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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132665
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】顎模型用自在ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/08 20060101AFI20240920BHJP
   A61C 19/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61G 15/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61C1/08 Z
A61C19/00 A
A61G15/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043523
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】504393828
【氏名又は名称】有限会社ダイトク化研
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺本 智恵美
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052DD09
4C052LL08
(57)【要約】
【課題】顎模型の角度を微調整しやすく、かつ石膏を用いることなく被取付部に対して顎模型を取り付けることが可能な顎模型用自在ユニットを提供する。
【解決手段】顎模型用自在ユニット1は、被取付部5に取付け可能な基台2と、顎模型6が取り付けられる模型取付台4と、基台2と模型取付台4とを連結し、基台2に対する模型取付台4の角度を可変とする連結部3と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取付け可能な基台と、
顎模型が取り付けられる模型取付台と、
前記基台と前記模型取付台とを連結し、前記基台に対する前記模型取付台の角度を可変とする連結部と、
を備える、
顎模型用自在ユニット。
【請求項2】
前記模型取付台は、前記連結部に対して、取外し可能に取り付けられている、
請求項1に記載の顎模型用自在ユニット。
【請求項3】
前記連結部は、位置保持体を有し、
前記位置保持体は、前記基台に対して前記模型取付台の角度の可変を許容する第1位置と、前記基台に対する前記模型取付台の角度を保持する第2位置と、に切替え可能に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の顎模型用自在ユニット。
【請求項4】
前記連結部は、平面視において前記模型取付台の中央部に配置された可動部を有し、
前記位置保持体は、前記可動部に対して、当該可動部の中心軸を中心に回転可能に螺合され、前記中心軸を回転軸として回転することで、前記第1位置と前記第2位置とに切替え可能に構成されており、
前記位置保持体は、平面視において、前記模型取付台の外縁よりも外側に突き出た操作部を有する、
請求項3に記載の顎模型用自在ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顎模型用自在ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、補綴物及び義歯等の作製の際、例えば、咬合器を用いて、立体的な微調整が行われる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の咬合器では、例えば、咬合器の上顎模型取付台に上顎模型が取り付けられ、下顎模型取付台に下顎模型が取り付けられる。このとき、上顎模型取付台と上顎模型と間に未硬化の石膏を配置し、上顎模型取付台に対する上顎模型の角度を微調整し、同様に、下顎模型取付台と下顎模型と間に未硬化の石膏を配置し、下顎模型取付台に対する下顎模型の角度を微調整し、石膏が硬化することで、上顎模型取付台に対して上顎模型が固定され、下顎模型取付台に対して下顎模型が固定される。
【0004】
これにより、咬合器上における立体的な微調整をした後の上顎模型と下顎模型との角度が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-113717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の咬合器に対する顎模型の固定方法では、顎模型取付台に対する顎模型の固定に石膏を用いるため、未硬化の石膏の硬さによっては、顎模型の角度の微調整が行いにくいうえに、石膏が完全に硬化するまで長時間を要し、作業性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされ、顎模型の角度を微調整しやすく、かつ石膏を用いることなく被取付部に対して顎模型を取り付けることが可能な顎模型用自在ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様の顎模型用自在ユニットは、被取付部に取付け可能な基台と、顎模型が取り付けられる模型取付台と、前記基台と前記模型取付台とを連結し、前記基台に対する前記模型取付台の角度を可変とする連結部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記態様の顎模型用自在ユニットは、顎模型を取り付ける模型取付台の角度を微調整しやすく、かつ石膏を用いることなく被取付部に対して顎模型を取り付けることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る顎模型用自在ユニットの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る顎模型用自在ユニットの正面図である。
図3図3は、図2のA-A線断面図である。
図4図4(A)は、図2のA-A線断面図において、模型取付台の角度を調整した図である。図4(B)は、図4(A)の顎模型用自在ユニットにおいて、位置保持体を回転させ、模型取付台の角度を保持した図である。
図5図5は、変形例に係る顎模型用自在ユニットの断面図である。
図6図6(A)は、変形例に係る模型取付台の底面図である。図6(B)は、変形例に係る模型取付台の側面図である。
図7図7は、変形例に係る顎模型用自在ユニットにおいて、模型取付台と支持板部とを組み合わせた状態の、図6(A)のB-B線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本実施形態に係る顎模型用自在ユニット1は、例えば、咬合器のマウンティングプレート等の被取付部5に取り付けられる。顎模型用自在ユニット1は、図1,2に示すように、被取付部5に取付け可能な基台2と、顎模型6が取り付けられる模型取付台4と、基台2と模型取付台4とを連結する連結部3と、を備える。
【0012】
本実施形態に係る顎模型用自在ユニット1は、図3,4に示すように、連結部3が、基台2に対する模型取付台4の角度を可変とするように構成されている。このため、本実施形態に係る顎模型用自在ユニット1によれば、咬合器等に取り付けられた顎模型6の角度を調整しやすい。また、模型取付台4に対して、顎模型6を載せただけで接着剤等で固定することができるため、従来、石膏が硬化するのに要していた時間を削減することができ、作業性を向上させることができる。
【0013】
以下、本実施形態に係る顎模型用自在ユニット1について、より詳細に説明する。以下では、説明の便宜上、基台2が水平面上に載った状態を基準に上下方向を定義し、水平面上において互いに直交する2方向を「前後方向」「左右方向」として定義する。
【0014】
本明細書において「平行」とは、2つの直線、辺、面等が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線、辺、面等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線、辺、面等がなす角度が90°±10以内の範囲で交わる場合も含み、2つの直線、辺、面等が直接的に交わることのほか、延長した結果、交わる場合も含む。
【0015】
(基台2)
基台2は、顎模型用自在ユニット1において、被取付部5に取り付けられる部分である。基台2は、図3に示すように、略平板状の基板21と、基板21の外周部から下方に突き出る嵌め込み片22と、基板21から上方に突き出る取付け片23と、を備える。
【0016】
嵌め込み片22は、被取付部5が嵌め込まれる部分である。嵌め込み片22は、例えば、被取付部5の周囲を囲む形状に形成されている。嵌め込み片22は、被取付部5に対して、取外し可能に取り付けられる。
【0017】
被取付部5に対する基台2の取付けは、嵌め込み片22との嵌め合いに限らず、例えば、水平面に沿う方向に平行移動して取り付けるスライド構造であってもよいし、スナップフィット構造であってもよいし、磁着による取付け、ピン止めによる取付け、ねじ込みによる取付け、接着による取付け等であってもよい。
【0018】
取付け片23は、連結部3が取り付けられる突片である。取付け片23は、基板21の外周部の全周にわたって連続して設けられてもよいし、断続的に設けられてもよい。取付け片23には、連結部3が取外し可能に取り付けられている。ただし、連結部3は、取付け片23に対して、取り外しできないように取り付けられてもよい。
【0019】
基台2の材質としては、特に制限はなく、例えば、合成樹脂、金属、カーボン、石膏、ゴム等が挙げられる。
【0020】
(連結部3)
連結部3は、基台2と模型取付台4とを連結する。連結部3は、図4に示すように、基台2に対する模型取付台4の角度を可変とするように構成されている。連結部3は、基台2に取り付けられる固定部31と、模型取付台4に取り付けられる可動部32と、位置保持体33と、を備える。
【0021】
固定部31は、平板状の固定板311と、固定板311から上方に突き出る球状突起313とを有する。固定板311は、その外周部に形成された凹部312を有しており、凹部312内に取付け片23が嵌め込まれることで、固定部31は、基台2に対して取り付けられる。固定部31が基台2に取り付けられると、基板21に固定板311が対向し、面状に接触する。固定板311は、凹部312以外の箇所が、凹部312よりも下方に窪んでいる。これにより、球状突起313の高さをできる限り低くできるため、模型取付台4の高さを低く保ちながら、可動部32の動作のためのクリアランスを広くとることができ、模型取付台4の可動域をできる限り大きくできる。
【0022】
球状突起313は、可動部32を回転可能に支持する。球状突起313は、固定板311との接続部分を除き球面状に形成されている。球状突起313は、平面視において、基台2の中央部において、上方に突出している。球状突起313の表面には、可動部32が摺動可能に保持されている。これにより、可動部32は、球状突起313によって、前後方向軸及び左右方向軸の2軸を回転軸として回転可能に支持される。本明細書において、前後方向軸及び左右方向軸の2軸を回転軸とするが上下方向軸を回転軸としない回転運動を「揺動」という場合がある。
【0023】
ここにおいて、「中央部」とは、平面視における図心を含む一定の範囲を有する部分を意味し、図心を中心とし、図心から外縁までの最大距離の50%を半径とした範囲内の部分を含むこととする。
【0024】
可動部32は、球状突起313に対して揺動可能に支持される。可動部32は、有蓋筒状の筒状部321と、筒状部321の上端に設けられた支持板部322とを備える。筒状部321には球状突起313が嵌め込まれている。筒状部321には、例えば、開口下端から上方向に切り込まれた複数のスリットが形成されている。また、筒状部321の外周面には、雄ねじが形成されており、位置保持体33が螺合されている。位置保持体33をねじ込むことで、筒状部321の内径が縮小し、球状突起313を筒状部321によって挟圧することで、球状突起313に対する筒状部321の位置が保持される。
【0025】
可動部32は、模型取付台4の上面が水平面に対して0°以上45°以下となる範囲で揺動可能とすることが好ましい。可動部32は、平面視において、全周にわたって、揺動可能であることが好ましい。なお、可動部32の可動範囲は、特に制限はなく、模型取付台4の上面が水平面に対して45°を超える範囲で揺動可能であってもよい。
【0026】
支持板部322は、模型取付台4を支持する。支持板部322は、平板状に形成されており、模型取付台4の下面に対向する。支持板部322は、複数の突起323を有しており、突起323が模型取付台4の取付け穴41に嵌め込まれることで、模型取付台4が取り付けられる。
【0027】
位置保持体33は、固定部31に対する可動部32の回転を許容する第1位置と、固定部31と可動部32とを相互に固定する第2位置とに切替え可能に構成されている。すなわち、第1位置は、基台2に対して模型取付台4の角度の可変を許容する位置である。第2位置は、基台2に対する模型取付台4の角度を保持する位置である。
【0028】
本実施形態に係る位置保持体33は、円環状に形成され、内周面に雌ねじが形成されたナットである。位置保持体33は、可動部32の筒状部321の中心軸を中心に回転可能に螺合されている。位置保持体33は、一方向に回転することで、第1位置に切り替えられ、他方向に回転することで第2位置に切り替えられる。
【0029】
連結部3の材質としては、特に制限はなく、例えば、合成樹脂、金属、カーボン等が挙げられる。連結部3は、基台2と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0030】
(模型取付台4)
模型取付台4は、顎模型6が載る。本実施形態に係る模型取付台4は、平板状に形成されている。模型取付台4の上面は、顎模型6が取り付けられる取付け面である。顎模型6は、模型取付台4に対して、例えば、接着によって固定される。取付け面は、本実施形態では、平面であるが、顎模型6を保持するための係止部や、位置決め凸部等が形成されてもよいし、シボ加工が施されてもよい。
【0031】
模型取付台4は複数の取付け穴41を有する。取付け穴41は、模型取付台4の一方の主面から他方の主面までを貫通する。取付け穴41に対して支持板部322の突起323が取外し可能に嵌め込まれることで、模型取付台4は、支持板部322に対して取外し可能に取り付けられる。これにより、模型取付台4に対して顎模型6が接着されても、新しい模型取付台4を用いることで、連結部3及び基台2を繰り返し使用することができる。この結果、ゴミ等の廃材を削減できる上に、材料の削減ができて経済的である。
【0032】
模型取付台4の材質としては、特に制限はなく、例えば、合成樹脂、金属、カーボン、石膏、ゴム等が挙げられる。模型取付台4は、基台2及び連結部3と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。また、模型取付台4と支持板部322との取付けは、磁着による取付け、ピン止めによる取付け、ねじ込みによる取付け等であってもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【0033】
例えば、模型取付台4と支持板部322との取付けは、図6(B)に示すような態様であってもよい。図6(A)は、模型取付台4を下方から見た図である。模型取付台4は、複数の取付け穴41と複数の取付け突起42とを備える。一方、支持板部322は、図7に示すように、取付け穴41に嵌まる複数の突起323と、取付け突起42が嵌まる複数の凹所324とを備える。取付け穴41は、非貫通穴であり、下方にのみ開放する。凹所324は、貫通又は非貫通であり、少なくとも、上方に開口する。模型取付台4は、支持板部322に対して、取付け穴41、突起323、取付け突起42、及び凹所324に加えて、磁着によって保持される。磁石は、模型取付台4の厚み内と、支持板部322の厚み内とのそれぞれに埋設される。磁石は、模型取付台4の中央部と支持板部322の中央部にそれぞれ配置されることが好ましい。このように構成することにより、支持板部322に対して、模型取付台4がずれることを抑制しながら、模型取付台4を取外し可能に取り付けることができる。
【0034】
(使用方法)
以下、本実施形態に係る顎模型用自在ユニット1の使用方法の一例を、図4(A)(B)を用いて説明する。顎模型用自在ユニット1の基台2を咬合器のマウンティングプレート(被取付部5)に取り付ける。そして、模型取付台4に対して、顎模型6を接着剤(例えば、瞬間接着剤)によって固定する。
【0035】
この後、顎模型6の角度を調整し、所望の角度に合わせたら、模型取付台4と基台2との間に指を挿し入れ、図4(B)に示すように、位置保持体33を回転させて第2位置に切り替える。これにより、基台2に対して模型取付台4が固定されるため、顎模型6の角度を保持することができる。
【0036】
顎模型6の角度を再び調整したい場合、模型取付台4と基台2との間に指を挿し入れ、位置保持体33を回転させて第1位置に切り替える。これにより、基台2に対して、模型取付台4の角度が可変となるため、顎模型6の角度を変えることができる。
【0037】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0038】
上記実施形態では、模型取付台4と基台2との間に指を挿し入れることで、位置保持体33を回転させたが、位置保持体33は、図5に示すような操作部331を有してもよい。操作部331は、平面視において、模型取付台4の外縁よりも外側に突き出ていることが好ましい。
【0039】
ここでいう「模型取付台4の外縁よりも外側に突き出ている」とは、模型取付台4を基台2に略平行とした場合に、模型取付台4の外縁のうちのいずれかの部分において、外側に突き出ている部分を有することを意味する。ただし、操作部331は、平面視において、模型取付台4の外縁の全周にわたって、外側に突き出ていることが好ましい。言い換えると、操作部331の最大長さは、平面視における模型取付台4の図心から外縁までの最大距離以上であることが好ましい。これにより、基台2と模型取付台4との間に指を挿し入れることなく、位置保持体33を第1位置及び第2位置のいずれかの切り替えることができるため、作業性を向上できる。操作部331の形状としては、特に制限はなく、例えば、棒状、板状、円板状等が挙げられる。
【0040】
上記実施形態に係る連結部3は、球状突起313と筒状部321との組み合わせにより、模型取付台4が揺動するように構成されたが、例えば、カルダンジョイントやツェッパジョイント等の自在継手により、模型取付台4を揺動可能に支持してもよい。また、連結部3は、継手状でなくてもよく、基台2と模型取付台4とを複数の伸縮可能な柱でつないだ構造であってもよい。また、連結部3は、基台2と模型取付台4との間に、球体を介在させ、揺動可能に構成した構造であってもよい。球状突起313が支持板部322に形成され、筒状部321が固定板311に形成されてもよい。
【0041】
上記実施形態では、模型取付台4は、基台2に対して揺動可能、すなわち、前後方向軸及び左右方向軸の2軸を中心に回転可能である一方、上下方向軸を中心に回転しないように構成されたが、本発明では、模型取付台4は、基台2に対して、前後方向軸、左右方向軸及び上下方向軸の3軸を中心に回転可能であってもよい。
【0042】
上記実施形態では、被取付部5として、咬合器のマウンティングプレートを一例に説明したが、被取付部5としては、咬合器に限定されない。被取付部5としては、咬合器のほか、歯科技工用スキャナでの位置合わせの治具であってもよい。この場合、石膏を用いないため、石膏屑が飛散することによるハレーションを防ぐことができる。
【0043】
模型取付台4に固定された顎模型6を作業に使用する際、被取付部5から基台2を取り外してもよいし、被取付部5に基台2を取り付けたまま、基台2から、連結部3及び模型取付台4を取り外してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、顎模型6として下顎用の模型を例示したが、上顎用の模型であってもよい。すなわち、基台2は、模型取付台4よりも上方に配置されてもよく、実施形態の顎模型用自在ユニット1を上下反転した向きで使用してもよい。また、基台2は、水平に設置されなくてもよい。また、模型取付台4には、顎模型6が直接固定されてもよいし、切断可能な台座(貼付式模型台)を介して顎模型6が取り付けられてもよい。
【0045】
上記実施形態では、位置保持体33によって、基台2に対する模型取付台4の角度を固定可能としたが、例えば、連結部3は、基台2に対する模型取付台4の角度の可変に要する力を大きめに設定することで、基台2に対する模型取付台4の角度が、位置保持体33を用いることなく、任意の位置で保持されるように構成してもよい。
【0046】
上記実施形態では、連結部3に対して模型取付台4を取外し可能に取り付けるために、連結部3が支持板部322を含んだが、模型取付台4は連結部3に対して一体であってもよい。すなわち、連結部3が支持板部322を含むことは必ずしも必要ではなく、筒状部321の上端に模型取付台4が一体に設けられてもよい。
【0047】
模型取付台4に磁石を埋設すると共に、模型取付台4の上面に凸部及び/又は凹部を設けてもよい。顎模型6に対しても、磁石を埋設すると共に、模型取付台4の上面の凸部及び/又は凹部に嵌まり込む凸部及び/又は凹部を形成してもよい。これにより、模型取付台4に対して、顎模型6の脱着が容易になる上に、模型取付台4の取付け面上で顎模型6が移動したり回転したりすることを防ぐことができる。この場合、連結部3に対して模型取付台4を取外し可能に取り付ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【0048】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係る顎模型用自在ユニット1は、被取付部5に取付け可能な基台2と、顎模型6が取り付けられる模型取付台4と、基台2と模型取付台4とを連結し、基台2に対する模型取付台4の角度を可変とする連結部3と、を備える。
【0049】
この態様によれば、被取付部5に基台2を取り付け、顎模型6が取り付けられた模型取付台4の角度を調整するので、顎模型6の角度を微調整しやすい。また、石膏を用いることなく、被取付部5に対して顎模型6を取り付けることができる。したがって、被取付部5に対して顎模型6の角度を微調整した後に、石膏が硬化するための時間が必要なく、作業性を向上させることができる。
【0050】
第2の態様に係る顎模型用自在ユニット1では、第1の態様において、模型取付台4は、連結部3に対して、取外し可能に取り付けられている。この態様によれば、模型取付台4に対し、接着剤によって顎模型6を固定しても、顎模型6と共に模型取付台4を取り外すことで、連結部3及び基台2を再利用することができる。この結果、連結部3及び基台2を繰り返し使用することができ、ゴミ等の廃材を削減できる上に、材料費を削減できて経済的である。
【0051】
第3の態様に係る顎模型用自在ユニット1では、第1又は第2の態様において、連結部3は、位置保持体33を有する。位置保持体33は、基台2に対して模型取付台4の角度の可変を許容する第1位置と、基台2に対する模型取付台4の角度を保持する第2位置と、に切替え可能に構成されている。この態様によれば、位置保持体33によって、角度の可変を許容したり、角度を保持したりを切り替えることができるため、位置保持体33を第1位置に切り替えれば、容易に顎模型6の角度を微調整できるし、その位置で位置保持体33を第2位置に切り替えれば、顎模型6の角度を維持でき、使い勝手がよい。
【0052】
第4の態様に係る顎模型用自在ユニット1では、第1~3のいずれか1つの態様において、連結部3は、平面視において模型取付台4の中央部に配置された可動部32を有する。位置保持体33は、可動部32に対して、当該可動部32の中心軸を中心に回転可能に螺合され、中心軸を回転軸として回転することで、第1位置と第2位置とに切替え可能に構成されている。位置保持体33は、平面視において、基台2の外縁よりも外側に突き出た操作部331を有する。この態様によれば、基台2と模型取付台4との間に指を挿し入れることなく、位置保持体33を第1位置及び第2位置のいずれかの切り替えることができるため、作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0053】
1 顎模型用自在ユニット
2 基台
3 連結部
33 位置保持体
331 操作部
4 模型取付台
5 被取付部
6 顎模型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7