(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013265
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】車両の電池収容ケース
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240125BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240125BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115205
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】鈴森 理生
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB06
3D203CB09
3D203CB19
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB06
3D235BB17
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF03
3D235HH26
(57)【要約】
【課題】下側骨格部材の幅方向において、電池収容ケースに収容される電池の体格を大きくすることが可能となる車両の電池収容ケースを提供する。
【解決手段】ケース20は、上部開口30a及び下部開口30bを有し、車体に固定される周壁30と、周壁30に固定され、上部開口30aを閉塞する上側カバー50と、周壁30に固定され、下部開口30bを閉塞する下側カバー60とを備えている。また、ケース20は、上側カバー50の下面50bに固定され、下面50bに沿って延在する上側骨格部材51と、下側カバー60の上面60aに固定され、車幅方向Wに延在する下側骨格部材61とを備えている。下側骨格部材61の上面61aには、電池11を支持する支持面64aが設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口及び下部開口を有し、車体に固定される周壁と、
前記周壁に固定され、前記上部開口を閉塞する上側カバーと、
前記周壁に固定され、前記下部開口を閉塞する下側カバーと、
前記上側カバーの下面に固定され、前記下面に沿って延在する上側骨格部材と、
前記下側カバーの上面に固定され、前記上側骨格部材の延在方向に延在する下側骨格部材と、を備えており、
前記下側骨格部材の上面には、電池を支持する支持面が設けられている、
車両の電池収容ケース。
【請求項2】
前記上側骨格部材の両端部は、直接または、前記上側カバーとは別の部材を介して、前記周壁に連結されており、
前記下側骨格部材の両端部は、直接または、前記下側カバーとは別の部材を介して、前記周壁に連結されている、
請求項1に記載の車両の電池収容ケース。
【請求項3】
前記上側骨格部材及び前記下側骨格部材は、車幅方向に延在している、
請求項1に記載の車両の電池収容ケース。
【請求項4】
前記周壁は、車両の前後方向に延在するとともに車幅方向において互いに間隔をあけて配置される一対の側壁部と、前記車幅方向に延在するとともに前記一対の側壁部同士を連結する前壁部及び後壁部と、を備えており、
前記一対の側壁部、前記前壁部、及び前記後壁部は、長方形の断面形状を有する中空状のフレームである、
請求項1に記載の車両の電池収容ケース。
【請求項5】
前記フレームの内部には、当該フレームの延在方向に延在するリンフォースメントが設けられている、
請求項4に記載の車両の電池収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電池収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フロアパネルの下方に設けられたバッテリパックを備える車体の下部構造が記載されている。
特許文献1に記載のバッテリパックは、トレーと、カバーと、クロスメンバとを有している。トレーは、上部開口を有している。カバーは、下部開口を有するとともに、トレーの上部開口を覆うように構成されている。トレーの底面には、複数のクロスメンバ設置部が設けられている。複数のクロスメンバ設置部は、車幅方向に沿って延設されるとともに、車両の前後方向において互いに間隔をあけて設けられている。
【0003】
複数のクロスメンバ設置部上には、複数のクロスメンバがそれぞれ設けられている。互いに隣り合うクロスメンバ同士の間には、バッテリが載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のバッテリパックでは、互いに隣り合うクロスメンバ同士の間にバッテリが載置されている。このため、バッテリパックに収容可能なバッテリの体格が、互いに隣り合うクロスメンバ同士の距離によって制限されることとなるので、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための車両の電池収容ケースは、上部開口及び下部開口を有し、車体に固定される周壁と、前記周壁に固定され、前記上部開口を閉塞する上側カバーと、前記周壁に固定され、前記下部開口を閉塞する下側カバーと、前記上側カバーの下面に固定され、前記下面に沿って延在する上側骨格部材と、前記下側カバーの上面に固定され、前記上側骨格部材の延在方向に延在する下側骨格部材と、を備えており、前記下側骨格部材の上面には、電池を支持する支持面が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る車両の電池収容ケースの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の電池収容ケースが搭載される車両の側面図である。
【
図6】
図6は、
図4に対応する断面図であって、第2実施形態に係る車両の電池収容ケースの断面図である。
【
図7】
図7は、車両の側面衝突時における上側骨格部材及び下側骨格部材の変位量及び荷重の解析結果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、車両の側面衝突時に上側骨格部材及び下側骨格部材に作用する荷重の分布を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図5を参照して、車両の電池収容ケースの第1実施形態について説明する。
【0009】
以降において、車両の前後方向を前後方向Lとし、車幅方向を車幅方向Wとし、車両が水平面上に位置しているときの車両の上下方向を上下方向Zとして説明する。
また、前後方向Lにおける前側及び後側を、それぞれ単に「前側」及び「後側」とし、上下方向Zにおける上側及び下側を、それぞれ単に「上側」及び「下側」として説明する。
【0010】
図2に示すように、車両のフロアパネル10の下方には、電池11を収容する電池収容ケース20(以下、ケース20)が設けられている。
図1及び
図3に示すように、ケース20は、周壁30、上側カバー50、上側骨格部材51、下側カバー60、及び下側骨格部材61を備えている。
【0011】
本実施形態のケース20は、車幅方向Wにおいて対称な構造を有している。また、本実施形態のケース20は、前後方向Lにおいて対称な構造を有している。このため、以降においては、ケース20を前方から見たときの左側半分について説明することで、右側半分についての説明を省略することがある。
【0012】
<周壁30>
図1及び
図3に示すように、周壁30は、平面視矩形枠状である。周壁30は、上部開口30a及び下部開口30bを有している。
【0013】
周壁30は、一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33を有している。一対の側壁部31は、前後方向Lに延在するとともに、車幅方向Wにおいて互いに間隔をあけて配置される。前壁部32及び後壁部33は、車幅方向Wに延在するとともに、一対の側壁部31同士を連結する。一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33は、長方形の断面形状を有する中空状のフレームである。
【0014】
一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33は、金属製である。
前壁部32は、側壁部31の前端部同士を連結している。前壁部32の両端が、一対の側壁部31の側面に溶接により連結されることが好ましい。
【0015】
後壁部33は、側壁部31の後端部同士を連結している。後壁部33の両端が、一対の側壁部31の側面に溶接により連結されることが好ましい。
前壁部32の上壁及び下壁には、上下一対の貫通孔37がそれぞれ設けられている。前壁部32の上壁と下壁との間には、貫通孔37と連通する円筒状のカラー38が設けられている。
【0016】
後壁部33の上壁及び下壁には、上下一対の貫通孔37がそれぞれ設けられている。後壁部33の上壁と下壁との間には、貫通孔37と連通する円筒状のカラー38が設けられている。
【0017】
前壁部32及び後壁部33には、それぞれ複数の貫通孔37及び複数のカラー38が車幅方向Wにおいて互いに間隔をあけて設けられることが好ましい。本実施形態では、2つの貫通孔37及び2つのカラー38が設けられている。
【0018】
貫通孔37及びカラー38に挿通されるボルト(図示略)によって、ケース20の前壁部32及び後壁部33がフロアパネル10に固定される。
図3及び
図4に示すように、側壁部31は、内壁部31a、外壁部31b、上壁部31c、及び下壁部31dを有している。
【0019】
内壁部31a及び外壁部31bは、車幅方向Wにおいて対向している。
上壁部31c及び下壁部31dは、上下方向Zにおいて対向している。上壁部31cは、内壁部31a及び外壁部31bの上端同士を連結している。下壁部31dは、内壁部31a及び外壁部31bの下端同士を連結している。
【0020】
側壁部31の上壁部31c及び下壁部31dには、上下一対の貫通孔37がそれぞれ設けられている。側壁部31の上壁部31c及び下壁部31dとの間には、貫通孔37と連通する円筒状のカラー38が設けられている。
【0021】
側壁部31には、複数の貫通孔37及び複数のカラー38が前後方向Lにおいて互いに間隔をあけて設けられることが好ましい。本実施形態では、3つの貫通孔37及び3つのカラー38が設けられている。
【0022】
貫通孔37及びカラー38に挿通されるボルト(図示略)によって、ケース20の側壁部31がフロアパネル10に固定される。
内壁部31aの上端部には、ブラケット40が連結されている。複数のブラケット40が、前後方向Lにおいて互いに間隔をあけて設けられることが好ましい。複数のブラケット40は、前後方向Lにおいて等間隔にて設けられることが好ましい。ブラケット40の数は、例えば6つである。
【0023】
図3~
図5に示すように、ブラケット40は、一対の連結片41、一対の対向部42、及び連結部43を有している。
一対の連結片41は、内壁部31aに連結される部位であり、前後方向Lにおいて互いに間隔をあけて設けられている。連結片41は、内壁部31aに対して溶接により連結されることが好ましい。
【0024】
一対の対向部42は、連結片41から車幅方向Wの内側に延在するとともに、互いに対向している。
連結部43は、対向部42の下端同士を連結している。連結部43には、孔43aが設けられている。
【0025】
ブラケット40は、金属板をプレスすることにより形成されている。
連結部43の上方には、カラー44が設けられている。カラー44は、溶接により連結部43の上面に固定されていることが好ましい。
【0026】
連結部43の下方には、ナット49が設けられている。ナット49は、溶接により連結部43の下面に固定されていることが好ましい。
カラー44、孔43a、及びナット49は、同一軸線上に設けられている。
【0027】
<上側カバー50>
図1及び
図3に示すように、上側カバー50は、矩形状の平板である。上側カバー50は、金属板製であることが好ましい。
【0028】
上側カバー50は、周壁30に固定され、上部開口30aを閉塞する。上側カバー50は、ボルト58及びナット59により、一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33の上面にそれぞれ固定されていることが好ましい。
【0029】
上側カバー50と、一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33との間には、図示しないシール剤が塗布されている。シール剤は、上側カバー50と周壁30とを接着するとともに上側カバー50と周壁30との間をシールしている。
【0030】
<上側骨格部材51>
図3~
図5に示すように、上側骨格部材51は、上側カバー50の下面50bに固定され、下面50bに沿って延在している。上側骨格部材51は、車幅方向Wに延在していることが好ましい。上側骨格部材51の数は、例えば6つである。
【0031】
図5に示すように、上側骨格部材51は、一対の脚部52、一対の対向壁部53、及び連結壁部54を有している。
一対の脚部52は、下面50bに固定される部位であり、前後方向Lにおいて互いに間隔をあけて設けられている。脚部52は、下面50bに対して溶接により連結されることが好ましい。
【0032】
一対の対向壁部53は、一対の脚部52からそれぞれ下方に延在している。
連結壁部54は、対向壁部53の下端同士を連結している。
上側骨格部材51は、金属板をプレスすることにより形成されている。
【0033】
図4に示すように、上側骨格部材51の両端部51cは、ブラケット40を介して周壁30に連結されている。
上側骨格部材51の両端部51cには、上下方向Zに貫通する貫通孔57が設けられている。上側カバー50、カラー44、ブラケット40の孔43aにボルト48が挿通されるとともに、ボルト48がナット49に螺入されている。
【0034】
<下側カバー60>
図3に示すように、下側カバー60は、矩形状の平板である。下側カバー60は、金属板製であることが好ましい。
【0035】
下側カバー60は、周壁30に固定され、下部開口30bを閉塞する。下側カバー60は、溶接により、一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33の下面にそれぞれ固定されていることが好ましい。
【0036】
下側カバー60と、一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33との間には、図示しないシール剤が塗布されている。シール剤は、下側カバー60と周壁30とを接着するとともに下側カバー60と周壁30との間をシールしている。
【0037】
<下側骨格部材61>
図3~
図5に示すように、下側骨格部材61は、下側カバー60の上面60aに固定されている。下側骨格部材61は、上側骨格部材51の延在方向に延在している。本実施形態では、下側骨格部材61は、車幅方向Wに延在している。下側骨格部材61は、複数の上側骨格部材51に対応して複数設けられていることが好ましい。複数の下側骨格部材61は、複数の上側骨格部材51の直下にそれぞれ設けられている。下側骨格部材61の数は、例えば6つである。
【0038】
下側骨格部材61は、上側骨格部材51を上下反転させた構成を有している。
図5に示すように、下側骨格部材61は、一対の脚部62、一対の対向壁部63、及び連結壁部64を有している。
【0039】
一対の脚部62は、上面60aに固定される部位であり、前後方向Lにおいて互いに間隔をあけて設けられている。脚部62は、上面60aに対して溶接により連結されることが好ましい。
【0040】
一対の対向壁部63は、一対の脚部62からそれぞれ上方に延在している。
連結壁部64は、対向壁部63の上端同士を連結している。
下側骨格部材61は、金属板をプレスすることにより形成されている。
【0041】
図4に示すように、下側骨格部材61の両端部61cは、周壁30に直接連結されている。下側骨格部材61の両端部61cは、溶接により、側壁部31の内壁部31aに連結されていることが好ましい。
【0042】
図4及び
図5に示すように、下側骨格部材61の上面61aには、電池11の下面を支持する支持面64aが設けられている。
図3に示すように、下側骨格部材61の両端部61cの上面61aには、車幅方向Wにおいて互いに間隔をあけて一対のブラケット65が設けられている。
【0043】
図4に示すように、ブラケット65は、上面61aに固定される第1固定部66と、第1固定部66のうち側壁部31側とは反対側の端から上方に延在する第2固定部67とを有している。
【0044】
第1固定部66は、ボルト68及びナット69により、上面61aに固定されることが好ましい。なお、ナット69は、連結壁部64の下面に溶接により固定されている。
第2固定部67には、車幅方向Wに貫通するボルト孔67aが設けられている。
【0045】
図4に二点鎖線にて示すように、ボルト孔67aにボルトを挿通するとともに、電池11の図示しない雌ねじにボルトを螺入することにより、ケース20に対して電池11が固定される。
【0046】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4及び
図5に示すように、下側骨格部材61の上面61aに設けられた支持面64aによって電池11が支持される。このため、前後方向Lにおいて下側骨格部材61の両側にわたって延在する態様でケース20内に電池11を収容できる(以上、作用1)。
【0047】
また、上側骨格部材51及び下側骨格部材61の双方が設けられているため、上側骨格部材51及び下側骨格部材61のいずれか一方のみが設けられている構成に比べて、骨格部材1つ当たりの上下方向Zの体格を小さくできる。このため、上側骨格部材51及び下側骨格部材61の双方を設けることに伴って電池11を収容する収容空間の高さ寸法が制限されることを抑制できる。これにより、収容される電池11の高さ寸法が制限されにくい(以上、作用2)。
【0048】
また、車両が側面衝突すると、
図4に矢印にて示すように、衝突荷重が側壁部31を介して上側骨格部材51及び下側骨格部材61の双方に伝達される。このため、上記衝突荷重をケース20の上側と下側とへバランスよく伝達できる(以上、作用3)。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1-1)ケース20は、周壁30と、上側カバー50と、下側カバー60と、上側骨格部材51と、下側骨格部材61とを備えている。下側骨格部材61の上面61aには、電池11を支持する支持面64aが設けられている。
【0050】
こうした構成によれば、上記作用1を奏することから、下側骨格部材61の幅方向において、ケース20に収容される電池11の体格を大きくすることが可能となる。
(1-2)上側骨格部材51の両端部51cは、ブラケット40を介して、周壁30に連結されている。下側骨格部材61の両端部61cは、周壁30に直接連結されている。
【0051】
こうした構成によれば、上側骨格部材51及び下側骨格部材61の延在方向において車両が衝突すると、衝突荷重が周壁30を介して上側骨格部材51及び下側骨格部材61の双方に伝達されやすくなる。したがって、衝突荷重の伝達効率を向上させることができる。
【0052】
(1-3)周壁30は、一対の側壁部31と、前壁部32及び後壁部33とを備えている。一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33は、長方形の断面形状を有する中空状のフレームである。
【0053】
こうした構成によれば、衝突荷重に対する周壁30の変形モードを安定させることができる。
<第2実施形態>
次に、
図6~
図8を参照して、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
図6に示すように、各側壁部31の内部には、側壁部31の延在方向に延在するリンフォースメント70が設けられている。本実施形態のリンフォースメント70は、前後方向Lに延在している。
【0055】
リンフォースメント70は、一対の脚部72と、一対の対向壁部73と、連結壁部74とを有することが好ましい。
一対の脚部72は、側壁部31の内壁部31aに接触する部分であり、上下方向Zにおいて互いに間隔をあけて設けられている。一対の脚部72は、内壁部31aに対して溶接により固定されていることが好ましい。上側の脚部72は、車幅方向Wにおいて上側骨格部材51と重なる位置に設けられている。下側の脚部72は、車幅方向Wにおいて下側骨格部材61と重なる位置に設けられている。
【0056】
一対の対向壁部73は、一対の脚部72からそれぞれ車幅方向Wの外側に延在している。
連結壁部74は、一対の対向壁部73の端部同士を連結するとともに、側壁部31の外壁部31bと接触している。
【0057】
連結壁部74は、外壁部31bに対して溶接により固定されていることが好ましい。
リンフォースメント70は、金属板製である。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0058】
車両が側面衝突すると、側壁部31の外壁部31bに印加される衝突荷重がリンフォースメント70を介して側壁部31の内壁部31aに対して伝達される。
ここで、
図7に、車両の側面衝突時における上側骨格部材51及び下側骨格部材61の変位量及び荷重の解析結果を示す。
図7において、実線は、第2実施形態の解析結果であり、破線は、第1実施形態の解析結果である。
【0059】
また、
図8に、車両の側面衝突時に上側骨格部材51及び下側骨格部材61に作用する荷重の分布を示す。
図8において、実線は、第2実施形態を示しており、破線は、第1実施形態を示している。
【0060】
図7に示すように、第2実施形態では、第1実施形態よりも衝突荷重が2倍以上大きい。
また、
図8に示すように、第1実施形態では、複数の上側骨格部材51及び下側骨格部材61のうち前後方向Lにおいて側壁部31に衝突荷重が入力された部分に近い部分の荷重のみが増大する。これに対して、第2実施形態では、複数の上側骨格部材51及び下側骨格部材61のうち前後方向Lにおいて側壁部31に衝突荷重が入力された部分に近い部分の荷重が第1実施形態よりも大きい。また、第2実施形態では、複数の上側骨格部材51及び下側骨格部材61のうち前後方向Lにおいて側壁部31に衝突荷重が入力された部分から離れた部分においても荷重が増大する。
【0061】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(2-1)側壁部31の内部には、前後方向Lに延在するリンフォースメント70が設けられている。
【0062】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、衝突荷重の伝達効率を向上させることができる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・一対の側壁部31、前壁部32、及び後壁部33を構成するフレームは、中空状に限定されず、板材などによって構成することもできる。
・本実施形態では、上側骨格部材51及び下側骨格部材61を車幅方向Wに延在するように設けたが、上側骨格部材51及び下側骨格部材61を前後方向Lに延在するように設けてもよい。この場合、前壁部32及び後壁部33の内部にリンフォースメント70を設けるようにしてもよい。
【0064】
・上側骨格部材51の両端部51cを周壁30に溶接などにより直接連結するようにしてもよい。この場合、下側骨格部材61の両端部61cをブラケットなどの部材を介して周壁30に連結するようにしてもよい。
【0065】
・上側骨格部材51は、上側カバー50のみを介して周壁30に連結される構成であってもよい。また、下側骨格部材61は、下側カバー60のみを介して周壁30に連結される構成であってもよい。
【0066】
・上側カバー50及び下側カバー60のいずれか一方を樹脂板により構成することもできる。
<付記>
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
【0067】
[付記1]上部開口及び下部開口を有し、車体に固定される周壁と、前記周壁に固定され、前記上部開口を閉塞する上側カバーと、前記周壁に固定され、前記下部開口を閉塞する下側カバーと、前記上側カバーの下面に固定され、前記下面に沿って延在する上側骨格部材と、前記下側カバーの上面に固定され、前記上側骨格部材の延在方向に延在する下側骨格部材と、を備えており、前記下側骨格部材の上面には、電池を支持する支持面が設けられている、車両の電池収容ケース。
【0068】
[付記2]前記上側骨格部材の両端部は、直接または、前記上側カバーとは別の部材を介して、前記周壁に連結されており、前記下側骨格部材の両端部は、直接または、前記下側カバーとは別の部材を介して、前記周壁に連結されている、[付記1]に記載の車両の電池収容ケース。
【0069】
[付記3]前記上側骨格部材及び前記下側骨格部材は、車幅方向に延在している、[付記1]または[付記2]に記載の車両の電池収容ケース。
[付記4]前記周壁は、車両の前後方向に延在するとともに車幅方向において互いに間隔をあけて配置される一対の側壁部と、前記車幅方向に延在するとともに前記一対の側壁部同士を連結する前壁部及び後壁部と、を備えており、前記一対の側壁部、前記前壁部、及び前記後壁部は、長方形の断面形状を有する中空状のフレームである、[付記1]から[付記3]のいずれか一つに記載の車両の電池収容ケース。
【0070】
[付記5]前記フレームの内部には、当該フレームの延在方向に延在するリンフォースメントが設けられている、[付記4]に記載の車両の電池収容ケース。
【符号の説明】
【0071】
10…フロアパネル
11…電池
20…電池収容ケース
30…周壁
30a…上部開口
30b…下部開口
31…側壁部
31a…内壁部
31b…外壁部
31c…上壁部
31d…下壁部
32…前壁部
33…後壁部
37…貫通孔
38…カラー
40…ブラケット
41…連結片
42…対向部
43…連結部
43a…孔
44…カラー
48…ボルト
49…ナット
50…上側カバー
50b…下面
51…上側骨格部材
51c…端部
52…脚部
53…対向壁部
54…連結壁部
57…貫通孔
58…ボルト
59…ナット
60…下側カバー
60a…上面
61…下側骨格部材
61a…上面
61c…端部
62…脚部
63…対向壁部
64…連結壁部
64a…支持面
65…ブラケット
66…第1固定部
67…第2固定部
67a…ボルト孔
68…ボルト
69…ナット
70…リンフォースメント
72…脚部
73…対向壁部
74…連結壁部