラーカウンタ271の値とが図示されている。「SM OK」は、サーボマークの検出が成功したことを示し、「SM NG」は、サーボマークの検出が失敗したことを示す。
【0072】
コントローラ30は、データセクタDS#L~DS#L+6を磁気ディスク11の一回転でライトしたとき、それぞれはノーマルサーボセクタNSVであるサーボセクタSV#N、サーボセクタSV#N+2、およびサーボセクタSV#N+4において、サーボマークの検出に成功している。そして、それぞれはショートサーボセクタSSVであるサーボセクタSV#N+1、およびサーボセクタSV#N+1においてはサーボマークの検出に失敗している。
【0073】
SMエラーカウンタ271は、ノーマルサーボセクタNSVであるサーボセクタSV#Nにおいてサーボマークの検出に成功したことに応じて「0」とされ、ショートサーボセクタSSVであるサーボセクタSV#N+1においてサーボマークの検出に失敗したことに応じて「1」に変更されている。その後、SMエラーカウンタ271は、ノーマルサーボセクタNSVであるサーボセクタSV#N+2においてサーボマークの検出に成功したことに応じて再び「0」とされ、ショートサーボセクタSSVであるサーボセクタSV#N+3においてサーボマークの検出に失敗したことに応じて再び「1」に変更されている。その後、SMエラーカウンタ271は、ノーマルサーボセクタNSVであるサーボセクタSV#N+4においてサーボマークの検出に成功したことに応じて「0」とされている。
【0074】
このように、SMエラーカウンタ271は、図示された区間において一度も「1」を超えていない。よって、図示された区間において各データセクタDSのライトが実行される。
【0075】
図9および図10は、或るノーマルサーボセクタNSVにおいてサーボマークの検出が失敗するケースにおける実施形態のコントローラによるライト動作の一例を説明するための図である。
【0076】
コントローラ30は、ノーマルサーボセクタNSVであるサーボセクタSV#N+2のすぐ前のデータ領域DAまでデータのライトを行う。続いて、サーボセクタSV#N+2においてサーボマークの検出が失敗した場合、図9の(A)に示されるように、サーボセクタSV#N+2においてSMエラーカウンタ271が「2」となって、SMエラーカウンタ271がしきい値「1」を超える。すると、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+2以降のライト動作を停止する。
【0077】
続いて、コントローラ30は、図9の(B)に示されるように、サーボセクタSV#N+2のすぐ前のショートサーボセクタSSVであるサーボセクタSV#N+1のリードモードをNSVリードモードに設定する。そして、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+2以降のデータ領域DAへのライト動作をリトライする。
【0078】
サーボセクタSV#N+1はNSVリードモードに設定されているので、ライト動作のリトライを実行時には、サーボセクタSV#N+1においてサーボマークの復調が行われる。サーボセクタSV#N+1においてサーボマークの検出に成功すると、SMエラーカウンタ271は「0」にされる。そして、ノーマルサーボセクタNSVであるサーボセクタSV#N+2において再びサーボマークの検出に失敗したとしても、SMエラーカウンタ271は「1」にされ、SMエラーカウンタ271はしきい値である「1」を超えない状態に維持される。よって、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+2のすぐ後ろのデータ領域DAに対するデータのライトを実行する。
【0079】
つまり、サーボセクタSV#N+2以降のライト動作を停止した後の磁気ディスク11の次の一回転において、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+1に記録されたサーボデータに対してNSVリードモードで復調を実行する。そして、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+1に記録されたサーボデータからサーボマークの復調に成功すると、磁気ヘッド22がサーボセクタSV#N+2に到達したとき、サーボセクタSV#N+2のすぐ後ろのデータ領域DAからライト動作を再開する。
【0080】
続いて、サーボセクタSV#N+1のM+1個(つまり2個)後ろのサーボセクタSVであるサーボセクタSV#N+3は、ショートサーボセクタSSVであるため、サーボマークの検出が失敗する。これによってSMエラーカウンタ271が「2」にされる。SMエラーカウンタ271がしきい値「1」を超えるので、図9の(C)に示されるように、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+3以降のライト動作を停止する。
【0081】
続いて、コントローラ30は、図10の(A)に示されるように、サーボセクタSV#N+3のリードモードをNSVリードモードに設定する。そして、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+3以降のデータ領域DAへのライト動作をリトライする。
【0082】
サーボセクタSV#N+3はNSVリードモードに設定されているので、ライト動作のリトライを実行時には、サーボセクタSV#N+3においてサーボマークの復調が行われる。サーボセクタSV#N+3においてサーボマークの検出に成功すると、SMエラーカウンタ271は「0」にされ、SMエラーカウンタ271はしきい値である「1」を超えない状態に維持される。よって、コントローラ30は、図10の(B)に示されるように、サーボセクタSV#N+3のすぐ後ろのデータ領域DAに対するデータのライトを実行する。
【0083】
つまり、サーボセクタSV#N+3以降のライト動作を停止した後の磁気ディスク11の次の一回転において、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+3に記録されたサーボデータに対してNSVリードモードで復調を実行する。そして、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+3に記録されたサーボデータからサーボマークの復調に成功すると、サーボセクタSV#N+3のすぐ後ろのデータ領域DAからライト動作を再開する。
【0084】
ノーマルサーボセクタNSVであるサーボセクタSV#N+4においてサーボマークの検出に成功すると、SMエラーカウンタ271は「0」にされる。SMエラーカウンタ271はしきい値「1」を超えないので、コントローラ30は、サーボセクタSV#N+4のすぐ後ろのデータ領域DAに対するデータのライトを実行する。
【0085】
このように、実施形態によれば、第1のノーマルサーボセクタNSV(例えば図9(A)におけるサーボセクタSV#N+2)においてサーボマークの検出が失敗した場合、第1のノーマルサーボセクタNSVのすぐ前のショートサーボセクタSSVである第1のショートサーボセクタSSV(例えば図9の(B)におけるサーボセクタSV#N+1)のリードモードをNSVリードモードに設定してライト動作のリトライを実行する。これによって第1のノーマルサーボセクタNSVのすぐ後ろのデータ領域DAが欠陥領域とされることを防止することができるので、比較例と異なり、磁気ディスク装置1の容量の減少を抑制できる。
【0086】
また、実施形態によれば、コントローラ30は、第1のノーマルサーボセクタNSVの後のショートサーボセクタSSVである第2のショートサーボセクタSSV(例えば図9の(C)においてサーボセクタSV#N+3)において、SMエラーカウンタ271がしきい値「1」を超えることによるリード動作の停止を行う。すると、コントローラ30は、第2のショートサーボセクタSSVのリードモードをNSVリードモードに設定してライト動作のリトライを実行する。これによって第2のノーマルサーボセクタNSVのすぐ後ろのデータ領域DAが欠陥領域とされることを防止することができるので、さらに磁気ディスク装置1の容量の減少を抑制できる。
【0087】
なお、実施形態によれば、或るショートサーボセクタSSVのリードモードをNSVリードモードに設定する時点においては、そのショートサーボセクタSSVのすぐ前のデータ領域DAへのデータのライトは完了している。よって、ショートサーボセクタSSVのリードモードをNSVリードモードに設定することによるライト不可領域の発生はない。
【0088】
つまり、実施形態によれば、ノーマルサーボセクタNSVにおいてサーボマークの検出が失敗することによる磁気ディスク装置1の容量の減少を引き起こさないことが可能となる。
【0089】
続いて、実施形態のコントローラ30による磁気ディスク装置1の制御方法について説明する。
【0090】
図11は、実施形態のコントローラ30によるSMエラーカウンタ271を操作する動作の一例を示すフローチャートである。本図に示される一連の動作は、磁気ヘッド22が各サーボセクタSVを通過する毎に実行される。
【0091】
磁気ヘッド22が或るサーボセクタSVを通過したとき(S101)、コントローラ30は、そのターボセクタSVに記録されているサーボマークの検出が成功したか否かを判定する(S102)。通過したサーボセクタSVがショートサーボセクタSSVであり、かつ図5に例示されたパターンでサーボゲートが開閉された場合、サーボマークの復調は行われないので、コントローラ30は、サーボマークの検出が成功しなかったと判定する。通過したサーボセクタSVにおいてサーボマークの復調が実行された場合であっても、コントローラ30は、サーボマークに含まれる欠陥などによって復調に失敗した場合、サーボマークの検出が成功しなかった判定する。通過したサーボセクタSVにおいてサーボマークの復調に成功した場合、コントローラ30は、サーボマークの検出が成功したと判定する。
【0092】
サーボマークの検出が成功した場合(S102:Yes)、コントローラ30は、SMエラーカウンタ271を「0」にリセットする(S103)。サーボマークの検出が成功しなかった場合(S102:No)、コントローラ30は、SMエラーカウンタ271を「1」だけインクリメントする(S104)。ステップS103の処理またはステップS104の処理の後、SMエラーカウンタ271を操作する動作が終了する。
【0093】
図12は、実施形態のコントローラ30によるライト動作の制御の一例を示すフローチャートである。本図は、或るライト対象のデータ領域DAのすぐ前のサーボセクタSVを通過するときの動作を示している。
【0094】
磁気ヘッド22がライト対象のデータ領域DAのすぐ前のサーボセクタを通過したとき(S201)、コントローラ30は、SMエラーカウンタ271の操作を実行する(S202)。ステップS202では、コントローラ30は、例えば図11に示された一連の動作を実行する。
【0095】
なお、図12に説明において、ライト対象のデータ領域DAのすぐ前のサーボセクタを、対象のサーボセクタSV、と表記する。
【0096】
そして、コントローラ30は、SMエラーカウンタ271がしきい値を超えたか否かを判定する(S203)。例えばしきい値としてMが予め設定されている。
【0097】
SMエラーカウンタ271がしきい値を超えていない場合(S203:No)、コントローラ30は、ライト対象のデータ領域DAに対してデータのライトを実行し(S204)、一連の動作が終了する。
【0098】
SMエラーカウンタ271がしきい値を超えた場合(S203:Yes)、コントローラ30は、対象のサーボセクタSVはノーマルサーボセクタNSVであるか否かを判定する(S205)。
【0099】
対象のサーボセクタSVはノーマルサーボセクタNSVである場合(S205:Yes)、対象のサーボセクタSVのすぐ前のショートサーボセクタSSVのリードモードをNSVリードモードに設定する(S206)。
【0100】
対象のサーボセクタSVはノーマルサーボセクタNSVでない場合(S205:No)、つまり対象のサーボセクタSVはショートサーボセクタSSVである場合、対象のサーボセクタSVのリードモードをNSVリードモードに設定する(S207)。
【0101】
ステップS206の処理またはステップS276の処理の後、コントローラ30は、ライト動作をリトライする(S208)。つまり、磁気ディスク11が一回転した後、ステップS201からの動作を再び実行する。
【0102】
コントローラ30が図11および図12に例示された制御を行うことにより、図8図10に例示された動作が実現される。
【0103】
なお、以上述べた説明では、第1のノーマルサーボセクタNSVにおいてサーボマークの検出が失敗した場合、コントローラ30は、ライト動作の1回目のリトライにおいて、第1のノーマルサーボセクタNSVのすぐ前のショートサーボセクタSSVのリードモードをNSVリードモードに設定し、その後、ライト動作の2回目のリトライにおいて、第1のノーマルサーボセクタNSVの後ろの第2のショートサーボセクタSSVのリードモードをNSVリードモードに設定した。第1のノーマルサーボセクタNSVにおいてサーボマークの検出が失敗した場合のコントローラ30の動作はこれに限定されない。
【0104】
例えば、コントローラ30は、第1のノーマルサーボセクタNSVにおいてサーボマークの検出が失敗した場合、第1のショートサーボセクタSSVのリードモードおよび第2のショートサーボセクタSSVのリードモードをともにNSVリードモードに設定してリード動作の1回目のリトライを実行してもよい。コントローラ30がそのように構成された場合、第2のショートサーボセクタSSVのすぐ前にライト不可範囲が発生するが、ライト動作のリトライの合計の回数を抑制できる。
【0105】
以上述べたように、実施形態によれば、磁気ディスク11には、複数の第1サーボセクタ(例えば複数のサーボセクタSV)が円周方向に間隔を空けて配置されている。複数の第1サーボセクタは、複数の第2サーボセクタ(例えば複数のノーマルサーボセクタNSV)および複数の第3サーボセクタ(例えば複数のショートサーボセクタSSV)を含む。複数の第2サーボセクタのうちの隣り合う2つの第2サーボセクタの間には複数の第3サーボセクタのうちのM個(ただしMは1以上の整数)の第3サーボセクタが配置されている。コントローラ30は、複数の第2サーボセクタのそれぞれに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行し、かつ複数の第3サーボセクタのそれぞれに記録されたサーボデータに対して第2復調を実行しながら、磁気ヘッド22によって複数のデータ領域DAに対するデータのライトを実行する。第1復調はサーボマークの検出およびバーストパターンを復調する動作である。第2復調はサーボマークの検出を行わずにバーストパターンを復調する動作である。複数の第2サーボセクタのうちのひとつである第4サーボセクタ(例えば図9におけるサーボセクタSV#N+2)に記録されたサーボデータに対する第1復調においてサーボマークの検出が失敗した場合、コントローラ30は、データのライトを停止する。そして、コントローラ30は、複数の第3サーボセクタのうちのライト/リード方向における第4サーボセクタのすぐ前の第3サーボセクタである第5サーボセクタ(例えば図9におけるサーボセクタSV#N+1)に記録されたサーボデータに対して第1復調を実行する。そして、第5サーボセクタに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行した後に磁気ヘッド22が第4サーボセクタに到達したとき、コントローラ30は、複数のデータ領域DAのうちの第4サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域DAからデータのライトを開始する。
【0106】
よって、第4サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域DAが欠陥領域とされることを防止できるので、比較例と異なり、磁気ディスク装置1の容量の減少を抑制できる。
【0107】
また、実施形態によれば、コントローラ30は、第4サーボセクタに記録されたサーボデータに対する第1復調においてサーボマークの検出が失敗した場合、複数の第3サーボセクタのうちのライト/リード方向における第4サーボセクタの後ろの第3サーボセクタである第6サーボセクタ(例えば図10におけるサーボセクタSV#N+3)に記録されたサーボデータに対して第1復調を実行する。
【0108】
よって、第6サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域DAが欠陥領域とされることを防止できるので、磁気ディスク装置1の容量の減少をさらに抑制できる。
【0109】
なお、前述されたように、第5サーボセクタに対する第1復調と、第6サーボセクタに対する第1復調と、がライト動作の1回目のリトライにおいて実行されてもよい。または、第5サーボセクタに対する第1復調は、ライト動作の1回目のリトライにおいて実行され、第6サーボセクタに対する第1復調は、ライト動作の2回目のリトライにおいて実行されてもよい。
【0110】
また、実施形態によれば、コントローラ30は、第4サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域DAからデータのライトを開始した後、磁気ヘッド22が複数の第1サーボセクタのうちのライト/リード方向における第5サーボセクタからM+1個後ろの第1サーボセクタである第7サーボセクタ(例えば図10におけるサーボセクタSV#N+3)を通過した際にデータのライトを再び停止する。そして、コントローラ30は、第7サーボセクタに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行し、複数のデータ領域DAのうちの第7サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域DAからデータのライトを再び開始する。
【0111】
よって、第7サーボセクタのすぐ前のデータ領域DAにおけるライト不可範囲の発生を抑制できるので、磁気ディスク装置1の容量の減少をさらに抑制できる。
【0112】
また、実施形態によれば、コントローラ30は、連続してサーボマークを検出できなかった回数をカウントし、カウント値がMを超えた場合、データのライトを停止する。カウント値がM+1になったときに磁気ヘッドが通過した第1サーボセクタである第8サーボセクタが複数の第2サーボセクタのうちの一である場合には(例えば図12におけるステップS205においてYesと判定されるケース)、複数の第3サーボセクタのうちのライト/リード方向における第8サーボセクタのすぐ前の第3サーボセクタである第9サーボセクタに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行し、第9サーボセクタに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行した後に磁気ヘッドが前記第8サーボセクタに到達したとき、複数のデータ領域のうちの第8サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域からデータのライトを開始する。第8サーボセクタが複数の第3サーボセクタのうちの一である場合には(例えば図12におけるステップS205においてNoと判定されるケース)、第8サーボセクタに記録されたサーボデータに対して第1復調を実行し、複数のデータ領域のうちの第8サーボセクタのすぐ後ろのデータ領域からデータのライトを開始する。
【0113】
よって、図8図10に例示された動作が実現され、これによって磁気ディスク装置1の容量の減少を抑制できる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 磁気ディスク装置、2 ホスト、11 磁気ディスク、12 スピンドルモータ、13 ランプ、15 アクチュエータアーム、21 モータドライバIC、22 磁気ヘッド、22r リードヘッド、22w ライトヘッド、23 HDC、24 ヘッドIC、25 RWC、26 プロセッサ、27 RAM、28 FROM、29 バッファメモリ、30 コントローラ、41 トラック、271 SMエラーカウンタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12