(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132707
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】車線制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240920BHJP
【FI】
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043593
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】家氏 策
(72)【発明者】
【氏名】中井 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA05
3E127CA12
3E127CA13
3E127EA03
3E127FA04
3E127FA10
(57)【要約】
【課題】有料道路の事業者などが安全だと判断した料金所について、車線を選択的にフリーフロー化することにより、料金所の渋滞の発生を抑制することができる車線制御装置を提供する。
【解決手段】料金所の車線を走行する車両に対し処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する車線制御装置は、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替える切替部と、前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機に対し、前記車線を常時開放した状態とするように指示する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金所の車線を走行する車両に対し処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する車線制御装置であって、
通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替える切替部と、
前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機に対し、前記車線を常時開放した状態とするように指示する制御部と、
を備える車線制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車両に搭載された車載器と無線通信を行うアンテナに対し、電波を常時放射するように指示する、
請求項1に記載の車線制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車両に向けて情報を表示する路側表示器に対し、前記通常運用モードと異なる表示をするように指示する、
請求項2に記載の車線制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記料金所機械の一つであり前記車両に搭載された車載器と無線通信を行うアンテナを介して前記車両の通行料金を収受する料金収受処理を行い、
前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、進入側車両検知器および通信用車両検知器が前記車両の前記アンテナの通信範囲への進入を検知してから通過を検知するまでの期間に、前記アンテナと前記車両の前記車載器との無線通信が行われなかった場合に、前記車両が前記車載器を搭載していない非ETC車両であると判断する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の車線制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車両が非ETC車両であると判断した場合に、前記料金所機械の一つであり前記車両に向けて通知を行う通知装置に対し、前記車両の停車を促す通知を出力するように指示する、
請求項4に記載の車線制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両が非ETC車両であると判断した場合に、前記発進制御機に対し前記バーを閉じるように指示する、
請求項4に記載の車線制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記車両が非ETC車両であると判断した場合に、前記発進制御機に対し前記バーを閉じるように指示する、
請求項5に記載の車線制御装置。
【請求項8】
料金所の車線を走行する車両に対し処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する制御方法であって、
通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替えるステップと、
前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機に対し、前記車線を常時開放した状態とするように指示するステップと、
を有する制御方法。
【請求項9】
料金所の車線を走行する車両に対し処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する車線制御装置に、
通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替えるステップと、
前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機に対し、前記車線を常時開放した状態とするように指示するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車線制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、車両から通行料金を自動的に収受する電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標)システム、「自動料金収受システム」とも言う)が設けられている場合がある。ETCシステムは、車線に設けられたアンテナと車両に搭載された車載器との間で無線通信を行うことにより、自動的に通行料金の収受処理(料金収受処理)を行う(たとえば、特許文献1を参照)。ETCシステムが設けられた車線をETCレーン、車載器を搭載する車両をETC車両とも記載する。
【0003】
料金所は、車載器を搭載していない非ETC車両が通行料金の支払いのために一時停車する一般レーンが併設され、ETCレーンおよび一般レーン通過後に車線数が少なくなる(合流部がある)車線構造を有している場合がある。ETCレーンを通過するETC車両の速度が速いと、一般レーンで一時停車してから合流部へ流入する非ETC車両との速度差が大きくなり、合流部においてETC車両と非ETC車両との接触事故が発生する危険性が高くなる。また、ユーザ対応などのために係員(収受員)が車線に降りるときに、ETC車両の速度が速いと係員との接触事故が発生する危険性が高くなる。このような接触事故を抑制するという安全上の理由により、ETCレーンには速度制限が設けられている。
【0004】
この速度制限の一環として、ETCレーンには発進制御機が設置されている。発進制御機は、車両に対する料金収受処理が完了するまでバーを閉じてETCレーンを閉塞(車両の退出を規制)し、料金収受処理の完了後にバーを開いてETCレーンを開放(車両の退出を許可)する。ETC車両は、ETCレーンにおいて、発進制御機のバーと接触しないように減速して走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大型連休期間や通勤時間帯などの交通量が増加する期間では、ETCレーンにおいて渋滞が発生する場合がある。渋滞の要因の一つとして、上記したETCレーンの速度制限が挙げられる。
【0007】
一方で、昨今はETCの利用を促進して非ETC車両を減少させ、料金所を無人化(ETC専用化)することが考えられている。このとき、非ETC車両の走行がほとんどなく、また、係員が車線に降りるケースがない料金所については、ETCレーンをフリーフロー化して速度制限を緩和したとしても、安全性を保つことができると考えられる。
【0008】
本開示の目的は、有料道路の事業者などが安全だと判断した料金所について、車線を選択的にフリーフロー化することにより、料金所の渋滞の発生を抑制することができる車線制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、車線制御装置は、料金所の車線を走行する車両に対し処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する車線制御装置であって、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替える切替部と、前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機に対し、前記車線を常時開放した状態とするように指示する制御部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様によれば、制御方法は、料金所の車線を走行する車両に対し処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する制御方法であって、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替えるステップと、前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機に対し、前記車線を常時開放した状態とするように指示するステップと、を有する。
【0011】
本開示の一態様によれば、プログラムは、料金所の車線を走行する車両に対し処理を行う料金収受システムが有する料金所機械を制御する車線制御装置に、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替えるステップと、前記シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、前記料金所機械の一つであり前記車線を開放または閉塞するバーを有する発進制御機に対し、前記車線を常時開放した状態とするように指示するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記態様によれば、有料道路の事業者などが安全だと判断した料金所について、車線を選択的にシングルレーンフリーフロー化することにより、料金所の渋滞の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】一実施形態に係る車線制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る料金収受システムのモード切り替え処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】一実施形態に係るシングルレーンフリーフロー運用モードの処理の一例を示す第1のシーケンス図である。
【
図5】一実施形態に係るシングルレーンフリーフロー運用モードの処理の一例を示す第2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(全体構成)
図1は、一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す概略図である。
料金収受システム1は、有料道路の料金所(入口料金所または出口料金所)に設けられる。料金収受システム1は、有料道路と一般道路とを接続する車線Lを走行する車両Aに対し処理を行うためのシステムである。この処理は、車両Aの情報(ナンバープレート情報や、車高などのサイズに関する情報など)を取得する処理や、有料道路の通行料金を収受する料金収受処理を含む。車線Lは、アイランドIによって仕切られている。アイランドIは、車線Lに車両Aが一台ずつ走行可能となるように規制する構造物である。本実施形態では、車線LはETCレーンであり、車両Aは、車載器αを搭載するETC車両である。
【0015】
本実施形態では、料金収受システム1が出口料金所に設けられている例について説明する。以下、車線Lの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の有料道路側(-X側)を「上流側」、一般道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。さらに、車線Lの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0016】
簡略化のため、
図1では1つの車線Lのみを図示しているが、複数の車線Lが並行に並べて設置されていてもよい。
【0017】
図1に示すように、料金収受システム1は、料金所機械10と、車線制御装置20とを備える。また、料金収受システム1は、料金所の車線Lから離れた場所(料金所事務所など)に設置された監視装置30を備えていてもよい。
【0018】
車線制御装置20は、料金収受システム1の運用モードの切り替えを行い、運用モードに応じて料金所機械10の動作を制御する。
【0019】
料金収受システム1の運用モードは、「通常運用モード」と、「シングルレーンフリーフロー運用モード」との2種類がある。通常運用モードは、料金収受システム1が車両Aに対し従来のETCシステムと同様の料金収受処理を行うモードである。通常運用モードでは、車両Aは、有料道路の本線車道よりも大幅に低い制限速度(たとえば20km/h)まで減速して車線Lを走行する必要がある。シングルレーンフリーフロー運用モードは、図面ではSLFF運用モードと省略して記載する。シングルレーンフリーフロー運用モードは、通常運用モードの一部機能を変更して料金収受処理を行うモードである。なお、他の実施形態では、上記した2種類以外の運用モードがあってもよい。
【0020】
料金所機械10は、料金所や、料金収受処理に関連する施設(料金所事務所など)に設置される機械、装置、またはシステムであり、たとえば、車両検知器S1,S2,S4と、アンテナ12と、車線表示器13と、料金自動収受機14と、発進制御機15と、路側表示器16とを含む。
【0021】
車両検知器S1,S2,S4は、車両Aの存在の有無を検知する。車両検知器S1,S2,S4は、たとえば
図1に示すように透過型の車両検知器である。車両検知器S1,S2,S4は、車線Lを挟んで互いに向き合う投光塔および受光塔を有する。投光塔は上下方向に並べて配置された複数の投光部を有し、受光塔は各投光部と対応するように上下に並べて配置された複数の受光部を有する。車両が存在しない場合、各受光部は、対応する投光部から投光された検査光を受光する。一方、車両が存在すると、車両により検査光が遮光されるので、受光部は検査光を受光しなくなる。これにより、車両検知器S1,S2,S4は、検査光を受光しない範囲に車両の車体や牽引棒などが存在することを検知することができる。なお、他の実施形態では、車両検知器S1,S2,S4はいわゆる反射型の車両検知器であってもよい。
【0022】
車両検知器S1は、車線方向の最も上流側に設置され、車両Aが車線L(後述のアンテナ12の通信範囲R1)へ進入したことを検知する。以下、車両検知器S1を進入側車両検知器とも記載する。
【0023】
車両検知器S2は、後述のアンテナ12よりも車線方向の下流側に設置され、車両Aがアンテナ12の通信範囲R1を通過したことを検知する。以下、車両検知器S2を通信用車両検知器とも記載する。
【0024】
車両検知器S4は、後述の発進制御機15よりも車線方向の下流側に設置され、車両Aが発進制御機15を通過したことを検知する。以下、車両検知器S4を退出側車両検知器とも記載する。
【0025】
アンテナ12は、進入側車両検知器S1よりも車線方向の下流側に設けられる。
図1に示すように、ガントリなどに取り付けて車線Lの上空に設けられてもよい。アンテナ12は、進入側車両検知器S1と通信用車両検知器S2との間の車線L上に通信範囲R1を有する。アンテナ12は、通信範囲R1内を走行する車両Aの車載器αと無線通信を行い、料金収受処理に要する情報、信号などの送受信を行う。
【0026】
また、アンテナ12は、車線制御装置20の制御にしたがい、運用モードに応じて動作を変える。アンテナ12は、通常運用モードでは、進入側車両検知器S1が車両Aの進入を検知した場合に電波放射を開始し、通信用車両検知器S2が車両Aの通過を検知した場合に電波放射を停止する。アンテナ12は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは常に電波放射を行う。
【0027】
車線表示器13は、利用者(車両Aの運転者など)に対し、信号灯や電光掲示板などによる車線Lの通行可否や料金収受方法(ETC専用、一般など)を通知する。
【0028】
車線表示器13は、通常運用モードおよびシングルレーンフリーフロー運用モードでは、信号灯を通行可能の表示とするとともに、電光掲示板の表示を料金収受方法に応じた表示とする。
【0029】
料金自動収受機14は、アンテナ12よりも車線方向の下流側、発進制御機15よりも車線方向の上流側に設けられる。料金自動収受機14は、たとえばETCレーンである車線Lに非ETC車両があやまって進入した場合に、利用者の操作を受け付けて、非ETC車両の通行料金を収受する。また、料金自動収受機14は、ETC車両に対する無線通信による料金収受処理がなんらかの理由で失敗した場合に、ETC車両の通行料金を収受してもよい。
【0030】
料金自動収受機14は、車線Lを向く面に通行料金などの案内表示を行う表示装置141(サイネージ)を有している。また、表示装置141は、無線通信による料金収受処理が失敗した場合に、利用者へ停車を促す表示を行う。表示装置141には、本実施形態における「通知装置」の一態様である。なお、他の実施形態では、表示装置141は警告灯であってもよい。
【0031】
また、さらに他の実施形態において、車線Lに料金自動収受機14が設けられていない場合がある。この場合、表示装置141は、アンテナ12から発進制御機15までの区間に単体で(独立した構成として)設置されてもよいし、他の装置に取り付けられてもよい。他の装置は、たとえば、利用者と係員との間で通話するためのインターホンである。
【0032】
発進制御機15は、退出側車両検知器S4よりも車線方向の上流側に設けられる。発進制御機15は、通常運用モードでは、車両Aに対する料金収受処理が完了するまでバー151を閉じて車線Lを閉塞(車両の退出を規制)し、料金収受処理の完了後にバー151を開いて車線Lを開放(車両の退出を許可)する。また、発進制御機15は、退出側車両検知器S4が車両Aの通過を検知した場合に、再びバー151を閉じて、後続車両が料金収受処理を完了する前に車線Lを退出することを抑制する。また、発進制御機15は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、バー151を常に開いた状態とする。
【0033】
路側表示器16は、発進制御機15の近傍に設けられる。路側表示器16は、利用者に対し、通行料金や、通過または停車を促す通知を表示する。路側表示器16は、本実施形態における「通知装置」の一態様である。
【0034】
また、路側表示器16は、車線制御装置20の制御にしたがい、運用モードに応じて動作を変える。路側表示器16は、通常運用モードでは、料金収受処理が完了したときに、車両Aの通行料金や割引適用の有無などの処理結果情報を表示する。また、路側表示器16は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは通行料金などの処理結果情報の表示を行わない。
【0035】
監視装置30は、たとえば料金所事務所に駐在する係員が、車線Lの監視や、料金収受システム1の各機器の遠隔操作などを行う際に使用する装置である。
【0036】
(車線制御装置の機能構成)
図2は、一実施形態に係る車線制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車線制御装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信インタフェース24とを備える。
【0037】
プロセッサ21は、所定のプログラムに従って動作することにより、切替部210、制御部211としての機能を発揮する。
【0038】
切替部210は、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替える。
【0039】
制御部211は、通常運用モードに切り替えた場合に、従来のETCシステムと同様の料金収受処理(ETC料金収受処理)を行うように料金所機械10を制御する。また、制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、通常運用モードの一部機能を変更して料金収受処理を行うように料金所機械10を制御する。具体的には、制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、アンテナ12に対し電波を常時放射するように指示する。シングルレーンフリーフロー運用モードでは、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2の検知結果に基づきアンテナ12の電波放射のONおよびOFFを切り替える複雑な制御が不要となる。また、制御部211は、発進制御機15に対しバー151を常時開いた(車線Lを常時開放した)状態とするように指示する。これにより、ETC車両である車両Aが発進制御機15に接触しないように減速することなく、車線Lを走行可能とする。つまり、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、車両Aは通常運用モードのときよりも速い速度で走行可能である。
【0040】
メモリ22は、プロセッサ21の動作に必要なメモリ領域を有する。
【0041】
ストレージ23は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。ストレージ23には、プロセッサ21の各部が処理中に取得、生成、参照するデータなどが格納される。
【0042】
通信インタフェース24は料金所機械10や監視装置30との間で各種データや制御信号などの送受信を行うためのインタフェースである。
【0043】
なお、プロセッサ21が実行する所定のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。上記したストレージ23は、この記録媒体の一態様である。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。さらに、このプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0044】
(モード切り替え処理)
図3は、一実施形態に係る料金収受システムのモード切り替え処理の一例を示すシーケンス図である。
係員は、監視装置30を介して料金所の車線Lを監視する。係員は、車線Lをフリーフロー化しても安全であると判断した場合に、必要に応じて車線Lをシングルレーンフリーフロー運用モードへ切り替える指示操作を行う。また、係員は、車線Lをシングルレーンフリーフロー運用モードから通常運用モードへ切り替える指示操作を行う。監視装置30は、係員の指示を車線制御装置20に送信する。
【0045】
たとえば、係員は、車線Lに係員が降りるケースがない場合や、料金所に到来する車両がほぼETC車両のみである場合などに、車線Lをフリーフロー化しても安全であると判断する。また、係員は、フリーフロー化しても安全と判断した場合には、たとえば料金所の交通量が多く渋滞が発生する可能性があるときにシングルレーンフリーフロー運用モードへ切り替える指示操作を行う。一方、係員は、料金所の交通量が少なく渋滞が発生する可能性が低いときは、通常運用モードに切り替える指示操作を行う。
【0046】
また、係員は、日付、曜日や時間帯などの条件毎に車線Lを通常運用モードとするか、シングルレーンフリーフロー運用モードとするかを予め指定した設定ファイルを用意して、車線制御装置20に与えておいてもよい。設定ファイルは、複数の車線それぞれに個別に設定されてもよい。たとえば、係員は、交通量の統計データから、交通量の多い日付、曜日、時間帯にシングルレーンフリーフロー運用モードに切り替える指示を含む設定ファイルを用意する。
【0047】
車線制御装置20の切替部210は、監視装置30から受信した、または設定ファイルに予め設定された係員の指示が「通常運用モードへの切り替え」である場合(ステップS101;NO)、車線Lにおける料金収受システム1の運用モードを通常運用モードに切り替える(ステップS102)。一方、切替部210は、係員の指示が「シングルレーンフリーフロー運用モードへの切り替え」である場合(ステップS101;YES)、車線Lにおける料金収受システム1の運用モードをシングルレーンフリーフロー運用モードに切り替える(ステップS103)。
【0048】
なお、切替部210は、設定ファイルまたは監視装置30から受信した指示に基づき運用モードを切り替えた後に、監視装置30から運用モードの切り替え指示をさらに受信した場合には、最後に監視装置30から受信した指示を優先して、運用モードの切り替えを再度実施するようにしてもよい。これにより、たとえば料金所の状態が変化した場合に、係員の指示により適切に運用モードを切り替えることができる。
【0049】
また、車線制御装置20がシングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた後の処理について
図3を参照しながら説明する。なお、通常運用モード時の処理は、従来の料金収受システムの処理と同じであるため説明を省略する。
【0050】
シングルレーンフリーフロー運用モードへ切り替えた後、車線制御装置20の制御部211は、発進制御機15にバー151を常時「開」とする指示を送信する(ステップS104)。そうすると、発進制御機15は、料金収受処理が完了したか否かに関わらず、常にバー151を開いた状態とする(ステップS105)。
【0051】
また、車線制御装置20の制御部211は、アンテナ12に電波を常時放射するように指示する(ステップS106)。そうすると、アンテナ12は、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2の検知状態に関わらず、常に電波放射を行う(ステップS107)。
【0052】
さらに、車線制御装置20の制御部211は、路側表示器16に通常運用モードとは異なる表示とするように指示する。通常運用モードでは、ETC料金収受処理が完了すると、車線制御装置20の制御部211は、車両Aの通行料金や割引適用の有無などの料金収受の処理結果情報を表示するよう路側表示器16に指示する。一方、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、車線制御装置20の制御部211は、表示を消灯するように指示する(ステップS108)。そうすると、路側表示器16は、以降、車線制御装置20から特別な表示指示を受信しない限り、表示は消灯したままとする(ステップS109)。すなわち、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、路側表示器16は通行料金などの処理結果情報の表示を行わない。
【0053】
アンテナ12は、常時電波を放射する場合、かつ、2台の車両が前後に並んで走行している場合に、電波の反射などの影響で、後続車両と先に通信を行い、その後、先行車両と通信を行ってしまう可能性がある。つまり、ETC料金収受処理の処理順序が走行順序と逆になってしまう可能性がある。このとき、路側表示器16が通常運用モードと同様に通行料金の表示を行うと、先行車両から実際に収受した通行料金ではなく、後続車両の通行料金を誤って表示してしまうこととなる。このような表示の食い違いを回避するため、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、路側表示器16は通行料金などの処理結果情報の表示を停止する。なお、車線制御装置20の制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは処理結果情報の表示を制限するのみでもよい。したがって、他の実施形態では、制御部211は、路側表示器16を消灯させるのではなく、処理結果情報以外の表示(たとえば、「通行料金表示不可」、「別途通知」などの表示)を行わせてもよい。
【0054】
(シングルレーンフリーフロー運用モード時の処理;ETC料金収受処理成功時)
図4は、一実施形態に係るシングルレーンフリーフロー運用モードの処理の一例を示す第1のシーケンス図である。
ここでは、シングルレーンフリーフロー運用モードにおいて、車両に対するETC料金収受処理が成功した場合の料金収受システム1の処理の流れについて説明する。シングルレーンフリーフロー運用モードでは、
図3を参照しながら説明したように、発進制御機15はバー151を常時「開」にした状態、アンテナ12は電波を常時放射する状態、路側表示器16は消灯した状態となっている。
【0055】
進入側車両検知器S1は、車線Lに車両Aが進入したことを検知すると、検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS200)。アンテナ12は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは電波を常時放射する状態となっている。このため、車線制御装置20の制御部211は、通常運用モードとは異なり、アンテナ12に対し電波放射を停止から開始に切り替える指示を行わない。車線制御装置20およびアンテナ12は、車両Aの車載器αと無線通信を行い、車両Aに対するETC料金収受処理を実行する(ステップS201)。ETC料金収受処理の内容は、従来の料金収受システムで実施されているものと同様であるため、詳細な説明を省略する。ここでは、ETC料金収受処理が正しく実行された(成功した)とする。
【0056】
ETC料金収受処理が成功した場合、通常運用モードでは、車線制御装置20の制御部211は、発進制御機15に対しバー151の開指令を送信する。しかしながら、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、発進制御機15のバー151は常時「開」状態である。このため、車線制御装置20の制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは開指令および閉指令の送信を停止する状態となっている。つまり、制御部211は、料金収受処理が完了しても開指令を送信しない(ステップS202)。
【0057】
また、通信用車両検知器S2は、車両Aが通信範囲R1を通過したことを検知すると、通過検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS203)。アンテナ12は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは電波を常時放射する状態となっている。このため、車線制御装置20の制御部211は、通常運用モードとは異なり、アンテナ12に対し電波放射を停止する指示を行わない。
【0058】
次に、退出側車両検知器S4は、車両Aが発進制御機15を通過したことを検知すると、退出検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS204)。
【0059】
車両Aの退出を検知した場合、通常運用モードでは、車線制御装置20の制御部211は、発進制御機15に対しバー151の閉指令を送信する。しかしながら、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、発進制御機15のバー151は常時「開」状態である。このため、車線制御装置20の制御部211は、車両Aの退出を検知した場合も、ステップS202と同様に閉指令の送信を行わない(ステップS205)。
【0060】
(シングルレーンフリーフロー運用モード時の処理;ETC料金収受処理失敗時)
図5は、一実施形態に係るシングルレーンフリーフロー運用モードの処理の一例を示す第2のシーケンス図である。
ここでは、シングルレーンフリーフロー運用モードにおいて、車両に対するETC料金収受処理が失敗した場合の料金収受システム1の処理の流れについて説明する。ETC料金収受処理の失敗は、たとえば、車両Aが車載器αを搭載していない非ETC車両であり、アンテナ12との無線通信が成立しなかった場合に発生する。
【0061】
進入側車両検知器S1は、車線Lに車両Aが進入したことを検知すると、検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS300)。車線Lに進入した車両Aは非ETC車両であるため、通信範囲R1を走行中にアンテナ12との無線通信は行われない。
【0062】
また、通信用車両検知器S2は、車両Aが通信範囲R1を通過したことを検知すると、通過検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS301)。
【0063】
車線制御装置20の制御部211は、車両が通信範囲R1に進入してから退出(通過)するまで(ステップS300~S301)の間に車両Aの車載器αとの無線通信が非成立であった場合、この車両Aは非ETC車両であると判断する(ステップS302)。
【0064】
この場合、車線制御装置20の制御部211は、車両Aが車線Lから退出してしまわないように、路側表示器16に停車を促す表示(たとえば、「停車」の文字)を行うように指示する(ステップS303)。そうすると、路側表示器16は、停車を促す表示を行う(ステップS304)。なお、車線制御装置20の制御部211は、ステップS303において、表示装置141に対しても同様の表示指示を行ってもよい。そうすると、表示装置141は、ステップS304において、表示装置141に停車を促す表示を行う。
【0065】
また、車線制御装置20の制御部211は、発進制御機15に閉指令を送信する(ステップS305)。そうすると、発進制御機15はバー151を閉じて、車両Aの車線Lからの退出を規制する(ステップS306)。なお、他の実施形態では、車線制御装置20の制御部211は、路側表示器16への「停車」表示のみ(ステップS303~S304)を行い、発進制御機15のバー151を閉じなくてもよい。つまり、
図5のステップS305~S306を実施しなくてもよい。
【0066】
車線制御装置20の制御部211は、車両Aが路側表示器16の「停車」の表示にしたがい発進制御機15の手前で停車している間、ETC以外の手法により車両Aの通行料金を収受する料金収受処理を行う(ステップS307)。このETC以外の料金収受処理は、既知の様々な技術を利用可能である。たとえば、車線制御装置20の制御部211は、料金自動収受機14に対し、車両Aの通行料金を収受するように指示を行ってもよい。また、車線制御装置20の制御部211は、車線Lに有人ブースが設けられており係員が駐在している場合、有人ブース内の端末(不図示)に指示を送信して、係員に料金収受処理を行うよう要求してもよい。また、係員は、利用者に対し、有料道路の退出後に通行料金を支払う事後料金収受の案内を行ってもよい。このとき、支払い方法などを記載した案内書を利用者に渡してもよい。案内書は、予め発進制御機15付近に置かれた印刷物を利用者が自ら取っていくようにしてもよい。
【0067】
ETC以外の料金収受処理(S307)が完了すると、料金収受処理に用いられた機器(料金自動収受機14や有人ブース内の端末など)から車線制御装置20へ料金収受処理の完了通知が送信される。そうすると、車線制御装置20の制御部211は、路側表示器16に停車を促す表示を消灯するよう指示する(ステップS308)。そうすると、路側表示器16は、停車を促す表示を消す(ステップS309)。なお、車線制御装置20の制御部211は、表示装置141に停車を促す表示を指示していた場合、ステップS308において表示装置141にも消灯の指示を行う。そうすると、表示装置141は、ステップS309において、停車を促す表示を消す。なお、他の実施形態では、車線制御装置20の制御部211は、ステップS308において、退出側車両検知器S4が車両Aの退出を検知するまで、車両Aの発進を促す表示(たとえば、「通行可」の文字)を行うように路側表示器16に指示してもよい。この場合、路側表示器16は、ステップS309において、停車を促す表示に代えて、発進を促す表示を点灯する。表示装置141についても同様である。
【0068】
また、車線制御装置20の制御部211は、発進制御機15にバー151を常時「開」とする指示を送信する(ステップS310)。そうすると、発進制御機15は、再び、常にバー151を開いた状態となる(ステップS311)。なお、他の実施形態において、車線制御装置20および発進制御機15はステップS305~S306を実施しなかった場合、これらステップS310~311も実施しない。
【0069】
発進制御機15のバー151が開くと、車両Aは車線Lから退出する。退出側車両検知器S4は、車両Aが発進制御機15を通過したことを検知すると、退出検知信号を車線制御装置20に送信する(ステップS312)。なお、車線制御装置20の制御部211は、ステップS308において発進を促す表示を行うように路側表示器16に指示を行っていた場合、この表示を消灯するように路側表示器16に指示する。路側表示器16は、車線制御装置20の指示にしたがい発進を促す表示を消す。
【0070】
また、車線制御装置20の制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードでは開指令および閉指令の送信を停止する状態となっている。したがって、
図4のステップS205と同様に、車線制御装置20の制御部211は、車両Aの退出検知時に閉指令の送信を行わない(ステップS313)。
【0071】
シングルレーンフリーフロー運用モード中、料金収受システム1は、車両Aが料金所に到来する度に
図4または
図5の一連の処理を実施する。シングルレーンフリーフロー運用モードでは、上記したようにETC車両である車両Aは減速せずに車線Lを通過することができる。これにより、シングルレーンフリーフロー運用モードでは、通常運用モードよりも速い速度で車両Aを通過させることができるので、料金所の渋滞の発生を抑制することが可能となる。
【0072】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る車線制御装置20は、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとのいずれかに切り替える切替部210と、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、発進制御機15に対しバー151を常時開いた状態とするように指示する制御部211と、を備える。
【0073】
このようにすることで、車線制御装置20は、車線Lを選択的にフリーフロー化することができる。これにより、車線制御装置20は、通常運用モードよりも速い速度で車両Aを通過させることができるので、料金所の渋滞の発生を抑制することが可能となる。
【0074】
また、制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、アンテナ12に対し電波を常時放射するように指示する。
【0075】
このようにすることで、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2の検知結果に基づきアンテナ12の電波放射のONおよびOFFを切り替える複雑な制御を省略することができる。
【0076】
また、制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、路側表示器16に対し表示を消灯するように指示する。
【0077】
このようにすることで、車線制御装置20は、アンテナ12が電波を常時放射することに伴い料金収受処理の処理順序が走行順序と逆になってしまった場合に、実際に収受された通行料金と、路側表示器16に表示される通行料金とが食い違ってしまうことを回避することができる。
【0078】
また、制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2が車両Aのアンテナ12の通信範囲R1への進入を検知してから通過を検知するまでの期間に、アンテナ12と車両Aの車載器αとの無線通信が行われなかった場合に、車両Aが非ETC車両であると判断する。
【0079】
このようにすることで、車線制御装置20は、車線Lに進入した車両がETC車両であるか非ETC車両であるかを判別することができる。これにより、非ETC車両に対しては、無線通信を介したETC料金収受処理とは別に、ETC以外の料金収受処理などの対応を実施することができる。
【0080】
また、制御部211は、車両Aが非ETC車両であると判断した場合に、通知装置(路側表示器16、表示装置141)に対し、車両Aの停車を促す通知を出力するように指示する。
【0081】
このようにすることで、車線制御装置20は、車両Aが通行料金の支払いや事後料金収受の案内を行う前に車線Lから退出してしまうことを抑制することができる。
【0082】
また、制御部211は、前記車両が非ETC車両であると判断した場合に、発進制御機15に対しバー151を閉じるように指示する。
【0083】
このようにすることで、車線制御装置20は、車両Aが通行料金の支払いや事後料金収受の案内を行う前に車線Lから退出してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0084】
以上のとおり、本開示に係る実施形態を説明したが、上記した実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0085】
<付記>
上述の実施形態に記載の車線制御装置、制御方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0086】
(1)第1の態様によれば、車線制御装置20は、料金所の車線Lを走行する車両Aに対し処理を行う料金収受システム1が有する料金所機械10を制御する車線制御装置20であって、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替える切替部210と、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり車線Lを開放または閉塞するバー151を有する発進制御機15に対し、車線Lを常時開放した状態とするように指示する制御部211と、を備える。
【0087】
このようにすることで、車線制御装置20は、車線Lを選択的にフリーフロー化することができる。これにより、車線制御装置20は、通常運用モードよりも速い速度で車両Aを通過させることができるので、料金所の渋滞の発生を抑制することが可能となる。
【0088】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり車両Aに搭載された車載器αと無線通信を行うアンテナ12に対し、電波を常時放射するように指示する。
【0089】
このようにすることで、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2の検知結果に基づきアンテナ12の電波放射のONおよびOFFを切り替える複雑な制御を省略することができる。
【0090】
(3)第3の態様によれば、第2の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり車両Aに向けて情報を表示する路側表示器16に対し、通常運用モードと異なる表示をするように指示する。
【0091】
たとえば、路側表示器16は、通常運用モードでは、車両Aの通行料金を表示し、シングルレーンフリーフロー運用モードではこれら表示を行わない。このようにすることで、車線制御装置20は、アンテナ12が電波を常時放射することに伴い料金収受処理の処理順序が走行順序と逆になってしまった場合に、実際に収受された通行料金と、路側表示器16に表示される通行料金とが食い違ってしまうことを回避することができる。
【0092】
(4)第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、料金所機械10の一つであり車両Aに搭載された車載器αと無線通信を行うアンテナ12を介して車両Aの通行料金を収受する料金収受処理を行い、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、進入側車両検知器S1および通信用車両検知器S2が車両Aのアンテナ12の通信範囲R1への進入を検知してから通過を検知するまでの期間に、アンテナ12と車両Aの車載器αとの無線通信が行われなかった場合に、車両Aが車載器αを搭載していない非ETC車両であると判断する。
【0093】
このようにすることで、車線制御装置20は、車線Lに進入した車両がETC車両であるか非ETC車両であるかを判別することができる。これにより、非ETC車両に対しては、無線通信を介したETC料金収受処理とは別に、ETC以外の料金収受処理などの対応を実施することができる。
【0094】
(5)第5の態様によれば、第4の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、車両Aが非ETC車両であると判断した場合に、料金所機械10の一つであり車両Aに向けて通知を行う通知装置(路側表示器16、表示装置141)に対し、車両Aの停車を促す通知を出力するように指示する。
【0095】
このようにすることで、車線制御装置20は、車両Aが通行料金の支払いや事後料金収受の案内を行う前に車線Lから退出してしまうことを抑制することができる。
【0096】
(6)第6の態様によれば、第4の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、車両Aが非ETC車両であると判断した場合に、発進制御機15に対しバー151を閉じるように指示する。
【0097】
このようにすることで、車線制御装置20は、車両Aが通行料金の支払いや事後料金収受の案内を行う前に車線Lから退出してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0098】
(7)第7の態様によれば、第5の態様に係る車線制御装置20において、制御部211は、車両Aが非ETC車両であると判断した場合に、発進制御機15に対しバー151を閉じるように指示する。
【0099】
このようにすることで、車線制御装置20は、車両Aが通行料金の支払いや事後料金収受の案内を行う前に車線Lから退出してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0100】
(8)第8の態様によれば、制御方法は、料金所の車線Lを走行する車両Aに対し処理を行う料金収受システム1が有する料金所機械10を制御する制御方法であって、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替えるステップと、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり車線Lを開放または閉塞するバー151を有する発進制御機15に対し、バー151を常時開いた状態とするように指示するステップと、有する。
【0101】
(9)第9の態様によれば、プログラムは、料金所の車線Lを走行する車両Aに対し処理を行う料金収受システム1が有する料金所機械10を制御する車線制御装置20に、料金所の車線Lを走行する車両Aに対し料金収受処理を行う料金収受システム1が有する料金所機械10を制御する制御方法であって、通常運用モードとシングルレーンフリーフロー運用モードとを切り替えるステップと、シングルレーンフリーフロー運用モードに切り替えた場合に、料金所機械10の一つであり車線Lを開放または閉塞するバー151を有する発進制御機15に対し、バー151を常時開いた状態とするように指示するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0102】
1 料金収受システム
10 料金所機械
12 アンテナ
13 車線表示器
14 料金自動収受機
141 表示装置
15 発進制御機
151 バー
16 路側表示器
20 車線制御装置
21 プロセッサ
210 切替部
211 制御部
22 メモリ
23 ストレージ
24 通信インタフェース
30 監視装置
A 車両
S1 進入側車両検知器(車両検知器)
S2 通信用車両検知器(車両検知器)
S4 退出側車両検知器(車両検知器)
α 車載器