IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オーレックR&Dの特許一覧

特開2024-132745拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法
<>
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図1
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図2
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図3
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図4
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図5
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図6
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図7
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図8
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図9
  • 特開-拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132745
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 51/00 20060101AFI20240920BHJP
   A01D 46/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01D51/00
A01D46/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043659
(22)【出願日】2023-03-17
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523050173
【氏名又は名称】株式会社オーレックR&D
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】今村 健二
(72)【発明者】
【氏名】三宅 真吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 和仁
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075GA01
2B075GA05
2B075JD30
(57)【要約】
【課題】手作業で行われていた拾集対象物の拾集作業における作業負担を軽減可能で、拾集対象物を効率良く回収可能な拾集器具、拾集作業機及び拾集方法を提供する。
【解決手段】拾集作業機1は走行機2及び拾集器具部3を備え、拾集器具部3は、少なくとも、使用状態で地面方向へ開口し拾集対象物M1等を導入可能な大きさの第1開口部304及び導入された拾集対象物を排出可能な大きさの第2開口部305が形成された筺状の本体部30、第1開口部304近傍に配設された掻込部32、掻込部32と第2開口部305間の領域に配設された送付部33、送付部33と第2開口部305間の領域に配設され、拾集対象物M1等が通過可能で且つ混入した異物Tを除去可能な構造の異物除去部35、及び、第1開口部304近傍に配設されたスクレーパー部36、を有する構造である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拾集対象物が地面に落下している領域で前進させて使用され、
第1開口部及び第2開口部が形成された筺状であり、該第1開口部は使用状態で地面方向へ開口し拾集対象物を導入可能な大きさであり、該第2開口部は導入された拾集対象物を排出可能な大きさである本体部と、
該本体部内の前記第1開口部近傍に配設され、拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込み可能な構造の掻込部と、
該掻込部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同掻込部から送られた拾集対象物を同第2開口部の方向へ送付可能な構造の送付部と、
該送付部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同送付部から送られた拾集対象物が通過可能で且つ拾集対象物と共に混入した異物を除去可能な構造の異物除去部と、
前記第1開口部近傍に配設され、地面にある拾集対象物を掬い上げて第1開口部近傍に誘導可能な形状に設けたスクレーパー部と、
を備える
拾集器具。
【請求項2】
前記掻込部が、前記本体部の進行方向に対して横架され且つ順回転で駆動可能な軸部材、及び、該軸部材を中心として周方向に突出した柔軟な掻込部材を有する構造である
請求項1に記載の拾集器具。
【請求項3】
前記異物除去部が、前記第2開口部の横幅と略同一の幅で、前記本体部内の前記第2開口部近傍に配設されており、基部が本体部内天面に取り付けられると共に先部が自由端である柔軟な所定長さの柔軟な紐条体又は同異物除去部の横幅よりも幅狭な柔軟な板体で構成されている
請求項1に記載の拾集器具。
【請求項4】
前記本体部には、前記第1開口部から前記第2開口部の間で、且つ、使用状態において同第1開口部よりも進行方向後方となる位置に開口した第3開口部が形成され、該第3開口部には、これを覆うと共に、拾集対象物が通過不能な大きさ或いは幅である穴又は溝が複数形成されている蓋部分が設けられている
請求項1に記載の拾集器具。
【請求項5】
前記送付部が、前記本体部の進行方向に対して横架され且つ順回転で駆動可能な軸部材、及び、該軸部材を中心として周方向に突出し拾集対象物を投射可能な形状の投射部材を有する構造であり、前記掻込部よりも回転速度が速く設定されている
請求項1~4のいずれかに記載の拾集器具。
【請求項6】
前記第2開口部の方向に下り傾斜した第1傾斜部分、及び、同第2開口部の反対方向に下り傾斜した第2傾斜部分を含む山形の傾斜部が同第2開口部近傍に配設され、該傾斜部の前記第1傾斜部分の上方に、前記異物除去部に係る前記紐条体又は前記板体の先部が位置する構造である
請求項3に記載の拾集器具。
【請求項7】
原動機及び該原動機からの動力を受けて駆動する走行手段部を有し、拾集対象物が地面に落下している領域で前進可能に設けられた歩行型又は搭乗型の走行機と、
該走行機に取り付けられ、第1開口部及び第2開口部が形成された筺状であり、該第1開口部は使用状態で地面方向へ開口し拾集対象物を導入可能な大きさであり、該第2開口部は導入された拾集対象物を排出可能な大きさである本体部、該本体部内の前記第1開口部近傍に配設され、拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込み可能な構造の掻込部、該掻込部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同掻込部から送られた拾集対象物を同第2開口部の方向へ送付可能な構造の送付部、該送付部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同送付部から送られた拾集対象物が通過可能で且つ拾集対象物と共に混入した異物を除去可能な構造の異物除去部、及び、前記第1開口部近傍に配設され、地面にある拾集対象物を掬い上げて第1開口部近傍に誘導可能な形状に設けたスクレーパー部、を有する拾集器具部と、
を備える
拾集作業機。
【請求項8】
拾集器具を拾集対象物が地面に落下している領域で前進させて行われ、
該拾集器具の本体部において地面方向へ開口した第1開口部近傍に配設されたスクレーパー部によって地面にある拾集対象物を掬い上げて該第1開口部に誘導し、誘導された拾集対象物が同第1開口部を通じて筺状である前記本体部内に導入され、同本体部内の同第1開口部近傍に配設された掻込部によって拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込む、第1ステップと、
該第1ステップで前記掻込部により送られた拾集対象物を、前記掻込部と前記本体部に形成された第2開口部の間の領域に配設された送付部によって該第2開口部の方向へ送付する、第2ステップと、
該第2ステップで前記送付部により送られた拾集対象物が、同送付部と前記第2開口部の間の領域に配設された異物除去部を通過して同第2開口部から排出され、該異物除去部によって拾集対象物と共に混入した異物を除去する、第3ステップと、
を備える
拾集方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法に関する。詳しくは、手作業で行われていた拾集対象物の拾集作業における作業負担を軽減することができ、拾集対象物を効率良く回収することができる拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、果樹として管理されている栗の木は、病害虫の発生を抑制すると共に、良好な日当たりを確保して、良質な栗の実を得るために、幼木期から整枝管理を行って目標とする樹形や樹高にする低樹高栽培が行われている。
【0003】
低樹高栽培を行う栗農園では、栗の木の枝が横方向に低く張り出していることが多く、また、立地が山中の傾斜地である場合には木々の間隔が広く取れないことも多い。このような環境下での結実した栗の実の収穫作業においては、乗用の大型機械の使用が困難であり、多くの農家では、木から地面に落下して栗を内包する毬栗や、落下時等に裂開した毬(殻斗)からこぼれ出た栗(栗の実)(以下「毬栗等」という)を手作業で拾集しているケースが多く見受けられ、作業従事者にとって作業効率が悪く、肉体的負担も大きな重労働となっている。
【0004】
このような栗の実の収穫作業の作業負担を軽減すべく、例えば、下記の特許文献に記載されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-290616号公報
【0006】
特許文献1記載の栗の実拾集器は、荒目の籠に栗の実を掬い取る鰐口を設け、鰐口に続けて実の取入口兼逆戻り防止装置を取り付け内蔵し、籠の一部に開閉扉を設け、籠の底に地面滑り装置を設け、前述した各部を具備した籠を長柄の先に取り付けて構成されている。該栗の実拾集器によれば、「これまで農夫(婦)が地面を這うようにして、一日中、尺取虫のように身を屈し、一個一個、手作業で実を拾い集めていた、その重労働を解放して、能率をあげ、農夫(婦)の腰曲り、腰痛の根元となるところを取除き、農夫(婦)病を防止するのに効果がある」とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の栗の実拾集器は、腰を折って栗の実の拾集する工程は減らすことができるものの、長柄を介して栗の実拾集器をユーザーが手動で連続して操作するものであるため、やはりユーザーの腕や肩等に相応の負担が生じ、作業負担を軽減するものであるとは言い難い。また、該栗の実拾集器は、ユーザーの立地地点を中心に操作して円形2~3メートル範囲内の栗の実を拾集するものであるが、栗を取り入れる開口部(鰐口)が構造上さほど大きなものではないため、円滑な拾集を可能とする操作には習熟が必要であって容易に作業負担を軽減することができるとはいえず、また、円形の範囲内における作業が終わる都度、移動のために作業が一時的に止まることから、連続的な作業ができず、効率も良くなかった。
【0008】
また、前述した栗の実の収穫作業は、手作業で行われている拾集対象物の拾集作業の一例であるが、他にも成熟に伴い地面に落下する胡桃等といった果実や農作物の様な商品作物、練習場やコースに落ちているゴルフボール等の有価物等も拾集対象物となりえ、その拾集作業にあたる作業従事者についても作業効率の向上や肉体的負担の軽減が同様に望まれる。
【0009】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、手作業で行われていた拾集対象物の拾集作業における作業負担を軽減することができ、拾集対象物を効率良く回収することができる拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の拾集器具は、拾集対象物落下領域で使用され、第1開口部及び第2開口部が形成された筺状であり、該第1開口部は使用状態で地面方向へ開口し拾集対象物を導入可能な大きさであり、該第2開口部は導入された拾集対象物を排出可能な大きさである本体部と、該本体部内の前記第1開口部近傍に配設され、拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込み可能な構造の掻込部と、該掻込部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同掻込部から送られた拾集対象物を同第2開口部の方向へ送付可能な構造の送付部と、該送付部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同送付部から送られた拾集対象物が通過可能で且つ拾集対象物と共に混入した異物を除去可能な構造の異物除去部と、前記第1開口部近傍に配設され、拾集対象物落下領域にある拾集対象物を掬い上げて第1開口部近傍に誘導可能な形状に設けたスクレーパー部と、を備える。
【0011】
本発明に係る拾集器具は、拾集対象物落下領域(拾集対象物が地面に落下している領域)で使用されるものであり、前述した各部を備えることにより、以下の作用効果を奏する。
【0012】
なお、「拾集対象物落下領域」としては、圃場やゴルフ場等が挙げられ、拾集対象物が地面に落下している場所であれば特に限定されるものではない。「拾集対象物」としては、成熟に伴い地面に落下する栗等といった果実や農作物の様な商品作物、練習場やコースに落ちているゴルフボール等の有価物であって、(異物除去部を通過可能な)一定以上の大きさ又は重量を有するものが挙げられるが、これに限定するものではなく、例えば、圃場清掃を目的として使用する場合は、未成熟で落果した毬栗や中身の無い毬(落下等に伴い裂開し、毬(殻斗)から実(栗の実)がこぼれ出たもの)、未成熟で台風等により落果した(商品価値が無い)果実等の廃棄物も拾集対象物となり得るし、他の領域(他の農作物の圃場等)についても同様である。
【0013】
本体部は、拾集器具を拾集対象物落下領域で使用した際に、前述した第1開口部を通じて地面にある拾集対象物を本体部内へ導入(拾集)することができ、前述した第2開口部を通じて本体部内に導入された拾集対象物を排出することができる。そして、本体部は、筺状(即ち、周壁を有する形状)であることで、第1開口部から第2開口部の間の内部領域が導入された拾集対象物の通過(搬送)経路となり、また、本体部を構成する周壁が内部に設けた各部を保護する保護材となる。
【0014】
掻込部は、第1開口部に導入された拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込むことができる。そして、送付部は、掻込部から送られた拾集対象物を第2開口部の方向へ送付することができる。なお、前述した掻込部及び送付部は、例えば、本体部幅方向に横架した回転軸に拾集対象物を掻込又は投射可能な構造物が設けられ、同回転軸が外部動力又は内部動力によって順回転で駆動可能なものが挙げられるが、これに限定するものではなく、他の構造であってもよい。
【0015】
異物除去部は、送付部から送られた拾集対象物を通過させると共に、拾集対象物と一緒に本体部に導入された小枝やゴミ等の異物を除去することができ、これによって拾集対象物以外が第2開口部から排出されることを抑制することができる。
【0016】
スクレーパー部は、拾集器具の前進に伴って、地面にある拾集対象物を掬うように拾い、掬われた拾集対象物はスクレーパー部を介して第1開口部に導入することができる。なお、スクレーパー部における「誘導可能な形状」としては、例えば、使用状態において第1開口部の後方(換言すると、拾集器具の進行方向と反対側)に位置する口縁部分に取り付けられ、前方へ下り傾斜し先端縁が作業対象地面に近接する長さである形状が挙げられるが、これに限定するものではなく、第1開口部の形状によっては第1開口部の後方及び側方の一部に至る態様等であってもよい。
【0017】
前述した各部の協働により、本発明に係る拾集器具は、手作業で行われていた拾集対象物の収穫作業(特に手作業で行われることが多い栗の収穫作業)における作業負担を軽減することができ、拾集対象物(特に毬栗や栗等)を効率良く回収することができる。なお、第2開口部から排出する拾集対象物は、第2開口部近傍に配設する籠(箱)や袋へ送ることで作業中一時的に保管することもできる。
【0018】
ところで、本発明に係る拾集器具は、主目的とする拾集対象物(商品作物等の有価物)のみならず、廃棄物等の副次目的である拾集対象物も拾集することもできる。
【0019】
例えば、従来の栗の収穫作業では、毬栗から中身の栗のみを回収して毬を残置することがあるが、収穫期に複数回の収穫作業を行う場合、残置した空の毬と新しく落下した毬栗が混在することになるため、空の毬と実の入った毬栗とを確認する手間が掛かり、実の入った毬栗の見落としもあり得た。しかしながら、本発明に係る拾集器具は、これを使用することで空の毬も回収することができるため、収穫作業を行うことで圃場は一度清掃されたことになり、次回の収穫作業を行う場合に回収する毬栗が空である可能性が低下し、毬栗の確認作業の手間が減るので、この点においても作業負担の軽減及び収穫性向上に寄与する。
【0020】
また、前述の拾集器具は、掻込部が、本体部の進行方向に対して横架され且つ順回転で駆動可能な軸部材、及び、軸部材を中心として周方向に突出した柔軟な掻込部材を有する構造であるものであってもよい。
【0021】
本態様の拾集器具は、掻込部が前述した構成であることにより、第1開口部から導入された拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込む際に、拾集対象物を傷めにくい構造となっており、掻込部に起因する拾集対象物の損傷(商品価値低下)を抑制することができる。更に、掻込部が前述した構成であることにより、第1開口部から導入された拾集対象物が中央・端側に位置するか否かにかかわらず本体部奥側へ満遍なく掻き込まれ、且つ、順回転によって拾集対象物が第1開口部方向へ戻りにくい(取りこぼしにくい)ようになっている。
【0022】
なお、前述した「掻込部材」としては、例えば、基部が軸部材周面に固着され端面視で軸中心から放射状に延びた多数の柔軟な樹脂線材からなるもの(いわゆる回転ブラシ状のもの)が挙げられるが、これに限定するものではなく、軸部材の軸長よりも狭い幅の多数の柔軟な紐体又は複数の柔軟な板体により構成される態様等であってもよい。
【0023】
また、前述の拾集器具は、異物除去部が、第2開口部の横幅と略同一の幅で、本体部内の第2開口部近傍に配設されており、基部が本体部内天面に取り付けられると共に先部が自由端である柔軟な所定長さの柔軟な紐条体又は異物除去部の横幅よりも幅狭な柔軟な板体で構成されているものであってもよい。なお、ここで「略同一の幅」の表現は、完全に同一の幅である態様のほか、僅かに長いか又は僅かに短い幅の態様を含む意味で使用している。
【0024】
本態様の拾集器具は、異物除去部が前述した構成であることにより、送付部から送付された拾集対象物が勢いよく異物除去部に当たったとしても衝撃を減衰させ、拾集対象物を傷めることなく第2開口部方向へ通過させることができる。つまり、本態様の拾集器具によれば、異物除去部に起因する拾集対象物の損傷(商品価値低下)を抑制することができる。そして、送付部から拾集対象物に混じって異物(特に軽量な塵芥等)も送付されてきたとしても、異物が異物除去部に当たって衝撃が減衰して異物除去部の下方に落下し、異物が第2開口部方向へ通過しにくい構造となっている。
【0025】
このように、本態様の拾集器具によれば、異物除去能力の更なる向上に伴い、従来は手作業等で行われていた拾集対象物と異物の分別作業(以下「異物分別作業」という)が不要になるか又は分別時間が少なくて済む可能性が高まるので、作業負担を更に軽減することができる。
【0026】
また、前述の拾集器具は、本体部には、第1開口部から第2開口部の間で、且つ、使用状態において第1開口部よりも進行方向後方となる位置に開口した第3開口部が形成され、第3開口部には、これを覆うと共に、拾集対象物が通過不能な大きさ或いは幅である穴又は溝が複数形成されている蓋部分が設けられているものであってもよい。
【0027】
本態様の拾集器具は、前述した第3開口部が形成され且つこれを覆う蓋部分を有することにより、拾集対象物は排出されず、拾集対象物と共に本体部内に拾集された異物(ゴミ、小石、小枝や落葉等の草木、土塊等)を排出することができる。これにより、従来は手作業等で行われていた異物分別作業が不要になるか又は分別時間が少なくて済むので、作業負担を更に軽減することができる。
【0028】
更に、本態様の拾集器具は、第3開口部が前述した位置に形成されていることにより、異物は本体部の後方に排出され、一度排出した異物が第1開口部から再度拾集されないようになっている。加えて、本態様で述べた第3開口部が形成された拾集器具に前述した異物除去部(第2開口部の横幅と略同一の幅で、~(略)~幅狭な柔軟な板体で構成されているもの)を組み合わせて適用した場合は、仮に第3開口部から排出されなかった異物が拾集対象物に混じって送付されてきたとしても、異物が異物除去部に当たって落下して本体部内の下方に至り、落下した異物が第3開口部近傍を再通過する際に第3開口部から排出されうるので、異物分別における作業負担を更に軽減することができる。
【0029】
また、前述の拾集器具は、送付部が、本体部の進行方向に対して横架され且つ順回転で駆動可能な軸部材、及び、軸部材を中心として周方向に突出し拾集対象物を投射可能な形状の投射部材を有する構造であり、掻込部よりも回転速度が速く設定されているものであってもよい。
【0030】
本態様の拾集器具は、送付部が前述した構成であることにより、掻込部から送られた拾集対象物が中央・端側に位置するか否かにかかわらず満遍なく拾い上げて第2開口部の方向へ送付し、且つ、掻込部と同位置の順回転によって拾集対象物が掻込部方向へ戻りにくいようになっている。
【0031】
更に、送付部の回転速度が掻込部の回転速度よりも速いことにより、掻込部から送付部に届いた時点と比較して、送付部から送付する拾集対象物が加速する(拾集対象物の移動速度が増す)ので、拾集対象物が異物除去部を通過しやすくなる。加えて、本態様で述べた送付部を有する拾集器具に前述した異物除去部(第2開口部の横幅と略同一の幅で、~(略)~幅狭な柔軟な板体で構成されているもの)を組み合わせて適用した場合は、送付部により加速され勢いの付いた拾集対象物が、柔軟な紐条体又は板体で構成された異物除去部の抵抗に負けずに、異物除去部を通過しやすくなる。
【0032】
また、前述の拾集器具は、第2開口部の方向に下り傾斜した第1傾斜部分、及び、第2開口部の反対方向に下り傾斜した第2傾斜部分を含む山形の傾斜部が第2開口部近傍に配設され、傾斜部の第1傾斜部分の上方に、異物除去部に係る紐条体又は板体の先部が位置する構造であるものであってもよい。
【0033】
本態様の拾集器具は、前述した構成の傾斜部及び異物除去部が協働することにより、拾集対象物は第2傾斜部分で誘導されて本体部外へ排出されやすくなっており、異物は本体部内に戻りやすい構造になっている。
【0034】
詳しくは、拾集対象物は、異物除去部に衝突しながらも通過し、その後に第2傾斜部分に沿って転げながら、本体部外に排出される(換言すると、本体部内に戻りにくい)構造になっている。一方、異物(特に、拾集対象物よりも軽量な異物や長尺な異物)は、異物除去部に衝突すると通過しきれずに第1傾斜部分へ落下し、その後、第1傾斜部分に沿って滑り落ちることで本体部に戻りやすい(換言すると、異物除去部を通過できなかった異物が第2開口部へ向かわずに本体部内に戻りやすい)構造になっている。
【0035】
本態様の栗拾集器具によれば、異物除去能力の更なる向上に伴い、異物分別作業が不要になるか又は分別時間が少なくて済む可能性が高まるので、作業負担を更に軽減することができる。
【0036】
上記の目的を達成するために、本発明の拾集作業機は、原動機及び該原動機からの動力を受けて駆動する走行手段部を有し、拾集対象物が地面に落下している領域で走行可能に設けられた歩行型又は搭乗型の走行機と、該走行機に取り付けられ、第1開口部及び第2開口部が形成された筺状であり、該第1開口部は使用状態で地面方向へ開口し拾集対象物を導入可能な大きさであり、該第2開口部は導入された拾集対象物を排出可能な大きさである本体部、該本体部内の前記第1開口部近傍に配設され、拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込み可能な構造の掻込部、該掻込部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同掻込部から送られた拾集対象物を同第2開口部の方向へ送付可能な構造の送付部、該送付部と前記第2開口部の間の領域に配設され、同送付部から送られた拾集対象物が通過可能で且つ拾集対象物と共に混入した異物を除去可能な構造の異物除去部、及び、前記第1開口部近傍に配設され、地面にある拾集対象物を掬い上げて第1開口部近傍に誘導可能な形状に設けたスクレーパー部、を有する拾集器具と、を備える。
【0037】
本発明に係る拾集作業機は、拾集対象物落下領域で使用されるものであり、前述した各部を備えることにより、以下の作用効果を奏する。なお、本発明に係る拾集作業機の説明で記載する用語「拾集対象物落下領域」及び「拾集対象物」は、前述した拾集器具と同様である。
【0038】
走行機は、原動機及び走行手段部を有することにより、拾集対象物落下領域で走行(前進)することができる。なお、走行機は、歩行型又は搭乗型のいずれであってもよく、拾集対象物落下領域が狭い場合や低い枝が作業の邪魔になる場合等は歩行型が好適に使用され、拾集対象物落下領域が広い場合や開けた場所である場合等は搭乗型が好適に使用される。また、「走行手段部」としては、例えば車輪やクローラが挙げられるが、これに限定するものではなく、他の走行手段であってもよい。
【0039】
拾集器具は、走行機に取り付けて使用される。なお、拾集器具は、走行機の前方に取り付ける態様又は後方に取り付ける態様のいずれであってもよく、また、側方に取り付ける態様についても除外するものではない。
【0040】
拾集器具の本体部は、拾集対象物落下領域で使用した際に、前述した第1開口部を通じて地面にある拾集対象物を本体部内へ導入(拾集)することができ、前述した第2開口部を通じて本体部内に導入された拾集対象物を排出することができる。そして、本体部は、筺状(即ち、周壁を有する形状)であることで、第1開口部から第2開口部の間の内部領域が導入された拾集対象物の通過(搬送)経路となり、また、本体部を構成する周壁が内部に設けた各部を保護する保護材となる。
【0041】
拾集器具の掻込部は、第1開口部に導入された拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込むことができる。そして、送付部は、掻込部から送られた拾集対象物を第2開口部の方向へ送付することができる。なお、掻込部及び送付部は、前述した拾集器具における同各部の例示及び説明と同様であるため、その説明を省略する。そして、掻込部及び送付部は、例えば、外部動力として走行機の原動機を使用し、原動機との間に設ける動力伝達部を介して駆動する構造であってもよい。
【0042】
拾集器具の異物除去部は、送付部から送られた拾集対象物を通過させると共に、拾集対象物と一緒に本体部に導入された小枝やゴミ等の異物を除去することができ、これによって拾集対象物以外が第2開口部から排出されることを抑制することができる。拾集器具のスクレーパー部は、拾集作業機(拾集器具)の前進に伴って、地面にある拾集対象物を掬うように拾い、掬われた拾集対象物はスクレーパー部を介して第1開口部に導入することができる。なお、スクレーパー部における「誘導可能な形状」としては、前述した拾集器具における同部の例示及び説明と同様であるため、その説明を省略する。
【0043】
前述した各部の協働により、本発明に係る拾集作業機は、手作業で行われていた拾集対象物の収穫作業(特に手作業で行われることが多い栗の収穫作業)における作業負担を軽減することができ、拾集対象物(特に毬栗や栗等)を効率良く回収することができる。なお、第2開口部から排出する拾集対象物は、第2開口部近傍に配設する籠(箱)や袋へ送ることで作業中一時的に保管することもできる。
【0044】
なお、本発明に係る拾集作業機は、前述した拾集器具と同様に、主目的とする拾集対象物(商品作物等の有価物)のみならず、廃棄物等の副次目的である拾集対象物も拾集することもできる。例えば、本発明に係る拾集作業機を栗の収穫作業に使用した場合、空の毬(廃棄物)も回収することができて圃場は一度清掃されたことになり、次回の収穫作業を行う際に回収する毬栗が空である可能性が低下し、従来の栗の収穫作業において生じていた空の毬と実の入った毬栗とを確認する手間が減るので、この点においても作業負担の軽減及び収穫性向上に寄与する。
【0045】
上記の目的を達成するために、本発明の拾集方法は、拾集器具を拾集対象物が地面に落下している領域で前進させて行われ、該拾集器具の本体部において地面方向へ開口した第1開口部近傍に配設されたスクレーパー部によって地面にある拾集対象物を掬い上げて該第1開口部に誘導し、誘導された拾集対象物が同第1開口部を通じて筺状である前記本体部内に導入され、同本体部内の同第1開口部近傍に配設された掻込部によって拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込む、第1ステップと、該第1ステップで前記掻込部により送られた拾集対象物を、前記掻込部と前記本体部に形成された第2開口部の間の領域に配設された送付部によって該第2開口部の方向へ送付する、第2ステップと、該第2ステップで前記送付部により送られた拾集対象物が、同送付部と前記第2開口部の間の領域に配設された異物除去部を通過して同第2開口部から排出され、該異物除去部によって拾集対象物と共に混入した異物を除去する、第3ステップと、を備える。
【0046】
本発明に係る拾集方法は、拾集対象物落下領域で拾集器具を使用して行われ、前述した各ステップを備えることにより、以下の作用効果を奏する。なお、本発明に係る拾集作業機の説明で記載する用語「拾集対象物落下領域」及び「拾集対象物」は、前述した拾集器具と同様である。
【0047】
本発明に係る拾集方法は、第1ステップを備えることにより、前述したスクレーパー部によって地面にある拾集対象物を掬い上げて第1開口部に誘導し、誘導された拾集対象物が第1開口部を通じて本体部内に導入され、掻込部によって拾集対象物を本体部奥方向へ掻き込むことができる。
【0048】
そして、第2ステップを備えることにより、掻込部により送られた拾集対象物を送付部によって第2開口部の方向へ送付することができる。更に、第3ステップを備えることにより、送付部により送られた拾集対象物が、異物除去部を通過して第2開口部から排出され、異物除去部によって拾集対象物と共に混入した異物を除去することができる。
【0049】
本発明に係る拾集方法によれば、前述した各ステップを備えることにより、手作業で行われていた拾集対象物の収穫作業(特に手作業で行われることが多い栗の収穫作業)における作業負担を軽減することができ、拾集対象物(特に毬栗や栗等)を効率良く回収することができる。なお、第2開口部から排出する拾集対象物は、第2開口部近傍に配設する籠(箱)や袋へ送ることで作業中一時的に保管することもできる。
【0050】
本発明に係る拾集方法は、主目的とする拾集対象物(商品作物等の有価物)のみならず、廃棄物等の副次目的である拾集対象物も拾集することもできる。例えば、本発明に係る拾集方法を栗の収穫作業に使用した場合、空の毬(廃棄物)も回収することができて圃場は一度清掃されたことになり、次回の収穫作業を行う際に回収する毬栗が空である可能性が低下し、従来の栗の収穫作業において生じていた空の毬と実の入った毬栗とを確認する手間が減るので、この点においても作業負担の軽減及び収穫性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、手作業で行われていた拾集対象物の拾集作業における作業負担を軽減することができ、拾集対象物を効率良く回収することができる拾集器具、拾集作業機、及び、拾集方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の拾集作業機(第1実施形態)を正面右側から示した斜視図である。
図2図1に示す拾集作業機の左側面図である。
図3図1に示す拾集作業機の正面図である。
図4図1に示す拾集作業機の拾集器具部であり、(a)は拾集器具部を正面右側から示した斜視図であり、(b)は拾集器具部を底面方向且つ右側から示した斜視図である。
図5図4に示す拾集器具部を底面方向且つ左側から示した斜視図である。
図6図4に示す拾集器具部であり、(a)は拾集器具部を底面方向から示した斜視図であり、(b)は拾集器具部を背面方向から示した斜視図である。
図7図4に示す拾集器具部の上部の構造物を外し、内部構造を正面右側から示した斜視図である。
図8図4に示す拾集器具部の収容器保持部に係る動作の説明図である。
図9図4に示す拾集器具部の各部の作用と、拾集器具部内における拾集対象物の動きを表した説明図である。
図10図1に示す拾集作業機の変形例(変形例1)である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1図10を参照して、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は、〔第1実施形態〕、〔変形例1〕の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。なお、図1図10の図面中の隅に示す矢印に係る符号は説明上の方向を示し、符号Fは「正面方向」を、Bは「背面方向」を、Rは「(正面から見て)右方向」を、Lは「(正面から見て)左方向」を、Uは「上方向」を、Dは「下方向」を、それぞれ意味している。
【0054】
(拾集作業機1)
拾集作業機1は、走行機2と、走行機2の正面(換言すると進行方向前部)に取り付けられた拾集器具部3を備える(図1~3参照)。各部については以下詳述する。
【0055】
(走行機2)
走行機2は、歩行型管理機である。走行機2は、原動機21及び原動機21からの動力を受けて駆動する走行手段部22(本実施形態では左右一対の車輪)、操作ハンドル23及び、原動機の動力を外部に出力可能な動力導出部(図示省略)を有し、操作ハンドル23によって原動機21、走行手段部22及び動力導出部からの出力量の操作が可能な構造である(図1~3参照)。
【0056】
(拾集器具部3)
図1~9を参照する。拾集器具部3は、本体部30、連結部31、掻込部32、送付部33、動力伝達部34、異物除去部35、スクレーパー部36、走行手段部37、収容器保持部38、及び、傾斜部39を有する構造であり、拾集器具部3の各部については以下詳述する。なお、拾集器具部3は、前述した「拾集器具」に相当する。
【0057】
本体部30は、剛性材料(本実施形態では金属製)で形成された周壁(底面、奥側側壁及び天面を構成する主壁301、右側壁302及び左側壁303)を有する筺状であり、左側面視で略C形(或いはコの字形又はくの字形)に設けられ、第1開口部304、第2開口部305及び第3開口部306が形成されている。本実施形態において、本体部30は、操作性や作業性を考慮して、その幅が走行機2の車幅(操作ハンドル23の全幅)よりもやや広く、その高さが走行機2の車高の約3分の2程度に設定されている。
【0058】
本実施形態において、本体部30は、その下方に第1開口部304が設けられる共にその上方に第2開口部305が設けられており、第1開口部304から第2開口部305に至る主壁301の奥側(走行機2側)は、下方から高さ方向略中間に至る部分が緩やかな凹湾曲面であり、高さ方向略中間から上方に至る部分が前方(第2開口部305の方向)へ徐々に張り出して傾斜している。なお、ここで「高さ方向略中間」の表現は、完全に中間である態様のほか、中間よりも僅かに高いか又は僅かに低い態様を含む意味で使用している。
【0059】
第1開口部304は、本体部30下面(使用状態で地面方向となる位置)に開口し、図2に示すような拾集対象物M1,M2,M3(以下、これらをまとめて「拾集対象物M1等」という場合がある)が導入可能な大きさに設けられている。本実施形態において、第1開口部304は、本体部30下面の左右横幅方向に亘って開口し、本体部30下面の奥行方向は拾集対象物M1等が容易に進入可能な大きさに設けられている。
【0060】
第2開口部305は、本体部30上部(使用状態で天部方向となる位置)に開口し、本体部30内に導入された拾集対象物M1等を排出可能な大きさに設けられている。本実施形態において、第2開口部305は、本体部30上部の左右横幅方向に亘ると共に拾集作業機1の前方(正面方向)へ開口し、拾集対象物M1等が容易に排出可能な高さに設けられている。
【0061】
第3開口部306は、第1開口部304から第2開口部305の間で、且つ、使用状態において第1開口部304よりも進行方向後方(走行機2側)となる位置に開口して形成されている。本実施形態において、第3開口部306は、前述した主壁301の凹湾曲面下側に形成されている。そして、第3開口部306は、これを覆うと共に、拾集対象物M1等が通過不能な幅である溝が複数形成された蓋部分307が取り付けられている。
【0062】
本体部30上部且つ第2開口部305近傍には、ガイド板部308が設けられている。ガイド板部308は、左右一対で、右側壁302及び左側壁303の上部に配設された所定の高さ及び長さの部材であって、第2開口部305が設けられた位置と同じ高さで本体部30の前方(本体部30の進行方向)へ張り出している。
【0063】
連結部31は、主壁301の裏面(走行機2側)に設けられた拾集器具部3と走行機2のアタッチメントである。また、連結部31は動力取入部分311を有し、走行機2の動力導出部を介して原動機21と連結され、動力伝達部34を介して掻込部32及び送付部33へ動力を伝達可能に設けられている。
【0064】
掻込部32は、本体部30内の第1開口部304近傍に配設され、軸部材321及び掻込部材322を有する構造である。軸部材321は、本体部30の幅方向に横架され、且つ、原動機21から伝達される駆動力を以て順回転で駆動可能に設けられている。掻込部材322は、軸部材321を中心として周方向に突出して設けられている。
【0065】
本実施形態において、掻込部材322は、基端が軸部材321周面に固着されると共に先端が自由端であり、端面視で軸部材321の軸中心から放射状に延びた多数の柔軟な樹脂線材からなる。また、前述した樹脂線材は、軸部材321の長手方向に亘って直線的に配列され、一の列に対して軸中心を挟んだ反対方向に他の列が設けられた態様で、合計2条が設けられている。即ち、掻込部材322は、その回転により、拾集対象物M1等を本体部30奥方向へ掻き込み可能な構造となっている。
【0066】
送付部33は、掻込部32と第2開口部305の間の領域(本実施形態では本体部30内の高さ方向略中間となる箇所)に配設され、軸部材331及び投射部材332を有する構造である。なお、ここで「高さ方向略中間」の表現は、完全に中間である態様のほか、中間よりも僅かに高いか又は僅かに低い態様を含む意味で使用している。
【0067】
本実施形態において、軸部材331は、本体部30の幅方向に横架され、且つ、原動機21から伝達される駆動力を以て順回転で駆動可能に設けられている。投射部材332は、軸部材331に対して1つ設けられており、基端が軸部材331周面に固着されると共に先端が自由端であり、端面視で軸部材331を中心として周方向に突出している。また、投射部材332は、軸部材321の長手方向に亘る長さであり、その先端は主壁301内表面と僅かに隙間(回転時に主壁301と接触しない程度の隙間)が空くように設けられている。
【0068】
投射部材332は、準硬質素材(厚手のゴム)製であって、中央部分が平坦で、両端が回転方向に曲げられた幅広の板状である。換言すると、投射部材332は、回転方向に対して受けた形状であり、平坦な中央から両端に近づくにつれて徐々に湾曲した形状である。
【0069】
更に、送付部33は、軸部材331を挟んだ投射部材332の反対方向に、バランスウエイト部材333を有している。バランスウエイト部材333は、金属素材と、拾集対象物M1等が衝突しうる箇所を被覆したゴム素材で構成され、軸部材331の回転軸が重心となる長さ及び重量に設けられている。送付部33は、掻込部31よりも回転速度が速く設定されている。
【0070】
即ち、送付部33は、その回転により、掻込部32から送られた拾集対象物M1等を第2開口部305の方向へ投射して送付可能な構造となっている。
【0071】
動力伝達部34は、走行機2の原動機21からの動力を掻込部32及び送付部33に伝達する部分である、本実施形態において、動力伝達部34は、第1動力伝達部分341及び第2動力伝達部分342を有する。
【0072】
第1動力伝達部分341は、左側壁303の外側に配設されており、動力取入部分311から取り入れた動力で回転する回転軸(符号省略)に設けられたギヤ(図示省略)と、送付部33の軸部材331に設けられたギヤ(図示省略)とが、アイドルギヤ(図示省略)で接続され、前述した各ギヤがカバー部材で覆われた構造である。
【0073】
第2動力伝達部分342は、右側壁302の外側に配設されており、送付部33の軸部材331に設けられたスプロケット(図示省略)と、掻込部32の軸部材321に設けられたスプロケット(図示省略)とが、チェーン(図示省略)で接続され、前述したチェーン及び各スプロケットがカバー部材で覆われた構造である。第2動力伝達部分342は、これを介することにより、送付部33の回転速度が掻込部32よりも速くなるように設定されている。
【0074】
異物除去部35は、送付部33と第2開口部305の間の領域且つ本体部30内の第2開口部305近傍に配設され、送付部33から送られた拾集対象物M1等が通過可能で且つ拾集対象物M1等と共に混入した異物Tを除去可能な構造である。
【0075】
本実施形態において、異物除去部35は、第2開口部305の横幅と略同一の幅で、基部が本体部30内の天面に取り付けられると共に先部が自由端である柔軟な所定長さの柔軟な多数の樹脂製紐条体で(換言すると、暖簾状或いはストリングカーテン状に)構成されている。なお、ここで「略同一の幅」の表現は、完全に同一の幅である態様のほか、僅かに長いか又は僅かに短い幅の態様を含む意味で使用している。
【0076】
スクレーパー部36は、第1開口部304近傍に配設され、地面Gにある拾集対象物M1等を掬い上げて第1開口部304近傍に誘導可能な形状に設けられている。
【0077】
本実施形態において、スクレーパー部36は、その基部が本体部30の主壁301が取り付けられる共に、その先端が上下動可能なフラップ状に設けられ、掻込部32よりも進行方向後方になる箇所に配設されている。なお、スクレーパー部36は、その先端が地面Gに近接するように下ろし、スクレーパー部36は前下がりに傾斜させて使用される。また、スクレーパー部36は、主に可撓性を有する素材(本実施形態ではゴム製)で形成されており、基部は金属製のプレートで補強されている。
【0078】
走行手段部37は、本体部30の後方(走行機2の進行方向前方となる位置)に配設されており、本体部30左右に位置する走行輪(符号省略)、各走行輪を支持するフォーク部分(符号省略)、本体部30との接続部分(符号省略)、及び、間隔調整部分371を有する。
【0079】
フォーク部分は、左右の縦部分と縦部分の上部を架け渡す横部分を有する門形であって左右の縦部分の下部でそれぞれ走行輪を左右に回動可能に支持している。接続部分は、フォーク部分の横部分の左右両端近傍に配設されると共に本体部30の後方に回動可能に軸着(接続)され、本体部30に対してフォーク部分が上下動可能に設けられている。間隔調整部分371は、本体部30とフォーク部分の間に配設され、本体部30に対するフォーク部分の角度調整可能且つ該角度を固定可能に設けられている。
【0080】
収容器保持部38は、収容器4を載置可能に設けられている。本実施形態において、収容器保持部38は、本体部30の前部(進行方向前側)に略水平~略垂直の範囲内で回動可能に設けられており、後枠381及び前枠382を有する載置部分383、止め部材384、及び、支持部材385、を有する(図7及び図8参照)。また、本実施形態において、収容器4は、箱状の籠である。なお、ここで「略水平」とは、完全に水平であることのほか、僅かに水平ではないがほぼ水平であることを含む意味で使用している。また、なお、ここで「略垂直」とは、完全に垂直であることのほか、僅かに垂直ではないがほぼ垂直であることを含む意味で使用している。
【0081】
後枠381は、載置部分383の本体部30側の左右に所定の高さで設けられている。前枠382は、載置部分383の前方側(本体部30の進行方向側)の左右に所定の高さで設けられている。
【0082】
止め部材384は、載置部分383の格納時に載置部分383の裏側を押さえて倒れないようにする構造で、図8(a)に示す載置部分383の略垂直状態を保持可能に設けられている。支持部材385は、載置部分383の展開時に載置部分383の下側に位置する横架棒体で、図8(b)に示す載置部分383の略水平状態を保持可能に設けられている。
【0083】
傾斜部39は、第2開口部305下方近傍に配設された端面視で山形の部材であり、頂点部分を境にして各々が反対方向に下り傾斜した形状の第1傾斜部分391及び第2傾斜部分392を含む。
【0084】
第1傾斜部分391は、本体部30の方向へ下り傾斜した形状で(換言すると、本体部30の進行方向に対して後方に傾斜した、後方傾斜部分ともいえる)、第2開口部305に位置し、少なくとも先部が本体部30内に入り込んでいる。第2傾斜部分392は、本体部30の反対方向へ下り傾斜した形状で(換言すると、本体部30の進行方向に対して傾斜した、前方傾斜部分ともいえる)、第2開口部305の外側且つ左右のガイド板部308の間に位置している。
【0085】
また、第2傾斜部分392は、第1傾斜部分391よりも緩傾斜した形状であり、その先部は収容器保持部38方向に位置すると共に、収容器保持部38に載置された収容器4の後端と大きな隙間が空かないように(少なくとも拾集対象物M1等が落ちない程度の隙間が空かないように)設けられている。
【0086】
そして、第1傾斜部分391の上方には、異物除去部35が配設され、且つ、異物除去部35から垂下した紐条体の先部と第1傾斜部分391上面は、隙間が空くように設けられている。
【0087】
本実施形態において、走行機として歩行型管理機を使用しているが、これに限定するものではなく、例えば、四輪操舵型の乗用型管理機(4WS管理機)やトラクター等の農場を走行可能な他の作業機械であってもよい。また、乗用型管理機等については、機体の進行方向前部に昇降機能を有する取付アームを有するものが好適に使用される。
【0088】
本実施形態において、本体部の大きさ(幅及び高さ)は、前述の通りであるが、これに限定するものではなく、作業対象領域の広さや樹木等の障害物の間隔に応じて適宜設定することができる。例えば、走行機が歩行型であれば、操作性を考慮して本体部の大きさは、走行機の車幅の0.8~2倍程度、走行機の車高の0.5~1.5倍程度であることが好ましい。走行機の車幅の0.8未満では一度に処理できる作業範囲が少ないため好ましくなく、2倍を超えると取り回しがしにくくなり好ましくないためである。また、走行機の車高の0.5未満では搭載可能な籠も小さくなるために一度に処理できる量が減るため好ましくなく、1.5倍を超えると作業者の前方視界を遮るために進行方向にある拾集対象物が視認しにくくなり好ましくないためである。
【0089】
本実施形態において、第2開口部の構造は、前述の通りであるが、これに限定するものではなく、第2開口部の横幅は本体部上部の左右横幅方向よりも小さく設けてもよいし、第2開口部の開口方向は器具部又は機体の側方又は後方に開口した構造を除外するものではない。
【0090】
本実施形態において、投射部材は、ゴム製であるが、これに限定するものではなく、例えば、樹脂素材等の他の準硬質素材製であってもよいし、変形しにくい厚めの軟質素材製であってもよく、また、硬質素材製を除外するものではない。なお、拾集対象物を傷つけないように、軟質素材製の場合は、回転による遠心力や拾集対象物が当たった際の衝撃で容易に変形しにくい硬さであることが好ましく、硬質素材製である場合は、少なくとも回転時に拾集対象物が当たる部分には柔軟な被覆部分を設けることが好ましい。
【0091】
本実施形態において、バランスウエイト部材は、金属素材とゴム素材で構成されているが、これに限定するものではなく、例えば、軸部材の回転軸が重心となる長さ及び重量に設けられていれば、同等の作用効果を奏する他の素材(単一素材又は素材を組み合わせもの)であってもよい。
【0092】
本実施形態において、動力伝達部は、ベルトとチェーンの組み合わせによるものであるが、これに限定するものではなく、例えば、ドライブシャフトや、各種ギアが噛み合う構造等、他の構造又はこれらの組み合わせを除外するものではない。
【0093】
本実施形態において、走行手段部は、前述の構成が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、例えば、車輪に代えて、クローラや、走行面に至る長さの棒材とその先端に取り付けられて進行方向前側が上り傾斜したスキー板状部材または橇状部材に設けてもよいし、浮舟(フロート)状に設けてもよく、本体部下面と地面の間隔を保持し且つ拾集器具部の円滑な走行を補助する部材であれば、その構造は特に限定するものではない。
【0094】
本実施形態において、異物除去部から垂下した紐条体の先部と第1傾斜部分上面の間の「隙間」は、3~5cmの範囲で設定することが好適であるが、これに限定するものではなく、異物が容易に通過不能な態様(例えば、0.5~10cmの範囲)であれば特に限定するものではない。隙間が無いことによって紐条体の先部が第1傾斜部分上面に接触すると、摩擦により紐条体の自由な動作が阻害されて紐条体の抵抗力が強くなり、拾集対象物が異物除去部を通過しにくくなるため好ましくない。このため、紐条体の先部と第1傾斜部分上面は非接触であることが好ましい。一方、隙間が大き過ぎると、異物が紐条体に衝突することなく隙間を容易に通過してしまうため好ましくない。従って、紐条体(異物除去部)の先部と第1傾斜部分上面には、前述した数値範囲の隙間を設けることが好ましい。
【0095】
(作 用)
図1~9を参照して、拾集器具部3を備える拾集作業機1の作用効果について説明する。なお、本実施形態において、拾集対象物落下領域Gは栗林であり、拾集対象物M1は実の入った毬栗であり、拾集対象物M2は毬栗から飛び出た栗の実であり、拾集対象物M3は空の毬であり、異物Tは主に草や落ち葉である。
【0096】
(前準備)
まず、作業前に、拾集器具部3を、走行機2の進行方向前部に取り付ける。詳しくは、走行機2の動力導出部と拾集器具部3の動力取入部分311を接続することで、連結部31を介して走行機2と拾集器具部3が連結され、拾集作業機1が構成される(図1~3参照)。
【0097】
走行手段部37について調整を行う。詳しくは、拾集対象物落下領域Gの状況に合わせて、間隔調整部分371で走行手段部37のフォーク部分の角度を調整し、本体部30下面と地面Gとが接触せず、且つ、拾集対象物M1等を拾集可能な位置で固定する。
【0098】
略垂直状態に畳まれた載置部分383を略水平状態まで展開し、収容器保持部38に収容器4を載置する。これにより、収容器4は、後枠381及び前枠382によって載置部分383から外れにくく略水平に保持される。
【0099】
(拾集対象物M1等の拾集作業)
作業従事者は、拾集作業機1を圃場で使用することにより、拾集対象物M1等を拾集することができ、拾集作業機1の各部は以下のように作用する。
【0100】
作業従事者は、走行機2の操作ハンドル23を操作し、原動機21及び走行手段部22の出力操作を行う。走行機2は、原動機21及び走行手段部22を有することにより、拾集対象物M1等が地面に落下している拾集対象物落下領域(地面)Gにおいて、走行機2に連結された拾集器具部3を伴って走行(前進)することができる。
【0101】
また、走行機2は、歩行型であるため、例えば、山間に位置する栗農園のように、作業対象領域が狭く、張り出した低い枝が作業の邪魔になる環境下であっても、狭い作業対象領域での取り回しが良く、張り出した低い枝を避ける走行がしやすい。加えて、走行手段部37は、各走行輪がフォーク部分に360°回動可能に支持されていることにより、作業対象領域において小回りが効き、狭い圃場での作業性向上に寄与する。
【0102】
拾集器具部3は、これを拾集対象物落下領域Gで使用した際に、第1開口部304を通じて地面にある拾集対象物M1等を本体部30内へ導入(拾集)することができ、第2開口部305を通じて本体部30内に導入された拾集対象物M1等を排出することができる。なお、第2開口部305から排出される拾集対象物M1は、ガイド板部308によって収容器保持部38及び収容器4がある方向にガイドされ、拾集対象物M1等が左右のあらぬ方向へ排出されることを抑止している。
【0103】
本体部30は、主壁301、右側壁302及び左側壁303で閉じられた筺状であることで、第1開口部304から第2開口部305の間の内部領域が導入された拾集対象物M1等の通過(搬送)経路となり、また、本体部30を構成する主壁301等の周壁が、内部に設けた掻込部32等の各内部構造部を保護する保護材となる。
【0104】
拾集器具部3は、第3開口部306及び蓋部分307を有することにより、拾集対象物M1等は排出されず、拾集対象物M1等と共に本体部30内に拾集された異物Tを排出することができる(図9参照)。更に、拾集器具部3は、第3開口部306が前述した位置に形成されていることにより、異物Tは本体部30の後方に排出され、一度排出した異物Tが第1開口部304から再度拾集されないようになっている。
【0105】
また、仮に第3開口部306から排出されなかった異物Tが拾集対象物M1等に混じって本体部30上方に送付されてきたとしても、異物Tは異物除去部35に衝突して落下した後、本体部30内の下方に至り、落下した異物Tが第3開口部306近傍を再通過する際に第3開口部306から排出されるようになっている。
【0106】
このような第3開口部306等の構造は、従来は手作業等で行われていた異物分別作業が不要になるか又は分別時間が少なくて済むので、作業負担を更に軽減することができる。
【0107】
掻込部32は、第1開口部304に導入された拾集対象物M1等を本体部30奥方向へ掻き込むことができる。この掻き込みの際に、掻込部材322が柔軟なことから拾集対象物M1等を傷めにくく、本部分に起因する拾集対象物M1等の損傷(商品価値低下)を抑制する。更に、掻込部32は、軸部材321の長手方向に亘って2条が配列された構成であることにより、第1開口部304から導入された拾集対象物M1等が中央・端側に位置するか否かにかかわらず本体部30奥側へ満遍なく掻き込み、且つ、順回転によって拾集対象物M1等が第1開口部304方向へ戻りにくい(取りこぼしにくい)。
【0108】
スクレーパー部36は、拾集作業機1(拾集器具3)の前進に伴って、地面Gにある拾集対象物M1等を直接掬うように拾うか、又は、掻込部32が地面Gから掻き込んだ拾集対象物M1等を、第1開口部304に導入する。なお、スクレーパー部36は、可撓性を有する素材で形成されていることにより、地面Gにある凹凸や段差に対する追従性が良く、また、凹凸や段差に接触して一時的に変形したとしても形状が回復し、全体の破損を抑制することができる。また、スクレーパー部36は、前述の構造であることにより、作業時を除く移動時や不使用時には地面Gに接触しないように先端を上昇させて畳むことができる。
【0109】
送付部33は、掻込部32から送られた拾集対象物M1等を第2開口部305の方向へ送付(投射)することができる。この送付(投射)の際に、投射部材332が柔軟なことから拾集対象物M1等を傷めにくく、本部分に起因する拾集対象物M1等の損傷(商品価値低下)を抑制する。更に、送付部33は、投射部材332が前述した形状であることにより、掻込部32から送られた拾集対象物M1等が中央・端側に位置するか否かにかかわらず第2開口部305の方向へ満遍なく掻き込み、且つ、栗の実(拾集対象物M2)等の小さなものも取りこぼしにくい。
【0110】
なお、掻込部32及び送付部33は、前述した構造の動力伝達部34により接続され、第1動力伝達部分341を介して伝達される走行機2の原動機21からの動力を以て最初に送付部33が順回転で回転駆動し、次に、第2動力伝達部分342を介して掻込部32が順回転且つ送付部33よりも遅い回転速度で回転駆動する。
【0111】
送付部33は、掻込部32は同じ順回転であり、且つ、掻込部32よりも速い速度で回転することによって、本体部30内において送付部33に至り、投射部材332が掬った拾集対象物M1等は、加速して投射され(換言すると、拾集対象物M1等の移動速度が増すか又は少なくとも速度が落ちにくく)、第2開口部305の方向へ勢いよく向かう。
【0112】
ところで、送付部の構造が軸部材に対して1つの投射部材のみが設けられた態様である場合、これを駆動させると回転時のバランスが悪く振動が発生する。しかしながら、本実施形態における送付部33では、前述した配置でバランスウエイト部材333を設けていることにより、駆動字におけるバランスが取れ、振動発生が抑制される。そして、バランスウエイト部材333は、前述した構造であることにより、金属素材を使用しながらも、拾集対象物M1等の損傷(商品価値低下)を抑制する。
【0113】
異物除去部35は、前述した構造であることにより、送付部33から送られた拾集対象物M1等を通過させる。そして、前述した構造の異物除去部35は、送付部33から送付された拾集対象物M1等が勢いよく異物除去部35に衝突したとしても、その衝撃を減衰させ、拾集対象物M1等を傷めることなく第2開口部305方向へ通過させる。つまり、異物除去部35は、これに起因する拾集対象物M1等の損傷(商品価値低下)を抑制する。
【0114】
一方で、拾集対象物M1等と一緒に本体部30に導入され、拾集対象物M1等に混じって送付部33から送付された異物T(特に小枝やゴミ等の軽量な塵芥等)については、異物除去部35に衝突し、衝撃が減衰して異物除去部35の下方に落下し、第2開口部305方向5へ通過しにくくなっている。つまり、異物除去部35は、拾集対象物M1等以外が第2開口部305から排出されることを抑制する。
【0115】
このように、本実施形態における異物除去部35によれば、異物除去能力の向上に伴い、従来は手作業等で行われていた異物分別作業が不要になるか又は分別時間が少なくて済む可能性が高められているので、作業負担が更に軽減される。
【0116】
傾斜部39は、前述した構成で且つ異物除去部35と協働することにより、拾集対象物M1等は第2傾斜部分392で誘導されて本体部30外へ排出されやすくなっており、異物Tは本体部30内に戻りやすい。
【0117】
詳しくは、拾集対象物M1等は、異物除去部35に衝突しながらも通過し、その後に第2傾斜部分392に沿って転げながら、本体部30外に排出される(換言すると、本体部30内に戻りにくい)。このとき、第2傾斜部分392は、前述した配置であることにより、拾集対象物M1等は、左右のガイド板部308によって左右のあらぬ方向へ飛び出にくく真っ直ぐに誘導され、収容器4に収まるようになっている。
【0118】
一方、異物T(特に、拾集対象物M1等よりも軽量な草や葉等の異物や小枝等の短尺な異物)は、異物除去部35に衝突すると通過しきれずに第1傾斜部分391上面へ落下し、その後、比較的急傾斜である第1傾斜部分391上面に沿って滑り落ちることで、本体部30内に戻りやすい(換言すると、異物除去部35を通過できなかった異物Tが第2開口部305へ向かわずに本体部30内に戻りやすい)。
【0119】
第2開口部305から排出された拾集対象物M1等は、傾斜部39の第2傾斜部分392を転がりながら、本体部30の前部に設けられた収容器保持部38の方向へ誘導され、収容器保持部38に保持された収容器4に納まり、収容器4で作業中一時的に保管される。また、収容器保持部38及び収容器4は、拾集作業機1の進行方向前方に配置されていることにより、作業者は収容器4に納まった拾集対象物M1等の量が容量以上にならないように視線を外すことなく確認できるので、例えば機体後部に収容器保持部及び収容器が配置された機体と比較して、作業性が良い。
【0120】
このように、拾集作業機1は、前述した各部の協働により、手作業で行われていた拾集対象物M1等の収穫作業(特に手作業で行われることが多い栗の収穫作業)における作業負担を軽減することができ、拾集対象物M1等(特に毬栗や栗等)を効率良く回収することができる。
【0121】
また、拾集作業機1は、主目的とする拾集対象物M1、M2等(毬栗や栗)のみならず、廃棄物等の副次目的である拾集対象物M3(空の毬)も拾集することもできる。拾集作業機1を栗の収穫作業に使用すると、空の毬(廃棄物)も回収することができて栗林(圃場)は一度清掃されたことになり、次回の収穫作業を行う際に回収する毬栗が空である可能性が低下し、従来の栗の収穫作業において生じていた空の毬と実の入った毬栗とを確認する手間が減るので、この点においても作業負担の軽減及び収穫性向上に寄与する。
【0122】
なお、収容器保持部38は、載置部分383の略垂直状態に畳むことができ、止め部材384によって載置部分383の略垂直状態が保持されるので、拾集作業機1或いは拾集器具部3がコンパクトにまとまり、作業対象領域以外を移動する際の取り回しが良く、保管場所への収納時或いは車輌への搭載時には嵩張らないようになっている。
【0123】
〔変形例1〕
図10に示す拾集作業機1a及びこれに連結した拾集器具部3aは、拾集作業機1及び拾集器具部3の変形例(変形例1)である。拾集作業機1aは、走行機2及び拾集器具部3aを備える。なお、走行機2は第1実施形態と同様であるため、構造及び作用効果の説明を省略する。
【0124】
拾集器具部3aは、本体部30、連結部31、掻込部32、送付部33、動力伝達部34、異物除去部35、スクレーパー部36、走行手段部37、収容器保持部38、傾斜部39及び、カバー部5を有する構造である。なお、カバー部5を除く本体部30等の各部は、第1実施形態の拾集器具部3と同様であるため、構造及び作用効果の説明を省略する。
【0125】
図10を参照して、カバー部5を説明する。カバー部5は、展開時において、第2開口部305から収容器保持部38の上方領域を覆うように設けられた部材である(図10(b)参照)。カバー部5は、カバー本体51、取付部分52及び錘部分53を有する。
【0126】
カバー本体51は、第2開口部305から収容器保持部38の上方領域を覆うことができる大きさに設けられ、柔軟且つやや厚手で、格子状の補強糸を内包する透明なビニル樹脂製シートである。カバー本体51は、本体部30よりもやや幅広であって、左右両端近傍が左右のガイド板部308の上部に載置可能な幅に形成されており、先部が収容器保持部38に載置した収容器4の前方側側壁の高さ方向中頃まで覆う長さに形成されている。
【0127】
取付部分52は、カバー本体51の基端側に設けられ、カバー本体51の幅方向に亘る細板状の部材である。更に詳しくは、取付部分52は、第2開口部305及び異物除去部35の上方となる本体部30の部分に取り付けられている。
【0128】
錘部分53は、カバー本体51の先端側に設けられ、カバー本体51の幅方向に亘る所定重さの棒状部材である。
【0129】
図10を参照して、カバー部5の作用効果を説明する。作業前又は作業後は、錘部分53を心軸にしてカバー本体51を本体部30側に巻き上げて、カバー部5を収納する(図10(a)参照)。巻き上げて円筒状等になったカバー部5は、紐やバンドで形状を固定することが好適である。これにより、拾集作業機1a(拾集器具部3a)の走行や運搬又は収納の邪魔になりにくい。
【0130】
作業時には、カバー本体51をガイド板部308の上部に沿わせながら開き、先部である錘部分53が収容器保持部38に載置した収容器4の前方側側壁に至るように展開する。これにより、カバー部5は、第2開口部305から収容器保持部38の上方領域を覆うと共に、収容器4の上方開口部も覆い、左右のガイド板部308と協働して、第2開口部305、異物除去部35及び傾斜部39から収容器4上方に至る空間が閉じた領域となる。
【0131】
カバー部5は、これを展開させた状態で拾集作業を行うことにより、第2開口部305及び異物除去部35を通過し、傾斜部39を転がり落ちてきた拾集対象物M1等が機外に飛び出すことなく収容器4に収まる。
【0132】
なお、カバー部5は、錘部分53を有することによりカバー本体51の先部がめくれにくくなっており、めくれによる拾集対象物M1等の飛び出しを抑制する。また、カバー部5は、カバー本体51が透明であるため、作業者は収容器4に納まった拾集対象物M1等の量が容量以上にならないように視線を外すことなく確認できる。
【0133】
〔拾集方法〕
本発明に係る拾集方法は、前述した拾集器具部3(3a)を備えた拾集作業機1(1a)を拾集対象物M1等が落下している拾集対象物落下領域(地面)Gで前進させて行われ、以下の第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを備える。
【0134】
第1ステップでは、拾集器具部3(3a)の本体部30において地面G方向へ開口した第1開口部304近傍に配設されたスクレーパー部36によって地面Gにある拾集対象物M1等を掬い上げて第1開口部304に誘導し、誘導された拾集対象物M1等が第1開口部304を通じて筺状である本体部30内に導入され、本体部30内の第1開口部304近傍に配設された掻込部32によって拾集対象物M1等を本体部30奥方向へ掻き込む。
【0135】
第2ステップでは、第1ステップで掻込部32により送られた拾集対象物M1等を、掻込部32と本体部30に形成された第2開口部305の間の領域に配設された送付部33によって第2開口部305の方向へ送付する。
【0136】
第3ステップでは、第2ステップで送付部33により送られた拾集対象物M1等が、送付部33と第2開口部305の間の領域に配設された異物除去部35を通過して第2開口部305から排出され、異物除去部35によって拾集対象物M1等と共に混入した異物Tを除去する。
【0137】
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二等の言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
【符号の説明】
【0138】
1、1a 拾集作業機
2 走行機
21 原動機
22 走行手段部
23 操作ハンドル
3、3a 拾集器具部
30 本体部
301 主壁
302 右側壁
303 左側壁
304 第1開口部
305 第2開口部
306 第3開口部
307 蓋部分
308 ガイド板部
31 連結部
311 動力取入部分
32 掻込部
321 軸部材
322 掻込部材
33 送付部
331 軸部材
332 投射部材
333 バランスウエイト部材
34 動力伝達部
341 第1動力伝達部分
342 第2動力伝達部分
35 異物除去部
36 スクレーパー部
37 走行手段部
371 間隔調整部分
38 収容器保持部
381 後枠
382 前枠
383 載置部分
384 止め部材
385 支持部材
39 傾斜部
391 第1傾斜部分
392 第2傾斜部分
4 収容器4
5 カバー部5
51 カバー本体51
52 取付部分52
53 錘部分53
M1,M2,M3 拾集対象物
G 拾集対象物落下領域(地面)
T 異物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10