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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132608
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/8236 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/06 311B
H01L27/06 311Z
H01L27/088 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043448
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】石黒 重文
(72)【発明者】
【氏名】末松 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】小柳 勝
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 真野
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将来
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038BE09
5F038BH02
5F038BH03
5F038BH04
5F038BH07
5F038BH13
5F038CD02
5F038CD03
5F038CD06
5F038DF04
5F038DF05
5F048AB01
5F048AB03
5F048AC01
5F048AC02
5F048AC10
5F048CC01
5F048CC05
5F048CC06
5F048CC08
5F048CC09
5F048CC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被保護回路を保護する保護回路内のサージ電荷を好適に放電でき、かつ、保護回路内の貫通電流を抑制する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、電圧VEXTQLが供給される配線L1と、電圧VSSが供給される配線L2とに電気的に接続されたESD(静電気放電)保護回路100を備える。ESD保護回路は、抵抗R1~R3と、キャパシタC1~C3と、を含む。抵抗R1は、配線L1とノードVRCpreとの間に接続され、キャパシタC1は、配線L2とノードVRCpreとの間に接続される。抵抗R2は、配線L2とノードVRCpreよりも下流に位置するノードNVRCとの間に接続され、キャパシタC2は、配線L2とノードNVRCとの間に接続される。抵抗R3は、配線L1とノードNVRCよりも下流に位置するノードVRCとの間に接続され、キャパシタC3は、配線L2とノードVRCとの間に接続される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧が供給される第1配線と、第2電圧が供給される第2配線と、に電気的に接続された保護回路を備え、
前記保護回路は、
前記第1配線と第1ノードとの間に接続される第1抵抗と、
前記第2配線と前記第1ノードとの間に接続される第1キャパシタと、
前記第2配線と、前記第1ノードよりも下流に位置する第2ノードと、の間に接続される第2抵抗と、
前記第2配線と前記第2ノードとの間に接続され、前記第2抵抗と並列に接続される第2キャパシタと、
前記第1配線と、前記第2ノードよりも下流に位置する第3ノードと、の間に接続される第3抵抗と、
前記第2配線と前記第3ノードとの間に接続される第3キャパシタと、
を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記第2抵抗および前記第2キャパシタを含む第2RC回路の時定数は、前記第3抵抗および前記第3キャパシタを含む第3RC回路の時定数よりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1抵抗および前記第1キャパシタを含む第1RC回路の時定数は、電源投入時における前記第1電圧の立ち上げ速度よりも低い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記保護回路は、前記第2ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と前記第3ノードとの間に接続される第1トランジスタをさらに有し、
前記第1トランジスタは、n型MOSFETである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記保護回路は、前記第3ノードよりも下流に位置する第4ノードに電気的に接続されるゲートを有し、前記第1配線と前記第2配線との間に接続される第2トランジスタをさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2配線と、前記第3ノードよりも下流に位置する第4ノードと、の間に接続される第4抵抗をさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記保護回路は、前記第1配線と、前記第3ノードよりも下流に位置する第4ノードと、の間に接続される第4キャパシタをさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記保護回路は、
前記第2配線と前記第1キャパシタとの間に接続される第5抵抗と、
前記第3ノードよりも下流に位置する第4ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と前記第1キャパシタとの間に接続され、前記第5抵抗と並列に接続される第3トランジスタと、
をさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記保護回路は、前記第3ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と前記第2ノードとの間に接続される第4トランジスタをさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記保護回路は、前記第3ノードよりも下流に位置する第4ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第1配線と前記第3ノードとの間に接続される第5トランジスタをさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記保護回路は、
前記第2ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と前記第3ノードとの間に接続される第6トランジスタと、
前記第2ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第3ノードと前記第6トランジスタとの間に接続される第7トランジスタと、
前記第3ノードよりも下流に位置する第4ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と前記第7トランジスタとの間に接続され、前記第6トランジスタと並列に接続される第8トランジスタと、
をさらに有し、
前記第7トランジスタの閾値電圧は、前記第6トランジスタの閾値電圧よりも低い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記保護回路は、
前記第2ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と前記第3ノードとの間に接続される第9トランジスタと、
第5ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と前記第3ノードとの間に接続され、前記第9トランジスタと並列に接続される第10トランジスタと、
前記第1ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第1配線と前記第5ノードとの間に接続される第11トランジスタと、
前記第1配線と電気的に接続されるゲートを有し、前記第2ノードと前記第5ノードとの間に接続される第12トランジスタと、
をさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記保護回路は、
前記第1電圧よりも高い第3電圧が入力されるゲートを有し、前記第2ノードと前記第5ノードとの間に接続され、前記第12トランジスタと並列に接続される第13トランジスタをさらに有する、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2抵抗は、直列接続された、複数のデプレッション型のn型MOSFETを有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1電圧は、0.4V~0.6Vであり、
前記第2電圧は、接地電圧である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1電圧は、0.6V~1.2Vであり、
前記第2電圧は、接地電圧である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1電圧は、前記第2電圧よりも高い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第1配線と前記第2ノードとの間に接続される第14トランジスタをさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第3ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第2配線と、前記第3ノードよりも下流に位置する第4ノードと、の間に接続される第15トランジスタと、
前記第3ノードと電気的に接続されるゲートを有し、前記第1配線と前記第4ノードとの間に接続される第16トランジスタと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第1配線と電気的に接続されるカソードと、前記第2配線に電気的に接続されるアノードと、を有するダイオードをさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被保護回路を静電気から保護するESD(electrostatic discharge:静電気放電)保護回路が設けられた半導体装置では、ESD保護回路内のサージ電荷を好適に放電することが望まれる。また、電源投入時に発生し得るESD保護回路内の貫通電流を抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2020/0083705号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開2018/0374840号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開2013/0342941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被保護回路を保護する保護回路内のサージ電荷を好適に放電することができ、かつ、保護回路内の貫通電流を抑制することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体装置は、第1電圧が供給される第1配線と、第2電圧が供給される第2配線と、に電気的に接続された保護回路を備える。保護回路は、第1抵抗と、第1キャパシタと、第2抵抗と、第2キャパシタと、第3抵抗と、第3キャパシタと、を有する。第1抵抗は、第1配線と第1ノードとの間に接続される。第1キャパシタは、第2配線と第1ノードとの間に接続される。第2抵抗は、第2配線と、第1ノードよりも下流に位置する第2ノードと、の間に接続される。第2キャパシタは、第2配線と第2ノードとの間に接続され、第2抵抗と並列に接続される。第3抵抗は、第1配線と、第2ノードよりも下流に位置する第3ノードと、の間に接続される。第3キャパシタは、第2配線と第3ノードとの間に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態のメモリシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態のESD保護回路100およびその周辺の構成の一例を示す回路図である。
図4】本実施形態のESD保護回路100およびその周辺の構成の一例を示す回路図である。
図5】本実施形態のESD保護回路100およびその周辺の構成の一例を示す回路図である。
図6】第1実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図7】第1実施形態のESD保護回路の動作の一例を示す回路動作波形図である。
図8】第1実施形態のESD保護回路の動作の一例を示す回路動作波形図である。
図9】第2実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図10A】第2実施形態の比較例のESD保護回路の動作の一例を示す回路動作波形図である。
図10B】第2実施形態のESD保護回路の動作の一例を示す回路動作波形図である。
図11】第3実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図12】第4実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図13】第5実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図14】第6実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図15】第6実施形態のESD保護回路の動作の一例を示す回路動作波形図である。
図16】第7実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図17】第8実施形態のESD保護回路の構成の一例を示す回路図である。
図18】第9実施形態の抵抗の構成の一例を示す回路図である。
図19】第2構成例に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
図20】第3構成例に係る半導体装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
<第1構成例:不揮発性メモリ>
[メモリシステムの構成]
図1は、本実施形態のメモリシステムの構成例を示すブロック図である。本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1とNAND型不揮発性メモリ2を備える。なお、NAND型不揮発性メモリのことを単に不揮発性メモリともいう。メモリシステムは、図示しないホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0009】
不揮発性メモリ2は、データを不揮発に記憶する半導体記憶装置である。図1に示すように、メモリコントローラ1と各不揮発性メモリ2とはNANDバスを介して接続される。メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って不揮発性メモリ2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って不揮発性メモリ2からのデータの読み出しを制御する。メモリコントローラ1は、RAM(Random Access Memory)11、プロセッサ12、ホストインターフェイス回路13、ECC(Error Check and Correct)回路14およびメモリインターフェイス回路15を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス回路13、ECC回路14およびメモリインターフェイス回路15は、互いに内部バス16により接続される。
【0010】
ホストインターフェイス回路13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータである書き込みデータなどを内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス回路13は、不揮発性メモリ2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答などをホストへ送信する。
【0011】
メモリインターフェイス回路15は、プロセッサ12の指示に基づいてユーザデータ等を不揮発性メモリ2へ書き込む処理および不揮発性メモリ2から読み出す処理を制御する。
【0012】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス回路13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2へのユーザデータおよびパリティの書き込みをメモリインターフェイス回路15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2からのユーザデータおよびパリティの読み出しを、メモリインターフェイス回路15へ指示する。
【0013】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、不揮発性メモリ2上の格納領域(以下、メモリ領域という)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ、すなわちページデータ、に対して実施する。本明細書では、不揮発性メモリ2の1ページに格納されるユーザデータをユニットデータと定義する。ユニットデータは、例えば、符号化されて符号語として不揮発性メモリ2に格納される。
【0014】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して符号語を生成する。また、ECC回路14は、不揮発性メモリ2から読み出された符号語を復号する。
【0015】
なお、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを不揮発性メモリ2に格納してもよいが、図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0016】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の不揮発性メモリ2のメモリ領域を決定する。不揮発性メモリ2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域の物理アドレスを指定してユーザデータを不揮発性メモリ2へ書き込むようメモリインターフェイス回路15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス回路15へ指示する。
【0017】
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを不揮発性メモリ2へ記憶するまでに一時格納したり、不揮発性メモリ2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納する。RAM11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用メモリである。
【0018】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス回路15をそれぞれ備える構成例を示した。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス回路15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、不揮発性メモリ2に内蔵されていてもよい。
【0019】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。プロセッサ12は、書き込みデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス回路15に与える。メモリインターフェイス回路15は、入力された符号語を不揮発性メモリ2に書き込む。
【0020】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。メモリインターフェイス回路15は、不揮発性メモリ2から読み出した符号語をECC回路14に与える。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス回路13を介してホストに送信する。
【0021】
メモリコントローラ1のプロセッサ12は、メモリインターフェイス回路15を制御して、信号DQ<7:0>及びデータストローブ信号DQS、/DQSを不揮発性メモリ2に送信する。メモリコントローラ1から不揮発性メモリ2へ送信される信号DQ<7:0>には、コマンド、アドレス及びデータが含まれる。データストローブ信号DQS、/DQSは、データ転送に同期して発生する読み出し及び書き込みタイミングを示す同期制御信号である。
【0022】
プロセッサ12は、メモリインターフェイス回路15を制御して、チップイネーブル信号/CE、信号CLE、信号ALE、信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、ライトプロテクト信号/WPを不揮発性メモリ2に送信する。信号/CEは、各不揮発性メモリ2を動作状態にするための信号である。ライトイネーブル信号/WEは、書き込みを許可する信号であり、不揮発性メモリ2はこの信号/WEを受信することでコマンド及びアドレスの取り込みを行う。即ち、信号/WEは取り込み信号と呼んでもよい。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、コマンドのラッチを許可する信号であり、アドレスラッチイネーブル信号ALEは、アドレスのラッチを許可する信号である。
【0023】
先頭に記号"/"が付された信号 は、アクティブ・ローまたは負論理であることを示す。すなわち、先頭に記号"/"が付されていない信号は、"H"レベルのときにアクティブになるのに対して、先頭に記号"/"が付された信号は、"L"レベルのときにアクティブになる。
【0024】
一方、不揮発性メモリ2は、メモリコントローラ1からの各種信号を受信すると共に、信号DQ<7:0>及びデータストローブ信号DQS、/DQSをメモリコントローラ1に送信する。また、不揮発性メモリ2は、信号/RBをメモリコントローラ1に送信する。レディービジー信号/RBは、外部からの命令を受け付けることが可能なレディー状態であるか、外部からの命令を受け付けることができないビジー状態であるかを示す。
【0025】
[不揮発性メモリの構成]
図2は、本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。不揮発性メモリ2は、ロジック制御回路21、入出力回路22、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、ロウデコーダ25、レジスタ26、シーケンサ27、電圧生成回路28、電圧モニタ回路29、入出力用パッド群32、ロジック制御用パッド群34、電源入力用端子群35、及び、ESD保護回路100を備えている。
【0026】
メモリセルアレイ23は、複数のブロックを備える。複数のブロックBLKの各々は、複数のメモリセルトランジスタ(メモリセル)を備える。メモリセルアレイ23には、メモリセルトランジスタに印加する電圧を制御するために、複数のビット線、複数のワード線、及びソース線などが配設される。
【0027】
入出力用パッド群32は、メモリコントローラ1との間でデータを含む各信号の送受信を行うため、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0028】
ロジック制御用パッド群34は、メモリコントローラ1との間で各信号の送受信を行うため、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、ライトプロテクト信号/WP、及びレディービジー信号/RBに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0029】
チップイネーブル信号/CEは、不揮発性メモリ2の選択を可能にする。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQ<7:0>として送信されるコマンドをコマンドレジスタにラッチすることを可能にする。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQ<7:0>として送信されるアドレスをアドレスレジスタにラッチすることを可能にする。ライトイネーブル信号/WEは、書き込みを可能にする。リードイネーブル信号REは、読み出しを可能にする。ライトプロテクト信号/WPは、書き込み及び消去を禁止する。レディービジー信号/RBは、不揮発性メモリ2がレディー状態(外部からの命令を受け付けることが可能である状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けることができない状態)であるかを示す。メモリコントローラ1は、レディービジー信号/RBを受けることで、不揮発性メモリ2の状態を知ることができる。
【0030】
電源入力用端子群35は、外部から不揮発性メモリ2に、種々の動作電源を供給するため、電源電圧VEXT、VEXTQ、VEXTQL及び接地電圧Vssを入力する複数の端子を備えている。図2に示すESD保護回路100は、実際には、電源間(VEXTQL-Vss、VEXT-Vss、VEXTQ-Vss)に接続されている(図3図5を参照)。なお、電源入力用端子群35は、電源電圧VEXT、VEXTQ、VEXTQL及び接地電圧Vssを入力する複数の端子の他に、電源電圧Vppを入力する複数の端子を備えていていもよい。電源電圧VEXTは、動作電源として一般的に外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば2.5Vや3.3V程度の電圧が入力される。一般に、仕様書やデータシート等において、不揮発性メモリが正常に動作する電圧VEXTの電圧値の範囲が定められており、例えば2.35V~3.6Vの範囲である。電源電圧VEXTQは、例えば1.2Vや1.8Vの電圧が入力される。電源電圧VEXTQは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間で信号を送受信する際に用いられる。なお、電源電圧VEXTは、電源電圧Vccでもある。電源電圧VEXTQは、電源電圧VccQでもある。
【0031】
電源電圧Vppは、電源電圧VEXTよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧が入力される。メモリセルアレイ23へデータを書き込んだり、データを消去したりする際には、20V程度の高い電圧が必要となる。この際に、約3.3Vの電源電圧VEXTを電圧生成回路28の昇圧回路で昇圧するよりも、約12Vの電源電圧Vppを昇圧するほうが、高速かつ低消費電力で所望の電圧を生成することができる。電源電圧VEXTは、不揮発性メモリ2に標準的に供給される電源であり、電源電圧Vppは、例えば使用環境に応じて追加的・任意的に供給される電源である。
【0032】
ロジック制御回路21及び入出力回路22は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1に接続される。入出力回路22は、メモリコントローラ1との間でNANDバスを介して、信号DQ(例えばDQ0~DQ7)を送受信する。
【0033】
ロジック制御回路21は、メモリコントローラ1からNANDバスを介して、外部制御信号(例えば、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WP)を受信する。また、ロジック制御回路21は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1にレディービジー信号/RBを送信する。
【0034】
入出力回路22は、メモリコントローラ1との間で、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSを送受信する。入出力回路22は、信号DQ<7:0>内のコマンド及びアドレスをレジスタ26に転送する。また、入出力回路22は、書き込みデータ、及び読み出しデータをセンスアンプ24との間で送受信する。
【0035】
レジスタ26は、コマンドレジスタ、アドレスレジスタ、及びステータスレジスタなどを備える。コマンドレジスタは、コマンドを一時的に保持する。アドレスレジスタは、アドレスを一時的に保持する。ステータスレジスタは、不揮発性メモリ2の動作に必要なデータを一時的に保持する。レジスタ26は、例えばSRAMから構成される。
【0036】
制御回路としてのシーケンサ27は、レジスタ26からコマンドを受け、このコマンドに基づくシーケンスに従って不揮発性メモリ2を制御する。
【0037】
電圧生成回路28は、昇圧回路28Aを備える。昇圧回路28Aは、不揮発性メモリ2の外部から電源電圧を受け、この電源電圧を昇圧し、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等に用いられる複数の電圧を生成する。電圧生成回路28は、昇圧回路28Aが生成した電圧を、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、及びロウデコーダ25などに供給する。
【0038】
電圧モニタ回路29は、外部から供給される電圧VEXT、VEXTQ、VEXTQLの電圧値を測定し、電圧VEXT、VEXTQ、VEXTQLの電圧値情報をシーケンサ27に出力する。電圧値の測定頻度は、メモリシステムに依存し、任意である。電圧値の測定頻度は、例えば、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等の動作毎や、電源入力するパワーオン毎である。また、例えば、1~数十もしくは数百sec、msec、μsec等の一定期間毎に電圧値を測定してもかまわない。
【0039】
ロウデコーダ25は、レジスタ26からロウアドレスを受け、このロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ25は、デコードされたロウアドレスに基づいて、ワード線の選択動作を行う。そして、ロウデコーダ25は、選択されたブロックに、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を転送する。
【0040】
センスアンプ24は、レジスタ26からカラムアドレスを受け、このカラムアドレスをデコードする。センスアンプ24は、センスアンプユニット群24Aと、データレジスタ24Bを有する。センスアンプユニット群24Aは、各ビット線に接続されており、デコードされたカラムアドレスに基づいて、いずれかのビット線を選択する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを検知及び増幅する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの書き込み時には、書き込みデータをビット線に転送する。
【0041】
データレジスタ24Bは、データの読み出し時には、センスアンプユニット群24Aにより検出したデータを一時的に保持し、これをシリアルに入出力回路22へ転送する。また、データレジスタ24Bは、データの書き込み時には、入出力回路22からシリアルに転送されたデータを一時的に保持し、これをセンスアンプユニット群24Aへ転送する。データレジスタ24Bは、SRAMなどで構成される。
【0042】
[ESD保護回路の接続]
図3は、本実施形態のESD保護回路100およびその周辺の構成の一例を示す回路図である。図3は、VEXTQL-Vss電源間に接続されるESD保護回路100を示す。
【0043】
ESD保護回路100は、配線L1と配線L2との間に接続される。図3に示す配線L1、L2は、図6を参照して後で説明する配線L1、L2に対応する。配線L1は、電圧VEXTQLを供給する電源と電気的に接続される。配線L2は、電圧VSSを供給する電源と電気的に接続される。
【0044】
入出力回路22は、配線L1と配線L2との間に接続される。ESD保護回路100および入出力回路22は、互いに並列に接続される。
【0045】
図4は、本実施形態のESD保護回路100およびその周辺の構成の一例を示す回路図である。図4は、VEXT-Vss電源間に接続されるESD保護回路100を示す。
【0046】
ESD保護回路100は、配線L1aと配線L2との間に接続される。図4に示す配線L2は、図6を参照して後で説明する配線L2に対応し、図3に示す配線L2と共通する。一方、図4に示す配線L1aは、電圧VEXTを供給する電源と電気的に接続される。従って、ESD保護回路100がVEXT-Vss電源間に接続される場合、配線L1に代えて、配線L1aがESD保護回路100と電気的に接続される。
【0047】
ロジック制御回路21は、配線L1aと配線L2との間に接続される。ESD保護回路100およびロジック制御回路21は、互いに並列に接続される。
【0048】
図5は、本実施形態のESD保護回路100およびその周辺の構成の一例を示す回路図である。図5は、VEXTQ-Vss電源間に接続されるESD保護回路100を示す。
【0049】
ESD保護回路100は、配線L1bと配線L2との間に接続される。図5に示す配線L2は、図6を参照して後で説明する配線L2に対応し、図3および図4に示す配線L2と共通する。一方、図5に示す配線L1bは、電圧VEXTQを供給する電源と電気的に接続される。従って、ESD保護回路100がVEXTQ-Vss電源間に接続される場合、配線L1に代えて、配線L1bがESD保護回路100と電気的に接続される。
【0050】
ロジック制御回路21は、配線L1bと配線L2との間に接続される。ESD保護回路100およびロジック制御回路21は、互いに並列に接続される。
【0051】
(第1実施形態)
図6は、第1実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。
【0052】
本実施形態のESD保護回路100は、半導体装置内に設けられており、この半導体装置内の被保護回路を静電気から保護することができる。この半導体装置は、被保護回路として例えば、不揮発性メモリ2内の各構成を備えている。本実施形態のESD保護回路100は、RCTMOS回路となっている。
【0053】
この半導体装置は、電源電圧が供給されるパッドP1、P2および配線L1、L2を備えている。パッドP1は、例えば、電圧VEXTQLが供給される外部接続パッドである。パッドP2は、例えば、電圧VSSが供給される外部接続パッドである。配線L1は、パッドP1から電圧VEXTQLが供給される電源配線である。配線L2は、パッドP2から電圧VSSが供給される電源配線である。本実施形態のESD保護回路100は、配線L1、L2に電気的に接続されており、本実施形態の被保護回路は、ESD保護回路100よりも下流で配線L1、L2に電気的に接続される。電圧VEXTQLは第1電圧の例であり、VSSは第2電圧の例である。第1電圧は、第2電圧よりも高い。尚、パッドP1に電圧VEXTQが供給されてもよい。この場合、電圧VEXTQは第1電圧の例である(図5を参照)。配線L1は第1配線の例であり、配線L2は第2配線の例である。
【0054】
また、省電力化のために、低電圧電源が採用される場合がある。この場合、パッドP1に供給される電圧が比較的低くなる。電圧VEXTQLは、低電圧電源の電源電圧である。電圧VEXTQLは、例えば、1.2Vである電圧VEXTQよりも低い。電圧VEXTQLは、例えば、0.6Vである。尚、電圧VEXTQは、例えば、0.6V~1.2Vであってもよい。
【0055】
本実施形態のESD保護回路100は、第1RC回路RC1と、トランジスタTr1と、第2RC回路RC2と、トランジスタTr2と、第3RC回路RC3と、トランジスタTr3と、トランジスタTr4と、キャパシタC4と、抵抗R4と、トランジスタTr5と、ダイオードDと、を備えている。
【0056】
第1RC回路は、抵抗R1と、キャパシタC1とを有する。抵抗R1は、配線L1と、ノードVRCpreと、の間に接続される。キャパシタC1は、配線L2と、ノードVRCpreと、の間に接続される。
【0057】
トランジスタTr1は、配線L1と、ノードNVRCと、の間に接続される。ノードNVRCは、ノードVRCpreよりも下流に位置する。トランジスタTr1のゲートは、ノードVRCpreと電気的に接続される。トランジスタTr1は、例えば、p型MOSFETである。
【0058】
第2RC回路は、抵抗R2と、キャパシタC2とを有する。抵抗R2は、配線L2と、ノードNVRCと、の間に接続される。キャパシタC2は、配線L2と、ノードNVRCと、の間に接続される。抵抗R2およびキャパシタC2は、互いに並列に接続される。
【0059】
トランジスタTr2は、配線L2と、ノードVRCと、の間に接続される。ノードVRCは、ノードNVRCよりも下流に位置する。トランジスタTr2のゲートは、ノードNVRCと電気的に接続される。トランジスタTr2は、例えば、n型MOSFETである。
【0060】
第3RC回路RC3は、抵抗R3と、キャパシタC3とを有する。抵抗R3は、配線L1と、ノードVRCと、の間に接続される。キャパシタC3は、配線L2と、ノードVRCと、の間に接続される。
【0061】
トランジスタTr3は、配線L2と、ノードGINと、の間に接続される。ノードGINは、ノードVRCよりも下流に位置する。トランジスタTr3のゲートは、ノードVRCと電気的に接続される。トランジスタTr3は、例えば、n型MOSFETである。
【0062】
トランジスタTr4は、配線L1と、ノードGINと、の間に接続される。トランジスタTr4のゲートは、ノードVRCと電気的に接続される。トランジスタTr4は、例えば、p型MOSFETである。
【0063】
キャパシタC4は、配線L1と、ノードGINと、の間に接続される。
【0064】
抵抗R4は、配線L2と、ノードGINと、の間に接続される。
【0065】
トランジスタTr5は、配線L1と、配線L2と、の間に接続される。トランジスタTr5のゲートは、ノードGINと電気的に接続される。トランジスタTr5は、例えば、n型MOSFETである。
【0066】
ダイオードDのカソードは、配線L1と電気的に接続される。ダイオードDのアノードは、配線L2と電気的に接続される。ダイオードDは、例えば、トランジスタTr5の寄生ダイオードであってもよい。
【0067】
次に、ESD保護回路100の各構成の機能について説明する。
【0068】
以下では、不揮発性メモリ2のESD試験時、並びに、不揮発性メモリ2の電源投入時および通常動作時におけるESD保護回路100の各構成の機能を説明する。尚、ESD試験時では、トランジスタTr5をオン状態にして、電荷を放電させる必要がある。電源投入時では、トランジスタTr5をオフ状態にして、貫通電流を抑制する必要がある。
【0069】
第1RC回路は、ESD試験時にノードNVRCの充電時間を制御する回路である。ノードNVRCの充電時間は、ノードNVRCの電圧を電圧VEXTQLまで充電する時間である。
【0070】
トランジスタTr1は、ESD試験時にノードNVRCの電圧を電圧VEXTQLまで充電するトランジスタである。
【0071】
第2RC回路は、ESD試験時にノードGINをH(high)レベルに保持する期間T1を制御する回路である。尚、ノードGINは、ESD試験時における放電時間を決定するパルスを生成する。第2RC回路RC2の時定数は、ノードGINの電圧のパルス幅を決定する一つの要素である。
【0072】
トランジスタTr2は、ESD試験時にノードVRCを強く配線L2(電圧VSS)に接続するトランジスタである。また、トランジスタTr2は、第3RC回路RC3の充電スタートタイミングを制御する。
【0073】
第3RC回路RC3は、ESD試験時にノードGINをHレベルに保持する期間T2を制御する回路である。第3RC回路RC3の時定数により、ノードGINをL(Low)レベルに落とすための時間が設定される。第3RC回路RC3の時定数は、第2RC回路RC2の時定数とともに、ノードGINの電圧のパルス幅を決定する一つの要素である。
【0074】
また、第3RC回路RC3は、電源投入時のラッシュカレント(貫通電流)を制御する。これは、第3RC回路RC3がトランジスタTr5をオフする側の時定数を決めるためである。
【0075】
トランジスタTr3は、電源投入時および通常動作時にノードGINを強く配線L2(電圧VSS)に接続するトランジスタである。ノードGINの電圧が電圧VSSになることにより、トランジスタTr5がオフして、貫通電流を抑制することができる。
【0076】
トランジスタTr4は、ESD試験時のノードGINの電圧をHレベルに保持するためのトランジスタである。また、トランジスタTr4は、ESD試験時において、期間T1もしくは期間T2の間、ノードGINの電圧をHレベルに保持する。
【0077】
キャパシタC4は、ESD試験時に高速でノードGINの電圧を引き上げる。電圧の引き上げは、配線L1(電圧VEXTQL)との容量カップリングにより行われる。ESD試験には、HBM(Human Body Model)およびCDM(Charged Device Model)が含まれる。CDMで用いる電流パルスは、HBMで用いる電流パルスよりも短い。CDMでは、キャパシタC4によって、トランジスタTr4によるノードGINの電圧の上昇を、より有効的に補完することができる。
【0078】
抵抗R4は、ノードGINを弱く配線L2(電圧VSS)に接続する。これにより、初期状態のノードGINがフローティング状態になることを抑制することができる。この結果、貫通電流を抑制することができる。
【0079】
トランジスタTr5は、配線L1(電圧VEXTQL)と配線L2(電圧VSS)との間のシャントトランジスタ(放電用トランジスタ)として機能する。ESD試験時において、トランジスタTr5がオンすることにより、配線L1から配線L2に放電が行われる。
【0080】
次に、ESD保護回路100の動作について説明する。
【0081】
図7は、第1実施形態のESD保護回路100の動作の一例を示す回路動作波形図である。図7は、電源投入時(PWON)および通常動作時(Operation)におけるESD保護回路100の動作を示す。
【0082】
時刻t1において、電源投入(200mV/μs)が開始される。これにより、電圧VEXTQLが上昇する。
【0083】
第1RC回路RC1の時定数は、電源(電圧VEXTQL)立ち上げよりも小さく設定されている。これにより、ノードVRCpreの電圧は、電圧VEXTQLと略同じ速度で上昇する。
【0084】
ノードVRCpreの電圧が電圧VEXTQLと略同じ速度で上昇すると、トランジスタTr1はオフ状態に維持される。
【0085】
ノードNVRCは、抵抗R2を介して配線L2(電圧VSS)に接続される。従って、ノードNVRCの電圧は、電圧VSSに維持される。この結果、トランジスタTr2もオフ状態に維持される。
【0086】
ノードVRCの電圧は、抵抗R3を介して上昇する。第3RC回路RC3の時定数も電源(電圧VEXTQL)立ち上げよりも小さく設定されている。これにより、ノードVRCの電圧も、電圧VEXTQLと略同じ速度で上昇する。
【0087】
ノードVRCの電圧が上昇すると、トランジスタTr3はオン状態になる。これにより、ノードGINは電圧VSSに強くバイアスされ、貫通電流を抑制することができる。
【0088】
尚、ノードGINは、電源投入前(初期状態)から抵抗R4を介して配線L2(電圧VSS)と接続されている。これにより、電源投入期間において、ノードGINがフローティング状態になることを抑制することができ、貫通電流を抑制することができる。
【0089】
ここで、通常のESD保護回路では、1組のRC回路が用いられる。この場合、電源投入時の貫通電流抑制のために、RC回路の時定数を小さく設定する必要がある。しかし、時定数を小さく設定すると、ESD試験時の放電時間が短くなってしまい、放電不足による残電荷で被保護回路のトランジスタが耐圧破壊される可能性がある。従って、時定数を小さく設定することができず、貫通電流のマージンを確保することが困難になってしまう。
【0090】
これに対して、第1実施形態では、電源投入時の貫通電流対策を行う第3RC回路RC3の時定数を小さく設定してもESD試験時の時定数に影響しない。これにより、電源投入時のラッシュカレント(貫通電流)を抑制することができる。
【0091】
図8は、第1実施形態のESD保護回路100の動作の一例を示す回路動作波形図である。図8は、ESD試験時におけるESD保護回路100の動作を示す。
【0092】
時刻t11において、電源(電圧VEXTQL)に電荷が注入され、電圧VEXQTLが急峻に立ち上がる。
【0093】
ノードVRCpreは、第1RC回路RC1の時定数で上昇するため、ノードVRCpreの電圧がLレベルである期間が発生する。
【0094】
ノードVRCpreの電圧がLレベルである期間、トランジスタTr1は、オン状態である。これにより、ノードNVRCに接続されたキャパシタC2に電荷が蓄えられ、ノードNVRCの電圧が上昇する。この時、ノードNVRCの電圧は、電圧VEXTQLと略同じ電圧まで上昇する。
【0095】
尚、ノードVRCpreの電圧がLレベルで保持される期間は、第1RC回路RC1の時定数によって決まる。第1RC回路RC1の時定数は、ノードNVRCの電圧を電圧VEXTQLにすることができる値であればよい。
【0096】
時刻t12において、ノードNVRCの電圧が上昇すると、トランジスタTr2はオン状態になる。これにより、ノードVRCは、電圧VSSに強くバイアスされる。
【0097】
キャパシタC4によって、急峻に立ち上がった電源(電圧VEXTQL)のカップリングで、ノードGINは急峻に立ち上がる。また、トランジスタTr4のゲートがノードVRCと接続されるため、トランジスタTr4がオン状態となる。これにより、ノードGINの電圧の上昇およびHレベル保持が補助される。トランジスタTr5のゲートがノードGINと接続されるため、トランジスタTr5がオン状態となる。これにより、放電が行われる。キャパシタC4およびトランジスタTr4によって、トランジスタTr5を介して十分に放電を行うことができる。
【0098】
ノードNVRCの電圧は、抵抗R2を介した放電によって、時間の経過とともに低下する。
【0099】
時刻t13において、ノードNVRCの電圧がLレベルになり、トランジスタTr2がオフする。これにより、ノードVRCの電圧は、抵抗R3を介して上昇する。
【0100】
時刻t14において、ノードVRCの電圧がHレベルになると、トランジスタTr3がオンする。これにより、ノードGINがLレベルになる。
【0101】
期間T1は、時刻t12から時刻t13までの期間であり、第2RC回路RC2の時定数によって決まる。期間T2は、時刻t13から時刻t14までの期間であり、第3RC回路RC3の時定数によって決まる。
【0102】
ここで、通常のESD保護回路では、1組のRC回路が用いられる。この場合、ESD試験時の放電を十分に行うために、RC回路の時定数を大きく設定する必要がある。しかし、時定数を大きく設定すると、電源投入時の貫通電流を制御することができなくなってしまう可能性がある。従って、電源投入時の不具合の発生を懸念して時定数を大きくすることができず、放電時間のマージンを確保することが困難になってしまう。
【0103】
これに対して、第1実施形態では、第2RC回路RC2の時定数および第3RC回路RC3の時定数が放電時間を制御するとともに、第2RC回路RC2と、電源投入時の貫通電流対策を行う第3RC回路RC3と、の間で時定数を個々に設定することができる。これにより、放電時間のマージンおよび貫通電流のマージンを確保しやすくすることができる。
【0104】
第3RC回路RC3の時定数は、電源投入の傾きよりも小さな値に設定することが好ましい。これにより、電源投入時の貫通電流を抑制することができる。一方、ESD試験時では、第3RC回路RC3の小さい時定数に加えて、第2RC回路RC2の時定数によって、放電時間が決まる。第2RC回路RC2の時定数は、大きな値であることが好ましいこれにより、より長い放電時間を確保することができる。従って、第2RC回路の時定数は、第3RC回路の時定数とは異なっており、第3RC回路の時定数よりも大きいことが好ましい。電源投入時の貫通電流をより適切に制御することができ、かつ、ESD試験時の放電時間をより適切に制御することができる。
【0105】
以上のように、第1実施形態によれば、個別に時定数を設定することができる第1RC回路RC1、第2RC回路RC2、および第3RC回路RC3が設けられる。これにより、電源投入時の貫通電流を抑制することができ、かつ、ESD試験時に適切に放電することができる。
【0106】
また、第1実施形態では、ノードVRCpre、VRCは、それぞれ抵抗R1、R3を介して配線L1(電圧VEXTQL)と接続される。また、ノードNVRC、GINは、それぞれ抵抗R2、R4を介して配線L2(電圧VSS)と接続される。従って、ESD保護回路100内の全ノードは、抵抗を介して電源に接続される。これにより、全ノードがフローティング状態になることを抑制することができる。
【0107】
もし、全てのノードが抵抗を介して電源と接続されず、かつ、低電圧電源(電圧VEXTQL)が採用される場合、ESD保護回路が適切に動作できなくなる可能性がある。例えば、ESD保護回路が配線L1と配線L2との間に接続されたインバータを有する場合、インバータに用いられるトランジスタ(例えば、p型MOSFET)の動作電圧が確保できず、インバータの出力ノードがフローティング状態になる可能性がある。すなわち、ESD保護回路の内部ノードが不定状態になる可能性がある。この結果、貫通電流対策を適切に行うことができず、大電流が流れてしまう可能性がある。
【0108】
これに対して、第1実施形態では、全てのノードが高抵抗の抵抗を介して電源と接続される。これにより、低電圧電源(電圧VEXTQL)が採用される場合であっても、ノードVRCpre、NVRC、VRC、GINがフローティング状態になることを抑制することができ、貫通電流を抑制することができる。
【0109】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。第2実施形態は、抵抗R5およびトランジスタTr6が設けられる点で、第1実施形態とは異なっている。
【0110】
ESD保護回路100は、抵抗R5と、トランジスタTr6と、をさらに備える。抵抗R5は、配線L2と、キャパシタC1と、の間に接続される。トランジスタTr6は、配線L2と、キャパシタC1と、の間に接続される。トランジスタTr6のゲートは、ノードGINと電気的に接続される。トランジスタTr6は、例えば、n型MOSFETである。抵抗R5およびトランジスタTr6は、互いに並列に接続される。
【0111】
第1実施形態において、通常動作時に、電源ノイズ、すなわち、電圧VSS(または電圧VEXTQL)ノイズ、および、第1RC回路RC1の影響により、ノードVRCpreの電圧が電源(電圧VEXTQL)の電圧よりも低くなる場合がある。この場合、トランジスタTr1がしっかりオフ状態にならない可能性がある。トランジスタTr1が適切にオフ状態にならない場合、トランジスタTr1および抵抗R2を介して、配線L1(電圧VEXTQL)と配線L2(電圧VSS)との間にリークパスが形成されてしまう可能性がある。通常動作時にリークパスが形成されてしまうと、電源として用いられる電圧VEXTQLが低下してしまう。
【0112】
そこで、抵抗R5は、配線L2とキャパシタC1との間の容量を弱めることにより、ノードVRCpreの電圧を電圧VEXTQLに保持することができる。これにより、リークパスの形成を抑制することができ、貫通電流を抑制することができる。
【0113】
また、抵抗R5を設けることにより、ESD動作時にキャパシタC1が適切に機能しない場合がある。
【0114】
そこで、トランジスタTr6は、ESD動作時においてオン状態になることにより、配線L2とキャパシタC1とを接続させる。これにより、ノードVRCpreを所望の時定数で動作させることができる。
【0115】
図10Aは、第2実施形態の比較例のESD保護回路100の動作の一例を示す回路動作波形図である。図10Bは、第2実施形態のESD保護回路100の動作の一例を示す回路動作波形図である。図10Aおよび図10Bは、通常動作時におけるESD保護回路100の動作を示す。図10Aは、抵抗R5およびトランジスタTr6が設けられない場合の比較例を示す。図10Bは、抵抗R5およびトランジスタTr6が設けられる場合の例を示す。
【0116】
まず、抵抗R5およびトランジスタTr6が設けられない場合の通常動作について説明する。尚、図10Aに示すノードVRCpreの電圧に示す破線は、電圧VEXTQLに対応する。
【0117】
時刻t21において、電源ノイズが生じ、電圧VEXTQLおよびノードVRCpreの電圧が低下する。ノードVRCpreの電圧の変動は、第1RC回路RC1により、VEXTQL電圧の変動に遅れる。
【0118】
時刻t22において、トランジスタTr1の閾値電圧を閾値電圧Vth1として、電圧VEXTQL、ノードVRCpreの電圧、および、閾値電圧Vth1の関係は、電圧VEXTQL>ノードVRCpreの電圧>トランジスタTr1の閾値電圧の絶対値|Vth1|になる。この結果、トランジスタTr1がオン状態になり、トランジスタTr1および抵抗R2を流れる貫通電流が発生する。尚、トランジスタTr1がp型MOSFETである場合、上記関係は、電圧VEXTQL>閾値電圧Vth1>ノードVRCpreの電圧とも表される。
【0119】
次に、抵抗R5およびトランジスタTr6が設けられる場合の通常動作について説明する。
【0120】
時刻t21において、電源ノイズが生じ、電圧VEXTQLおよびノードVRCpreの電圧が低下する。電圧VEXTQL、ノードVRCpreの電圧、および、閾値電圧Vth1の関係は、電圧VEXTQL=ノードVRCpreの電圧<トランジスタTr1の閾値電圧の絶対値|Vth1|になる。すなわち、抵抗R5を設けることによって、ノイズの影響を小さくすることができる。これにより、ノードVRCpreの電圧が電圧VEXTQLよりも低くなることを抑制することができ、リークパスを遮断することができる。尚、トランジスタTr1がp型MOSFETである場合、上記関係は、電圧VEXTQL=ノードVRCpreの電圧>閾値電圧Vth1とも表される。
【0121】
第2実施形態のように、抵抗R5およびトランジスタTr6が設けられてもよい。第2実施形態のESD保護回路100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0122】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。第3実施形態は、トランジスタTr7が設けられる点で、第1実施形態とは異なっている。
【0123】
尚、図11には、第2実施形態の抵抗R5およびトランジスタTr6が示されている。しかし、抵抗R5およびトランジスタTr6は、設けられなくてもよい。
【0124】
ESD保護回路100は、トランジスタTr7をさらに備える。トランジスタTr7は、配線L2と、ノードNVRCと、の間に接続される。トランジスタTr7のゲートは、ノードVRCと電気的に接続される。トランジスタTr7は、例えば、n型MOSFETである。
【0125】
第1実施形態において、通常動作時に、抵抗R2のばらつき、および、トランジスタTr1の閾値電圧のばらつきによって、トランジスタTr1を通過するリークによりノードNVRCの電圧が上昇する場合がある。この場合、トランジスタTr2がオンしてノードVRCの電圧がLレベルとなり、トランジスタTr4がオン状態となる。この結果、トランジスタTr5がオンし、貫通電流が発生する可能性がある。
【0126】
そこで、トランジスタTr7は、通常動作時において、Hレベルに上昇するノードVRCの電圧を受けて、ノードNVRCを電圧VSSに強くバイアスする。これにより、トランジスタTr5がオンすることを抑制し、貫通電流を抑制することができる。
【0127】
また、ESD試験時において、ノードVRCの初期の電圧はLレベルであり、第2RC回路RC2設定された時間におけるノードVRCの電圧は、トランジスタTr2によってLレベルに維持される。従って、トランジスタTr7は、ESD試験時の動作を悪化させない。
【0128】
第3実施形態のように、トランジスタTr7が設けられてもよい。第3実施形態のESD保護回路100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第3実施形態のESD保護回路100に第2実施形態を組み合わせてもよい。
【0129】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。第4実施形態は、トランジスタTr8が設けられる点で、第1実施形態とは異なっている。
【0130】
尚、図12には、第2実施形態の抵抗R5およびトランジスタTr6、並びに、第3実施形態のトランジスタTr7が示されている。しかし、抵抗R5およびトランジスタTr6、Tr7は、設けられなくてもよい。
【0131】
ESD保護回路100は、トランジスタTr8をさらに備える。トランジスタTr8は、配線L1と、ノードVRCと、の間に接続される。トランジスタTr8のゲートは、ノードGINと電気的に接続される。トランジスタTr8は、例えば、p型MOSFETである。
【0132】
第1実施形態において、通常動作時に、ノードVRCの電圧および電圧VEXTQLは、互いに略同じレベルに設定されている。しかし、抵抗R3の抵抗によりノードVRCの電圧の追従性が悪くなると、トランジスタTr4がオン状態になる。この結果、トランジスタTr5がオンし、貫通電流が発生する可能性がある。
【0133】
そこで、トランジスタTr8は、通常動作時において、電圧VEXTQLと、ノードVRCの電圧と、の電位差を小さくする(なくす)ように、配線L1と、ノードVRCと、を接続させる。これにより、トランジスタTr5がオンすることを抑制し、貫通電流を抑制することができる。
【0134】
また、ESD試験時において、ノードGINの電圧はHレベルであり、トランジスタTr8はオフ状態になる。従って、トランジスタTr8は、ESD試験時の動作を悪化させない。
【0135】
第4実施形態のように、トランジスタTr8が設けられてもよい。第4実施形態のESD保護回路100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第4実施形態のESD保護回路100に第2実施形態および第3実施形態の少なくとも1つを組み合わせてもよい。
【0136】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。第5実施形態は、トランジスタTr9、Tr10がさらに設けられる点で、第1実施形態とは異なっている。
【0137】
尚、図13には、第2実施形態の抵抗R5およびトランジスタTr6、第3実施形態のトランジスタTr7、並びに、第4実施形態のトランジスタTr8が示されている。しかし、抵抗R5およびトランジスタTr6、Tr7、Tr8は、設けられなくてもよい。
【0138】
ESD保護回路100は、Tr9、Tr10をさらに備える。
【0139】
トランジスタTr9は、ノードVRCと、トランジスタTr2と、の間に接続される。トランジスタTr9のゲートは、ノードNVRCと電気的に接続される。トランジスタTr9は、例えば、n型MOSFETである。
【0140】
また、トランジスタTr9は、トランジスタTr2の閾値電圧よりも低い閾値電圧を有する。
【0141】
トランジスタTr10は、配線L2と、トランジスタTr9と、の間に接続される。トランジスタTr10のゲートは、ノードGINと電気的に接続される。トランジスタTr10は、例えば、n型MOSFETである。トランジスタTr2、Tr10は、互いに並列に接続される。
【0142】
第1実施形態において、ESD試験時の放電時間が短いと、放電不足となり、残電荷による薄膜トランジスタの耐圧違反が発生する可能性がある。例えば、放電による電圧VEXTQLの低下が速い場合、放電能力が小さくなってしまう。従って、放電時間はなるべく長くする必要がある。第2RC回路RC2の時定数を延ばすことにより、放電不足を解消することができる。しかし、時定数を延ばすことは第2RC回路RC2の面積を増加させることにつながり、回路サイズが大きくなってしまう。
【0143】
そこで、トランジスタTr2の閾値電圧よりも低い閾値電圧を有するトランジスタTr9は、トランジスタTr2がオフした後もオン状態を継続する。また、オフ状態のトランジスタTr2と並列に接続されるトランジスタTr10はオン状態である。従って、ノードNVRCの電圧が下がっても、ノードVRCを電圧VSSに、より長く維持することができる。時定数の制御ではなく、ノードVRCの電圧をLレベルに維持する時間を長くすることで、実質的に放電パルス(ノードGINの電圧がHレベルである期間)を延ばすことができる。これにより、第2RC回路RC2の面積を大きくすることなく、放電期間を延ばして放電不足を抑制することができる。
【0144】
トランジスタTr10は、放電開始時にノードGINの電圧がHレベルになることによりオンする。これにより、ノードVRCの電圧を電圧VSSにさらに強くバイアスすることができる。この結果、ノードGINの電圧がHレベルである期間をさらに延ばすことができる。従って、第2RC回路RC2の面積を大きくすることなく、放電期間をさらに延ばして放電不足をさらに抑制することができる。
【0145】
第5実施形態のように、トランジスタTr9、Tr10が設けられてもよい。第5実施形態のESD保護回路100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第5実施形態のESD保護回路100に第2実施形態~第4実施形態の少なくとも1つを組み合わせてもよい。
【0146】
(第6実施形態)
図14は、第6実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。第6実施形態は、トランジスタTr10のゲートの接続先が変更されている点で、第5実施形態とは異なっている。
【0147】
尚、図14には、第2実施形態の抵抗R5およびトランジスタTr6、第3実施形態のトランジスタTr7、並びに、第4実施形態のトランジスタTr8が示されている。しかし、抵抗R5およびトランジスタTr6、Tr7、Tr8は、設けられなくてもよい。
【0148】
ESD保護回路100は、レベル保持回路LKをさらに備える。レベル保持回路LKは、ESD試験時にノードVRCの電圧をLレベルにバイアスする期間をさらに延ばすために、トランジスタTr10のゲートに入力される信号を生成する。レベル保持回路LKは、配線L1、L2およびノードVRCpre、NVRC、VRCの電圧が入力される。尚、レベル保持回路LKのノードNVRC2は、トランジスタTr10のゲートと電気的に接続される。
【0149】
レベル保持回路LKは、トランジスタK1、K2、K3と、キャパシタC5と、を有する。
【0150】
トランジスタK1は、配線L1と、ノードNVRC2と、の間に接続される。トランジスタK1のゲートは、ノードVRCpreと電気的に接続される。トランジスタK1は、例えば、p型MOSFETである。
【0151】
トランジスタK2は、配線L2と、ノードNVRC2と、の間に接続される。トランジスタK2のゲートは、ノードVRCと電気的に接続される。トランジスタK2は、例えば、n型MOSFETである。
【0152】
トランジスタK3は、ノードNVRCと、ノードNVRC2と、の間に接続される。トランジスタK3のゲートは、配線L1と電気的に接続される。トランジスタK3は、例えば、n型MOSFETである。
【0153】
キャパシタC5は、配線L2と、ノードNVRC2と、の間に接続される。トランジスタK2およびキャパシタC5は、互いに並列に接続される。
【0154】
図15は、第6実施形態のESD保護回路100の動作の一例を示す回路動作波形図である。図15は、ESD試験時におけるESD保護回路100の動作を示す。尚、図15には、第1実施形態におけるノードVRC、GINの電圧も示されている。
【0155】
時刻t31において、ノードNVRCが充電されるとともに、ノードNVRC2の充電が行われる。ノードNVRC2の充電は、トランジスタTr1と同様に動作するトランジスタK1を介して、キャパシタC5が充電されることにより行われる。トランジスタK1は、ノードNVRC2の電圧を電圧VEXTQLと同程度まで上昇させる。トランジスタK3は、ノードNVRCの電圧をノードNVRC2に転送する。尚、ノードNVRC、NVRC2が略同電圧であるため、トランジスタK3はオン状態であっても動作に影響しない。
【0156】
尚、キャパシタC5は、ノードNVRC2の電圧の保持のために設けられる。キャパシタC5の静電容量は、時定数を制御する機能も有するキャパシタC2の静電容量よりも小さくてもよい。
【0157】
ノードNVRC、NVRC2がHレベルになるため、トランジスタTr2、Tr9、Tr10がオンし、ノードVRCの電圧がLレベルにバイアスされる。
【0158】
電圧VEXTQLが低下すると、トランジスタK3はオフする。例えば、電圧VEXTQLが低下して、ノードNVRC2の電圧>ノードNVRCの電圧>電圧VEXTQL、もしくは、ノードNVRC2の電圧>ノードNVRCの電圧=電圧VEXTQL<トランジスタK3の閾値電圧の絶対値|Vth2|の状態になる。ノードNVRCの電圧は、電圧VEXTQLまで充電された後、抵抗R2を介して、配線L2(電圧VSS)に放電される。一方、ノードNVRC2の電圧は、ノードNVRCの電圧よりも高く保持される。
【0159】
時刻t32において、ノードNVRCの電圧がLレベルになり、トランジスタTr2はオフする。しかし、トランジスタTr10は、ノードVRCの電圧をLレベルにバイアスする。これにより、ノードVRCの電圧をLレベルにバイアスする期間を延ばすことができる。トランジスタTr4は、ノードVRCの電圧がHレベルに上昇するまで、ノードGINの電圧をHレベルに保持する。
【0160】
時刻t33において、ノードVRCの電圧がHレベルになる。従って、ノードGINの電圧がLレベルになり、放電時間が終了する。
【0161】
図15に示すように、第6実施形態では、第1実施形態と比較して、放電時間を長くすることができ、放電不足を抑制することができる。
【0162】
第6実施形態では、第2RC回路RC2および第3RC回路RC3で設定されたタイマが切れるまで、すなわち、ノードVRCの電圧がHレベルになるまで、ノードGINの電圧がHレベルに保持される。これにより、電圧VEXTQLに影響されることなく、放電時間を確保することができ、放電不足を抑制することができる。
【0163】
尚、通常動作時に、トランジスタK2は、HレベルのノードVRCの電圧をうけて、ノードNVRC2を電圧VSSでバイアスする。従って、レベル保持回路LKは、ESD試験時に動作し、通常動作時には動作しない。また、通常動作時に、トランジスタTr7がノードNVRCを電圧VSSにバイアスすることと同様に、トランジスタK2は、ノードNVRC2を電圧VSSにバイアスする。これにより、貫通電流の発生を抑制することができる。
【0164】
第6実施形態のように、トランジスタTr10のゲートの接続が変更されてもよい。第6実施形態のESD保護回路100は、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0165】
(第7実施形態)
図16は、第7実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。第7実施形態は、レベル保持回路LKの構成が変更されている点で、第6実施形態とは異なっている。
【0166】
尚、図16には、第2実施形態の抵抗R5およびトランジスタTr6、第3実施形態のトランジスタTr7、並びに、第4実施形態のトランジスタTr8が示されている。しかし、抵抗R5およびトランジスタTr6、Tr7、Tr8は、設けられなくてもよい。
【0167】
レベル保持回路LKは、トランジスタK4をさらに有する。トランジスタK4は、ノードNVRCと、ノードNVRC2と、の間に接続される。トランジスタK4のゲートは、電圧VEXTQが入力される。電圧VEXTQは、電源電圧であり、電圧VEXTQLよりも高い電圧である。電圧VEXTQは、例えば、1.2Vである。尚、電圧VEXTQは、例えば、0.6V~1.2Vであってもよい。トランジスタK4は、例えば、n型MOSFETである。トランジスタK3、K4は、互いに並列に接続される。
【0168】
第6実施形態において、通常動作時に、電圧VEXTQLの低電圧化がさらに進んだ場合、トランジスタK3がオンしない可能性がある。この結果、ノードNVRC2の電圧を電圧VSSにバイアスすることが難しくなり、貫通電流が発生する可能性がある。
【0169】
そこで、トランジスタK4は、電圧VEXTQのゲート信号によって、ノードNVRCの電圧(電圧VSSと略同じ)をノードNVRC2に転送する。これにより、さらに低い電圧VEXTQLにおいて、貫通電流の発生を抑制することができる。トランジスタK4を設けることにより、電圧VEXTQLを、例えば、0.4V程度まで低下させることができる。
【0170】
第7実施形態のように、レベル保持回路LKの構成が変更されてもよい。第7実施形態のESD保護回路100は、第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0171】
(第8実施形態)
図17は、第8実施形態のESD保護回路100の構成の一例を示す回路図である。第8実施形態は、抵抗素子である抵抗R2、R4に代えて、抵抗R2a、R4aが設けられている点で、第1実施形態とは異なっている。
【0172】
ESD保護回路100は、抵抗R2a、R4aを備える。
【0173】
抵抗R2aは、直列接続された、4つのトランジスタD1~D4を有する。4つのトランジスタD1~D4は、例えば、デプレッション型(Dタイプ)のn型MOSFETである。4つのトランジスタD1~D4のゲートは、配線L2(電圧VSS)と電気的に接続される。これにより、4つのトランジスタD1~D4は、レイアウト面積をより削減した高抵抗素子として用いられる。また、抵抗R2aの製造ばらつきを抑制することができる。尚、トランジスタD1~D4の数は、4つに限られない。
【0174】
抵抗R4aの構成は、例えば、抵抗R2aの構成と同様である。
【0175】
尚、図示していないが、抵抗R1、R3もデプレッション型のn型MOSFETを有していてもよい。
【0176】
第8実施形態のように、抵抗R2a、R4aが設けられてもよい。第8実施形態のESD保護回路100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第8実施形態のESD保護回路100に第2実施形態~第7実施形態の少なくとも1つを組み合わせてもよい。
【0177】
尚、図9を参照して第2実施形態において説明した抵抗R5も、抵抗R2a、R4aと同様の構成を有していてもよい。
【0178】
(第9実施形態)
図18は、第9実施形態の抵抗R2a、R4aの構成の一例を示す回路図である。第9実施形態は、抵抗R2a、R4aの構成が変更されている点で、第8実施形態とは異なっている。
【0179】
トランジスタD1のゲートは、トランジスタD1のソースと電気的に接続される。トランジスタD2のゲートは、トランジスタD2のソースと電気的に接続される。トランジスタD3のゲートは、トランジスタD3のソースと電気的に接続される。トランジスタD4のゲートは、トランジスタD4のソースと電気的に接続される。
【0180】
第9実施形態のように、抵抗R2a、R4aの構成が変更されてもよい。第9実施形態のESD保護回路100は、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0181】
<第2構成例:DRAM(Dynamic Random Access Memory)>
第1~第9実施形態で説明されたESD保護回路100の少なくとも1つが、揮発性半導体メモリデバイス(例えば、DRAM)に使用されてもよい。
【0182】
図19は、第2構成例に係る半導体装置300(DRAM)の構成の一例を示すブロック図である。図19に示すように、半導体装置300は、例えば、メモリセルアレイ301、ロウデコーダ302、カラムデコーダ303、コマンドデコーダ304、アドレスデコーダ305、コマンド/アドレス入力回路306、センスアンプ回路307、転送ゲート308、読み出し/書き込みアンプ回路(RWAMP:Read/Write Amplifier)309、入出力回路310、クロック入力回路311、内部クロック生成回路312、電圧生成回路313、及びESD保護回路100を含む。
【0183】
メモリセルアレイ301は、複数のメモリセルMCを含む。半導体装置300のメモリセルMCのそれぞれは、セルキャパシタCCと、セルトランジスタCTとを含む。セルトランジスタCTのゲートは、複数のワード線WLのうち対応する1つに接続される。セルトランジスタCTの電流経路の一端は、ビット線BLに接続される。セルトランジスタCTの電流経路の他端は、セルキャパシタCCの一端に接続される。セルキャパシタCCの他端は、接地ノードに接続される。セルキャパシタCCは、記憶すべきデータに応じた量の電荷を格納できる。セルトランジスタCTは、メモリセルMCとビット線BLとの間の導通/非導通(メモリセルの選択/非選択)をスイッチングする。複数のメモリセルMCは、メモリセルアレイ301内において、2次元アレイ状又は3次元アレイ状に配列されている。例えば、メモリセルアレイ201は、複数のバンクを含む。各バンクは、複数のメモリセルMCを含む制御単位である。複数のバンクは、互いに独立に動作し得る。
【0184】
ロウデコーダ302は、アドレス情報のデコード結果とコマンドのデコード結果とに基づいて、メモリセルアレイ301のロウ方向の配線(例えば、ワード線WL)の選択/非選択を制御する。
【0185】
カラムデコーダ303は、アドレス情報のデコード結果とコマンドのデコード結果とに基づいて、メモリセルアレイ301のカラム方向の配線(例えば、ビット線BL)の選択/非選択を制御する。
【0186】
コマンドデコーダ304は、コマンド/アドレス入力回路306から受け取ったコマンドをデコードする。そして、コマンドデコーダ304は、コマンドのデコード結果を、ロウデコーダ302及びカラムデコーダ303のそれぞれに送る。
【0187】
アドレスデコーダ305は、コマンド/アドレス入力回路306から受け取ったアドレス情報をデコードする。そして、アドレスデコーダ305は、アドレス情報のデコード結果を、ロウデコーダ302及びカラムデコーダ303のそれぞれに送る。
【0188】
コマンド/アドレス入力回路306は、外部から供給されるコマンド/アドレス信号CAを受ける。コマンド/アドレス信号CAは、コマンド及びアドレス情報を含む。コマンド/アドレス入力回路306は、コマンド及びアドレス情報を、コマンドデコーダ304及びアドレスデコーダ305にそれぞれ送る。
【0189】
センスアンプ回路307は、読み出し動作時において、メモリセルMCからの信号をセンス及び増幅する。センスアンプ回路307は、メモリセルMCからの信号を読み出しデータとして、転送ゲート308及びRWAMP309を介して、入出力回路310に送る。センスアンプ回路307は、入出力回路310からの書き込みデータを、転送ゲート308及びRWAMP309を介して受け取る。センスアンプ回路307は、書き込みデータに応じた信号を、ビット線BLに出力する。
【0190】
転送ゲート308は、センスアンプ回路307とRWAMP309との間のデータ転送を制御する。
【0191】
RWAMP309は、読み出しデータに応じた信号のレベル(信号値)、及び、書き込みデータに応じた信号のレベルを増幅する。
【0192】
入出力回路310は、メモリセルアレイ301と半導体装置300の外部との間で転送される信号DQのインターフェース回路として機能する。入出力回路310は、内部クロックCLK2に同期したタイミングで、書き込みデータを、メモリセルアレイ301に送る。入出力回路310は、内部クロックCLK2に同期したタイミングで、読み出しデータを、半導体装置300の外部のデバイスに送る。例えば、入出力回路310は、データマスク信号DMを受ける。入出力回路810は、データマスク信号DMに基づいて、信号DQ(データ)に対してマスク処理を行う。
【0193】
クロック入力回路311は、外部からのクロック(以下では、外部クロックとよばれる)CLK1を受ける。クロック入力回路311は、外部クロックCLK1を、内部クロック生成回路312に送る。
【0194】
内部クロック生成回路312は、外部クロックCLK1に基づいて、内部クロックCLK2を生成する。内部クロック生成回路312は、生成された内部クロックCLK2を入出力回路310などに送る。
【0195】
電圧生成回路313は、外部からの電源電圧(電源ノードVDDに印可される電圧、電源ノードVDDQに印可される電圧、及び接地ノードVSSに印可される電圧)を用いて、半導体装置300の各種の動作シーケンスのそれぞれに用いられる複数の電圧を生成する。電圧生成回路313は、生成された電圧を、他の回路(例えば、RWAMP309)に送る。図19に示すESD保護回路100は、実際には、電源間に接続されている。尚、電源ノードVDDQに印可される電圧は、例えば、電源ノードVDDに印可される電圧よりも低い電圧であり、図6に示すパッドP1に供給される場合がある。
【0196】
なお、第2構成例では、半導体装置300がDRAMである場合が例示されているが、これに限定されない。半導体装置300は、DRAM以外のランダムアクセスメモリであってもよい。例えば、半導体装置300が、SRAM(Static RAM)であってもよい。
【0197】
<第3構成例:マイクロコントローラ>
第1~第9実施形態で説明されたESD保護回路100の少なくとも1つが、マイクロコントローラに使用されてもよい。
【0198】
図20は、第3構成例に係る半導体装置800(マイクロコントローラ)の構成の一例を示すブロック図である。図20に示すように、半導体装置800は、例えば、プロセッサ801、バス制御回路802、フラッシュメモリ803、RAM804、DA変換回路805、AD変換回路806、タイマ807、入出力(I/O)ポート808、オシレータ809、及び割り込みコントローラ810、電源システム811を含む。半導体装置800のバスは、プロセッサ801、バス制御回路802、フラッシュメモリ803,RAM804、DA変換回路805、AD変換回路806、タイマ807、入出力ポート808に接続されている。半導体装置800のバスは、半導体装置800内における、信号及びデータの伝送経路である。
【0199】
プロセッサ801は、半導体装置800内の各種の処理を実行する。プロセッサ801は、供給されたデータに対する各種の処理を行う。プロセッサ801は、例えば、CPUである。
【0200】
バス制御回路802は、半導体装置800のバスを制御する。バス制御回路802は、プロセッサ801内に設けられてもよい。
【0201】
フラッシュメモリ803は、データを不揮発に記憶可能な記憶装置である。フラッシュメモリ803は、例えば、NOR型フラッシュメモリである。なお、フラッシュメモリ803は、NAND型フラッシュメモリであってもよい。
【0202】
RAM804は、データを一時的に記憶する記憶装置である。RAM804は、例えば、SRAM又はDRAMのようなランダムアクセスメモリである。
【0203】
DA変換回路805は、デジタル信号(デジタル値)をアナログ信号(アナログ値)に変換する。
【0204】
AD変換回路806は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0205】
タイマ807は、半導体装置800内の時間(動作タイミング)を管理する。
【0206】
入出力ポート808は、半導体装置800におけるインターフェース回路として機能する。入出力ポート808は、例えば、4つのポートP1、P2、P3及びP4を含む。入出力ポート808が備えるポートの数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。入出力ポート808は、ポートP1、P2、P3及びP4の各々を介して、データやアドレスなどを含む信号を、半導体装置800の外部から受ける。入出力ポート808は、ポートP1、P2、P3及びP4の各々を介して、データなどの信号を、半導体装置800の外部へ送る。入出力ポート808は、例えば、GPIO(General purpose input/output)規格、USART(Universal synchronous/asynchronous receiver transmitter)規格、又はI2C(Inter-integrated circuit)規格などに準拠する。
【0207】
オシレータ809は、同期信号としてのクロック信号を、プロセッサ801に出力する。クロック信号は、或る周期(クロック数)を有する。これによって、プロセッサ801は、クロック信号に同期したタイミングで、各種の処理を行う。クロック信号の周期は、例えば、4MHz、8MHz、12MHz又は24MHzなどである。
【0208】
割り込みコントローラ810は、外部割込み命令を受ける。例えば、割り込みコントローラ810は、割り込み要求のステータスを管理するためのレジスタを有する。割り込みコントローラ810は、受けた外部割込み命令に基づいて、プロセッサ801に各種の割り込み要求を送る。プロセッサ801は、割り込み要求に応じて、実行中の処理を一時的に中断し、割り込み要求の処理を実行する。割り込み要求の処理の完了後、プロセッサ801は、中断中の処理を再開する。
【0209】
電源システム811は、外部からの電源電圧(電圧VDDA、VDDD、VDDIOx及び接地電圧VSS)を用いて、半導体装置800の各種の動作シーケンスのそれぞれに用いられる複数の電圧を生成し、他の回路に送る。図20に示すESD保護回路100は、実際には、電源間に接続されている。尚、電圧VDDD、VDDIOxは、例えば、電圧VDDA以下の電圧であり、図6に示すパッドP1に供給される場合がある。
【0210】
なお、第5実施形態の第3構成例に係る半導体装置800は、本実施形態のマイクロコントローラ1Cは、システムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SIP)、システムオンパッケージ(SoP)であってもよい。半導体装置800は、例えば、組み込みシステムに使用される。半導体装置800は、例えば、車載デバイス、家電製品、コンピュータ、産業機械、鉄道車両、航空機、及び船舶などに使用されてもよい。
【0211】
また、半導体装置800は、バス幅、メモリ構造、及び、命令セットなどに基づいて、分類されてもよい。バス幅は、データバスのサイズを示している。例えば、半導体装置800は、バス幅に基づいて、8ビット-マイクロコントローラ、16ビット-マイクロコントローラ、又は、32ビット-マイクロコントローラに分類される。半導体装置800は、高いバス幅によって、より良い性能を得ることができる。
【0212】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0213】
100 ESD保護回路、C1~C5 キャパシタ、K1~K4 トランジスタ、L1 配線、L2 配線、LK レベル保持回路、R1~R4 抵抗、RC1 第1RC回路、RC2 第2RC回路、RC3 第3RC回路、Tr1~Tr10 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20