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特開2024-132686蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置
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  • 特開-蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置 図1
  • 特開-蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置 図2
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  • 特開-蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置 図4
  • 特開-蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132686
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20240920BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240920BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240920BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240920BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/34 J
H02J7/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043557
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】岡田 誠司
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA05
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】発電装置が出力する電力の損失を低減できる蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置10は、蓄電池14と、発電装置40に接続可能に構成される入力端子18と、発電装置40から入力端子18を通じて電流を引き込んで蓄電池14に蓄電する電力変換部153と、引込電流を測定する測定部12と、電力変換部153を制御する制御部11とを備える。制御部11は、目標電流を設定する手順として、引込電流が増加するように電力変換部153を制御することと、引込電流の測定値を取得することと、引込電流の測定値が落ちた場合に引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて目標電流を設定することとを実行し、引込電流が目標電流の設定値になるように電力変換部153を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と、
発電装置に接続可能に構成される入力端子と、
前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する電力変換部と、
前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する測定部と、
前記電力変換部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する手順として、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することとを実行し、
前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御する、
蓄電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力変換部又は前記蓄電池が受電可能な上限値まで前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御する、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記目標電流は、初期電流と目標設定係数との積によって算出され、
前記制御部は、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて、前記目標設定係数を設定する、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御している間に前記発電装置の停止によって前記引込電流の測定値が落ちた場合、前記発電装置が再起動した後に、前記目標電流を設定する手順を実行する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記発電装置が変更された場合に、前記目標電流を設定する手順を実行する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させた場合、前記発電装置が再起動した後に、前記目標電流を設定する手順を実行する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させてから前記発電装置が再起動するまでに待機時間以上経過した場合に、前記目標電流を設定する手順を実行する、請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させてから前記発電装置が再起動するまでに待機時間以上経過した回数が待機判定回数に達した場合に、前記目標電流を設定する手順を実行する、請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させた回数が終了判定回数に達した場合に、前記目標電流を設定する手順を実行する、請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記目標電流を設定する手順を2回以上実行し、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちる現象が2回以上発生した場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちる現象が2回以上発生した場合に、各回において前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値の差が差分判定値未満である場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定する、請求項10に記載の蓄電装置。
【請求項12】
蓄電池と、
発電装置に接続可能に構成される入力端子と、
前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する電力変換部と、
前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する測定部と、
前記電力変換部を制御する制御部と
を備える蓄電装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定することと、
前記制御部が、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御することと
を含み、
前記制御部が前記目標電流を設定することは、
前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することと、
前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することと、
前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することと
を含む、蓄電装置の制御方法。
【請求項13】
蓄電池と、発電装置に接続可能に構成される入力端子と、前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する電力変換部とを有する蓄電装置を制御する電力制御装置であって、
前記電力変換部を制御する制御部と、前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する測定部とを備え、
前記制御部は、
前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する手順として、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することとを実行し、
前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御する、
電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネルにより発電された電力をAC/DC変換して蓄電池を充電するAC/DC変換器が出力する充電電力を調整して蓄電池の充電効率を向上するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-192321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置は、発電装置から電流を引き込む場合に、発電装置が過負荷に陥らないように引込電流を制限する。引込電流が過剰に制限される場合、発電装置の出力のうち蓄電装置に蓄電されない電力が損失になる。発電装置が出力する電力の損失を低減することが求められる。
【0005】
本開示の目的は、発電装置が出力する電力の損失を低減できる蓄電装置、蓄電装置の制御方法、電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る蓄電装置は、蓄電池と、発電装置に接続可能に構成される入力端子と、電力変換部と、測定部と、制御部とを備える。前記電力変換部は、前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する。前記測定部は、前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する。前記制御部は、前記電力変換部を制御する。前記制御部は、前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する手順を実行する。前記目標電流を設定する手順は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することを含む。前記目標電流を設定する手順は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することを含む。前記目標電流を設定する手順は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することを含む。前記制御部は、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る蓄電装置の制御方法は、蓄電池と、発電装置に接続可能に構成される入力端子と、電力変換部と、測定部と、制御部とを備える蓄電装置を制御する方法である。前記電力変換部は、前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する。前記測定部は、前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する。前記制御部は、前記電力変換部を制御する。前記蓄電装置の制御方法は、前記制御部が、前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定することを含む。前記蓄電装置の制御方法は、前記制御部が、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御することを含む。前記制御部が前記目標電流を設定することは、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することを含む。前記制御部が前記目標電流を設定することは、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することを含む。前記制御部が前記目標電流を設定することは、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することを含む。
なお、本開示における「引込電流の測定値が落ちる」とは、引込電流が増加するように制御している間に電流値が急激に減少して停止判定値未満又はゼロまで低下することを指すとする。
【0008】
本開示の一実施形態に係る電力制御装置は、蓄電池と、発電装置に接続可能に構成される入力端子と、前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する電力変換部とを有する蓄電装置を制御する。電力制御装置は、前記電力変換部を制御する制御部と、前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する測定部とを備える。前記制御部は、前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する手順を実行する。前記目標電流を設定する手順は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することを含む。前記目標電流を設定する手順は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することを含む。前記目標電流を設定する手順は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することを含む。前記制御部は、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係る蓄電装置、蓄電装置の制御方法、及び電力制御装置によれば、発電装置が出力する電力の損失が本開示に係る構成要素を有しない場合に比べて低減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る電力制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2】発電装置の出力電流の誤差範囲を考慮して蓄電装置の引込電流を設定する場合に生じる可能性のある出力電流の余力を説明する図である。
図3】蓄電装置の引込電流の設定値の増減を説明する図である。
図4】引込電流を増加させるように制御した場合の引込電流の測定値の時間変化の一例を示すグラフである。
図5】一実施形態に係る蓄電装置の制御方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例えば、太陽光発電装置等の外部発電装置からの出力電流を蓄電装置が引き込んで蓄電する場合において、蓄電装置は、外部発電装置からの出力電流が不足していると判定した場合に引込電流を絞ることによって外部発電装置の過負荷停止を防止する。
【0012】
しかし、外部発電装置からの出力電流の過小評価によって蓄電装置が引込電流を絞りすぎることがある。具体的には、蓄電装置が外部発電装置の電流測定値に基づいて引込電流を設定する場合において、外部発電装置の電流測定値が小さい値で測定される誤差を含んでいれば、蓄電装置は、引込電流の設定値を小さくしすぎることがある。蓄電装置が引込電流を絞りすぎることによって、外部発電装置からの出力電流のうち蓄電装置に引き込まれなかった電流が損失になる。損失を少なくするために蓄電装置が引込電流を適切に設定することが求められる。蓄電装置は、外部発電装置が安定電源である場合に、外部発電装置からの出力電流の損失が小さくなるように、外部発電装置の能力に応じて引込電流を設定できる。本開示において、安定電源は定格電流に対して定格誤差を考慮した電流の範囲において、蓄電装置が要求する引込電流に対して過負荷にならずに電流を出力する能力を有する外部発電機であるとする。
【0013】
以下、本開示の一実施形態として、外部発電機である発電装置40(図1参照)が出力する電力の損失を低減できる、電力制御システム1(図1参照)及び蓄電装置10(図1参照)が説明される。
【0014】
(電力制御システム1の構成例)
図1に示されるように、一実施形態に係る電力制御システム1は、蓄電装置10と、負荷30及び特定負荷32と、発電装置40とを備える。
【0015】
電力制御システム1は、電力網80に接続される。電力網80は、負荷30と蓄電装置10とに交流電力を供給する。発電装置40は、蓄電装置10に交流電力を供給する。
【0016】
蓄電装置10は、発電装置40から電流を引き込み、蓄電池14を充電する。蓄電装置10は、蓄電池14の放電電流又は発電装置40から引き込んだ電流を負荷30又は特定負荷32に供給する。蓄電装置10は、蓄電池14の放電電流又は発電装置40から引き込んだ電流を電力網80に逆潮流してもよい。
【0017】
負荷30は、電力網80から電力の供給を受けて動作する。負荷30は、電力網80が停電したときに動作できなくなることがある。蓄電装置10は、電力網80が停電したときに負荷30に電力を供給するように動作してよい。負荷30は、蓄電装置10から電力の供給を受けて動作を再開してよい。特定負荷32は、電力網80が停電したかにかかわらず、蓄電装置10から継続的に電力の供給を受けて動作する。
【0018】
<蓄電装置10>
蓄電装置10は、制御部11と、記憶部12と、測定部13と、蓄電池14と、電力変換部151~153と、CT(Current Transformer)161~162と、スイッチ171~174と、入力端子18とを備える。蓄電装置10は、入力端子18で発電装置40に接続される。言い換えれば、入力端子18は、発電装置40に接続可能に構成される。
【0019】
蓄電池14は、リチウムイオン電池等の二次電池を含んで構成されてよい。
【0020】
電力変換部151は、DC-DCコンバータであるとする。電力変換部152は、DCとACとを双方向に変換する双方向インバータであるとする。発電装置40が交流電力を供給する場合、電力変換部153は、ACをDCに変換するAC-DCコンバータであるとする。発電装置40が直流電力を供給する場合、電力変換部153は、DC-DCコンバータであるとする。
【0021】
電力変換部152は、交流側で電力網80並びに負荷30及び特定負荷32に接続される。発電装置40が交流電力を供給する場合、電力変換部153は、交流側で発電装置40に接続される。発電装置40が直流電力を供給する場合、DC-DCコンバータである電力変換部153は、直流側の一端で発電装置40に接続される。発電装置40が交流電力を供給する場合、電力変換部152と電力変換部153とは、直流側で互いに接続される。発電装置40が直流電力を供給する場合、DC-DCコンバータである電力変換部153は、直流側の他端で電力変換部152の直流側に接続される。また、電力変換部151の直流側の一端は、蓄電池14に接続される。電力変換部151の直流側の他端は、電力変換部152及び153の直流側が互いに接続されている配線に接続される。
【0022】
電力変換部151及び153は、発電装置40から入力端子18を通じて電流を引き込んで蓄電池14に蓄電する。
【0023】
CT161は、蓄電池14に流れる電流又は蓄電池14から出力される電流を測定するためのセンサである。CT162は、発電装置40からの引込電流を測定するためのセンサである。引込電流は、蓄電装置10が発電装置40から引き込む電流である。以降、CTの測定値を取得するとは、CTを用いて電流値を測定したことを称する。
【0024】
スイッチ171~174は、2つの端子の間を導通させる閉状態、及び、2つの端子の間を絶縁する開状態のいずれかの状態になるように制御される。制御部11は、スイッチ171~174の開閉状態を制御してよい。スイッチ171は、電力変換部151と蓄電池14との間に接続される。スイッチ172は、電力変換部153と入力端子18との間に接続される。つまり、スイッチ172は、電力変換部153と発電装置40との間に接続される。スイッチ173は、電力変換部152と電力網80及び負荷30との間に接続される。スイッチ174は、電力変換部152と特定負荷32との間に接続される。電力制御システム1は、スイッチ174及び特定負荷32を備えなくてもよい。
【0025】
測定部13は、CT162の引込電流の測定値を取得する。制御部11は、測定部13から引込電流の測定値を取得し、取得した測定値を記憶部12に格納する。また、制御部11は、電力変換部151~153を制御することによって、発電装置40からの引込電流を制御してよい。制御部11は、スイッチ171~174の開閉状態を制御してもよい。
【0026】
制御部11は、蓄電装置10の種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成されてよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成されてよい。プロセッサは、蓄電装置10の種々の機能を実現するプログラムを実行しうる。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。
【0027】
記憶部12は、各種情報、又は、蓄電装置10の各構成部を動作させるためのプログラム等を格納してよい。記憶部12は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部12は、制御部11のワークメモリとして機能してよい。記憶部12は、制御部11に含まれてもよい。
【0028】
測定部13は、CT162の測定値を取得する。CT162の測定値は、入力端子18を通じて発電装置40から引き込まれる引込電流の測定値である。つまり、測定部13は、入力端子18を通じて発電装置40から引き込まれる引込電流を測定する。測定部13は、CT162から測定値の情報を取得する通信インタフェースを備えてよい。測定部13は、CT162と有線又は無線で通信可能に接続されてよい。
【0029】
制御部11、記憶部12及び測定部13は、サーバ等の装置として一体に構成されてもよい。制御部11、記憶部12及び測定部13は、蓄電装置10と別体の電力制御装置として構成されてもよい。
【0030】
<発電装置40>
発電装置40は、例えば燃料電池等の発電デバイスを備えてよい。発電装置40は、発電デバイスで発電した電力が蓄電装置10に引き込まれるように発電した電力の電流又は電圧を調整するパワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System)を備えてよい。燃料電池、蓄電装置、又はエンジン発電機のようなデバイスを用いて発電する装置は上述した安定電源に含まれ得る。発電デバイスは、太陽光発電又は風力発電等の再生可能エネルギー源を利用して発電する安定電源でないデバイスを含んでもよい。
【0031】
パワーコンディショナは、コンバータ又はインバータ等の電力変換装置を含んでよい。パワーコンディショナは、発電デバイスが出力する直流電力を交流電力に変換してよい。パワーコンディショナは、発電デバイスが出力する直流電力を異なる電圧の直流電力に変換してよい。パワーコンディショナは、変換した電力を蓄電装置10に出力する。
【0032】
発電装置40は、蓄電装置10に出力する電流を測定するCT41を備える。CT41は、発電装置40と蓄電装置10の入力端子18との間に接続される。また、発電装置40はCT41を用いて測定される電流値が最大定格出力を超える場合に出力を停止させる過負荷保護の機能を有する。
【0033】
発電装置40の数は、1つに限られず、2つ以上であってもよい。1つの発電装置40に含まれる発電デバイスの数は、1つに限られず、2つ以上であってもよい。
【0034】
(電力制御システム1の動作例)
蓄電装置10の制御部11は、電力変換部153が発電装置40から引き込む電流を制御してよい。具体的には、制御部11は、電力変換部153に、発電装置40から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する。制御部11は、引込電流の測定値に基づいて引込電流が目標電流になるように電力変換部153を制御する。
【0035】
発電装置40から出力できる実際の電流は、発電装置40の定格電流に対して定格誤差の範囲である。蓄電装置10が発電装置40から引き込もうとして要求する電流が発電装置40から実際に出力できる電流よりも大きくなった場合、発電装置40は過負荷となって停止する。つまり、蓄電装置10が発電装置40に要求する電流が発電装置40の実際に出力できる電流の能力を超えた場合、発電装置40は過負荷となって停止する。したがって、蓄電装置10の制御部11は、発電装置40に対して要求する電流が発電装置40の実際に出力できる電流の能力を超えないように電力変換部153を制御する。
【0036】
例えば図2に示されるように、発電装置40の出力電流の定格が7.00Aである場合に、実際に出力され得る電流の誤差範囲が±2%であるとする。この場合、発電装置40の実際に出力できる電流の能力は、6.86Aから7.14Aまでの範囲である。そうすると、蓄電装置10が発電装置40に要求する電流が発電装置40の実際に出力できる電流の能力を超えないようにするためには、蓄電装置10は、蓄電装置10が実際に引き込む引込電流が6.86A以下になるように電力変換部153を制御する必要がある。
【0037】
ここで、蓄電装置10の引込電流は、CT162による引込電流の測定値に基づいて制御される。例えばCT162の測定誤差が±2%であるとする。この場合、蓄電装置10が目標電流を設定して電力変換部153を制御したときに、実際に電力変換部153が引き込む可能性がある電流の範囲は、目標電流に対して±2%の誤差範囲である。蓄電装置10が発電装置40に要求する電流が発電装置40の実際に出力できる電流の能力を超えないようにするために、目標電流の誤差範囲の上限が6.86A以下になる必要がある。そこで、蓄電装置10は、目標電流の+2%が6.86Aになるように、目標電流を6.72Aに設定する必要がある。
【0038】
以上述べてきた例において、蓄電装置10が目標電流を6.72Aに設定した場合に、CT162の測定誤差が-2%であれば、実際の引込電流が6.58Aにしかならないことがある。一方で、発電装置40が実際に出力する電流が定格の+2%であれば、実際の出力電流が7.14Aになることがある。そうしてみると、発電装置40の出力電流が7.14Aであるのに対して、蓄電装置10の引込電流が6.58Aしかないので、引き込まれずに余剰となる電流が0.56Aとなる。余剰となった0.56Aの電流は損失となり得る。つまり、発電装置40の出力電流の定格の誤差と、CT162の測定値の誤差とを合わせた電流が損失となり得る。
【0039】
比較例に係る制御方法として、目標電流を大きめに設定し、発電装置40の過負荷保護機能が作動した場合に発電装置40の実際の出力電流が定格に対して下振れしていると判定して目標電流を切り下げることが考えられる。しかし、この方法によれば、切り下げた目標電流の分だけ損失が生じ続ける。
【0040】
そこで、本開示の一実施形態に係る蓄電装置10の制御部11は、引込電流を測定するCT162の誤差を考慮して設計した場合に生じる、発電装置40からの出力電流の損失が少なくなるように目標電流を設定する。例えば図3に示されるように、発電装置40の出力電流の誤差範囲が6.86Aから7.14Aまでの範囲であるとする。一方で、蓄電装置10の引込電流の初期設定値が7.00Aであったとする。初期設定値は、蓄電装置10の工場出荷時に設定される目標電流である。制御部11は、発電装置40の実際の出力電流が7.00Aより大きい場合に、目標電流としての引込電流の設定値を上げる。制御部11は、発電装置40の実際の出力電流が7.00Aより小さい場合に、目標電流としての引込電流の設定値を下げる。制御部11は、引込電流が目標電流に近づくように引込電流を制御する。発電装置40の実際の出力電流に応じて引込電流の設定値が上げたり下げたりされることによって、発電装置40からの出力電流と蓄電装置10の引込電流との差が小さくなる。その結果、発電装置40からの出力電流の損失が少なくなる。
【0041】
具体的には、制御部11は、電力変換部153に発電装置40から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する手順として以下の手順を実行する。制御部11は、引込電流が増加するように電力変換部153を制御し、引込電流が増加するように電力変換部153を制御している間の引込電流の測定値を取得する。制御部11は、引込電流の測定値を記憶部12に格納してよい。
【0042】
制御部11は、例えば図4に示されるように、時刻が経過するにつれて発電装置40から引き込まれる電流値が増加するグラフで表される関係を取得できる。図4のグラフにおいて、横軸は時刻を表す。縦軸は発電装置40から引き込む電流値を表す。制御部11は、時刻がT1、T2、T3及びT4のそれぞれになったときに、発電装置40から引き込む電流値を6.72A、6.79A、6.86A及び6.93Aに増加させるように電力変換部153を制御する。
【0043】
時刻T1~T4は、CT162の測定値を測定部13でサンプリングする時刻に対応する。時刻T1~T4の間隔は、測定部13のサンプリング周期であるとする。測定部13のサンプリング周期は、例えば1秒に設定されてもよいし、0.1秒に設定されてもよい。測定部13のサンプリング周期は、これらの例に限られず、種々の値に設定されてよい。
【0044】
図4のグラフにおいて単位時間当たりの電流値の増加量は一定である。電流値の増加量は一定でなくてもよい。言い換えれば、時刻と電流値との関係は、直線のグラフで表されてもよいし、折れ線又は曲線のグラフで表されてもよい。
【0045】
制御部11は、時刻T4に電流値を6.93Aに増加させた後、更に電流値を増加させるように電力変換部153を制御する。しかし、図4のグラフに示されるように、時刻T4の後の時刻TSにおいて、電流値が急激に減少して停止判定値未満又はゼロに落ちる。電流値が落ちる現象は、発電装置40の過負荷停止によって生じる。制御部11は、引込電流が増加するように電力変換部153を制御している間に引込電流が落ちる、その直前の引込電流の測定値に基づいて目標電流を設定する。引込電流が増加するように電力変換部153を制御している間に引込電流が落ちる、その直前の引込電流の測定値は、直前測定値とも称される。制御部11は、例えば図4のグラフで示されるように測定値を取得した場合、直前測定値として時刻T4の電流値6.93Aを取得し、目標電流を6.93Aに設定してよい。制御部11は、引込電流の測定値を記憶部12に格納した場合、直前測定値を記憶部12から取得してよい。なお、本開示において「引込電流の測定値が落ちる」とは、引込電流が増加するように制御している間に電流値が急激に減少して停止判定値未満又はゼロまで低下することを指すとする。
【0046】
停止判定値は、発電装置40が過負荷停止したと判定するために引込電流の測定値と比較する閾値である。停止判定値は、発電装置40が過負荷停止したときの出力電流の特性に基づいて定められてよい。停止判定値は工場出荷時に記憶部12に設定されていてよい。停止判定値は、引込電流がゼロになったときにCT162が出力する測定値のノイズ又はオフセット等に基づいて定められてよい。制御部11は、引込電流の測定値が停止判定値未満になった場合に引込電流が落ちたと判定してよいし、引込電流の測定値がゼロになった場合に引込電流が落ちたと判定してもよい。
【0047】
直前測定値は、引込電流の測定値が落ちた時刻に基づいて定められる時刻の測定値であってよい。例えば、引込電流の測定値が落ちた時刻よりも猶予時間だけ前の時刻における引込電流の測定値が、直前測定値として採用されてよい。猶予時間は、例えば、CT162による引込電流の測定値を測定部13がサンプリングする周期に基づいて定められてよい。猶予時間がサンプリングの1周期の時間に設定される場合、引込電流の測定値が落ちたときのサンプリングの1回前のサンプリングで得られた測定値が、直前測定値として採用される。
【0048】
発電装置40が過負荷停止する条件として引込電流が第1時間以上継続することが設定されている場合、猶予時間は第1時間に基づいて定められてよい。例えば、第1時間が0.5秒に設定されている場合、猶予時間が1秒以上に設定されてよい。サンプリングの1周期が1秒である場合、図4のグラフにおいて、目標電流は時刻TSよりも1秒以上前の時刻T3における引込電流の測定値である6.86Aに設定されてよい。
【0049】
制御部11は、目標電流を、直前測定値そのものに設定してよい。制御部11は、目標電流を、直前測定値に減衰係数を乗じた値に設定してもよい。減衰係数は、例えば0.99等であってよい。つまり、制御部11は、目標電流を、直前測定値から1%減じた値に設定してもよい。
【0050】
制御部11は、引込電流が目標電流になるように電力変換部153を制御する。制御部11は、引込電流が落ちていないときの測定値を目標電流として電力変換部153を制御することによって、発電装置40が出力できる上限に近い電流を引き込むことができる。
【0051】
制御部11は、引込電流の電流値が急激に減少しない間、引込電流の電流値が上限値に達するまで増加するように電力変換部153を制御してよい。上限値は、電力変換部153が電流を引き込む能力、すなわち電力変換部153が受電可能な電力に基づいて設定されてよい。上限値は、CT162の計測誤差に更に基づいて設定されてもよい。制御部11は、引込電流の電流値が上限値に達するまで電流値を増加させるように電力変換部153を制御する間に電流値が急激に減少しなかった場合、発電装置40が上限値以上の電流を出力できると判定して目標電流を上限値に設定してよい。
【0052】
制御部11は、目標電流を、初期電流と目標設定係数との積によって算出してよい。初期電流は、蓄電装置10に設定されている初期値であり、例えば工場出荷時に設定されている値である。目標設定係数は、工場出荷時に1に設定されているとする。制御部11は、直前測定値に基づいて目標設定係数を設定することによって目標電流を設定してよい。具体的に、制御部11が引込電流の電流値が上限値に達するまで増加するように制御する場合、例えば図3に示されるように引込電流の設定値が増減すると仮定する。この仮定の下で、初期電流が7.0[A]であり、かつ、目標設定係数が2%である場合、目標電流は7.14[A]である。ここで仮に引込電流を7.1[A]に増加させたときに電流値が急激に減少したとする。引込電流の測定値が落ちる直前の測定値が7.07[A]であった場合、制御部11は、目標設定係数を1%((7.07-7)÷7×100)に設定してよい。また、上記の例で、引込電流を7.0[A]に増加させたときに電流値が急激に減少する場合、制御部11は、目標設定係数を-2%に設定し、初期電流を一時的に6.86[A]に設定してよい。その後、電流値が急激に減少しなければ、制御部11は、引込の継続が可能であると判定して目標設定係数を+0.3%ずつ増やして引込電流の電流値を増加させてよい。また、引込電流を6.95[A]に増加させたときに電流値が急激に減少し、引込電流の測定値が落ちる直前の測定値が6.93[A]であった場合、制御部11は、目標設定係数を-1%((6.93-7)÷7×100)に設定してよい。
【0053】
蓄電装置10に初期電流が設定されていない場合、制御部11は、起動時に目標電流を設定する手順を実行してよい。蓄電装置10に初期電流が設定されている場合、制御部11は、初期電流を目標電流として電力変換部153を制御してよいし、起動時に目標電流を設定する手順を実行してもよい。
【0054】
<蓄電装置10の制御方法の手順例>
蓄電装置10の制御部11は、図5のフローチャートに示される手順を一例として含む蓄電装置10の制御方法を実行してもよい。蓄電装置10の制御方法は、蓄電装置10の制御プログラムとして、制御部11が有するプロセッサによって実行されてもよい。制御プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体に格納されてよい。
【0055】
制御部11は、発電装置40からの引込電流が増加するように電力変換部153を制御する(ステップS1)。制御部11は、CT162による引込電流の測定値を測定部13で取得する(ステップS2)。制御部11は、取得した測定値を記憶部12に格納してよい。
【0056】
制御部11は、引込電流の測定値が落ちたか判定する(ステップS3)。制御部11は、例えば引込電流の測定値が停止判定値未満になった場合に引込電流の測定値が落ちたと判定してよい。制御部11は、引込電流の測定値がゼロになった場合に引込電流の測定値が落ちたと判定してよい。制御部11は、引込電流の測定値が落ちていない場合(ステップS3:NO)、引込電流が上限値まで増加したか判定する(ステップS4)。制御部11は、引込電流が上限値まで増加していない場合(ステップS4:NO)、ステップS1の手順に戻って引込電流を更に増加させる。制御部11は、引込電流が上限値まで増加した場合(ステップS4:YES)、上限値を目標電流に設定する(ステップS5)。
【0057】
制御部11は、引込電流の測定値が落ちた場合(ステップS3:YES)、引込電流の測定値が落ちる直前の測定値、すなわち直前測定値を取得する(ステップS6)。制御部11は、引込電流の測定値を記憶部12に格納した場合、記憶部12から直前測定値を取得してよい。制御部11は、直前測定値に基づいて目標電流を設定する(ステップS7)。
【0058】
制御部11は、ステップS5又はS7で目標電流を設定した後、引込電流が目標電流になるように電力変換部153を制御する(ステップS8)。制御部11は、ステップS8の手順の実行後、図5のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0059】
(小括)
以上述べてきたように、本実施形態に係る蓄電装置10は、引込電流を増加させて落ちる直前の測定値を取得することによって、発電装置40が過負荷停止する直前の引込電流の測定値を目標電流に設定できる。このようにすることで、蓄電装置10は、CT162の測定誤差にかかわらず、発電装置40が出力できる上限に近い電流を引き込むことができる。その結果、発電装置40の出力のうち蓄電装置10に蓄電されずに損失になる電力が低減される。
【0060】
(他の実施形態)
以下、他の実施形態に係る蓄電装置10の構成例が説明される。
【0061】
<目標電流の設定後の動作>
蓄電装置10の制御部11は、目標電流を設定した後、引込電流が目標電流の設定値になるように電力変換部153を制御する。ここで、引込電流が目標電流の設定値になるように電力変換部153を制御している間に、例えば、発電装置40が過負荷停止したことによって、又は、発電装置40が任意で停止されたことによって引込電流の測定値が落ちることがある。制御部11は、発電装置40が停止して引込電流の測定値が落ちた場合、発電装置40が再起動した後に、目標電流を設定する手順を実行し直してよい。
【0062】
発電装置40は、交換されたり修理されたりすることによって変更されることがある。制御部11は、発電装置40が変更された場合に、目標電流を設定する手順を実行し直してよい。
【0063】
制御部11は、発電装置40からの電流の引き込みを終了することがある。制御部11は、発電装置40からの引き込みを終了させた場合、発電装置40が再起動した後に、目標電流を設定する手順を実行し直してよい。また、制御部11は、発電装置40からの引き込みを終了させてから発電装置40が再起動するまでに待機時間以上経過した場合に、目標電流を設定する手順を実行し直してよい。待機時間は、発電装置40の変更が可能な時間に設定されてよい。言い換えれば、制御部11は、発電装置40が再起動するまでに経過した時間が発電装置40の変更が可能な時間以上である場合に、発電装置40が変更された可能性があると判定して目標電流を設定する手順を実行し直してよい。また、制御部11は、発電装置40からの引き込みを終了させてから発電装置40が再起動するまでに待機時間以上経過した回数が待機判定回数に達した場合に、目標電流を設定する手順を実行し直してもよい。待機判定回数は、1回以上に適宜設定される。また、制御部11は、発電装置40からの引き込みを終了させた回数が終了判定回数に達した場合に、目標電流を設定する手順を実行し直してもよい。
【0064】
<安定電源の判定>
上述したように、本開示において、安定電源は、蓄電装置10が要求する引込電流に対して過負荷にならずに継続的に電流を出力する能力を有する発電装置40である。蓄電装置10の制御部11は、発電装置40が安定電源であるかにかかわらず、上述した制御方法によって設定した目標電流で引込電流を制御してよい。上述した制御方法によって設定した目標電流で引込電流が制御されることによって、CT162の測定誤差を考慮して、発電装置40が出力できる上限に近い電流が蓄電装置10に引き込まれる。
【0065】
ここで、発電装置40が安定電源でない場合よりも、発電装置40が安定電源である場合において、発電装置40の過負荷停止の頻度が低下し得る。制御部11は、発電装置40が安定電源であるかを判定し、発電装置40が安定電源である場合に、上述した制御方法を実行して目標電流を設定し、引込電流を制御してよい。一方で、制御部11は、発電装置40が安定電源でない場合に、発電装置40から受電する入力端子18の電圧の値に応じて引込電流を設定することによって、発電装置40の過負荷停止を避けてよい。このようにすることで、蓄電装置10の制御部11は、発電装置40が安定電源である場合及び発電装置40が安定電源でない場合のいずれにおいても適切な連携動作を実行できる。その結果、蓄電装置10は、発電装置40が出力できる上限に近い電流を引き込みつつ、発電装置40の過負荷停止の頻度を低減できる。
【0066】
制御部11は、発電装置40が安定電源であるか判定する手順として、目標電流を設定する手順を2回以上実行し、引込電流が増加するように電力変換部153を制御している間に引込電流の測定値が落ちる現象が2回以上発生した場合に、直前測定値に基づいて目標電流を設定してよい。例えば、制御部11は、目標電流を設定する手順を2回以上実行して各回の直前測定値が同じ値であった場合に、発電装置40が安定電源であると判定してよい。また、制御部11は、目標電流を設定する手順を2回以上実行して各回の直前測定値の差が差分判定値未満であった場合に、発電装置40が安定電源であると判定してよい。差分判定値は、発電装置40が安定電源であるかを判定するために、目標電流を設定する手順を2回以上実行した場合の各回の直前測定値の差と比較する閾値である。差分判定値は、CT162の測定誤差に基づいて設定されてよい。
【0067】
制御部11は、発電装置40が安定電源であると判定した場合に、引込電流の測定値が落ちる直前の測定値を、目標電流に設定してよい。言い換えれば、制御部11は、発電装置40の実力に合った引込電流を目標電流として設定してよい。
【0068】
逆に、制御部11は、引込電流の測定値が落ちる直前の測定値が異なる値であった場合に、発電装置40が安定電源でないと判定してよい。制御部11は、安定電源でないと判定したことを表示装置などで表示してもよい。
【0069】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0070】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0071】
本開示に係る実施形態において、外部発電装置からの出力電流を蓄電装置10が引き込んで蓄電することを例示した。他の実施形態として、上述したように電力制御装置が蓄電装置10の別体として制御部11、記憶部12及び測定部13を備えるように構成されてもよい。電力制御装置は、外部電源からの出力電流を電力系統へ逆潮流してもよい。電力制御装置は、外部電源からの出力電流を、電力系統からの順潮流電力を消費する負荷30へ供給し、順潮流電力を低下させるように動作してもよい。
【0072】
一実施形態において、(1)蓄電装置は、蓄電池と、発電装置に接続可能に構成される入力端子と、前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する電力変換部と、前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する測定部と、前記電力変換部を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する手順として、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することとを実行し、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御する。
【0073】
(2)上記(1)の蓄電装置において、前記制御部は、前記電力変換部又は前記蓄電池が受電可能な上限値まで前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御してよい。
【0074】
(3)上記(1)又は(2)の蓄電装置において、前記目標電流は、初期電流と目標設定係数との積によって算出されてよい。前記制御部は、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて、前記目標設定係数を設定してよい。
【0075】
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つの蓄電装置において、前記制御部は、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御している間に前記発電装置の停止によって前記引込電流の測定値が落ちた場合、前記発電装置が再起動した後に、前記目標電流を設定する手順を実行してよい。
【0076】
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つの蓄電装置において、前記制御部は、前記発電装置が変更された場合に、前記目標電流を設定する手順を実行してよい。
【0077】
(6)上記(1)から(5)までのいずれか1つの蓄電装置において、前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させた場合、前記発電装置が再起動した後に、前記目標電流を設定する手順を実行してよい。
【0078】
(7)上記(6)の蓄電装置において、前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させてから前記発電装置が再起動するまでに待機時間以上経過した場合に、前記目標電流を設定する手順を実行してよい。
【0079】
(8)上記(7)の蓄電装置において、前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させてから前記発電装置が再起動するまでに待機時間以上経過した回数が待機判定回数に達した場合に、前記目標電流を設定する手順を実行してよい。
【0080】
(9)上記(6)から(8)までのいずれか1つの蓄電装置において、前記制御部は、前記発電装置からの引き込みを終了させた回数が終了判定回数に達した場合に、前記目標電流を設定する手順を実行してよい。
【0081】
(10)上記(1)から(9)までのいずれか1つの蓄電装置において、前記制御部は、前記目標電流を設定する手順を2回以上実行し、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちる現象が2回以上発生した場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定してよい。
【0082】
(11)上記(10)の蓄電装置において、前記制御部は、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちる現象が2回以上発生した場合に、各回において前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値の差が差分判定値未満である場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定してよい。
【0083】
一実施形態において、(12)蓄電装置の制御方法は、蓄電池と、発電装置に接続可能に構成される入力端子と、前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する電力変換部と、前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する測定部と、前記電力変換部を制御する制御部とを備える蓄電装置の制御方法である。前記蓄電装置の制御方法は、前記制御部が、前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定することと、前記制御部が、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御することとを含む。前記制御部が前記目標電流を設定することは、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することとを含む。
【0084】
一実施形態において、(13)電力制御装置は、蓄電池と、発電装置に接続可能に構成される入力端子と、前記発電装置から前記入力端子を通じて電流を引き込んで前記蓄電池に蓄電する電力変換部とを有する蓄電装置を制御する。前記電力制御装置は、前記電力変換部を制御する制御部と、前記入力端子を通じて前記発電装置から引き込まれる引込電流を測定する測定部とを備える。前記制御部は、前記電力変換部に前記発電装置から引き込ませる電流の目標値である目標電流を設定する手順として、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間の前記引込電流の測定値を取得することと、前記引込電流が増加するように前記電力変換部を制御している間に前記引込電流の測定値が落ちた場合に、前記引込電流の測定値が落ちる直前の測定値に基づいて前記目標電流を設定することとを実行し、前記引込電流が前記目標電流の設定値になるように前記電力変換部を制御する。
【符号の説明】
【0085】
1 電力制御システム
10 蓄電装置(11:制御部、12:記憶部、13:測定部、14:蓄電池、151~153:電力変換部、161~162:CT、171~174:スイッチ、18:入力端子)
30 負荷
32 特定負荷
40 発電装置(41:CT)
80 電力網
図1
図2
図3
図4
図5