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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132723
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240920BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240920BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240920BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240920BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20240920BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20240920BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20240920BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20240920BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240920BHJP
【FI】
G03B21/14 A
H04N9/31 500
H04N5/74 Z
F21S2/00 311
F21V5/02
F21V9/40 400
F21V14/04
F21Y113:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043615
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】米山 拓応
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C060
【Fターム(参考)】
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA44
2K203GA25
2K203GA36
2K203GA40
2K203GA49
2K203HA13
2K203HA82
2K203HA84
2K203HB22
2K203MA02
2K203MA04
2K203MA05
5C058AB03
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA26
5C058EA51
5C060HD07
5C060JA20
5C060JB06
(57)【要約】
【課題】平行度が高い光を射出可能で色ずれの少ない光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の光源装置は、第1波長帯の第1光を射出する第1光源部と、第1波長帯より長波長の第2波長帯の第2光を射出する第2光源部と、第2波長帯より長波長の第3波長帯の第3光を射出する第3光源部と、第1方向に沿う回転軸を中心として回転し、第1光を透過する第1透過光学素子と、第1方向に沿う回転軸を中心として回転し、第2光を透過する第2透過光学素子と、第1方向に沿う回転軸を中心として回転し、第3光を透過する第3透過光学素子と、を備える。各光の主光線に垂直な断面形状は、第1方向に沿う長軸を有する。各透過光学素子において、各光が入射する入射面と、各光が射出する射出面とは、互いに平行である。第1透過光学素子の屈折率は、第2透過光学素子の屈折率よりも小さく、第2透過光学素子の屈折率は、第3透過光学素子の屈折率よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯の第1光を射出する第1光源部と、
前記第1波長帯よりも長波長の第2波長帯の第2光を射出する第2光源部と、
前記第2波長帯よりも長波長の第3波長帯の第3光を射出する第3光源部と、
前記第1光の入射方向に交差する第1方向に沿って延びる第1回転軸を中心として回転し、前記第1光源部から射出する前記第1光を透過させる第1透過光学素子と、
前記第1方向に沿って延びる第2回転軸を中心として回転し、前記第2光源部から射出する前記第2光を透過させる第2透過光学素子と、
前記第1方向に沿って延びる第3回転軸を中心として回転し、前記第3光源部から射出する前記第3光を透過させる第3透過光学素子と、
を備え、
前記第1光源部から射出する前記第1光の主光線に垂直な前記第1光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、
前記第2光源部から射出する前記第2光の主光線に垂直な前記第2光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、
前記第3光源部から射出する前記第3光の主光線に垂直な前記第3光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、
前記第1透過光学素子において、前記第1光が入射する第1入射面と、前記第1入射面から入射する前記第1光が射出する第1射出面とは、互いに平行であり、
前記第2透過光学素子において、前記第2光が入射する第2入射面と、前記第2入射面から入射する前記第2光が射出する第2射出面とは、互いに平行であり、
前記第3透過光学素子において、前記第3光が入射する第3入射面と、前記第3入射面から入射する前記第3光が射出する第3射出面とは、互いに平行であり、
前記第1透過光学素子の屈折率は、前記第2透過光学素子の屈折率よりも小さく、
前記第2透過光学素子の屈折率は、前記第3透過光学素子の屈折率よりも小さい、光源装置。
【請求項2】
前記第1透過光学素子は、前記第1回転軸を中心として回転する際に前記第1光を前記第1方向に直交する方向に走査することにより、前記第1光を被照明面における2次元の被照明領域内で走査し、
前記第2透過光学素子は、前記第2回転軸を中心として回転する際に前記第2光を前記第1方向に直交する方向に走査することにより、前記第2光を前記被照明領域内で走査し、
前記第3透過光学素子は、前記第3回転軸を中心として回転する際に前記第3光を前記第1方向に直交する方向に走査することにより、前記第3光を前記被照明領域内で走査する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子のそれぞれは、石英から構成されている、請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸は、前記第1方向に直交する第2方向に延びる直線上に配置されている、請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項5】
第1波長帯の第1光を射出する第1光源部と、
前記第1波長帯よりも長波長の第2波長帯の第2光を射出する第2光源部と、
前記第2波長帯よりも長波長の第3波長帯の第3光を射出する第3光源部と、
前記第1光の入射方向に交差する第1方向に沿って延びる第1回転軸を中心として回転し、前記第1光源部から射出する前記第1光を透過させる第1透過光学素子と、
前記第2光の入射方向に交差する前記第1方向に沿って延びる第2回転軸を中心として回転し、前記第2光源部から射出する前記第2光を透過させる第2透過光学素子と、
前記第3光の入射方向に交差する前記第1方向に沿って延びる第3回転軸を中心として回転し、前記第3光源部から射出する前記第3光を透過させる第3透過光学素子と、
前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる第4回転軸を中心として回転し、前記第1透過光学素子から射出する前記第1光を透過させる第4透過光学素子と、
前記第2方向に沿って延びる第5回転軸を中心として回転し、前記第2透過光学素子から射出する前記第2光を透過させる第5透過光学素子と、
前記第2方向に沿って延びる第6回転軸を中心として回転し、前記第3透過光学素子から射出する前記第3光を透過させる第6透過光学素子と、
を備え、
前記第1透過光学素子において、前記第1光が入射する第1入射面と、前記第1入射面から入射する前記第1光が射出する第1射出面とは、互いに平行であり、
前記第2透過光学素子において、前記第2光が入射する第2入射面と、前記第2入射面から入射する前記第2光が射出する第2射出面とは、互いに平行であり、
前記第3透過光学素子において、前記第3光が入射する第3入射面と、前記第3入射面から入射する前記第3光が射出する第3射出面とは、互いに平行であり、
前記第4透過光学素子において、前記第1光が入射する第4入射面と、前記第4入射面から入射する前記第1光が射出する第4射出面とは、互いに平行であり、
前記第5透過光学素子において、前記第2光が入射する第5入射面と、前記第5入射面から入射する前記第2光が射出する第5射出面とは、互いに平行であり、
前記第6透過光学素子において、前記第3光が入射する第6入射面と、前記第6入射面から入射する前記第3光が射出する第6射出面とは、互いに平行であり、
前記第1透過光学素子の屈折率は、前記第2透過光学素子の屈折率よりも小さく、
前記第2透過光学素子の屈折率は、前記第3透過光学素子の屈折率よりも小さい関係、
および、
前記第4透過光学素子の屈折率は、前記第5透過光学素子の屈折率よりも小さく、
前記第5透過光学素子の屈折率は、前記第6透過光学素子の屈折率よりも小さい関係、
の少なくとも一方の関係を満たす、光源装置。
【請求項6】
前記第1透過光学素子は、前記第1回転軸を中心として回転することにより、前記第1光源部から射出する前記第1光を、被照明面における第1走査方向に走査し、
前記第2透過光学素子は、前記第2回転軸を中心として回転することにより、前記第2光源部から射出する前記第2光を、前記被照明面における前記第1走査方向に走査し、
前記第3透過光学素子は、前記第3回転軸を中心として回転することにより、前記第3光源部から射出する前記第3光を、前記被照明面における前記第1走査方向に走査し、
前記第4透過光学素子は、前記第4回転軸を中心として回転することにより、前記第1透過光学素子から射出する前記第1光を、前記被照明面における前記第1走査方向と交差する第2走査方向に走査し、
前記第5透過光学素子は、前記第5回転軸を中心として回転することにより、前記第2透過光学素子から射出する前記第2光を、前記被照明面における前記第2走査方向に走査し、
前記第6透過光学素子は、前記第6回転軸を中心として回転することにより、前記第3透過光学素子から射出する前記第3光を、前記被照明面における前記第2走査方向に走査し、
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、前記第3透過光学素子、前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、前記第1光、前記第2光、および前記第3光を、前記被照明面における2次元の被照明領域内で走査する、請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1光源部、前記第2光源部、および前記第3光源部は、前記第2方向に並んで配置され、前記第1光、前記第2光、および前記第3光を同じ側に向けて射出し、
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子は、前記第2方向に沿って並んで配置されている、請求項5または請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第4回転軸、前記第5回転軸、および前記第6回転軸は、前記第2方向に延びる直線上に配置されている、請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、前記第2方向に沿って互いに連結されている、請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸は、前記第1方向に延びる直線上に配置され、
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子は、前記第1方向に沿って並んで配置されている、請求項5または請求項6に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子は、前記第1方向に沿って互いに連結されている、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第4回転軸、前記第5回転軸、および前記第6回転軸は、前記第2方向に延びる直線上に配置されている、請求項10に記載の光源装置。
【請求項13】
前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、前記第2方向に沿って互いに連結されている、請求項12に記載の光源装置。
【請求項14】
被照明面において、前記第1方向における前記第1光の入射位置、前記第1方向における前記第2光の入射位置、および前記第1方向における前記第3光の入射位置を、互いに近付ける方向に調整する位置調整光学系をさらに備える、請求項10に記載の光源装置。
【請求項15】
前記第4透過光学素子から前記被照明面に向かう前記第1光の光路、前記第5透過光学素子から前記被照明面に向かう前記第2光の光路、および前記第6透過光学素子から前記被照明面に向かう前記第3光の光路を、互いに平行に近付くように調整する平行化光学系をさらに備える、請求項14に記載の光源装置。
【請求項16】
前記第1透過光学素子は、前記第1回転軸に交差する第1面および第2面と、前記第1面および前記第2面に接する2×m(m:2以上の自然数)個の第1側面と、を有し、
前記第1入射面および前記第1射出面は、前記2×m個の前記第1側面のうちの互いに平行な2つの前記第1側面であり、
前記第2透過光学素子は、前記第2回転軸に交差する第3面および第4面と、前記第3面および前記第4面に接する2×n(n:2以上の自然数)個の第2側面と、を有し、
前記第2入射面および前記第2射出面は、前記2×n個の前記第2側面のうちの互いに平行な2つの前記第2側面であり、
前記第3透過光学素子は、前記第3回転軸に交差する第5面および第6面と、前記第5面および前記第6面に接する2×p(p:2以上の自然数)個の第3側面と、を有し、
前記第3入射面および前記第3射出面は、前記2×p個の前記第3側面のうちの互いに平行な2つの前記第3側面であり、
前記第4透過光学素子は、前記第4回転軸に交差する第7面および第8面と、前記第7面および前記第8面に接する2×q(q:2以上の自然数)個の第4側面と、を有し、
前記第4入射面および前記第4射出面は、前記2×q個の前記第4側面のうちの互いに平行な2つの前記第4側面であり、
前記第5透過光学素子は、前記第5回転軸に交差する第9面および第10面と、前記第9面および前記第10面に接する2×r(r:2以上の自然数)個の第5側面と、を有し、
前記第5入射面および前記第5射出面は、前記2×r個の前記第5側面のうちの互いに平行な2つの前記第5側面であり、
前記第6透過光学素子は、前記第6回転軸に交差する第11面および第12面と、前記第11面および前記第12面に接する2×s(s:2以上の自然数)個の第6側面と、を有し、
前記第6入射面および前記第6射出面は、前記2×s個の前記第6側面のうちの互いに平行な2つの前記第6側面である、請求項5または請求項6に記載の光源装置。
【請求項17】
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、前記第3透過光学素子、前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、石英から構成されている、請求項5または請求項6に記載の光源装置。
【請求項18】
前記第1光源部は、前記第1波長帯の光を射出する第1発光素子を備え、
前記第2光源部は、前記第2波長帯の光を射出する第2発光素子を備え、
前記第3光源部は、前記第3波長帯の光を射出する第3発光素子を備え、
前記第1発光素子、前記第2発光素子、および前記第3発光素子のそれぞれは、レーザー光を射出するレーザーダイオードである、請求項1または請求項5に記載の光源装置。
【請求項19】
前記第1光は青色光であり、前記第2光は緑色光であり、前記第3光は赤色光である、請求項1または請求項5に記載の光源装置。
【請求項20】
請求項1または請求項5に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される前記第1光、前記第2光、および前記第3光を画像情報に基づいて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調される光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された光を液晶パネル等の光変調装置上で時間的に走査することにより、光変調装置を照明する光源装置が提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、光源ランプを含む光源装置と、液晶ライトバルブと、光源装置と液晶ライトバルブとの間に設けられたポリゴンミラーと、投写レンズと、を備えるプロジェクターが開示されている。このプロジェクターにおいて、光源装置は、楕円形の光束断面を有する光を射出する。ポリゴンミラーは、光源装置から射出される光を反射して、液晶ライトバルブの画像形成領域上で楕円形の光束断面の短軸方向に走査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-225956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のプロジェクターのように、光の走査にポリゴンミラーを用いた場合、完全な平行光をポリゴンミラーに入射させたとしても、ポリゴンミラーによって光の平行度が損なわれる。すなわち、ポリゴンミラーが回転しつつ光を反射するため、ポリゴンミラーの反射面に対する光の入射角が時間的に変化し、ポリゴンミラーに入射した平行光が所定の発散角を有する光となって液晶ライトバルブを照明する。その結果、液晶ライトバルブにおける明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写レンズでの光の損失等、プロジェクターの画像品質に関係する様々な不具合が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の光源装置は、第1波長帯の第1光を射出する第1光源部と、前記第1波長帯よりも長波長の第2波長帯の第2光を射出する第2光源部と、前記第2波長帯よりも長波長の第3波長帯の第3光を射出する第3光源部と、前記第1光の入射方向に交差する第1方向に沿って延びる第1回転軸を中心として回転し、前記第1光源部から射出する前記第1光を透過させる第1透過光学素子と、前記第1方向に沿って延びる第2回転軸を中心として回転し、前記第2光源部から射出する前記第2光を透過させる第2透過光学素子と、前記第1方向に沿って延びる第3回転軸を中心として回転し、前記第3光源部から射出する前記第3光を透過させる第3透過光学素子と、を備え、前記第1光源部から射出する前記第1光の主光線に垂直な前記第1光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、前記第2光源部から射出する前記第2光の主光線に垂直な前記第2光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、前記第3光源部から射出する前記第3光の主光線に垂直な前記第3光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、前記第1透過光学素子において、前記第1光が入射する第1入射面と、前記第1入射面から入射する前記第1光が射出する第1射出面とは、互いに平行であり、前記第2透過光学素子において、前記第2光が入射する第2入射面と、前記第2入射面から入射する前記第2光が射出する第2射出面とは、互いに平行であり、前記第3透過光学素子において、前記第3光が入射する第3入射面と、前記第3入射面から入射する前記第3光が射出する第3射出面とは、互いに平行であり、前記第1透過光学素子の屈折率は、前記第2透過光学素子の屈折率よりも小さく、前記第2透過光学素子の屈折率は、前記第3透過光学素子の屈折率よりも小さい。
【0007】
本発明の他の一つの態様の光源装置は、第1波長帯の第1光を射出する第1光源部と、前記第1波長帯よりも長波長の第2波長帯の第2光を射出する第2光源部と、前記第2波長帯よりも長波長の第3波長帯の第3光を射出する第3光源部と、前記第1光の入射方向に交差する第1方向に沿って延びる第1回転軸を中心として回転し、前記第1光源部から射出する前記第1光を透過させる第1透過光学素子と、前記第2光の入射方向に交差する前記第1方向に沿って延びる第2回転軸を中心として回転し、前記第2光源部から射出する前記第2光を透過させる第2透過光学素子と、前記第3光の入射方向に交差する前記第1方向に沿って延びる第3回転軸を中心として回転し、前記第3光源部から射出する前記第3光を透過させる第3透過光学素子と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる第4回転軸を中心として回転し、前記第1透過光学素子から射出する前記第1光を透過させる第4透過光学素子と、前記第2方向に沿って延びる第5回転軸を中心として回転し、前記第2透過光学素子から射出する前記第2光を透過させる第5透過光学素子と、前記第2方向に沿って延びる第6回転軸を中心として回転し、前記第3透過光学素子から射出する前記第3光を透過させる第6透過光学素子と、を備え、前記第1透過光学素子において、前記第1光が入射する第1入射面と、前記第1入射面から入射する前記第1光が射出する第1射出面とは、互いに平行であり、前記第2透過光学素子において、前記第2光が入射する第2入射面と、前記第2入射面から入射する前記第2光が射出する第2射出面とは、互いに平行であり、前記第3透過光学素子において、前記第3光が入射する第3入射面と、前記第3入射面から入射する前記第3光が射出する第3射出面とは、互いに平行であり、前記第4透過光学素子において、前記第1光が入射する第4入射面と、前記第4入射面から入射する前記第1光が射出する第4射出面とは、互いに平行であり、前記第5透過光学素子において、前記第2光が入射する第5入射面と、前記第5入射面から入射する前記第2光が射出する第5射出面とは、互いに平行であり、前記第6透過光学素子において、前記第3光が入射する第6入射面と、前記第6入射面から入射する前記第3光が射出する第6射出面とは、互いに平行であり、前記第1透過光学素子の屈折率は、前記第2透過光学素子の屈折率よりも小さく、前記第2透過光学素子の屈折率は、前記第3透過光学素子の屈折率よりも小さい関係、および、前記第4透過光学素子の屈折率は、前記第5透過光学素子の屈折率よりも小さく、前記第5透過光学素子の屈折率は、前記第6透過光学素子の屈折率よりも小さい関係、の少なくとも一方の関係を満たす。
【0008】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出される前記第1光、前記第2光、および前記第3光を画像情報に基づいて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調される光を投写する投写光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
図2】プロジェクターの側面図である。
図3】第2光源部および第2透過光学素子の斜視図である。
図4】第2光源部から射出される光を示す模式図である。
図5A】透過光学素子が回転する際の光の挙動を説明するための模式図である。
図5B図5Aの続きを示す模式図である。
図5C図5Bの続きを示す模式図である。
図5D図5Cの続きを示す模式図である。
図5E図5Dの続きを示す模式図である。
図5F図5Eの続きを示す模式図である。
図6】光の照度分布と伝播距離との関係を示す図である。
図7】第2実施形態のプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
図8】第2光源部、第2透過光学素子、および第5透過光学素子の斜視図である。
図9】第3実施形態のプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
図10】プロジェクターの側面図である。
図11】第4実施形態のプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
図12】プロジェクターの側面図である。
図13】第5実施形態のプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
図14】プロジェクターの側面図である。
図15】第6実施形態のプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
図16】プロジェクターの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いた液晶プロジェクターの一例である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0011】
図1は、本実施形態のプロジェクター20の概略構成を示す平面図である。図2は、プロジェクター20の概略構成を示す側面図である。図2では、図面を見やすくするため、光変調装置の前段の光学系については第2光源部および第2透過光学素子のみを示す。図3は、第2光源部および第2透過光学素子の斜視図である。
【0012】
図1および図2に示すように、本実施形態のプロジェクター20は、光源装置10と、第1反射ミラー41と、第2反射ミラー42と、緑色光用光変調装置43Gと、射出側偏光板44Gと、青色光用光変調装置43Bと、射出側偏光板44Bと、1/2波長板46Bと、赤色光用光変調装置43Rと、射出側偏光板44Rと、1/2波長板46Rと、画像光合成素子45と、投写光学装置23と、を備える。なお、本実施形態のプロジェクター20は、1/2波長板46B、46Rを備えているが、必ず備える必要はない。
【0013】
本実施形態の光源装置10は、第1光源部11と、第2光源部12と、第3光源部13と、第1透過光学素子15と、第2透過光学素子16と、第3透過光学素子17と、第1回転駆動装置35と、第2回転駆動装置36と、第3回転駆動装置37と、を備える。
【0014】
以下、図面において、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。X軸は、第2光源部12の光軸AX2に平行な軸である。第2光源部12の光軸AX2は、第2光源部12から射出される第2光LGの主光線に沿う軸と定義する。Y軸は、X軸に直交する軸であり、各透過光学素子15,16,17の回転軸に沿う軸である。Z軸は、X軸およびY軸に直交する軸である。第1光源部11の光軸AX1は、第1光源部11から射出される第1光LBの主光線に沿う軸と定義する。第3光源部13の光軸AX3は、第3光源部13から射出される第3光LRの主光線に沿う軸と定義する。
本実施形態のY軸方向は、特許請求の範囲の第1方向に対応する。本実施形態のZ軸方向は、特許請求の範囲の第2方向に対応する。
【0015】
図1に示すように、第1光源部11は、第1透過光学素子15に向けて第1波長帯の第1光LBを射出する。第2光源部12は、第2透過光学素子16に向けて第2波長帯の第2光LGを射出する。第3光源部13は、第3透過光学素子17に向けて第3波長帯の第3光LRを射出する。第1光源部11、第2光源部12、および第3光源部13は、Z軸方向に並んで配置され、同じ側(+X側)に向けて各光を射出する。この構成によれば、光源部11,12,13を冷却するヒートシンク等の冷却用部材の共通化を図りやすく、光源装置10の小型化を図ることができる。
【0016】
各光源部11,12,13の基本構成は同様であるが、図2および図3では第2光源部12の詳細な構成を図示しているため、以下では、第2光源部12で代表して具体的な構成を説明する。
【0017】
図2および図3に示すように、第2光源部12は、複数の第2発光素子26と、基板29と、を備える。第2発光素子26は、第2波長帯の光線LG0を射出するレーザーダイオードから構成されている。そのため、第2発光素子26から射出される光線LG0は、可干渉性を有する直線偏光であり、光束幅が狭く、平行度が高いレーザー光である。第2波長帯は、例えば530nm±5nmの緑色波長帯である。すなわち、第2発光素子26から射出される光線LG0は、緑色光である。
【0018】
複数の第2発光素子26は、Y軸方向に沿って、互いに所定の間隔をおいて1列に配列されている。本実施形態では、第2光源部12は、5個の第2発光素子26を備えているが、第2発光素子26の数は特に限定されず、複数の第2発光素子26がY軸方向に沿って1列に配列されていればよい。
【0019】
図4は、第2光源部12から射出される第2光LGの進行方向に垂直な断面を示す図である。本実施形態の場合、5個の第2発光素子26のそれぞれから光線LG0が射出されるため、第2光源部12から射出される第2光LGは、図4に示すように、5つの光線LG0を含む光束全体である。そこで、第2光LGの外縁は、5つの光線LG0に外接する図形の外縁と定義する。また、第2光LGの主光線は、5つの光線LG0に外接する図形の中心を通る光線と定義する。この場合、第2光LGの主光線に垂直な断面形状は、Y軸方向に沿って延びる長軸と、Z軸方向に沿って延びる短軸と、を有する帯状の形状である。第2光LGの主光線に垂直な断面形状の短軸の長さLzは、光変調装置21のZ軸方向に沿って延びる短軸の長さLVzに比べて程度に短いことが望ましい。例えば、第2光LGの主光線に垂直な断面形状の短軸の長さLzと光変調装置21の短軸長さLVzとの比Lz/LVzは、1/2以下であることが望ましい。後述するするエリア照明を考慮すると、比Lz/LVzが1/4以下であるとさらに望ましい。以下、第2光LGを緑色光LGと称する。本実施形態によれば、例えば光束幅調整光学系等の光学系を用いることなく、Y軸方向に沿って延びる長軸を有する断面形状を有する光を生成することができる。
【0020】
基板29は、複数の第2発光素子26を支持する。図示を省略するが、基板29の2つの主面のうち、複数の第2発光素子26が設けられた側とは反対側の面に、複数の第2発光素子26を冷却するためのヒートシンク等の冷却用部材が設けられていてもよい。
【0021】
図1に示すように、第1光源部11は、複数の第1発光素子25と、基板29と、を備える。第1発光素子25は、第1波長帯の光を射出するレーザーダイオードから構成されている。そのため、第1発光素子25から射出される光は、可干渉性を有する直線偏光であり、光束幅が狭く、平行度が高いレーザー光である。第1波長帯は、例えば450nm±5nmの青色波長帯である。すなわち、第1発光素子25から射出される光は、青色光である。なお、本実施形態では第1発光素子25としてレーザーダイオードを挙げるが、これに限られずLEDやランプ等の光源と、光の偏光方向を調整する光学系や光束幅を調整する光学系やカラーホイール等と、を使用し、比Lz/LVzが1/2以下の光線を生成することで、レーザーダイオードと置き換えることもできる。
【0022】
複数の第1発光素子25は、Y軸方向、すなわち、図1の紙面に垂直な方向に沿って、互いに所定の間隔をおいて1列に配列されている。第1発光素子25の数は特に限定されず、複数の第1発光素子25がY軸方向に沿って1列に配列されていればよい。以下、第1光LBを青色光LBと称する。
【0023】
第3光源部13は、複数の第3発光素子27と、基板29と、を備える。第3発光素子27は、第3波長帯の光を射出するレーザーダイオードから構成されている。そのため、第3発光素子27から射出される光は、可干渉性を有する直線偏光であり、光束幅が狭く、平行度が高いレーザー光である。第3波長帯は、例えば650nm±5nmの赤色波長帯である。すなわち、第3発光素子27から射出される光は、赤色光である。
【0024】
複数の第3発光素子27は、Y軸方向、すなわち、図1の紙面に垂直な方向に沿って、互いに所定の間隔をおいて1列に配列されている。第3発光素子27の数は特に限定されず、複数の第3発光素子27がY軸方向に沿って1列に配列されていればよい。以下、第3光LRを赤色光LRと称する。
【0025】
各透過光学素子15,16,17の基本構成は同様であるが、図2および図3では第2透過光学素子16の詳細な構成を図示しているため、以下では、第2透過光学素子16で代表して具体的な構成を説明する。
【0026】
図1図3に示すように、第2透過光学素子16は、光軸AX2上に設けられている。第2透過光学素子16は、回転可能に支持された透光性部材から構成されている。第2透過光学素子16を構成する透光性部材の硝材として、例えばBK7等の光学ガラス、石英、樹脂等の透光性材料が用いられる。第2透過光学素子16は、Y軸方向に沿って延びる第2回転軸C2を中心として回転可能とされている。第2回転軸C2は、モーター等からなる第2回転駆動装置36に連結されている。第2透過光学素子16は、第2回転駆動装置36の駆動によって第2回転軸C2を中心として回転する。
【0027】
図3に示すように、第2透過光学素子16は、第2回転軸C2に交差する第3面16aおよび第4面16bと、第3面16aおよび第4面16bに対して垂直に接する4つの第2側面16cと、を有する。すなわち、第2透過光学素子16の形状は、第3面16a、第4面16b、および4つの第2側面16cを含む6つの平面を有する正4角柱である。第2回転軸C2に垂直な面で切断した第2透過光学素子16の断面形状は、正方形である。すなわち、4つの第2側面16cは、互いに同じ面積を有し、互いに対向する2つの第2側面16c同士は平行である。
【0028】
第2透過光学素子16は、第2回転軸C2を中心として回転しつつ、第2光源部12から射出される緑色光LGを透過させる。そのため、第2光源部12から射出される緑色光LGが第2透過光学素子16に入射する第2側面16cは、1つに決まっておらず、時間を追って変化する。第2透過光学素子16において、第2光源部12から射出される緑色光LGが入射する第2側面16cを第2入射面と称する。第2入射面から入射する緑色光LGを射出させる第2側面16cを第2射出面と称する。この場合、第2入射面および第2射出面は、時間を追って変化し、4つの第2側面16cのうちの互いに平行な2つの第2側面16cのいずれかである。
【0029】
本明細書において、透過光学素子の2つの側面が互いに平行であると称する場合、透光性部材を構成する硝材の加工精度、光の平行度の許容範囲等を考慮して、2つの側面のなす角度が0±5度の範囲にある場合を「平行」と称する。
【0030】
本実施形態の場合、第2透過光学素子16は、4個の第2側面16cを有するが、第2側面16cの数は必ずしも4個でなくてもよく、2×n(n:2以上の自然数)個であることが望ましい。すなわち、第2側面16cの数は、例えば6個、8個等、偶数個であることが望ましい。第2側面16cの数が偶数個であれば、全ての第2側面16cのそれぞれは、当該第2側面16cに対向する第2側面16cに対して平行になり、平行な対を持たない第2側面16cが存在しない。これにより、第2透過光学素子16における迷光の発生が少なく、光利用効率を高めることができる。
【0031】
第2透過光学素子16は、石英で構成されていてもよい。第2透過光学素子16においては、透光性部材を透過する光の量が多くなるに従って、透光性部材で吸収される光の量も多くなり、透光性部材に熱歪みが生じる場合がある。この場合、第2光源部12から射出される緑色光LGの偏光方向が乱れ、透光性部材に入射した直線偏光が楕円偏光になって透光性部材から射出される。その結果、プロジェクター20において各発光素子25,26,27にレーザーダイオードを用いることにより、入射側偏光板を備えることなく、所定のコントラストが得られる、という効果が得られなくなる。すなわち、各発光素子25,26,27にレーザーダイオードを用いているにもかかわらず、偏光方向を揃えるための入射側偏光板を用いる必要が生じる。そこで、上記の効果を得るために、熱歪みの少ない硝材として、ヤング率と熱膨張係数とが小さい硝材を用いることが望ましく、一例として石英を用いることが望ましい。
【0032】
図1に示すように、第1透過光学素子15は、光軸AX1上に設けられている。第1透過光学素子15は、回転可能に支持された透光性部材から構成されている。第1透過光学素子15は、Y軸方向に沿って延びる第1回転軸C1を中心として回転可能とされている。第1回転軸C1は、第1回転駆動装置35に連結されている。第1透過光学素子15は、第1回転駆動装置35の駆動によって第1回転軸C1を中心として回転する。
【0033】
第1透過光学素子15は、第1回転軸C1に交差する第1面15aおよび第2面15bと、第1面15aおよび第2面15bに対して垂直に接する4つの第1側面15cと、を有する。第1透過光学素子15は、第1回転軸C1を中心として回転しつつ、第1光源部11から射出される青色光LBを透過させる。第1透過光学素子15において、第1光源部11から射出される青色光LBが入射する第1側面15cを第1入射面と称する。第1入射面から入射する青色光LBを射出させる第1側面15cを第1射出面と称する。第1入射面および第1射出面は、時間を追って変化し、4つの第1側面15cのうちの互いに平行な2つの第1側面15cのいずれかである。
【0034】
本実施形態の場合、第1透過光学素子15は、4個の第1側面15cを有するが、第1側面15cの数は必ずしも4個でなくてもよく、2×m(m:2以上の自然数)個であることが望ましい。すなわち、第1側面15cの数は、例えば6個、8個等、偶数個であることが望ましい。第1側面15cの数が偶数個であれば、全ての第1側面15cのそれぞれは、当該第1側面15cに対向する第1側面15cに対して平行になり、平行でない第1側面15cが存在しない。これにより、第1透過光学素子15における迷光の発生が少なく、光利用効率を高めることができる。
【0035】
第3透過光学素子17は、光軸AX3上に設けられている。第3透過光学素子17は、回転可能に支持された透光性部材から構成されている。第3透過光学素子17は、Y軸方向に沿って延びる第3回転軸C3を中心として回転可能とされている。第3回転軸C3は、第3回転駆動装置37に連結されている。第3透過光学素子17は、第3回転駆動装置37の駆動によって第3回転軸C3を中心として回転する。
【0036】
第3透過光学素子17は、第3回転軸C3に交差する第5面17aおよび第6面17bと、第5面17aおよび第6面17bに対して垂直に接する4つの第3側面17cと、を有する。第3透過光学素子17は、第3回転軸C3を中心として回転しつつ、第3光源部13から射出される赤色光LRを透過させる。第3透過光学素子17において、第3光源部13から射出される赤色光LRが入射する第3側面17cを第3入射面と称する。第3入射面から入射する赤色光LRを射出させる第3側面17cを第3射出面と称する。第3入射面および第3射出面は、時間を追って変化し、4つの第3側面17cのうちの互いに平行な2つの第3側面17cのいずれかである。
【0037】
本実施形態の場合、第3透過光学素子17は、4個の第3側面17cを有するが、第3側面17cの数は必ずしも4個でなくてもよく、2×p(p:2以上の自然数)個であることが望ましい。すなわち、第3側面17cの数は、例えば6個、8個等、偶数個であることが望ましい。第3側面17cの数が偶数個であれば、全ての第3側面17cのそれぞれは、当該第3側面17cに対向する第3側面17cに対して平行になり、平行でない第3側面17cが存在しない。これにより、第3透過光学素子17における迷光の発生が少なく、光利用効率を高めることができる。
【0038】
第1透過光学素子15、第2透過光学素子16、および第3透過光学素子17は、互いに異なる硝材から構成されており、屈折率が互いに異なる。具体的には、第1透過光学素子15の屈折率は、第2透過光学素子16の屈折率よりも小さく、第2透過光学素子16の屈折率は、第3透過光学素子17の屈折率よりも小さい。すなわち、第1透過光学素子15の屈折率をn1とし、第2透過光学素子16の屈折率をn2とし、第3透過光学素子17の屈折率をn3としたとき、n1<n2<n3の関係を満たす。
【0039】
以下、各色光LB,LG,LRが各透過光学素子15,16,17を透過する際の挙動について説明する。なお、各色光LB,LG,LRの挙動は互いに共通であるため、ここでは、第2光源部12から射出される緑色光LGで代表して説明する。
【0040】
図5A図5Fは、第2透過光学素子16が回転する際の緑色光LGの挙動を説明するための模式図である。この例では、+Y側から見て、第2透過光学素子16は第2回転軸C2を中心として時計回りに回転しており、図5Aから図5Fに向かって時間が経過している状態を示す。
【0041】
図5A図5Fにおいて、第2回転軸C2を通り、第2透過光学素子16の第2側面16c1に直交する直線Mと光軸AX2とのなす角度を第2透過光学素子16の回転角度ωと定義する。実際には緑色光LGはZ軸方向に所定の光束幅を有しているが、ここでは光軸AX2上を進行する光線LG0の挙動に着目して考える。
【0042】
図5Aは、第2透過光学素子16の初期状態を示す。すなわち、第2透過光学素子16は回転しておらず、直線Mと光軸AX2とが重なり、回転角度ωが0度である。この場合、光線LG0は、第2側面16c1に対して垂直に入射するため、第2側面16c1で屈折することなく、第2透過光学素子16の内部を光軸AX2に沿って進行する。次に、光線LG0は、第2側面16c1に対して平行な第2側面16c3に対しても垂直に入射する。そのため、光線は、第2側面16c3でも屈折することなく、第2透過光学素子16から射出され、光軸AX2上を進行する。
【0043】
次に、図5Bに示すように、第2透過光学素子16が回転角度ωだけ回転すると、光線LG0は、第2側面16c1に対して回転角度ωと等しい入射角で入射する。そのため、光線LG0は、図に示す方向(+Z側)に屈折し、第2透過光学素子16の内部を進行する。次に、光線LG0は、第2側面16c3に対しても所定の入射角で入射するため、第2側面16c3で屈折し、第2透過光学素子16から射出される。このとき、第2側面16c1と第2側面16c3とが互いに平行であるため、第2側面16c1に対する光線LG0の入射角と第2側面16c3に対する光線LG0の入射角とが等しく、第2側面16c1に入射する光線LG0の屈折角と第2側面16c3から射出される光線LG0の屈折角とは、符号が逆向きで絶対値が等しくなる。これにより、光線LG0の第2側面16c1への入射時の屈折角と第2側面16c3からの射出時の屈折角とが相殺される。その結果、光線LG0は、光軸AX2から+Z側に変位量dだけ変位した位置を光軸AX2と平行に進行する。
【0044】
次に、図5Cに示すように、第2透過光学素子16の回転角度ωが図5Bよりも大きくなると、光線LG0の入射角が大きくなり、屈折角が大きくなる。そのため、光線LG0の光軸AX2からの変位量dは、図5Bのときよりも大きくなる。また、光線LG0が光軸AX2と平行に進行する状態は常に維持される。回転角度ωが0度から45度までの間は、回転角度ωの増加に伴って変位量dが単調に増加する。
【0045】
次に、図5Dに示すように、第2透過光学素子16の回転角度ωが45度を超えると、光線LG0の入射面が第2側面16c1から第2側面16c2に変わる。このとき、光線LG0は、第2側面16c2で屈折するが、図5Cまでの期間とは屈折方向が変わり、図に示す方向(-Z側)に屈折する。光線LG0の射出面も第2側面16c3から第2側面16c4に変わるが、第2側面16c2と第2側面16c4とが互いに平行であるため、光線LG0の第2側面16c3への入射時の屈折角と第2側面16c4からの射出時の屈折角とが相殺されるという関係は、図5Cまでの期間と変わらない。その結果、光線LG0は、光軸AX2から-Z側に変位量dだけ変位した位置を光軸AX2と平行に進行する。
【0046】
次に、図5Eに示すように、第2透過光学素子16の回転角度ωが図5Dよりも大きくなると、光線LG0の入射角が小さくなり、屈折角が小さくなる。そのため、光線LG0の光軸AX2からの変位量dは、図5Dのときよりも小さくなる。このように、回転角度ωが45度から90度までの間は、回転角度ωの増加に伴って変位量dが単調に減少する。
【0047】
次に、図5Fに示すように、第2透過光学素子16の回転角度ωが90度になると、入射面は初期状態の第2側面16c1から第2側面16c2に変わるが、光線LG0の挙動は、図5Aに示す初期状態と同じになる。
【0048】
このように、第2透過光学素子16の第2入射面と第2射出面とが互いに平行であれば、第2透過光学素子16の回転角度ωにかかわらず、光線LG0の進行方向が変化することはなく、光線LG0は時間の経過とともに光軸AX2と平行な方向に平行移動する。回転角度ωが0度のとき、光線LG0の変位量dは0であり、回転角度ωが0度から45度までの間は+Z側、-Z側のいずれか一方に変位量dが増加する。回転角度ωが45度を超えた瞬間に、変位量dの絶対値が同じままで変位の方向が逆になり、回転角度ωが45度から90度までの間は変位量dが減少し、回転角度ωが90度になると、変位量dは0となる。90度以降は、上記の挙動を繰り返す。したがって、第2透過光学素子16が1回転すると、光線LG0の変位量dは、上記のサイクルを4周期繰り返す。光線LG0の変位量は、第2透過光学素子16の屈折率、サイズ等のパラメーターを調整することで適宜設定することができる。
【0049】
以上、光軸AX2上を進行する光線LG0のみに着目して光の挙動を説明したが、実際には、図3に示すように、緑色光LGは、緑色光LGが変位するZ軸方向と直交するY軸方向に線状に長く延びている。そのため、緑色光LGは、被照明面(光変調装置43G)における2次元の被照明領域Q内で走査される。青色光LBおよび赤色光LRについても、後述する各反射素子41,42によって反射された後、緑色光LGと同様、被照明面(光変調装置43B,43R)における2次元の被照明領域Q内で走査される。このように、各透過光学素子15,16,17は、各回転軸C1,C2,C3を中心として回転する際に青色光LB、緑色光LG、および赤色光LRのそれぞれを、Y軸方向に直交する方向に走査することにより、被照明面における2次元の被照明領域Q内で走査する。
【0050】
図1に示すように、第1反射ミラー41は、第1透過光学素子15から射出される青色光LBを青色光用光変調装置43Bに向けて反射する。このように、第1反射ミラー41は、第1透過光学素子15から射出される青色光LBの光路を+X方向から-Z方向に折り曲げる。
【0051】
第2反射ミラー42は、第3透過光学素子17から射出される赤色光LRを赤色光用光変調装置43Rに向けて反射する。このように、第2反射ミラー42は、第3透過光学素子17から射出される赤色光LRの光路を+X方向から+Z方向に折り曲げる。
【0052】
緑色光用光変調装置43Gは、光源装置10の第2透過光学素子16から射出される緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色画像光を形成する。青色光用光変調装置43Bは、光源装置10の第1透過光学素子15から射出される青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色画像光を形成する。赤色光用光変調装置43Rは、光源装置10の第3透過光学素子17から射出される赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色画像光を形成する。各光変調装置43G,43B,43Rには、透過型の液晶パネルが用いられる。液晶パネルの駆動方式としては、ツイステッド・ネマティック(TN)方式、垂直配向(VA)方式、横電界(IPS)方式等が用いられ、特に限定されない。
【0053】
各光変調装置43G,43B,43Rの設置位置については、以下のように考えることが望ましい。
図6は、5つの発光素子から射出された光が所定の距離だけ伝播した際の照度分布の変化を示す模式図である。図6において、横軸は光の伝搬方向と直交する方向の発光素子の位置を示し、縦軸は伝播距離を示す。
【0054】
図6に示すように、各発光素子から射出される光が理想的なガウシアンビームである場合、等間隔に配置された5つの発光素子を点灯させると、光が伝播するにつれて、5つの光の照度分布を全て合成した合成照度分布は、徐々に平均化されてなだらかになる。さらに、各発光素子から射出される光が所定の距離だけ伝播した時点で、合成照度分布は、ほぼ凹凸を持たないフラットな形状となる。そのため、各発光素子から被照明面までの距離、すなわち、各発光素子から各光変調装置43G,43B,43Rまでの距離を、複数の光からなる合成照度分布がフラットな形状となる距離に一致するように設定することが望ましい。これにより、各光変調装置43G,43B,43Rにおいて均一な照度分布を得ることができる。
【0055】
図1に示すように、各光変調装置43G,43B,43Rの光射出側には、射出側偏光板44G,44B,44Rがそれぞれ設けられている。射出側偏光板44G,44B,44Rは、特定方向の直線偏光を透過させる。
【0056】
画像光合成素子45は、緑色光用光変調装置43G、青色光用光変調装置43B、および赤色光用光変調装置43Rから射出された各色の画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投写光学装置23に向けて射出する。画像光合成素子45には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0057】
青色光用光変調装置43Bと画像光合成素子45との間、および赤色光用光変調装置43Rと画像光合成素子45との間のそれぞれに、1/2波長板46B,46Rが設けられている。1/2波長板46B,46Rは、入射する色光に1/2波長の位相差を付与し、直線偏光の偏光方向を90度回転させる。これにより、画像光合成素子45に入射する緑色光LGの偏光方向と、画像光合成素子45に入射する青色光LBおよび赤色光LRの偏光方向と、を異ならせることができる。この構成によれば、画像光合成素子45の効率を高めることができる。
【0058】
投写光学装置23は、複数の投写レンズから構成されている。投写光学装置23は、画像光合成素子45から射出される画像光をスクリーン等の被投写面に向けて拡大投写する。これにより、被投写面上に画像が表示される。
【0059】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の光源装置10は、青色光LBを射出する第1光源部11と、緑色光LGを射出する第2光源部12と、赤色光LRを射出する第3光源部13と、Y軸方向に沿って延びる第1回転軸C1を中心として回転可能とされ、第1光源部11から射出する青色光LBを透過させる第1透過光学素子15と、Y軸方向に沿って延びる第2回転軸C2を中心として回転可能とされ、第2光源部12から射出する緑色光LGを透過させる第2透過光学素子16と、Y軸方向に沿って延びる第3回転軸C3を中心として回転可能とされ、第3光源部13から射出する赤色光LRを透過させる第3透過光学素子17と、を備える。第1光源部11から射出する青色光LBの主光線に垂直な断面形状は、Y軸方向に沿って延びる長軸を有する形状である。第2光源部12から射出する緑色光LGの主光線に垂直な断面形状は、Y軸方向に沿って延びる長軸を有する形状である。第3光源部13から射出する赤色光LRの主光線に垂直な断面形状は、Y軸方向に沿って延びる長軸を有する形状である。第1透過光学素子15において、青色光LBが入射する第1入射面と、第1入射面から入射する青色光LBが射出する第1射出面とは、互いに平行である。第2透過光学素子16において、緑色光LGが入射する第2入射面と、第2入射面から入射する緑色光LGが射出する第2射出面とは、互いに平行である。第3透過光学素子17において、赤色光LRが入射する第3入射面と、第3入射面から入射する赤色光LRが射出する第3射出面とは、互いに平行である。第1透過光学素子15の屈折率n1は、第2透過光学素子16の屈折率n2よりも小さく、第2透過光学素子16の屈折率n2は、第3透過光学素子17の屈折率n3よりも小さい。
【0060】
本実施形態のプロジェクター20は、光源装置10と、光源装置10から射出される青色光LB、緑色光LG、および赤色光LRを画像情報に基づいて変調する光変調装置43B,43G,43Rと、光変調装置43B,43G,43Rにより変調される光を投写する投写光学装置23と、を備える。
【0061】
従来の光源装置のように、光を走査する手段としてポリゴンミラーを用いた場合、ポリゴンミラーが回転しつつ光を反射するため、被照明面に入射する光の入射角が時間によって刻々と変化する。したがって、たとえポリゴンミラーに入射させる光が平行光であったとしても、ポリゴンミラーから射出される光は発散光となるため、被照明面に対して光を常に垂直に入射させることは極めて難しい。したがって、ポリゴンミラーを備える従来のプロジェクターにおいては、光変調装置における明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写光学装置での光の損失等が生じ、プロジェクターの画像品質が低下するおそれがある。
【0062】
上記の問題に対して、本実施形態の光源装置10によれば、図5A図5Fに示すように、青色光LB、緑色光LG、および赤色光LRのそれぞれは、各透過光学素子15,16,17の回転に伴って、各色光LB,LG,LRが対応する各光軸AX1,AX2,AX3に対して平行な状態を維持したまま、各色光LB,LG,LRの進行方向と直交する方向に変位する。また、各色光LB,LG,LRが各回転軸C1,C2,C3の延在方向に沿った長軸を有する細長い形状を有するため、各色光LB,LG,LRを任意の被照明面における2次元の被照明領域Q、具体的には各光変調装置43B,43G,43Rの光変調領域内で走査することができる。これにより、光変調装置43B,43G,43Rにおける明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写光学装置23での光の損失等が抑えられ、表示品質に優れるプロジェクター20を簡易な構成で実現することができる。
【0063】
一般に、透過光学素子を構成する硝材は波長分散を有するため、各色光が透過光学素子を透過する際に色収差が生じる。すなわち、各透過光学素子における光の屈折角が波長によって異なるため、走査量が波長によって異なる。具体的には、各色光の走査量は、赤色光、緑色光、青色光の順に大きくなる。これにより、各透過光学素子から射出される各色光により形成される被照明領域のサイズも、赤色光、緑色光、青色光の順に大きくなる。その結果、異なる色光を1つの被照明面に重ねて照射した場合、被照明領域の周縁部で色再現性が低下するため、その周縁部を有効光として使用しないことによる明るさ低下が生じるおそれがある。
【0064】
上記の課題に対して、本実施形態の光源装置10によれば、青色光LBを透過する第1透過光学素子15の屈折率n1は、緑色光LGを透過する第2透過光学素子16の屈折率n2よりも小さく、緑色光LGを透過する第2透過光学素子16の屈折率n2は、赤色光LRを透過する第3透過光学素子17の屈折率n3よりも小さい。そのため、色収差に起因する各色光の被照明領域のサイズの違いを上記の屈折率の大小で相殺することができ、各色光の被照明領域のサイズを揃えることができる。これにより、アクロマート、アポクロマート等の色収差補正用レンズを用いることなく、被照明領域の周縁部で生じる色再現性の低下を抑制することができる。その結果、画像全体にわたって色再現性に優れ、明るいプロジェクターを提供することができる。
【0065】
また、各色光LB,LG,LRが可干渉性を有するレーザー光であっても、各色光LB,LG,LRが各光変調装置43B,43G,43R上において2次元に高速に走査されることによって時間的に重畳される。これにより、可干渉性を有する光源を使用したことによる照度ムラを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態の光源装置10によれば、マルチレンズ等、光を矩形に成形するための光学系を用いなくても、略矩形の形状に照明することができる。そのため、全体の光路長を比較的短くすることができるとともに、光学部品を減らすことにより、光学系と空気との界面の数を減らすことができるため、界面反射による光のロスを低減することができる。
【0067】
本実施形態の光源装置10は走査型の照明装置であるため、光変調領域内の黒を表示したい領域に各色光が到達した際に各発光素子25,26,27を消灯することもできる。これにより、黒表示以外の領域のみを照明する方法、いわゆるエリア照明が可能となり、非走査型の従来の照明方式と比べて、入力電力に対する射出光強度の効率を十分に向上させることができる。これに伴って、黒表示時に射出側偏光板44B,44G,44Rで吸収される光が減ることにより、射出側偏光板44B,44G,44Rの負荷を軽減させることができる。これにより、射出側偏光板44B,44G,44Rの信頼性向上、有機材料からなる偏光板の採用によるコントラスト向上、等の効果が期待できる。
【0068】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図7および図8を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態とは異なる。
図7は、本実施形態のプロジェクター30の概略構成を示す平面図である。図8は、第2光源部、第2透過光学素子、および第5透過光学素子を示す斜視図である。
図7および図8において、第1実施形態の図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図7に示すように、本実施形態のプロジェクター30は、光源装置40と、第1反射ミラー41と、第2反射ミラー42と、緑色光用光変調装置43Gと、射出側偏光板44Gと、青色光用光変調装置43Bと、射出側偏光板44Bと、1/2波長板46Bと、赤色光用光変調装置43Rと、射出側偏光板44Rと、1/2波長板46Rと、画像光合成素子45と、投写光学装置23と、を備える。プロジェクター30のうち、光源装置40以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0070】
本実施形態の光源装置40は、第1光源部31と、第2光源部32と、第3光源部33と、第1透過光学素子15と、第2透過光学素子16と、第3透過光学素子17と、第1回転駆動装置35と、第2回転駆動装置36と、第3回転駆動装置37と、第4透過光学素子55と、第5透過光学素子56と、第6透過光学素子57と、第4回転駆動装置64と、第5回転駆動装置65と、第6回転駆動装置66と、を備える。
【0071】
各光源部31,32,33の配置は、第1実施形態の光源部11,12,13の配置と同様である。すなわち、第1光源部31、第2光源部32、および第3光源部33は、Z軸方向に並んで配置され、同じ側(+X側)に向けて各色光LB,LG,LRを射出する。ただし、第1実施形態の各光源部11,12,13は、Y軸方向に並んだ複数の発光素子25,26,27を備えていたのに対し、本実施形態の各光源部31,32,33は、1つの発光素子25,26,27を備えている。したがって、各光源部31,32,33から射出される各色光LB,LG,LRの主光線に垂直な断面形状は、必ずしもY軸方向に沿って延びる長軸を有する形状である必要はない。
【0072】
第1透過光学素子15、第2透過光学素子16、および第3透過光学素子17の構成は、第1実施形態の第1透過光学素子15、第2透過光学素子16、および第3透過光学素子17の構成と同様であるため、説明を省略する。ただし、本実施形態の場合、第1実施形態と異なり、各光源部31,32,33から射出される各色光LB,LG,LRがY軸方向に沿って長く延びていないため、Y軸方向の辺の長さをX軸方向およびZ軸方向の辺の長さよりも小さくしてもよい。すなわち、第1透過光学素子15、第2透過光学素子16、および第3透過光学素子17のそれぞれは、図8に示す立方体に近い形状に代えて、Y軸方向の辺の長さがX軸方向およびZ軸方向の辺の長さよりも短い直方体の形状としてもよい。これにより、これらの透過光学素子15,16,17の薄型化が図れる。各回転駆動装置35,36,37の構成も第1実施形態と同様である。
【0073】
第4透過光学素子55、第5透過光学素子56、および第6透過光学素子57は、第1透過光学素子15、第2透過光学素子16、および第3透過光学素子17と同様の構成を有するが、X軸を中心として第1透過光学素子15、第2透過光学素子16、および第3透過光学素子17を90度回転させた姿勢に設置されている。
【0074】
第5透過光学素子56は、光軸AX2上において第2透過光学素子16の光射出側に設けられている。第5透過光学素子56は、回転可能に支持された透光性部材から構成されている。第5透過光学素子56を構成する透光性部材の硝材として、例えばBK7等の光学ガラス、石英、樹脂等の透光性材料が用いられる。第5透過光学素子56は、Z軸方向に沿って延びる第5回転軸C5を中心として回転可能とされている。第5回転軸C5は、モーター等からなる第5回転駆動装置65に連結されている。第5透過光学素子56は、第5回転駆動装置65の駆動によって第5回転軸C5を中心として回転する。
【0075】
図8に示すように、第5透過光学素子56は、第5回転軸C5に交差する第9面56aおよび第10面56bと、第9面56aおよび第10面56bに対して垂直に接する4つの第5側面56cと、を有する。すなわち、第5透過光学素子56の形状は、第9面56a、第10面56b、および4つの第5側面56cを含む6つの平面を有する正4角柱である。第5回転軸C5に垂直な面で切断した第5透過光学素子56の断面形状は、正方形である。すなわち、4つの第5側面56cは、互いに同じ面積を有し、互いに対向する2つの第5側面56c同士は平行である。
【0076】
第5透過光学素子56は、第5回転軸C5を中心として回転しつつ、第2透過光学素子16から射出される緑色光LGを透過させる。そのため、第2透過光学素子16から射出される緑色光LGが第5透過光学素子56に入射する第5側面56cは、1つに決まっておらず、時間を追って変化する。第5透過光学素子56において、第2透過光学素子16から射出される緑色光LGが入射する第5側面56cを第5入射面と称する。第5入射面から入射する緑色光LGを射出させる第5側面56cを第5射出面と称する。この場合、第5入射面および第5射出面は、時間を追って変化し、4つの第5側面56cのうちの互いに平行な2つの第5側面56cのいずれかである。
【0077】
本実施形態の場合、第5透過光学素子56は、4個の第5側面56cを有するが、第5側面56cの数は必ずしも4個でなくてもよく、2×r(r:2以上の自然数)個であることが望ましい。すなわち、第5側面56cの数は、例えば6個、8個等、偶数個であることが望ましい。第5側面56cの数が偶数個であれば、全ての第5側面56cのそれぞれは、当該第5側面56cに対向する第5側面56cに対して平行になり、平行でない第5側面56cが存在しない。これにより、第5透過光学素子56における迷光の発生が少なく、光利用効率を高めることができる。
【0078】
図7に示すように、第4透過光学素子55は、光軸AX1上において第1透過光学素子15の光射出側に設けられている。第4透過光学素子55は、回転可能に支持された透光性部材から構成されている。第4透過光学素子55は、Z軸方向に沿って延びる第4回転軸C4を中心として回転可能とされている。第4回転軸C4は、第4回転駆動装置64に連結されている。第4透過光学素子55は、第4回転駆動装置64の駆動によって第4回転軸C4を中心として回転する。
【0079】
第4透過光学素子55は、第4回転軸C4に交差する第7面55aおよび第8面55bと、第7面55aおよび第8面55bに対して垂直に接する4つの第4側面55cと、を有する。第4透過光学素子55は、第4回転軸C4を中心として回転しつつ、第1透過光学素子15から射出される青色光LBを透過させる。第4透過光学素子55において、第1透過光学素子15から射出される青色光LBが入射する第4側面55cを第4入射面と称する。第4入射面から入射する青色光LBを射出させる第4側面55cを第4射出面と称する。第4入射面および第4射出面は、時間を追って変化し、4つの第4側面55cのうちの互いに平行な2つの第4側面55cのいずれかである。
【0080】
本実施形態の場合、第4透過光学素子55は、4個の第4側面55cを有するが、第4側面55cの数は必ずしも4個でなくてもよく、2×q(q:2以上の自然数)個であることが望ましい。すなわち、第4側面55cの数は、例えば6個、8個等、偶数個であることが望ましい。第4側面55cの数が偶数個であれば、全ての第4側面55cのそれぞれは、当該第4側面55cに対向する第4側面55cに対して平行になり、平行でない第4側面55cが存在しない。これにより、第4透過光学素子55における迷光の発生が少なく、光利用効率を高めることができる。
【0081】
第6透過光学素子57は、光軸AX3上において第3透過光学素子17の光射出側に設けられている。第6透過光学素子57は、回転可能に支持された透光性部材から構成されている。第6透過光学素子57は、Z軸方向に沿って延びる第6回転軸C6を中心として回転可能とされている。第6回転軸C6は、第6回転駆動装置66に連結されている。第6透過光学素子57は、第6回転駆動装置66の駆動によって第6回転軸C6を中心として回転する。
【0082】
第6透過光学素子57は、第6回転軸C6に交差する第11面57aおよび第12面57bと、第11面57aおよび第12面57bに対して垂直に接する4つの第6側面57cと、を有する。第6透過光学素子57は、第6回転軸C6を中心として回転しつつ、第3透過光学素子17から射出される赤色光LRを透過させる。第6透過光学素子57において、第3透過光学素子17から射出される赤色光LRが入射する第6側面57cを第6入射面と称する。第6入射面から入射する赤色光LRを射出させる第6側面57cを第6射出面と称する。第6入射面および第6射出面は、時間を追って変化し、4つの第6側面57cのうちの互いに平行な2つの第6側面57cのいずれかである。
【0083】
本実施形態の場合、第6透過光学素子57は、4個の第6側面57cを有するが、第6側面57cの数は必ずしも4個でなくてもよく、2×s(s:2以上の自然数)個であることが望ましい。すなわち、第6側面57cの数は、例えば6個、8個等、偶数個であることが望ましい。第6側面57cの数が偶数個であれば、全ての第6側面57cのそれぞれは、当該第6側面57cに対向する第6側面57cに対して平行になり、平行でない第6側面57cが存在しない。これにより、第6透過光学素子57における迷光の発生が少なく、光利用効率を高めることができる。
【0084】
第4回転軸C4、第5回転軸C5、および第6回転軸C6は、Z軸方向に延びる直線上に配置されている。この構成によれば、上記3つの回転軸C4,C5,C6がZ軸方向に延びる直線上に配置されていない場合と比べて、光源装置40のX軸方向のサイズを縮小することができる。
【0085】
本実施形態の場合、各色光LB,LG,LRが2つの透過光学素子15,16,17,55,56,57を透過するため、各色光LB,LG,LRは、時間の経過によって互いに直交する2方向に変位する。具体的には、図8に示すように、第2光源部32から射出される緑色光LGは、第2透過光学素子16によってZ軸方向に走査され、第5透過光学素子56によってZ軸方向と直交するY軸方向に走査される。すなわち、第2光源部32から射出される緑色光LGは、第2透過光学素子16と第5透過光学素子56とによって、被照明面における2次元の被照明領域Q(光変調装置)内で走査される。同様に、第1光源部31から射出される青色光LBは、第1透過光学素子15と第4透過光学素子55とによって、被照明面における2次元の被照明領域Q(光変調装置)内で走査される。第3光源部33から射出される赤色光LRは、第3透過光学素子17と第6透過光学素子57とによって、被照明面における2次元の被照明領域Q(光変調装置)内で走査される。
本実施形態のZ軸方向は、特許請求の範囲の第1走査方向に対応する。本実施形態のY軸方向は、特許請求の範囲の第2走査方向に対応する。
【0086】
第4透過光学素子55、第5透過光学素子56、および第6透過光学素子57は、互いに異なる硝材から構成されており、屈折率が互いに異なる。具体的には、第4透過光学素子55の屈折率は、第5透過光学素子56の屈折率よりも小さく、第5透過光学素子56の屈折率は、第6透過光学素子57の屈折率よりも小さい。すなわち、第4透過光学素子55の屈折率をn4とし、第5透過光学素子56の屈折率をn5とし、第6透過光学素子57の屈折率をn6としたとき、n4<n5<n6の関係を満たす。
プロジェクターのその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0087】
[第2実施形態の効果]
本実施形態においても、光変調装置43B,43G,43Rにおける明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写光学装置23での光の損失、可干渉性を有する光源を使用したことによる照度ムラ等の問題が改善できる、被照明領域の周縁部で生じる色再現性の低下を抑制でき、画像全体にわたって色再現性が向上する、光学部品を減らすことにより、光学系と空気との界面の数を減らすことができるため、界面反射による光のロスを低減することができる、光を矩形に成形するための光学系を用いずに光利用効率を高めることができる、エリア照明が可能となる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0088】
なお、第4透過光学素子55、第5透過光学素子56、および第6透過光学素子57は、Z軸方向に沿って互いに連結されていてもよい。この構成によれば、3つの回転駆動装置64,65,66を共通化することができるとともに、第4透過光学素子55、第5透過光学素子56、および第6透過光学素子57の回転の制御が容易になる。
【0089】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図9および図10を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態とは異なる。
図9は、本実施形態のプロジェクター50の概略構成を示す平面図である。図10は、プロジェクター50の概略構成を示す側面図である。なお、図10においては、図面を見やすくするため、第1、第3光源部、第1、第2選択反射ミラー等の図示を省略する。
図9および図10において、以前の実施形態の図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0090】
図9および図10に示すように、本実施形態のプロジェクター50は、光源装置60と、第1反射ミラー41と、第2反射ミラー42と、緑色光用光変調装置43Gと、射出側偏光板44Gと、青色光用光変調装置43Bと、射出側偏光板44Bと、1/2波長板46Bと、赤色光用光変調装置43Rと、射出側偏光板44Rと、1/2波長板46Rと、画像光合成素子45と、投写光学装置23と、を備える。プロジェクター50のうち、光源装置60以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0091】
本実施形態の光源装置60は、第1光源部31と、第2光源部32と、第3光源部33と、第1透過光学素子75と、第2透過光学素子76と、第3透過光学素子77と、第1回転駆動装置35と、第4透過光学素子55と、第5透過光学素子56と、第6透過光学素子57と、第4回転駆動装置64と、第1選択反射ミラー71と、第2選択反射ミラー72と、を備える。
【0092】
本実施形態においても、第2実施形態と同様、各光源部31,32,33は、1つの発光素子25,26,27を備えている。第1光源部31は、-Z側に向けて青色光LBを射出する。第2光源部32は、+X側に向けて緑色光LGを射出する。第3光源部33は、+Z側に向けて赤色光LRを射出する。すなわち、第1光源部31と第3光源部33とは、対向して配置され、互いに反対向きに光を射出する。また、光軸AX1と光軸AX3とは、同一の軸上に位置し、光軸AX2と直交する。
【0093】
図10に示すように、第1回転軸C1、第2回転軸C2、および第3回転軸C3は、Y軸方向に延びる1つの直線上に配置されている。また、第1透過光学素子75、第2透過光学素子76、および第3透過光学素子77は、Y軸方向に沿って並んで配置されている。本実施形態において、第1透過光学素子75、第2透過光学素子76、および第3透過光学素子77は、例えば光学接着剤等によりY軸方向に沿って互いに連結され、一体化されている。なお、第1透過光学素子75、第2透過光学素子76、および第3透過光学素子77は、互いに連結されておらず、互いに離れていてもよい。ただし、上記3つの透過光学素子75,76,77が互いに連結された構成によれば、回転駆動装置が1つで兼用でき、3つの透過光学素子75,76,77の回転の制御が容易になる。
【0094】
本実施形態の場合、第1透過光学素子75、第2透過光学素子76、および第3透過光学素子77がY軸方向に並んでいるため、第1光源部31、第2光源部32、および第3光源部33のY軸方向の位置が互いに異なる。すなわち、図9に示す第1光源部31、第2光源部32、および第3光源部33は、全てがXZ平面上に配置されているのではなく、図10に示すように、第2光源部32に対して、第1光源部31は-Y側にずれ、第3光源部33は+Y側にずれて配置されている。
【0095】
第1選択反射ミラー71は、第1光源部31から射出される青色光LBの光路上において、第1透過光学素子75、第2透過光学素子76、および第3透過光学素子77の積層体と第1光源部31との間に設けられている。第1選択反射ミラー71は、青色光を透過し、赤色光を反射するダイクロイックミラーから構成されている。第1光源部31から射出される青色光LBは、第1選択反射ミラー71を透過して第1透過光学素子75に入射する。第3透過光学素子77から射出される赤色光LRは、第1選択反射ミラー71で反射して第6透過光学素子57に入射する。
【0096】
第2選択反射ミラー72は、第3光源部33から射出される赤色光LRの光路上において、第1透過光学素子75、第2透過光学素子76、および第3透過光学素子77の積層体と第3光源部33との間に設けられている。第2選択反射ミラー72は、赤色光を透過し、青色光を反射するダイクロイックミラーから構成されている。第3光源部33から射出される赤色光LRは、第2選択反射ミラー72を透過して第3透過光学素子77に入射する。第1透過光学素子75から射出される青色光LBは、第2選択反射ミラー72で反射して第4透過光学素子55に入射する。
【0097】
図9に示すように、第4回転軸C4、第5回転軸C5、および第6回転軸C6は、Z軸方向に延びる1つの直線上に配置されている。また、第4透過光学素子55、第5透過光学素子56、および第6透過光学素子57は、Z軸方向に沿って並んで配置されている。本実施形態において、第4透過光学素子55、第5透過光学素子56、および第6透過光学素子57は、例えば光学接着剤等によりZ軸方向に沿って互いに連結され、一体化されている。なお、第4透過光学素子55、第5透過光学素子56、および第6透過光学素子57は、互いに連結されておらず、互いに離れていてもよい。ただし、上記3つの透過光学素子55,56,57が互いに連結された構成によれば、3つの透過光学素子55,56,57の回転駆動装置が1つで兼用でき、3つの透過光学素子55,56,57の回転の制御が容易になる。
プロジェクター50のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0098】
[第3実施形態の効果]
本実施形態においても、光変調装置43B,43G,43Rにおける明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写光学装置23での光の損失、可干渉性を有する光源を使用したことによる照度ムラ等の問題が改善できる、被照明領域の周縁部で生じる色再現性の低下を抑制でき、画像全体にわたって色再現性が向上する、光学部品を減らすことにより、光学系と空気との界面の数を減らすことができるため、界面反射による光のロスを低減することができる、光を矩形に成形するための光学系を用いずに光利用効率を高めることができる、エリア照明が可能となる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
また、本実施形態の光源装置60によれば、第2実施形態の光源装置40に比べて回転駆動装置の数を削減することができ、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0100】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図11および図12を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態とは異なる。
図11は、本実施形態のプロジェクター70の概略構成を示す平面図である。図12は、プロジェクター70の概略構成を示す側面図である。なお、図12においては、図面を見やすくするため、第1、第3光源部、第1、第2選択反射ミラー等の図示を省略する。
図11および図12において、以前の実施形態の図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
図11および図12に示すように、本実施形態のプロジェクター70は、光源装置80と、第1反射ミラー41と、第2反射ミラー42と、緑色光用光変調装置43Gと、射出側偏光板44Gと、青色光用光変調装置43Bと、射出側偏光板44Bと、1/2波長板46Bと、赤色光用光変調装置43Rと、射出側偏光板44Rと、1/2波長板46Rと、画像光合成素子45と、投写光学装置23と、を備える。プロジェクター70のうち、光源装置80以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0102】
本実施形態の光源装置80は、第1光源部31と、第2光源部32と、第3光源部33と、第1透過光学素子75と、第2透過光学素子76と、第3透過光学素子77と、第1回転駆動装置35と、第4透過光学素子55と、第5透過光学素子56と、第6透過光学素子57と、第4回転駆動装置64と、第1選択反射ミラー71と、第2選択反射ミラー72と、位置調整光学系82と、を備える。光源装置80のうち、位置調整光学系82以外の構成は、第3実施形態と同様である。
【0103】
位置調整光学系82は、青色光用調整プリズム83と、赤色光用調整プリズム84と、を備える。位置調整光学系82は、以下に説明するように、光源装置80の被照明面である各光変調装置43B,43G,43Rにおいて、Y軸方向における青色光LBの入射位置、Y軸方向における緑色光LGの入射位置、およびY軸方向における赤色光LRの入射位置を、互いに近付ける方向に調整する。
【0104】
青色光用調整プリズム83は、第1透過光学素子75から第4透過光学素子55に向かう青色光LBの光路上において、第2選択反射ミラー72と第4透過光学素子55との間に設けられている。青色光用調整プリズム83は、3角柱状のプリズムから構成されている。第1透過光学素子75から射出される青色光LBは、青色光用調整プリズム83で屈折し、緑色光LGの光路に近付く向きに光軸AX2に対して傾いて進み、青色光用光変調装置43Bの中心に入射する。このように、青色光用調整プリズム83は、第1透過光学素子75から射出される青色光LBを緑色光LGの光路に近付くように屈折させる。図12において、青色光LBは実際には青色光用光変調装置43Bに入射するが、他の色光の光路との位置関係を見やすくするため、緑色光用光変調装置43Gに入射するように記載している。
【0105】
赤色光用調整プリズム84は、第3透過光学素子77から第6透過光学素子57に向かう赤色光LRの光路上において、第1選択反射ミラー71と第6透過光学素子57との間に設けられている。赤色光用調整プリズム84は、3角柱状のプリズムから構成されている。第3透過光学素子77から射出される赤色光LRは、赤色光用調整プリズム84で屈折し、緑色光LGの光路に近付く向きに光軸AX2に対して傾いて進み、赤色光用光変調装置43Rの中心に入射する。このように、赤色光用調整プリズム84は、第3透過光学素子77から射出される赤色光LRを緑色光LGの光路に近付くように屈折させる。図12において、赤色光LRについても、青色光LBと同様、図面を見やすくするため、緑色光用光変調装置43Gに入射するように記載している。
プロジェクター70のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0106】
[第4実施形態の効果]
本実施形態においても、光変調装置43B,43G,43Rにおける明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写光学装置23での光の損失、可干渉性を有する光源を使用したことによる照度ムラ等の問題が改善できる、被照明領域の周縁部で生じる色再現性の低下を抑制でき、画像全体にわたって色再現性が向上する、光学部品を減らすことにより、光学系と空気との界面の数を減らすことができるため、界面反射による光のロスを低減することができる、光を矩形に成形するための光学系を用いずに光利用効率を高めることができる、エリア照明が可能となる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0107】
第3実施形態の光源装置60においては、第1~第3透過光学素子75,76,77の構成が簡略化される反面、上記3つの透過光学素子75,76,77がY軸方向に並んだ構成であるため、図10に示すように、各光変調装置43B,43G,43Rにおける各色光LB,LG,LRのY軸方向の入射位置が互いにずれる。その結果、表示画像のY軸方向の両端で色ずれが生じるおそれがある。これに対し、本実施形態の光源装置80によれば、位置調整光学系82が各光変調装置43B,43G,43Rに対する各色光LB,LG,LRのY軸方向の入射位置を互いに近付ける方向に調整するため、各色光LB,LG,LRが各光変調装置43B,43G,43Rの中心に入射し、表示画像のY軸方向の両端で生じる色ずれを抑制することができる。
【0108】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図13および図14を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態とは異なる。
図13は、本実施形態のプロジェクター90の概略構成を示す平面図である。図14は、プロジェクター90の概略構成を示す側面図である。なお、図14においては、図面を見やすくするため、第1、第3光源部、第1、第2選択反射ミラー等の図示を省略する。
図13および図14において、以前の実施形態の図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0109】
図13および図14に示すように、本実施形態のプロジェクター90は、光源装置100と、第1反射ミラー41と、第2反射ミラー42と、緑色光用光変調装置43Gと、射出側偏光板44Gと、青色光用光変調装置43Bと、射出側偏光板44Bと、1/2波長板46Bと、赤色光用光変調装置43Rと、射出側偏光板44Rと、1/2波長板46Rと、画像光合成素子45と、投写光学装置23と、を備える。プロジェクター90のうち、光源装置100以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0110】
本実施形態の光源装置100は、第1光源部31と、第2光源部32と、第3光源部33と、第1透過光学素子75と、第2透過光学素子76と、第3透過光学素子77と、第1回転駆動装置35と、第4透過光学素子55と、第5透過光学素子56と、第6透過光学素子57と、第4回転駆動装置64と、第1選択反射ミラー71と、第2選択反射ミラー72と、位置調整光学系86と、を備える。光源装置100が位置調整光学系86を備える点は第4実施形態と同様であるが、位置調整光学系86の位置が第4実施形態とは異なる。
【0111】
位置調整光学系86は、青色光用調整プリズム87と、赤色光用調整プリズム88と、を備える。本実施形態において、青色光用調整プリズム87は、第4透過光学素子55から青色光用光変調装置43Bに向かう青色光LBの光路上において、第4透過光学素子55と第1反射ミラー41との間に設けられている。赤色光用調整プリズム88は、第6透過光学素子57から赤色光用光変調装置43Rに向かう赤色光LRの光路上において、第6透過光学素子57と第2反射ミラー42との間に設けられている。
光源装置100のその他の構成は、第4実施形態と同様である。
【0112】
[第5実施形態の効果]
本実施形態においても、光変調装置43B,43G,43Rにおける明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写光学装置23での光の損失、可干渉性を有する光源を使用したことによる照度ムラ等の問題が改善できる、被照明領域の周縁部で生じる色再現性の低下を抑制でき、画像全体にわたって色再現性が向上する、光学部品を減らすことにより、光学系と空気との界面の数を減らすことができるため、界面反射による光のロスを低減することができる、光を矩形に成形するための光学系を用いずに光利用効率を高めることができる、エリア照明が可能となる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0113】
また、本実施形態においても、表示画像のY軸方向の両端で生じる色ずれを抑制することができる、といった第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0114】
なお、第4、第5実施形態においては、位置調整光学系82,86を用いて各光変調装置43B,43G,43Rに対する各色光LB,LG,LRのY軸方向の入射位置を調整しているが、この構成に代えて、第1反射ミラー41および第2反射ミラー42の角度を変えることにより、光変調装置43B,43G,43Rに対する各色光LB,LG,LRのY軸方向の入射位置を調整してもよい。
【0115】
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について、図15および図16を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態とは異なる。
図15は、本実施形態のプロジェクター110の概略構成を示す平面図である。図16は、プロジェクター110の概略構成を示す側面図である。なお、図16においては、図面を見やすくするため、第1、第3光源部、第1、第2選択反射ミラー等の図示を省略する。
図15および図16において、以前の実施形態の図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0116】
図13および図14に示すように、本実施形態のプロジェクター110は、光源装置120と、第1反射ミラー41と、第2反射ミラー42と、緑色光用光変調装置43Gと、射出側偏光板44Gと、青色光用光変調装置43Bと、射出側偏光板44Bと、1/2波長板46Bと、赤色光用光変調装置43Rと、射出側偏光板44Rと、1/2波長板46Rと、画像光合成素子45と、投写光学装置23と、を備える。プロジェクター110のうち、光源装置120以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0117】
本実施形態の光源装置120は、第1光源部31と、第2光源部32と、第3光源部33と、第1透過光学素子75と、第2透過光学素子76と、第3透過光学素子77と、第1回転駆動装置35と、第4透過光学素子55と、第5透過光学素子56と、第6透過光学素子57と、第4回転駆動装置64と、第1選択反射ミラー71と、第2選択反射ミラー72と、位置調整光学系82と、平行化光学系92と、を備える。本実施形態の光源装置120は、平行化光学系92を備える点で第4実施形態とは異なる。
【0118】
平行化光学系92は、青色光用平行化プリズム93と、赤色光用平行化プリズム94と、を備える。平行化光学系92は、以下に説明するように、第4透過光学素子55から青色光用光変調装置43Bに向かう青色光LBの光路、第5透過光学素子56から緑色光用光変調装置43Gに向かう緑色光LGの光路、および第6透過光学素子57から赤色光用光変調装置43Rに向かう赤色光LRの光路を、互いに平行に近付くように調整する。
【0119】
青色光用平行化プリズム93は、第4透過光学素子55から青色光用光変調装置43Bに向かう青色光LBの光路上において、第4透過光学素子55と第1反射ミラー41との間に設けられている。青色光用平行化プリズム93は、青色光用調整プリズム83とは逆向きに配置された3角柱状のプリズムから構成されている。第4透過光学素子55から射出される青色光LBは、青色光用平行化プリズム93で屈折し、緑色光LGの光路、すなわち光軸AX2に対して平行に進み、青色光用光変調装置43Bの中心に入射する。
【0120】
赤色光用平行化プリズム94は、第6透過光学素子57から赤色光用光変調装置43Rに向かう赤色光LRの光路上において、第6透過光学素子57と第2反射ミラー42との間に設けられている。赤色光用平行化プリズム94は、赤色光用調整プリズム84とは逆向きに配置された3角柱状のプリズムから構成されている。第6透過光学素子57から射出される赤色光LRは、赤色光用平行化プリズム94で屈折し、緑色光LGの光路、すなわち光軸AX2に対して平行に進み、赤色光用光変調装置43Rの中心に入射する。
光源装置120のその他の構成は、第4実施形態と同様である。
【0121】
[第6実施形態の効果]
本実施形態においても、光変調装置43B,43G,43Rにおける明るさやコントラストの低下、色むらの発生、投写光学装置23での光の損失、可干渉性を有する光源を使用したことによる照度ムラ等の問題が改善できる、被照明領域の周縁部で生じる色再現性の低下を抑制でき、画像全体にわたって色再現性が向上する、光学部品を減らすことにより、光学系と空気との界面の数を減らすことができるため、界面反射による光のロスを低減することができる、光を矩形に成形するための光学系を用いずに光利用効率を高めることができる、エリア照明が可能となる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0122】
第4、第5実施形態においては、青色光LBおよび赤色光LRが各光変調装置43B,43Rに対して斜めに入射するため、液晶パネルの視野角特性の影響によってコントラスト等の表示品質が低下するおそれがある。これに対して、本実施形態の光源装置120によれば、青色光LB、緑色光LG、および赤色光LRの全てが各光変調装置43B,43G,43Rに対して垂直に入射するため、上記の液晶パネルの視野角特性の影響による表示品質の低下を抑制することができる。
【0123】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記の各実施形態の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0124】
第2~第6実施形態の光源装置においては、各透過光学素子の屈折率の大小関係について、n1<n2<n3、n4<n5<n6の2つの関係をともに満たす例を挙げたが、いずれか一方の関係のみを満たす構成であってもよい。その場合、上記の関係を満たさない側については、例えばn1=n2=n3またはn4=n5=n6であってもよい。この場合、光変調装置の水平方向および垂直方向のいずれか一方における被照明領域のサイズの違いを改善することができる。一般に、光変調装置の光変調領域のアスペクト比は16:9、4:3等であり、水平方向の寸法が垂直方向の寸法よりも長いことが多い。したがって、上記のいずれか一方の関係を満たす場合には、被照明領域の水平方向のサイズを調整するよりも、垂直方向のサイズを調整する方が効果的である。
【0125】
第6実施形態の光源装置では、位置調整光学系と平行化光学系とが用いられているが、これら2つの光学系の機能を1つの光学系で兼ね、被照明面に対する各色光の第1方向における入射位置を互いに近付けるとともに、互いに平行に近付けるように調整する光学系が用いられてもよい。
【0126】
上記実施形態の光源装置においては、透過光学素子の形状として、側面の数が偶数の多角柱の例を挙げた。迷光の発生が少なく、光利用効率が高いという観点では、側面の数が偶数の多角柱が望ましい。ただし、互いに平行な1組の入射面および射出面を有していれば、側面の数が偶数の多角柱以外の形状であってもよい。また、本願実施形態における「回転」は、透過光学素子を揺動して同様な走査を行うことも含めることができる。
【0127】
その他、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶パネルを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。
【0128】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0129】
(付記1)
第1波長帯の第1光を射出する第1光源部と、
前記第1波長帯よりも長波長の第2波長帯の第2光を射出する第2光源部と、
前記第2波長帯よりも長波長の第3波長帯の第3光を射出する第3光源部と、
前記第1光の入射方向に交差する第1方向に沿って延びる第1回転軸を中心として回転し、前記第1光源部から射出する前記第1光を透過させる第1透過光学素子と、
前記第1方向に沿って延びる第2回転軸を中心として回転し、前記第2光源部から射出する前記第2光を透過させる第2透過光学素子と、
前記第1方向に沿って延びる第3回転軸を中心として回転し、前記第3光源部から射出する前記第3光を透過させる第3透過光学素子と、
を備え、
前記第1光源部から射出する前記第1光の主光線に垂直な前記第1光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、
前記第2光源部から射出する前記第2光の主光線に垂直な前記第2光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、
前記第3光源部から射出する前記第3光の主光線に垂直な前記第3光の断面形状は、前記第1方向に沿って延びる長軸を有する形状であり、
前記第1透過光学素子において、前記第1光が入射する第1入射面と、前記第1入射面から入射する前記第1光が射出する第1射出面とは、互いに平行であり、
前記第2透過光学素子において、前記第2光が入射する第2入射面と、前記第2入射面から入射する前記第2光が射出する第2射出面とは、互いに平行であり、
前記第3透過光学素子において、前記第3光が入射する第3入射面と、前記第3入射面から入射する前記第3光が射出する第3射出面とは、互いに平行であり、
前記第1透過光学素子の屈折率は、前記第2透過光学素子の屈折率よりも小さく、
前記第2透過光学素子の屈折率は、前記第3透過光学素子の屈折率よりも小さい、光源装置。
【0130】
付記1の構成によれば、各光源部から射出される各光は、各透過光学素子の回転に伴って、光軸に対して平行な状態を維持したまま、光の進行方向と直交する方向に変位する。これにより、被照明面に対して光を常に一定の角度で入射させることができる。また、色収差に起因する各光の被照明領域のサイズの違いを相殺し、各色光の被照明領域のサイズを揃えることができる。これにより、色収差補正用レンズを用いることなく、被照明領域の周縁部で生じる色ずれを低減することができる。
【0131】
(付記2)
前記第1透過光学素子は、前記第1回転軸を中心として回転する際に前記第1光を前記第1方向に直交する方向に走査することにより、前記第1光を被照明面における2次元の被照明領域内で走査し、
前記第2透過光学素子は、前記第2回転軸を中心として回転する際に前記第2光を前記第1方向に直交する方向に走査することにより、前記第2光を前記被照明領域内で走査し、
前記第3透過光学素子は、前記第3回転軸を中心として回転する際に前記第3光を前記第1方向に直交する方向に走査することにより、前記第3光を前記被照明領域内で走査する、付記1に記載の光源装置。
【0132】
付記2の構成によれば、第1光、第2光、および第3光のそれぞれについて同一の2次元の被照明領域内を照明することができる。
【0133】
(付記3)
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子のそれぞれは、石英から構成されている、付記1または付記2に記載の光源装置。
【0134】
付記3の構成によれば、石英のヤング率と熱膨張係数とが小さいため、各透過光学素子の熱歪みが小さく、光の偏光方向の乱れを抑えることができる。
【0135】
(付記4)
前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸は、前記第1方向に直交する第2方向に延びる直線上に配置されている、付記1から付記3までのいずれか一つに記載の光源装置。
【0136】
付記4の構成によれば、上記3つの回転軸が第2方向に延びる直線上に配置されていない場合と比べて、光源装置の小型化を図ることができる。
【0137】
(付記5)
第1波長帯の第1光を射出する第1光源部と、
前記第1波長帯よりも長波長の第2波長帯の第2光を射出する第2光源部と、
前記第2波長帯よりも長波長の第3波長帯の第3光を射出する第3光源部と、
前記第1光の入射方向に交差する第1方向に沿って延びる第1回転軸を中心として回転し、前記第1光源部から射出する前記第1光を透過させる第1透過光学素子と、
前記第2光の入射方向に交差する前記第1方向に沿って延びる第2回転軸を中心として回転し、前記第2光源部から射出する前記第2光を透過させる第2透過光学素子と、
前記第3光の入射方向に交差する前記第1方向に沿って延びる第3回転軸を中心として回転し、前記第3光源部から射出する前記第3光を透過させる第3透過光学素子と、
前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる第4回転軸を中心として回転し、前記第1透過光学素子から射出する前記第1光を透過させる第4透過光学素子と、
前記第2方向に沿って延びる第5回転軸を中心として回転し、前記第2透過光学素子から射出する前記第2光を透過させる第5透過光学素子と、
前記第2方向に沿って延びる第6回転軸を中心として回転し、前記第3透過光学素子から射出する前記第3光を透過させる第6透過光学素子と、
を備え、
前記第1透過光学素子において、前記第1光が入射する第1入射面と、前記第1入射面から入射する前記第1光が射出する第1射出面とは、互いに平行であり、
前記第2透過光学素子において、前記第2光が入射する第2入射面と、前記第2入射面から入射する前記第2光が射出する第2射出面とは、互いに平行であり、
前記第3透過光学素子において、前記第3光が入射する第3入射面と、前記第3入射面から入射する前記第3光が射出する第3射出面とは、互いに平行であり、
前記第4透過光学素子において、前記第1光が入射する第4入射面と、前記第4入射面から入射する前記第1光が射出する第4射出面とは、互いに平行であり、
前記第5透過光学素子において、前記第2光が入射する第5入射面と、前記第5入射面から入射する前記第2光が射出する第5射出面とは、互いに平行であり、
前記第6透過光学素子において、前記第3光が入射する第6入射面と、前記第6入射面から入射する前記第3光が射出する第6射出面とは、互いに平行であり、
前記第1透過光学素子の屈折率は、前記第2透過光学素子の屈折率よりも小さく、
前記第2透過光学素子の屈折率は、前記第3透過光学素子の屈折率よりも小さい関係、
および、
前記第4透過光学素子の屈折率は、前記第5透過光学素子の屈折率よりも小さく、
前記第5透過光学素子の屈折率は、前記第6透過光学素子の屈折率よりも小さい関係、
の少なくとも一方の関係を満たす、光源装置。
【0138】
付記5の構成によれば、各光源部から射出される各光は、各透過光学素子の回転に伴って、光軸に対して平行な状態を維持したまま、光の進行方向と直交する方向に変位する。これにより、被照明面に対して光を常に一定の角度で入射させることができる。また、色収差に起因する各光の被照明領域のサイズの違いを相殺し、各色光の被照明領域のサイズを揃えることができる。これにより、色収差補正用レンズを用いることなく、被照明領域の周縁部で生じる色ずれを低減することができる。
【0139】
(付記6)
前記第1透過光学素子は、前記第1回転軸を中心として回転することにより、前記第1光源部から射出する前記第1光を、被照明面における第1走査方向に走査し、
前記第2透過光学素子は、前記第2回転軸を中心として回転することにより、前記第2光源部から射出する前記第2光を、前記被照明面における前記第1走査方向に走査し、
前記第3透過光学素子は、前記第3回転軸を中心として回転することにより、前記第3光源部から射出する前記第3光を、前記被照明面における前記第1走査方向に走査し、
前記第4透過光学素子は、前記第4回転軸を中心として回転することにより、前記第1透過光学素子から射出する前記第1光を、前記被照明面における前記第1走査方向と交差する第2走査方向に走査し、
前記第5透過光学素子は、前記第5回転軸を中心として回転することにより、前記第2透過光学素子から射出する前記第2光を、前記被照明面における前記第2走査方向に走査し、
前記第6透過光学素子は、前記第6回転軸を中心として回転することにより、前記第3透過光学素子から射出する前記第3光を、前記被照明面における前記第2走査方向に走査し、
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、前記第3透過光学素子、前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、前記第1光、前記第2光、および前記第3光を、前記被照明面における2次元の被照明領域内で走査する、付記5に記載の光源装置。
【0140】
付記6の構成によれば、第1光、第2光、および第3光のそれぞれについて同一の2次元の被照明領域内を照明することができる。
【0141】
(付記7)
前記第1光源部、前記第2光源部、および前記第3光源部は、前記第2方向に並んで配置され、前記第1光、前記第2光、および前記第3光を同じ側に向けて射出し、
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子は、前記第2方向に沿って並んで配置されている、付記5または付記6に記載の光源装置。
【0142】
付記7の構成によれば、上記3つの透過光学素子が第2方向に沿って並んでいない場合と比べて、光源装置の小型化を図ることができる。
【0143】
(付記8)
前記第4回転軸、前記第5回転軸、および前記第6回転軸は、前記第2方向に延びる直線上に配置されている、付記7に記載の光源装置。
【0144】
付記8の構成によれば、上記3つの回転軸が第2方向に延びる直線上に配置されていない場合と比べて、光源装置の小型化を図ることができる。
【0145】
(付記9)
前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、前記第2方向に沿って互いに連結されている、付記8に記載の光源装置。
【0146】
付記9の構成によれば、上記3つの透過光学素子が互いに連結されていない場合と比べて、回転駆動装置の数を削減し、回転の制御を容易にすることができる。
【0147】
(付記10)
前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸は、前記第1方向に延びる直線上に配置され、
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子は、前記第1方向に沿って並んで配置されている、付記5または付記6に記載の光源装置。
【0148】
付記10の構成によれば、上記3つの透過光学素子が第1方向に沿って並んでいない場合と比べて、光源装置の小型化を図ることができる。
【0149】
(付記11)
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、および前記第3透過光学素子は、前記第1方向に沿って互いに連結されている、付記10に記載の光源装置。
【0150】
付記11の構成によれば、上記3つの透過光学素子が互いに連結されていない場合と比べて、回転駆動装置の数を削減し、回転の制御を容易にすることができる。
【0151】
(付記12)
前記第4回転軸、前記第5回転軸、および前記第6回転軸は、前記第2方向に延びる直線上に配置されている、付記10または付記11に記載の光源装置。
【0152】
付記12の構成によれば、上記3つの回転軸が第2方向に延びる直線上に配置されていない場合と比べて、光源装置の小型化を図ることができる。
【0153】
(付記13)
前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、前記第2方向に沿って互いに連結されている、付記12に記載の光源装置。
【0154】
付記13の構成によれば、上記3つの透過光学素子が互いに連結されていない場合と比べて、回転駆動装置の数を削減し、回転の制御を容易にすることができる。
【0155】
(付記14)
被照明面において、前記第1方向における前記第1光の入射位置、前記第1方向における前記第2光の入射位置、および前記第1方向における前記第3光の入射位置を、互いに近付ける方向に調整する位置調整光学系をさらに備える、付記10から付記13までのいずれか一つに記載の光源装置。
【0156】
付記14の構成によれば、被照明領域の第1方向の両端で生じる色ずれを抑制することができる。
【0157】
(付記15)
前記第4透過光学素子から前記被照明面に向かう前記第1光の光路、前記第5透過光学素子から前記被照明面に向かう前記第2光の光路、および前記第6透過光学素子から前記被照明面に向かう前記第3光の光路を、互いに平行に近付くように調整する平行化光学系をさらに備える、付記14に記載の光源装置。
【0158】
付記15の構成によれば、光源装置をプロジェクターに適用した場合に光変調装置の視野角特性の影響による表示品質の低下を抑制することができる。
【0159】
(付記16)
前記第1透過光学素子は、前記第1回転軸に交差する第1面および第2面と、前記第1面および前記第2面に接する2×m(m:2以上の自然数)個の第1側面と、を有し、
前記第1入射面および前記第1射出面は、前記2×m個の前記第1側面のうちの互いに平行な2つの前記第1側面であり、
前記第2透過光学素子は、前記第2回転軸に交差する第3面および第4面と、前記第3面および前記第4面に接する2×n(n:2以上の自然数)個の第2側面と、を有し、
前記第2入射面および前記第2射出面は、前記2×n個の前記第2側面のうちの互いに平行な2つの前記第2側面であり、
前記第3透過光学素子は、前記第3回転軸に交差する第5面および第6面と、前記第5面および前記第6面に接する2×p(p:2以上の自然数)個の第3側面と、を有し、
前記第3入射面および前記第3射出面は、前記2×p個の前記第3側面のうちの互いに平行な2つの前記第3側面であり、
前記第4透過光学素子は、前記第4回転軸に交差する第7面および第8面と、前記第7面および前記第8面に接する2×q(q:2以上の自然数)個の第4側面と、を有し、
前記第4入射面および前記第4射出面は、前記2×q個の前記第4側面のうちの互いに平行な2つの前記第4側面であり、
前記第5透過光学素子は、前記第5回転軸に交差する第9面および第10面と、前記第9面および前記第10面に接する2×r(r:2以上の自然数)個の第5側面と、を有し、
前記第5入射面および前記第5射出面は、前記2×r個の前記第5側面のうちの互いに平行な2つの前記第5側面であり、
前記第6透過光学素子は、前記第6回転軸に交差する第11面および第12面と、前記第11面および前記第12面に接する2×s(s:2以上の自然数)個の第6側面と、を有し、
前記第6入射面および前記第6射出面は、前記2×s個の前記第6側面のうちの互いに平行な2つの前記第6側面である、付記5から付記15までのいずれか一つに記載の光源装置。
【0160】
付記16の構成によれば、各透過光学素子において、互いに平行でない側面に入射する光が存在しないため、各透過光学素子における迷光の発生が少なく、光利用効率を高めることができる。
【0161】
(付記17)
前記第1透過光学素子、前記第2透過光学素子、前記第3透過光学素子、前記第4透過光学素子、前記第5透過光学素子、および前記第6透過光学素子は、石英から構成されている、付記5から付記16までのいずれか一つに記載の光源装置。
【0162】
付記17の構成によれば、石英のヤング率と熱膨張係数とが小さいため、各透過光学素子の熱歪みが小さく、光の偏光方向の乱れを抑えることができる。
【0163】
(付記18)
前記第1光源部は、前記第1波長帯の光を射出する第1発光素子を備え、
前記第2光源部は、前記第2波長帯の光を射出する第2発光素子を備え、
前記第3光源部は、前記第3波長帯の光を射出する第3発光素子を備え、
前記第1発光素子、前記第2発光素子、および前記第3発光素子のそれぞれは、レーザー光を射出するレーザーダイオードである、付記1から付記17までのいずれか一つに記載の光源装置。
【0164】
付記18の構成によれば、各光源部から直線偏光のレーザー光が射出されるため、プロジェクターの光変調装置として液晶パネルを用いた場合、入射側偏光板を省略することができる。
【0165】
(付記19)
前記第1光は青色光であり、前記第2光は緑色光であり、前記第3光は赤色光である、付記1から付記18までのいずれか一つに記載の光源装置。
【0166】
付記19の構成によれば、各光が光の3原色から構成されるため、フルカラーの画像を表示可能なプロジェクターを提供することができる。
【0167】
(付記20)
付記1から付記19までのいずれか一つに記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される前記第1光、前記第2光、および前記第3光を画像情報に基づいて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調される光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【0168】
付記20の構成によれば、カラー表示が可能であり、画像品質に優れるプロジェクターを実現することができる。
【符号の説明】
【0169】
10,40,60,80,100,120…光源装置、11,31…第1光源部、12,32…第2光源部、13,33…第1光源部、15,75…第1透過光学素子、15a…第1面、15b…第2面、15c…第1側面、16,76…第2透過光学素子、16a…第3面、16b…第4面、16c…第2側面、17,77…第3透過光学素子、17a…第5面、17b…第6面、17c…第3側面、20,30,50,70,90,110…プロジェクター、23…投写光学装置、25…第1発光素子、26…第2発光素子、27…第3発光素子、43B…青色光用光変調装置(光変調装置)、43G…緑色光用光変調装置(光変調装置)、43R…赤色光用光変調装置(光変調装置)、55…第4透過光学素子、55a…第7面、55b…第8面、55c…第4側面、56…第5透過光学素子、56a…第9面、56b…第10面、56c…第5側面、57…第6透過光学素子、57a…第11面、57b…第12面、57c…第6側面、82,86…位置調整光学系、92…平行化光学系、C1…第1回転軸、C2…第2回転軸、C3…第3回転軸、C4…第4回転軸、C5…第5回転軸、C6…第6回転軸、LB…青色光(第1光)、LG…緑色光(第2光)、LR…赤色光(第3光)、n1,n2,n3,n4,n5,n6…屈折率、Q…被照明領域。
図1
図2
図3
図4
図5A
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図6
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図9
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