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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132669
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/514 20060101AFI20240920BHJP
   A61F 13/551 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61F13/514 500
A61F13/551 100
A61F13/514 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043532
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 哲宏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA13
3B200BA05
3B200BA16
3B200BB03
3B200BB20
3B200CA11
3B200CA12
3B200CA15
3B200DA01
3B200DA03
3B200DA21
3B200DA27
3B200DD07
3B200DE02
3B200DE06
3B200DE10
3B200EA08
3B200EA23
(57)【要約】
【課題】交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品を提供する。
【解決手段】本開示は、トップシート14とバックシート15と吸収体16とを備える吸収性物品10であって、肌側の幅方向の両側に配置される立体ギャザー部18a,18bと、非肌側の幅方向の両側に配置されてバックシート15の非肌側面15aに対向する帯状シート部19a,19bとを有するギャザーシート17を備え、ギャザーシート17は、立体ギャザー部18a,18bの幅方向の外端縁と帯状シート部19a,19bの幅方向の外端縁とが長手方向の一部の領域で互いに連続する連続部25を有し、帯状シート部19a,19bのうち連続部25に隣接する領域は、バックシート15に対して強固に接着される強接着領域21であり、帯状シート部19a,19bの強接着領域21を除いた少なくとも一部の領域は、バックシート15に対して剥離可能に接着される弱接着領域22である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体とを備える吸収性物品であって、
肌側の幅方向の両側に配置されて長手方向に沿って延びる一対の立体ギャザー部と、非肌側の幅方向の両側に配置されて長手方向に沿って延びて前記バックシートの非肌側面に対向する一対の帯状シート部とを有するギャザーシート、を備え、
前記ギャザーシートは、前記一対の立体ギャザー部の幅方向の外端縁と前記一対の帯状シート部の幅方向の外端縁とが長手方向の一部の領域で互いに連続する連続部を有し、
前記一対の帯状シート部のうち前記連続部に隣接する領域は、前記バックシートの非肌側面に対して強固に接着される強接着領域であり、
前記一対の帯状シート部の前記強接着領域を除いた少なくとも一部の領域は、前記バックシートの非肌側面に対して剥離可能に接着される弱接着領域である
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記一対の帯状シート部の前記強接着領域の幅方向の長さは、20mm以上30mm以下であり、
前記一対の帯状シート部の前記強接着領域の面積は、2000mm以上4000mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記一対の帯状シート部の幅方向の内端縁は、前記吸収性物品の幅方向の中央部で長手方向に沿って延びて互いに近接又は接触する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記一対の帯状シート部の幅方向の内端縁は、前記吸収性物品の幅方向の中央部で互いに連続しており、前記吸収性物品の幅方向の中央部に設けられるミシン目によって切断可能となっている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
長手方向の一側に位置して幅方向の長さが長い幅広部と、長手方向の他側に位置して幅方向の長さが前記幅広部よりも短い幅狭部とを備え、
長手方向の長さは、560mm以上850mm以下であり、
前記幅広部と前記幅狭部との差は20mm以上90mm以下であり、
前記ギャザーシートの前記連続部は、前記幅広部の幅方向の外端に位置する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記バックシートの非肌側面に対する前記一対の帯状シート部の前記強接着領域の剥離強度は、200gf/25mm以上であり、
前記バックシートの非肌側面に対する前記一対の帯状シート部の前記弱接着領域の剥離強度は、30gf/25mm以上120gf/25mm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、尿とりパッドが開示されている。この尿とりパッドは、裏面シート、トップシート、及び両シートの間に設けた吸収体からなるパッド本体を有する。尿とりパッドは、パッド本体の裏面シートの外側面にポケットシートを設けてポケットが形成されている。尿とりパッドの廃棄時には、パッド本体を裏面シートが外側になるよう丸め込み、ポケットシートを裏返すようにして丸め込んだパッド本体を収納することができる。
【0003】
特許文献2には、吸収性物品が開示されている。この吸収性物品は、吸収性本体と、袋体とを備える。袋体は、吸収性本体の肌非対向面側に取り付けられ、裏返すことにより形成される内部空間に、吸収性本体を収納可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-284288号公報
【特許文献2】特開2014-151128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今は被介護者が介護施設に入所できず在宅で介護されるケースが増加しており、高齢の被介護者を高齢のパートナー(配偶者等)が在宅介護したり、高齢の被介護者を比較的高齢の子供が在宅介護したりする、いわゆる老老介護の家庭が増えている。介護者及び被介護者の双方が加齢のため体力が衰える中、介護作業は大変な身体的負担となっている。特におむつ交換作業は心身の負担が大きく、大便を排泄したパッドの交換は、ときに被介護者の重い身体の操作を伴う。このため、布団や衣類等の周辺に排泄物を誤って付着させてしまう場合があり、それらの交換や洗濯等の二次的な作業が発生し、在宅介護上の課題となっている。また、夜間で視界が悪く、急な交換でゴミ袋が手近にない状況でも交換を行う場合があり、この場合も周囲を汚してしまう可能性がある。
【0006】
特許文献1に記載の尿とりパッド(吸収性物品)及び特許文献2に記載の吸収性物品では、吸収性物品を袋等(ポケットを含む)に収納可能である。しかし、吸収性物品を袋等に収納するために折り畳んだり、丸め込んだりする必要があるので、吸収性物品の交換時に尿便の液戻りや漏れのおそれがあり、周囲を汚してしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本開示は、交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体とを備える吸収性物品であって、肌側の幅方向の両側に配置されて長手方向に沿って延びる一対の立体ギャザー部と、非肌側の幅方向の両側に配置されて長手方向に沿って延びて前記バックシートの非肌側面に対向する一対の帯状シート部とを有するギャザーシートを備え、前記ギャザーシートは、前記一対の立体ギャザー部の幅方向の外端縁と前記一対の帯状シート部の幅方向の外端縁とが長手方向の一部の領域で互いに連続する連続部を有し、前記一対の帯状シート部のうち前記連続部に隣接する領域は、前記バックシートの非肌側面に対して強固に接着される強接着領域であり、前記一対の帯状シート部の前記強接着領域を除いた少なくとも一部の領域は、前記バックシートの非肌側面に対して剥離可能に接着される弱接着領域である。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品であって、前記一対の帯状シート部の前記強接着領域の幅方向の長さは、20mm以上30mm以下であり、前記一対の帯状シート部の前記強接着領域の面積は、2000mm以上4000mm以下である。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記一対の帯状シート部の幅方向の内端縁は、前記吸収性物品の幅方向の中央部で長手方向に沿って延びて互いに近接又は接触する。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記一対の帯状シート部の幅方向の内端縁は、前記吸収性物品の幅方向の中央部で互いに連続しており、前記吸収性物品の幅方向の中央部に設けられるミシン目によって切断可能となっている。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、長手方向の一側に位置して幅方向の長さが長い幅広部と、長手方向の他側に位置して幅方向の長さが前記幅広部よりも短い幅狭部とを備え、長手方向の長さは、560mm以上850mm以下であり、前記幅広部と前記幅狭部との差は20mm以上90mm以下であり、前記ギャザーシートの前記連続部は、前記幅広部の幅方向の外端に位置する。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記バックシートの非肌側面に対する前記一対の帯状シート部の前記強接着領域の剥離強度は、200gf/25mm以上であり、前記バックシートの非肌側面に対する前記一対の帯状シート部の前記弱接着領域の剥離強度は、30gf/25mm以上120gf/25mm以下である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品の肌側からの平面図である。
図2図1の吸収性物品の非肌側からの平面図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4】帯状シート部の変形例を示す吸収性物品の非肌側からの平面図である。
図5】帯状シート部を展開した状態の吸収性物品の肌側からの平面図である。
図6】吸収性物品を小さくまとめる際の説明図であって、(a)は帯状シート部を両側へ広げた状態を、(b)は吸収性物品をまとめている途中の状態を、(c)はまとめ後の状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る吸収性物品について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品の肌側からの平面図である。図2は、図1の吸収性物品の非肌側からの平面図である。図3は、図1のIII-III矢視断面図である。図4は、帯状シート部の変形例を示す吸収性物品の非肌側からの平面図である。図5は、帯状シート部を展開した状態の吸収性物品の肌側からの平面図である。なお、各図は、吸収性物品の構成部材の寸法の大小関係を規定するものではなく、各構成部材の寸法は、吸収性物品の用途、使用対象とする着用者の年齢等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0018】
本明細書において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、吸収性物品を身体に装着した状態を意味する。また、長手方向とは、吸収性物品の長手の方向を意味し、吸収性物品を着用した際に着用者の前後に沿う方向であり、図中の矢印Xに沿った方向である。また、幅方向とは、吸収性物品の短手の方向を意味し、長手方向と交叉(直交)する方向であり、図中の矢印Yに沿った方向である。また、吸収性物品の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向を意味する。また、「前側」とは、吸収性物品を着用したときに着用者の腹側となる方向を意味し、「後側」とは、着用者の背側となる方向を意味する。また、吸収性物品の各構成部材の「肌側」とは、厚み方向のうち吸収性物品を着用した際に着用者の身体に向かう方向を意味し、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味する。また、左右方向は、前方を向いた状態の着用者から視た左右方向を意味する。また、長手方向の内側は、長手方向の中央へ向かう方向を示し、長手方向の外側は、長手方向の中央から離間する方向を示す。また、幅方向の内側は、幅方向の中央へ向かう方向を示し、幅方向の外側は、幅方向の中央から離間する方向を示す。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0019】
[吸収性物品]
図1図3に示すように、本実施形態に係る吸収性物品10は、ベビー用及び成人用の種々の吸収性物品として使用でき、例えば、軽失禁パッド、尿吸収パッド等のパッド製品が挙げられる。これらの中でも、吸収体を幅広に構成したワイドパッド製品として好適に使用できる。また、インナーとしてのパッド製品形態の吸収性物品10を、アウターとしての各種紙おむつと組み合わせて使用してもよい。
【0020】
吸収性物品10の長手方向の長さ(最大長。以下同じ。)L1は、特に限定されるものではないが、例えば、560mm以上であることが好ましく、850mm以下の範囲であることが好ましい。また、吸収性物品10の幅方向の長さL2は、特に限定されるものではないが、例えば、280mm以上であることが好ましく、400mm以下の範囲であることが好ましい。吸収性物品10の寸法を上記範囲に調整すると、種々の形態の吸収性物品10が容易に得られる。
【0021】
吸収性物品10の形状は、砂時計型、略矩形型、小判型等が挙げられるがこの中でも、長手方向の中間部よりも長手方向の両端側が幅広に形成された砂時計型(ひょうたん型とも言われる場合もある。)が好ましい。
【0022】
本実施形態の吸収性物品10は、砂時計型に形成され、長手方向の中間部11よりも長手方向の一側(後側)に位置する幅広部12と、中間部11よりも長手方向の他側(前側)に位置する幅狭部13とを備える。幅広部12の幅方向の長さL2は、中間部11及び幅狭部13の双方の幅方向の長さよりも幅方向の両側へ長く、吸収性物品10の幅方向の長さL2となる。幅狭部13の幅方向の長さL3は、中間部11の幅方向の長さよりも幅方向の両側へ長く、幅広部12の幅方向の長さL2よりも短い。幅広部12の幅方向の長さL2と幅狭部13の幅方向の長さL3との差は、20mm以上であることが好ましく、90mm以下であることが好ましい。幅広部12と幅狭部13の幅方向の長さを上記範囲に調整すると、砂時計型のワイドパッド製品としての吸収性物品10が容易に得られる。なお、吸収性物品10の形状は、砂時計型に限定されるものではない。
【0023】
吸収性物品10は、液透過性の肌側のトップシート14と、液不透過性の非肌側のバックシート15と、トップシート14とバックシート15との間に配置される吸収体16と、ギャザーシート17と、を備える。なお、吸収性物品10は、トップシート14、バックシート15、及びギャザーシート17以外の他のシート(例えば、吸収体16を包むカバーシート等)を備えていてもよい。
【0024】
(トップシート)
トップシート14は、吸収体16を挟んで、バックシート15に対向して配置される。トップシート14は、液透過性のシート状部材であって、体液が吸収体16へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されていればよい。基材の一例としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等の1種又は2種以上を含む、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。
【0025】
トップシート14には、液透過性を向上させる観点から、公知の方法に従ってエンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート14には、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有させてもよい。トップシート14の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m以上であることが好ましく、40g/m以下であることが好ましい。トップシート14の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体16へと誘導するために必要とされる、吸収体16の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0026】
(バックシート)
バックシート15は、吸収体16が保持している体液の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えた基材を用いて形成されていればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。
【0027】
バックシート15の坪量は、例えば強度及び加工性の点から、15g/m以上であることが好ましく、40g/m以下であることが好ましい。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート15には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート15に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート15にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。例えば、樹脂とフィラーとを混練し、得られた混練物をフィルム状に成形し、得られたフィルムからフィラーを除去することにより、多孔性(通気性)樹脂フィルムを得ることができる。
【0028】
(吸収体)
吸収体16としては、例えば、基材としての吸収性繊維と、吸収性繊維に担持された高吸収性ポリマー(以下、「SAP」という場合がある。)と、を含むフラッフ吸収体や、液吸収性シート間にSAP粒子を固着したSAPシートが挙げられる。
【0029】
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。また、液吸収性シートとしては、上記吸収性繊維の1種又は2種以上から構成されるシートが挙げられる。
【0030】
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
吸収体16において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものであってもよく、或いは吸収性繊維間にSAP粒子を固着したものであってもよい。
【0032】
吸収体16の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、砂時計型、I字状、長方形の4角が丸まった角丸四角形状、長円状、一方向に長い楕円形状等が挙げられる。本実施形態では、吸収体16は、砂時計型に形成される。吸収体16は、2層以上を重ねて用いてもよい。
【0033】
(カバーシート)
吸収性物品10は、吸収体16からのSAP粒子の漏洩防止や吸収体16の形状の安定化の目的から、吸収体16を包むような、カバーシート(図示省略)を有していてもよい。カバーシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、例えば、ティッシュ、吸収紙、エアレイド不織布、スパンボンド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。これらの中でも、スパンボンド不織布が好ましい。また、カバーシートを複数備える場合は、複数のカバーシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。また、トップシート14とカバーシートとの間に、体液をカバーシート側から吸収体16側へ迅速に捕捉し分配するためのADL層を設けてもよい。
【0034】
(ギャザーシート)
図1図3に示すように、ギャザーシート17は、着用者が排泄した体液の横モレを防止するための肌側の一対の立体ギャザー部18a,18bと、立体ギャザー部18a,18bの幅方向の外端から非肌側へ折り返されてバックシート15の非肌側面15aに対して剥離可能に接着される一対の帯状シート部19a,19bとを有する。
【0035】
ギャザーシート17は、撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。ギャザーシート17用の不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。ギャザーシート17の坪量は、例えば、13g/m以上20g/m以下の範囲であることが好ましい。
【0036】
(立体ギャザー部)
図1及び図3に示すように、立体ギャザー部18a,18bは、肌側からの平面視において長手方向に延びる帯状のシート部であって、吸収性物品10の肌側の幅方向の両側に配置される。立体ギャザー部18a,18bの幅方向の外端縁23は、吸収性物品10の外端縁に沿って延びる。立体ギャザー部18a,18bの幅方向の外端部は、その長手方向の全域がトップシート14及びバックシート15の少なくとも一方の肌側面に対して固定される。本実施形態では、立体ギャザー部18a,18bは、幅方向の外端(固定端)の長手方向の全域がバックシート15の肌側面の幅方向の外端部に固定され、幅方向の途中部の長手方向の全域がトップシート14の肌側面の幅方向の外端部に固定される。立体ギャザー部18a,18bの幅方向の内端は、起立性を有する自由端となっている。立体ギャザー部18a,18bの幅方向の内端部には、長手方向に沿って弾性伸縮部材20が設けられる。
【0037】
弾性伸縮部材20は、立体ギャザー部18a,18bの自由端(内端)付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、立体ギャザー部18a,18bの自由端及びその近傍領域を装着者の体型に合わせて変形可能にする。弾性伸縮部材20としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0038】
(帯状シート部)
図2及び図3に示すように、帯状シート部19a,19bは、非肌側からの平面視において長手方向に延びる帯状のシート部であって、吸収性物品10の非肌側の幅方向の両側に配置される。帯状シート部19a,19bの幅方向の外端縁24は、吸収性物品10の外端縁に沿って延びる。帯状シート部19a,19bは、バックシート15の非肌側面15aに対向する。帯状シート部19a,19bの少なくとも一部の領域は、バックシート15の非肌側面15aに対して剥離可能に接着されている。本実施形態では、帯状シート部19a,19bの後述する強接着領域21(図2に着色している領域)とは異なる他の領域が、バックシート15の非肌側面15aに対して剥離可能に接着される弱接着領域(一部の領域)22となっている。なお、帯状シート部19a,19bの強接着領域21及び弱接着領域22については後述する。
【0039】
図2に示すように、帯状シート部19a,19bの幅方向の内端縁26は、吸収性物品10の幅方向の中央部で長手方向に沿って延びて互いに近接又は接触することが好ましい。これにより、帯状シート部19a,19bのそれぞれの幅方向の長さを確保することができ、後述する使用済みの吸収性物品10を小さくまとめる際の帯状シート部19a,19bの強度を確保することができる。
【0040】
なお、図2では、帯状シート部19a,19b同士を幅方向の内側で互いに離間させているが、これに限定されるものではなく、帯状シート部19a,19bの幅方向の内端部同士を幅方向の内側で互いに僅かに重ねた状態で、内端縁26を互いに近接させてもよい。または、帯状シート部19a,19bの内端縁26を互いに接触させてもよい。或いは、図4に示すように、帯状シート部19a,19bの内端縁26は、吸収性物品10の幅方向の中央部で互いに連続していてもよく、吸収性物品10の幅方向の中央部に設けられるミシン目27によって切断可能となっていてもよい。
【0041】
(連続部)
図5に示すように、帯状シート部19a,19bは、バックシート15の非肌側面15aから剥がして、幅方向の外側へ展開することができる。図5に示すように、ギャザーシート17は、一対の立体ギャザー部18a,18bの幅方向の外端縁23と一対の帯状シート部19a,19bの幅方向の外端縁24とが長手方向の一部の領域で互いに連続する連続部25を有する。立体ギャザー部18a,18bと帯状シート部19a,19bとは、連続部25のみで連続している。すなわち、立体ギャザー部18a,18bの幅方向の外端縁23及び帯状シート部19a,19bの幅方向の外端縁24のうち連続部25を除く他の領域は、互いに連続していない。ギャザーシート17の連続部25は、吸収性物品10の長手方向の一方へ偏った位置に、左右対称に設けられることが好ましい。本実施形態のギャザーシート17の連続部25は、吸収性物品10の幅広部12の外端縁(外端)に位置し、吸収性物品10の左右対称に設けられる。
【0042】
(強接着領域)
本実施形態では、一対の帯状シート部19a,19bのうち連続部25に隣接する領域(図2に着色している領域)は、バックシート15の非肌側面15aに対して強固に接着される強接着領域21である。帯状シート部19a,19bの強接着領域21は、バックシート15の非肌側面15aから容易に剥離できないように、バックシート15の非肌側面15aに対して強固に(弱接着領域22よりも強固に)接着される。例えば、帯状シート部19a,19bの強接着領域21は、構造用ホットメルト接着剤をバックシート15の非肌側面15aに対して所定の強度を付与する塗布量、パターンで塗布することによって、バックシート15の非肌側面15aに対して固定的に接着される。本実施形態では、帯状シート部19a,19bの強接着領域21は、吸収性物品10の幅広部12の外端縁に隣接する領域であり、長手方向に延びる。なお、図2図4、及び図5では、強接着領域21を着色しているが、これは分かりやすくするためであり、実際には、強接着領域21と弱接着領域22とは同色であってよい。
【0043】
帯状シート部19a,19bの強接着領域21の幅方向の長さL4は、下限値が20mm以上であることが好ましく、上限値が30mm以下であることが好ましい。また、強接着領域21の面積は、下限値が2000mm以上であることが好ましく、上限値が4000mm以下であることが好ましい。強接着領域21の幅方向の長さL4及び面積を上記範囲に設定することによって、帯状シート部19a,19bを展開して引っ張った際の帯状シート部19a,19bの基端部(強接着領域21)の強度を確保しつつ、帯状シート部19a,19bの幅方向の長さを確保することができる。
【0044】
(弱接着領域)
一対の帯状シート部19a,19bの弱接着領域22は、バックシート15の非肌側面15aに対して剥離可能に接着される。例えば、帯状シート部19a,19bの弱接着領域22は、ズレ止めホットメルト接着剤をバックシート15の非肌側面15aに対して強すぎず弱すぎず適切な接着強度(手で剥離可能な強度)が得られる塗布量、パターンで塗布することによって、バックシート15の非肌側面15aに対して接着される。なお、弱接着領域22は、帯状シート部19a,19bのうち、強接着領域21を除く全域であってもよいし、又は強接着領域21を除く一部の領域であってもよい。
(剥離強度)
【0045】
バックシート15の非肌側面15aに対する帯状シート部19a,19bの強接着領域21の剥離強度は、200gf/25mm以上であることが好ましい。帯状シート部19a,19bの強接着領域21の剥離強度を上記範囲に設定することによって、後述する使用済みの吸収性物品10を小さくまとめる際の帯状シート部19a,19bの基端部の強度を確保することができる。
【0046】
バックシート15の非肌側面15aに対する帯状シート部19a,19bの弱接着領域22の剥離強度は、下限値が30gf/25mm以上であることが好ましく、上限値が120gf/25mm以下であることが好ましい。弱接着領域22の剥離強度を30gf/25mm以上に設定することによって、吸収性物品10の使用中に帯状シート部19a,19bがバックシート15から意図せず剥がれてしまうことを防止して、装着感の低下を防止することができる。また、弱接着領域22の剥離強度を120gf/25mm以下に設定することによって、後述する使用済みの吸収性物品10を小さくまとめる際に、帯状シート部19a,19bをバックシート15から容易に剥がすことができる。
【0047】
帯状シート部19a,19bの強接着領域21及び弱接着領域22の剥離強度は、テンシロン引張試験機を用いて測定する。強接着領域21及び弱接着領域22の剥離強度を測定する際には、先ず、幅方向の長さが25mmの試料を準備する。次に、当該試料の帯状シート部19a,19b(強接着領域21及び弱接着領域22)と、帯状シート部19a,19bを除く吸収性物品10とをテンシロン引張試験機の上下のチャック部に挟む。次に、引張速度を500mm/minに設定して引っ張り、吸収性物品10のバックシート15から帯状シート部19a,19b(強接着領域21及び弱接着領域22)が剥離するときの引張強度(gf/25mm)を剥離強度として測定する。このような測定を複数回行い、その平均値を帯状シート部19a,19bの強接着領域21及び弱接着領域22の剥離強度とする。
【0048】
(使用方法)
次に、使用済みの吸収性物品10を交換する際の作業の一例について説明する。
【0049】
図6は、吸収性物品を小さくまとめる際の説明図であって、(a)は帯状シート部を両側へ広げた状態を、(b)は吸収性物品をまとめている途中の状態を、(c)はまとめ後の状態をそれぞれ示す。なお、図6は、概略的な説明図であり、分かり易くするために、図6(b)、(c)では、概略的な断面を図示している。
【0050】
例えば、被介護者が装着している使用済みの吸収性物品10を交換する場合、交換作業者(介護者又は被介護者自身を含む。)は、先ず、新しい吸収性物品10を手元に準備した状態で、装着している使用済みの吸収性物品10をアウター(下着や各種紙おむつを含む。)から取り外して、被介護者の身体から取り外す。
【0051】
次に、交換作業者は、図5に示すように、使用済みの吸収性物品10のギャザーシート17の帯状シート部19a,19bをバックシート15から剥がし、幅方向の両方の外側へ展開する。
【0052】
次に、交換作業者は、図6(a)に白抜き矢印で示すように、使用済みの吸収性物品10を肌側面(トップシート14側)が内側になるように、長手方向の他側の幅狭部13側から軽く巻き、或いは長手方向の他側の幅狭部13を一側の幅広部12の上に折り畳む。
【0053】
次に、交換作業者は、図6(a)に示すように、帯状シート部19a,19bの長手方向の一端(図中の下端(前端))を把持して幅方向の両側へ広げ、図6(b)に示すように、吸収性物品10の幅狭部13側が内側になるように、帯状シート部19a,19bを幅方向の両側から幅狭部13の上方へ持ち上げて幅狭部13の上方で交叉させる。
【0054】
次に、交換作業者は、図6(c)に示すように、吸収性物品10の幅狭部13の上方で帯状シート部19a,19bの長手方向の一端側を互いに結ぶ。これにより、吸収性物品10の汚れた肌側面(トップシート14側)を内側にした状態で、使用済みの吸収性物品10を展開しないように保持することができ、使用済みの吸収性物品10を小さくまとめて衛生的に拘束した状態(以下、「拘束状態」という。)にすることができる。
【0055】
次に、交換作業者は、拘束状態の使用済みの吸収性物品10を自身の近くに仮置きするなどして、新しい吸収性物品10を被介護者へ装着する。最後に、交換作業者は、仮置きしていた拘束状態の使用済みの吸収性物品10を廃棄する。
【0056】
上記のように構成された吸収性物品10では、ギャザーシート17が立体ギャザー部18a,18bに加えて、帯状シート部19a,19bを有する。帯状シート部19a,19bは、バックシート15の非肌側面15aに対して強固に接着された強接着領域21と、バックシート15の非肌側面15aに対して剥離可能に接着された弱接着領域22とを有する。このため、使用済みの吸収性物品10を交換する際に、帯状シート部19a,19bをバックシート15から剥がして、帯状シート部19a,19bによって使用済みの吸収性物品10を小さくまとめた状態で拘束することができる。また、両側の帯状シート部19a,19bを互いに結ぶ際の力加減によって、使用済みの吸収性物品10を強く潰すことなく緩やかに拘束することもできる。このように、使用済みの吸収性物品を小さく折り畳んだり丸めたりして袋等に入れる場合とは異なり、吸収性物品10を強く潰すことなく、使用済みの吸収性物品10を緩やかに小さくまとめることができるので、体液(尿便)の液戻りや漏れを防止することができ、吸収性物品10を衛生的に交換することができる。
【0057】
また、帯状シート部19a,19bは、立体ギャザー部18a,18bを構成するギャザーシート17に一体的に設けられるので、仮に強接着領域21が剥がれてしまったとしても、帯状シート部19a,19bが吸収性物品10から分離することがない。このため、仮に強接着領域21が剥がれてしまったとしても、使用済みの吸収性物品10を小さくまとめることができ、吸収性物品10を衛生的に交換することができる。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品10を提供することができる。
【0059】
また、吸収性物品10は、幅広部12と幅狭部13とを備えるので、使用済みの吸収性物品10をまとめる際に、幅狭部13を、幅の広い幅広部12の上に重ねることができる。このため、使用済みの吸収性物品10をまとめる際に、幅狭部13から幅方向の外側へ排泄物が漏れたとしても、幅広部12で受け止めることができるので、吸収性物品10を衛生的に交換することができる。
【0060】
また、ギャザーシート17の連続部25は、吸収性物品10の幅広部12の幅方向の外端に位置する。このため、使用済みの吸収性物品10をまとめる際に幅狭部13を幅広部12の上に重ねた後、幅狭部13が内側になるようにまとめ易い。
【0061】
なお、本実施形態では、使用済みの吸収性物品10を折り畳んだ後、帯状シート部19a,19bによって幅方向の両側から小さくまとめて結んだが、これに限定されるものではなく、例えば、帯状シート部19a,19bを長手方向の両側へ広げて、使用済みの吸収性物品10を長手方向の両側から小さくまとめて結んでもよい。
【0062】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10:吸収性物品
12:幅広部
13:幅狭部
14:トップシート
15:バックシート
16:吸収体
17:ギャザーシート
18a,18b:立体ギャザー部
19a,19b:帯状シート部
21:強接着領域
22:弱接着領域
25:連続部
27:ミシン目
図1
図2
図3
図4
図5
図6