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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132594
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】物品供給システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/20 20060101AFI20240920BHJP
   B65B 35/44 20060101ALI20240920BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20240920BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65B57/20
B65B35/44
B65G43/08 A
B65G47/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043429
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】筧 信一
【テーマコード(参考)】
3E054
3F015
3F027
【Fターム(参考)】
3E054DD01
3E054EA01
3E054FA05
3E054FE03
3E054FE10
3E054GA01
3E054GB02
3E054GC02
3E054GC07
3E054GC10
3E054HA02
3E054HA07
3E054JA01
3F015AA06
3F015FA02
3F015GA01
3F027AA02
3F027CA01
3F027DA07
3F027DA08
3F027EA01
3F027EA04
3F027FA12
3F027FA14
(57)【要約】
【課題】コンベヤで搬送される物品の列の並び方向における物品列の位置ずれに対応するように、仕分け位置の設定変更を自動的に行い得る物品供給システムを提供する。
【解決手段】物品供給システムは、コンベヤ30、仕分け手段31、検知手段34、制御部50を備えている。制御部50は、コンベヤ30の搬送方向に沿って複数の物品列をなして搬送される複数の物品Wを検知手段34が順次、まとめて読み取った画素情報に基づき、各処理機41に向けて供給する物品Wの供給列ごとの物品Wを計数するにあたって、供給列を構成する1つ又は隣り合う複数の物品列のずれ量に対応するように各物品列の検知領域37を移動させる。また、供給列のずれ量に対応して、各処理機41への物品Wの仕分けを行う仕分け手段31における仕分け位置36を自動で移動させる指令情報を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送方向に沿って前記物品が複数の物品列をなし、かつ隣り合う前記物品列における前記物品の間隔が空くように、複数の前記物品をベルトからなる搬送面に載置して搬送するコンベヤと、
前記搬送面における前記複数の物品列の前記物品をまとめて読み取る検知手段と、
前記検知手段より前記コンベヤの前記搬送方向における下流側で、単列または隣り合うN列(N≧2の整数)の前記物品列からなる供給列のそれぞれに対応付けられており、各前記供給列から送られてくる前記物品の供給量に応じて処理動作を変更し得る処理機のそれぞれに向けて前記物品の仕分けを行い得ると共に、前記物品の仕分けを行う仕分け位置を駆動手段によって前記物品列の並び方向に移動し得る仕分け手段と、
前記検知手段で得た画素情報に基づき前記仕分け手段に指令を行うと共に前記処理機の処理動作に関する制御を行う制御部と、
を備えており、
前記制御部は、
前記検知手段で読み取って得た画素情報から、前記複数の物品を含む範囲に相当し得る搬送領域の状態を示す画像を順次生成すると共に、生成した前記画像ごとに前記画像に含まれる前記複数の物品を選定する選定手段と、
前記画像が順次生成される都度、前記画像に基づき、前記選定手段で選定された前記複数の物品の中から特定の前記物品を規定すると共に、前記特定の物品の位置情報に基づき、前記物品列のそれぞれに対応するよう前記物品列数に相当する数の検知領域を規定して、各前記検知領域内に位置する選定された前記複数の物品の数を計数すると共に、それぞれの前記供給列をなす単列または隣り合うN列の前記物品列の前記検知領域内における前記物品の数を求める第1演算手段と、
1つの前記検知領域内または複数の前記検知領域内それぞれに位置する前記複数の物品の前記搬送方向に交差する幅方向における前記物品のずれ量を求める第2演算手段と、
前記第2演算手段で求めた前記物品のずれ量に応じて前記仕分け位置を前記物品列の並び方向に移動させるように、前記仕分け手段における前記駆動手段に向けた指令情報を生成すると共に、前記第1演算手段で順次求めたそれぞれの前記供給列内における前記複数の物品の数を合算して、それぞれの前記処理機の処理動作を決定するための前記物品の供給量に関する情報を生成する情報生成手段を備えることを特徴とする、物品供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像において、前記物品がない前記検知領域が含まれる場合、前記仕分け位置を前記物品列の並び方向に移動させる指令を行わないことを特徴とする、請求項1に記載の物品供給システム。
【請求項3】
前記第2演算手段が前記物品列の並び方向における中間付近に位置する特定の前記検知領域における前記物品のずれ量を求めると、
前記制御部は、前記物品のずれ量に基づき複数の前記仕分け位置を一括で移動させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の物品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトコンベヤで複数の列をなして並んで搬送されてくる物品を横形製袋充填機や箱詰め装置などの包装機(処理機)に供給する構成として、案内装置で物品の列ごとに対応する排出路に分配し、各排出路に対応して配設された処理機に供給する構成が知られている。例えば特許文献1には、ベルトコンベヤの上方にベルトコンベヤを斜めに横切るように、案内装置が多数設けられた構成が開示されている。特許文献1に記載された構成によれば、案内装置における案内部材の先端位置をそれぞれ調整する簡単な構成によって、複数列に並んで搬送されてくる物品を、列ごとに対応する排出路に仕分けて各処理機に供給する技術が示されている。
【0003】
そして、出願人は、このような案内装置を用いて各処理機に物品を供給するにあたって、特許文献2に記載の物品供給システムを提案した。特許文献2に記載の物品供給システムは、ベルトコンベヤで複数の列をなして並んで搬送されてくる物品の到来量を、センサで列ごとに検知して、各列の検知情報に基づき、各列に対応する処理機に向けて供給する物品量をそれぞれカウントし、物品量に応じた制御を列ごとに行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4269151号公報
【特許文献2】特願2022-138336
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上流工程からベルトコンベヤによって複数の列をなして並んで搬送されてくる物品の搬送経路が長く、大きく湾曲するようにするように構成される場合、搬送経路の途中で物品の列が徐々にずれてしまうこともある。例えば、ベルトコンベヤの湾曲・蛇行によって、物品の列が一日当たり±60mm程度、コンベヤの搬送方向と交差する左右方向に、徐々にずれることもあり得る。そして、このような要因などで物品の列がコンベヤの左右方向にずれると、各案内装置の案内部材が物品を仕分けるための設定位置(仕分け領域)とコンベヤの各物品列にもずれが生じる。そのため、オペレータがコンベヤの左右方向における物品列のずれを監視し、物品列のずれに対応させるために仕分け領域の設定などを変更する必要があった。
【0006】
本発明は、コンベヤで搬送される物品の列の並び方向における物品列の位置ずれに対応するように、仕分け位置の設定変更を自動的に行い得る物品供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の物品供給システムは次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、物品(W)を搬送する搬送方向に沿って前記物品(W)が複数の物品列をなし、かつ隣り合う前記物品列における前記物品(W)の間隔が空くように、複数の前記物品(W)をベルトからなる搬送面(30a)に載置して搬送するコンベヤ(30)と、前記搬送面(30a)における前記複数の物品列の前記物品(W)をまとめて読み取る検知手段(34)と、前記検知手段(34)より前記コンベヤ(30)の前記搬送方向における下流側で、単列または隣り合うN列(N≧2の整数)の前記物品列からなる供給列のそれぞれに対応付けられており、各前記供給列から送られてくる前記物品(W)の供給量に応じて処理動作を変更し得る処理機(41)のそれぞれに向けて前記物品(W)の仕分けを行い得ると共に、前記物品(W)の仕分けを行う仕分け位置(36)を駆動手段によって前記物品列の並び方向に移動し得る仕分け手段(31)と、前記検知手段(34)で得た画素情報に基づき前記仕分け手段(31)に指令を行うと共に前記処理機の処理動作に関する制御を行う制御部(50)と、を備えており、前記制御部(50)は、前記検知手段(34)で読み取って得た画素情報から、前記複数の物品(W)を含む範囲に相当し得る搬送領域の状態を示す画像を順次生成すると共に、生成した前記画像ごとに、前記画像に含まれる前記複数の物品(W)を選定する選定手段(52)と、前記画像が順次生成される都度、前記画像に基づき、前記選定手段(52)で選定された前記複数の物品(W)の中から特定の前記物品(W)を規定すると共に、前記特定の物品(W)の位置情報に基づき、前記物品列のそれぞれに対応するよう前記物品列数に相当する数の検知領域(37)を規定して、その各検知領域(37)内に位置する選定された前記複数の物品(W)の数を計数すると共に、それぞれの前記供給列をなす単列または隣り合うN列の前記物品列の前記検知領域(37)内における前記物品(W)の数を求める第1演算手段(54)と、1つの前記検知領域(37)内または複数の前記検知領域(37)内それぞれに位置する前記複数の物品(W)の前記搬送方向に交差する幅方向における前記物品(W)のずれ量を求める第2演算手段(56)と、前記第2演算手段(56)で求めた前記物品(W)のずれ量に応じて前記仕分け位置(36)を前記物品列の並び方向に移動させるように、前記仕分け手段(31)における前記駆動手段に向けた指令情報を生成すると共に、前記第1演算手段(54)で順次求めたそれぞれの前記供給列内における前記複数の物品(W)の数を合算して、それぞれの前記処理機(41)の処理動作を決定するための前記物品(W)の供給量に関する情報を生成する情報生成手段(58)を備えることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に係る発明によれば、物品供給システムは、検知手段(34)によって得られた画素情報に基づいて、第1演算手段(54)が検知領域(37)を設定することにより、搬送面(30a)において幅方向における物品列や物品(W)の位置にばらつきが生じても、供給列単位で物品(W)の到来量を計数することができる。また、第2演算手段(56)によって求めた物品列の並び方向における位置の物品(W)のずれ量に基づき、コンベヤ(30)で搬送される物品列の並び方向における位置の物品(W)のずれ量に対応するように、自動的に各仕分け位置(36)を補正することによって、物品(W)が検知手段(34)に到達するまでの搬送経路の途中で、物品Wの列が徐々にコンベヤ(30)の左右方向にずれることがあっても、オペレータがベルトコンベヤ30の搬送状態を常に監視する必要がなく、オペレータの負担を軽減できる。また、生産(装置の運転)を開始する際に、検知手段(34)が物品(W)を検知するだけで、予め設定された基準位置に対し、実際に搬送されてくる物品(W)の列がずれていても、各仕分け手段(31)が仕分けを行う仕分け位置(36)を自動的に補正するため、オペレータが手動で設定する必要がなく、オペレータの負担を軽減できる。
【0009】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、前記制御部(50)は、前記画像において、前記物品(W)がない前記検知領域(37)が含まれる場合、前記仕分け位置(36)を前記物品列の並び方向に移動させる指令を行わないことを特徴とする。
【0010】
この請求項2に係る発明によれば、仮に物品(W)が一つもない検知領域(37)がある場合に仕分け位置(36)の補正を行うとすると、全体の物品列の数が減った状態で仕分け位置(36)を補正するための物品(W)のずれ量が算出されてしまい、適切に補正されない場合がある。そのため、仕分け位置(36)を変更しないことで、不確かな物品(W)の検知情報に基づく物品(W)のずれ量によって、物品列に対する仕分け位置(36)を不要に移動させることを抑制し得る。
【0011】
次に、請求項1または請求項2に従属する請求項3に係る発明は、前記第2演算手段(56)が物品列の並び方向における中間付近に位置する特定の前記検知領域(37)における前記物品(W)のずれ量を求めると、前記制御部(50)は、前記物品(W)のずれ量に基づき複数の前記仕分け位置(36)を一括で移動させることを特徴とする。
【0012】
この請求項3に係る発明によれば、制御部(50)は、第2演算手段(56)が求めた物品列の並び方向における中間付近に位置する物品(W)のずれ量に基づいて、他の物品列についても一括で仕分け位置(36)を移動させることにより、相対的に物品列の並び方向における物品(W)のずれが生じ難い。また、物品列ごとに物品(W)のずれ量を求めてそれぞれの物品列について個別に仕分け位置(36)を移動させる場合に比べ、演算処理をシンプルに行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、コンベヤで搬送される物品の列の並び方向における物品列の位置ずれに対応するように、仕分け位置の設定変更を自動的に行い得る物品供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る物品供給システムを構成する各装置の配置を示す略体平面図である。
図2】実施形態に係る物品供給システムの制御部と各装置の関係を示す図である。
図3】実施形態に係る選定手段によって生成された搬送領域の状態を示す画像と、画像における物品列範囲設定用枠と物品カウント用枠を示す図である。
図4】実施形態に係る案内装置によって仕分け位置を補正する場合の、可動部材の動きの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態について、図面を用いて説明する。本実施形態に係る物品供給システムは、図1に示すように、ベルトコンベヤ30(コンベヤ)の搬送面30aに複数の物品列をなして載置され、矢視Aで示す方向に搬送されてくる複数の物品Wを、物品列ごとに仕分けて複数の包装部41(処理機)に供給する、物品供給システムである。
【0016】
物品供給システムは、複数の物品Wを多列搬送するベルトコンベヤ30と、物品Wを包装する複数の包装部41に向けて物品Wを案内する複数の案内装置31(仕分け手段)と、検知装置34(検知手段)と、検知装置34から送られてくる検知情報に基づき、案内装置31と包装部41と搬送機構43などを制御する制御部50(図2参照)を備えている。本実施形態では、案内装置31と搬送機構43と包装部41がそれぞれ10基配設されているが、図1においては、ベルトコンベヤ30の上流側におけるそれぞれ5基が図示され、下流側の図示が省略されている。
【0017】
ベルトコンベヤ30は、物品Wを多列に載置することができる単一の幅広のベルトからなる搬送面30aを備えており、一定の搬送速度で物品Wを連続搬送する。本実施形態では、図1に示すように、複数の物品Wが、物品Wを搬送する搬送方向(矢視Aで示す方向)に沿って複数の物品列をなし、かつ隣り合う物品列における物品Wの間隔が空くように、搬送面30aに載置される。また物品列の数は、ベルトコンベヤ30の搬送方向と交差する幅方向において20列に設定されている。そして、隣り合う2つの物品列を1つの供給列として、計10個の供給列の物品Wが、供給列ごと(隣り合う2列分の物品列ごと)に対応付けられたそれぞれの案内装置31と対応付けられたそれぞれの搬送機構43を介して各包装部41に向けて搬送される。なお、ベルトコンベヤ30の搬送方向と交差する幅方向を、図1図3及び図4に示すように左右方向と定めて、以下説明する。
【0018】
検知手段として、例えば3Dセンサからなる検知装置34が、ベルトコンベヤ30の搬送面30aに対向する上方に、ベルトコンベヤ30の搬送方向と直交する搬送面30aの幅方向に亘って配設されている。検知装置34は、搬送面30aにおける複数の物品列の物品Wをすべて含むようにまとめて読み取る。具体的には、搬送面30aを左右方向に横切るように検知位置34aが設定されており、検知位置34aで1~20列目の物品Wを含む搬送面30aの搬送領域の状態を連続して順次、画素情報として読み取る。検知装置34が検知した物品Wの情報は、制御部50に送られる。
【0019】
検知装置34よりベルトコンベヤ30の搬送方向における下流側には、ベルトコンベヤ30の搬送面30aの上方に、10基の案内装置31(31A~31E・・・)が互いに間隔を空けて配設されている。案内装置31は、ベルトコンベヤ30の搬送面30aに載置された物品Wのうち、左側から順に隣り合う2列分の物品列(1つの供給列)の物品Wを、それぞれの仕分け位置36(36A~36E・・・の計10か所)で、各搬送機構43に案内し、各仕分け位置36より右側の残りの列の物品Wを通過させる構成となっており、各包装部41に向けて物品Wの仕分けを行い得る。各案内装置31は、搬送面30aに対して鉛直方向に起立する面32aを有する可動部材32(32A~32E・・・)を備えており、それぞれの可動部材32の面32aが平面視においてベルトコンベヤ30の搬送方向に対して傾斜する角度に配置されている。
【0020】
各案内装置31は、可動部材32の先端部32bが対応する仕分け位置36に位置するように、可動部材32の長さが設定されており、可動部材32の先端部32bより左側において、対応する2列分の物品列の物品Wが可動部材32の面32aに当接する構成になっている。本実施形態では、図4を参照として、2列分の物品列(1つの供給列)の境界線Lと可動部材32の先端部32bが交差する位置に仕分け位置36が設定される。可動部材32は、例えばモータなどの駆動手段によって可動部材32の面32aに沿って直線移動する構成となっており、可動部材32が一括して動くことで、その先端部32bがずれるように移動する。例えば、図4に示すように供給列の境界線Lが先回の検知領域37の選定に伴い規定された境界線L2から今回の検知領域37の選定に伴い規定された境界線L1に変更されたときに、可動部材32がM1方向に移動することにより、先端部32bが供給列の境界線L1と交差する位置に移動し、これに伴い搬送面30a上における物品Wの仕分け位置36が物品列の並び方向(例えば図4に示すM2方向)に移動し得る。なお、検知領域37の選定方法については、追って説明する。
【0021】
可動部材32の面32aに当接した物品Wは、ベルトコンベヤ30の搬送面30a上を可動部材32の面32aに沿って移動し、搬送機構43に受け渡される。このようにして、案内装置31は、仕分けた2列分の物品列の物品Wを搬送面30aの一側側(本実施形態では左側)に向けて搬送し、搬送面30aの一側側から搬送機構43を介してそれぞれの包装部41に向けて物品Wを排出する。
【0022】
図1に示すように、検知装置34よりベルトコンベヤ30の搬送方向における下流側には、10基の搬送機構43(43A~43E・・・)が互いに離間して、並行に配設されている。搬送機構43は、その搬送方向がベルトコンベヤ30の搬送方向と交差する方向(図1に示す左方向)となるように、搬送面30aの一側側(本実施形態では左側)と接続されて配置されている。
【0023】
それぞれの搬送機構43は、図示を省略するが、複数の搬送コンベヤが直列に接続されて構成されており、案内装置31によって仕分けられた2列分の物品列の物品Wを順次受け取り、各包装部41(41A~41E・・・)に向かって搬送する。それぞれの搬送コンベヤは、駆動モータとしてのサーボモータにより回転する無端状の搬送面を備えている。搬送コンベヤと搬送コンベヤの境界付近には、物品Wを検知するセンサ(不図示)が設けられている。上流側の搬送コンベヤから次の搬送コンベヤに渡る際に物品Wを検知することにより、センサが検知した物品Wの前後間隔を求めて、物品Wが所定の間隔に揃うように、検出したセンサよりも下流側のベルトコンベヤの速度調整が行われる。このようにして、搬送機構43は、不規則に搬入された物品Wを所定間隔で搬送するようにして、包装部41の一包装サイクルに合わせた間隔で包装部41に搬送する。
【0024】
それぞれの搬送機構43は、搬送機構43における上流側に物品Wを排出する排出手段45を備えている。排出手段45は、案内装置31によって仕分けられた物品Wが後述する処理量Yの上限値Ymax(所定数)を超えて包装部41に向けて搬送されてきた場合に、検知装置34からの検知情報に基づく制御部50の排出指令により、上限値Ymax(所定数)を超えた分の物品Wを搬送経路外に排出する。本実施形態では、例えばエアによる排出装置が選択される。
【0025】
搬送機構43より下流側には、搬送された物品Wを包装(処理)する包装部41として、10基の横形製袋充填機が配設されている。横形製袋充填機は、製袋部で帯状のフィルム(包装材)の両端縁を重合して筒状に成形すると共に、搬送機構43から物品Wを筒状のフィルム内に供給して、筒状のフィルムの重合部にフィルムの送り方向に沿って縦シールを施した後、筒状のフィルムに包まれた物品Wを挟んだ前後の位置に、フィルムの送り方向と交差する方向に横シールを施すこと、すなわち制御部50による包装動作の制御により包装品を得る横形製袋充填機である。なお、包装動作の制御としては、包装運転の開始や停止の制御やシーラー温度制御なども含まれる。また、包装部41は、制御部50の制御により、物品Wの供給量に応じて包装動作(処理動作)、すなわち単位時間当たりに物品Wを包装(処理)する処理数(処理能力)を変更し得る。
【0026】
制御部50は、図2に示すように、選定手段52と、第1演算手段54と、第2演算手段56と、情報生成手段58を備えている。制御部50は、検知装置34で得た画素情報に基づき、演算処理等を行い、情報生成を行う。そして、生成された情報に基づき、10基の案内装置31の駆動手段に指令を行うと共に、案内装置31のそれぞれに対応して配設される搬送機構43の個々の搬送コンベヤの走行や、包装部41の包装動作(処理動作)などに関する制御を行う。
【0027】
選定手段52は、検知装置34で読み取って得た画素情報から、物品列ごとに複数の物品Wを含む範囲に相当し得る搬送領域の状態を示す画像を所定時間ごとに順次生成する。すなわち、1~20列目までの物品Wが含まれる範囲の画像を順次生成する(図3参照)。そして、生成した画像ごとに、画像解析を行って、画像に含まれる複数の物品Wを選定する。
【0028】
第1演算手段54は、選定手段52によって画像が順次生成される都度、その画像に基づき、選定手段52で選定された複数の物品Wの中から特定の物品Wを規定すると共に、特定の物品Wの位置情報に基づき、物品列のそれぞれに対応するよう物品列数に相当する数の検知領域37を規定する。具体的には、図3に示すように、生成された画像を基に、20列の物品列のうち、搬送面30aの一番左端に位置する物品W1を特定する。すなわち、生成された画像において搬送面30aの一側側(左側)に最も近い位置の物品W1を特定の物品Wとする。この特定の物品Wを基準に、1列目の物品列範囲設定用枠37(検知領域)を設定する。さらに、1列目の物品列範囲設定用枠37を基準に、2列目から20列目までの物品列範囲設定用枠37を設定する。物品列範囲設定用枠37は、それぞれの物品列において物品Wの有無と物品Wの数を判断するために設定される領域である。第1演算手段54が各処理機41に向けて供給する物品Wの供給列ごとの物品Wを計数するにあたって、制御部50が供給列を構成する1つ又は複数の物品列のずれ量に対応するように各物品列の物品列範囲設定用枠37を移動させる。
【0029】
図3を参照として、1~20列の物品列範囲設定用枠37は、ベルトコンベヤ30の左右方向に接続状態で並ぶように設定される。これら物品列範囲設定用枠37の左右方向の幅は、物品Wの幅と物品列の間隔に基づき、例えば物品Wの幅の1.2~1.4倍程度に設定される。物品列範囲設定用枠37の左右方向の幅を物品Wの大きさに対して余白が生じるように設定することで、それぞれの物品列における物品Wの並びに左右方向のばらつきが生じても、物品Wが物品列範囲設定用枠37内に収まるようにすることができ、物品Wの有無や物品Wの数を判断できる。なお、これらの余白は、後述する10列目の物品列のずれ量に基づきすべての可動部材32の先端部32bの位置を補正しても、供給列ごとに計数した物品Wが、対応付けられた包装部41(処理機)に向けて仕分けられることに問題が生じないように設定されている。
【0030】
また、第1演算手段54は、各物品列範囲設定用枠37(検知領域)内に位置する選定された複数の物品Wの数を計数すると共に、それぞれの供給列をなす隣り合う2列の物品列の物品列範囲設定用枠37内における物品Wの数を求める。具体的には、隣り合う2列の物品列範囲設定用枠37で、物品Wの通過をカウントするための物品カウント用枠38を1つ設定する。すなわち、隣り合う2列の物品列範囲設定用枠37ごとに、計10個の物品カウント用枠38を規定する。そして、1つの物品カウント用枠38ごとに、所定時間における物品Wの供給量を計数する。
【0031】
第2演算手段56は、1つの検知領域37内または複数の検知領域37内それぞれに位置する複数の物品Wの搬送方向に交差する幅方向における物品Wのずれ量(変位量)を求める。本実施形態では、各物品列における物品Wの左右方向の位置の基準位置が予め初期設定されている。第2演算手段は、物品列の並び方向における中間付近(例えば10列目)に位置する物品列範囲設定用枠37を特定し、特定した物品列範囲設定用枠37内の複数の物品Wについて、物品Wが基準位置に対して左右方向にどの程度ずれているかを算出する。例えば、10列目の物品列範囲設定用枠37内の複数の物品Wの位置情報から、物品Wの位置分布の左右方向における重心を算出することで、基準位置に対する物品Wのずれ量が求められる。物品Wのずれ量は、言い換えれば、物品列の位置ずれ量である。
【0032】
情報生成手段58は、第2演算手段56で求めた物品Wのずれ量に応じて仕分け位置36を物品列の並び方向に移動させるように、案内装置31(仕分け手段)における駆動手段に向けた指令情報を生成する。本実施形態では、第2演算手段が算出した特定の(10列目の)物品列範囲設定用枠37内に位置する物品Wのずれ量に基づいて、情報生成手段58が供給列の今回の境界線L1を規定し、供給列の先回の境界線L2に対する境界線L1の変位量から仕分け位置36の補正値の情報を生成する。さらに情報生成手段58は、この補正値の情報から、案内装置31における駆動手段に向けた仕分け位置36を物品列の並び方向に移動させるための指令情報を生成する。
【0033】
制御部50は、情報生成手段58が生成した指令情報に基づき、案内装置31における駆動手段に指令を行う。制御部50は、1~20列目のすべての物品列で物品Wが検知された場合、物品Wのずれ量に応じて、仕分け位置36を一括で物品列の並び方向に移動させる。また、仕分け位置36の補正値が、予め設定された所定値以下の場合には、仕分け位置36を物品列の並び方向に移動させる指令を行わない構成となっている。このようにして、各包装部41に物品Wを供給するにあたり、例えば搬送経路の湾曲や蛇行等によって、物品列や物品全体の位置が搬送面30aの幅方向にずれた際に、物品列や物品Wの位置のずれ量に応じて自動的に仕分け位置36の設定変更を行い得る。
【0034】
情報生成手段58は、第1演算手段54で順次求めたそれぞれの物品カウント用枠38内(供給列内)における複数の物品の数を合算して、それぞれの物品カウント用枠38に対応付けられた包装部41(処理機)の処理動作を決定するための物品Wの供給量に関する情報(処理量Y)を生成する処理量算出手段を備える。
【0035】
ここで、例えば所定時間(t秒間(t<60))ごとに、物品カウント用枠38内の物品Wの個数をカウントして、列に対応した包装部41の1分間当たりの処理量Yを算出する場合を説明する。表1に示すように、1回目に検知装置34から受信した5×t秒間における物品Wの個数をX1、2回目に受信した次のt秒間における物品Wの個数をX2、以降、X3、X4、X5、・・・とする。なお物品Wの個数は、各列においてそれぞれ算出される。
【0036】
処理量算出手段は、検知された物品Wの個数を受信するごとに、1分間当たりの物品Wの個数(処理量Y)を算出する。具体的には、最新の受信データと直前の受信データを基に、5t秒間における物品Wの個数Qを算出し、個数Qに基づいて1分間当たりの物品Wの個数Yを算出する。例えば、5回目のデータを受信したときは、X1+X2+X3+X4+X5が5t秒間における物品Wの個数Qとして算出される。そして、X1+X2+X3+X4+X5に所定係数αを掛けて1分間当たりの物品Wの個数、すなわち物品Wを包装部41で包装する1分間当たりの処理量Yを算出する。
【0037】
【表1】

【0038】
なお、生成された画像において、物品Wがない物品列範囲設定用枠37が含まれる場合、すなわち1~20列目のいずれかの物品列で、物品Wが全く検知されない場合、制御部50は、仕分け位置36を物品列の並び方向に移動させる指令を行わない。しかし、包装能力を変更するための製品供給量を知る上では、物品Wが検知されない枠が1枠でもあれば枠が変更されないとなると、t秒間で各枠に到来する物品Wをカウントすることができなくなり、1分間あたりの物品Wの到来量が不明となる。そこで、1回の画像において、20列のうちいずれかの物品列に物品Wが映らない場合は、4回分の画像と、1つ前の古い画像で5回分として、その5回分の画像に基づき、各物品列の物品Wの到来量を算出する。例えば、表1において、X9=0のとき、9回目の処理量Y=(X4+X5+X6+X7+X8)α、11回目の処理量Y=(X6+X7+X8+X10+X11)αとする。
【0039】
情報生成手段58は、物品列ごとに、所定時間に検知された物品Wの先頭が包装部41に到達するまでに、算出された処理量Yの情報に基づいて、変更する処理能力の値を生成する。例えば表2に示すように、算出された処理量Yの値に応じた包装部41の処理能力が予め設定されている。処理量Yが基準値A以下であるとき、包装部41は100%の処理能力で物品Wを包装するように設定されている。処理量Yの値が基準値Aを超えて、例えばA<Y≦A+aになった場合には、包装部41の処理能力を101%に変更する処理能力の値を生成する。さらに処理量Yの値が増加して、例えばA+d<Y≦A+eになった場合には、包装部41の処理能力を105%に変更する処理能力の値を生成する。制御部50は、情報生成手段58が生成したそれぞれの包装部41(処理機)の処理動作を決定するための物品Wの供給量(1分間当たりの物品Wの個数Y)を基に、それぞれの包装部41(処理機)の包装動作に関する制御(本実施形態においては、包装部41の処理能力を変更する制御)を行う。
【0040】
【表2】

【0041】
さらに、制御部50は、物品Wの供給量の情報に基づき、包装部41へのフィルム送り速度を制御する。このフィルム送り速度に合わせて、搬送機構43から物品Wが包装部41に送られる。搬送機構43は、不規則に搬入された物品Wを、複数の搬送コンベヤを介して所定間隔となるように、すなわち包装部41の一包装サイクルに合わせた間隔で、包装部41に向けて搬送する。
【0042】
次に、上記物品供給システムの動作及び制御について説明する。複数の物品Wが、ベルトコンベヤ30の搬送面30aに多列(本実施形態では20列)に載置されて連続的に搬送される。搬送面30aにおける検知位置34aを通過するすべての物品列の物品Wが含まれるように、搬送されてくる複数の物品Wを検知装置34(検知手段)でまとめて読み取り、画素情報を取得する。得られた画素情報は、制御部50に送られる。なお、各物品列の物品Wの左右方向における位置の基準位置及びそれらの基準位置に対応して、供給列の境界線Lで物品Wを仕分けするように可動部材32の先端部32bの基準位置が初期設定されている。
【0043】
得られた画素情報を基に、選定手段52は、搬送面30aにおける1~20列の物品列の物品Wが含まれる範囲に相当し得る搬送領域の状態を示す画像を順次生成し、その画像ごとに画像解析を行って、画像に含まれる複数の物品Wを選定する。
【0044】
第1演算手段54は、選定手段52で選定した複数の物品Wの中から、搬送面30aの一番左端に位置する物品W1を特定して、特定した物品Wの位置情報に基づいて1列目の物品列範囲設定用枠37を設定する。さらに、1列目の物品列範囲設定用枠37(搬送面30aの一番左端に位置する物品W1)を基準に、2列目から20列目までの物品列範囲設定用枠37を設定する(図3参照)。第1演算手段54は、それぞれの物品列範囲設定用枠37について、それぞれの枠ごとに、画像解析を行い、物品Wの有無、物品Wの数を判断する。また、第1演算手段54は、隣り合う2つの物品列範囲設定用枠37ごとに、物品カウント用枠38を1つ設定し、1つの物品カウント用枠38ごとに、物品カウント用枠38内に位置する物品Wの数を計数する。
【0045】
第2演算手段56は、中央付近の物品列(例えば10列目)に設定された物品列範囲設定用枠37内に位置する複数の物品Wについて、10列目の物品列の幅方向(左右方向)における基準位置に対する物品Wのずれ量(変位量)を求める。情報生成手段58は、この物品Wのずれ量に基づき、各可動部材32の先端部32bの現在の基準位置をずれ量分移動させて、各供給列と各先端部32bとのずれを相殺あるいは減じるように、仕分け位置36の補正値の情報を生成し、案内装置31の駆動手段に向けた指令情報を生成する。補正値が予め設定された所定値を上回る場合、制御部50は、生成された指令情報に基づき、案内装置31の駆動手段に対する駆動指令を行うと共に、可動部材32の先端部32bの基準位置を補正値で更新し、現在の基準位置として記憶更新すると共に、各物品列の基準位置をずれ量分、補正して、現在の基準位置として記憶更新する。これにより、案内装置31の可動部材32が物品Wのずれ量に対応するように一括で移動し、仕分け位置36が物品Wのずれ量に応じて物品列の並び方向に移動して補正される。なお、各列における物品列範囲設定用枠37で物品Wの存在が判断される場合は、10列目の物品列における物品Wのずれ量に基づき、速やかに案内装置31の仕分け位置36の補正が行われる。
【0046】
一方、情報生成手段58は、生成された画像において、1~20列目のいずれかの物品列で、物品Wが全く検知されない場合は、制御部50は案内装置31による仕分け位置36の補正の指令を行わず、先端部32bの基準位置と物品列の基準位置の更新を行わない。さらに、情報生成手段58は、いずれかの物品列で、物品Wが全く検知されない場合に、各物品列の5×t秒間に通過した物品Wの個数Qを直近4回分の画像と、1つ前の古い画像で5回分として、その5回分の画像に基づき、各物品列の物品Wの到来量を算出する。
【0047】
情報生成手段58は、物品カウント用枠38ごとに計数された物品Wの供給量に基づき、物品列に対応した包装部41で包装する単位時間当たりの処理量Yを算出し、算出した処理量Yの情報に基づいて、変更する処理能力の値を生成する。そして、生成した処理能力の情報を基に、各包装部41の包装動作を変更する。包装部41の処理能力は、処理量Yを算出してから該当する物品Wが包装部41に到達するまでの間に、算出された処理能力に到達するように、緩やかに変更される。
【0048】
検知装置34によって検知された物品Wは、案内装置31によって物品列ごとに仕分け位置36で仕分けられ、それぞれの搬送機構43に送られる。各搬送機構43においては、搬送コンベヤ上の物品Wの前後の間隔が徐々に整えられる。また、処理能力の値の情報に基づく制御部50からの指令により、包装部41に物品Wを送り出すコンベヤの速度が調整される。間隔が調整された物品Wは、フィルム送りのタイミングに合わせて包装部41の製袋部に向けて筒状のフィルム内に供給される。包装部41は、制御部50からの指令により、情報生成手段58によって算出された包装能力で物品Wを包装する。
【0049】
上記実施形態に係る物品供給システムは、次のように動作することで効果を奏する。
(1)上記物品供給システムは、検知装置34(検知手段)によって得られた画素情報に基づいて、第1演算手段54が物品列範囲設定用枠37(検知領域)を設定することにより、搬送面30aにおいて幅方向における物品列や物品Wの位置にばらつきが生じても、供給列単位で物品Wの到来量を計数することができる。
(2)第2演算手段56によって求めた物品列の並び方向における位置の物品Wのずれ量(変位量)に基づき、ベルトコンベヤ30で搬送される物品列の並び方向における位置の物品Wのずれ量に対応するように、自動的に各仕分け位置36を補正することによって、物品Wが検知装置34に到達するまでの搬送経路の途中で、物品Wの列が徐々にベルトコンベヤ30の左右方向にずれることがあっても、オペレータがベルトコンベヤ30の搬送状態を常に監視する必要がなく、オペレータの負担を軽減できる。また、生産(装置の運転)を開始する際に、検知装置34が物品Wを検知するだけで、予め設定された基準位置に対し、実際に搬送されてくる物品列がずれていても、各可動部材32の位置を自動的に補正するため、オペレータが手動で設定する必要がなく、オペレータの負担を軽減できる。
(3)上記物品供給システムは、生成された画像において規定された物品列範囲設定用枠37(検知領域)のうち、その枠内に物品Wが一つもない物品列範囲設定用枠37が含まれる場合には、仕分け位置36を物品列の並び方向に移動させる指令を行わないことにより、不確かな物品Wの検知情報に基づく物品Wのずれ量によって、物品列に対する仕分け位置36を不要に移動させることを抑制し得る。
(4)上記物品供給システムは、第2演算手段56が求めた特定の物品列範囲設定用枠37における物品Wのずれ量に基づいて、制御部50が他の物品列についても一括で仕分け位置36を移動させることにより、相対的に物品列の位置のずれが生じ難い。また、物品列ごとに物品列や物品Wのずれ量を求めてそれぞれの物品列について個別に仕分け位置36を移動させる場合に比べ、演算処理をシンプルに行うことができる。
(5)上記物品供給システムは、第2演算手段56が求めた物品列の並び方向における中間付近(例えば10列目)に位置する特定の物品列範囲設定用枠37における物品列や物品Wのずれ量に基づいて、各可動部材32の先端部32bを一括で移動させて、供給列ごとに対応する仕分け位置36を補正することで、演算処理をシンプルに行うことができる。付言すると、物品Wの搬送経路が右や左に大きく湾曲するようにコンベヤが配置されている場合は、搬送面30aの幅方向において、ベルトコンベヤ30の両側側の物品列に位置する物品Wのずれ量が大きくなる傾向にあることから、相対的に物品Wのずれ量が小さい中央付近の物品列範囲設定用枠37内の物品Wの位置情報を用いることで、全体としての仕分け位置36をより適正な位置に定めることができる。
(6)上記物品供給システムは、第1演算手段54が、生成された画像の搬送面30aにおいて包装部41(処理機)に向けて物品Wが排出される側(左側)の一番外側に位置する物品W1に合わせて物品列範囲設定用枠37(検知領域)を規定することにより、搬送面30aの一番外側に位置する物品W1が物品列範囲設定用枠37内に収まり、その物品列に対応した仕分け位置36で適切に仕分けられ、対応する包装部41に向けて排出される。これに伴い、2~20列目の物品列についても物品列範囲設定用枠37を適切に規定できる。
(7)情報生成手段58によって、包装部41(処理機)の動作を変更するための物品Wの供給量に関する情報を生成することにより、供給列ごとの物品Wの供給量に応じて自動的に包装部41の処理動作の設定変更を行うことができる。
【0050】
<変更例>
本発明は、上述した実施形態で説明した構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
(1)上記実施形態では、処理機として横形製袋充填機を採用した例を示したが、これに限られず、例えば横三方包装機や四方シール包装機を選択しても良い。また、容器や箱などに物品Wを移載する鉾詰め装置を選択しても良い。早期に物品Wの個数を検知して箱詰め装置の処理能力を変更することにより、物品列の位置ずれや転倒の発生を減らすことができる。
(2)検知手段は、物品Wの個数を検知できる手段であれば、3Dカメラのほか、CCDカメラ、光電センサ、ラインセンサなどを選択しても良い。
(3)上記実施形態では、仕分け手段として案内装置31をベルトコンベヤ30の搬送面30a上に配設する例を示したが、これに限られず、例えばロボットやプッシャーによって物品Wを振り分けて各搬送機構43に物品Wを受け渡す構成としても良い。
(4)上記実施形態では、物品列のうちベルトコンベヤ30の左右方向における中間付近である10列目の物品列範囲設定用枠37について、ベルトコンベヤ30の左右方向における重心を算出して物品Wのずれ量を求める例を示したが、このように重心を算出する方法に限られず、コンベヤの左右方向における物品Wの偏りを求める他の方法を選択できる。例えば、所定時間読み取って得た情報に基づき、コンベヤの左右方向における10列目の対象となる範囲を通る各物品Wの位置を座標Xで表し、それら物品WのX座標における位置の平均値、又は平均値と標準偏差の正規分布など、様々な統計処理方法を用いて物品Wのずれ量を求めるようにしても良い。
(5)上記実施形態では、ベルトコンベヤ30によって多列(20列)で搬送されてくる物品Wを、隣り合う2列分ごとに集合させて計10個の供給列をなし、10基の案内装置31の各可動部材32を介して10台の包装機(包装部41)に供給する例を示したが、これに限られず、供給列をなす物品列の数を単数又は隣り合う複数列(N列:N≧2の整数)に適宜変更できる。例えば、ベルトコンベヤ30によって30列で搬送されてくる物品Wを、3列分ごとに集合させて、案内装置31の各可動部材32を介して10台の包装機に供給する構成としても良い。また、単列の物品列から供給列をなすように設定して、ベルトコンベヤ30によって10列で搬送されてくる物品Wを、10台の包装機に供給する構成としても良い。
(6)上記実施形態では、説明の便宜上、隣り合う2列分の物品列範囲設定用枠37(検知領域)を1つの物品カウント用枠38設定して、物品カウント用枠38内ごとに物品Wの数を計数する例を示したが、1列分の検知領域ごとに、物品Wの数を計数するように設定しても良い。例えば、隣り合う2列分の物品列範囲設定用枠に到来した物品数を計測できるのであれば、制御演算プログラム上のみで1列分に相当する物品カウント用枠を設定すれば良い。
(7)上記実施形態では、仕分け手段として、案内装置31の可動部材32を物品Wの搬送方向に所定間隔ごとに配設し、可動部材32ごとに隣り合う2列分の物品Wをベルトコンベヤ30の左右方向に案内すると共に、残り列の物品Wをベルトコンベヤ30の下流側に案内する構成の例を示している。これに限られず、コンベヤの左右方向における物品列や物品Wの位置のばらつきに応じてコンベヤの搬送面上を移動し得るプッシャーや回動式レバーを配設し、これらの作動範囲などを変える等して、仕分け手段を構成しても良い。また、ピッキング移載装置を配設して仕分け手段を構成しても良い。また、仕分け手段によって仕分けられた物品Wが案内される方向は、コンベヤの側方に限られず、様々な方向に設定できる。
(8)案内装置31を初期位置に設定する方法は、人による設定であっても良く、自動設定であっても良い。
(9)上記実施形態では、中央付近の物品列(例えば10列目)の重心データと、ベルトコンベヤ30の左右方向における物品列が生じる前の10列目の重心位置との偏差を基に、その他の物品列のベルトコンベヤ30の左右方向における物品Wのずれも、10列目と同様とみなして、案内装置31が物品Wを仕分ける仕分け位置36を10列目で求めた偏差分だけベルトコンベヤ30の左右方向に移動させる補正を行う例を示している。これに限られず、すべての物品列において、それぞれの物品列ごとにコンベヤの左右方向における物品Wのずれが生じる前と生じた後との偏差を求めて、物品列ごとに求めた偏差分だけコンベヤの左右方向に仕分け位置36をずらす補正を行う構成としても良い。
(10)上記実施形態では、ベルトコンベヤ30の左右方向における物品Wのずれ量に関する情報を得たら、速やかにそのずれ量に対応して、仕分け位置36を移動させる補正を行う例を示している。これに限られず、例えば基準位置に対する左右方向の位置ずれが生じている物品Wがコンベヤの下流側に配設された仕分け位置36に到来する直前に、仕分け位置36をコンベヤの左右方向に移動させる構成としても良い。
(11)上記実施形態では、ベルトコンベヤ30の左右方向における物品列の位置ずれが生じた分だけ、仕分け位置36をベルトコンベヤ30の左右方向に移動させて偏差を相殺する例を示したが、これに限られず、例えば物品列の位置ずれの偏差が減少するように、仕分け位置36をベルトコンベヤ30の左右方向に移動させる構成としても良い。また、位置ずれの偏差が所定値より小さい場合は、仕分け位置36の補正を行わない構成としても良い。
(12)上記実施形態では、単一の制御部50により検知装置34で得た画素情報に基づき、演算処理、情報生成等を行い、各案内装置31の駆動手段に指令を行うと共に、案内装置31のそれぞれに対応して配設される搬送機構43の個々の搬送コンベヤの走行や、包装部41の包装動作(処理動作)などに関する制御を行う例を示したが、これに限られず、制御部50を複数に分割した構成としても良い。
(13)上記説明及び表1と表2におけるt、X、α、A、Y、Ymax、Ymin、a~i等の値は、搬送される物品W、各装置の構成などに応じて、任意に設定されるものである。
【符号の説明】
【0051】
W:物品 Y:処理量
30:ベルトコンベヤ(コンベヤ) 30a:搬送面 31:案内装置(仕分け手段) 32:可動部材 34:検知装置(検知手段) 36:仕分け位置
37:物品列範囲設定用枠(検知領域) 38:物品カウント用枠
41:包装部(処理機) 43:搬送機構 45:排出手段 50:制御部
52:選定手段 54:第1演算手段 56:第2演算手段 58:情報生成手段
図1
図2
図3
図4