(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132682
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】印刷方法、印刷データ生成装置、及び印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 21/16 20060101AFI20240920BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240920BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20240920BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240920BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J21/16
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J3/407
B41J21/00 Z
H04N1/387
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043553
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】堀内 雄平
【テーマコード(参考)】
2C056
2C187
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB44
2C056EC69
2C056HA27
2C187AC08
2C187AG15
2C187BF36
2C187BH17
2C187BH23
2C187DB04
2C187DC06
(57)【要約】
【課題】治具を用いた印刷の動作をより適切に行う。
【解決手段】載置部を複数有する治具200を用いて印刷対象物である媒体50に対して印刷を行う印刷方法であって、治具200における複数の載置部の少なくとも一部の位置に媒体50を載置する印刷対象物載置段階と、媒体50が載置されている載置部を検知手段で検知する載置位置検知段階と、媒体50が載置されている載置部の位置に合わせて印刷データを生成する印刷データ生成段階とを備え、印刷データ生成段階において、検知手段の検知結果に基づき、媒体50が載置されている載置部の位置に印刷画像を配置した範囲画像を生成する画像配置処理と、印刷装置12において実行する印刷の条件に合わせて生成画像を生成する生成画像生成処理と、生成画像に基づいて印刷データを生成するデータ生成処理とを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象物を載置する領域である載置部を複数有する治具を用いて前記印刷対象物に対して印刷を行う印刷方法であって、
インクを吐出することで印刷を行う印刷装置に対して前記治具を載置する治具載置段階と、
前記治具における複数の前記載置部の少なくとも一部の位置に前記印刷対象物を載置する印刷対象物載置段階と、
前記載置部に前記印刷対象物が載置されているか否かを検知する検知手段を用いて、前記印刷対象物が載置されている前記載置部を検知する載置位置検知段階と、
前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に合わせて印刷データを生成する印刷データ生成段階と、
前記印刷データに基づき、前記印刷対象物への印刷を前記印刷装置に実行させる印刷段階と
を備え、
前記印刷データ生成段階において、
前記印刷対象物に印刷すべき画像として予め用意された印刷画像を前記印刷対象物の位置に合わせて配置することで複数の前記載置部を含む範囲に対応する印刷範囲の画像である範囲画像を生成する処理であり、前記検知手段の検知結果に基づき、前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に前記印刷画像を配置した前記範囲画像を生成する画像配置処理と、
前記印刷装置において実行する印刷の条件に合わせて生成される画像である生成画像を生成する処理であり、前記範囲画像に基づいて前記生成画像を生成する生成画像生成処理と、
前記生成画像に基づいて前記印刷データを生成するデータ生成処理と
を行うことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
前記印刷対象物載置段階において、載置手段を用いて、前記治具における複数の前記載置部の少なくとも一部の位置に前記印刷対象物を載置することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記印刷段階において印刷がされた前記印刷対象物を回収する印刷対象物回収段階を更に備え、
前記印刷対象物回収段階において前記印刷対象物を回収した後、新たな前記印刷対象物に対して、前記印刷対象物載置段階、前記載置位置検知段階、前記印刷データ生成段階、前記印刷段階、及び前記印刷対象物回収段階の動作を更に行うことで、前記印刷装置に、複数回の印刷の動作を実行させることを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記載置位置検知段階において、前記載置部と前記印刷対象物との間での位置のズレについて、所定の基準量よりもずれているか否かを更に検知し、
前記画像配置処理において、前記位置のズレが前記基準量よりも大きい前記載置部の位置には前記印刷画像を配置しないで、前記範囲画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項5】
前記検知手段は、センサであり、
前記センサが取り付けられた板状又はシート状の部材であるセンサ取付部材を用い、
前記センサ取付部材は、前記治具及び前記印刷装置のいずれとも別体の部材であり、
前記治具載置段階において、前記センサ取付部材と重ねて、前記治具を載置することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記検知手段は、前記治具とは別体の部材に取り付けられたセンサであり、
前記治具には、少なくとも前記治具の構成と対応付けられた識別情報が付与されており、
前記載置位置検知段階において、前記センサの出力と、前記治具に付与されている前記識別情報とに基づき、前記印刷対象物が載置されている前記載置部を検知することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項7】
印刷すべき前記印刷対象物の個数である印刷個数を指定する入力を受け付ける印刷個数入力段階を更に備え、
前記治具の前記載置部に載置されていると検知された前記印刷対象物の数が前記印刷個数に達するまで、前記印刷対象物載置段階、前記載置位置検知段階、前記印刷データ生成段階、及び前記印刷段階の動作を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記印刷個数入力段階において、第1の前記印刷画像である第1画像を印刷すべき前記印刷個数である第1個数を指定する入力と、前記第1画像と異なる第2の前記印刷画像である第2画像を印刷すべき前記印刷個数である第2個数を指定する入力とを受け付け、
前記第1画像について、前記治具の前記載置部に載置されていると検知された前記印刷対象物の数が前記第1個数に達するまで、前記印刷対象物載置段階、前記載置位置検知段階、前記印刷データ生成段階、及び前記印刷段階の動作を繰り返し、
その後、前記第2画像について、前記治具の前記載置部に載置されていると検知された前記印刷対象物の数が前記第2個数に達するまで、前記印刷対象物載置段階、前記載置位置検知段階、前記印刷データ生成段階、及び前記印刷段階の動作を繰り返し、
かつ、前記第1画像について前記治具の前記載置部に載置されていると検知された前記印刷対象物の数が前記第1個数に達した時点で行う前記画像配置処理において、直前に行った前記載置位置検知段階で前記印刷対象物が載置されていることが検知された前記載置部のうち、前記第1画像が配置されていない前記載置部が存在する場合、当該載置部の位置に前記第2画像を配置することを特徴とする請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
互いに異なる複数種類の前記印刷画像を用い、
前記画像配置処理において、一部の前記載置部の位置に、第1の前記印刷画像である第1画像を配置し、他の少なくとも一部の前記載置部の位置に、前記第1画像と異なる第2の前記印刷画像を配置することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項10】
印刷データを生成する印刷データ生成装置であって、
印刷対象物を載置する領域である載置部を複数有する治具を用いて前記印刷対象物に対して印刷を行う動作を印刷装置に行わせる印刷データを生成し、
前記印刷装置は、インクを吐出することで印刷を行う装置であり、
前記印刷装置に対して前記治具を載置し、前記治具における複数の前記載置部の少なくとも一部の位置に前記印刷対象物を載置した状態で、前記載置部に前記印刷対象物が載置されているか否かを検知する検知手段を用いて、前記印刷対象物が載置されている前記載置部を検知した結果に基づき、前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に合わせて印刷データを生成し、
前記印刷データを生成するための処理として、
前記印刷対象物に印刷すべき画像として予め用意された印刷画像を前記印刷対象物の位置に合わせて配置することで複数の前記載置部を含む範囲に対応する印刷範囲の画像である範囲画像を生成する処理であり、前記検知手段の検知結果に基づき、前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に前記印刷画像を配置した前記範囲画像を生成する画像配置処理と、
前記印刷装置において実行する印刷の条件に合わせて生成される画像である生成画像を生成する処理であり、前記範囲画像に基づいて前記生成画像を生成する生成画像生成処理と、
前記生成画像に基づいて前記印刷データを生成するデータ生成処理と
を行うことを特徴とする印刷データ生成装置。
【請求項11】
印刷対象物を載置する領域である載置部を複数有する治具を用いて前記印刷対象物に対して印刷を行う印刷システムであって、
印刷データを生成する印刷データ生成装置と、
インクを吐出することで印刷を行う印刷装置と
を備え、
前記印刷データ生成装置は、
前記印刷装置に対して前記治具を載置し、前記治具における複数の前記載置部の少なくとも一部の位置に前記印刷対象物を載置した状態で、前記載置部に前記印刷対象物が載置されているか否かを検知する検知手段を用いて、前記印刷対象物が載置されている前記載置部を検知した結果に基づき、前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に合わせて印刷データを生成し、
前記印刷データを生成するための処理として、
前記印刷対象物に印刷すべき画像として予め用意された印刷画像を前記印刷対象物の位置に合わせて配置することで複数の前記載置部を含む範囲に対応する印刷範囲の画像である範囲画像を生成する処理であり、前記検知手段の検知結果に基づき、前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に前記印刷画像を配置した前記範囲画像を生成する画像配置処理と、
前記印刷装置において実行する印刷の条件に合わせて生成される画像である生成画像を生成する処理であり、前記範囲画像に基づいて前記生成画像を生成する生成画像生成処理と、
前記生成画像に基づいて前記印刷データを生成するデータ生成処理と
を行い、
前記印刷装置は、前記印刷データに基づき、前記印刷対象物への印刷を実行することを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、印刷データ生成装置、及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治具に保持されている印刷対象物に対して印刷を行う印刷装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の位置検出マークを備えた治具を用いて印刷を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
治具を用いて印刷を行う場合、一つの治具に対し、複数の印刷対象物を載置する場合がある。また、この場合、同じ治具を用いる場合でも、例えば必要な印刷物の個数等に応じて、一つの治具に対して載置する印刷対象物の個数が様々に変化する場合がある。そのため、このような治具を用いる場合、例えば、印刷データを生成するソフトウェア(例えば、RIP処理用のソフトウェア等)において、治具に載置する印刷対象物の位置や個数等に合わせて、印刷データを生成(作成)することが必要になる。また、この場合、例えば、作業者(作業員)のマニュアル作業等により、治具に載置される印刷対象物の位置や個数等を確認して、ソフトウェアへの入力を行うこと等が必要になる。そして、このようなマニュアル作業が必要になる場合、例えば、治具に対する印刷対象物の載置や回収(ロード・アンロード)を産業用ロボット等で自動化したとしても、作業者が装置の付近に常駐し、印刷対象物を交換する毎に作業者が状態を確認して、ソフトウェアへの入力を行うこと等が必要になる。また、この場合、作業者のマニュアル作業が行われることで、作業のミス等が生じやすくなる。
【0005】
この点に関し、治具に対する印刷対象物の載置や回収(ロード・アンロード)を産業用ロボット等で行う場合において、例えば、一つの治具に対して載置する印刷対象物の位置や個数等をコンピュータで管理すれば、作業者の常駐が不要になり、印刷作業の全体を無人化及び自動化して、連続印刷等を適切に行えるようにも思われる。しかし、この場合も、長時間にわたって多数の印刷対象物への印刷を行うと、治具を印刷装置に載置する動作や治具に印刷対象物を搭載する動作において、置き間違いや大きな位置ズレ等のミスが一定の確率で生じることが考えられる。また、その結果、例えば、その後に行う動作への影響が生じることが考えられる。より具体的に、この場合、例えば、治具における正しい位置から外れた位置に印刷対象物が載置されることで、実際には印刷対象物が載置されていない位置に対して印刷の動作が行われることが考えられる。また、その結果、例えば、印刷装置や治具に汚れが生じ、その後に印刷がされる印刷対象物にその汚れの影響が生じることが考えられる。そのため、従来、治具を用いて印刷を行う場合において、より適切な方法で印刷を行うことが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷方法、印刷データ生成装置、及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明者は、複数の載置部(開口部等)を有する治具を用い、治具の載置部に載置した印刷対象物に対して印刷を行う方法に関し、鋭意研究を行った。そして、この場合において、治具の載置部に印刷対象物が載置されているか否かを検知する検知手段(センサ等)を用いることを考えた。また、この場合において、単に検知手段を用いるのではなく、検知手段の検知結果に基づいて印刷データを生成することで、治具に対して実際に載置されている印刷対象物の状態に合わせて、印刷データを生成することを考えた。また、印刷データを生成する処理において、より具体的に、例えば、印刷対象物に印刷すべき画像として予め用意された印刷画像について、検知手段の検知結果に基づき、印刷対象物が載置されている載置部の位置に配置して、印刷の条件に合わせたラスタイメージ画像等の画像を生成することを考えた。このように構成すれば、例えば、治具を用いて印刷を行う場合において、治具に対して実際に載置されている印刷対象物の状態に合わせて、適切に印刷の動作を行うことができる。
【0007】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、印刷対象物を載置する領域である載置部を複数有する治具を用いて前記印刷対象物に対して印刷を行う印刷方法であって、インクを吐出することで印刷を行う印刷装置に対して前記治具を載置する治具載置段階と、前記治具における複数の前記載置部の少なくとも一部の位置に前記印刷対象物を載置する印刷対象物載置段階と、前記載置部に前記印刷対象物が載置されているか否かを検知する検知手段を用いて、前記印刷対象物が載置されている前記載置部を検知する載置位置検知段階と、前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に合わせて印刷データを生成する印刷データ生成段階と、前記印刷データに基づき、前記印刷対象物への印刷を前記印刷装置に実行させる印刷段階とを備え、前記印刷データ生成段階において、前記印刷対象物に印刷すべき画像として予め用意された印刷画像を前記印刷対象物の位置に合わせて配置することで複数の前記載置部を含む範囲に対応する印刷範囲の画像である範囲画像を生成する処理であり、前記検知手段の検知結果に基づき、前記印刷対象物が載置されている前記載置部の位置に前記印刷画像を配置した前記範囲画像を生成する画像配置処理と、前記印刷装置において実行する印刷の条件に合わて生成される画像である生成画像を生成する処理であり、前記範囲画像に基づいて前記生成画像像を生成する生成画像生成処理と、前記生成画像に基づいて前記印刷データを生成するデータ生成処理とを行うことを特徴とする。
【0008】
このように構成すれば、例えば、治具を用いて印刷を行う場合において、治具に対して実際に載置されている印刷対象物の状態に合わせて、より適切に印刷の動作を行うことができる。また、これにより、例えば、治具を用いた印刷の動作をより適切に行うことができる。また、この構成において、検知手段としては、例えば、治具において印刷対象物が載置されている載置部を検知できる精度のセンサ等を用いることが考えられる。このようなセンサとしては、例えば、公知の光センサや重量センサ等を用いることが考えられる。検知手段については、例えば、治具の載置部に対して印刷対象物が適切に載置されているか否かを検知する手段等と考えることもできる。また、この構成において、生成画像生成処理では、範囲画像に基づいて生成画像を生成することで、例えば、データ生成処理において、印刷対象物が載置されていない載置部の位置には印刷装置にインクを吐出させず、かつ、印刷対象物が載置されている載置部の位置の印刷対象物には印刷装置にインクを吐出させる印刷データを生成する。生成画像生成処理において、生成画像としては、例えば、ラスタイメージ画像を生成することが考えられる。この場合、生成画像生成処理について、例えば、ラスタイメージ画像を生成するラスタ画像生成処理等と考えることができる。ラスタ画像生成処理については、例えば、公知のRIP処理においてラスタイメージ画像を生成する処理と同一又は同様に行うことが考えられる。データ生成処理においては、例えば、生成画像生成処理で生成される生成画像に基づき、印刷装置用の印刷ジョブの形式の印刷データを生成する。この場合、データ生成処理では、例えば、生成画像生成処理で生成される生成画像に対し、必要に応じて管理情報等を追加することで、印刷データを生成する。また、生成すべき印刷データの形式によっては、データ生成処理において、生成画像生成処理で生成される生成画像(例えば、ラスタイメージ画像)を、そのまま、印刷データとしてもよい。この場合、生成画像生成処理について、例えば、データ生成処理を兼ねると考えることもできる。
【0009】
また、この構成において、治具の載置部としては、例えば、治具に形成された開口部を用いることが考えられる。また、印刷対象物載置段階では、例えば、載置手段を用いて、治具における複数の載置部の少なくとも一部の位置に、印刷対象物を載置する。このように構成すれば、例えば、治具の載置部に対し、印刷対象物を適切に載置できる。載置手段としては、例えば、作業者の手動操作によらず、所定のブログラムに従って自動的に印刷対象物の載置を行う手段を用いることが考えられる。このような載置手段としては、例えば、公知の産業用ロボット等を好適に用いることができる。このように構成すれば、例えば、作業者が不在の状態で長時間の連続印刷を行う場合等に、印刷対象物の載置を適切に行うことができる。また、作業者の手作業によらずに印刷対象物の載置を行うことで、例えば、治具における載置部の数が多い場合等でも、印刷対象物の載置をより効率的かつ適切に行うことができる。
【0010】
また、この構成において、例えば長時間の連続印刷を行う場合等には、印刷段階において印刷がされた印刷対象物を回収する印刷対象物回収段階の動作を更に行うことが考えられる。また、この場合、例えば、印刷対象物回収段階において印刷対象物を回収した後、新たな印刷対象物に対して、印刷対象物載置段階、載置位置検知段階、印刷データ生成段階、印刷段階、及び印刷対象物回収段階の動作を更に行うことで、印刷装置に、複数回の印刷の動作を実行させる。このように構成すれば、例えば、複数回の印刷の動作を印刷装置に適切に実行させることができる。また、この場合、印刷対象物載置段階の動作を行う毎に載置位置検知段階及び印刷データ生成段階の動作を行うことで、例えば、各回の印刷動作で印刷を行う印刷対象物の位置や個数を変化させること等も可能になる。また、必要に応じて、例えば、各回の印刷動作で印刷を行う印刷画像を変化させること等も可能になる。
【0011】
印刷対象物回収段階では、例えば、印刷対象物を回収する回収手段を用いることが考えられる。そして、このような回収手段としても、例えば、上記の載置手段として用いる構成(産業用ロボット等)を用いることが考えられる。この場合、上記の載置手段について、回収手段を兼ねると考えることもできる。このように構成すれば、例えば、印刷対象物の載置及び回収を自動的に行うことで、作業者が不在の状態で長時間の連続印刷をより適切に行うことができる。また、上記の載置手段又は回収手段として用いる構成については、例えば、治具の載置や回収を行う手段として用いることも考えられる。このように構成すれば、例えば、必要に応じて、治具の交換や回収等を行うこともできる。
【0012】
また、この構成において、載置位置検知段階では、例えば、載置部と印刷対象物との間での位置のズレについて、所定の基準量よりもずれているか否かを更に検知してもよい。この場合、画像配置処理では、例えば、位置のズレが基準量よりも大きい載置部の位置には印刷画像を配置しないで、範囲画像を生成する。このように構成すれば、例えば、正しい位置に載置されていない印刷対象物に対して印刷がされることを適切に防止できる。また、これにより、例えば、印刷装置や治具に意図しない汚れが生じること等をより適切に防止できる。また、この構成について、検知手段としては、上記のように、例えば、センサを用いることが考えられる。この場合、センサについては、例えば、治具又は印刷装置に取り付けることが考えられる。このように構成すれば、例えば、印刷時における所定の位置でセンサを適切に用いることができる。また、これにより、例えば、治具の載置部に印刷対象物が載置されているか否かを適切に検知できる。
【0013】
また、センサについて、例えば、治具や印刷装置とは別の部材に取り付けること等も考えられる。この場合、例えば、センサが取り付けられた板状又はシート状の部材であるセンサ取付部材を用いることが考えられる。このようなセンサ取付部材については、例えば、治具及び印刷装置のいずれとも別体の部材等と考えることができる。また、この場合、治具載置段階では、例えば、センサ取付部材と重ねて、治具を載置する。このように構成した場合も、例えば、例えば、治具の載置部に印刷対象物が載置されているか否かを適切に検知できる。また、この場合、例えば、同じセンサ取付部材を続けて使用したままで、治具を交換することもできる。そのため、センサ取付部材を用いることで、例えば治具毎にセンサを取り付ける場合と比べて、部材のコストを低減できる。また、この場合、例えば、印刷装置にセンサが取り付けられていない場合にも、センサを適切に用いることができる。
【0014】
また、治具とは別体の部材にセンサが取り付けられる場合、少なくとも治具の構成と対応付けられた識別情報を治具に付与しておくことが考えられる。この場合、載置位置検知段階において、例えば、センサの出力と、治具に付与されている識別情報とに基づき、印刷対象物が載置されている載置部を検知することが考えられる。このように構成すれば、例えば、識別情報に基づき、治具の構成を適切に把握することができる。また、これにより、例えば、治具とは別体の部材にセンサが取り付けられる場合にも、印刷対象物が載置されている載置部をより適切に検知できる。
【0015】
また、この構成において、印刷方法は、例えば、印刷すべき印刷対象物の個数である印刷個数を指定する入力を受け付ける印刷個数入力段階を更に備えてもよい。この場合、例えば、治具の載置部に載置されていると検知された印刷対象物の数がこの印刷個数に達するまで、印刷対象物載置段階、載置位置検知段階、印刷データ生成段階、及び印刷段階の動作を繰り返すことが考えられる。このように構成すれば、例えば、必要な個数の印刷対象物に対して適切に印刷を行うことができる。また、この構成において、例えば、互いに異なる複数種類の印刷画像を用いることも考えられる。この場合、画像配置処理において、例えば、一部の載置部の位置に、第1の印刷画像である第1画像を配置し、他の少なくとも一部の載置部の位置に、第1画像と異なる第2の印刷画像である第2画像を配置すること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、画像配置処理において、様々な範囲画像を生成できる。また、この場合、例えば、印刷対象物の載置と回収とを繰り返して連続印刷を行う動作において、繰り返しの動作毎に、第1及び第2の印刷画像について、画像の配置や数を変化させることが考えられる。
【0016】
また、互いに異なる複数種類の印刷画像を用いる場合、印刷個数入力段階では、例えば、印刷画像毎に印刷個数の入力を受け付けることが考えられる。また、この場合、例えば、いずれかの印刷画像の印刷を先行して行い、その後に他の印刷画像の印刷を行うことが考えられる。より具体的に、この場合、印刷個数入力段階において、例えば、第1画像を印刷すべき印刷個数である第1個数を指定する入力と、第2画像を印刷すべき印刷個数である第2個数を指定する入力とを受け付ける。そして、第1画像について、例えば、治具の載置部に載置されていると検知された印刷対象物の数が第1個数に達するまで、印刷対象物載置段階、載置位置検知段階、印刷データ生成段階、及び印刷段階の動作を繰り返す。また、その後、第2画像について、治具の載置部に載置されていると検知された印刷対象物の数が第2個数に達するまで、印刷対象物載置段階、載置位置検知段階、印刷データ生成段階、及び印刷段階の動作を繰り返す。このように構成すれば、例えば、複数種類の印刷画像を用いた印刷を適切に行うことができる。また、この場合、印刷画像を第1画像から第2画像へ切り替えるタイミングでは、画像配置処理において、例えば、一部の載置部の位置に、第1画像を配置し、他の少なくとも一部の載置部の位置に、第2画像を配置することが考えられる。また、より具体的に、この場合、例えば、第1画像について治具の載置部に載置されていると検知された印刷対象物の数が第1個数に達した時点で行う画像配置処理において、直前に行った載置位置検知段階で印刷対象物が載置されていることが検知された載置部のうち、第1画像が配置されていない載置部が存在する場合、当該載置部の位置に第2画像を配置することが考えられる。このように構成すれば、例えば、複数種類の印刷画像を用いた印刷をより効率的かつ適切に行うことができる。
【0017】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する印刷データ生成装置や印刷システム等を用いることも考えられる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、治具を用いた印刷の動作をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷方法を実行する印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。
【
図2】印刷システム10におけるセンサ302の用い方の一例を示す図である。
図2(a)、(b)は、治具200の構成の一例を印刷装置12におけるテーブル104と共に示す。
【
図3】治具200を用いて行う印刷の動作について説明をする図である。
図3(a)は、治具200及び印刷画像の一例を示す。
図3(b)は、治具200を用いて印刷することで作成する印刷物のセットの例を示す。
【
図4】印刷システム10の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】制御装置14において印刷データを生成する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】テーブル104及び治具200の構成の一例を示す。
図6(a)は、テーブル104の構成の一例を示す。
図6(b)は、治具200の構成の一例を示す。
図6(c)は、テーブル104に治具200を載置した状態の一例を示す。
【
図7】
図6(b)と異なる構成の治具200を用いる例を示す。
図7(a)~(c)は、様々な形状の開口部202を有する治具200を用いる場合について、テーブル104に治具200を載置した状態の一例を示す。
【
図8】センサプレート250の構成の例を示す。
図8(a)、(b)は、センサプレート250の構成の第1の例を示す上面図及び断面図である。
図8(c)、(d)は、センサプレート250の構成の第2の例を示す上面図及び断面図である。
【
図9】センサプレート250に治具200を載置した状態の例を示す。
図9(a)、(b)は、第1の例の構成のセンサプレート250を治具200と共に示す上面図及び断面図である。
図9(c)、(d)は、第2の例の構成のセンサプレート250を治具200と共に示す上面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷方法を実行する印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。本例において、印刷システム10は、印刷対象物である媒体(メディア)50に対して複数の開口部を有する治具200を用いて印刷を行うシステムであり、印刷装置12、制御装置14、及びアーム装置16を有する。この場合、治具200の開口部は、載置部の一例である。治具200における載置部については、例えば、治具200において印刷対象物を載置する領域等と考えることができる。治具200の開口部については、例えば、印刷対象物の位置決め機能を有する載置部等と考えることもできる。また、以下において説明をする点を除き、印刷システム10及び印刷システム10の各構成は、公知の印刷システム及び印刷システムの各構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
【0021】
印刷装置12は、印刷システム10において媒体50に対する印刷を実行する装置であり、例えば
図1(b)に示すように、治具200に対して媒体50を載置した状態で、媒体50に対する印刷を行う。本例において、媒体50としては、例えば、スマートフォン用カバーのような立体物を用いることが考えられる。治具200については、例えば、印刷装置12に対する媒体50の位置を所定の位置に合わせるための部材等と考えることができる。治具200の具体的な特徴については、後に更に詳しく説明をする。また、本例において、印刷装置12は、媒体50に対してインクジェット方式での印刷を行うインクジェットプリンタであり、複数のインクジェットヘッド102、テーブル104、走査駆動部106、及び制御部110を有する。印刷装置12としては、例えば、フラットベッド型のインクジェットプリンタ等を好適に用いることができる。
【0022】
複数のインクジェットヘッド102は、媒体50に対してインクを吐出する印刷ヘッドである。また、本例において、複数のインクジェットヘッド102は、互いに異なる色のインクを吐出することで、媒体50に対して、カラー印刷を行う。この場合、例えば、色表現の基本色となるプロセスカラーの各色のインクを吐出するインクジェットヘッド102を用いることが考えられる。プロセスカラーの各色のインクとしては、例えば、イエロー色(Y色)、マゼンタ色(M色)、シアン色(C色)、及びブラック色(K色)の各色のインクを用いることが考えられる。テーブル104は、複数のインクジェットヘッド102と対向する位置において媒体50を支持する台状部材である。また、本例において、テーブル104は、上面において治具200を支持することで、治具200と共に媒体50を支持する。この場合、治具200について、例えば、テーブル104に載置されていると考えることができる。また、媒体50について、例えば、治具200に載置されていると考えることができる。
【0023】
走査駆動部106は、媒体50に対して相対的に移動する走査動作を複数のインクジェットヘッド102に行わせる駆動部である。本例において、走査駆動部106は、主走査動作及び副走査動作を複数のインクジェットヘッド102に行わせる。主走査動作については、例えば、印刷装置12において予め設定された主走査方向へ媒体50に対して相対的に移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。走査駆動部106は、例えば、主走査方向におけるテーブル104の位置を固定した状態で、複数のインクジェットヘッド102を主走査方向へ移動させることで、複数のインクジェットヘッド102に主走査動作を行わせる。副走査動作については、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ媒体50に対して相対的に移動する動作等と考えることができる。走査駆動部106は、例えば、副走査方向におけるテーブル104の位置を固定した状態で、複数のインクジェットヘッド102を副走査方向へ移動させることで、複数のインクジェットヘッド102に副走査動作を行わせる。走査駆動部106は、例えば、副走査方向における複数のインクジェットヘッド102の位置を固定した状態で、テーブル104の側を移動させることで、複数のインクジェットヘッド102に副走査動作を行わせてもよい。また、本例において、走査駆動部106は、主走査動作の合間に複数のインクジェットヘッド102に副走査動作を行わせることで、媒体50において次の回の主走査動作でインクが吐出される領域を変化させる。副走査動作については、例えば、複数のインクジェットヘッド102に対して媒体50を送る送り動作等と考えることもできる。制御部110は、例えば印刷装置12のCPUを含む構成であり、制御装置14から供給される印刷データに基づき、印刷装置12の各部の動作を制御する。また、これにより、制御部110は、印刷データが示す画像の印刷を印刷装置12に実行させる。
【0024】
制御装置14は、印刷データ生成装置の一例であり、媒体50に印刷すべき画像として予め用意された印刷画像に基づいて印刷データを生成して、印刷装置12へ供給する。また、これにより、制御装置14は、印刷装置12による印刷の動作を制御する。制御装置14としては、例えば、所定のプログラムに従って印刷データを生成する処理を行うコンピュータ等を好適に用いることができる。制御装置14において印刷データを生成する動作については、後に更に詳しく説明をする。
【0025】
アーム装置16は、印刷装置12に対して治具200及び媒体50の載置や回収を行う装置である。アーム装置16としては、例えば、吸着又は把持等の方法で媒体50又は治具200を保持して移動させる手段等を用いることが考えられる。このようなアーム装置16としては、例えば、公知の産業用ロボット等を好適に用いることができる。アーム装置16について、例えば、産業用ロボット等のマニュピュレータに対応する構成等と考えることもできる。また、本例において、アーム装置16は、載置手段及び回収手段の一例である。この場合、載置手段については、例えば、治具200における複数の開口部の少なくとも一部の位置に媒体50を載置する手段等と考えることができる。回収手段については、例えば、印刷装置12によって印刷がされた後の媒体50を回収する手段等と考えることができる。また、アーム装置16については、例えば、治具200についての載置手段や回収手段として用いることもできる。この場合、アーム装置16を用いて、必要に応じて、治具200の交換や回収を行うこと等が考えられる。また、本例において、アーム装置16としては、例えば、作業者の手動操作によらず、所定のブログラムに従って、自動的に媒体50の載置及び回収等を行う手段を用いる。このように構成すれば、例えば、作業者が不在の状態で長時間の連続印刷(連続無人作業)を行う場合等にも、媒体50の載置及び回収を適切に行うことができる。また、作業者の手作業によらずに媒体50の載置を行うことで、例えば、治具200における開口部の数が多い場合等でも、媒体50の載置をより効率的かつ適切に行うことができる。
【0026】
以上の構成により、本例によれば、例えば、治具200に載置される媒体50に対し、適切に印刷を行うことができる。また、本例の印刷システム10においては、治具200の開口部のうち、媒体50が載置されている箇所について、
図1では図示を省略しているセンサによって、検知(感知)する。そして、制御装置14では、この検知結果(感知結果)に基づき、印刷データを生成する。本例において、センサは、検知手段の一例である。センサについては、例えば、治具200に対して媒体50が載置されているか否かを感知する感知手段等と考えることもできる。このようなセンサについては、例えば、治具200やテーブル104等に取り付けることが考えられる。また、センサについて、例えば、治具200及び印刷装置12とは別体の構成に取り付けること等も考えられる。以下、このようなセンサの用い方等について、更に詳しく説明をする。
【0027】
図2は、印刷システム10におけるセンサ302の用い方の一例を示す図であり、治具200に対してセンサ302を取り付ける場合の構成の一例を示す。
図2(a)、(b)は、治具200の構成の一例を印刷装置12(
図1参照)におけるテーブル104と共に示す。図示の便宜上、
図2(a)、(b)においては、治具200におけるセンサ302について、適宜、透過的に示している。また、
図2(a)については、例えば、治具200におけるセンサ302の位置を簡略化して示す断面図等と考えることができる。
図2(b)については、例えば、印刷装置12における複数のインクジェットヘッド102(
図1参照)の側から治具200及びテーブル104を見た上面図等と考えることができる。
【0028】
図中に示すように、本例において、治具200は、複数の開口部202を有する板状の部材であり、開口部202の中に媒体50を収容することで、治具200における所定の位置に媒体50を保持する。この場合、開口部202については、例えば、治具200において媒体50を載置する場所等と考えることができる。また、本例において、治具200の開口部202は、治具200に形成された孔の開口部202である。この場合、開口部202に媒体50を載置することについて、例えば、開口部202に対応する孔の中に媒体50を載置すること等と考えることができる。また、本例において、開口部202に対応する孔は、治具200を貫通する貫通孔である。このような治具200を用いることで、例えば、治具200に対し、複数の媒体50を適切に載置できる。また、これにより、例えば、印刷装置12において、複数の媒体50に対して同時に行う印刷を適切に行うことができる。治具200の開口部202については、例えば、治具200における所定の位置に媒体50を載置するために媒体50の位置決めを行う構成等と考えることができる。また、治具200について、例えば、媒体を載置する位置を指定する部材等と考えることもできる。そして、この場合、治具200について、例えば、必ずしも媒体50の保持までも行う必要はなく、印刷に必要な精度で媒体50の位置を決めればよいと考えることができる。また、治具200について、少なくとも、治具200の開口部に媒体を載置した後に媒体の位置ズレを防ぐ程度の機能があればよいと考えることもできる。更に、このような観点で考えた場合、治具200の厚さについて、例えば、媒体の位置ズレを防ぐ程度の厚さがあればよいと考えることができる。また、印刷の用途等によっては、治具200として、例えば、より強固に媒体を保持する部材を用いることも考えられる。この場合、例えば、媒体50の構成や印刷に求められる精度に応じて、開口部202の位置で媒体50を保持する構成の治具200を用いることが考えられる。
【0029】
また、本例の治具200において、それぞれの開口部202には、その開口部202に媒体50が載置されているか否かを検知するためのセンサ302が取り付けられている。この場合、開口部202に媒体50が載置されていることについては、例えば、テーブル104に載置された治具200における開口部202の中に媒体50が入れられていること等と考えることができる。また、この場合、例えば、開口部202の中でテーブル104に載置されている媒体50について、開口部202に媒体50が載置されていると考えることができる。センサ302としては、例えば、治具200において媒体50が載置されている開口部を検知できる精度の公知のセンサを用いることが考えられる。また、このようなセンサ302としては、例えば、公知の光センサや重量センサ等を用いることが考えられる。センサ302については、例えば、治具200の開口部202に対して媒体50が適切に載置されているか否かを検知する手段等と考えることもできる。より具体的に、本例において、センサ302は、治具200の開口部202に対応する孔の側面に取り付けられた光センサであり、開口部202に媒体50が載置されているか否かに応じて生じるセンサ302へ到達する光の量の変化を検知することで、開口部202における媒体50の有無を検知する。本例によれば、例えば、治具200における複数の開口部202のうち、媒体50が載置されている開口部202を適切に検知できる。
【0030】
また、本例において、センサ302は、所定の条件を検知して電気的な信号を出力する手段である。制御装置14は、センサ302が出力する信号に基づき、治具200における複数の開口部202のうち、媒体50が載置されている開口部202を検知する。この場合、例えば、印刷装置12における制御部110(
図1参照)により、センサ302の出力を検知することが考えられる。また、この場合、制御装置14は、例えば、印刷装置12における制御部110を介して、センサ302の検知結果を取得する。制御装置14は、印刷装置12の構成を介さずに、センサ302の検知結果を取得してもよい。また、印刷システム10は、例えば、センサ302の出力を制御装置14へ伝えるための信号伝達手段等構成を更に備えてもよい。
【0031】
続いて、治具200を用いて行う印刷の動作や、制御装置14において印刷データを生成する動作等について、更に詳しく説明をする。
図3は、治具200を用いて行う印刷の動作について説明をする図であり、2種類の印刷画像を用いる場合の動作の一例を示す。
図3(a)は、治具200及び印刷画像の一例を示す。
図3(b)は、治具200を用いて印刷することで作成する印刷物のセットの例を示す。図示及び説明の便宜上、
図3では、治具200における開口部の数について、
図2に図示した構成よりも少なくしている。
【0032】
上記においても説明をしたように、本例において、治具200は、複数の開口部を有する。この場合、治具200における複数の開口部に媒体を載置することで、印刷装置12(
図1参照)は、複数の媒体に対し、同時に印刷を行う。また、本例において、制御装置14(
図1参照)は、治具200に載置される媒体の位置に合わせて印刷画像を配置する面付け処理等を行って、複数の媒体に対して印刷する画像を示す印刷データを生成する。より具体的に、
図3に図示した場合において、印刷画像としては、図中に画像A及び画像Bとして示す2種類の画像を用いる。そして、この場合、制御装置14は、面付け処理の動作において、画像A及び画像Bのいずれかを適宜選択して、治具200における開口部に対向する位置へ配置する。このような動作については、例えば、互いに異なる複数種類の印刷画像を用いる動作の例と考えることができる。また、画像Aについては、例えば、第1の印刷画像である第1画像の一例と考えることができる。画像Bについては、例えば、第1画像と異なる第2の印刷画像である第2画像の一例と考えることができる。また、これにより、制御装置14は、治具20を用いて行う各回の印刷の動作を制御する印刷データを生成する。この場合、各回の印刷の動作については、例えば、治具200に対して同時に載置されている複数の媒体に対して行う印刷の動作等と考えることができる。また、本例の印刷システム10(
図1参照)では、治具200に対する媒体の載置と回収とを繰り返すことで、複数回の印刷の動作を行う。このような印刷の動作については、例えば、同一又は同種の治具200を用いて複数の画像を印刷する動作の一例と考えることもできる。
【0033】
また、
図3に示す場合において、印刷装置12は、例えば
図3(b)にセット1~6等として示すように、様々な印刷画像の組み合わせで印刷の動作を行うことで、印刷物のセットを作成する。この場合、セット1、4は、画像Aを4個の媒体に対して印刷するセットの例である。セット2、3は、治具200における一部の開口部に載置される3個の媒体に対して画像Aを印刷するセットの例である。セット5は、治具200に載置される4個の媒体のうち、1個の媒体に対して画像Aを印刷し、残りの3個の媒体に対して画像Bを印刷するセットの例である。セット6は、画像Bを4個の媒体に対して印刷するセットの例である。また、図示は省略しているが、この場合、印刷装置12により、画像Bを媒体に対して印刷するセットを更に作成する。また、これにより、
図3(a)の右側部分に示すように、合計で、15個の媒体に対して画像Aを印刷し、22個の媒体に対して画像Bを印刷する。
【0034】
また、本例において、制御装置14は、上記のセット毎に、そのセットでの印刷画像(画像A、B)の配置に合わせて、印刷データを生成する。より具体的に、この場合、例えばセット2、3のように、治具200における一部の開口部202に対応する媒体のみに印刷を行うセットの場合、制御装置14は、媒体が載置されている開口部の位置のみに印刷画像を配置することで、媒体が載置される開口部の位置及び個数に合わせた印刷データを生成する。また、例えばセット5のように、一部の開口部の位置の媒体に対して他の開口部の位置の媒体と異なる画像を印刷する場合には、配置する印刷画像について、開口部に対応する位置に応じて異ならせて、印刷データを生成する。また、この場合、制御装置14は、例えば、作成しようとする印刷物の数(必要な数)を印刷画像毎に設定し、セット単位での印刷の動作の進行に応じて、印刷が完了した数を記憶する。そして、制御装置14は、例えば、必要な数に達するまで、自動で面付け処理等を行って、次のセットに対応する印刷データを順次生成する。また、この場合、印刷装置12での印刷の動作の実行時には、例えばアーム装置16(
図1参照)により、次に印刷するセットの内容に合わせて、治具200に媒体を設置する。
【0035】
ここで、例えば多数のセットに対応する印刷の動作を行う場合等には、媒体の載置や回収の回数が多くなることで、媒体の載置や回収の動作において、失敗や誤動作が生じる確率が無視できなくなる場合がある。より具体的に、例えば、本例のアーム装置16のように、機械的な自動機構によって媒体の載置や回収を行う場合、意図しない障害物の影響や、位置情報の一時的な誤認識等により、治具200における一部の開口部に対する媒体の載置や回収が適切に行われなくなる場合がある。また、媒体を保持する動作等において一時的な動作不良が生じて、媒体の載置や回収が適切に行われなくなること等も考えられる。更には、様々な要因により、媒体を載置する位置について、許容範囲を超える位置ズレが生じること等も考えられる。また、例えばアーム装置16等を用いずに、作業者の手作業によって媒体の載置や回収を行う場合にも、作業者のミス等により、媒体の置き間違え等が生じることが考えられる。より具体的に、例えば上記のセット2、3のような印刷を行う場合や、治具200における開口部の数よりも用意されている媒体の数が少ない場合等には、一部の開口部の位置のみに媒体が載置されることになる。そして、このような場合には、作業者のミス等が生じやすくなる。そして、いずれかの理由により、例えば、印刷データの内容と、治具200において実際に媒体が載置されている位置とに相違が生じると、実際には媒体が載置されていない位置に対して印刷の動作が行われることが考えられる。また、その結果、例えば、印刷装置12や治具200にインクが付着することで意図しない汚れが生じ、その後に印刷がされる媒体にその汚れの影響が生じることが考えられる。
【0036】
これに対し、上記のように、本例において、制御装置14は、治具200の開口部に媒体が載置されているか否かを検知するセンサの検知結果に基づき、印刷データを生成する。そのため、本例によれば、例えば、治具200の複数の開口部に関し、媒体を載置する開口部の数や位置が様々に変化する場合にも、実際に載置される媒体の数や位置に合わせて、印刷データを適切に生成できる。また、例えば、アーム装置16の誤動作等によって一部の開口部に媒体が載置されなかった場合等にも、面付け処理においてその開口部の位置に印刷画像を配置しないで、適切に印刷データを生成できる。そのため、本例によれば、例えば、治具200において媒体が載置されていない箇所にインクが吐出されること等を適切に防ぎつつ、印刷の動作をより適切に印刷装置12に実行させることができる。
【0037】
また、本例において、印刷システム10は、例えば
図4に示す動作によって、印刷の動作を繰り返して実行する。
図4は、印刷システム10の動作の一例を示すフローチャートである。
図4に示す動作では、先ず、印刷装置12に対して、治具200を載置する(S102)。本例において、ステップS102の動作は、治具載置段階の動作の一例である。また、本例のステップS102では、例えば、アーム装置16によって治具200を保持し、印刷装置12のテーブル104の上に治具200を下ろすことで、印刷装置12に治具200を載置する。また、ステップS102の動作に続いて、治具200における複数の開口部の少なくとも一部の位置に、媒体を載置する(S104)。本例において、ステップS104の動作は、印刷対象物載置段階の動作の一例である。また、本例のステップS104では、例えば、アーム装置16によって媒体を保持し、治具200の開口部の中に媒体を下ろすことで、治具200の開口部202に媒体を載置する。
【0038】
また、ステップS104で治具200の開口部に媒体を載置した後、上記において説明をしたセンサを用いて、媒体の位置を検知する(S106)。本例において、ステップS106の動作は、載置位置検知段階の動作の一例である。また、本例のステップS106では、センサの検知結果に基づき、媒体の位置として、治具200の複数の開口部のうち、媒体が載置されている開口部を検知する。また、ステップS106で媒体の位置を検知した後には、制御装置14において、センサの検知結果に基づき、媒体が載置されている開口部の位置に合わせて、印刷データを生成する(S108)。本例において、ステップS108の動作は、印刷データ生成段階の動作の一例である。制御装置14において印刷データを生成する動作については、後に更に詳しく説明をする。また、印刷データを生成した後、制御装置14は、印刷装置12へ印刷データを供給することで、媒体に対する印刷の動作を印刷装置12に実行させる(S110)。本例において、ステップS110の動作は、印刷段階の動作の一例である。また、本例のステップS110において、印刷装置12は、センサの検知結果に基づいて生成された印刷データを用いることで、治具200において実際に媒体が載置されている箇所のみに対し、インクを吐出する。また、ステップS110において媒体への印刷を行った後には、印刷がされた媒体を回収する(S112)。本例において、ステップS112の動作は、印刷対象物回収段階の動作の一例である。
【0039】
また、本例において、ステップS112で媒体を回収した後には、必要な数の媒体に対する印刷が終了しているか否かを確認する(S114)。そして、印刷が終了していると判断した場合(S114、Yes)、印刷システム10において実行する一連の印刷の動作を完了する。また、ステップS114において、必要な数の媒体に対する印刷が終了していないと判断した場合(S114、No)、ステップS104に戻り、以降の動作を繰り返す。また、これにより、新たな媒体に対し、ステップS104~S112の動作を実行する。このように構成すれば、例えば、必要な回数の印刷の動作を印刷装置12に適切に実行させることができる。また、この場合において、治具200に媒体を載置する毎に印刷データを生成することで、例えば、各回の印刷動作で印刷を行う媒体の位置や個数を変化させること等も可能になる。更に、必要に応じて、例えば、各回の印刷動作で印刷を行う印刷画像を変化させること等も可能になる。また、本例においては、例えば、アーム装置16により、媒体の載置や回収を自動的に行う。そして、この場合、例えば、アーム装置16の誤動作等によって治具200への媒体の載置に失敗した場合等でも、実際に載置された媒体の位置や個数に合わせて、印刷データを適切に生成できる。そのため、本例によれば、例えば、作業者が不在の状態等でも、印刷装置12に長時間の連続印刷等を適切に行わせることができる。
【0040】
ここで、上記においても説明をしたように、本例において、制御装置14は、例えば、作成しようとする印刷物の数(必要な数)を印刷画像毎に設定する。この場合、制御装置14は、例えば、ユーザによる入力に基づき、必要な印刷物の数を設定する。また、本例において、必要な印刷物の数を設定するための入力を受け付ける動作については、印刷個数入力段階の動作の一例と考えることができる。印刷個数入力段階については、例えば、印刷すべき印刷対象物(媒体)の個数である印刷個数を指定する入力を受け付ける段階等と考えることができる。また、この場合、ステップS114での判断の結果に応じてステップS104~S112の動作を繰り返すことについて、例えば、治具200の開口部に載置されていると検知された媒体の数がこの印刷個数に達するまで、印刷対象物載置段階、載置位置検知段階、印刷データ生成段階、及び印刷段階の動作を繰り返すこと等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、必要な個数の媒体に対して適切に印刷を行うことができる。また、
図3を用いて上記において説明をした例のように、互いに異なる複数種類の印刷画像を用いる場合、印刷個数入力段階では、印刷画像毎に印刷個数の入力を受け付けることが考えられる。また、この場合、例えば、いずれかの印刷画像の印刷を先行して行い、その後に他の印刷画像の印刷を行うことが考えられる。より具体的に、
図3を用いて説明をした例のように、2種類の画像A、Bを印刷画像として用いる場合、印刷個数入力段階において、例えば、画像Aを印刷すべき印刷個数である第1個数を指定する入力と、画像Bを印刷すべき印刷個数である第2個数を指定する入力とを受け付ける。そして、画像Aについて、例えば、治具200の開口部に載置されていると検知された媒体の数が第1個数に達するまで、ステップS104~S112の動作を繰り返す。また、その後、画像Bについて、治具200の開口部に載置されていると検知された媒体の数が第2個数に達するまで、ステップS104~S112の動作を繰り返す。また、この場合、印刷画像を画像Aから画像Bへ切り替えるタイミングでは、ステップS108の中で媒体が載置されている開口部の位置に合わせて印刷画像を配置する処理において、例えば、一部の開口部の位置に、画像Aを配置し、他の少なくとも一部の開口部の位置に、画像Bを配置することが考えられる。また、より具体的に、この場合、例えば、画像Aについて治具200の開口部に載置されていると検知された媒体の数が第1個数に達した時点で行う上記の処理において、直前に行ったステップS106の動作で媒体が載置されていることが検知された開口部のうち、画像Aが配置されていない開口部が存在する場合、その開口部の位置に画像Bを配置することが考えられる。このように構成すれば、例えば、複数種類の印刷画像を用いた印刷をより効率的かつ適切に行うことができる。
【0041】
また、上記の説明等から理解できるように、
図4に示す動作の場合、ステップS112において、アーム装置16は、媒体のみを回収する。これに対し、印刷システム10の動作の変形例では、媒体の回収時において、治具200と共に媒体を回収すること等も考えられる。この場合、ステップS114において、必要な数の媒体に対する印刷が終了していないと判断した場合(S114、No)、図中に破線で示すように、ステップS104ではなく、ステップS102に戻り、以降の動作を繰り返すことが考えられる。また、この場合、ステップS102において、新たな治具200をテーブル104上に載置することが考えられる。このように構成すれば、例えば、媒体の回収時に治具200の交換を行いつつ、印刷装置12に印刷の動作を繰り返させることができる。この場合、2回目以降のステップS102では、例えば、回収した治具200と同種の治具200テーブル104上に載置することが考えられる。また、印刷の目的等によっては、2回目以降のステップS102において、治具200の種類を変更すること等も考えられる。
【0042】
続いて、制御装置14において印刷データを生成する動作について、更に詳しく説明をする。
図5は、制御装置14において印刷データを生成する動作の一例を示すフローチャートである。上記においても説明をしたように、本例において、制御装置14は、センサの検知結果に基づき、媒体が載置されている開口部の位置に合わせて、印刷データを生成する。そして、印刷データを生成する動作において、制御装置14は、例えば、媒体が載置されている開口部の位置に合わせて印刷画像を配置することで、面付け処理を行う(S202)。本例において、ステップS202の動作は、画像配置処理の動作の一例である。本例において行う面付け処理については、例えば、治具200に載置される媒体の位置に合わせて印刷画像を配置する処理等と考えることができる。開口部の位置に合わせて印刷画像を配置することについては、例えば、開口部の位置毎に、その位置の媒体に印刷すべき印刷画像を配置すること等と考えることができる。また、本例のステップS202において、制御装置14は、治具200の開口部毎に取り付けられているセンサの検知結果に基づき、媒体が載置されている開口部の位置に印刷画像を配置する。また、これにより、制御装置14は、治具200における複数の開口部を含む範囲に対応する印刷範囲の画像である範囲画像を生成する。この場合、制御装置14について、例えば、媒体が載置されている治具200の開口部をセンサの検知結果に基づいて判定する載置判定手段になっていると考えることもできる。また、本例において、制御装置14は、例えば、印刷すべき内容として予め入力されている入力情報と、センサから送られるデータとに基づき、治具200の開口部の正しい位置に媒体が載置されていない開口部を除いて、自動的に、面付け処理を行う。この場合、入力情報としては、例えば、印刷を行う媒体の数や印刷画像を示すデータ等を示す情報を用いることが考えられる。
【0043】
また、本例においては、
図3に関連して上記において説明をした画像A及び画像Bのような、複数種類の印刷画像を用いることも考えられる。この場合、ステップS202において、制御装置14は、必要に応じて、治具200における開口部の位置毎に、配置する印刷画像を選択する。より具体的に、例えば、
図4を用いて説明をした繰り返しの動作の中で行う少なくとも一部の回で実行するステップS204において、制御装置14は、例えば、一部の開口部の位置に画像Aを配置し、他の少なくとも一部の開口部の位置に画像Bを配置する。このように構成すれば、例えば、ステップS204において、様々な範囲画像を適切に生成できる。また、この場合、例えば、媒体の載置と回収とを繰り返して連続印刷を行う動作等において、繰り返しの動作毎に、画像A及び画像Bについて、画像の配置や数を適切に変化させることが考えられる。
【0044】
また、制御装置14は、生成した範囲画像に対し、RIP処理(raster image processor処理)を行うことで、範囲画像に基づき、所定の形式のラスタイメージ画像を生成する(S204)。本例において、ステップS204で生成されるラスタイメージ画像は、生成画像の一例である。生成画像については、例えば、印刷装置12において実行する印刷の条件に合わせて生成される画像等と考えることができる。また、ステップS204の動作は、生成画像生成処理及びラスタ画像生成処理の動作の一例である。生成画像生成処理及びラスタ画像生成処理については、例えば、RIP処理の少なくとも一部として行う処理等と考えることもできる。本例のステップS204において、制御装置14は、例えば、公知のRIP処理と同一又は同様の処理を行うことで、印刷装置12において実行する印刷の条件に合わせたラスタイメージ画像を生成する。この場合、印刷の条件に合わせたラスタイメージ画像として、例えば、インクの色毎のラスタイメージを生成することが考えられる。インクの色毎のラスタイメージ画像としては、例えば、各画素がインクの吐出位置に対応付けられることで各画素に対応する吐出位置へインクを吐出するか否かを示す画像を生成することが考えられる。また、この場合、ラスタイメージ画像の解像度について、印刷の解像度に合わせた解像度にすることが考えられる。また、ラスタイメージ画像としては、例えば、公知のビットマップ形式の画像を生成することが考えられる。
【0045】
また、本例において、制御装置14は、ステップS204で生成したラスタイメージ画像に基づき、印刷装置12用の印刷ジョブの形式の印刷データを生成する(S206)。本例において、ステップS206の動作は、データ生成処理の動作の一例である。本例のステップS206において、制御装置14は、例えば、ステップS204で生成されるラスタイメージ画像に対し、必要に応じて管理情報等を追加することで、印刷データを生成する。また、生成すべき印刷データの形式によっては、ステップS206において、制御装置14は、ステップS204で生成されるラスタイメージ画像を、そのまま、印刷データとしてもよい。この場合、ステップS204でラスタイメージ画像を生成する動作について、例えば、データ生成処理を兼ねると考えることもできる。また、本例において、制御装置14は、例えば、制御装置14にRIP処理等を行わせるためのプログラム(例えば、RIP用ソフトウェア)に従って、上記の各動作を実行する。
【0046】
このように構成した場合、例えば、ステップS202において、治具200に載置される媒体の位置に合わせて面付け処理を行い、ステップS204において、面付け処理で生成される範囲画像に基づいてラスタイメージ画像を生成することで、ステップS206において、制御装置14は、媒体が載置されていない治具200の開口部の位置には印刷装置12にインクを吐出させず、かつ、媒体が載置されている開口部の位置の媒体には印刷装置12にインクを吐出させるように、印刷データを生成する。この場合、媒体が載置されている開口部の位置の媒体に印刷装置12にインクを吐出させることについては、例えば、治具200において媒体が載置されている部分のみにインクを吐出させること等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、センサの結果に基づき、治具200に実際に載置されている媒体の数や位置に合わせた印刷データを適切に生成できる。また、これにより、例えば、印刷装置12での印刷の実行時において、媒体が載置されていない位置へインクが吐出されること等を適切に防止できる。そのため、本例によれば、例えば、治具200を用いて印刷を行う場合において、治具200に対して実際に載置されている媒体の状態に合わせて、より適切に印刷の動作を行うことができる。また、これにより、例えば、治具200を用いた印刷の動作をより適切に行うことができる。
【0047】
ここで、上記においては、主に、治具200に取り付けたセンサを用いる構成について、説明をした。これに対し、印刷システム10の構成の変形例においては、治具200以外の部材に対し、センサを取り付けること等も考えられる。また、より具体的に、この場合、例えば
図6及び
図7に示すように、印刷装置12におけるテーブル104にセンサを取り付けること等が考えられる。
【0048】
図6及び
図7は、センサ302の取り付け方の変形例を示す図であり、印刷装置12におけるテーブル104にセンサ302を取り付ける構成の一例を示す。
図6は、本変形例におけるテーブル104及び治具200の構成の一例を示す。
図6(a)は、テーブル104の構成の一例を示す。
図6(b)は、治具200の構成の一例を示す。
図6(c)は、テーブル104に治具200を載置した状態の一例を示す。図示の便宜上、
図6(c)では、治具200がテーブル104に載置されることで治具200の開口部202以外の部分によって隠れるセンサ302についても、透過的に図示をしている。
図7は、
図6(b)と異なる構成の治具200を用いる例を示す。
図7(a)~(c)は、様々な形状の開口部202を有する治具200を用いる場合について、
図6(c)と同様にして、テーブル104に治具200を載置した状態の一例を示す。
【0049】
本変形例において、センサ302は、ドット型(点型)のセンサ(点状センサ)であり、テーブル104の上面に並べて配設される。この場合、複数のセンサ302は、例えば図中に示すように、一定の間隔で配列状に並べて配設される。この場合、センサ302について、例えば、テーブル104の上面に埋め込むことで、テーブル104に対して固定することが考えられる。また、それぞれの位置において、センサ302は、例えば、その位置が他の物体で覆われているか否かを検知する。この場合、センサ302は、例えば、その位置が他の物体で覆われているか否かに応じて、出力のオンとオフとを切り替える。このように構成した場合、例えば、テーブル104における各位置のセンサ302の出力に応じて、テーブル104において他の物体で覆われている位置を推定できる。また、より具体的に、この場合、例えば、治具200に媒体が載置されていない状態での複数のセンサ302の出力に基づき、テーブル104に載置されている治具200の位置を推定できる。更に、この場合、治具200の開口部202に媒体が載置されると、その開口部202の位置にあるセンサ302の出力が変化することになる。また、これにより、例えば、センサ302の出力に基づき、媒体が載置されている開口部202を検知することもできる。そのため、本変形例のようにセンサ302を用いる場合にも、例えば、治具200において媒体が載置されている開口部202を適切に検知できる。また、これにより、例えば、治具200を用いた印刷の動作を適切に行うことができる。
【0050】
また、本変形例のように、テーブル104に複数のセンサ302が配設されている場合、治具200の形状や、治具200における開口部202の数、位置、又は形状等が異なる場合にも、治具200の構成に合わせて、治具200の位置や、媒体が載置されている開口部202について、適切に検知できる。また、この場合、例えば
図7(a)~(c)に示すような、様々な形状の治具200を用いることが考えられる。これらの場合も、例えば、センサ302の出力に基づき、治具200において媒体が載置されている開口部202を適切に検知できる。
【0051】
また、テーブル104のような、治具200以外の部材にセンサ302を取り付ける場合において、更に、様々な形状の治具200を用いる場合、治具200の構成に関する情報を予め用意しておき、この情報に更に基づき、治具200において媒体が載置されている開口部202を検知することも考えられる。このように構成すれば、例えば、治具200において媒体が載置されている開口部202をより適切に検知できる。また、この場合、治具200の構成に合わせて、センサ302の出力と、媒体が載置される開口部202との関係を予め対応付けておくことも考えられる。このように構成すれば、例えば、治具200の構成に対応付けられている既設定の関係に基づき、媒体が載置されている開口部202をより適切に検知できる。また、より具体的に、この場合、例えば、治具200に識別情報(ID情報)を付与しておき、識別情報に基づき、治具200の構成を把握することが考えられる。この場合、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等を用いて、治具200に識別情報を付与することが考えられる。このような識別情報としては、例えば、個別の治具200毎に付与されるID等を用いることが考えられる。また、このような識別情報については、例えば、少なくとも治具200の構成と対応付けられた情報等と考えることができる。治具200の構成については、例えば、治具200にける開口部の位置や数に関する構成等と考えることができる。また、このような識別情報を用いる場合、例えば、テーブル104に治具200を載置するタイミング等のいずれかのタイミングにおいて、治具200の識別情報を取得する。そして、印刷データの生成時において、制御装置14は、例えば、治具200の識別情報に基づき、治具200の構成を示す情報(治具情報)を読み込む。また、制御装置14は、例えば、治具情報に更に基づき、印刷データを生成する。この場合、制御装置14は、例えば、センサ302の出力と、治具200に付与されている識別情報とに基づき、治具200において媒体が載置されている開口部を検知する。そして、制御装置14は、この検知結果に基づき、面付け処理等を行って、印刷データを生成する。このように構成すれば、例えば、治具200の識別情報に基づき、治具200の構成を適切に把握することができる。また、これにより、例えば、媒体が載置されている開口部202をより適切に検知して、より適切に印刷データを生成できる。
【0052】
また、センサ302については、例えば、治具200やテーブル104以外の部材に取り付けることも考えられる。この場合、例えば
図8、9に示すように、センサ302を取り付けるための部材であるセンサプレート250を用いることが考えられる。
図8、9は、センサ302の取り付け方の更なる変形例を示す図であり、センサプレート250にセンサ302を取り付ける構成の一例を示す。
図8は、センサプレート250の構成の例を示す。
図8(a)、(b)は、センサプレート250の構成の第1の例を示す上面図及び断面図である。
図8(c)、(d)は、センサプレート250の構成の第2の例を示す上面図及び断面図である。
図9は、センサプレート250に治具200を載置した状態の例を示す。
図9(a)、(b)は、第1の例の構成のセンサプレート250を治具200と共に示す上面図及び断面図である。図示の便宜上、
図9(a)では、治具200がセンサプレート250に載置されることで治具200の開口部202以外の部分によって隠れるセンサ302の部分についても、透過的に図示をしている。
図9(c)、(d)は、第2の例の構成のセンサプレート250を治具200と共に示す上面図及び断面図である。
【0053】
本変形例において、センサプレート250は、センサ取付部材の一例である。センサ取付部材については、例えば、治具200及び印刷装置12のいずれとも別体であり、センサ302が取り付けられる部材等と考えることができる。また、センサプレート250は、例えば、板状のセンサ取付部材の一例である。センサ取付部材としては、板状の部材に限らず、例えば、シート状の部材等を用いることも考えられる。センサ取付部材としては、例えば、治具200と比べて厚さが小さい薄型の部材等を好適に用いることができる。また、より具体的に、本変形例において、センサプレート250は、基材部252及びセンサ302を有する板状の部材である。基材部252は、センサプレート250の形状を構成するベース部分である。また、基材部252は、センサ302を取り付けるための複数の凹部を上面に有し、凹部にセンサ302を収容する。また、この場合、センサ302は、基材部252の凹部に収容されることで、基材部252に埋め込まれた状態で、センサプレート250に取り付けられる。このように構成した場合、例えば、印刷装置12や治具200にセンサ302が取り付けられていない構成においても、センサ302を適切に用いることができる。また、この場合、一つのセンサプレート250について、複数の治具200に対して共通に用いることができる。また、例えば治具200を交換した場合にも、同じセンサプレート250を続けて使用できる。そのため、本変形例によれば、例えば、治具200にセンサ302を取り付ける場合と比べ、センサ302を用いることで生じるコストを適切に低減できる。
【0054】
また、センサプレート250を用いる場合、例えば、印刷装置12のテーブル104にセンサ302が取り付けられている構成の場合と同一又は同様にして、治具200の開口部の位置や、開口部に媒体が載置されているか否かについて、検知できる。また、センサプレート250を用いる場合、例えば印刷装置12のテーブル104にセンサ302を取り付ける場合等と比べて、より高い自由度の構成でセンサ302を取り付けることも可能である。より具体的に、本変形例においては、例えば、使用する治具200の構成に合わせて、センサプレート250におけるセンサ302の配置を決定することができる。また、開口部の数や配置が異なる治具200に対して、センサ302の配置が異なるセンサプレート250を用いること等も、容易に行うことができる。この場合、センサプレート250について、例えば、治具200に組み合わせが可能な構成でセンサ302が取り付けられていると考えることができる。そのため、本変形例によれば、例えば、低コストで、かつ、センサ302の配置の自由度が高い構成で、センサ302を用いることができる。
【0055】
また、本変形例に関し、
図8(a)、(b)に示す第1の例の構成の場合、センサプレート250は、ライン型のセンサ302を有する。この場合、ライン型のセンサ302については、例えば、センサプレート250において所定の方向へライン状に延伸するセンサ等と考えることができる。また、本変形例において、センサプレート250は、例えば
図9(a)、(b)に示すように、印刷装置12におけるテーブル104と治具200との間において、治具200と重ねて使用される。この場合、センサプレート250については、例えば、印刷装置12に対して治具200を載置する動作の中で、治具200と共にセンサプレート250をテーブル104に載置することが考えられる。また、治具200における開口部との関係で考えた場合、ライン型のセンサ302については、例えば
図9(a)、(b)に示すように、複数の開口部の範囲にわたって延伸するセンサ等と考えることができる。この場合、ライン型のセンサ302としては、例えば、ラインにおける位置毎に、その位置に他の物体(媒体等)が載置されているか否かを検知できるセンサを用いることが考えられる。また、このようなライン型のセンサ302としては、例えば、複数のドット型(点型)のセンサが所定の方向へ並ぶことで全体としてラインを構成するセンサ等を用いることが考えられる。この場合、ライン型のセンサ302を構成するドット型のセンサについて、例えば、ライン型のセンサ302の各部で独立して検知を行う単位等と考えることができる。また、この場合、例えば、ライン型のセンサ302を構成する複数のドット型のセンサのうち、どのドット型のセンサが媒体等の存在を検知するかに応じて、ラインにおけるいずれの位置に媒体等が載置されたかを検知することができる。また、これにより、例えば、治具200の複数の開口部のうち、いずれの開口部に媒体が載置されたかについて、適切に検知できる。
【0056】
また、上記のように、センサプレート250は、治具200と重ねて使用される。この場合、制御装置14は、例えば、治具200に媒体を載置しない状態でのセンサ302の検知結果に基づき、治具200における開口部以外の部分である治具200の本体部分に対応する範囲を認識する。そして、制御装置14は、この認識結果に基づき、更に、ライン状のセンサ302について、治具200において開口部に対応する区画を認識する。また、この場合、その後に媒体が治具200に載置され、開口部が媒体によって塞がれると、開口部に対応する区画において、センサ302の出力が変化する。そのため、このように構成すれば、例えば、治具200の開口部に媒体が載置されているか否かについて、適切に検知できる。また、このようなライン型のセンサ302を用いることにより、例えば、開口部の形状や位置及び数が特定の構成に限らず、様々な構成の治具200に対し、共通のセンサプレート250を用いることが可能になる。
【0057】
但し、ライン型のセンサ302を用いる場合、例えばより少ない数のドット型のセンサを用いる場合等と比べて、センサ302のコストが高まることも考えられる。そのため、例えばより低コストなセンサプレート250が求められる場合等には、例えば
図8(c)、(d)に示す第2の例の構成のセンサプレート250ように、離散的に配置されるドット型のセンサ302を用いること考えられる。この場合も、センサプレート250は、例えば
図9(c)、(d)に示すように、印刷装置12におけるテーブル104と治具200との間において、治具200と重ねて使用される。そして、治具200における開口部との関係で考えた場合、ドット型のセンサ302については、例えば
図9(c)、(d)に示すように、治具200のそれぞれの開口部に対して少なくとも一つのセンサ302が存在するように、離散的に配置されると考えることができる。このように構成した場合も、例えば、治具200の複数の開口部のうち、いずれの開口部に媒体が載置されたかについて、適切に検知できる。
【0058】
また、この場合、ドット型のセンサ302については、治具200における開口部の配置に合わせた位置に配設することが考えられる。より具体的に、
図9(c)、(d)に示すように、図中の横方向に4個の開口部が並び、縦方向に3個の開口部が並ぶ3×4配置で開口部が並ぶ場合、センサ302についても、3×4配置にすることが考えられる。
また、この場合、例えば開口部の数が同じであり、開口部の範囲にセンサ302が入るのであれば、開口部の形状が異なる他の治具200に対しても、同じセンサプレート250を共通に用いることができる。また、この場合、様々な構成の治具200を用いるのであれば、開口部の数や位置等が異なる治具200に合わせて、センサ302の配置が互いに異なる複数のセンサプレート250を用いることが考えられる。
【0059】
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明等を行う。説明の便宜上、以下においては、上記において説明をした変形例等も含めて、本例という場合がある。上記においては、センサ302で検知する事項について、主に、治具200の開口部に媒体が載置されているか否かを検知する点について、説明をした。これに対し、印刷に求められる品質等によっては、センサ302により、例えば、治具200の開口部と媒体との間での位置のズレについて、所定の基準量よりもずれているか否かを更に検知してもよい。この場合、例えば、上記において説明をしたライン型のセンサ302を用いる構成により、媒体の位置のズレを検知することが考えられる。また、例えばドット型のセンサ302について、一つの開口部の範囲に複数のセンサ302が存在するように配設して、媒体の位置のズレを検知すること等も考えられる。また、この場合、制御装置14では、例えば、面付け処理の動作において、位置のズレが基準量よりも大きい開口部の位置には印刷画像を配置しないで、範囲画像を生成する。このように構成すれば、例えば、正しい位置に置かれていない媒体に対して印刷がされることを適切に防止できる。また、これにより、例えば、印刷装置や治具に意図しない汚れが生じることや、不適切な印刷がされることで媒体に無駄が生じること等を、より適切に防止できる。また、上記においても説明をしたように、本例においては、様々な形状の治具200を用いることが考えられる。そのため、センサ302について、例えば、治具200の形状を検知するために用いることも考えられる。この場合、治具200の形状として、例えば、開口部の形状、数、及び配置等を検知することが考えられる。また、この場合、センサ302について、例えば、治具200の形状、媒体の載置、及び媒体のズレ等を検知して、その結果を制御装置14へ転送すると考えることができる。
【0060】
また、治具200の開口部に媒体が載置されているか否かを検知する方法に関し、一般的な方法としては、例えば、カメラで撮影した画像を利用して検知を行うこと等も考えられる。しかし、この場合、印刷装置12において、テーブル104の上側にカメラを設置することが必要になる。また、その結果、装置の基本構成の変更が必要になることや、層との大型化によってコストの大幅な上昇が生じること等が考えられる。そのため、本例において、センサ302としては、例えば上記においても説明をしたように、光センサや重量センサ等を用いることが好ましい。また、この場合、このようなセンサ302について、例えば、カメラによる画像の撮影等を要しない方法で検知を行うセンサ等と考えることもできる。このように構成すれば、例えば、媒体の載置等をより適切に検知できる。また、上記においては、媒体や治具の載置や回収に関し、主に、アーム装置16を用いて自動的に行う構成を説明した。これに対し、印刷システム10の構成の変形例では、媒体や治具の載置や回収に関し、作業者の手作業で行ってもよい。この場合も、治具200に実際に載置された媒体の数や位置に合わせて自動的に面付け処理等を行うことで、印刷装置12に対し、媒体に対する印刷をより適切に行わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば印刷方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
10・・・印刷システム、102・・・インクジェットヘッド、104・・・テーブル、106・・・走査駆動部、110・・・制御部、12・・・印刷装置、14・・・制御装置、16・・・アーム装置、200・・・治具、202・・・開口部、250・・・センサプレート、252・・・基材部、302・・・センサ、50・・・媒体