(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132602
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法
(51)【国際特許分類】
F02K 9/72 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F02K9/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043438
(22)【出願日】2023-03-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 長野県諏訪市高島3丁目1201-34に所在する諏訪湖ヨットハーバー駐車場に設置した「SUWA小型ロケットプロジェクト」の打ち上げ本部で、令和5年3月12日に行った記者会見にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(71)【出願人】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100221198
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 寿
(72)【発明者】
【氏名】中山 昇
(72)【発明者】
【氏名】和田 光史
(72)【発明者】
【氏名】浅川 芳比古
(57)【要約】
【課題】 外部からロケットへの液体酸化剤の注入と燃焼室への液体酸化剤の注入とを軽量な構成を用いて簡易な操作により実現できるハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムを提供する。
【解決手段】 ロケット本体、液体酸化剤を貯留する第1タンク、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、液体酸化剤注入装置の配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットと、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置と、を備えたハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムであって、
前記ハイブリッドロケットは、
筒状に構成されたロケット本体、
前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、
前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、
前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、
前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記液体酸化剤注入装置は、
前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、
前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている
ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項2】
前記第1コネクタは、前記液体酸化剤を流す第1通孔と外周に形成された周溝とを備えたプラグを有し、
前記液体酸化剤注入装置は、前記配管の先端に設けられて前記第1コネクタに接続される第2コネクタを有し、
前記第2コネクタは、
前記液体酸化剤を流す第2通孔と前記プラグが挿入される第3通孔とが連通して形成されたソケットと、
前記第1通孔と前記第2通孔とを連通した状態で前記第3通孔内において前記プラグの外側に配置され、前記ソケットから前記プラグを引き離す力を付与するスプリングと、
前記スプリングを縮めて前記第3通孔に前記プラグを差し込んだ状態で、前記周溝と重なりかつ当該周溝を挟む位置において前記ソケットに形成された一対の貫通孔に差し込まれるロックピンと、を備え、
前記第1通孔と前記第2通孔とを連通した状態から前記周溝と前記貫通孔とに挿入された前記ロックピンを抜き、前記スプリングの弾発力で前記ソケットから前記プラグを引き離し、前記第1コネクタから前記第2コネクタを外して、前記液体酸化剤注入装置を前記ハイブリッドロケットから分離させる
請求項1に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項3】
前記ハイブリッドロケットは、前記三方弁の前記弁体を動作させる弁棒を回転させて前記第1注入状態及び前記第2注入状態を切り替えるアクチュエータを有する
請求項1又は2に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項4】
前記アクチュエータの動作を制御する外部の制御部が第3コネクタにより前記アクチュエータに接続される
請求項3に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項5】
前記ノズルを介して前記燃焼室に挿入されて前記燃焼室に酸素を注入するパイプを備える
請求項1に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項6】
筒状に構成されたロケット本体、
前記ロケット本体内で先端側に設けられて、液体酸化剤を貯留する第1タンク、
前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、
前記ロケット本体の外面に設けられて、外部に設けられた液体酸化剤注入装置の配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、
前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている
ハイブリッドロケット。
【請求項7】
前記三方弁と前記第1コネクタとの間に、前記三方弁から前記第1コネクタへの前記液体酸化剤の流れを止める逆止弁を有する
請求項6に記載のハイブリッドロケット。
【請求項8】
前記三方弁は、Tポートが形成されたボール弁体を前記弁体として有する3方ボール弁である
請求項6又は7に記載のハイブリッドロケット。
【請求項9】
液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットを、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置を用いて発射させて飛翔させるハイブリッドロケットの飛翔方法であって、
前記ハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記液体酸化剤注入装置は、前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、
前記三方弁により前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第2タンクから前記第1タンクに注入する第1注入状態に切り替えて、所定の圧力又は所定の重量の前記液体酸化剤が前記第1タンクに充填されるまで注入し、
前記ハイブリッドロケットから前記液体酸化剤注入装置を分離し、
前記三方弁により前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態に切り替えて、前記液体酸化剤を前記第1タンクから前記燃焼室に注入し、前記燃焼室に注入された前記液体酸化剤を用いて前記固体燃料を燃焼させて発生させた燃焼ガスを前記ノズルから噴出させて前記ハイブリッドロケットを飛翔させる
ハイブリッドロケットの飛翔方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安全で環境に優しく低コストに運用可能なロケットとしてハイブリッドロケットが知られている。ハイブリッドロケットは、固体状の燃料(以下、固体燃料という)に液体状の酸化剤(以下、液体酸化剤という)を供給することで固体燃料を燃焼させ、その燃焼で生じた燃焼ガスを噴出することで推力を発生させる。
【0003】
例えば、特許文献1にはハイブリッドロケットの構成が開示されている。特許文献1に開示されたハイブリッドロケットにおいて、液体酸化剤はロケットの先端側に配置されたタンクに貯留される。また、固体燃料はロケット後端側に配置されるケーシング内に収容される。ケーシングには、高温の燃焼ガスを発生させるイグナイタが設けられている。このハイブリッドロケットは、イグナイタから高温の燃焼ガスをケーシング内で発生させ、タンクとケーシングの間に設けられた液体酸化剤供給弁を介して液体酸化剤をケーシングに供給することで固体燃料を燃焼し推力を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたハイブリッドロケットをはじめとする既存のハイブリッドロケットにおいては、液体酸化剤を供給するために別途の配管をタンクに接続して液体酸化剤を注入する必要がある。このため、ハイブリッドロケット自体の構成が複雑となり重量が増加する。また、液体酸化剤をタンクに注入し充填した後にロケットを組み付けてもよいが、ロケットを発射させる工程が煩雑になる。
【0006】
そこで、本開示では、外部からロケットへの液体酸化剤の注入と燃焼室への液体酸化剤の注入とを軽量な構成を用いて簡易な操作により実現できるハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムは、 液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットと、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置と、を備えたハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムであって、前記ハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記液体酸化剤注入装置は、前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。
【0008】
本開示のハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、外部に設けられた液体酸化剤注入装置の配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。
【0009】
本開示のハイブリッドロケットの飛翔方法は、液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットを、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置を用いて発射させて飛翔させるハイブリッドロケットの飛翔方法であって、前記ハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記液体酸化剤注入装置は、前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、前記三方弁により前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第2タンクから前記第1タンクに注入する第1注入状態に切り替えて、所定の圧力又は所定の重量の前記液体酸化剤が前記第1タンクに充填されるまで注入し、前記ハイブリッドロケットから前記液体酸化剤注入装置を分離し、前記三方弁により前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態に切り替えて、前記液体酸化剤を前記第1タンクから前記燃焼室に注入し、前記燃焼室に注入された前記液体酸化剤を用いて前記固体燃料を燃焼させて発生させた燃焼ガスを前記ノズルから噴出させて前記ハイブリッドロケットを飛翔させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本技術を適用したハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムの一実施形態の全体構成を示す概念図。
【
図2】ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムの全体構成の三方弁の駆動装置に関する部分を説明するための概念図。
【
図3】第1タンクに液体酸化剤を注入する状態の三方弁を示す拡大断面図。
【
図4】燃焼室に液体酸化剤を注入する状態の三方弁を示す拡大断面図。
【
図5】第2コネクタが第1コネクタに接続される前の状態を示す主要構成の拡大断面図。
【
図6】第2コネクタが第1コネクタに接続された後の状態を示す主要構成の拡大断面図。
【
図7】第2コネクタが第1コネクタに接続される前の状態を示す主要構成の拡大断面図。
【
図8】第2コネクタが第1コネクタに接続された後の状態を示す主要構成の拡大断面図。
【
図9】ハイブリッドロケットの飛翔方法を示すフローチャート。
【
図10】第1タンクに液体酸化剤を注入する工程を説明するための概念図。
【
図11】ハイブリッドロケットから液体酸化剤注入装置を分離する工程を説明するための概念図。
【
図12】燃焼室に液体酸化剤を注入する工程を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム(以下、単に「酸化剤注入システム」という)、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法の実施形態について説明する。以下では、酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法の主要な構成部分を中心に説明する。酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0012】
<ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムの概略構成>
図1は、本技術を適用したハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムの一実施形態の全体構成を示す概念図である。
図2は、ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムの全体構成の三方弁の駆動装置に関する部分を説明するための概念図である。
図1は、ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム100の主要構造を説明するためのX-Y平面における縦断面を示す。
図2は、三方弁の駆動装置に関する部分を説明するためのY-Z平面における縦断面を示す。酸化剤注入システム100は、ハイブリッドロケット200と、液体酸化剤注入装置300と、酸素供給装置400と、点火装置500と、制御装置600と、を備える。
【0013】
<ハイブリッドロケットの全体構成>
まず、ハイブリッドロケット200の全体構造について説明する。ハイブリッドロケット200は、1m~3m程度の全長を有する小型ロケットである。ハイブリッドロケット200は、
図1に示すように、ロケット本体210、第1タンク220、燃焼室230、第1コネクタ240、三方弁250、逆止弁260、配管271~273、及び、ノズル280を備える。ハイブリッドロケット200は、固体燃料233が収容された燃焼室230に液体酸化剤を注入することで液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズル280から噴出し、推力を発生させて飛翔する。
【0014】
ロケット本体210は筒状に構成されている。例えば、ロケット本体210は円筒状としてもよい。ロケット本体210の内部には上述した他の構成が収容される。ロケット本体210の先端側にはロケット先端部211が設けられている。ロケット先端部211は、ロケット本体210と同じ外形を有する円筒形状の先端が細くなり、先端側で略円錐形状を有する。ロケット先端部211には、例えばロケットの飛行に関するデータを記録する機器又はパラシュートなどのペイロードが収容される。
【0015】
第1タンク220は、ロケット本体210内で先端側(すなわち、ロケット先端部211側)においてロケット本体210と同心となるように設けられている。第1タンク220は、液体状の酸化剤である液体酸化剤を高圧状態で貯留する。第1タンク220は、外部の液体酸化剤注入装置300から供給され注入された液体酸化剤を貯留する。液体酸化剤には、例えば酸素、液体酸素、液体フッ素、過酸化水素、亜酸化窒素、又は、四酸化二窒素が用いられる。
【0016】
第1タンク220の先端側にはリリーフ弁221が設けられている。リリーフ弁221は、第1タンク220に注入されることで充填された液体酸化剤が所定量を超えてタンク内の圧力が所定値を超えると自動的に圧力を解放する。なお、リリーフ弁221に替えて調節弁と液体酸化剤を加圧する圧縮ガスが充填されたタンク(図示せず)を設けてもよい。この圧縮ガスで第1タンク220の内部を加圧することで、第1タンク220内の液体酸化剤の残量が減って液体酸化剤自体の圧力が下がっても固体燃料233を燃焼するのに適切な流量の液体酸化剤を燃焼室230に注入することができる。
【0017】
燃焼室230は、ロケット本体210内で後端側に設けられている。燃焼室230は、筒形状のケーシング231が例えば円形状の固定プレート232を介してロケット本体210に固定されて構成される。固定プレート232には、注入された液体酸化剤を通過させる貫通孔232Aが形成されている。燃焼室230には、筒状の固体燃料233がロケット本体210と同心となるように設けられている。固体燃料233には、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、パラフィン、又は、その他の有機化合物が用いられる。
【0018】
筒状の固体燃料233がケーシング231の内周に沿うように収容されることで、ロケット本体210の延在する方向(
図1におけるY軸方向)に、燃焼ガスを通過させる流路233Aが形成される。液体酸化剤が第1タンク220から固定プレート232の貫通孔232Aを介して注入されることで、固体燃料233が燃焼する。これにより、燃焼ガスがこの流路233Aを通過してノズル280を介して噴出されることで、燃焼室230を含めた構成がハイブリッドロケット200におけるロケットエンジンとして機能する。また、燃焼室230において、燃焼室230の固定プレート232側には固体燃料233のない空隙234が設けられている。
【0019】
第1コネクタ240は、ロケット本体210の外面に設けられている。第1コネクタ240は、ロケット本体210の外面に突起することで、液体酸化剤注入装置300の配管320に接続可能に構成されている。より具体的には、第1コネクタ240は、配管320の先端に設けられた第2コネクタ330(
図1参照)に接続される。また、第1コネクタ240の根元側は逆止弁260に接続されている。
【0020】
三方弁250は、第1タンク220と燃焼室230と第1コネクタ240との間に接続されている。本実施形態における三方弁250は、ボデー251と、ボール弁体である弁体252とを有する三方ボール弁である。ボール弁体である弁体252には、
図1に示すように3方向にポートが設けられたTポートが形成されている。弁体252は、第1タンク220と燃焼室230と第1コネクタ240との間の接続状態を切り替える。このように、三方弁250が、Tポートが形成されたボール弁体を弁体252として有する3方ボール弁であるため、弁体252を回転させるだけで三方弁250における液体酸化剤の流れる方向を速やかに変更することができる。また、この三方弁250は、弁体252の角度を調節することで、第1タンク220から燃焼室230に注入する液体酸化剤の流量を調節することもできる。これにより、ハイブリッドロケット200の飛翔中に三方弁250を開閉したり開度を制御したりして、第1タンク220から燃焼室230に注入される液体酸化剤の量を制御し、燃焼室230における燃焼を制御してもよい。このように、液化酸化剤の流量を調節して、所定のエンジン出力に制御したり、またエンジンを停止させたりすることも可能となる。
【0021】
また、三方弁250は、
図2に示すように、弁棒253、ブラケット254、及び、アクチュエータ255を有する。弁棒253は、ボデー251において回転可能に軸支され、ボデー251内の弁体252に固定されている。弁棒253を回転させることで弁体252の向きを変えて液体酸化剤の流れる方向が変えられる。ブラケット254は、その一端側でボデー251に固定され、その他端側でアクチュエータ255に固定される。これにより、ブラケット254は、ボデー251に対するアクチュエータ255の位置を固定的に保持する。アクチュエータ255は、モータ及びギア等により構成され、
図2におけるZ軸を中心軸として弁棒253を回転させる。これにより、弁棒253に固定された弁体252は、Z軸を中心軸としてボデー251内で回転する。
【0022】
逆止弁260は、三方弁250と第1コネクタ240との間に配置されている。逆止弁260は、第1コネクタ240から三方弁250へは液体酸化剤を流すが、三方弁250から第1コネクタ240へは液体酸化剤を流さない。このように、三方弁250と第1コネクタ240との間に、三方弁250から第1コネクタ240への前記液体酸化剤の流れを止める逆止弁260を有することで、液体酸化剤を液体酸化剤注入装置300から注入して第1タンク220に充填することができる。また、可燃性又は有毒性を有する液体酸化剤がハイブリッドロケット200から外部に漏れることを確実に防止することができる。
【0023】
より具体的には、逆止弁260には、スイング型、リフト型、ボール型、ウェハ型など公知のものから適宜選択して用いることができるが、一例としてその軸方向に案内されるポペット弁体をスプリングで弁座に押しつけて逆流を止めるインライン型の逆止弁が小型で流量を確保する観点から適用可能である。この場合、第1コネクタ240側から液体酸化剤が流れ込むと、液体酸化剤が図示しない弁体を第1コネクタ240側から押すことで弁開状態となる。これにより、液体酸化剤は、逆止弁260の内部を流れて、三方弁250側の配管273に供給される。これに対して、三方弁250側から液体酸化剤が流れ込んだときには弁開状態とはならず、スプリングが弁体を弁座に押しつけた状態が維持されて、液体酸化剤の逆流が止められる。また、第1タンク220に液体酸化剤が所定圧力まで注入されると、液体酸化剤が三方弁250側の配管273の側から弁体に圧力をかけることで弁開状態とならない。これにより、第1タンク220への液体酸化剤の注入は所定量に制限される。
【0024】
3つの配管271~273は、第1タンク220、燃焼室230、三方弁250及び逆止弁260の間を接続する。具体的には、配管271は、第1タンク220と三方弁250との間を接続する。配管272は、三方弁250と燃焼室230との間を接続する。配管273は、三方弁250と逆止弁260との間を接続する。これにより、配管271~273は、その内部において液体酸化剤を流す。
【0025】
ノズル280は、燃焼室230のケーシング231の後端側に一体的に設けられている。ノズル280は、内径が後端側に向けて拡がるように形成されている。ハイブリッドロケット200は、液体酸化剤を用いた固体燃料233の燃焼により燃焼ガスをノズル280の内部から噴出させることで推力を発生させて飛翔する。
【0026】
<酸化剤注入システムにおける他の構成>
続いて、酸化剤注入システム100におけるハイブリッドロケット200以外の構造について説明する。
図1に示すように、液体酸化剤注入装置300は、第2タンク310と、配管320と、第2コネクタ330と、弁装置340と、を備える。液体酸化剤注入装置300は、ハイブリッドロケット200の外部に設けられて、ハイブリッドロケット200に液体酸化剤を供給する。
【0027】
第2タンク310は、液体酸化剤を貯留する液体酸化剤タンクである。第2タンク310は、配管320を介して第1コネクタ240からハイブリッドロケット200に液体酸化剤を供給する。配管320は、第2タンク310と第2コネクタ330との間を接続し、第2タンク310から送り出された液体酸化剤を流して第2コネクタ330まで供給する。第2コネクタ330は、配管320の先端に設けられている。第2コネクタ330は、第1コネクタ240とともに着脱可能なカプラとなる。第2コネクタ330が第1コネクタ240に接続されることで、ハイブリッドロケット200に第2タンク310が接続されることになる。これにより、液体酸化剤注入装置300は、配管320及び第1コネクタ240を介してハイブリッドロケット200に液体酸化剤を供給する。
【0028】
また、配管320の途中には、弁装置340が設けられている。弁装置340は、流量を調節する調節弁としての機能を有し、開度を調節することでハイブリッドロケット200に供給する液体酸化剤の流量を調節する。また、弁装置340には、配管320内の液体酸化剤を排出して脱圧をするための配管(図示せず)が設けられている。
【0029】
酸素供給装置400は、第3タンク410と、配管420(パイプ)と、調節弁430と、を備える。第3タンク410は、液体酸素が充填された酸素タンクである。配管420の一端は第3タンク410に接続されている。配管420は、ハイブリッドロケット200の燃焼室230内に形成された流路233Aに挿入されている。これにより、配管420の他端は、燃焼室230の空隙234内に位置するように配置される。配管420は、ノズル280を介して燃焼室230に挿入されて燃焼室230に酸素を供給する。また、配管420の中途には調節弁430が設けられている。調節弁430の開度を調節することで、燃焼室230内に供給される酸素の量が調節される。
【0030】
点火装置500は、電源装置510と、配線520と、点火器530と、を備える。電源装置510は、点火器530を点火するための電流を供給する。配線520は、ハイブリッドロケット200の燃焼室230内に形成された流路233Aに挿入されている。点火器530は、配線520の先端に設けられている。点火器530が燃焼室230の空隙234内に位置するように配線520を配置することで、点火装置500は空隙234内に供給された気化した酸素に点火する。
【0031】
制御装置600は、
図2に示すように、制御部610と、第3コネクタ620と、配線630と、を有し、アクチュエータ255の動作を制御する。具体的には、ハイブリッドロケット200の外部に設けられた制御部610は、三方弁250のアクチュエータ255の動作を制御する。第3コネクタ620は、アクチュエータ255に設けられた不図示のコネクタに接続される。また、第3コネクタ620は、任意のタイミングでアクチュエータ255から取り外し可能に構成される。配線630は、制御部610と第3コネクタ620との間を接続する。これにより、制御装置600は、アクチュエータ255の動作を制御する外部の制御部610が第3コネクタ620によりアクチュエータ255に接続される。
【0032】
制御装置600は、制御部610とアクチュエータ255とを配線630を介して導通させて、アクチュエータ255に給電するとともに、制御部610によりアクチュエータ255の動作を制御する。なお、制御装置600は、液体酸化剤注入装置300の弁装置340、酸素供給装置400の調節弁430、及び、点火装置500等の動作を制御してもよい。
【0033】
<三方弁の詳細構造及び動作>
続いて、ハイブリッドロケット200に設けられた三方弁250の詳細な構造及び動作について
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、第1タンクに液体酸化剤を注入する状態の三方弁を示す拡大断面図である。
図4は、燃焼室に液体酸化剤を注入する状態の三方弁を示す拡大断面図である。なお、これらの図において塗りつぶした矢印は液体酸化剤の流れる方向を示す。
【0034】
三方弁250のボデー251には、
図4に示すように燃焼室230に液体酸化剤を注入する際に液体酸化剤が流れ込む位置に配管接続口251Aが形成されている。配管接続口251Aには、配管271が接続される。これにより、配管接続口251Aには配管271の通孔271Aを介して第1タンク220が接続される。
【0035】
また、ボデー251には、
図4に示すように燃焼室230に液体酸化剤を注入する際に液体酸化剤が流れ出す位置に配管接続口251Bが形成されている。配管接続口251Bには、配管272が接続される。これにより、配管接続口251Bには配管272の通孔272Aを介して燃焼室230が接続される。
【0036】
また、ボデー251には、
図3に示すように液体酸化剤を第1タンク220に注入する際に液体酸化剤が流れ込む位置に配管接続口251Cが形成されている。配管接続口251Cには、配管273が接続される。これにより、配管接続口251Cには配管273を介して逆止弁260が接続される。
【0037】
ボデー251内に収容された弁体252は、
図3に示すように、Tポートが形成された弁体252を有する3方ボール弁となる。具体的には、弁体252は、所定の軸(例えばX軸)に沿う方向に延在する貫通孔252A及び貫通孔252Bと、この軸と交差する軸(例えばY軸)に沿う方向に延在する貫通孔252Cとによって、ポートがT字状に配置されたTポートが形成されている。
【0038】
また、ボデー251には、配管接続口251A及び配管接続口251Cの弁体252に向けられた位置に環状のボールシート256,256が設けられている。このため、本実施形態の三方弁250は、3方2面シート形式の三方ボール弁となる。ボールシート256は、潤滑性の良い樹脂で形成されている。ボールシート256は、ボデー251からの液体酸化剤の漏れを防止するとともに弁体252を円滑に回動させる摺動部材として機能する。三方弁250を3方2面シート形式の三方ボール弁とすることで、三方弁250を小型化することができる。これにより、ハイブリッドロケット200を軽量化することができる。
【0039】
三方弁250は、液体酸化剤を第1タンク220に注入する第1注入状態、及び、燃焼室230に液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。この切り替えにおいて、アクチュエータ255が、三方弁250の弁体252を動作させる弁棒253を回転させて第1注入状態及び第2注入状態を切り替える。
【0040】
第1注入状態において、弁体252は、
図3に示すように、第1コネクタ240と第1タンク220とを接続する。この第1注入状態では、三方弁250において、配管接続口251Cと、貫通孔252Bと、貫通孔252Cと、配管接続口251Aと、が接続される。これにより、配管273から流れ込んだ液体酸化剤は三方弁250を介して配管271を流れて第1タンク220に注入される。
【0041】
一方、第2注入状態において、弁体252は、
図4に示すように、第1タンク220と燃焼室230とを接続する。この第2注入状態では、三方弁250において、配管接続口251Aと、貫通孔252Bと、貫通孔252Aと、配管接続口251Bと、が接続される。これにより、配管271から流れ込んだ液体酸化剤は三方弁250を介して配管272を流れて燃焼室230に注入される。
【0042】
<コネクタの構成と接続方法>
続いて、第1コネクタ240及び第2コネクタ330の具体的な構成と接続方法について
図5から
図8を用いて説明する。
図5は、第2コネクタが第1コネクタに接続される前の状態を示す主要構成の拡大断面図である。
図6は、第2コネクタが第1コネクタに接続された後の状態を示す主要構成の拡大断面図である。
図7は、第2コネクタが第1コネクタに接続される前の状態を示す主要構成の拡大断面図である。
図8は、第2コネクタが第1コネクタに接続された後の状態を示す主要構成の拡大断面図である。これらの図において、コネクタの機能の理解をしやすいように主要な構成について断面を図示している。
【0043】
図5に示すように、ハイブリッドロケット200側の第1コネクタ240は、ロケット本体210の外周面から突起したプラグ241を有する。プラグ241は、その外周に形成された周溝242と、その先端に形成された挿入部243と、液体酸化剤を流す第1通孔244とを備える。
【0044】
液体酸化剤注入装置300側の第2コネクタ330は、ソケット331と、スプリング332と、ロックピン333と、ピンプッシャ334と、を備える。ソケット331は、例えば金属材料を用いて外形円柱形状に形成されている。ソケット331には、液体酸化剤を流す第2通孔331Aと、プラグ241が挿入されるプラグ孔331Bと、スプリング332を収容するスプリング孔331Cと、が連通して形成されている。なお、プラグ孔331Bとスプリング孔331Cとにはいずれにもプラグ241が挿入されることで第3通孔を構成する。プラグ孔331Bは、プラグ241をがたつきなく挿入できるように、プラグ241の外形より若干大きな内径となるように形成されている。スプリング孔331Cは、スプリング332を収容できるようにプラグ孔331Bよりも内径が大きくなるように形成されている。このため、スプリング孔331Cとプラグ孔331Bとの間には段部が形成される。プラグ孔331Bの底面には、プラグ241の挿入部243が押しつけられることで液体酸化剤の漏出を防止するシールリング(図示せず)が設けられていてもよい。
【0045】
また、ソケット331には、ロックピン333を挿入できる内径に形成された一対の貫通孔331D,331Dが形成されている。貫通孔331D,331Dは、プラグ孔331Bを挟み込む位置に形成されている。より具体的には、一対の貫通孔331D,331Dは、
図8に示すように、スプリング332を縮めてスプリング孔331C及びプラグ孔331Bにプラグ241を差し込んだ状態で、周溝242と重なりかつ当該周溝242を挟む位置に形成されている。
【0046】
スプリング332は、コイルスプリングからなり、スプリング孔331C内に収容される。より具体的には、スプリング332は、プラグ241の第1通孔244とソケット331の第2通孔331Aとを連通した状態で、スプリング孔331C内においてプラグ241の外側に配置される。スプリング332は、ソケット331からプラグ241を引き離す力を付与する。
【0047】
ロックピン333,333は、例えば金属材料を用いて柱状に形成される。ロックピン333は、プラグ241をソケット331に固定するために一対の貫通孔331Dに差し込まれる。
【0048】
ピンプッシャ334は、貫通孔331D,331Dと重なるソケット331の上側位置に固定的に設けられている。ピンプッシャ334は、ロックピン333と重なる位置に設けられたピン打ち部(図示せず)をロックピン333に叩きつけることで、貫通孔331D,331Dに挿入されたロックピン333に対して下向きの力を加える。これにより、ピンプッシャ334は、ロックピン333を下方に抜いて落下させる。このように、ロックピン333が周溝242に差し込まれることで移動が規制されていたプラグ241は第3通孔を構成する2つの孔331B,331Cから抜くことが可能となる。なお、ピンプッシャ334は、制御装置600により動作を制御してもよい。
【0049】
第1コネクタ240と第2コネクタ330とを接続するときには、まず、
図5に示すように第2コネクタ330を第1コネクタ240と同軸となるような位置に近づける。この状態で、
図6に示すように、挿入部243からプラグ241を、第3通孔を構成する2つの孔331B,331Cに差し込むようにして、第2コネクタ330をロケット本体210に押しつける。この際に、スプリング332は、ロケット本体210と、スプリング孔331C及びプラグ孔331Bの間の段部とにより圧縮された状態となる。また、周溝242と貫通孔331D,331Dとが重なった状態となる(
図8参照)。
【0050】
続いて、
図6において白抜きの矢印に示すように、周溝242と重ねられることで貫通状態である貫通孔252Cにロックピン333を挿入する。この際に、スプリング332の弾発力によりソケット331にはプラグ241から抜ける方向に力が加えられるが、貫通孔252Cに差し込まれたロックピン333が周溝242に嵌まっているために、プラグ241がソケット331から外れることはない。また、このように周溝242がロックピン333に押しつけられることでロックピン333が貫通孔252Cから抜けてしまうこともない。このように、第2コネクタ330は第1コネクタ240に接続される。
【0051】
一方、第1コネクタ240と第2コネクタ330とを分離するときには、ピンプッシャ334を用いて、ロックピン333に対して下向きの力を加える。これにより、第1通孔244と第2通孔331Aとを連通した状態から周溝242と貫通孔331Dとに挿入されたロックピン333を抜く。そして、スプリング332の弾発力でソケット331からプラグ241を引き離すことで、第1コネクタ240から第2コネクタ330が分離される。これにより、液体酸化剤注入装置300がハイブリッドロケット200から分離される。
【0052】
以上説明したとおり、本実施形態の第1コネクタ240と第2コネクタ330とを用いた接続構造により、ロックピン333を貫通孔252Cから抜くだけでスプリング332によってプラグ241からソケット331を分離させることができる。これにより、簡易な操作で、液体酸化剤注入装置300をハイブリッドロケット200から確実に分離させることができる。
【0053】
<ハイブリッドロケットの飛翔方法>
続いて、ハイブリッドロケット200の燃焼室230での燃焼を発生させて、ハイブリッドロケット200を発射させ、飛翔させる方法について、
図9から
図12を主に用いて説明する。
図9は、ハイブリッドロケットの飛翔方法を示すフローチャートである。
図10は、第1タンクに液体酸化剤を注入する工程を説明するための概念図である。
図11は、ハイブリッドロケットから液体酸化剤注入装置を分離する工程を説明するための概念図である。
図12は、燃焼室に液体酸化剤を注入する工程を説明するための概念図である。
【0054】
ハイブリッドロケット200を飛翔させるための準備として、
図1に示すように、ハイブリッドロケット200の酸化剤注入システム100を用意する。ここで、酸素供給装置400の配管420は、ノズル280を介して燃焼室230に挿入されている。また、点火装置500の配線520は、ハイブリッドロケット200の燃焼室230内に形成された流路233Aに挿入されている。また、
図2に示すように、制御装置600の第3コネクタ620は、ハイブリッドロケット200のアクチュエータ255に接続されている。
【0055】
ここで、
図10に示すように、液体酸化剤注入装置300の第2コネクタ330とハイブリッドロケット200の第1コネクタ240とを接続する。これにより、
図6及び
図8に示すように、プラグ241がソケット331に差し込まれることで、プラグ241の第1通孔244と、ソケット331の第2通孔331Aと、配管320の通孔321が連通される。これにより、液体酸化剤注入装置300からハイブリッドロケット200に液体酸化剤を注入できるようになる。
【0056】
また、三方弁250の動作によって、第1コネクタ240と第1タンク220とを接続して第2タンク310から第1タンク220に液体酸化剤を注入する第1注入状態に切り替える。より具体的には、
図3に示す向きに弁体252を回転させる。これにより、液体酸化剤注入装置300の第2タンク310がハイブリッドロケット200の第1タンク220に連通される。
【0057】
以上の準備が完了したら、
図9に示す工程を実行する。まず、第1タンク220に液体酸化剤を注入する(ステップS1)。このステップS1では、第2タンク310の弁装置340の調節弁を開き、
図3に示す流路を含む所定の配管を通じて、液体酸化剤を第1タンク220に注入する。
【0058】
続いて、所定量の液体酸化剤が第1タンク220に注入されたかを判断する。より具体的には、所定の圧力又は所定の重量の液体酸化剤が第1タンク220に充填されたかが判断される。この場合、例えば上述したように所定の圧力まで第1タンク220に液体酸化剤を注入するか、液体酸化剤注入を開始してから所定時間が経過することにより、所定量の液体酸化剤が第1タンク220に注入されたと判断する。なお、所定量の液体酸化剤が第1タンク220に注入されていないと判断したときには、ステップS1に戻り液体酸化剤の注入を継続する。
【0059】
続いて、所定量の液体酸化剤が第1タンク220に注入されて充填されたら、第2タンク310の弁装置340を閉止して、第1タンク220への液体酸化剤の注入を停止する(ステップS3)。次いで、弁装置340により配管320から液体酸化剤を排出して脱圧する(ステップS4)。これにより、第1コネクタ240と第2コネクタ330とを分離できるようになる。
【0060】
続いて、
図11に示すように、第1コネクタ240から配管320の第2コネクタ330を分離する(ステップS5)。これにより、ハイブリッドロケット200から液体酸化剤注入装置300が分離される。次いで、酸素供給装置400の調節弁430を開き、配管420を介して酸素を燃焼室230に注入する(ステップS6)。これにより、燃焼室230の空隙234に気化した酸素が充填された状態となる。続いて、電源装置510をオンにして点火器530により燃焼室230内の気化した酸素に点火する(ステップS7)。これにより、酸素の燃焼によって固体燃料233の燃焼が開始する。
【0061】
次いで、
図12に示すように、三方弁250の弁体252を回転し第1タンク220から液体酸化剤を燃焼室230に注入する(ステップS8)。ここでは、三方弁250により第1タンク220と燃焼室230とを接続して燃焼室230に液体酸化剤を注入する第2注入状態に切り替える。これにより、第1タンク220から燃焼室230への液体酸化剤の注入が開始する。
【0062】
これにより、燃焼室230に注入された液体酸化剤を用いた固体燃料233の燃焼が開始する。そして、この固体燃料233の燃焼により発生させた燃焼ガスをノズル280から噴出させることでハイブリッドロケット200は発射される。なお、配管420、及び、配線520がノズル280を介して燃焼室230に挿入されているが、流路233Aの外周がまっすぐな円柱状となっているため、配管420、及び、配線520が固体燃料233又はノズル280に引っかかって抵抗を生じさせることはない。このように、ノズル280を介して燃焼室230に挿入されて燃焼室230に酸素を注入する配管420を備えることで、ハイブリッドロケット200に固体燃料233に点火するための酸素を注入する装置を設ける必要がなくなる。これにより、ハイブリッドロケット200を軽量化することができる。
【0063】
また、本実施形態のハイブリッドロケット200では、第1タンク220と、配管271と、三方弁250と、配管272と、燃焼室230(特に流路233A)と、が一直線上に並ぶように配置されている。よって、これらにより構成される流路を一直線にすることができ流体抵抗を低くすることができ、液体酸化剤を第1タンク220から勢いよく燃焼室230に注入することができる。したがって、液体酸化剤による固体燃料233の燃焼を促進することができ、ハイブリッドロケット200の推力を高めることができる。
【0064】
なお、制御装置600の第3コネクタ620をアクチュエータ255に接続した構成とする場合には(
図2参照)、第1タンク220から液体酸化剤を燃焼室230に注入し始めた直後に、制御装置600の第3コネクタ620が引き抜いておくことが好ましい。これにより、制御装置600をハイブリッドロケット200から簡易に分離することができる。なお、上述の構成では、アクチュエータ255は、制御装置600から配線630を介して給電して弁体252を回転させたが、ハイブリッドロケット200に電源を設け無線の通信方式により制御してもよい。
【0065】
上述した酸化剤注入システム100では、ハイブリッドロケット200が上述した第1注入状態及び第2注入状態を切り替えるアクチュエータ255を有していることで、有線又は無線によりアクチュエータ255を外部の制御部610から制御することができる。また、液体酸化剤の注入状態を外部から切り替えることができ、簡易な分離操作によりハイブリッドロケット200を発射させることができる。
【0066】
以上の説明した通り、本実施形態の酸化剤注入システム100では、以上の簡易な工程により、ハイブリッドロケット200は液体酸化剤を用いて固体燃料233を燃焼させる。そして、発生させた燃焼ガスをノズル280から噴出することでハイブリッドロケット200を飛翔させる。このように、液体酸化剤を用いた燃焼により飛翔するハイブリッドロケット200を、その外部に設けられ、配管320を介して液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置300を用いて発射させて飛翔させている。これにより、ハイブリッドロケット200を軽量化することができ、ハイブリッドロケット200の飛行距離を伸ばすことができる。
【0067】
<本実施形態の効果>
以上に説明したように、本実施形態の酸化剤注入システム100によれば、三方弁250が、液体酸化剤を第1タンク220に注入する第1注入状態、及び、燃焼室230に液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。これにより、第1タンク220に接続して液体酸化剤を注入するための別途の構成が不要となる。また、液体酸化剤を第1タンク220に充填した後にハイブリッドロケット200を組み付ける必要もない。したがって、外部からハイブリッドロケット200への液体酸化剤の注入と燃焼室230への液体酸化剤の注入とを軽量な構成を用いて簡易な操作により実現することができる。
【0068】
≪変形例≫
上述した実施形態では、2つのボールシート256を用いた3方2面シート形式の三方ボール弁である三方弁250を用いる構成について説明したが、3方4面シート形式の三方ボール弁を用いてもよい。この三方弁では、弁体252を挟んで90度おきに4個のボールシート256を配置することで、
図4に示すZ軸を中心に180°回転させた向きに弁体252を向けることができる。これによれば、液体酸化剤を外部に流さない向きに弁体252を回転させることができる。この向きに弁体252を向けることで、貫通孔252Cから液体酸化剤が流出することがなくなるので、逆止弁260を不要とすることができる。これにより、ハイブリッドロケット200の構成を簡素化することができる。よって、ハイブリッドロケット200を軽量化して飛行距離を伸ばすこともできる。
【0069】
また、三方弁250は、三方ボール弁に替えてボール弁体を用いない三方調節弁(「方向切替弁」又は「流路切替弁」ともいう)を用いてもよい。この三方調節弁は、弁棒に設けられた複数の弁体を、それぞれに対応する複数の弁座に選択的に押し当てることで、流路を切り替える弁構造を有する。このような構成によっても、上述した第1注入状態及び第2注入状態を切り替えることができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、アクチュエータ255を外部から制御装置600により制御する構成について説明した。しかしながら、アクチュエータ255の動作を制御する制御装置をハイブリッドロケット200に搭載して、ハイブリッドロケット200の飛翔時に弁体252を動作させて三方弁250の開度を制御してもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、制御部610から配線630により給電されてアクチュエータ255が動作する構成について説明したが、弁棒253を回転させるアクチュエータ255をエアにより駆動してもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、酸化剤注入システム100においては、ハイブリッドロケット200が逆止弁260を有する構成について説明したが、逆止弁260に代えて、ボールバルブやニードルバルブなど、液体酸化剤注入装置300からハイブリッドロケット200への液体酸化剤の注入を停止することが可能なその他のバルブを用いてもよい。このようなバルブを閉止することで、液体酸化剤がハイブリッドロケット200から外部に漏れることを防止することができる。
【0073】
≪応用例≫
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットと、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置と、を備えたハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムであって、
前記ハイブリッドロケットは、
筒状に構成されたロケット本体、
前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、
前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、
前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、
前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記液体酸化剤注入装置は、
前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、
前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている
ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
(2)前記第1コネクタは、前記液体酸化剤を流す第1通孔と外周に形成された周溝とを備えたプラグを有し、
前記液体酸化剤注入装置は、前記配管の先端に設けられて前記第1コネクタに接続される第2コネクタを有し、
前記第2コネクタは、
前記液体酸化剤を流す第2通孔と前記プラグが挿入される第3通孔とが連通して形成されたソケットと、
前記第1通孔と前記第2通孔とを連通した状態で前記第3通孔内において前記プラグの外側に配置され、前記ソケットから前記プラグを引き離す力を付与するスプリングと、
前記スプリングを縮めて前記第3通孔に前記プラグを差し込んだ状態で、前記周溝と重なりかつ当該周溝を挟む位置において前記ソケットに形成された一対の貫通孔に差し込まれるロックピンと、を備え、
前記第1通孔と前記第2通孔とを連通した状態から前記周溝と前記貫通孔とに挿入された前記ロックピンを抜き、前記スプリングの弾発力で前記ソケットから前記プラグを引き離し、前記第1コネクタから前記第2コネクタを外して、前記液体酸化剤注入装置を前記ハイブリッドロケットから分離させる
(1)に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
(3)前記ハイブリッドロケットは、前記三方弁の前記弁体を動作させる弁棒を回転させて前記第1注入状態及び前記第2注入状態を切り替えるアクチュエータを有する
(1)又は(2)に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
(4)前記アクチュエータの動作を制御する外部の制御部が第3コネクタにより前記アクチュエータに接続される
(3)に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
(5)前記ノズルを介して前記燃焼室に挿入されて前記燃焼室に酸素を注入するパイプを備える
(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
(6)筒状に構成されたロケット本体、
前記ロケット本体内で先端側に設けられて、液体酸化剤を貯留する第1タンク、
前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、
前記ロケット本体の外面に設けられて、外部に設けられた液体酸化剤注入装置の配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、
前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている
ハイブリッドロケット。
(7)前記三方弁と前記第1コネクタとの間に、前記三方弁から前記第1コネクタへの前記液体酸化剤の流れを止める逆止弁を有する
(6)に記載のハイブリッドロケット。
(8)前記三方弁は、Tポートが形成されたボール弁体を前記弁体として有する3方ボール弁である
(6)又は(7)に記載のハイブリッドロケット。
(9)液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットを、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置を用いて発射させて飛翔させるハイブリッドロケットの飛翔方法であって、
前記ハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記液体酸化剤注入装置は、前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、
前記三方弁により前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第2タンクから前記第1タンクに注入する第1注入状態に切り替えて、所定の圧力又は所定の重量の前記液体酸化剤が前記第1タンクに充填されるまで注入し、
前記ハイブリッドロケットから前記液体酸化剤注入装置を分離し、
前記三方弁により前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態に切り替えて、前記液体酸化剤を前記第1タンクから前記燃焼室に注入し、前記燃焼室に注入された前記液体酸化剤を用いて前記固体燃料を燃焼させて発生させた燃焼ガスを前記ノズルから噴出させて前記ハイブリッドロケットを飛翔させる
ハイブリッドロケットの飛翔方法。
【0074】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0075】
100 ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム、200 ハイブリッドロケット、210 ロケット本体、220 第1タンク、230 燃焼室、233 固体燃料、233A 流路、240 第1コネクタ、241 プラグ、242 周溝、244 第1通孔、250 三方弁、251 ボデー、252 弁体、253 弁棒、255 アクチュエータ、260 逆止弁、280 ノズル、300 液体酸化剤注入装置、310 第2タンク、320 配管、330 第2コネクタ、331 ソケット、331A 第2通孔、331B プラグ孔(第3通孔)、331C スプリング孔(第3通孔)、331D 貫通孔、332 スプリング、333 ロックピン、340 弁装置、400 酸素供給装置、410 第3タンク、420 配管(パイプ)、430 調節弁、500 点火装置、510 電源装置、520 配線、530 点火器、600 制御装置、610 制御部、620 第3コネクタ、630 配線