(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132667
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】収容体およびアクセス制限方法
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20240920BHJP
G06Q 30/02 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D25/20 P
G06Q30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043525
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】肥後 辰年
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊也
(72)【発明者】
【氏名】松竹 直斗
【テーマコード(参考)】
3E062
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AA04
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062BB06
3E062DA02
3E062DA08
5L030BB01
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】簡便な方法で各個体を管理しうる収容体を実現する。
【解決手段】内容物を収容する収容部を有し、管理システム上における個体識別情報5が付されている収容体1であって、管理システムが、管理対象の収容体のそれぞれについて、当該収容体の管理者のみがアクセス可能な管理者用情報と、全ての使用者がアクセス可能な一般情報と、を含む収容体情報を保持し、個体識別情報5は、当該個体識別情報5が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該情報端末を、当該個体識別情報5によって特定される収容体1についての収容体情報へのアクセスを可能にするものであり、このとき、当該情報端末によるアクセスが許可される収容体情報の範囲が所定の条件に基づいて制限される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容部を有し、管理システム上における個体識別情報が付されている収容体であって、
前記管理システムが、管理対象の収容体のそれぞれについて、当該収容体の管理者のみがアクセス可能な管理者用情報と、全ての使用者がアクセス可能な一般情報と、を含む収容体情報を保持し、
前記個体識別情報は、当該個体識別情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該情報端末を、当該個体識別情報によって特定される収容体についての前記収容体情報へのアクセスを可能にするものであり、このとき、当該情報端末によるアクセスが許可される前記収容体情報の範囲が所定の条件に基づいて制限される、収容体。
【請求項2】
前記管理者用情報が、前記内容物を特定する情報、前記内容物の製造場所を特定する情報、前記内容物の原材料を特定する情報、前記内容物の製造条件を特定する情報、前記内容物の品質を特定する情報、および、流通状況を特定する情報、の少なくとも一つを含む請求項1に記載の収容体。
【請求項3】
前記収容体情報が、特定の条件を満たす消費者がアクセス可能な特定消費者用情報をさらに含む請求項1に記載の収容体。
【請求項4】
前記一般情報が、販促キャンペーンに関する情報、前記内容物を特定する情報、前記内容物の製造場所を特定する情報、前記内容物の原材料を特定する情報、前記内容物の製造条件を特定する情報、前記内容物の品質を特定する情報、および、流通状況を特定する情報、の少なくとも一つを含む請求項1に記載の収容体。
【請求項5】
前記個体識別情報が、肉眼で視認可能な態様で付されている第一情報と、不可視インクを用いて付されている第二情報と、を含み、
前記第一情報は、当該第一情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該情報端末を、当該第一情報によって特定される収容体についての前記一般情報へのアクセスを可能にするものであり、
前記第二情報は、当該第二情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該情報端末を、当該第二情報によって特定される収容体についての前記管理者用情報へのアクセスを可能にするものである請求項1~4のいずれか一項に記載の収容体。
【請求項6】
内容物を収容する収容部を有する収容体を管理する管理システムであって、管理対象の収容体のそれぞれについて、当該収容体の管理者のみがアクセス可能な管理者用情報と、全ての使用者がアクセス可能な一般情報と、を含む収容体情報を保持する管理システムにおいて、前記収容体情報へのアクセスを制限するアクセス制限方法であって、
前記収容体に付されている個体識別情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該個体識別情報によって特定される収容体についての前記収容体情報へのアクセスを、当該情報端末に実施させるアクセス工程と、
前記情報端末によるアクセスを許可する前記収容体情報の範囲を、所定の条件に基づいて制限する制限工程と、を含むアクセス制限方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する収容部を有する収容体、および、当該収容体を管理する管理システムにおけるアクセス制限方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や薬品などの製品は、製造、流通、および消費等の場において、何らかの収容体に収容された状態で取り扱われる。近年、工業的に大量生産される製品の各個体を管理しうる手段について、種々検討されている。
【0003】
たとえば、特表2020-527891号公報(特許文献1)には、データ送信可能な回路がキャップに取り付けられた飲料容器が開示されている。特許文献1の飲料容器は、開封されたときのみデータ送信できるように構成されている。なお、トレーサビリティを実現するために容器に電子機器を備え付ける技術は、特開2010-30680号公報(特許文献2)および国際公開第2018/158864号(特許文献3)にも見られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2020-527891号公報(または国際公開第2019/014450号)
【特許文献2】特開2010-30680号公報
【特許文献3】国際公開第2018/158864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、収容体に電子機器を備え付けることは、コスト増を招きうる。従来の収容体に比べて、電子機器自体が追加的要素であることに加え、当該電子機器を収容体に装着する作業も追加的であるためである。また、収容体の流通過程において電子機器が破損した場合に、期待する機能を発揮できない場合があった。
【0006】
そこで、より簡便な方法で各個体を管理しうる収容体、および、当該収容体を管理する管理システムにおけるアクセス制限方法の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る収容体は、内容物を収容する収容部を有し、管理システム上における個体識別情報が付されている収容体であって、前記管理システムが、管理対象の収容体のそれぞれについて、当該収容体の管理者のみがアクセス可能な管理者用情報と、全ての使用者がアクセス可能な一般情報と、を含む収容体情報を保持し、前記個体識別情報は、当該個体識別情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該情報端末を、当該個体識別情報によって特定される収容体についての前記収容体情報へのアクセスを可能にするものであり、このとき、当該情報端末によるアクセスが許可される前記収容体情報の範囲が所定の条件に基づいて制限されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るアクセス制限方法は、内容物を収容する収容部を有する収容体を管理する管理システムであって、管理対象の収容体のそれぞれについて、当該収容体の管理者のみがアクセス可能な管理者用情報と、全ての使用者がアクセス可能な一般情報と、を含む収容体情報を保持する管理システムにおいて、前記収容体情報へのアクセスを制限するアクセス制限方法であって、前記収容体に付されている個体識別情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該個体識別情報によって特定される収容体についての前記収容体情報へのアクセスを、当該情報端末に実施させるアクセス工程と、前記情報端末によるアクセスを許可する前記収容体情報の範囲を、所定の条件に基づいて制限する制限工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、電子機器などの複雑な構造体を設けることなく、収容体の各個体を識別しうる。また、管理者のみが使用する管理者用情報と、一般に開放される一般情報と、を同一の収容体およびシステムを用いて管理できる。これによって、収容体に収容されている内容物の製造、流通、および消費等の各段階における情報を、個体識別情報に関連づけて一元的に管理しうる。また、これらの情報への手がかりとなる個体識別情報を収容体に付しているので、各情報へのアクセスおよびアクセス制限が容易である。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係る収容体は、一態様として、前記管理者用情報が、内容物を特定する情報、製造場所を特定する情報、原材料を特定する情報、製造条件を特定する情報、品質を特定する情報、および、流通状況を特定する情報、の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、収容体に封入された製品の製造段階および流通段階の少なくとも一部についての詳細情報へのアクセスが容易である。
【0013】
本発明に係る収容体は、一態様として、前記収容体情報が、特定の条件を満たす消費者がアクセス可能な特定消費者用情報をさらに含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、特定の条件を満たす消費者を対象とした情報提供が可能になる。
【0015】
本発明に係る収容体は、一態様として、前記一般情報が、販促キャンペーンに関する情報、前記内容物を特定する情報、前記内容物の製造場所を特定する情報、前記内容物の原材料を特定する情報、前記内容物の製造条件を特定する情報、前記内容物の品質を特定する情報、および、流通状況を特定する情報、の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、販促キャンペーンに関する情報を、製造段階、流通段階、および消費段階における諸情報と関連づけて管理できる。また、ターゲットを特定した販促キャンペーンを実施しやすい。
【0017】
本発明に係る収容体は、一態様として、前記個体識別情報が、肉眼で視認可能な態様で付されている第一情報と、不可視インクを用いて付されている第二情報と、を含み、前記第一情報は、当該第一情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該情報端末を、当該第一情報によって特定される収容体についての前記一般情報へのアクセスを可能にするものであり、前記第二情報は、当該第二情報が所定の情報端末によって読み取られたときに、当該情報端末を、当該第二情報によって特定される収容体についての前記管理者用情報へのアクセスを可能にするものであることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、管理者用情報の存在自体を一般の消費者等に知られにくくしながらも、収容体自体に全ての収容体情報へのアクセスの手がかりを設けることができる。
【0019】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第一の実施形態に係る飲料製品の斜視図である。
【
図2】第一の実施形態に係る商品管理システムの構成図である。
【
図3】第一の実施形態の変形例に係る飲料製品の斜視図である。
【
図4】第二の実施形態に係る管理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の主題である収容体とは、内容物を収容可能な空間を有し、内容物を収容する目的で使用される物品を指す。したがって収容体は、瓶、缶、ペットボトル、紙パック、プラスチック容器、パウチ容器、トレイ、樽、コンテナ、などの持ち運び可能な態様の容器であってもよいし、タンク、サイロ、および槽などの固定された態様の容器であってもよい。また、上記の例示から明らかなように、収容体を構成する材料は限定されず、プラスチック、ガラス、金属、木材、紙などでありうる。さらに、収容体の容積も限定されない。
【0022】
〔第一の実施形態〕
本発明に係る収容体の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る収容体を、飲料が充填された状態で流通に供される飲料製品1(収容体の一例である。)に適用した例について説明する。
【0023】
(飲料製品の構成)
本実施形態に係る飲料製品1は、容器本体2(収容部の一例である。)とキャップ3とを有する容器に飲料(内容物の一例である。図示していない。)が充填されている態様である(
図1)。すなわち飲料製品1は市場に流通する飲料製品であり、当該飲料製品の供給者(管理者の一例である。)から出荷され、物流および小売を経て消費者に至ることが企図されているものである。
【0024】
本実施形態では、容器本体2がポリエチレンテレフタレート製であり、無色透明の容器である。容器本体2は、ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを原料とする二軸延伸ブロー成形により得られる。なお、容器本体2を構成する材料は、ポリエチレンテレフタレートに限定されず、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどであってもよい。また、当該材料の由来は、石油、植物由来原料、リサイクル原料などでありうる。
【0025】
容器本体2には、ラベル4が貼付されている。
図1では、ラベル4がロールラベルである例を図示しているが、これに限定されない。たとえば、ラベル4がシュリンクラベルであってもよい。また、容器本体2にラベル4が貼付されていなくてもよい。
【0026】
本実施形態では、キャップ3は、ポリプロピレン製である。キャップ3は、ポリプロピレンを原料とする射出成形により得られる。なお、キャップ3を構成する材料は、ポリプロピレンに限定されず、たとえば、ポリエチレンなどであってもよい。また、当該材料の由来は、石油、植物由来原料、リサイクル原料などでありうる。
【0027】
キャップ3の天面に、二次元コード5が印刷されている。二次元コード5は、飲料製品1を管理する商品管理システム10(後述する。)において、管理対象の飲料製品1のそれぞれを個体識別するためのユニークID(個体識別情報の例である。)に関連付けられている。すなわち、キャップ3の天面にユニークIDが二次元コード5の態様で付されている。ユニークIDはそれぞれの飲料製品1の個体に対して一対一対応の関係で付され、重複することがない。
【0028】
本実施形態に係る飲料製品1を一例として理解されるように、本発明における収容体とは、製品が製造、流通、および消費等に供される際に当該製品の付加価値の中心にある内容物(本実施形態では飲料である。)を収容して、製造、流通、および消費等の場における取扱いを可能にするために供されるものをいう。したがって本発明における収容体とは、物品を収容する収容部のみならず、当該収容部に付随して一体に使用される付随物も含む概念である。本実施形態における付随物としては、容器本体2を封止するキャップ3、容器本体2やキャップ3などに付されるラベル、タグ、ステッカーなど、キャップ3により封止された容器本体2を収容する化粧箱、といった物品が例示される。なお、本発明における収容体は、内容物の有無を問わない。
【0029】
(商品管理システムの構成)
本実施形態に係る商品管理システム10(管理システムの一例である。)(
図2)は、飲料製品1に関与する供給者、流通業者、小売業者、および消費者、ならびにその他の者がアクセス可能なシステムであり、飲料製品1に係る種々の情報が当該システム上で一元的に管理される。商品管理システム10において、飲料製品1の各個体に係る情報は、各個体に付されたユニークIDを主キーとするリレーショナルデータベース11(以下、単にデータベース11と称する。)として保持されている。飲料製品1の各個体のユニークIDは、前述のように、二次元コード5として飲料製品1のキャップ3の天面に印刷されている。
【0030】
商品管理システム10は、データベース11に、管理対象の飲料製品1のそれぞれについての商品情報12(収容体情報の一例である。)を保持している。商品情報12は、飲料製品1の供給者のみがアクセス可能な供給者用情報12a(管理者用情報の一例である。)と、特定の条件を満たす消費者のみがアクセス可能な特定消費者用情報12bと、全ての使用者がアクセス可能な一般情報12cと、を含む。なお、商品管理システム10のハードウェア構成は、典型的には一般的なサーバ型コンピュータでありうるが、以下に説明する機能を実現できる限りで限定されない。
【0031】
供給者用情報12aは、飲料製品1の供給者が内部的に利用する情報であり、たとえば生産に関する情報や流通に関する情報などである。供給者用情報12aへのアクセスは、供給者、すなわち供給者の従業員およびこれに準ずる関係者(物流関係者などである。)のみに限定される。
【0032】
供給者用情報12aは、たとえば、飲料製品1の内容物を特定する情報(製品名、成分名、レシピ名、製造年月日、賞味期限、消費期限など)、飲料製品1の製造場所を特定する情報(工場名、製造ライン名、製造ロット番号、製造担当者名、など)、飲料製品1の原材料を特定する情報(原材料名、原材料供給元名、原材料ロット番号、原材料受入日時など)、飲料製品1の製造条件を特定する情報(製造時の圧力、製造時の温度、充填ヘッド番号、通過時間など)、飲料製品1の品質を特定する情報(検査値、検査画像、検査担当者名、など)、および、飲料製品1の流通状況を特定する情報(受払場所、受払タイミング、車両番号、パレット番号など)、を含む。
【0033】
特定消費者用情報12bは、特定の条件を満たす消費者がアクセス可能な情報である。たとえば、消費者個人に固有のユーザーIDを付し、飲料製品1の各個体を購入した消費者のユーザーIDと当該個体のユニークIDとを紐づけておき、各消費者が、自身のユーザーIDに紐づけられている飲料製品1の個体についてのみ、購入日や購入場所等を確認できるようにしてもよい。この場合、供給者側では、消費者ごとの購入履歴を把握できる。
【0034】
また、たとえば、飲料製品1の入手経路に係る条件(地域、時期、小売店など)を設定しておき、当該条件を満たす消費者がアクセス可能な販促キャンペーン情報を提供すれば、地域限定、時期限定、小売店限定などのターゲッティングを施した販促キャンペーンを展開できる。この場合の、限定的に提供される販促キャンペーン情報は、特定消費者用情報12bの一例である。
【0035】
さらに、上記に供給者用情報12aの例として挙げた情報の一部について、消費者が購入した飲料製品1の個体に限りアクセス可能にする運用も可能である。これらの例における購入履歴、および、供給者用情報12aのアクセス可能にされる一部は、特定消費者用情報12bの一例である。たとえば、消費者から供給者に対して飲料製品1の品質等についての問合せがなされた場合に、その特定の消費者に対して問合せの対象である飲料製品1の個体について、原材料、製造条件、および品質を特定する各情報の一部または全部へのアクセスを許可して、当該個体が正常に製造されたことを説明する一助としてもよい。この場合は、ユーザーIDと、当該ユーザーIDを有する消費者に情報へのアクセスを許可する飲料製品1のユニークIDと、の関連付けを、供給者側で設定すればよい。
【0036】
すなわち、特定消費者用情報12bの例として、特定の消費者が購入した飲料製品1の購入履歴に関する情報、特定の条件を満たす消費者を対象とする販促キャンペーン情報、および、特定の消費者に対して限定的に開示する供給者用情報12aの一部、が挙げられる。
【0037】
一般情報12cは、全ての使用者がアクセス可能な情報であり、飲料製品1を紹介するウェブサイトや、限定条件を設けない販促キャンペーンに関する情報、などが例示される。また、上記に供給者用情報12aの例として挙げた、飲料製品1の内容物を特定する情報(製品名、成分名、レシピ名、製造年月日、賞味期限、消費期限など)、飲料製品1の製造場所を特定する情報(工場名、製造ライン名、製造ロット番号、製造担当者名、など)、飲料製品1の原材料を特定する情報(原材料名、原材料供給元名、原材料ロット番号、原材料受入日時など)、飲料製品1の製造条件を特定する情報(製造時の圧力、製造時の温度、充填ヘッド番号、通過時間など)、飲料製品1の品質を特定する情報(検査値、検査画像、検査担当者名、など)、および、飲料製品1の流通状況を特定する情報(受払場所、受払タイミング、車両番号、パレット番号など)、の一部を、一般情報12cとして取り扱ってもよい。たとえば原材料名、賞味期限、工場名などは、ラベル4に印刷する形で従来全ての使用者に公開されている情報であるから、これを一般情報12cとして取り扱うことに差し支えはない。
【0038】
なお、供給者用情報12a、特定消費者用情報12b、および一般情報12cのいずれについても、データベース11に直接的に格納されていてもよいし、間接的に格納されていてもよい。たとえば、販促キャンペーンに関する情報自体をデータベース11に格納する替わりに、当該情報を掲載したウェブサイトのURLがデータベース11に格納されていて、データベース11にアクセスした使用者が当該URLに接続できるようにした構成は、一般情報12cが間接的にデータベース11に格納されている一例である。
【0039】
商品情報12の以上の構成によれば、飲料製品1の製造段階、流通段階、および消費段階における情報を、飲料製品1の各個体のユニークIDに関連付けて一元的に管理しうる。また、ユニークIDを二次元コード5の態様で飲料製品1に付してあるので、各情報へのアクセスが容易である。
【0040】
所定の情報端末20(スマートフォン、タブレット端末、および専用端末などである。)によって二次元コード5を読み取ると、インターネットNを介して、当該情報端末20によるデータベース11へのアクセスが可能になる。このときアクセス可能になるのは、データベース11に保持されている商品情報12のうち、読み取られた二次元コード5に関連付けられているユニークIDによって特定される飲料製品1の個体についての商品情報12である。
【0041】
ここで、情報端末20によるアクセスが許可される商品情報12の範囲は、情報端末20の使用者に基づいて制限される。ここで、商品管理システム10が各使用者の権限を判定する方法は限定されない。たとえば、商品管理システム10にアクセス際に使用者のユーザーIDによる認証を求め、当該ユーザーIDにより特定される使用者の権限に応じた範囲の商品情報12へのアクセスを許可する態様を取りうる。また、管理者側の使用者(管理者の従業員およびこれに準ずる関係者)のみに使用が許可された専用のアプリケーションを介して二次元コード5を読み取った場合にのみ供給者用情報12aへのアクセスが許可され、汎用のアプリケーション(標準の二次元コードリーダーなど)を介したアクセスの際には特定消費者用情報12bおよび一般情報12cへのアクセスを許可するようにしてもよい。
【0042】
(変形例)
変形例に係る飲料製品1A(
図3)は、キャップ3の天面に、二次元コード5に加えて不可視印字6が設けられている点で上記の実施形態と相違する。不可視印字6は、不可視インクを用いて付されており、肉眼では視認できない。不可視インクは所定の波長の紫外光が照射されたときに発光する成分を含み、当該波長の紫外光が照射されているときのみ不可視印字6を読み取ることができる。
【0043】
当変形例において、二次元コード5および不可視印字6は、いずれも、情報端末20によって読み取られた際にデータベース11へのアクセスを可能にするものである。また、同一の飲料製品1に付された二次元コード5および不可視印字6は、同一のユニークIDに関連付けられている。ただし当変形例では、二次元コード5によって示される第一情報と、不可視印字6によって示される第二情報と、が異なる情報になっている。
【0044】
情報端末20によって二次元コード5を読み取った場合には、特定消費者用情報12bおよび一般情報12cへのアクセスが許可される。一方、情報端末20によって不可視印字6を読み取った場合には、供給者用情報12aへのアクセスが許可される。なお、後者の場合は、情報端末20が不可視インクを視認可能にする紫外光を発する発光装置を備えている必要がある。
【0045】
変形例では、供給者用情報12aを肉眼では視認できないため、供給者用情報12aの存在を元より知っている者(典型的には供給者の従業員等である。)以外は、供給者用情報12aが付されていることに気づきにくい。これによって、供給者用情報12aの存在自体を一般の消費者等に知られにくくしながらも、飲料製品1自体に全ての商品情報12へのアクセスの手がかりを設けることができる。
【0046】
〔第二の実施形態〕
本発明に係る収容体の第二の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る収容体を、貯蔵酒の製造所において、貯蔵酒が貯蔵される貯蔵容器および貯蔵酒の充填に供されるタンクに適用した例について説明する。
【0047】
(貯蔵容器およびタンクの構成)
貯蔵容器およびタンクは、いずれも収容体の一例である。貯蔵容器は貯蔵酒を収容するものであり、タンクは充填される貯蔵酒を一時的に収容する収容部を有する装置である。
【0048】
本実施形態では、貯蔵容器の天面およびタンクの各側面に、ユニークIDと関連付けられた二次元コード5が付されている。二次元コード5の態様は第一の実施形態と同様である。なお、二次元コード5とともに不可視印字6が付されていてもよい。この場合の不可視印字6は、第一の実施形態の変形例と同様である。
【0049】
なお、製造所で使用される貯蔵容器およびタンク以外の設備も管理対象とされてよく、管理対象とされる各設備に二次元コード5等が付されうる。ただしここでは簡単のため、貯蔵容器およびタンクを例として説明する。
【0050】
(管理システムの構成)
本実施形態に係る管理システム30(
図4)は、貯蔵酒の製造に関与する製造者(管理者の一例である。)およびその他の者がアクセス可能なシステムであり、貯蔵酒に係る種々の情報が当該システム上で一元的に管理される。管理システム30において、貯蔵容器およびタンクの各個体に係る情報は、各個体に付されたユニークIDを主キーとするリレーショナルデータベース31(以下、単にデータベース31と称する。)として保持されている。貯蔵容器およびタンクの各個体のユニークIDが、二次元コード5として貯蔵容器の天面およびタンクの側面に印刷されている。
【0051】
管理システム30は、データベース31に、管理対象の貯蔵容器およびタンクのそれぞれについての収容体情報32を保持している。収容体情報32は、貯蔵酒の製造者のみがアクセス可能な管理者用情報32aと、全ての使用者がアクセス可能な一般情報32bと、を含む。なお、管理システム30のハードウェア構成は、典型的には一般的なサーバ型コンピュータでありうるが、以下に説明する機能を実現できる限りで限定されない。
【0052】
管理者用情報32aは、貯蔵酒の製造者が内部的に利用する情報であり、たとえば、工場名、製造ライン名、製造担当者名、品質検査の結果、などに関する情報である。管理者用情報32aへのアクセスは、製造者の従業員等に限定される。
【0053】
一般情報32bは、製造者の従業員等に該当しない者を含むすべての使用者がアクセス可能な情報であるが、特に製造所における情報提供を目的可能とする情報である。たとえば、貯蔵容器についての一般情報32bとしては、貯蔵容器やタンクに関する情報(材質や製造年など)、貯蔵容器やタンクに収容されている貯蔵酒に関する情報(原料の産地や種類など)、などが、一般情報32bとして取り扱われる。
【0054】
所定の情報端末40(スマートフォン、タブレット端末、および専用端末などである。)によって二次元コード5を読み取ると、インターネットNを介して、当該情報端末40によるデータベース31へのアクセスが可能になる。このときアクセス可能になるのは、データベース31に保持されている収容体情報32のうち、読み取られた二次元コード5に関連付けられているユニークIDによって特定される収容体についての収容体情報32である。
【0055】
情報端末40によるアクセスが許可される収容体情報32の範囲の制限について、第一の実施形態と同様である。すなわち、使用者の認証を求める方法、管理者とそれ以外の者とで使用するアプリケーションを分ける方法、二次元コード5と不可視印字6とでアクセス先を分ける方法、などを使用できる。
【0056】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る収容体のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0057】
上記の実施形態では、飲料製品1のキャップ3、または、貯蔵容器の天面もしくはタンクの側面に、二次元コード5としてユニークIDが付されている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る収容体において、個体識別情報が付されている位置は限定されない。すなわち、内容物を収容する収容体本体に個体識別情報が付されていてもよいし、当該収容体本体に付随する付随物に個体識別情報が付されていてもよい。加えて、本発明に係る収容体における内容物の有無も限定されない。
【0058】
上記の実施形態では、供給者用情報12aが、飲料製品1の内容物を特定する情報、飲料製品1の製造場所を特定する情報、飲料製品1の原材料を特定する情報、飲料製品1の製造条件を特定する情報、飲料製品1の品質を特定する情報、および飲料製品1の流通状況を特定する情報、を含む構成を例として説明した。しかし、本発明において管理者用情報に含まれる情報は、上記の例に限定されない。
【0059】
上記の実施形態では、特定消費者用情報12bの例として、特定の消費者が購入した飲料製品1の購入履歴に関する情報、特定の条件を満たす消費者を対象とする販促キャンペーン情報、および、特定の消費者に対して限定的に開示する供給者用情報12aの一部、を挙げた。しかし、本発明おいて特定消費者用情報に含まれる情報は、上記の例に限定されない。
【0060】
上記の実施形態では、一般情報12cの例として、飲料製品1を紹介するウェブサイトや、限定条件を設けない販促キャンペーンに関する情報、などを示した。しかし、本発明において一般情報に含まれる情報は、上記の例に限定されない。
【0061】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、たとえば飲料製品などの容器や製造設備などに利用できる。
【符号の説明】
【0063】
〔第一の実施形態〕
1 :飲料製品
2 :容器本体
3 :キャップ
4 :ラベル
5 :二次元コード
6 :不可視印字
10 :商品管理システム
11 :データベース
12 :商品情報
12a :供給者用情報
12b :特定消費者用情報
12c :一般情報
20 :情報端末
【0064】
〔第二の実施形態〕
30 :管理システム
31 :データベース
32 :収容体情報
32a :管理者用情報
32b :一般情報
40 :情報端末