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特開2024-132642ストレス情報提示判定装置及びストレス情報提示判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132642
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ストレス情報提示判定装置及びストレス情報提示判定方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240920BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240920BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/16 110
A61B5/16 120
G06F3/01 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043494
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮浦 峻平
(72)【発明者】
【氏名】原田 篤
(72)【発明者】
【氏名】石川 博規
【テーマコード(参考)】
4C038
5E555
5L099
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PS00
4C038PS01
5E555AA11
5E555AA48
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC04
5E555CA41
5E555CB69
5E555DA23
5E555DA24
5E555FA00
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】対話相手のストレスが検知された場合に、対話関係者の内受容感覚に即したストレス情報を提示できるストレス情報提示判定装置及びストレス情報提示判定方法を提供する。
【解決手段】ストレス情報提示判定装置1は、個人を特定する識別情報に、個人の内受容感覚力を対応付けて保持する内受容感覚力データベース12と、個人の生体情報に基づいて個人のストレスを検知するストレス検知装置20から、ストレス付与者の識別情報と、ストレス感取者の識別情報とを取得する通信部10と、ストレス付与者の識別情報と、ストレス感取者の識別情報とに基づいて、ストレス付与者の内受容感覚力及びストレス感取者の内受容感覚力を内受容感覚力データベースから取得し、ストレス付与者の内受容感覚力と、ストレス感取者の内受容感覚力との少なくとも何れかに基づいて、ストレス情報の提示方法を決定する決定・指示部11とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人間の対話中のストレスを検知したことに基づいて前記個人に提示するストレス情報を判定するストレス情報提示判定装置であって、
前記個人を特定する識別情報に、前記個人の内受容感覚力を対応付けて保持する内受容感覚力データベースと、
前記個人の生体情報に基づいて前記個人のストレスを検知するストレス検知装置から、前記ストレスを与えた側の個人であるストレス付与者の前記識別情報と、前記ストレスを感じた側の個人であるストレス感取者の前記識別情報とを取得する通信部と、
前記通信部によって取得された前記ストレス付与者の前記識別情報と、前記ストレス感取者の前記識別情報とに基づいて、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力及び前記ストレス感取者の前記内受容感覚力を前記内受容感覚力データベースから取得し、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力と、前記ストレス感取者の前記内受容感覚力との少なくとも何れかに基づいて、前記ストレス情報の提示方法を決定する決定・指示部と
を備えるストレス情報提示判定装置。
【請求項2】
前記内受容感覚力を判定する判定部を備え、
前記決定・指示部は、前記識別情報と対応付けられた前記内受容感覚力が前記内受容感覚力データベースに保持されていない場合、前記識別情報と対応付けられた判定対象の前記個人である対象個人の前記内受容感覚力の判定を前記判定部に指示し、
前記判定部は、前記対象個人に対して感情アクチュエーション情報を提示し、前記感情アクチュエーション情報を提示した前記対象個人に引き込み現象が発生したか否かに基づいて、前記対象個人の内受容感覚力を前記内受容感覚力データベースに登録する請求項1に記載のストレス情報提示判定装置。
【請求項3】
前記内受容感覚力データベースは、前記内受容感覚力の高低を保持する請求項1に記載のストレス情報提示判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、音声または振動による擬似的な心拍を表現する前記感情アクチュエーション情報を前記対象個人に提示する請求項2に記載のストレス情報提示判定装置。
【請求項5】
前記決定・指示部は、前記内受容感覚力データベースが前記内受容感覚力を数値で保持している場合、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力及び前記ストレス感取者の前記内受容感覚力の少なくとも何れかと対応付けられる所定の閾値に基づいて、前記ストレス情報の提示方法を決定する請求項1に記載のストレス情報提示判定装置。
【請求項6】
個人間の対話中のストレスを検知したことに基づいて前記個人に提示するストレス情報を判定するストレス情報提示判定方法であって、
ストレス情報提示判定装置が、前記個人を特定する識別情報に、前記個人の内受容感覚力を対応付けて保持するステップと、
前記ストレス情報提示判定装置が、前記個人の生体情報に基づいて前記個人のストレスを検知するストレス検知装置から、前記ストレスを与えた側の個人であるストレス付与者の前記識別情報と、前記ストレスを感じた側の個人であるストレス感取者の前記識別情報とを取得するステップと、
前記ストレス情報提示判定装置が、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力及び前記ストレス感取者の前記内受容感覚力との少なくとも何れかに基づいて、前記ストレス情報の提示方法を決定するステップと
を含むストレス情報提示判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対話相手のストレスに関する情報を関係者に提示できるストレス情報提示判定装置及びストレス情報提示判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレスを生体情報に基づいて検知し、対話相手に通知することによって、ストレスを感じている人への共感を促す技術が知られている(非特許文献1)。当該技術では、対話者の皮膚電位を読み取り、覚醒度に変化があった際に、相手への通知を行っている。
【0003】
例えば、覚醒度が高い状態から低い状態に変化した場合、強度が徐々に減少する振動によって相手に通知し、覚醒度が低い状態から高い状態に変化した場合、強度が徐々に増加する振動によって相手に通知している。これにより、対話相手がどのような言葉や態度によって、どのようなストレスを感じるかをより正確に知ることができ、適切な言葉や態度を選ぶことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Rojas, C., Corral, M., Poulsen, N., & Maes, P., Project us: A wearable for enhancing empathy. In Companion Publication of the 2020 ACM Designing Interactive Systems Conference (pp. 139-144), July 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、相手の身になって考えることによって、より適切な言葉や態度で接することが可能になるが、体質的に他者への共感が困難な人もいる。内受容感覚が低い人は、他者への共感力も低いことが知られている。内受容感覚とは、「緊張している」、「リラックスしている」など、身体内部の生理的な状態を捉える感覚であり、端的には自身の身体の状態に気づく感度のことであり、内受容感覚が高い人は、自身の心拍数をかなり正確に言い当てることができる。
【0006】
このため、内受容感覚が低い人に対しては、上述したような従来技術によって共感を促しても、適切な対処がなされない可能性がある。相手がストレスを感じていることを実感できないために必要性を感じず、適切な対処をしなかったり、対処自体がなされなかったりする懸念がある。
【0007】
さらに、内受容感覚が低い人には感情アクチュエーション技術の効果も薄く、従来技術の振動パタンによる感情誘導も期待できない。内受容感覚が低い人は、疑似心拍による感情誘導効果が低いことが知られており、振動パタンを使い分けても単純な通知以上の効果が期待できない。
【0008】
また、内受容感覚が低い人は、自分自身のストレスにも気づきにくいため、相手がストレスを感じていることを示すストレス通知を受けた(ストレス情報の提示と呼ばれてもよい)人に対処する気があっても、相手に対して適切な対応ができない可能性がある。例えば、自分に対して、相手がストレスを感じていることを示すストレス情報が提示された場合、「何か気になることがあった?」と聞くのが定石であるが、自分自身が気づけていないために、相手から適切な回答が得られない。そのため、相手に対して適切な対処がなされず、ストレスを受けた人は、知らないうちにストレスを蓄積し、体調を崩すなどの懸念がある。
【0009】
以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、対話相手のストレスが検知された場合に、対話関係者の内受容感覚に即したストレス情報を提示できるストレス情報提示判定装置及びストレス情報提示判定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、個人間の対話中のストレスを検知したことに基づいて前記個人に提示するストレス情報を判定するストレス情報提示判定装置(ストレス情報提示判定装置1, ストレス情報提示判定装置1A)であって、前記個人を特定する識別情報に、前記個人の内受容感覚力を対応付けて保持する内受容感覚力データベース(内受容感覚力データベース12)と、前記個人の生体情報に基づいて前記個人のストレスを検知するストレス検知装置(ストレス検知装置20)から、前記ストレスを与えた側の個人であるストレス付与者の前記識別情報と、前記ストレスを感じた側の個人であるストレス感取者の前記識別情報とを取得する通信部(通信部10)と、前記通信部によって取得された前記ストレス付与者の前記識別情報と、前記ストレス感取者の前記識別情報とに基づいて、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力及び前記ストレス感取者の前記内受容感覚力を前記内受容感覚力データベースから取得し、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力と、前記ストレス感取者の前記内受容感覚力との少なくとも何れかに基づいて、前記ストレス情報の提示方法を決定する決定・指示部(決定・指示部11)とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係るストレス情報提示判定装置及びストレス情報提示判定方法によれば、対話相手のストレスが検知された場合に、対話関係者の内受容感覚に即したストレス情報の判定及び通知が可能となり、対話関係者に適切な対応を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ストレス情報提示判定装置1の全体構成図である。
図2図2は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例を示す図である。
図3図3は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定フローを示す図である。
図4図4は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例(変更例1)を示す図である。
図5図5は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例(変更例2)を示す図である。
図6図6は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例(変更例3)を示す図である。
図7図7は、ストレス情報提示判定装置1Aの全体構成図である。
図8図8は、ストレス情報提示判定装置1Aによる内受容感覚力の診断及び登録フローを示す図である。
図9図9は、ストレス情報提示判定装置1Aによる内受容感覚力の診断及び登録フローを示す図である。
図10図10は、ストレス情報提示判定装置1Aによる内受容感覚力の診断及び登録フローを示す図である。
図11図11は、パワハラのペナルティ表示例である。
図12図12は、対話相手がストレスに気づいていない可能性があること示す表示例である。
図13図13は、自分自身がストレスに気づいていない可能性があること示す表示例である。
図14図14は、ストレス情報提示判定装置1及びストレス情報提示判定装置1Aのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0014】
[第1実施形態]
(1)ストレス情報提示判定装置1の全体構成
第1実施形態に係るストレス情報提示判定装置1の全体構成について説明する。図1は、ストレス情報提示判定装置1の全体構成図である。ストレス情報提示判定装置1は、ストレス検知装置20及びストレス情報提示装置30と接続されてよい。ストレス情報提示判定装置1は、個人間の対話中のストレスを検知したことに基づいて当該個人に提示するストレス情報を判定する。
【0015】
ストレス検知装置20は、個人41と個人42との間における対話中のストレスを検知できる。対話中のストレスの検知方法は、公知のアルゴリズムが用いられてよい。例えば、心拍変動(Heart Rate Variability)や皮膚電位などの個人41及び個人42の生体情報に基づいてストレスを検知する方法などが挙げられる。
【0016】
ストレス情報提示装置30は、ストレス情報提示判定装置1からの指示に基づいて、個人41及び個人42の少なくとも何れか、或いは両方に対して、対話中のストレスに関連するストレス情報を当該個人(または対話関係者でもよい)に提示する。対話関係者とは、対話に参加した個人、当該個人と私的または公的な何らかの関係を有する個人(家族、上司など)が含まれてもよい。
【0017】
ストレス情報提示判定装置1は、通信部10、決定・指示部11及び内受容感覚力データベース12を含んで構成される。
【0018】
通信部10は、ストレス検知装置20からネットワークを介して、ストレス発生の対象者及び対話相手の識別情報を受信する。通信部10は、受信した当該識別情報を決定・指示部11に伝達する。識別情報は、個人を特定可能な情報であれば、特に限定されない。例えば、氏名でもよいし、他の情報要素(所属、住所、年齢、性別など)が適宜組み合わされてもよい。
【0019】
ストレス発生の対象者は、対話中にストレスを与えた側の個人(以下、ストレス付与者とも呼ぶ)でもよいし、対話中にストレスを感じた側の個人(以下、ストレス感取者とも呼ぶ)でもよい。
【0020】
通信部10は、上述したように、個人(個人41及び個人42)の生体情報に基づいて当該個人のストレスを検知するストレス検知装置20から、ストレスを与えた側の個人であるストレス付与者の識別情報と、ストレスを感じた側の個人であるストレス感取者の識別情報とを取得できる。
【0021】
また、通信部10は、ネットワークを介して、決定・指示部11から出力されたストレス情報の提示方法をストレス情報提示装置30に送信する。
【0022】
決定・指示部11は、通信部10から伝達されたストレス感取者及びストレス付与者の識別情報に基づいて、内受容感覚力データベース12から当該個人の内受容感覚力に関する情報を取得する。内受容感覚とは、例えば、「緊張している」、「リラックスしている」など、身体内部の生理的な状態を捉える感覚であり、端的には自身の身体の状態に気づく感度と解釈されてもよい。また、内受容感覚力は、内受容感覚の感じ易さのレベルを示すものと解釈されてよい。内受容感覚力は、高低の2段階でもよいし、3段階以上の多段階でもよい。或いは、内受容感覚力は、内受容感覚の感じ易さのレベルに応じて数値化されてもよい。
【0023】
決定・指示部11は、当該個人の内受容感覚に基づいて、ストレス情報の提示方法(通知方法)を判定する。決定・指示部11は、通信部10を介してストレス情報の提示方法をストレス情報提示装置30に通知する。
【0024】
このように、決定・指示部11は、通信部10によって取得されたストレス付与者の識別情報と、ストレス感取者の識別情報とに基づいて、ストレス付与者の内受容感覚力及びストレス感取者の内受容感覚力を内受容感覚力データベース12から取得できる。決定・指示部11は、ストレス付与者の内受容感覚力と、ストレス感取者の内受容感覚力との少なくとも何れかに基づいて、ストレス情報の提示方法を決定できる。
【0025】
具体的には、決定・指示部11は、ストレス付与者の内受容感覚力の高さと、ストレス感取者の内受容感覚力の高さとの一方または両方に基づいて、ストレス付与者及び/またはストレス感取者に提示されるストレス情報の内容を決定できる。なお、提示されるストレス情報の例については、後述する。
【0026】
また、決定・指示部11は、内受容感覚力データベース12が個人の内受容感覚力を数値で保持している場合、ストレス付与者の内受容感覚力及びストレス感取者の内受容感覚力の少なくとも何れかと対応付けられる所定の閾値に基づいて、ストレス情報の提示方法を決定してもよい。
【0027】
具体的には、決定・指示部11は、ストレス付与者の内受容感覚力の数値が事前に規定された閾値よりも高いか否かを判定し、当該数値が閾値より高い場合、例えば、ストレス軽減に寄与し得るストレス情報のストレス付与者への提示を決定してよい。一方、決定・指示部11は、ストレス付与者の内受容感覚力の数値が閾値より低い場合、相手がストレスを感じており、自分には対処すべき責務があることを認識し得るストレス情報のストレス付与者への提示を決定してよい。
【0028】
また、決定・指示部11は、ストレス感取者の内受容感覚力の数値が事前に規定された閾値よりも高いか否かを判定し、当該数値が閾値より低い場合、例えば、ストレス感取者が自身のストレスに気づいていないことを示唆するストレス情報のストレス感取者への提示を決定してよい。なお、ストレス情報の具体的な提示例については、さらに後述する。
【0029】
内受容感覚力データベース12は、個人の内受容感覚力に関する情報によって構成される。具体的には、内受容感覚力データベース12は、個人(例えば、個人41及び個人42)毎の内受容感覚力を示す情報を保持してよい。内受容感覚力データベース12は、個人を特定する識別情報に、当該個人の内受容感覚力を対応付けて保持する。内受容感覚力データベース12は、内受容感覚力個人データベースと呼ばれてもよい。
【0030】
上述したように、内受容感覚力は、高低の2段階、3段階以上の多段階、或いは内受容感覚の感じ易さのレベルに応じた数値として表現できるため、内受容感覚力データベース12は、内受容感覚力の高低を保持してもよいし、内受容感覚力を数値で保持してもよい。また、内受容感覚力データベース12は、内受容感覚力以外の個人に関する情報を保持してもよい。
【0031】
このように、内受容感覚力データベース12は、事前に検査、登録した個人それぞれの内受容感覚力を格納・保持できる。内受容感覚力の計測方法としては、心拍測定器を用いて計測した客観的な数値と、主観的に感じた数値を報告させたレポートとの差異に基づいて計算されてよい。具体的には、次のような数式に基づいて、数値が計算されてもよい。
【0032】
1-|実際の心拍-レポート心拍|/実際の心拍
当該数値を内受容感覚力としてよい。検査方法の詳細は、例えば、非特許文献(i):Xu, M., Tachibana, T., Suzuki, N., Hoshino, E., Terasawa, Y., Miki, N., & Minagawa, Y., The effect of haptic stimulation simulating heartbeats on the regulation of physiological responses and prosocial behavior under stress: The influence of interoceptive accuracy. Biological Psychology, 164, 108172, 2021年に従ってよい。
【0033】
或いは、内受容感覚力データベース12に事前登録される内受容感覚力は、アンケートを利用して取得されてもよい。例えば、非特許文献(ii):Multidimensional Assessment of Interoceptive Awareness(MAIA) 内受容感覚への気づきの多次元的アセスメントの「5.感情への気づき」の総合特定が用いられてもよい。
【0034】
或いは、事前に音声または振動による疑似心拍情報を提示し、引き込み現象が生じたか否かによって判定してもよい。例えば、疑似心拍に合わせて心拍数が増減すれば、内受容感覚力が高いとし、増減しなければ低いとする(検査の詳細は、非特許文献(i)に従ってよい)。
【0035】
(2)ストレス情報の提示方法の決定例
図2は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例を示す。図2に示すように、ストレスを与えた人(ストレス付与者)の内受容感覚力が高い場合、ストレスを与えた人に疑似心拍のような感情誘導技術を提示し、共感を促す(図の52, 54、以下同様)。逆に、ストレスを与えた人の内受容感覚力が低い場合、パワハラ(パワーハラスメント)を犯した場合に課せられるペナルティ説明を表示し、対応を促す(51, 53)。さらに、ストレスを受けた人の内受容感覚力が低い場合、相手がストレスに気づけていないが身体には負荷が掛かっていることも併せてストレスを与えた人に伝達する(53,54)。なお、ストレス情報の提示方法の決定例について、さらに後述する。
【0036】
(3)ストレス情報提示判定装置1の動作
次に、ストレス情報提示判定装置1の動作について説明する。図3は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定フローを示す。図3に示すように、ストレス情報提示判定装置1(決定・指示部11)は、通信部10を介してストレス検知装置20からストレス検知情報を受信したか否かを判定する(S101)。
【0037】
ストレス情報提示判定装置1は、ストレス検知情報を受信した場合、当該ストレス検知情報に含まれるストレスを受けた人(ストレス感取者)と与えた人(ストレス付与者)との識別情報に基づいて、当該個人の内受容感覚力の情報を内受容感覚力データベース12から取得する(S102)。
【0038】
ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを与えた人の内受容感覚力が事前に定めた閾値より低いか否かを判定する(S103)。ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを与えた人の内受容感覚力が事前に定めた閾値を超える場合、疑似心拍などの感情をアクチュエートし、ストレス付与者の共感を促す情報提示をすべき旨をストレス情報提示装置30に指示する(S104)。なお、ストレス付与者の共感を促す情報提示は、上述したように、音声または振動による疑似心拍情報のストレス付与者への提示など、感情誘導技術を提示し、共感を促すものであればよい。
【0039】
ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを与えた人の内受容感覚力が事前に定めた閾値以下の場合、パワハラのペナルティなどの情報を表示すべき旨をストレス情報提示装置30に指示する(S105)。例えば、ストレス情報提示判定装置1は、パワハラに関する社会的リスクを表示すべき旨をストレス情報提示装置30に指示してよい。
【0040】
ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを受けた人の内受容感覚力が事前に定めた閾値より低いか否かを判定する(S106)。ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを受けた人の内受容感覚力が事前に定めた閾値以下の場合、ストレスを受けた人が自分のストレスに気づけていない可能性に留意すべき旨をストレス情報提示装置30に指示する(S107)。
【0041】
(4)作用・効果
本実施形態に係るストレス情報提示判定装置1によれば、対話中にストレス検知装置20によって検知されたストレス検知情報に基づくストレス情報の提示において、対話関係者の内受容感覚力に応じた適切な情報提示を実現できる。
【0042】
ストレスを与えた人の内受容感覚力が高ければ、共感を促すことによって、より親身になった対応が期待できる。また、ストレスを与えた人の内受容感覚力が低く、共感力が乏しい場合でも、社会的ルールとして対応すべきことを促すことができる。さらに、ストレスを受けた当人の内受容感覚力が低い場合でも、ストレスを与えた人に対して、ストレスを受けた人が気づかずとも身体がストレスを感じている可能性を提示することによって、さらなるストレスの蓄積を抑制することが期待できる。
【0043】
なお、本実施形態では、ストレス情報提示判定装置1の動作例の一部について説明したが、このような動作例に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、ストレスを受けた人とストレスを与えた人との内受容感覚力に基づいてストレス情報の提示方法を決定していたが、ストレスを与えた人またはストレスを受けた人の何れかの内受容感覚力に基づいて、ストレス情報の提示方法が決定されてもよい。また、ストレスを受けた人に対して何らかのストレス情報が提示されてもよい(後述の変形例などを参照)。
【0044】
(5)変形例1
図3のステップS102において、ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを与えた人の内受容感覚力のみを対象としてよい。この場合、ステップS106, S107の処理は、省略されてよい。図4は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例(変更例1)を示す。
【0045】
図4に示すように、ストレスを受けた人の内受容感覚力が分からない場合でも、少なくともストレスを与えた人に対するストレス情報の提示方法を決定してよい(55, 56)。
【0046】
(6)変形例2
図3のステップS102において、ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを受けた人の内受容感覚力のみを対象としてよい。この場合、ステップS103~S105の処理は、省略されてよい。図5は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例(変更例2)を示す。
【0047】
図5に示すように、ストレスを与えた人の内受容感覚力が分からない場合でも、少なくともストレスを受けた人に対するストレス情報の提示方法を決定してよい(55, 56)。
【0048】
(7)変形例3
図3のステップS107において、ストレス情報提示判定装置1は、ストレスを与えた人だけでなく、ストレスを受けた人の内受容感覚力も対象としてよい。ストレスを受けた人についても、自分自身がストレスに気づいていない可能性に留意すべき旨が通知されてよい。図6は、ストレス情報提示判定装置1によるストレス情報の提示方法の決定例(変更例3)を示す。
【0049】
図6に示すように、ストレスを受けた人は、自分自身は気づかずとも、身体に負担が生じている可能性があることを認識できる(58, 59)。
【0050】
[第2実施形態]
本実施形態は、疑似心拍を提示した際の個人の反応を測定し、当該測定の結果を内受容感覚力データベース12に反映する点において、第1実施形態と異なる。以下、主に上述した第1実施形態の構成及び動作との相違点について説明するものとし、上述した第1実施形態と同一の部分については、その説明を適宜省略する。
【0051】
(1)ストレス情報提示判定装置1の全体構成
図7は、ストレス情報提示判定装置1Aの全体構成図である。ストレス情報提示判定装置1Aは、図1に示したストレス情報提示判定装置1と比較すると、さらに内受容感覚力判定部13を備える。
【0052】
内受容感覚力判定部13は、個人(個人41及び個人42など)の内受容感覚力を判定する。本実施形態において、内受容感覚力判定部13は、判定部を構成してよい。
【0053】
内受容感覚力判定部13は、内受容感覚力データベース12に関係者の情報が登録されていなかった場合、当該関係者個人の内受容感覚力を診断する。決定・指示部11は、ストレスを受けた人またはストレスを与えた人の少なくとも一方の情報が内受容感覚力データベース12に登録されていなかった場合、ストレス情報提示装置30へのストレス情報の提示方法を指示する前に、内受容感覚力判定部13に当該個人の診断を指示できる。
【0054】
具体的には、決定・指示部11は、ストレスを受けた人(ストレス感取者)またはストレスを与えた人(ストレス付与者)の識別情報と対応付けられた内受容感覚力が内受容感覚力データベース12に保持されていない場合、当該識別情報と対応付けられた判定(診断)対象の個人(対象個人)の内受容感覚力の判定を内受容感覚力判定部13に指示してよい。
【0055】
内受容感覚力判定部13は、当該対象個人に対して感情アクチュエーション情報を提示し、感情アクチュエーション情報を提示した当該対象個人に引き込み現象が発生したか否かに基づいて、当該対象個人の内受容感覚力を内受容感覚力データベース12に登録してよい。例えば、内受容感覚力判定部13は、音声または振動による擬似的な心拍を表現する感情アクチュエーション情報を当該対象個人に提示してよい。
【0056】
(2)ストレス情報提示判定装置1Aの動作
次に、ストレス情報提示判定装置1Aの動作について説明する。図8図10は、ストレス情報提示判定装置1Aによる内受容感覚力の診断及び登録フローを示す。以下、図3に示した動作と同様の部分については、適宜説明を省略する。
【0057】
図8に示すように、ストレス情報提示判定装置1Aは、ストレスを受けた人と、ストレスを与えた人との内受容感覚力の情報を内受容感覚力データベース12から取得できたか否かを判定する(S201)。ストレス情報提示判定装置1A(決定・指示部11)は、内受容感覚力の情報を取得できなかった場合、内受容感覚力判定部13に指示を送信する(S202)。
【0058】
図9に示すように、ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、内受容感覚力の判定(診断)実行の指示を決定・指示部11から受信したか否かを判定する(S203)。
【0059】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、当該指示を受信した場合、ストレスを与えた人の内受容感覚力の情報が取得できたか否かを判定する(S204)。
【0060】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを与えた人の内受容感覚力の情報が取得できなかった場合、ストレスを与えた人の心拍数を取得し、事前に定めた閾値より高いか否かを判定する(S205)。
【0061】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを与えた人の心拍数が当該閾値以下の場合、心拍数が高い疑似心拍を音声、または振動による触覚などによってストレスを与えた人に提示する(S206)。
【0062】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを与えた人の心拍数が当該閾値より高い場合、心拍数が低い疑似心拍を音声、または振動による触覚などによってストレスを与えた人に提示する(S207)。
【0063】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、疑似心拍によって、ストレスを与えた人に引き込み現象が発生したか否かを判定する(S208)。引き込み現象の発生は、提示した疑似心拍に応じて心拍数が低くなったり、高くなったりしたか否かによって判断されてよい。事前に定めた心拍数の変化率或いは変化数の閾値を用いて心拍数の高低が判断されてよい。
【0064】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを与えた人に引き込み現象が発生した場合、ストレスを与えた人の内受容感覚力が高いものとして内受容感覚力データベース12に登録する(S209)。
【0065】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを与えた人に引き込み現象が発生しなかった場合、ストレスを与えた人の内受容感覚力が低いものとして内受容感覚力データベース12に登録する(S210)。
【0066】
図10に示すように、ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを受けた人の内受容感覚力の情報が取得できたか否かを判定する(S211)。
【0067】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを受けた人の内受容感覚力の情報が取得できなかった場合、心拍数が低い疑似心拍を音声、または振動による触覚などによってストレスを受けた人に提示する(S212)。
【0068】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、疑似心拍によって、ストレスを受けた人に引き込み現象が発生したか否かを判定する(S213)。引き込み現象の発生は、提示した疑似心拍に応じて心拍数が低くなったか否かによって判断されてよい。事前に定めた心拍数の変化率或いは変化数の閾値を用いて心拍数の高低が判断されてよい。
【0069】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを受けた人に引き込み現象が発生した場合、ストレスを受けた人の内受容感覚力が高いものとして内受容感覚力データベース12に登録する(S214)。
【0070】
ストレス情報提示判定装置1A(内受容感覚力判定部13)は、ストレスを受けた人に引き込み現象が発生しなかった場合、ストレスを与えた人の内受容感覚力が低いものとして内受容感覚力データベース12に登録する(S215)。
【0071】
(3)作用・効果
本実施形態に係るストレス情報提示判定装置1Aによれば、対話者のストレスを検知した場面において、対話関係者の内受容感覚力を判定することができる。従って、事前に内受容感覚力データベース12に内受容感覚力の情報が登録されていなくても、ストレス情報の提示方法をタイムリーに判定できる。
【0072】
[表示情報例]
次に、上述した第1実施形態及び第2実施形態において用いられる表示情報の例について説明する。図11は、パワハラのペナルティ表示例である。図11に示すように、パワーハラスメントに該当する行為は社会的なリスクがあることを、ストレスを与えた人に対して知らせることができる。
【0073】
図12は、対話相手がストレスに気づいていない可能性があること示す表示例である。図12に示すように、対話相手が無意識にストレスをためている可能性があること、及びその可能性を踏まえて対話内容を振り返り、是正すべきことを、ストレスを与えた人に対して促すことができる。
【0074】
図13は、自分自身がストレスに気づいていない可能性があること示す表示例である。図13に示すように。自分自身が無意識にストレスをためている可能性があること、及びその可能性を踏まえて意識的な休養の取得などを、ストレスを受けている人に対して促すことができる。
【0075】
なお、図11図13に示した表示例の文言は、あらかじめストレス情報提示判定装置内に保持されていてもよいし、人工知能(AI)を活用し、内受容感覚力データベース12に登録した個人の特徴、及び/または当該個人の環境なども考慮して自動的に生成するようにしてもよい。
【0076】
[その他の実施形態]
以上、実施例に沿って本提案の内容を説明したが、本提案はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0077】
例えば、上述した実施形態では、ストレスの用語を用いていたが、ストレスは、精神的緊張、心身に生じるひずみまたはゆがみ、刺激により引き起こされる非特異的な生体反応などと同義と解釈されてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、個人間の対話中のストレスを対象としていたが、対話の形式は、一対一でもよいし、3名以上の複数人間の対話(会話)が含まれてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(図1,7)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置または上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0080】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。何れも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0081】
さらに、上述したストレス情報提示判定装置1及びストレス情報提示判定装置1Aは、本開示のストレス情報提示判定方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図14は、ストレス情報提示判定装置1及びストレス情報提示判定装置1Aのハードウェア構成の一例を示す図である。図14に示すように、ストレス情報提示判定装置1及びストレス情報提示判定装置1Aは、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0082】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。当該装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つまたは複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0083】
当該装置の各機能ブロック(図1,7参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0084】
また、当該装置における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0085】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)によって構成されてもよい。
【0086】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。さらに、上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいし、2つ以上のプロセッサ1001により同時または逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0087】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Read Only Memory(ROM)、Erasable Programmable ROM(EPROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、Random Access Memory(RAM)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0088】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Compact Disc ROM(CD-ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0089】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0090】
通信装置1004は、例えば周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)及び時分割複信(Time Division Duplex:TDD)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0091】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0092】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0093】
さらに、当該装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor: DSP)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Programmable Logic Device(PLD)、Field Programmable Gate Array(FPGA)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部または全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0094】
本開示において説明した各態様/実施形態は、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4th generation mobile communication system(4G)、5th generation mobile communication system(5G)、Future Radio Access(FRA)、New Radio(NR)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、Ultra-WideBand(UWB)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
【0095】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0096】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0097】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0098】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(Digital Subscriber Line:DSL)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0099】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0100】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0101】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0102】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0103】
本開示においては、「基地局(Base Station:BS)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0104】
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(Remote Radio Head:RRH)によって通信サービスを提供することもできる。
【0105】
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部または全体を指す。
【0106】
本開示においては、「移動局(Mobile Station:MS)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(User Equipment:UE)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0107】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0108】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型または無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのInternet of Things(IoT)機器であってもよい。
【0109】
また、本開示における基地局は、移動局(ユーザ端末、以下同)として読み替えてもよい。例えば、基地局及び移動局間の通信を、複数の移動局間の通信(例えば、Device-to-Device(D2D)、Vehicle-to-Everything(V2X)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、基地局が有する機能を移動局が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネル(またはサイドリンク)で読み替えられてもよい。
【0110】
同様に、本開示における移動局は、基地局として読み替えてもよい。この場合、移動局が有する機能を基地局が有する構成としてもよい。
【0111】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
【0112】
参照信号は、Reference Signal(RS)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
【0113】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0114】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0115】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0116】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0117】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0118】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0119】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0120】
(付記)
上述した開示は、以下のように表現されてもよい。第1の特徴は、個人間の対話中のストレスを検知したことに基づいて前記個人に提示するストレス情報を判定するストレス情報提示判定装置であって、前記個人を特定する識別情報に、前記個人の内受容感覚力を対応付けて保持する内受容感覚力データベースと、前記個人の生体情報に基づいて前記個人のストレスを検知するストレス検知装置から、前記ストレスを与えた側の個人であるストレス付与者の前記識別情報と、前記ストレスを感じた側の個人であるストレス感取者の前記識別情報とを取得する通信部と、前記通信部によって取得された前記ストレス付与者の前記識別情報と、前記ストレス感取者の前記識別情報とに基づいて、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力及び前記ストレス感取者の前記内受容感覚力を前記内受容感覚力データベースから取得し、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力と、前記ストレス感取者の前記内受容感覚力との少なくとも何れかに基づいて、前記ストレス情報の提示方法を決定する決定・指示部とを備える。
【0121】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記内受容感覚力を判定する判定部を備え、前記決定・指示部は、前記識別情報と対応付けられた前記内受容感覚力が前記内受容感覚力データベースに保持されていない場合、前記識別情報と対応付けられた判定対象の前記個人である対象個人の前記内受容感覚力の判定を前記判定部に指示し、前記判定部は、前記対象個人に対して感情アクチュエーション情報を提示し、前記感情アクチュエーション情報を提示した前記対象個人に引き込み現象が発生したか否かに基づいて、前記対象個人の内受容感覚力を前記内受容感覚力データベースに登録する。
【0122】
第3の特徴は、第1または第2の特徴において、前記内受容感覚力データベースは、前記内受容感覚力の高低を保持する。
【0123】
第4の特徴は、第1乃至第3の特徴において、前記判定部は、音声または振動による擬似的な心拍を表現する前記感情アクチュエーション情報を前記対象個人に提示する。
【0124】
第5の特徴は、第1乃至第4の特徴において、前記決定・指示部は、前記内受容感覚力データベースが前記内受容感覚力を数値で保持している場合、前記ストレス付与者の前記内受容感覚力及び前記ストレス感取者の前記内受容感覚力の少なくとも何れかと対応付けられる所定の閾値に基づいて、前記ストレス情報の提示方法を決定する。
【符号の説明】
【0125】
1, 1A ストレス情報提示判定装置
10 通信部
11 決定・指示部
12 内受容感覚力データベース
13 内受容感覚力判定部
20 ストレス検知装置
30 ストレス情報提示装置
41, 42 個人
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14