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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132742
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】カップを有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20240920BHJP
   A41C 3/00 20060101ALI20240920BHJP
   A41C 3/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A41C3/12 A
A41C3/00 A
A41C3/12 C
A41C3/12 D
A41C3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043652
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】502157176
【氏名又は名称】株式会社ウインビー
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】野澤 勝憲
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA15
3B131AA22
3B131AB04
3B131AB05
3B131AB06
3B131AB07
3B131BA21
3B131BA41
3B131BB03
3B131BB07
3B131BB11
3B131CA08
(57)【要約】
【課題】 乳房の立体性を改善するとともに、様々なサイズ・形状の乳房に対して、少ないサイズ設定でありながら、フィット性を高めるカップを有する衣類を提供する。
【解決手段】 本開示によるカップを有する衣類は、左右一対の保型性のカップと、カップ横断帯状体と、を有する。保型性のカップは、乳房を包むように前方への膨らみを有する。カップ横断帯状体は、一対のカップの各々を横断するように各々の肌側に配置され、乳房のうちの乳頭より下面に当たって乳房を押し上げるように、一対のカップの各々の端縁のうち、中心側に一端が縫い合わされ、中心側よりも高い脇側に他端が縫い合わされることにより、中心側から脇側に斜めに掛け渡されている。カップ横断帯状体は、横断方向に沿った中央部に配置された非伸縮性の芯材と、横断方向に沿った中央部の両側に配置された伸縮性の両側素材と、を有する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房を包むように前方への膨らみを有する左右一対の保型性のカップと、
前記一対のカップの各々を横断するように各々の肌側に配置され、前記乳房のうちの乳頭より下面に当たって前記乳房を押し上げるように、前記一対のカップの各々の端縁のうち、中心側に一端が縫い合わされ、前記中心側よりも高い脇側に他端が縫い合わされることにより、前記中心側から前記脇側に斜めに掛け渡されているカップ横断帯状体と、を備え、
前記カップ横断帯状体は、横断方向に沿った中央部に配置された非伸縮性の芯材と、前記横断方向に沿った前記中央部の両側に配置された伸縮性の両側素材と、を有し、それにより前記カップ横断帯状体は、前記中央部において非伸縮性であり、前記中央部の両側において伸縮性であり、
前記カップ横断帯状体は、前記横断方向に沿った全体にわたって、前記端縁のうちの下湾曲縁から間隙をおいて上方に配置されている、カップを有する衣類。
【請求項2】
前記カップ横断帯状体よりも肌側に配置され、前記カップ横断帯状体の下部から前記下湾曲縁までの領域を覆うように、前記端縁に縫い合わされた伸縮性のカップ下部素材を、更に備える、請求項1に記載のカップを有する衣類。
【請求項3】
前記一対のカップの各々の前記下湾曲縁の下方及び脇側に配置され、当該下湾曲縁に沿って各カップに縫い合わされているカップ台布と、
一対の肩紐と、
前記一対の肩紐の各々から二股に分岐するように、対応する肩紐の前記下端に上端が連結した第1及び第2の伸縮性テープ材と、を更に備え、
前記第1の伸縮性テープ材の下端は、対応するカップの最上端に連結し、
前記第2の伸縮性テープ材の下端は、対応するカップに隣接するカップ台布の最上端に連結し、
前記カップを有する衣類は、前記第1の伸縮性テープ材、前記第2の伸縮性テープ材、対応するカップの前記最上端よりも脇側の上端縁、及び前記カップ台布に、辺縁が縫い合わされることにより、これらに囲まれた領域に配置される伸縮性のカップ脇素材、を更に備える、請求項1又は2に記載のカップを有する衣類。
【請求項4】
前記カップ横断帯状体は、上端縁に比べて下端縁が大きく外方に張り出すように湾曲することにより、前記中央部において幅が広く、両端部においては幅が狭い、請求項1又は2に記載のカップを有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャー等のカップを有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラジャーには、カップの下湾曲縁に沿って、ワイヤーが縫い込まれているタイプと、ワイヤーのないタイプ(ノンワイヤー)との2種類が知られている。ワイヤータイプはバスト(乳房)に立体性を付与することができることから、かつては主流であったが、十数年前に立体性を改善したノンワイヤータイプが発売されて以来、着心地が良いことから、需要者のノンワイヤーへの乗り換えが進み、現在ではノンワイヤーが主流となっている。しかし、ノンワイヤータイプは、バストの立体感の点において、ワイヤータイプには及ばないのが現状である。
【0003】
更に、従来のブラジャーは、様々な大きさ及び形状のバストにフィットするように、カップの大きさだけでなく、バストサイズ(頂部における胸囲)、アンダーバストサイズ(バストの下方付け根における胸囲)との組み合わせを細分化した、多種類のサイズ設定の商品を揃えることを要していた。なお、バストの横流れを効果的に抑えることによりバストの立体性を改善することを目的とした従来技術として、特許文献1に開示されるブラジャーが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3211073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、乳房の立体性を改善することを目的とするとともに、様々なサイズ・形状の乳房に対して、少ないサイズ設定でありながら、フィット性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、カップを有する衣類であって、左右一対の保型性のカップと、カップ横断帯状体と、を備えている。左右一対の保型性のカップは、乳房を包むように前方への膨らみを有する。カップ横断帯状体は、前記一対のカップの各々を横断するように各々の肌側に配置され、前記乳房のうちの乳頭より下面に当たって前記乳房を押し上げるように、前記一対のカップの各々の端縁のうち、中心側に一端が縫い合わされ、前記中心側よりも高い脇側に他端が縫い合わされることにより、前記中心側から前記脇側に斜めに掛け渡されている。
更に、前記カップ横断帯状体は、横断方向に沿った中央部に配置された非伸縮性の芯材と、前記横断方向に沿った前記中央部の両側に配置された伸縮性の両側素材と、を有している。それにより前記カップ横断帯状体は、前記中央部において非伸縮性であり、前記中央部の両側において伸縮性である。また、前記カップ横断帯状体は、前記横断方向に沿った全体にわたって、前記端縁のうちの下湾曲縁から間隙をおいて上方に配置されている。
【0007】
この構成によれば、伸縮性素材を含むカップ横断帯状体が、弾力をもって乳房を下から押し上げるように機能することにより、乳房の立体感が高められるとともに、幅広いサイズ及び形状の乳房に対しフィット感が向上する。カップ横断帯状体の中央部が非伸縮性であり、その両側が伸縮性であるので、乳房の頂部の横方向の両側を頂部に寄せる効果が高く、非伸縮性素材により、バストを支える効果も高められる。
【0008】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様によるカップを有する衣類であって、伸縮性のカップ下部素材を、更に備えている。伸縮性のカップ下部素材は、前記カップ横断帯状体よりも肌側に配置され、前記カップ横断帯状体の下部から前記下湾曲縁までの領域を覆うように、前記端縁に縫い合わされている。
【0009】
この構成によれば、乳房の立体感が更に高められるとともに、幅広いサイズ及び形状の乳房に対しフィット感が更に向上する。
【0010】
本発明のうち第3の態様によるものは、第1又は第2の態様によるカップを有する衣類であって、カップ台布と、一対の肩紐と、第1及び第2の伸縮性テープ材と、カップ脇素材とを、更に備えている。カップ台布は、前記一対のカップの各々の前記下湾曲縁の下方及び脇側に配置され、当該下湾曲縁に沿って各カップに縫い合わされている。第1及び第2の伸縮性テープ材は、前記一対の肩紐の各々から二股に分岐するように、対応する肩紐の前記下端に上端が連結している。前記第1の伸縮性テープ材の下端は、対応するカップの最上端に連結している。前記第2の伸縮性テープ材の下端は、対応するカップに隣接するカップ台布の最上端に連結している。また、前記カップを有する衣類は、前記第1の伸縮性テープ材、前記第2の伸縮性テープ材、対応するカップの前記最上端よりも脇側の上端縁、及び前記カップ台布に、辺縁が縫い合わされることにより、これらに囲まれた領域に配置される伸縮性のカップ脇素材、を更に備えている。
【0011】
この構成によれば、カップが肩紐の前方の下端に、第1及び第2の伸縮性テープ材、及び伸縮性のカップ脇素材を介して連結するので、幅広いサイズ及び形状の乳房に対しフィット感が更に向上する。
【0012】
本発明のうち第4の態様によるものは、第1から第3のいずれかの態様によるカップを有する衣類であって、前記カップ横断帯状体は、上端縁に比べて下端縁が大きく外方に張り出すように湾曲することにより、前記中央部において幅が広く、両端部においては幅が狭い。
【0013】
この構成によれば、カップ横断帯状体により乳房が違和感なく押し上げられる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、乳房の立体性を改善するとともに、様々なサイズ・形状の乳房に対して、少ないサイズ設定でありながら、フィット性を高めるカップを有する衣類が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態によるブラジャーについて、裏側(肌側)から見た構成を例示する図である。
図2図1のブラジャーのカップの構成を例示する図である。
図3図1のブラジャーについて、表側(肌側の反対側)から見た構成を例示する図である。
図4図1のブラジャーの一部について、裏布を除去したときの構成を例示する図である。
図5図1のブラジャーについて、カップ脇素材の形状を例示する図である。
図6図1のブラジャーのカップ横断帯状体の構成を例示する図である。
図7図1のブラジャーについて、カップ下部素材を装着したときの構成を例示する図である。
図8図1のブラジャーについて、縦断面構造を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態によるブラジャーを裏から、すなわち肌に接する側から見た構成を例示する図である。このブラジャー101は、左右一対のカップ1、カップ台布3、左右の一対のベルト5、及び左右一対の肩紐7を有している。
図2は、ブラジャー101のカップ1の構成を例示する図である。カップ1は、一例として、4領域に分割して配置された、保形性のカップ布11,12,13,14を有している。保形性とは、ドーム状の立体形状を構成したときに、その形状を保持する性質である。カップ布11,12,13,14には、例えば、厚手の不織布、モールド形成カップなどが用いられ、それにより保形性が得られる。モールド形成カップは、図示例とは異なり、数片に分割されることなく、カップ1を一体物として構成することができる。
【0017】
例示するカップ1は、3本の曲線状の端縁により縁取られている。これら3本の端縁は、大きく湾曲する下湾曲縁17、上端縁を構成する中心側上端縁18及び脇側上端縁20である。下湾曲縁17は、その脇部において、中心側(図において左側)から離れるほど上方に延びるように、大きく湾曲している。中心側上端縁18は、カップ1の最上端2から中心側(図において左側)において下湾曲縁17まで下降しつつ、かつ外側に湾曲しつつ延びている。脇側上端縁20は、カップ1の最上端2から脇側(図において右側)において下湾曲縁17まで下降しつつ、かつ内側に僅かに湾曲しつつ延びている。
【0018】
カップ1は、中心側上端縁18の中央部と下湾曲縁17の中央部とを結んで斜めに延びる略直線状の接ぎ線(はぎせん)19と、脇側上端縁20の上端部付近と下湾曲縁17の中心側端部付近とを結んで、中心側上端縁18に沿うように湾曲しつつ延びる曲線状の接ぎ線25とにより、4領域に分けられている。これら4領域には、上に述べたカップ布11,12,13,14が、それぞれ配置されている。4片のカップ布11,12,13,14は、接ぎ線19,25に沿って、互いに縫い合わされている。4片のカップ布11,12,13,14は、いずれも好ましくは厚手であり、互いに重ね合わせたり、折り返したりすることなく、互いに突き合わせた状態で、縫い合される。突き合わせを隠すために、接ぎ線19,25に沿って、テープ状の布29,30が、カップ布11,12,13,14とともに縫い合わされる。
【0019】
図示を略するが、4片のカップ布11,12,13,14の接ぎ線19,25に沿った輪郭線は、縫い合わせ前において、いずれも外方に湾曲している。。このため、4片のカップ布11,12,13,14は、接ぎ線19,25に沿って互いに縫い合わされることにより、ドーム状の立体形状を形成する。
【0020】
図1に戻って、一対のカップ1の一方の脇側、双方の下側から他方の脇側にわたって、カップ台布3が縫い合わされている。カップ台布3には、例えば縦横低伸縮性であるマーキゼットなどの、低伸縮性の布が用いられる。
【0021】
カップ1を構成する4片のカップ布11,12,13,14と、カップ台布3とを接ぎ合わせる接ぎ線33は、左右の下端の一方から他方までにおいて、略横一文字に延びており、一対のカップ1の間において、乳房のバージスライン(輪郭線)に沿って上部まで湾曲してはいない。すなわち、カップ台布3は、一対のカップ1の間に割って入るように配置されてはおらず、一対のカップ1同士が、カップ台布3により分離されてはいない。すなわち、左右のカップ1同士が、互いに隣接している。このため、カップ1により乳房を内側へ寄せる効果が、さらに高められる。なお、図示例では、接ぎ線33に沿ってワイヤーは配設されていない。すなわち、ブラジャー101は、一例として、ノンワイヤータイプである。
【0022】
図1に例示するように、一対のカップ1の裏側には、裏地としての裏布37が縫い合わされている。裏布37には、保形性のない布が用いられる。このため裏布37は、一本の接ぎ線38に沿って互いに縫い合わされる切れ目を有するのみで足りる。接ぎ線38は、一例として、接ぎ線19と重なる。
【0023】
カップ台布3の裏側にも、裏地としての裏布39が縫い合わされている。これらの布37,39には、例えば、肌ざわりの良いモダールのほか、シルク、綿、綿混素など、保温・吸水性に優れた素材が用いられる。裏布37は、一例として、パットを入れるポケットとしても機能するように、カップ布11,12,13,14と自身との間には隙間が設けられる。パットはポケット口41から、裏布37とカップ1との間に、挿入することができる。裏布37と裏布39は、接ぎ線33に沿って、カップ1及びカップ台布3とともに縫い合わされている。縫い合わせを隠すために、接ぎ線33には、それに沿うように、テープ状の布43が、カップ1、カップ台布3、裏布37,39とともに縫い合わされる。
【0024】
左右一対のベルト5には、伸縮性の布が用いられる。また、裏地には、裏布45が縫い合わされている。裏布45には、例えば裏布37,39と同一の素材が用いられる。一対のベルト5の端部には、互いの着脱を可能にする留め具46が設けられる。左右一対の肩紐7の各々一端は、カップ1の最上端2よりも上方に配置される肩紐連結部15に連結され、他端はベルト5の上辺の一部に連結される。
【0025】
図3は、ブラジャー101を表から見た構成を例示する図である。カップ1の表側にも、表地としての表布47が縫い合わされている。一例として、表布47は、装飾性あるレース地49と、その裏に背景をなすように配置される背景布51とが、縫い合わされてなる。表布47も、裏布37と同様に保形性が無いので、左右各1本の接ぎ線53に沿って接ぎ合わされる切れ目を有するのみで足りる。図示例では、接ぎ線53は、裏布37の接ぎ線38と重なっている。また、カップ台布3の表側にも、表布47と同様の表布48が縫い合わされている。カップ台布3と重なる表布48は、2本の接ぎ線54に沿って3片が互いに縫い合わされてなる。表布47、48は、接ぎ線33に沿って、カップ1、カップ台布3、裏布37,39とともに、縫い合わされている。表布47はまた、接ぎ線53に沿って、裏布37、カップ片1とともに、縫い合わされている。なお、ブラジャー101において、裏布37,39,45、及び表布47、48の無い形態としても、乳房を脇から寄せる効果は、同等に得られる。
【0026】
図4は、ブラジャー101の一部について、裏布37を除去したときの構成を例示する図である。カップ台布3は、下湾曲縁17の脇側端部を越えて延びる延長部61を有している(図1参照)。肩紐7の前方の下端に位置する肩紐連結部15には、肩紐7から二股に分岐するように、伸縮性テープ材63,65の上端が連結している。伸縮性テープ材63の下端は、カップ1の最上端2に連結している。伸縮性テープ材65の下端は、カップ台布3の延長部61の最上端67に連結している。伸縮性テープ材63、65には、例えばゴム入りテープが用いられる。
【0027】
伸縮性の素材であるカップ脇素材69が、伸縮性テープ材63、65、カップ1の脇側上端縁20、及びカップ台布3の延長部61の端縁71に、辺縁が縫い合わされることにより、これらに囲まれた領域に配置されている。図5は、カップ脇素材69の形状を例示している。伸縮性のカップ脇素材69には、一例として、パワーネットが用いられる。このように、カップ1が、肩紐連結部15に、伸縮性テープ材63,65、及び伸縮性のカップ脇素材69を介して連結するので、幅広いサイズ及び形状の乳房に対しフィット感が向上する。
【0028】
図4に例示するように、カップ1を横断するカップ横断帯状体73が、カップ1の肌側に配置されている。カップ横断帯状体73は、カップ1の中心側上端縁18の下端の付近に一端が縫い合わされ、カップ1の脇側上端縁20の中央部よりも下部寄りに他端が縫い合わされている。それにより、カップ横断帯状体73は、乳房のうちの乳頭より下面に当たって乳房を押し上げるように、カップ1に斜めに掛け渡されている。
【0029】
図6は、カップ横断帯状体73の構成を例示する図である。カップ横断帯状体73は、横断方向に沿った中央部に配置された非伸縮性の芯材75と、横断方向に沿った中央部の両側に配置された伸縮性の両側素材77,79と、を有している。それにより、カップ横断帯状体73は、中央部において非伸縮性であり、中央部の両側において伸縮性である。芯材75と両側素材77,79とは、互いに縫い合わされている。また、図4に例示するように、カップ横断帯状体73は、横断方向に沿った全体にわたって、カップ1の下湾曲縁17から間隙をおいて上方に配置されている。芯材75は、一例としてナイロン芯である。両側素材77,79は、一例としてパワーネットである。
【0030】
このように、伸縮性素材を含むカップ横断帯状体73が、弾力をもって乳房を下から押し上げるように機能することにより、乳房の立体感が高められるとともに、幅広いサイズ及び形状の乳房に対しフィット感が向上する。カップ横断帯状体73の中央部が非伸縮性であり、その両側が伸縮性であるので、乳房の頂部の横方向の両側を頂部に寄せる効果が高く、非伸縮性の芯材75により、バストを支える効果も高められる。
【0031】
また図示例では、カップ横断帯状体73の上端縁81は直線に近く、下端縁83は外方に張り出すように大きく湾曲している。それによりカップ横断帯状体73は、中央部において幅が広く、両端部においては幅が狭い。このため、カップ横断帯状体73により乳房が違和感なく押し上げられる。好ましくは図示例のように、カップ横断帯状体73の芯材75及び両側素材77,79は、カップ横断帯状体73の横断方向に沿った長さが、おおよそ同程度となるように設定される。この場合に、乳房の立体感を高める効果が最も高い。
【0032】
図7は、図4と同様に、ブラジャー101の一部について、裏布37を除去したときの構成を例示する図である。図7の例では、カップ横断帯状体73よりも肌側に、伸縮性のカップ下部素材85が、更に設置されている。カップ下部素材85は、カップ1の中心側上端縁18の下端部、脇側上端縁20の下端部、及び下湾曲縁17に縫い合わされている。それによりカップ下部素材85は、カップ横断帯状体73の下部から下湾曲縁17までの領域を覆うように配置されている。
【0033】
図8は、ブラジャー101について、縦断面構造を例示する断面図である。図示例のように、カップ1よりも肌側、すなわち乳房90に近い位置に、カップ横断帯状体73が配置され、それよりも乳房90に近い位置にカップ下部素材85が配置されている。また、カップ横断帯状体73は、カップ1の下部に重なるように配置され、カップ下部素材85は、カップ横断帯状体73の下部からカップの下湾曲縁17までの領域を覆うように配置される。このように配置されたカップ下部素材85により、乳房の立体感が更に高められるとともに、幅広いサイズ及び形状の乳房に対しフィット感が更に向上する。
【0034】
図8では、表布47及び裏布37は図示を略している。表布47は、カップ1の表側を覆うように配置される。裏布37は、カップ1の肌側を覆うように、かつ、カップ1とカップ横断帯状体73との間に配置される。
【0035】
以上、本願発明がブラジャー101として具体化された一例を示した。これに対し、本願発明は、ブラジャーに限らず、ブラジャーと同様のカップを有するキャミソール、スリップなど、カップを有する衣類に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 カップ、 2 最上端、 3 カップ台布、 5 ベルト、 7 肩紐、 11,12,13,14 カップ布、 15 肩紐連結部、 17 下湾曲縁、 18 中心側上端縁、 19 接ぎ線、 20 脇側上端縁、 25 接ぎ線、 29,30 テープ状の布、 33 接ぎ線、 37 裏布、 39 裏布、 41 ポケット口、 45 裏布、 46 留め具、 47 表布、 48 表布、 49 レース地、 51 背景布、 53 接ぎ線、 54 接ぎ線、 61 延長部、 63,65 伸縮性テープ材、 67 最上端、 69 カップ脇素材、 71 端縁、 73 カップ横断帯状体、 75 芯材、 77,79 両側素材、 81 上端縁、 83 下端縁、 85 カップ下部素材、 90 乳房、 ブラジャー 101。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8