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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132737
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L29/78 301D
H01L27/088 B
H01L29/78 652J
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 653A
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043639
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】古川 大
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AC06
5F048AC10
5F048BB06
5F048BB07
5F048BC07
5F048BC12
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF06
5F048BF07
5F140AA12
5F140AA30
5F140AB06
5F140AC21
5F140AC23
5F140BA02
5F140BA20
5F140BD04
5F140BD05
5F140BF04
5F140BF42
5F140BF43
5F140BF51
5F140BF52
5F140BH12
5F140BH30
5F140BJ07
5F140BJ08
5F140BJ11
5F140BJ15
5F140BJ17
5F140BJ30
5F140BK13
5F140CA03
5F140CC03
(57)【要約】
【課題】オン抵抗と出力電荷量との積を低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面とを有する炭化珪素層と、炭化珪素層の中の第1導電形の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間の第2導電形の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間の第1導電形の第3の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と対向するゲート電極と、ゲート絶縁層と、を備える。第1の炭化珪素領域は、第1の領域と、第1の領域と第2の炭化珪素領域との間の複数の第2の領域と、第1の領域と第2の炭化珪素領域との間の複数の第3の領域と、を含み、第2の領域と第3の領域は第1の面に平行な第1の方向に交互に設けられ、第2の領域の第1導電形不純物濃度は、第1の領域の第1導電形不純物濃度及び第3の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記炭化珪素層の中に設けられた第1導電形の第1の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の電極と接する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と対向するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられたゲート絶縁層と、
を備え、
前記第1の炭化珪素領域は、
第1の領域と、
前記第1の領域と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域に接する複数の第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域に接する複数の第3の領域と、を含み、
前記第2の領域と前記第3の領域は前記第1の面に平行な第1の方向に交互に設けられ、
前記第2の領域の第1導電形不純物濃度は、前記第1の領域の第1導電形不純物濃度及び前記第3の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項2】
前記第2の炭化珪素領域は、前記第1の方向に延びる、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極は、前記第1の方向に延びる、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の領域の前記第1の方向の長さは、前記第3の領域の前記第1の方向の長さより長い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の領域の前記第1の方向の長さと前記第3の領域の前記第1の方向の長さの和は、前記第2の炭化珪素領域の前記第1の方向に垂直で前記第1の面に平行な第2の方向の長さの0.5倍以上2倍以下である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3の領域の第1導電形不純物濃度は、前記第1の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と離隔する第2導電形の第4の炭化珪素領域を、更に備え、
前記ゲート電極は、前記第4の炭化珪素領域と対向し、
前記ゲート絶縁層は、前記ゲート電極と前記第4の炭化珪素領域との間に設けられ、
前記第1の炭化珪素領域は、
前記第1の領域と前記第4の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第4の炭化珪素領域に接する複数の第4の領域と、
前記第1の領域と前記第4の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第4の炭化珪素領域に接する複数の第5の領域と、を更に含み、
前記第4の領域と前記第5の領域は前記第1の方向に交互に設けられ、
前記第4の領域の第1導電形不純物濃度は、前記第1の領域の第1導電形不純物濃度及び前記第5の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の炭化珪素領域は前記第1の面及び前記第2の炭化珪素領域に接する第1の部分を有し、
前記第1の電極は、前記第1の部分に接する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記炭化珪素層の中に設けられた第1導電形の第1の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の電極と接する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、ゲート絶縁層を介して前記第2の炭化珪素領域と対向するゲート電極と、
を備え、
前記第1の炭化珪素領域は、
第1の領域と、
前記第1の領域と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域に接する複数の第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域に接する複数の第3の領域と、を含み、
前記第2の領域と前記第3の領域は前記第1の面に平行な第1の方向に交互に設けられ、
前記第2の領域の第1導電形不純物濃度は、前記第1の領域の第1導電形不純物濃度及び前記第3の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項10】
前記第2の炭化珪素領域は、前記第1の方向に延びる、請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート電極は、前記第1の方向に延びる、請求項9記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス用の材料として炭化珪素がある。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが約3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この特性を活用すれば、例えば、高耐圧、低損失かつ高温動作可能なMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を実現することができる。
【0003】
炭化珪素を用いたMOSFETは、性能を向上させるために、性能指標の一つであるオン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)を低減することが望まれる。出力電荷量(Qoss)は、MOSFETのドレインとソース間の容量を充電するための電荷量である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-47683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗と出力電荷量との積を低減できる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極と、前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、前記炭化珪素層の中に設けられた第1導電形の第1の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の電極と接する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と対向するゲート電極と、前記ゲート電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、前記第1の炭化珪素領域は、第1の領域と、前記第1の領域と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域に接する複数の第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域に接する複数の第3の領域と、を含み、前記第2の領域と前記第3の領域は前記第1の面に平行な第1の方向に交互に設けられ、前記第2の領域の第1導電形不純物濃度は、前記第1の領域の第1導電形不純物濃度及び前記第3の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態の模式上面図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図4】第1の比較例の半導体装置の模式断面図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
図6】第2の比較例の半導体装置の模式断面図。
図7】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
図8】第1の実施形態の第1の変形例及び第2の変形例の半導体装置の模式図。
図9】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図10】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図11】第2の実施形態の模式上面図。
図12】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図13】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図14】第2の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
図15】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図16】第3の実施形態の模式上面図。
図17】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図18】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図19】第4の実施形態の模式上面図。
図20】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
【0009】
また、以下の説明において、n、n、n及び、p、p、pの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn形不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn形不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp形不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp形不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n形、n形を単にn形、p形、p形を単にp形と記載する場合もある。
【0010】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さなどの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とAFM(Atomic Force Microscope)像との合成画像から求めることが可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、炭化珪素層の中に設けられた第1導電形の第1の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の電極と接する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられ、第2の炭化珪素領域と対向するゲート電極と、ゲート電極と第2の炭化珪素領域との間に設けられたゲート絶縁層と、を備える。そして、第1の炭化珪素領域は、第1の領域と、第1の領域と第2の炭化珪素領域との間に設けられ第2の炭化珪素領域に接する複数の第2の領域と、第1の領域と第2の炭化珪素領域との間に設けられ第2の炭化珪素領域に接する複数の第3の領域と、を含む。第2の領域と第3の領域は第1の面に平行な所定の方向に交互に設けられ、第2の領域の第1導電形不純物濃度は、第1の領域の第1導電形不純物濃度及び第3の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い。
【0012】
図1(a)、図1(b)は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図2は、第1の実施形態の模式上面図である。図2は、ゲート電極のパターンと、炭化珪素層表面の炭化珪素領域のパターンとを重ねた図である。図3(a)、図3(b)は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0013】
図1(a)は、図2及び図3(b)のAA’断面である。図1(b)は、図2及び図3(b)のBB’断面である。図3(a)は、図1(a)、図1(b)のpy面の断面図である。図3(b)は、図1(a)、図1(b)のpx面の断面図である。
【0014】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET100である。第1の実施形態のMOSFET100は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、Double Implantation MOSFET(DIMOSFET)である。
【0015】
以下、第1導電形がn形、第2導電形がp形である場合を例に説明する。MOSFET100は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
【0016】
MOSFET100は、炭化珪素層10、ソース電極12、ドレイン電極14、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
【0017】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24、p形の第1のボディ領域26a、p形の第2のボディ領域26b、n形のソース領域28、p形のボディコンタクト領域30が設けられる。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。第1のボディ領域26aは、第2の炭化珪素領域の一例である。第2のボディ領域26bは、第4の炭化珪素領域の一例である。ソース領域28は、第3の炭化珪素領域の一例である。
【0018】
ドリフト領域24は、主領域24a、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、第2の低濃度領域24eを含む。主領域24aは、第1の領域の一例である。第1の高濃度領域24bは、第2の領域の一例である。第1の低濃度領域24cは、第3の領域の一例である。第2の高濃度領域24dは、第4の領域の一例である。第2の低濃度領域24eは、第5の領域の一例である。
【0019】
炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、ゲート電極18とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
【0020】
炭化珪素層10は、第1の面(図1中“P1”)と第2の面(図1中“P2”)とを備える。以下、第1の面を表面、第2の面を裏面と称する場合がある。なお、以下、「深さ」とは、第1の面を基準とする深さを意味する。
【0021】
第1の面P1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。また、第2の面P2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。
【0022】
形のドレイン領域22は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域22は、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。ドレイン領域22のn形不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0023】
形のドリフト領域24は、ドレイン領域22と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域24は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。ドリフト領域24は、ゲート電極18とドレイン電極14との間に設けられる。
【0024】
ドリフト領域24は、ドレイン領域22上に設けられる。ドリフト領域24は、例えば、ドレイン領域22の上にエピタキシャル成長法を用いて形成された領域である。
【0025】
ドリフト領域24は、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。ドリフト領域24のn形不純物濃度は、ドレイン領域22のn形不純物濃度よりも低い。ドリフト領域24のn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1018cm-3以下である。ドリフト領域24の厚さは、例えば、5μm以上150μm以下である。
【0026】
p形の第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bは、ドリフト領域24と第1の面P1との間に設けられる。第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bは離隔している。
【0027】
第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bは、第1の面P1に平行な第1の方向に延びる。第2のボディ領域26bは、第1のボディ領域26aに対し、第1の面P1に平行で第1の方向に直交する第2の方向に設けられる。
【0028】
第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bは、MOSFET100のチャネル領域として機能する。
【0029】
第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bは、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bのp形不純物濃度は、例えば、1×1017cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0030】
第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bの深さは、例えば、0.3μm以上1.5μm以下である。
【0031】
第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bは、ソース電極12の電位に固定される。
【0032】
形のソース領域28は、第1のボディ領域26aと第1の面P1との間に設けられる。n形のソース領域28は、第2のボディ領域26bと第1の面P1との間に設けられる。
【0033】
ソース領域28は、例えば、リン(P)をn形不純物として含む。ソース領域28のn形不純物濃度は、ドリフト領域24のn形不純物濃度よりも高い。
【0034】
ソース領域28のn形不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。ソース領域28の深さは、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bの深さよりも浅く、例えば、0.1μm以上0.5μm以下である。
【0035】
ソース領域28は、ソース電極12に接する。ソース領域28とソース電極12との間の接合は、例えば、オーミック接合である。
【0036】
ソース領域28は、ソース電極12の電位に固定される。
【0037】
形のボディコンタクト領域30は、第1のボディ領域26aと第1の面P1との間に設けられる。p形のボディコンタクト領域30は、第2のボディ領域26bと第1の面P1との間に設けられる。
【0038】
ボディコンタクト領域30のp形不純物濃度は、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bのp形不純物濃度よりも高い。
【0039】
ボディコンタクト領域30は、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。ボディコンタクト領域30のp形不純物濃度は、例えば、5×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0040】
ボディコンタクト領域30の深さは、例えば、0.3μm以上0.6μm以下である。
【0041】
ボディコンタクト領域30は、ソース電極12に接する。
【0042】
ゲート電極18は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。図2に示すように、ゲート電極18は、第1の面P1に平行な第1の方向に延びる。ゲート電極18は、第1の面P1に平行で第1の方向に直交する第2の方向に複数本、互いに平行に配置される。ゲート電極18は、第1の面P1の上でストライプパターンを有する。
【0043】
ゲート電極18は、導電層である。ゲート電極18は、例えば、p形不純物又はn形不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0044】
ゲート電極18は、例えば、第1のボディ領域26aの第1の面P1に接する部分と対向する。ゲート電極18は、例えば、第2のボディ領域26bの第1の面P1に接する部分と対向する。
【0045】
ゲート絶縁層16は、ゲート電極18と、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bとの間に設けられる。ゲート絶縁層16は、ゲート電極18と、ドリフト領域24との間に設けられる。
【0046】
ゲート絶縁層16は、例えば、酸化シリコンである。ゲート絶縁層16には、例えば、High-k絶縁材料(高誘電率絶縁材料)が適用可能である。
【0047】
層間絶縁層20は、ゲート電極18上及び炭化珪素層10上に設けられる。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコンである。
【0048】
ソース電極12は、ソース領域28に接する。ソース電極12は、ボディコンタクト領域30に接する。
【0049】
ソース電極12は、金属を含む。ソース電極12を形成する金属は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ソース電極12のソース領域に接する部分は、例えば、金属シリサイドである。金属シリサイドは、例えば、チタンシリサイド又はニッケルシリサイドである。
【0050】
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域22に接する。
【0051】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0052】
ドリフト領域24は、n形の主領域24a、複数のn形の第1の高濃度領域24b、複数のn形の第1の低濃度領域24c、複数のn形の第2の高濃度領域24d、複数のn形の第2の低濃度領域24eを含む。
【0053】
主領域24aは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。主領域24aのn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。
【0054】
複数の第1の高濃度領域24bは、主領域24aと第1のボディ領域26aとの間に設けられる。複数の第1の高濃度領域24bは、第1のボディ領域26aに接する。複数の第1の高濃度領域24bは、例えば、主領域24aに接する。
【0055】
複数の第1の低濃度領域24cは、主領域24aと第1のボディ領域26aとの間に設けられる。複数の第1の低濃度領域24cは、第1のボディ領域26aに接する。複数の第1の低濃度領域24cは、例えば、主領域24aに接する。
【0056】
図3(a)に示すように、第1のボディ領域26aは、第1の方向に延びる。図3(b)に示すように、第1の高濃度領域24bと第1の低濃度領域24cは、第1の方向に交互に設けられる。1つの第1の低濃度領域24cは、第1の方向において、2つの第1の高濃度領域24bに挟まれる。第1の高濃度領域24bと第1の低濃度領域24cは接する。
【0057】
第1の高濃度領域24bは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。第1の高濃度領域24bのn形不純物濃度は、主領域24aのn形不純物濃度より高い。また、第1の高濃度領域24bのn形不純物濃度は、第1の低濃度領域24cのn形不純物濃度より高い。
【0058】
第1の高濃度領域24bのn形不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0059】
第1の低濃度領域24cは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。第1の低濃度領域24cのn形不純物濃度は、主領域24aのn形不純物濃度以上である。第1の低濃度領域24cのn形不純物濃度は、例えば、主領域24aのn形不純物濃度より高い。
【0060】
第1の低濃度領域24cのn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。
【0061】
第1の高濃度領域24bの第1の方向の長さ(図3(b)中のd2)は、例えば、第1の低濃度領域24cの第1の方向の長さ(図3(b)中のd3)と等しい。
【0062】
第1の高濃度領域24bの第1の方向の長さd2と第1の低濃度領域24cの第1の方向の長さd3の和は、例えば、第1のボディ領域26aの第2の方向の長さ(図3(a)中のd1)の0.5倍以上2倍以下である。言い換えれば、第1の高濃度領域24bと第1の低濃度領域24cの繰り返しピッチ(図3(b)中のdx)は、例えば、第1のボディ領域26aの第2の方向の長さd1の0.5倍以上2倍以下である。
【0063】
第1の高濃度領域24bの第2の方向の長さ(図3(b)中のd4)は、例えば、第1のボディ領域26aの第2の方向の長さ(図3(a)中のd1)の0.8倍以上1.2倍以下である。
【0064】
第1の低濃度領域24cの第2の方向の長さ(図3(b)中のd5)は、例えば、第1のボディ領域26aの第2の方向の長さ(図3(a)中のd1)の0.8倍以上1.2倍以下である。
【0065】
第1の面P1から第2の面P2に向かう方向の、第1の高濃度領域24bの第1のボディ領域26aと主領域24aとの間の厚さは、例えば、0.1μm以上1μm以下である。第1の面P1から第2の面P2に向かう方向の、第1の低濃度領域24cの第1のボディ領域26aと主領域24aとの間の厚さは、例えば、0.1μm以上1μm以下である。
【0066】
複数の第2の高濃度領域24dは、主領域24aと第2のボディ領域26bとの間に設けられる。複数の第2の高濃度領域24dは、第2のボディ領域26bに接する。複数の第2の高濃度領域24dは、例えば、主領域24aに接する。
【0067】
複数の第2の低濃度領域24eは、主領域24aと第2のボディ領域26bとの間に設けられる。複数の第2の低濃度領域24eは、第2のボディ領域26bに接する。複数の第2の低濃度領域24eは、例えば、主領域24aに接する。
【0068】
図3(a)に示すように、第2のボディ領域26bは、第1の方向に延びる。図3(b)に示すように、第2の高濃度領域24dと第2の低濃度領域24eは、第1の方向に交互に設けられる。1つの第2の低濃度領域24eは、第1の方向において、2つの第2の高濃度領域24dに挟まれる。第2の高濃度領域24dと第2の低濃度領域24eは接する。
【0069】
図3(b)に示すように、第1の高濃度領域24bは、第2の高濃度領域24dの第2の方向に設けられる。また、第1の低濃度領域24cは第2の低濃度領域24eの第2の方向に設けられる。
【0070】
第2の高濃度領域24dは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。第2の高濃度領域24dのn形不純物濃度は、主領域24aのn形不純物濃度より高い。また、第2の高濃度領域24dのn形不純物濃度は、第2の低濃度領域24eのn形不純物濃度より高い。また、第2の高濃度領域24dのn形不純物濃度は、例えば、第1の高濃度領域24bのn形不純物濃度と等しい。
【0071】
第2の高濃度領域24dのn形不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0072】
第2の低濃度領域24eは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。第2の低濃度領域24eのn形不純物濃度は、主領域24aのn形不純物濃度以上である。第2の低濃度領域24eのn形不純物濃度は、例えば、主領域24aのn形不純物濃度より高い。また、第2の低濃度領域24eのn形不純物濃度は、例えば、第1の低濃度領域24cのn形不純物濃度と等しい。
【0073】
第2の低濃度領域24eのn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。
【0074】
第2の高濃度領域24dの第1の方向の長さは、例えば、第2の低濃度領域24eの第1の方向の長さと等しい。
【0075】
第2の高濃度領域24dの第1の方向の長さと第2の低濃度領域24eの第1の方向の長さの和は、例えば、第2のボディ領域26bの第2の方向の長さの0.5倍以上2倍以下である。言い換えれば、第2の高濃度領域24dと第2の低濃度領域24eの繰り返しピッチは、例えば、第2のボディ領域26bの第2の方向の長さd1の0.5倍以上2倍以下である。
【0076】
第2の高濃度領域24dの第2の方向の長さは、例えば、第2のボディ領域26bの第2の方向の長さの0.8倍以上1.2倍以下である。
【0077】
第2の低濃度領域24eの第2の方向の長さは、例えば、第2のボディ領域26bの第2の方向の長さの0.8倍以上1.2倍以下である。
【0078】
第1の面P1から第2の面P2に向かう方向の、第2の高濃度領域24dの第2のボディ領域26bと主領域24aとの間の厚さは、例えば、0.1μm以上1μm以下である。第1の面P1から第2の面P2に向かう方向の、第2の低濃度領域24eの第2のボディ領域26bと主領域24aとの間の厚さは、例えば、0.1μm以上1μm以下である。
【0079】
次に、第1の実施形態のMOSFET100の作用及び効果について説明する。
【0080】
炭化珪素を用いたMOSFETは、性能を向上させるために、性能指標の一つであるオン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)を低減することが望まれる。出力電荷量(Qoss)は、MOSFETのドレインとソース間の容量を充電するための電荷量である。
【0081】
図4(a)、図4(b)は、第1の比較例の半導体装置の模式断面図である。図4(b)は、図4(a)のpx面の断面図である。図4(a)は、第1の実施形態の図1(a)に対応する図である。図4(b)は、第1の実施形態の図3(b)に対応する図である。
【0082】
第1の比較例の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET901である。第1の比較例のMOSFET901は、DIMOSFETである。
【0083】
第1の比較例のMOSFET901は、ドリフト領域24が、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、及び、第2の低濃度領域24eを含まない点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0084】
図5は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図5は、第1の比較例のMOSFET901の模式断面図である。図5は、図4(a)の断面に対応する断面である。
【0085】
図5は、第1の比較例のMOSFET901に流れるオン電流の経路を示す図である。第1の比較例のMOSFET901では、オン電流はゲート電極18直下に集中し、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bの直下ではオン電流が広がりにくい。したがって、MOSFET901のオン抵抗の低減が困難である。
【0086】
図6(a)、図6(b)は、第2の比較例の半導体装置の模式断面図である。図6(b)は、図6(a)のpx面の断面図である。図6(a)は、第1の実施形態の図1(a)に対応する図である。図6(b)は、第1の実施形態の図3(b)に対応する図である。
【0087】
第2の比較例の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET902である。第2の比較例のMOSFET902は、DIMOSFETである。
【0088】
第2の比較例のMOSFET902は、ドリフト領域24が、第1の低濃度領域24c、及び、第2の低濃度領域24eを含まず、第1の高濃度領域24b及び第2の高濃度領域24dが第1の方向に延びる点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0089】
図7は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図7は、第2の比較例のMOSFET902の模式断面図である。図7は、図6(a)の断面に対応する断面である。
【0090】
図7は、第2の比較例のMOSFET902に流れるオン電流の経路を示す図である。第2の比較例のMOSFET902では、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bの直下に、n形不純物濃度が高く電気抵抗の低い第1の高濃度領域24b及び第2の高濃度領域24dが設けられる。このため、例えば、第1の比較例のMOSFET901と比べて、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bの直下でオン電流が広がりやすい。このため、例えば、第1の比較例のMOSFET901と比べて、MOSFET902のオン抵抗(Ron)の低減が可能となる。
【0091】
第2の比較例のMOSFET902は、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bの直下に、n形不純物濃度が高い第1の高濃度領域24b及び第2の高濃度領域24dが設けられる。このため、MOSFET902のオフ動作時に、第1のボディ領域26a及び第2のボディ領域26bからドリフト領域24への空乏層が、例えば、第1の比較例のMOSFET901と比べて伸びにくくなる。
【0092】
このため、第2の比較例のMOSFET902は、例えば、第1の比較例のMOSFET901と比べて、ドレインとソース間の容量を充電するための電荷量である出力電荷量(Qoss)が増加する。したがって、第2の比較例のMOSFET902は、第1の比較例のMOSFET901と比べて、オン抵抗(Ron)は低減するが、出力電荷量(Qoss)が増加する。よって、第2の比較例のMOSFET902は、第1の比較例のMOSFET901と比べて、必ずしも、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)は低減しない。
【0093】
第1の実施形態のMOSFET100は、第1のボディ領域26aの直下に、第1の高濃度領域24bと第1の低濃度領域24cが交互に設けられる。主領域24aよりn形不純物濃度の高い第1の高濃度領域24bが設けられることで、例えば、第1の比較例のMOSFET901と比べて、MOSFET100のオン抵抗(Ron)が低減する。また、第1の高濃度領域24bよりn形不純物濃度の低い第1の低濃度領域24cが設けられることで、例えば、第2の比較例のMOSFET902と比べて、MOSFET100のオフ動作時に第1のボディ領域26aからドリフト領域24へ空乏層が伸びやすくなり、出力電荷量(Qoss)が低減する。
【0094】
さらに、例えば、第1の比較例のMOSFET901及び第2の比較例のMOSFET902と比べて、MOSFET100のオン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減する。MOSFET100のオン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減するのは、以下のように考えられる。
【0095】
第1のボディ領域26aの直下の電気抵抗の比較的低いn形の第1の高濃度領域24bは、第1の実施形態のMOSFET100のように分割して設けても、第2の比較例のMOSFET902のように分割しない場合と比べて、オン電流の広がり促進効果が大きく低減しないためと考えられる。また、第1のボディ領域26aの直下に分割して設けられたn型不純物濃度の低い第1の低濃度領域24cは、空乏層の伸びを促進する効果を有するため、第1の比較例のMOSFET901のように、第1の高濃度領域24bがない場合と比べても、出力電荷量(Qoss)が大きく増加しないためと考えられる。
【0096】
第2のボディ領域26bの直下に設けられた第2の高濃度領域24d及び第2の低濃度領域24eも、第1の高濃度領域24b及び第1の低濃度領域24cと同様の作用により、MOSFET100のオン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)を低減させる。
【0097】
以上のように、第1の実施形態のMOSFET100によれば、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減する。
【0098】
第1の高濃度領域24bの第1の方向の長さd2と第1の低濃度領域24cの第1の方向の長さd3の和(dx)は、第1のボディ領域26aの第2の方向の長さ(図3(a)中のd1)の0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。上記範囲が充足されることにより、更に、MOSFET100のオン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減される。
【0099】
第1の高濃度領域24bの第2の方向の長さ(図3(b)中のd4)は、第1のボディ領域26aの第2の方向の長さ(図3(a)中のd1)の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。上記範囲が充足されることにより、更に、MOSFET100のオン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減される。
【0100】
(第1の変形例)
図8(a)は、第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置の模式図である。図8(a)は、第1の実施形態の図3(b)に対応する図である。
【0101】
第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置は、MOSFET101である。第1の変形例のMOSFET101は、第1の高濃度領域24bの第1の方向の長さ(図8(a)中のd2)が、第1の低濃度領域24cの第1の方向の長さ(図8(a)中のd3)よりも長い点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0102】
第1の変形例のMOSFET101によれば、第1の実施形態のMOSFET100と同様、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減される。また、第1の高濃度領域24bの第1の方向の長さ(図8(a)中のd2)が、第1の低濃度領域24cの第1の方向の長さ(図8(a)中のd3)よりも長いことで、オン抵抗が更に低減する。
【0103】
(第2の変形例)
図8(b)は、第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置の模式図である。図8(b)は、第1の実施形態の図3(b)に対応する図である。
【0104】
第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置は、MOSFET102である。第2の変形例のMOSFET102は、第1の高濃度領域24bが第2の低濃度領域24eの第2の方向に設けられ、第1の低濃度領域24cが第2の高濃度領域24dの第2の方向に設けられる点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0105】
第2の変形例のMOSFET102によれば、第1の実施形態のMOSFET100と同様、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減される。また、第1の高濃度領域24bが第2の低濃度領域24eの第2の方向に設けられ、第1の低濃度領域24cが第2の高濃度領域24dの第2の方向に設けられることで、例えば、オン電流の流れる領域がチップ内で均質化される。よって、例えば、MOSFET102の動作特性が安定する。
【0106】
以上、第1の実施形態及び変形例によれば、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)を低減できる半導体装置が実現できる。
【0107】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第1の炭化珪素領域は第1の面及び第2の炭化珪素領域に接する第1の部分を有し、第1の電極は、第1の部分に接する点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0108】
図9図10は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図11は、第2の実施形態の模式上面図である。図11は、ゲート電極のパターンと、炭化珪素層表面の炭化珪素領域のパターンとを重ねた図である。図12図13は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0109】
図9は、図11及び図13のCC’断面である。図10は、図11及び図13のDD’断面である。図12は、図9図10のpy面の断面図である。図13は、図9図10のpx面の断面図である。
【0110】
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET200である。第2の実施形態のMOSFET200は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成するDIMOSFETである。また、第2の実施形態の半導体装置は、内蔵ダイオードとしてSBD(Schottky Barrier Diode)を備える。第2の実施形態のMOSFET200は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0111】
以下、第1導電形がn形、第2導電形がp形である場合を例に説明する。MOSFET200は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
【0112】
MOSFET200は、炭化珪素層10、ソース電極12、ドレイン電極14、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
【0113】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24、p形の第1のボディ領域26a、p形の第2のボディ領域26b、p形の第3のボディ領域26c、n形のソース領域28、p形のボディコンタクト領域30が設けられる。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。第1のボディ領域26aは、第2の炭化珪素領域の一例である。第2のボディ領域26bは、第4の炭化珪素領域の一例である。ソース領域28は、第3の炭化珪素領域の一例である。
【0114】
ドリフト領域24は、主領域24a、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、第2の低濃度領域24e、第3の高濃度領域24f、第3の低濃度領域24gを含む。主領域24aは、第1の領域の一例である。第1の高濃度領域24bは、第2の領域の一例である。第1の低濃度領域24cは、第3の領域の一例である。第2の高濃度領域24dは、第4の領域の一例である。第2の低濃度領域24eは、第5の領域の一例である。
【0115】
p形の第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cは、ドリフト領域24と第1の面P1との間に設けられる。第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cは、それぞれ離隔している。
【0116】
第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cは、第1の面P1に平行な第1の方向に延びる。第2のボディ領域26b及び第3のボディ領域26cは、第1のボディ領域26aに対し、第1の面P1に平行で第1の方向に直交する第2の方向に設けられる。第1のボディ領域26aは、第2のボディ領域26bと第3のボディ領域26cの間に設けられる。
【0117】
第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cは、MOSFET200のチャネル領域として機能する。
【0118】
第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cは、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cのp形不純物濃度は、例えば、1×1017cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0119】
第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cの深さは、例えば、0.3μm以上0.8μm以下である。
【0120】
第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、第3のボディ領域26cは、ソース電極12の電位に固定される。
【0121】
形のドリフト領域24は、ドレイン領域22と第1の面P1との間に設けられる。n形のドリフト領域24は、第1の部分24xを含む。第1の部分24xは、例えば、主領域24aの一部である。
【0122】
第1の部分24xは、第1の面P1に接する。第1の部分24xは、第1のボディ領域26aと第3のボディ領域26cとの間に設けられる。第1の部分24xは、第1のボディ領域26a、及び、第3のボディ領域26cに接する。
【0123】
ソース電極12は、ソース領域28に接する。ソース電極12は、ボディコンタクト領域30に接する。
【0124】
ソース電極12は、ドリフト領域24の第1の部分24xに接する。ソース電極12は、第1の部分24xに隣接する第1のボディ領域26aに接する。ソース電極12は、第1の部分24xに隣接する第3のボディ領域26cに接する。
【0125】
ソース電極12は、金属を含む。ソース電極12を形成する金属は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ソース電極12のソース領域28に接する部分は、例えば、金属シリサイドである。金属シリサイドは、例えば、チタンシリサイド又はニッケルシリサイドである。ソース電極12の第1の部分24xに接する部分には、例えば、金属シリサイドが設けられない。
【0126】
第1の部分24xとソース電極12との間の接合は、ショットキー接合である。
【0127】
ソース電極12、第1の部分24x、主領域24a、ドレイン領域22、及びドレイン電極14が、SBDを構成する。ソース電極12がSBDのアノード電極、ドレイン電極14がSBDのカソード電極として機能する。
【0128】
ドリフト領域24は、n形の主領域24a、複数のn形の第1の高濃度領域24b、複数のn形の第1の低濃度領域24c、複数のn形の第2の高濃度領域24d、複数のn形の第2の低濃度領域24e、複数のn形の第3の高濃度領域24f、複数のn形の第3の低濃度領域24gを含む。
【0129】
主領域24aは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。主領域24aのn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。
【0130】
複数の第3の高濃度領域24fは、主領域24aと第3のボディ領域26cとの間に設けられる。複数の第3の高濃度領域24fは、第3のボディ領域26cに接する。複数の第3の高濃度領域24fは、例えば、主領域24aに接する。
【0131】
複数の第3の低濃度領域24gは、主領域24aと第3のボディ領域26cとの間に設けられる。複数の第3の低濃度領域24gは、第3のボディ領域26cに接する。第3の低濃度領域24gは、例えば、主領域24aに接する。
【0132】
図12に示すように、第3のボディ領域26cは、第1の方向に延びる。図13に示すように、第3の高濃度領域24fと第3の低濃度領域24gは、第1の方向に交互に設けられる。1つの第3の低濃度領域24gは、第1の方向において、2つの第3の高濃度領域24fに挟まれる。第3の高濃度領域24fと第3の低濃度領域24gは接する。
【0133】
第3の高濃度領域24fは、第1の高濃度領域24bの第2の方向に設けられる。第3の低濃度領域24gは、第1の低濃度領域24cの第2の方向に設けられる。
【0134】
第3の高濃度領域24fは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。第3の高濃度領域24fのn形不純物濃度は、主領域24aのn形不純物濃度より高い。また、第3の高濃度領域24fのn形不純物濃度は、第3の低濃度領域24gのn形不純物濃度より高い。また、第3の高濃度領域24fのn形不純物濃度は、例えば、第1の高濃度領域24bのn形不純物濃度と等しい。
【0135】
第3の高濃度領域24fのn形不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0136】
第3の低濃度領域24gは、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。第3の低濃度領域24gのn形不純物濃度は、主領域24aのn形不純物濃度以上である。第3の低濃度領域24gのn形不純物濃度は、例えば、主領域24aのn形不純物濃度より高い。また、第3の低濃度領域24gのn形不純物濃度は、例えば、第1の低濃度領域24cのn形不純物濃度と等しい。
【0137】
第3の低濃度領域24gのn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。
【0138】
次に、第2の実施形態のMOSFET200の作用及び効果について説明する。
【0139】
第2の実施形態のMOSFET200は、第1の実施形態のMOSFET100と同様、ドリフト領域24が、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、第2の低濃度領域24eを含むことにより、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減する。
【0140】
図14は、第2の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図14は、第2の実施形態のMOSFET200の模式断面図である。図14は、図9に対応する断面である。
【0141】
図14は、第2の実施形態のMOSFET200のSBDに流れるオン電流の経路を示す図である。第2の実施形態のMOSFET200では、第1のボディ領域26a及び第3のボディ領域26cの直下に、n形不純物濃度が高く電気抵抗の低い第1の高濃度領域24b及び第3の高濃度領域24fが設けられる。このため、第1のボディ領域26a及び第3のボディ領域26cの直下でSBDのオン電流が広がりやすい。したがって、MOSFET200に内蔵されるSBDのオン電流を増加させることが可能となる。
【0142】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)を低減できる半導体装置が実現できる。また、内蔵されるSBDのオン電流を増加させることが可能となる。
【0143】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、ゲート電極のパターンが格子形状である点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0144】
図15(a)、図15(b)は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図16は、第3の実施形態の模式上面図である。図16は、ゲート電極のパターンと、炭化珪素層表面の炭化珪素領域のパターンとを重ねた図である。図17(a)、図17(b)は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0145】
図15(a)は、図16及び図17(b)のEE’断面である。図15(b)は、図16及び図17(b)のFF’断面である。図17(a)は、図15(a)、図15(b)のpy面の断面図である。図17(b)は、図15(a)、図15(b)のpx面の断面図である。
【0146】
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET300である。第3の実施形態のMOSFET300は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、DIMOSFETである。
【0147】
以下、第1導電形がn形、第2導電形がp形である場合を例に説明する。MOSFET300は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
【0148】
MOSFET300は、炭化珪素層10、ソース電極12、ドレイン電極14、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
【0149】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24、p形の第1のボディ領域26a、p形の第2のボディ領域26b、n形のソース領域28、p形のボディコンタクト領域30が設けられる。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。第1のボディ領域26aは、第2の炭化珪素領域の一例である。第2のボディ領域26bは、第4の炭化珪素領域の一例である。ソース領域28は、第3の炭化珪素領域の一例である。
【0150】
ドリフト領域24は、主領域24a、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、第2の低濃度領域24eを含む。主領域24aは、第1の領域の一例である。第1の高濃度領域24bは、第2の領域の一例である。第1の低濃度領域24cは、第3の領域の一例である。第2の高濃度領域24dは、第4の領域の一例である。第2の低濃度領域24eは、第5の領域の一例である。
【0151】
図16に示すようにゲート電極18は、格子状のパターンを有する。また、図17(a)に示すように、p形の第1のボディ領域26a及びp形の第2のボディ領域26bは、正方形のパターンを有する。
【0152】
図17(b)に示すように、第1の高濃度領域24bと第1の低濃度領域24cは、第1のボディ領域26aの直下において、第1の方向に交互に設けられる。また、第2の高濃度領域24dと第2の低濃度領域24eは、第2のボディ領域26bの直下において、第1の方向に交互に設けられる。
【0153】
第3の実施形態のMOSFET300は、第1の実施形態のMOSFET100と同様、ドリフト領域24が、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、第2の低濃度領域24eを含むことにより、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減する。
【0154】
以上、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)を低減できる半導体装置が実現できる。
【0155】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、第1の面と第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、炭化珪素層の中に設けられた第1導電形の第1の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第2導電形の第2の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の電極と接する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の炭化珪素領域、第2の炭化珪素領域、及び第3の炭化珪素領域に接するトレンチと、トレンチの中に設けられ、第2の炭化珪素領域と対向するゲート電極と、ゲート電極と第2の炭化珪素領域との間に設けられたゲート絶縁層と、を備る。そして、第1の炭化珪素領域は、第1の領域と、第1の領域と第2の炭化珪素領域との間に設けられ第2の炭化珪素領域に接する複数の第2の領域と、第1の領域と第2の炭化珪素領域との間に設けられ、第2の炭化珪素領域に接する複数の第3の領域と、を含む。第2の領域と第3の領域は第1の面に平行な第1の方向に交互に設けられ、第2の領域の第1導電形不純物濃度は、第1の領域の第1導電形不純物濃度及び第3の領域の第1導電形不純物濃度よりも高い。第4の実施形態の半導体装置は、トレンチゲート構造である点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0156】
図18(a)、図18(b)は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図19は、第4の実施形態の模式上面図である。図19は、トレンチ及びゲート電極のパターンと、炭化珪素層表面の炭化珪素領域のパターンとを重ねた図である。図20(a)、図20(b)は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0157】
図18(a)は、図19及び図20(b)のGG’断面である。図18(b)は、図19及び図20(b)のHH’断面である。図20(a)は、図18(a)、図18(b)のpy面の断面図である。図20(b)は、図18(a)、図18(b)のpx面の断面図である。
【0158】
第4の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型MOSFET400である。第4の実施形態のMOSFET400は、炭化珪素層に設けられたトレンチの中にゲート電極が形成されている。
【0159】
以下、第1導電形がn形、第2導電形がp形である場合を例に説明する。MOSFET400は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
【0160】
MOSFET400は、炭化珪素層10、ソース電極12、ドレイン電極14、ゲート絶縁層16、ゲート電極18、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
【0161】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24、p形の第1のボディ領域26a、p形の第2のボディ領域26b、n形のソース領域28、p形のボディコンタクト領域30、及びトレンチ40が設けられる。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。第1のボディ領域26aは、第2の炭化珪素領域の一例である。第2のボディ領域26bは、第4の炭化珪素領域の一例である。ソース領域28は、第3の炭化珪素領域の一例である。
【0162】
ドリフト領域24は、主領域24a、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、第2の低濃度領域24eを含む。主領域24aは、第1の領域の一例である。第1の高濃度領域24bは、第2の領域の一例である。第1の低濃度領域24cは、第3の領域の一例である。第2の高濃度領域24dは、第4の領域の一例である。第2の低濃度領域24eは、第5の領域の一例である。
【0163】
トレンチ40は、炭化珪素層10の中に設けられる。トレンチ40は、炭化珪素層10の一部である。トレンチ40は、炭化珪素層10に形成された凹部である。
【0164】
トレンチ40は、ドリフト領域24、第1のボディ領域26a、第2のボディ領域26b、及び、ソース領域28に接する。トレンチ40は、ドリフト領域24、第1のボディ領域26a、及び、第2のボディ領域26bを貫通する。
【0165】
ゲート電極18は、炭化珪素層10の中に設けられる。ゲート電極18は、ゲート絶縁層16を間に介して炭化珪素層10の中に設けられる。ゲート電極18は、トレンチ40の中に設けられる。ゲート電極18は、第1のボディ領域26aと対向する。ゲート電極18は、第2のボディ領域26bと対向する。
【0166】
ゲート電極18と第1のボディ領域26aとの間に、ゲート絶縁層16が設けられる。ゲート電極18と第2のボディ領域26bとの間に、ゲート絶縁層16が設けられる。
【0167】
図19に示すようにトレンチ40及びゲート電極18は、第1の方向に延びる。トレンチ40及びゲート電極18は、ストライプ状のパターンを有する。また、図20(a)に示すように、p形の第1のボディ領域26a及びp形の第2のボディ領域26bは、第1の方向に延びる。
【0168】
図20(b)に示すように、第1の高濃度領域24bと第1の低濃度領域24cは、第1のボディ領域26aの直下において、第1の方向に交互に設けられる。また、第2の高濃度領域24dと第2の低濃度領域24eは、第2のボディ領域26bの直下において、第1の方向に交互に設けられる。
【0169】
第4の実施形態のMOSFET400は、第1の実施形態のMOSFET100と同様、ドリフト領域24が、第1の高濃度領域24b、第1の低濃度領域24c、第2の高濃度領域24d、第2の低濃度領域24eを含むことにより、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)が低減する。
【0170】
以上、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、オン抵抗と出力電荷量との積(Ron×Qoss)を低減できる半導体装置が実現できる。
【0171】
第1ないし第4の実施形態では、SiCの結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造のSiCを用いたデバイスに適用することも可能である。また、炭化珪素層10の表面に(0001)面以外の面を適用することも可能である。
【0172】
第1ないし第4の実施形態では、第1導電形がn形、第2導電形がp形の場合を例に説明したが、第1導電形をp形、第2導電形をn形とすることも可能である。
【0173】
第1ないし第4の実施形態では、p形不純物としてアルミニウム(Al)を例示したが、ボロン(B)を用いることも可能である。また、n形不純物として窒素(N)及びリン(P)を例示したが、砒素(As)、アンチモン(Sb)等を適用することも可能である。
【0174】
また、第2の実施形態では、半導体装置がSBDを内蔵するプレーナゲート型のMOSFETである場合を例に説明したが、半導体装置は、例えば、SBDを内蔵するトレンチゲート型のMOSFETであっても構わない。
【0175】
第1ないし第4の実施形態では、半導体装置がMOSFETの場合を例に説明したが、半導体装置は、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)であっても構わない。
【0176】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0177】
10 炭化珪素層
12 ソース電極(第1の電極)
14 ドレイン電極(第2の電極)
16 ゲート絶縁層
18 ゲート電極
24 ドリフト領域(第1の炭化珪素領域)
24a 主領域(第1の領域)
24b 第1の高濃度領域(第2の領域)
24c 第1の低濃度領域(第3の領域)
24d 第2の高濃度領域(第4の領域)
24e 第2の低濃度領域(第5の領域)
24x 第1の部分
26a 第1のボディ領域(第2の炭化珪素領域)
26b 第2のボディ領域(第4の炭化珪素領域)
28 ソース領域(第3の炭化珪素領域)
40 トレンチ
100 MOSFET(半導体装置)
200 MOSFET(半導体装置)
300 MOSFET(半導体装置)
400 MOSFET(半導体装置)
P1 第1の面
P2 第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20