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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132636
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/71 20060101AFI20240920BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01N21/71
G01N29/24
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043485
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】518013497
【氏名又は名称】大阪市高速電気軌道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591114803
【氏名又は名称】公益財団法人レーザー技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳川 知道
(72)【発明者】
【氏名】森 貴大
(72)【発明者】
【氏名】井澤 靖和
(72)【発明者】
【氏名】染川 智弘
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 慎理
【テーマコード(参考)】
2G043
2G047
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA03
2G043CA02
2G043EA06
2G043EA10
2G043JA01
2G043KA02
2G043LA01
2G047AA10
2G047CA04
2G047GG10
(57)【要約】
【課題】小型化を図りつつ検査対象物の内部欠陥及び表面汚染物質それぞれの評価を行う。
【解決手段】検査システム100は、パルスレーザ1と、振動検出用レーザ2と、光検出器16と、第1評価部18と、分光スペクトル計測部19と、第2評価部21と、第1光学系3と、第2光学系8と、を備える。第1評価部18は、光検出器16の出力信号に基づいて検査対象物4の内部欠陥に関する評価を行う。第2評価部21は、分光スペクトル計測部19により計測された分光スペクトルに基づいて検査対象物4の表面汚染物質に関する評価を行う。第2光学系8は、第1レーザ光L1が検査対象物4の表面40に照射されたときに検査対象物4から発生したプラズマによって発生し空気中を伝搬する光L3を分光スペクトル計測部19へ導くための反射ミラー群14b及びレンズ群(第3レンズ群10c)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面を振動させるための第1レーザ光を出射するパルスレーザと、
前記検査対象物の前記表面の振動を検出するための第2レーザ光を出射する振動検出用レーザと、
前記第2レーザ光により形成されるプローブ光及び参照光を検出する光検出器と、
前記光検出器の出力信号に基づいて前記検査対象物の内部欠陥に関する評価を行う第1評価部と、
分光スペクトル計測部と、
前記分光スペクトル計測部により計測された分光スペクトルに基づいて前記検査対象物の表面汚染物質に関する評価を行う第2評価部と、
前記第1レーザ光と前記第2レーザ光との両方を前記検査対象物の前記表面へ導くためのミラー群を含む第1光学系と、
第2光学系と、を備え、
前記第1光学系は、
前記第1レーザ光を前記検査対象物へ導く第1光路と、
前記第2レーザ光を前記検査対象物へ導く第2光路と、
前記検査対象物の前記表面に照射された前記第2レーザ光の反射光である前記プローブ光を前記光検出器へ導く第3光路と、
前記振動検出用レーザから出射された前記第2レーザ光の一部である前記参照光を前記光検出器へ導く第4光路と、が形成されるように構成されており、
前記第2光学系は、前記第1レーザ光が前記検査対象物の前記表面に照射されたときに前記検査対象物から発生したプラズマによって発生し空気中を伝搬する光を前記分光スペクトル計測部へ導くための反射ミラー群及びレンズ群を含む、
検査システム。
【請求項2】
前記第1光学系は、前記ミラー群の位置と向きを制御する第1制御装置を更に含み、
前記第2光学系は、前記反射ミラー群の位置と向きを制御する第2制御装置を更に含み、
前記第2制御装置は、前記第1制御装置による前記ミラー群の制御情報に基づいて前記反射ミラー群の位置と向きを制御する、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
コントローラを更に備え、
前記第1光学系は、前記ミラー群の位置と向きを制御する第1制御装置を更に含み、
前記第2光学系は、前記反射ミラー群の位置と向きを制御する第2制御装置を更に含み、
前記コントローラは、前記第1制御装置により前記ミラー群を制御させるときに、前記第2制御装置により前記反射ミラー群を制御させる、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記第1光学系と前記第2光学系とを収容している1つの筐体を更に備える、
請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項5】
前記検査対象物がコンクリートであり、
前記第2評価部は、前記分光スペクトルにおけるNaの発光強度に基づいて前記コンクリートに含まれる塩分量に関する評価を行う、
請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項6】
前記検査対象物がコンクリートであり、
前記第2評価部は、前記分光スペクトルにおけるNaの発光強度とCaの発光強度との比率に基づいて前記コンクリートに含まれる塩分量に関する評価を行う、
請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項7】
前記ミラー群は、前記検査対象物の前記表面との間において前記第1レーザ光の進行経路と前記第2レーザ光の進行経路とを一致させるように構成されている、
請求項1又は2に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、検査システムに関し、より詳細には、検査対象物に非接触で検査対象物の評価を行う検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非破壊検査装置として、コンクリート構造物、金属構造物等の検査対象物の内部欠陥の有無や深さなどの検査が可能なレーザ超音波リモートセンシング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている非破壊検査装置は、検査対象物に弾性波(超音波)を励起させるためのパルスレーザ光からなる励起光(衝撃ビーム)を出力する弾性波励起用レーザと、連続出力のレーザ光からなる信号光(プローブビーム)を出力する検出用レーザと、信号光を検査対象物の表面で走査させる可動ミラーと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-147813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査対象物の内部欠陥の検査を行う非破壊検査装置では、内部欠陥の検査を行うことができるが、検査対象物の表面汚染物質に関する検査を行うことができなかった。
【0006】
本開示の目的は、小型化を図りつつ検査対象物の内部欠陥及び表面汚染物質それぞれの評価を行うことが可能な検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一態様の検査システムは、パルスレーザと、振動検出用レーザと、光検出器と、第1評価部と、分光スペクトル計測部と、第2評価部と、第1光学系と、第2光学系と、を備える。前記パルスレーザは、検査対象物の表面を振動させるための第1レーザ光を出射する。前記振動検出用レーザは、前記検査対象物の前記表面の振動を検出するための第2レーザ光を出射する。前記光検出器は、前記第2レーザ光により形成されるプローブ光及び参照光を検出する。前記第1評価部は、前記光検出器の出力信号に基づいて前記検査対象物の内部欠陥に関する評価を行う。前記第2評価部は、前記分光スペクトル計測部により計測された分光スペクトルに基づいて前記検査対象物の表面汚染物質に関する評価を行う。前記第1光学系は、前記第1レーザ光と前記第2レーザ光との両方を前記検査対象物の前記表面へ導くためのミラー群を含む。前記第1光学系は、前記第1レーザ光を前記検査対象物へ導く第1光路と、前記第2レーザ光を前記検査対象物へ導く第2光路と、前記検査対象物の前記表面に照射された前記第2レーザ光の反射光である前記プローブ光を前記光検出器へ導く第3光路と、前記振動検出用レーザから出射された前記第2レーザ光の一部である前記参照光を前記光検出器へ導く第4光路と、が形成されるように構成されている。前記第2光学系は、前記第1レーザ光が前記検査対象物の前記表面に照射されたときに前記検査対象物から発生したプラズマによって発生し空気中を伝搬する光を前記スペクトル計測部へ導くための反射ミラー群及びレンズ群を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の検査システムでは、小型化を図りつつ検査対象物の内部欠陥及び表面汚染物質それぞれの評価を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る検査システムの構成図である。
図2図2は、塩分を含ませていないコンクリートに第1レーザ光を照射したときに発生するプラズマによる光の分光スペクトル図である。
図3図3は、塩分を含ませたコンクリートに第1レーザ光を照射したときに発生するプラズマによる光の分光スペクトル図である。
図4図4は、塩分量とNa発光強度/Ca発光強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施形態等において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(実施形態)
以下では、実施形態に係る検査システム100について図1に基づいて説明する。
【0012】
検査システム100は、例えば、検査対象物4のリアルタイムでの非破壊検査の用途に用いられる。検査対象物4は、例えば、土木構造物である。土木構造物は、例えば、コンクリート(コンクリート構造物)であるが、コンクリートに限らない。コンクリートは、橋梁のコンクリート、トンネルのコンクリート等であるが、これらに限らない。
【0013】
検査システム100は、パルスレーザ1から出射した第1レーザ光L1を検査対象物4に照射して検査対象物4の表面に振動を発生させ、CWレーザを含む振動検出用レーザ2から検査対象物4に第2レーザ光L2を照射して検査対象物4の振動を検出することによって、検査対象物4の内部欠陥に関する検査を行う。第1レーザ光L1による検査対象物4の振動特性は、検査対象物4の状態(例えば、欠陥の有無、大きさ、位置等)に関する情報を提供する。検査対象物4の表面40で第2レーザ光L2が反射され変調されたプローブ光L21は、上記振動の情報を含む信号光である。
【0014】
また、検査システム100は、パルスレーザ1から出射した第1レーザ光L1を検査対象物4に照射したときに検査対象物4で発生するプラズマによって発生する光の分光スペクトルから検査対象物4の表面汚染物質に関する検査を行う。
【0015】
(1)検査システムの構成
検査システム100は、図1に示すように、パルスレーザ1と、振動検出用レーザ2と、第1光学系3と、光検出器16及び第1評価部18を含む欠陥評価装置6と、分光スペクトル計測部19及び第2評価部21を含む分光分析評価装置9と、第2光学系8と、を備える。
【0016】
(1.1)パルスレーザ
パルスレーザ1は、第1レーザ光L1を出射する。第1レーザ光L1は、例えば、検査対象物4の表面40を振動させるための衝撃波励起用レーザ光である。第1レーザ光L1は、パルスレーザ光である。パルスレーザ1は、例えば、パルス幅10nsのパルスレーザ光を出力するNd:YAGレーザ(基本波)を採用しているが、これに限らない。
【0017】
(1.2)振動検出用レーザ
振動検出用レーザ2は、第2レーザ光L2を出射する。第2レーザ光L2は、例えば、検査対象物4の表面40の振動を検出するために用いられる。検査システム100では、第2レーザ光L2の検査対象物4での反射光をプローブ光L21として用いる。振動検出用レーザ2は、例えば、CWレーザを含む。振動検出用レーザ2は、例えば、波長532nmのレーザ光を連続出力するNd:YAGレーザ(2倍高調波)を採用しているが、これに限らない。
【0018】
(1.3)第1光学系
第1光学系3は、第1レンズ群10aと、ダイクロイックミラー13aと、ミラー群14aと、第1制御装置15aと、を含む。ミラー群14aは、反射ミラー14abと、ダイクロイックミラー14aaと、反射ミラー14acと、を含む。また、第1光学系3は、第2レンズ群10bと、ハーフミラー13bと、反射ミラー13cと、ハーフミラー13dと、ハーフミラー13eと、を含む。また、第1光学系3は、検査対象物4の表面40までの距離を測定する測距計11と、第1レンズ制御装置12aと、を更に含む。
【0019】
第1光学系3では、パルスレーザ1の光軸上において、第1レンズ群10a、ダイクロイックミラー13a及びダイクロイックミラー14aaが、パルスレーザ1側から、第1レンズ群10a、ダイクロイックミラー13a及びダイクロイックミラー14aaの順に並んでいる。また、第1光学系3では、振動検出用レーザ2の光軸上において、ハーフミラー13d、第2レンズ群10b、ハーフミラー13b及び反射ミラー14acが、振動検出用レーザ2側から、ハーフミラー13d、第2レンズ群10b、ハーフミラー13b及び反射ミラー14acの順に並んでいる。また、第1光学系3では、ハーフミラー13e、反射ミラー13cが、光検出器16側から、ハーフミラー13e、反射ミラー13cの順に並んでいる。
【0020】
第1レンズ群10aは、パルスレーザ1から出射された第1レーザ光L1を集光するためのレンズ群であり、複数の第1レンズを含む。
【0021】
ダイクロイックミラー13aは、第1レンズ群10aにより集光された第1レーザ光L1を透過する。また、ダイクロイックミラー13aは、検査対象物4の表面40で反射された第1レーザ光L1の反射光L11を反射する。なお、反射光L11は、反射ミラー14ab及びダイクロイックミラー14aaそれぞれで反射されてダイクロイックミラー13aに、第1レンズ群10a側とは反対側から入射して、ダイクロイックミラー13aにより測距計11側へ反射される。
【0022】
ダイクロイックミラー14aaは、ダイクロイックミラー13aを透過した第1レーザ光L1を反射ミラー14abに向けて反射する。また、ダイクロイックミラー14aaは、振動検出用レーザ2からの第2レーザ光L2を透過する。また、ダイクロイックミラー14aaは、プローブ光L21を透過する。
【0023】
ハーフミラー13dは、振動検出用レーザ2からの第2レーザ光L2の一部を透過し、残りの少なくとも一部を参照光L22としてハーフミラー13e側へ反射する。
【0024】
第2レンズ群10bは、ハーフミラー13dを透過した第2レーザ光L2を集光するためのレンズ群であり、複数の第2レンズを含む。
【0025】
ハーフミラー13bは、第2レンズ群10bにより集光された第2レーザ光L2を透過する。また、ハーフミラー13bは、検査対象物4の表面40で反射された第2レーザ光L2の反射光であるプローブ光L21を反射する。なお、プローブ光L21は、反射ミラー14abで反射され、ダイクロイックミラー14aaを透過し、反射ミラー14acで反射されてハーフミラー13bに、第2レンズ群10b側とは反対側から入射して、ハーフミラー13bにより反射ミラー13c側へ反射される。
【0026】
反射ミラー14acは、第2レーザ光L2をダイクロイックミラー14aa側へ反射する。また、反射ミラー14acは、プローブ光L21をハーフミラー13b側へ反射する。
【0027】
反射ミラー14abは、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を検査対象物4へ向けて反射する。また、反射ミラー14abは、検査対象物4側からの反射光L11及びプローブ光L21をダイクロイックミラー14aaへ向けて反射する。
【0028】
反射ミラー13cは、ハーフミラー13b側からのプローブ光L21をハーフミラー13eに向けて反射する。
【0029】
ハーフミラー13eは、反射ミラー13c側からのプローブ光L21を透過する。また、ハーフミラー13eは、ハーフミラー13d側からの参照光L22を光検出器16へ向けて反射する。
【0030】
第1制御装置15aは、ミラー群14aの位置と向きを制御する。より詳細には、第1制御装置15aは、反射ミラー14abの位置と向きを制御する。これにより、検査システム100では、検査対象物4の表面40上の第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を走査することができ、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射位置を変えることができる。
【0031】
第1レンズ制御装置12aは、第1レンズ群10a及び第2レンズ群10bを制御する。これにより、検査システム100では、検査対象物4の表面40上の第1レーザ光L1のスポット径を変えることができる。第1レンズ制御装置12aは、測距計11の測距値に基づいて第1レンズ群10a及び第2レンズ群10bを制御する。より詳細には、第1レンズ制御装置12aは、測距計11の測距値に基づいて第1レンズ群10aの位置、第1レンズ群10aの複数の第1レンズにおいて隣り合う第1レンズ間の距離等を制御する。また、第1レンズ制御装置12aは、測距計11の測距値に基づいて第2レンズ群10bの位置、第2レンズ群10bの複数の第2レンズにおいて隣り合う第2レンズ間の距離等を制御する。
【0032】
第1光学系3は、第1光路と、第2光路と、第3光路と、第4光路とが形成されるように構成されている。第1光路は、パルスレーザ1から出射された第1レーザ光L1を検査対象物4へ導く光路である。第2光路は、振動検出用レーザ2から出射された第2レーザ光L2を検査対象物4へ導く光路である。第3光路は、検査対象物4の表面40に照射された第2レーザ光L2の反射光であるプローブ光L21を光検出器16へ導く光路である。第4光路は、振動検出用レーザ2から出射された第2レーザ光L2の一部を参照光L22として光検出器16へ導く光路である。
【0033】
第1光路は、第1レンズ群10aと、ダイクロイックミラー14aaと、反射ミラー14abと、によって形成される。
【0034】
第2光路は、第2レンズ群10bと、反射ミラー14acと、反射ミラー14abと、によって形成される。
【0035】
第3光路は、反射ミラー14abと、反射ミラー14acと、ハーフミラー13bと、反射ミラー13cと、によって形成される。
【0036】
第4光路は、ハーフミラー13dと、ハーフミラー13eと、によって形成される。
【0037】
第1光学系3では、反射ミラー14abが、第1光路、第2光路及び第3光路を形成するために利用される。
【0038】
(1.4)第2光学系
第2光学系8は、反射ミラー群14bと、第3レンズ群10cと、第2制御装置15bと、第2レンズ制御装置12bと、を含む。
【0039】
反射ミラー群14bは、反射ミラー14baと、反射ミラー14bbと、を含む。第2光学系8では、第3レンズ群10c、反射ミラー14bbが、分光スペクトル計測部19側から、第3レンズ群10c、反射ミラー14bbの順に並んでいる。
【0040】
反射ミラー14baは、第1レーザ光L1が検査対象物4の表面40に照射されたときに検査対象物4から発生したプラズマによって発生し空気中を伝搬した光L3が入射する。反射ミラー14baは、入射した光L3を反射ミラー14bbへ向けて反射する。
【0041】
反射ミラー14bbは、反射ミラー14ba側から入射した光L3を第3レンズ群10c側へ反射する。
【0042】
第3レンズ群10cは、反射ミラー14bb側から入射した光L3を集光する。第3レンズ群10cで集光された光L3は、分光スペクトル計測部19へ入射される。
【0043】
第2制御装置15bは、反射ミラー群14bの位置と向きを制御する。より詳細には、第2制御装置15bは、光L3を検出するセンサの出力、若しくは第1制御装置15aによるミラー群14aの制御情報に基づいて、反射ミラー14ba、14bbの位置と向きを制御する。これにより、検査システム100では、検査対象物4の表面40上の第1レーザ光L1の照射位置が変わったときに、光L3が分光スペクトル計測部19へ導かれるように第2制御装置15bが反射ミラー群14bを制御することができる。
【0044】
第2レンズ制御装置12bは、第3レンズ群10cを制御する。より詳細には、第2レンズ制御装置12bは、光L3を検出するセンサの出力、若しくは第1レンズ制御装置12aによる第1レンズ群10aの制御情報に基づいて、第3レンズ群10cの位置、第3レンズ群10cに含まれる複数の第3レンズにおいて隣り合う第3レンズ間の距離等を制御する。
【0045】
(1.5)欠陥評価装置
欠陥評価装置6は、第1光学系3により伝搬されたプローブ光L21と参照光L22とに基づいて検査対象物4の内部欠陥に関する評価を行う。
【0046】
欠陥評価装置6は、光検出器16と、周波数分析部17と、第1評価部18と、を含む。
【0047】
検査システム100では、第1光学系3によって、プローブ光L21と参照光L22とを干渉させることにより、光検出器16において、検査対象物4の表面40の振動を計測することができる。
【0048】
光検出器16は、第2レーザ光L2により形成されるプローブ光L21及び参照光L22を検出する。より詳細には、光検出器16は、プローブ光L21と参照光L22との干渉縞を検出する。光検出器16の出力信号は、干渉縞の検出強度の時間変化を表す波形信号を含む。
【0049】
周波数分析部17は、光検出器16から出力される波形信号を周波数分析する。周波数分析部17は、例えば、高速フーリエ変換による周波数解析を行う。なお、周波数分析部17は、高速フーリエ変換による周波数解析を行う例に限定されず、例えば、連続ウェーブレット変換による周波数解析を行ってもよい。
【0050】
第1評価部18は、光検出器16の出力信号に基づいて検査対象物4の内部欠陥に関する評価を行う。より詳細には、第1評価部18は、周波数分析部17の分析結果に基づいて検査対象物4の内部欠陥の有無、内部欠陥の大きさ等を評価する。なお、第1評価部18は、学習済みモデルを利用して、周波数分析部17の分析結果に基づいて検査対象物4の内部欠陥の有無、内部欠陥の大きさ等を評価してもよい。
【0051】
欠陥評価装置6は、第1コンピュータシステムを含んでいる。第1コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。第1コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における周波数分析部17及び第1評価部18としての機能が実現される。プログラムは、第1コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、第1コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。第1コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいう第1コンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0052】
(1.6)分光分析評価装置
分光分析評価装置9は、分光スペクトル計測部19と、分光スペクトル分析部20と、第2評価部21と、を含んでいる。
【0053】
分光スペクトル計測部19は、第1レーザ光L1が検査対象物4に照射されたときに検査対象物4で発生したプラズマによって発生し第2光学系8によって導かれた光L3の分光スペクトルを計測する。分光スペクトル計測部19は、例えば、分光光度計を含む。
【0054】
分光スペクトル分析部20は、分光スペクトル計測部19で計測された分光スペクトルを分析する。
【0055】
第2評価部21は、分光スペクトル計測部19により計測された分光スペクトルに基づいて検査対象物4の表面汚染物質に関する評価を行う。より詳細には、第2評価部21は、分光スペクトル分析部20の分析結果に基づいて検査対象物4の表面汚染物質に関する評価を行う。
【0056】
ところで、本願発明者らは、塩分を含ませていないコンクリート、種々の濃度で塩分を含ませたコンクリートを準備し、第1レーザ光L1を照射したときに発生するプラズマによって発生する光の分光スペクトルを計測した。塩分を含ませていないコンクリートは、主成分がCaであり、不純物としてNaを含んでいる。
【0057】
図2は、塩分を含ませていないコンクリートに第1レーザ光L1を照射したときに発生するプラズマによって発生する光の分光スペクトルの一例を示し、図3は、塩分を含ませたコンクリートに第1レーザ光を照射したときに発生するプラズマによって発生する光の分光スペクトルの一例を示す。
【0058】
図2及び図3等から、塩分を含ませていないコンクリートで発生する光L3の分光スペクトルと、塩分を含ませたコンクリートで発生する光L3の分光スペクトルとを比較すると、塩分を含ませたコンクリートで発生する光L3の分光スペクトルのほうが、Naの発光強度が増加するという知見が得られた。
【0059】
図4は、塩分量とNa発光強度/Ca発光強度との関係を示すグラフである。Na発光強度/Ca発光強度は、Na発光強度とCa発光強度との比である。図4から、コンクリートに含まれる塩分量とNa発光強度/Ca発光強度とに相関があるという知見が得られた。
【0060】
検査システム100では、検査対象物4がコンクリートである場合、第2評価部21は、例えば、分光スペクトル計測部19で得られた分光スペクトルにおけるNaの発光強度に基づいてコンクリートに含まれる塩分量に関する評価を行う。第2評価部21は、例えば、Naの発光強度から塩分量を求める演算を行う。第2評価部21が上記の演算を行った場合、Naの発光強度が大きいほど、求められる塩分量が多くなる。第2評価部21は、Naの発光強度が閾値よりも大きい場合に、コンクリート表面が塩分によって汚染されていると評価するように構成されていてもよい。
【0061】
また、検査システム100では、検査対象物4がコンクリートである場合、第2評価部21は、例えば、分光スペクトル計測部19で得られた分光スペクトルにおけるNaの発光強度とCaの発光強度との比率に基づいてコンクリートに含まれる塩分量に関する評価を行ってもよい。第2評価部21が、Naの発光強度とCaの発光強度との比率に基づいてコンクリートに含まれる塩分量に関する評価を行う場合、例えば、あらかじめ図4に基づいて求めた検量線に対応する演算式から塩分量を求める。
【0062】
分光分析評価装置9は、第2コンピュータシステムを含んでいる。第2コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。第1コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における分光スペクトル分析部20及び第2評価部21としての機能が実現される。プログラムは、第2コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、第2コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。第2コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいう第2コンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0063】
(1.7)その他の構成要素
検査システム100は、第1光学系3と第2光学系8とを収容している1つの筐体30を更に備える。
【0064】
また、検査システム100は、欠陥評価装置6及び分光分析評価装置9に接続される表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)及び入力装置(例えば、キーボード、ポインティングデバイス等)を備えていてもよい。この場合、ユーザが入力装置を適宜操作することによって、欠陥評価装置6での評価結果、分光分析評価装置9での評価結果等を表示装置に表示させることができる。
【0065】
(2)検査システムの動作
検査システム100では、検査対象物4の表面40の任意の検査対象領域に第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2が照射されるように第1制御装置15aが反射ミラー14abの位置と向きを制御する。第1制御装置15aは、例えば、欠陥評価装置6に含まれる第1コンピュータシステムによって制御される。
【0066】
検査システム100は、パルスレーザ1から第1レーザ光L1を出射させ、振動検出用レーザ2から第2レーザ光L2を出射させる。パルスレーザ1から出射された第1レーザ光L1は、第1レンズ群10a及びダイクロイックミラー13aを通過した後、ダイクロイックミラー14aa及び反射ミラー14abで反射されて検査対象物4の表面40に照射される。
【0067】
振動検出用レーザ2から出射された第2レーザ光L2は、ハーフミラー13d、第2レンズ群10b及びハーフミラー13bを通過して反射ミラー14acで反射され、ダイクロイックミラー14aaを通過した後、反射ミラー14abで反射されて検査対象物4の表面40に照射される。
【0068】
図1では、第1レーザ光L1を実線で模式的に示し、第2レーザ光L2を一点鎖線で模式的に示してある。検査システム100では、ミラー群14aは、検査対象物4の表面40との間において第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とを一致させるように構成されている。ここで、検査システム100では、ダイクロイックミラー14aaと検査対象物4の表面40との間において第1レーザ光L1の進行経路と第2レーザ光L2の進行経路とを一致させることができる。したがって、上述の第1光路の一部と第2光路の一部とを共通化することができ、検査対象物4の表面40上の第2レーザ光L2の照射位置と第1レーザ光L1の照射位置とを同一点とすることができる。
【0069】
検査システム100では、検査対象物4の表面40への第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射位置に応じて第2制御装置15bが反射ミラー群14bの位置と向きを制御する。第2制御装置15bは、例えば、上述の第1コンピュータシステムと第2コンピュータシステムとの少なくとも一方によって制御される。
【0070】
検査システム100は、第1レーザ光L1が検査対象物4に照射されたときに検査対象物4で発生したプラズマによって発生し第2光学系8によって導かれた光L3の分光スペクトルを分光スペクトル計測部19によって計測する。
【0071】
(3)効果
実施形態に係る検査システム100では、第1評価部18が、光検出器16の出力信号に基づいて検査対象物4の内部欠陥に関する評価を行う一方で、第2評価部21が、分光スペクトル計測部19により計測された分光スペクトルに基づいて検査対象物4の表面汚染物質に関する評価を行う。第1光学系3は、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2との両方を検査対象物4の表面40へ向けて反射する反射ミラー14abを含む。第2光学系8は、第1レーザ光L1が検査対象物4の表面40に照射されたときに検査対象物4から発生したプラズマによって発生し空気中を伝搬する光L3を分光スペクトル計測部19へ導くための反射ミラー群14b及び第3レンズ群10c(レンズ群)を含む。よって、実施形態に係る検査システム100では、小型化を図りつつ検査対象物4の内部欠陥及び表面汚染物質それぞれの評価を行うことが可能となる。検査システム100では、パルスレーザ1から出射させる第1レーザ光L1を利用して検査対象物4に振動を発生させるのと同時にプラズマによる光L3を発生させ、振動検出用レーザ2からの第2レーザ光L2を利用してプローブ光L21及び参照光L22を得る一方で、光L3を第2光学系8によって分光スペクトル計測部19へ導くので、検査対象物の表面汚染物質に関する評価を行うためのプラズマを発生させる専用のレーザを備える必要がなく、小型化を図りつつ、検査対象物4の内部欠陥及び表面汚染物質それぞれの評価を同時に行う(リアルタイムで行う)ことが可能となる。
【0072】
(4)変形例
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、第1光学系3は、上述の第1光路、第2光路、第3光路及び第4光路を形成できるように構成されていればよく、図1に示した構成例に限らない。
【0074】
また、検査システム100は、第1制御装置15a及び第2制御装置15bを制御するコントローラを更に備えてもよい。コントローラは、第1制御装置15aによりミラー群14aを制御させるときに、第2制御装置15bにより反射ミラー群14bを制御させる。これにより、検査システム100では、コントローラが第1制御装置15aと第2制御装置15bとを一括して制御するので、検査対象物4の表面40上の第1レーザ光L1の照射位置を変えても光L3が分光スペクトル計測部19へ導かれるように第2制御装置15bが反射ミラー群14bを制御することができる。
【0075】
また、検査システム100では、第1制御装置15aは、第1光学系3に含まれているが、第1光学系3とは別に設けられていてもよい。
【0076】
また、検査システム100では、第2制御装置15bは、第2光学系8に含まれているが、第2光学系8とは別に設けられていてもよい。
【0077】
また、第2評価部21は、分光スペクトル計測部19により計測された分光スペクトルに基づいて検査対象物4の表面汚染物質に関する評価を行うだけでなく、検査対象物の組成の評価を更に行ってもよい。
【0078】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0079】
第1の態様に係る検査システム(100)は、パルスレーザ(1)と、振動検出用レーザ(2)と、光検出器(16)と、第1評価部(18)と、分光スペクトル計測部(19)と、第2評価部(21)と、第1光学系(3)と、第2光学系(8)と、を備える。パルスレーザ(1)は、検査対象物(4)の表面(40)を振動させるための第1レーザ光(L1)を出射する。振動検出用レーザ(2)は、検査対象物(4)の表面(40)の振動を検出するための第2レーザ光(L2)を出射する。光検出器(16)は、第2レーザ光(L2)により形成されるプローブ光(L21)及び参照光(L22)を検出する。第1評価部(18)は、光検出器(16)の出力信号に基づいて検査対象物(4)の内部欠陥に関する評価を行う。第2評価部(21)は、分光スペクトル計測部(19)により計測された分光スペクトルに基づいて検査対象物(4)の表面汚染物質に関する評価を行う。第1光学系(3)は、第1レーザ光(L1)と第2レーザ光(L2)との両方を検査対象物(4)の表面(40)へ導くためのミラー群(14a)を含む。第1光学系(3)は、第1レーザ光(L1)を検査対象物(4)へ導く第1光路と、第2レーザ光(L2)を検査対象物(4)へ導く第2光路と、検査対象物(4)の表面(40)に照射された第2レーザ光(L2)の反射光であるプローブ光(L21)を光検出器(16)へ導く第3光路と、振動検出用レーザ(2)から出射された第2レーザ光(L2)の一部である参照光(L22)を光検出器(16)へ導く第4光路と、が形成されるように構成されている。第2光学系(8)は、第1レーザ光(L1)が検査対象物(4)の表面(40)に照射されたときに検査対象物(4)から発生したプラズマによって発生し空気中を伝搬する光(L3)を分光スペクトル計測部(19)へ導くための反射ミラー群(14b)及びレンズ群(第3レンズ群10c)を含む。
【0080】
この態様によれば、小型化を図りつつ検査対象物(4)の内部欠陥及び表面汚染物質それぞれの評価を行うことが可能となる。
【0081】
第2の態様に係る検査システム(100)では、第1の態様において、第1光学系(3)は、ミラー群(14a)の位置と向きを制御する第1制御装置(15a)を更に含む。第2光学系(8)は、反射ミラー群(14b)の位置と向きを制御する第2制御装置(15b)を更に含む。第2制御装置(15b)は、第1制御装置(15a)によるミラー群(14a)の制御情報に基づいて反射ミラー群(14b)の位置と向きを制御する。
【0082】
この態様によれば、検査対象物(4)の表面(40)における第1レーザ光(L1)及び第2レーザ光(L2)の照射位置を走査した場合に、第1レーザ光(L1)の照射位置の変更に応じて反射ミラー群(14b)を制御することが可能であり、自動的に、光(L3)を分光スペクトル計測部(19)へ導くことが可能となる。
【0083】
第3の態様に係る検査システム(100)は、第1の態様において、コントローラを更に備える。第1光学系(3)は、ミラー群(14a)の位置と向きを制御する第1制御装置(15a)を更に含む。第2光学系(8)は、反射ミラー群(14b)の位置と向きを制御する第2制御装置(15b)を更に含む。コントローラは、第1制御装置(15a)によりミラー群(14a)を制御させるときに、第2制御装置(15b)により反射ミラー群(14b)を制御させる。
【0084】
この態様によれば、検査対象物(4)の表面(40)における第1レーザ光(L1)及び第2レーザ光(L2)の照射位置を走査した場合に、第1レーザ光(L1)の照射位置の変更に応じて反射ミラー群(14b)を制御することが可能であり、自動的に、光(L3)を分光スペクトル計測部(19)へ導くことが可能となる。
【0085】
第4の態様に係る検査システム(100)は、第1又は2の態様において、第1光学系(3)と第2光学系(8)とを収容している1つの筐体(30)を更に備える。
【0086】
この態様によれば、小型化を図ることが可能となる。
【0087】
第5の態様に係る検査システム(100)では、第1又は2の態様において、検査対象物(4)がコンクリートである。第2評価部(21)は、分光スペクトル計測部(19)で得られた分光スペクトルにおけるNaの発光強度に基づいてコンクリートに含まれる塩分量に関する評価を行う。
【0088】
この態様によれば、検査対象物(4)であるコンクリートに含まれる塩分量を評価することが可能となる。
【0089】
第6の態様に係る検査システム(100)では、第1又は2の態様において、検査対象物(4)がコンクリートである。第2評価部(21)は、分光スペクトル計測部(19)で得られた分光スペクトルにおけるNaの発光強度とCaの発光強度との比率に基づいてコンクリートに含まれる塩分量に関する評価を行う。
【0090】
この態様によれば、検査対象物(4)であるコンクリートに含まれる塩分量を評価することが可能となる。
【0091】
第7の態様に係る検査システム(100)では、第1~6の態様のいずれか一つにおいて、ミラー群(14a)は、検査対象物(4)の表面(40)との間において第1レーザ光(L1)の進行経路と第2レーザ光(L2)の進行経路とを一致させるように構成されている。
【0092】
この態様によれば、第1光学系(3)の小型化を図ることができ、検査システム(100)の更なる小型化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0093】
1 パルスレーザ
2 振動検出用レーザ
3 第1光学系
4 検査対象物
40 表面
6 欠陥評価装置
8 第2光学系
9 分光分析評価装置
10a 第1レンズ群
10b 第2レンズ群
10c 第3レンズ群(レンズ群)
11 測距計
12a 第1レンズ制御装置
12b 第2レンズ制御装置
13a ダイクロイックミラー
13b ハーフミラー
13c 反射ミラー
13d ハーフミラー
13e ハーフミラー
14a ミラー群
14aa ダイクロイックミラー
14ab 反射ミラー
14ac 反射ミラー
14b 反射ミラー群
14ba 反射ミラー
14bb 反射ミラー
15a 第1制御装置
15b 第2制御装置
16 光検出器
17 周波数分析部
18 第1評価部
19 分光スペクトル計測部
20 分光スペクトル分析部
21 第2評価部
30 筐体
L1 第1レーザ光
L2 第2レーザ光
L21 プローブ光
L22 参照光
L3 光
図1
図2
図3
図4