(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132627
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240920BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240920BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240920BHJP
F21V 5/10 20180101ALI20240920BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240920BHJP
F21V 29/502 20150101ALI20240920BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20240920BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240920BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240920BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240920BHJP
【FI】
G03B21/14 A
H04N5/74 Z
F21S2/00 311
F21S2/00 375
F21V5/10
F21V5/02
F21V29/502 100
F21V29/70
F21V9/40 400
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043472
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】岩間 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】永井 拓海
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA45
2K203GA35
2K203GA39
2K203HA28
2K203HA86
2K203HB28
2K203MA12
5C058AB03
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA26
5C058EA51
(57)【要約】
【課題】所望の出力光が得られる光源装置およびプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明の光源装置は、発光素子と導光部材と支持部材と押圧部材とを備える。導光部材は、導光部材の第1軸において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、第1軸に交差する第2軸において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、第1軸および第2軸に交差する第3軸において互いに反対側に位置する第5面および第6面と、を有する。第1面は導光部材を導光した光を射出し、発光素子は第3面に対向して設けられ、溝部は第4面に対向する支持面を有する。押圧部材は、第1軸よりも第3軸に沿う方向に延出し、第3面と接触する第1延出部と、第3軸よりも第1軸に沿う方向に延出し、一端が第1延出部に接続されるとともに他端が支持部材に固定される一対の第2延出部と、を有し、支持面の主面と交差する方向に弾性変形することで第3面を付勢する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する発光素子と、
前記発光素子から射出された前記光が入射する導光部材と、
前記導光部材を溝部に支持する支持部材と、
前記導光部材を前記支持部材に対して押圧する押圧部材と、を備え、
前記導光部材は、当該導光部材の第1軸において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1軸に交差する第2軸において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、前記第1軸および前記第2軸に交差する第3軸において互いに反対側に位置する第5面および第6面と、を有し、
前記導光部材の前記第1面は、当該導光部材を導光した光を射出し、
前記発光素子は、前記第3面に対向して設けられ、
前記溝部は、前記第4面に対向する支持面を有し、
前記押圧部材は、前記第1軸よりも前記第3軸に沿う方向に延出し、前記第3面と接触する第1延出部と、前記第3軸よりも前記第1軸に沿う方向に延出し、一端が前記第1延出部に接続されるとともに他端が前記支持部材に固定される一対の第2延出部と、を有し、前記支持面の主面と交差する方向に弾性変形することで前記第3面を付勢する、
光源装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記第1延出部と前記一対の第2延出部の前記一端とをそれぞれ接続し、弧状に湾曲する一対の第1接続部を含む、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記一対の第2延出部の前記他端を前記支持部材に固定する一対の固定部を含み、
前記一対の固定部は、前記第2軸に沿う方向において、前記一対の第2延出部の間に位置する、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記一対の固定部と前記一対の第2延出部の前記他端とをそれぞれ接続し、弧状に湾曲する一対の第2接続部を含む、
請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記溝部に支持された前記導光部材の前記第3面の前記第2軸に沿う方向の高さは、前記支持部材において前記第2延出部の前記他端を固定する固定面の前記第2軸に沿う方向の高さよりも高い、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記溝部は、前記第5面に対向し前記第5面と離間している第1壁面と、前記第6面に対向し前記第6面と離間している第2壁面と、をさらに有し、
前記第1壁面は、前記第3面側に位置している第1部分と、前記支持面側に位置している第2部分とを有し、前記第1部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第2部分は、前記第1部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第5面に近づくように傾斜し、
前記第2壁面は、前記第3面側に位置している第3部分と、前記支持面側に位置している第4部分とを有し、前記第3部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第4部分は、前記第3部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第6面に近づくように傾斜し、
前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分は、前記発光素子から射出された前記光の少なくとも一部を反射する、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、均一な厚さの板材で構成され、
前記第1延出部および前記第2延出部の厚さは、前記第1延出部の延出方向に直交する方向の幅、および、前記第2延出部の延出方向に直交する方向の幅よりも小さい、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第2延出部は、前記第1軸および前記第3軸を含む面に沿う仮想面による断面視において、前記支持面の前記主面側に向かって前記一端側が折れ曲がった形状を有する、
請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記押圧部材を収容する収容溝が設けられている、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項10】
前記押圧部材を複数備え、
複数の前記押圧部材が前記導光部材を押圧する合計の荷重は、1N以上10N以下である、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項11】
前記発光素子は、第1波長帯を有する第1光を射出し、
前記導光部材は、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換し、前記第2光を射出する波長変換部材である、
請求項1に記載の光源装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のうちのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える、
プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、励起光を射出する励起光源と、励起光を蛍光に変換する蛍光体ロッドと、蛍光体ロッドで発生する熱を放出させる熱伝導部材と、を備え、蛍光体ロッドが熱伝導部材の溝部に配置されている、光源装置が開示されている。この光源装置では、支持体に貼り付けたばねで蛍光体ロッドを押圧することで熱伝達部材の溝部に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の光源装置において、熱伝導部材は、蛍光体ロッドの温度上昇を抑制する放熱部材として機能するため、蛍光体ロッドは適切な力で熱伝導部材に押圧されることが望ましい。上記特許文献1では、蛍光体ロッドを押圧するばねが支持体から突出する部分のみが弾性変形可能とされるため、押圧するばねの寸法誤差等により蛍光体ロッドの押圧力にばらつきが生じやすいという課題があった。
例えば、蛍光体ロッドの押圧力が所定値よりも小さい場合、蛍光体ロッドの熱が熱伝導部材に十分に伝達されないため、蛍光体ロッドの温度が上昇し、所望の強度を有する蛍光が得られないおそれがある。一方、蛍光体ロッドの押圧力が所定の値よりも大きい場合、蛍光体ロッドに過大な荷重が加わり、場合によっては蛍光体ロッドが破損するおそれがある。
【0006】
以上、波長変換を伴う光源装置を例に挙げて説明したが、波長変換を伴わない光源装置においても、所望の強度を有する出力光が得られ、信頼性に優れる光源装置の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の光源装置は、光を射出する発光素子と、前記発光素子から射出された前記光が入射する導光部材と、前記導光部材を溝部に支持する支持部材と、前記導光部材を前記支持部材に対して押圧する押圧部材と、を備え、前記導光部材は、当該導光部材の第1軸において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1軸に交差する第2軸において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、前記第1軸および前記第2軸に交差する第3軸において互いに反対側に位置する第5面および第6面と、を有し、前記導光部材の前記第1面は、当該導光部材を導光した光を射出し、前記発光素子は、前記第3面に対向して設けられ、前記溝部は、前記第4面に対向する支持面を有し、前記押圧部材は、前記第1軸よりも前記第3軸に沿う方向に延出し、前記第3面と接触する第1延出部と、前記第3軸よりも前記第1軸に沿う方向に延出し、一端が前記第1延出部に接続されるとともに他端が前記支持部材に固定される一対の第2延出部と、を有し、前記支持面の主面と交差する方向に弾性変形することで前記第3面を付勢する。
【0008】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿う光源装置の断面図である。
【
図5】押圧部材のレイアウトに適した支持面の形状を示す図である。
【
図7】押圧部材におけるばね荷重と変位との関係を示したグラフである。
【
図8】押圧部材の
図3のVIII-VIII線矢視による断面図である。
【
図9】第1変形例の押圧部材の構成を示す平面図である。
【
図10】第2変形例の押圧部材の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクターの一例である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0011】
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、被投射面であるスクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備える。
【0012】
プロジェクター1は、第1照明装置20と、第2照明装置21と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、光合成素子5と、投射光学装置6と、を備える。
【0013】
第1照明装置20は、黄色の蛍光Yを色分離光学系3に向けて射出する。第2照明装置21は、青色光LBを光変調装置4Bに向けて射出する。第1照明装置20および第2照明装置21の詳細な構成については後述する。
【0014】
以下、図面においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。X軸は、第1照明装置20の光軸AX1および第2照明装置21の光軸AX2と平行な軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。第1照明装置20の光軸AX1は、第1照明装置20から射出される蛍光Yの中心軸である。第2照明装置21の光軸AX2は、第2照明装置21から射出される青色光LBの中心軸である。X軸に沿う両方向のうちの一方向を+X方向、その反対方向を-X方向と称し、Y軸に沿う両方向のうちの一方向を+Y方向、その反対方向を-Y方向と称し、Z軸に沿う両方向のうちの一方向を+Z方向、その反対方向を-Z方向と称する。また、X軸に沿う二方向を区別しない場合にはX軸方向と称し、Y軸に沿う二方向を区別しない場合にはY軸方向と称し、Z軸に沿う二方向を区別しない場合にはZ軸方向と称する。
【0015】
色分離光学系3は、第1照明装置20から射出される黄色の蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。色分離光学系3は、ダイクロイックミラー7と、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、を備える。
【0016】
ダイクロイックミラー7は、蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。ダイクロイックミラー7は、赤色光LRを透過するとともに、緑色光LGを反射する。第2反射ミラー8bは、緑色光LGの光路中に配置されている。第2反射ミラー8bは、ダイクロイックミラー7で反射した緑色光LGを光変調装置4Gに向けて反射する。第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1反射ミラー8aは、ダイクロイックミラー7を透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。
【0017】
一方、第2照明装置21から射出される青色光LBは、反射ミラー9によって光変調装置4Bに向けて反射される。
【0018】
以下、第2照明装置21の構成について説明する。
第2照明装置21は、光源部81と、集光レンズ82と、拡散板83と、ロッドレンズ84と、リレーレンズ85と、を備える。光源部81は、少なくとも一つの半導体レーザーで構成されている。光源部81は、レーザー光からなる青色光LBを射出する。なお、光源部81は、半導体レーザーに限らず、青色光を発光するLEDで構成されていてもよい。
【0019】
集光レンズ82は、凸レンズから構成されている。集光レンズ82は、光源部81から射出される青色光LBを略集光した状態で拡散板83に入射させる。拡散板83は、集光レンズ82から射出される青色光LBを所定の拡散度で拡散させ、第1照明装置20から射出される蛍光Yと同様の略均一な配光分布を有する青色光LBを生成する。拡散板83としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスが用いられる。
【0020】
拡散板83で拡散された青色光LBは、ロッドレンズ84に入射する。ロッドレンズ84は、第2照明装置21の光軸AX2方向に沿って延びる角柱状の形状を有する。ロッドレンズ84は、一端に設けられた光入射端面84aと、他端に設けられた光射出端面84bと、を有する。拡散板83は、ロッドレンズ84の光入射端面84aに光学接着剤(図示略)を介して固定されている。拡散板83の屈折率とロッドレンズ84の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0021】
青色光LBは、ロッドレンズ84の内部を全反射しつつ伝播することで照度分布の均一性が高められた状態で光射出端面84bから射出される。ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、リレーレンズ85に入射する。リレーレンズ85は、ロッドレンズ84によって照度分布の均一性が高められた青色光LBを反射ミラー9に入射させる。
【0022】
ロッドレンズ84の光射出端面84bの形状は、光変調装置4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、光変調装置4Bの画像形成領域に効率良く入射する。
【0023】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0024】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。また、液晶パネルの入射側および射出側には、偏光板(図示略)がそれぞれ配置されている。偏光板は、特定の方向の直線偏光のみを通過させる。
【0025】
光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ10Rが配置されている。光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ10Gが配置されている。光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10Rは、光変調装置4Rに入射する赤色光LRの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Gは、光変調装置4Gに入射する緑色光LGの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Bは、光変調装置4Bに入射する青色光LBの主光線を平行化する。
【0026】
光合成素子5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。光合成素子5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0027】
投射光学装置6は、複数の投射レンズから構成されている。投射光学装置6は、光合成素子5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上にカラー画像が表示される。
【0028】
続いて、第1照明装置20の構成について説明する。
図2は、第1照明装置20の概略構成図である。
図2に示すように、第1照明装置20は、光源装置100と、インテグレーター光学系70と、偏光変換素子102と、重畳光学系103と、を備える。
【0029】
光源装置100は、波長変換部材50と、光源部51と、角度変換部材52と、ミラー53と、支持部材54と、保持部材65と、一対の押圧部材90と、を備える。本実施形態の波長変換部材50は、特許請求の範囲の「導光部材」に対応する。
【0030】
波長変換部材50は、X軸に沿って延びる四角柱状の形状を有し、6つの面を有する。波長変換部材50のX軸に沿って延びる辺は、Y軸に沿って延びる辺およびZ軸に沿って延びる辺よりも長い。したがって、X軸は、波長変換部材50の長手に対応する。Y軸に延びる辺の長さとZ軸に延びる辺の長さとは等しい。すなわち、X軸に垂直なYZ面に沿う面で切断した波長変換部材50の断面形状は、正方形である。なお、YZ面に沿う面で切断した波長変換部材50の断面形状は、長方形であってもよい。
本実施形態のX軸は、特許請求の範囲の「第1軸」に対応する。本実施形態のY軸は、特許請求の範囲の「第2軸」に対応する。本実施形態のZ軸は、特許請求の範囲の「第3軸」に対応する。
【0031】
波長変換部材50は、第1面50aおよび第2面50bと、第3面50cおよび第4面50dと、第5面50eおよび第6面50fと、を有する。第1面50aおよび第2面50bは、波長変換部材50の長手に沿うX軸に交差し、X軸において互いに反対側に位置する。本実施形態において、第1面50aはX軸に沿うX軸方向の一方である+X側に位置し、第2面50bはX軸方向の反対方向である-X側に位置する。
【0032】
第3面50cおよび第4面50dは、第1面50aおよび第2面50bと交差し、波長変換部材50の長手に沿うX軸に交差、本実施形態の場合は直交するY軸において互いに反対側に位置する。本実施形態において、第3面50cはY軸に沿うY軸方向の一方である-Y側に位置し、第4面50dはY軸方向の他方である+Y側に位置する。
【0033】
第5面50eおよび第6面50fは、第3面50cおよび第4面50dと交差し、X軸およびY軸に交差、本実施形態の場合は直交するZ軸において互いに反対側に位置する。本実施形態において、第5面50eはZ軸方向の一方である+Z方向に位置し、第6面50fはZ軸方向の他方である-Z方向に位置する。
【0034】
以下の説明で、第3面50c、第4面50d、第5面50e、および第6面50fを区別しない場合に、これらを単に側面50c,50d,50e,50fと称す場合がある。
【0035】
波長変換部材50は、蛍光体を少なくとも含み、光源部51の発光素子56から射出された第1波長帯を有する励起光Eを、第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する蛍光Yに変換する。励起光Eは、第3面50cから波長変換部材50に入射する。蛍光Yは、波長変換部材50の内部を導光した後、第1面50aから射出される。本実施形態の励起光Eは、特許請求の範囲の「第1光」に対応する。本実施形態の蛍光Yは、特許請求の範囲の「第2光」に対応する。
【0036】
波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに波長変換する多結晶蛍光体からなるセラミック蛍光体を含んでいる。蛍光Yが有する第2波長帯は、例えば490~750nmの黄色の波長帯である。すなわち、蛍光Yは、赤色光成分および緑色光成分を含む黄色の蛍光である。
【0037】
波長変換部材50は、多結晶蛍光体に代えて、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。もしくは、波長変換部材50は、蛍光ガラスから構成されていてもよい。もしくは、波長変換部材50は、ガラスまたは樹脂からなるバインダー中に多数の蛍光体粒子が分散された材料から構成されていてもよい。このような材料からなる波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに変換する。
【0038】
具体的には、波長変換部材50の材料は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてのセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例に挙げると、波長変換部材50の材料として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法、ゾルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法、火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等が用いられる。
【0039】
光源部51は、基板55と、発光素子56と、を備える。発光素子56は、第1波長帯の励起光Eを射出する発光面56aを有する。発光素子56は、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。発光素子56の発光面56aは、波長変換部材50の第3面50cに対向し、第3面50cに向けて励起光Eを射出する。第1波長帯は、例えば400nm~480nmの青色から紫色にかけての波長帯であり、ピーク波長は例えば445nmである。このように、光源部51は、波長変換部材50の長手方向に沿う4つの側面50c,50d,50e,50fのうち、1つの側面50cに対向して設けられている。
【0040】
基板55は、発光素子56を支持する。本実施形態の場合、基板55の一面55aに、発光素子56が複数設けられている。本実施形態の場合、光源部51は、発光素子56と基板55とから構成されているが、その他、導光板、拡散板、レンズ等の他の光学部材を備えていてもよい。また、本実施形態では、複数の発光素子56が用いられているが、発光素子56の個数は特に限定されない。
【0041】
支持部材54は、溝部154を有し、溝部154の内部に波長変換部材50を支持するとともに、波長変換部材50で発生する熱を拡散して外部に放出する。そのため、支持部材54は、所定の強度を有し、熱伝導率が高い材料で構成されることが望ましい。支持部材54の材料として、例えばアルミニウム、ステンレス等の金属が用いられ、特に6061系等のアルミニウム合金が用いられることが望ましい。支持部材54の具体的な構成については後述する。
【0042】
本実施形態の波長変換部材50は、溝部154から+X方向に突出する第1突出部151と、溝部154から-X方向に突出する第2突出部152と、を含む。
保持部材65は、支持部材54の溝部154から突出する第1突出部151または第2突出部152を保持する。このため、波長変換部材50は、溝部154の壁面に接触することなく、その一部が支持部材54の溝部154の外部に突出した状態とされている。保持部材65は、波長変換部材50における、溝部154の外部に突出する部分を保持する。保持部材65は、一対の押圧部材90とともに支持部材54に対する波長変換部材50の位置を規制する。
【0043】
ミラー53は、波長変換部材50の第2面50bに設けられている。ミラー53は、波長変換部材50の内部を導光し、第2面50bに到達した蛍光Yを反射させる。ミラー53は、波長変換部材50の第2面50bに形成された金属膜または誘電体多層膜から構成されている。
【0044】
第1照明装置20において、光源部51から射出された励起光Eが波長変換部材50に入射すると、波長変換部材50の内部に含まれる蛍光体が励起され、任意の発光点から蛍光Yが発せられる。蛍光Yは任意の発光点から全ての方向に向かって進むが、4つの側面50c,50d,50e,50fに向かった蛍光Yは、側面50c,50d,50e,50fの複数の個所で全反射を繰り返しつつ、第1面50aまたは第2面50bに向かって進む。第1面50aは、全反射により伝播されることで波長変換部材50内を導光した蛍光Yを射出する。本実施形態の場合、第1面50aに向かって進む蛍光Yは、第1面50aに設けられた角度変換部材52に入射する。第2面50bに向かって進む蛍光Yは、ミラー53で反射され、第1面50aに向かって進む。
【0045】
波長変換部材50に入射した励起光Eのうち、蛍光体の励起に使われなかった励起光Eの一部は、光源部51の発光素子56を含む波長変換部材50の周囲の部材、または第2面50bに設けられたミラー53で反射される。そのため、励起光Eの一部は、波長変換部材50の内部に閉じ込められて再利用される。
【0046】
角度変換部材52は、波長変換部材50の第1面50aの光射出側に設けられている。角度変換部材52は、例えばテーパーロッドから構成されている。角度変換部材52は、波長変換部材50から射出された蛍光Yが入射する光入射面52aと、蛍光Yを射出する光射出面52bと、入射した蛍光Yを光射出面52bに向けて反射させる側面52cと、を有する。
【0047】
角度変換部材52は、四角錐台状の形状を有し、光軸Jに垂直な断面積が光の進行方向に沿って広がっている。したがって、光射出面52bの面積は、光入射面52aの面積よりも大きい。光射出面52bおよび光入射面52aの中心を通り、X軸に平行な軸を角度変換部材52の光軸Jとする。なお、角度変換部材52の光軸Jは、第1照明装置20の光軸AX1に一致する。
【0048】
角度変換部材52に入射した蛍光Yは、角度変換部材52の内部を進行する間に、側面52cで全反射する毎に光軸Jに平行な方向に近付くように向きを変える。このようにして、角度変換部材52は、波長変換部材50の第1面50aから射出される蛍光Yの射出角度分布を変換する。具体的には、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aにおける蛍光Yの最大入射角度よりも小さくする。
【0049】
一般的に、光射出領域の面積と光の立体角(最大射出角)との積で規定される光のエテンデューは保存されるため、角度変換部材52の透過前後においても蛍光Yのエテンデューは保存される。角度変換部材52は、上述したように、光射出面52bの面積を光入射面52aの面積よりも大きくした構成を有する。このため、エテンデュー保存の観点から、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aにおける蛍光Yの最大入射角度よりも小さくできる。
【0050】
角度変換部材52は、光入射面52aが波長変換部材50の第1面50aに対向するように光学接着剤(図示略)を介して波長変換部材50に固定されている。すなわち、角度変換部材52と波長変換部材50とは光学接着剤を介して接触しており、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙(空気層)は設けられていない。仮に角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていた場合、角度変換部材52の光入射面52aに到達した蛍光Yのうち、臨界角以上の角度で光入射面52aに入射した蛍光Yは、光入射面52aで全反射し、角度変換部材52に入射できない。これに対して、本実施形態のように、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていない場合には、全反射によって角度変換部材52に入射できない蛍光Yの損失成分を減らすことができる。この観点から、角度変換部材52の屈折率と波長変換部材50の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0051】
角度変換部材52として、テーパーロッドに代えて、複合放物面型集光器(Compound Parabolic Concentrator;CPC)が用いられてもよい。角度変換部材52としてCPCを用いた場合であっても、テーパーロッドを用いた場合と同様の効果が得られる。なお、光源装置100は、必ずしも角度変換部材52を備えていなくてもよい。
【0052】
光源装置100とインテグレーター光学系70との間に、コリメーターレンズ等からなる平行化光学系63が設けられている。平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yの角度分布をさらに小さくし、平行度の高い蛍光Yをインテグレーター光学系70に入射させる。なお、平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yの平行度が十分に高い場合には設けられていなくてもよい。
【0053】
インテグレーター光学系70は、第1レンズアレイ61と、第2レンズアレイ101と、を有する。インテグレーター光学系70は、重畳光学系103とともに光源装置100から射出された蛍光Yの強度分布を、被照明領域である光変調装置4R,4Gのそれぞれにおいて均一化する均一照明光学系として機能する。平行化光学系63から射出される蛍光Yは、第1レンズアレイ61に入射する。第1レンズアレイ61は、光源装置100の後段に設けられた第2レンズアレイ101とともに、インテグレーター光学系70を構成する。
【0054】
第1レンズアレイ61は、複数の第1小レンズ61aを有する。複数の第1小レンズ61aは、第1照明装置20の光軸AX1と直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。複数の第1小レンズ61aは、角度変換部材52から射出される蛍光Yを複数の部分光束に分割する。第1小レンズ61aの各々の形状は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1レンズアレイ61から射出された部分光束の各々は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0055】
第1レンズアレイ61から射出された蛍光Yは、第2レンズアレイ101に向かって進む。第2レンズアレイ101は第1レンズアレイ61に対向して配置されている。第2レンズアレイ101は、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aに対応する複数の第2小レンズ101aを有する。第2レンズアレイ101は、重畳光学系103とともに、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aの像の各々を光変調装置4R,4Gの画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2小レンズ101aは、第1照明装置20の光軸AX1に直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。
【0056】
本実施形態において、第1レンズアレイ61の各第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の各第2小レンズ101aとは、互いに同じサイズを有しているが、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、本実施形態において、第1レンズアレイ61の第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の第2小レンズ101aとは、互いの光軸が一致する位置に配置されているが、互いに偏心した状態に配置されていてもよい。
【0057】
偏光変換素子102は、第2レンズアレイ101から射出される蛍光Yの偏光方向を変換する。具体的に、偏光変換素子102は、第1レンズアレイ61で分割され、第2レンズアレイ101から射出された蛍光Yの各部分光束を直線偏光に変換する。
【0058】
偏光変換素子102は、光源装置100から射出される蛍光Yに含まれる偏光成分のうち、一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を光軸AX1に垂直な方向に反射する不図示の偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を光軸AX1に平行な方向に反射する不図示の反射層と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する不図示の位相差板と、を有する。
【0059】
以下、本実施形態の光源装置100の特徴点について説明する。
図3は、Y軸方向から見た光源装置100の平面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿う光源装置100の断面図である。
【0060】
図3に示すように、支持部材54は、溝部154と、ばね固定部540と、第1収容部541と、第2収容部542と、第3収容部543と、第3収容部543と、第4収容部544と、第5収容部545と、第6収容部546と、を有し、平面形状が矩形状の板状部材である。
【0061】
溝部154は、波長変換部材50の長手に沿うX軸方向に延び、波長変換部材50の一部を収容する。本実施形態の場合、波長変換部材50は溝部154の外部に突出している。
【0062】
図4に示すように、支持部材54の溝部154は、X軸方向に垂直な断面がU字状の形状を有している。溝部154は、支持面54sと、第1壁面54aと、第2壁面54bと、を有する。
【0063】
支持面54sは、溝部154の底面に対応し、波長変換部材50の第4面50dに対向する主面54s1を有する。本実施形態の場合、支持面54sは、XZ平面に対して平行に延びている。第1壁面54aは、溝部154の一方の側面に対応し、波長変換部材50の第5面50eに対向し、第5面50eから離間する。第2壁面54bは、溝部154の他方の側面に対応し、波長変換部材50の第6面50fに対向し、第6面50fから離間する。すなわち、第1壁面54aと波長変換部材50の第5面50eとの間に間隙が設けられている。第2壁面54bと波長変換部材50の第6面50fとの間に間隙が設けられている。
【0064】
第1壁面54aは、第3面50c側に位置している第1部分54a1と、支持面54s側に位置している第2部分54a2とを有する。第1部分54a1は支持面54sに対して垂直な方向、すなわち、XY平面に対して平行に延びている。第2部分54a2は、第1部分54a1側から支持面54s側に向かうにつれて第5面50eに近づくように傾斜する。換言すると、支持面54s側における第2部分54a2と第5面50eとの間の距離は、第1部分54a1側における第2部分54a2と第5面50eとの間の距離よりも小さい。
【0065】
第2壁面54bは、第3面50c側に位置している第3部分54b3と、支持面54s側に位置している第4部分54b4とを有する。第3部分54b3は支持面54sに対して垂直な方向、すなわち、XY平面に対して平行に延びている。第4部分54b4は、第3部分54b3側から支持面54s側に向かうにつれて第6面50fに近づくように傾斜している。換言すると、支持面54s側における第4部分54b4と第6面50fとの間の距離は、第3部分54b3側における第4部分54b4と第6面50fとの間の距離よりも小さい。
【0066】
第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、支持部材54の構成材料であるアルミニウム、ステンレス等の金属の表面から構成されている。より具体的には、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、上記の金属表面に鏡面加工が施された加工面から構成されている。そのため、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、光反射性を有し、入射した励起光Eを反射する。なお、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、アルミニウム、ステンレス等の金属の表面に形成された他の金属膜または誘電体多層膜から構成されていてもよい。
【0067】
溝部154の第1壁面54aおよび第2壁面54bは上述のように鏡面加工が必要になるため、溝部154が設けられた部位は支持部材54のうち他の部位に比べて加工精度が要求される。このため、支持部材54のうち溝部154が設けられる部分を別部材で構成し、溝部154以外の部分を形成した別部材とを組み合わせて1つの支持部材54を構成してもよい。つまり、支持部材54は複数の部材を組み合わせて構成されていてもよい。このようにすれば、溝部154の周辺部位を別部材で形成するため、溝部154の第1壁面54aおよび第2壁面54bの加工性および加工精度を高めることができる。
【0068】
発光素子56の発光面56aのZ軸方向に沿う寸法W1は、波長変換部材50のZ軸方向に沿う幅B2よりも大きい。なお、本実施形態の波長変換部材50のZ軸方向の幅は長手方向の全体に亘って等しい。
これにより、Z軸方向において、発光素子56の発光面56aの両端部は、波長変換部材50の第3面50cの外側にはみ出している。具体的には、発光素子56の発光面56aの両端部は、第5面50eと第1壁面54aとの間隙および第6面50fと第2壁面54bとの間隙と重なる位置まではみ出している。換言すると、支持面54sから発光面56aをY軸方向に沿って見たとき、発光面56aの一部は、第3面50cと重なり、発光面56aの他の一部は、第5面50eと第1壁面54aとの間隙および第6面50fと第2壁面54bとの間隙と重なっている。
【0069】
支持部材54の支持面54sのZ軸方向に沿う第1幅D2は、波長変換部材50のZ軸方向に沿う幅B2よりも大きい。これにより、Z軸方向において、支持面54sの両端部は、波長変換部材50の第4面50dの外側にはみ出している。換言すると、発光面56aから支持面54sをY軸方向に沿って見たとき、支持面54sの一部は、第4面50dと重なり、支持面54sの他の一部は、第4面50dの外側に露出している。このように、支持面54sは、波長変換部材50の外側に露出した露出部54rを有する。
【0070】
図3、4に示すように、一対の押圧部材90は、溝部154の内部において支持部材54に対する波長変換部材50のY軸方向の位置を規制する。つまり、押圧部材90は、波長変換部材50が溝部154内でY軸方向に移動すること規制する。
【0071】
一対の押圧部材90は、光源部51の発光素子56と重ならない位置に配置され、波長変換部材50を支持部材54の溝部154の支持面54sに押圧する(
図2参照)。一対の押圧部材90は、支持部材54のばね固定部540に固定される。ばね固定部540については後述する。
【0072】
図2に戻って、第1収容部541は、溝部154の+X方向に連通する凹部である。第1収容部541は、支持部材54の外縁54dまで貫通している。第1収容部541は、溝部154から突出する波長変換部材50の第1突出部151を収容する。さらに第1収容部541は、波長変換部材50の第1面50aに固定された角度変換部材52を収容する。本実施形態において、角度変換部材52は、第1突出部151の第1面50aに設けられている。第1収容部541に収容された角度変換部材52の光射出面52bは、平面視した状態において、支持部材54の外縁54dと面一となっている。
【0073】
第2収容部542は、溝部154の-X方向に連通する凹部である。第2収容部542は、支持部材54の外縁54dまで貫通している。第2収容部542は、溝部154から突出する波長変換部材50の第2突出部152を収容する。第2収容部542は、支持部材54の外縁54dに連通しない状態に設けられている。第2収容部542は、溝部154から突出する波長変換部材50の第2突出部152を収容する。本実施形態において、ミラー53は、第2突出部152の第2面50bに設けられている。第2収容部542は、波長変換部材50の第2面50bに設けられたミラー53を収容する。
【0074】
第3収容部543は、第1収容部541の+Z方向に連通する凹部である。第3収容部543は、第1収容部541に収容された波長変換部材50の第1突出部151の+Z側を保持する保持部材65を収容する。保持部材65はねじ97を介して第3収容部543に固定される。
【0075】
第4収容部544は、第1収容部541の-Z方向に連通する凹部である。第4収容部544は、第1収容部541に収容された波長変換部材50の第1突出部151の-Z側を保持する保持部材65を収容する。保持部材65はねじ97を介して第4収容部544に固定される。
【0076】
第5収容部545は、第2収容部542の+Z方向に連通する凹部である。第5収容部545は、第2収容部542に収容された波長変換部材50の第2突出部152の+Z側を保持する保持部材65を収容する。保持部材65はねじ97を介して第5収容部545に固定される。
【0077】
第6収容部546は、第3収容部543の-Z方向に連通する凹部である。第6収容部546は、第2収容部542に収容される波長変換部材50の第2突出部152の-Z側を保持する保持部材65を収容する。保持部材65はねじ97を介して第6収容部546に固定される。
【0078】
波長変換部材50の第1突出部151および第2突出部152それぞれを両側から挟む一対の保持部材65は互いのZ軸方向の位置が調整可能とされている。
【0079】
本実施形態の波長変換部材50は、溝部154の外側に突出した第1突出部151および第2突出部152それぞれを一対の保持部材65で保持することでZ軸方向の移動を規制した状態で波長変換部材50を溝部154内に保持することができる。
【0080】
本実施形態の場合、
図3に示すように、一対の押圧部材90は、波長変換部材50の長手方向の中央部分に並んで配置される。一対の押圧部材90は、Y軸方向に平面視した場合において、互いの向きを180度入れ替えた状態で配置されている。一対の押圧部材90は、波長変換部材50の短手に沿うZ軸方向において、それぞれ波長変換部材50の第3面50cを跨ぐように配置される。
【0081】
本実施形態において、一対の押圧部材90が波長変換部材50を押圧する合計の荷重は、1N以上10N以下である。なお、合計の荷重とは、各押圧部材90の荷重がそれぞれ同じである必要はなく、各押圧部材90の荷重がそれぞれ異なってもよい。
【0082】
ここで、合計の荷重が1N未満になった場合、押圧力が不足するため、衝撃等の外力によって波長変換部材50が溝部154内で動いて位置がずれてしまうおそれがある。また、波長変換部材50の第4面50dと溝部154の支持面54sとの間に空気層が生じ、波長変換部材50の放熱性が低下することで発光効率の低下を招くおそれがある。
【0083】
一方、合計の荷重が10Nよりも大きくなった場合、波長変換部材50の第4面50dと溝部154の支持面54sとの間の隙間が小さくなり過ぎることで、第4面50dと支持面54s間に空気層が略存在しなくなる。ここで、波長変換部材50の第4面50dと支持面54sとの間に空気層が略存在しないと、第4面50dと空気層との界面での光の全反射が生じなくなるため、波長変換部材50の第4面50dから支持面54sに光が漏れ出して光の取り出し効率が低下するおそれがある。また、荷重が大きくなり過ぎることで波長変換部材50が破損することで生じたクラックから光が漏れ出すおそれがある。
このように合計の荷重が10Nよりも大きくなった場合、波長変換部材50における光の取り出し効率が低下するおそれがある。
【0084】
本実施形態の場合、上述のように一対の押圧部材90が波長変換部材50を押圧する合計の荷重を1N以上10N以下としたため、波長変換部材50を適度な押圧状態で溝部154内に安定した状態で保持することができる。
【0085】
例えば、押圧部材90を配置する場所は、溝部154の支持面54sに生じるうねり形状に応じて設定することが望ましい。
【0086】
図5は本実施形態の押圧部材90のレイアウトに適した支持面54sの形状の一例を示す図である。なお、
図5では、押圧部材90による押圧後の状態を2点鎖線で示している。
本実施形態の押圧部材90のレイアウトによれば、波長変換部材50の長手方向における中央部を効率良く押圧して支持面54sに近づけることが可能となる。
本実施形態の押圧部材90のレイアウトによれば、
図5に示すように、X軸方向において中央部のY軸方向の高さが両端部のY軸方向の高さよりも低くなる形状を有するうねりURのある支持面54sに対して波長変換部材50の第5面50eを密着させる場合に特に有効である。
【0087】
押圧部材90は、弾性変形可能な材料で構成されている。一例として、押圧部材90は、金属材料からなる板ばねで構成され、例えばSUS304などのステンレス材で構成されている。
【0088】
続いて、押圧部材90の構成について説明する。
図6は押圧部材90の構成を示す平面図である。なお、
図6は押圧部材90を支持部材54から取り外した状態、つまり、弾性変形前の形状を示した図である。
【0089】
図6に示すように、押圧部材90は、波長変換部材50の長手に沿うX軸を中心として対称な形状を有している。このため、押圧部材90は、X軸に直交するZ軸方向において、波長変換部材50に付与する押圧力の均一性を高めている。
【0090】
具体的に押圧部材90は、第1延出部91と、一対の第2延出部92a、92bと、一対の固定部93a、93bと、一対の第1接続部94a、94bと、を含む。
【0091】
押圧部材90は均一な厚さの板材で構成される。押圧部材90は、例えばプレス加工により板材を所望の形状とすることで構成される。このため、押圧部材90において、第1延出部91、第2延出部92a、92b、固定部93a、93bおよび第1接続部94a、94bはいずれも同じ厚さである。
【0092】
第1延出部91はX軸よりもZ軸に沿う方向に延出し、波長変換部材50の第3面50cと接触する部位である。ここで、X軸よりもZ軸に沿う方向に延出するとは、Z軸と平行な場合だけではなく、Z軸と交差する場合においてX軸よりもZ軸側に近い方向に延出することを意味する。本実施形態の場合、第1延出部91はZ軸と平行な方向に延出する。
第2延出部92a、92bの各々は、Z軸よりもX軸に沿う方向に延出し、一端が後述の第1接続部94a、94bを介して第1延出部91に接続されるとともに他端が支持部材54に固定される部位である。ここで、Z軸よりもX軸に沿う方向に延出するとは、X軸と平行な場合だけではなく、X軸と交差する場合においてZ軸よりもX軸側に近い方向に延出することを意味する。本実施形態の場合、第2延出部92a、92bの各々は、X軸と平行な方向に延出する。具体的に第2延出部92aは第1延出部91の+Z側に配置され、第2延出部92bは第1延出部91の-Z側に配置される。
【0093】
第1接続部94a、94bの各々は、弧状に湾曲し第1延出部91と第2延出部92a、92bとを接続する。具体的に第1接続部94aは、第1延出部91の+Z側に位置する一端と第2延出部92aの-X側に位置する一端とを接続し、押圧部材90の内側から外側に向かって凸となる弧形状を有する。第1接続部94bは第1延出部91の-Z側に位置する他端と第2延出部92bの-X側に位置する一端とを接続し、押圧部材90の内側から外側に向かって凸となる弧形状を有する。
【0094】
本実施形態の押圧部材90は、第1延出部91と第2延出部92a、92bとを接続する第1接続部94a、94bが弧状に湾曲することで、第1延出部91と第2延出部92a、92bとの接続部分における応力集中を緩和することができる。よって、押圧部材90が弾性変形した際の第1延出部91と第2延出部92a、92bの接続部分にかかる負荷を低減することで押圧部材90の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0095】
なお、本実施形態では、第1接続部94a、94bが第1延出部91および第2延出部92a、92bとは異なる部位として説明したが、第1接続部94a、94bは第1延出部91または第2延出部92a、92bのいずれかの一部であってもよい。この場合の押圧部材は第1延出部と第2延出部とが第1接続部を介さずに直接接続されることとなる。
【0096】
固定部93a、93bの各々は、第2延出部92a、92bの+X側に位置する他端に接続され、支持部材54に固定される部位である。つまり、固定部93a、93bの各々は、第2延出部92a、92bの他端を支持部材54に固定する部位である。
固定部93a、93bは、押圧部材90の各構成部位において、第1延出部91が延出するZ軸方向で対をなすように、設けられている。
【0097】
具体的に、固定部93aは第2延出部92aの+X側の端部を支持部材54に固定し、固定部93bは第2延出部92bの+X側の端部を支持部材54に固定する。なお、固定部93a、93bは、ねじ96により支持部材54に固定される(
図3参照)。
【0098】
固定部93aは、支持部材54に固定される固定板930を含む。固定板930の平面形状は、Z軸方向に長手を有する略長方形である。固定板930は、第2延出部92aとの接続部分930aのX軸方向の寸法が他の部分よりも狭められている。
固定板930は、ねじ96を挿入させるための開口K1と、後述の第1位置決めピンP1を挿入させるためのピン孔PK1と、第2延出部92aとの接続部分930aに形成された切欠きS0と、を有している。開口K1は円形状とされ、ピン孔PK1はZ軸方向に長手となる長孔状とされる。切欠きS0は、第2延出部92aの内面に沿って延びて固定板930の接続部分930aに形成される。
【0099】
固定部93bは、支持部材54に固定される固定板931を含む。固定板931の平面形状は、Z軸方向に長手を有する略長方形である。固定板931は、第2延出部92bとの接続部分931aのX軸方向の寸法が他の部分よりも狭められている。
固定板931は、ねじ96を挿入させるための開口K2と、後述の第2位置決めピンP1を挿入させるためのピン孔PK2と、第2延出部92bとの接続部分931aに形成された切欠きS0と、を有している。本実施形態の場合、開口K2およびピン孔PK2は円形状とされる。切欠きS0は、第2延出部92bの内面に沿って延びて固定板931の接続部分931aに形成される。
【0100】
図3に示すように、各押圧部材90を収容するばね固定部540は、波長変換部材50の短手に沿うZ軸方向において、溝部154の両側に配置されている。
ばね固定部540は、一対の押圧部材90のうちの一方側(+X側)の押圧部材90を収容する第1収容溝41と、一対の押圧部材90の他方(-X側)の押圧部材90を収容する第2収容溝42と、を含む。第1収容溝41および第2収容溝42は各押圧部材90の位置に対応して設けられる。第1収容溝41および第2収容溝42は特許請求の範囲の「収容溝」に対応する。
【0101】
第1収容溝41は、波長変換部材50の短手に沿うZ軸方向において、溝部154の両側に設けられる。第1収容溝41は、Z軸方向に延び溝部154を連通する第1溝411と、第1溝411の+Z方向に連通する第2溝412と、第1溝411の-Z方向に連通する第3溝413と、第1位置決めピンP1と、第2位置決めピンP2と、を含む。
第1収容溝41は、押圧部材90を支持部材54に対して取り付け際のガイドとしても機能する。これにより、押圧部材90の支持部材54への組付け作業が容易となる。
【0102】
第1溝411は、押圧部材90における第1延出部91の一部が収容される溝である。
第2溝412は、押圧部材90のうち、第1溝411から+Z側に突出する部分を収容する溝である。つまり、第2溝412は、第1溝411から+Z側に突出する第1延出部91の一部と、第1接続部94aと、第2延出部92aと、固定部93aと、を収容する。
第3溝413は、押圧部材90のうち、第1溝411から-Z側に突出する部分を収容する溝である。つまり、第3溝413は、第1溝411から-Z側に突出する第1延出部91の一部と、第1接続部94bと、第2延出部92bと、固定部93bと、を収容する。
【0103】
第1収容溝41において、第1溝411、第2溝412および第3溝413の底面のY軸方向の高さはそれぞれ等しい。
【0104】
図4に示すように、第2溝412の底面412aは、第2延出部92aに接続された固定部93aをねじ96で固定する。このため、第2溝412の底面412aは、第2延出部92aの他端92a2を固定する固定面とみなせる。
【0105】
また、第3溝413の底面413aは、第2延出部92bに接続された固定部93bをねじ96で固定する。このため、第3溝413の底面413aは、第2延出部92bの他端92b2を固定する固定面とみなせる。
【0106】
第1位置決めピンP1は、第2溝412の底面412aから突出し、押圧部材90の固定部93aに形成されたピン孔PK1に挿入される。第2位置決めピンP2は、第3溝413の底面413aから突出し、押圧部材90の固定部93bに形成されたピン孔PK2に挿入される。
【0107】
支持部材54は、第1位置決めピンP1および第2位置決めピンP2を固定部93a、93bの各ピン孔PK1、PK2に挿入することで、支持部材54に対して押圧部材90を位置決め可能とする。本実施形態の場合、ピン孔PK1、PK2のうちピン孔PK1を長孔加工することで、位置決めピンP1、P2間の寸法誤差を許容し、押圧部材90と支持部材54との位置決めを容易とする構成を実現した。
【0108】
本実施形態の押圧部材90では、一対の固定部93a、93bにおけるピン孔PK1、PK2の孔径を異ならせている。つまり、第1位置決めピンP1および第2位置決めピンP2の外径を異ならせている。
【0109】
本実施形態の押圧部材90を上述のようにプレス加工で形成されるため、ピン孔PK1、PK2あるいは開口K1、K2の一方側の開口端にばりが発生する。仮にばりが発生した側の表面を支持部材54に接触させて配置すると、押圧部材90と支持部材54との間にばりによって隙間が生じ、押圧部材90が支持部材54に密着しなくなるため、押圧部材90を安定した状態で支持部材54に取り付けられず、波長変換部材50の保持状態が不安定となってしまう。
【0110】
これに対して、本実施形態の押圧部材90は、ピン孔PK1、PK2の孔径が異なっているため、仮に押圧部材90の表裏を誤った状態で支持部材54に取り付けようとした場合に、ピン孔PK1、PK2に対する位置決めピンP1、P2の位置関係が反対となることで押圧部材90を取り付けることができない。つまり、本実施形態の押圧部材90は、支持部材54に取り付ける際の表裏が決まるため、ばりの発生方向が支持部材54側に当接する向きで押圧部材90が取り付けられることを回避することができる。
よって、本実施形態の押圧部材90は表裏の向きが正しい状態で支持部材54に取り付け可能となるので、ばりの影響を考慮することなく、押圧部材90を支持部材54に安定した状態で取り付けることができる。
【0111】
また、本実施形態の押圧部材90では、固定部93a、93bの面積の大部分を占める固定板930、931の長辺方向を第1延出部91の長手方向(Z軸方向)に一致させている。このため、本実施形態の押圧部材90は、X軸方向における寸法の小型化を実現している。
【0112】
また、本実施形態の押圧部材90において、一対の固定部93a、93bの各々は、波長変換部材50の短手に沿うZ軸方向において、一対の第2延出部92a、92bの間に位置する。つまり、本実施形態の押圧部材90では、Z軸方向において、第2延出部92a、92bの内側に固定部93a、93bが位置している。
このため、本実施形態の押圧部材90によれば、固定部93a、93bが第2延出部92a、92bの内側に配置されるため、固定部93a、93bが第2延出部92a、92bの外側に位置する場合に比べて、押圧部材90におけるZ軸方向の寸法の大型化を抑制することができる。
【0113】
ここで、
図4において、溝部154に配置された波長変換部材50の第3面50cのY軸方向の支持面54sに対する高さを第1高さH1とする。また、第1収容溝41において第2延出部92a、92bの他端92a2、92b2を固定する固定面である第2溝412の底面412aおよび第3溝413の底面413aのY軸方向の支持面54sに対する高さを第2高さH2とする。
【0114】
本実施形態の光源装置100において、
図4に示すように第1高さH1は第2高さH2よりも高い。
【0115】
つまり、波長変換部材50の第3面50cは、支持部材54の溝部154に配置された状態で、押圧部材90の固定部93a、93bの固定位置よりも高い位置にある。
このため、波長変換部材50の第3面50cをZ軸方向に第1延出部91が跨ぐように配置した押圧部材90の固定部93a、93bを支持部材54に固定すると、第3面50cに押し上げられた第1延出部91とともに第2延出部92a、92bおよび第1接続部94a、94bが-Y方向、すなわち、支持面54sの主面54s1と交差する方向に弾性変形する。
【0116】
このように本実施形態の押圧部材90は、第1延出部91、一対の第2延出部92a、92bおよび一対の第1接続部94a、94bが支持面54sの主面54s1と交差するY軸方向に板ばねとして弾性変形することで、波長変換部材50の第3面50cを付勢可能とされる。
【0117】
本実施形態の場合、固定部93a、93bは、第1接続部94a、94bとの接続部分930aに形成された切欠きS0によって、固定部93a、93bの一部が第1接続部94a、94bとともに弾性変形する。つまり、固定部93a、93bの一部が板ばねとして機能することで、板ばねのばね長をより稼ぐことができる。
【0118】
より具体的に本実施形態の押圧部材90では、弾性変形したばね部分による反力が第3面50cに接触した第1延出部91によって波長変換部材50に伝達されることで、波長変換部材50を+Y方向に付勢することができる。
特に本実施形態の押圧部材90は、第1延出部91と第1延出部91に接続され波長変換部材50の長手方向に延びる第2延出部92a、92bとを有するため、弾性変形する板ばね部分の長さを大きく取ることが可能である。
【0119】
ここで、板ばねのばね荷重と変位との関係について説明する。
図7は本実施形態の押圧部材90におけるばね荷重と変位との関係を示したグラフである。
図7に示すグラフにおいて、横軸は変位に対応し、縦軸はばね荷重に対応する。
図7では、本実施形態の押圧部材90におけるばね荷重と変位との関係に加えて、本実施形態の押圧部材90よりも板ばねのばね長を短くした押圧部材におけるばね荷重と変位との関係を比較として示した。
【0120】
比較例の押圧部材に比べて、本実施形態の押圧部材90の板ばねのばね長は十分に長い。
図7に示すように、本実施形態の押圧部材90は比較例の押圧部材に比べて、ばね荷重と変位との関係が緩やか、すなわち、傾きが小さくなる。つまり、
図7に示すグラフからは、板ばねのばね長を長くすると、ばね荷重と変位の関係が緩やかになることが確認できる。
【0121】
ばね荷重と変位の関係が緩やかになった場合、例えば、部材の公差により変位がバラついた場合でもばね荷重の変化が少なくなるので、ばね荷重を安定させることが可能となる。つまり、公差の影響で変位にばらつきが生じた場合でもばね荷重が設計上要求される所定の荷重を下回り難くなるので、安定的に所望のばね荷重を得る信頼性の高いばねを実現可能となる。
【0122】
ここで、ばね荷重と変位との関係を緩やかにすべく、板ばねのサイズを大きくすることも考えられる。しかしながら、板ばねのサイズを大きくすると光源装置自体の大型化を招くため、板ばね自体を大きくすることは望ましくない。
【0123】
これに対して、本実施形態の押圧部材90は、上述のように第1延出部91から波長変換部材50の長手方向に延びる第2延出部92a、92bを備えることで、波長変換部材50の短手方向のサイズの大型化を抑制しつつ、板ばねのばね長を大きく確保することができる。
【0124】
このため、本実施形態の押圧部材90では、
図7に示したようにばね荷重と変位との関係が緩やかになるため、押圧部材90の公差の影響で変位にばらつきが生じた場合でもばね荷重の変化が少なく、安定して所望のばね荷重を得ることができる。
【0125】
よって、本実施形態の押圧部材90は、所定のばね荷重によって波長変換部材50の第3面50cを付勢することで、波長変換部材50の第4面50dを溝部154の支持面54sに安定した状態で接触させることができる。
【0126】
図8は押圧部材90の
図3のVIII-VIII線矢視による断面図である。
本実施形態の押圧部材90において、第2延出部92a、92bは、
図8に示すように、X軸およびY軸を含むXY面に沿う仮想面Mによる断面視において、溝部154の支持面54sの主面54s1側に向かって一端92a1、92b1側(第1延出部91側)が折れ曲がった形状を有する。
【0127】
ここで、仮に、第2延出部92a、92bが折れ曲がらない板状である場合について考える。第2延出部92a、92bが板状である場合、第1延出部91における波長変換部材50に対向する面の第2延出部92a、92b側(-X側)の角部が波長変換部材50の第3面50cに接触した状態となる。このため、波長変換部材50の第3面50cが角部によって削れる、あるいは破損する等といったダメージを受けるおそれがある。
【0128】
これに対して、本実施形態の押圧部材90によれば、
図8に示すように、第2延出部92a、92bの一端92a1、92b1が溝部154の支持面54s側に向かって折れ曲がった形状を有することで、第1延出部91の+Y側を向き波長変換部材50に対向する対向面91cが波長変換部材50の第3面50cに接触した状態となる。つまり、第1延出部91の対向面91cが波長変換部材50の第3面50cに面で接触した状態となる。このため、本実施形態の押圧部材90は、波長変換部材50の第3面50cにダメージを与えることなく、第3面50cを安定した状態で押圧することができる。
【0129】
また、本実施形態の押圧部材90の場合、
図8に示すように、第1延出部91および第2延出部92a、92bの厚さTは、第1延出部91の延出方向に直交するX軸方向の幅D1、および、第2延出部92a、92bの延出方向に直交するZ軸方向の幅D2(
図6参照)よりも小さい。なお、本実施形態の場合、幅D1、D2の大きさは同じであるが、幅D1、D2の大きさは異なっていてもよい。
【0130】
このように本実施形態の押圧部材90は、第1延出部91および第2延出部92a、92bの厚さTが各幅D1、D2より薄いため、弾性変形する際、第1延出部91における幅方向の変形を抑制しつつ板厚方向の変形を大きくすることができる。よって、本実施形態の押圧部材90は、波長変換部材50の第3面50cに接触する第1延出部91がその板厚方向に効率良く弾性変形可能とされるため、波長変換部材50の第3面50cを効率良く押圧することができる。
【0131】
図3に示した第2収容溝42は、第1収容溝41と同様の形状を有する。第1収容溝41および第2収容溝42は、Y軸方向に平面視した場合において、互いの向きを180度入れ替えた状態で配置されている。なお、第2収容溝42は第1収容溝41と同様のことが言えるため、詳細については説明を省略するが、第2収容溝42に配置された押圧部材90は、第1収容溝41に配置された押圧部材90と同様、波長変換部材50の第3面50cを安定した状態で押圧することができる。
【0132】
本実施形態の光源装置100は、励起光Eを射出する発光素子56と、発光素子56から射出された励起光Eが入射する波長変換部材50と、波長変換部材50を溝部154に支持する支持部材54と、波長変換部材50を支持部材54に対して押圧する押圧部材90と、を備える。波長変換部材50は、波長変換部材50の長手に沿うX軸において互いに反対側に位置する第1面50aおよび第2面50bと、X軸に交差するY軸において互いに反対側に位置する第3面50cおよび第4面50dと、X軸およびY軸に交差するZ軸において互いに反対側に位置する第5面50eおよび第6面50fと、を有する。波長変換部材50の第1面50aは、波長変換部材50を導光した蛍光Yを射出し、発光素子56は、第3面50cに対向して設けられ、溝部154は、第4面50dに対向する支持面54sを有する。押圧部材90は、Z軸に沿って延出し、第3面50cと接触する第1延出部91と、X軸に沿って延出し、一端92a1、92b1が第1延出部91に接続されるとともに他端92a2、92b2が支持部材54に固定される一対の第2延出部92a、92bと、を有し、支持面54sの主面54s1と交差するY軸方向に弾性変形することで第3面50cを付勢する。
【0133】
本実施形態の光源装置100によれば、第1延出部91および第2延出部92a、92bを有することで、小型かつばね長を大きく確保した押圧部材90によって波長変換部材50を支持部材54に対して押圧することができる。本実施形態の押圧部材90はばね荷重と変位との関係が緩やかとなる特性を持つため、公差の影響で変位にばらつきが生じた場合でもばね荷重の変化が少なく安定して所望のばね荷重を得ることができる。
このため、波長変換部材50を溝部154内に安定した押圧状態で精度良く配置することができる。よって、波長変換部材50の熱が支持部材54側に伝わることで波長変換部材50の温度上昇が抑制されるため、波長変換部材50の温度上昇による蛍光変換効率の低下を抑制され所望の強度を有する蛍光Yを出力することができる。また、波長変換部材50の押圧力が所定の値よりも大きくなり、波長変換部材50に過大な荷重が加わることを防止することができる。さらに、高温となった波長変換部材50の熱によって周辺に配置された熱に弱い例えば接着材等の劣化といった不具合の発生も防止できる。
【0134】
より具体的に、発光素子56の発光面56aから射出された一部の励起光E2は、
図4に示すように、波長変換部材50の第5面50eと第1部分54a1との間隙を通って進んだ後、支持面54sに対して傾斜した第2部分54a2に入射する。このとき、励起光E2は、第2部分54a2で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。このように、波長変換部材50の第5面50eと第1壁面54aとの間隙を通る励起光E2が第5面50eに入射しやすくなるため、支持面54sで反射して光源部51の側に戻る励起光Eの量を減らすことができる。また、一部の励起光Eは、支持面54sに対して垂直に延びる第1部分54a1で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。これにより、励起光Eの利用効率が高く、所望の強度を有する蛍光Yが得やすい光源装置100を実現することができる。
【0135】
本実施形態のプロジェクター1は、本実施形態の光源装置100を備えているため、光利用効率に優れる。
【0136】
(第1変形例)
以下、本実施形態の第1変形例について説明する。
図9は、第1変形例の押圧部材の構成を示す平面図である。なお、
図9は押圧部材を支持部材54から取り外した状態、つまり、弾性変形前の形状を示した図である。以下の図面において、上記実施形態の押圧部材90と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0137】
図9に示すように、本変形例の押圧部材190は、波長変換部材50の長手に沿うX軸を中心として対称な形状を有し、第1延出部191と、一対の第2延出部192a、192bと、一対の固定部193a、193bと、一対の第1接続部194a、194bと、一対の第2接続部195a、195bと、を含む。
【0138】
押圧部材190は均一な厚さの板材をプレス加工で所望の形状に成形して構成されるため、第1延出部191、第2延出部192a、192b、固定部193a、193b、第1接続部194a、194bおよび第2接続部195a、195bはいずれも同じ厚さである。
【0139】
第1延出部191はZ軸に沿って延出し、波長変換部材50の第3面50cと接触する。第2延出部192a、192bの各々は、X軸に沿って延出し、一端が第1接続部194a、194bを介して第1延出部191に接続されるとともに他端が支持部材54に固定される。第2延出部192aは第1延出部191の+Z側に配置され、第2延出部192bは第1延出部191の-Z側に配置される。
【0140】
第1接続部194aは第1延出部191の一端191aと第2延出部192aの一端192a1とを接続し、押圧部材190の内側から外側に向かって凸となる弧形状を有する。第1接続部194bは第1延出部191の他端191bと第2延出部192bの一端192b1とを接続し、押圧部材190の内側から外側に向かって凸となる弧形状を有する。なお、第1接続部194a、194bは第1延出部191または第2延出部192a、192bのいずれかの一部で構成されてもよい。
【0141】
第2接続部195aは後述の固定部193aと第2延出部192aの他端192a2とを接続し、押圧部材190の内側から外側に向かって凸となる弧形状を有する。第2接続部195bは後述の固定部193bと第2延出部192bの他端192b2とを接続し、押圧部材190の内側から外側に向かって凸となる弧形状を有する。なお、第2接続部195a、195bは第2延出部192a、192bまたは固定部193a、193bのいずれかの一部で構成されてもよい。
【0142】
本変形例において、第2接続部195a、195bが弧状に湾曲するため、第2延出部192a、192bと固定部193a、193bとの接続部分における応力集中を緩和できる。よって、押圧部材190が弾性変形した際の第2延出部192a、192bと固定部193a、193bとの接続部分にかかる負荷を低減することで押圧部材190の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0143】
固定部193a、193bの各々は、第2接続部195a、195bを介して第2延出部192a、192bの他端192a2、192b2に接続される。
固定部193aは、支持部材54に固定される固定板932を含む。固定板932の平面形状は、X軸方向に長手を有する略長方形である。固定板932はX軸方向に並んで形成された開口K1およびピン孔PK1と-Z方向に延びるスリットSとを含む。スリットSは、第2接続部195aの内面に沿って延びて固定板932に形成される。
【0144】
一方、固定部193bは、支持部材54に固定される固定板933を含む。固定板933の平面形状は、X軸方向に長手を有する略長方形である。固定板933はX軸方向に並んで形成された開口K2およびピン孔PK2と+Z方向に延びるスリットSとを含む。スリットSは、第2接続部195aの内面に沿って延びて固定板933に形成される。
【0145】
本変形例の押圧部材190では、固定部193a、193bの面積の大部分を占める固定板932、933の短辺方向を第1延出部191の長手方向(Z軸方向)に一致させている。このため、本変形例の押圧部材190は、Z軸方向における寸法の小型化を実現している。
【0146】
また、本変形例の押圧部材190において、一対の固定部193a、193bの各々は、波長変換部材50の短手に沿うZ軸方向において、一対の第2延出部192a、192bの間に位置する。つまり、本変形例の押圧部材190では、Z軸方向において、第2延出部192a、192bの内側に固定部193a、193bが位置するため、固定部193a、193bが第2延出部192a、192bの外側に位置する場合に比べてZ軸方向の寸法の大型化を抑制できる。
【0147】
本変形例の押圧部材190は、第1延出部191、一対の第2延出部192a、192b、一対の第1接続部194a、194bおよび一対の第2接続部195a、195bがY軸方向に板ばねとして弾性変形する。さらに、本変形例の場合、スリットSによって固定部193a、193bの一部が第2接続部195a、195bとともに弾性変形する。
このため、本変形例の押圧部材190は、小型でありながら十分なばね長を有することで、波長変換部材50を支持部材54に対して安定した状態で押圧することができる。
【0148】
(第2変形例)
続いて、本実施形態の第2変形例について説明する。
図10は、第2変形例の押圧部材の構成を示す平面図である。なお、
図10は押圧部材を支持部材54から取り外した状態、つまり、弾性変形前の形状を示した図である。以下の図面において、上記実施形態の押圧部材90と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0149】
図10に示すように、本変形例の押圧部材290は、波長変換部材50の長手に沿うX軸を中心として対称な形状を有し、第1延出部291と、一対の第2延出部292a、292bと、一対の固定部293a、293bと、一対の第1接続部294a、294bと、一対の第2接続部295a、295bと、を含む。
【0150】
押圧部材290は均一な厚さの板材をプレス加工で所望の形状に成形して構成されるため、第1延出部291、第2延出部292a、292b、固定部293a、293b、第1接続部294a、294bおよび第2接続部295a、295bはいずれも同じ厚さである。
【0151】
第1延出部291はZ軸に沿って延出し、波長変換部材50の第3面50cと接触する。第2延出部292a、292bの各々は、X軸に沿って延出し、一端が第1接続部294a、294bを介して第1延出部291に接続されるとともに他端が支持部材54に固定される。
【0152】
第1接続部294aは第1延出部291の一端291aと第2延出部292aの一端292a1とを接続し、第1接続部294bは第1延出部291の他端291bと第2延出部292bの一端192b1とを接続する。なお、第1接続部294a、294bは第1延出部291または第2延出部292a、292bのいずれかの一部で構成されてもよい。
【0153】
第2接続部295aは後述の固定部293aと第2延出部292aの他端292a2とを接続する略U字状の部位である。第2接続部295bは後述の固定部293bと第2延出部292bの他端292b2とを接続する略U字状の部位である。なお、第2接続部295a、295bは第2延出部292a、292bまたは固定部293a、293bのいずれかの一部で構成されてもよい。
【0154】
固定部293a、293bの各々は、第2接続部295a、295bを介して第2延出部292a、292bの他端292a2、292b2に接続される。
【0155】
固定部293aは、支持部材54に固定される固定板934を含む。固定板934の平面形状は、X軸方向に長手を有する略長方形である。固定板934はX軸方向に並んで形成された開口K1およびピン孔PK1と-X方向に延びるスリットSとを含む。スリットSは、第2接続部295aの内面に沿って延びて固定板934に形成される。
【0156】
一方、固定部293bは、支持部材54に固定される固定板935を含む。固定板935の平面形状は、X軸方向に長手を有する略長方形である。固定板935はX軸方向に並んで形成された開口K2およびピン孔PK2と-X方向に延びるスリットSとを含む。スリットSは、第2接続部295bの内面に沿って延びて固定板935に形成される。
【0157】
本変形例の押圧部材290では、第2接続部295a、295bを略U字形状とすることで、固定部293a、293bの面積の大部分を占める固定板934、935の長辺方向と第2延出部292a、292bの長さ方向(X軸方向)と一致させている。これにより、本変形例の押圧部材290は、Z軸方向における寸法の小型化を実現している。
【0158】
本変形例の押圧部材290は、第1延出部291、一対の第2延出部292a、292b、一対の第1接続部294a、294bおよび一対の第2接続部295a、295bがY軸方向に板ばねとして弾性変形する。さらに、本変形例の場合、スリットSによって固定部293a、293bの一部が第2接続部295a、295bとともに弾性変形する。このため、本変形例の押圧部材290は、小型でありながら十分なばね長を有することで、波長変換部材50を支持部材54に対して安定した状態で押圧することができる。
【0159】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態の光源装置では、波長変換部材50の長手に沿うX軸方向において、一対の押圧部材90を保持部材65よりも内側にレイアウトする場合を例に挙げたが、一対の押圧部材90を保持部材65よりも外側にレイアウトしてもよい。一対の押圧部材90を保持部材65の外側にレイアウトすることで、例えば、X軸方向における両端部のY軸方向の高さが中央部のY軸方向の高さよりも低くなるうねりのある支持面54sに対して波長変換部材50の第5面50eを密着させる場合に特に有効となる。
【0160】
上記実施形態では、波長変換部材の第2面と反射ミラーの反射面とが直接当接する例を挙げたが、波長変換部材の第2面と反射ミラーの反射面との間に、接着剤以外の透光性を有する部材を介在させてもよい。すなわち、波長変換部材の第2面と反射ミラーの反射面とは、必ずしも直接当接していなくてもよい。
【0161】
上記実施形態では、支持部材の溝部の各壁面が、支持面に対して垂直な部分と、支持面に対して傾斜した部分と、を有しているが、溝部の形状は特に限定されず、例えば溝部の壁面の全ての領域が支持面に対して垂直であってもよい。また、溝部の壁面が湾曲していてもよい。
【0162】
上記実施形態では、波長変換部材を備える光源装置に本発明を適用した例を挙げたが、この構成に代えて、波長変換を伴うことなく、入射光を伝搬させた後、例えば角度分布を制御して射出させる光源装置に対して本発明を適用してもよい。その場合、上記実施形態の波長変換部材は導光部材に代わり、発光素子から射出される光がそのままの波長帯の光として角度変換部材から射出される。
【0163】
その他、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶パネルを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0164】
上記実施形態では、波長変換部材50を2つの押圧部材90で支持部材54に押圧する場合を説明したが、押圧部材90の数はこれに限られない。例えば、発光素子56から波長変換部材50に入射する励起光Eの光量を確保できる場合、押圧部材90を3つ以上設けてもよい。
【0165】
また、上記実施形態および変形例では、均一な厚さの板材をプレス加工で所望の形状に成形した押圧部材を例に挙げたが、押圧部材は板材をプレスしたものではなく、例えば、円形や楕円、多角形状の断面形状を有する線状部材を所定の形状に折り曲げて形成してもよい。
【0166】
また、上記実施形態および変形例では、押圧部材における第2延出部の他端が固定部を介して支持部材に固定される場合を例に挙げたが、第2延出部の他端が固定部に直接固定されていてもよい。なお、第2延出部の他端を固定部に固定する方法としてはねじによる固定に限らず、例えば支持部材に設けた切欠きに引っ掛けてもよい。
【0167】
上記実施形態では、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例を示したが、これに限られない。本発明の光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0168】
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
光を射出する発光素子と、
前記発光素子から射出された前記光が入射する導光部材と、
前記導光部材を溝部に支持する支持部材と、
前記導光部材を前記支持部材に対して押圧する押圧部材と、を備え、
前記導光部材は、当該導光部材の長手に沿う第1軸において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1軸に交差する第2軸において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、前記第1軸および前記第2軸に交差する第3軸において互いに反対側に位置する第5面および第6面と、を有し、
前記導光部材の前記第1面は、当該導光部材を導光した光を射出し、
前記発光素子は、前記第3面に対向して設けられ、
前記溝部は、前記第4面に対向する支持面を有し、
前記押圧部材は、前記第3軸に沿って延出し、前記第3面と接触する第1延出部と、前記第1軸に沿って延出し、一端が前記第1延出部に接続されるとともに他端が前記支持部材に固定される一対の第2延出部と、を有し、前記支持面の主面と交差する方向に弾性変形することで前記第3面を付勢する、
光源装置。
【0169】
この構成の光源装置によれば、第1延出部および第2延出部を有することで、小型かつばね長を大きく確保した押圧部材によって導光部材を支持部材に対して押圧することができる。押圧部材はばね荷重と変位との関係が緩やかとなる特性を持つため、公差の影響で変位にばらつきが生じた場合でもばね荷重の変化が少なく安定して所望のばね荷重を得ることができる。このため、導光部材を溝部内に安定した押圧状態で精度良く配置することができる。よって、導光部材の熱が支持部材側に伝わることで導光部材の温度上昇が抑制されるため、所望の強度を有する出力光を得ることができる。また、波長変換部材50の押圧力が所定の値よりも大きくなり、波長変換部材50に過大な荷重が加わることを防止することができる。さらに、高温となった導光部材の熱によって周辺に配置された熱に弱い例えば接着材等の劣化といった不具合の発生も防止できる。
【0170】
(付記2)
前記押圧部材は、前記第1延出部と前記一対の第2延出部の前記一端とをそれぞれ接続し、弧状に湾曲する一対の第1接続部を含む、
付記1に記載の光源装置。
【0171】
この構成によれば、第1延出部と第2延出部とを接続する第1接続部が弧状に湾曲することで、第1延出部と第2延出部との接続部分における応力集中を緩和することができる。よって、押圧部材が弾性変形した際の第1延出部と第2延出部の接続部分にかかる負荷を低減することで押圧部材の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0172】
(付記3)
前記押圧部材は、前記一対の第2延出部の前記他端を前記支持部材に固定する一対の固定部を含み、
前記一対の固定部は、前記第2軸に沿う方向において、前記一対の第2延出部の間に位置する、
付記1または付記2のいずれかに記載の光源装置。
【0173】
この構成によれば、第2軸に沿う方向において、一対の第2延出部の内側に一対の固定部が位置している。このため、一対の固定部が一対の第2延出部の外側に位置する場合に比べて、押圧部材における第2軸に沿う方向の寸法の大型化を抑制できる。
【0174】
(付記4)
前記押圧部材は、前記一対の固定部と前記一対の第2延出部の前記他端とをそれぞれ接続し、弧状に湾曲する一対の第2接続部を含む、
付記3に記載の光源装置。
【0175】
この構成によれば、一対の第2接続部が弧状に湾曲するため、第2延出部と固定部との接続部分における応力集中を緩和できる。よって、押圧部材が弾性変形した際の第2延出部と固定部との接続部分にかかる負荷を低減することで押圧部材の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0176】
(付記5)
前記溝部に支持された前記導光部材の前記第3面の前記第2軸に沿う方向の高さは、前記支持部材において前記第2延出部の前記他端を固定する固定面の前記第2軸に沿う方向の高さよりも高い、
付記1から付記4のうちのいずれか一つに記載の光源装置。
【0177】
この構成によれば、導光部材の第3面を第1延出部が跨ぐように配置した押圧部材の固定部を支持部材に固定すると、第3面に押し上げられた第1延出部とともに第2延出部が支持面の主面と交差する方向に弾性変形する。よって、押圧部材が弾性変形することで板ばねとして機能することで、導光部材の第3面を付勢することができる。
【0178】
(付記6)
前記溝部は、前記第5面に対向し前記第5面と離間している第1壁面と、前記第6面に対向し前記第6面と離間している第2壁面と、をさらに有し、
前記第1壁面は、前記第3面側に位置している第1部分と、前記支持面側に位置している第2部分とを有し、前記第1部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第2部分は、前記第1部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第5面に近づくように傾斜し、
前記第2壁面は、前記第3面側に位置している第3部分と、前記支持面側に位置している第4部分とを有し、前記第3部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第4部分は、前記第3部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第6面に近づくように傾斜し、
前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分は、前記発光素子から射出された前記光の少なくとも一部を反射する、
付記1から付記5のうちのいずれか一つに記載の光源装置。
【0179】
この構成によれば、発光素子から射出された一部の光は、導光部材の第5面と第1部分との間隙を通って進んだ後、支持面に対して傾斜した第2部分に入射する。このとき、光は、第2部分で反射して導光部材の第5面に入射する。このように、導光部材の第5面と第1壁面との間隙を通る光が第5面に入射しやすくなるため、支持面で反射して発光素子側に戻る光の量を減らすことができる。また、一部の光は、支持面に対して垂直に延びる第1部分で反射して導光部材の第5面に入射する。これにより、光の利用効率が高く、所望の強度を有する光が得やすい光源装置を実現できる。
【0180】
(付記7)
前記押圧部材は、均一な厚さの板材で構成され、
前記第1延出部および前記第2延出部の厚さは、前記第1延出部の延出方向に直交する方向の幅、および、前記第2延出部の延出方向に直交する方向の幅よりも小さい、
付記1から付記6のうちのいずれか一つに記載の光源装置。
【0181】
この構成によれば、押圧部材が弾性変形する際、第1延出部における幅方向の変形を抑制しつつ板厚方向の変形を大きくすることができる。よって、導光部材の第3面に接触する第1延出部がその板厚方向に効率良く弾性変形可能とされるため、導光部材の第3面を効率良く押圧することができる。
【0182】
(付記8)
前記第2延出部は、前記第1軸および前記第3軸を含む面に沿う仮想面による断面視において、前記支持面の前記主面側に向かって前記一端側が折れ曲がった形状を有する、
付記7に記載の光源装置。
【0183】
この構成によれば、第1延出部の導光部材に対向する面が第3面に面で接触した状態となる。このため、押圧部材が導光部材の第3面にダメージを与えることなく、第3面を安定した状態で押圧することができる。
【0184】
(付記9)
前記支持部材は、前記押圧部材を収容する収容溝が設けられている、
付記1から付記8のうちのいずれか一つに記載の光源装置。
【0185】
この構成によれば、収容溝が押圧部材を支持部材に対して取り付け際のガイドとしても機能するため、押圧部材の支持部材への組付け作業が容易となる。
【0186】
(付記10)
前記押圧部材を複数備え、
複数の前記押圧部材が前記導光部材を押圧する合計の荷重は、1N以上10N以下である、
付記1から付記9のうちのいずれか一つに記載の光源装置。
【0187】
ここで、合計の荷重が1N未満になった場合、押圧力が不足するため、衝撃等の外力によって導光部材が溝部内で動いて位置がずれてしまうおそれがある。また、導光部材の第4面と溝部の支持面との間に空気層が生じ、導光部材の放熱性が低下することで発光効率の低下を招くおそれがある。
一方、合計の荷重が10Nよりも大きくなった場合、導光部材の第4面と溝部の支持面との間の隙間が小さくなり過ぎることで、第4面と支持面間に空気層が略存在しなくなる。導光部材の第4面と支持面との間に空気層が略存在しないと、第4面と空気層との界面での光の全反射が生じなくなるため、導光部材の第4面から支持面に光が漏れ出して光の取り出し効率が低下するおそれがある。また、荷重が大きくなり過ぎることで導光部材が破損することで生じたクラックから光が漏れ出すおそれがある。
よって、合計の荷重が10Nよりも大きくなった場合、導光部材における光の取り出し効率が低下するおそれがある。
この構成によれば、一対の押圧部材が導光部材を押圧する合計の荷重を1N以上10N以下としたため、導光部材を適度な押圧状態で溝部内に安定した状態で保持することができる。
【0188】
(付記11)
前記発光素子は、第1波長帯を有する第1光を射出し、
前記導光部材は、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換し、前記第2光を射出する波長変換部材である、付記1から付記10のうちのいずれか一つに記載の光源装置。
【0189】
この構成によれば、第1光の利用効率が高く、所望の強度を有する第2光を得る光源装置を実現することができる。
【0190】
(付記12)
付記1から付記11のうちのいずれか一つに記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【0191】
この構成のプロジェクターによれば、上記光源装置を備えるため、光利用効率に優れたプロジェクターを提供できる。
【符号の説明】
【0192】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、50…波長変換部材(導光部材)、50a…第1面、50b…第2面、50c…第3面、50d…第4面、50e…第5面、50f…第6面、54…支持部材、54a…第1壁面、54b…第2壁面、54s…支持面、56…発光素子、90,190,290…押圧部材、91,191,291…第1延出部、191a,291a,92a1,192a1,192b1,292a1…(第1延出部の)一端、191b,291b,92a2,92b2,192a2,192b2,292a2,292b2…(第1延出部の)他端、92a,92b,192a,192b,292a,292b…第2延出部、93a,93b,193a,193b,293a,293b…固定部、94a,94b,194a,194b,294a,294b…第1接続部、195a,195b,295a,295b…第2接続部、100…光源装置、154…溝部、54a1…第1部分、54s1…主面、54a2…第2部分、54b3…第3部分、54b4…第4部分、M…仮想面、E…励起光(第1光)、Y…蛍光(第2光)。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
図3に戻って、第1収容部541は、溝部154の+X方向に連通する凹部である。第1収容部541は、支持部材54の外縁54dまで貫通している。第1収容部541は、溝部154から突出する波長変換部材50の第1突出部151を収容する。さらに第1収容部541は、波長変換部材50の第1面50aに固定された角度変換部材52を収容する。本実施形態において、角度変換部材52は、第1突出部151の第1面50aに設けられている。第1収容部541に収容された角度変換部材52の光射出面52bは、平面視した状態において、支持部材54の外縁54dと面一となっている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
第2収容部542は、溝部154の-X方向に連通する凹部である。第2収容部542は、支持部材54の外縁54dまで貫通している。第2収容部542は、溝部154から突出する波長変換部材50の第2突出部152を収容する。第2収容部542は、支持部材54の外縁54dに連通しない状態に設けられている。本実施形態において、ミラー53は、第2突出部152の第2面50bに設けられている。第2収容部542は、波長変換部材50の第2面50bに設けられたミラー53を収容する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
第6収容部546は、第2収容部542の-Z方向に連通する凹部である。第6収容部546は、第2収容部542に収容される波長変換部材50の第2突出部152の-Z側を保持する保持部材65を収容する。保持部材65はねじ97を介して第6収容部546に固定される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
本実施形態の場合、固定部93a、93bは、第1接続部94a、94bとの接続部分930a、931aに形成された切欠きS0によって、固定部93a、93bの一部が第1接続部94a、94bとともに弾性変形する。つまり、固定部93a、93bの一部が板ばねとして機能することで、板ばねのばね長をより稼ぐことができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
より具体的に、発光素子56の発光面56aから射出された一部の励起光E2は、
図4に示すように、波長変換部材50の第5面50eと第1部分54a1との間隙を通って進んだ後、支持面54sに対して傾斜した第2部分54a2に入射する。このとき、励起光E2は、第2部分54a2で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。このように、波長変換部材50の第5面50eと第1
部分54a
1との間隙を通る励起光E2が第5面50eに入射しやすくなるため、支持面54sで反射して光源部51の側に戻る励起光Eの量を減らすことができる。また、一部の励起光Eは、支持面54sに対して垂直に延びる第1部分54a1で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。これにより、励起光Eの利用効率が高く、所望の強度を有する蛍光Yが得やすい光源装置100を実現することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0144
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0144】
一方、固定部193bは、支持部材54に固定される固定板933を含む。固定板933の平面形状は、X軸方向に長手を有する略長方形である。固定板933はX軸方向に並んで形成された開口K2およびピン孔PK2と+Z方向に延びるスリットSとを含む。スリットSは、第2接続部195bの内面に沿って延びて固定板933に形成される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0152
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0152】
第1接続部294aは第1延出部291の一端291aと第2延出部292aの一端292a1とを接続し、第1接続部294bは第1延出部291の他端291bと第2延出部292bの一端292b1とを接続する。なお、第1接続部294a、294bは第1延出部291または第2延出部292a、292bのいずれかの一部で構成されてもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0169
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0169】
この構成の光源装置によれば、第1延出部および第2延出部を有することで、小型かつばね長を大きく確保した押圧部材によって導光部材を支持部材に対して押圧することができる。押圧部材はばね荷重と変位との関係が緩やかとなる特性を持つため、公差の影響で変位にばらつきが生じた場合でもばね荷重の変化が少なく安定して所望のばね荷重を得ることができる。このため、導光部材を溝部内に安定した押圧状態で精度良く配置することができる。よって、導光部材の熱が支持部材側に伝わることで導光部材の温度上昇が抑制されるため、所望の強度を有する出力光を得ることができる。また、導光部材の押圧力が所定の値よりも大きくなり、導光部材に過大な荷重が加わることを防止することができる。さらに、高温となった導光部材の熱によって周辺に配置された熱に弱い例えば接着材等の劣化といった不具合の発生も防止できる。