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  • 特開-ベルトコンベアの蛇行修正装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132639
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ベルトコンベアの蛇行修正装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20240920BHJP
   B65G 15/64 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65G43/02 E
B65G15/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043488
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村井 康夫
【テーマコード(参考)】
3F023
3F027
【Fターム(参考)】
3F023AA01
3F023BA01
3F023BC04
3F023GA03
3F027AA02
3F027CA07
3F027DA25
3F027EA01
3F027FA00
(57)【要約】
【課題】あらゆる方式のベルトコンベアに適用可能な簡単な構造でリアルタイムにベルトの蛇行を修正する。
【解決手段】蛇行修正装置は、ベルトコンベアの無端環状のベルトの周囲を覆うように内部に収容するケーシングの温度を検出する温度センサ部と、ベルトの長手方向両端の内周側に配置された、ベルトを回転可能に支持する一対のプーリのうちの少なくとも一つのプーリの回転軸の軸方向両端側を、それぞれ変位可能に支持する少なくとも一組の支持手段と、温度センサ部からの温度情報に基づいて、少なくとも一対の支持手段による回転軸の支持位置を可変制御する制御手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアの無端環状のベルトの周囲を覆うように内部に収容するケーシングの温度を検出する温度センサ部と、
前記ベルトの長手方向両端の内周側に配置された、前記ベルトを回転駆動可能に支持する一対のプーリのうちの少なくとも一つのプーリの回転軸の軸方向両端側を、それぞれ変位可能に支持する少なくとも一組の支持手段と、
前記温度センサ部からの温度情報に基づいて、少なくとも前記一対の支持手段による前記回転軸の支持位置を可変制御する制御手段と、
を備えた
ベルトコンベアの蛇行修正装置。
【請求項2】
前記温度センサ部は、前記ベルトの長手方向と交差する短手方向の両端側にそれぞれ設けられ、
前記制御手段は、それぞれ設けられた前記温度センサ部からの前記温度情報に基づいて、前記ケーシングの前記短手方向における温度差に伴う前記ベルトの変位量を判断し、判断結果に応じて少なくとも前記一組の支持手段の各々を制御して前記回転軸の前記支持位置を可変させる
請求項1記載のベルトコンベアの蛇行修正装置。
【請求項3】
前記ベルトの実変位量を検出可能な変位検出センサ部を更に備え、
前記制御手段は、前記判断結果に基づく前記ベルトの変位量及び前記変位検出センサ部により検出された前記ベルトの実変位量の少なくとも一方が、予め設定された所定値以上となった場合に、前記回転軸の前記支持位置を可変させる
請求項2記載のベルトコンベアの蛇行修正装置。
【請求項4】
前記変位検出センサ部は、前記ベルトの長手方向と交差する短手方向の両端側にそれぞれ設けられる
請求項3記載のベルトコンベアの蛇行修正装置。
【請求項5】
前記少なくとも一組の支持手段は、
前記回転軸の軸方向両端側をそれぞれ軸支し前記ケーシングのスライドガイドに沿って前記長手方向にスライド移動可能な複数の軸受部と、
一端側が前記ケーシングにそれぞれ取り付けられると共に、他端側が前記複数の軸受部にそれぞれ相対的に変位可能に接続された複数の伸縮機構部と、を含む
請求項1~4のいずれか1項記載のベルトコンベアの蛇行修正装置。
【請求項6】
前記複数の伸縮機構部は、エアシリンダ、油圧シリンダ及び電動式ボールねじのいずれか一つからなる
請求項5記載のベルトコンベアの蛇行修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアにおけるベルトの蛇行を修正する蛇行修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベルトコンベアのベルトの蛇行を修正するものとして、ベルトの走行方向に垂直な中心軸回りに揺動する揺動部材に、ベルトに上下から挟むように接触する一対の修正ローラと、ベルトの両側方に配置され揺動部材に対して回転自在な一対の検知ローラと、を設けた蛇行修正装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-186085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来技術の蛇行修正装置では、ベルトの側方の検知ローラがベルトと接することで、揺動部材が揺動しこれに伴い修正ローラが中心軸回りに傾くことで、ベルトを挟む位置を変化させて蛇行を修正するものである。このため、部品点数が多くなり構造が複雑で蛇行修正に関して機械的摩耗が発生し易いという問題がある。また、一対の修正ローラがベルトを上下で挟むように接する構造のため、バケット式のベルトコンベアには適用できないという問題もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、あらゆる方式のベルトコンベアに適用可能な簡単な構造でリアルタイムにベルトの蛇行を修正することができるベルトコンベアの蛇行修正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るベルトコンベアの蛇行修正装置は、ベルトコンベアの無端環状のベルトの周囲を覆うように内部に収容するケーシングの温度を検出する温度センサ部と、前記ベルトの長手方向両端の内周側に配置された、前記ベルトを回転駆動可能に支持する一対のプーリのうちの少なくとも一つのプーリの回転軸の軸方向両端側を、それぞれ変位可能に支持する少なくとも一組の支持手段と、前記温度センサ部からの温度情報に基づいて、少なくとも前記一対の支持手段による前記回転軸の支持位置を可変制御する制御手段と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記温度センサ部は、前記ベルトの長手方向と交差する短手方向の両端側にそれぞれ設けられ、前記制御手段は、それぞれ設けられた前記温度センサ部からの前記温度情報に基づいて、前記ケーシングの前記短手方向における温度差に伴う前記ベルトの変位量を判断し、判断結果に応じて少なくとも前記一組の支持手段の各々を制御して前記回転軸の前記支持位置を可変させる。
【0008】
本発明の他の実施形態において、前記ベルトの実変位量を検出可能な変位検出センサ部を更に備え、前記制御手段は、前記判断結果に基づく前記ベルトの変位量及び前記変位検出センサ部により検出された前記ベルトの実変位量の少なくとも一方が、予め設定された所定値以上となった場合に、前記回転軸の前記支持位置を可変させる。
【0009】
本発明の更に他の実施形態において、前記変位検出センサ部は、前記ベルトの長手方向と交差する短手方向の両端側にそれぞれ設けられる。
【0010】
本発明の更に他の実施形態において、前記少なくとも一組の支持手段は、前記回転軸の軸方向両端側をそれぞれ軸支し前記ケーシングのスライドガイドに沿って前記長手方向にスライド移動可能な複数の軸受部と、一端側が前記ケーシングにそれぞれ取り付けられると共に、他端側が前記複数の軸受部にそれぞれ相対的に変位可能に接続された複数の伸縮機構部と、を含む。
【0011】
本発明の更に他の実施形態において、前記複数の伸縮機構部は、エアシリンダ、油圧シリンダ及び電動式ボールねじのいずれか一つからなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、あらゆる方式のベルトコンベアに適用可能な簡単な構造でリアルタイムにベルトの蛇行を修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る蛇行修正装置の構成を模式的に示すベルトコンベアの一部正面図である。
図2】同蛇行修正装置が適用されたベルトコンベアの全体の外観を模式的に示す側面図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4図3のB-B線拡大断面図である。
図5】同蛇行修正装置によるベルトの蛇行修正処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】同蛇行修正装置によるベルトの蛇行修正の様子を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係るベルトコンベアの蛇行修正装置を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施形態において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、実施形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて、実際のものとは一致しない状態で示されている場合、並びに一部の構成要素につき記載が省略されて示されている場合がある。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る蛇行修正装置の構成を模式的に示すベルトコンベアの一部正面図である。図2は、蛇行修正装置が適用されたベルトコンベアの全体の外観を模式的に示す側面図である。図3は、図2のA部拡大図である。図4は、図3のB-B線拡大断面図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る蛇行修正装置10は、ベルトコンベア1に適用され、ベルトコンベア1のベルト2の蛇行を自動的に修正するものである。蛇行修正装置10は、例えば、センサ部11と、制御部12と、支持部13と、により構成され得る。なお、図1に示す状態をベルトコンベア1の正面とし、図1の紙面の奥行き方向を前後方向、及び図1の紙面の横方向を左右方向として説明する。
【0017】
センサ部11は、例えば、一対の温度センサ14,15と、一対の変位検出センサ16,17と、を含む。各センサ14~17は、例えば、ベルト2の長手方向と交差する短手方向の両端側に設けられる。一対の温度センサ14,15は、ベルト2の短手方向の両端側において、ケーシング5の外壁部5bに設けられている。一対の温度センサ14,15は、取り付けられたケーシング5の各外壁部5bにおける温度をそれぞれ検出する。
【0018】
一対の変位検出センサ16,17は、ベルト2の短手方向の両端側において、ケーシング5の外壁部5bに取り付けられている。一対の変位検出センサ16,17は、ケーシング5の外壁部5bから貫通した状態で内部空間に臨み、内壁部5a側においてベルト2の側端部の実際の位置を、例えば非接触でそれぞれ検出する。なお、変位検出センサ16,17は、ベルト2の側端部の実際の位置を接触により検出するタイプのセンサであっても良い。
【0019】
制御部12は、演算処理装置やパーソナルコンピュータ(PC)等のデバイスからなり、センサ部11からの検出信号に基づき支持部13の動作を制御する。制御部12には、例えば、ケーシング5の温度情報に関連する歪み具合を示すデータが記憶されている。また、制御部12には、ケーシング5の温度による歪み具合によって、ベルト2がどの程度変位して蛇行するか、どの程度の変位ならば許容されるか、等の変位量の判断基準を規定する予め設定された各種のデータ(しきい値等を含む)が記憶されている。
【0020】
支持部13は、ベルトコンベア1のベルト2を回転駆動可能に支持する一対のプーリのうちの少なくとも一つであるテールプーリ4を支持する。支持部13は、例えば、ベルト2の短手方向の両側に設けられた少なくとも一組の支持手段である左右のプーリ支持機構20,30を含む。このように構成された蛇行修正装置10の詳細については後述する。
【0021】
蛇行修正装置10が適用されるベルトコンベア1は、図2図4に示すように、いわゆるバケット方式のベルトコンベアであるが、これに限定されるものではない。ベルトコンベア1は、例えば屋外に配置され、無端環状のベルト2と、ベルト2に取り付けられた複数のバケット部9と、上記一対のプーリとしてのヘッドプーリ3及びテールプーリ4と、ケーシング5と、を備えて構成されている。
【0022】
ベルト2は、垂直方向が長手方向となるように配置されている。複数のバケット部9は、ベルト2の短手方向に複数個(例えば,3個)配置されると共に、長手方向に沿って所定間隔毎に配置されている。ヘッドプーリ3及びテールプーリ4は、ベルト2の長手方向両端の内周側に配置されている。
【0023】
ケーシング5は、複数のバケット部9が取り付けられたベルト2の周囲を覆い、ベルトコンベア1を内部に収容する、ベルトコンベア1の筐体として機能する。ケーシング5は、例えば水平断面が矩形状となる筒状の金属部材等からなる。ケーシング5には、上部のヘッドプーリ3側に、ヘッドプーリ3を回転駆動するモータ等の駆動機構を収容するヘッド側ケーシング6fと、ヘッドプーリ3の背面側の点検扉6eを開閉して点検等の作業を行うための作業台6gと、が設けられている。また、ケーシング5には、下部のテールプーリ4側に、正面側の点検口6aを開閉する点検扉6bと、底部近傍の複数の排出口6c,6cを開閉する複数の開閉扉6d,6dと、が設けられている。
【0024】
ヘッドプーリ3は、中心の回転軸3aの軸方向両端側が、固定軸受部3bにそれぞれ軸支された状態で、駆動機構により駆動されてベルト2を周回走行させるように回転する。テールプーリ4は、中心の回転軸4aの軸方向両端側を、それぞれ変位可能となるようにプーリ支持機構20,30により支持された状態で配置されている。なお、ベルト2は、ケーシング5の内部のテールプーリ4の近傍に設けられたガイドローラ機構8によって、ヘッドプーリ3及びテールプーリ4の間で所定のテンションを保った状態で周回走行するように案内される。
【0025】
このように構成されたベルトコンベア1においては、例えば、屋外の直射日光下で熱膨張による歪みがケーシング5に生じ、内部を周回走行するベルト2に蛇行が発生することがある。このような場合に、蛇行修正装置10は、例えば、熱膨張の歪みによるケーシング5の変形に伴うベルト2の変位量に応じて、例えばテールプーリ4の回転軸4aを変位させることで、ベルト2の蛇行を修正する。蛇行修正装置10は、回転軸4aの両側において左右のプーリ支持機構20,30をセンサ部11からの検出信号に基づきそれぞれ個別に動作させて回転軸4aを変位させることができるので、ベルト2の蛇行を直ぐに検出してリアルタイムでより細かく正確に修正可能に構成されている。
【0026】
すなわち、センサ部11の温度センサ14,15は、例えば、ケーシング5の左右の外壁部5bの温度を検出可能となるように設けられている。図示の例では、温度センサ14,15は、ベルト2の長手方向と交差する短手方向の両端側における、ケーシング5の長手方向の中央辺りにそれぞれ設けられているが、これに限定されるものではない。温度センサ14,15は、ケーシング5の内壁部5aに設けられていても良い。
【0027】
一組のプーリ支持機構20,30は、それぞれテールプーリ4の近傍におけるケーシング5の左右の外壁部5b側に設けられている。一組のプーリ支持機構20,30は、それぞれ軸受部27,37と、左右の伸縮機構部と、を含んで構成されている。軸受部27,37は、テールプーリ4の回転軸4aが左右に揺動可能となるように、転がり/すべり可能なタイプの軸受(例えば球面滑り軸受等)を含んで構成されている。軸受部27,37は、テールプーリ4の回転軸4aの軸方向両端側を軸支する。
【0028】
左右の伸縮機構部は、例えば、一端側がケーシング5の外壁部5bにそれぞれ取り付けられると共に、他端側が軸受部27,37にそれぞれ相対的に変位可能に接続された電動式ボールねじにより構成されている。なお、伸縮機構部は、電動式ボールねじと共に、或いは電動式ボールねじに代えて、例えばエアシリンダ及び油圧シリンダ等の伸縮構造体により構成しても良い。
【0029】
すなわち、伸縮機構部は、それぞれ駆動モータ21,31と、駆動ベルト22,32と、ねじ軸駆動部23,33と、ねじ軸24,34と、を含んでいる。駆動モータ21,31及びねじ軸駆動部23,33は、取付板25,35を介してケーシング5の外壁部5bに取り付けられている。
【0030】
ねじ軸駆動部23,33は、駆動ベルト22,32により回転されるロータ22a,32aと一体的に設けられたねじ軸駆動ナット部22b,32bと、ねじ軸駆動ナット部22b,32bをベアリング23b,33bを介して回転可能に支持する上下の支持体23a,33aと、を含む。なお、ねじ軸24,34の下方側の端部は、軸受部27,37に接続されている。
【0031】
軸受部27,37は、上下方向にスライド移動可能なスライダ部26,36と一体的に形成されている。スライダ部26,36は、ケーシング5の外壁部5bに設けられた、上下方向に延び且つ前後方向に一対のスライドガイド部材5cの間で上下方向にスライド移動する。軸受部27,37は、スライダ部26,36と共に、スライドガイド部材5cの間に上下に延びるように形成された軸移動孔5dに沿って、回転軸4aの軸方向両端側でそれぞれ上下に変位する。なお、上記の伸縮機構部は、公知の種々の構造を採用することができるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0032】
このように構成された伸縮機構部によれば、駆動モータ21,31による回転駆動によって、駆動ベルト22,32を介してロータ22a,32a及びねじ軸駆動ナット部22b,32bがねじ軸24,34を上下に移動させ、軸受部27,37が上下に変位する。これにより、テールプーリ4の回転軸4aが左右に揺動されて傾けられる。
【0033】
このように構成された蛇行修正装置10は、例えば、温度センサ14,15からの温度情報に基づく温度差によって、ケーシング5の左右の歪みを制御部12が各種データに基づき判断すると共に、この歪みによるベルト2の変位量を判断する。そして、ベルト2の変位量が蛇行修正が必要な程度である場合に、各種データに含まれるケーシング5の歪みに対しする回転軸4aの揺動具合を規定する情報に基づいて、プーリ支持機構20,30の伸縮機構部を制御し、蛇行に対して打ち消す揺動となるように回転軸4aを変位させる。
【0034】
なお、蛇行修正装置10は、変位検出センサ16,17からの検出情報のみを用いてベルト2の変位量を判断するように構成しても良いが、これら温度センサ14,15及び変位検出センサ16,17を組み合わせてベルト2の変位量を判断することが好ましい。このようにすれば、温度情報のみを用いる場合と比べて、より詳細且つリニアにベルト2の変位量を判断することが可能である。
【0035】
図5は、蛇行修正装置によるベルトの蛇行修正処理手順の一例を示すフローチャートである。図6は、同蛇行修正装置によるベルトの蛇行修正の様子を説明するための模式図である。図5に示すように、蛇行修正処理が開始されると、制御部12は、温度センサ14,15からの温度情報に基づきケーシング5の左右の温度を検出する(ステップS100)。次に、制御部12は、例えばケーシング5の左右の温度差に基づいて、ケーシング5の歪み状態を判断し、これに基づくベルト2の左右の変位量を判断する(ステップS101)。
【0036】
そして、判断したベルト2の左右の変位量が蛇行修正が必要な程度であるか否かを判断し(ステップS102)、蛇行修正が必要な程度であると判断した場合(ステップS102のYes)は、変位検出センサ16,17からの検出信号に基づいて、ベルト2の左右の実際の変位量(実変位量)を検出する(ステップS103)。
【0037】
そして、検出したベルト2の左右の実変位量が所定のしきい値以上であるか否かを判断し(ステップS104)、実変位量が所定のしきい値以上であると判断した場合(ステップS104のYes)は、制御部12は、プーリ支持機構20,30の伸縮機構部にベルト2の変位に応じて発生する蛇行を修正すべく左右の軸受部27,37に必要な移動量を算出し、駆動モータ21,31に駆動信号を送信して、テールプーリ4の回転軸4aの支持位置を変更する(ステップS105)制御を行う。
【0038】
なお、所定のしきい値は、例えばケーシング5の左右の温度差が所定値以上であり蛇行修正が必要な程度、ベルト2が変位しているであろうと判断されても、実際にはベルト2の実変位量が蛇行修正が必要な程度に変位していない場合があることを判断するために用いられる。
【0039】
こうして回転軸4aの支持位置を変更したら、オペレータのボタン操作等による終了命令に従って、蛇行修正処理のオペレーションを終了するか否かを判断し(ステップS106)、オペレーションを終了しないと判断した場合(ステップS106のNo)は、上記ステップS100に移行して以降の処理を繰り返す。
【0040】
一方、オペレーションを終了すると判断した場合(ステップS106のYes)、上記ステップS102にて蛇行修正が必要な程度ではないと判断した場合(ステップS102のNo)、及び上記ステップS104にて実変位量が所定のしきい値未満であると判断した場合(ステップS104のNo)は、本フローチャートによる一連の蛇行修正処理を終了する。このようにすれば、簡単な構造でリアルタイムにベルトの蛇行を修正することが可能となる。
【0041】
なお、上記フローチャートによる蛇行修正処理はあくまで一例であり、例えばケーシング5の温度検出とベルト2の変位量検出とを並行して実行し、いずれか一方の検出結果が蛇行修正が必要な程度であると判断した場合に蛇行修正を行うように構成したりすることも可能である。また、ベルト2の実変位量を常時監視して、実変位量が蛇行修正が必要な程度であると判断した場合に、ケーシング5の温度差に基づく歪み具合を判断し、これらを加味して蛇行修正を行うように構成したりすることもできる。
【0042】
上記ステップS105におけるテールプーリ4の回転軸4aの支持位置の変更は、例えば、図6に示すように、ベルト2がケーシング5の左側に蛇行したと判断した場合、プーリ支持機構20の軸受部27を図中矢印で示すようにケーシング5の下方に移動させると共に、プーリ支持機構30の軸受部37を図中矢印で示すようにケーシング5の上方に移動させる。これにより、ベルト2を図中二点鎖線で示すように変位させ、蛇行を修正する。ベルト2がケーシング5の右側に蛇行したと判断した場合は、プーリ支持機構20,30にこれと逆の制御を行えば良い。
【0043】
なお、上記実施形態では、ベルトコンベア1として垂直配置のバケット式のベルトコンベアを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、蛇行修正装置10は水平配置の通常のベルトコンベアにも適用することが可能である。このように、本実施形態の蛇行修正装置10によれば、あらゆる方式のベルトコンベアに適用可能であり、簡単な構造でリアルタイムにベルトの蛇行を修正することが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 ベルトコンベア
2 ベルト
3 ヘッドプーリ
3a,4a 回転軸
5 ケーシング
5a 内壁部
5b 外壁部
10 蛇行修正装置
11 センサ部
12 制御部
13 支持部
14,15 温度センサ
16,17 変位検出センサ
20,30 プーリ支持機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6