(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132689
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20240920BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240920BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F25D21/04 L
F25D23/00 301K
F25D17/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043560
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】菊地 芳輝
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA19
3L345DD21
3L345DD62
3L345EE34
3L345FF41
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】構造物に起因する天面への結露を抑制可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫1は、冷気が供給される貯蔵室3を形成する断熱箱体11と、貯蔵室3の前面開口31を閉塞する扉21と、断熱箱体11の外側に形成される天面に配置される構造物4と、を備え、構造物4の側壁45に起因する天面12への結露を抑制可能な構造60を有する。構造60は、前面開口31の縁38と側壁45との間の離間距離dが、扉2と前面開口31との間から漏れ出た冷気の澱みを抑制可能な所定距離になるように、構造物4が縁38から離間して配置される構造を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷気が供給される貯蔵室を形成する断熱箱体と、
前記貯蔵室の前面開口を閉塞する扉と、
前記断熱箱体の外側に形成される天面に配置される構造物と、を備え、
前記構造物の側壁に起因する前記天面への結露を抑制可能な構造を有する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記構造は、前記天面のうち前記前面開口が形成される側の縁と前記側壁との間の離間距離が、前記扉と前記前面開口との間から漏れ出た前記冷気の澱みを抑制可能な所定距離になるように、前記構造物が前記縁から離間して配置される構造を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記所定距離は、冷気の漏出源となる前記貯蔵室の設定温度帯に応じて設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記構造は、前記天面のうち前記前面開口が形成される側の縁と前記構造物との間に配置される前記天面を加熱する加熱機構を備える構造を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記加熱機構は、前記冷気を生成する冷凍サイクルに備えられる圧縮機での圧縮によって加熱された冷媒が流れる配管を含み、
前記天面を貫通する貫通口に嵌装され、前記構造物を支持する支持台を備え、
前記配管は、前記縁と前記側壁との間かつ前記天面の下側を通るように配置される
ことを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記断熱箱体は、
外箱と、
内箱と、
前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、
を備え、
前記配管は、前記外箱の表面に沿って前記天面の下側に配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記断熱箱体は、
外箱と、
内箱と、
前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、
を備え、
前記配管は、前記扉を閉じたときに前記扉と対向する面の裏面に沿って配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記加熱機構は、前記構造物の内部に配置されたヒータを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記ヒータは、前記構造物の内部で、前記縁と前記構造物との間に存在する前記天面に臨む側の面に配置される
ことを特徴とする請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記加熱機構は、前記冷気を生成する冷凍サイクルに備えられる圧縮機での圧縮によって加熱された冷媒が流れる配管を含み、
冷蔵庫が配置された空間の湿度を測定する湿度センサと、
前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器での熱交換を促進するファンと、
前記湿度センサによる測定値が所定値未満のとき、前記ファンの回転速度を第1速度に制御し、前記湿度センサによる測定値が前記所定値以上のとき、前記ファンの回転速度を前記第1速度よりも低速の第2速度に制御する制御装置と、
を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の請求項1には「庫内を撮影するカメラを備えた冷蔵庫において、カメラ1台にて複数箇所の撮影を行うことを特徴とする冷蔵庫。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷蔵庫では、ベースブロック21の前面側壁が、冷蔵庫に形成された前面開口の近傍に配置される(
図2)。このため、詳細は後記するが、前面開口と扉との間から上方に漏れ出た冷気が、ベースブロック21の側壁の影響で側壁近傍で淀んでしまい、例えば冷蔵庫本体1の天面に結露が生じる。
本開示が解決しようとする課題は、構造物に起因する天面への結露を抑制可能な冷蔵庫の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本会の冷蔵庫は、冷気が供給される貯蔵室を形成する断熱箱体と、前記貯蔵室の前面開口を閉塞する扉と、前記断熱箱体の外側に形成される天面に配置される構造物と、を備え、前記構造物の側壁に起因する前記天面への結露を抑制可能な構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】構造物近傍を拡大して示す上方からの斜視図である。
【
図5】比較例に係る、
図3のB部拡大図に対応する部分である。
【
図6】別の実施形態に係る冷蔵庫において、
図1のC-C線断面図である。
【
図7】
図6に示す冷蔵庫に備えられる冷凍サイクルを示す系統図である。
【
図8】別の実施形態に係る冷蔵庫に備えられるベースユニットの内部を示す下方からの斜視図である。
【
図9A】別の実施形態に係る冷蔵庫の正面図であり、配管の設置形態を示す図である。
【
図10】別の実施形態に係る冷蔵庫に備えられる断熱材の設置形態を示す図である。
【
図11】別の実施形態に係る冷蔵庫に備えられる断熱材の設置形態を示す図である。
【
図12】別の実施形態に係る冷蔵庫に備えられる断熱材の設置形態を示す図である。
【
図13】別の実施形態に係る冷蔵庫に備えられる構造物を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。また、同じ実施形態で、必ずしも全ての構成を備える必要はない。
【0008】
図1は、本開示の冷蔵庫1の正面図である。冷蔵庫1は扉21,22及び構造物4を備える。扉21は、貯蔵室3(
図3。例えば冷蔵室32)の前面開口31(
図3)を閉塞する。扉21は、
図1に示す正面視で左右に配置されたヒンジ13(
図2)で回動可能に軸支される。なお、本開示において、上下方向、左右方向、及び前後方向というときは、特に断らない限り、冷蔵庫1における上下方向、左右方向及び前後方向を意味するものとする。なお、前面開口31の形成側が前側で、反対側が後側である。扉21の下方には、引き出し式の扉22が備えられる。構造物4は、断熱箱体11の外側に形成される上面である天面12に配置される。
【0009】
図2は、構造物4の近傍を拡大して示す上方からの斜視図である。冷蔵庫1は、ヒンジ13の後側に、冷蔵庫1が配置された空間(例えば居室)の湿度を測定する湿度センサ18を備える。更に、構造物4は、本開示の例では、貯蔵室3の外部から貯蔵室3の内部を撮影するカメラ42を備えるカメラユニット41を含む。カメラユニット41を含むことで、扉2を開けた状態で貯蔵室3の内部を撮影でき、貯蔵室3に収容された食品等を画像に基づいて判断できる。
【0010】
カメラユニット41は、カメラ42を支持するアーム43と、アーム43を水平面内で回動可能に支持するベースユニット44とを備える。カメラ42は、アーム43の前側先端において、下方に露出して配置される。アーム43は、例えば冷蔵庫1に対して全下方向及び左右方向の2方向に配置可能に回動される。アーム43が前後方向に延在するように配置されたとき、アーム43の配置位置は、カメラ42により貯蔵室3(
図3)の内部を撮影可能な位置である。一方で、アーム43が左右方向に延在するように配置されたとき、アーム43の配置位置は、アーム43が冷蔵庫1の正面側に突出していないために冷蔵庫1を容易に移動可能な位置である。
【0011】
図3は、
図1のA-A線断面図である。断熱箱体11は、冷気が供給される貯蔵室3を形成する。貯蔵室3は、例えば、最上段に配置された冷蔵室32と、製氷室(不図示)及び急速冷凍室33と、冷凍室34と、最下段に配置された野菜室35とを含む。急速冷凍室33の隣には、製氷室が配置される。扉21は、冷蔵室32の前面開口31を閉塞する。扉22は、製氷室(不図示)及び急速冷凍室33、冷凍室34、及び野菜室35のそれぞれで形成される前面開口31を閉塞する。貯蔵室3には、適宜、棚、貯蔵容器等が収容される。貯蔵室に供給される冷気は、後記する冷凍サイクル50(
図7)によって生成する。
【0012】
断熱箱体11は、例えば金属製の外箱14と、例えば樹脂製の内箱15と、外箱14と内箱15との間に配置された断熱材16とを備える。断熱材16は、例えば真空断熱材161を含み、
図3の例では真空断熱材161のみである。従って、
図3の例では、断熱材16には、発泡断熱材162(
図10)は含まれていない。
【0013】
図4は、
図3のB部拡大図である。図示の便宜上、
図4には、アーム43は図示していない。扉21は、扉21を閉じたときに前面開口31を囲うように配置されるパッキン23と、パッキン23を固定した扉本体24と、を備える。なお、パッキン23は、断熱箱体11に固定されてもよい。
【0014】
図5は、比較例に係る、
図3のB部拡大図に対応する部分である。
図5に示す構造は、構造物4の前後方向位置が異なること以外は、
図4に示す構造と同じである。扉21を閉じたとき、パッキン23は、断熱箱体11の前面側に形成された面36に接触する。これにより、断熱箱体11に形成された貯蔵室3からの冷気漏れが抑制される。しかし、わずかにではあるが、断熱箱体11の面36とパッキン23との間に形成された隙間から、
図5において実線矢印で示すように、冷気が漏れ得る。漏れ出た冷気は、例えば上方、側方、下方等に拡散する。ただし、
図5及び上記
図4では、上方に拡散する冷気のみが図示される。
【0015】
上方に漏れ出た冷気は、側壁45によって自由な拡散が阻害され、構造物4から視て窪んだ部分であるパッキン23の上部、天面12の上部等に溜まり易い。従って、上方に漏れ出た冷気は、この部分で冷気が淀み易い。即ち、冷気は、側壁45の付近で自由な拡散を阻害され、側壁45の影響で、側壁45近傍で澱み易くなる。これにより、側壁45近傍に存在する天面12が冷やされ、天面12において空気中の水分が結露する。即ち、構造物4に起因して、天面12に結露が生じる。
【0016】
図4に戻って、そこで、本開示の冷蔵庫1は、構造物4の側壁45に起因する天面12への結露を抑制可能な構造60を有する。側壁45は、貯蔵室3から冷気が漏れ出す前面開口31側に形成された壁(面)であり、
図4に示す例では、構造物4に形成される前側の側壁である。
【0017】
構造60は、
図4に示す例では、天面12のうち前面開口31が形成される前面(面36)側の縁38と側壁45との間の離間距離dが、扉2(具体的にはパッキン23)と前面開口31との間から漏れ出た冷気の澱みを抑制可能な所定距離になるように、構造物4が縁38から離間して配置される構造を含む。縁38は、面36の上端でもある。また、所定距離は、漏れ出た冷気が側壁45の影響を受け難くなり、冷気が自由に拡散し易くなる所定距離のことでもある。このような構造を含むことで、側壁45近傍の冷気が逃げ易くなり、冷気の自由な拡散の阻害を抑制でき、側壁45の付近で冷気の澱みを抑制できる。この結果、天面12への結露を抑制できる。
【0018】
上記所定距離は、冷気の漏出源となる貯蔵室3の設定温度帯に応じて設定される。設定温度帯によって、漏れ出る冷気の温度が異なる。例えば漏れ出る冷気が冷凍温度帯の冷気(例えば冷凍室内の冷気)であれば、天面12への結露が相対的に生じ易い。このため、所定距離は相対的に長いことが好ましい。一方で、例えば漏れ出る冷気が冷蔵温度帯の冷気(例えば冷蔵室内の冷気)であれば、天面12への結露は相対的に生じ難い。このため、所定距離は相対的に短くできる。そこで、このようにして上記所定距離を設定することで、天面12への結露をより抑制できる。
【0019】
本開示の例では、冷気の漏出源となる貯蔵室3は、複数の貯蔵室3のうち、最上段に配置される冷蔵室32である。従って、漏れ出る冷気は、冷蔵温度帯の冷気である。図示はしないが、貯蔵室3の数が1つのみである場合には、1つのみの貯蔵室3の設定温度帯に応じて、所定距離を設定すればよい。また、設定温度帯が切替可能な貯蔵室3(即ち切明室)の場合には、例えば、構造物4を前後方向にずらし所定距離を可変にするための機構(不図示)を備えてもよい。
【0020】
また、通常は、側壁45の上下方向の長さ(即ち高さ)が長いほど、所定距離は相対的に長くなる。一方で、例えば、
図4に示すような、側壁45が上方に広がるテーパ形状を有する場合、上記所定距離は相対的に短くなる。そこで、これらを踏まえ、上記所定距離は、特に制限されるものではないが、例えば、実験、シミュレーション、試運転等によって決定できる。
【0021】
図4等に示す冷蔵庫1の前後方向への切断面における断面視で、扉21の上端面25は、断熱箱体11の上端である天面12よりも高い。このような構造であれば、漏れ出た冷気が、相対的に高い扉21の側に向かい難くなり、相対的に低い天面12の方向に向かい易くなる。しかし、この場合であっても、構造60を有することで、天面12での結露を抑制できる。
【0022】
また、
図4等に示すような、扉21を閉めた冷蔵庫1の断面視で、縁38から側壁45迄の離間距離は、縁38から扉本体24迄の距離よりも短い。このような構造であれば、漏れ出た冷気が、相対的に遠い扉本体24の側に向かい難くなり、相対的に近い天面12の方向に向かい易くなる。しかし、この場合であっても、構造60を有することで、天面12での結露を抑制できる。
【0023】
図6は、別の実施形態に係る冷蔵庫1において、
図1のC-C線断面図である。ただし、
図6では、扉21の図示は省略する。
図6は、主に、外箱14と断熱材16との間で切断し、天面12(
図3)の裏面を示した図である。
【0024】
外箱14は、天面12(
図3)を上下方向に貫通する貫通口17を備える。貫通口17には、構造物4を支持する支持台46が嵌装される。支持台46は、冷蔵庫1に備えられる。貫通口17に外箱14の内側(
図6に示す側)から支持台46を挿入し、支持台46は天面12に固定(例えばねじ止め)される。そして、外箱14の外側で、支持台46に構造物4を固定(例えばねじ止め)することで、構造物4が天面12に固定される。
【0025】
構造60は、
図6に示す例では、天面12のうち前面開口31が形成される側の縁38と構造物4との間に配置される天面12を加熱する加熱機構61を備える構造を含む。このような構造を含むことで、加熱機構61によって天面12を加熱でき、天面12への結露を抑制できる。
【0026】
図6に示す例では、加熱機構61は、冷気を生成する冷凍サイクル50(
図7)に備えられる圧縮機51での圧縮によって加熱された冷媒が流れる配管56を含む。配管56は、縁38と側壁45との間かつ天面12の下側を通るように、配置される。配管56を含むことで、天面12を加熱できる。なお、冷蔵庫1の前後方向への切断面における断面視では、天面12の下方(外箱14と内箱15との間)に配置される。
【0027】
図7は、
図6に示す冷蔵庫1に備えられる冷凍サイクル50を示す系統図である。冷凍サイクル50は、上記のように、貯蔵室3(
図3)に供給される冷気を生成するものである。冷凍サイクル50は、圧縮機51と、ファン521及びモータ522を備える凝縮器52と、キャピラリチューブ53と、ファン541を備える蒸発器54とを備える。これらは何れも冷蔵庫1に備えられる。圧縮機51と凝縮器52とは配管55により、凝縮器52とキャピラリチューブ53とは配管56により、キャピラリチューブ53と蒸発器54とは配管57により、蒸発器54と圧縮機51とは配管58により、それぞれ接続される。配管55,56,57,58には、いずれも冷媒が流れる。
【0028】
圧縮機51は、冷媒を圧縮するものである。圧縮により、冷媒が加熱される。凝縮器52は、圧縮機51で圧縮された冷媒を凝縮させる熱交換器である。ファン521は、凝縮器52での熱交換を促進するものである。ファン521は、例えばインバータ制御されるモータ522によって回転駆動される。キャピラリチューブ53は、冷媒を減圧させる減圧機構の一例である。蒸発器54(冷却器)は、減圧した冷媒を蒸発させる熱交換器である。蒸発器54では、貯蔵室3に供給される冷気が生成する。
【0029】
蒸発器54は、1台の熱交換器で構成されてもよく、複数(例えば2台)の熱交換器で構成されてもよい。2台の熱交換器で構成される場合、蒸発器54は、例えば、冷蔵室32(
図3)等に供給される冷気を生成する蒸発器と、冷凍室34等に供給される冷気を生成する蒸発器とを含むことができる。冷蔵室32等に供給される冷気を生成する蒸発器は、例えば冷蔵室32の背面に配置できる。冷凍室34等に供給される冷気を生成する蒸発器は、例えば冷凍室34の背面に配置できる。ファン541は、蒸発器54での熱交換を促進するものである。ファン541は、例えばインバータ制御されるモータ(不図示)によって回転駆動される。
【0030】
冷蔵庫1は、制御装置59を備える。制御装置59は、湿度センサ18(
図2)による測定値が所定値未満のとき、ファン521の回転速度を第1速度に制御し、湿度センサ18による測定値が前記所定値以上のとき、ファン521の回転速度を第1速度よりも低速の第2速度に制御する。相対的に高湿時、ファン521の回転速度を第2速度にすることで、第1速度での回転駆動時よりも、凝縮器52での放熱量を減少できる。これにより、相対的に高湿であり結露し易い環境においても、配管56を流れる冷媒を相対的に降温にすることで、天面12の結露を抑制できる。
【0031】
ここでいう所定値は、同じ回転速度(例えば第1速度)でファン521を回転駆動させ続けたときに、天面12に結露を生じさせ易くなる状態になる閾値である。従って、当該閾値以上のときに、回転速度が低速の第2速度に設定される。所定値、第1速度及び第2速度は、特に制限されないが、断熱箱体11、構造物4等の設計条件に応じて、例えば、実験、試運転、シミュレーション等によって決定すればよい。
【0032】
制御装置59は、例えばCPU(Central Processing Unit)591、ROM(Read Only Memory)592、RAM(Random Access Memory)593等を備えて構成される。制御装置59は、ROM592に格納されている所定の制御プログラム(例えばファンの駆動方法)がRAM593に展開され、CPU591によって実行されることにより具現化される。なお。制御装置59は、冷蔵庫1の運転制御も行う。
【0033】
圧縮機51での圧縮により生成した高温高圧の冷媒(気体)は、配管55を流れ、凝縮器52に至る。凝縮器52では、ファン521の駆動により冷媒の熱が放熱される。これにより、冷媒は液体の高温冷媒に変化する。高温の液体冷媒は、配管56を流れる際、上記のように天面12を加熱する。これにより、天面12での結露が抑制される。そして、加熱により放熱した冷媒は、キャピラリチューブ53に至り、キャピラリチューブ53で減圧される。減圧された冷媒は、配管57を流れて蒸発器54に至る。蒸発器54では、ファン541の駆動により冷媒が気化して気体に変化する。これとともに、冷媒は周囲の熱を奪い、冷気が生成する。生成した冷気は、貯蔵室3(
図3)に供給される。気体に変化した冷媒は、配管58を流れて圧縮機51に戻される。
【0034】
図6に戻って、配管56は、外箱14の表面に沿って天面12の下側(反対面。下面)に配置される。これにより、天面12の加熱効率を向上できる。
【0035】
圧縮機51は、冷蔵庫1の後下側に配置される(上記
図3参照)。また、凝縮器52も、冷蔵庫1の後下側で、例えば圧縮機51に近接して配置される。このため、配管56は、例えば、冷蔵庫1の前側又は後側の側端(例えば角近傍)において上下方向に延在する。これにより、凝縮器52からの冷媒は上昇するように配管56を流れ、天面12の下方に至る。そして、
図7に示すように、冷媒は、天面12の下方で配管56を例えば左右農地の一方向から他方向に流れ、例えば、上昇してきた冷媒の配管56とは反対側の側端(例えば角近傍)で、下降するように配管56を流れる。
【0036】
図8は、別の実施形態に係る冷蔵庫1に備えられるベースユニット44の内部を示す下方からの斜視図である。ベースユニット44は、上ケース47と、下ケース(不図示)との嵌め合わせにより構成される。上ケース47は回動部49を備え、回動部49を軸中心にアーム43が水平面内で回動する。下ケースは、支持台46(
図6)に固定(例えばねじ止め)され、これにより、カメラユニット41が天面12に配置される。
【0037】
図8に示す例では、加熱機構61は、構造物4の内部に配置されたヒータ63を含む。構造物4の内部にヒータ63を配置できるため、断熱箱体11へのヒータ63の設置場所を不要にでき、貯蔵室3の内容積を大きくできる。なお、加熱機構61は、ヒータ63とともに、又は、ヒータ63に代えて、例えばカメラユニット41(具体的には例えばカメラ42)を駆動するための制御基板、電源基板等でもよい。
【0038】
また、ヒータ63は、例えば、湿度センサ18(
図2)による測定値が所定値未満のとき、オフにされ、湿度センサ18による測定値が所定値以上のとき、オンにされることができる。ここでいう所定値は、ヒータ63による加熱を行わないと天面12が結露し易くなる湿度である。このような制御により、天面12での結露を抑制できる。なお、ヒータ63の通電制御は、例えば上記制御装置59によって実行できる。
【0039】
ヒータ63は、構造物4の内部で、縁38(
図4)と構造物4との間に存在する天面12に臨む側の面48に配置される。これにより、面48を介して天面12を加熱でき、天面12での結露を抑制できる。面48は、構造物4の内面であり、面48の反対側の面(外側の面)には、側壁45が形成される。
【0040】
なお、構造物4の内部において、例えば側壁45への放熱機構(例えばフィン)を備えることで、ヒータ63を任意の場所に設置してもよい。
【0041】
図9Aは、別の実施形態に係る冷蔵庫1の正面図であり、配管56の設置形態を示す図である。
図9に示す例では、配管56は、扉21を閉じたときに扉21(
図4)と対向する面36の裏面37(
図9B)に沿って配置される。これにより、面36の上端には縁38が形成されるため、面36の加熱により、縁38から後側に延在する天面12を加熱できる。
【0042】
図9Bは、
図9AのD-D線断面図である。
図9Bでは、構造物4は図示しない。上記のように、配管56は、冷蔵庫1の後下側に配置された凝縮器52に接続される。従って、配管56は、冷蔵庫1の正面視で、前面開口31の上側及び左右両側のそれぞれに配置された面36の裏側(裏面37の側)に沿って、配置される。また、図示の例では、配管56は天面12の下面に沿っても配置されるため、天面12を直接加熱できる。
【0043】
図10は、別の実施形態に係る冷蔵庫1に備えられる断熱材16の設置形態を示す図である。断熱材16は、上記真空断熱材161の他にも、発泡断熱材162(例えば発泡ウレタン)を含む。真空断熱材161は、外箱14に沿って、外箱14の側に配置される。真空断熱材161と内箱15との間には、発泡断熱材162が配置される。
【0044】
図10に示す、冷蔵庫1の前後方向への切断面を示す断面図において、貫通口17の下方には、貫通口17に対向して真空断熱材161が配置される。これにより、貫通口17近傍での断熱効果を向上できる。図示の例では、更に、貫通口17の下方には、真空断熱材161を介して、発泡断熱材162も配置される。これにより、貫通口17近傍での断熱効果を更に向上できる。従って、構造物4の下方には、真空断熱材161及び発泡断熱材162が配置される。
【0045】
図11は、別の実施形態に係る冷蔵庫1に備えられる断熱材16の設置形態を示す図である。
図11に示す例では、上記
図10に示す例において真空断熱材161と発泡断熱材162との配置場所が上下反対になっていること以外は、
図10に示す例と同様である。
【0046】
真空断熱材161は、内箱15に沿って、内箱15の側に配置される。真空断熱材161と外箱14との間には、発泡断熱材162が配置される。これにより、凹凸を有する支持台46に対して、満遍なく発泡断熱材162を配置でき、断熱性能を向上できる。
【0047】
図12は、別の実施形態に係る冷蔵庫1に備えられる断熱材16の設置形態を示す図である。
図12に示す例では、真空断熱材161の大きさが異なること以外は、
図10に示す例と同様である。
【0048】
真空断熱材161は、上記
図10に示した真空断熱材161よりも小さく、貫通口17の下方には真空断熱材161が配置されない。従って、真空断熱材161は、貫通口17の後側に配置される。このようにしても、断熱材16による断熱性能を発揮できる。
【0049】
図13は、別の実施形態に係る冷蔵庫1に備えられる構造物4を示す正面図である。
図13には、扉2は図示していない。構造物4は、扉2(
図2)の開閉を電動で行う電動開閉機構411を含む。電動開閉機構411は、天面12に配置される。電動開閉機構411を備えることで、扉2を電動で開閉できる。なお、電動開閉機構411は、使用者が例えば扉2を把持して開閉動作を行うときに使用者にかかる負担を軽減させる「電動アシスト機構」でもよく、例えば使用者のボタン操作によって扉2を自動で開閉させる「自動開閉機構」のいずれでもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 天面
13 ヒンジ
14 外箱
15 内箱
16 断熱材
161 真空断熱材
162 発泡断熱材
17 貫通口
18 湿度センサ
2 扉
21 扉
22 扉
23 パッキン
24 扉本体
25 上端面
3 貯蔵室
31 前面開口
32 冷蔵室
33 急速冷凍室
34 冷凍室
35 野菜室
36 面
37 裏面
38 縁
4 構造物
40 構造物
41 カメラユニット
411 電動開閉機構
42 カメラ
43 アーム
44 ベースユニット
45 側壁
46 支持台
47 上ケース
48 面
49 回動部
50 冷凍サイクル
51 圧縮機
52 凝縮器
521 ファン
522 モータ
53 キャピラリチューブ
54 蒸発器
541 ファン
55 配管
56 配管
57 配管
58 配管
59 制御装置
60 構造
61 加熱機構
63 ヒータ
d 離間距離