(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132609
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20240920BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B61B13/00 V
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043451
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】川波 絢佳
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳孝
【テーマコード(参考)】
3D101
3F022
【Fターム(参考)】
3D101BA03
3D101BB05
3D101BB52
3D101BB56
3F022AA08
3F022BB09
3F022CC02
3F022EE05
3F022LL12
3F022MM07
3F022MM11
(57)【要約】
【課題】複数のフロアと搬送車の制御を行う制御装置とを備える搬送システムにおいて経路のレイアウトが変更された場合に、制御装置において更新される情報量を少なく抑えることが可能な技術を実現する。
【解決手段】制御装置は、複数のフロアのフロアマップ情報M1と、接続経路による異なるフロア間の接続関係を示す情報である接続関係情報M2とを保有していると共に、フロアマップ情報M1及び接続関係情報M2に基づいてフロア内経路及び接続経路における搬送車の制御を行うように構成される。管理装置20は、複数のフロアのフロアマップ情報M1をフロア毎に分離可能な状態で保有していると共に、接続関係情報M2を複数のフロアのフロアマップ情報M1と分離可能な状態で保有しており、制御装置に対するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2の更新処理を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車により物品を搬送する搬送システムであって、
複数のフロアと、複数の前記フロアのそれぞれに設けられて前記搬送車が移動可能なフロア内経路と、前記搬送車の制御を行う制御装置と、前記制御装置のデータ更新を管理する管理装置と、を備え、
異なる前記フロア間を接続する接続経路が設けられ、
前記搬送車は、前記接続経路を通って複数の前記フロアに亘って移動し、
前記制御装置は、複数の前記フロアのそれぞれについての前記フロア内経路の情報であるフロアマップ情報と、前記接続経路による異なる前記フロア間の接続関係を示す情報である接続関係情報とを保有していると共に、前記フロアマップ情報及び前記接続関係情報に基づいて前記フロア内経路及び前記接続経路における前記搬送車の制御を行うように構成され、
前記管理装置は、複数の前記フロアの前記フロアマップ情報を前記フロア毎に分離可能な状態で保有していると共に、前記接続関係情報を複数の前記フロアの前記フロアマップ情報と分離可能な状態で保有しており、前記制御装置に対する前記フロアマップ情報及び前記接続関係情報の更新処理を行う、搬送システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記フロア内経路の変更があった場合には、変更があった前記フロア内経路が設けられた前記フロアの前記フロアマップ情報のみの更新処理を行い、
前記接続経路の変更があった場合には、前記接続関係情報と、変更があった前記接続経路に接続された前記フロアの前記フロアマップ情報との更新処理を行う、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記管理装置は、最新の前記フロアマップ情報と最新の前記接続関係情報とが格納されたデータベースと、前記制御装置に配信する更新データを作成する更新データ作成部と、を備え、
前記更新データ作成部は、前記接続経路の変更があった場合には、変更があった前記接続経路に接続された前記フロアの前記フロアマップ情報と前記接続関係情報とを前記データベースから読み出し、新たな前記フロアマップ情報と新たな前記接続関係情報とを合わせた前記更新データを作成する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記制御装置は、複数の制御ユニットを備え、
複数の前記フロアのそれぞれは、複数の前記制御ユニットのうちの1つ以上の前記制御ユニットによる管理の対象とされ、
複数の前記制御ユニットのそれぞれは、全ての前記フロアの前記フロアマップ情報を保有するように構成されていると共に、それぞれが管理の対象とする1つ以上の前記フロアにおける前記搬送車の管理を行い、
前記管理装置は、
前記フロア内経路の変更があった場合には、変更があった前記フロア内経路が設けられた前記フロアを第1対象フロアとして、前記第1対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットに対して、他の前記制御ユニットよりも優先して、前記第1対象フロアの前記フロアマップ情報の更新処理を行い、
前記接続経路の変更があった場合には、変更があった前記接続経路に接続された前記フロアを第2対象フロアとして、前記第2対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットに対して、他の前記制御ユニットよりも優先して、前記第2対象フロアの前記フロアマップ情報の更新処理を行う、請求項2又は3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記フロア内経路の変更があった場合には、前記第1対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットである第1対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行った後、前記第1対象制御ユニットから他の前記制御ユニットである第1非対象制御ユニットに対して更新後の前記フロアマップ情報を配信して、前記第1非対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行い、
前記接続経路の変更があった場合には、前記第2対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットである第2対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行った後、前記第2対象制御ユニットから他の前記制御ユニットである第2非対象制御ユニットに対して更新後の前記フロアマップ情報を配信して、前記第2非対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行う、請求項4に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車により物品を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような搬送システムの一例が、特開2004-227058号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。特許文献1に開示されている搬送システムとしての搬送車システム(1)は、複数のベイ(3)と、各ベイ(3)内及びベイ(3)間で物品を搬送する搬送車(10)と、ベイ(3)毎に配置されてそのベイ(3)内の搬送車(10)を管理するエリアコントローラ(8)と、を備えている。各ベイ(3)内及びベイ(3)間には、搬送車(10)が走行する走行路(2)が設けられており、全ての走行路(2)に関する地図情報を含む搬送経路情報が、各エリアコントローラ(8)が備える記憶手段に記憶されている。そして、この搬送車システム(1)では、走行路(2)のレイアウトが変更された場合に、更新後の搬送経路情報が各エリアコントローラ(8)に配信されて搬送経路情報の更新が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、走行路のレイアウトが変更された場合に、全ての走行路に関する地図情報を含む更新後の搬送経路情報が、搬送車の制御を行う制御装置(具体的には、制御装置が備える複数のエリアコントローラのそれぞれ)に配信されて、搬送経路情報の更新が行われる。そのため、制御装置において更新される情報量が多くなりやすく、更新作業の処理負担(演算装置の処理量や処理時間等)が大きくなりやすい。特許文献1には明記されていないが、搬送システムが複数のフロアを備え、複数のフロアのそれぞれに搬送車が移動可能なフロア内経路が設けられると共に、異なるフロア間を接続する接続経路が設けられる場合がある。このような搬送システムにおいても、経路(フロア内経路や接続経路等)のレイアウトが変更された場合に、全ての経路の情報を含む更新後の経路情報が制御装置に対して配信される構成とすると、制御装置において更新される情報量が多くなりやすく、特許文献1の搬送システムと同様に、更新作業の処理負荷が大きくなりやすい。
【0005】
そこで、複数のフロアと搬送車の制御を行う制御装置とを備える搬送システムにおいて経路のレイアウトが変更された場合に、制御装置において更新される情報量を少なく抑えることが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送システムは、搬送車により物品を搬送する搬送システムであって、複数のフロアと、複数の前記フロアのそれぞれに設けられて前記搬送車が移動可能なフロア内経路と、前記搬送車の制御を行う制御装置と、前記制御装置のデータ更新を管理する管理装置と、を備え、異なる前記フロア間を接続する接続経路が設けられ、前記搬送車は、前記接続経路を通って複数の前記フロアに亘って移動し、前記制御装置は、複数の前記フロアのそれぞれについての前記フロア内経路の情報であるフロアマップ情報と、前記接続経路による異なる前記フロア間の接続関係を示す情報である接続関係情報とを保有していると共に、前記フロアマップ情報及び前記接続関係情報に基づいて前記フロア内経路及び前記接続経路における前記搬送車の制御を行うように構成され、前記管理装置は、複数の前記フロアの前記フロアマップ情報を前記フロア毎に分離可能な状態で保有していると共に、前記接続関係情報を複数の前記フロアの前記フロアマップ情報と分離可能な状態で保有しており、前記制御装置に対する前記フロアマップ情報及び前記接続関係情報の更新処理を行う。
【0007】
本構成によれば、制御装置が、複数のフロアのフロアマップ情報と接続関係情報とを保有しているため、フロア内経路及び接続経路の双方において搬送車の制御を適切に行うことができる。そして、本構成によれば、制御装置に対するフロアマップ情報及び接続関係情報の更新処理を行う管理装置が、複数のフロアのフロアマップ情報をフロア毎に分離可能な状態で保有していると共に、接続関係情報を複数のフロアのフロアマップ情報と分離可能な状態で保有している。よって、フロア内経路や接続経路等の経路のレイアウトが変更された場合に、制御装置において、レイアウトの変更に関係する経路の情報のみを更新することができる。従って、レイアウトの一部のみに変更があった場合でも制御装置において全経路の情報(すなわち、全てのフロアのフロアマップ情報及び接続関係情報)を更新する必要がある場合に比べて、制御装置において更新される情報量を少なく抑えやすい。
【0008】
以上のように、本構成によれば、複数のフロアと搬送車の制御を行う制御装置とを備える搬送システムにおいて経路のレイアウトが変更された場合に、制御装置において更新される情報量を少なく抑えることができる。
【0009】
搬送システムの更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
搬送システムの実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、搬送システム100は、搬送車1により物品2(
図2参照)を搬送するシステムである。物品2は、例えば、半導体ウェハを収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)とされる。
【0012】
搬送車1は、移動経路に沿って移動して物品2を搬送する。搬送車1は、無人搬送車である。移動経路には、後述するフロア内経路4及び接続経路5が含まれる。
図2にはステーション3を1つのみ示しているが、移動経路(ここでは、フロア内経路4)に沿って複数のステーション3が設定されている。搬送車1は、後述する制御装置C(本実施形態では、制御ユニット10)からの搬送指令に応じて、当該搬送指令で指定された搬送元のステーション3から、当該搬送指令で指定された搬送先のステーション3へ、物品2を搬送する。図示は省略するが、ステーション3には物品2を支持する物品支持部が設けられており、ステーション3において搬送車1と物品支持部との間で物品2が移載される。物品支持部は、例えば、物品2(或いは物品2に収容された収容物)を処理対象とする処理装置のロードポート、物品2を保管する保管装置の入出庫ポート、物品2を一時的に保管する保管棚等とされる。
【0013】
図1に示すように、搬送システム100は、複数のフロアFを備えている。搬送システム100が備える複数のフロアFには、例えば、上下方向に並ぶ複数のフロアF、又は水平方向に離間した複数のフロアF、或いはこれらの双方が含まれる。
図1に示す例では、搬送システム100が適用される設備に、第1建物P1及び第2建物P2の2つの建物Pが含まれ、第1建物P1及び第2建物P2のそれぞれが、1階フロアF1と3階フロアF3との2つのフロアFを備えている。第1建物P1及び第2建物P2のそれぞれにおいて、1階フロアF1と3階フロアF3とは上下方向に並んでいる。また、第1建物P1が備えるフロアFと第2建物P2が備えるフロアFとは、水平方向に離間している。
【0014】
搬送システム100は、複数のフロアFのそれぞれに設けられて搬送車1が移動可能なフロア内経路4と、異なるフロアF間を接続する接続経路5と、を備えている。搬送車1は、接続経路5を通って複数のフロアFに亘って移動する。例えば、物品2の搬送元のステーション3と物品2の搬送先のステーション3とが互いに異なるフロアFに存在する場合に、搬送車1は接続経路5を通って複数のフロアFに亘って移動する。
【0015】
図2には、第1建物P1の1階フロアF1に設けられるフロア内経路4と、第1建物P1の3階フロアF3に設けられるフロア内経路4と、これらの1階フロアF1と3階フロアF3とを接続する接続経路5と、を示している。なお、
図2は、実際は上下方向に並ぶように形成される2つのフロア内経路4を平面的に並べて示す等、各経路を概念的に示しており、実際の経路を必ずしも正確に表しているわけではない。
図2に示す退避経路6は、搬送車1が接続経路5を通って別のフロアFに移動する場合に、移動先のフロアFにおいて退避するための経路である。搬送車1が退避経路6に退避する状況については後述する。
【0016】
フロア内経路4や接続経路5等の移動経路は、物理的に形成されても仮想的に形成されてもよい。フロア内経路4は、例えば、レールによって物理的に形成される。この場合のレールは、例えば、天井から吊り下げ支持される。また、フロア内経路4や接続経路5等の移動経路は、搬送車1の走行動作(具体的には、駆動輪を回転させる動作)によって搬送車1が移動する経路(以下、「走行経路」という)であっても、搬送車1が他の装置によって搬送されることで搬送車1が移動する経路(以下、「非走行経路」という)であってもよい。例えば、フロア内経路4と、水平方向に離間したフロアF同士を接続する接続経路5(例えば、異なる建物PのフロアF同士を接続する棟間経路)は、走行経路とされる。また、例えば、上下方向に並ぶフロアF同士を接続する接続経路5(例えば、同じ建物Pの互いに異なるフロアF同士を接続する階間経路)は、非走行経路とされる。この場合、非走行経路は、例えば、昇降装置によって搬送車1が昇降されることで搬送車1が移動する経路とされる。
【0017】
搬送システム100は、搬送車1の制御を行う制御装置C(
図3参照)を備えている。本実施形態では、制御装置Cは、複数の制御ユニット10を備えている。複数の制御ユニット10は、互いに通信可能に構成されている。制御装置C(ここでは、複数の制御ユニット10のそれぞれ)は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラム(ソフトウェア)との協働により、制御装置Cの機能(ここでは、複数の制御ユニット10のそれぞれの機能)が実現される。
【0018】
複数のフロアFのそれぞれは、複数の制御ユニット10のうちの1つ以上の制御ユニット10による管理の対象とされる。複数の制御ユニット10のそれぞれは、それぞれが管理の対象とする1つ以上のフロアFにおける搬送車1の管理(例えば、搬送車1を移動させる制御)を行う。本実施形態では、搬送システム100は、フロアFと同数の制御ユニット10を備えている。そして、複数のフロアFのそれぞれは、1つの制御ユニット10による管理の対象とされ、複数の制御ユニット10のそれぞれは、1つのフロアFを管理の対象とする。
図3は、
図1に示す4つのフロアFに対応する4つの制御ユニット10を示している。
図3において、二点鎖線の四角形に付したフロアFの符号(F1,F3)は、当該四角形に囲まれた制御ユニット10が管理の対象とするフロアFを表している。例えば、
図3における最上部の制御ユニット10は、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10である。
【0019】
制御ユニット10は、少なくとも当該制御ユニット10が管理の対象とするフロアFに存在する搬送車1の現在位置を把握している。本実施形態では、搬送車1が自身の現在位置を認識するように構成されており、制御ユニット10は、搬送車1の現在位置の情報を当該搬送車1から取得することで、当該搬送車1の現在位置を把握する。
【0020】
制御装置Cは、複数のフロアFのそれぞれについてのフロアマップ情報M1(言い換えれば、全てのフロアFのフロアマップ情報M1)を保有している。本実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれが、少なくともそれぞれが管理の対象とするフロアFのフロアマップ情報M1を保有しており、これら複数の制御ユニット10を備える制御装置Cは、全てのフロアFのフロアマップ情報M1を保有している。フロアマップ情報M1は、フロア内経路4の情報(例えば、経路の形状等の地図情報)である。例えば、第1建物P1の1階フロアF1のフロアマップ情報M1は、第1建物P1の1階フロアF1に設けられたフロア内経路4の情報である。本実施形態では、フロアマップ情報M1には、フロア内経路4の情報に加えて、当該フロア内経路4に沿って設けられたステーション3の情報も含まれている。
【0021】
本実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれは、全てのフロアFのフロアマップ情報M1を保有するように構成されている。
図3に示す例では、4つの制御ユニット10のそれぞれが、4つのフロアFのフロアマップ情報M1を保有している。
図3及び後に参照する
図4~
図6において、“P1_1F”は、第1建物P1の1階フロアF1のフロアマップ情報M1を表し、“P1_3F”は、第1建物P1の3階フロアF3のフロアマップ情報M1を表し、“P2_1F”は、第2建物P2の1階フロアF1のフロアマップ情報M1を表し、“P2_3F”は、第2建物P2の3階フロアF3のフロアマップ情報M1を表している。また、
図3~
図6において、“FL”は、以下に述べる接続関係情報M2を表している。以下では、第M建物PMのN階フロアFN(Mは1又は2、Nは1又は3)のフロアマップ情報M1を、フロアマップ情報M1[PM_NF]と記載する場合がある。また、接続関係情報M2を、接続関係情報M2[FL]と記載する場合がある。
【0022】
制御装置Cは、接続関係情報M2を保有している。本実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれが、接続関係情報M2を保有している。接続関係情報M2は、接続経路5による異なるフロアF間の接続関係を示す情報である。フロアマップ情報M1がフロアF毎の情報であるのに対して、接続関係情報M2には、全ての接続経路5についての、接続経路5による異なるフロアF間の接続関係の情報が示されている。接続経路5の情報(例えば、経路の形状等の地図情報)のみを参照することでは、接続経路5によって接続される2つのフロアFを特定することはできないが、接続関係情報M2を参照することで、接続経路5によって接続される2つのフロアFを特定することができる。例えば、搬送車1が接続経路5を通って別のフロアFに移動する場合には、当該搬送車1の制御に用いられるフロアマップ情報M1が移動先のフロアFのフロアマップ情報M1に切り替えられるが、接続関係情報M2を参照することで、切替先のフロアマップ情報M1がどのフロアFのフロアマップ情報M1であるかを判断することができる。
【0023】
本実施形態では、接続経路5の情報は、フロアマップ情報M1に含まれている。具体的には、フロアマップ情報M1は、フロア内経路4の情報に加えて、当該フロア内経路4に接続された接続経路5の情報を含んでいる。例えば、
図2に示す第1建物P1の1階フロアF1と3階フロアF3とを接続する接続経路5の情報は、1階フロアF1のフロアマップ情報M1と3階フロアF3のフロアマップ情報M1とに含まれる。但し、1階フロアF1のフロアマップ情報M1には、この接続経路5による接続先が3階フロアF3であるという情報は含まれておらず、3階フロアF3のフロアマップ情報M1には、この接続経路5による接続先が1階フロアF1であるという情報は含まれていない。そのため、例えば搬送車1が1階フロアF1から接続経路5を通って3階フロアF3に移動する場合、接続関係情報M2を参照することで、1階フロアF1のフロアマップ情報M1から切り替える切替先のフロアマップ情報M1が、3階フロアF3のフロアマップ情報M1であると判断することができる。
【0024】
なお、搬送車1が接続経路5を通って別のフロアFに移動する場合に、当該搬送車1の制御に用いるフロアマップ情報M1を、移動先のフロアFの最新のフロアマップ情報M1に切り替えることができない状況が発生する場合がある。例えば、移動先のフロアFを管理の対象とする制御ユニット10に対するフロアマップ情報M1の更新が遅れている場合や、通信状況が悪く搬送車1が移動先のフロアFを管理の対象とする制御ユニット10から最新のフロアマップ情報M1を取得することができない場合に、上記のような状況となり得る。本実施形態では、このような状況が発生した場合に、移動先のフロアFのフロア内経路4に含まれる退避経路6に搬送車1を移動させるように構成されている。本実施形態では、例えば接続経路5と退避経路6とを対応付ける情報等の、接続経路5から退避経路6に移動するために必要な情報が、接続関係情報M2に含まれている。
【0025】
制御装置Cは、フロアマップ情報M1及び接続関係情報M2に基づいて、フロア内経路4及び接続経路5における搬送車1の制御を行うように構成されている。本実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれが、フロアマップ情報M1及び接続関係情報M2に基づいて、それぞれが管理の対象とするフロアFのフロア内経路4及び当該フロアFに接続された接続経路5における、搬送車1の制御を行うように構成されている。互いに異なる制御ユニット10が管理の対象とする2つのフロアF間を搬送車1が接続経路5を通って移動する場合、当該移動に伴い、搬送車1を制御する制御ユニット10が、移動前のフロアFを管理の対象とする制御ユニット10から移動先のフロアFを管理の対象とする制御ユニット10に切り替えられる。
【0026】
本実施形態では、フロアマップ情報M1及び接続関係情報M2が制御装置C(具体的には制御ユニット10、以下本段落において同様)から搬送車1に配信され、搬送車1は、制御装置Cからの指令(例えば、搬送指令)に応じて、自身の現在位置とフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2とに基づき、フロア内経路4や接続経路5に沿って移動する。なお、搬送車1が移動する経路に、搬送車1が他の装置によって搬送されることで搬送車1が移動する経路(上述した、非走行経路)が含まれる場合、制御装置Cによる搬送車1の制御には、当該他の装置を介した搬送車1の制御も含まれる。
【0027】
このように、搬送車1の制御には、制御装置C(具体的には、制御ユニット10)が保有するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2が用いられるが、フロア内経路4や接続経路5等の搬送車1の移動経路のレイアウトが変更された場合には、フロアマップ情報M1や接続関係情報M2を更新する必要がある。以下、フロアマップ情報M1及び接続関係情報M2の更新について説明する。
【0028】
搬送システム100は、制御装置C(本実施形態では、複数の制御ユニット10)のデータ更新を管理する管理装置20(
図4参照)を備えている。管理装置20は、複数のフロアFのフロアマップ情報M1をフロアF毎に分離可能な状態で保有していると共に、接続関係情報M2を複数のフロアFのフロアマップ情報M1と分離可能な状態で保有している。
図4に示す例では、管理装置20は、第1建物P1の1階フロアF1のフロアマップ情報M1と、第1建物P1の3階フロアF3のフロアマップ情報M1と、第2建物P2の1階フロアF1のフロアマップ情報M1と、第2建物P2の3階フロアF3のフロアマップ情報M1と、接続関係情報M2とを、互いに分離可能な状態で保有している。
【0029】
管理装置20は、制御装置C(本実施形態では、複数の制御ユニット10)に対する、フロアマップ情報M1及び接続関係情報M2の更新処理を行う。制御装置C(具体的には制御ユニット10、以下本段落において同様)に対するフロアマップ情報M1や接続関係情報M2等の情報の更新処理は、レイアウトの変更が反映された新たな情報(具体的には、後述する更新データDに含まれる情報)を制御装置Cにインストールすることで行われる。新たな情報を制御装置Cにインストールすることで、当該制御装置Cに記憶される情報が、新たな情報に書き換えられる。
【0030】
管理装置20は、フロア内経路4の変更があった場合には、変更があったフロア内経路4が設けられたフロアFのフロアマップ情報M1のみの更新処理を行う。フロアマップ情報M1の更新処理は、少なくとも、変更があったフロア内経路4が設けられたフロアFを管理の対象とする制御ユニット10に対して行われる。本実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれが、全てのフロアFのフロアマップ情報M1を保有している。そのため、フロアマップ情報M1の更新処理は、全ての制御ユニット10に対して行われる。
【0031】
接続経路5の変更(接続経路5の追加や削除等)があった場合には、接続関係情報M2だけでなく、当該接続経路5に接続されたフロアFのフロアマップ情報M1も更新される。例えば、接続経路5が追加された場合には、当該接続経路5に接続されたフロアFのフロアマップ情報M1に、フロア内経路4と当該接続経路5との接続箇所の情報が追加され、接続経路5が削除された場合には、当該接続経路5に接続されたフロアFのフロアマップ情報M1から、フロア内経路4と当該接続経路5との接続箇所の情報が削除される。本実施形態では、接続経路5の情報がフロアマップ情報M1に含まれる。そのため、接続経路5が追加された場合には、当該接続経路5に接続されたフロアFのフロアマップ情報M1に、フロア内経路4と当該接続経路5との接続箇所の情報に加えて当該接続経路5の情報も追加される。また、接続経路5が削除された場合には、当該接続経路5に接続されたフロアFのフロアマップ情報M1から、フロア内経路4と当該接続経路5との接続箇所の情報に加えて当該接続経路5の情報も削除される。
【0032】
上記の点に鑑みて、管理装置20は、接続経路5の変更があった場合には、接続関係情報M2と、変更があった接続経路5に接続されたフロアFのフロアマップ情報M1との更新処理を行う。例えば、
図2に示す接続経路5の変更があった場合には、変更があった接続経路5に接続されたフロアFは、第1建物P1の1階フロアF1と第1建物P1の3階フロアF3である。そのため、管理装置20は、接続関係情報M2と、第1建物P1の1階フロアF1のフロアマップ情報M1と、第1建物P1の3階フロアF3のフロアマップ情報M1との更新処理を行う。接続関係情報M2の更新処理は、全ての制御ユニット10に対して行われる。一方、フロアマップ情報M1の更新処理は、少なくとも、変更があった接続経路5に接続されたフロアFを管理の対象とする制御ユニット10に対して行われる。本実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれが、全てのフロアFのフロアマップ情報M1を保有している。そのため、フロアマップ情報M1の更新処理は、全ての制御ユニット10に対して行われる。
【0033】
図4に示すように、本実施形態では、管理装置20は、最新のフロアマップ情報M1と最新の接続関係情報M2とが格納されたデータベース21と、制御装置C(本実施形態では、制御ユニット10)に配信する更新データDを作成する更新データ作成部22と、を備えている。本実施形態では、管理装置20は、バージョン管理システムにより、データベース21に格納されているフロアマップ情報M1と接続関係情報M2とを管理している。更新データ作成部22や以下に述べる更新処理部24の機能は、演算処理装置等のハードウェアと、当該ハードウェア上で実行されるプログラム(ソフトウェア)との協働により実現される。
【0034】
本実施形態では、管理装置20は、更新データDに含まれる情報を制御装置C(具体的には、制御ユニット10)にインストールする更新処理部24(
図3、
図5参照)を備えている。ここでは、複数の制御ユニット10に対して更新処理部24が各別に設けられており、複数の更新処理部24のそれぞれは、対応する制御ユニット10と通信可能に構成されている。そして、複数の更新処理部24のそれぞれは、対応する制御ユニット10が管理の対象とするフロアFの最新のフロアマップ情報M1と最新の接続関係情報M2とを保有している。
図3及び
図5では、制御ユニット10と更新処理部24との対応関係を把握しやすいように、制御ユニット10を、当該制御ユニット10に対して設けられた更新処理部24と共に、管理の対象とするフロアFを表す二点鎖線の四角形で囲んでいる。なお、制御ユニット10が更新処理部24の機能を有する構成としてもよい。
【0035】
詳細は省略するが、本実施形態では、更新処理部24は、対応する制御ユニット10が管理の対象とするフロアFにおいてステーション情報が変更された場合(例えば、ステーション3が追加された場合)に、ステーション情報の変更をフロアマップ情報M1に反映させることが可能に構成されている。ステーション情報の変更が反映されたフロアマップ情報M1は、更新処理部24によって対応する制御ユニット10にインストールされた後、当該制御ユニット10から他の制御ユニット10に配信される。
【0036】
更新データ作成部22は、フロア内経路4の変更があった場合には、変更があったフロア内経路4が設けられたフロアFの最新のフロアマップ情報M1をデータベース21から読み出し、当該フロアマップ情報M1に対してフロア内経路4の変更を反映させて、新たなフロアマップ情報M1を得る。そして、更新データ作成部22は、新たなフロアマップ情報M1を含む更新データDを作成する。この更新データDを制御装置C(具体的には、制御ユニット10)にインストール(本実施形態では、対応する更新処理部24を介してインストール)することで、制御装置C(具体的には、制御ユニット10)に対するフロアマップ情報M1の更新処理が行われる。
【0037】
更新データ作成部22は、接続経路5の変更があった場合には、変更があった接続経路5に接続されたフロアFの最新のフロアマップ情報M1と最新の接続関係情報M2とをデータベース21から読み出し、当該フロアマップ情報M1と当該接続関係情報M2とに対して接続経路5の変更を反映させて、新たなフロアマップ情報M1と新たな接続関係情報M2とを得る。そして、更新データ作成部22は、新たなフロアマップ情報M1と新たな接続関係情報M2とを合わせた更新データD(言い換えれば、新たなフロアマップ情報M1と新たな接続関係情報M2とを含む更新データD)を作成する。この更新データDを制御装置C(具体的には、制御ユニット10)にインストール(本実施形態では、対応する更新処理部24を介してインストール)することで、制御装置C(具体的には、制御ユニット10)に対するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2の更新処理が行われる。
【0038】
図4を参照して、更新データDの作成について具体的に説明する。なお、
図4~
図6において、“PM_NF′”(Mは1又は2、Nは1又は3)は、フロアマップ情報M1[PM_NF]にレイアウトの変更を反映させて得られた新たなフロアマップ情報M1(以下では、フロアマップ情報M1[PM_NF′]と記載する場合がある)を表している。また、“FL′”は、接続関係情報M2[FL]にレイアウトの変更を反映させて得られた新たな接続関係情報M2(以下では、接続関係情報M2[FL′]と記載する場合がある)を表している。
【0039】
図4は、第1建物P1の1階フロアF1と第1建物P1の3階フロアF3とを接続する接続経路5の変更があった場合を想定している。この場合、更新データ作成部22は、変更があった接続経路5に接続されたフロアFのフロアマップ情報M1として、最新のフロアマップ情報M1[P1_1F]と最新のフロアマップ情報M1[P1_3F]とをデータベース21からワークスペース23に読み出す。そして、更新データ作成部22は、ワークスペース23に読み出したフロアマップ情報M1[P1_1F]とフロアマップ情報M1[P1_3F]とに接続経路5の変更を反映させて、フロアマップ情報M1[P1_1F′]とフロアマップ情報M1[P1_3F′]とを得る。更新データ作成部22は、フロアマップ情報M1[P1_1F′]とフロアマップ情報M1[P1_3F′]とを、データベース21に格納する。これにより、フロアマップ情報M1の変更がデータベース21に反映される。
【0040】
また、更新データ作成部22は、最新の接続関係情報M2[FL]をデータベース21から読み出す。そして、更新データ作成部22は、接続関係情報M2[FL]に接続経路5の変更を反映させて、接続関係情報M2[FL′]を得る。更新データ作成部22は、接続関係情報M2[FL′]を、データベース21に格納する。これにより、接続関係情報M2の変更がデータベース21に反映される。
【0041】
そして、更新データ作成部22は、ワークスペース23にあるフロアマップ情報M1[P1_1F′]とデータベース21に格納されている接続関係情報M2[FL′]とから、これらを合わせた更新データDを作成すると共に、ワークスペース23にあるフロアマップ情報M1[P1_3F′]とデータベース21に格納されている接続関係情報M2[FL′]とから、これらを合わせた更新データDを作成する。本実施形態では、更新データ作成部22は、更に、接続関係情報M2[FL′]のみを含む更新データDも作成する。
【0042】
ここで、フロア内経路4の変更があった場合には、変更があったフロア内経路4が設けられたフロアFを「第1対象フロア」とし、接続経路5の変更があった場合には、変更があった接続経路5に接続されたフロアFを「第2対象フロア」とする。本実施形態では、管理装置20は、フロア内経路4の変更があった場合には、第1対象フロアを管理の対象とする制御ユニット10に対して、他の制御ユニット10よりも優先して、第1対象フロアのフロアマップ情報M1の更新処理を行う。また、本実施形態では、管理装置20は、接続経路5の変更があった場合には、第2対象フロアを管理の対象とする制御ユニット10に対して、他の制御ユニット10よりも優先して、第2対象フロアのフロアマップ情報M1の更新処理を行う。なお、接続経路5の変更があった場合には、管理装置20は、第2対象フロアを管理の対象とする制御ユニット10に対して、他の制御ユニット10よりも優先して、接続関係情報M2の更新処理も行う。
【0043】
本実施形態では、管理装置20は、対象フロア(第1対象フロア又は第2対象フロア、以下本段落において同様)を管理の対象とする制御ユニット10に対して対象フロアのフロアマップ情報M1(接続経路5の変更があった場合にはフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2、以下同様)の更新処理を行った後、他の制御ユニット10に対して対象フロアのフロアマップ情報M1の更新処理を行うことで、上記の優先順位に従ってフロアマップ情報M1の更新処理を行う。具体的には、管理装置20は、フロア内経路4の変更があった場合には、第1対象フロアを管理の対象とする制御ユニット10である第1対象制御ユニットに対するフロアマップ情報M1の更新処理を行った後、第1対象制御ユニットから他の制御ユニット10である第1非対象制御ユニットに対して更新後のフロアマップ情報M1を配信して、第1非対象制御ユニットに対するフロアマップ情報M1の更新処理を行う。また、管理装置20は、接続経路5の変更があった場合には、第2対象フロアを管理の対象とする制御ユニット10である第2対象制御ユニットに対するフロアマップ情報M1の更新処理を行った後、第2対象制御ユニットから他の制御ユニット10である第2非対象制御ユニットに対して更新後のフロアマップ情報M1を配信して、第2非対象制御ユニットに対するフロアマップ情報M1の更新処理を行う。なお、第1対象制御ユニットや第2対象制御ユニットは、管理装置20による制御を受けて、他の制御ユニット10に対して更新後のフロアマップ情報M1を配信する。
【0044】
図5及び
図6を参照して、管理装置20による行われる更新処理について具体的に説明する。
図5及び
図6では、第1建物P1の1階フロアF1と第1建物P1の3階フロアF3とを接続する接続経路5の変更があり、
図4に示す更新データDを用いて更新処理が行われる場合を想定している。そのため、ここでは、第1建物P1の1階フロアF1及び第1建物P1の3階フロアF3が上述した「第2対象フロア」であり、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10と第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10とに対するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2の更新処理が、第2建物P2の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10及び第2建物P2の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10よりも優先して行われる。
【0045】
具体的には、
図5に示すように、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10に対して設けられた更新処理部24は、フロアマップ情報M1[P1_1F′]と接続関係情報M2[FL′]とを合わせた更新データDを取得して、当該更新処理部24が保有するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2を更新する。そして、当該更新処理部24は、更新後のフロアマップ情報M1[P1_1F′]及び更新後の接続関係情報M2[FL′]を、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10に対してインストールする。これにより、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10に対するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2に対する更新処理が行われる。
【0046】
また、
図5に示すように、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対して設けられた更新処理部24は、フロアマップ情報M1[P1_3F′]と接続関係情報M2[FL′]とを合わせた更新データDを取得して、当該更新処理部24が保有するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2を更新する。そして、当該更新処理部24は、更新後のフロアマップ情報M1[P1_3F′]及び更新後の接続関係情報M2[FL′]を、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対してインストールする。これにより、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2に対する更新処理が行われる。
【0047】
上述したように、本実施形態では、複数の更新処理部24のそれぞれは、対応する制御ユニット10が管理の対象とするフロアFの最新のフロアマップ情報M1と最新の接続関係情報M2とを保有している。そのため、
図5に示すように、第2非対象制御ユニットに対して設けられた更新処理部24(ここでは、第2建物P2の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10に対して設けられた更新処理部24、及び第2建物P2の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対して設けられた更新処理部24)は、接続関係情報M2[FL′]を含む更新データD(ここでは、接続関係情報M2[FL′]のみを含む更新データD)を取得して、当該更新処理部24が保有する接続関係情報M2を更新する。
【0048】
第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10及び第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2に対する更新処理が行われた後、第2建物P2の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10及び第2建物P2の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対するフロアマップ情報M1及び接続関係情報M2に対する更新処理が行われる。
【0049】
具体的には、
図6に示すように、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10は、フロアマップ情報M1[P1_1F′]を含む更新データDを、第1建物P1の1階フロアF1を「第2対象フロア」とした場合の第2非対象制御ユニットである、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10、第2建物P2の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10、及び第2建物P2の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対して配信する。これにより、第2非対象制御ユニットに対する第1建物P1の1階フロアF1のフロアマップ情報M1の更新処理が行われる。また、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10は、フロアマップ情報M1[P1_3F′]を含む更新データDを、第1建物P1の3階フロアF3を「第2対象フロア」とした場合の第2非対象制御ユニットである、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10、第2建物P2の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10、及び第2建物P2の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10に対して配信する。これにより、第2非対象制御ユニットに対する第1建物P1の3階フロアF3のフロアマップ情報M1の更新処理が行われる。
【0050】
本実施形態では、更新後の接続関係情報M2[FL′]も、第2対象フロアを管理の対象とする制御ユニット10から他の制御ユニット10に配信されて、当該他の制御ユニット10に対する接続関係情報M2の更新処理が行われるが、同じバージョンの接続関係情報M2[FL′]を、複数の制御ユニット10から配信する必要はない。そのため、
図6に示す例では、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10から配信される更新データDに、更新後の接続関係情報M2[FL′]が含まれているのに対して、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10から配信される更新データDには、更新後の接続関係情報M2[FL′]は含まれていない。また、図示は省略するが、第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10に対しては、対応する更新処理部24から更新後の接続関係情報M2[FL′]がインストールされているため、第1建物P1の3階フロアF3を管理の対象とする制御ユニット10から第1建物P1の1階フロアF1を管理の対象とする制御ユニット10に配信される更新データDに、更新後の接続関係情報M2[FL′]を含めなくてもよい。
【0051】
なお、搬送システム100の構成によっては、更新処理部24によるインストール処理によって制御ユニット10に対する更新処理を行う場合に、当該制御ユニット10による搬送車1の制御が中断される場合がある。この点に関して、本実施形態では、更新処理部24による更新処理の対象となる制御ユニット10を、対象フロアを管理の対象とする制御ユニット10(
図5に示す例では、2つの制御ユニット10)に限定することができる。そのため、仮に上記のような中断が行われる場合であっても、システム全体での物品2の搬送効率に与える影響を小さく抑えることが可能となっている。
【0052】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、管理装置20が、対象制御ユニット(第1対象制御ユニット又は第2対象制御ユニット、以下本段落において同様)に対するフロアマップ情報M1の更新処理を行った後、対象制御ユニットから非対象制御ユニット(第1非対象制御ユニット又は第2非対象制御ユニット、以下本段落において同様)に対して更新後のフロアマップ情報M1(具体的には、更新後のフロアマップ情報M1を含む更新データD)を配信して、非対象制御ユニットに対するフロアマップ情報M1の更新処理を行う構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、対象制御ユニットからの配信とは異なる方法(例えば、対応する更新処理部24によるインストール処理)で、非対象制御ユニットに対して更新後のフロアマップ情報M1がインストールされる構成とすることもできる。
【0053】
(2)上記の実施形態では、管理装置20が、対象フロア(第1対象フロア又は第2対象フロア、以下本段落において同様)を管理の対象とする制御ユニット10に対して、他の制御ユニット10よりも優先して、対象フロアのフロアマップ情報M1の更新処理を行う構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、管理装置20が全ての制御ユニット10に対して同時期にフロアマップ情報M1の更新処理を行う構成とすることもできる。
【0054】
(3)上記の実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれが、全てのフロアFのフロアマップ情報M1を保有する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、複数の制御ユニット10のそれぞれが、それぞれが管理の対象とするフロアFのフロアマップ情報M1のみを保有する構成とすることもできる。この場合、フロアマップ情報M1の更新処理は、変更があったフロア内経路4が設けられたフロアFを管理の対象とする制御ユニット10に対してのみ行われる。
【0055】
(4)上記の実施形態では、複数のフロアFのそれぞれが、1つの制御ユニット10による管理の対象とされる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、複数のフロアFのうちの少なくとも一部のフロアFが、複数の制御ユニット10による管理の対象とされる構成とすることもできる。この場合、例えば、同じフロアFを管理の対象とする複数の制御ユニット10が、当該フロアFにおける互いに異なる区域を管理する構成とすることができる。また、同じフロアFを管理の対象とする複数の制御ユニット10の間に優先順位を設定し、優先順位の高い制御ユニット10が基本的に当該フロアFを管理すると共に、優先順位の高い制御ユニット10に故障等の異常が発生した場合に、優先順位の低い制御ユニット10が当該フロアFの管理を行う構成とすることもできる。
【0056】
(5)上記の実施形態では、複数の制御ユニット10のそれぞれが、1つのフロアFを管理の対象とする構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、複数の制御ユニット10のうちの少なくとも一部の制御ユニット10が、複数のフロアFを管理の対象とする構成とすることもできる。
【0057】
(6)上記の実施形態では、制御装置Cが複数の制御ユニット10を備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御装置Cが制御ユニット10を1つのみ備える構成とすることもできる。この場合、制御装置C(具体的には、制御装置Cが備える1つの制御ユニット10)が、全てのフロアFを管理の対象として、全てのフロアFにおける搬送車1の管理を行う。
【0058】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0059】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送システムの概要について説明する。
【0060】
搬送システムは、搬送車により物品を搬送する搬送システムであって、複数のフロアと、複数の前記フロアのそれぞれに設けられて前記搬送車が移動可能なフロア内経路と、前記搬送車の制御を行う制御装置と、前記制御装置のデータ更新を管理する管理装置と、を備え、異なる前記フロア間を接続する接続経路が設けられ、前記搬送車は、前記接続経路を通って複数の前記フロアに亘って移動し、前記制御装置は、複数の前記フロアのそれぞれについての前記フロア内経路の情報であるフロアマップ情報と、前記接続経路による異なる前記フロア間の接続関係を示す情報である接続関係情報とを保有していると共に、前記フロアマップ情報及び前記接続関係情報に基づいて前記フロア内経路及び前記接続経路における前記搬送車の制御を行うように構成され、前記管理装置は、複数の前記フロアの前記フロアマップ情報を前記フロア毎に分離可能な状態で保有していると共に、前記接続関係情報を複数の前記フロアの前記フロアマップ情報と分離可能な状態で保有しており、前記制御装置に対する前記フロアマップ情報及び前記接続関係情報の更新処理を行う。
【0061】
本構成によれば、制御装置が、複数のフロアのフロアマップ情報と接続関係情報とを保有しているため、フロア内経路及び接続経路の双方において搬送車の制御を適切に行うことができる。そして、本構成によれば、制御装置に対するフロアマップ情報及び接続関係情報の更新処理を行う管理装置が、複数のフロアのフロアマップ情報をフロア毎に分離可能な状態で保有していると共に、接続関係情報を複数のフロアのフロアマップ情報と分離可能な状態で保有している。よって、フロア内経路や接続経路等の経路のレイアウトが変更された場合に、制御装置において、レイアウトの変更に関係する経路の情報のみを更新することができる。従って、レイアウトの一部のみに変更があった場合でも制御装置において全経路の情報(すなわち、全てのフロアのフロアマップ情報及び接続関係情報)を更新する必要がある場合に比べて、制御装置において更新される情報量を少なく抑えやすい。
【0062】
以上のように、本構成によれば、複数のフロアと搬送車の制御を行う制御装置とを備える搬送システムにおいて経路のレイアウトが変更された場合に、制御装置において更新される情報量を少なく抑えることができる。
【0063】
ここで、前記管理装置は、前記フロア内経路の変更があった場合には、変更があった前記フロア内経路が設けられた前記フロアの前記フロアマップ情報のみの更新処理を行い、前記接続経路の変更があった場合には、前記接続関係情報と、変更があった前記接続経路に接続された前記フロアの前記フロアマップ情報との更新処理を行うと好適である。
【0064】
本構成によれば、フロア内経路や接続経路等の経路のレイアウトが変更された場合に、更新処理の対象とする情報を、レイアウトの変更内容に応じて適切に絞り込むことができる。従って、制御装置において更新される情報量を少なく抑えつつ、更新処理を適切に行うことができる。
【0065】
上記の構成において、前記管理装置は、最新の前記フロアマップ情報と最新の前記接続関係情報とが格納されたデータベースと、前記制御装置に配信する更新データを作成する更新データ作成部と、を備え、前記更新データ作成部は、前記接続経路の変更があった場合には、変更があった前記接続経路に接続された前記フロアの前記フロアマップ情報と前記接続関係情報とを前記データベースから読み出し、新たな前記フロアマップ情報と新たな前記接続関係情報とを合わせた前記更新データを作成すると好適である。
【0066】
本構成によれば、接続経路の変更があった場合に、最新のフロアマップ情報と最新の接続関係情報とをデータベースから読み出して、接続関係情報と変更があった接続経路に接続されたフロアのフロアマップ情報との更新処理を行うための更新データを適切に作成することができる。また、本構成によれば、最新の接続関係情報が、最新のフロアマップ情報と分離可能な状態でデータベースに格納されるようにすることができるため、接続経路の変更があった場合に、新たなフロアマップ情報と新たな接続関係情報とを合わせた更新データとは別に、新たな接続関係情報のみを含む更新データを作成することも容易となっている。
【0067】
また、前記制御装置は、複数の制御ユニットを備え、複数の前記フロアのそれぞれは、複数の前記制御ユニットのうちの1つ以上の前記制御ユニットによる管理の対象とされ、複数の前記制御ユニットのそれぞれは、全ての前記フロアの前記フロアマップ情報を保有するように構成されていると共に、それぞれが管理の対象とする1つ以上の前記フロアにおける前記搬送車の管理を行い、前記管理装置は、前記フロア内経路の変更があった場合には、変更があった前記フロア内経路が設けられた前記フロアを第1対象フロアとして、前記第1対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットに対して、他の前記制御ユニットよりも優先して、前記第1対象フロアの前記フロアマップ情報の更新処理を行い、前記接続経路の変更があった場合には、変更があった前記接続経路に接続された前記フロアを第2対象フロアとして、前記第2対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットに対して、他の前記制御ユニットよりも優先して、前記第2対象フロアの前記フロアマップ情報の更新処理を行うと好適である。
【0068】
本構成によれば、制御装置が複数の制御ユニットを備える場合に、対象フロア(第1対象フロア又は第2対象フロア、以下本段落において同様)における搬送車の管理(例えば、搬送車を移動させる制御)に、更新後のフロアマップ情報を早期に適用することができる。なお、対象フロアとは異なるフロアである非対象フロアでは、フロア内経路に変更がなく、非対象フロアを管理の対象とする制御ユニットに対する更新処理の緊急性は高くない。そのため、対象フロアを管理の対象とする制御ユニットに対する更新処理を優先させても、特に問題は生じない。
【0069】
上記の構成において、前記管理装置は、前記フロア内経路の変更があった場合には、前記第1対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットである第1対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行った後、前記第1対象制御ユニットから他の前記制御ユニットである第1非対象制御ユニットに対して更新後の前記フロアマップ情報を配信して、前記第1非対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行い、前記接続経路の変更があった場合には、前記第2対象フロアを管理の対象とする前記制御ユニットである第2対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行った後、前記第2対象制御ユニットから他の前記制御ユニットである第2非対象制御ユニットに対して更新後の前記フロアマップ情報を配信して、前記第2非対象制御ユニットに対する前記フロアマップ情報の更新処理を行うと好適である。
【0070】
本構成によれば、制御ユニット間の通信を利用して、全ての制御ユニットに対するフロアマップ情報の更新処理を行うことができる。例えば、制御ユニットに対するフロアマップ情報の更新処理が作業者の操作により行われる場合、このように制御ユニット間の通信を利用して更新処理を行うことで、更新作業に係る作業者の負担を小さく抑えることができる。
【0071】
本開示に係る搬送システムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0072】
1:搬送車
2:物品
4:フロア内経路
5:接続経路
10:制御ユニット
20:管理装置
21:データベース
22:更新データ作成部
100:搬送システム
C:制御装置
D:更新データ
F:フロア
M1:フロアマップ情報
M2:接続関係情報