(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132690
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】無人航空機および交通整理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240920BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043562
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥富 忠相
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】無人航空機が作業者と共同で作業を遂行する場合にも、作業状況に応じた適切な協調動作を行えるようにする。
【解決手段】端末装置と通信する通信部と、高度を含む位置情報を取得する位置検出部と映像を撮影するカメラと、あらかじめ設定された複数の想定作業のいずれを実行するか決定する行動判断部と、決定された想定作業に人が行う作業である協調作業が含まれているか否かを判断し、協調作業が含まれていると判断した場合に、通信部により端末装置に協調作業に関する指示を送信する協調判断部と、を備え、行動判断部は、映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに映像と位置情報とから対象物の位置である対象物位置を取得し、属性および対象物位置に基づいて、実行する想定作業を決定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と通信する通信部と、
高度を含む位置情報を取得する位置検出部と
映像を撮影するカメラと、
あらかじめ設定された複数の想定作業のいずれを実行するか決定する行動判断部と、
決定された前記想定作業に人が行う作業である協調作業が含まれているか否かを判断し、前記協調作業が含まれていると判断した場合に、前記通信部により前記端末装置に前記協調作業に関する指示を送信する協調判断部と、を備え、
前記行動判断部は、前記映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに前記映像と前記位置情報とから前記対象物の位置である対象物位置を取得して、前記属性および前記対象物位置に基づいて、実行する前記想定作業を決定する、
無人航空機。
【請求項2】
前記通信部は、複数の前記端末装置と通信し、前記端末装置それぞれから前記端末装置の位置情報である端末位置情報と、作業の受入可否を示す可否情報とを受信し、
前記協調判断部は、決定された前記想定作業に前記協調作業が含まれていると判断した場合に、前記端末位置情報および前記可否情報に基づいて、前記協調作業に関する指示を送信する前記端末装置を決定する、
請求項1に記載の無人航空機。
【請求項3】
画像または音声の少なくとも一方により報知を行う報知部をさらに備え、
前記想定作業は、交通整理作業であり、
前記報知は、交通整理の対象である通行する前記対象物に対して報知をおこない、
前記指示は、交通整理をおこなう作業者の前記端末装置への指示である、
請求項1または2に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記複数の想定作業の各々は、飛行高度の設定情報をさらに含む、
請求項3に記載の無人航空機。
【請求項5】
交通整理作業を行う無人航空機と、前記無人航空機の管理装置と、を備え、
前記無人航空機は、
管理装置および端末装置と通信する通信部と、
高度を含む位置情報を取得する位置検出部と、
映像を撮影するカメラと、を含み、
前記通信部は、前記位置情報と前記映像を前記管理装置に送信し、前記交通整理作業の指示を前記管理装置から受信し、受信した前記交通整理作業に人が行う作業である協調作業が含まれていると判断した場合に、前記端末装置に前記協調作業に関する指示を送信するように構成され、
前記管理装置は、
複数の前記無人航空機と通信する管理装置通信部と、
あらかじめ設定された複数の前記交通整理作業のいずれを実行するか決定する行動判断部と、を含み、
前記行動判断部は、複数の前記無人航空機から受信した前記映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに複数の前記無人航空機の前記位置情報から前記対象物の位置である対象物位置を取得して、前記属性および前記対象物位置に基づいて、実行する前記交通整理作業を決定し、決定した前記交通整理作業の情報を複数の前記無人航空機のいずれか1つまたは複数に送信するように構成されている、
交通整理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機および交通整理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空機を用いて交通整理を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、交通管制システムに適用される無人航空機(ドローン)が開示されている。特許文献1の無人航空機は、地上の上空を飛行して所定領域をセンシングする検出手段と、センシング情報を解析して交通情報を取得し、取得した交通情報に基づいて車両の交通を管制するための指示を行う管制指示手段と、この指示に基づく表示画像を表示する表示手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1で開示されているのは、交差点や高速道路などの見通しがよく、難しい判断が必要になりにくい場所への無人航空機の利用である。しかし、複雑な状況が発生しやすい場所、例えば工事現場で片側交互通行を行う道路の交通整理などでは、無人航空機だけで作業を完遂することは難しく、人員による判断や作業が必要となることが多い。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、無人航空機と作業者とが共同で作業を遂行することについて、何ら考慮されていないため、無人航空機の利用場面が限定されてしまう。そのため、無人航空機と作業者とのそれぞれの特長を活かして、無人航空機が作業者と共同で作業を遂行する場合にも、作業状況に応じた適切な協調動作を行えるようにすることが望まれる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、無人航空機が作業者と共同で作業を遂行する場合にも、作業状況に応じた適切な協調動作を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る無人航空機は、端末装置と通信する通信部と、高度を含む位置情報を取得する位置検出部と映像を撮影するカメラと、あらかじめ設定された複数の想定作業のいずれを実行するか決定する行動判断部と、決定された前記想定作業に人が行う作業である協調作業が含まれているか否かを判断し、前記協調作業が含まれていると判断した場合に、前記通信部により前記端末装置に前記協調作業に関する指示を送信する協調判断部と、を備え、前記行動判断部は、前記映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに前記映像と前記位置情報とから前記対象物の位置である対象物位置を取得して、前記属性および前記対象物位置に基づいて、実行する前記想定作業を決定する。
【0009】
本発明に係る交通整理システムは、交通整理作業を行う無人航空機と、前記無人航空機の管理装置と、を備え、前記無人航空機は、管理装置および端末装置と通信する通信部と、高度を含む位置情報を取得する位置検出部と、映像を撮影するカメラと、を含み、前記通信部は、前記位置情報と前記映像を前記管理装置に送信し、前記交通整理作業の指示を前記管理装置から受信し、受信した前記交通整理作業に人が行う作業である協調作業が含まれていると判断した場合に、前記端末装置に前記協調作業に関する指示を送信するように構成され、前記管理装置は、複数の前記無人航空機と通信する管理装置通信部と、あらかじめ設定された複数の前記交通整理作業のいずれを実行するか決定する行動判断部と、を含み、前記行動判断部は、複数の前記無人航空機から受信した前記映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに複数の前記無人航空機の前記位置情報から前記対象物の位置である対象物位置を取得して、前記属性および前記対象物位置に基づいて、実行する前記交通整理作業を決定し、決定した前記交通整理作業の情報を複数の前記無人航空機のいずれか1つまたは複数に送信するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無人航空機が作業者と共同で作業を遂行する場合にも、作業状況に応じた適切な協調動作を行えるようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る交通整理システムを表すブロック図である。
【
図2】
図2は、交通整理システムの概念を示す説明図である。
【
図3】
図3は、交通整理システムによる交通整理作業の具体例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、交通整理システムの一連の動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るドローンを表すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るドローンの一連の動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る無人航空機および交通整理システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[第1実施形態]
<交通整理システムの概要>
図1は、第1実施形態に係る交通整理システム100を表すブロック図である。
図2は、交通整理システム100の概念を示す説明図である。交通整理システム100は、交通整理作業を行うドローン(無人航空機)10と、ドローン10の管理装置20と、を備える。交通整理システム100は、複数のドローン10を備える。
【0014】
交通整理システム100は、
図2に示すように、交通整理作業に従事する警備員と、交通整理作業を行うドローン10とを協働させることが可能である。警備員は、ドローン10および管理装置20と通信する端末装置30を利用することで、作業指示の授受ができる。
【0015】
<ドローンの構成>
図1に示すように、ドローン10は、通信部12と、位置検出部13と、カメラ14とを含むドローン本体11を備える。
【0016】
ドローン10(ドローン本体11)は、無人航空機である。ドローン本体11は、ドローン10の機体部分であり、飛翔して空中を移動すること、および、空中での位置を保持すること(ホバリング)ができる。
【0017】
通信部12は、管理装置20および端末装置30と通信する。通信部12は、それぞれ無線通信モジュールからなるデータ受信部12aとデータ送信部12bとを有する。データ受信部12aは、管理装置20または端末装置30からの指示を受信する。データ送信部12bは、ドローン10が取得した各種データを、無線で管理装置20に送信する。また、データ送信部12bは、管理装置20からの指示に応じて、端末装置30に対して情報送信を行う。データ送信部12bは、管理装置20からの指示に協調作業が含まれていると判断した場合、端末装置30に対して情報送信を行う。
【0018】
位置検出部13は、高度を含む自機の位置情報を取得する。位置検出部13は、高度センサ13aと、位置情報取得部13bとを含む。高度センサ13aは、ドローン10の高度を検出する。位置情報取得部13bは、例えばGPS(Global Positioning System)などの測位システムを利用してドローン10の位置情報を取得する。これにより、位置検出部13が取得する位置情報は、自機の高度と、水平方向の位置情報と、を含む。
【0019】
カメラ14は、映像を撮影する。ドローン10は、カメラ14により、自機の監視領域の状況を撮影する。ドローン10は、飛翔しながら撮影することにより、警備員が視認できない領域を監視できる。
【0020】
また、ドローン本体11は、距離検知センサ15と、報知部16と、をさらに含む。距離検知センサ15は、対象物(車両、歩行者など)までの距離を検出する。報知部16は、画像または音声の少なくとも一方により報知を行う。ドローン10は、報知部16によって、車両の運転手や歩行者に対する交通整理の報知(案内)ができる。
図1の例では、報知部16は、スピーカー/マイク16aと、表示装置16bとを有する。スピーカー/マイク16aは、警告音声などを鳴らしたり、自機の周囲の音声を収集したりする。表示装置16bは、車両や歩行者に対する交通整理の案内を表示する他、警告灯としても機能する。表示装置16bは、例えば液晶表示装置、自発光型表示装置などである。
【0021】
<管理装置>
管理装置20は、管理装置通信部21と、行動判断部22と、を備える。また、管理装置20は、画像解析部23、表示部24、センサデータ記憶部25、映像データ記憶部26、解析/判定データ記憶部27、位置記憶部28、および送信データ記憶部29をさらに備える。
【0022】
管理装置通信部21は、複数のドローン10と通信する。管理装置通信部21は、それぞれ無線通信モジュールからなるデータ受信部21aとデータ送信部21bとを有する。データ受信部21aは、ドローン10から各種データ(映像、位置情報および距離センサ情報)を受信する。データ受信部21aは、受信したデータをデータ種別に対応する記憶部に格納する。なお、複数のドローン10は、固有のドローンID(識別子)によって識別され、各種データは、当該データの送信元または送信先のドローンIDにより区別可能に格納される。データ送信部21bは、ドローン10または端末装置30に対する各種指示を送信する。例えば、データ送信部21bは、後述する警戒レベルから判定したドローンモード(交通整理作業)の指示を、ドローン10に送信できる。
【0023】
画像解析部23は、ドローン10から受信した映像を画像解析する。画像解析部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算回路によって構成される。画像解析部23は、画像解析により、映像中に含まれる対象物の有無を判断し、対象物が存在する場合にはその対象物の属性を判定する。
【0024】
対象物は、映像中で移動する物体であり、生物、無生物を問わない。対象物の属性は、対象物の種類を定義する情報であり、具体的には、自動車(車両)、人、その他、などである。これにより、画像解析部23は、ドローン10の監視領域への自動車、人の接近を確認する。画像解析部23は、解析結果を解析/判定データ記憶部27に格納する。
【0025】
行動判断部22は、あらかじめ設定された複数のドローンモード(交通整理作業)のいずれを実行するか決定する。具体的には、行動判断部22は、画像解析部23の解析結果と、データ受信部21aが受信したセンサデータなどから、警戒レベルを判定する。行動判断部22は、複数のドローンモードの中から、判定した警戒レベルに対応したドローンモードを決定し、決定したドローンモードの情報(指示)を、管理装置通信部21により対象となるドローン10に対して送信する。行動判断部22は、例えば、CPUなどの演算回路によって構成される。
【0026】
表示部24は、各ドローン10の状態、受信データなどを表示する。表示部24は、例えば液晶表示装置などである。
【0027】
センサデータ記憶部25は、各センサデータを記憶する。映像データ記憶部26は、映像データを記憶する。解析/判定データ記憶部27は、画像解析部23による解析結果、行動判断部22による警戒レベルの判定結果を記憶する。位置記憶部28は、ドローン10の位置情報を記憶する。送信データ記憶部29は、ドローン10や端末装置30への送信内容を記憶する。これらのセンサデータ記憶部25、映像データ記憶部26、解析/判定データ記憶部27、位置記憶部28、送信データ記憶部29は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性記憶装置により構成される。
【0028】
<端末装置>
端末装置30は、警備員が端末装置30を携帯して、ドローン10からの報告や指示を受信する装置である。端末装置30は、例えばタブレット型端末や、スマートフォンなどからなる。
【0029】
端末装置30は、データ受信部31、データ送信部32、表示装置33、スピーカー/マイク34、および入力装置35を備える。
【0030】
データ受信部31は、無線通信モジュールを含み、管理装置20からの指示、または、ドローン10からの報告を受信する。データ送信部32は、無線通信モジュールを含み、ドローン10への指示を送信する。ドローン10への指示には、例えば帰投指示などがある。表示装置33は、管理装置20からの指示、ドローン10からの報告を表示する。表示装置33は、例えば液晶表示装置などである。スピーカー/マイク34は、管理装置20または、ドローン10からの指示により、警告音声などを鳴らしたり、端末装置30の周囲の音声を収集したりする。入力装置35は、例えばタッチパネルなどであり、ドローン10への指示などの入力を受け付ける。
【0031】
<交通整理システムによる交通整理作業>
図2に示すように、交通整理作業において、ドローン10は、位置情報や撮影した映像データを、管理装置20に送信する。管理装置20が、ドローン10に動作させるドローンモード(想定作業、交通整理作業)を決定し、ドローン10に指示する。ドローンモードは予め複数設けられており、複数のドローンモードの中には、ドローン10と人とが連携する協調作業を含むモードが存在する。ドローンモードが協調作業を含む場合、ドローン10は、協調作業の情報(協調作業に関する指示)を端末装置30へ送信することで、端末装置30を携帯する警備員に対して作業指示を行う。その結果、ドローン10と警備員とで連携した協調作業を実施できる。以下、ドローンモードの決定方法と、ドローンモードの内容とについて説明する。
【0032】
<ドローンモードの決定方法>
第1実施形態では、管理装置20の行動判断部22(
図1参照)が、複数のドローン10から受信した映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに対象物の位置である対象物位置を取得し、属性および対象物位置に基づいて、実行するドローンモード(想定作業、交通整理作業)を決定する。
【0033】
具体的には、まず、行動判断部22は、下記の表1に従って、警戒レベルを判定する。
【0034】
【0035】
行動判断部22は、画像解析部23により、複数のドローン10から受信した映像に含まれる対象物の属性を取得する。第1実施形態では、表1に示すように、対象物の属性は、「自動車(大型)」、「自動車(非大型)」、「人」、および「不明」の4つに分類される。「人」には、歩行者や自転車などが含まれる。不明は、「自動車(大型)」、「自動車(非大型)」、「人」に該当しない対象物であり、例えば車両事故が発生した場合などが該当する。「なし」は、映像中に対象物が存在しなかったことを示す。
【0036】
行動判断部22は、1または複数のドローン10の位置情報から対象物の位置である対象物位置を取得する。対象物位置は、例えば、映像を取得したドローン10の位置情報と、距離検知センサ15のセンサデータによるドローン10から対象物までの距離と方向と、から求められる。
【0037】
第1実施形態では、行動判断部22は、交通整理の案内地点(例えば、
図3に示す工事エリア50)から対象物までの距離を取得する。対象物までの距離は、ここでは「近」、「中」、「遠」の3段階に分類される。対象物までの距離は、案内地点の位置と、対象物位置とから求められる。なお、案内地点の位置は、行動判断部22に予め設定入力されるため既知である。
【0038】
行動判断部22は、得られた属性と対象物までの距離(対象物位置)から、上記の表1に従って、警戒レベルを判定する。第1実施形態では、警戒レベルは、「0」~「5」の6段階に分類される。警戒レベルは、数値が大きいほど警戒の必要性が高いことを表す。
【0039】
次に、行動判断部22は、警戒レベルの判定結果から、下記の表2に従って、ドローンモードを決定する。各ドローンモードは、状況に応じてドローン10が実行するように想定された作業(想定作業)であり、あらかじめ設定されている。行動判断部22は、決定したドローンモードの情報を、複数のドローン10のいずれか1つまたは複数に送信するように構成されている。その結果、ドローン10が受信したドローンモードで動作する。
【0040】
【0041】
警戒レベルが「0」の場合、ドローン10は、俯瞰モードで動作する。警戒レベルが「1」または「2」の場合、ドローン10は、待受モードで動作する。警戒レベルが「3」の場合、ドローン10は、誘導モードで動作する。警戒レベルが「4」の場合、ドローン10は、停止指示モードで動作する。警戒レベルが「5」の場合、ドローン10は、異常検知モードで動作する。なお、第1実施形態では、ドローン10が警戒レベルに対応するドローンモードで動作することに加えて、端末装置30が警戒レベルに対応するモードで動作する。
【0042】
<ドローンモードの内容>
各ドローンモードに対応した作業内容を、下記の表3に示す。ドローンモードの各々は、通行する対象物に対する報知内容と、端末装置30への指示内容とを含む交通整理作業である。また、ドローンモードの各々は飛行高度の設定情報をさらに含む。
【0043】
対象物に対する報知内容には、表示装置16bによる表示と、スピーカー/マイク16aによる音声と、が含まれる。端末装置30への指示内容は、警備員に行わせる作業内容を端末装置30に表示させる表示指示が含まれる。そのため、端末装置30への指示内容があるドローンモードは、協調作業を含む。ドローン10は、実行するドローンモードに端末装置30への指示内容がある場合、端末装置30に協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する。
【0044】
【0045】
警戒レベル「0」の俯瞰モードでは、警戒レベルが低いため、対象物に対する報知および端末装置30への表示指示が行われない。俯瞰モードでは、飛行高度が「High(高高度)」に設定される。これにより、より広い範囲をカメラ14で撮像できる。
【0046】
警戒レベルが「1」または「2」の待受モードでは、ドローン10は、表示装置16bにより「工事中」と表示し、音声報知は行わない。この待受モードの報知内容は、対象物に対する指示を含まない。また、待受モードでは端末装置30への指示が行われない。待受モードでは、飛行高度が「Mid(中高度)」に設定される。中高度は、例えば道路標識の配置位置に相当する高さに設定される。
【0047】
警戒レベルが「3」の誘導モードでは、ドローン10は、表示装置16bにより「指示に従ってください」と表示し、音声報知は行わない。また、誘導モードでは端末装置30に「要誘導」という指示が送信され、これにより誘導作業の実施が警備員に指示される。誘導モードでは、飛行高度が「Low(低高度)」に設定される。低高度は、中高度よりも低く、表示による報知が自動車の運転手や歩行者の目線から視認しやすい高さとする。このように、誘導モードには、ドローン10が「指示に従ってください」と表示しつつ、警備員が誘導作業を実施するという、協調作業が含まれる。
【0048】
警戒レベルが「4」の停止指示モードでは、ドローン10は、表示装置16bにより「停止してください」と表示するとともに、スピーカー/マイク16aにより停止指示のガイド音声を出力する。また、停止指示モードでは、「要停止指示」という指示が端末装置30に送信され、これにより対象物(自動車、歩行者等)の一時停止の案内作業の実施が警備員に指示される。停止指示モードでは、飛行高度が「Low(低高度)」に設定される。このように、停止指示モードには、ドローン10が表示および音声の両方で「停止してください」と報知しつつ、警備員が一時停止の案内作業を実施するという、協調作業が含まれる。
【0049】
警戒レベルが「5」の異常検知モードでは、ドローン10は、表示装置16bの画面を赤色で点滅表示させるとともに、スピーカー/マイク16aからサイレン(警報音)を出力させる。また、異常検知モードでは、「要確認」という指示が端末装置30に送信され、これによりドローン10の監視領域における確認および対応作業の実施が警備員に指示される。異常検知モードでは、飛行高度が「High(高高度)」に設定される。高い位置から警報の報知を行うことにより、離れた位置の歩行者や運転手にも早期に報知を行える。このように、異常検知モードには、ドローン10が表示および音声の両方による警報装置として動作しつつ、警備員が状況の確認および対処を実施するという、協調作業が含まれる。
【0050】
<交通整理作業の具体例>
図3は、交通整理システム100による交通整理作業の具体例を示す説明図である。
【0051】
図3は、道路工事に起因して2車線道路(道路50A)の一部が通行不能となり、片側交互通行の交通整理を行う例を示す。工事エリア50の両端(図中上下方向の両端)に一名ずつの警備員61、63が配置され、さらに工事エリア50に一名の警備員62が配置されている。工事エリア50がある道路50Aには、複数の道路51-1、51-2、51-3が側方から接続している。
【0052】
警備員61は、工事エリア50の一端で交通整理を行うが、背後にある道路51-1から工事エリア50に、自動車または人が進入する可能性がある。警備員62は、工事エリア50内で使用される重機に随伴して警備を行う。警備員62の位置付近では、道路50Aの工事エリア50側(図中左側)に歩行者用の道路51-3があり、道路51-3の反対側(図中右側)に道路51-2がある。道路51-2はクランク状に屈曲しているため、道路51-2には、工事エリア50から見て死角が存在する。警備員63は、工事エリア50に対して、交通量の多い道路52をはさんだ対岸で交通整理を行うため、他の警備員の補助は出来ない。
【0053】
工事エリア50の中央付近には、管理装置20が設置されている。管理装置20は、各ドローン10-1および10-2から情報を受信し、ドローンモードを決定(表2参照)する。管理装置20は、決定したドローンモードの情報を複数のドローン10-1および10-2のいずれか1つまたは複数に送信するように構成されている。各警備員61~63は、端末装置30(
図3では不図示)を所持しており、端末装置30によりドローン10-1、10-2からの指示を受信する。
【0054】
各ドローン10は、通信部12(
図1参照)により複数の端末装置30と通信し、端末装置30それぞれから端末装置30の位置情報である端末位置情報と、作業の受入可否を示す可否情報とを受信する。そして、各ドローン10は、決定されたドローンモードに協調作業が含まれていた場合に、端末位置情報および可否情報に基づいて、協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する端末装置30を決定する。
【0055】
図3の例では、警備員61は、道路51-1から出てきた自動車または人を工事エリア50から誘導する必要がある。警備員61は、ドローン10-1を利用して、背後の道路51-1から接近する自動車、人の情報を得る。また、ドローン10-1が道路51-1から接近する対象物を撮影したことに応じて、管理装置20から協調作業を含むドローンモードが指示された場合、ドローン10-1は、警備員61の端末装置30に協調作業の指示を送信する。その結果、警備員61は、工事エリア50の延長線方向を監視しつつ、ドローン10-1からの指示に応じて道路51-1での交通整理を行える。
【0056】
警備員62は、重機に随伴した警備に加えて、人が道路51-2から工事エリア50を渡って道路51-3に入る場合などに、工事エリア50に戸板を渡すなど、歩行者が通過できる状態を確保する必要がある。また、警備員62は、道路51-2から道路50Aに自動車が進入する場合、自動車の進行を一度止めて、片側交互通行の流れに乗せる誘導を行う必要がある。
【0057】
警備員62は、ドローン10-2を利用して、死角のある道路51-2から接近する自動車、人の情報を得る。また、ドローン10-2が道路51-2から接近する対象物を撮影したことに応じて、管理装置20から協調作業を含むドローンモードが指示された場合、ドローン10-2は、警備員62の端末装置30に協調作業の指示を送信する。その結果、警備員62は、重機に随伴した警備に従事しつつ、ドローン10-2からの指示に応じて道路51-2での交通誘導を行える。ドローン10-2は、道路51-3側にも飛行して、道路51-3から接近する歩行者の有無を監視できる。管理装置20から協調作業を含むドローンモードが指示された場合、警備員62は、ドローン10-2からの指示に応じて歩行者が工事エリア50を通過するための作業を行える。
【0058】
管理装置20は、警戒レベル5の異常検知モードでは、例えばドローン10-1および10-2の両方に送信することで、警備員による事故対応に連携して、ドローン10-1および10-2の両方に警報動作を実行させることができる。
【0059】
<交通整理システムの動作の流れ>
図4は、交通整理システム100の一連の動作の流れを示すシーケンス図である。
図4を参照して、本実施形態の交通整理システム100の動作を説明する。
【0060】
交通整理作業中、ドローン10は、センサおよび位置データ(高度センサ、距離センサ情報および位置情報)を取得し(ステップS1)、取得したデータを管理装置20に送信する。管理装置20は、ドローン10から受信したデータを、データ種別に応じて各記憶部(センサデータ記憶部25および位置記憶部28)に格納する(ステップS2)。
【0061】
また、ドローン10は、カメラ14により映像を取得し(ステップS3)、取得した映像データを管理装置20に送信する。管理装置20は、ドローン10から受信した映像データを、映像データ記憶部26に格納する(ステップS4)。また、管理装置20は、画像解析部23により、映像データ記憶部26に格納された映像データを解析し、解析結果を解析/判定データ記憶部27に格納する。
【0062】
管理装置20は、ドローン10から受信したセンサおよび位置データと映像データの解析結果とに基づき、上記表1に従って、ドローン10の警戒レベルを判定する(ステップS5)。続いて、管理装置20は、判定した警戒レベルから、上記表2に従って、ドローン10、端末装置30のモードを判定する(ステップS6)。
【0063】
管理装置20は、ドローン10に判定したドローンモードを送信する(ステップS7)。ドローン10は受信したドローンモードに応じて、上記表3に従って、飛行高度、表示、音声の設定処理を行う(ステップS8)。また、ドローン10は端末装置30に、管理装置20から送られてきた端末装置モード(表2参照)を送信する(ステップS9)。
【0064】
ドローン10は、ドローンモードに応じた作業内容(表3参照)を実行し(ステップS10)、さらにドローンモードに協調作業が含まれる場合(誘導モード、停止指示モード、または異常検知モードの場合)、端末装置30に対して協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する(ステップS11)。端末装置30は、受信した協調作業の情報(協調作業に関する指示)を表示装置33に表示したり、スピーカー/マイク34から音声出力したりすることにより、端末装置30を携帯する警備員に協調作業の内容を報知する(ステップS12)。
【0065】
交通整理作業中、以上のステップS1~S12が繰り返し行われる。上記処理は、ドローン10毎に行われる。
【0066】
交通整理作業が終了になると、警備員は、端末装置30からドローン10に帰投指示を送信する(ステップS13)。ドローン10は帰投指示を受信すると、所定の場所に飛翔して帰投する(ステップS14)。ドローン10は、帰投場所に着陸すると、管理装置20に帰投報告を送信する(ステップS15)。
【0067】
以上により、交通整理システム100の動作が終了する。
【0068】
[第1実施形態の作用効果]
第1実施形態の交通整理システムは、交通整理作業を行うドローン10と、ドローン10の管理装置20と、を備え、ドローン10は、管理装置20および端末装置30と通信する通信部12と、高度を含む位置情報を取得する位置検出部13と、映像を撮影するカメラ14と、を含み、通信部12は、位置情報と映像を管理装置20に送信し、ドローンモード(交通整理作業)の指示を管理装置20から受信し、受信したドローンモードに人が行う作業である協調作業が含まれていると判断した場合に、端末装置30に協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信するように構成され、管理装置20は、複数のドローン10と通信する管理装置通信部21と、あらかじめ設定された複数のドローンモードのいずれを実行するか決定する行動判断部22と、を含み、行動判断部22は、複数のドローン10から受信した映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに複数のドローン10の位置情報から対象物の位置である対象物位置を取得して、属性および対象物位置に基づいて導き出された警戒レベルから、実行するドローンモードを決定し、決定されたドローンモードの情報を複数のドローン10のいずれか1つまたは複数に送信するように構成されている。
【0069】
これにより、ドローン10が取得した映像に含まれる対象物の属性と対象物位置とから、協調作業を含むドローンモードを実行することが決定された場合、ドローン10とともに協調作業を実行する人(警備員)に対して、端末装置30を介して協調作業の情報(協調作業に関する指示)が送信される。そのため、警備員は、端末装置30が受信した情報に従って、ドローン10との協調作業を実行できる。また、対象物の属性と対象物位置とから、人(警備員)による作業を実施する必要がないと判断される場合には、ドローン10が単独でドローンモードを実行することができる。その結果、ドローン10が作業者と共同で交通整理作業を遂行する場合にも、作業状況に応じた適切な協調動作を行えるようにすることができる。
【0070】
[第2実施形態]
図5および
図6を参照して、第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態に係るドローン(無人航空機)を表すブロック図である。以下の説明においては、ドローン10A以外の構成要素は上記第1実施形態と同様であるので、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、ドローン10Aについても上記第1実施形態のドローン10と同じ構成要素は、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0071】
上記第1実施形態では、管理装置20がドローンモード(想定作業、交通整理作業)を決定し、決定したドローンモードを管理装置20からドローン10に送信する例を示したが、この第2実施形態では、ドローン10Aがドローンモード(想定作業、交通整理作業)を決定する例について説明する。このため、第2実施形態では、管理装置20を設ける必要はない。
【0072】
<ドローンの構成>
第2実施形態のドローン10Aは、第1実施形態との相違点として、
図5に示すように、画像解析部71と、行動判断部72と、協調判断部73と、記憶部74とを備える。
【0073】
画像解析部71は、カメラ14が撮影した映像を画像解析する。画像解析部71は、例えば、CPUまたはGPUなどの演算回路によって構成される。画像解析部71は、基本的に、上記第1実施形態における管理装置20の画像解析部23と同様である。すなわち、画像解析部71は、画像解析により、映像中に含まれる対象物の有無を判断し、対象物が存在する場合にはその対象物の属性を判定する。
【0074】
行動判断部72は、あらかじめ設定された複数のドローンモード(想定作業)のいずれを実行するか決定する。行動判断部72は、例えば、CPUなどの演算回路によって構成される。行動判断部72は、基本的に、上記第1実施形態における管理装置20の行動判断部22と同様である。すなわち、行動判断部72は、映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに映像と位置情報とから対象物の位置である対象物位置を取得して、属性および対象物位置に基づいて、実行するドローンモードを決定する。行動判断部72は、対象物の属性と、対象物位置(対象物までの距離)とから、上記表1に従って警戒レベルを判定し、判定した警戒レベルから、上記表2に従ってドローンモードを判定する。
【0075】
協調判断部73は、決定されたドローンモード(想定作業)に協調作業が含まれているか否かを判断し、協調作業が含まれていると判断した場合に、通信部12により端末装置30に協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する。上記表3に示したように、協調判断部73は、決定されたドローンモードが、誘導モード、停止指示モード、または異常検知モードである場合に、対応する協調作業の情報(「要誘導」、「要停止指示」、「要確認」の表示指示)を、端末装置30に送信する。
【0076】
協調判断部73は、例えば、CPUなどの演算回路によって構成される。行動判断部72および協調判断部73は、単一のプロセッサにより構成されうる。画像解析部71、行動判断部72および協調判断部73が、単一のプロセッサにより構成されていてもよい。
【0077】
第2実施形態では、通信部12は、複数の端末装置30と通信し、端末装置30それぞれから端末装置30の位置情報である端末位置情報と、作業の受入可否を示す可否情報とを受信する。通信部12は、例えば、各警備員(
図2参照)が携帯するそれぞれの端末装置30と定期的に通信を行い、ドローン10Aのステータスを端末装置30に送信するとともに、端末装置30から端末位置情報および可否情報を受信する。これにより、ドローン10A側の端末位置情報および可否情報と、各端末装置30側のドローン10Aのステータスの情報とが最新の状態に更新される。
【0078】
協調判断部73は、決定されたドローンモードに協調作業が含まれていると判断した場合に、端末位置情報および可否情報に基づいて、協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する端末装置30を決定する。協調判断部73は、例えば、複数の端末装置30のうちから、可否情報が「受け入れ可」である端末装置30であって、端末位置が自機の現在位置に最も近い端末装置30を、送信先として決定する。
【0079】
記憶部74は、各種データ(映像、位置情報および距離センサ情報)を記憶する。また、記憶部74は、画像解析部71による解析結果、行動判断部72による警戒レベルの判定結果、端末装置30への送信内容を記憶する。記憶部74は、例えばHDDやSSDなどの不揮発性記憶装置により構成される。
【0080】
第2実施形態のドローン10Aのその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
<ドローンの動作の流れ>
図6は、第2実施形態に係るドローン10Aの一連の動作の流れを示すシーケンス図である。
図6を参照して、第2実施形態のドローン10Aの動作を説明する。
【0082】
交通整理作業中、ドローン10Aは、センサおよび位置データ(高度センサ、距離センサ情報および位置情報)を取得し(ステップS21)、取得したデータを記憶部74に格納する(ステップS22)。また、ドローン10Aは、カメラ14により映像を取得し(ステップS23)、取得した映像データを記憶部74に格納する(ステップS24)。
【0083】
そして、第2実施形態では、ドローン10Aは、画像解析部71により、記憶部74に格納された映像データを解析する。ドローン10Aは、行動判断部72により、ドローン10Aの警戒レベル(表1参照)を判定する(ステップS25)。続いて、ドローン10Aは、行動判断部72により、ドローン10Aおよび端末装置30のモードを決定(表2参照)する(ステップS26)。
【0084】
ドローン10Aは、決定したドローンモードに応じて、上記表3に従って、飛行高度、表示、および音声の設定処理を行う(ステップS27)。また、ドローン10Aは端末装置30に、決定した端末装置モードを送信する(ステップS28)。
【0085】
さらに、ドローン10Aは、ドローンモードに応じた作業内容(表3参照)を実行し(ステップS29)、ドローンモードに協調作業が含まれる場合(誘導モード、停止指示モード、または異常検知モードの場合)、端末装置30に対して協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する(ステップS30)。端末装置30は、受信した協調作業の情報(協調作業に関する指示)を表示装置33に表示したり、スピーカー/マイク34から音声出力したりすることにより、端末装置30を携帯する警備員に協調作業の内容を報知する(ステップS31)。
【0086】
交通整理作業の間、以上のステップS21~S31が繰り返し行われる。
【0087】
交通整理作業が終了になると、警備員は、端末装置30からドローン10Aに帰投指示を送信する(ステップS32)。ドローン10Aは、帰投指示を受信すると、所定の場所に飛翔して帰投する(ステップS33)。ドローン10Aは、帰投場所に着陸すると端末装置30に帰投報告を送信する(ステップS34)。
【0088】
以上により、ドローン10Aの動作が終了する。この第2実施形態では、上記のように、管理装置20を介在することなく、ドローン10Aと端末装置30との通信で交通整理作業に関わる一連の処理が実施される。
【0089】
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態のドローン(無人航空機)は、端末装置30と通信する通信部12と、高度を含む位置情報を取得する位置検出部13と、映像を撮影するカメラ14と、あらかじめ設定された複数のドローンモード(想定作業)のいずれを実行するか決定する行動判断部72と、決定されたドローンモードに人が行う作業である協調作業が含まれているか否かを判断し、協調作業が含まれていると判断した場合に、通信部12により端末装置30に協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する協調判断部73と、を備え、行動判断部72は、映像に含まれる対象物の属性を取得し、さらに映像と位置情報とから対象物の位置である対象物位置を取得して、属性および対象物位置に基づいて、実行する想定作業を決定する。
【0090】
これにより、ドローン10Aが取得した映像に含まれる対象物の属性と対象物位置とから、協調作業を含むドローンモードを実行することが決定された場合、ドローン10Aとともに協調作業を実行する人(警備員)に対して、端末装置30を介して協調作業の情報(協調作業に関する指示)が送信される。そのため、警備員は、端末装置30が受信した情報に従って、ドローン10Aとの協調作業を実行できる。また、対象物の属性と対象物位置とから、人(警備員)による作業を実施する必要がないと判断される場合には、ドローン10Aが単独でドローンモードを実行することができる。その結果、ドローン10Aが作業者と共同で作業を遂行する場合にも、作業状況に応じた適切な協調動作を行えるようにすることができる。
【0091】
また、第2実施形態のドローン(無人航空機)では、通信部12は、複数の端末装置30と通信し、端末装置30それぞれから端末装置30の位置情報である端末位置情報と、作業の受入可否を示す可否情報とを受信し、協調判断部73は、決定されたドローンモード(想定作業)に協調作業が含まれていると判断した場合に、端末位置情報および可否情報に基づいて、協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信する端末装置30を決定する。そのため、複数の端末装置30のうちから、適切な端末装置30を選択して協調作業の情報(協調作業に関する指示)を送信できる。その結果、適切な人(警備員)に対して協調作業の実施を指示できる。
【0092】
また、第2実施形態のドローン(無人航空機)は、画像または音声の少なくとも一方により報知を行う報知部16をさらに備え、ドローンモード(想定作業)は、交通整理作業であり、報知は、交通整理の対象である通行する対象物に対して報知をおこない、指示は、交通整理をおこなう作業者の端末装置30への指示である。これにより、交通整理作業において、ドローン10Aにより歩行者や自動車の運転手に対する報知を行いつつ、端末装置30への指示内容に応じた交通整理作業を人(警備員)が実行することができる。
【0093】
また、第2実施形態のドローン(無人航空機)では、複数のドローンモード(想定作業)の各々は、飛行高度の設定情報をさらに含む。これにより、ドローンモードに応じて監視領域の監視(撮像)作業や歩行者等に対する報知の作業を行う場合に、それぞれの作業に適した高度でドローン10Aを飛行させることができる。例えば工事現場などに用いられる交通整理用の表示器は、地上に設置されるため、カメラを取り付けても監視位置(高さ)や表示高さを変更することが困難であり、適切な高さで監視および表示を行おうとすると、表示器が大型化してしまう。これに対して、ドローン10Aを適切な高度で動作させることにより、設備を大型化することなく、効果的な交通整理作業を行うことができる。
【0094】
また、第2実施形態のドローン(無人航空機)では、対象物の属性は、車両と、人と、を少なくとも含む。これにより、交通整理作業における対象物の属性に合わせた適切な監視作業および報知作業をドローン10Aが実行できる。すなわち、歩行者と車両(自動車など)とでは、移動速度も、大きさも全く異なるので、人と車両との差異を考慮して実行すべきドローンモードを決定することで、交通整理作業における適切な対応が可能となる。
【0095】
なお、上述した第1、第2実施形態にて、警戒レベルを判定する例を示したが、この構成に限定されるものではない。対象物の属性と対象物位置とに基づいて、直接、ドローンモードを決定してもよく、その場合には警戒レベルの判定を行わなくてもよい。
【0096】
また、上述した第1、第2実施形態では、表2に従って5種類のドローンモードを決定する例を示したが、ドローンモードの数はこれに限られず、4種類未満または6種類以上であってもよい。
【0097】
また、上述した第1、第2実施形態では、対象物の属性と対象物位置(対象物までの距離)とに基づいて、ドローンモードを決定する例を示したが、さらに別の情報を加味してドローンモードを決定してもよい。例えば、工事エリア50から対象物までの距離だけでなく、対象物の位置そのものを考慮してもよい。例えば、対象物の属性が人で、対象物までの距離が近い場合で、かつ、対象物位置が道路51-3(
図3参照)である場合に、工事エリア50に戸板を渡すなど、歩行者が通過できる状態を確保する作業を行うためのドローンモードを別途設定してもよい。また、各端末装置30の位置を考慮してもよい。例えば、最寄りの端末装置30の対象物位置からの距離が大きい場合、警戒レベルが高くなるようにして、対象物までの距離が離れている場合の移動を考慮して警備員による協調作業が早いタイミングで開始されるようにしてもよい。
【0098】
また、上述した第1、第2実施形態では、工事現場での交通整理作業を例示したが、これに限定されるものではない。本開示に係る交通整理システムおよびドローン(無人航空機)は、例えば、イベント会場、観光地、アミューズメント施設、またはショッピングセンター等の商業施設などにおける交通整理作業にも用いることができる。交通整理システムおよびドローン(無人航空機)の適用場所は、屋外に限らず、屋内であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
10、10-1、10-2、10A ドローン(無人航空機)
12 通信部
13 位置検出部
14 カメラ
16 報知部
20 管理装置
21 管理装置通信部
22 行動判断部
30 端末装置
72 行動判断部
73 協調判断部
100 交通整理システム