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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132735
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043636
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】中原 泰志
(57)【要約】
【課題】本発明の実施形態は、信頼性の高い半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】
実施形態の半導体装置は、支持基板と、支持基板上に設けられ、第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第1積層体と、第1積層体上に設けられ、第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第2積層体と、支持基板と第2積層体の間に設けられた支持体と、第2積層体と支持体との間に第1樹脂組成物層とを有する。第2積層体の最も支持基板側に位置している半導体素子を第1半導体素子する。第1樹脂組成物層は、第1半導体素子と支持体を接続する。支持体の第2積層体側を向く面に支持体の長さ方向に延びる第1溝又は/及び支持体の幅方向に延びる第2溝を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上に設けられ、第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第1積層体と、
前記第1積層体上に設けられ、前記第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第2積層体と、
前記支持基板と前記第2積層体の間に設けられた支持体と、
前記第2積層体と前記支持体との間に第1樹脂組成物層とを有し、
前記第2積層体の最も前記支持基板側に位置している前記半導体素子を第1半導体素子とし、
前記第1樹脂組成物層は、前記第1半導体素子と前記支持体を接続し、
支持体の第2積層体側を向く面に前記支持体の長さ方向に延びる第1溝又は/及び前記支持体の幅方向に延びる第2溝を有する半導体装置。
【請求項2】
前記支持体の第1溝又は/第2の溝内に第1樹脂組成物層が存在する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体素子の厚さは、前記第1積層体及び前記第2積層体に含まれる半導体素子の厚さよりも厚い請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1積層体及び前記第2積層体を封止する樹脂体を有し、
前記第1樹脂組成物層は、前記樹脂体の内部のみに形成される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
支持基板上に第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子を有する第1積層体を設ける工程と、
支持体の表面に溝を形成する工程と、
前記支持基板上に第1積層体が設けられた前記支持基板上に溝が形成された支持体を設ける工程と、
前記支持体上に前記第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった最下段に第1半導体素子を含む複数の半導体素子を有し、前記第1半導体素子の前記支持基板側の面には、第1接着層を有する第2積層体を設ける工程と、
前記第1接着層を硬化させる工程と、
前記第1半導体素子と接続する配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のNANDフラッシュメモリチップを積層するなどしたパッケージにおいて、積層したNANDフラッシュメモリチップ同士はボンディングで接続されている。この構造の他にもNANDフラッシュメモリチップから配線基板に向かって垂直な配線を形成して、NANDフラッシュメモリチップをフリップチップ化して、垂直な配線の先端部分と配線基板をハンダで接合した形態も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許登録10002853
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、信頼性の高い半導体装置とその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、支持基板と、支持基板上に設けられ、第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第1積層体と、第1積層体上に設けられ、第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第2積層体と、支持基板と第2積層体の間に設けられた支持体と、第2積層体と支持体との間に第1樹脂組成物層とを有する。第2積層体の最も支持基板側に位置している半導体素子を第1半導体素子する。第1樹脂組成物層は、第1半導体素子と支持体を接続する。支持体の第2積層体側を向く面に支持体の長さ方向に延びる第1溝又は/及び支持体の幅方向に延びる第2溝を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
図2】実施形態に係る半導体装置の上面模式図。
図3】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
図4】実施形態に係る支持体の斜視模式図。
図5】実施形態に係る支持体の斜視模式図。
図6】実施形態に係る支持体の斜視模式図。
図7】実施形態に係る支持体の斜視模式図。
図8】実施形態に係る支持体の斜視模式図。
図9】実施形態に係る支持体の斜視模式図。
図10】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
図11】実施形態に係る半導体装置の模式上面図。
図12】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
図13】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
図14】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
図15】実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャート。
図16】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図17】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図18】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図19】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図20】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図21】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図22】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図23】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図24】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図25】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図26】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図27】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
図28】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
図29】実施形態に係る半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
本明細書では、いくつかの要素に複数の表現の例を付している。なおこれら表現の例はあくまで例示であり、上記要素が他の表現で表現されることを否定するものではない。また、複数の表現が付されていない要素についても、別の表現で表現されてもよい。
【0009】
また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係や各層の厚みの比率などは現実のものと異なることがある。また、図面相互間において互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることもある。また、図面において、一部の符号を省略している。
【0010】
実施形態において表している物性値は、大気圧下で25℃の値である。また、直径の値は、断面の外接円直径の値である。
【0011】
本明細書において、工程には独立した工程だけではなく、他の工程や他の処理と組み合わせも含まれる。本明書中の数値条件において、複数の数値範囲が記載されている場合、その数値範囲の上限値又は下限値は、他の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中の数値条件の上限値と下限値が記載されている場合、上限値と下限値を組み合わせた数値範囲の条件に置き換えることもできる。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態は、半導体装置とその製造方法に関する。図1に半導体装置100の模式断面図を示す。図2に半導体装置100の上面模式図を示す。図2は、半導体素子と支持体2の位置大きさの関係を説明するために一部の部材、例えば、樹脂体4などの図示を省略している。実施形態の半導体装置100は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載している。なお、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに交差し、互いに直交することが好ましい。
【0013】
半導体装置100は、複数の半導体素子が積層した構造を有する。図1に示す半導体装置100は、支持基板1、支持体2、第2樹脂組成物層3、樹脂体4、第2半導体素子10、第3樹脂組成物層11、第1パッド12、第1配線13、第2パッド14、第3半導体素子20、第4樹脂組成物層21、第3パッド22、第2配線23、第4パッド24、第1半導体素子30、第1樹脂組成物層31、第5パッド32、第3配線33、第6パッド34、第4半導体素子40、第5樹脂組成物層41、第7パッド42、第4配線43及び第8パッド44を有する。
【0014】
支持基板1は、複数の半導体素子(図1では、第2半導体素子10、第3半導体素子20、第1半導体素子30、第4半導体素子40)及び支持体2を支持している。支持基板1は、支持体2と直接的に接しない。
【0015】
支持基板1は、半導体基板、プリント基板、シリコン基板、ガラス板、セラミック板、樹脂板、リードフレーム等の金属板等である。
【0016】
第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子(第2半導体素子10及び第3半導体素子20)が積層した第1積層体と、第1積層体上に設けられ、第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子(第1半導体素子30及び第4半導体素子40)が積層した第2積層体とが支持基板1上に設けられている。第2積層体の最も支持基板1側に位置している半導体素子が第1半導体素子30である。
【0017】
第1積層体に含まれる半導体素子の数と第2積層体に含まれる半導体素子の数は同じでもよいし、異なっていてもよい。第1積層体に含まれる半導体素子の数よりも第2積層体に含まれる半導体素子の数が多い場合、配線が形成し難いことがある。第1積層体に含まれる半導体素子の数は、第2積層体に含まれる半導体素子の数以下であることが好ましい。
【0018】
支持体2は、支持基板1上に設けられたスペーサーである。支持体2と支持基板1の間には、第2樹脂組成物層3が存在する。支持体2と支持基板1は、第2樹脂組成物層3で固定されている。支持体2の支持基板1側とは反対側の面には、第2積層体が設けられている。
【0019】
支持体2の第2積層体側を向く面に支持体2の長さ方向に延びる第1溝又は/及び支持体2の幅方向に延びる第2溝を有することが好ましい。第1溝及び第2溝を含む支持体2に設けられた溝の幅W0は、10[μm]以上300[μm]以下が好ましく、より好ましくは50[μm]以上100[μm]以下である。第1溝及び第2溝を含む支持体2に設けられた溝の深さH0は、10[μm]以上300[μm]以下が好ましく、より好ましくは50[μm]以上100[μm]以下である。
【0020】
支持体2の高さと第2樹脂組成物層3の高さの和(支持基板1の第1半導体素子30側の面から、支持体2の第1半導体素子30側の面までの距離)をH1とする。第1積層体の高さ(半導体素子のパッドを考慮しない高さ)をH2とする。H1は、H2よりも高くすることも、H2より低くすることもできる。H1は、H2以上であることが好ましく、H2よりも1[μm]以上高いことがより好ましく、H2よりも20[μm]以上高いことがさらにより好ましい。また、H1=H2も好ましい。
【0021】
支持体2の長さをL1とする。支持体2の長さL2は、半導体素子のパッドが並ぶ方向の長さである。支持体2の長さL1は、支持体2の長さ方向の長さである。支持体2の長さ方向と同方向の第1半導体素子30の長さをL2とする場合、L1は、L2の50%以上150%以下が好ましい。L1は、L2よりも長いことが好ましい。L1は、L2の75%以上125%以下がより好ましい。
【0022】
支持体2は、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料を使用する。エポキシ樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Si との密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、支持体2の中にシリカやアルミナなどのフィラーが含まれていてもよい。
【0023】
第2樹脂組成物層3は、接着層(例えば、ダイアタッチフィルム)が硬化したものである。フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等である。第2樹脂組成物層3は、支持体2と直接的に接する。
【0024】
第2樹脂組成物層3の厚さは、典型的には、5[μm]以上100[μm]以下であることが好ましく、5[μm]以上50[μm]以下がより好ましい。第2樹脂組成物層3の厚さは、第1樹脂組成物層31の厚さより薄く、第1樹脂組成物層31の厚さの5%以上50%以下が好ましく、10%以上40%以下が好ましい。
【0025】
図1に示す樹脂体4は、半導体素子及び支持体2を封止する。樹脂体4は、絶縁性で、例えば、モールド樹脂である。第1配線13、第2配線23、第3配線33及び第4配線43は、樹脂体4の支持基板1側を向く面以外の面(外表面)に露出している。
【0026】
半導体装置100に含まれる第1樹脂組成物層31、第2樹脂組成物層3、第3樹脂組成物層11、第4樹脂組成物層21、第5樹脂組成物層41は、樹脂体4の支持基板1側を向く面以外の面(外表面)に露出していないことが好ましい。つまり、第1樹脂組成物層31は、樹脂体4の内部のみに形成されることが好ましい。
【0027】
半導体装置100に含まれる第1積層体、第2積層体及び支持体2は、樹脂体4の支持基板1側を向く面以外の面(外表面)に露出していないことが好ましい。
【0028】
樹脂体4は、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料を使用する。エポキシ樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Si との密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、樹脂体4の中にシリカやアルミナなどのフィラーが含まれていてもよい。
【0029】
第2半導体素子10は、第2半導体素子10は、支持基板1に載置されている。第2半導体素子10は、第1積層体に含まれる。第2半導体素子10は、第3樹脂組成物層11を介して支持基板1上に設けられている。第2半導体素子10と支持基板1の間には、第3樹脂組成物層11が存在する。第2半導体素子10と支持基板1は、第3樹脂組成物層11で固定されている。第2半導体素子10は、支持体2と直接的に接しない。第2半導体素子10と支持体2の間には、樹脂体4が設けられている。
【0030】
第2半導体素子10は、例えば、半導体メモリチップである。半導体メモリチップは、データの読み書きをする半導体チップである。
【0031】
不揮発性メモリチップとしては、NANDメモリチップ、相変化メモリチップ、抵抗変化メモリチップ、強誘電体メモリチップ、磁気メモリチップ等を用いることができる。揮発性メモリチップとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等を用いることができる。
【0032】
第1積層体及び第2積層体に含まれる半導体メモリチップは、個体差を除き同一回路を有する同一構造の半導体チップであることが好ましい。例えば、第1半導体素子30、第2半導体素子10、第3半導体素子20、第4半導体素子40は、個体差を除き同一回路を有する同一構造の半導体メモリチップである。
【0033】
第3樹脂組成物層11は、接着層(例えば、ダイアタッチフィルム)が硬化したものである。第3樹脂組成物層11は、支持体2と直接的に接しない。第3樹脂組成物層11と支持体2の間には、樹脂体4が設けられている。
【0034】
第3樹脂組成物層11は、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系、PBO(p-phenylenebenzobisoxazoLe)系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等である。
【0035】
第3樹脂組成物層11の厚さは、典型的には、5[μm]以上100[μm]以下であることが好ましく、5[μm]以上50[μm]以下がより好ましい。第3樹脂組成物層11の厚さは、第1樹脂組成物層31の厚さより薄く、第1樹脂組成物層31の厚さの5%以上50%以下が好ましく、10%以上40%以下が好ましい。
【0036】
第1パッド12は、第2半導体素子10の表面に設けられた端子である。第2半導体素子10は、複数の第1パッド12を含む。第1パッド12は、Y方向に複数並ぶ。第1パッド12は、信号用パッドと電源用パッドを含む。
【0037】
第1パッド12は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第1パッド12は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0038】
第1配線13は、第1パッド12に設けられた配線である。複数の第1配線13は、Y方向に並ぶ。第1配線13を介して、第2半導体素子10は、外部の配線基板又は半導体素子と電気的に接続する。第1配線13と支持基板1が電気的には接続しない場合、例えば、第1配線13は、第1パッド12から支持基板1側とは反対方向に延びる。
【0039】
第1配線13は、Cu又はPdで被覆されたCuが好ましい。第1配線13の直径は10[μm]以上50[μm]以下が好ましく、15[μm]以上30[μm]以下が好ましい。
【0040】
第2パッド14は、第1配線13の先端のメッキ部分である。第2パッド14は、例えば無電解めっきされたメッキ層である。
【0041】
第2パッド14は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第2パッド14は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0042】
第3半導体素子20は、第2半導体素子10に載置されている。第3半導体素子20は、第1積層体に含まれる。第3半導体素子20は、第4樹脂組成物層21を介して第2半導体素子10上に設けられている。第3半導体素子20と第2半導体素子10の間には、第4樹脂組成物層21が存在する。第3半導体素子20と第2半導体素子10は、第4樹脂組成物層21で固定されている。第3半導体素子20は、支持体2と直接的に接しない。第3半導体素子20と支持体2の間には、樹脂体4が設けられている。
【0043】
第3半導体素子20は、例えば、半導体メモリチップである。半導体メモリチップは、データの読み書きをする半導体チップである。
【0044】
第4樹脂組成物層21は、接着層(例えば、ダイアタッチフィルム)が硬化したものである。第4樹脂組成物層21は、支持体2と直接的に接しない。第4樹脂組成物層21と支持体2の間には、樹脂体4が設けられている。
【0045】
第4樹脂組成物層21は、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系、PBO(p-phenylenebenzobisoxazoLe)系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等である。
【0046】
第4樹脂組成物層21の厚さは、典型的には、5[μm]以上100[μm]以下であることが好ましく、5[μm]以上50[μm]以下がより好ましい。第4樹脂組成物層21の厚さは、第1樹脂組成物層31の厚さより薄く、第1樹脂組成物層31の厚さの5%以上50%以下が好ましく、10%以上40%以下が好ましい。
【0047】
第3パッド22は、第3半導体素子20の表面に設けられた端子である。第3半導体素子20は、複数の第3パッド22を含む。第3パッド22は、Y方向に複数並ぶ。第3パッド22は、信号用パッドと電源用パッドを含む。
【0048】
第2配線23は、第3パッド22に設けられた配線である。複数の第2配線23は、Y方向に並ぶ。第2配線23を介して、第3半導体素子20は、外部の配線基板又は半導体素子と電気的に接続する。第2配線23と支持基板1が電気的には接続しない場合、例えば、第2配線23は、第3パッド22から支持基板1側とは反対方向に延びる。
【0049】
第2配線23は、Cu又はPdで被覆されたCuが好ましい。第2配線23の直径は10[μm]以上50[μm]以下が好ましく、15[μm]以上30[μm]以下が好ましい。
【0050】
第4パッド24は、第2配線23の先端のメッキ部分である。第4パッド24は、例えば無電解めっきされたメッキ層である。
【0051】
第4パッド24は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第4パッド24は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0052】
第1半導体素子30は、支持体2に載置されている。第1半導体素子30は、第2積層体に含まれる。第1半導体素子30を含む第2積層体は、第1積層体よりも支持基板1から離間している。第1半導体素子30は、第1樹脂組成物層31を介して支持体2上に設けられている。第1半導体素子30と支持体2の間には、第1樹脂組成物層31が存在する。第1半導体素子30と支持体2は、第1樹脂組成物層31で固定されている。第1半導体素子30は、支持体2と直接的に接しない。第1半導体素子30と支持体2の間には、第1樹脂組成物層31が設けられている。
【0053】
第1半導体素子30は、例えば、半導体メモリチップである。半導体メモリチップは、データの読み書きをする半導体チップである。
【0054】
第1樹脂組成物層31は、接着層(例えば、ダイアタッチフィルム)が硬化したものである。第1樹脂組成物層31は、支持体2と直接的に接する。
【0055】
第1樹脂組成物層31は、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等である。
【0056】
第1樹脂組成物層31の厚さは、典型的には、20[μm]以上300[μm]以下であることが好ましい。第1樹脂組成物層31は、第3樹脂組成物層11よりも厚く、第3樹脂組成物層11よりも10[μm]以上200[μm]以下厚いことが好ましい。第4樹脂組成物層21よりも厚く、第4樹脂組成物層21よりも10[μm]以上200[μm]以下厚いことが好ましい。第5樹脂組成物層41よりも厚く、第5樹脂組成物層41よりも10[μm]以上200[μm]以下厚いことが好ましい。
【0057】
図3の半導体装置100の模式断面図に示すように第1樹脂組成物層31は、第1積層体側とは反対側にはみ出ている部分31Bが含まれることがある。このはみ出ている部分31Bは、樹脂体4の側面から表面(外表面)には露出していないことが好ましい。
【0058】
第5パッド32は、第1半導体素子30の表面に設けられた端子である。第1半導体素子30は、複数の第5パッド32を含む。第5パッド32は、Y方向に複数並ぶ。第5パッド32は、信号用パッドと電源用パッドを含む。
【0059】
第3配線33は、第5パッド32に設けられた配線である。複数の第3配線33は、Y方向に並ぶ。第3配線33を介して、第1半導体素子30は、外部の配線基板又は半導体素子と電気的に接続する。第3配線33と支持基板1が電気的には接続しない場合、例えば、第3配線33は、第5パッド32から支持基板1側とは反対方向に延びる。
【0060】
第3配線33は、Cu又はPdで被覆されたCuが好ましい。第3配線33の直径は10[μm]以上50[μm]以下が好ましく、15[μm]以上30[μm]以下が好ましい。
【0061】
第6パッド34は、第3配線33の先端のメッキ部分である。第6パッド34は、例えば無電解めっきされたメッキ層である。
【0062】
第6パッド34は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第6パッド34は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0063】
第4半導体素子40は、第1半導体素子30に載置されている。第4半導体素子40は、第2積層体に含まれる。第4半導体素子40は、第5樹脂組成物層41を介して第1半導体素子30上に設けられている。第4半導体素子40と第1半導体素子30の間には、第5樹脂組成物層41が存在する。第4半導体素子40と第1半導体素子30は、第5樹脂組成物層41で固定されている。第4半導体素子40は、支持体2と直接的に接しない。第4半導体素子40と支持体2の間には、第5樹脂組成物層41、第1半導体素子30及び第1樹脂組成物層31が設けられている。
【0064】
第4半導体素子40は、例えば、半導体メモリチップである。半導体メモリチップは、データの読み書きをする半導体チップである。
【0065】
第5樹脂組成物層41は、接着層(例えば、ダイアタッチフィルム)が硬化したものである。第5樹脂組成物層41は、支持体2と直接的に接しない。第5樹脂組成物層41と支持体2の間には、第1半導体素子30及び第1樹脂組成物層31が設けられている。
【0066】
第5樹脂組成物層41は、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系、PBO(p-phenylenebenzobisoxazoLe)系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等である。
【0067】
第5樹脂組成物層41の厚さは、典型的には、5[μm]以上100[μm]以下であることが好ましく、5[μm]以上50[μm]以下がより好ましい。第5樹脂組成物層41の厚さは、第1樹脂組成物層31の厚さより薄く、第1樹脂組成物層31の厚さの5%以上50%以下が好ましく、10%以上40%以下が好ましい。
【0068】
第7パッド42は、第4半導体素子40の表面に設けられた端子である。第4半導体素子40は、複数の第7パッド42を含む。第7パッド42は、Y方向に複数並ぶ。第7パッド42は、信号用パッドと電源用パッドを含む。
【0069】
第4配線43は、第7パッド42に設けられた配線である。複数の第4配線43は、Y方向に並ぶ。第4配線43を介して、第4半導体素子40は、外部の配線基板又は半導体素子と電気的に接続する。第4配線43と支持基板1が電気的には接続しない場合、例えば、第4配線43は、第7パッド42から支持基板1側とは反対方向に延びる。
【0070】
第4配線43は、Cu又はPdで被覆されたCuが好ましい。第4配線43の直径は10[μm]以上50[μm]以下が好ましく、15[μm]以上30[μm]以下が好ましい。
【0071】
第8パッド44は、第4配線43の先端のメッキ部分である。第8パッド44は、例えば無電解めっきされたメッキ層である。
【0072】
第8パッド44は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第8パッド44は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0073】
次に、図4から図9の斜視模式図を参照して、支持体2、第1溝及び第2溝について説明する。第1溝又は/及び第2溝は、支持体2の第1半導体素子30側に設けられている凹みである。第1溝又は/及び第2溝の内部には、第1樹脂組成物層31が存在することが好ましい。第1溝又は/及び第2溝の側面は、第1樹脂組成物層31と直接的に接していることが好ましい。第1溝又は/及び第2溝は、意図的に形成された凹みであり、意図せずに生じた欠け等ではない。意図的に形成された第1溝又は/及び第2溝の深さは、典型的には、10[μm]以上300[μm]以下である。より好ましくは50[μm]以上150[μm]以下である。第1溝又は/及び第2溝に、意図せずに生じた欠けによる凹み等が含まれていてもよい。
【0074】
支持体2の第1半導体素子30側の表面には、支持体2及び第1半導体素子30の長手方向に延びる第1溝が設けられていることが好ましい。
【0075】
支持体2の第1半導体素子30側の表面には、支持体2及び第1半導体素子30の長さ方向に延びる第1溝、及び、支持体2及び第1半導体素子30の幅方向に延びる第1溝が設けられていることが好ましい。
【0076】
図4に支持体2の溝の一例を示す。図4の支持体2の上面は、平坦面2Aと長さ方向(Y方向)に延びる第1溝2Bを有する。第1溝2Bは、支持体2の長さ方向の一方の端部から他方の端部まで連続した凹みである。図4の支持体2の第1溝2Bは、第1積層体側とは反対側に位置している。第1溝2Bは、第1積層体側とは反対側に設けられていることが好ましい。第1溝2Bは、支持体2の側面に設けられていることが好ましい。第1溝2Bは、支持体2の長さ方向と同方向又は略同方向が好ましい。
【0077】
図5に支持体2の溝の一例を示す。図5の支持体2の上面は、平坦面2A、長さ方向(Y方向)に延びる第1溝2B及び、幅方向(X方向)に延びる第2溝2Cを有する。第1溝2B及び第2溝2Cは、分離していてもよいし、連結していてもよい。第1溝2Bの断面形状は、図4の模式図では矩形で、図5の模式図では扇形である。第2溝2Cの断面形状は、図5の模式図では矩形である。溝の断面形状は、特に限定されない。第2溝2Cは、支持体2の幅方向と同方向又は略同方向が好ましい。
【0078】
図6に支持体2の溝の一例を示す。図6の支持体2の上面は、平坦面2A、長さ方向(Y方向)に延びる第1溝2B及び、長さ方向(Y方向)に延びる第1溝2Dを有する。第1溝2Bは、第1積層体側とは反対側に位置している。第1溝2Dは、第1積層体側に位置している。第1積層体側と第1積層体側とは反対側の両側に溝が設けられていてもよい。第1溝2Bの断面形状と第1溝2Dの断面形状は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0079】
図7に支持体2の溝の一例を示す。図7の支持体2の上面は、平坦面2A、長さ方向(Y方向)に延びる第1溝2E及び、幅方向(X方向)に延びる第2溝2Cを有する。第1溝2Eは、2段の溝になっている。複数段の溝である場合、格段の溝の形状は同じ(矩形と矩形)でもよいし、異なって(図7のように矩形と扇形)いてもよい。第2溝2Cは、2部存在する。
【0080】
図8に支持体2の溝の一例を示す。図8の支持体2の上面は、平坦面2A、長さ方向(Y方向)に延びる第1溝2B及び、幅方向(X方向)に延びる第2溝2Cを有する。第2溝2Cの一方は、第1溝2Bの一方の端部と接続し、第2溝2Cの他方は、第1溝2Bの他方の端部と接続している。
【0081】
図9に支持体2の溝の一例を示す。図9の支持体2の上面は、平坦面2Aと長さ方向(Y方向)に延びる第1溝2Fを有する。第1溝2Fは、支持体2の第1積層体側の側面と第1積層体側とは反対側の側面の内側に位置している。
【0082】
半導体装置100の第2積層体は、第1積層体及び支持体2上に設けられている。支持体2の高さH1と第1積層体の高さH2を同じに設計した場合に生じる公差を補う目的で、第1樹脂組成物層31の厚さは、他の樹脂組成物層よりも厚いことが好ましい。第1樹脂組成物層31の厚さが厚いと、支持体2に第1半導体素子30と硬化前の第1樹脂組成物層31の積層体を載置する際に、第1樹脂組成物層31がはみ出しやすい。はみ出し量を減らそうとすると、第1半導体素子30と硬化前の第1樹脂組成物層31の積層体が支持体2上に斜めに載置されてしまったり、支持体2と第1半導体素子30の間に樹脂体4が入り込んでしまったりする可能性もあるため、厚い第1樹脂組成物層31が好ましい。厚い第1樹脂組成物層31を用いると、はみ出し量が多くなる。はみ出し量が多いと、樹脂体4の側面に第1樹脂組成物層31が露出する可能性がある。第1樹脂組成物層31と樹脂体4では、熱伝導率や強度が異なるため、はみ出し量の誤差が半導体装置100の信頼性に影響を及ぼす可能性がある。そこで、厚い第1樹脂組成物層31を使用した場合でもはみ出し量が少なくなるように、第1溝又は/及び第2溝を設けることが好ましい。
【0083】
第1溝又は/及び第2溝に、第1樹脂組成物層31が入り込むことで第1樹脂組成物層31のはみ出し量を減らすことができる。
【0084】
第1溝又は/及び第2溝は、ブレード加工やレーザー加工で形成されることが好ましい。第1溝又は/及び第2溝がブレード加工で形成されると、ブレードによって溝の表面が粗くなる。表面が粗い溝の場合、粗い溝の凹凸に第1樹脂組成物層31が入り込みアンカー効果が生じることが好ましい。アンカー効果が生じることで、第1樹脂組成物層31と接している第1半導体素子30の耐振動性等が向上する。アンカー効果が生じると、第1半導体素子30や第4半導体素子40上に形成する第3配線33及び第4配線43を形成する際の超音波振動によって、第1半導体素子30及び第4半導体素子40が動くことを抑制することができる。
【0085】
支持体2が存在すると、第1半導体素子30や第4半導体素子40上に形成する第3配線33及び第4配線43を形成する際に、第5パッド32及び第7パッド42の下が支持体2で支えられているため、信頼性の高い配線を形成することができる。支持体2が無い場合は、第1半導体素子30や第4半導体素子40は、片側が支えられていない状態で、配線が形成されるため、配線形成時に機械的な強度が低いことがある。配線形成時の安定性を向上させる観点から、第1半導体素子30と支持体2の積層方向に第5パッド32と支持体2が重なることが好ましく、同方向に第7パッド42と支持体2が重なることが好ましい。
【0086】
厚い第1樹脂組成物層31を用いる場合、第1半導体素子30の厚さは他の半導体素子よりも厚いことが好ましい。厚い第1樹脂組成物層31を用いると、ダイシングの際に第1半導体素子30にチッピングが生じ易い。そこで、ダイシングの際の第1半導体素子30のチッピングを考慮して第1半導体素子30の厚さは厚いことが好ましい。
【0087】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体装置に関する。第2実施形態の半導体装置110は、第1実施形態の変形例である。図10に半導体装置110の断面模式図を示す。図11に半導体装置110の上面模式図を示す。第2実施形態の半導体装置110は、第5配線15及び第6配線35を有すること以外は、第1実施形態の半導体装置100と同様である。第1実施形態から第2実施形態で共通する内容についてはその説明を省略する。
【0088】
第5配線15は、第2半導体素子10と第3半導体素子20間を接続する配線である。第5配線15は、例えば、第1パッド12と第3パッド22のうちの電源用パッド/接地用パッドに設けられている。例えば、第5配線15を設けることで、例えば、電源のインピーダンスを下げることができる。たとえば、電源用パッド、信号用パッド、接地用パッドのような順番で設けられる。信号用パッドには第5配線15が設けられない。
【0089】
第5配線15は、Au、Au合金、Pd又は/及びNiでメッキされたAu(合金含む)、Cu、Pd又は及びNiでメッキされたCuやAgなどである。
【0090】
第6配線35は、第1半導体素子30と第4半導体素子40間を接続する配線である。第6配線35は、例えば、第5パッド32と第7パッド42のうちの電源用パッド/接地用パッドに設けられている。例えば、第6配線35を設けることで、例えば、電源のインピーダンスを下げることができる。たとえば、電源用パッド、信号用パッド、接地用パッドのような順番で設けられる。信号用パッドには第6配線35が設けられない。
【0091】
第6配線35は、Au、Au合金、Pd又は/及びNiでメッキされたAu(合金含む)、Cu、Pd又は及びNiでメッキされたCuやAgなどである。
【0092】
第5配線15及び第6配線35を設ける場合も、第1実施形態の半導体装置100と同様に支持体2とその溝の効果を有する。支持体2が存在するため、第6配線35を形成する際の超音波振動に対する耐振動性が高いことも好ましい。
【0093】
(第3実施形態)
第3実施形態は、半導体装置に関する。第3実施形態の半導体装置120は、第1実施形態から第2実施形態の変形例である。図12に半導体装置120の断面模式図を示す。第3実施形態の半導体装置120は、第1積層体側に第1樹脂組成物層31がはみ出していること以外は、第1実施形態の半導体装置100と同様である。第1実施形態から第3実施形態で共通する内容についてはその説明を省略する。
【0094】
半導体装置120の支持体2の高さと第2樹脂組成物層3の高さの和(支持基板1の第1半導体素子30側の面から、支持体2の第1半導体素子30側の面までの距離)H1は、第1積層体の高さH2と同じである。
【0095】
第1樹脂組成物層31は第1積層体側にはみ出ることがある。支持体2と第1積層体との間には、ギャップが存在するため、第1樹脂組成物層31が第1積層体側にはみ出ていても第1半導体素子30等の載置の安定性を下げることなく、好適に第1半導体素子30等を載置することができる。
【0096】
(第4実施形態)
第4実施形態は、半導体装置に関する。第4実施形態の半導体装置130は、第1実施形態から第3実施形態の変形例である。図13に半導体装置130の断面模式図を示す。第4実施形態の半導体装置130は、半導体素子にも溝が設けられていること以外は、第1実施形態の半導体装置100と同様である。第1実施形態から第4実施形態で共通する内容についてはその説明を省略する。溝の代わりに半導体素子にノッチを設けてもよい。
【0097】
第2半導体素子10の第1パッド12側とは反対側に溝が設けられている。第2半導体素子10の溝が存在すると、第4樹脂組成物層21が第2半導体素子10の溝に入り込む。溝に第4樹脂組成物層21が入り込むことで、第4樹脂組成物層21と第2半導体素子10が接する面積が増えるため、第1積層体の構造の安定性などが向上する。
【0098】
第3半導体素子20の第3パッド22側とは反対側に溝が設けられている。第3半導体素子20の溝が存在すると、第1樹脂組成物層31が第3半導体素子20の溝に入り込む。溝に第1樹脂組成物層31が入り込むことで、第1樹脂組成物層31と第3半導体素子20が接する面積が増えるため、第1積層体と第2積層体の構造の安定性などが向上する。
【0099】
第1半導体素子30の第5パッド32側とは反対側に溝が設けられている。第1半導体素子30の溝が存在すると、第5樹脂組成物層41が第1半導体素子30の溝に入り込む。溝に第5樹脂組成物層41が入り込むことで、第5樹脂組成物層41と第1半導体素子30が接する面積が増えるため、第2積層体の構造の安定性などが向上する。
【0100】
第4半導体素子40の第7パッド42側とは反対側に溝が設けられている。第4半導体素子40の溝が存在すると、樹脂体4が第4半導体素子40の溝に入り込む。溝に樹脂体4が入り込むことで、樹脂体4と第4半導体素子40が接する面積が増えるため、第2積層体の構造の安定性などが向上する。
【0101】
(第5実施形態)
第5実施形態は、半導体装置と半導体装置の製造方法に関する。第5実施形態は、例えば、第1から第4実施形態の半導体装置100~130をパッケージ化した形態である。第5実施形態の半導体装置200の断面模式図を図14に示す。第5実施形態半導体装置の製造方法は、第1から第4実施形態の半導体装置100~130を含む。第1実施形態から第5実施形態で共通する内容についてはその説明を省略する。
【0102】
図14の断面模式図に示す半導体装置200は、支持基板1、支持体2、第2樹脂組成物層3、樹脂体4、第2半導体素子10、第3樹脂組成物層11、第1パッド12、第1配線13、第2パッド14、第3半導体素子20、第4樹脂組成物層21、第3パッド22、第2配線23、第4パッド24、第1半導体素子30、第1樹脂組成物層31、第5パッド32、第3配線33、第6パッド34、第4半導体素子40、第5樹脂組成物層41、第7パッド42、第4配線43、第8パッド44、第2樹脂組成物50、第3樹脂組成物51、第4樹脂組成物52、第5半導体素子60、第9パッド61、第1導電性接合剤71、第2導電性接合剤72、第3導電性接合剤73、第4導電性接合剤74、第5導電性接合剤75、配線基板80、第10パッド81、第11パッド82、第12パッド83、第13パッド84、第14パッド85及び半田ボール86を有する。
【0103】
第2樹脂組成物50は、半導体装置200の封止材である。第2樹脂組成物50は、支持体2及び第1樹脂組成物層31と直接的に接していない。第2樹脂組成物50は、絶縁性で、例えば、モールド樹脂である。
【0104】
第2樹脂組成物50は、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料を使用する。エポキシ樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Si との密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、第2樹脂組成物50の中にシリカやアルミナなどのフィラーが含まれていてもよい。
【0105】
第3樹脂組成物51は、第5半導体素子60と配線基板80の間に設けられた第5半導体素子60の封止材である。第3樹脂組成物51は、絶縁性で、例えば、硬化したアンダーフィル剤である。
【0106】
第3樹脂組成物51は、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料を使用する。エポキシ樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Si との密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、第3樹脂組成物51は、の中にシリカやアルミナなどのフィラーが含まれていてもよい。
【0107】
第4樹脂組成物52は、半導体装置200の封止材である。第5半導体素子60と樹脂体4の間に設けられている。第4樹脂組成物52は、硬化した絶縁ペーストである。第4樹脂組成物52は、半導体装置200のボイドを減らす。
【0108】
第4樹脂組成物52は、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料を使用する。エポキシ樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Si との密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、第4樹脂組成物52の中にシリカやアルミナなどのフィラーが含まれていてもよい。
【0109】
第4樹脂組成物52は、第5半導体素子60と配線基板80の間に設けられた第5半導体素子60の封止材である。第4樹脂組成物52は、絶縁性で、例えば、半導体装置200の空隙率を下げる。
【0110】
第5半導体素子60は、配線基板80に載置されている。第5半導体素子60は、配線基板80を介して、第1半導体素子30、第2半導体素子10、第3半導体素子20及び第4半導体素子40と電気的に接続する。第5実施形態において、第5半導体素子60は、第2樹脂組成物50、第3樹脂組成物51及び第4樹脂組成物52に覆われている。
【0111】
第5半導体素子60は、例えば、フリップチップである。半導体装置200が記憶装置であるとき、例えば、第5半導体素子60はコントローラチップである。コントローラチップは、半導体メモリチップの読み書き及び消去などを制御する半導体チップである。第5半導体素子60は、第1半導体素子30、第2半導体素子10、第3半導体素子20及び第4半導体素子40の読み書き及び消去などを制御する。
【0112】
第9パッド61は、第5半導体素子60の端子である。複数の第9パッド61が第5半導体素子60に設けられている。第9パッド61と配線基板80の第14パッド85は、第5導電性接合剤75を介して電気的に接続している。
【0113】
第9パッド61は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第9パッド61は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0114】
第1導電性接合剤71は、第2半導体素子10と接続した第1配線13と電気的に接続する。第1導電性接合剤71は、第2パッド14と第10パッド81を電気的に接続する導電部材である。第1導電性接合剤71は、例えば、半田である。
【0115】
第2導電性接合剤72は、第3半導体素子20と接続した第2配線23と電気的に接続する。第2導電性接合剤72は、第4パッド24と第11パッド82を電気的に接続する導電部材である。第2導電性接合剤72は、例えば、半田である。
【0116】
第3導電性接合剤73は、第1半導体素子30と接続した第3配線33と電気的に接続する。第3導電性接合剤73は、第6パッド34と第12パッド83を電気的に接続する導電部材である。第3導電性接合剤73は、例えば、半田である。
【0117】
第4導電性接合剤74は、第4半導体素子40と接続した第4配線43と電気的に接続する。第4導電性接合剤74は、第8パッド44と第13パッド84を電気的に接続する導電部材である。第4導電性接合剤74は、例えば、半田である。
【0118】
第5導電性接合剤75は、第5半導体素子60と接続した第9パッド61と電気的に接続する。第5導電性接合剤75は、第9パッド61と第14パッド85を電気的に接続する導電部材である。第5導電性接合剤75は、例えば、半田である。
【0119】
配線基板80は、第5半導体素子60等の支持基板である。配線基板80はより具体的には、多層のプリント基板(PCB)である。配線基板80の第5半導体素子60が設けられている面とは反対側の面側に半導体装置100の外部と接続端子である半田ボール86などの半球状の電極が設けられている。
【0120】
第10パッド81は、配線基板80に設けられた電極パッドである。第10パッド81は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第10パッド81は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0121】
第11パッド82は、配線基板80に設けられた電極パッドである。第11パッド82は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第11パッド82は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0122】
第12パッド83は、配線基板80に設けられた電極パッドである。第12パッド83は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第12パッド83は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0123】
第13パッド84は、配線基板80に設けられた電極パッドである。第13パッド84は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第13パッド84は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0124】
第14パッド85は、配線基板80に設けられた電極パッドである。第14パッド85は、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。第14パッド85は、より具体的には、Ni/Pd/Au又はNi/Au又はCuであることがより好ましい。
【0125】
半田ボール86は、半導体装置200の外部と電気的に接続する外部接続端子である。半導体装置200がBGA(BaLL Grid Array)パッケージである場合、半導体装置200に複数の半田ボール86が設けられている。半導体装置のパッケージ形態に応じて、外部接続端子には好適な部材が選択される。
【0126】
半導体装置200に用いた信頼性の高い半導体装置100は、半導体装置200の信頼性の向上に寄与する。半導体装置100の第1樹脂組成物層31は、第2樹脂組成物50と直接的に接していない。モールド樹脂ではない第1樹脂組成物層31が外装材である第2樹脂組成物50の内表面に接しておらず、第2樹脂組成物50の内部に侵入していない。この構成を採用することで、半導体装置200の信頼性の向上に寄与する。
【0127】
次に、半導体装置200の製造方法について説明する。半導体装置200の製造方法は、明細書に例示するが、例えば、支持体2の溝の形成方法含め、他の方法を採用してもよい。図15に半導体装置200の製造方法のフローチャートを示す。図16から図27に半導体装置200の工程模式図を示す。工程図において、一部の部材の符号を省略している。半導体装置200の製造方法の一部は、半導体装置100の製造方法と共通する。
【0128】
半導体装置100及び半導体装置200の製造方法は、支持基板1上に第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子を有する第1積層体を設ける工程(S01)と、支持体2の表面に溝を形成する工程(S02)と、支持基板1上に第1積層体が設けられた支持基板上に溝が形成された支持体2を設ける工程(S03)と、支持体2上に第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった最下段に第1半導体素子30を含む複数の半導体素子を有し、第1半導体素子30の支持基板側の面には、第1接着層31Aを有する第2積層体を設ける工程(S04)と、第1接着層31Aを硬化させる工程(S05)と、第1半導体素子30と接続する配線を形成する工程(S05)と、を有する。
【0129】
図16の工程模式図を用いて、支持基板1上に第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子を有する第1積層体を設ける工程(S01)について説明する。支持基板1上に第1積層体を設けて図16の工程模式図の部材を得る。第1積層体は、第2半導体素子10と第3半導体素子20を含む。まず、接着層が下面に設けられた第2半導体素子10を接着層を支持基板1側に向けて支持基板1上に載置する。そして、接着層が下面に設けられた第3半導体素子20を接着層を支持基板1側に向けて第2半導体素子10上に載置する。載置後に接着層を硬化する。第2半導体素子10と支持基板1の間の接着層が第3樹脂組成物層11になる。第3半導体素子20と第2半導体素子10の間の接着層が第4樹脂組成物層21になる。接着層は、支持体2を設ける工程(S03)の前後どちらに実施してもよい。実施形態の工程図では、区別した場合を除き接着層が硬化した樹脂組成物層(例えば、第3樹脂組成物層11、第4樹脂組成物層21)として説明する。
【0130】
図17と18の工程模式図を用いて、支持体2の表面に溝を形成する工程(S02)について説明する。図17の支持体2に矢印の幅の浅い溝を形成する。支持体2の浅い溝が形成される面とは反対側には、接着層3Aと支持テープ3Bが設けられている。図17の溝は、例えば、ブレード加工やレーザー加工で形成される。そして、図18の工程模式図に示すように浅い溝が形成された部分にさらに矢印の幅の切り幅で支持体2を切断して第1溝2Bが形成された支持体2を得る。図18の支持体2は、図4の支持体2と同様の第1溝2Bが形成されていて、第1溝2Bが形成されていない平坦面2Aも有する。
【0131】
ブレードで溝加工をすることで、第1溝2Bの表面粗さRaが大きくなる。第1溝2Bの表面粗さRaが大きいと、溝の粗い表面に第1樹脂組成物層31が食い込んで第1半導体素子30の安定性が向上する。第1溝2Bの表面粗さRaは、平坦面2Aの表面粗さRaの2倍以上5倍以下が好ましい。
【0132】
図19の工程模式図を用いて、支持基板1上に第1積層体が設けられた支持基板上に溝が形成された支持体2を設ける工程(S03)について説明する。図16の工程模式図の部材に、図18の支持テープ3Bを剥離した支持体2を載置し、接着層3Aを硬化して図19の工程模式図に示す部材を得る。接着層3Aが硬化して、第2樹脂組成物層3になる。
第1積層体が設けられていない支持基板1に支持体2を設けると、第2半導体素子10や第3半導体素子20を設ける際に支持体2が物理的に妨げになりやすい。先に第1積層体を支持基板1に設け、その後に支持体2を支持基板1に設けることで、両方の部材の載置がやりやすくなる。なお、支持体2の高さが低いと支持体2の載置がし難い場合がある。そこで、支持基板1から支持体2の支持基板1側とは反対側の面までの距離は、支持基板1から第1積層体の支持基板側とは反対側の面までの距離よりも長くなるように、部材の厚さを調整することが好ましい。
【0133】
図20図21の工程模式図を用いて、支持体2上に第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった最下段に第1半導体素子30を含む複数の半導体素子を有し、第1半導体素子30の支持基板側の面には、第1接着層31Aを有する第2積層体を設ける工程(S04)と、第1接着層31Aを硬化させる工程(S05)について説明する。図19の部材の支持体2の上に第2積層体を設ける。第2積層体は、第1半導体素子30と第4半導体素子40を含む。まず、図20の工程模式図に示すように第1接着層31Aが下面に設けられた第1半導体素子30を第1接着層31Aを支持体2側に向けて支持体2上に載置する。そして、接着層が下面に設けられた第4半導体素子40を接着層を支持基板1側に向けて第1半導体素子30上に載置する。載置後に接着層を硬化して図21の工程模式図に示す部材が得られる。第1半導体素子30と支持体2の間の第1接着層31Aが第1樹脂組成物層31になる。第4半導体素子40と第1半導体素子30の間の接着層が第5樹脂組成物層41になる。
【0134】
第2積層体を設ける工程において、第1接着層31Aを支持体2の第1溝2Bが形成された面に押しつけることで第1溝2Bの内部に第1接着層31Aが好適に充填される。第1溝2Bが設けられているため、第1接着層31Aの支持体2の面方向にはみ出る量が減る。第1溝2Bが存在するため、第1接着層31Aが広がりやすく、平坦面2Aの第1接着層31Aとの接触面積比率が高まることも好ましい。
【0135】
支持体2の幅方向のみに溝が設けられていると、支持体2の幅方向の辺の長さは長さ方向の辺の長さより短いため、第1接着層31Aのはみ出し量の減少が十分ではない場合がある。そこで、支持体2の溝は、支持体2の長さ方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0136】
図22の工程模式図を用いて、第1半導体素子30と接続する配線を形成する工程(S05)について説明する。図21の工程模式図の部材の半導体素子のパッドに配線を形成する。第1積層体は、安定した支持基板1に支えられていて、第2半導体素子10の第1パッド12に、例えば、キャピラリーを用いて安定的に第1配線13を形成することができる。同様に、第3半導体素子20の第3パッド22に、例えば、キャピラリーを用いて安定的に第2配線23を形成することができる。
【0137】
第1半導体素子30は、第1積層体と支持体2に支えられていて、第1半導体素子30の第5パッド32に、例えば、キャピラリーを用いて安定的に第3配線33を形成することができる。第1半導体素子30と支持体2の積層方向において、第5パッド32と支持体2は重なるため、第3配線33の形成時の力が支持体2にかかり安定的に第3配線33が形成される。同様に、第4半導体素子40の第7パッド42に、例えば、キャピラリーを用いて安定的に第4配線43を形成することができる。支持体2が無いと、第1半導体素子30に印加された力が分散されにくいため、第1半導体素子30が破損する可能性がある。実施形態の構成を採用することで、第1半導体素子30に印加された力が分散して第1半導体素子30の破損を防ぐことができる。
【0138】
図10の断面模式図に示す半導体装置100を製造する場合、第1半導体素子30と接続する配線を形成する工程(S05)において第5配線15及び第6配線35を形成することが好ましい。
【0139】
次に、図23の工程模式図に示すように、樹脂体4を形成する。そして、第1配線13、第2配線23、第3配線33及び第4配線43の先端が露出するように樹脂体4の表面を研磨除去する。第1配線13の先端部分に無電解めっきで第2パッド14を形成する。第2配線23の先端部分に無電解めっきで第4パッド24を形成する。第3配線33の先端部分に無電解めっきで第6パッド34を形成する。第4配線43の先端部分に無電解めっきで第8パッド44を形成する。これらの工程を行って、図24の工程模式図に示す半導体装置100を製造することができる。
【0140】
溝を有する支持体2を用いることで、第1樹脂組成物層31のはみ出し量を抑え、安定的に配線を形成することができる。機械的及び熱的に信頼性が高い半導体装置100を得ることができる。
【0141】
続いて加工を行うことで、半導体装置200を製造する。図25の工程模式図に示すように、図24の工程模式図の樹脂体4の一部を除去して、第1積層体の配線と第2積層体の配線の間の領域に座繰りを形成する。座繰りは、第5半導体素子60が収容される空間である。
【0142】
そして、図26の工程模式図に示すように、第5半導体素子60を設けた配線基板80と図25の工程模式図の部材を向かい合わせる。配線基板80と第5半導体素子60は、第5導電性接合剤75で接続されている。配線基板80と第5半導体素子60は、フラックスを塗布して接合することが好ましい。配線基板80と第5半導体素子60の間には、アンダーフィルなどを用いて形成した第3樹脂組成物51が存在する。第5半導体素子60の座繰り側を向く面には、NCPなどの絶縁性の第4樹脂組成物52が設けられている。
【0143】
そして、図26の工程模式図に示すように、第10パッド81上に設けられた第1導電性接合剤71を第2パッド14と接合し、第11パッド82上に設けられた第2導電性接合剤72を第4パッド24と接合し、第12パッド83上に設けられた第3導電性接合剤73を第6パッド34と接合し、第13パッド84上に設けられた第4導電性接合剤74を第8パッド44と接合し、図27の工程模式図に示す部材を得る。そして、第2樹脂組成物50の形成、半田ボール86の形成及び個片化を行って、図14の断面模式図に示した半導体装置200を得ることができる。
【0144】
(第6実施形態)
第6実施形態は、半導体装置に関する。第6実施形態の半導体装置300は、第1実施形態から第5実施形態の変形例である。図28に半導体装置300の断面模式図を示す。第6実施形態の半導体装置300は、第1積層体が第2半導体素子10、第3半導体素子20、第6半導体素子20A及び第7半導体素子20Bを含み、第2積層体が第1半導体素子30、第4半導体素子40、第8半導体素子40A及び第9半導体素子40Bを含み、第1積層体及び第2積層体は、ボンディングワイヤで支持基板1と電気的に接続している以外は、第1実施形態の半導体装置100と同様である。第1実施形態から第6実施形態で共通する内容についてはその説明を省略する。
【0145】
図28に示す半導体装置300は、支持基板1、支持体2、第2樹脂組成物層3、樹脂体4、第2半導体素子10、第3樹脂組成物層11、第1パッド12、第7配線16、第3半導体素子20、第4樹脂組成物層21、第3パッド22、第8配線26、第6半導体素子20A、第6樹脂組成物層21A、第15パッド22A、第9配線26A、第7半導体素子20B、第7樹脂組成物層21B、第16パッド22B、第10配線26B、第1半導体素子30、第1樹脂組成物層31、第5パッド32、第11配線36、第4半導体素子40、第5樹脂組成物層41、第7パッド42、第12配線46、第8半導体素子40A、第8樹脂組成物層41A、第17パッド42A、第13配線46A、第9半導体素子40B、第9樹脂組成物層41B、第18パッド42B及び第14配線46Bを有する。
【0146】
半導体装置300は、支持基板1に配線基板を用いている。支持基板1上の第19パッド5Aと第1積層体が電気的に接続している。支持基板1上の第20パッド5Bと第2積層体が電気的に接続している。
【0147】
第6半導体素子20Aと第3半導体素子20は、第4樹脂組成物層21と同様の第6樹脂組成物層21Aで固定されている。第7半導体素子20Bと第6半導体素子20Aは、第4樹脂組成物層21と同様の第7樹脂組成物層21Bで固定されている。
【0148】
図10に示した第5配線15と同様の第7配線16は、第1パッド12と同様の第19パッド5Aと第1パッド12を電気的に接続している。第5配線15と同様の第8配線26は、第1パッド12と第3パッド22を電気的に接続している。第5配線15と同様の第9配線26Aは、第1パッド12と同様の第15パッド22Aと第3パッド22を電気的に接続している。第5配線15と同様の第10配線26Bは、第1パッド12と同様の第16パッド22Bと第15パッド22Aを電気的に接続している。
【0149】
第8半導体素子40Aと第4半導体素子40は、第5樹脂組成物層41と同様の第8樹脂組成物層41Aで固定されている。第8半導体素子40Aと第9半導体素子40Bは、第5樹脂組成物層41と同様の第9樹脂組成物層41Bで固定されている。
【0150】
図10に示した。第6配線35と同様の第11配線36は、第5パッド32と同様の第20パッド5Bと第5パッド32を電気的に接続している。第6配線35と同様の第12配線46は、第5パッド32と第7パッド42を電気的に接続している。第6配線35と同様の第13配線46Aは、第5パッド32と同様の第17パッド42Aと第7パッド42を電気的に接続している。第6配線35と同様の第14配線46Bは、第5パッド32と同様の第18パッド42Bと第17パッド42Aを電気的に接続している。
【0151】
第6実施形態の積層体と支持基板1が電気的に接続する形態においても、支持体2を用いることで、第1実施形態と同様に第1樹脂組成物層31のはみ出し量を抑え、安定的に配線を形成することができる。機械的及び熱的に信頼性が高い半導体装置300を得ることができる。
【0152】
(第7実施形態)
第7実施形態は、半導体装置に関する。第7実施形態の半導体装置400は、第1実施形態から第6実施形態の変形例である。図29に半導体装置400の断面模式図を示す。第7実施形態の半導体装置400は、第5半導体素子60を有し、第5半導体素子60がボンディングワイヤである第15配線7で支持基板1と電気的に接続していて、半田ボール86が支持基板1に設けられていること以外は、第6実施形態の半導体装置300と同様である。第1実施形態から第7実施形態で共通する内容についてはその説明を省略する。
【0153】
支持基板1上に第5半導体素子60図示しない樹脂組成物層を介して設けられている。第5半導体素子60の第9パッド61と支持基板1上の第1パッド12同様の第21パッド6は、図10に記載した第5配線15と同様の第15配線7で接続されている。
【0154】
第7実施形態の積層体と支持基板1が電気的に接続する形態においても、支持体2を用いることで、第1実施形態と同様に第1樹脂組成物層31のはみ出し量を抑え、安定的に配線を形成することができる。機械的及び熱的に信頼性が高い半導体装置300を得ることができる。
【0155】
以下、実施形態の技術案を付記する。
[技術案1]
支持基板と、
前記支持基板上に設けられ、第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第1積層体と、
前記第1積層体上に設けられ、前記第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子が積層した第2積層体と、
前記支持基板と前記第2積層体の間に設けられた支持体と、
前記第2積層体と前記支持体との間に第1樹脂組成物層とを有し、
前記第2積層体の最も前記支持基板側に位置している前記半導体素子を第1半導体素子とし、
前記第1樹脂組成物層は、前記第1半導体素子と前記支持体を接続し、
支持体の第2積層体側を向く面に前記支持体の長さ方向に延びる第1溝又は/及び前記支持体の幅方向に延びる第2溝を有する半導体装置。
[技術案2]
前記支持体の第1溝又は/第2の溝内に第1樹脂組成物層が存在する技術案1に記載の半導体装置。
[技術案3]
前記支持基板から前記支持体の支持基板側とは反対側の面までの距離は、前記支持基板から前記第1積層体の前記支持基板側とは反対側の面までの距離よりも長い技術案1又は2に記載の半導体装置。
[技術案4]
前記第1半導体素子の厚さは、前記第1積層体及び前記第2積層体に含まれる半導体素子の厚さよりも厚い技術案1ないし3のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案5]
前記第1半導体素子から前記支持基板側とは反対側に延びる配線が設けられている技術案1ないし4のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案6]
前記第1積層体及び前記第2積層体を封止する樹脂体を有し、
前記第1樹脂組成物層は、前記第1樹脂組成物の内部のみに形成される技術案1ないし5のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案7]
前記第1積層体及び前記第2積層体に含まれる半導体素子は、半導体メモリチップである技術案1ないし6のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案8]
支持基板上に第1方向にずれて階段状に重なった複数の半導体素子を有する第1積層体を設ける工程と、
支持体の表面に溝を形成する工程と、
前記支持基板上に第1積層体が設けられた前記支持基板上に溝が形成された支持体を設ける工程と、
前記支持体上に前記第1方向とは反対側の第2方向にずれて階段状に重なった最下段に第1半導体素子を含む複数の半導体素子を有し、前記第1半導体素子の前記支持基板側の面には、第1接着層を有する第2積層体を設ける工程と、
前記第1接着層を硬化させる工程と、
前記第1半導体素子と接続する配線を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法
[技術案9]
前記第2積層体を設ける工程において、前記第1接着層を前記支持体の溝が形成された面に押しつける技術案8に記載の半導体装置の製造方法。
【0156】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
1 :支持基板
2 :支持体
2A :平坦面
2B(2D、2E、2F) :第1溝
2C :第2溝
3 :第2樹脂組成物層
3A :接着層
3B :支持テープ
4 :樹脂体
5 :技術案
5A :第19パッド
5B :第20パッド
6 :第21パッド
7 :第15配線
10 :第2半導体素子
11 :第3樹脂組成物層
12 :第1パッド
13 :第1配線
14 :第2パッド
15 :第5配線
16 :第7配線
20 :第3半導体素子
20A :第6半導体素子
20B :第7半導体素子
21 :第4樹脂組成物層
21A :第6樹脂組成物層
21B :第7樹脂組成物層
22 :第3パッド
22A :第15パッド
22B :第16パッド
23 :第2配線
24 :第4パッド
26 :第8配線
26A :第9配線
26B :第10配線
30 :第1半導体素子
31 :第1樹脂組成物層
31A :第1接着層
31A :部分
32 :第5パッド
33 :第3配線
34 :第6パッド
35 :第6配線
36 :第11配線
40 :第4半導体素子
40A :第8半導体素子
40B :第9半導体素子
41 :第5樹脂組成物層
41A :第8樹脂組成物層
41B :第9樹脂組成物層
42 :第7パッド
42A :第17パッド
42B :第18パッド
43 :第4配線
44 :第8パッド
46 :第12配線
46A :第13配線
46B :第14配線
50 :第2樹脂組成物
51 :第3樹脂組成物
52 :第4樹脂組成物
60 :第5半導体素子
61 :第9パッド
71 :第1導電性接合剤
72 :第2導電性接合剤
73 :第3導電性接合剤
74 :第4導電性接合剤
75 :第5導電性接合剤
80 :配線基板
81 :第10パッド
82 :第11パッド
83 :第12パッド
84 :第13パッド
85 :第14パッド
86 :半田ボール
100 :半導体装置
110 :半導体装置
120 :半導体装置
130 :半導体装置
200 :半導体装置
300 :半導体装置
400 :半導体装置
図1
図2
図3
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図5
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