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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132681
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/17 20160101AFI20240920BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20240920BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20240920BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240920BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20240920BHJP
   F02N 11/08 20060101ALI20240920BHJP
   F02N 11/04 20060101ALI20240920BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20240920BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240920BHJP
   F02D 41/06 20060101ALI20240920BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60W20/17
B60K6/46 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60L50/61
F02N11/08 V
F02N11/04 D
F02D29/02 321B
F02D45/00 362
F02D41/06
F02D9/02 305B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043551
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木山 栄嗣
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅之
(72)【発明者】
【氏名】金田 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】平尾 知之
(72)【発明者】
【氏名】中本 和男
(72)【発明者】
【氏名】吉井 侑典
【テーマコード(参考)】
3D202
3G065
3G093
3G301
3G384
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB05
3D202BB12
3D202CC42
3D202DD18
3D202DD24
3G065BA06
3G065CA14
3G065EA01
3G065FA11
3G065GA01
3G065GA10
3G065GA11
3G065GA41
3G065GA46
3G093AA07
3G093BA32
3G093BA33
3G093CA01
3G093DA01
3G093DA03
3G093DA06
3G093DB05
3G093EA05
3G093EA09
3G093FA04
3G301JA37
3G301KA01
3G301MA11
3G301ND01
3G301PA07Z
3G301PA11Z
3G301PE01Z
3G301PF01Z
3G301PF03Z
3G384AA28
3G384BA05
3G384BA13
3G384CA01
3G384DA56
3G384EA01
3G384FA04Z
3G384FA06Z
3G384FA08Z
3G384FA56Z
3G384FA79Z
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BD17
5H125CA01
5H125EE31
(57)【要約】
【課題】NV性能の保証領域外に至らないように、発電モータのフィードバック制御を行うことができる。
【解決手段】ハイブリッド車両のエンジン始動であって、発電モータを力行させ、エンジンを始動させるハイブリッド車両の制御装置において、前記発電モータの目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、前記発電モータのフィードバック制御を停止させる制御を行う第1制御部と、前記エンジンの目標回転数を維持するように、前記エンジンを動作させる制御を行う第2制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両のエンジン始動であって、発電モータを力行させ、エンジンを始動させるハイブリッド車両の制御装置において、
前記発電モータの目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、
前記発電モータのフィードバック制御を停止させる制御を行う第1制御部と、
前記エンジンの目標回転数を維持するように、前記エンジンを動作させる制御を行う第2制御部と、
を備えるハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記エンジンの目標回転数と、前記エンジンの実回転数と、の差分に応じて、スロットルバルブに対して、所定量の開度を開くように制御を行う、
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記エンジンの目標回転数と、前記エンジンの実回転数と、の差分に応じて、前記エンジンに対して、燃料を噴射するように制御を行う、
請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、シリーズ方式のハイブリッドシステムには、エンジンと、エンジンの動力で発電する発電モータと、走行のための駆動力を発生する駆動モータと、駆動モータに供給される電力を蓄える電池とが含まれる。エンジンのクランクシャフトにエンジン出力ギヤが設けられ、発電モータの回転軸に発電モータギヤが設けられて、エンジン出力ギヤと発電モータギヤとが噛合することにより、エンジンと発電モータとの間で動力が伝達されるようになっている。
【0003】
そのハイブリッドシステムを搭載した車両では、発電モータの回生方向のトルクを抜いて、エンジンのフリクショントルク以下となる状態からエンジン始動時の歯打ち音の発生を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-17212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、エンジントルクのばらつき(例えば、低温環境や燃料噴射量のばらつき等)によって、想定よりも異なる出力になった場合、発電モータの目標トルクを回転数フィードバックによって補正することにより、目標回転数を維持している。しかしながら、エンジントルクのばらつき状態によっては、エンジン出力ギヤの歯と発電モータギヤの歯打ちに至り、発電モータの目標トルクが、車両のNV性能に影響が出る(例えば、NV性能の保証領域外等)場合がある。
【0006】
本発明の目的は、NV性能の保証領域外に至らないように、発電モータのフィードバック制御を行うことができる、ハイブリッド車両の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、ハイブリッド車両のエンジン始動であって、発電モータを力行させ、エンジンを始動させるハイブリッド車両の制御装置において、前記発電モータの目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、前記発電モータのフィードバック制御を停止させる制御を行う第1制御部と、前記エンジンの目標回転数を維持するように、前記エンジンを動作させる制御を行う第2制御部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、発電モータの目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、発電モータのフィードバック制御を停止させ、エンジンの目標回転数を維持するように、エンジンを動作させる制御を行うため、NV性能の保証領域外に至らないように、発電モータのフィードバック制御を行うことができる。
【0009】
また、前記第2制御部は、前記エンジンの目標回転数と、前記エンジンの実回転数と、の差分に応じて、スロットルバルブに対して、所定量の開度を開くように制御を行っても良い。さらに、前記第2制御部は、前記エンジンの目標回転数と、前記エンジンの実回転数と、の差分に応じて、前記エンジンに対して、燃料を噴射するように制御を行っても良い。
【0010】
例えば、エンジンの目標回転数と、エンジンの実回転数と、の差分がある場合、スロットルバルブに対して、所定量の開度を開くように制御を行ったり、エンジンに対して、燃料を噴射するように制御を行ったりすることで、エンジンの出力向上に寄与する。その結果、エンジンの回転数が維持され、発電モータの目標トルクは、所定の閾値トルク領域内になることがなくなる。これにより、エンジントルクのばらつきによるエンジン出力ギヤの歯と発電モータギヤの歯打ちに至る状態を抑制することができ、車両のNV保証の保証領域内となることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、NV性能の保証領域外に至らないように、発電モータのフィードバック制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置が適用されるハイブリッド車両の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、比較例に係るハイブリッド車両の制御装置における制御処理の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置における制御処理の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図4図4は、変形例に係るハイブリッド車両の制御装置における制御処理の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
<ハイブリッド車両>
図1は、ハイブリッド車両1の構成を示すブロック図である。
【0015】
ハイブリッド車両1は、シリーズ方式のハイブリッドシステム2を搭載している。ハイブリッドシステム2には、エンジン11、発電モータ(MG1)12、駆動モータ(MG2)13、バッテリ14及びPCU(Power Control Unit:パワーコントロールユニット)15が含まれる。
【0016】
エンジン11は、例えば、ガソリンエンジンである。エンジン11は、スロットルボディや燃料を吸入空気に噴射する燃料インジェクタ等を備えている。スロットルボディは、燃料や空気を取り込み、エンジン11の燃料室に送る部品であり、エンジン11の燃焼室への吸入空気量を調整するための電子スロットルバルブ(以下、単にスロットルバルブともいう)、電子スロットルバルブの開度を検知するスロットルポジションセンサ、停車などのアイドリング時の吸気量を調整するためのコントロールバルブ等を備えている。
【0017】
発電モータ12は、例えば、永久磁石同期モータからなる。発電モータ12の回転軸は、エンジン11のクランクシャフトとギヤ(図示せず)を介して機械的に連結されている。例えば、エンジン11のクランクシャフトにエンジン出力ギヤが相対回転不能に支持され、発電モータ12の回転軸にモータギヤが相対回転不能に支持されて、エンジン出力ギヤとモータギヤとが噛合している。
【0018】
駆動モータ13は、例えば、発電モータ12よりも大型の永久磁石同期モータからなる。駆動モータ13の回転軸は、ハイブリッド車両1の駆動系16に連結されている。駆動系16には、デファレンシャルギヤが含まれており、駆動モータ13の動力は、デファレンシャルギヤに伝達され、デファレンシャルギヤから左右の前輪または後輪からなる駆動輪17に分配されて伝達される。これにより、左右の駆動輪17が回転し、ハイブリッド車両1が前進または後進する。
【0019】
バッテリ14は、複数の二次電池を組み合わせた組電池である。二次電池は、例えば、リチウムイオン電池である。バッテリ14は、例えば、約200~350V(ボルト)の直流電力を出力する。
【0020】
PCU15は、発電モータ12及び駆動モータ13の駆動を制御するためのユニットであり、第1インバータ21、第2インバータ22及びコンバータ23を備えている。
【0021】
エンジン11の始動時には、バッテリ14から出力される直流電力がコンバータ23により昇圧されて、昇圧された直流電力が第1インバータ21で交流電力に変換され、交流電力が発電モータ12に供給される。これにより、発電モータ12が力行運転されて、エンジン11が発電モータ12によりモータリング(クランキング)される。モータリングによりエンジン11のクランクシャフトの回転数が始動に必要な回転数まで上昇した状態で、エンジン11の点火プラグがスパークされると、エンジン11が始動する。
【0022】
ハイブリッド車両1の走行時には、駆動モータ13が力行運転されて、駆動モータ13が動力を発生する。
【0023】
駆動モータ13に要求される出力がバッテリ14の出力より小さいときには、ハイブリッド車両1がEV走行する。すなわち、エンジン11が停止されて、発電モータ12による発電が行われず、バッテリ14から駆動モータ13に電力が供給されて、その電力で駆動モータ13が駆動される。
【0024】
一方、駆動モータ13に要求される出力がバッテリ14の出力を上回るときには、ハイブリッド車両1がHEV走行する。すなわち、エンジン11が稼動状態にされて、発電モータ12が発電運転(回生運転)されることにより、エンジン11の動力が発電モータ12で交流電力に変換される。そして、発電モータ12からの交流電力が第1インバータ21で直流電力に変換され、第1インバータ21から出力される直流電力が第2インバータ22で交流電力に変換されて、その交流電力が駆動モータ13に供給されることにより、駆動モータ13が駆動される。
【0025】
また、バッテリ14の残容量が所定以下に低下すると、駆動モータ13の駆動/停止にかかわらず、エンジン11が稼動している状態で、発電モータ12が発電運転される(ファイアリング運転)。このとき、発電モータ12からの交流電力が第1インバータ21で直流電力に変換され、第1インバータ21から出力される直流電力がコンバータ23で降圧されて、降圧後の直流電力がバッテリ14に供給されることにより、バッテリ14が充電される。
【0026】
ハイブリッド車両1の減速時には、駆動モータ13が回生運転されて、駆動輪17から駆動モータ13に伝達される動力が交流電力に変換される。このとき、駆動モータ13が走行駆動系の抵抗となり、その抵抗がハイブリッド車両1を制動する制動力(回生制動力)として作用する。このとき、PCU15では、駆動モータ13から第2インバータ22に供給される交流電力が第2インバータ22で直流電力に変換され、第2インバータ22から出力される直流電力がコンバータ23で降圧される。そして、その降圧後の直流電力がバッテリ14に供給されることにより、バッテリ14が充電される。
【0027】
ハイブリッド車両1には、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、例えば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。
【0028】
複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。各ECUには、制御に必要な各種センサが接続されており、その接続されたセンサの検出信号が入力される。また、各ECUには、各種センサから入力される検出信号以外に制御に必要な情報が他のECUから入力される。
【0029】
図1には、複数のECUのうち、ハイブリッドシステム2を制御するECU31及びECU34が示されている。ECU31及びECU34を含むECU30は、ハイブリッド車両1の制御装置の一例である。
【0030】
ECU31には、アクセルセンサ32及び車速センサ33が接続されている。アクセルセンサ32は、ドライバ(運転者)により足踏み操作されるアクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力する。車速センサ33は、ハイブリッド車両1の走行に伴って回転する回転体の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。
【0031】
また、ECU34には、吸気圧センサ35が接続されている。吸気圧センサ35は、エンジン11の吸気圧を検出し、検出された吸気圧を示す検出信号を出力する。吸気圧センサ35は、検出器の一例である。なお、吸気圧は、ECU34がスロットルボディの開度(スロットル開度)から演算しても良い。
【0032】
ECU31では、アクセルセンサ32の検出信号から、アクセルペダルの最大操作量に対する現在の操作量の割合であるアクセル開度が求められる。また、ECU31では、車速センサ33の検出信号から、その検出信号(パルス信号)の周波数が求められて、その周波数が車速に換算される。
【0033】
また、ECU31は、判定部及び第1制御部を備える。なお、ECU31が備える機能はこれに限定されない。判定部は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内であるかを判定する。ここで、所定の閾値トルク領域内とは、NV性能の保証領域外になる場合のトルクである。
【0034】
第1制御部は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、発電モータ12のフィードバック制御を停止させる制御を行う。第1制御部は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域外になった場合、発電モータ12のフィードバック制御をする(フィードバック制御を停止させない、つまり一度停止させた状態から再度開始させる)制御を行う。
【0035】
また、ECU34は、第2制御部を備える。第2制御部は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、エンジン11の目標回転数を維持するように、エンジン11を動作させる制御を行う。
【0036】
ここで、図2及び図3を用いて、ECU31及びECU34における制御動作の流れについて説明する。図2は、比較例の制御装置における制御動作の流れの一例を示すタイミングチャートである。図3は、本実施形態の制御装置における制御動作の流れの一例を示すタイミングチャートである。図2及び図3の縦軸は、エンジン回転数、MG1トルク、ENGトルクを示し、横軸は時間を示す。
【0037】
また、図2には、グラフG1、グラフG2、グラフG3、トルクU及びトルクDを示す。図3には、グラフG1、グラフG4、グラフG5、トルクU及びトルクDを示す。トルクU及びトルクDの範囲は、所定の閾値トルク領域A1の一例であり、ハイブリッド車両1のNV保証の保証領域外である。
【0038】
グラフG1は、エンジン11の目標回転数を示す。グラフG2は、発電モータ12のフィードバック制御を停止させない場合の発電モータ12の指令トルクの推移である。グラフG3は、発電モータ12のフィードバック制御を停止させない場合のエンジン11の推定トルクの推移である。グラフG4は、発電モータ12のフィードバック制御を停止させる場合の発電モータ12の指令トルクの推移である。グラフG5は、発電モータ12のフィードバック制御を停止させる場合のエンジン11の推定トルクの推移である。
【0039】
ハイブリッドシステム2における、ハイブリッド車両1のエンジン始動は、発電モータ12が力行運転されて、エンジン11が発電モータ12によりモータリングされる。そして、モータリングによりエンジン11のクランクシャフトの回転数が始動に必要な回転数まで上昇した状態で、エンジン11の点火プラグがスパークされると、エンジン11が始動する。
【0040】
ところで、エンジン11が始動し、エンジントルクがばらつく(図2のグラフG3参照)と、発電モータ12の目標トルクは上がり、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域A1(トルクU及びトルクDの間の範囲)にあると、ハイブリッド車両1のNV保証の保証領域外となり(図2のグラフG2参照)、その結果、エンジン出力ギヤの歯と発電モータギヤの歯打ちに至る。
【0041】
そこで、本実施形態におけるECU31は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、発電モータ12のフィードバック制御を停止させ、また、エンジン11の目標回転数を維持するように、エンジン11を動作させる制御を行う。
【0042】
例えば、ECU31の判定部は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内(閾値トルク領域A1の中)であるかを判定する。ECU31の第1制御部は、判定部が、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内になったと判定すると、発電モータ12のフィードバック制御を停止させる制御を行う。
【0043】
ECU34の第2制御部は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、エンジン11の目標回転数を維持するように、エンジン11を動作させる制御を行う。具体的には、第2制御部は、エンジン11の目標回転数と、エンジン11の実回転数と、の差分に応じて、スロットルバルブに対して、所定量の開度を開くように制御を行う(図3のグラフG5参照)。
【0044】
また、第2制御部は、エンジン11の目標回転数と、エンジン11の実回転数と、の差分に応じて、エンジン11に対して、燃料を噴射するように制御を行う(図3のグラフG5参照)。上述した燃料噴射を行う制御は、スロットルバルブを所定量の開度を開いた場合でも、それでもなお、エンジン11の目標回転数と、エンジン11の実回転数と、の差分が大きくなる場合に、第2制御部がエンジン11を動作させる制御を行う。
【0045】
その結果、エンジン11の回転数が維持され、発電モータ12の目標トルクは、所定の閾値トルク領域外(所定の閾値トルク領域A1の外)になる(図3のグラフG4参照)。これにより、エンジントルクのばらつきによるエンジン出力ギヤの歯と発電モータギヤの歯打ちに至る状態を抑制することができ、ハイブリッド車両1のNV保証の保証領域内となることができる。
【0046】
<本実施形態の作用効果>
以上説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両1の制御装置は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、発電モータ12のフィードバック制御を停止させ、エンジン11の目標回転数を維持するように、エンジン11を動作させる制御を行う。そのため、本発明によれば、NV性能の保証領域外に至らないように、発電モータ12のフィードバック制御を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態に係るハイブリッド車両1の制御装置は、エンジン11の目標回転数と、エンジン11の実回転数と、の差分に応じて、スロットルバルブに対して、所定量の開度を開くように制御を行う。さらに、本実施形態に係るハイブリッド車両1の制御装置は、エンジン11の目標回転数と、エンジン11の実回転数と、の差分に応じて、エンジン11に対して、燃料を噴射するように制御を行う。
【0048】
そのため、本発明によれば、例えば、エンジン11の目標回転数と、エンジン11の実回転数と、の差分がある場合、スロットルバルブに対して、所定量の開度を開くように制御を行ったり、エンジン11に対して、燃料を噴射するように制御を行ったりすることで、エンジン11の出力向上に寄与する。
【0049】
その結果、エンジン11の回転数が維持され、発電モータ12の目標トルクは、所定の閾値トルク領域内になることがなくなる。これにより、エンジントルクのばらつきによるエンジン出力ギヤの歯と発電モータギヤの歯打ちに至る状態を抑制することができ、車両のNV保証の保証領域内となることができる。
【0050】
(変形例1)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0051】
例えば、上述の実施形態では、ECU31の第1制御部は、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域内になった場合、発電モータ12のフィードバック制御を停止させ、発電モータ12の目標トルクが所定の閾値トルク領域外になった場合、発電モータ12のフィードバック制御をする制御を行う形態について説明した。
【0052】
変形例1におけるECU31の第1制御部は、発電モータ12のフィードバック制御を停止させる制御を行った後、再度フィードバック制御を開始させる制御において、停止させた際に用いた所定の閾値トルク領域(以下、第1閾値トルク領域ともいう)とは異なる第2閾値トルク領域になった場合に、再度フィードバック制御を開始させても良い。
【0053】
ここで、図4を用いて、変形例1に係るECU31及びECU34における制御動作の流れについて説明する。図4は、変形例の制御装置における制御動作の流れの一例を示すタイミングチャートである。図4の縦軸は、MG1トルクを示し、横軸は時間を示す。
【0054】
また、図4には、グラフG6、トルクU及びトルクDを示す。グラフG6は、発電モータ12のフィードバック制御を停止させる場合の発電モータ12の指令トルクの推移である。トルクU及びトルクDの範囲は、第1閾値トルク領域A1の一例であり、ハイブリッド車両1のNV保証の保証領域外である。
【0055】
また、トルクUを超える範囲A2は、第2閾値トルク領域の一例であり、例えば、発電モータ12の放電側の領域である。さらに、トルクDを下回る範囲A3は、第2閾値トルク領域の一例であり、例えば、発電モータ12の発電側の領域である。
【0056】
図4に示す範囲A2及び範囲A3は、つまり、NV保証の保証領域内のトルクである。変形例1におけるECU31の第1制御部は、発電モータ12のフィードバック制御を停止させる制御を行った後、再度フィードバック制御を開始させる制御において、停止させた際に用いた第1閾値トルク領域とは異なる第2閾値トルク領域になった場合に、再度フィードバック制御を開始させる。
【0057】
これにより、発電モータ12の目標トルクは、所定の閾値トルク領域内になることがなくなる。これにより、エンジントルクのばらつきによるエンジン出力ギヤの歯と発電モータギヤの歯打ちに至る状態を抑制することができる。
【0058】
(変形例2)
上述した第2閾値トルク領域は、図4に示した範囲A2及び範囲A3に限定されず、例えば、発電モータ12のフィードバック制御を停止させた際の時間を基点として、所定の時間を経過した場合に、発電モータ12のフィードバック制御を開始させても良い。この場合の所定の時間とは、発電モータ12の目標トルクが、NV保証の保証領域内のトルクである場合の時間である。
【0059】
(変形例3)
例えば、ECU31が行う制御は、エンジン始動の初回時のみ行っても良い。エンジン始動の初回時とは、例えば、ユーザにより、イグニッション電源がオンされ、ハイブリッド車両1を起動した状態である。イグニッション電源がオンされ起動されたハイブリッド車両1は、エンジン11の温度が十分ではなく、冷えている状態であるため、上述したECU31が行う制御は、低温環境における(冷え切った)エンジン11に対して適用できる。
【0060】
(変形例4)
例えば、ECU34の第2制御部は、重質燃料であるかの判定を行い、重質燃料である場合は、さらに、エンジン11に対して、燃料をさらに噴射するように制御しても良い。
【0061】
なお、本実施形態はシリーズ方式のハイブリッドシステム2で適用する制御装置について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、車両に動力分割機構を設け、エンジンとモータの両方を動力源とするシリーズ・パラレル方式のハイブリッドシステムや、エンジンの補助モータ(例えば、ISG(Integrated Starter Generator))として利用するマイルド方式のハイブリッドシステム及びパラレル方式のハイブリッドシステム等に適用することができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 :ハイブリッド車両
11 :エンジン
12 :発電モータ
31 :ECU(制御装置、判定部、第1制御部)
34 :ECU(制御装置、第2制御部)
図1
図2
図3
図4